(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019414
(43)【公開日】2024-02-09
(54)【発明の名称】C.ディフィシル治療方法及び組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 35/74 20150101AFI20240202BHJP
C12N 1/20 20060101ALI20240202BHJP
A61P 1/12 20060101ALI20240202BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20240202BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20240202BHJP
A61P 1/08 20060101ALI20240202BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240202BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20240202BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20240202BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240202BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240202BHJP
A61K 9/19 20060101ALI20240202BHJP
【FI】
A61K35/74 A
C12N1/20 A
C12N1/20 E
A61P1/12
A61P1/04
A61P31/04
A61P1/08
A61K47/26
A61K47/22
A61K47/20
A61K47/36
A61K47/10
A61K9/19
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023202676
(22)【出願日】2023-11-30
(62)【分割の表示】P 2021518039の分割
【原出願日】2019-06-06
(31)【優先権主張番号】62/681,774
(32)【優先日】2018-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520479010
【氏名又は名称】アルチュジェン セラピューティクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100111501
【弁理士】
【氏名又は名称】滝澤 敏雄
(72)【発明者】
【氏名】ファーカー ロナルド
(72)【発明者】
【氏名】マーフィー クリストファー ケイ
(72)【発明者】
【氏名】ヒル コリン
(72)【発明者】
【氏名】ロス ポール
(72)【発明者】
【氏名】レア メアリー
(72)【発明者】
【氏名】オドネル ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】ヒーリー ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】チェスネル ローラン
(57)【要約】
【課題】本明細書に開示するものは、クロストリジウム・ディフィシル感染を予防、緩和、又は治療し、及び/又はC.ディフィシル感染に関連する1つ以上のリスク因子、徴候又は症候の重篤度を軽減する組成物及び方法である。
【解決手段】本開示の技術は、ART24、ART4及びART12と同定されたバシルス・アミロリケファシエンス細菌株を含む組成物の有効量を、C.ディフィシル感染に罹患するか又はそのリスクにある対象動物に投与する方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ART24(NCIMB 受託番号 43088)、ART4(NCIMB 受託番号 43086)、及びART12(NCIMB 受託番号 43087)から成る群から選択される細菌株。
【請求項2】
ART24(NCIMB 受託番号 43088)、ART4(NCIMB 受託番号 43086)、及びART12(NCIMB 受託番号 43087)から成る群から選択される1つ以上の細菌株並びに保存料を含む組成物。
【請求項3】
細菌株がART24(NCIMB 受託番号 43088)である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
細菌株がART4(NCIMB 受託番号 43086)である、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
細菌株がART12(NCIMB 受託番号 43087)である、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
細菌株が凍結乾燥される、請求項2-5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
細菌株が芽胞の形態にある、請求項2-5のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
保存料が、シュクロース、トレハロース、アスコルビン酸ナトリウム、及びグルタチオンから成る群から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項9】
保存料が凍結保護物質である、請求項2に記載の組成物。
【請求項10】
凍結保護物質が、ヌクレオチド、二糖類、ポリオール、及び多糖類から成る群から選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
凍結保護物質が、イノシン5’一リン酸(IMP)、グアノシン5’一リン酸(GMP)、アデノシン5’一リン酸(AMP)、ウラノシン5’一リン酸(UMP)、シチジン5’一リン酸(CMP)、アデニン、グアニン、ウラシル、シトシン、グアノシン、ウリジン、シチジン、ヒポキサンチン、キサンチン、オロチジン、チミジン、イノシン、トレハロース、マルトース、ラクトース、シュクロース、ソルビトール、マンニトール、デキストリン、イヌリン、アスコルビン酸ナトリウム、グルタチオン、脱脂乳、及び凍結保護物質18から成る群から選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
凍結保護物質がトレハロースを含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
ART24(NCIMB 受託番号 43088)、ART4(NCIMB 受託番号 43086)、及びART12(NCIMB 受託番号 43087)から成る群から選択される1つ以上の細菌株並びに薬学的に許容できる担体を含む、医薬組成物。
【請求項14】
薬学的に許容できる担体が、多糖類、ローカストビーンガム、陰イオン性多糖類、デンプン、タンパク質、アスコルビン酸ナトリウム、グルタチオン、トレハロース、シュクロース、又はペクチンを含む、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
多糖類が植物、動物、藻類、又は微生物の多糖類を含む、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
多糖類が、グアーガム、イヌリン、アミロース、キトサン、コンドロイチン硫酸、アルギン酸塩、又はデキストランを含む、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
デンプンがコメデンプンを含む、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項18】
さらにまた抗生物質を含む、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項19】
抗生物質がメトロニダゾール、バンコマイシン及びニタゾキサニドの1つ以上を含む、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
腸内投与のために処方される、請求項13-19のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項21】
経口デリバリー、舌下デリバリー、直腸デリバリーのために、又はプロバイオティクスとしての使用のために処方される、請求項13-19のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項22】
その必要がある対象動物で、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染又はクロストリジウム・ディフィシル関連疾患(CDAD)を治療若しくは予防する方法であって、ART24(NCIMB 受託番号 43088)、ART4(NCIMB 受託番号 43086)、及びART12(NCIMB 受託番号 43087)から成る群から選択される1つ以上の細菌株を含む医薬組成物の治療的に有効な量を対象動物に投与する工程を含む、前記方法。
【請求項23】
細菌株がART24(NCIMB 受託番号 43088)である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
細菌株がART4(NCIMB 受託番号 43086)である、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
細菌株がART12(NCIMB 受託番号 43087)である、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
細菌株が凍結乾燥される、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
細菌株が芽胞の形態にある、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
C.ディフィシル感染又はCDADが、下痢、体重低下、食欲低下、鼓脹、インフルエンザ様症候、発熱、腹痛、悪心、脱水、結腸炎、及び偽膜性結腸炎の1つ以上を含む、請求項22-27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
CDADが抗生物質関連下痢(AAD)を含む。請求項22に記載の方法。
【請求項30】
医薬組成物が腸内投与される、請求項22-29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
さらにまた、対象動物に1つ以上の抗生物質を別々に、逐次的に、又は同時に投与する工程を含む、請求項22-30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
1つ以上の抗生物質がメトロニダゾール、バンコマイシン及びニタゾキサニドの1つ以上を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
