(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019555
(43)【公開日】2024-02-09
(54)【発明の名称】筋肉電気刺激装置
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20240202BHJP
【FI】
A61N1/36
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023211292
(22)【出願日】2023-12-14
(62)【分割の表示】P 2021195464の分割
【原出願日】2015-06-22
(31)【優先権主張番号】P 2015039009
(32)【優先日】2015-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】599083411
【氏名又は名称】株式会社 MTG
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】松下 剛
(57)【要約】
【課題】腹筋に効果的に刺激を与えることができる筋肉電気刺激装置を提供する。
【解決手段】筋肉電気刺激装置1は、人の腹部に取り付けられて電極部から腹部に電気刺激を付与する。電極部は、腹部の真ん中に取り付けたときに人の身長方向に平行で本体部10の中心を通る中心線10aよりも人の右手方向に位置するように本体部10から延出した第1電極群と、中心線10aよりも人の左手方向に位置するように本体部10から延出した第2電極群と、を備える。第1電極群と第2電極群との間が人を介して通電可能に構成されているとともに、第1電極群と第2電極群とはそれぞれ3個以上の電極を含んでいる。第1電極群及び第2電極群において、各電極は本体部10と反対側に凸となるように湾曲した円弧状に配列している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気刺激を筋肉に与える筋肉電気刺激装置であって、
上記電気刺激は、上記筋肉に不完全強縮及び完全強縮の少なくとも一方を起こさせる第1電気信号が出力される第1出力期間と、上記筋肉に単収縮を起こさせる第2電気信号が出力される第2出力期間と、が交互に繰り返され、
上記第1出力期間の継続時間は、上記第2出力期間の継続時間よりも長いことを特徴とする筋肉電気刺激装置。
【請求項2】
電気刺激を筋肉に与える筋肉電気刺激装置であって、
上記電気刺激は、15Hz以上30Hz以下の範囲の周波数を有する第1電気信号が出力される第1出力期間と、15Hz未満の範囲内の周波数を有する第2電気信号が出力される第2出力期間と、が交互に繰り返され、
上記第1出力期間の継続時間は、上記第2出力期間の継続時間よりも長いことを特徴とする筋肉電気刺激装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筋肉電気刺激装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気信号を利用して筋肉に刺激を与える筋肉電気刺激装置として、特許文献2には、使用者により選択された4~20Hzの周波数域に属するパルス状の電気信号を所定時間出力する出力期間と、当該電気信号を所定時間出力しない無出力期間とが繰り返されてなる電気刺激を出力するものが開示されている。かかる装置では、血流促進、筋肉の肥大又は代謝促進の効果が奏される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3158303号公報
【特許文献2】特開2009-142624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献2に開示の構成では、出力される電気刺激において、上記出力期間の電気信号により、筋肉が収縮して筋肉に疲労物質が溜まった場合でも、上記無出力期間において何ら電気信号が出力されないため、上記無出力期間に疲労物質が筋肉から十分に排出されないおそれがある。そのため、長時間使用すると筋肉に疲労物質が蓄積しやすく、使用者に過度な負担がかかりやすく、使用感が損なわれるおそれがある。また、出力される電気刺激は、上記出力期間と上記無出力期間とを繰り返してなるに過ぎず、上記出力期間における電気信号の出力パターンは出力モードごとに単一のものが用意されているに過ぎない。そのため、出力される電気刺激に基づいた筋肉の収縮態様が単調になりやすく、使用者に積極的に継続して使用させるには改善の余地がある。
【0005】
そこで、本願はかかる問題を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、電気刺激を筋肉に与える筋肉電気刺激装置であって、上記電気刺激は、上記筋肉に不完全強縮及び完全強縮の少なくとも一方を起こさせる第1電気信号が出力される第1出力期間と、上記筋肉に単収縮を起こさせる第2電気信号が出力される第2出力期間と、が交互に繰り返され、上記第1出力期間の継続時間は、上記第2出力期間の継続時間よりも長いことを特徴とする。本発明の一態様は、電気刺激を筋肉に与える筋肉電気刺激装置であって、上記電気刺激は、15Hz以上30Hz以下の範囲の周波数を有する第1電気信号が出力される第1出力期間と、15Hz未満の範囲内の周波数を有する第2電気信号が出力される第2出力期間と、が交互に繰り返され、上記第1出力期間の継続時間は、上記第2出力期間の継続時間よりも長いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1によれば、筋肉電気刺激装置を連続して使用しても、疲労物質が筋肉に蓄積しにくいため、効率的に筋肉を刺激することができる。さらに、使用者の負担が軽減されるため、長時間使用しても使用感がよく、使用者に積極的な継続使用を促すことができる。また、出力される電気刺激において、第1出力期間が十分確保され、筋肉の増強効果が一層高まる。
【0008】
請求項2によれば、筋肉に急激に疲労物質が生じることが抑制されて、効率的に筋肉を刺激することができる。第1出力期間において生じた疲労物質は、第2出力期間において筋肉から排出されることとなり、連続して使用しても疲労物質の蓄積が防止される。また、出力される電気刺激において、第1出力期間が十分確保され、筋肉の増強効果が一層高まる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1における、筋肉電気刺激装置の正面図。
【
図2】実施例1における、筋肉電気刺激装置の背面図。
【
図3】実施例1における、筋肉電気刺激装置の側面図。
【
図4】(a)は
図1におけるIVa-IVa線位置断面一部拡大図、(b)は
図1におけるIVb-IVb線位置断面一部拡大図、(c)は
図1におけるIVc-IVc線位置断面一部拡大図。
【
図5】実施例1における、筋肉電気刺激装置の使用態様を説明する模式図。
【
図6】実施例1における、筋肉電気刺激装置の構成を示すブロック図。
【
図7】実施例1における、筋肉電気刺激装置から出力される基本波形を示す図。
【
図8】実施例1における、筋肉電気刺激装置から出力される電圧変化を示す図。
【
図9】実施例1における、筋肉電気刺激装置のメイン動作を説明するフロー図。
【
図10】実施例1における、筋肉電気刺激装置の第1の割り込み処理を説明するフロー図。
【
図11】実施例1における、筋肉電気刺激装置の第2の割り込み処理を説明するフロー図。
【
図12】実施例1における、筋肉電気刺激装置の第3の割り込み処理を説明するフロー図。
【
図13】実施例2における、筋肉電気刺激装置から出力されるバースト波を示す図。
【
図14】実施例2における、筋肉電気刺激装置に記憶された基本波形を示す図。
【
図15】参考例1における、筋肉電気刺激装置の正面図。
【
図16】参考例1における、筋肉電気刺激装置の背面図。
【
図17】(a)は実施例4における筋肉電気刺激装置の正面の色彩を表す図、(b)はマンセル表色系における色相5YRにおける明度と彩度の関係を示す図。
【
図18】評価試験における、テストパターンを示す図。
【
図19】実施例5における、
図1におけるIVa-IVa線位置相当の断面一部拡大図。
【
図20】変形例2における、筋肉電気刺激装置の背面一部拡大図。
【
図22】変形例3における、筋肉電気刺激装置の背面一部拡大図。
【
図23】実施例6における、本体部を取り外した状態の筋肉電気刺激装置の背面図。
【
図24】変形例5における、筋肉電気刺激装置の背面一部拡大図。
【
図25】実施例6における、電極の剥離態様を説明する模式図。
【
図26】変形例4における、筋肉電気刺激装置の背面図。
【
図27】変形例5における、筋肉電気刺激装置の背面図。
【
図28】参考例2における、筋肉電気刺激装置の背面図。
【
図29】実施例7における、筋肉電気刺激装置の背面図。
【
図30】実施例7における、第2ケースを外した状態の裏面一部拡大図。
【
図31】実施例7における、最短経路を説明する模式図。
【
図32】変形例6における、筋肉電気刺激装置の背面図。
【
図33】実施例8における、筋肉電気刺激装置の背面図の要部拡大図。
【
図34】実施例8における、
図1のIVa-IVa線位置相当の断面における、肌対面部近傍の拡大図。
【
図35】変形例7における、湾曲しつつ放射状に延設された溝を有する筋肉電気刺激装置の一部拡大背面図。
【
図36】変形例8における、肌対面部の外周端縁に両端が配置された溝を有する筋肉電気刺激装置の一部拡大背面図。
【
図37】変形例9における、略楕円形の肌対面部を有する筋肉電気刺激装置の背面図。
【
図38】実施例9における、筋肉電気刺激装置の分解斜視図。
【
図39】実施例9における、
図1のIVa-IVa線位置相当の断面における発音体近傍の拡大図。
【
図40】変形例10における、薄肉部を外殻形成体とは別体に構成した筋肉電気刺激装置の要部を示す一部拡大断面図。
【
図41】(a)は実施例10における
図1のIVa-IVa線位置相当の断面一部拡大図、(b)は
図1のIVc-IVc線位置相当の断面一部拡大図。
【
図42】実施例10における、筋肉電気刺激装置の構成を示すブロック図。
【
図43】実施例10における、振動体の(a)電源操作パターンを示す説明図、(b)強度増大パターンを示す説明図、(c)強度低下パターンを示す説明図、(d)限界通知パターンを示す説明図、(e)エラーパターンを示す説明図。
【
図44】実施例12における、
図1のIVa-IVa線位置相当の断面一部拡大図。
【
図45】実施例14における、ゲルパッドを貼り付けた状態の台紙の正面図。
【
図46】実施例15における、筋肉電気刺激装置の正面図。
【
図47】実施例16における、第2ケースを外した状態の裏面一部拡大図。
【
図48】実施例16における、筋肉電気刺激装置の構成を示すブロック図。
【
図49】実施例17における、筋肉電気刺激装置の構成を示すブロック図。
【
図50】実施例17における、電極の貼り付け態様を説明する模式図。
【
図51】実施例24における、電極の貼り付け態様を説明する模式図。
【
図52】実施例25における、電極の貼り付け態様を説明する模式図。
【
図53】実施例30における、筋肉電気刺激装置の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
上記筋肉電気刺激装置は、本体部が人のへその若干上側に位置するとともに、本体部の中心線が人の中心軸に平行となるように人の腹部に取り付けて使用する。なお、取付け時の本体部の位置がへその若干上側から多少ずれた位置であっても、電極が腹直筋に対応する位置にあれば腹直筋に電気刺激を与えることができる。また、筋肉電気刺激装置は、単独で人の腹部に取り付けることができる。さらに、当該筋肉電気刺激装置を腹部に取り付けた状態で、当該筋肉電気刺激装置の上から腹部を覆うベルトを巻き付けるようにしてもよい。この場合には、使用時における筋肉電気刺激装置の剥がれや脱落を確実に防止することができる。
【0011】
上記第1電極群と上記第2電極群とは、それぞれ同数の電極を含んでいることが好ましい。この場合には、電極部から人体を介して流れる電流に偏りが生じることを防止することができ、腹直筋における各電極が対応する区画の筋肉にバランス良く電気刺激を付与することができる。
【0012】
上記第1電極群に含まれる電極と上記第2電極群に含まれる電極とは、上記腹部に取り付けたときに、上記中心線を基準として線対称に位置するように構成されていることが好ましい。この場合には、筋肉電気刺激装置を腹部に取り付ける際に、本体部の中心線が人の中心軸に平行となるように人の腹部に取り付けるだけで、第1電極群に含まれる電極と第2電極群に含まれる電極とを左右一対の腹直筋に沿って配置することができる。そのため、腹直筋における各電極が対応する区画の筋肉にバランス良く電気刺激を付与することができる。
【0013】
上記第1電極群は、上記腹部に取り付けたときに、上記身長方向に配列するように構成された複数の電極を含んでいるとともに、上記第2電極群は、上記腹部に取り付けたときに、上記身長方向に配列するように構成された複数の電極を含んでいることが好ましい。この場合には、本体部の中心線が人の中心軸に平行となるように人の腹部に取り付けるだけで、左右一対の腹直筋のそれぞれにおいて人の身長方向に区分けされた区画の筋肉のそれぞれに各電極からバランス良く電気刺激を付与することができる。
【0014】
上記第1電極群及び上記第2電極群は、それぞれ3個の電極を含んでいることが好ましい。この場合には、腹直筋が6つ以上に区分けされた腹部において、各電極が6つの区画に対応して配置されることとなるため、当該区画の筋肉に一層効果的に電気刺激を付与することができる。
【0015】
上記第1電極群及び上記第2電極群は、上記腹部に取り付けたときに、上記人の身長方向において、上記第1電極群及び上記第2電極群のそれぞれにおける最も上側に位置する一対の上側電極対と、最も下側に位置する一対の下側電極対と、上記上側電極対と上記下側電極対との間に位置する一対の中央電極対と、が形成されるように構成されており、上記中央電極対は、上記上側電極対及び上記下側電極対よりも上記本体部から延設される方向に突出していることが好ましい。この場合には、腹直筋が6つ以上に区画された腹部において、各電極をより的確に腹直筋の6つの区画に対応して配置させることができるため、当該区画の筋肉に一層効果的に電気刺激を付与することができる。
【0016】
上記上側電極対は、上記下側電極対よりも上記本体部から延設される方向に突出していることが好ましい。この場合には、腹直筋が6つ以上に区画された腹部において、本体部の中心線が人の中心軸に平行となるように人の腹部に取り付けるだけで、各電極をさらに的確に6つの区画に対応して配置させることができるため、当該区画の筋肉に一層効果的に電気刺激を付与することができる。
【0017】
上記第1電極群及び上記第2電極群において互いに隣り合う電極の間には、上記本体部に向かって切り込まれた切り込み部が形成されていることが好ましい。この場合には、使用中に、人の腹部の動きに追従して電極部が変形しやすくなるため、使用中における電極部の腹部からの剥離や、筋肉電気刺激装置の腹部からの脱落が防止される。また、切り込み部により、筋肉電気刺激装置と腹部との間に生じる汗や蒸れが溜まるのを低減することができる。これによっても、使用中における電極部の腹部からの剥離や、筋肉電気刺激装置の腹部からの脱落が防止される。
【実施例0018】
(実施例1)本例の実施例に係る筋肉電気刺激装置につき、
図1~
図12を用いて説明する。本例の筋肉電気刺激装置1は、
図1~
図4、
図6に示すように、本体部10、電源部20、電極部30、制御部40及び操作部50を備える。電源部20は、
図4に示すように、本体部10に収納されている。電極部30は、
図6に示すように、電源部20から電力が供給されるように構成されている。制御部40は、電極部30への電力供給を制御する。操作部50は、制御部40の制御態様を変更可能に構成されている。そして、筋肉電気刺激装置1は、電極部30を人2の腹部3に当接させて該腹部3に電気刺激を付与するように構成されている。
【0019】
図2に示すように、電極部30は、第1電極群31と第2電極群32を備える。第1電極群31は、
図5に示すように、腹部3の真ん中に取り付けたときに人2の身長方向Yに平行で本体部10の中心を通る中心線10aよりも人2の右手側X1に位置するように、本体部10から延出している。第2電極群32は、
図5に示すように、腹部3の真ん中に取り付けたときに中心線10aよりも人2の左手側X2に位置するように、本体部10から延出している。第1電極群31と第2電極群32との間は人2を介して通電可能に構成されている。そして、第1電極群31と第2電極群32とは合わせて4個以上(実施例1では6個)の電極を含んでいる。
【0020】
本例の筋肉電気刺激装置1は、その表側面(すなわち、後述の電極支持部121の外表面121a)と反対側の裏側面(すなわち、後述の基材33において電極部30が形成される側の面である裏側面33a)が人2の腹部3に対向するように取り付ける。そして、本例の筋肉電気刺激装置1は、
図5に示すように、人2の腹部3に取り付けて使用される。そして、本例では、人2の背丈の長手方向を身長方向Yというものとする。そして、身長方向Yにおける頭部へ向かう向きを上側Y1、脚部へ向かう向きを下側Y2という。また、人2の正面に面して、身長方向Yに平行でへそ3aを通る人2の中心軸2aから人2の右手5a側への方向を右方向X1といい、中心軸2aから人2の左手5b側への方向を左方向X2というものとする。そして、右方向X1と左方向X2とを合わせて左右方向Xという。
【0021】
以下、筋肉電気刺激装置1について詳述する。
図1に示すように、本体部10は、筋肉電気刺激装置1の中央に設けられている。
図1及び
図3に示すように、本体部10は、略円盤状をなしている。
図4に示すように、本体部10は、後述の電源部20及び制御部40を収納するケース11と、ケース11に取り付けられて筋肉電気刺激装置1の外殻を形成する外殻形成体12と、からなる。
【0022】
図4(a)、
図4(b)、
図4(c)に示すように、外殻形成体12は、後述の基材33が設けられる側の面12bと、その反対側の外表面12aとを有している。外殻形成体12はエラストマーからなり、本例では黒色のシリコン製である。そして、後述するように、基材33の表側面33bを覆うように、外殻形成体12から電極支持部121が延出されている。これにより、本体部10の周囲に電極支持部121と基材33とからなる延出部120が形成されている。そして、電極支持部121の外表面121aには、
図1に示すように、後述の各電極311~313、321~323の外縁に略沿った線状を成す着色領域122が形成されている。本例では、着色領域122は橙色に着色されている。
【0023】
図4(a)、
図4(b)、
図4(c)に示すように、ケース11は凹状をなす第1ケース111と、第1ケース111に取り付けられて、第1ケース111との間に制御部40を収納する収納部13を形成する第2ケース112とからなる。第1ケース111及び第2ケース112はいずれもABS製である。そして、第2ケース112の外縁に沿って、立設されたリブ112aが、第1ケース111の外縁部111aの内側に嵌合して第1ケース111に第2ケース112が接合されている。
【0024】
第1ケース111には、
図1、
図4(b)、
図4(c)に示すように、後述する操作部50の一部を形成する第1カンチレバー51a及び第2カンチレバー51bが形成されている。第1カンチレバー51a及び第2カンチレバー51bは、第1ケース111の壁の一部をくり抜いて片持ち梁の状態に形成されている。第1カンチレバー51aと第2カンチレバー51bとは、身長方向Yの上側から下側に向かって、この順で配列している。
【0025】
図1、
図4(b)、
図4(c)に示すように、両カンチレバー51a、51bは、外殻形成体12に覆われている。そして、外殻形成体12において、第1カンチレバー51aの直上には記号「+」が突出形成されており、第2カンチレバー51bの直上には記号「-」が突出形成されており、後述する操作部50の一部を形成する操作面54を形成している。両カンチレバー51a、51bの配列により、「+」が身長方向Yの上側となるとともに、「-」が身長方向Y下側となり、人間工学的に使用者が操作しやすいものとなっている。
【0026】
図4(a)、
図4(b)、
図4(c)に示すように、第1ケース111と第2ケース112との間に形成された収納部13には、制御部40(
図6参照)を形成する制御基板41が収納されている。制御基板41はプリント基板であって、制御基板41には図示しない配線パターンと電子部品42等とが設けられて、制御回路が形成されている。
図4(b)に示すように、制御基板41は、第1ケース111の内側面に突出形成された4つのボス116とねじ115を介して、第1ケース111に固定されている。なお、
図4(b)では4つのボス116のうちの3つが記載されている。また、制御基板41には、表面実装型の小型のスピーカ43が電気的に接続されている。電子部品42及びスピーカ43の駆動電圧は、いずれも3.0Vとなっている。また、図示しないが、制御基板41には、電池21の出力電圧を昇圧する昇圧回路が搭載されている。これにより、電池21の電力は所定の電圧(例えば、40V)に昇圧されて電極部30に供給される。
【0027】
図4(b)、
図4(c)に示すように、収納部13には、操作部50を形成するスイッチ機構52も収納されている。スイッチ機構52はタクトスイッチであって、押下可能なスイッチ部53を備える。スイッチ機構52は制御部40に電気的に接続されている。スイッチ機構52は第1ケース111に形成された第1カンチレバー51a及び第2カンチレバー51bの直下にそれぞれ配設されている。これにより、第1ケース111を覆う外殻形成体12の操作面54を介して外部から第1カンチレバー51aを押圧すると、片持ち梁状態の第1カンチレバー51aが撓むことにより、スイッチ機構52のスイッチ部53が押下されるようになっている。そして、操作面54における押圧を解除すると、片持ち梁状態の第1カンチレバー51aの復元力により、第1カンチレバー51aは元の位置に戻ることとなる。第2カンチレバー51bにおいても同様に押圧及び押圧の解除が行われるように構成されている。
【0028】
図4(a)、
図4(b)、
図4(c)に示すように、第2ケース112には、電源部20を構成する電池21を保持する電池保持部14が形成されている。これにより、本体部10に電源部20が内蔵されることとなっている。電池21は交換可能であって、例えば、コイン電池又はボタン電池とすることができる。本例では、電池21として、小型で薄型のコイン電池(リチウムイオン電池CR2032、公称電圧3.0V)を採用している。なお、当該電池21に替えて、公称電圧が3.0~5.0Vの電池を採用することができる。
【0029】
上記電池21が保持される電池保持部14には、電池21の脱落を防止する蓋15が着脱可能に取り付けられている。蓋15は、電池21よりも一回り大きい円盤状をなしており、その外周には蓋15と第2ケース112との間をシールするОリング16が嵌装されている。電池21は、図示しないリードを介して制御部40に電気的に接続されている。
図2に示すように、第2ケース112には、蓋15の外周から放射状に延びる線状の溝113が等間隔に複数形成されている。
【0030】
図4(a)、
図4(b)、
図4(c)に示すように、第2ケース112には、リブ112aの外側に突出した鍔部112bが形成されている。鍔部112bと第1ケース111の外縁部111aとの間には、図示しない防水用両面シールを介して、シート状の基材33が挟持されている。基材33はPET製である。
図2に示すように、基材33は、本体部10からシート状に延出している。
図1及び
図3に示すように、操作面54が露出する側の面である基材33の表側面33bは、外殻形成体12から延出された電極支持部121により覆われている。そして、基材33における表側面33bと反対側の裏側面33aは、筋肉電気刺激装置1における外殻形成体12側の面(表側面)と反対側の裏面側の全域に広がっている。そして、基材33と電極支持部121とは、図示しない3M社製の粘着テープ及びシリコン接着処理剤によって接合されている。
【0031】
図2及び
図6に示すように、電極部30は第1電極群31と第2電極群32を備える。第1電極群31は、
図5に示すように、腹部3に取り付けたときに中心線10aよりも人2の右手5a側の右方向X1に位置するように、本体部10から延出している。第2電極群32は、
