(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019438
(43)【公開日】2024-02-09
(54)【発明の名称】水道管の漏水修繕方法及び漏水修繕装置
(51)【国際特許分類】
G01M 3/24 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
G01M3/24 D
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023207032
(22)【出願日】2023-12-07
(62)【分割の表示】P 2020022801の分割
【原出願日】2020-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】511089583
【氏名又は名称】日本ニューロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084342
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 久巳
(74)【代理人】
【識別番号】100213883
【弁理士】
【氏名又は名称】大上 雅史
(72)【発明者】
【氏名】岩本 泰一
(57)【要約】
【課題】上水道や中水道や下水道で通水中の水道管の漏水箇所を人手を介さずに全自動で修繕する
漏水修繕方法と
漏水修繕装置を提供する。
【解決手段】本発明
が関連する水道管1の漏水検出方法は、水道管1の中で漏水監視信号11を水道管1の内面に向けて発信しながら監視ロボット10を移動させ、漏水監視信号11が水道管1の漏水箇所4に照射されると漏水箇所4から反射される漏水信号12を監視ロボット10が受信して漏水箇所4を検出する
ものである。本発明に係る水道管1の漏水修繕方法は、水道管1の中に複数の修繕ロボット30を移動させておき、水道管1に漏水箇所4があるとき修繕ロボット30を漏水個所4に集合させ、修繕ロボット30は漏水個所4の漏水孔3を被覆して漏水孔3を密閉することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水道管の中に複数の修繕ロボットを移動させておき、
前記水道管に漏水箇所があるとき前記修繕ロボットを前記漏水個所に集合させ、
前記修繕ロボットは前記漏水個所の漏水孔を被覆して前記漏水孔を密閉することを特徴とする水道管の漏水修繕方法。
【請求項2】
前記修繕ロボットは前記漏水孔の周縁の水道管内面に密着しながら次第に内方に向かって被覆する請求項1に記載の水道管の漏水修繕方法。
【請求項3】
修繕ロボット移動制御装置により水道管の中を移動する複数の修繕ロボットと、
前記水道管の漏水箇所の漏水位置を通知する漏水位置信号を受信する漏水位置信号受信装置を前記修繕ロボットに設け、
前記修繕ロボットを前記漏水箇所に集合させて前記漏水箇所の漏水孔を被覆して前記漏水孔を密閉する水道管漏水孔閉塞装置を前記修繕ロボットに設けることを特徴とする水道管の漏水修繕装置。
【請求項4】
漏水監視信号発信装置を備えて水道管の中で漏水監視信号を前記水道管の内面に向けて発信しながら移動する監視ロボットと、
前記水道管の中を移動する複数の修繕ロボットとから構成され、
前記監視ロボットは、前記漏水監視信号により前記水道管の漏水箇所を発見したとき複数の前記修繕ロボットに対し修繕ロボット集合信号を発信する修繕ロボット集合信号発信装置を備え、
前記修繕ロボットは、前記修繕ロボット集合信号を受信すると前記漏水箇所に集合する修繕ロボット移動制御装置を備え、
前記修繕ロボットは前記漏水箇所の漏水孔を被覆して前記漏水孔を密閉することを特徴とする水道管の漏水修繕装置。
【請求項5】
前記修繕ロボット集合信号は前記漏水箇所の漏水位置信号を含んで発信されるか、又は前記修繕ロボット集合信号の発信とともに前記漏水位置を示す漏水位置信号も発信され、前記漏水位置に向かって前記修繕ロボットが集合する請求項4に記載の水道管の漏水修繕装置。
【請求項6】
前記修繕ロボットは前記漏水孔の周縁の水道管内面に密着しながら次第に内方に向かって被覆する請求項3~5のいずれかに記載の水道管の漏水修繕装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管の傷を自動修復して出血を止める血小板システムのように、通水中の水道管の漏水箇所を人手を介さずに自動検出して自動修繕する水道管の漏水検出方法、漏水修繕方法及びそれらの装置に関する。なお、本発明における水道とは上水道と中水道と下水道を含む概念であり、また水道管とは上水道管と中水道管と下水道管を含む概念であり、更に水道水とは上水道水と中水道水と下水道水を含む概念である。ここで、上水道水とは飲料水であり、中水道水とは下水を浄化消毒してきれいにした水で例えば工業用水や農業用水などの水道水であり、下水道水とは下水道管を通る水道水であることは云うまでもない。
【背景技術】
【0002】
