(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001955
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】電子機器の防水ケース
(51)【国際特許分類】
G06F 1/16 20060101AFI20231228BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20231228BHJP
H04M 1/11 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
G06F1/16 312L
H05K5/02 C
G06F1/16 312G
H04M1/11 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100842
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000115773
【氏名又は名称】リズム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】大谷 芙美矢
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 直人
(72)【発明者】
【氏名】奥原 大樹
【テーマコード(参考)】
4E360
5K023
【Fターム(参考)】
4E360AB41
4E360AB44
4E360ED24
4E360GA29
4E360GB26
4E360GB46
4E360GC08
5K023AA07
5K023BB25
5K023KK10
5K023MM03
5K023PP16
(57)【要約】
【課題】突出物の有無等の電子機器の裏面側の形状に関わらず、収容室内で電子機器を正規の姿勢に保持でき、これにより良好な画面の視認性を確保できる電子機器の防水ケースを提供する。
【解決手段】ケース本体2の表面側に透明シート5を備えた枠体3を重ね合わせて収容室Sを画成し、内部に電子機器Dを収容する。透明シート5の張力により電子機器Dを保持すると共に、透明シート5の周囲に一体形成したシール材5bにより収容室S内を液密保持する。ケース本体2の周囲に沿って収容領域表示リブ19を形成し、その内周側を電子機器Dが配設される底壁2aとする。底壁2a上に左右及び上下方向に延びる複数の当接リブ20を形成し、当接リブ20上に電子機器を配設すると共に、そのカメラ部Daを当接リブ20を避けて配置し、透明シート5により電子機器Dを挟み込む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮性を有する透明シートが張られた枠体をケース本体の表面側に重ね合わせて内部に収容室を画成し、前記収容室内に配設した電子機器を前記透明シートの張力により前記ケース本体の底壁との間で挟み込んで保持すると共に、前記ケース本体及び前記枠体の周囲に環状をなすシール材を介装して前記収容室を液密保持してなる電子機器の防水ケースにおいて、
前記ケース本体内の底壁上に、前記電子機器に当接して前記底壁から離間させる当接リブが形成されている
ことを特徴とする電子機器の防水ケース。
【請求項2】
前記ケース本体の前記当接リブの外周側に、前記電子機器を配設可能な領域を示す収容領域表示リブが形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器の防水ケース。
【請求項3】
前記ケース本体の前記収容領域表示リブの外周側に、前記底壁からの高さが前記当接リブ及び前記収容領域表示リブよりも大きく設定され、前記収容領域表示リブとの間にそれぞれ段差部を形成する複数の規制リブが形成されている
ことを特徴とする請求項2に記載の電子機器の防水ケース。
【請求項4】
前記ケース本体または前記枠体の何れか一方の外側壁に、周囲に沿った方向で互いに離間した位置に一対の第1の接地突条が形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器の防水ケース。
【請求項5】
前記ケース本体または前記枠体の何れか他方の外側壁に、周囲に沿った方向で前記一対の第1の接地突条とそれぞれ一致し、且つ表面及び裏面に沿った方向に連続する一対の第2の接地突条が形成されている
ことを特徴とする請求項4に記載の電子機器の防水ケース。
【請求項6】
前記ケース本体は、裏面に磁石が取り付けられている
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の電子機器の防水ケース。