図5に示すように、腹部3に取り付けたときに中心線10aよりも人2の左手5b側の左方向X2に位置するように、本体部10から延出している。第1電極群31には、第1電極としての第1右側電極311、第2電極としての第2右側電極312及び第3電極としての第3右側電極313が含まれており、第2電極群32には、第1電極としての第1左側電極321、第2電極としての第2左側電極322及び第3電極としての第3左側電極323が含まれている。
【0032】
各電極311~313、321~323はいずれも、角部が丸みを帯びた略長方形に形成されている。そして、各電極311~313、321~323の長手方向(例えば、
図2のように、第3右側電極313において符号wで示す方向)が、左右方向Xに概ね沿っている。本例では、各電極311~313、321~323はいずれも同一の形状を成している。各電極311~313、321~323の形状は、例えば、長手方向の長さをw、短手方向の長さをhとしたとき、h/wを0.40~0.95、好ましくは0.50~0.80とすることができ、本例では、h/wは0.55としている。
【0033】
図2に示すように、各電極311~313、321~323の内側には所定大きさの六角形をなす電極非形成部34が所定間隔をあけて、複数形成されている。また、各右側電極311、312、313には、制御部40に接続するためのリード部311a、312a、313aが本体部10から引き出されるようにそれぞれ形成されている。同様に、各左側電極321、322、323には、制御部40に接続するためのリード部321a、322a、323aが本体部10から引き出されるようにそれぞれ形成されている。各リード部311a~313a、321a~323aには、シリコンコーティングが施されており、外部と導通できないようになっている。また、各電極311~313、321~323においてリード部311a~313a、321a~323aに繋がる部分とその近傍領域(
図2において、符号Cで示す斜線領域)にも、シリコンコーティングが施されており、外部と導通できないようになっている。各右側電極311~313は互いに並列接続され、各左側電極321~323も互いに並列接続されている。
【0034】
図2に示すように、電極部30は基材33の裏側面33aに形成されている。これにより、電極部30は本体部10と一体的に形成されている。電極部30は、銀ペーストを含む導電性インクを基材33の裏側面33aに印刷して形成されている。第1電極群31及び第2電極群32には合わせて4個以上の電極が含まれている。本例では、第1電極群31と第2電極群32とはそれぞれ同数の電極311~313、321~323を含んでおり、その数はそれぞれ3個である。すなわち、第1電極群31には、第1右側電極311、第2右側電極312及び第3右側電極313が備えられている。複数の第2電極群32には、第1左側電極321、第2左側電極322及び第3左側電極323が備えられている。そして、基材33において、第1右側電極311、第2右側電極312及び第3右側電極313が形成される部分をそれぞれ、第1右側電極基部331、第2右側電極基部332及び第3右側電極基部333とし、第1左側電極321、第2左側電極322及び第3左側電極323が形成される部分をそれぞれ、第1左側電極基部341、第2左側電極基部342及び第3左側電極基部343とする。
【0035】
そして、各電極311~313、321~323には、ゲルパッド35(積水化成品工業株式会社製「テクノゲル(登録商標)」、型番SR-RA240/100)が貼付されている。ゲルパッド35は導電性を有しており、各電極311~313、321~323はゲルパッド35を介して腹部3(
図5参照)への通電が可能となっている。また、ゲルパッド35は高い粘着性を有しており、ゲルパッド35を介して、筋肉電気刺激装置1が腹部3に取り付けられるようになっている。
【0036】
ゲルパッド35は、
図2に示すように、各電極311~313、321~323よりも一回り大きい形状を有しており、各電極311~313、321~323を個別に覆っている。ゲルパッド35は交換可能となっているため、ゲルパッド35が、使用に伴って粘着力が低下したり、破損したり、汚れが目立つようになったりした場合などには、適宜交換することができる。また、所定期間(例えば、1ヶ月、2か月など)ごとに使用済みのゲルパッド35を新品のものと交換することとしてもよい。
【0037】
図2に示すように、第1右側電極311、第2右側電極312及び第3右側電極313はいずれも、人2(
図5参照)の身長方向Yに平行で本体部10の中心を通る中心線10aよりも人2の右手側X1(第1領域G1)に位置するように、本体部10から延出している。そして、第1右側電極311、第2右側電極312及び第3右側電極313は、身長方向Yに沿って上側から下側に向かってこの順で配列している。
【0038】
一方、第1左側電極321、第2左側電極322及び第3左側電極323は、中心線10aから人2の左手5b側への方向X2(第2領域G2)に位置するように、本体部10から延出している。そして、第1左側電極321、第2左側電極322及び第3左側電極323も、身長方向Yに沿って上側から下側に向かってこの順で配列している。
【0039】
そして、
図2に示すように、第1電極群31と第2電極群32とが、腹部3(
図5参照)に取り付けたときに、中心線10aを基準として線対称に位置するように構成されている。すなわち、腹部3に取り付けたときに中心線10aを基準として、第1右側電極311と第1左側電極321とが線対称に位置し、第2右側電極312と第2左側電極322とが線対称に位置し、第3右側電極313と第3左側電極323とが線対称に位置するように構成されている。
【0040】
また、
図2に示すように、第1電極群31及び第2電極群32は、腹部3(
図5参照)に取り付けたときに、身長方向Yにおいて、第1電極群31及び上記第2電極群32のそれぞれにおける最も上側に位置する第1右側電極311と第1左側電極321とからなる一対の上側電極対301と、最も下側に位置する第3右側電極313と第3左側電極323とからなる一対の下側電極対303と、上側電極対301と下側電極対303との間に位置する一対の第2右側電極312と第2左側電極322とからなる中央電極対302と、が形成されるように構成されている。これにより、上側電極対301、中央電極対302及び下側電極対303は、身長方向Yに沿って上側から下側に向かってこの順で配列している。
【0041】
そして、中央電極対302は、上側電極対301及び下側電極対303よりも本体部10から延設される方向(左右方向X)に突出している。すなわち、腹部3に取り付けたときに、中央電極対302を構成する第2右側電極312は、上側電極対301を構成する第1右側電極311及び下側電極対303を構成する第3右側電極313よりも右方向X1に突出している。同様に、中央電極対302を構成する第2左側電極322は、上側電極対301を構成する第1左側電極321及び下側電極対303を構成する第3左側電極323よりも左方向X2に突出している。
【0042】
また、
図2に示すように、上側電極対301は延出方向に向かうほど上側に位置するようにV字状に傾斜している。そして、上述の如く、各電極311~313、321~323は同一の大きさとなっている。一方、電極部30の基材33における各右側電極基部331~333は各右側電極311~313よりも大きくなっており、各左側電極基部341~343は、各左側電極321~323よりも大きくなっている。
【0043】
また、
図2に示すように、上側電極対301は、下側電極対303よりも本体部10から延設される方向(左右方向X)に突出している。すなわち、腹部3に取り付けたときに、上側電極対301を構成する第1右側電極311は、下側電極対303を構成する第3右側電極313よりも右方向X1に突出している。同様に、上側電極対301を構成する第1左側電極321は、下側電極対303を構成する第3左側電極323よりも左方向X2に突出している。
【0044】
そして、
図2に示すように、第1右側電極基部331の下方外縁部331aは右方向X1に膨出しており、第1左側電極基部341の下方外縁部341aは左方向X2に膨出している。また、第2右側電極基部332の中央外縁部332aは右方向X1に若干膨出しており、第2左側電極基部342の中央外縁部342aは左方向X2に若干膨出している。さらに、第3右側電極基部333の上方外縁部333aは右方向X1に膨出しており、第3右側電極基部333の下方外縁部333bは下方向(Y方向における下側方向)に膨出している。また、第3左側電極基部343の上方外縁部343aは左方向X2に膨出しており、第3左側電極基部343の下方外縁部343bは下方向に膨出している。
【0045】
基材33における各基部331~333、341~343を上述のようにすることで、
図1に示すように、筋肉電気刺激装置1を正面側から見たとき、上側電極対301、中央電極対302及び下側電極対303のそれぞれの大きさが異なるように視認されるとともに、腹部3における腹直筋4の区画4a(
図5参照)の形状を模した形状であると視認される。これにより、筋肉電気刺激装置1が腹直筋4の各区画4aの刺激に適しているとの印象を使用者に与えることができ、使用者における筋肉電気刺激装置1の使用へのモチベーションを高める効果が期待できる。さらに、かかる形状であると認識されることにより、腹部が引き締まって腹筋が割れたイメージを使用者に想起させることができる。これにより、筋肉電気刺激装置1を使用することにより、腹筋が割れて引き締まった腹部3とするためのイメージトレーニングの効果が得られる(イメージトレーニングによる運動効果の向上は一般によく知られている。)。
【0046】
また、
図2に示すように、第1電極群31及び第2電極群32において互いに隣り合う電極311~313、321~323の間には、本体部10に向かって切り込まれた切り込み部17が形成されている。本例では、第1右側電極311と第2右側電極312との間、第2右側電極312と第3右側電極313との間、第3右側電極313と第3左側電極323との間、第3左側電極323と第2左側電極322との間、第2左側電極322と第1左側電極321との間、及び第1左側電極321と第1右側電極311との間、の合計6カ所に切り込み部17が形成されている。さらに、本体部10の周囲には、貫通孔18が4カ所形成されている。
【0047】
次に、本例の筋肉電気刺激装置1の構成について、ブロック図を用いて説明する。
図6に示すように、筋肉電気刺激装置1は、本体部10の内部に、電源部20、制御部40、操作部50に加えるとともに、肌検知部402及び電池電圧検出部406を備える。
【0048】
肌検知部402は、電極部30が肌に接しているか否かを検知する。詳細には、肌検知部402は、電極部30に電気的に接続され、第1電極群31と第2電極群32との間の抵抗値を検出する。そして、検出した値と予め設定された閾値とを比較して、検出した値が閾値よりも小さいときに、第1電極群31及び第2電極群32に肌が接していることを検知する。
【0049】
電池電圧検出部406は、電源部20における電池21の電圧を検知し、検知された電源部20における電池21の電池電圧Vが所定の閾値Vmよりも低いか否か判定する。本例では電池21の公称電圧V0は3.0Vであって、閾値Vmは2.1Vである。
【0050】
図6に示すように、電源部20には、電池21が備えられる。また、制御部40には、出力調整部401、電源オフカウンタ403、タイマー404、出力モード切替部405及び出力モード記憶部405aが備えられる。出力調整部401は電極部30における出力電圧(出力レベル)を調整する。本例では、最大出力電圧は40Vであり、出力レベルが1下がるごとに、100%出力電圧が2.0V低下するように設定されている。出力レベルはレベル1からレベル15までの15段階となっている。
【0051】
電源オフカウンタ403は、カウント開始信号を受けてからの経過時間を計測する。タイマー404は、出力開始信号を受けてからの経過時間を計測する。出力モード切替部405は、電極部30における出力モードを第1出力モード、第2出力モード及び第3出力モードのいずれかに切り替える。出力モード記憶部405aには、第1出力モード、第2出力モード及び第3出力モードが記憶されている。第1出力モード、第2出力モード及び第3出力モードには、パルス群出力中断期間R1~R5を有するバースト波パターンとしての基本波形が予め記憶されており、出力モード記憶部405aがバースト波パターン記憶部を構成している。なお、バースト波パターン記憶部405aは、プログラム上のバースト波の波形の定義記載も含むものとする。
【0052】
次に、電極部30における出力モードについて、説明する。まず、出力モード記憶部405aには、
図7(a)~(e)に示す5つの基本波形B1~B5が記憶されている。各基本波形B1~B5は、パルス幅100μsの双極性波からなる電気信号を100μs間隔で5回出力する合計1msの刺激ステップPと、当該電気信号を出力しない所定時間の刺激停止ステップR1~R5とからなる。かかる基本波形B1~B5を所定の組み合わせで所定期間繰り返し出力することにより、刺激ステップPが所定の周期で出力されるバースト波が出力されることとなる。本例では、刺激ステップPにおける電気信号の電圧値は最大で+40V又は-40Vである。
【0053】
図7(a)に示すように、基本波形B1(2Hz)は、1msの刺激ステップPと、499msの刺激停止ステップR1とからなる。すなわち、基本波形B1(2Hz)は、刺激ステップPが2Hzの周波数で出力されるものである。また、
図7(b)に示すように、基本波形B2(4Hz)は、1msの刺激ステップPと、249msの刺激停止ステップR2とからなる。すなわち、基本波形B2(4Hz)は、刺激ステップPが4Hzの周波数で出力されるものである。また、
図7(c)に示すように、基本波形B3(8Hz)は、1msの刺激ステップPと、124msの刺激停止ステップR3とからなる。すなわち、基本波形B3(8Hz)は、刺激ステップPが8Hzの周波数で出力されるものである。また、
図7(d)に示すように、基本波形B4(16Hz)は、1msの刺激ステップPと、61.5msの刺激停止ステップR4とからなる。すなわち、基本波形B4(16Hz)は、刺激ステップPが16Hzの周波数で出力されるものである。また、
図7(e)に示すように、基本波形B5(20Hz)は、1msの刺激ステップPと、49msの刺激停止ステップR4とからなる。すなわち、基本波形B5(20Hz)は、刺激ステップPが20Hzの周波数で出力されるものである。
【0054】
すなわち、各基本波形B1~B5は、共通の刺激ステップPを有しているとともに、刺激停止ステップR1~R5の長さが異なっている。これにより、各基本波形B1~B5における刺激ステップPの出現頻度が、上述の如く、所定の周期にそれぞれ設定されることとなっている。
【0055】
そして、出力モード記憶部405aに記憶された第1~第3出力モードは、上述の基本波形B1~B5を所定の態様で組み合わせて形成されている。まず、表1に示すように、第1出力モードは、下記の第1ステータス~第4ステータスを順に行うように構成されたウォームアップモードである。各ステータスの条件は以下のとおりである。(1)第1ステータスでは、基本波形B1(2Hz)で20秒間、100%の出力を行う。なお、
図8に示すように、第1ステータスにおける開始5秒間は出力電圧を0%から徐々に大きくして100%にする、いわゆるソフトスタートを行う。(2)第2ステータスでは、基本波形B2(4Hz)で20秒間、100%の出力を行う。(3)第3ステータスでは、基本波形B3(8Hz)で10秒間、100%の出力を行う。(4)第4ステータスでは、基本波形B4(16Hz)で10秒間、100%の出力を行う。そして、第1出力モードの継続期間(すなわち、第1ステータス~第4ステータスの継続期間の合計)は1分間である。かかる第1出力モードでは、基本波形の周波数が2Hzから16Hzへ段階的に高くなるように構成されているため、第1出力モードをウォームアップモードと呼んでいる。
【0056】
【表1】
かかるウォームアップモードとしての第1出力モードでは、バースト波の周波数が2Hzから16Hzへ段階的に高くなるのに伴って筋肉の運動頻度が高まり、当該筋肉や体が次第に温まる。これにより、急激な血圧上昇、当該筋肉における一時的な酸素不足などが生じることが防止される。また、当該筋肉が徐々に温まることにより、血流量が増して当該筋肉の柔軟性が高まる。これにより、後続のトレーニングモードにおいて、筋肉の刺激による効果が一層得られやすくなる。また、トレーニングモードに先行して当該ウォームアップモードを行うことによって、使用者が刺激に適度に慣れることができるため、体感が向上する。
【0057】
次に、表2に示すように、第2出力モードは、下記の第1ステータス~第4ステータスを順に行うように構成されたトレーニングモードである。各ステータスの条件は以下のとおりである。(1)第1ステータスでは、基本波形B5(20Hz)で3秒間、100%の出力を行った後、出力なしを2秒間維持する。これを5分間繰り返す。(2)第2ステータスでは、基本波形B5(20Hz)で3秒間、100%の出力を行った後、基本波形B2(4Hz)で2秒間、100%の出力を行う。これを5分間繰り返す。(3)第3ステータスでは、基本波形B5(20Hz)で4秒間、100%の出力を行った後、基本波形B2(4Hz)で2秒間、100%の出力を行う。これを5分間繰り返す。(4)第4ステータスでは、基本波形B5(20Hz)で5秒間、100%の出力を行った後、基本波形B2(4Hz)で2秒間、100%の出力を行う。これを5分間繰り返す。なお、
図8に示すように、第2出力モードでは第1ステータス~第4ステータスにおけるそれぞれの開始5秒間は、出力電圧を0%から徐々に大きくして100%にする、いわゆるソフトスタートを行う。そして、第2出力モードの継続期間は20分間である。かかる第2出力モードでは、周波数20Hzの基本波形B5を所定期間維持した後、出力なし又は周波数4Hzの基本波形B2を所定期間維持するため、筋肉を効果的に刺激するのに優れている。そのため、第2出力モードをトレーニングモードと呼んでいる。
【0058】
【表2】
次に、表3に示すように、第3出力モードは、下記の第1ステータス~第4ステータスを順に行うように構成されたクールダウンモードである。各ステータスの条件は以下のとおりである。(1)第1ステータスでは、基本波形B4(16Hz)で10秒間、出力を行う。(2)第2ステータスでは、基本波形B3(8Hz)で10秒間、出力を行う。(3)第3ステータスでは、基本波形B2(4Hz)で20秒間、出力を行う。(4)第4ステータスでは、基本波形B1(2Hz)で20秒間、出力を行う。なお、第3出力モードでは、各ステータスにおける出力は、
図8に示すように、第1ステータス開始時には100%とし、第4ステータス終了時に50%となるように徐々に減少させる。そして、第3出力モードの継続期間は1分間である。かかる第3出力モードでは、基本波形の周波数が16Hzから2Hzへ段階的に低くなるように構成されているため、第3出力モードをクールダウンモードと呼んでいる。
【0059】
【表3】
かかるクールダウンモードとしての第3出力モードでは、バースト波の周波数が16Hzから2Hzへ段階的に低くなるのに伴って筋肉の運動頻度が低下することにより、当該温まっていた筋肉や体が徐々に冷まされることとなる。そして、先行するトレーニングモードにおいて筋肉に生じた疲労物質を当該筋肉から積極的に排出して、当該筋肉に疲労物質が過剰に残留することが防止される。
【0060】
以上のように、第1出力モード(ウォームアップモード)、第2出力モード(トレーニングモード)及び第3出力モード(クールダウンモード)を連続して行った場合の合計時間は22分間となる。なお、本例では、
図8に示すように、第1出力モードと第2出力モードとの間、及び第2出力モードにおける各ステータスの間の合計4カ所に、それぞれ2秒間の休止期間が設けられている。そのため、当該休止期間を含めた全行程の合計時間は22分8秒間となっている。
【0061】
次に、本例の筋肉電気刺激装置1における使用態様について、以下に詳述する。
図9に示すメイン動作フローS100について説明する。メイン動作フローS100では、まず、操作面54の「+」を2秒間押下する(S101)。これにより、筋肉電気刺激装置1の電源がオンとなって、筋肉電気刺激装置1が起動されるとともに、起動されたことを通知する通知音(「ピー」)が、スピーカ43により発せられる(S102)。その後、筋肉電気刺激装置1は、出力待機状態となり出力レベルが0にされるとともに、操作部50の入力が無効化される(S103)。
【0062】
次に、肌検知部402により、電極部30に肌が接しているか否かを検知する(S104)。肌検知部402によって、電極部30に肌が接していることが検知された場合(S104のYes)は、操作部50を有効化する(S105)。そして、操作部50により出力レベルを入力する(S106)。出力レベルの入力は、操作部50の操作面54から行う。操作部50の操作面54の「+」を押すごとに出力レベルが1レベル大きくなり、操作面54の「-」を押すごとに出力レベルが1レベル小さくなる。出力レベルが設定されると、制御部40からタイマー404へ出力開始信号を送り、タイマー404において計測が開始される(S107)。また、出力レベルの操作は使用時間中(操作部50の有効化後から電源オフまで)のいつでも可能である。
【0063】
タイマー404の計測開始時(経過時間0)から経過時間1分までの間は、電極部30における出力モードを第1出力モード(ウォームアップモード)とする(S108)。経過時間1分に達すると、出力モード切替部405により、電極部30における出力モードを第2出力モード(トレーニングモード)に切り替え、経過時間21分までの20分間維持する(S109)。経過時間21分に達すると、出力モード切替部405により、電極部30における出力モードを第3出力モード(クールダウンモード)に切り替え、経過時間22分までの1分間維持する(S110)。経過時間22分に達すると、タイマー404における計測を終了する(S111)。そして、筋肉電気刺激装置1を停止する(S112)。このように、S108からS111が行われることにより、第1出力モード(ウォームアップモード)、第2出力モード(トレーニングモード)及び第3出力モード(クールダウンモード)が1セット行われて、終了することとなる。なお、上記経過時間はそれぞれ休止期間の2秒を含まないものとする。
【0064】
一方、肌検知部402によって、電極部30に肌が接していないと判定された場合(S104のNo)は、その旨を通知する通知音(「ピ、ピ、ピ」)が、スピーカ43により発せられる(S113)。そして、電源オフカウンタ403において経過時間の計測をスタートする(S114)。
【0065】
次に肌検知部402により、電極部30に肌が接しているか否かを検知する(S115)。肌検知部402によって、電極部30に肌が接していることが検知された場合は、上述のステップS103に戻って、出力待機状態となる(S115のYes)。一方、肌検知部402によって、電極部30に肌が接していないと判定された場合(S115のNo)は、電源オフカウンタ403における経過時間が2分を超えたか否かを判定する(S116)。電源オフカウンタ403における経過時間が2分を超えていないと判定された場合(S116のNo)は、再度S115に戻り、肌検知部402により、電極部30に肌が接しているか否かを検知する。一方、S116において、電源オフカウンタ403における経過時間が2分を超えていると判定された場合(S116のYes)は、筋肉電気刺激装置1の電源がオフとなる(S117)。
【0066】
次に、上述のメイン動作フローS100におけるS105~S110の間に割り込んで優先処理される割り込み処理について説明する。
図10に示すように、第1の割り込み処理として、肌検出割り込み処理S200が行われる。肌検出割り込み処理S200は、使用途中で電極が人体から離脱した場合に、自動的に電源をオフにする機能として用いられる。肌検出割り込み処理S200では、まず、肌検知部402により、電極部30に肌が接しているか否かを検知する(S201)。肌検知部402によって、電極部30に肌が接していることが検知された場合(S201のYes)は、メイン動作フローS100における元のフローへ戻る。一方、肌検知部402によって、電極部30に肌が接していないと判定された場合(S201のNo)は、その旨を通知する通知音(「ピ、ピ、ピ」)が、スピーカ43により発せられる(S202)。そして、電源オフカウンタ403が経過時間の計測をスタートする(S203)。
【0067】