さらにまた、抗毒素Bモノクローナル抗体を別々に、逐次的に、又は同時に投与する工程を含む、請求項22-30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
その必要がある対象動物でクロストリジウム・ディフィシル感染又はクロストリジウム・ディフィシル関連疾患(CDAD)を治療若しくは予防する医薬の調製における組成物の使用であって、当該組成物が、ART24(NCIMB 受託番号 43088)、ART4(NCIMB 受託番号 43086)、及びART12(NCIMB 受託番号 43087)から成る群から選択される1つ以上の細菌株を含む、前記使用。
【請求項35】
細菌株がART24(NCIMB 受託番号 43088)である、請求項34に記載の使用。
【請求項36】
細菌株がART4(NCIMB 受託番号 43086)である、請求項34に記載の使用。
【請求項37】
細菌株がART12(NCIMB 受託番号 43087)である、請求項34に記載の使用。
【請求項38】
細菌株が凍結乾燥される、請求項34に記載の使用。
【請求項39】
細菌株が芽胞の形態にある、請求項34に記載の使用。
【請求項40】
C.ディフィシル感染又はCDADが、下痢、体重低下、食欲低下、鼓脹、インフルエンザ様症候、発熱、腹痛、悪心、脱水、結腸炎、及び偽膜性結腸炎の1つ以上を含む、請求項34-39のいずれか1項に記載の使用。
【請求項41】
CDADが抗生物質関連下痢(AAD)を含む、請求項34に記載の使用。
【請求項42】
医薬が経口、舌下、又は直腸内投与のために処方される、請求項34のいずれか1項に記載の使用。
【請求項43】
治療又は予防工程が、対象動物に1つ以上の抗生物質を別々に、逐次的に、又は同時に投与する工程を含む、請求項34-42のいずれか1項に記載の使用。
【請求項44】
1つ以上の抗生物質がメトロニダゾール、バンコマイシン、及びニタゾキサニドの1つ以上を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
治療又は予防工程が、抗毒素Bモノクローナル抗体を別々に、逐次的に、又は同時に投与する工程を含む、請求項34-42のいずれか1項に記載の使用。
【請求項46】
その必要がある対象動物でクロストリジウム・パーフリンゲンス(Clostridium perfringens)感染を治療又は予防する方法であって、ART24(NCIMB 受託番号 43088)、ART4(NCIMB 受託番号 43086)、及びART12(NCIMB 受託番号 43087)から成る群から選択される細菌株を含む医薬組成物の治療的に有効な量を対象動物に投与する工程を含む、前記方法。
【請求項47】
細菌株がART24(NCIMB 受託番号 43088)である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
細菌株がART4(NCIMB 受託番号 43086)である、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
細菌株がART12(NCIMB 受託番号 43087)である、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
細菌株が凍結乾燥される、請求項46に記載の方法。
【請求項51】
細菌株が芽胞の形態にある、請求項46に記載の方法。
【請求項52】
感染が腹痛、胃痙攣、下痢、及び悪心の1つ以上を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項53】
医薬組成物が腸内投与される、請求項46-52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
さらにまた、対象動物に1つ以上の抗生物質を別々に、逐次的に、又は同時に投与する工程を含む、請求項46-52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
1つ以上の抗生物質がメトロニダゾール、バンコマイシン及びニタゾキサニドの1つ以上を含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
その必要がある対象動物でクロストリジウム・パーフリンゲンス感染を治療又は予防する医薬の調製における組成物の使用であって、当該組成物が、ART24(NCIMB 受託番号 43088)、ART4(NCIMB 受託番号 43086)、及びART12(NCIMB 受託番号 43087)から成る群から選択される1つ以上の細菌株を含む、前記使用。
【請求項57】
細菌株がART24(NCIMB 受託番号 43088)である、請求項56に記載の使用。
【請求項58】
細菌株がART4(NCIMB 受託番号 43086)である、請求項56に記載の使用。
【請求項59】
細菌株がART12(NCIMB 受託番号 43087)である、請求項56に記載の使用。
【請求項60】
細菌株が凍結乾燥される、請求項56に記載の使用。
【請求項61】
細菌株が芽胞の形態にある、請求項56に記載の使用。
【請求項62】
感染が腹痛、胃痙攣、下痢及び悪心の1つ以上を含む、請求項56-61のいずれか1項に記載の使用。
【請求項63】
医薬組成物が腸内投与される、請求項56-62のいずれか1項に記載の使用。
【請求項64】
さらにまた、対象動物に1つ以上の抗生物質を別々に、逐次的に、又は同時に投与する工程を含む、請求項56-62のいずれか1項に記載の使用。
【請求項65】
1つ以上の抗生物質がメトロニダゾール、バンコマイシン、及びニタゾキサニドの1つ以上を含む、請求項64に記載の使用。
【請求項66】
その必要がある対象動物でリステリア・モノシトゲネス(Listeria monocytogenes)感染を治療又は予防する方法であって、ART24(NCIMB 受託番号 43088)、ART4(NCIMB 受託番号 43086)、及びART12(NCIMB 受託番号 43087)から成る群から選択される1つ以上の細菌株を含む医薬組成物の治療的に有効な量を対象動物に投与する工程を含む、前記方法。
【請求項67】
細菌株がART24(NCIMB 受託番号 43088)である、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
細菌株がART4(NCIMB 受託番号 43086)である、請求項66に記載の方法。
【請求項69】
細菌株はART12(NCIMB 受託番号 43087)である、請求項66に記載の方法。
【請求項70】
細菌株が凍結乾燥される、請求項66に記載の方法。
【請求項71】
細菌株は芽胞の形態にある、請求項66に記載の方法。
【請求項72】
感染が腹痛、インフルエンザ様症候、胃痙攣、下痢及び悪心の1つ以上を含む、請求項66に記載の方法。
【請求項73】
医薬組成物が腸内投与される、請求項66-72のいずれか1項に記載の方法。
【請求項74】
さらにまた、対象動物に1つ以上の抗生物質を別々に、逐次的に、又は同時に投与する工程を含む、請求項66-72のいずれか1項に記載の方法。
【請求項75】
1つ以上の抗生物質がメトロニダゾール、バンコマイシン及びニタゾキサニドの1つ以上を含む、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
その必要がある対象動物でリステリア・モノシトゲネス感染を治療又は予防する医薬の調製における組成物の使用であって、当該組成物が、ART24(NCIMB 受託番号 43088)、ART4(NCIMB 受託番号 43086)、及びART12(NCIMB 受託番号 43087)から成る群から選択される1つ以上の細菌株を含む、前記使用。
【請求項77】
細菌株がART24(NCIMB 受託番号 43088)である、請求項76に記載の使用。
【請求項78】
細菌株がART4(NCIMB 受託番号 43086)である、請求項76に記載の使用。
【請求項79】
細菌株がART12(NCIMB 受託番号 43087)である、請求項76に記載の使用。
【請求項80】
細菌株が凍結乾燥される、請求項76に記載の使用。
【請求項81】
細菌株が芽胞の形態にある、請求項76に記載の使用。
【請求項82】
感染が腹痛、インフルエンザ様症候、胃痙攣、下痢及び悪心の1つ以上を含む、請求項76-81のいずれか1項に記載の使用。
【請求項83】
医薬組成物が腸内投与される、請求項76-82のいずれか1項に記載の使用。
【請求項84】
さらにまた、対象動物に1つ以上の抗生物質を別々に、逐次的に、又は同時に投与する工程を含む、請求項76-82のいずれか1項に記載の使用。
【請求項85】
1つ以上の抗生物質がメトロニダゾール、バンコマイシン、及びニタゾキサニドの1つ以上を含む、請求項84に記載の使用。
【請求項86】
その必要がある対象動物でビブリオ・パラヘモリチクス(Vibrio parahaemolyticus)感染を治療又は予防する方法であって、ART24(NCIMB 受託番号 43088)、ART4(NCIMB 受託番号 43086)、及びART12(NCIMB 受託番号 43087)から成る群から選択される1つ以上の細菌株を含む医薬組成物の治療的に有効な量を対象動物に投与する工程を含む、前記方法。
【請求項87】
細菌株がART24(NCIMB 受託番号 43088)である、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
細菌株がART4(NCIMB 受託番号 43086)である、請求項86に記載の方法。
【請求項89】
細菌株がART12(NCIMB 受託番号 43087)である、請求項86に記載の方法。
【請求項90】
細菌株が凍結乾燥される、請求項86に記載の方法。
【請求項91】
細菌株が芽胞の形態にある、請求項86に記載の方法。
【請求項92】
対象動物が魚類又は甲殻類である、請求項86に記載の方法。
【請求項93】
魚類又は甲殻類が水産養殖環境にある、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
投与工程が組成物を水産養殖環境に提供する工程を含む、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
組成物が魚類飼料又は魚類飼料添加物として処方される、請求項93に記載の方法。
【請求項96】
組成物が水浴治療剤として処方される、請求項93に記載の方法。
【請求項97】
医薬組成物が腸内投与される、請求項86-93のいずれか1項に記載の方法。
【請求項98】
さらにまた、対象動物に1つ以上の抗生物質を別々に、逐次的に、又は同時に投与する工程を含む、請求項86-93のいずれか1項に記載の方法。
【請求項99】
1つ以上の抗生物質がメトロニダゾール、バンコマイシン及びニタゾキサニドの1つ以上を含む、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
その必要がある対象動物でビブリオ・パラヘモリチクス感染を治療又は予防する医薬の調製における組成物の使用であって、当該組成物が、ART24(NCIMB 受託番号 43088)、ART4(NCIMB 受託番号 43086)、及びART12(NCIMB 受託番号 43087)から成る群から選択される1つ以上の細菌株を含む、前記使用。
【請求項101】
