(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019473
(43)【公開日】2024-02-09
(54)【発明の名称】配管サポート
(51)【国際特許分類】
F16L 3/00 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
F16L3/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023208326
(22)【出願日】2023-12-11
(62)【分割の表示】P 2020014031の分割
【原出願日】2020-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】508321823
【氏名又は名称】株式会社イノアック住環境
(74)【代理人】
【識別番号】100158067
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 基
(74)【代理人】
【識別番号】100147854
【弁理士】
【氏名又は名称】多賀 久直
(72)【発明者】
【氏名】西 佳彦
(57)【要約】
【課題】配管に取り付け易い配管サポートを提供する。
【解決手段】配管サポート10は、曲がった配管経路を構成する本体部分12と、本体部分12の端に連ねて設けられて、本体部分12の配管経路に連なる配管経路を構成する端末部分14とを備えている。配管サポート10は、端末部分14の基部16を切り欠くように設けられた第1開口部22を有している。配管サポート10は、可撓性を有する配管Pを、本体部分12および端末部分14によって所定角度に曲げた状態で保持する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する配管を所定角度に曲げた状態で保持可能である、筒状の配管サポートで
あって、
曲がった配管経路を構成する本体部分と、
前記本体部分の両端に連ねて設けられて、該本体部分の配管経路に連なる配管経路を構
成する2つの端末部分と、
前記端末部分の一方の末端から他方の末端まで連続する開口部と、を備え、
前記開口部は、
前記端末部分において、前記配管サポートにおける曲がりの内側方向に開口する端末部
分開口部と、
前記本体部分において、前記配管サポートにおける曲がりの中心軸方向に開口する本体
部分開口部と、からなり、
前記配管サポートにおける曲がりの外側に対応する側に、前記端末部分の一方の末端か
ら前記本体部分及び前記端末部分の他方の末端まで連続する外壁部が設けられている
ことを特徴とする配管サポート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、配管を曲げた状態で保持する配管サポートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
住宅などの建物において、架橋ポリエチレン管やポリブテン管などの可撓性を有する樹脂配管が、施工性が良いことから、給水管や給湯管などに用いられている。例えば、樹脂配管は、床下に敷設された横引き部分から壁に沿って立ち上げるように曲げて、壁に設けられた水栓に接続することがある。このような横引き部分と立ち上がり部分との間では、樹脂配管を曲げた状態で保持する配管サポートを樹脂配管に取り付けて、樹脂配管の曲がりを比較的小さくすることが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の配管サポートは、1枚の変形金属板を絞り加工することで、湾曲する配管経路を構成する中央部を曲がりの外側へ開口する半円形状に形成すると共に、中央部に連なる端部を、中央部の曲がりの中心軸方向に開口する半円形状に形成している。特許文献1の配管サポートは、一方の端部の開口から樹脂配管を該一方の端部に嵌め合わせた後に、樹脂配管を中央部の壁を避けるように曲がりの外側へ取り回し、中央部の開口から樹脂配管を嵌め合わせる。そして、中央部に沿って樹脂配管を曲げて、他方の端部の開口から樹脂配管を該他方の端部に嵌め合わせることで、樹脂配管を90°曲げた状態で保持するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の配管サポートは、中央部の曲がりの中心軸方向にあいた開口から一方の端部に樹脂配管を嵌め合わせるとき、中央部における曲がりの中心軸方向を囲う壁が邪魔になり、配管の取り付けを行い難い難点が指摘される。
【0006】
本発明は、従来の技術に係る前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、配管に取り付け易い配管サポートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本発明に係る配管サポートは、
曲がった配管経路を構成する本体部分と、前記本体部分の端に連ねて設けられて、該本体部分の配管経路に連なる配管経路を構成する端末部分と、を備え、可撓性を有する配管を、該本体部分および該端末部分によって所定角度に曲げた状態で保持可能である配管サポートであって、
前記本体部分から前記端末部分にかけて設けられ、該配管サポートにおける曲がりの中心軸方向の一面を構成する基部と、
前記端末部分における前記曲がりの外側に対応する側に、前記基部から該曲がりの中心軸方向へ立ち上がる外壁部と、
前記本体部分における前記曲がりの内側に対応する側に設けられ、前記基部から前記外壁部と同じ向きに立ち上がる内壁部と、
前記端末部分の端から前記曲がりの内側に対応する側にかけて、前記基部の一部を切り欠くように開口する第1開口部と、