水道管の漏水を発見する第1の従来技術として、発明の名称が「録音式漏水発見器」である特開昭55-103443号(特許文献1)が存在する。一般に、地下に埋設された水道管は有圧管路によって構成されているから、漏水が生じると特有の音を発生する。旧来は、高度の経験を積んだ熟練者が地面に高感度の聴音器を当て微弱な音を聴いて漏水を判断していたのに対し、特許文献1では、漏水による地面の微弱振動を電気信号に変換して検出するものである。
【0003】
第2の従来技術として、発明の名称が「漏水点発見装置」である特開昭63-98539号(特許文献2)が存在する。この特許文献2は、水道管の漏水音の集音地点から水道管の漏水点までの水道管の管延長を推測する発明である。集音地点における漏水音の全周波数帯域成分のパワーおよび低周波数帯域成分のパワーをそれぞれ測定し、この二つのパワー測定値に基づいて管延長を推測することにより、集音地点から漏水点までの水道管の管延長の推測を機械的に行えるようにしたものである。
【0004】
第3の従来技術として、発明の名称が「携帯型時間積分式漏水発見装置」である特開2013-68587号(特許文献3)が存在する。この特許文献3は、携帯型漏水発見装置にSDメモリードライブ回路、SDメモリー等の記憶装置及びGPSモジュールを内蔵させ、漏水信号及び位置情報をSDメモリー等に記録し、それを本部にて専門家が再生してチェックすることにより、専門家が現地に行って漏水チェックをする必要がなくなり、GPSにより漏水箇所も正確に分析できる発明である。
【0005】
第4の従来技術として、発明の名称が「漏水検知器」である特開2014-238380号(特許文献4)が存在する。この特許文献4は、水道の漏水検知を行う際に、騒音の多い昼間の時間帯や場所でも雑音除去ができる装置で漏水箇所を容易に発見できる方法の発明である。本発明は、水平方向より到来するノイズ波と垂直方向から到来する漏水波の到来方向の特徴を複数のセンサ配置方法によって到来する波の時間差(位相差)がセンサ信号間に現れ、この信号をアンプユニットで位相処理することにより漏水波とノイズ波に分離することに特徴を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭55-103443号公報
【特許文献2】特開昭63-98539号公報
【特許文献3】特開2013-68587号公報
【特許文献4】特開2014-238380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、水道管からの漏水による地中振動を電気信号として検出して漏水箇所を発見するにも電気技術者の人手でしなければならず、まして漏水箇所を修繕するには地面を掘削して水道管の漏水箇所を人手で修繕する以外に方法が無い。
【0008】
また、特許文献2では、集音地点から水道管の漏水点までの水道管の管延長を人手で推測しなければならず、そして漏水箇所を発見できても漏水箇所を修繕するには、特許文献1と同様に地面を掘削して水道管の漏水箇所を人手で修繕する以外に方法が無い。
【0009】
更に、特許文献3では、SDメモリードライブ回路、SDメモリー等の記憶装置及びGPSモジュールを駆使して漏水箇所を特定できても、漏水箇所の発見に専門家の人手を必要とし、特に漏水箇所の修繕には、地面を掘削して人手で修繕する以外に方法が無いのである。
【0010】
また更に、特許文献4では、複数のセンサ配置方法によって漏水箇所を正確に検出できても、結局、漏水箇所の発見には専門家の人手を要しており、その漏水箇所の修繕には、地面を掘削して水道管を交換するなど人手で修繕する以外に手だてが無いのである。
【0011】
本発明の目的は、地中に埋設された水道管の漏水箇所を検出し、且つその漏水箇所を修繕するために、水道管中にロボット群を投入して漏水箇所の自動検出と自動修繕を行うものであり、人手を全く要しない画期的な水道管の漏水検出方法、漏水修繕方法及び漏水修繕装置を提供することである。
上記ロボット群は水道管中を移動する監視ロボットと修繕ロボットから構成され、本発明は、監視ロボットにより漏水箇所を検出する検出方法に関連し、検出された漏水箇所を修繕ロボットにより被覆密閉する修繕方法から構成され、同時に漏水修繕装置から構成されるものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は前記課題を解決する為になされたものであり、本発明の第1形態は、水道管の中で漏水監視信号を前記水道管の内面に向けて発信しながら監視ロボットを移動させ、前記漏水監視信号が前記水道管の漏水箇所に照射されると前記漏水箇所から反射される漏水信号を前記監視ロボットが受信して前記漏水箇所を検出する水道管の漏水検出方法である。
【0013】
本発明の第2形態(本分割発明の分割第1形態)は、水道管の中に複数の修繕ロボットを移動させておき、前記水道管に漏水箇所があるとき前記修繕ロボットを前記漏水個所に集合させ、前記修繕ロボットは前記漏水個所の漏水孔を被覆して前記漏水孔を密閉する水道管の漏水修繕方法である。
【0014】