細菌株がART24(NCIMB 受託番号 43088)である、請求項100に記載の使用。
【請求項102】
細菌株がART4(NCIMB 受託番号 43086)である、請求項100に記載の使用。
【請求項103】
細菌株がART12(NCIMB 受託番号 43087)である、請求項100に記載の使用。
【請求項104】
細菌株が凍結乾燥される、請求項100に記載の使用。
【請求項105】
細菌株が芽胞の形態にある、請求項100に記載の使用。
【請求項106】
対象動物が魚類又は甲殻類である、請求項100に記載の使用。
【請求項107】
魚類又は甲殻類が水産養殖環境にある、請求項106に記載の使用。
【請求項108】
投与工程が組成物を水産養殖環境に提供する工程を含む、請求項7に記載の使用。
【請求項109】
組成物が魚類飼料又は魚類飼料添加物として処方される、請求項7に記載の使用。
【請求項110】
組成物が水浴治療剤として処方される、請求項7に記載の使用。
【請求項111】
医薬組成物が腸内投与される、請求項100-107のいずれか1項に記載の使用。
【請求項112】
さらにまた、対象動物に1つ以上の抗生物質を別々に、逐次的に、又は同時に投与する工程を含む、請求項100-107のいずれか1項に記載の使用。
【請求項113】
1つ以上の抗生物質がメトロニダゾール、バンコマイシン、及びニタゾキサニドの1つ以上を含む、請求項112に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互引用)本出願は、米国仮特許出願No.62/681,774(2018年6月7日出願(その内容は参照によってその全体が本明細書に含まれる))に対し優先権を主張する。
(技術分野)
本技術は、概して、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染症を予防、緩和又は治療するための、及び/又はC.ディフィシル感染症に関連する1つ以上のリスク因子、徴候又は症候の重大性を軽減するための方法並びに組成物に関する。特に、本技術は、バシルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)菌(ART24、ART4及びART12として同定される)の株を含む組成物の有効量を、C.ディフィシル感染症に罹患するか又はそのリスクのある対象動物に投与することに関する。
【背景技術】
【0002】
下記の記載は読み手の理解を助けるために提供される。当該提供情報又は引用文献のいずれも、本明細書に開示の組成物及び方法に対する先行技術であることを容認するものではない。
クロストリジウム・ディフィシルは、結腸に定着する芽胞形成性グラム陽性嫌気性桿菌である。特定の臨床症状に際して(例えば正常な微生物叢が破壊又は抹消されてあるとき)、C.ディフィシルは過剰増殖して毒素を産生し、病理学的疾患を引き起こし得る。C.ディフィシル感染(CDI)は、軽度の下痢から致死的な偽膜性結腸炎及び中毒性巨大結腸症に及ぶ症候を引き起こし得る。抗生物質(特に広域薬剤)の長期使用は、腸内微生物叢の組成及び機能に変化を誘発し、抗生物質関連下痢(AAD)をもたらすことがある。CDI又はクロストリジウム・ディフィシル関連疾患(CDAD)は、C.ディフィシル桿菌によって産生される毒素A及びBによって引き起こされる疾病群を記述するために用いられる。
C.ディフィシルは、院内感染下痢のもっとも一般的な原因であり、健康管理システムにとってますます負担となりつつあり、結果として米国では毎年ほぼ29,000人が死亡し、総計は10億ドルを超える。高度に病毒性のC.ディフィシル株の出現は、疾患蔓延及び重篤性の増加とともにメトロニダゾール治療失敗率の高さと連関している。
現在の治療アプローチは、意に反する抗生物質による治療を終了しバンコマイシン又はメトロニダゾール又はフィダキソマイシンによる治療を開始することを含む。標準看護(SOC)抗生物質によるC.ディフィシル感染患者の治療は、罹病率及び死亡率を低下させる。しかしながら、メトロニダゾールに応答しない患者の数は増加しつつある。抗生物質治療は崩壊するであろうし、患者を効果的に治癒させる有益な内在性胃腸管(GIT)微生物叢の再樹立を阻害して疾患再発のリスクとなり得る。感染症治療における進歩にもかかわらず、CDI再発は、最初のCDI症例後の患者の約10-35%で、さらに一次再発後の患者の35-65%で認められる。したがって、CDIのより有効な治療法、特に内在性胃腸管微生物叢を保護する治療法が希求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染症を予防、緩和又は治療するための、及び/又はC.ディフィシル感染症に関連する1つ以上のリスク因子、徴候又は症候の重大性を軽減するための方法並びに組成物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、バシルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)菌(ART24、ART4及びART12として同定される)の株を含む組成物の有効量を、C.ディフィシル感染症に罹患するか又はそのリスクのある対象動物に投与することに関する。
ある特徴では、本開示は、ART24(NCIMB 受託番号 43088)、ART4(NCIMB 受託番号 43086)、及びART12(NCIMB 受託番号 43087)から成る群から選択される細菌株を提供する。ある特徴では、本開示は、ART24(NCIMB 受託番号 43088)、ART4(NCIMB 受託番号 43086)、及びART12(NCIMB 受託番号 43087)から成る群から選択される1つ以上の細菌株並びに保存料を含む組成物を提供する。いくつかの実施態様では、細菌株はART24(NCIMB 受託番号 43088)である。いくつかの実施態様では、細菌株はART4(NCIMB 受託番号 43086)である。いくつかの実施態様では、細菌株はART12(NCIMB 受託番号 43087)である。
いくつかの実施態様では、細菌株は凍結乾燥される。いくつかの実施態様では、細菌株は芽胞の形態にある。いくつかの実施態様では、保存料は、シュクロース、トレハロース、アスコルビン酸ナトリウム、及びグルタチオンから成る群から選択される。いくつかの実施態様では、保存料は凍結保護物質である。いくつかの実施態様では、凍結保護物質は、ヌクレオチド、二糖類、ポリオール、及び多糖類から成る群から選択される。いくつかの実施態様では、凍結保護物質は、イノシン5’一リン酸(IMP)、グアノシン5’一リン酸(GMP)、アデノシン5’一リン酸(AMP)、ウラノシン5’一リン酸(UMP)、シチジン5’一リン酸(CMP)、アデニン、グアニン、ウラシル、シトシン、グアノシン、ウリジン、シチジン、ヒポキサンチン、キサンチン、オロチジン、チミジン、イノシン、トレハロース、マルトース、ラクトース、シュクロース、ソルビトール、マンニトール、デキストリン、イヌリン、アスコルビン酸ナトリウム、グルタチオン、脱脂乳、及び凍結保護物質18から成る群から選択される。いくつかの実施態様では、凍結保護物質はトレハロースを含む。
【0005】
ある特徴では、本開示は、ART24(NCIMB 受託番号 43088)、ART4(NCIMB 受託番号 43086)、及びART12(NCIMB 受託番号 43087)から成る群から選択される1つ以上の細菌株並びに薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施態様では、薬学的に許容できる担体は、多糖類、ローカストビーンガム、陰イオン性多糖類、デンプン、タンパク質、アスコルビン酸ナトリウム、グルタチオン、トレハロース、シュクロース、又はペクチンを含む。いくつかの実施態様では、多糖類は、植物、動物、藻類、又は微生物の多糖類を含む。いくつかの実施態様では、多糖類は、グアーガム、イヌリン、アミロース、キトサン、コンドロイチン硫酸、アルギン酸塩、又はデキストランを含む。いくつかの実施態様では、デンプンはコメデンプンを含む。
いくつかの実施態様では、本組成物はさらにまた抗生物質を含む。いくつかの実施態様では、抗生物質は、メトロニダゾール、バンコマイシン、及びニタゾキサニドの1つ以上を含む。
いくつかの実施態様では、組成物は腸内投与のために処方される。いくつかの実施態様では、組成物は、経口デリバリー、舌下デリバリー、直腸デリバリーのために、又はプロバイオティクスとしての使用のために処方される。
【0006】
ある特徴では、本開示は、その必要がある対象動物で、クロストリジウム・ディフィシル感染又はクロストリジウム・ディフィシル関連疾患(CDAD)を治療又は予防する方法を開示し、前記方法は、ART24(NCIMB 受託番号 43088)、ART4(NCIMB 受託番号 43086)、及びART12(NCIMB 受託番号 43087)から成る群から選択される1つ以上の細菌株を含む医薬組成物の治療的に有効な量を対象動物に投与する工程を含む。いくつかの実施態様では、細菌株はART24(NCIMB 受託番号 43088)である。いくつかの実施態様では、細菌株はART4(NCIMB 受託番号 43086)である。いくつかの実施態様では、細菌株はART12(NCIMB 受託番号 43087)である。
いくつかの実施態様では、細菌株は凍結乾燥される。いくつかの実施態様では、細菌株は芽胞の形態にある。
いくつかの実施態様では、C.ディフィシル感染又はCDADは、下痢、体重低下、食欲低下、鼓脹、インフルエンザ様症候、発熱、腹痛、悪心、脱水、結腸炎、及び偽膜性結腸炎の1つ以上を含む。いくつかの実施態様では、CDADは抗生物質関連下痢(AAD)を含む。
いくつかの実施態様では、医薬組成物は腸内投与される。いくつかの実施態様では、当該方法はさらにまた、対象動物に1つ以上の抗生物質を別々に、逐次的に、又は同時に投与する工程を含む。いくつかの実施態様では、1つ以上の抗生物質は、メトロニダゾール、バンコマイシン、及びニタゾキサニドの1つ以上を含む。いくつかの実施態様では、当該方法はさらにまた、抗毒素Bモノクローナル抗体を別々に、逐次的に、又は同時に投与する工程を含む。
【0007】
ある特徴では、本開示は、その必要がある対象動物でクロストリジウム・ディフィシル感染又はクロストリジウム・ディフィシル関連疾患(CDAD)を治療若しくは予防する医薬の調製における組成物の使用を提供し、ここで、当該組成物は、ART24(NCIMB 受託番号 43088)、ART4(NCIMB 受託番号 43086)、及びART12(NCIMB 受託番号 43087)から成る群から選択される1つ以上の細菌株を含む。いくつかの実施態様では、細菌株はART24(NCIMB 受託番号 43088)である。いくつかの実施態様では、細菌株はART4(NCIMB 受託番号 43086)である。いくつかの実施態様では、細菌株はART12(NCIMB 受託番号 43087)である。
いくつかの実施態様では、細菌株は凍結乾燥される。いくつかの実施態様では、細菌株は芽胞の形態にある。
いくつかの実施態様では、C.ディフィシル感染又はCDADは、下痢、体重低下、食欲低下、鼓脹、インフルエンザ様症候、発熱、腹痛、悪心、脱水、結腸炎、及び偽膜性結腸炎の1つ以上を含む。いくつかの実施態様では、CDADは抗生物質関連下痢(AAD)を含む。
