(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019416
(43)【公開日】2024-02-09
(54)【発明の名称】炭化水素を生成物に変換する方法
(51)【国際特許分類】
C02F 11/06 20060101AFI20240202BHJP
C01B 32/60 20170101ALN20240202BHJP
C01B 33/18 20060101ALN20240202BHJP
【FI】
C02F11/06 A ZAB
C01B32/60
C01B33/18 Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023202834
(22)【出願日】2023-11-30
(62)【分割の表示】P 2022502979の分割
【原出願日】2020-07-20
(31)【優先権主張番号】19186978.3
(32)【優先日】2019-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】517331745
【氏名又は名称】エスシーダブリュー・システムズ・ベーフェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヘラルドゥス・コルネルス・オットー・ベルナルト・エッシング
(72)【発明者】
【氏名】ヴィカシュ・アヴィナッシュ・ラフマン
(72)【発明者】
【氏名】パウルス・カロルス・マリー・ノップス
(57)【要約】
【課題】炭化水素を生成物に変換する方法を提供する。
【解決手段】本発明は、炭化水素を、少なくとも1種の分子エネルギー担体及び二酸化炭素に変換する工程と、前記二酸化炭素を二価金属含有ケイ酸塩と反応させて、固体二価金属炭酸塩及びケイ酸塩を形成する工程と、前記炭酸塩及びケイ酸塩のうち少なくとも1つを、建築及び/又は化学材料の製造に利用する工程とを含む方法に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素を、少なくとも1種の分子エネルギー担体及び/又は熱及び二酸化炭素に変換する工程と、
前記二酸化炭素を二価金属含有ケイ酸塩と反応させて、固体二価金属炭酸塩及びケイ酸塩を形成する工程と、
前記炭酸塩及びケイ酸塩のうち少なくとも1つを、建築及び/又は化学材料の製造に利用する工程とを含む方法。
【請求項2】
中性未満のpHで二価金属含有ケイ酸塩を浸出させて、反応混合物中に二価金属イオン及びケイ酸塩を形成する工程と、次いで
pHを上げて二価溶液を二酸化炭素と反応させて、固体二価金属塩及び/又はケイ酸塩を形成する工程と、
固体二価塩を二酸化炭素と反応させて、固体二価金属炭酸塩を形成する工程とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
浸出が、pHが1~中性未満の範囲、好ましくは<2~<7の範囲で、>25~<100℃の範囲、好ましくは25~50℃の範囲の温度で行なわれる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
中和工程が、好ましくは>25~<50℃の範囲の温度で、好ましくは0.5~3バールの範囲、好ましくは1~2バールの範囲の圧力で、pHを7以上に上げるために塩基の添加によって行なわれる、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
固体二価塩を二酸化炭素と反応させる工程が、5~50バールの範囲、好ましくは10~20バールの範囲の圧力で行なわれる、請求項2から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
二酸化炭素及び少なくとも1種の分子エネルギー担体が、ガス化プロセス、好ましくは超臨界水ガス化プロセス、
ガス改質プロセス、
部分酸化、
発酵によるガス製造プロセス、及び
酵素によるガス製造プロセス
のうち少なくとも1つによって形成される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
炭化水素を、超臨界水ガス化プロセスによって少なくとも1種の分子エネルギー担体及び二酸化炭素に変換し、続いて前記二酸化炭素を二価金属含有ケイ酸塩と反応させて、少なくとも固体二価金属炭酸塩及びケイ酸塩を形成する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
炭化水素が、バイオマス、石炭、油、プラスチック及び天然ガス等の有機材料のうち少なくとも1つである、及び/又は分子エネルギー担体が水素若しくは炭化水素である、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