【請求項7】
前記ケース本体は、周囲の何れかの箇所に指先を掛止可能な掛止凹部が形成されている
ことを特徴とする請求項6に記載の電子機器の防水ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画面を備えた電子機器の防水ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンやタブレット等の電子機器の中には防水機能を備えていないものがあり、そのような電子機器を浴室や海等で使用する際に防水ケースが用いられる。例えば特許文献1に記載の防水ケースは、ケース本体に枠体を重ね合わせて内部に収容室を画成し、枠体に伸縮性を有する透明シートを張って表示窓を形成すると共に、ケース本体及び枠体の周囲にシール材を介装して収容室を液密保持している。ケース本体内に電子機器を配設して枠体を重ね合わせると、電子機器に透明シートが密着し、その張力によりケース本体の底壁との間で電子機器が挟み込まれて保持され、透明シートを介して電子機器の画面を視認可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように特許文献1に記載の防水ケースは、透明シートの張力を利用して電子機器を保持しているため、電子機器の形状やサイズに関わらず簡単な手順により収容室内に収容できる利点を有する。しかし、その反面、収容した電子機器の安定性に欠けるという問題がある。
【0005】
即ち、特許文献1の防水ケースは、収容室内で電子機器を積極的に正規の姿勢に保つ構造、例えば電子機器を嵌め込んで姿勢保持する凹部等を備えてない。このため、透明シートにより収容室内で保持される電子機器の姿勢は、ケース本体内の底壁上に配設されたときの姿勢に依存し、その姿勢のまま透明シートにより挟み込まれる。
【0006】
スマートフォンやタブレット等の電子機器の裏面は必ずしも平坦とは限らず、例えば撮像機能のためのカメラ部等が裏面から突出しているものもある。このような電子機器の場合にはカメラ部等がケース本体の底壁に干渉し、電子機器が傾いた姿勢で透明シートにより挟み込まれてしまう。従って、例えば電子機器の画面が正面から逸れた斜め方向を向き、その視認性が低下してしまう等の不具合が生じた。
【0007】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、突出物の有無等の電子機器の裏面側の形状に関わらず、収容室内で電子機器を正規の姿勢に保持でき、これにより良好な画面の視認性を確保することができる電子機器の防水ケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明の電子機器の防水ケースは、伸縮性を有する透明シートが張られた枠体をケース本体の表面側に重ね合わせて内部に収容室を画成し、前記収容室内に配設した電子機器を前記透明シートの張力により前記ケース本体の底壁との間で挟み込んで保持すると共に、前記ケース本体及び前記枠体の周囲に環状をなすシール材を介装して前記収容室を液密保持してなる電子機器の防水ケースにおいて、前記ケース本体内の底壁上に、前記電子機器に当接して前記底壁から離間させる当接リブが形成されていることを特徴とする。
【0009】
ケース本体内に配設された電子機器は、当接リブの高さに相当する距離だけケース本体の底壁から離間するため、その裏面からカメラ部等が突出している場合であっても、カメラ部と底壁との干渉を防止できる。このため電子機器は、その裏面を当接リブに当接させた姿勢、換言すると、画面を正面に向けた正規の姿勢で配設される。そして、ケース本体に枠体を重ね合わせると、上記の姿勢のまま電子機器が透明シートにより当接リブとの間で挟み込まれる。
【0010】
その他の態様として、ケース本体の前記当接リブの外周側に、前記電子機器を配設可能な領域を示す収容領域表示リブが形成されていてもよい。
【0011】
従って、使用者は、収容領域表示リブに基づきケース本体内の電子機器を配設可能な領域を容易に認識して、適切な位置に電子機器を配設可能となる。
【0012】
その他の態様として、ケース本体の前記収容領域表示リブの外周側に、前記底壁からの高さが前記当接リブ及び前記収容領域表示リブよりも大きく設定され、前記収容領域表示リブとの間にそれぞれ段差部を形成する複数の規制リブが形成されていてもよい。
【0013】
ケース本体内の収容領域表示リブ内からはみ出した位置に電子機器が配設されると、規制リブに乗り上げて不安定な姿勢になるため、使用者は自ずと不適切な配置を認識して位置調整する。そして、位置調整の際には、電子機器が段差部に干渉して収容領域表示リブ内からのはみ出しを規制されるため、結果として収容領域表示リブ内への電子機器の配設が促される。