前記端末部分に、前記曲がりの内側に対応する側に開口するように設けられた第2開口部と、
前記本体部分に、前記曲がりの中心軸方向に開口するように設けられた第3開口部と、を備えていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る配管サポートによれば、配管に取り付け易い。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施例に係る配管サポートを示す正面図である。
【
図4】実施例の配管サポートと配管との組み付け過程を示す説明図である。
【
図5】実施例の配管サポートと配管との組み付け過程を示す説明図である。
【
図6】実施例の配管サポートの使用態様を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明に係る配管サポートにつき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。
【実施例0011】
図1~
図3に示すように、実施例に係る配管サポート10は、曲がった配管経路を構成する本体部分12と、この本体部分12の端に連ねて設けられて、該本体部分12の配管経路に連なる配管経路を構成する端末部分14とを備えている。配管サポート10は、可撓性を有する配管Pを、本体部分12および端末部分14によって所定角度に曲げた状態で保持可能に構成されている。実施例の配管サポート10には、本体部分12の両端のそれぞれに端末部分14が設けられており、各端末部分14が直線的な配管経路を構成している。そして、配管サポート10は、本体部分12における配管経路の一端と他端とが90°向きを変えるように曲がっており、配管Pを90°曲げた状態で保持するようになっている。なお、実施例において、配管サポート10は、本体部分12の曲がりの中心を半径方向へ通る仮想線を挟んで、対称な形状で形成されている。配管サポート10は、ポリエチレンやポリプロピレンなどの合成樹脂からなり、各部分が一体的に形成された成形品を用いることができる。
【0012】
図1~
図3に示すように、配管サポート10は、本体部分12から端末部分14にかけて設けられて、該配管サポート10における曲がりの中心軸方向(以下、単に中心軸方向という。)の一面を構成する基部16を備えている。配管サポート10は、端末部分14における前記曲がりの外側(以下、単に曲がり外側という。)に対応する側に設けられて、基部16から中心軸方向へ立ち上がる外壁部18を備えている。実施例において、外壁部18は、基部16における曲がり外側に、本体部分12から端末部分14の全体に亘って延びるように設けられている(
図1参照)。配管サポート10は、本体部分12における前記曲がりの内側(以下、単に曲がり内側という。)に設けられて、基部16から外壁部18と同じ向きに立ち上がる内壁部20を備えている。実施例の内壁部20は、外壁部18が本体部分12から端末部分14に亘って設けられているのと異なり、本体部分12のみに設けられている。内壁部20の縁部は、端末部分14側から本体部分12の中央側に向かうにつれて中心軸方向に立ち上がるテーパ状に形成されている。なお、配管サポート10は、基部16、外壁部18および内壁部20における配管経路に臨む内面が円弧状に形成されている。
【0013】
図1および
図2に示すように、配管サポート10は、端末部分14の端から曲がり内側にかけて基部16の一部を切り欠くように開口する第1開口部22を備えている。第1開口部22は、本体部分12側の縁が、曲がり外側から曲がり内側へ向かうにつれて本体部分12の中央側へ開くように開口している。また、配管サポート10は、端末部分14に、曲がり内側に開口するように設けられた第2開口部24と、本体部分12に、中心軸方向に開口するように設けられた第3開口部26とを備えている。このように、配管サポート10は、本体部分12が第3開口部26によって中心軸方向に開口しているのに対して、端末部分14が第2開口部24によって曲がり内側に開口しており、両者の開口向きが異なっている。
【0014】
図3に示すように、外壁部18は、端末部分14において、基部16および第1開口部22に相対する位置まで延びている。端末部分14は、中心軸方向における一面の一部が基部16で構成されると共に該一面の残部が第1開口部22によって開口しているのに対して、中心軸方向における他面が外壁部18によって覆われている。端末部分14には、基部16およびこの基部16に対向するように庇状に延びる外壁部18によって配管経路が構成されて、第2開口部24を介して曲がり内側から配管Pの挿脱が可能になっている。本体部分12は、基部16、外壁部18および該外壁部18に対向配置された内壁部20によって配管経路が構成されて、第3開口部26を介して中心軸方向から配管Pの挿脱が可能になっている。
【0015】
次に、配管Pと配管サポート10との組み付けについて説明する。まず、配管Pを配管サポート10と交差するような姿勢で、一方の端末部分14の第1開口部22に配置する(
図4(a)参照)。第1開口部22に通して斜めに配置した配管Pを配管サポート10に沿うように傾けて、端末部分14の外壁部18と本体部分12の内壁部20との間に配管Pを斜めに差し込む(
図4(b)参照)。配管Pを、内壁部20の縁で支えつつ姿勢を変えて、曲がり内側にあく第2開口部24を介して、配管Pを一方の端末部分14における外壁部18と基部16との間に嵌める(