二酸化炭素が超臨界状態又は臨界未満の状態にある、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
形成された炭酸塩の少なくとも一部が分離され乾燥される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
固体二価金属炭酸塩が、炭酸カルシウム、炭酸鉄及び/又は炭酸マグネシウムのうち少なくとも1つである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
形成されたケイ酸塩の少なくとも一部が分離され乾燥されて、ヒュームドシリカ、ナノシリカ又はマイクロシリカを形成する、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
二価金属含有ケイ酸塩が、二価金属によって結合した四面体形状を有する孤立した四酸化ケイ素アニオン(SiO4)4-を構成するオルトケイ酸イオンを有する、ケイ酸塩鉱物、又はネソケイ酸塩又はオルトケイ酸塩である、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
二価金属含有ケイ酸塩が、カンラン石、ウォラストナイト、蛇紋石、フォルステライト及びモンチセライトのうち少なくとも1つである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
形成された固体及び/又は液体生成物のすべて又は一部が、
ジオポリマー、セメント及びハイブリッドセメントのうち少なくとも1つのセメント質材料として、又は
紙、ポリマー、ゴム、コーティング、食品、パーソナルケア製品及び医薬のうち少なくとも1つの製造における成分として
使用される、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は炭化水素を生成物に変換する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2016/151120号は、少なくとも50%の含水率を有する、バイオマス等の有機成分を含むスラリーを加工するための方法及びシステム(1)であって、超臨界状態においてスラリー中に液体を生じさせるポンプ(6)及び加熱器又は熱交換機(7)と、スラリー中の有機成分の少なくとも一部を変換する反応器(8)と、変換されたスラリーからの気体生成物を除去する分離器(12)とを備え、変換されたスラリーからの流体を、反応器(8)の上流にあるスラリーに添加する混合器(5)を備える、方法及びシステム(1)に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2016/151120号
【特許文献2】国際公開第2014/009802号
【特許文献3】国際公開第2007/069902号
【特許文献4】欧州特許第2,511,003号
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Philip Goldberg等 “CO2 Mineral Sequestration Studies in US”, Journal of Energy and Environmental Research (2001)
【非特許文献2】Santos RM, Knops PCM, Rijnsburger KL and Chiang YW (2016) CO2 Energy Reactor - Integrated Mineral Carbonation: Perspectives on Lab-Scale Investigation and Products Valorization. Front. Energy Res. 4:5. doi: 10.3389/fenrg.2016.00005
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、改善された方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的に対して、本発明による方法は、
炭化水素を、少なくとも1種の分子エネルギー担体、例えば、水素及び/若しくはメタン等の1種若しくは複数の炭化水素、並びに/又は熱及び二酸化炭素に変換する工程と、
前記二酸化炭素を二価金属含有ケイ酸塩と反応させて、固体二価金属炭酸塩及びケイ酸塩、例えば固体、液体、又は固体及び液体ケイ酸塩の混合物(スラリー)を形成する工程と、