いくつかの実施態様では、医薬は、経口、舌下、又は直腸内投与のために処方される。いくつかの実施態様では、治療又は予防工程は、対象動物に1つ以上の抗生物質を別々に、逐次的に、又は同時に投与する工程を含む。いくつかの実施態様では、1つ以上の抗生物質は、メトロニダゾール、バンコマイシン、及びニタゾキサニドの1つ以上を含む。いくつかの実施態様では、治療又は予防工程は、抗毒素Bモノクローナル抗体を別々に、逐次的に、又は同時に投与する工程を含む。
【0008】
ある特徴では、本開示は、その必要がある対象動物でクロストリジウム・パーフリンゲンス(Clostridium perfringens)感染を治療又は予防する方法を提供し、前記方法は、ART24(NCIMB 受託番号 43088)、ART4(NCIMB 受託番号 43086)、及びART12(NCIMB 受託番号 43087)から成る群から選択される細菌株を含む医薬組成物の治療的に有効な量を対象動物に投与する工程を含む。いくつかの実施態様では、細菌株はART24(NCIMB 受託番号 43088)である。いくつかの実施態様では、細菌株はART4(NCIMB 受託番号 43086)である。いくつかの実施態様では、細菌株はART12(NCIMB 受託番号 43087)である。
いくつかの実施態様では、細菌株は凍結乾燥される。いくつかの実施態様では、細菌株は芽胞の形態にある。
いくつかの実施態様では、感染は、腹痛、胃痙攣、下痢、及び悪心の1つ以上を含む。いくつかの実施態様では、医薬組成物は腸内投与される。いくつかの実施態様では、当該方法はさらにまた、対象動物に1つ以上の抗生物質を別々に、逐次的に、又は同時に投与する工程を含む。いくつかの実施態様では、1つ以上の抗生物質は、メトロニダゾール、バンコマイシン、及びニタゾキサニドの1つ以上を含む。
ある特徴では、本開示は、その必要がある対象動物でクロストリジウム・パーフリンゲンス感染を治療又は予防する医薬の調製における組成物の使用を提供し、ここで、当該組成物は、ART24(NCIMB 受託番号 43088)、ART4(NCIMB 受託番号 43086)、及びART12(NCIMB 受託番号 43087)から成る群から選択される1つ以上の細菌株を含む。いくつかの実施態様では、細菌株はART24(NCIMB 受託番号 43088)である。いくつかの実施態様では、細菌株はART4(NCIMB 受託番号 43086)である。いくつかの実施態様では、細菌株はART12(NCIMB 受託番号 43087)である。
いくつかの実施態様では、細菌株は凍結乾燥される。いくつかの実施態様では、細菌株は芽胞の形態にある。
いくつかの実施態様では、感染は、腹痛、胃痙攣、下痢、及び悪心の1つ以上を含む。いくつかの実施態様では、医薬組成物は腸内投与される。いくつかの実施態様では、当該使用はさらにまた、対象動物に1つ以上の抗生物質を別々に、逐次的に、又は同時に投与する工程を含む。いくつかの実施態様では、1つ以上の抗生物質は、メトロニダゾール、バンコマイシン、及びニタゾキサニドの1つ以上を含む。
【0009】
ある特徴では、本開示は、その必要がある対象動物でリステリア・モノシトゲネス(Listeria monocytogenes)感染を治療又は予防する方法を提供し、前記方法は、ART24(NCIMB 受託番号 43088)、ART4(NCIMB 受託番号 43086)、及びART12(NCIMB 受託番号 43087)から成る群から選択される1つ以上の細菌株を含む医薬組成物の治療的に有効な量を対象動物に投与する工程を含む。いくつかの実施態様では、細菌株はART24(NCIMB 受託番号 43088)である。いくつかの実施態様では、細菌株はART4(NCIMB 受託番号 43086)である。いくつかの実施態様では、細菌株はART12(NCIMB 受託番号 43087)である。
いくつかの実施態様では、細菌株は凍結乾燥される。いくつかの実施態様では、細菌株は芽胞の形態にある。
いくつかの実施態様では、感染は、腹痛、インフルエンザ様症候、胃痙攣、下痢、及び悪心の1つ以上を含む。いくつかの実施態様では、医薬組成物は腸内投与される。いくつかの実施態様では、当該方法はさらにまた、対象動物に1つ以上の抗生物質を別々に、逐次的に、又は同時に投与する工程を含む。いくつかの実施態様では、1つ以上の抗生物質は、メトロニダゾール、バンコマイシン、及びニタゾキサニドの1つ以上を含む。
ある特徴では、本開示は、その必要がある対象動物でリステリア・モノシトゲネス感染を治療又は予防する医薬の調製における組成物の使用を提供し、ここで、当該組成物は、ART24(NCIMB 受託番号 43088)、ART4(NCIMB 受託番号 43086)、及びART12(NCIMB 受託番号 43087)から成る群から選択される1つ以上の細菌株を含む。いくつかの実施態様では、細菌株はART24(NCIMB 受託番号 43088)である。いくつかの実施態様では、細菌株はART4(NCIMB 受託番号 43086)である。いくつかの実施態様では、細菌株はART12(NCIMB 受託番号 43087)である。
いくつかの実施態様では、細菌株は凍結乾燥される。いくつかの実施態様では、細菌株は芽胞の形態にある。
いくつかの実施態様では、感染は、腹痛、インフルエンザ様症候、胃痙攣、下痢、及び悪心の1つ以上を含む。いくつかの実施態様では、医薬組成物は腸内投与される。いくつかの実施態様では、当該使用はさらにまた、対象動物に1つ以上の抗生物質を別々に、逐次的に、又は同時に投与する工程を含む。いくつかの実施態様では、1つ以上の抗生物質は、メトロニダゾール、バンコマイシン、及びニタゾキサニドの1つ以上を含む。
【0010】
ある特徴では、本開示は、その必要がある対象動物でビブリオ・パラヘモリチクス(Vibrio parahaemolyticus)感染を治療又は予防する方法を提供し、前記方法は、ART24(NCIMB 受託番号 43088)、ART4(NCIMB 受託番号 43086)、及びART12(NCIMB 受託番号 43087)から成る群から選択される1つ以上の細菌株を含む医薬組成物の治療的に有効な量を対象動物に投与する工程を含む。いくつかの実施態様では、細菌株はART24(NCIMB 受託番号 43088)である。いくつかの実施態様では、細菌株はART4(NCIMB 受託番号 43086)である。いくつかの実施態様では、細菌株はART12(NCIMB 受託番号 43087)である。
いくつかの実施態様では、細菌株は凍結乾燥される。いくつかの実施態様では、細菌株は芽胞の形態にある。
いくつかの実施態様では、対象動物は魚類又は甲殻類である。いくつかの実施態様では、魚類又は甲殻類は水産養殖環境にある。いくつかの実施態様では、投与工程は、組成物を水産養殖環境に提供する工程を含む。いくつかの実施態様では、組成物は、魚類飼料又は魚類飼料添加物として処方される。いくつかの実施態様では、組成物は水浴治療剤として処方される。いくつかの実施態様では、医薬組成物は腸内投与される。
いくつかの実施態様では、当該方法はさらにまた、対象動物に1つ以上の抗生物質を別々に、逐次的に、又は同時に投与する工程を含む。いくつかの実施態様では、1つ以上の抗生物質は、メトロニダゾール、バンコマイシン、及びニタゾキサニドの1つ以上を含む。
ある特徴では、本開示は、その必要がある対象動物でビブリオ・パラヘモリチクス感染を治療又は予防する医薬の調製における組成物の使用を提供し、ここで、当該組成物は、ART24(NCIMB 受託番号 43088)、ART4(NCIMB 受託番号 43086)、及びART12(NCIMB 受託番号 43087)から成る群から選択される1つ以上の細菌株を含む。いくつかの実施態様では、細菌株はART24(NCIMB 受託番号 43088)である。いくつかの実施態様では、細菌株はART4(NCIMB 受託番号 43086)である。いくつかの実施態様では、細菌株はART12(NCIMB 受託番号 43087)である。
いくつかの実施態様では、細菌株は凍結乾燥される。いくつかの実施態様では、細菌株は芽胞の形態にある。
いくつかの実施態様では、対象動物は魚類又は甲殻類である。いくつかの実施態様では、魚類又は甲殻類は水産養殖環境にある。いくつかの実施態様では、投与工程は、組成物を水産養殖環境に提供する工程を含む。いくつかの実施態様では、組成物は、魚類飼料又は魚類飼料添加物として処方される。いくつかの実施態様では、組成物は水浴治療剤として処方される。
いくつかの実施態様では、医薬組成物は腸内投与される。いくつかの実施態様では、当該使用はさらにまた、対象動物に1つ以上の抗生物質を別々に、逐次的に、又は同時に投与する工程を含む。いくつかの実施態様では、1つ以上の抗生物質は、メトロニダゾール、バンコマイシン、及びニタゾキサニドの1つ以上を含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】
図1A-1Bは、B.アミロリケファシエンスART12、ART24及びART4株の培養上清の直接的抗C.ディフィシル特性を示す写真である。
図1Aに提示するウェル拡散アッセイは、ART12、ART24及びART4株の培養上清の各々の抗C.ディフィシル活性による広いゾーンを示す。
【
図1B】
図1A-1Bは、B.アミロリケファシエンスART12、ART24及びART4株の培養上清の直接的抗C.ディフィシル特性を示す写真である。
図1Bは、ART12、ART24及びART4株の24、48及び72時間培養上清の抗C.ディフィシル活性ゾーンを示す。
【
図2A】
図2A-2Bは、本技術のB.アミロリケファシエンス株が消化性プロテアーゼに耐性であることを明らかにするウェル拡散アッセイを示す。
図2Aは、ART24上清の抗C.ディフィシル活性がペプシン及びトリプシンによる不活化に耐性であることを示す。
【
図2B】
図2A-2Bは、本技術のB.アミロリケファシエンス株が消化性プロテアーゼに耐性であることを明らかにするウェル拡散アッセイを示す。
図2Bは、ART4上清がトリプシン、キモトリプシン及びプロテイナーゼ-Kによる不活化に耐性であることを示す。
【
図3A】
図3A-3Bは、ART24(
図3A)、ART4(
図3B)培養上清のHPLC画分のMALDI-TOF MSクロマトグラフである。スペクトルは、ART24(
図3A)及びART4(
図3B)培養上清の抗C.ディフィシル生物活性画分が抗C.ディフィシル化合物アミロサイクリシンを含むことを示す。
【
図3B】
図3A-3Bは、ART24(
図3A)、ART4(
図3B)培養上清のHPLC画分のMALDI-TOF MSクロマトグラフである。スペクトルは、ART24(
図3A)及びART4(
図3B)培養上清の抗C.ディフィシル生物活性画分が抗C.ディフィシル化合物アミロサイクリシンを含むことを示す。
【
図3C】
図3Cは、DSM7
T(
図3C)培養上清のHPLC画分のMALDI-TOF MSクロマトグラフである。
【
図3D】
図3Dに示すように、アミロサイクリシンはDSM7
T培養上清画分のスペクトルには存在しない。
【
図4A】
図4AはインジケーターとしてC.ディフィシルを用いるウェル拡散アッセイを示し、ここで、プロテイナーゼ-K(ProK)は、ART24培養上清を含むウェルに直接(中央ウェル)又は隣接して(右手のウェル)添加された。
【
図4B】