【0014】
その他の態様として、ケース本体または前記枠体の何れか一方の外側壁に、周囲に沿った方向で互いに離間した位置に一対の第1の接地突条が形成されていてもよい。
【0015】
ケース本体の底壁に当接リブが形成されているため、その高さ相当分だけ防水ケースの表裏方向の厚みが増加し、これにより表裏方向に長い第1の接地突条がケース本体または枠体の外側壁に形成される。このため、一対の第1の接地突条を床面等に接地させて、防水ケースを立ち姿勢に保つことが可能となる。
【0016】
その他の態様として、ケース本体または前記枠体の何れか他方の外側壁に、周囲に沿った方向で前記一対の第1の接地突条とそれぞれ一致し、且つ表面及び裏面に沿った方向に連続する一対の第2の接地突条が形成されていてもよい。
【0017】
ケース本体及び枠体にそれぞれ接地突条が形成されるため、防水ケースがより安定した立ち姿勢に保たれる。
【0018】
その他の態様として、ケース本体の裏面に磁石が取り付けられていてもよい。
【0019】
従って、磁石を利用して防水ケースを浴室の壁面等に貼り付け可能となる。そして、ケース本体の底壁に当接リブが形成されているため、裏面に取り付けられた磁石から電子機器が離間して、磁力に起因するトラブルが防止される。
【0020】
その他の態様として、ケース本体の周囲の何れかの箇所に指先を掛止可能な掛止凹部が形成されていてもよい。
【0021】
従って、浴室の壁面等に貼り付けられた防水ケースを取り外す場合には、指先を掛止凹部に掛止して容易に壁面等から剥すことが可能となる。防水ケースが表裏方向に十分な厚みを有するため、指先の掛止に好適な大きさの掛止凹部を形成できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の電子機器の防水ケースによれば、突出物の有無等の電子機器の裏面側の形状に関わらず、収容室内で電子機器を正規の姿勢に保持でき、これにより良好な画面の視認性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施形態の電子機器の防水ケースを表面側から見た斜視図である。
【
図3】防水ケースを表面側から見た分解斜視図である。
【
図4】防水ケースに電子機器を収容する手順を示す斜視図である。
【
図5】電子機器を収容した状態の防水ケースを示す
図4のV-V線断面図である。
【
図6】ケース本体の枠体との連結箇所を示す
図2のVI-VI線断面斜視図である。
【
図7】右バックルの周辺を示す
図2のVII-VII線断面斜視図である。
【
図9】ケース本体内の収容領域表示リブ、当接リブ、規制リブ及び段差部の関係を示す
図8のIX-IX線断面図である。
【
図10】壁面に貼り付けた防水ケースを掛止凹部を利用して剥す場合を示す
図2のX-X線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した電子機器の防水ケースの一実施形態を説明する。
図1は、本実施形態の電子機器の防水ケースを表面側から見た斜視図、
図2は、防水ケースを裏面側から見た斜視図、
図3は、防水ケースを表面側から見た分解斜視図、
図4は、防水ケースに電子機器を収容する手順を示す斜視図、
図5は、電子機器を収容した状態の防水ケースを示す
図4のV-V線断面図である。
【0025】
防水ケース1は、内部にスマートフォンやタブレット等の電子機器Dを収容して水等から守ると共に、表示窓を介して電子機器Dの画面に視認可能とする機能を奏する。以下の説明では、防水ケース1の表示窓が設けられた面を表面、反対側の面を裏面と称し、後述するスタンド6により立てられた防水ケース1を正面から見た視点を基準として、左右及び上下を表現するものとする。また、正面から見た防水ケース1の内外方向を内周側及び外周側と表現する場合もある。本実施形態では、防水ケース1の左側が、本発明の「一側」に相当し、右側が、本発明の「他側」に相当する。
【0026】
《全体構成》
まず、防水ケース1の全体構成を説明する。
防水ケース1は、ケース本体2、ケース本体2に重ねられて電子機器Dが収容される収容室Sを画成する枠体3、ケース本体2に枠体3を結合するバックル4l,4r,4u、表示窓として機能する透明シート5、及びケース本体2の裏面に設けられたスタンド6から構成されている。例えば、枠体3、バックル4l,4r,4u及びスタンド6は、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリプロピレン(PP)等の熱可塑性樹脂材料で射出成型され、透明シート5は、シリコンゴム等の伸縮性を有する合成樹脂材料で射出成形される。しかし、その材質や製法はこれに限るものではなく任意に変更可能である。