前記炭酸塩及びケイ酸塩のうち少なくとも1つを、建築及び/又は化学材料の製造に利用する工程とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】二酸化炭素排出の3重若しくは2重の削減又は回避を達成する方法を例証する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明を用いて、3重若しくは2重の削減、又は、理想的には、二酸化炭素排出の3重若しくは2重の回避を、すなわち、空気からの二酸化炭素を、又は分子エネルギー担体の製造から得られる固体の二酸化炭素を捕捉すること、その上、材料が伝統的に二酸化炭素排出に帰着する従来の製造プロセスである建築及び/又は化学材料の代替品としての前記固体の使用による二酸化炭素排出を回避することによって、達成することができる。このことは図面(
図1)に例証される。
【0009】
実施形態において、方法は、
中性未満のpHで金属含有ケイ酸塩を浸出させて、反応混合物中に二価金属イオン及びケイ酸塩を形成する工程と、次いで
pHを上げて二価溶液を二酸化炭素と反応させて、固体二価金属塩及び/又はケイ酸塩を形成する工程と、
固体二価塩を二酸化炭素と反応させて、固体二価金属炭酸塩を形成する工程とを含む。
【0010】
したがって、固体及び/又は液体生成物は、再利用可能な反応溶液を用いるpHスイング二酸化炭素鉱物化プロセスを使用して形成される。
【0011】
前記pHスイングプロセスの利点は、二価金属含有ケイ酸塩の(ほぼ)完全な溶解、二価金属含有ケイ酸塩(シリカ及び金属)の成分の可能性のある回復、及びそれほどエネルギーを必要としないCO2の炭酸化反応及び炭酸塩への完全な変換である。
【0012】
前記再利用可能な方法の利点は、消費される添加剤の量が著しく少なく、全過程のカーボンフットプリントが著しく削減されるということである。
【0013】
実施形態において、浸出は、pHが1から中性未満の範囲、好ましくは<2~<7の範囲で、>25~<100℃の範囲、好ましくは25~50℃の範囲の温度で行なわれる。
【0014】
別の実施形態において、中和工程は、好ましくは>25~<50℃の範囲の温度で、好ましくは0.5~3バールの範囲、好ましくは1~2バールの範囲の圧力で、pHを7以上に上げるために塩基の添加によって行なわれる。
【0015】
別の実施形態において、固体二価塩を二酸化炭素と反応させる工程は、5~50バールの範囲、好ましくは10~20バールの範囲の圧力で行なわれる。
【0016】
実施形態において、二酸化炭素及び少なくとも1種の分子エネルギー担体は、ガス化プロセス、好ましくは超臨界水ガス化プロセス、ガス改質プロセス、部分酸化、発酵によるガス製造プロセス、及び酵素によるガス製造プロセスのうち少なくとも1つによって形成される。実施形態において、続いて前記二酸化炭素は、例えば、超臨界水ガス化反応器から例えば、連続プロセスで炭酸塩及びケイ酸塩を形成するための下流の反応器に供給され、二価金属含有ケイ酸塩と反応させて固体二価金属炭酸塩及びケイ酸塩を形成する。
【0017】
実施形態において、炭化水素を、超臨界水ガス化プロセスによって少なくとも1種の分子エネルギー担体及び二酸化炭素に変換し、続いて前記二酸化炭素を二価金属含有ケイ酸塩と反応させて、少なくとも固体二価金属炭酸塩及びケイ酸塩を形成する。前記炭酸塩及びケイ酸塩のうち少なくとも1つは、建築及び/又は化学材料の製造に、例えば、その現在の製造が化石燃料起源のCO2放出を生じ、及び/又は新しい又は未使用の建築材料の製造に利用される既存の充填剤の代替品として及び/又は化学材料の代替品として利用されることが好ましい。
【0018】
実施形態において、炭化水素は、バイオマス、石炭、油、プラスチック及び天然ガス等の有機材料のうち少なくとも1つである。有機成分を含む原料は、殊に廃棄バイオマスが豊富であるか、又は専用エネルギー作物が安く効率的に生産することができる農業地域においてエネルギー及び付加価値生成物を提供する大いなる可能性のある資源である。
【0019】
例では、廃棄バイオマス又は下水は、超臨界水ガス化によって生成物、例えば水素及びメタンに変換され、得られた二酸化炭素を二価金属含有ケイ酸塩と反応させて固体二価金属炭酸塩及びケイ酸塩を形成し、これは続いて建築及び/又は化学材料、例えばセメントの製造に利用される。したがって、より高い経済的価値を有する有用な生成物は、廃棄物から製造されると同時に3重の二酸化炭素の救済を提供する。
【0020】
実施形態において、分子エネルギー担体は、水素、又は炭化水素、好ましくは1~24の炭素原子を有する炭化水素、特にメタン若しくはエタン/エチレンである。
【0021】
二酸化炭素と二価金属含有ケイ酸塩の間の反応を加速し、及び/又は比較的低温でプロセス制御を改善するために、実施形態において、二酸化炭素は、超臨界状態、すなわち、73バールを超える圧力、及び31℃を超える温度の、又は臨界未満の状態にある。