本発明の第3形態は、水道管の中で漏水監視信号を前記水道管の内面に向けて発信しながら監視ロボットを移動させるとともに、前記水道管の中に複数の修繕ロボットを移動させておき、前記漏水監視信号が前記水道管の漏水箇所に照射されると前記漏水箇所から反射される漏水信号を前記監視ロボットが受信して前記漏水箇所を検出し、この検出により前記監視ロボットは前記修繕ロボットに対し修繕ロボット集合信号を発信し、前記修繕ロボット集合信号を受信すると前記修繕ロボットは前記漏水箇所に集合し、前記修繕ロボットは前記漏水箇所の漏水孔を被覆して前記漏水孔を密閉する水道管の漏水修繕方法である。
【0015】
本発明の第4形態は、前記第3形態において、前記修繕ロボット集合信号は前記漏水箇
所の漏水位置信号を含んで発信されるか、又は前記修繕ロボット集合信号の発信と同時に前記漏水位置を示す漏水位置信号も発信され、前記漏水位置に向かって前記修繕ロボットが集合する水道管の漏水修繕方法である。
【0016】
本発明の第5形態(本分割発明の分割第2形態)は、前記第2~4形態(本分割発明では前記分割第1形態のみ)のいずれかにおいて、前記修繕ロボットは前記漏水孔の周縁の水道管内面に密着しながら次第に内方に向かって被覆する水道管の漏水修繕方法である。
【0017】
本発明の第6形態は、監視ロボット移動制御装置と漏水監視信号発信装置を備えて水道管の中で漏水監視信号を前記水道管の内面に向けて発信しながら移動する監視ロボットと、前記漏水監視信号が前記水道管の漏水箇所に照射されると前記漏水箇所から反射される漏水信号を受信する漏水信号受信装置を前記監視ロボットに設け、前記漏水箇所を検出する水道管の漏水検出装置である。
【0018】
本発明の第7形態(本分割発明の分割第3形態)は、修繕ロボット移動制御装置により水道管の中を移動する複数の修繕ロボットと、前記水道管の漏水箇所の漏水位置を通知する漏水位置信号を受信する漏水位置信号受信装置を前記修繕ロボットに設け、前記修繕ロボットを前記漏水箇所に集合させて前記漏水箇所の漏水孔を被覆して前記漏水孔を密閉する水道管漏水孔閉塞装置を前記修繕ロボットに設ける水道管の漏水修繕装置である。
【0019】
本発明の第8形態(本分割発明の分割第4形態)は、漏水監視信号発信装置を備えて水道管の中で漏水監視信号を前記水道管の内面に向けて発信しながら移動する監視ロボットと、前記水道管の中を移動する複数の修繕ロボットとから構成され、前記監視ロボットは、前記漏水監視信号により前記水道管の漏水箇所を発見したとき複数の前記修繕ロボットに対し修繕ロボット集合信号を発信する修繕ロボット集合信号発信装置を備え、前記修繕ロボットは、前記修繕ロボット集合信号を受信すると前記漏水箇所に集合する修繕ロボット移動制御装置を備え、前記修繕ロボットは前記漏水箇所の漏水孔を被覆して前記漏水孔を密閉する水道管の漏水修繕装置である。
【0020】
本発明の第9形態(本分割発明の分割第5形態)は、前記第8形態において、前記修繕ロボット集合信号は前記漏水箇所の漏水位置信号を含んで発信されるか、又は前記修繕ロボット集合信号の発信とともに前記漏水位置を示す漏水位置信号も発信され、前記漏水位置に向かって前記修繕ロボットが集合する水道管の漏水修繕装置である。
【0021】
本発明の第10形態(本分割発明の分割第6形態)は、前記第7~9形態のいずれかにおいて、前記修繕ロボットは前記漏水孔の周縁の水道管内面に密着しながら次第に内方に向かって被覆する水道管の漏水修繕装置である。
【発明の効果】
【0022】
本発明の第1形態によれば、水道管の中で漏水監視信号を前記水道管の内面に向けて発信しながら監視ロボットを移動させるから、地中に埋設された水道管の中で監視ロボットが移動した全内面が隈なくチェックされ、未チェック領域を残さずに人手が全くかからず、完全に自動的に調査できる。しかも、前記漏水監視信号が前記水道管の漏水箇所に照射されると前記漏水箇所から反射される漏水信号を前記監視ロボットが受信するから、漏水箇所を見逃すことが無く、漏水箇所を完全且つ確実に無人方式で自動検出することが可能になる。
漏水監視信号には、音波、電磁波、光波などの信号波、触覚センサなどのセンサ信号なども利用でき、具体的にはエコー、レーダー、赤外線、白色光などが使用できる。光照射下でビデオカメラやテレビ撮影などで反射映像を観察することなども可能になる。
前記監視ロボットの移動手段として、スクリュー方式、べん毛方式、魚のようなヒレ方
式などの水中の泳動方式に限らず、水道管内面をタイヤやキャタピラーや車輪などの移動方式や電磁移動方式もあり、水道水の水流による揚力でロボットを水道管内面に押し付けて移動することもできる等、種々の方式を採用することができる。従って、移動手段はロボットを移動させる手段であれば現有の全ての移動技術を適用できる。
このように、監視ロボットをAI化すれば、全自動で漏水箇所を識別することが可能になる。
【0023】
本発明の第2形態(本分割発明の分割第1形態)によれば、水道管の中に複数の修繕ロボットを移動させておくから、この修繕ロボットをAI化すれば、人手を介さずに全自動で水道管の漏水修繕が可能になる。前記水道管に漏水箇所があるとき、何らかの手段で漏水位置などを受信できれば前記修繕ロボットを全自動で前記漏水個所に集合させることができる。この修繕ロボットで前記漏水個所の漏水孔を被覆することにより、前記漏水孔を密閉して全自動で水道管の漏水修繕が可能になり、全く人手を介さずに水道管の漏水修繕を実行することができる。