【0027】
ケース本体2は、表面側に開口する浅い四角箱状をなし、その表面側に四角枠状をなす枠体3が重ねられ、枠体3の下側は、後述する支軸8aを介してケース本体2の下側に開閉可能に連結されている。枠体3の左側及び右側には、それぞれ左バックル4l及び右バックル4rが開閉可能に連結され、同様に枠体3の上側には、上バックル4uが開閉可能に連結されている。枠体3には、これを塞ぐように透明シート5が張り付けられている。
【0028】
図4に示すように、枠体3を開いてケース本体2内を開放し、内部に電子機器Dを配設する。枠体3を閉じて各バックル4l,4r,4uによりケース本体2に結合すると、
図5に示すように、透明シート5は電子機器Dの画面上に密着しながら展張し、その張力によりケース本体2の底壁2aとの間、詳しくは底壁2aから立設した後述する当接リブ20との間で電子機器Dを挟み込む。これにより収容室S内の所定位置に電子機器Dが保持されると共に、その画面を透明シート5を介して視認可能となる。
【0029】
一方、ケース本体2の裏面の左側及び右側には、それぞれスタンド6の一対の基端部6aが軸支され、これによりケース本体2に対してスタンド6が折り畳み可能に連結されている。スタンド6を開くと、その先端部6cがケース本体2の裏面から離間し、ケース本体2の下部及びスタンド6の先端部6cを床面等に接地させて、防水ケース1を立ち姿勢に保つことができる。
【0030】
次いで、防水ケース1の各部の詳細を順次説明する。
《ケース本体2に対する枠体3の連結構造》
図6は、ケース本体2と枠体3との連結箇所を示す
図2のVI-VI線断面斜視図である。
図2,6に示すように、ケース本体2の下側には4つの切欠き8が左右に間隔をおいて形成され、各切欠き8の側面にはそれぞれ支軸8aが突設されている。枠体3の下側には4つの突片9が左右に間隔をおいて形成され、各突片9にはそれぞれ軸孔9aが形成されている。枠体3の各突片9はの切欠き8内にそれぞれ配設され、各軸孔9a内に支軸8aがそれぞれ嵌め込まれ、ケース本体2に対して枠体3が開閉可能に連結されている。支軸8aを中心として枠体3が開閉すると、それに応じてケース本体2の内部が外方に向けて開放されたり(
図4に示す)、或いは外部から隠蔽されたりする(
図1に示す)。
【0031】
《枠体3に対するバックル4l,4r,4uの連結構造》
図7は、右バックル4rの周辺を示す
図2のVII-VII線断面斜視図である。以下、同図に基づき右バックル4rについて説明するが、左バックル4l及び上バックル4uについても同一構造である。
【0032】
図3,7に示すように、枠体3の右側には4つの切欠き10が上下に間隔をおいて形成され、各切欠き10の側面にはそれぞれ軸孔10aが形成されている。右バックル4rは基端部11及び先端部12からなる断面L字状をなし、先端部12には上下方向に係合突条12aが延設されている。右バックル4rの基端部11には4つの突片13が上下に間隔をおいて形成され、各突片13にはそれぞれ支軸13aが突設されている。右バックル4rの各突片13は枠体3の切欠き10内にそれぞれ配設され、各支軸13aが軸孔10a内にそれぞれ嵌め込まれ、これにより枠体3の右側に対して右バックル4rが開閉可能に連結されている。
【0033】
図7中に実線で示すように、支軸13aを中心として右バックル4rが閉動作すると、係合突条12aがケース本体2に形成された係合溝14に嵌まり込み、その先端部12をケース本体2の右側に掛止する。また、
図7中に二点鎖線で示すように、支軸13aを中心として右バックル4rが開動作すると、係合突条12aが係合溝14から離脱し、ケース本体2の右側に対する先端部12の掛止を解除する。従って、全てのバックル4l,4r,4uの先端部13がケース本体2に掛止された状態では、ケース本体2に対して枠体3が結合される一方、全てのバックル4l,4r,4uの先端部13の掛止が解除された状態では、ケース本体2から枠体3を分離可能となる。
【0034】
なお、適度な操作力で各バックル4l,4r,4uを掛止・解除できるように、係合溝14及び係合突条12aの長さや嵌合深さが調整されている。
【0035】
《枠体3に対する透明シート5の取付構造》
図8は、ケース本体2の内部を示す正面図、
図9は、ケース本体2内の収容領域表示リブ19、当接リブ20、規制リブ21及び段差部22の関係を示す