図4Bは一組のMALDI-TOF MSクロマトグラフであり、アミロサイクリシンピークがProKの存在下で失われるときでさえART24の抗C.ディフィシル活性は維持されることを示す。
【
図5A】
図5Aは、ART24及びC.ディフィシルの24時間共培養の結果を示す図表である。C.ディフィシル増殖は、ART24暴露に際して2logよりも大きく低下する。
【
図5B】
図5Bは、T3h及びT6h時の進行中C.ディフィシル培養物への10x ART24の接種がOD読取り毎にC.ディフィシル増殖の低下を生じることを示す図表である。
【
図6A】
図6Aは、いくつかの異なるC.ディフィシル臨床単離株に対する、ART4、ART12及びART24株の培養上清の活性を明らかにするウェル拡散アッセイを示す。
【
図6B】
図6Bは、同時期の28の臨床単離株に対するART24培養上清の抗C.ディフィシル活性を明らかにするウェル拡散アッセイを示す。
【
図7A】
図7Aは、(上段左から右に)ラクトバシルス・レウテリ(
Lactobacillus reuteri)、ラクトバシルス・ラムノスス(
Lactobacillus rhamnosus)、スタフィロコッカス・キャピチス(
Staphylococcus capitis)、並びに(下段左から右に)バシルス・チューリンゲンシス(
Bacillus thuringiensis)及びクロストリジウム・ディフィシルについて、各々に対するART4(“A4”)、ART12(“12Aer1”)及びART24(“024(2)”)の活性を比較するウェル拡散アッセイを示す。アッセイは、24時間及び48時間のART4、ART12及びART24培養上清の比較を示す。
【
図7B】
図7BはqPCR分析を示す図表である。ヒト結腸微生物叢サンプルにin vitro添加された新鮮なART24株は、精査したヒト大腸門(すなわち、プロテオバクテリア門、フィルミクテス門、バクテロイデテス門、ベルコミクロビア門、及びラクトバシルス門)を温存する。
【
図8A】
図8Aは、本技術のB.アミロリケファシエンス(B. amy)株のin vivo有効性を評価する例示的設計を示す。
【
図8B】
図8Bは、PBSに再懸濁したART24栄養細胞(“B amy PBS”)、使用済み培養液に再懸濁したART24栄養細胞(“B amy QD”)、バンコマイシン、又はPBS(“ビヒクル”)を用いて毎日処置した後で異常な臨床徴候を示すC.ディフィシル感染マウスのパーセンテージを示す図表である。
【
図8C】
図8Cは、処置グループの各々についての0日目からのパーセンテージ体重変化を示す図表である。
【
図8D】
図8Dは、“B amy PBS”グループの0日目からのパーセンテージ体重変化及び一日毎の統計分析を示す図表である。
*p<0.05;
**p<0.01;多重比較による二元配置ANOVA。
図8Eは、処置グループの各々のC.ディフィシル感染後パーセント生存を示すカプラン-マイヤー生存曲線である。
【
図8E】
図8Eは、処置グループの各々のC.ディフィシル感染後パーセント生存を示すカプラン-マイヤー生存曲線である。
【
図9A】
図9Aは、C.パーフリンゲンスの7臨床単離株に対するART12、ART24及びART4の阻害性作用を明らかにするウェル拡散アッセイを示す。
【
図9B】
図9B-9Eは、C.パーフリンゲンスに対するDSM7
T(
図9B)、ART4(
図9C)、ART12(
図9D)及びART24(
図9E)培養物のHPLC画分のMALDI-TOF MSクロマトグラフである。活性画分の質量分析は、活性な抗C.パーフリンゲンス代謝物としてプリパスタチン(フェンギシン)を指し示している。プリパスタチンはDSM7
T培養上清画分のスペクトルには存在しない。
【
図9C】
図9B-9Eは、C.パーフリンゲンスに対するDSM7
T(
図9B)、ART4(
図9C)、ART12(
図9D)及びART24(
図9E)培養物のHPLC画分のMALDI-TOF MSクロマトグラフである。活性画分の質量分析は、活性な抗C.パーフリンゲンス代謝物としてプリパスタチン(フェンギシン)を指し示している。プリパスタチンはDSM7
T培養上清画分のスペクトルには存在しない。
図9Fは、リステリア・モノシトゲネスの単一株に対するART4、ART12及びART24の阻害性作用を明らかにするする抗L.モノシトゲネスウェル拡散アッセイを示す。
【
図9D】
図9B-9Eは、C.パーフリンゲンスに対するDSM7
T(
図9B)、ART4(
図9C)、ART12(
図9D)及びART24(
図9E)培養物のHPLC画分のMALDI-TOF MSクロマトグラフである。活性画分の質量分析は、活性な抗C.パーフリンゲンス代謝物としてプリパスタチン(フェンギシン)を指し示している。プリパスタチンはDSM7
T培養上清画分のスペクトルには存在しない。
【
図9E】
図9B-9Eは、C.パーフリンゲンスに対するDSM7
T(
図9B)、ART4(
図9C)、ART12(
図9D)及びART24(
図9E)培養物のHPLC画分のMALDI-TOF MSクロマトグラフである。活性画分の質量分析は、活性な抗C.パーフリンゲンス代謝物としてプリパスタチン(フェンギシン)を指し示している。プリパスタチンはDSM7
T培養上清画分のスペクトルには存在しない。
【
図9F】
図9Fは、リステリア・モノシトゲネスの単一株に対するART4、ART12及びART24の阻害性作用を明らかにするする抗L.モノシトゲネスウェル拡散アッセイを示す。
【
図10A】
図10Aは、刺激された胃液(pH3)のB.アミロリケファシエンスの芽胞に対する作用を示す図表である。
【
図10B】
図10Bは、フリーズドライ前及び後(凍結乾燥前及び後)のART4、ART12及びART24の芽胞の安定性を示す図表である。
【
図11A】
図11Aは、再構成した凍結乾燥ART24(lot CO-33-8A1)によるC.ディフィシル毒素Aの切断の検出を示すウェスタンブロットである。
【
図11B】
図11Bは、再構成した凍結乾燥ART24(lot CO-33-8A1)によるC.ディフィシル毒素Bの切断の検出を示すウェスタンブロットである。
【
図11C】
図11Cは、液体共培養中のC.ディフィシル芽胞及び栄養細胞総数に対する1x10
7 CFU ART24の抗C.ディフィシル活性を示す図表である。
【
図12】
図12は、ART4、ART12及びART24株の培養上清の各々についての抗V.パラヘモリチクス活性ゾーンを示すウェル拡散アッセイである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本技術の実質的な理解を提供するために、本技術の一定の特徴、様式、実施態様、変型及び特色が様々な詳細さレベルで下記に記載されることは評価されよう。本明細書で用いられる一定の用語の定義は下記で提供される。特段の規定がなければ、本明細書で用いられる全ての技術用語及び学術用語は、概ね、本技術が属する業界の業者の一人が一般的に理解する意味と同じ意味を有する。
I.定義
以下の用語が本明細書で用いられ、その定義が手引きのために提供される。
本明細書で用いられるように、単数形“a”、“an”及び“the”は、単数形のみを指すと明確に記載されないかぎり単数及び複数の両方を指す。
“約”という用語及び一般的に範囲の使用は、約という用語が付されているか否かにかかわらず、包含される数は本明細書に示される厳密な数に限定されないことを意味し、本発明の範囲から外れないが実質的に引用範囲内の範囲を指すことが意図される。本明細書で用いられる“約”は当業者には理解されるであろうし、当該用語が用いられる文脈である程度変動するであろう。当該用語が用いられる文脈を与えられた当業者にとって明瞭でない当該用語の使用があれば、“約”は個別の用語の最大10%プラス又はマイナスを意味するであろう。
【0013】
本明細書で用いられるように、本技術の薬剤、薬、細菌株若しくはその芽胞、又は組成物の対象動物への“投与”は、その意図される機能を達成するために組成物を対象動物に導入又はデリバリーする任意のルートを含む。投与は任意の適切なルートによって実施され、前記には、経口、鼻内、非経口(静脈内、筋肉内、腹腔内又は皮下)、外用又は吸入が含まれる。いくつかの実施態様では、本技術の組成物は腸内投与のために処方される。いくつかの実施態様では、組成物は経口、舌下又は直腸デリバリーのために処方される。いくつかの実施態様では、組成物はプロバイオティクスとしての使用のために処方される。いくつかの実施態様では、組成物は生の生物学的治療薬としての使用のために処方される。本明細書で用いられるように、投与は自己投与及び別の者による投与を含む。
本明細書で用いられるように、“ART24”又は“ART024(2)”又は“024(2)”は、NCIMBアクセッション番号43088の下に寄託されている細菌株若しくはその芽胞、又は前記株を含む組成物を指す。
本明細書で用いられるように、“ART4”又は“A4”は、NCIMBアクセッション番号43086の下に寄託されている細菌株若しくはその芽胞、又は前記株を含む組成物を指す。
本明細書で用いられるように、“ART12”又は“12Aer1”は、NCIMBアクセッション番号43087の下に寄託されている細菌株若しくはその芽胞、又は前記株を含む組成物を指す。
【0014】
本明細書で用いられるように、“有効量”又は“治療的に有効な量”及び“薬学的に有効な量”という用語は、所望の治療的及び/又は予防的効果を達成するために十分な量、例えば疾患、症状及び/又はその症候の阻止をもたらす量を指す。治療的又は予防的適用の関係では、対象動物に投与される組成物の量は、疾患のタイプ及び重篤度並びに対象動物の特徴(例えば一般的健康状態、年齢、性別、体重、及び組成物薬剤に対する耐性)に左右されるであろう。前記量はまた、疾患又は症状の程度、重篤度及びタイプに左右されるであろう。当業者は、これらの要件及び他の要件に応じて適切な投薬量を決定することができるであろう。いくつかの実施態様では、複数用量が投与される。加えて或いはまた別に、いくつかの実施態様では、複数の治療組成物又は化合物(例えば複数の細菌株を単独で又は追加の活性薬剤(例えば抗生物質又は抗毒素Bモノクローナル抗体)と一緒に含む医薬組成物)が投与される。本明細書に記載の方法では、本技術の細菌株又はその芽胞を含む組成物は、C.ディフィシル感染(CDI)又はクロストリジウム・ディフィシル関連疾患(CDAD)の1つ以上の徴候、症候又はリスク因子(下痢、体重低下、食欲低下、鼓脹、インフルエンザ様症候、発熱、腹痛、悪心、脱水、結腸炎、及び偽膜性結腸炎が含まれるが、ただしそれらに限定されない)を有する対象動物に投与され得る。例えば、本技術の組成物の“治療的に有効な量”は、CDI又はCDADの1つ以上の徴候、症候又はリスク因子の存在、頻度又は重篤度が最低限緩和されるレベルを含む。いくつかの実施態様では、治療的に有効な量は、CDI若しくはCDADの生理学的作用、及び/又はCDI若しくはCDADのリスク因子、及び/又はCDI若しくはCDADを発症する可能性を低下又は緩和する。いくつかの実施態様では、治療的に有効な量は複数回投与によって達成される。いくつかの実施態様では、治療的に有効な量は単回投与で達成される。
【0015】