漏水孔が小さい場合には1台の修繕ロボットで漏水孔を密閉できるし、漏水孔が大きい場合には複数の修繕ロボットを重なり合わせることにより漏水孔を密閉できる。修繕ロボットの表面に水道水中では溶解しない接着剤を塗着させておけば、修繕ロボット同士の接触面で相互の接着剤同士が反応して接着させることができる。この接着剤同士の接着により、漏水孔を密閉することができる。
また、修繕ロボットの内部に接着剤を保留させておき、修繕ロボット同士が相互に接触したときに、その接触面に内部から接着剤を注出させて、修繕ロボットを相互に接着する方式も存在する。従って、漏水孔の周縁から水道管内面に修繕ロボットを接着させ、次第に内方に向かって修繕ロボット同士を重畳接着させてゆけば、漏水孔を完全に密閉することが可能になる。
また別の方法として、修繕ロボットは厚みを有した三角形、四角形、六角形などの平板体に形成され、内部に接着剤が内蔵されている。漏水孔に到達すると、平板体の厚さ面が相互に当接してその接触端面から耐水・速乾・無害の接着剤が滲みだし、漏水孔を面状に密閉しながら相互に固着させることもできる。
修繕ロボットの移動手段として、スクリュー方式、べん毛方式、魚のようなヒレ方式などの水中の泳動方式に限らず、水道管内面をタイヤやキャタピラーや車輪などの移動方式や電磁移動方式もあり、水道水の水流による揚力でロボットを水道管内面に押し付けて移動することもできる等、種々の方式を採用することができる。従って、移動手段はロボットを移動させる手段であれば現有の全ての移動技術を適用できる。
また、監視ロボットをAI化すれば、全自動で漏水箇所の修繕が可能になる。
【0024】
本発明の第3形態によれば、水道管の中で漏水監視信号を前記水道管の内面に向けて発信しながら監視ロボットを移動させるから、第1形態と同様に全自動で漏水箇所を検出することができる。
また、水道管の中に複数の修繕ロボットを移動させておくから、第2形態と同様にこれらの修繕ロボットの協同動作により効率的に修繕することができる。
更に、前記漏水監視信号が前記水道管の漏水箇所に照射されると前記漏水箇所から反射される漏水信号を前記監視ロボットが受信して前記漏水箇所を検出する。そして、この検出により前記監視ロボットは前記修繕ロボットに対し修繕ロボット集合信号を発信するから、前記修繕ロボット集合信号を受信することによって前記修繕ロボットは効率的且つ集団的に前記漏水箇所に集合することが可能になる。
また更に、第2形態と同様に、前記修繕ロボットは前記漏水箇所の漏水孔を1台又は複数台が協同しながら被覆して、漏水孔を完全に且つ全自動で高速に密閉するすることが可能になる。
【0025】
本発明の第4形態によれば、前記修繕ロボット集合信号は前記漏水箇所の漏水位置信号
を含んで発信されると、修繕ロボットは集団的に漏水箇所に集合できるだけでなく、漏水位置が特定されているから多数の修繕ロボットが高速に漏水位置に集合できる作用効果を有する。
また、別形態として、前記修繕ロボット集合信号の発信と同時に前記漏水位置を示す漏水位置信号が発信されると、多数の修繕ロボットが集団的に且つ高速に漏水位置に向かって集合することができる作用効果がある。
【0026】
本発明の第5形態(本分割発明の分割第2形態)によれば、前記修繕ロボットは前記漏水孔の周縁の水道管内面に密着しながら次第に内方に向かって被覆する水道管の漏水修繕方法が提供される。
詳説すると、修繕ロボットの内部に接着剤を保留させておき、修繕ロボット同士が相互に接触したときに、その接触面同士に内部から耐水・速乾・無害の接着剤を滲出させ、修繕ロボットを相互に接着することができる。従って、漏水孔の周縁から水道管内面に修繕ロボットを接着させ、次第に内方に向かって修繕ロボット同士を重畳接着させてゆけば、漏水孔を完全に自動的に密閉することが可能になる。
また上述したように、別案として、修繕ロボットは厚みを有した三角形、四角形、六角形などの平板体に形成され、内部に接着剤が内蔵されている。漏水孔に到達すると、平板体の厚さ面が相互に当接してその接触端面から接着剤が滲みだし、漏水孔を面状に密閉しながら相互に固着させて、漏水孔を完全に且つ全自動で密閉することもできる。
【0027】
本発明の第6形態によれば、監視ロボット移動制御装置と漏水監視信号発信装置を備えて水道管の中で漏水監視信号を前記水道管の内面に向けて発信しながら移動する監視ロボットを使用するから、監視ロボットが移動する水道管の全内面の漏水を完全に且つ全自動で検出することができる。
また、前記漏水監視信号が前記水道管の漏水箇所に照射されると前記漏水箇所から反射される漏水信号を受信する漏水信号受信装置を前記監視ロボットに設けるから、漏水監視信号が水道管内面に照射されると、その反射信号を受信するだけで漏水かどうかを即座に判断でき、漏水箇所を完全且つ全自動で確実に検出することが可能になる。
上述したように、第1形態で説明した全ての作用効果をこの第6形態の作用効果とすることができることは云うまでもない。
【0028】