図8のIX-IX線断面図である。なお、
図9に示される断面は、
図6と同一箇所である。
【0036】
図3,6,9に示すように、透明シート5は、枠体3の周囲と対応する四角薄膜状をなす透過面5a、及び透過面5aの周囲全体に一体形成されたシール材5bからなり、シール材5bは断面四角状をなして透過面5aから表面側に突出している。枠体3の裏面側には、その周囲全体にシール溝15が形成され、シール溝15内に透明シート5のシール材5bが嵌め込まれている。これにより、枠体3に対して透明シート5が組み付けられ、その透過面5aにより枠体3内が塞がれている。なお、透過面5aの裏面には、電子機器Dの画面上に密着したときの気泡防止のために微細なシボが形成されている。
【0037】
図8,9に示すように、ケース本体2の表面側には、その周囲に沿った四角環状をなすシール壁16が形成され、シール壁16の内周側には、同じく周囲に沿った四角環状をなす当接壁17が形成されている。バックル4l,4r,4uによりケース本体2に枠体3が結合された状態では、ケース本体2と透明シート5の透過面5aとの間に収容室Sが画成されると共に、ケース本体2の当接壁17が枠体3の裏面に当接し、シール壁16が枠体3のシール溝15内のシール材5bに圧接する。結果として収容室Sが液密保持され、内部への水等の侵入が防止される。
【0038】
《ケース本体2の内部構造》
図8,9に示すように、ケース本体2のシール壁16及び当接壁17の内周側には、ケース本体2の周囲に沿った四角環状なす収容領域表示リブ19が形成されている。この収容領域表示リブ19の内周側に電子機器Dが配設されるケース本体2の底壁2aが形成されているため、収容領域表示リブ19は電子機器Dを配設可能な領域を示す目安として機能する。
【0039】
収容領域表示リブ19の内周側、即ち底壁2a上には、当接リブ20が形成されている。詳しくは、当接リブ20は、水平方向に延びる複数の水平当接部20aと、垂直方向に延びる複数の垂直当接部20bとからなり、これらの各当接部20a,20bを互いに交差させることで構成されている。
【0040】
また、収容領域表示リブ19の外周側には、ケース本体2の周囲に沿った方向に間隔をおいて複数の規制リブ21が形成されている。詳しくは、ケース本体2の上側及び下側には、それぞれ4つの規制リブ21が左右方向に間隔をおいて配設され、ケース本体2の左側及び右側には、それぞれ2つの規制リブ21が上下方向に間隔をおいて配設されている。ケース本体2の底壁2aからの収容領域表示リブ19及び当接リブ20の高さH2は、一般的な電子機器Dのカメラ部Dsの突出高さに比較して大きく設定されている。そして、この高さH2に対して、
図9に示すように各規制リブ21の高さH1はより大きく設定され、結果として収容領域表示リブ19と各規制リブ21との間に段差部22が形成されている。
【0041】
図5,9に示すように、電子機器Dは、各当接リブ20上に載置された状態でケース本体2内に配設される。そして、枠体3を閉じてバックル4l,4r,4uによりケース本体2に結合すると、上記したように透明シート5が電子機器Dの画面上に密着しながら展張し、その張力により各当接リブ20との間で電子機器Dを挟み込んで保持する。
【0042】
《スタンド6周辺の構造》
図2に示すように、スタンド6は、左右の基端部6aからそれぞれアーム6bを下方に延設し、アーム6bの下端を左右に延びる先端部6cを介して互いに連結してなり、全体として上方に開口する凹状をなしている。ケース本体2の裏面には、このような形状のスタンド6が格納されるスタンド格納部24が凹設されている。なお、スタンド格納部24が凹設されることで、
図8に示すようにケース本体2内の下部領域は、スタンド格納部24に対応して盛り上った形状をなしている。
【0043】
詳しくは、スタンド格納部24は、
図2,8に示すように、ケース本体2の裏面の左右両側に沿った一対のアーム格納部24a、及び裏面に下側に沿った先端格納部24bからなり、全体としてスタンド6と対応する形状をなしている。このようなスタンド格納部24に不使用時のスタンド6が格納され、スタンド6の左右の基端部6aは、アーム格納部24aの上部に軸支されている。
【0044】
スタンド6の軸支箇所については、本発明の要旨と直接関係がないため、概略的な説明にとどめる。