次に肌検知部402により、電極部30に肌が接しているか否かを検知する(S204)。肌検知部402によって、電極部30に肌が接していることが検知された場合は、メイン動作フローS100のステップS103に戻る(S204のYes)。一方、肌検知部402によって、電極部30に肌が接していないと判定された場合(S204のNo)は、電源オフカウンタ403における経過時間が2分を超えたか否かを判定する(S205)。電源オフカウンタ403における経過時間が2分を超えていないと判定された場合(S205のNo)は、再度S204に戻り、肌検知部402により、電極部30に肌が接しているか否かを検知する。一方、S205において、電源オフカウンタ403における経過時間が2分を超えていると判定された場合(S205のYes)は、筋肉電気刺激装置1の電源がオフとなる(S206)。
【0068】
次に、
図11に示すように、上述のメイン動作フローS100におけるS105~S110の間に割り込んで優先処理される第2の割り込み処理である電池電圧低下処理S300について説明する。電池電圧低下処理S300は、電池21の電池電圧が低下した場合に自動で電源をオフにする機能である。これにより、使用者は電池交換の対応が必要な場合等にこれを容易に知ることができる。まず、電池電圧検出部406により、検知された電源部20における電池21の電池電圧Vが所定の閾値Vmよりも低いか否か判定する(S301)。電池電圧Vが所定の閾値Vmよりも低くないと判定された場合(S301のNo)は、メイン動作フローS100における元のフローへ戻る。一方、電池電圧Vが所定の閾値Vmよりも低いと判定された場合は、その旨を通知する通知音(「ピ、ピ、ピ」)が、スピーカ43により発せられる(S302)。そして、制御部40から電源オフカウンタ403へカウント開始信号を送り、電源オフカウンタ403において経過時間の計測をスタートする(S303)。
【0069】
次に、電源オフカウンタ403における経過時間が2分を超えたか否かを判定する(S304)。電源オフカウンタ403における経過時間が2分を超えていないと判定された場合(S304のNo)は、再度S304に戻る。電源オフカウンタ403における経過時間が2分を超えていると判定された場合(S304のYes)は、筋肉電気刺激装置1の電源がオフとなる(S305)。
【0070】
次に、
図12に示すように、上述のメイン動作フローS100におけるS105~S110の間に割り込んで優先処理される第3の割り込み処理である中断処理S400について説明する。まず、制御部40により、操作部50における操作面54の「-」ボタンを押下している時間が2秒以上か否か判定する(S401)。「-」ボタンを押下している時間が2秒以上でないと判定された場合(S401のNo)は、メイン動作フローS100における元のフローへ戻る。一方、「-」ボタンを押下している時間が2秒以上であると判定された場合(S401のYes)は、筋肉電気刺激装置1の電源をオフにして終了する旨を通知する通知音(「ピー」)が、スピーカ43により発せられる(S402)。そして、電源をオフにする(S403)。
【0071】
以下、本例の筋肉電気刺激装置1の作用効果について、詳述する。本例の筋肉電気刺激装置1によれば、電極部30の第1電極群31と第2電極群32とは合わせて4個以上の電極311~313、321~323を含んでいる。さらに、筋肉電気刺激装置1を人2の腹部3に取り付けたときに、第1電極群31は本体部10の中心線10aよりも人2の右手側X1(第1領域S1)に位置し、第2電極群32は本体部10の中心線10aよりも人2の左手側X2(第2領域S2)に位置するように構成されている。そのため、筋肉電気刺激装置1は、各電極311~313、321~323を4つ以上の区画に対応するように取り付けやすくなっている。そのため、各電極311~313、321~323が対応する区画において、電極311~313、321~323を介してそれぞれの運動点(表皮上に存在する、筋肉へ繋がる神経に通電させやすい箇所)に電気刺激を付与させやすい。その結果、各区画4aの筋肉に電気刺激を効果的に付与することができる。これにより、腹直筋の筋肉運動(収縮及び弛緩)の他、筋肉の運動による血流促進、腹直筋の肥大及び代謝促進の効果を奏することができる。
【0072】
また、第1電極群31が右手側X1(第1領域G1)に配置され、第2電極群32が左手側X2(第2領域G2)に配置されているため、筋肉電気刺激装置1を腹部3に取り付けたときに、第1電極群31と第2電極群32とが本体部10を挟んで、人2の左右方向Xに並ぶようになる。そのため、本体部10の左右に同等の電気刺激が付与されることとなり、腹筋(腹直筋4)をバランス良く刺激することができる。
【0073】
また、筋肉電気刺激装置1では、電源部20が本体部10に収納されているため、外部から電力を供給する必要がなく、ワイヤレスとなっている。そのため、使い勝手が良いとともに、外部電源がない場所でも使用することができる。
【0074】
また、第1電極群31及び第2電極群32は、本体部10から延出されて形成されることにより、本体部10と一体的に設けられている。したがって、第1電極群31及び第2電極群32は、本体部10を基準に互いに特定の位置関係を保った状態で腹部3に張り付けられることとなる。すなわち、本例では、第1右側電極311は本体部10の右方向X1側における上側に位置する。第2右側電極312は本体部10の右方向X1側における中央側に位置する。第3右側電極313は本体部10の右方向X1側における下側に位置する。第1左側電極321は本体部10の左方向X2側における上側に位置する。第2左側電極322は本体部10の左方向X2側における中央側に位置する。第3左側電極323は本体部10の左方向X2側における下側に位置する。これにより、本体部10が、人2のへそ3aの若干上側に位置するとともに、本体部10の中心線10aが人2の中心軸2aに平行となるように人2の腹部3に取り付けるだけで、容易に第1電極群31及び第2電極群32を腹筋(腹直筋4)における4つ以上の区画4aに対応するように取り付けることがでる。そのため、使い勝手の良い筋肉電気刺激装置1となる。
【0075】
また、本例では、第1電極群31と第2電極群32とは、それぞれ同数の電極311~313、321~323を含んでいる。これにより、電極部30から人体を介して流れる電流に偏りが生じることを防止することができ、腹直筋4における各電極311~313、321~323が対応する区画4aの筋肉にバランス良く電気刺激を付与することができる。
【0076】
また、本例では、第1電極群31に含まれる右側電極311~313と第2電極群32に含まれる左側電極321~323は、腹部3に取り付けたときに、中心線10aを基準として線対称に位置するように構成されている。これにより、筋肉電気刺激装置1を腹部3に取り付ける際に、本体部10の中心線10aが人2の中心軸2aに平行となるように人2の腹部3に取り付けるだけで、第1電極群31に含まれる右側電極311~313及び第2電極群32に含まれる左側電極321~323を左右一対の腹直筋4に沿って配置することができる。そのため、腹直筋4における各電極311~313、321~323が対応する区画4aの筋肉にバランス良く電気刺激を付与することができる。
【0077】
また、本例では、第1電極群31は、腹部3に取り付けたときに、身長方向Yに配列するように構成された複数の右側電極311~313を含んでいるとともに、第2電極群32は、腹部3に取り付けたときに、身長方向Yに配列するように構成された複数の左側電極321~323を含んでいる。これにより、本体部10の中心線10aが人2の中心軸2aに平行となるように人2の腹部3に取り付けるだけで、左右一対の腹直筋4のそれぞれにおいて人2の身長方向Yに区分けされた区画4aの筋肉のそれぞれに、各電極311~313、321~323からバランス良く電気刺激を付与することができる。
【0078】
また、本例では、第1電極群31及び第2電極群32は、それぞれ3個の電極311~313、321~323を含んでいる。これにより、本体部10の中心線10aが人2の中心軸2aに平行となるように人2の腹部3に取り付けるだけで、腹直筋4が6つ以上に区画された腹部3において、各電極311、312、313、321、322、323が6つの区画4aに対応して配置されることとなるため、当該区画4aの筋肉に一層効果的に電気刺激を付与することができる。
【0079】
また、本例では、第1電極群31及び第2電極群32は、腹部3に取り付けたときに、人2の身長方向Yにおいて、第1電極群31及び第2電極群32のそれぞれにおける最も上側に位置する一対の上側電極対301と、最も下側に位置する一対の下側電極対303と、上記上側電極対301と上記下側電極対303との間に位置する一対の中央電極対302と、が形成されるように構成されている。そして、中央電極対302は、上側電極対301及び下側電極対303よりも本体部10から延設される方向(すなわち、左右方向X)に突出している。これにより、本体部10の中心線10aが人2の中心軸2aに平行となるように人2の腹部3に取り付けるだけで、腹直筋4が6つ以上に区画された腹部3において、各電極311、312、313、321、322、323をより的確に6つの区画4aに対応して配置させることができるため、当該区画4aの筋肉に一層効果的に電気刺激を付与することができる。
【0080】
また、本例では、上側電極対301は、下側電極対303よりも本体部10から延設される方向(すなわち、左右方向X)に突出している。これにより、腹直筋4が6つ以上に区画された腹部3において、本体部10の中心線10aが人2の中心軸2aに平行となるように人2の腹部3に取り付けるだけで、各電極311、312、313、321、322、323をさらに的確に6つの区画4aに対応して配置させることができる。そのため、当該区画4aの筋肉に一層効果的に電気刺激を付与することができる。
【0081】
また、本例では、第1電極群31及び第2電極群32において互いに隣り合う電極311~313、321~323の間には、本体部10に向かって切り込まれた切り込み部17が形成されている。これにより、使用中に、人2の腹部3の動きに追従して電極部30が変形しやすくなるため、使用中において電極部30が腹部3から剥離したり、筋肉電気刺激装置1が腹部3から脱落したりすることが防止される。また、切り込み部17により、筋肉電気刺激装置1と腹部3との間に生じる汗や蒸れが溜まるのを低減することができる。これによっても、使用中における電極部30の腹部3からの剥離や、筋肉電気刺激装置1の腹部3からの脱落が防止される。
【0082】
本例では、各電極311~313、321~323はいずれも、角部が丸みを帯びた略長方形に形成されている。そして、各電極311~313、321~323の長手方向が、左右方向Xに概ね沿っている。これにより、各電極311~313、321~323は、当該各電極311~313、321~323が延設される方向に広がることとなるため、電気刺激を付与できる範囲を一層広くすることができ、比較的広範囲に広がる腹直筋に効果的に電気刺激を付与することができる。
【0083】
また、本例では、各電極311~313、321~323はいずれも同一の形状を成している。これにより、各電極311~313、321~323を介して流れる電流の偏りが防止されて、腹直筋4にバランス良く電気刺激を付与することができる。
【0084】
また、本例では、第2ケース112に溝113が形成されている。溝113は、蓋15の外周から放射状に線状に延びているため、本体部10と腹部3との間に生じる汗を本体部10の外側に導くことができる。これにより、本体部10と腹部3との間に汗や蒸れが溜まることを抑制できる。さらに、本体部10の周囲には貫通孔18が形成されている。そのため、溝113によって本体部10の外側に導かれた汗を貫通孔18を介して筋肉電気刺激装置1と腹部3との間から排出しやすくなっている。
【0085】
また、本例では、本体部10と、電気刺激を出力する複数の電極部30と、電極部30に電力を供給する電源部20と、電源部20における電力給電を制御する制御部40と、制御部40の制御態様を変更可能に構成された操作部50と、からなり、電源部20が本体部10に内蔵されている。これにより、電極部30に供給される電力を外部に用意する必要がないため、電源の確保が困難な屋外や、外出先などでも容易に使用することができる。また、電源と接続するためのコード等が不要になるため、使い勝手が向上されるとともに、携帯性にも優れる。
【0086】
また、本例では、電極部30は、本体部10から延設されたシート状の基材33に、複数の電極311~313、321~323と、電極311~313、321~323と電源部20とを制御部40を介して電気的に接続するリード部311a~313a、321a~323aとが形成されてなる。これにより、本体部10から延設されたシート状の基材33に、電極部30が形成されていることとなり、本体部10と電極部30とを一体化できる。そのため、本体部10と電極部30とを接続するためのコード等が不要となる。これにより、電源部が本体部に内蔵されているとともに、本体部と電極部とが一体化されているため、優れた携帯性を発揮して様々な環境で使用することができる。そして、電源部20、本体部10及び電極部30が一体化されていることにより、筋肉電気刺激装置1の人体2への取り付け、取り外しが容易であり、特に筋肉電気刺激装置1を使用した直後の当該筋肉が疲労した状態でも、容易に筋肉電気刺激装置1を取り外すことができる。したがって、筋肉電気刺激装置1は、様々な環境において、上述の電気刺激により筋肉を効率的に刺激するのに一層適している。
【0087】
また、本例では、電源部20には、交換可能な電池21が備えられている。これにより、電池21を交換するだけで電力の補充をすることができるため、電池容量以上に長時間使用することが容易となる。これにより、過度に大容量の電源を内蔵させる必要がないため、装置を小型化することができる。
【0088】
また、電池21はボタン電池又はコイン電池とすることができ、本例では、コイン電池である。これにより、電池21が小型となるため、筋肉電気刺激装置1の小型化に寄与する。そして、筋肉電気刺激装置1の小型化に伴って軽量化を図ることができるため、電極部30が使用者の体から剥離、脱落しにくくなり、使い勝手が向上するとともに、携帯性も向上する。さらに、電池21は薄型でもあるため、筋肉電気刺激装置1の薄型化にも寄与する。そして、筋肉電気刺激装置1が薄型となることにより、使用者は、筋肉電気刺激装置1を取り付けたまま、その上から衣服を着用することが可能となる。そのため、筋肉電気刺激装置1を通勤中や通学中、家事や仕事等の作業中、その他様々な状況で使用することができる。また、ボタン電池は、他の乾電池等に比べて、高い作動電圧で安定した放電特性を有するため、比較的長時間にわたって筋肉電気刺激装置1を安定して動作させることができる。
【0089】
また、電池21として公称電圧が3.0~5.0Vのものを採用することができ、本例では、3.0Vの電池21を採用している。筋肉電気刺激装置1に備えられる電子部品42、スピーカ43等の駆動電圧を一致していることから、これらの電子部品42、43の駆動のために降圧回路や昇圧回路を別途備える必要がない。これにより、小型化に寄与できる。
【0090】
また、上記電源部20には、上述の交換可能な電池21に替えて充電可能な電池が内蔵されていてもよい。かかる電池の充電手段として、外部電源と接続可能な給電用の端子を備えていてもよいし、電磁誘導を使用した非接触型の給電部を備えていてもよい。この場合には、当該電池を繰り返し使用できるため、非充電型の電池を使用する場合に比べて、消耗品を削減できる。
【0091】
なお、本例では、電極部30が形成される基材33は、本体部10から延設されるとともに、外殻形成体12から延設された電極支持部121が接着されることにより、電極部30と本体部10とが一体的に形成されることとした。これに替えて、基材33と本体10とを別体とするとともに、電極支持部121と外殻形成体12とを別体として形成することにより、本体部10と電極部30と非使用時において互いに分離可能なように構成してもよい。この場合には、電極部30を本体部10から分離して、他の形態の電極部と交換することができる。また、電極部30は電子部品を有さないため、分離することにより、電極部30を容易に洗浄することができる。
【0092】
本例では、第2出力モード(トレーニングモード)は、上述の表2に示す第1ステータス~第4ステータスに基づいて実行した。これに替えて、次に示す変形例1のように、本例と同等の第1ステータス~第4ステータスにおいて、第2ステータスと第3ステータスの間に、表4に示す第2aステータスを実行し、第3ステータスと第4ステータスとの間に、表4に示す第3aステータスを実行することとしてもよい。
【0093】
【表4】
表4に示すように、第2aステータス及びは第3aステータスは以下の通り行う。 (2a)第2aステータスでは、基本波形B2(4Hz)で10秒間、100%の出力を行った後、基本波形B3(8Hz)で10秒間、100%の出力を行い、さらにその後、基本波形B4(16Hz)で10秒間、100%の出力を行う。 (3a)第3aステータスでは、基本波形B2(4Hz)で10秒間、100%の出力を行った後、基本波形B3(8Hz)で10秒間、100%の出力を行い、さらにその後、基本波形B4(16Hz)で10秒間、100%の出力を行う。 なお、当該変形例では、本例の第2出力モード(表2参照)に比べて第2aステータス及び第3aステータスが追加されているため、表4に示す第1出力モード(ウォームアップモード)、第2出力モード(トレーニングモード)及び第3出力モード(クールダウンモード)を連続して行った場合の合計時間は23分間となる。なお、当該合計時間はそれぞれ休止期間の2秒を含まないものとする。
【0094】
第2aステータスでは、基本波形の周波数が4Hzから16Hzへ段階的に高くなるように構成されているため、第2aステータスから第3ステータスへ切り替え時の周波数変化が滑らかとなる。同様に、第3aステータスから第4ステータスへ切り替え時の周波数変化が滑らかとなる。そして、当該変形例では、本例の場合に対して、第2aステータス及び第3aステータスが加わることにより、第2出力モード(トレーニングモード)における電気刺激のパターンが大きく変化することとなる。その結果、使用者における当該電気刺激への慣れによる体感の低下を防止することができ、より効果的に腹直筋を刺激することができる。なお、第2出力モード(トレーニングモード)をこのように設定した当該変形例1において、本例と同等の作用効果も奏する。
【0095】
なお、本例では、リード部311a~323a及びリード部311a~323aに繋がる各電極311~313、321~323の一部(
図2において、符号Cで示す斜線領域)にシリコンコーティングを施している。これにより、リード部311a~323a、311a~323aの狭い領域に電荷が集中することによる通電時の痛みの発生を防止することができる。
【0096】
また、他の変形例として、各電極311~313、321~323において、上記シリコンコーティングを施す領域を、符号Cで示す斜線領域よりもさらに、リード部311a~313a、321a~323aから各電極311~313、321~323の中央付近まで広げてもよい。この場合においても、ゲルパッド35は本例と同等の形状のものを用いることができる。このようにすれば、各電極311~313、321~323における実質的に電極として機能する領域が、互いに離隔することとなるため、電気刺激が付与される場所が、左右方向Xに広がりやすくなる。その結果、使用者は電気刺激が腹部3のより広い範囲に付与されたと認識しやすく、使用感が向上する。
【0097】
なお、かかる変形例において、各電極311~313、321~323の形状(シリコンコーティングが施された領域を含む電極全体の形状)を本例と同様にしているため、当該各電極311~313、321~323の形状の外形を、ゲルパッド35を所定の位置に貼付する際のガイドにすることができることから、ゲルパッド35の貼り付けが容易となる。
【0098】
なお、本例では、6個の電極311~313、321~323の一つ一つが腹直筋4の区画4aの一つ一つに対応するようにして、6個の区画4aに電気刺激を付与できるように構成したが、これに替えて、電極部30が4個の電極を備えるとともにその電極が複数の区画4aに跨るようにしてもよい。また、電極部30が8個の電極を備えるとともに、その電極の一つ一つが腹直筋4の区画4aの一つ一つに対応するようにして、8個の区画4aに電気刺激を付与できるように構成してもよい。
【0099】
以上のごとく、実施例1によれば、腹筋(腹直筋4)に効果的に刺激を与えることができる筋肉電気刺激装置1を提供することができる。
(実施例2)本発明における実施例2の筋肉電気刺激装置について、説明する。
【0100】
従来、筋繊維に電流を流すと筋収縮を起こすことが広く知られている。特に医療・スポーツの分野にて、筋肉増強を目的とした活用がなされている。具体的には、人体に張り付けた電極を介して通電し、電気信号に基づいて筋肉を緊張及び弛緩させる筋肉刺激方法が用いられている。そして、筋肉を収縮させる電気信号として、特に低周波信号が有効とされている。当該電気信号の周波数が高くなるにつれ、筋肉の収縮が行われなくなるためである。
【0101】
しかしながら、電気信号を低周波とした場合には、人の皮膚表面での電気抵抗等の影響により痛みが生じやすい。一方、電気信号を高周波とした場合には、上記電気抵抗等の影響を受けにくく、痛みが生じにくいという性質がある。そのため、電気パルスによって使用者が皮膚に痛みを感じる場合があり、当該筋肉電気刺激装置を使用したときの体感に改善の余地がある。一方、使用者の痛みを軽減するために、電気パルスの電圧を小さくしたり、単純に周波数を高めたりするだけでは、筋肉を効率的に刺激することができない。
【0102】
実施例2の筋肉電気刺激装置1では、かかる問題にも鑑みて次のように構成されている。なお、先行する実施例における筋肉電気刺激装置1と同等の部材には同一の符号を付して、その説明及びその使用態様の説明を省略する。また、本例の説明において使用する図面が、先行する実施例における図面と同一の場合は、先行する実施例における図面を代用する。
【0103】
実施例2の筋肉電気刺激装置1は、電気刺激を筋肉に与えるように構成されている。そして、当該電気刺激は、
図13に示すように、パルス群出力期間Pとパルス群出力中断期間R1~R5からなるバースト波(
図7に示す基本波形B1~B5)が繰り返し出力されてなる。
図14に示すように、パルス群出力期間Pには、矩形波パルス信号S1~S5が、出力停止時間N1~N5を挟んで複数出力される。パルス群出力中断期間R1~R5は、出力停止時間N1~N5よりも長くパルス信号の出力が停止される。
【0104】
次に、実施例2における電極部30における出力モードについて、説明する。まず、継続時間記憶部としての出力モード記憶部405aには、
図7に示す5つのバースト波パターン(基本波形B1~B5)が記憶されている。各基本波形B1~B5は、パルス群出力期間Pとパルス群出力中断期間R1~R5とからなる。すなわち、各基本波形B1~B5は、共通のパルス群出力期間Pを有しているとともに、パルス群出力中断期間R1~R5の長さが異なっている。
【0105】
図14に示すように、パルス群出力期間Pは、矩形波パルス信号S1~S5が出力停止時間N1~N5を挟んで複数出力される。本例では、5個の矩形波パルス信号S1~S5が出力される。すなわち、パルス群出力期間Pは、第1の矩形波パルス信号S1、第1の出力停止時間N1、第2の矩形波パルス信号S2、第2の出力停止時間N2、第3の矩形波パルス信号S3、第3の出力停止時間N3、第4の矩形波パルス信号S4、第4の出力停止時間N4、第5の矩形波パルス信号S5、第5の出力停止時間N5の順に実行される。
【0106】
そして、実施例2では、各矩形波パルス信号S1~S5のパルス幅、パルス電圧は一定であり、出力停止時間N1~N5の継続時間も一定である。本例では、各矩形波パルス信号S1~S5のパルス幅が100μsであって、パルス電圧は100%出力時に40V又は-40Vであり、出力停止時間N1~N5の継続時間は100μsである。そのため、パルス群出力期間Pの継続時間は1msとなっている。そして、各矩形波パルス信号S1~S5における電圧極性は出力順に交互に変更されている。すなわち、第1の矩形波パルス信号S1、第3の矩形波パルス信号S3及び第5の矩形波パルス信号S5が正の極性を有し、第2の矩形波パルス信号S2及び第4の矩形波パルス信号S4が負の極性を有している。
【0107】