【0022】
実施形態において、形成された炭酸塩の少なくとも一部は分離され乾燥される。好ましくは、固体二価金属炭酸塩は、炭酸カルシウム、炭酸鉄及び/又は炭酸マグネシウムのうち少なくとも1つである。
【0023】
実施形態において、形成されたケイ酸塩の少なくとも一部は分離され乾燥されて、ヒュームドシリカ、ナノシリカ又はマイクロシリカを形成する。
【0024】
別の実施形態において、二価金属含有ケイ酸塩は、二価金属によって結合した四面体形状を有する孤立した四酸化ケイ素アニオン(SiO4)4-を構成するオルトケイ酸イオンを有する、ケイ酸塩鉱物、又はネソケイ酸塩又はオルトケイ酸塩である。
【0025】
なお別の実施形態において、二価金属含有ケイ酸塩は、カンラン石、ウォラストナイト、蛇紋石、フォルステライト及びモンチセライトのうち少なくとも1つである。
【0026】
別の実施形態において、形成された固体及び/又は液体生成物のすべて又は一部は、
ジオポリマー、セメント、及びハイブリッド(=非OPC材料と組み合わせた普通ポルトランドセメント「OPC」)セメントのうち少なくとも1つのセメント質材料として、又は
紙、ポリマー、ゴム、コーティング、食品、パーソナルケア製品及び医薬のうち少なくとも1つの製造における成分として
使用される。
【0027】
Philip Goldberg等の“CO2 Mineral Sequestration Studies in US”, Journal of Energy and Environmental Research (2001)は、「天然に存在するMg及びCaを含む鉱物をCO2と反応させることによって炭酸塩を形成する炭素隔離は、多くの独特の利点を有する。最も注目すべきは、炭酸塩がCO2より低いエネルギー状態を有するという事実であり、これが、なぜ鉱物の炭酸化が熱力学的に都合がよく、天然に存在するかの理由である(例えば、地質時代にわたる岩石の風化作用)。第2に、マグネシウムに基づいた鉱物等の原料は豊富である。最終的に、製造された炭酸塩は議論の余地なく安定であり、したがって、大気へのCO2の再放出は問題にならない」と説明している。方法の概念的な例証はGoldbergの
図1に提示される。「図示されるように、1つ又は複数の発電所からのCO2は炭酸化反応器に輸送され、近くの鉱山からの破砕されたカンラン石又は蛇紋石と合わせ、炭酸化の所望の程度に達するまで、好適な反応条件で保持される。次いで、水性CO2中の炭酸化鉱物及び残留物のスラリーであり得る反応の生成物は、分離される。CO2は再循環され、有用な材料は集められ、炭酸化材料及び残留物は、鉱山現場に戻される。」
【0028】
国際公開第2014/009802号は、鉄を含むケイ酸マグネシウム鉱石の炭酸化により炭酸マグネシウムを製造する方法に関する。それは、水中の鉱石のスラリーを、二酸化炭素及び酸素を含む気体混合物と接触させる工程を特徴とする。方法は、適切には気体混合物が超臨界流体形態にある高温及び高圧で行なわれる。それは、特に、鉄が+2の酸化状態にあるカンラン石及び蛇紋石の鉱石の加工に適している。方法はまた、場合によって、シリカ、及び/又は炭酸マグネシウムと同時生成した個別の酸化鉄又は水酸化物相の分離を含む。また、炭酸マグネシウムを酸化マグネシウム、及びセメント質の性質を有するそこから派生した組成物に変換する下流のプロセスが開示されている。これらの組成物から製造されたセメント製品及びコンクリートの建築材料は有用な構造的性質を有し、伝統的なポルトランドセメントに対して低いカーボンフットプリントを有する。
【0029】
Santos RM, Knops PCM, Rijnsburger KL and Chiang YW (2016) CO2 Energy Reactor - Integrated Mineral Carbonation: Perspectives on Lab-Scale Investigation and Products Valorization. Front. Energy Res. 4:5. doi: 10.3389/fenrg.2016.00005は、重力圧力容器(GPV)反応器技術の開発に関する。「GPVは、発熱反応エネルギーを取り込む、流体静力学的加圧及び熱交換の統合によって極度のプロセス条件を提供し、それによって、従来の反応器設計のエネルギー需要を減少させ、加えて他の利点を提供する。」
【0030】
国際公開第2007/069902号は、岩石の種類を含むカンラン石を用意し、その表面を増加させるために岩石の種類を含むカンラン石を細分し、岩石の種類を含む細分されたカンラン石を水及びCO2と接触させる工程を含む純粋なMgCO3の工業的生産の方法に関する。
【0031】
