(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001948
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】筆記具
(51)【国際特許分類】
B43K 1/12 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
B43K1/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100833
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】510138051
【氏名又は名称】ディーフ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】荒木 徹
【テーマコード(参考)】
2C350
【Fターム(参考)】
2C350HC01
2C350HC07
(57)【要約】
【課題】長さや太さの異なる替え芯の交換に対応する。
【解決手段】
本発明は、先細りのテーパー形状で先端が割れており、後端側から挿入された替え芯11の先端部11aを支持可能に形成されるコレット12と、先細りのテーパー形状を有し、替え芯11を支持したコレット12を後端側から挿入可能に形成されるケース13と、ケース13の後端側から該ケース13に接続可能なボディ14と、を備え、替え芯11の先端部11aを支持したコレット12をケース13に挿入した後、後端側からボディ14をケース13に接続すると、コレット12の後端部がボディ14の先端部に押圧され、コレット12の先端がケース13の先端内面に押し付けられることにより替え芯11の先端がコレット12の先端から突出した状態で固定されることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
替え芯の交換が可能な筆記具において、
先細りのテーパー形状で先端が割れており、後端側から挿入された前記替え芯の先端部を支持可能に形成されるコレットと、
先細りのテーパー形状を有し、前記替え芯を支持した前記コレットを後端側から挿入可能に形成されるケースと、
前記ケースの後端側から該ケースに接続可能なボディと、
を備え、
前記替え芯の先端部を支持した前記コレットを前記ケースに挿入した後、後端側から前記ボディを前記ケースに接続すると、前記コレットの後端部が前記ボディの先端部に押圧され、前記コレットの先端が前記ケースの先端内面に押し付けられることにより前記替え芯の先端が前記コレットの先端から突出した状態で固定されることを特徴とする筆記具。
【請求項2】
前記ボディの先端部にはジョイントが設けられ、該ジョイントは前記ケースの後端部に螺合可能且つ前記コレットの後端部に当接可能に形成されている請求項1に記載の筆記具。
【請求項3】
前記コレットと前記ボディとは弾性部材を介して接続されている請求項1又は2に記載の筆記具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、替え芯の交換が可能な筆記具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、替え芯の交換が可能なタイプの筆記具がいろいろと提案されている。例えば、特許文献1には、両端を貫通する貫通孔が形成された筒状の外軸部と、該外軸部の上端の開口から貫通孔に出し入れ自在に挿入されて該外軸部に収容される内軸部と、該内軸部に保持される替え芯(リフィール)と、該内軸部の上端に取り付けられるつまみと、を備え、該つまみを略直角に回転させることにより、前記外軸部の下端の開口から替え芯の先端が繰り出されるように構成された筆記具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在市販されている一般的な筆記具の替え芯は国内外で200種類以上が存在し、今後、300種類以上にも増えると予想されている。しかしながら、上記した特許文献1に記載の筆記具では、構造上、そのような長さや太さの異なる多くの種類の替え芯(リフィール)の交換に対応することは難しいという問題がある。また、上記した特許文献1に記載の筆記具は、構造が複雑であり、製造や組み立ての費用が増大するという問題もある。
【0005】
本発明は、上記した課題を解決すべくなされたものであり、長さや太さの異なる数多くの種類の替え芯の交換に対応可能であると共に、簡単な構造で製造や組み立ての費用の削減が可能な筆記具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的を達成するため、本発明は、替え芯の交換が可能な筆記具において、先細りのテーパー形状で先端が割れており、後端側から挿入された前記替え芯の先端部を支持可能に形成されるコレットと、先細りのテーパー形状を有し、前記替え芯を支持した前記コレットを後端側から挿入可能に形成されるケースと、前記ケースの後端側から該ケースに接続可能なボディと、を備え、前記替え芯の先端部を支持した前記コレットを前記ケースに挿入した後、後端側から前記ボディを前記ケースに接続すると、前記コレットの後端部が前記ボディの先端部に押圧され、前記コレットの先端が前記ケースの先端内面に押し付けられることにより前記替え芯の先端が前記コレットの先端から突出した状態で固定されることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る筆記具において、前記ボディの先端部にはジョイントが設けられ、該ジョイントは前記ケースの後端部に螺合可能且つ前記コレットの後端部に当接可能に形成されていても良い。
【0008】
本発明に係る筆記具において、前記コレットと前記ボディとは弾性部材を介して接続されていても良い。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、長さや太さの異なる数多くの種類の替え芯の交換に対応可能であると共に、簡単な構造で製造や組み立てを容易に行うことができる等、種々の優れた効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る筆記具を示す分解斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る筆記具を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る筆記具10について説明する。ここで、
図1は本発明の一実施形態に係る筆記具10を示す分解斜視図、