上述のように、パルス群出力期間Pにおける各矩形波パルス信号S1~S5のパルス幅及び各出力停止時間N1~N5の継続時間はそれぞれ100μsである。そのため、パルス群出力期間Pにおける各矩形波パルス信号S1~S5のパルス周期は200μsであって、十分短い。そのため、使用者はこれらの矩形波パルス信号S1~S5を一つの電気刺激として認識することとなる。なお、パルス群出力期間Pにおける各矩形波パルス信号S1~S5の周波数は5,000Hzである。
【0108】
各基本波形B1~B5において、パルス群出力中断期間R1~R5はパルス信号を出力しない。そして、パルス群出力中断期間R1~R5の継続時間は、パルス群出力期間Pの継続時間よりも長い。本例では、
図7に示すように、パルス群出力期間Pの継続時間は、1msであり、パルス群出力中断期間R1~R5の継続時間は、それぞれ、499ms、249ms、124ms、61.5ms、49msである。このように、パルス群出力中断期間R1~R5は、パルス群出力期間Pにおける出力停止時間に比べて、非常に長い継続時間を有するものである。
【0109】
したがって、
図13に示すように、第1バースト波(2Hz)は、1msのパルス群出力期間Pと、499msのパルス群出力中断期間R1とからなる。すなわち、第1バースト波(2Hz)は、パルス群出力期間Pが2Hzの周波数で出力されるものである。 また、第2バースト波(4Hz)は、1msのパルス群出力期間Pと、249msのパルス群出力中断期間R2とからなる。すなわち、第2バースト波(4Hz)は、パルス群出力期間Pが4Hzの周波数で出力されるものである。 また、第3バースト波(8Hz)は、1msのパルス群出力期間Pと、124msのパルス群出力中断期間R3とからなる。すなわち、第3バースト波(8Hz)は、パルス群出力期間Pが8Hzの周波数で出力されるものである。 また、第4バースト波(16Hz)は、1msのパルス群出力期間Pと、61.5msのパルス群出力中断期間R4とからなる。すなわち、第4バースト波(16Hz)は、パルス群出力期間Pが16Hzの周波数で出力されるものである。 また、第5バースト波(20Hz)は、1msのパルス群出力期間Pと、49msのパルス群出力中断期間R5とからなる。すなわち、第5バースト波(20Hz)は、パルス群出力期間Pが20Hzの周波数で出力されるものである。
【0110】
そして、基本波形B1~B5(
図7参照)を所定の組み合わせで所定期間繰り返し出力することにより、
図13(a)~(e)に示すように、所定のバースト波が出力されることとなる。そして、上述のように、使用者は、パルス群出力期間Pにおける複数の矩形波パルス信号S1~S5を一つの電気刺激と認識することから、
図8(a)に示すように、基本波形B1を繰り返す第1バースト波では、周波数2Hzの電気刺激が出力されることとなる。同様に、基本波形B2を繰り返す第2バースト波では、周波数4Hzの電気刺激が出力され、基本波形B3を繰り返す第3バースト波では、周波数8Hzの電気刺激が出力され、基本波形B4を繰り返す第4バースト波では、周波数16Hzの電気刺激が出力され、基本波形B5を繰り返す第5バースト波では、周波数20Hzの電気刺激が出力されることとなる。
【0111】
そして、継続時間記憶部としての出力モード記憶部405aに記憶された第1~第3出力モードは、出力モード記憶部405aに記憶された基本波形B1~B5を適宜選択することにより、所定の周波数のバースト波を組み合わせて構成される。
【0112】
実施例2では、実施例1の場合と同様に、第1出力モード(ウォームアップモード)、第2出力モード(トレーニングモード)、第3出力モード(クールダウンモード)が実施される。すなわち、上記表1に示すように、第1出力モードにおける各ステータスの条件は以下のとおりである。(1)第1ステータスでは、第1バースト波(2Hz)で20秒間、100%の出力を行う。なお、
図8に示すように、第1ステータスにおける開始5秒間は出力電圧を0%から徐々に大きくして100%にする、いわゆるソフトスタートを行う。(2)第2ステータスでは、第2バースト波(4Hz)で20秒間、100%の出力を行う。(3)第3ステータスでは、第3バースト波(8Hz)で10秒間、100%の出力を行う。(4)第4ステータスでは、第4バースト波(16Hz)で10秒間、100%の出力を行う。そして、第1出力モードの継続期間(すなわち、第1ステータス~第4ステータスの継続期間の合計)は1分間である。かかる第1出力モードでは、バースト波の周波数が2Hzから16Hzへ段階的に高くなるように構成されている。
【0113】
次に、上記表2に示すように、第2出力モードにおける各ステータスの条件は以下のとおりである。(1)第1ステータスでは、第5バースト波(20Hz)で3秒間、100%の出力を行った後、出力なしを2秒間維持する。これを5分間繰り返す。(2)第2ステータスでは、第5バースト波(20Hz)で3秒間、100%の出力を行った後、第2バースト波(4Hz)で2秒間、100%の出力を行う。これを5分間繰り返す。(3)第3ステータスでは、第5バースト波(20Hz)で4秒間、100%の出力を行った後、第2バースト波(4Hz)で2秒間、100%の出力を行う。これを5分間繰り返す。(4)第4ステータスでは、第5バースト波(20Hz)で5秒間、100%の出力を行った後、第2バースト波(4Hz)で2秒間、100%の出力を行う。これを5分間繰り返す。なお、
図8に示すように、第2出力モードでは第1ステータス~第4ステータスにおけるそれぞれの開始5秒間は、出力電圧を0%から徐々に大きくして100%にする、いわゆるソフトスタートを行う。そして、第2出力モードの継続期間は20分間である。かかる第2出力モードでは、周波数20Hzの第5バースト波を所定期間維持した後、出力なし又は周波数4Hzの第2バースト波を所定期間維持するため、筋肉を効果的に刺激するのに優れている。
【0114】
次に、上記表3に示すように、第3出力モードは、下記の第1ステータス~第4ステータスを順に行うように構成されたクールダウンモードである。各ステータスの条件は以下のとおりである。(1)第1ステータスでは、第4バースト波(16Hz)で10秒間、出力を行う。(2)第2ステータスでは、第3バースト波(8Hz)で10秒間、出力を行う。(3)第3ステータスでは、第2バースト波(4Hz)で20秒間、出力を行う。(4)第4ステータスでは、第1バースト波(2Hz)で20秒間、出力を行う。
【0115】
なお、第3出力モードでは、各ステータスにおける出力は、
図9に示すように、第1ステータス開始時には100%とし、第4ステータス終了時に50%となるように徐々に減少させる。そして、第3出力モードの継続期間は1分間である。かかる第3出力モードでは、バースト波の周波数が16Hzから2Hzへ段階的に低くなるように構成されている。
【0116】
以上のように、第1出力モード(ウォームアップモード)、第2出力モード(トレーニングモード)及び第3出力モード(クールダウンモード)を連続して行った場合の合計時間は22分間となる。なお、本例では、
図9に示すように、第1出力モードと第2出力モードとの間、及び第2出力モードにおける各ステータスの間の合計4カ所に、それぞれ2秒間の休止期間が設けられている。そのため、当該休止期間を含めた全行程の合計時間は22分8秒間となっている。
【0117】
以下、実施例2の筋肉電気刺激装置1の作用効果について、詳述する。本例の筋肉電気刺激装置1では、電気刺激を形成する第1~第5バースト波は、パルス群出力期間Pにおいて矩形波パルス信号S1~S5が出力停止時間N1~N5を挟んで複数出力される。そのため、パルス群出力期間Pにおいて矩形波パルス信号S1~S5は複数に分断された状態となっている。これにより、パルス群出力期間Pにおいて矩形波パルス信号S1~S5を分断なく連続して出力する場合と比べて、矩形波パルス信号S1~S5の合計出力時間は同じとしつつ、矩形波パルス信号S1~S5の一つ一つのパルス幅を小さくすることができる。その結果、筋肉電気刺激装置1から出力されて筋肉又は筋肉に繋がる神経に流れる電気刺激は維持しつつ、使用者の痛みを軽減することができるため、筋肉電気刺激装置1の使用における体感を向上させることができる。
【0118】
また、バースト波(基本波形B1~B5)では、パルス群出力期間Pが出力停止時間N1~N5を挟んで複数の矩形波パルス信号S1~S5が出力されて構成されているが、このパルス群出力期間Pと同じ期間、連続出力するパルス出力期間を有するバースト波と比べても、パルスの出力される期間Pとしては同じとなる。そのため、出力停止時間N1~N5を挟んだパルス群出力期間Pを有するバースト波においても、出力停止時間を挟まないパルス出力期間を有するバースト波に近い体感が得られることとなる。
【0119】
また、パルス群出力期間Pにおいて矩形波パルス信号S1~S5は、出力停止時間N1~N5を挟んで複数出力されているため、パルス群出力期間Pの継続時間は、複数の矩形波パルス信号S1~S5のパルス幅とすべての出力停止時間N1~N5とを合わせたものとなっている。そのため、かかるパルス群出力期間Pの継続時間中、矩形波パルス信号S1~S5を分断なく出力し続ける場合に比べて、パルス群出力期間Pの継続時間は同じとしつつ、出力停止時間N1~N5の分だけ実際のパルス信号出力時間が短くなることから、消費電力を低減することができる。そのため、低容量の電源によっても駆動させることができるため、装置の小型化に寄与する。
【0120】
また、電気刺激を形成するバースト波は、パルス群出力期間Pとパルス群出力中断期間R1~R5とからなり、パルス群出力中断期間R1~R5の継続時間は、パルス群出力期間Pにおける出力停止時間N1~N5よりも長くなっている。バースト波にこのようなパルス群出力中断期間R1~R5が備えられているため、パルス群出力期間Pを変更することなく、パルス群出力中断期間R1~R5の継続時間を所定の長さに変更するだけで、バースト波の周波数を容易に所望の値に設定することができる。これにより、筋肉を収縮・弛緩させるのに適した周波数を有するバースト波からなる電気刺激を出力するように制御することが容易となり、かつ効率的に筋肉を刺激することができる。
【0121】
本例では、パルス群出力期間Pには、互いに極性が異なる矩形波パルス信号S1~S5が含まれている。これにより、一つのバースト波(基本波形B1~B5)内において、電荷の偏りを解消しやすいため、使用者の痛みを一層軽減することができる。その結果、筋肉電気刺激装置1の使用における体感と使いやすさをより一層向上することができる。
【0122】
さらに、本例のように、第1のバースト波における第1のパルス群出力期間Pにおいて出力される5個の矩形波パルス信号S1~S5が「正、負、正、負、正」の順に出力されている場合には、第1のバースト波の次に到来する第2のバースト波における第2のパルス群出力期間において出力される5個の矩形波パルス信号を「負、正、負、正、負」の順に出力するようにすることができる。この場合には、第1のバースト波において生じた電荷の偏りを、第2のバースト波によって確実に解消することができるため、使用者の痛みを一層軽減することができる。さらに、上記第2のパルス群出力期間は、上記第1のパルス群出力期間Pにおいて出力される複数の矩形波パルス信号S1~S5の極性を逆相にする(電位を反転させる)だけでよいため、各パルス群出力期間における個々の矩形波パルス信号の極性を個別に制御する場合に比べて、制御負荷を軽減することができる。
【0123】
なお、本例では、同一のパルス群出力期間Pに互いに極性が異なる矩形波パルス信号S1、S3、S5と矩形波パルス信号S2,S4とが含まれるようにしたが、これに替えて、次のようにしてもよい。第1のバースト波の第1のパルス群出力期間Pにおけるすべての矩形波パルス信号S1~S5の極性を正とし、第1のバースト波の次にパルス群出力中断期間R1~R5を挟んで到来する第2のバースト波の第2のパルス群出力期間におけるすべての矩形波パルス信号の極性を負とし、第1のバースト波と第2のバースト波とを繰り返すようにしてもよい。この場合には、個々のパルス群出力期間については、矩形波パルス信号の極性は同一であるが、繰り返し出力されるバースト波全体において、互いに極性の異なる矩形波パルス信号が含まれていることとなる。この場合においても、第1のバースト波において生じた電荷の偏りを、第2のバースト波によって確実に解消することができるため、使用者の痛みを一層軽減することができる。
【0124】
本例では、パルス群出力中断期間R1~R5の継続時間は、パルス群出力期間Pの継続時間(1ms)よりも長くなっている。これにより、パルス群出力中断期間R1~R5によって、バースト波において繰り返し出力されるパルス群出力期間Pの間隔が十分確保されることとなるため、使用者に、パルス群出力期間Pにおける複数の矩形波パルス信号S1~S5を一つの電気刺激として認識させやすくなる。その結果、高周波(本例では、周波数5,000Hz)の矩形波パルス信号S1~S5から、低周波(本例では2~20Hz)のバースト波を容易に出力させることができ、筋肉を刺激するのに適した電気刺激を出力することができる。
【0125】
本例では、パルス群出力期間Pの継続時間は同一であるとともにパルス群出力中断期間R1~R5の継続時間が異なることにより互いに異なる周波数を有する複数のバースト波パターン(基本波形B1~B5)が予め記憶されたバースト波パターン記憶部(出力モード記憶部405a)と、バースト波パターン記憶部(出力モード記憶部405a)に記憶された複数のバースト波パターン(基本波形B1~B5)からいずれかを選択することにより、電気刺激におけるバースト波の周波数を設定する周波数設定部(出力モード切替部405)とを有する。これにより、バースト波パターン記憶部(出力モード記憶部405a)に予め所定の周波数のバースト波パターン(基本波形B1~B5)が複数記憶されているため、バースト波の周波数を変更する際には、周波数設定部(出力モード切替部405)がバースト波パターン記憶部(出力モード記憶部405a)に記憶されたバースト波パターンから所定のものを選択するだけでよく、バースト波の周波数の変更が容易となる。これにより、筋肉を効率的に刺激するのに適した筋肉電気刺激装置1となる。
【0126】
また、本例では、バースト波における矩形波パルス信号S1~S5のパルス幅及び出力停止時間N1~N5が一定である。これにより、バースト波の周波数に基づいて、筋肉に付与される電気刺激を変更しやすくなっている。そのため、バースト波の周波数による電気刺激の調整が容易となり、筋肉を効果的に刺激するのに適した電気刺激を出力することが容易となる。
【0127】
また、本例では、電極部30は、3個以上の電極311~313、321~323を有する。上述の如く、パルス群出力期間Pに出力停止時間N1~N5を含まれていることにより消費電力が低減されているため、3個以上の電極311~313、321~323を備えた本構成においても、充分な電気刺激を付与することができる。これにより、広い範囲の筋肉に電気刺激を付与することができるため、筋肉を効率的に刺激することができる。
【0128】
以上のごとく、実施例2によれば、実施例1と同等の作用効果を奏することに加え、使用したときの体感が向上されるとともに、効率的に筋肉を刺激することができる筋肉電気刺激装置1を提供することができる。
【0129】
(実施例3)本発明における実施例3の筋肉電気刺激装置について、説明する。
電気信号を利用して筋肉に刺激を与える筋肉電気刺激装置として、特開2009-142624号公報には、使用者により選択された4~20Hzの周波数域に属するパルス状の電気信号を所定時間出力する出力期間と、当該電気信号を所定時間出力しない無出力期間とが繰り返されてなる電気刺激を出力するものが開示されている。かかる装置では、血流促進、筋肉の肥大又は代謝促進の効果が奏される。
【0130】
しかしながら、上記公報に開示の構成では、出力される電気刺激において、上記出力期間の電気信号により、筋肉が収縮して筋肉に疲労物質が溜まった場合でも、上記無出力期間において何ら電気信号が出力されないため、上記無出力期間に疲労物質が筋肉から十分に排出されないおそれがある。そのため、長時間使用すると筋肉に疲労物質が蓄積しやすく、使用者に過度な負担がかかりやすく、使用感が損なわれるおそれがある。また、出力される電気刺激は、上記出力期間と上記無出力期間とを繰り返してなるに過ぎず、上記出力期間における電気信号の出力パターンは出力モードごとに単一のものが用意されているに過ぎない。そのため、出力される電気刺激に基づいた筋肉の収縮態様が単調になりやすく、使用者に積極的に継続して使用させるには改善の余地がある。
【0131】
実施例3の筋肉電気刺激装置1では、かかる問題にも鑑みて次のように構成されている。なお、先行する実施例における筋肉電気刺激装置1と同等の部材には同一の符号を付して、その説明及びその使用態様の説明を省略する。また、本例の説明において使用する図面が、先行する実施例における図面と同一の場合は、先行する実施例における図面を代用する。
【0132】
実施例3の筋肉電気刺激装置1は、電気刺激を筋肉に与えるように構成されている。そして、当該電気刺激は、筋肉に不完全強縮及び完全強縮の少なくとも一方を起こさせる第1電気信号(
図13に示す、第5バースト波)が出力される第1出力期間(後述の表5における2-1、3-1、4-1)と、筋肉に単収縮を起こさせる第2電気信号(第2バースト波)が出力される第2出力期間(後述の表5における2-2、3-2、4-2)と、が交互に繰り返されてなる。
【0133】
実施例3の筋肉電気刺激装置1では、実施例2の場合と同様に、第1出力モード(ウォームアップモード)、第2出力モード(トレーニングモード)、第3出力モード(クールダウンモード)が実施される。そして、本例の第2出力モードは、実質的に実施例1及び実施例2の場合と同様であるが、表5に示すように、便宜的に、第2出力モードにおける第1~第4ステータスをそれぞれ、第1出力期間(1-1、2-1、3-1、4-1)と第2出力期間(1-2、2-2、3-2、4-2)に分けてある。
【0134】
【表5】
次に、表5に示すように、実施例3における第2出力モードは、下記の第1ステータス~第4ステータスを順に行うように構成されたトレーニングモードである。実質的には、実施例1及び実施例2の場合と同様であって、各ステータスの条件は以下のとおりである。
【0135】
(1)第1ステータスでは、第5バースト波(20Hz)で3秒間(表2における1-1)、100%の出力を行った後、出力なしを2秒間維持する(表2における1-2)。これを5分間繰り返す。(2)第2ステータスでは、第5バースト波(20Hz)で3秒間(表2における2-1)、100%の出力を行った後、第2バースト波(4Hz)で2秒間(表2における2-2)、100%の出力を行う。これを5分間繰り返す。(3)第3ステータスでは、第5バースト波(20Hz)で4秒間(表2における3-1)、100%の出力を行った後、第2バースト波(4Hz)で2秒間(表2における3-2)、100%の出力を行う。これを5分間繰り返す。(4)第4ステータスでは、第5バースト波(20Hz)で5秒間(表2における4-1)、100%の出力を行った後、第2バースト波(4Hz)で2秒間(表2における4-2)、100%の出力を行う。これを5分間繰り返す。なお、第2出力モードでは第1ステータス~第4ステータスにおけるそれぞれの開始5秒間は、出力電圧を0%から徐々に大きくして100%にする、いわゆるソフトスタートを行う。
【0136】
そして、表5に示す第2出力モードでは、第2~第4ステータスにおいて、上述の如く、
図13(e)に示す第5バースト波(20Hz)と、
図13(b)に示す第2バースト波(4Hz)とが繰り返して出力される(
図13参照)。そして、15Hz以上30Hz以下の範囲内の周波数を有する第5バースト波(20Hz)は、筋肉に不完全強縮を生じさせる電気信号である。一方、15Hz未満の範囲内の周波数を有する第2バースト波(4Hz)は、筋肉に単収縮を生じさせる電気信号である。したがって、上記第2出力モードにおける第2ステータスでは、筋肉に不完全強縮を生じさせる第1電気信号としての第5バースト波(20Hz)を出力する第1出力期間(表2における2-1)と、筋肉に単収縮を生じさせる第2電気信号としての第2バースト波(4Hz)を出力する第2出力期間(表2における2-2)と、が交互に繰り返されてなる電気刺激が出力される。同様に、上記第2出力モードにおける第3ステータスでは、第1出力期間(3-1)と第2出力期間(3-2)とが交互に繰り返されてなる電気刺激が出力され、第4ステータスでは、第1出力期間(4-1)と第2出力期間(4-2)とが交互に繰り返されてなる電気刺激が出力される。なお、本例では、第1電気信号として、第5バースト波(20Hz)を採用したが、これに限らず、15Hz以上30Hz以下の範囲内の周波数を有するバースト波を第1電気信号として採用することができる。
【0137】
そして、本例では上述の如く、第1出力期間の継続時間は、第2ステータスでは3秒間であり、第3ステータスでは4秒間であり、第4ステータスでは5秒間である。また、第2出力期間の継続時間は、第2~第4ステータスのいずれでも2秒間である。このように、本例では、第1出力期間の継続時間が第2出力期間の継続時間よりも長くなっている。なお、第1出力期間及び第2出力期間の継続時間はこれに限定されるものではなく、電気刺激全体の継続時間、当該出力モードの継続時間等を考慮して、適宜設定することができる。
【0138】
また、
図13(e)及び
図14に示すように、第1電気信号としての第5バースト波(20Hz)には、正極性の信号と負極性の信号とが含まれている。同様に、
図13(b)及び
図14に示すように、第2電気信号としての第2バースト波(4Hz)にも、正極性の信号と負極性の信号とが含まれている。
【0139】
以下、実施例3の筋肉電気刺激装置1の作用効果について、詳述する。本例の筋肉電気刺激装置1では、出力される電気刺激は、第1出力期間(2-1、3-1、4-1)と第2出力期間(2-2、3-2、4-2)とが交互に繰り返されたものである。当該電気刺激を受けた筋肉は、まず、第1出力期間(2-1、3-1、4-1)において、第1電気信号としての第5バースト波(20Hz)に基づく不完全強縮又は完全強縮(本例では不完全強縮)によって、筋肉の継続的な収縮が生じて、筋肉の効果的なトレーニングが可能となる。これにより、筋肉の増強が図られる。これに伴って、当該筋肉に疲労物質が発生する。その後、第2出力期間(2-2、3-2、4-2)において、第2電気信号としての第2バースト波(4Hz)に基づく単収縮によって筋肉内の血行が促進され、第1出力期間(2-1、3-1、4-1)で生じた疲労物質が積極的に当該筋肉から排出されることとなる。そして、疲労物質が十分排出された後、再度第1出力期間(2-1、3-1、4-1)が到来して、不完全強縮又は完全強縮による筋肉の増強と、第2出力期間(2-2、3-2、4-2)における単収縮による血行促進に基づく疲労物質の排出促進とが順次行われることとなる。これにより、本例の筋肉電気刺激装置1を連続して使用しても、疲労物質が筋肉に蓄積しにくいため、効率的に筋肉を刺激することができる。さらに、使用者の負担が軽減されるため、長時間使用しても使用感がよく、使用者に積極的な継続使用を促すことができる。
【0140】
本例では、第1電気信号としての第5バースト波(20Hz)は15Hz以上30Hz以下の範囲内の周波数を有し、第2電気信号としての第2バースト波(4Hz)は15Hz未満の範囲内の周波数を有している。これにより、第1出力期間(2-1、3-1、4-1)において、第1電気信号としての第5バースト波(20Hz)により筋肉に不完全強縮を生じさせることができ、第2出力期間(2-2、3-2、4-2)において、第2電気信号としての第2バースト波(4Hz)により筋肉に単収縮を安定的に生じさせることができる。その結果、第1出力期間(2-1、3-1、4-1)において、筋肉を過度に収縮させることなく、適度に収縮させることができる。これにより、筋肉に急激に疲労物質が生じることが抑制されて、一層効率的に筋肉を刺激することができる。第1出力期間(2-1、3-1、4-1)において生じた疲労物質は、第2出力期間(2-2、3-2、4-2)において筋肉から排出されることとなり、連続して使用しても疲労物質の蓄積が防止される。
【0141】
なお、本例では、第1電気信号として筋肉に不完全強縮を生じさせる第5バースト波(20Hz)を採用したが、これに替えて、同様に筋肉に不完全強縮を生じさせる第4バースト波(16Hz)を採用してもよい。この場合も本例と同等の作用効果を奏する。
【0142】
なお、第1出力期間(2-1、3-1、4-1)において、第1電気信号として筋肉に不完全強縮を生じさせる電気信号を採用しているが、第1出力期間(2-1、3-1、4-1)において、第1電気信号として筋肉に完全強縮を生じさせる電気信号を採用してもよい。この場合には、第1電気信号が不完全強縮を生じさせる電気信号であることによる作用効果を除いて、本例の同等の作用効果を奏する。