図3に示すように、スタンド6の左右の基端部6aにはそれぞれ回動ピン28及び角度調整板31が一体形成され、各回動ピン28は、ケース本体2の左右両側に回動可能に軸支されてスタンド6をケース本体2に連結している。各角度調整板31は、スタンド6の角度変更に応じてケース本体2の図示しない係合部と係合して段階的に回動規制され、これによりスタンド6を複数の角度で保持する。従って、ケース本体2の下部及びスタンド6の先端部6cを床面等に接地させた防水ケース1の立ち姿勢では、その傾斜角をスタンド6の角度に応じて任意に変更することができる。
【0045】
図10は、壁面に貼り付けた防水ケースを掛止凹部を利用して剥す場合を示す
図2のX-X線断面図である。
図6,10に示すように、スタンド格納部24の先端格納部24bの左右中央は上方に湾曲して拡張され、これに対応してスタンド6の先端部6cの左右中央は上方に湾曲形成されている。結果として、スタンド格納部24にスタンド6が格納された状態において、ケース本体2の下部の左右中央には下方及び裏面側に開口する掛止凹部33が形成されている。
【0046】
図2,10に示すように、ケース本体2の裏面の4隅には、それぞれ両面テープにより四角状の磁石36が貼着されている。従って、例えば浴室の壁面Wが鋼板製の場合には、磁石36を利用して壁面Wに防水ケース1を貼り付けて、内部の電子機器Dの画面を視認することができる。
【0047】
図11は、接地突条を示す
図1のA部詳細図である。
図4,8,11に示すように、ケース本体2の左側壁2b及び右側壁2cには、それぞれ上下方向に互いに離間した位置に一対の本体側接地突条38が形成されている。また、ケース本体2の上側壁2d及び下側壁2eには、それぞれ左右方向に互いに離間した位置に一対の本体側接地突条39が形成されている。これらの本体側接地突条38,39は、本発明の「第1の接地突条」に相当する。
【0048】
また、枠体3の左側壁3b及び右側壁3cには、それぞれ上下方向に互いに離間した一対の枠側接地突条40が形成されている。また、枠体3の上側壁3d及び下側壁3eには、それぞれ左右方向に互いに離間した一対の枠側接地突条41が形成されている。各枠側接地突条40は、上下方向において本体側接地突条38とそれぞれ一致して表裏方向に連続している。同様に、各枠側接地突条41は、左右方向において本体側接地突条39とそれぞれ一致して表裏方向に連続している。これらの枠側接地突条40,41は、本発明の「第2の接地突条」に相当する。
【0049】
《本実施形態により得られる作用効果》
次いで、本実施形態の防水ケース1の各部の構成により達成される作用効果をそれぞれ説明する。
1.
図8,9に示すように、ケース本体2内の底壁2a上に、電子機器Dに当接して底壁2aから離間させる当接リブ20を形成している。
【0050】
裏面からカメラ部Daが突出している電子機器Dをケース本体2内に配設する際には、当接リブ20を避けた位置にカメラ部Daを配置する。これにより、
図5,9に示すように電子機器Dは、当接リブ20の高さH2に相当する距離だけケース本体2の底壁2aから離間し、カメラ部Daとケース本体2の底壁2aとの干渉を防止できる。結果として電子機器Dは、その裏面を当接リブ20に当接させた姿勢、換言すると、裏面をケース本体2の底壁2aに対して平行に保ち、画面を正面に向けた正規の姿勢で配設される。
【0051】
そして、バックル4l,4r,4uによりケース本体2に枠体3を結合すると、上記の姿勢のまま電子機器Dが透明シート5により当接リブ20との間で挟み込まれる。従って、使用者は、透明シート5を介して正面を向いた画面を視認可能となり、良好な画面の視認性を確保することができる。
【0052】
2.ケース本体2の当接リブ20の外周側に、電子機器Dを配設可能な領域を示す収容領域表示リブ19を形成している。
従って、使用者は、収容領域表示リブ19に基づきケース本体2内の電子機器Dを配設可能な領域を容易に認識して、適切な位置に電子機器Dを配設できる。収容領域表示リブ19内からはみ出した不適切な位置に電子機器Dが配設されると、例えば、透明シート5が局所的に無理に展張されて耐久性が低下する可能性が生じるが、このような不具合を未然に防止することができる。
【0053】
3.ケース本体2の収容領域表示リブ19の外周側に、底壁2aからの高さH1が当接リブ20及び収容領域表示リブ19の高さH2よりも大きく設定された複数の規制リブ21を形成し、規制リブ21と収容領域表示リブ19との間にそれぞれ段差部22を形成している。
【0054】