欧州特許第2,511,003号は、以下に関する:「CO2吸収セメントの製作の環境にやさしいプロセスのための方法が提供される。プロセスにおいて、バイオ精錬所設備によって生じたエネルギー、熱及びCO2が利用される。更に、得られたセメント生成物はバイオ精錬所廃液流中に含まれる生物学的修飾剤を用いて機能化されてもよい。それによって、バイオ精錬所廃棄物は更に削減することができる。」
【0032】
本発明の枠組み内では、用語「分子エネルギー担体」は、物質として、特に燃料又は合成化合物用の中間体、酸化又は水素化等の化学反応によってエネルギーを放出する可能性を有するそのようなポリマーとして定義される。
【0033】
名称「ケイ酸塩」は、ケイ酸塩鉱物、ケイ酸アニオンを有するイオン性固体並びに主にそのような鉱物からなる岩石タイプを意味するように使用される。この文脈において、この用語は、非イオン性化合物である二酸化ケイ素(シリカ、石英)も含む。
【0034】
「超臨界」という用語は、プロセス液体の少なくとも一部がその臨界点に到達して又は超えて、独特の性質を有する流体になる温度及び圧力の状態を指す。得られる流体は、標準状態でその蒸気とその液相の間の密度を有し、液体のような溶媒和挙動に加えて、気体のような高い拡散速度を示す。水の場合には、これは、炭化水素が、例えば、水に可溶になることができ、塩が溶液から沈殿し得ることを意味する。「臨界未満」という用語は、液体が「通常の」液体の性質を保持しないが、まだ完全には超臨界ではない超臨界のすぐ下である状態を含む。
【0035】
本発明は上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲内の幾つかの方式で変更することができる。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超臨界水ガス化によって、バイオマス及び/又はプラスチックを、水素、メタン及び二酸化炭素に変換する工程と、
前記二酸化炭素を二価金属含有ケイ酸塩と反応させて、固体二価金属炭酸塩及びケイ酸塩を形成する工程であって、
形成された前記二価金属炭酸塩の少なくとも一部が分離され乾燥され、前記二価金属炭酸塩が、炭酸カルシウム、炭酸鉄及び/又は炭酸マグネシウムのうち少なくとも1つであり、
形成された前記ケイ酸塩の少なくとも一部が分離され乾燥され、ヒュームドシリカ、ナノシリカ又はマイクロシリカを形成する、工程と、
前記二価金属炭酸塩及びケイ酸塩を、セメント質の建築材料の製造に利用する工程とを含む方法。
【請求項2】
前記二酸化炭素を二価金属含有ケイ酸塩と反応させる工程は、
中性未満のpHで二価金属含有ケイ酸塩を浸出させて、二価金属イオン及びケイ酸塩を形成する工程と、次いで
pHを上げて前記二価金属イオンを二酸化炭素と反応させて、固体二価金属塩を形成する工程と、
前記固体二価金属塩を二酸化炭素と反応させて、前記固体二価金属炭酸塩を形成する工程とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
浸出が、pHが1~<7の範囲で、>25~<100℃の範囲の温度で行なわれる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
pHを上げる工程が、pHを7以上に上げるために塩基の添加によって行なわれる、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
pHを上げる工程が、>25~<50℃の範囲の温度で行なわれる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
pHを上げる工程が、0.5~3バールの範囲の圧力で行なわれる、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
固体二価塩を二酸化炭素と反応させる工程が、5~50バールの範囲の圧力で行なわれる、請求項2から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
二酸化炭素が超臨界状態にある、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
二価金属含有ケイ酸塩が、二価金属によって結合した四面体形状を有する孤立した四酸化ケイ素アニオン(SiO4)4-を構成するオルトケイ酸イオンを有する、ケイ酸塩鉱物、又はネソケイ酸塩又はオルトケイ酸塩である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
二価金属含有ケイ酸塩が、カンラン石、ウォラストナイト、蛇紋石、フォルステライト及びモンチセライトのうち少なくとも1つである、請求項9に記載の方法。
【外国語明細書】