【0143】
また、本例では、第1電気信号としての第5バースト波(20Hz)及び第2電気信号としての第2バースト波(4Hz)にはそれぞれ、正極性の信号と負極性の信号とが含まれている。これにより、電気刺激における電荷の偏りを解消しやすいため、使用者の痛みを一層軽減することができる。その結果、本例の筋肉電気刺激装置1の使用における体感を一層向上することができる。
【0144】
また、本例では、第1出力期間(2-1、3-1、4-1)の継続時間は、第2出力期間(2-2、3-2、4-2)の継続時間よりも長い。これにより、出力される電気刺激において、第1出力期間(2-1、3-1、4-1)が十分確保され、筋肉の増強効果が一層高まる。
【0145】
また、本例では、第1電気信号としての第5バースト波(20Hz)及び第2電気信号としての第2バースト波(4Hz)の少なくとも一方(本例では、両方)は、バースト波(基本波形B1~B5)が繰り返して出力されてなる。そして、本例では、バースト波(基本波形B1~B5)は、複数に分断された電気信号としての矩形波パルス信号S1~S5を有する。当該バースト波(基本波形B1~B5)は、筋肉においては一つの電気信号として認識される。そして、分割された個々の電気信号P1~P5の継続時間(パルス幅)は、分割されていない連続した電気信号の場合に比べて小さくすることができるため、使用者の皮膚に痛みを軽減することができる。そのため、使用者の体感を向上することができる。
【0146】
そして、パルス群出力期間Pの電気信号が、出力停止時間N1~N5により、複数の矩形波パルス信号S1~S5に分割されていることにより、パルス群出力期間Pにおける連続通電時間(すなわち、パルス幅)は短くなっている。そして、上述の如く、同一のパルス群出力期間Pにおいて、矩形波パルス信号S1~S5は正極性と負極性とが交互に到来するようにして、電荷の偏りが打ち消されるとともに、当該パルス群出力期間Pにおける矩形波パルス信号S1~S5とは逆相の矩形波パルス信号S1~S5が次に到来することとなっている。これらの結果、各電極311~323において、電荷が正また負の一方に偏った状態での連続通電時間は、極めて短くなっている。
【0147】
そして、各電極311~323において電荷が偏った状態では、電極311~323の形成材料である銀ペーストに含まれる銀が、空気中の亜硫酸ガスなどの硫黄成分によって硫化して黒ずむように変色しやすくなる。しかし、本例では、上述の如く、矩形波パルス信号S1~S5は正極性と負極性とが交互に到来して電荷の偏りが順次打ち消されるとともに、電荷が正また負の一方に偏った状態での連続通電時間は極めて短くなっているため、上述の硫化反応を抑制することができる。これにより、電極311~323が黒ずむように変色することを効果的に抑制することができる。このほか、上記銀ペーストに含まれる銀の酸化や塩化によっても黒ずむように変色することがあるが、これらについても同様に抑制することができる。
【0148】
以上のごとく、本実施例3によれば、実施例1と同等の作用効果を奏することに加え、筋肉を効率的に刺激することができるとともに、長時間使用しても使用感がよく、使用者に積極的な継続使用を促すことができる筋肉電気刺激装置1を提供することができる。
【0149】
参考例1として、
図15、
図16に、電極を2個備える筋肉電気刺激装置900を示す。参考例1においては、電極として、実施例1~実施例3の電極311、321と同様の構成ではあるが、一回り大きい電極311、321を2個備える。なお、参考例1において実施例1~実施例3と同等の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0150】
参考例1においても、電極を2個より多く備えることによる作用効果を除いて、実施例3と同等の作用効果を奏する。そして、参考例1の筋肉電気刺激装置900によれば、電極が6個の場合(
図2参照)に比べて、電極311、321の個数が少ないため、電極あたりの消費電力を大きくすることができることから、各電極311、321を一回り大きくしている。これにより、電極1つによって電気刺激を付与できる範囲が広がり、腕部、大腿部等の大きい部位の筋肉を刺激しやすくなっている。
【0151】
(実施例4)本発明における実施例4の筋肉電気刺激装置について、説明する。
特許文献1に開示の筋肉電気刺激装置は、外部電源を必要とせず、操作部及び一対の電極が本体部と一体的に設けられており、両者をつなぐコードなどは備えられていない。そのため、一対の電極を人体に張り付けて当該筋肉電気刺激装置を人体に取り付けた状態で、その上から着衣しやすくなっており、例えば、外出時などにおいても使用しやすくなっている。
【0152】
しかしながら、特許文献1に開示の筋肉電気刺激装置を人体に張り付けた状態で着衣した場合、着衣した衣服から当該筋肉電気刺激装置が透けて見えることがある。特に筋肉電気刺激装置の外表面に白色などの明色の領域が多い場合には、当該筋肉電気刺激装置は着衣した衣服から一層透けて見えやすくなる。そのため、外出先などの人目が気になるような場所では、当該筋肉電気刺激装置を使用しにくいという問題がある。
【0153】
また、筋肉電気刺激装置の外表面に白色などの明るい色の領域が多い場合には、黒色などの暗色の領域が多い場合に比べて光を反射して吸収しにくいため、当該筋肉電気刺激装置が光を受けても比較的温まりにくい。これにより、筋肉における老廃物の排出効果を高めることを目的として、筋肉を温めて血行促進を図るには改善の余地がある。
【0154】
実施例4の筋肉電気刺激装置1では、これらの問題にも鑑みて次のように構成されている。なお、先行する実施例における筋肉電気刺激装置1と同等の部材には同一の符号を付して、その説明及びその使用態様の説明を省略する。また、本例の説明において使用する図面が、先行する実施例における図面と同一の場合は、先行する実施例における図面を代用する。
【0155】
実施例4の筋肉電気刺激装置1は、
図1~
図4、
図6に示す実施例1の場合と同様に、本体部10、電源部20、電極部30、制御部40、操作部50を備える。電源部20は、本体部10に収納されている。電極部30は、電源部20から電力が供給される。制御部40は、電極部30への電力供給を制御する。操作部50は、制御部40の制御態様を変更可能に構成されている。そして、筋肉電気刺激装置1は、
図5に示すように、電極部30を人体2に当接させて人体2に電気刺激を付与するように構成されている。
【0156】
電極部30は、
図2、
図3に示す実施例1の場合と同様に、電極部30は、本体部10と一体的に形成されている。そして、電極部30を人体2に当接させたとき(
図5参照)に、人体2に対向する側と反対側の外表面12a、121aにおける70%以上の領域が、暗色を呈するように構成されている。
【0157】
図4に示すように、外殻形成体12は、後述の基材33が設けられる側の面12bと、その反対側の外表面12aとを有している。外殻形成体12はエラストマーからなり、本例では黒色のシリコン製である。そして、基材33の表側面33bを覆うように、外殻形成体12から電極支持部121が延出されている。電極支持部121の外表面12a、121aには、
図1に示すように、各電極311~313、321~323の外縁に略沿った線状を成す着色領域122が形成されている。本例では、着色領域122は橙色に着色されている。また、図示しないが、外表面12a、121aには商品名、ブランド名、その他の文字や記号等が着色された表示された領域(その他着色領域)も存在している。外表面12a、121aにおいて、着色領域122及びその他着色領域以外の領域には着色は施されておらず、外殻形成体12及び電極支持部121の形成材料が表出している。そして、外表面12a、121aにおける着色領域122とその他着色領域との合計の占める割合は30%未満である。すなわち、外表面12a、121aにおける70%以上の領域は、外殻形成体12及び電極支持部121の形成材料であるエラストマーが着色されていない状態で表出しており、暗色(本例では黒色)を呈している。
【0158】
なお、着色領域122は、着色領域122以外の領域と異なる色を呈する領域であって、当該領域に所定の色のインク等を塗布、印刷等することにより、形成することができる。また、これに替えて、着色領域122は、着色領域122以外の領域と異なる色を呈する部材により形成することにより、上記塗布、印刷等をすることなく、形成されていてもよい。
【0159】
本例における、暗色とは、日本工業規格に規定されるマンセル表色系(JIS Z8721:1993)において、明度が5.0以下をいうものとする。そして、外表面12a、121aにおける70%以上を占める上記暗色の領域は、マンセル表色系における明度が5.0以下であり、好ましくは4.0以下、更に好ましくは3.0以下である。また、外表面12a、121aにおける70%以上を占める上記暗色の領域のマンセル表色系における彩度は、例えば、3.0以下であり、好ましくは2.0以下である。なお、外表面12a、121aにおける70%以上を占める上記暗色の領域のマンセル表色系における色相は特に限定されず、任意の値であってよい。上記暗色の領域のマンセル表色系における明度、彩度及び色相は、上述の日本工業規格に基づいて、色彩計により測色することができる。
【0160】
本例では、
図17(a)に示すように、外表面12a、121aにおいて、マンセル表色系における着色領域122の明度は6.5~7.0、彩度は12~13.5(色相5YRにおける明度と彩度と関係を示した
図17(b)を参照)であった。一方、着色領域122及びその他文字領域以外の領域の明度は1.0~2.0であり、彩度は0であった。なお、
図17(a)及び
図17(b)は実際にはカラーであるが、図面作成の関係からカラーで表すことができないため、グレースケールによって表した。
【0161】
なお、上記暗色の領域の測色は、マンセル表色系に限らず、例えば、CIE1976L*a*b(JIS Z8781-4:2013)、L*C*h表色系、ハンターLab表色系、XYZ(Yxy)表色系などの他の表色系を用いて行うことができる。そして、これらの表色系はいずれも互いに変換可能となっている。従って、上記他の表色系により上記暗色の領域を測色した場合であっても、マンセル表色系に変換して明度、彩度及び色相を表現できる。
【0162】
以下、実施例4の筋肉電気刺激装置1の作用効果について、詳述する。本例の筋肉電気刺激装置1によれば、電極部30が本体部10と一体的に形成されているため、両者をつなぐコードなどが不要となっており、使用時には電極部30と本体部10とが一体的に人体に取り付けられる。そのため、筋肉電気刺激装置1を取り付けた状態でその上から着衣しやすくなっている。そして、本例の筋肉電気刺激装置1は、人体2に取り付けた状態において外部から視認されうる外表面12a、121aの70%以上の領域が暗色を呈している。そのため、白色などの明るい色に場合に比べて光を反射しにくくなっているため、着衣した衣服から筋肉電気刺激装置1が透けて見えることが抑制されている。これにより、外出先などの人目が気になるような場所においても、筋肉電気刺激装置1を使用しやすくなる。
【0163】
また、本例の筋肉電気刺激装置1によれば、外表面12a、121aにおける70%以上の領域が暗色であるため、白色などの明るい色に場合に比べて光を吸収しやすいことから、筋肉電気刺激装置1は光を受けて比較的温まりやすくなっている。そのため、筋肉電気刺激装置1は、使用中に光を直接受けたり、衣服を透過した光を受けたりすることにより、比較的早く温まる。これにより、筋肉が温まっていない状態では、筋肉電気刺激装置1によって当該筋肉が温められて、当該筋肉の血行が促進される。その結果、当該筋肉の収縮によって生じる老廃物を当該筋肉から積極的に排出させることができる。
【0164】
また、本例では、電極部30は、本体部10から延設されたシート状の基材33に、複数の電極311~323と、電極311~323と電源部20とを制御部40を介して電気的に接続するリード部311a~313a、321a~323aとが形成されてなる。そして、外表面12a、121aは、本体部10の外殻を形成する外殻形成体12と、該外殻形成体12から延出されるとともに、基材33における電極311~323が設けられる側と反対側に形成された電極支持部121とにより形成されている。これにより、本体部10から延設されたシート状の基材33に電極部30が形成されることにより、本体部10と電極部30とを簡易な構成で一体化できるとともに、薄型に形成しやすくなる。そのため、人体2に取り付けた状態でその上から着衣しても当該衣服の上からは目立たないことから、人目が気になるような場所でも使用しやすくなる。また、薄型に形成しやすくなることから携帯性にも優れる。
【0165】
また、本例では、外殻形成体12及び電極支持部121は、暗色を呈するエラストマーからなる。そして、外殻形成体12及び電極支持部121の形成材料であるエラストマーを外表面12a、121aに表出させることにより、外表面12a、121aが暗色を呈するように構成している。これにより、特別な着色を施すことなく、外表面12a、121aが暗色を呈するようにできるため、製造コストの低減が図れる。
【0166】
また、本例では、外殻形成体12及び電極支持部121を形成する暗色を呈するエラストマーは、暗色を呈するシリコン樹脂である。比較的、熱伝導率の低いシリコン樹脂により本例の筋肉電気刺激装置1の外殻が形成されることとなる。そのため、暗色を呈する外表面12a、121aが光を受けることにより外殻形成体12及び電極支持部121が温まりやすくなるとともに、外殻形成体12及び電極支持部121が熱伝導率の比較的低いシリコン樹脂により形成されているため、外殻形成体12及び電極支持部121が温まった状態で維持されやすい。これにより、当該筋肉における血行が一層促進され、当該筋肉に生じた老廃物を一層積極的に排出することができる。
【0167】
本例では、上記暗色を呈する領域(外表面12a、121aにおける着色領域122及びその他着色領域以外の領域)は、マンセル表色系における明度が5.0以下となっている。これにより、暗色を呈する領域における光の吸収性が高まり、筋肉電気刺激装置1が温まりやすくなることから、当該筋肉における血行が一層促進される。そのため、上記老廃物の排出作用を一層促進することができる。
【0168】
また、本例では、上記暗色を呈する領域は、マンセル表色系における彩度が3.0以下となっている。これにより、上記暗色を呈する領域における光の反射が抑制されるため、本例の筋肉電気刺激装置1を人体2に取り付けた状態でその上から着衣したときに、筋肉電気刺激装置1が着衣した衣服から透けて見えることが一層低減される。
【0169】
そして、本例では、上記暗色を呈する領域は、黒色を呈している。これにより、マンセル表色系における明度及び彩度の両方が十分低い値となり、上述の筋肉電気刺激装置1が温まることによる老廃物の排出作用の一層促進と、上述の光の反射抑制による本例の筋肉電気刺激装置1が着衣した衣服から透けて見えることの一層低減との両立が図られる。
【0170】
以上のように、実施例4によれば、実施例1と同等の作用効果を奏するとともに、衣服の下に取り付けられた状態において衣服から透けて見えにくくでき、筋肉における血行を促進することができる筋肉電気刺激装置1を提供することができる。
【0171】
(評価試験)本発明の筋肉電気刺激装置1を使用して衣類を着衣した状態における透け具合を評価するために、以下に示す評価試験を行った。 当該評価試験では、試験対象として、
図18(a)に示すテストパターン1、
図18(b)に示すテストパターン2、
図18(c)に示すテストパターン3、
図18(d)に示すテストパターン4、
図18(e)に示すテストパターン5を用いた。テストパターン1~5は、一辺が3cmの正方形状の紙片であって、その表面には、
図18(a)~(e)に示すように、暗色を呈する領域としての黒色に有する黒色部181とその他着色領域としての橙色に着色された着色領域182とがそれぞれ所定のパターンが表示されている。具体的には、各テストパターン1~5はいずれも、その表面が縦方向及び横方向にそれぞれ10個の格子状に区画されている。そして、各格子が黒色又は橙色となることにより、黒色部181と着色領域182とがそれぞれ所定の形状に形成されている。
【0172】
本試験例では、
図18(a)~(e)に示すように、いずれのテストパターン1~5でも、100%では、黒色部181が全域を占めており、着色領域182は存在していない。各テストパターン1~5の90%では、黒色部181が90%を占め、着色領域182が10%を占めている。そして、各テストパターン1~5の80%、70%、60%、50%では、黒色部181がそれぞれ80%、70%、60%、50%を占め、着色領域182がそれぞれ20%、30%、40%、50%を占めている。テストパターン1~5における黒色部181及び着色領域182は、それぞれ異なる態様で形成されている。なお、テストパターン3~5では、テストパターン1、2よりも着色領域182が分散した状態となっている。
【0173】
評価試験の方法は、室内における蛍光灯の照明下において、掌に置いたテストパターン1~5をシャツで覆い、目視によりテストパターン1~5が透けて見えるかどうか評価した。試験の実施者(黄色人種、男女)は5名とした。シャツは、白色無地の紳士用ワイシャツであって、材質は綿及びポリエステルであった。評価基準は、シャツを通じてテストパターン1~5の透けが気にならない場合を○、透けがあまり気にならない場合を△、透けが気になる場合を×とした。試験は実施者が各自で行うこととした。各実施者の評価結果を表5に示した。そして、各実施者の評価において、テストパターン1~5を黒色部181の比率毎に合算して、○及び△の数とその母数(25個)に対する比率を示し、×の数とその母数(25個)に対する比率を表6に示した。
【0174】
【0175】
【表7】
表6、表7に示すように、全実施者において、黒色部181の割合が100%の場合には、すべてのテストパターン1~5で○であり、テストパターン1~5の透けが気にならないことが示された。さらに全実施者において、黒色部181の割合が90%の場合には、すべてのテストパターン1~5で○又は△であり、テストパターン1~5の透けが気にならないか、あまり気にならないことが示された。黒色部181の割合が80%の場合には、すべてのテストパターン1~5の92%という高い割合でテストパターン1~5の透けが気にならないか、あまり気にならないことが示された。また、黒色部181の割合が70%の場合には、すべてのテストパターン1~5の56%という半分以上の比較的高い割合でテストパターン1~5の透けが気にならないか、あまり気にならないことが示された。
【0176】
一方、黒色部181の割合が60%の場合には、すべてのテストパターン1~5の20%という半分未満の低い割合でしか、テストパターン1~5の透けが気にならないか、あまり気にならないことが示された。同様に、黒色部181の割合が50%の場合には、すべてのテストパターン1~5の16%という半分未満の低い割合でしか、テストパターン1~5の透けが気にならないか、あまり気にならないことが示された。
【0177】
以上の評価結果から、テストパターン1~5において、黒色部181の割合が70%以上である場合に、テストパターン1~5の透けが気にならないか、あまり気にならないことを確認することができた。したがって、
図17に示すように、筋肉電気刺激装置1の外表面12a、121aにおける70%以上の領域が暗色である筋肉電気刺激装置1によれば、着衣した衣服から筋肉電気刺激装置1が透けて見えることが抑制されるため、外出先などの人目が気になるような場所においても、使用しやすくなることが示された。
【0178】
(実施例5)本発明における実施例5の筋肉電気刺激装置について、説明する。
特許文献1には、電気信号を利用して筋肉に刺激を与える筋肉電気刺激装置として、電源を内蔵し操作部を有する本体部と、本体部から延設された一対の電極とを備え、一対の電極を人体に張り付けることにより、電気パルスを人体に流して筋刺激を与えるように構成されたものが開示されている。そして、電極には粘着性及び導電性を有するゲル状のパッドが貼付されており、当該パッドの粘着性を利用して電極及び本体部が人体に貼り付けられるとともに、当該パッドの導電性を利用して電極と人体とを通電可能にしている。
【0179】
特許文献1に開示の筋肉電気刺激装置では、繰り返し使用すると、パッドの粘着力が低下して電極が人体から剥がれやすくなり、両者間の通電状態が悪化したり、パッドに異物が付着して汚れが目立ったりする。そのため、適切な時期にパッドを新しいものと交換する必要がある。そして、交換の際には、古いパッドを各電極から剥がし取った後、新しいパッドを各電極に貼り付ける必要がある。仮に、新しいパッドが適正な位置に貼り付けられておらずに電極が露出している場合には、使用時に電極と人体とが直接触れることによって過度に電流が流れて使用者が痛みを感じる恐れがある。そこで、新しいパッドを各電極に貼り付ける際には、使用者は各電極が露出しないように注意を払いつつ、パッドを適正な位置に貼り付ける必要があるため、パッドの取り付け作業に手間がかかることなる。
【0180】
実施例5の筋肉電気刺激装置1では、かかる問題にも鑑みて次のように構成されている。なお、先行する実施例における筋肉電気刺激装置1と同等の部材には同一の符号を付して、その説明及びその使用態様の説明を省略する。また、本例の説明において使用する図面が、先行する実施例における図面と同一の場合は、先行する実施例における図面を代用する。
【0181】
実施例5の筋肉電気刺激装置1は、
図1~
図4、
図6に示す実施例1の場合と同様に、本体部10、電源部20、電極部30、制御部40、操作部50、パッド35を備える。電源部20は、本体部10に収納されている。電極部30は、電源部20から電力が供給される。制御部40は、電極部30への電力供給を制御する。操作部50は、制御部40の制御態様を変更可能に構成されている。パッド35はゲル状であって、導電性及び粘着性を有し、電極部30に交換可能に貼り付けられている。そして、筋肉電気刺激装置1は、パッド35を介して電極部30から人体2(
図5参照)に電気刺激を付与するように構成されている。
【0182】
また、電極部30は、シート状の基材33に電極311~323が形成されてなる(
図2参照)。
図19(a)に示すように、基材33には、電極312を覆うようにパッド35が貼り付けられるパッド貼り付け領域36と、パッド貼り付け領域36の外縁36aの少なくとも一部に隣接するとともにパッド35の厚さ方向Zに突出形成されてなる外縁突出部37と、が形成されている。そして、外縁突出部37における厚さ方向Zの長さ37aはパッド35の厚さ35aよりも短い。なお、
図19(a)では、電極312におけるパッド貼り付け領域36及び外縁突出部37について説明したが、他の電極311、313~323についても同様にパッド貼り付け領域36及び外縁突出部37が形成されている。
【0183】
図2、
図19(a)に示すように、基材33の裏側面33aには、パッド貼り付け領域36と、外縁突出部37が形成されている。パッド貼り付け領域36は、
図2に示すように、各電極311~313、321~323毎に形成されており、角部に丸みを有する略矩形状であって、各電極311~313、321~323よりも一回り大きい形状を成している。各パッド貼り付け領域36の外形はいずれも略同一形状となっている。
【0184】
外縁突出部37は、
図2に示すように、パッド貼り付け領域36の外縁36aの少なくとも一部に隣接するとともに、
図19(a)に示すように、パッドの厚さ方向Zに突出形成されてなる。本例では、外縁突出部37は、パッド貼り付け領域36の外縁36aのうち、電極311~313、321~323とリード部311a~313a、321a~323aとの接続部を覆う部分の外縁36bを除いた外縁全体に隣接するように形成されている。
【0185】
そして、本例では、
図19(a)に示すように、外縁突出部37は、パッド貼り付け領域36の外縁から基材33の縁部33dまで形成されている。これにより、パッド貼り付け領域36は、基材33の裏側面33aにおいて、外縁突出部37よりも凹状に形成されていることとなる。換言すると、基材33の一部が厚さ方向Zに陥没して凹部360が形成されており、凹部360の内底面が上記パッド貼り付け領域36を構成し、基材33における凹部360の外側領域が凹部360の内側周面(外縁36a)とともに外縁突出部37を構成している。
【0186】
図19(b)、