本発明の第7形態(本分割発明の分割第3形態)によれば、修繕ロボット移動制御装置により水道管の中を移動する複数の修繕ロボットを使用するから、対象とする水道管の全内面を隈なく修繕することが可能である。
前記水道管の漏水箇所の漏水位置を通知する漏水位置信号を受信する漏水位置信号受信装置を前記修繕ロボットに設けるから、複数の前記修繕ロボットを集団的にしかも高速で前記漏水箇所に集合させることができ、更に前記漏水箇所の漏水孔を全自動で高速に被覆して、前記漏水孔を完全確実に全自動で密閉できる水道管の漏水修繕装置を提供できる。
前記修繕ロボットの移動手段として、スクリュー方式、べん毛方式、魚のようなヒレ方式などの水中の泳動方式に限らず、水道管内面をタイヤやキャタピラーや車輪などの移動方式や電磁移動方式もあり、水道水の水流による揚力でロボットを水道管内面に押し付けて移動することもできる等、種々の方式を採用することができる。従って、移動手段はロボットを移動させる手段であれば現有の全ての移動技術を適用できる。
また、修繕ロボットをAI化すれば、全自動で漏水箇所の修繕を無人且つ全自動で実行することが可能になる。
上述したように、第2形態で説明した全ての作用効果をこの第7形態の作用効果とすることができることは云うまでもない。
【0029】
本発明の第8形態(本分割発明の分割第4形態)によれば、漏水監視信号発信装置を備えて水道管の中で漏水監視信号を前記水道管の内面に向けて発信しながら移動する監視ロ
ボットと、前記水道管の中を移動する複数の修繕ロボットとから構成されるから、監視ロボットが移動する水道管の全内面の漏水箇所をもれなく完全に全自動で検出することができ、同時に検出された全ての漏水箇所の漏水孔を複数の修繕ロボットにより全自動で完全に密閉修繕することが可能になる。
また、前記監視ロボットは、前記漏水監視信号により前記水道管の漏水箇所を発見したとき複数の前記修繕ロボットに対し修繕ロボット集合信号を発信する修繕ロボット集合信号発信装置を備え、前記修繕ロボットは、前記修繕ロボット集合信号を受信すると前記漏水箇所に集合する修繕ロボット移動制御装置を備えから、漏水箇所に多数の修繕ロボットを高速に集合させて漏水孔を密閉修繕することができる。
上述したように、第3形態で説明した全ての作用効果をこの第8形態の作用効果とすることができることは云うまでもない。
【0030】
本発明の第9形態(本分割発明の分割第5形態)によれば、前記第8形態において、前記修繕ロボット集合信号は前記漏水箇所の漏水位置信号を含んで発信されるか、又は前記修繕ロボット集合信号の発信とともに前記漏水位置を示す漏水位置信号も発信され、前記漏水位置に向かって前記修繕ロボットが集合する水道管の漏水修繕装置を提供することができる。
前記修繕ロボット集合信号は前記漏水箇所の漏水位置信号を含んで発信されると、修繕ロボットは集団的に漏水箇所に集合できるだけでなく、漏水位置が特定されているから多数の修繕ロボットが高速に漏水位置に集合できる作用効果を有する。
また、前記修繕ロボット集合信号の発信と同時に前記漏水位置を示す漏水位置信号が発信されると、多数の修繕ロボットが集団的に且つ高速に漏水位置に向かって集合することができる作用効果がある。
【0031】
本発明の第10形態(本分割発明の分割第6形態)によれば、前記修繕ロボットは前記漏水孔の周縁の水道管内面に密着しながら次第に内方に向かって被覆する水道管の漏水修繕装置を提供することができる。
具体的には、修繕ロボットの内部に接着剤を保留させておき、修繕ロボット同士が相互に接触したときに、その接触面同士に内部から耐水・速乾・無害の接着剤を滲出させ、修繕ロボットを相互に接着することができる。従って、漏水孔の周縁から水道管内面に修繕ロボットを接着させ、次第に内方に向かって修繕ロボット同士を重畳接着させてゆけば、漏水孔を完全に自動的に密閉することが可能になる。
また上述したように、修繕ロボットは厚みを有した三角形、四角形、六角形などの平板体に形成され、内部に接着剤が内蔵されている。漏水孔に到達すると、平板体の厚さ面が相互に当接してその接触端面から接着剤が滲みだし、漏水孔を面状に密閉しながら相互に固着させて、漏水孔を完全に且つ全自動で密閉することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、本発明に係る漏水修繕方法において、埋設された水道管1の漏水孔3を密閉完了した漏水修繕完了段階を示す模式図である。
【
図2】
図2は、本発明に係る漏水修繕方法において、水道管1の漏水状態を示す模式図である。
【
図3】
図3は、本発明に係る漏水修繕方法の前段階として、水道管1の漏水状態を監視ロボット10によって発見する漏水検出方法において漏水調査段階の模式図である。
【
図4】
図4は、上記漏水検出方法により漏水箇所4を発見して監視ロボット10が修繕ロボット30に対して修繕ロボット集合信号13を発信する漏水検出段階の模式図である。
【
図5】
図5は、上記漏水修繕方法において、監視ロボット10が発信する修繕ロボット集合信号13により修繕ロボット30が漏水箇所4の近傍に集合し始めた修繕ロボット集合段階の模式図である。
【
図6】