図2は本発明の一実施形態に係る筆記具10を示す側面図、
図3は
図2のA-A断面図である。
【0012】
まず、
図1~
図3を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る筆記具10の構成について説明する
【0013】
本発明の一実施形態に係る筆記具10は、市販されている各種の替え芯11と、替え芯11を着脱可能に支持するコレット12と、替え芯11を支持したコレット12を後端側から挿入可能に形成されるケース13と、ケース13の後端側からケース13に接続可能なボディ14と、ケース13を先端側から覆うように設けられるキャップ15と、を備えて構成されている。
【0014】
コレット12は、例えばステンレス製であり、先細りのテーパー形状の先端部分12aと、円筒形状の後端部分12bと、により構成されている。コレット12の先端部分12aは、軸方向に沿って形成された3本のスリット16により先端が割れており、替え芯11の先端部11aを着脱可能に設けられている。
【0015】
現在、世界の各メーカーで販売されているすべての替え芯11の先端部11aの口径は2.1~2.4mm程度の範囲であり、コレット12の先端部分12aは、これらの口径の替え芯11の先端部11aを確実に支持することができるように形成されている。
【0016】
なお、本実施形態では、コレット12の先端部分12aに3本のスリット16が形成され、替え芯11の先端部11aが三方向から掴持されるようになっているが、コレット12の先端部分12aに2本或いは4本以上のスリット16を形成して、替え芯11の先端部11aが二方向或いは四方向以上からコレット12の先端部分12aによって掴持されるように構成されていても良い。
【0017】
ケース13は、例えばステンレス製であり、先細りのテーパー形状の先端部分13aと、円筒形状の後端部分13bと、により構成されている。ケース13の軸方向の長さはコレット12の軸方向の長さより短く、ケース13の内径はコレット12の外径より小さく形成されている。また、ケース13の後端部分13bには、外周部に複数の凹凸部17が形成され、後端部内面に雌螺子部18(
図3参照)が形成されている。
【0018】
ボディ14は、例えばステンレス製で略円筒形状を有しており、先端が開放されていると共に後端が閉塞された軸筒部19と、軸筒部19の先端に取り付けられるジョイント20と、により構成されている。
【0019】
ジョイント20は、ケース13の後端部の雌螺子部18(
図3参照)に螺合可能な先端部20aと、軸筒部19の先端に螺合可能な後端部20bと、により構成されている。ジョイント20の先端部20aはコレット12の後端部分12bと同径に形成され、後端部分12bの後端に当接可能となっている。
【0020】
なお、本実施形態では、ジョイント20が軸筒部19と別個に形成されているが、ジョイント20は軸筒部19の先端と一体に形成されていても良い。
次に、
図1~
図3を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る筆記具10の替え芯11を交換する方法について説明する。
【0021】
まず、ユーザは、
図2及び
図3に示すようにキャップ15を取り外した状態の筆記具10において、ケース13を把持しながらボディ14を回転させることでボディ14をケース13から切り離す。
【0022】
次に、ユーザは、コレット12に先端部11aが支持された替え芯11をケース13から後方に引き出す。そして、コレット12を把持しながらコレット12に装着されている替え芯11を後端側に引き抜いた後、新たな替え芯11を後端側からコレット12に挿入する。これにより、新たな替え芯11の先端部11aがコレット12の先端部分12aによって三方向から掴持され、新たな替え芯11はコレット12に固定される。
【0023】
次に、新たな替え芯11を支持したコレット12をケース13に挿入した後、ケース13の後端部にボディ14をねじ込んで接続する。そうすると、コレット12の後端がボディ14のジョイント20の先端部20aに押圧され、コレット12の先端部分12aがケース13の先端部分13aの内面に押し付けられる。これにより、替え芯11の先端がコレット12の先端から突出した状態で替え芯11は固定される。
【0024】
上記したように本実施形態に係る筆記具10によれば、コレット12の先端部分12aのみで替え芯11を固定する構造を有しているため、替え芯11の長さや太さに依存することなく、あらゆる種類の替え芯11の交換に対応可能であると共に、該替え芯11を強固に安定的に固定させることできる。したがって、筆記具10を使用する際に替え芯11がガタつくことが一切なく、安定した書き心地を実現することができる。
【0025】
また、本実施形態に係る筆記具10は、ケース13にボディ14をねじ込む際に、替え芯11の先端部11aがコレット12へ固定されると同時にコレット12の先端部分12aがケース13の先端部分12aに押し付けられる簡易な構造となっているため、製造や組み立てを容易に行うことができる。
【0026】
さらに、コレット12は、ボディ14とは分離された部品であるため、ケース13をボディ14で締め付ける際にフリーで動くことができる。そのため、軽い力でコレット12の締め付け固定ができるだけでなく、コレット12に支持されている替え芯11への負担を軽減することもできる。このように各部品への負担を軽くすることにより、筆記具の寿命を延ばすことが可能となり、摩耗による替え芯11のガタつきを誘発する虞もない。
【0027】
また、上記した実施形態に係る筆記具10では、替え芯11を取り付けた際、コレット12の先端部分12aに固定された替え芯11の先端部11aの口径によっては、ケース13の後端とボディ14の前端と間に僅かな隙間G(
図2及び
図3参照)が生じるが、この僅かな隙間Gにより筆記具10の使い勝手が悪化したり、意匠上支障が生じたりすることはない。なお、特に図示しないが、コレット12とボディ14との間にバネやゴム等の弾性部材を介在させることにより、この隙間Gが生じないように構成することも可能である。
【0028】
なお、上記した本発明の実施形態の説明は、本発明に係る筆記具10における好適な実施形態を説明しているため、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0029】
10 筆記具
11 替え芯
11a (替え芯の)先端部
12 コレット
12a (コレットの)先端部分
13 ケース
13a (ケースの)先端部分
14 ボディ
20 ジョイント