図19(c)に示すように、パッド貼り付け領域36には、パッド35が貼り付けられる。パッド35は、導電性及び粘着性を有し、ゲル状を成している。本例では、パッド35として、実施例1と同様の積水化成品工業株式会社製「テクノゲル(登録商標)」、型番SR-RA240/100を使用している。パッド35はシート状であるとともに、パッド貼り付け領域36の略同一形状であって、角部に丸みを有する略矩形状を有している。
【0187】
そして、
図19(b)に示すように、パッド35は、その縁部を外縁突出部37の壁面に沿わせつつ、パッド貼り付け領域36に載置することにより、パッド貼り付け領域36に貼り付けられる。これにより、各パッド35は、各電極311~313、321~323を個別に覆うこととなる。そして、パッド35は導電性を有するため、使用時には、各パッド35を介して、各電極311~313、321~323と腹部3(
図5参照)との通電を可能としている。また、パッド35は高い粘着性を有するため、パッド35を介して、筋肉電気刺激装置1が腹部3に取り付けられるようになっている。
【0188】
なお、本例では、
図19(c)に示すように、パッド35と外縁突出部37との間にクリアランス(隙間)が存在しないようになっているが、これに限らず、パッド35外縁突出部37との間にクリアランスを設けてもよい。すなわち、パッド35の平面視における外形を、パッド貼り付け領域36の外縁36aの平面視形状よりも若干小さくすることにより、パッド35の側面35bと外縁突出部37との間の少なくとも一部に間隙を設けてもよい。当該クリアランスは、パッド35がパッド貼り付け領域36に貼り付けられたときに、各電極311~323が露出しない範囲で適宜設定することができる。
【0189】
上記クリアランスを設けた場合には、パッド35を交換する際に、パッド貼り付け領域36に貼り付けられたパッド35の端部と外縁突出部37との間に指等を差し入れやすくなり、当該パッド35を剥がしやすくなる。また、使用時において、クリアランスによって肌表面と基材33の裏側面33aとの間に空間部が形成されるため、通気性を高めることにより、汗の発生を抑制することができるとともに発生した汗を排出しやすくなる。
【0190】
本例の筋肉電気刺激装置1の作用効果について、以下に詳述する。本例の筋肉電気刺激装置1によれば、パッド貼り付け領域36の外縁に隣接して、パッド35の厚さ方向Zに突出する外縁突出部37が形成されている。これにより、パッド35をパッド貼り付け領域36に貼り付ける際に、外縁突出部37にパッド35の縁部を沿わせながらパッド35をパッド貼り付け領域36に載置して貼り付けることにより、パッド35の位置ずれを抑制することができる。これにより、使用者が電極部30(電極311~323)の露出防止のために特別の注意を払わなくとも、パッド35は適正な位置に貼り付けられて、電極部30(電極311~323)の露出が防止される。その結果、パッド35の取り付け作業の手間が軽減されることとなる。また、万が一、使用中にパッドの粘着力が弱まった場合においてもパッドが位置ずれすることが防止されて、電極部30(電極311~323)の露出が防止される。
【0191】
また、万が一、パッド35が位置ずれしていたり、パッド貼り付け領域36よりも小さいパッドを使用したりした場合には、電極部30(電極311~323)が露出するおそれがある。しかし、かかる場合には、使用時において、人体2(地肌)は、パッド貼り付け領域36の外縁に隣接して突出形成された外縁突出部37と接触して、パッド貼り付け領域36内に露出した電極部30(電極311~323)に当接しにくくなっている。そのため、万が一、電極部30(電極311~323)が露出した場合であっても、人体2(地肌)と電極311~323とが直接通電することが防止される。また、パッド貼り付け領域36内に貼り付けたパッド35の側面の少なくとも一部が、外縁突出部37によって覆われることとなるため、パッド35の側面の当該少なくとも一部にゴミや埃が付着することを防止することができる。
【0192】
また、本例では、基材33は、本体部10から延設されているとともに、基材33には、複数の電極311~323と電源部20とを制御部40を介して電気的に接続する複数のリード部311a~323aが形成されている。これにより、本体部10と電極部30とが一体的に形成されるとともに、電極部30と電源部20とを接続するコード等が不要となる。その結果、本例の筋肉電気刺激装置1の使い勝手が向上する。また、本例の筋肉電気刺激装置1は、シート状の基材33が本体部10から延設された構成であるため、薄型に形成しやすくなっている。これにより、本例の筋肉電気刺激装置1は、携帯性に優れるとともに、筋肉電気刺激装置1を使用した状態でその上から着衣しても目立ちにくい。そのため、筋肉電気刺激装置1は、外出時にも使用しやすいものとなる。
【0193】
また、本例では、外縁突出部37は、パッド貼り付け領域36の外縁36aのうち、電極部30とリード部311a~323aとの接続部を覆う部分の外縁36bを除いた外縁全体に隣接するように形成されている。これにより、パッド35をパッド貼り付け領域36に貼り付ける際に、パッド35の縁部の略全体を外縁突出部37に沿わせて貼り付けることができるため、パッド35の位置ずれを一層抑制できる。そのため、パッド35の位置ずれに特別の注意を払わなくとも、電極311~323の露出を確実に防止することができ、パッド35を貼り付ける際の手間が一層軽減される。
【0194】
なお、外縁突出部37は、パッド貼り付け領域36の外縁36aのうち、外縁36bを除いた外縁全体に隣接するように形成されているとともに、外縁36bに隣接するように、リード部311a~313a、321a~323aを覆う被覆部材を設けることとしてもよい。当該被覆部材は、例えば、基材33と同一材料からなるようにできる。そして、当該被覆部材と外縁突出部37とによって、パッド貼り付け領域36の外縁36a全体に隣接して囲むようにしてもよい。
【0195】
また、本例では、基材33の一部には、厚さ方向Zにおいて陥没した凹部360が形成されており、凹部360の内底面がパッド貼り付け領域36を構成し、基材33における凹部360の外側領域が凹部360の内側周面(外縁36a)とともに外縁突出部37を構成している。これにより、基材33に凹部360を形成するだけで、パッド貼り付け領域36と外縁突出部37との両方を形成することができ、両者の形成が容易となるため、筋肉電気刺激装置1の製造作業性が向上する。
【0196】
なお、本例では、上述のように、外縁突出部37は、凹部360は基材33の一部を陥没させて形成されている。これに替えて、電極311~323と略面一に基材33の裏側面33aを形成するとともに、パッド貼り付け領域36の外縁36aの少なくとも一部に隣接するように、基材33の裏側面33aに、基材33とは別部材である外縁突出部37を設けることとしてもよい。
【0197】
以上のように、実施例5によれば、実施例1による作用効果と同等の作用効果を奏するとともに、パッド35を貼り付ける際の手間が軽減される筋肉電気刺激装置1を提供することができる。
【0198】
なお、本例では、
図19(a)に示すように、外縁突出部37は、パッド貼り付け領域36の外縁から基材33の縁部33dまで形成されおり、パッド貼り付け領域36が外縁突出部37よりも凹状に形成されるようにしたが、これに替えて、次の変形例2のようにもできる。変形例2では、
図20、
図21に示すように、外縁突出部37は、実施例5の場合の外縁突出部37(
図19(a)参照)に比べて、外縁突出部37の幅が狭くなっており、
図21に示すように、パッド貼り付け領域36の外縁36aに隣接するリブ状に形成されている。これにより、使用時において、外縁突出部37と肌との接触面積が少なくなるため、肌面と基材33の裏側面33aとの間の通気性が向上するとともに、汗が発生した場合でも当該汗を肌面と基材33の裏側面33aとの間から排出しやすくなる。なお、当該変形例2においても、実施例5の場合と同等の作用効果を奏する。
【0199】
また、変形例2では、外縁突出部37は、パッド貼り付け領域36の外縁36aのうち、電極311~313、321~323とリード部311a~313a、321a~323aとの接続部を覆う部分の外縁36bを除いた外縁全体に隣接するように設けたが、これに替えて、例えば、
図22に示す変形例3のように、電極322のパッド貼り付け領域36の外縁36aのうち、パッド貼り付け領域36の外側(左方向X2)の両隅部の外縁36cに隣接するように外縁突出部370を突出形成してもよい。
【0200】
なお、変形例3では、
図22に示すように、第2電極群32の電極322におけるパッド貼り付け領域36及び外縁突出部37について説明したが、第2電極群32における他の電極321、323については、図示しないが、電極322の場合と同様にパッド貼り付け領域36及び外縁突出部370が形成されている。また、第1電極群31の電極311~313におけるパッド貼り付け領域36及び外縁突出部370は、図示しないが、中心線10aを対称軸として、第2電極群32のパッド貼り付け領域36及び外縁突出部370と線対称にそれぞれ形成されている。
【0201】
この場合には、外縁突出部370が形成される領域が少なくなるため、使用時に肌面との接触面積を少なくでき、通気性を一層高めることができる。また、外縁突出部370が肌に触れにくくなるため、使用後に外縁突出部370が肌に当接した跡が残りにくい。また、各電極基部331~333、341~343の縁部は薄肉となっているが、外縁突出部370が形成されることにより、パッド貼り付け部36の縁部が厚くなって剛性が高まる。これにより、人体に貼り付けた状態から当該筋肉電気刺激装置1を取り外す際に、パッド貼り付け部36の縁部を持ち上げやすくなり、当該筋肉電気刺激装置1を取り外しやすくなる。そして、当該変形例3においても、実施例5において、外縁突出部37が接続部を覆う部分の外縁36bを除いた外縁全体に隣接するように設けたことによる作用効果を除いて、実施例5の場合と同等の作用効果を奏する。
【0202】
(実施例6)本発明における実施例6の筋肉電気刺激装置について、説明する。
特許文献1に開示の筋肉電気刺激装置では、電源を内蔵し操作部を有する本体部と、本体部から延設された基材に形成された一対の電極と、を備え、電極から人体に電気パルスを流して筋刺激を与えるように構成されている。そして、一対の電極は、本体部が位置するシート状の基材により一体となっている。基材に形成された電極には粘着性及び導電性を有するゲル状のパッドが貼付されており、当該パッドの粘着性を利用して電極及び本体部が人体に貼り付けられるとともに、当該パッドの導電性を利用して電極と人体とを通電可能にしている。
【0203】
しかしながら、特許文献1に開示の筋肉電気刺激装置では、繰り返し使用したりすることにより、パッドの粘着力が低下すると、使用中に電極が肌面から次第に剥がれるおそれがある。そして、電極が次第に剥がれていくにつれて、当該電極と肌面とのパッドを介した当接部分が次第に小さくなり、当該当接部分の単位面積当たりの電流量が次第に大きくなる。そのため、電極の剥がれが大きくなって、当該当接部分の面積が小さくなると、当該当接部分の単位面積当たりの電流量が過度に大きくなって、使用者が痛みを感じるおそれがある。
【0204】
実施例6の筋肉電気刺激装置1では、これらの問題にも鑑みて次のように構成されている。なお、先行する実施例における筋肉電気刺激装置1と同等の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。また、本例の説明において使用する図面が、先行する実施例における図面と同一の場合は、先行する実施例における図面を代用する。
【0205】
本例の筋肉電気刺激装置1は、実施例1において
図1、
図2に示したのと同様に、基材33に形成された電極311~313、321~323と、導電性及び粘着性を有するゲル状のパッド35と、をそれぞれ複数備える。そして、筋肉電気刺激装置1は、パッド35を介して電極311~313、321~323から人体2(
図5参照)に電気刺激を付与するように構成されている。
【0206】
そして、基材33には、パッド35が電極311~313、321~323を覆うように貼り付けられるパッド貼り付け部361~363、371~373が形成されている。複数の電極311~313、321~323には、電極311~313、321~323を覆うパッド35の面積の10~65%の面積を有する電極311~313、321~323が含まれている。
【0207】
なお、パッド35は、パッド貼り付け部361~363、371~373に着脱可能に設けるようにしてもよい。例えば、パッド35の粘着力が低下した場合やパッド35の汚れが目立ってきた場合に、パッド35をパッド貼り付け部361~363、371~373から取り外して、当該パッド35を洗浄した後に再度パッド貼り付け部361~363、371~373に取り付けたり、パッド35をパッド貼り付け部361~363、371~373から取り外して、新しいパッド35を当該パッド貼り付け部361~363、371~373に取り付けたりできるようにしてもよい。また、筋肉電気刺激装置1は流通過程においては、そのパッド貼り付け部361~363、371~373にパッド35が設けられておらず、使用者が使用する際又は使用の前にパッド貼り付け部361~363、371~373にパッド35を取り付けるように構成されていてもよい。一方、パッド35がパッド貼り付け部361~363、371~373に固着されており、当該パッド35を取り外すことができない、あるいは、交換することが想定されていないように構成されていてもよい。したがって、当該筋肉電気刺激装置1は、少なくともその使用状態において、パッド35がパッド貼り付け部361~363、371~373に貼り付けられているように構成されていればよい。
【0208】
図23に示すように、本例では、各電極基部331~333、341~343は、本体部10に接合されたシート状の基材33が外方に延出して形成されてなる。そして、電極基部331~333はそれぞれ、中心線10aから離れるように右方向X1に向かう延出方向331x~333xに延出している。なお、延出方向331x、332xはY方向における上方に若干向かっており、延出方向333xはY方向における下方に若干向かっている。また、電極基部341~343はそれぞれ、中心線10aから離れるように左方向X2に向かう延出方向341x~343xに延出している。なお、延出方向341x、342xはY方向における上方に若干向かっており、延出方向343xはY方向における下方に若干向かっている。各電極基部331~333、341~343の延出方向331x~333x、341x~343xは、これらに限定されず電極311~323の配置等を考慮して適宜決定することができる。
【0209】
図23、
図24に示すように、各パッド35の外形は、各電極311~313、321~323の外形よりも大きくなっており、各パッド35の面積は、各電極311~313、321~323の面積よりも大きくなっている。そして、各パッド35は、パッド貼り付け部361~363、371~373に貼り付けられている。パッド貼り付け部361~363、371~373は、パッド35が貼り付けられる領域を含む部分であって、本例では、電極基部331~333、341~343の外形をパッド35の外形よりも一回り大きくすることにより、当該電極基部331~333、341~343の裏面33aの全域をパッド貼り付け部361~363、371~373としている。
【0210】
図23に示すように、パッド貼り付け部361~363、371~373において、電極311~313、321~323は、パッド貼り付け部361~363、371~373において、一方の端部(本例では、端部361a~363a、371a~373a)に近い側に位置している。そして、端部361aは、パッド貼り付け部361において、
図23に示すように基材33を正面から見たときに基材33の中心33cから最も遠い端部となっている。同様に、各端部362a、363a、371a~373aも、それぞれパッド貼り付け部362、363、371~373において、基材33を正面から見たときに基材33の中心33cから最も遠い端部となっている。
【0211】
各パッド35は、パッド貼り付け部361~363、371~373に貼り付けられて、各電極311~313、321~323の全域をそれぞれ覆っている。
図24に示すように、パッド35は、電極312の全域を覆う電極被覆部350と、電極312を覆っていない電極非被覆部353とからなる。電極非被覆部353は、電極被覆部350の外縁351のうち、電極基部332の延出方向332xと反対側の外縁351aから広く延出したパッド延出部352を有する。
【0212】
そして、
図24に示すように、電極非被覆部353においてパッド延出部352の延出量(外縁351aとパッド延出部352における延出方向332xと反対側の外縁352aとの最短距離)W1は、パッド35の電極非被覆部353において、電極被覆部350の外縁351のうち、電極基部332の延出方向332x側の外縁351bからの延出量W2、電極基部332の延出方向332x及び厚さ方向Z(
図25参照)に直交する方向332yの外縁351c、351dからの延出量W3、W4よりも十分大きい。これにより、パッド延出部352は、電極基部332の延出方向332xと反対側に広く延び出している。なお、電極311、313、321~323を覆うパッド35においても同様に形成された電極被覆部350とパッド延出部352を含む電極非被覆部353とからなる。
【0213】
本例では、各パッド35は、各銀ペースト印刷部311b~323bの外形よりも若干大きい外形を有しており、各銀ペースト印刷部311b~323bの全域を覆うように貼り付けられる。そして、本例では、
図24に示すように、パッド延出部352の延出量W1は、電極312の延出方向332xの長さW0と略同一となっている。そのため、パッド延出部352の面積は、電極312の面積よりも大きくなっている。なお、他の電極311、313、321~323においても同様である。
【0214】
次に、
図25(a)、
図25(b)に示すように、本例の筋肉電気刺激装置1において、使用中に第2右側電極312が肌面6から剥がれ出した場合について説明する。まず、
図25(a)に示すように、通常状態では、パッド35の全域が肌面6と密着しており、第2右側電極312の全域が当該パッド35を介して、肌面6に当接している。したがって、第2右側電極312と肌面6とのパッド35を介した当接部分Gは電極被覆部350の全域に一致している。
【0215】
ここで、腹部3の肌面6は、へそ3a(
図5参照)から脇腹3bに向かう方向に徐々に曲率が大きくなっている。そして、本例では、
図25(a)、
図25(b)に示すように、へそ3aから脇腹3bに向かう方向は、電極基部332の延出方向332xにと略一致しており、肌面6は、沿って、延出方向332xに進むにつれて徐々に曲率が大きくなっている。
【0216】
そして、繰り返し使用するなどして、パッド35の粘着力が低下した場合には、
図25(b)に示すように、第2右側電極312が肌面6から剥がれ出す場合がある。詳細に説明すると、基材33の電極基部332の外縁332b、すなわち、電極基部332の延出方向332xの先端において、パッド35が肌面6から離れて、第2右側電極312が肌面6から剥がれ出す。そして、第2右側電極312における当該剥離は、電極基部332の延出方向332xと反対方向に進行する。そして、当該剥離の進行に伴って、第2右側電極312と肌面6とのパッド35を介した当接部分Gは次第に小さくなる。そして、
図25(b)に示す状態では、当接部分Gはごく小さくなっている。しかし、パッド35では、電極被覆部350はごく小さい当接部分Gにおいて肌面6に電極被覆部350を介して接しているにすぎないが、パッド延出部352は肌面6に接している。そのため、第2右側電極312からの電流は、ごく小さい当接部分Gにおける電極被覆部350と、パッド延出部352を介して肌面6に流れることとなる。これにより、かかる状態においても、第2右側電極312から肌面6に流れる電流が過度に集中することがなく、使用者は痛みを感じにくい。なお、他の各電極311、313、321~323においても同様である。
【0217】
実施例6の筋肉電気刺激装置1の作用効果について、以下に詳述する。筋肉電気刺激装置1では、パッド35の面積の10~65%の面積を有する電極311~323が備えられている。かかる電極311~323においては、パッド35の面積よりも小さくなっているため、パッド貼り付け部361~373に貼り付けられたパッド35には、電極311~323を覆っている電極被覆部350と、電極を覆っていない電極非被覆部353とが形成されることとなる。電極被覆部350は、電極311~323と肌面6の両方に接していることから、電流は電極311~323から電極被覆部350に接する肌面6に積極的に流れる。一方、電極非被覆部353は基材33において電極311~323が形成されていない領域に設けられているため、電流が積極的には流れない。
【0218】
そして、パッド35の粘着力が低下したりして、電極被覆部350が離れだした場合には、電極被覆部350を介した電極311~323と肌面6との当接部分は次第に小さくなるが、電極非被覆部353は肌面6に当接した状態に維持される。したがって、上記当接部分が小さくなっても電極非被覆部353を介して肌面6における通電面積が確保されるため、肌面6における単位面積当たりの電流量が過度に大きくなることが防止されて電力の集中が緩和されて、使用者が痛みを感じることを抑制することができる。
【0219】
また、パッド35の面積が電極311~323の面積よりも十分大きくなるため、パッド35を貼り付ける際に若干の位置ずれが生じても、当該パッド35により電極311~323を確実に覆うことができる。これにより、組み付け作業性が向上するとともに、電極311~323がパッド35から露出して肌面に直接当接することを防止できる。また、電極311~323がパッド35から露出することが防止されるため、筋肉電気刺激装置1の使用後等に、筋肉電気刺激装置1を人体2から取り外す際に手が電極311~323に直接当接することを防止できる。
【0220】
また、本例では、パッド貼り付け部361~373は、パッド35の貼り付け位置を表示する貼り付け位置表示部としての銀ペースト印刷部311b~323bを有する。これにより、パッド35を適正な位置に貼り付けることが一層容易となり、組み付け作業性が向上する。
【0221】
また、本例では、電極311~323は、パッド貼り付け部361~373において、一方の端部361a~373aに近い側に位置している。これにより、パッド35が、電極311~323が位置する側の端部362a以外のいずれのところから剥がれた場合においても、パッド35において電極311~323を覆う電極被覆部350は肌面6に当接した状態に維持されていることから、一層電力の集中が生じにくくすることができ、使用者が痛みを感じることを抑制しやすくなる。
【0222】
また、本例では、一方の端部361a~373aは、パッド貼り付け部361~373において、基材33を正面から見たときに基材33の中心33cから最も遠い端部361a~373aを形成している。これにより、複数の電極311~323は、各パッド貼り付け部361~373における基材33の中心33cから最も遠い端部361a~373aに近い側に位置することになるため、電極311~323間の距離を大きくしやすくなる。そのため、各電極311~323から出力された電気刺激が、人体2におけるより内方の筋肉、すなわち、肌面6から人体2の深いところに位置する筋肉に届きやすくなっている。その結果、かかる筋肉を効率的に刺激することができる。
【0223】
なお、本例では、電極311~323は、上述の如く、パッド貼り付け部361~373において、端部361a~373aに近い側に位置していることとしたが、これに替えて、パッド貼り付け部361~373において、基材33の中心33cに近い側に位置するようにしてもよい。この場合において、パッド35の粘着力が低下したりして、パッド35が剥がれ出す場合には、電極被覆部350が離れる前に電極非被覆部353が離れることとなりやすい。そして、電極非被覆部353が離れだした場合には、電極被覆部350は肌面6に当接した状態に維持されていることから、電力の集中が生じにくい。そのため、使用者は痛みを感じる前に、パッド35(電極非被覆部353)の剥がれに気づきやすくなる。その結果、痛みを感じる前にパッド35を貼り直すことが促されることとなる。
【0224】
また、本例では、複数の電極311~323には、基材33の中心33cを通る仮想中心線としての中心線10aによって二分された一方に位置するもの(電極311~313)と、他方に位置するもの(電極321~323)が含まれている。これにより、電極311~313と電極321~323とが仮想中心線(中心線10a)を挟んで離隔して配置されることとなるため、各電極311~323から出力された電気刺激が、肌面6から人体2の深いところに位置する筋肉に一層届きやすくなる。その結果、かかる筋肉を一層効率的に刺激することができる。