本明細書で用いられるように、“フリーズドライ(freez-dried, freeze-drying)”及び“凍結乾燥(lyophilized, lyophilization)”いう用語は互換的に用いられ、生成物を凍結して真空下に置いた後で当該生成物から水分を除去するプロセス、及びそのような状態から生じた生成物を指す。
本明細書で用いられるように、“薬学的に許容できる担体及び/又は希釈剤”又は“薬学的に許容できる賦形剤”には、溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌及び抗真菌剤、等張及び吸収遅延剤などが含まれるが、ただし前記に限定されない。いくつかの実施態様では、薬学的に許容できる担体は、多糖類、ローカストビーンガム、陰イオン性多糖類、デンプン、タンパク質、アスコルビン酸ナトリウム、グルタチオン、トレハロース、シュクロース、又はペクチンを含む。いくつかの実施態様では、多糖類は植物、動物、藻類又は微生物の多糖類を含む。いくつかの実施態様では、多糖類は、グアーガム、イヌリン、アミロース、キトサン、コンドロイチン硫酸、アルギン酸塩、又はデキストランを含む。いくつかの実施態様では、デンプンはコメデンプンを含む。生物学的に活性な物質のために、そのような媒体及び薬剤を使用することは当業界では周知である。賦形剤についての更なる詳細は下記で提供される。補助的活性成分(例えば抗微生物剤(例えば抗真菌剤))もまた組成物に取り入れることができる。
【0016】
本明細書で用いられるように、“薬学的に許容できる賦形剤”は、動物又は人間に投与されたときに、有害なアレルギー性又は他の望ましくない反応を生じない物質及び組成物を指す。本明細書で用いられるように、当該用語は以下を含む:本発明の治療物質と不適切な負の態様で反応しない全ての不活性で非毒性の液体若しくは固体充填剤又は希釈剤、溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌及び抗真菌剤、等張及び吸収遅延剤、保存料、及び同様なもの、例えば流動性医薬担体、例えば滅菌水、生理食塩水、糖溶液、トリス緩衝液、エタノール及び/又はある種の油。
本明細書で用いられるように、“プロバイオティクス”は、投与される対象動物の一過性又は内在性細菌叢の成分を含む細菌を指し、前記成分は、有益な予防的及び/又は治療的効果を対象動物に付与する。プロバイオティクスは安全であることが当業者には一般的に知られている。如何なる特定のメカニズムにも拘束されないが、本技術のB.アミロリケファシエンス株の予防的及び/又は治療的効果は、抗微生物活性を有する細胞外生成物の産生に起因する病原細菌の増殖阻止から生じることはあり得る。いくつかの実施態様では、“プロバイオティクス”は“生の生物学的治療薬製剤”を含む。
本明細書で用いられるように、疾患又は症状の“予防(prevention, prevent, preventing)”は、統計標本において、無処理コントロールと対比して処理対象動物/サンプルにおける異常若しくは症状の発生又は再発の減少を指すか、又は無処理コントロールと対比して異常若しくは症状の1つ以上の症候の開始の遅れを指す。
本明細書で用いられるように“対象動物”と“患者”は互換的に用いられる。いくつかの実施態様では、対象動物は動物である。いくつかの実施態様では、動物は哺乳動物である。いくつかの実施態様では、哺乳動物は人間である。いくつかの実施態様では、対象動物は魚類又は甲殻類である。いくつかの実施態様では、魚類又は甲殻類は水産養殖環境にある。
【0017】
本明細書で用いられるように、“同時”投与という用語は、同じ時又は実質的に同じ時の同じルートによる少なくとも2つの薬剤の投与を指す。
本明細書で用いられるように、“別々の”投与という用語は、同じ時又は実質的に同じ時の異なるルートによる少なくとも2つの薬剤の投与を指す。
本明細書で用いられるように、“逐次”投与という用語は、異なる時における少なくとも2つの薬剤の投与を指し、投与ルートは同一であるか又は異なる。より具体的には、逐次使用は、他の薬剤の投与が開始する前の1つの薬剤の完全な投与を指す。したがって、別の薬剤を投与する前に、複数の薬剤の1つを数分、数時間又は数日にわたって投与することが可能である。
“相乗的治療効果”は累積よりも大きな治療効果を指し、前記効果は、少なくとも2つの治療薬剤の組合せによって生じ、かつ複数の薬剤の個々の投与により生じる効果を超える。例えば、CDI又はCDADの治療のための他の薬剤と一緒に本技術の細菌株を使用することは、累積的治療効果よりも大きい効果を生じ得る。いくつかの実施態様では、相乗効果は、各々が単独で用いられる場合に要求される用量よりも低い用量の本技術の細菌株又は他の薬剤の使用を可能にすることができる。
疾患又は異常の“治療(treating, treat, treated, treatment)”には以下が含まれる:(i)疾患又は異常の抑制、すなわちその発達を停止させる;(ii)疾患又は異常の緩和、すなわちその後退を引き起こす;(iii)異常の進行減速;及び/又は(iv)疾患又は異常の1つ以上の症候の抑制、緩和、又は進行減速。
記載の医療的疾患及び症状における多様な様式の治療又は予防は“実質的”を意味することが意図され、“実質的”は完全だけでなく完全に達しない治療又は予防も含み、その場合はある程度の生物学的又は医療的に対応する結果が達成されることは理解されよう。
【0018】
II.クロストリジウム・ディフィシル感染(CDI)
クロストリジウム・ディフィシル感染(CDI)又はクロストリジウム・ディフィシル関連疾患(CDAD)は、嫌気性芽胞形成性グラム陽性細菌(クロストリジウム・ディフィシル)によって引き起こされる症候性感染症である。CDIの症候には水様下痢、発熱、悪心及び腹痛が含まれる。CDIは抗生物質関連下痢症例(AAD)の約20%の原因である。CDIの合併症には、偽膜性結腸炎、中毒性巨大結腸症、結腸穿孔、並びに敗血症及び死亡が含まれ得る。
CDIは細菌芽胞によって伝播される。芽胞は多くのタイプの殺菌剤に耐性であり、汚染された表面(食物表面を含む)上で数ヶ月の期間存続し得る。CDIのリスク因子には、抗生物質又はプロトンポンプ阻害剤の使用、入院、及び高齢であることが含まれる。健康な個体では、C.ディフィシルの増殖は胃腸管に存在する正常な微生物叢によってけん制される。広域抗生物質及び胃の酸性度を低下させる薬物(例えばプロトンポンプ阻害剤)の使用は、C.ディフィシル細菌を増殖させ感染を促進させ得る。結腸で、C.ディフィシルはエンテロトキシン(毒素A)及び細胞毒素(毒素B)を産生する。これら毒素は炎症媒介因子の生成を刺激し、前記因子は、腸壁透過性を高めて下痢をもたらし、結腸上皮細胞の劣化を引き起こす。CDIの診断は、便の培養又は細菌DNA若しくは毒素の存在の検査による。
いくつかの実施態様では、本技術は、C.ディフィシル感染を治療又は予防する方法及び組成物を提供する。前記治療又は予防は、C.ディフィシル感染に関連する1つ以上のリスク因子、徴候又は症候の重篤度を低下させることを含む。いくつかの実施態様では、当該組成物は、新規なバシルス・アミロリケファシエンス株ART24、ART4及びART12又はその芽胞を含む。
【0019】
III.クロストリジウム・パーフリンゲンス感染
クロストリジウム・パーフリンゲンスは、グラム陽性嫌気性芽胞形成性の病原性細菌であり、自然界に常在し、土壌、朽ちた植物、海洋沈殿物及びヒトの胃腸管で見出される。C.パーフリンゲンスは、米国では食品媒介疾病のもっとも一般的原因の1つである。C.パーフリンゲンス感染の症候には、腹痛、胃痙攣、下痢及び悪心が含まれ得る。C.パーフリンゲンスc型中毒は、壊疽性腸炎(ピグベル症候群としても知られている)を生じ得る。前記症候群は腸管細胞の死を引き起こし、しばしば致死的であり得る。
いくつかの実施態様では、本技術は、C.パーフリンゲンス感染の治療及び予防のための方法及び組成物を提供する。前記治療又は予防は、C.パーフリンゲンス感染に関連する1つ以上のリスク因子、徴候又は症候の重篤度を低下させることを含む。いくつかの実施態様では、当該組成物は、新規なバシルス・アミロリケファシエンス株ART24、ART4及びART12又はその芽胞を含む。
IV.リステリア・モノシトゲネス感染(リステリア症)
リステリア・モノシトゲネスは、宿主細胞で増殖及び再生するグラム陽性通性嫌気性の病原性細菌である。L.モノシトゲネスの侵襲性感染はリステリア症を引き起こし、汚染食品(例えば殺菌されていない酪農又は生食品)の摂取を介して伝播される。リステリアは、0℃程度の冷蔵温度で増加及び増殖するその能力により人間の食物管理をかいくぐることができる、もっとも病毒性の高い食物媒介病原体の1つである。米国では毎年、概算で1,600人がリステリア症を発症し、感染により約260人が死亡する。感染は、病気の妊婦及びその新生児、65歳以上の成人、及び免疫系が脆弱な人々でもっとも発生しやすい。高リスク個体では、感染は症例の20-30%で致死的である。感染は胃腸管に限定され得るが、脳、脊髄膜又は血流中に侵襲することがある。妊婦では、感染は流産、死産又は致死的感染新生児の早産をもたらし得る。
いくつかの実施態様では、本技術は、L.モノシトゲネス感染の治療及び予防のための方法及び組成物を提供する。前記治療又は予防は、L.モノシトゲネス感染に関連する1つ以上のリスク因子、徴候又は症候の重篤度を低下させることを含む。いくつかの実施態様では、当該組成物は、新規なバシルス・アミロリケファシエンス株ART24、ART4及びART12又はその芽胞を含む。
【0020】
V.ビブリオ・パラヘモリチクス感染(ビブリオ症)
ビブリオ・パラヘモリチクスは、人間及び水産養殖動物の健康を脅かし得る水生動物原性の人畜共通感染因子である。V.パラヘモリチクスは、広く拡散し天然では海及び河口環境に生息するグラム陰性好塩性細菌である。環境因子がその増殖に影響を及ぼし、水が温かいときにその数は最高である。人間のV.パラヘモリチクス感染は、汚染された海産物の摂取により又は開放創傷の海水への暴露により生じる。V.パラヘモリチクスは散発性感染及び胃腸炎の流行と関連があった。V.パラヘモリチクスは、生、加熱不十分又は取り扱い不良海産物を摂取した後の人間の急性胃腸炎の主要な原因因子である。V.パラヘモリチクス感染にもっとも頻繁に付随する臨床的特色には、水様下痢、腹部痙攣、悪心及び嘔吐が含まれ、創傷感染及び敗血症の発生はより少ない。実験室診断は、臨床標本(血液、便、及び創傷サンプルを含む)から当該生物を単離することによって実施される。食物媒介V.パラヘモリチクス感染のほぼすべての症例が最近の海産物摂取歴と関連する。V.パラヘモリチクスは、人間の疾患でいくつかの毒素(例えば耐熱性直接溶血素(TDH)、TDH関連溶血素(TRH)及び耐熱性溶血素)を産生する。
水産養殖動物のV.パラヘモリチクス感染は重大な経済的損失をもたらし得る。感染は特にエビ養殖に損害を与え、ビブリオ症は、急性肝膵壊死病(AHPND)又は早期死亡症候群(EMS)を引き起こし得る。サケ養殖では、感染は、ひれ、眼及び腹部表面の出血を引き起こすことがあり、非常に高い死亡率を有する。PirAvp及びPirBvpから成るフォトラブダス昆虫関連(Pir)毒素は、エビのAHPNDと関連する毒素である。抗生物質耐性は、抗生物質を用いるV.パラヘモリチクス感染の治療を困難なものにし、水産養殖におけるV.パラヘモリチクス感染を制御するために代替療法の開発が希求される。