規制リブ21及び段差部22は、収容領域表示リブ19内からの電子機器Dのはみ出しを積極的に防止する機能を奏する。即ち、ケース本体2内の収容領域表示リブ19内からはみ出した位置に電子機器Dが配設されると、規制リブ21に乗り上げて不安定な姿勢になるため、使用者は自ずと不適切な配置を認識して位置調整する。そして、位置調整のためにケース本体2内で電子機器Dを移動させると、段差部22に干渉して収容領域表示リブ19内からはみ出す方向への移動が規制されるため、結果として収容領域表示リブ19内への電子機器Dの配設が促される。従って、より確実に電子機器Dをケース本体2内の適切な位置に配設することができる。
【0055】
4.ケース本体2の各側壁2b~2eに、それぞれ周囲に沿った方向で互いに離間した一対の本体側接地突条38,39を形成している。また、枠体の各側壁3b~3eに、それぞれ周囲に沿った方向で本体側接地突条38,39と一致し、且つ表裏方向に連続する一対の枠側接地突条40,41を形成している。
【0056】
上記のようにケース本体2の底壁2aに当接リブ20を形成しているため、本実施形態の防水ケース1の表裏方向の厚みは、当接リブ20が無い場合に比較して、当接リブ20の高さH2に相当する寸法分だけ増加している。このため、各側壁2b~2e,3b~3e上に、表裏方向に十分な長さを有する本体側接地突条38,39及び枠側接地突条40,41を形成できる。
【0057】
このような構成により、例えば
図9に示すように、ケース本体2及び枠体3の下側壁2e,3eに形成された接地突条39,41を床面F等に接地させて、スタンド6を使用することなく防水ケース1を立ち姿勢に保つことができる。四角状をなす防水ケース1の4辺にそれぞれ接地突条39,41が形成されているため、何れの辺を接地させた姿勢も可能である。スタンド6による立ち姿勢では、何れのスタンド角度でも防水ケース1は若干上方を向いた姿勢になるが、この場合の防水ケース1は直立した立ち姿勢に保たれる。従って、防水ケース1の姿勢のバリエーションが増加することから、例えば防水ケース1と使用者との位置関係等に応じて、より適切な防水ケース1の姿勢を選択でき、これにより電子機器Dの画面を良好に視認することができる。
【0058】
特に本実施形態では、ケース本体2及び枠体3にそれぞれ接地突条38~41を形成したため、防水ケース1をより安定した立ち姿勢に保つことができる。しかし、これに限るものではなく、何れか一方の接地突条38~41だけで安定した姿勢が可能であれば、一方のみに接地突条38~41を形成してもよい。
【0059】
5.ケース本体2の裏面の4隅に磁石36を貼着している。
従って、磁石36を利用して防水ケース1を浴室の壁面W等に貼り付けて、内部の電子機器Dの画面を視認することができる。そして、ケース本体2の底壁2aに当接リブ20が形成されているため、電子機器Dはカメラ部Daの干渉防止のために底壁2aから離間するだけでなく、ケース本体2の裏面に貼着された磁石36からも離間している。
【0060】
防水ケース1を壁面W等に貼り付けるために磁石36はかなり強力な磁力を有し、この磁力により電子機器Dに悪影響が及ぶ可能性もある。しかしながら、電子機器Dが磁石36から離間配置されることで、磁力に起因する電子機器Dのトラブルを未然に防止することができる。
【0061】
6.ケース本体2の下部の左右中央に、下方及び裏面側に開口する掛止凹部33を形成している。
図10に示すように、防水ケース1が磁石36により浴室の壁面W等に貼り付けられた状態において、掛止凹部33は壁面W等で裏側が閉鎖されるものの、下方には開口している。このため、防水ケース1を取り外す場合には、下方から指先を掛止凹部33に掛止して容易に壁面W等から剥すことができる。この掛止凹部33についても、防水ケース1が表裏方向に十分な厚みを有するため、指先の掛止に好適な大きさの掛止凹部33をケース本体2に問題なく形成することができる。
【0062】
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、床面F上で防水ケース1を立ち姿勢に保つためのスタンド6及び接地突条39,41を備えると共に、防水ケース1を壁面W等に貼り付けるための磁石36を備えたが、これらの部材が必ずしも設ける必要はなく、その一部或いは全てを省略してもよい。
また上記実施形態では、バックル4l,4r,4uによりケース本体2に枠体3を結合したが、これに限るものではなく、異なる結合構造を採用してもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 防水ケース
2 ケース本体
2a 底壁
3 枠体
5 透明シート
5b シール材
19 収容領域表示リブ
20 当接リブ
21 規制リブ
22 段差部
33 掛止凹部
36 磁石
38,39 本体側接地突条(第1の接地突条)
40,41 枠側接地突条(第2の接地突条)
D 電子機器
S 収容室