【0225】
また、本例では、基材33は、電極基部331~333、341~343を複数有している。これにより、複数の電極基部331~333、341~343のそれぞれに形成された複数の電極311~323と本体部10とが一体的に形成されるため、使用に際して、複数の電極311~323を一括して貼り付けることができる。そのため、複数の電極311~323を貼り付ける際の手間が軽減され、使い勝手が向上する。また、パッド35は電極基部331~343の端部332bから、電極基部331~343の延出方向331x~343xと反対方向に剥がれやすい。そのため、パッド35が電極基部331~343の端部332bから電極基部331~343の延出方向331x~343xと反対方向に向かって、肌面6から次第に剥がれると、パッド35のうち電極311~323を覆う電極被覆部350を介して接する電極311~323と肌面6との当接部分Gは次第に小さくなるが、パッド35のうち電極被覆部350から電極基部331~343の延出方向331x~343xと反対方向に延出したパッド延出部352は、肌面6に当接した状態に維持されている。したがって、上記当接部分Gが小さくなってもパッド延出部352を介して肌面6における通電面積が確保されるため、肌面6における単位面積当たりの電流量が過度に大きくなることが防止されて、使用者が痛みを感じることを抑制することができる。
【0226】
なお、基材33において、電極基部361~373が延出する方向(延出方向331x~343x)は、電極311~323の配置等に基づいて適宜決定することができる。例えば、基材33の中心33cを通って基材33の主面33bに平行な仮想中心線としての中心線10aから離れる方向としたり、さらに基材33において、中心線10aから離れる方向に延出された中継部を設けて、該中継部から任意の位置に向かう方向としたりしてもよい。
【0227】
また、本例では、本体部10は基材33の中心33cに位置している。これにより、本例の筋肉電気刺激装置1をコンパクトに形成することができ、本体部10と各電極311~323との間の経路を短くすることができるため、効率的に各電極311~323に電流を流すことができる。
【0228】
また、本例では、銀ペースト印刷部311b~323bの一部にシリコンコーティングを施して、電極311~323を銀ペースト印刷部311b~323bよりも小さくしている。これにより、上記シリコンコーティングを施さずに、銀ペースト印刷部311b~323bの全域を当該電極311~323とした場合に比べて、各電極311~323の面積を小さくすることができる。その結果、装置全体における消費電力を低減することができる。そして、パッド35はパッド延出部352を備えることにより、パッドの大きさが確保されている。また、各電極311~323へ供給される電流量の低下を抑制することができるため、本例の如く、電池21としてコイン電池を採用していても、6個の電極311~323を備えることとすることができる。
【0229】
また、銀ペースト印刷部311b~323bにおけるシリコンコーティングが施された部分は電極としては作用しないが、パッド35を貼り付ける際のガイドとなる。すなわち、銀ペースト印刷部311b~323bが、パッド35を貼りつける位置を表示する貼り付け位置表示部を形成している。貼り付け位置表示部としての銀ペースト印刷部311b~323bの全体を覆うようにパッド35を貼り付ければ、パッド35が電極311~323の全域を覆うとともに、パッド延出部352の面積を十分広く確保することができる。
【0230】
以上のように、実施例6によれば、実施例1による作用効果と同等の作用効果を奏するとともに、使用中にパッド35が剥がれてきた場合に、使用者が痛みを感じることを抑制することができる筋肉電気刺激装置1を提供することができる。
【0231】
なお、本例では、銀ペースト印刷部311b~323bの一部にシリコンコーティングを施すこととしたが、これに替えて、
図26に示す変形例4のように、銀ペースト印刷部311b~323bの形状を予め各電極311~323と同等の形状としておき、銀ペースト印刷部311b~323bの略全域を各電極311~323としてもよい。この場合には、銀ペースト印刷部311b~323bには、シリコンコーティングが施されないが、リード部には実施例1の場合と同様にシリコンコーティングが施されて、外部と導通できないようになっている。この場合も、実施例6において、銀ペースト印刷部311b~323bがパッド35を貼り付ける際のガイドとして機能することを除いて、実施例6と同等の作用効果を奏する。
【0232】
なお、実施例6では、6個の電極311~313、321~323を備えることとしたが、これに限らず、8個とすることができる。例えば、変形例5においては、
図27に示すように、電極として、電極311~313、321~323に加え、第4右側電極317及び第4左側電極328を有し、合計8個の電極を有する。なお、変形例5において、実施例1~6と同等の要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0233】
変形例5では、第4右側電極317は、第2右側電極312と第3右側電極313との間に位置しており、第4左側電極328は、第2左側電極322と第3左側電極323との間に位置している。第4右側電極317及び第4左側電極328においても、他の電極311~323と同様に、パッド35が設けられており、パッド延出部352が形成されている。
【0234】
変形例5においても実施例6の場合と同等の作用効果を奏する。そして、パッド延出部352を備えることにより、パッド35の大きさの確保しつつ、各電極311~313、317、321~323、318へ供給される電流量の低下を抑制することができるため、変形例5のように8個の電極が備えられることが可能となる。
【0235】
本例では、6個の電極311~313、321~323がいずれもパッド35の面積の10~65%の範囲内の面積を有していたが、これに替えて、筋肉電気刺激装置に備えられる複数の電極のうち、一部の電極が、パッド35の面積の65%より大きい面積を有していてもよい。例えば、以下に示す、参考例2のようにすることができる。すなわち、参考例2では、
図28に示すように、3個の電極314、315、324を備える。参考例2において、実施例1~6と同等の要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0236】
参考例2では、
図28に示すように、基材33は正面から見て、略Y状を成している。そして、基材33の中心33cに本体部10が形成されている。また、基材33のY方向上側に二股に分かれて延出した一対の電極基部334、335には、それぞれ電極314、315が設けられており、基材33のY方向下側に延出した電極基部344には、電極324が設けられている。
【0237】
電極314、315は、実施例6における電極314、315と同等の形状を有している。ただし、電極314のリード部314aと、電極315のリード部315aとは、両者と同様に銀ペーストを含むインクを印刷するとともにコーティングが施されてなる連結部310を介して連結されている。そして、連結部310は、制御部40の出力端子(図示せず)に接続されている。
【0238】
一方、電極324は、基材33の裏面33aに形成された銀ペースト印刷部324bからなる。銀ペースト印刷部324bには、コーティングが施されておらず、銀ペースト印刷部324bの略全域が電極324となっている。銀ペースト印刷部324bは、電極314、315を形成する銀ペースト印刷部314b、315bに比べて小さくなっている。そのため、電極314、315と電極324とは、略同一の面積となっている。電極324は、銀ペーストを含むインクを印刷するとともにコーティングが施されてなるリード部324aを介して制御部40の出力端子のうち、上記連結部310が接続される出力端子と反対の極性の出力端子(図示せず)に接続されている。
【0239】
図28に示すように、基材33のY方向上側に延出した一対の電極基部334、335がパッド貼り付け部364、365をそれぞれ形成し、Y方向下側に延出した電極基部344がパッド貼り付け部374を形成している。そして、電極314、315、324を覆うようにそれぞれパッド35が貼り付け部364、365、374に貼り付けられる。電極324に貼り付けられるパッド35は、パッド貼り付け位置表示部としての銀ペースト印刷部324bの大きさに合わせた形状となっており、電極314、315を覆うパッド35よりも小さくなっている。そして、電極324の面積は、電極324を覆うパッド35の面積の85%となっている。なお、電極314、315の面積は、実施例6の場合と同様に、両者をそれぞれ覆うパッド35の面積の45%となっている。
【0240】
本参考例2では、筋肉電気刺激装置1に備えられる複数の電極314、315、324のうち、一部の電極(電極324)が、当該電極324を覆うパッドの面積の65%より大きい面積を有している。しかし、電極314、315は、実施例6と同様に当該電極314、315を覆うパッドの面積の10~65%の範囲内の面積となっている。そのため、参考例2の電極314、315において、実施例6における電極が4個以上備えられていることによる作用効果を除いて、実施例6の場合と同等の作用効果を奏する。
【0241】
(実施例7)本発明における実施例7の筋肉電気刺激装置について、説明する。
特許文献1に開示の筋肉電気刺激装置では、一対の電極が備えられているにすぎず、複数の筋肉に効率よく電気刺激を付与することが困難である。そこで、電極の数を増やすことが考えられるが、単に電極の数を増やすと、電極と制御部との通電距離にばらつきが生じやすい。そして、かかる通電距離のばらつきに起因して、電極と制御部とを電気的に接続するリード部における電気抵抗が電極ごとにばらついて、各電極から出力される電気刺激がばらつきやすくなる。その結果、筋肉にバランス良く電気刺激を付与することが困難となる。一方、通電距離のばらつきを抑制するために、単に各リード部を同等の長さにすると、電極の配置の自由度が大きく低下してしまい、電極を筋肉に電気刺激を付与するのに適した位置に配置しにくくなる。
【0242】
実施例7の筋肉電気刺激装置1では、かかる問題にも鑑みて次のように構成されている。なお、先行する実施例における筋肉電気刺激装置1と同等の部材には同一の符号を付して、その説明及びその使用態様の説明を省略する。また、本例の説明において使用する図面が、先行する実施例における図面と同一の場合は、先行する実施例における図面を代用する。
【0243】
実施例7の筋肉電気刺激装置1は、
図29に示すように、本体部10、電源部20(
図4参照)、電極部30、制御部40、リード部38、39を備える。電源部20及び制御部40は、本体部10に収納されている。電極部30は、電源部20から電力が供給される3個以上の電極311~323を有する。制御部40は、電極部30への電力供給を制御する。リード部38、39は電極部30と制御部40とを電気的に接続する。そして、筋肉電気刺激装置1は、電極部30から人体2(
図5参照)に電気刺激を付与するように構成されている。
図29、
図30に示すように、制御部40は、同一極性の電圧が印加される複数の端子451、452(461、462)を有する。リード部38(39)は、複数の端子451、452(461、462)同士を接続する端子接続部383(393)と、端子接続部383(393)と電極311~313(321~323)とを接続する電極接続部385~387(395~397)と、を有する。
図31に示すように、各電極311~313(321~323)から端子451、452(461、462)までの最短経路L1~L3(L4~L6)の長さはそれぞれ、最短経路L1~L3(L4~L6)の平均長さとの差が、平均長さの20%未満となっている。
【0244】
本例において、「各電極311~313(321~323)のから端子451、452(461、462)までの最短経路L1~L3(L4~L6)」は、次のように規定される。まず、リード部38(39)において、一つの電極311~313(321~323)から一つの端子451、452(461、462)に電気的に繋がる経路を抽出する。そして、抽出した経路の各位置におけるリード部38(39)の幅方向の中央を結んだ経路仮想線を描き、その経路仮想線の長さを当該経路の長さとする。そして、一つの電極311~313(321~323)から複数の端子451、452(461、462)のそれぞれの経路の長さを導き出して、そのうち最も短いものを当該電極311~313(321~323)から端子451、452(461、462)までの最短経路とする。
【0245】
図30に示すように、リード部としての第1リード部38は、第1制御部側接続部群380と、第1端子接続部383と、第1電極接続部群384とを有する。第1制御部側接続部群380は、第1端子群45に属する複数の端子(第1端子451、第2端子452)に接続される複数の制御部側接続部(第1制御部側接続部381、第2制御部側接続部382)からなる。第1制御部側接続部381、第2制御部側接続部382は、それぞれ本体部10側に突出している。そして、実施例1における
図4(b)に示したのと同様に、第1制御部側接続部381及び第2制御部側接続部382は、それぞれ第1ケース111の内壁に沿って厚さ方向に折り曲げられるとともに、その先端が制御基板41と平行に折り曲げられる。そして、第1制御部側接続部381及び第2制御部側接続部382の先端が上述の如く、ボス116と制御基板41との間に挟み込まれている。
【0246】
また、
図30に示すように、端子接続部としての第1端子接続部383は、第1制御部側接続部群380に属する複数の制御部側接続部(第1制御部側接続部381、第2制御部側接続部382)が互いに通電するように形成されている。本例では、第1端子接続部383は本体部10の外縁10bに沿って略半円弧状を成している。そして、第1端子接続部383の一端に第1制御部側接続部381が設けられ、他端に第2制御部側接続部382が設けられている。
【0247】
また、第1電極接続部群384は、第1端子接続部383から第1電極群31に属する複数の電極(第1右側電極311、第2右側電極312、第3右側電極313)に向けて延びるとともに該複数の電極311~313に接続される複数の電極接続部(第1電極接続部385、第2電極接続部386、第3電極接続部387)からなる。本例では、第1電極接続部385、第2電極接続部386、第3電極接続部387はいずれも線状に形成されている。
【0248】
リード部としての第2リード部39は、第1リード部38と同様に、第2制御部側接続部群390と、第2端子接続部393と、第2電極接続部群394とを有する。第2制御部側接続部群390は、第2端子群46に属する複数の端子(第3端子461、第4端子462)に接続される複数の制御部側接続部(第3制御部側接続部391、第4制御部側接続部392)からなる。そして、第1リード部38と同様に、第3制御部側接続部391及び第4制御部側接続部392の先端がボス116と制御基板41との間に挟み込まれている。
【0249】
また、端子接続部としての第2端子接続部393は、第1リード部38の場合と同様に、第2制御部側接続部群390に属する複数の制御部側接続部(第3制御部側接続部391、第4制御部側接続部392)が互いに通電するように形成されている。本例では、第1リード部38の場合と同様に、第2端子接続部393は本体部10の外縁10bに沿って略半円弧状を成している。そして、第2端子接続部393の一端に第3制御部側接続部391が設けられ、他端に第4制御部側接続部392が設けられている。
【0250】
第2電極接続部群394は、第1リード部38の場合と同様に、第2端子接続部393から第2電極群32に属する複数の電極(第1左側電極321、第2左側電極322、第3左側電極323)に向けて延びるとともに該複数の電極321~323に接続される複数の電極接続部(第4電極接続部395、第5電極接続部396、第6電極接続部397)からなる。本例では第4電極接続部395、第5電極接続部396、第6電極接続部397はいずれも線状に形成されている。
【0251】
そして、
図31(a)~(c)に示すように、第1リード部38(
図30参照)は、第1経路としての第1右側経路L1、第2経路としての第2右側経路L2、第3経路としての第3右側経路L3をそれぞれ形成している。第1右側経路L1は、第1端子451から第1右側電極311に向かって線状に延びて第1右側電極311に接続されている。第2右側経路L2は、第1端子451及び第2端子452から第1端子接続部383を介して第2右側電極312に接続されている。第3右側経路L3は、第2端子452から第1端子接続部383を介して第3右側電極313に接続される。そして、第1リード部38において、各経路L1~L3はそれぞれの電極311~313に繋がる最短経路である。
【0252】
第1リード部38における各経路L1~L3の長さは、これらを平均した平均長さの20%未満であり、好ましくは平均長さの18%未満であり、より好ましくは平均長さの15%未満である。本例では、各経路L1~L3の長さはそれぞれ、40mm、35mm、31mmであって、これらを平均した平均長さは35.33mmである。そして、各経路L1~L3の長さと上記平均長さとの差はそれぞれ、4.67mm、0.33mm、4.33mmであって、上記平均長さの13.21%、0.93%、12.26%となっている。
【0253】
また、
図31(a)~(c)に示すように、第2リード部39(
図30参照)は、第1経路としての第1左側経路L4、第2経路としての第2左側経路L5、第3経路としての第3左側経路L6をそれぞれ形成している。第1左側経路L4は、第3端子461から第1左側電極321に向かって線状に延びて第1左側電極321に接続されている。第2左側経路L5は、第3端子461及び第4端子462から第2端子接続部393を介して第2左側電極322に接続されている。第3左側経路L6は、第4端子462から第2端子接続部393を介して第3左側電極323に接続される。そして、第2リード部39において、各経路L4~L6はそれぞれの電極321~323に繋がる最短経路である。
【0254】
第1リード部38と同様に、第2リード部39における各経路L4~L6の長さは、これらを平均した平均長さの20%未満であり、好ましくは平均長さの18%未満であり、より好ましくは平均長さの15%未満である。本例では、各経路L4~L6の長さはそれぞれ、40mm、35mm、31mmであって、これらを平均した平均長さは35.33mmである。そして、各経路L4~L6の長さと上記平均長さとの差はそれぞれ、4.67mm、0.33mm、4.33mmであって、上記平均長さの13.21%、0.93%、12.26%となっている。
【0255】
図29に示すように、第1右側電極311、第2右側電極312及び第3右側電極313は、同一の仮想直線F1上に位置するように配列している。また、第1左側電極321、第2左側電極322及び第3左側電極323も、同一の仮想直線F2上に位置するように配列している。そして、本例では、仮想直線F1、F2は、中心線10aと平行となっている。
【0256】
実施例7の筋肉電気刺激装置1の作用効果について、以下に詳述する。上記筋肉電気刺激装置1では、複数の電極311~313(321~323)のそれぞれから端子451、452(461、462)までの最短経路L1~L3(L4~L6)の長さはそれぞれ、最短経路L1~L3(L4~L6)の平均長さとの差が、該平均長さの20%未満となっている。そのため、電極311~313(321~323)と制御部40との通電距離にばらつきが生じにくく、電極311~313(321~323)と制御部40とを電気的に接続するリード部38(39)における電気抵抗の電極ごとのばらつきを低減できる。そのため、各電極311~313(321~323)から出力される電気刺激がばらつきにくくなり、筋肉にバランス良く電気刺激を付与することができる。
【0257】
また、制御部40には同一極性の電圧が印加される複数の端子451、452(461、462)が備えられている。そして、リード部38(39)には、当該複数の端子451、452(461、462)に接続される端子接続部383(393)と、端子接続部383(393)と電極311~313(321~323)とを接続する電極接続部385~387(395~397)とが設けられている。これにより、リード部38(39)を介した最短経路L1~L3(L4~L6)を短く維持しつつ、電極311~313(321~323)の配置の自由度を高めることができる。その結果、電極311~313(321~323)を筋肉に電気刺激を付与するのに適した位置に配置しやすくなる。
【0258】
また、本例では、複数の電極311~313(321~323)は、同一の仮想直線F1(F2)上に位置するように配置されている。これにより、腹直筋4のように、直線上に配列した複数の区画4aのそれぞれに電極311~313(321~323)を対応させやすくなるため、腹直筋4等の筋肉を効果的に刺激することができる。
【0259】
また、本例では、同一極性の端子451、452(461、462)が、2個備えられている。これにより、少ない構成で各電極311~313(321~323)との最短経路L1~L3(L4~L6)を短くしつつ、製造コストの低減を図ることができる。
【0260】
また、本例では、電極部30の第1電極群31は3個の電極311~313を有し、第2電極群32は3個の電極321~323を有する。これにより、腹直筋4が身長方向Yに区画された3つの区画4aに、電極311~313を対応させることができるため、腹直筋4を一層効果的に刺激することができる。
【0261】
また、本例では、複数の端子451、452、461、462、電極311~313、321~323及びリード部38、39はそれぞれ、本体部10の中心を通る中心線10aにより二分された一方の領域(第1領域G1)と他方の領域(第2領域G2)の両方にそれぞれ配置されている。そして、一方の領域(第1領域G1)に配置される電極311~313と他方の領域(第2領域G2)に配置される電極321~323とは、互いに異なる極性の電圧が印加されるように構成されている。これにより、中心線10aが人2の身長方向Yと平行となるようにして腹部3の真ん中に取り付けることにより、各電極311~313、321~323が左右の腹直筋4にそれぞれ対応する位置に位置しやすくなるため、腹直筋4を刺激するのに適した筋肉電気刺激装置1となる。
【0262】
また、本例では、端子接続部(第1端子接続部383及び第2端子接続部393)は、本体部10の外縁10bに沿って形成されている。これにより、リード部(第1リード部38及び第2リード部39)を短く形成しやすいため、効率的に電気刺激を出力することができる。
【0263】
なお、本例では、複数の制御部側接続部381、382、391、392と制御部40とは、ねじ115を介して締結固定したが、これに替えて、複数の制御部側接続部381、382、391、392を第1ケース111と第2ケース112とで挟んで制御部40に圧接するように接続されるように固定してもよい。
【0264】
以上のように、実施例7によれば、実施例1における作用効果と同等の作用効果を奏するとともに、各電極311~323から出力される電気刺激のばらつきが低減されるとともに、電極311~323の配置の自由度が向上される筋肉電気刺激装置1を提供することができる。
【0265】
実施例7では、6個の電極311~313、321~323を備えることとしたが、
図17に示す変形例6のように、8個の電極311~314、321~324を備えることとしてもよい。変形例6において、実施例1~7と同等の要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0266】
変形例6では、
図32に示すように、第1電極群31には、第3右側電極313よりも本体部10に近く、第2右側電極312よりも遠い位置であって、第2右側電極312と第3右側電極313との間に位置し、第1右側電極311、第2右側電極312及び第3右側電極313とともに円弧状又は線状に並んだ第4右側電極314が含まれている。第2電極群32には、第3左側電極323よりも本体部10に近く、第2左側電極322よりも本体部10から遠い位置であって、第2左側電極322と第3左側電極323との間に位置し、第1左側電極321、第2左側電極322及び第3左側電極323とともに円弧状又は線状に並んだ第4左側電極324が含まれている。