いくつかの実施態様では、本技術は、V.パラヘモリチクス感染の治療及び予防のための方法及び組成物を提供する。前記治療又は予防は、V.パラヘモリチクス感染に関連する1つ以上のリスク因子、徴候又は症候の重篤度を低下させることを含む。いくつかの実施態様では、当該組成物は、新規なバシルス・アミロリケファシエンス株ART24、ART4及びART12又はその芽胞を含む。いくつかの実施態様では、本技術は、水産養殖におけるV.パラヘモリチクス感染を予防又は治療するために、新規なバシルス・アミロリケファシエンス株ART24、ART4及びART12又はその芽胞を含む水浴(浸漬)治療剤を提供する。いくつかの実施態様では、本技術は、水産養殖におけるV.パラヘモリチクス感染を予防又は治療するために、新規なバシルス・アミロリケファシエンス株ART24、ART4及びART12又はその芽胞を含む魚類飼料又は魚類飼料添加物を提供する。
【0021】
VI.本技術のバシルス・アミロリケファシエンス株
本開示の技術は、C.ディフィシル感染を効果的に治療又は予防する、数株のバシルス・アミロリケファシエンス菌の発見に関連する。本細菌株は人間の糞便サンプルから単離され、抗C.ディフィシル活性について分析された。一次スクリーニングはタンパク分解活性について実施され、二次スクリーニングは抗C.ディフィシル活性について実施された。C.ディフィシル株に対する抗微生物活性を示すコロニーを精製し、“ART24”(又は“ART024(2)”若しくは“024(2)”)、“ART4”(又は“A4”)、及びART12(又は“12 Aer 1”)と命名した。ART24は、NCIMBアクセッション番号43088の特徴を有する細菌株若しくはその芽胞又は当該株を含む組成物を指す。ART4は、NCIMBアクセッション番号43086の特徴を有する細菌株若しくはその芽胞又は当該株を含む組成物を指す。ART12は、NCIMBアクセッション番号43087の特徴を有する細菌株若しくはその芽胞又は当該株を含む組成物を指す。
いくつかの実施態様では、本技術の細菌株又はその芽胞は、C.ディフィシル、C.パーフリンゲンス又はL.モノシトゲネス感染を治療又は予防する方法及び組成物で用いられる。いくつかの実施態様では、本細菌株は、C.ディフィシル、C.パーフリンゲンス又はL.モノシトゲネス感染を予防又は制御するプロバイオティクスを含む。いくつかの実施態様では、本技術の組成物は細菌の栄養細胞を含む。いくつかの実施態様では、本技術の組成物は細菌の芽胞を含む。いくつかの実施態様では、本技術の組成物は、細菌の栄養細胞及び細菌の芽胞の組合せを含む。
【0022】
VII.治療方法及び予防方法
下記考察は単に例示として提示され、限定であることを意図しない。
本技術のある特徴は、CDIを有すると診断されるかCDIを有すると疑われるか又はCDIを有するリスクがある対象動物で、C.ディフィシル感染(CDI)を治療又は予防する方法を含む。治療的適用では、ART24、ART4、ART12から成る群から選択される細菌株又はその芽胞及び前記の組合せを含む組成物又は医薬が、そのような疾患が疑われるか、又はすでにそのような疾患に罹患している対象動物(例えば下痢、体重低下、食欲低下、鼓脹、インフルエンザ様症候、発熱、腹痛、悪心、脱水、結腸炎又は偽膜性結腸炎を示す対象動物)に、当該疾患の症候(その合併症及び当該疾患の発達中に介在する病理学的表現型を含む)を治癒するか又は少なくとも部分的に停止させるために十分な量で投与される。
CDIを罹患する対象動物は、当業界で公知の診断アッセイ若しくは予後アッセイのいずれか又は組合わせによって認定される。例えば、CDIの典型的な症候には、下痢、体重低下、食欲低下、鼓脹、インフルエンザ様症候、発熱、腹痛、悪心、脱水、結腸炎又は偽膜性結腸炎が含まれるが、ただしそれらに限定されない。
いくつかの実施態様では、本技術の細菌株又はその芽胞で治療されるCDI対象動物は、下記症候の1つ以上の緩和又は除去を示すであろう:下痢、体重低下、食欲低下、鼓脹、インフルエンザ様症候、発熱、腹痛、悪心、脱水、結腸炎又は偽膜性大腸炎。
ある特徴では、本技術は、CDIを有するリスクがある対象動物においてCDI又はCDIの症候の開始を予防するか又は遅らせる方法を提供する。いくつかの実施態様では、本技術の細菌株は、食物サプリメントとして及び腸管の有益な細菌の再樹立のために有用なプロバイオティクスとして処方される。いくつかの実施態様では、本技術の細菌株は、薬学的適用で有用な生の生物学的治療薬製剤として処方される。
【0023】
本技術のある特徴は、C.パーフリンゲンス感染を有すると診断されるかC.パーフリンゲンス感染を有すると疑われるか又はC.パーフリンゲンス感染を有するリスクがある対象動物において、C.パーフリンゲンス感染を治療又は予防する方法を含む。治療的適用では、ART24、ART4、及びART12から成る群から選択される細菌株又はその芽胞を含む組成物又は医薬が、そのような疾患が疑われるか、又はすでにそのような疾患に罹患している対象動物(例えば下痢、体重低下、食欲低下、鼓脹、インフルエンザ様症候、発熱、腹痛、悪心、脱水、結腸炎又は偽膜性結腸炎を示す対象動物)に、当該疾患の症候(その合併症及び当該疾患の発達中に介在する病理学的表現型を含む)を治癒するか又は少なくとも部分的に停止させるために十分な量で投与される。
C.パーフリンゲンス感染を罹患する対象動物は、当業界で公知の診断アッセイ若しくは予後アッセイのいずれか又は組合わせによって認定される。例えば、C.パーフリンゲンス感染の典型的な症候には、下痢、体重低下、食欲低下、鼓脹、インフルエンザ様症候、発熱、腹痛、悪心、脱水、結腸炎又は偽膜性結腸炎が含まれるが、ただしそれらに限定されない。
いくつかの実施態様では、C.パーフリンゲンス感染は本技術の細菌株又はその芽胞で治療され、対象動物は下記症候の1つ以上の緩和又は除去を示すであろう:下痢、体重低下、食欲低下、鼓脹、インフルエンザ様症候、発熱、腹痛、悪心、脱水、結腸炎又は偽膜性結腸炎。
ある特徴では、本技術は、C.パーフリンゲンス感染を有するリスクがある対象動物でC.パーフリンゲンス感染又はC.パーフリンゲンス感染の症候の開始を予防するか又は遅らせる方法を提供する。いくつかの実施態様では、本技術の細菌株は、食物サプリメントとして及び腸管の有益な細菌の再樹立のために有用なプロバイオティクスとして処方される。いくつかの実施態様では、本技術の細菌株は、薬学的適用で有用な生の生物学的治療薬製剤として処方される。
【0024】
本技術のある特徴は、L.モノシトゲネス感染を有すると診断されるかL.モノシトゲネス感染を有すると疑われるか又はL.モノシトゲネス感染を有するリスクがある対象動物において、L.モノシトゲネス感染を治療又は予防する方法を含む。治療的適用では、ART24、ART4、及びART12から成る群から選択される細菌株又はその芽胞を含む組成物又は医薬が、そのような疾患が疑われるか、又はすでにそのような疾患に罹患している対象動物(例えば下痢、体重低下、食欲低下、鼓脹、インフルエンザ様症候、発熱、腹痛、悪心、脱水、結腸炎又は偽膜性結腸炎を示す対象動物)に、当該疾患の症候(その合併症及び当該疾患の発達中に介在する病理学的表現型を含む)を治癒するか又は少なくとも部分的に停止させるために十分な量で投与される。
L.モノシトゲネス感染を罹患する対象動物は、当業界で公知の診断アッセイ若しくは予後アッセイのいずれか又は組合わせによって認定される。例えば、L.モノシトゲネス感染の典型的な症候には、下痢、体重低下、食欲低下、鼓脹、インフルエンザ様症候、発熱、腹痛、悪心、脱水、結腸炎、又は偽膜性結腸炎が含まれるが、ただしそれらに限定されない。
いくつかの実施態様では、L.モノシトゲネス感染は本技術の細菌株又はその芽胞で治療され、対象動物は下記症候の1つ以上の緩和又は除去を示すであろう:下痢、体重低下、食欲低下、鼓脹、インフルエンザ様症候、発熱、腹痛、悪心、脱水、結腸炎又は偽膜性結腸炎。
ある特徴では、本技術は、C.パーフリンゲンス感染を有するリスクがある対象動物において、C.パーフリンゲンス感染又はC.パーフリンゲンス感染の症候の開始を予防するか又は遅らせる方法を提供する。いくつかの実施態様では、本技術の細菌株は、食物サプリメントとして及び腸管の有益な細菌の再樹立のために有用なプロバイオティクスとして処方される。いくつかの実施態様では、本技術の細菌株は、薬学的適用で有用な生の生物学的治療薬製剤として処方される。
【0025】
本技術のある特徴は、V.パラヘモリチクス感染を有すると診断されるかV.パラヘモリチクス感染を有すると疑われるか又はV.パラヘモリチクス感染を有するリスクがある対象動物において、V.パラヘモリチクス感染を治療又は予防する方法を含む。治療的適用では、ART24、ART4、及びART12から成る群から選択される細菌株又はその芽胞を含む組成物又は医薬が、そのような疾患が疑われるか、又はすでにそのような疾患に罹患している対象動物(例えば胃腸炎、下痢、腹部痙攣、悪心、嘔吐又は創傷感染を示すヒト対象動物;急性肝膵壊死病(AHPND)又は早期死亡症候群(EMS)を示すエビ;ひれ、眼及び腹部表面の出血を示すサケ)に、当該疾患の症候(その合併症及び当該疾患の発達中に介在する病理学的表現型を含む)を治癒するか又は少なくとも部分的に停止させるために十分な量で投与される。
V.パラヘモリチクス感染を罹患する対象動物は、当業界で公知の診断アッセイ若しくは予後アッセイのいずれか又は組合わせによって認定される。例えば、V.パラヘモリチクス感染の典型的な症候には、汚染された海産物(例えば汚染されたエビ又はサケ)に触れた後の水様下痢、腹部痙攣、悪心、嘔吐、又は創傷感染が含まれるが、ただしそれらに限定されない。
いくつかの実施態様では、V.パラヘモリチクス感染は本技術の細菌株又はその芽胞で治療され、対象動物は、V.パラヘモリチクス感染に関連する症候の1つ以上の緩和又は除去を示す。
【0026】
VIII.投与様式及び有効投薬量
C.ディフィシル、C.パーフリンゲンス、L.モノシトゲネス、又はV.パラヘモリチクス感染の予防、緩和又は治療、及び/又は感染に関連する1つ以上のリスク因子、徴候又は症候の重篤度の軽減で使用される本技術の組成物は、本技術のB.アミロリケファシエンス細菌の生プロバイオティクスを含み、栄養細胞及び/又は芽胞の形態で提供される。いくつかの実施態様では、細菌株は凍結乾燥される。本技術の組成物は、有効量(すなわち所望の治療効果を有する量)で対象動物に投与される。用量及び投薬レジメンは、対象動物の感染の程度、用いられる個別のB.アミロリケファシエンス株の特徴(例えばその治療インデックス)、対象動物、及び対象動物歴に左右されるであろう。有効量は、前臨床及び臨床試験中に内科医及び臨床医の周知の方法によって決定され得る。
本技術の組成物は、食物に添加するために又は食物サプリメントとして用いるために処方され得る。処方物はさらにまた、他のプロバイオティクス又は芽胞発芽及び/又は細菌増殖を促進する栄養素を含むことができる。
本技術の組成物の追加の成分は、シュクロース、アスコルビン酸ナトリウム及びグルタチオンから成る群から選択される保存料を含むことができる。いくつかの実施態様では、保存料は、ヌクレオチド、二糖類、ポリオール、及び多糖類から成る群から選択される凍結保護物質である。いくつかの実施態様では、凍結保護物質は、イノシン5’一リン酸(IMP)、グアノシン5’一リン酸(GMP)、アデノシン5’一リン酸(AMP)、ウラノシン5’一リン酸(UMP)、シチジン5’一リン酸(CMP)、アデニン、グアニン、ウラシル、シトシン、グアノシン、ウリジン、シチジン、ヒポキサンチン、キサンチン、オロチジン、チミジン、イノシン、トレハロース、マルトース、ラクトース、シュクロース、ソルビトール、マンニトール、デキストリン、イヌリン、アスコルビン酸ナトリウム、グルタチオン、脱脂乳、及び凍結保護物質18から成る群から選択される。