図4(c)参照)。配管Pを内壁部20の曲がりに沿って曲げることで、第3開口部26を通して本体部分12における外壁部18と内壁部20との間に配管Pを嵌める。このとき、配管Pは、差し込んだ端末部分14の外壁部18によって外側へ逃げないよう押さえられた状態になっている。配管Pを内壁部20の縁で支えつつ、配管サポート10の本体部分12の曲がりよりも小さくなるように曲がり内側に曲げて、他方の端末部分14の外壁部18を避けた後、第2開口部24から他方の端末部分14における外壁部18と基部16との間に嵌める(
図5(a)参照)。このように、可撓性を有する配管Pと配管サポート10とを組み付けることで、本体部分12および端末部分14によって配管Pを90°曲げた状態で保持することができる(
図5(b)参照)。
【0016】
配管サポート10は、曲げた状態で配置した配管Pが、自身の弾性によって直線状に復帰することを、端末部分14の曲げ方向外側に延びる外壁部18で押さえて、所定角度で曲げた状態を適切に保つことができる。また、配管サポート10は、端末部分14の基部16を切り欠いて第1開口部22を設けてあるので、配管Pを第1開口部22に通して内壁部20と干渉しない姿勢に配置してから、内壁部20と外壁部18との間に差し込むことができる。このように、配管サポート10は、配管Pを過度に曲げたり、配管サポート10の壁部18,20を押し広げたりするなどの必要はなく、軽い力で、配管Pに簡単に取り付けることができる。特に、端末部分14において外壁部18が基部16に対向するように庇状に張り出していると、配管Pの最初の位置決めに際して外壁部18が邪魔になる。前述した配管サポート10は、配管Pを第1開口部22に通して外壁部18を避けた姿勢にすることが可能であるので、配管Pに取り付け易い。そして、配管サポート10は、本体部分12(内壁部20)の曲がりに沿わせて配管Pを曲げる過程で、自身の弾性により配管Pが端末部分14に嵌まるので、配管Pに取り付け易い。
【0017】
ここで、配管Pが例えばアルミ3層管であれば、曲げた状態を自身で保持することが可能であるが、アルミ3層管などの塑性変形するものは、架橋ポリエチレン等の樹脂配管と比べて高価である。また、アルミ3層管などの金属層を有する配管Pを曲げる場合、ベンダーが必要となると共に、曲げるための技術を必要とする。実施例の配管サポート10は、アルミ3層管に比べて安価な架橋ポリエチレン等の樹脂配管を嵌めるだけで曲げることができる。また、配管サポート10として、ポリエチレン等の合成樹脂の成形品を用いれば、配管サポート10を安価にすることができる。このように実施例の配管サポート10を用いることで、安価な資材(樹脂配管および配管サポート)を使用して施工することができ、かつ施工自体の手間を削減できるため、コストを低減することが可能となる。
【0018】
図6に示すように、一方の配管サポート10における端末部分14の第1開口部22に、他方の配管サポート10における端末部分14の外壁部18を差し込んで、隣り合う配管サポート10,10同士の端末部分14を重ねるように配置することができる。このようにすることで、複数の配管サポート10を近い間隔で組み合わせて、配管Pをコンパクトに取り回すことができる。
【0019】
配管サポート10は、端末部分14の外壁部18が、基部16および第1開口部22に相対する位置まで庇状に延びているので、配管Pを外壁部18と基部16との間に挟んで中心軸方向に抜けないように位置規制できる。しかも、配管サポート10は、本体部分12における中心軸方向の一方が基部16で塞がれているものの、他方に第3開口部26があいているので、配管Pを本体部分12に嵌め合わせ易い。そして、配管サポート10は、端末部分14において庇状に延びる外壁部18によって配管Pの端末が中心軸方向へ抜け出すことを防止でき、本体部分12に第3開口部26があいていても、配管Pを適切に保持できる。
【0020】
配管サポート10には、端末部分14が本体部分12の両端に設けられて、各端末部分14が直線的な配管経路を構成している。このように構成することで、一方の端末部分14の外壁部18、本体部分12の内壁部20および他方の端末部分14の外壁部18によって、弾性変形した配管Pの挙動に合わせて配管Pを段階的に支えることができる。そして、端末部分14の外壁部18を直線的に延びるように形成して配管経路を直線にすることで、端末部分14から延びる配管Pが曲がり外側へ広がってしまうことを防止することができる。
【0021】
配管サポート10は、外壁部18を端末部分14および本体部分12に亘って延びるように設けてある。これにより、配管サポート10によって曲げられた配管Pの角部分を、外壁部18で覆って保護することができる。
【0022】
(変更例)
前述した構成に限らず、例えば以下のようにしてもよい。
(1)実施例は、取り付けた配管を90°曲げた状態で保持する構成であるが、これに限らず、取り付けた配管を120°や135°など、90°以外の角度で保持する構成であってもよい。
(2)配管サポートにネジ孔などの取り付け部を設けて、配管サポートを、取り付け部を介して固定するようにしてもよい。
(3)実施例の配管サポートは、本体部分の曲がりの中心を半径方向へ通る仮想線を挟んで、対称な形状であるが、これに限らず、一方の端末部分と他方の端末部分の形状が異なるなど、本体部分の曲がりの中心を半径方向へ通る仮想線を挟んで、非対称な形状であってもよい。
(4)実施例では、内壁部を本体部分のみに設けたが、これに限らず、内壁部を端末部分の一部に設けてもよい。
(5)実施例では、配管サポートを架橋ポリエチレンなどの樹脂配管の保持に用いたが、これに限らず、樹脂以外の配管や、あるいは樹脂とその他の材料を組み合わせた配管に、本開示に係る配管サポートを用いてもよい。
(6)実施例の配管サポートとして、ポリエチレンなどの樹脂成形品を例示したが、これに限らず、金属などのその他の素材を単体、樹脂や金属やその他の素材を複合して配管サポートを形成してもよい。