図6は、上記漏水修繕方法において、監視ロボット10が発信する漏水位置信号14により修繕ロボット30が水道管内面1aの漏水孔周縁3aを被覆し始める修繕ロボット被覆段階の模式図である。
【
図7】
図7は、本発明に係る漏水検出方法及び漏水修繕方法に使用される監視ロボット10の構成図である。
【
図8】
図8は、本発明に係る漏水検出方法及び漏水修繕方法に使用される監視ロボット10の動作処理図である。
【
図9】
図9は、本発明に係る漏水修繕方法に使用される修繕ロボット30の構成図である。
【
図10】
図10は、本発明に係る漏水修繕方法に使用される修繕ロボット30の動作処理図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に、本発明に係る漏水検出方法及び漏水修繕方法及びそれらの装置の実施形態を図面に従って詳細に説明する。
【0034】
図1は、本発明に係る漏水修繕方法において、埋設された水道管1の漏水孔3を密閉完了した漏水修繕の完了段階を示す模式図である。
水道管1は地中に埋設された水道管であり、地上からは目視することができない。この水道管1には水道水2が流通している。水道管1の中には監視ロボット10と複数の修繕ロボット30が泳動している。漏水孔3を検出(又は発見)した監視ロボット10は周囲に修繕ロボット集合信号13と漏水位置信号14を発信し、これらの信号により漏水孔3の近傍に複数の修繕ロボット30が集合している。漏水位置信号14は修繕ロボット30に漏水孔3をピンポイントに知らせる信号である。
【0035】
水道管1には漏水孔3が空いており、修繕前には、水道水2がこの漏水孔3から地中に漏水していた。この漏水を遮断するために、複数の修繕ロボット30が漏水孔3を被覆して完全に密閉し、漏水の修繕完了状態が示されている。この漏水孔3を取り囲む水道管内面側の周縁部である漏水孔周縁部3aから漏水孔3の開口の全面を複数の修繕ロボット30が相互に外周面を接着させて漏水孔3を完全密閉し、漏水修繕が完了した状態である。
【0036】
修繕ロボット30の表面に水道水2の中では溶解しない接着剤を塗着させておけば、修繕ロボット30同士の接触面で相互の接着剤同士が反応して接着させることができる。この接着剤同士の接着により、漏水孔3を完全に密閉することができる。
また、修繕ロボット30の内部に接着剤を保留させておき、修繕ロボット同士が相互に接触したときに、その接触面に内部から接着剤を吐出させて、修繕ロボットを相互に接着する方式も存在する。従って、漏水孔3の周縁部3aから水道管1の内面に修繕ロボット30を接着させ、次第に内方に向かって修繕ロボット同士を重畳接着させてゆけば、漏水孔3を完全に密閉することが可能になる。
また別の方法として、修繕ロボットは厚みを有した三角形、四角形、六角形などの平板体に形成され、内部に接着剤が内蔵されている。漏水孔に到達すると、平板体の側面(厚み面)が相互に当接してその接触端面から耐水・速乾・無害の接着剤が滲みだし、漏水孔を面状に密閉しながら相互に固着させて完全密閉することもできる。
【0037】
監視ロボット10や修繕ロボット30の移動手段として、スクリュー方式、べん毛方式、魚のようなヒレ方式などの水中の泳動方式に限らず、水道管内面をタイヤやキャタピラーや車輪などの移動方式や電磁移動方式もあり、水道水の水流による揚力でロボットを水道管内面に押し付けて移動することもできる等、種々の方式を採用することができる。従って、移動手段はロボットを移動させる手段であれば現有の全ての移動技術を適用できる。
また、監視ロボットをAI化すれば、全自動で漏水箇所の修繕が可能になる。
【0038】
図2は、本発明に係る漏水修繕方法において、水道管1の漏水状態を示す模式図である。水道管1には水道水2が流通しており、この水道管1に漏水孔周縁部3aで取り囲まれた漏水孔3が破断などで開口しておれば、この漏水孔3から水道水2が外部へ漏水し、地中に浸透したり、場合によっては地上に吹き上げる等の現象が生じる。このような事態を漏水現象と呼び、地上に吹き上げる場合には漏水箇所4は直ちに分かるが、地中に浸透する場合には漏水箇所4の発見は困難である。漏水音や漏水振動を外部から計測して漏水箇所4を検出することも可能であるが、人的操作を必要とし、多大な労力を要していた。
【0039】
図3は、本発明に係る漏水修繕方法の前段階として、水道管の漏水状態を監視ロボット10によって発見する漏水検出方法における漏水調査段階の模式図である。
この発明では、漏水箇所4を人的作業で発見検出するのではなく、AI化された監視ロボット10により漏水箇所4を自動発見する方式を採用する。監視ロボット10を水道水2が流通する水道管1の中に移動させる。監視ロボット10は移動しながら周囲に漏水監視信号11を送信する。
図3の状態では、漏水監視信号は水道管内面1aにより反射されるだけで、漏水箇所4は検出(発見)できていない。
しかし、その左側には、漏水孔周縁部3aで取り囲まれた漏水孔3が破断開口しており、その漏水孔3からは水道水2が地中に滲出している漏水箇所4が存在している。
【0040】
図4は、上記漏水検出方法により漏水箇所4を発見して監視ロボット10が修繕ロボット30に対して修繕ロボット集合信号13を発信する漏水検出段階の模式図である。