【0027】
本明細書に記載のB.アミロリケファシエンス細菌株(すなわちART24、ART4及びART12)を投与のために単独で又は組合わせて医薬組成物に取り込むことができ、さらに本明細書に記載の疾患の治療又は予防のために対象動物に投与することができる。そのような組成物は典型的には活性薬剤及び薬学的に許容できる担体を含む。本明細書で用いられるように、“薬学的に許容できる担体”には、薬学的投与に適合する生理食塩水、溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌及び抗真菌剤、等張及び吸収遅延剤などが含まれる。補助的活性化合物もまた組成物に取り込むことができる。担体は、散剤形の処方物のための固体系乾燥素材でもよく、液体若しくはゲル形の処方物のための液体若しくはゲル系素材でもよい。前記形状は投与経路又は投与様式に部分的に左右される。いくつかの実施態様では、薬学的に許容できる担体は、多糖類、ローカストビーンガム、陰イオン性多糖類、デンプン、タンパク質、アスコルビン酸ナトリウム、グルタチオン、トレハロース、シュクロース、又はペクチンを含む。いくつかの実施態様では、多糖類は植物、動物、藻類又は微生物の多糖類を含む。いくつかの実施態様では、多糖類は、グアーガム、イヌリン、アミロース、キトサン、コンドロイチン硫酸、アルギン酸塩、又はデキストランを含む。いくつかの実施態様では、デンプンはコメデンプンを含む。
【0028】
医薬組成物は、典型的にはその意図する投与ルートに適合するように処方される。投与ルートの例には、腸(例えば経口、舌下、直腸)投与が含まれる。治療組成物は、経口投与に適切であるように多様な態様で、例えば液体、粉末化食物サプリメント、固型食物、パッケージ食物、ウェハース、錠剤、トローチ、又はカプセル(例えばゼラチンカプセル)などとして処方され得る。いくつかの実施態様では、本技術の治療組成物は、凍結乾燥ART4、ART12及び/又はART24を含む。いくつかの実施態様では、凍結乾燥ART4、ART12及び/又はART24はカプセルに包まれる。治療組成物は、直腸内投与に適切であるように多様な態様で、例えば座薬、液体浣腸又は泡沫として処方され得る。当業者には他の処方も極めて明白であろう。pHを酸又は塩基(例えば塩酸又は水酸化ナトリウム)で調整することができる。
水産養殖に適用するためには、本技術の医薬組成物は、魚類飼料若しくは魚類飼料添加物として又は水浴(浸漬)治療薬剤として処方され得る。
【0029】
任意の治療薬剤の投薬量、毒性及び治療有効性は、細胞培養又は実験動物で標準的な薬学的手順によって決定できる。細胞培養アッセイ及び動物試験から得られたデータを、人間で使用される投薬量の範囲の処方で用いることができる。そのような化合物の投薬量は、ほとんど又は全く毒性を示さないED50を含む循環濃度範囲内であり得る。投薬量は、用いられる剤形及び利用される投与ルートに左右されながら前記範囲内で変動し得る。本方法で用いられる任意の化合物について、治療的に有効な用量は最初に細胞培養アッセイから概算され得る。1用量を動物モデルで処方し、細胞培養で決定されるIC50(すなわち、症候の最大阻害の半分を達成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成することができる。そのような情報を用いて、人間で有用な用量を正確に決定することができる。
いくつかの実施態様では、本技術の組成物は、生命活性を有するB.アミロリケファシエンス(すなわちART24、ART4及び/又はART12)細菌(すなわち栄養細胞)又は細菌芽胞の108コロニー形成単位(CFU)を1グラム投薬量組成物中に含む。いくつかの実施態様では、本技術の方法は、1日当たり約104から約1012の生存細菌又は芽胞の投与を含む。いくつかの実施態様では、本技術の組成物は、経口デリバリー用に再懸濁される凍結乾燥素材又は散剤としてデリバリーされるか、又はカプセルにパッケージされる。より良好な腸内安定性のために、凍結乾燥素材及びカプセルをコーティングすることができる。
【0030】
例示的な治療レジメンは1日に1回又は1週間に1回の投与を伴う。治療的適用では、疾患の進行が低下又は停止するまで又は対象動物が疾患の症候の部分的又は完全な緩和を示すまで、比較的短い間隔で比較的高い投薬量が時々要求される。その後、対象動物に予防的レジメンを与えることができる。いくつかの実施態様では、本技術の組成物は、1日に1回、2回若しくは3回投与で、10から14日間、又は対象動物が一次疾患から治癒したように思われるまで、一次疾患の再発リスクにはないように若しくは当該疾患に罹患するリスクにはないように思われるまで投与される。いくつかの実施態様では、投与は、CDI治療のために当業界で公知の薬剤、例えば抗生物質(バンコマイシン、メトロニダゾール又はフィダキソマイシンが含まれるが、ただしそれらに限定されない)との短期間暴露と対にされ、その後1日に1回、2回若しくは3回の投与が、10から14日間、又は患者が一次疾患から治癒したように思われるまで、又は疾患の再発リスクにはないように思われるまで続く。いくつかの実施態様では、予防方法は、1日に1回、2回若しくは3回投与で、10から14日間、又はCDIのリスクがあると判明している(例えばPPI使用又は免疫抑制)患者の症例では当該疾患に患者が罹患するリスクにはないと思われるまで、本技術の組成物を投与することを含む。
ある種の因子が対象動物の効果的な治療に必要な投薬量及びタイミングに影響し得ることは当業者には理解されよう。前記因子には、疾患又は異常の重篤度、以前の治療、対象動物の一般的な健康状態及び/又は年齢、並びに他の疾患の存在が含まれるが、ただし前記に限定されない。さらにまた、本明細書に記載する治療組成物の治療的に有効な量を用いる対象動物の治療は、単一治療又は一連の治療を含むことができる。
【0031】
IX.本技術のB.アミロリケファシエンス株を用いる併用療法
いくつかの実施態様では、本技術のB.アミロリケファシエンス株又はその芽胞は、CDIの予防又は治療のための1つ以上の追加の治療法と併用され得る。追加の治療薬剤には、メトロニダゾール、フィダキソマイシン、バンコマイシン、ニタゾキサニド、糞便微生物叢移植、及び抗毒素Bモノクローナル抗体から成る群から選択される1つ以上の追加の治療薬剤が含まれるが、ただし前記に限定されない。
いくつかの実施態様では、追加の治療薬剤は、本技術のB.アミロリケファシエンス株又はその芽胞と一緒に、例えば相乗的治療効果が生じるように対象動物に投与される。例えばCDIの予防又は治療のための1つ以上の追加の治療薬剤とともに、ART24、ART4及び/又はART12を投与することは、当該疾患の予防又は治療において相加効果より大きな効果を有するであろう。
何れの症例でも、複数の治療薬剤を任意の順序で投与又は同時にでも投与し得る。同時の場合は、複数の治療薬剤は、ただ1つの均一化形態、又は複数の形態で(単なる例示として、単一のピル又は2つの別々のピルとして)提供され得る。治療薬剤の1つを複数の用量で投与してもよく、又は両方の薬剤を複数用量として投与してもよい。加えて、併用方法、併用組成物、及び併用処方物はただ2つの薬剤の使用に限定されることはない。
【実施例0032】
下記実施例は例示としてのみ提供され限定としてではない。本質的に同じ又は類似の結果を得るために、変更又は修正し得る重要ではない多様なパラメータを当業者は容易に認識し得よう。本実施例が、添付の特許請求の範囲によって規定される本技術の範囲を限定すると解釈されてはならない。下記実施例の各々のために、本明細書に記載するいずれの細菌株も用いることができよう。例示すれば、下記実施例で用いられる細菌株はART24、ART4、ART12、又はその組合せであり得よう。
材料と方法
ヒト糞便サンプル:糞便サンプルを下記年齢範囲の男女の対象者(N=22)から収集した:20-39歳(N=14);40-59歳(N=3);60-79歳(N=4);及び80-99歳(N=1)。糞便サンプルを実験室で受け取り、糞便排泄後8-12時間以内の新しい状態で処理した。分析の当日に、最大回収希釈液(MRD)(CM0733, Oxoid)を用いてスラリーを調製した。これらのスラリーを等体積のエタノールと2時間混合し、その後でサンプルをMRDで連続的に希釈し、ブレインハートインフュージョン(BHI)(1.10493.0500, Merck)寒天プレートの表面に広げた。これらのプレートを続いて24時間好気的にインキュベートした。
抗クロストリジウム・ディフィシル株の同定(ウェル拡散アッセイ(WDA)):細菌株をサンプルから単離し、抗クロストリジウム・ディフィシル活性について分析した。糞便サンプル由来の連続希釈細菌コロニーを有するBHI寒天プレートに、C.ディフィシルを接種した補強クロストリジウム培地(RCM)(1.015410.0500 Merck)軟寒天を重層した。潜在的抗C.ディフィシルコロニーは、細菌コロニーを取り巻く阻害ゾーンの存在によって同定された。C.ディフィシルをRCM寒天に1%(v/v)で接種し、プレートを硬化させた。無菌的パスツールピペットを用いて硬化寒天プレートにウェルを作成した。潜在的抗C.ディフィシル細菌株を重層プレートから単離し、再度ストリークして純粋コロニーを担保した。潜在的抗C.ディフィシル細菌株を、好気的に200rpmで振盪し37℃でインキュベートしながらBHIブロスで増殖させた。細菌株の一晩培養物を遠心分離し、上清pHを中和し0.22μmフィルターでろ過滅菌して無細胞上清(CFS)を担保した。当該細菌CFSの50マイクロリットルをRCMプレートに好気的に分配し、このプレートを24時間インキュベートした。ウェルを取り巻く阻害ゾーンの有無を調べることによって、抗C.ディフィシル活性を評価した。重層C.ディフィシル株に対する抗微生物活性を示すコロニーを精製して-80℃でストックし、ART24、ART4及びART12(本明細書ではまたそれぞれ“ART024(2)”、“ART04-A4”及び“ART012-Aer1”とも称される)と命名した。
単離株は、37℃で24時間、ブレインハートインフュージョン(BHI)ブロスで200rpmで振盪しながら及び/又は寒天上の静止で好気的に増殖させた。
【0033】
ユニバーサル16S rRNAプライマーを用いる種レベルの遺伝子型の特徴付け及び識別:16S rRNA遺伝子配列決定の結果に基づいて、ART24、ART4及びART12を各々B.アミロリケファシエンス種のメンバーと同定した。各株の全ゲノム配列から識別されたDNAジャイレースサブユニットAのDNA配列(gyrA)を用いて、ART24、ART4及びART12をさらにまた、B.ベレゼンシス(B. velezensis)/B.アミロリケファシエンス亜種プランタルム(plantarum)及び操作グループ、バシルス・アミロリケファシエンスのメンバーと同定した。
この株のグリセロール(G5516, Sigma)ストックを-80℃で保存した(200μLの100%グリセロールにBHIブロスで増殖させた800μL培養物を添加)。