図3の状態から監視ロボット10が左方向に少しだけ移動すると、漏水監視信号11が漏水箇所4から反射して、その反射信号である漏水信号12を受信する。この漏水信号12の受信により監視ロボット10は漏水箇所4を検出し、同時に漏水箇所4の位置である漏水位置を特定する。漏水箇所4では漏水孔3から多量の水道水2が地中に滲出している。この漏水箇所4の発見により、監視ロボット10は周囲に修繕ロボット集合信号13を発信し、同時に漏水位置を示す漏水位置信号14を周囲に発信する。
漏水位置情報は修繕ロボット集合信号13の中に組み込まれてもよく、この場合には修繕ロボット集合信号13は漏水位置信号14も兼ねることになり、別個の信号として漏水位置信号14を発信する必要は無い。
【0041】
図5は、上記漏水修繕方法において、監視ロボット10が発信する修繕ロボット集合信号13により修繕ロボット30が漏水箇所4の近傍に集合し始めた修繕ロボット集合段階の模式図である。
水道水2の中を移動する複数の修繕ロボット30が、前記修繕ロボット集合信号13や漏水位置信号14を受信すると、修繕ロボット30が漏水箇所4の近傍に集合し始め、修繕ロボット30は当然に漏水位置信号14により漏水位置を正確に知っている。
この段階でも、漏水監視信号11の反射信号である漏水信号12が発信されているから、修繕ロボット集合信号13や漏水位置信号14の発信は継続されている。
【0042】
図6は、上記漏水修繕方法において、監視ロボット10が発信する漏水位置信号14により修繕ロボット30が水道管内面1aの漏水孔周縁3aを被覆し始める修繕ロボット被覆段階の模式図である。
漏水箇所4の周辺に集合した修繕ロボット30は、まず漏水孔周縁部3aに当接して水道管内面1aに接着して漏水孔3を小さくし、更にその修繕ロボット30の内方側に接着して漏水孔3を更に小さくする。
図6では、漏水孔3が小さくなった状態が示されている。修繕ロボット同士の接着を繰り返しながら漏水孔3を被覆して完全に密閉してしまう。完全密閉が達成されると、漏水孔3からの水道水の滲出は消失して修繕が完了する。
一番先に説明した
図1では、完全密閉により修繕が完了した状態が示されている。
【0043】
図7は、本発明に係る漏水検出方法及び漏水修繕方法に使用される監視ロボット10の構成図である。
監視ロボット10は、I/Oポート回路16を介して、右側にROM17、RAM18及びCPU19が接続され、左側に監視ロボット移動制御装置20、漏水監視信号発信装置21、漏水信号受信装置22、修繕ロボット集合信号発信装置23及び漏水位置信号発信装置24が接続されている。
【0044】
ROM17は監視ロボット用プログラムが格納されたメモリであり、監視ロボット10を作動制御するプログラムである。RAM18は作動制御の過程で生じる一時情報を保存したり、書き換えられた情報を保存するメモリである。CPUは監視ロボット10の中央演算処理装置である。
監視ロボット移動制御装置20は監視ロボット10の駆動部を制御して、監視ロボット10の移動・停止・移動速度の制御などを実行している。漏水監視信号発信装置21は漏水箇所を発見するために周囲に漏水監視信号11を発信する装置である。漏水信号受信装置22は水道管内面1aや漏水箇所4による漏水監視信号11の反射信号である漏水信号12を受信する装置である。この漏水信号12の受信により漏水箇所4が検出される。
修繕ロボット集合信号発信装置23は、漏水信号12が受信されて漏水箇所4が検出されたときに、周囲に存在する修繕ロボット30に対し漏水箇所4に集合せよとの修繕ロボット集合信号13を発信するものである。漏水位置信号発信装置24は、漏水信号12が受信されて漏水箇所4が検出されたときに、修繕ロボット30に対し漏水箇所の位置、即ち位置座標を漏水位置信号14として発信するものである。
漏水位置、即ち漏水位置座標を修繕ロボット集合信号13の中に組み込む場合には修繕ロボット集合信号13の発信だけでよく、漏水位置信号14の発信は不要と考えてよい。
【0045】
図8は、本発明に係る漏水検出方法及び漏水修繕方法に使用される監視ロボット10の動作処理図である。
監視ロボット10の動作処理Aは、動作処理A1~A5の5段階から構成される。動作処理A1では、水道管1内の水道水2中に監視ロボット10が投入される。
動作処理A2では、監視ロボット10は漏水監視信号発信装置21により漏水監視信号11を水道水2中の周囲に発信しながら監視ロボット移動制御装置20により駆動部が制御されて水道管1内を移動する。
動作処理A3では、漏水監視信号11が漏水箇所4から反射される漏水信号12を監視ロボット10が受信して、漏水位置である漏水箇所4を検出し、同時に漏水孔3の大きさを特定する。
動作処理A4では、監視ロボット10は漏水箇所4近傍に滞在して、水道管1内の周囲に修繕ロボット集合信号発信装置23により修繕ロボット集合信号13を発信する。
動作処理A5では、漏水箇所4を特定したときに得られた漏水位置、特にその漏水位置座標を示す漏水位置信号14を漏水位置信号発信装置24により周囲に発信する。但し、漏水位置を修繕ロボット集合信号13に組み込んで修繕ロボット集合信号13として発信したときには動作処理A5は不要となる。
動作処理A6では、漏水箇所4の近傍に複数又は多数の修繕ロボット30を集合させ、修繕ロボット30を漏水孔周縁部3aから内方に接着させて漏水孔3を被覆して完全に密閉閉塞させる。この完全密閉により修繕が完了し、修繕完了信号を発信する。
【0046】
図9は、本発明に係る漏水修繕方法に使用される修繕ロボット30の構成図である。
修繕ロボット30は、I/Oポート回路31を介して、右側にROM2(32)、RAM2(35)及びCPU2(36)が接続され、左側に修繕ロボット集合信号受信装置33、漏水位置信号受信装置34、修繕ロボット移動制御装置37及び水道管漏水孔閉塞装置38が接続されている。
【0047】
ROM2(32)は修繕ロボット用プログラムが格納されたメモリであり、修繕ロボット30を作動制御するプログラムである。RAM2(35)は作動制御の過程で生じる一時情報を保存したり、書き換えられた情報を保存するメモリである。CPU2(36)は修繕ロボット30の中央演算処理装置である。
修繕ロボット集合信号受信装置33は水道管1内の監視ロボット10により発信される修繕ロボット集合信号13を受信する装置である。漏水位置信号受信装置34は水道管1内の監視ロボット10により発信される漏水孔3の位置座標である漏水位置信号14を受信する装置である。修繕ロボット移動制御装置37は修繕ロボット30の駆動部を制御して、修繕ロボット30の移動・停止・移動速度の制御などを実行して漏水箇所4に移動することができる。
水道管漏水孔閉塞装置38は修繕ロボット30により漏水孔3を密閉するための装置であり、まず漏水孔周縁部3aに修繕ロボット30を接着させ、次にこの修繕ロボット30に別の修繕ロボット30を接着させて漏水孔3のより内方に延出させ、これを繰り返して漏水孔3を完全に密閉することができる。
【0048】
図10は、本発明に係る漏水修繕方法に使用される修繕ロボット30の動作処理図である。
修繕ロボット30の動作処理Bは、動作処理B1~B4の4段階から構成される。動作処理B1では、水道管1内の水道水2中に修繕ロボット30が投入される。
動作処理B2では、修繕ロボット30が水道管1内で修繕ロボット集合信号13を受信すると、修繕ロボット30は監視ロボット10が存在する方向、即ち漏水箇所4の方向へ移動する。
動作処理B3では、漏水位置信号14を受信すると修繕ロボット30は漏水位置、即ち漏水箇所4の近傍に集合する。但し、漏水位置が修繕ロボット集合信号13に組み込まれて修繕ロボット集合信号13として発信されている場合には、漏水位置は修繕ロボット集合信号13から得られるから、動作処理B3は不要となる。
動作処理B4では、修繕ロボット30は水道管漏水孔閉塞装置38により漏水孔3の周辺部から内方へと接着接合してゆき、最終的に漏水孔3の全面を完全密閉するまで継続し、全体を閉塞密閉して完了する。
【0049】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において種々の変形例や設計変更を包含するものであることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、生体において血管の傷を自動修復して出血を止める血小板システムのように、通水中の水道管の漏水箇所を人手を介さずにAI化された監視ロボットと修繕ロボットにより自動検出して自動修繕する水道管の漏水検出方法、漏水修繕方法、及びそれらの漏水修繕装置を提供するものである。装置としては漏水検出装置と漏水修繕装置が提供される。
また、本発明における水道とは上水道と中水道と下水道を含む概念であり、また水道管とは上水道管と中水道管と下水道管を含む概念であり、更に水道水とは上水道水と中水道水と下水道水を含む概念である。ここで、上水道水とは飲料水であり、中水道水とは下水を浄化消毒してきれいにした水で例えば工業用水や農業用水などの水道水であり、下水道水とは下水道管を通る水道水であることは云うまでもない。
従って、人手を全く介さずに、水道管の漏水を完全自動で検出し修繕する画期的な方法と装置を提供するものである。
【符号の説明】
【0051】
1 水道管
1a 水道管内面
2 水道水
3 漏水孔
3a 漏水孔周縁部
4 漏水箇所
10 監視ロボット
11 漏水監視信号
12 漏水信号
13 修繕ロボット集合信号
14 漏水位置信号
16 I/Oポート回路
17 ROM
18 RAM
19 CPU
20 監視ロボット移動制御装置
21 漏水監視信号発信装置
22 漏水信号受信装置
23 修繕ロボット集合信号発信装置
24 漏水位置信号発信装置
30 修繕ロボット
31 I/Oポート回路
32 ROM2
33 修繕ロボット集合信号受信装置
34 漏水位置信号受信装置
35 RAM2
36 CPU2
37 修繕ロボット移動制御装置
38 水道管漏水孔閉塞装置
A 監視ロボットの動作処理
A1 動作処理
A2 動作処理
A3 動作処理
A4 動作処理
A5 動作処理
B 修繕ロボットの動作処理
B1 動作処理
B2 動作処理
B3 動作処理
B4 動作処理