【0267】
そして、第1リード部38は、第1端子451及び第2端子452から第1端子接続部383を介して第4右側電極314に接続されるとともに第1右側経路L1と略同じ長さを有する右側経路L7を有する。したがって、第4右側経路L7の長さも、最短経路の平均長さとの差が、当該平均長さの20%未満となっている。また、第2リード部39は、第3端子461及び第4端子462から第2端子接続部393を介して第4左側電極324に接続されるとともに第1左側経路L4と略同じ長さを有する第4左側経路L8を有する。したがって、第4左側経路L8の長さも、最短経路の平均長さとの差が、当該平均長さの20%未満となっている。変形例6においても、実施例7と同等の作用効果を奏する。
【0268】
また、変形例6では、電極部30のおける第1電極群31及び第2電極群32は、それぞれ、電極311~314、321~324を4個有している。これにより、腹直筋4が長手方向(身長方向Y)に4つに区画されている場合に、当該区画4aごとに電極を対応させることができるため、腹直筋4を一層効果的に刺激することができる。
【0269】
また、変形例6では第4右側電極314及び第4左側電極324は、中心線10aを基準として線対称の位置に位置している。これにより、腹直筋4を刺激するのに一層適した筋肉電気刺激装置1となる。
【0270】
(実施例8)本発明における実施例8の筋肉電気刺激装置について、説明する。
特許文献1に開示の筋肉電気刺激装置では、本体部と電極とが一体化されており、衣服の下に着用することができる。そのため、上記装置を着用したまま日常の活動を行うことができる。
【0271】
しかし、従来の筋肉電気刺激装置を長時間に亘って着用し続けた場合、装置と肌との間に滞留した汗や湿気等により使用者が不快感を感じるという問題がある。そのため、筋肉電気刺激装置を着用したまま日常の活動を行う、という態様で従来の装置を使用することは難しく、装置を使用する際に限って筋肉電気刺激装置が着用されていることが多い。
【0272】
一方、筋肉電気刺激装置による筋肉増強の効果は、筋刺激を受ける時間が長いほど高くなる。それ故、筋肉電気刺激装置の着用時間が限られている現状においては、筋肉増強の効果を高めることには限界がある。筋肉増強の効果をより高めるために、長時間に亘って着用し続けることが容易な筋肉電気刺激装置が望まれている。
【0273】
実施例8の筋肉電気刺激装置1では、これらの問題にも鑑みて次のように構成されている。なお、先行する実施例における筋肉電気刺激装置1と同等の部材には同一の符号を付して、その説明及びその使用態様の説明を省略する。また、本例の説明において使用する図面が、先行する実施例における図面と同一の場合は、先行する実施例における図面を代用する。
【0274】
本例の筋肉電気刺激装置1は、2個以上の電極311~313、321~323を有し(
図2参照)、これらの電極311~313、321~323を介して筋肉に電気刺激を与えることができるように構成されている。筋肉電気刺激装置1は、実施例1において
図1~
図3に示したのと同様に、電極311~313、321~323に電力を供給する本体部10と、本体部10から外方へ延出し、シート状を呈する延出部120とを有している。延出部120の一方の面には電極311~313、321~323が配置されている。
【0275】
実施例1における
図3及び
図4(a)~
図4(c)に示したのと同様に、本体部10は、筋肉電気刺激装置1の使用時に人体側を向く肌対面部101を有している。
図33及び
図34に示すように、肌対面部101は、その外表面に、少なくとも一端113aが肌対面部101の外周端縁またはその近傍に配置された複数の溝113を有している。延出部120は、厚み方向に貫通した孔18を本体部10の周囲に有している。
【0276】
本例における筋肉電気刺激装置1の肌対面部101は、
図4(a)~
図4(c)及び
図33に示すように、本体部10における第2ケース112及び蓋15である。
図33に示すように、複数の溝113は、肌対面部101における蓋15よりも外側、即ち、第2ケース112の外表面に配置されている。
図33及び
図34に示すように、本例の溝113は、底面視における肌対面部101の中央から放射状に伸びている。個々の溝113は直線状を呈しており、その一端113aは第2ケース112における外周端縁に配置されている。また、溝113の他端113bは、第2ケース112における蓋15側の縁部に配置されている。
【0277】
図2に示すように、本体部10の周囲には、4箇所の孔18が配置されている。より具体的には、4箇所の孔18は、本体部10を取り囲むリード部311a~313a、321a~323aの外方に配置されている。
図33に示すように、4箇所の孔18のうち2箇所の孔18aは、本体部10よりも上側Y1に配置されている。4箇所の孔18のうち残り2箇所の孔18bは、本体部10よりも下側Y2に配置されている。また、一対の孔18a及び一対の孔18bは、それぞれ、左右方向Xに互いに並んで配置されている。
【0278】
図2及び
図33に示すように、上側Y1に配置された一対の孔18aは、これらを結んでなる仮想直線M1が本体部10の上側Y1を通過すると共に、後述する第1電極対301と第2電極対302との間を通過するように配置されている。また、下側Y2に配置された一対の孔18bは、これらを結んでなる仮想直線M2が本体部10の下側Y2を通過すると共に、後述する第2電極対302と第3電極対303との間を通過するように配置されている。
【0279】
また、孔18a及び孔18bは、それぞれ、仮想直線M1及び仮想直線M2に沿って延びている。なお、本例の筋肉電気刺激装置1におけるその他の構成は実施例1の筋肉電気刺激装置1と同等である。
【0280】
以下、本例の筋肉電気刺激装置1の作用効果について、詳述する。筋肉電気刺激装置1は、肌対面部101(第2ケース112)の外表面に、一端113aが肌対面部101の外周端縁に配置された複数の溝113を有している。また、延出部120は、厚み方向に貫通した孔18を本体部10の周囲に有している。そのため、筋肉電気刺激装置1は、着用中に人体との間に生じる汗や湿気等を外部へ自然に排出することができる。それ故、筋肉電気刺激装置1は、長時間着用した際の不快感を軽減でき、容易に長時間に亘って着用し続けることができる。また、筋肉電気刺激装置1は、筋肉電気刺激装置1を着用したまま日常の活動を行う、という態様で使用することができる。
【0281】
また、延出部120は、2対の孔18a、18bを有している。これらの孔18は、孔18a同士を結んでなる仮想直線M1及び孔18b同士を結んでなる仮想直線M2が、それぞれ本体部10から外れた位置を通過するように配置されている。そのため、筋肉電気刺激装置1を屈曲させる際に本体部10が屈曲の妨げとなりにくい。
【0282】
また、筋肉電気刺激装置1は、6個の電極311~313、321~323が2列に並んで配置されている。そして、孔18は、仮想直線M1、M2が一方の電極列である右側電極群31と他方の電極列である左側電極群32との並び方向(左右方向X)に延びるように配置されている。それ故、仮想直線M1、M2が人体2の左右方向Xに沿うようにして筋肉電気刺激装置1を着用することにより、筋肉電気刺激装置1の剥離や脱落等をより抑制することができる。
【0283】
また、筋肉電気刺激装置1は仮想直線M1が第1電極対301と第2電極対302との間を通り、仮想直線M2が第2電極対302と第3電極対303との間を通るように配置されている。それ故、筋肉電気刺激装置1は、電極311~313、321~323の耐久性向上、体の曲げに対する追従性の向上及び電極311~313、321~323の位置と腹直筋4との適合性の全ての効果を奏することができる。それ故、筋肉電気刺激装置1は、腹部3への着用に特に好適に用いることができる。
【0284】
以上のごとく、本例によれば、実施例1における作用効果と同等の作用効果を奏するとともに、使用したときの体感が向上されるとともに、効率的に筋肉を刺激することができる筋肉電気刺激装置1を提供することができる。
【0285】
また、溝113の形状、数及び位置は、実施例8の態様に限定されることはなく、種々の態様に変更することができる。例えば、
図35に示す変形例7のように、溝113はらせん状に湾曲した形状を有していてもよい。また、
図36に示す変形例8のように、溝113は、肌対面部101の外周端縁に両端113a、113bが配置され、平面視において略U字状を呈する形状を有していてもよい。溝113の形状、太さ及び本数は、上述した実施例及び変形例に限定されることは無く、種々の態様に変更することができる。
【0286】
また、図には示さないが、孔18の形状、数及び位置も、実施例8の態様に限定されることはなく、種々の態様に変更することができる。例えば、実施例8における孔18は略長円状を呈しているが、孔18の形状を円状にしてもよい。
【0287】
また、実施例8には、背面視における肌対面部101の形状が円形である筋肉電気刺激装置1の例を示したが、これに替えて次の変形例9のようにすることもできる。
図37に示すように、変形例9の筋肉電気刺激装置1eは、本体部10eと、本体部10eから外方に延出した延出部120eとを有している。延出部120eの一方の面には、8個の電極311~314、321~324が2列に並んで配置されている。これらの電極311~314、321~324は、身長方向Yに並んだ4対の電極対301~304を構成している。本例においては、便宜上、4対の電極対301~304のうち最も上側Y1の電極対を第1電極対301といい、第1電極対301から下側Y2へ向かって順に第2電極対302、第3電極対303及び第4電極対304という。
【0288】
本体部10eは、背面視において略楕円形を呈する肌対面部101eを有している。肌対面部101eは、実施例1と同様に第2ケース112及び蓋15である。肌対面部101における蓋15よりも外側には、複数の溝113が配置されている。
【0289】
また、本体部10eの周囲には、2対の孔18(18a、18b)が配置されている。孔18のうち上側Y1に配置された一対の孔18aは、これらを結んでなる仮想直線M1が本体部10eよりも上側Y1を通過するように配置されている。また、一対の孔18aは、仮想直線M1が、第2電極対302における上側Y1の端縁近傍を通過するように配置されている。
【0290】
下側Y2に配置された一対の孔18bは、これらを結んでなる仮想直線M2が本体部10eよりも下側Y2を通過するように配置されている。また、一対の孔18bは、仮想直線M2が、第3電極対303における下側Y2の端縁近傍を通過するように配置されている。
【0291】
その他は実施例8と同様である。なお、
図37において用いた符号のうち実施例1~8と同一のものは、特に説明のない限り実施例1~8と同様の構成要素等を示す。
変形例9は、実施例8と同様に、孔18及び溝113を有しているため、長時間着用した際の不快感を軽減でき、容易に長時間に亘って着用し続けることができる。また、変形例9の筋肉電気刺激装置1eは、実施例8と同様に、腹部への着用に特に好適に用いることができる。
【0292】
(実施例9)本発明における実施例9の筋肉電気刺激装置について、説明する。
特許文献1の筋肉刺激装置を長時間に亘って着用し続けた場合、装置と肌との間に汗や湿気等が滞留しやすい。汗や湿気等が本体部に侵入すると本体部内の電子部品が損傷するおそれがあるため、この種の筋肉刺激装置は防滴型あるいはそれ以上の防水性能を有することが望ましい。しかし、上記装置を防水構造にすると、本体部が密閉されるため、本体部から発生する音が外部に伝わりにくくなる。それ故、従来の装置は、操作が装置に受け入れられたことを使用者が認識しにくく、使い勝手が悪いという問題がある。
【0293】
実施例9の筋肉電気刺激装置1では、これらの問題にも鑑みて次のように構成されている。なお、先行する実施例における筋肉電気刺激装置1と同等の部材には同一の符号を付して、その説明及びその使用態様の説明を省略する。また、本例の説明において使用する図面が、先行する実施例における図面と同一の場合は、先行する実施例における図面を代用する。
【0294】
本例の筋肉電気刺激装置1は、実施例1における
図2に示したのと同様に、電極311~313、321~323を有し、これらの電極311~313、321~323を介して筋肉に電気刺激を与えることができるように構成されている。
図1~
図3に示すように、筋肉電気刺激装置1は、電極311~313、321~323に電力を供給する本体部10と、本体部10から外方へ延出し、シート状を呈する延出部120とを有している。延出部120の一方の面には電極311~313、321~323が配置されている。
【0295】
図4(a)~
図4(b)に示すように、本体部10は、筋肉電気刺激装置1の動作態様を変更する操作面54が外表面に配置された外殻形成体12を有している。また、本体部10は、操作面54により動作態様が変更されたことを契機として発音する発音体43を内蔵している。そして、
図38及び
図39に示すように、外殻形成体12は、発音体43に対面する位置に、周囲よりも厚みが薄い薄肉部123を有している。
【0296】
図1、
図3、
図4(a)~
図4(c)に示すように、本例の本体部10は、外殻形成体12と、発音体43が内蔵されたケース11とを有している。
図4(a)~
図4(b)に示すように、外殻形成体12は略カップ状を呈しており、その頂部における外表面に操作面54が配置されている。ケース11は外殻形成体12の内部に収容されており、外殻形成体12の開口面に、ケース11の一部を構成する第2ケース112が露出している。
図3及び
図5に示すように、本例の筋肉電気刺激装置1は、第2ケース112が人体2側を向き、操作面54が外表面を向くようにして着用される。
【0297】
図4(a)~
図4(c)に示すように、ケース11には、発音体43としてのスピーカ430が内蔵されている。スピーカ430は操作面54側、即ち、筋肉電気刺激装置1が着用された状態において外表面側を向くように配置されており、ケース11の一部を構成する第1ケース111に面している。なお、本例においては発音体43としてスピーカ430を採用したが、スピーカ430に代えて、例えばブザー等の音を発生させる電子部品を用いることも可能である。
【0298】
図38、
図39、
図40に示すように、ケース11におけるスピーカ430と対面する位置には、複数の開口部114(114a、114b)が設けられている。本例においては、スピーカ430の中央に対応する位置に開口部114aが設けられており、開口部114aの周囲に、それよりも開口径の小さい複数の開口部114bが設けられている。
【0299】
また、
図38、
図39に示すように、外殻形成体12における開口部114と対面する位置には、周囲よりも厚みが薄い薄肉部123が配置されている。より具体的には、薄肉部123は、開口部114aの中央に対応する位置を中心とした円状を呈しており、開口部114a及び開口部114bの両方に対面するように形成されている。
【0300】
本例の薄肉部123は、外殻形成体12と一体に形成されており、外殻形成体12の外表面に面一に配置されている。即ち、薄肉部123は、外殻形成体12における第1ケース111に対面する側の一部を凹状に陥没させることにより形成されている。なお、実施例9の筋肉電気刺激装置1におけるその他の構成は実施例1の筋肉電気刺激装置1と同等である。
【0301】
以下、本例の筋肉電気刺激装置1の作用効果について、詳述する。筋肉電気刺激装置1におけるケース11は、発音体43としてのスピーカ430を収容していると共に、スピーカ430に対面する位置に開口部114(114a、114b)を有している。また、外殻形成体12は、開口部114に対面する位置に薄肉部123を有している。そのため、外殻形成体12は、本体部10の防水性能を確保しつつ、薄肉部123を介してスピーカ430から発生した音を本体部10の外部に効率よく伝達することができる。それ故、筋肉電気刺激装置1は、従来の筋肉電気刺激装置に比べて操作を行う際に発生する音を使用者により容易に認識させることができる。
【0302】
また、薄肉部123は外殻形成体12と一体に形成されている。そのため、薄肉部123を外殻形成体12と別体に構成する場合に比べて、部品の点数を削減することができる。更に、この場合には、筋肉電気刺激装置1を作製する工程において薄肉部123を外殻形成体12に接合する作業を行う必要がないため、筋肉電気刺激装置1の生産性をより向上させることができる。
【0303】
また、薄肉部123は外殻形成体12における外表面(操作面54)に面一に配置されている。そのため、薄肉部123が外殻形成体12の外表面よりも内側に陥没している場合に比べて、薄肉部123近傍に汚れ等が溜まりにくくなる。それ故、筋肉電気刺激装置1を清潔な状態に維持し易くなる。更に、外殻形成体12の外表面の意匠性をより向上させることができる。
【0304】
また、外殻形成体12及び薄肉部123はシリコン樹脂より形成されている。そのため、スピーカ430から発生する音を外部に効率よく伝達することができる。また、本体部10の防水性能を容易に向上させることができると共に、薄肉部123の破損等をより抑制することができる。
【0305】
以上のごとく、本例の筋肉電気刺激装置1は、操作が受け入れられたか否かを使用者が容易に認識することができ、従来の筋肉電気刺激装置に比べて使い勝手をより向上させることができる。また、筋肉電気刺激装置1は、発音体43から発生した音をより効率よく外部に伝達できるため、例えば衣服の中に着用する態様においても使い勝手をより向上させることができる。
【0306】
また、実施例9には、薄肉部123を外殻形成体12と一体に形成した例を示したが、これに替えて、次の変形例10のようにすることもできる。変形例10では、
図40に示すように、薄肉部123bを外殻形成体12とは別体に形成している。より具体的には、変形例4の外殻形成体12は、スピーカ430の中央に対応する位置に貫通孔124を有している。そして、貫通孔124の縁部に薄肉部123bが接合されている。また、
図40に示した変形例10においては、薄肉部123bは、外殻形成体12の厚み方向におけるケース11側の縁部に接合されている。なお、その他の部分は実施例9と同様である。変形例10において実施例9と同等の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0307】
変形例10においては、薄肉部123bとして、ガス透過性を有する材料を用いることが好ましい。係る材料としては、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)樹脂よりなる多孔質フィルムなどを好適に用いることができる。
【0308】
なお、上述の実施例及び変形例において、発音体43から発生させる音の種類は特に限定されず、ブザー音や電子音声等の種々の態様の音を用いることができる。使用者の認識のしやすさの観点からは、人間が不快感を感じ易い2000~5000Hz程度の周波数を有する音を用いることが好ましい。
【0309】
また、上述の実施例9及び変形例10においては、操作面54の「+」を押下して筋肉電気刺激装置1を起動する際(
図9、S101及びS102)及び「-」を押下して筋肉電気刺激装置1を終了する際(
図12、S401及びS402)に発音体43から音を発生させる例を示したが、これ以外のタイミングで音を発生させても良い。例えば、筋肉電気刺激装置1を起動した後、出力レベルを入力する際(
図9、S106)に、操作面54の押下を契機として音を発生させることもできる。
【0310】
(実施例10)本発明における実施例10の筋肉電気刺激装置について、説明する。
特許文献1の筋肉刺激装置を長時間に亘って着用し続けた場合、装置と肌との間に汗や湿気等が滞留しやすい。汗や湿気等が本体部に侵入すると本体部内の電子部品が損傷するおそれがあるため、この種の筋肉刺激装置は防滴型あるいはそれ以上の防水性能を有することが望ましい。しかし、上記装置を防水構造にすると、本体部が密閉されるため、本体部から発生する音が外部に伝わりにくくなる。それ故、従来の装置は、操作が装置に受け入れられたことを使用者が認識しにくく、使い勝手が悪いという問題がある。
【0311】
実施例10の筋肉電気刺激装置1では、これらの問題にも鑑みて次のように構成されている。なお、先行する実施例における筋肉電気刺激装置1と同等の部材には同一の符号を付して、その説明及びその使用態様の説明を省略する。また、本例の説明において使用する図面が、先行する実施例における図面と同一の場合は、先行する実施例における図面を代用する。本例の筋肉電気刺激装置1は、実施例1における
図1~
図3に示したのと同様に、電気刺激を発生させる本体部10と、本体部10から外方へ延出し、シート状を呈する延出部120と、延出部120の一方の面に配置された電極311~313、321~323とを有しており、電極311~313、321~323を介して筋肉に電気刺激を与えることができるよう構成されている。
【0312】
図41、
図42に示すように、本例の筋肉電気刺激装置1では、実施例1におけるスピーカ43に替えて、振動体431が接続されている。振動体431は本体部10に内蔵されている。また、本体部10は、制御部40における電力の供給態様を変更する操作面54を外表面に有している。
【0313】
制御部40は電極への電力の供給態様が変更されたことを契機として振動体431を振動させるよう構成されている。また、外殻形成体12はケース11の少なくとも一部を覆っている。なお、実施例10の筋肉電気刺激装置1におけるその他の構成は実施例1の筋肉電気刺激装置1と同等である。
【0314】
次に、本例の筋肉電気刺激装置1の動作フローについて、以下に詳述する。本例の筋肉電気刺激装置1のメイン動作フローは、実施例1の場合と同様に
図9に示すメイン動作フローS100に基づいて行われる。メイン動作フローS100では、まず、操作面54の「+」を2秒間押下する(S101)。これにより、筋肉電気刺激装置1の電源がオンとなって、筋肉電気刺激装置1が起動される。
【0315】
この際、制御部40は、筋肉電気刺激装置1がオフ状態からオン状態に切り替わったことを契機として、振動体431を電源操作パターンV1で振動させる(S102、「起動通知」)。電源操作パターンV1としては、例えば
図43(a)に示すように、振動体431を2秒間振動させる態様を採用することができる。その後、筋肉電気刺激装置1は、出力待機状態となり出力レベルが0にされるとともに、操作部50の入力が無効化される(S103)。
【0316】
次に、肌検知部402により、電極部30に肌が接しているか否かを検知する(S104)。肌検知部402によって、電極部30に肌が接していることが検知された場合(S104のYes)は、操作部50を有効化する(S105)。そして、操作部50により出力レベルを入力する(S106)。出力レベルの入力は、操作部50の操作面54から行う。操作部50の操作面54の「+」を押すごとに出力レベルが1レベル大きくなり、操作面54の「-」を押すごとに出力レベルが1レベル小さくなる。
【0317】
この際、制御部40は、出力レベルの変更を契機として振動体431を強度変更パターンで振動させる(S106、「レベル変更通知」)。本例の強度変更パターンは、
図43(b)に示す強度増大パターンV2、
図43(c)に示す強度低下パターンV3及び
図43(d)に示す限界通知パターンV4の3種の振動パターンを含んでいる。
【0318】
強度増大パターンV2は、操作面54の「+」を押下して出力レベルが大きくなったときに発生する振動パターンである。強度増大パターンV2としては、例えば
図43(b)に示すように、振動体431を1秒間振動させる態様を採用することができる。
【0319】
強度低下パターンV3は、「-」を押下して出力レベルが小さくなったときに発生する振動パターンである。強度低下パターンV3としては、例えば
図43(c)に示すように、振動体431を0.5秒間振動させた後、0.5秒間停止する基本波形V30を2回繰り返す態様を採用することができる。
【0320】
限界通知パターンV4は、出力レベルが最大の状態で「+」を押したとき、または出力レベルが最小の状態で「-」を押したときに発生する振動パターンである。限界通知パターンV4としては、例えば
図43(d)に示すように、振動体431を0.25秒間振動させた後、0.25秒間停止する基本波形V40を3回繰り返す態様を採用することができる。
【0321】
なお、操作部50により出力レベルが入力されるステップ(S106)から、筋肉電気刺激装置1を停止するステップ(S112)までの動作フローは、実施例1の場合と同じである。
【0322】
一方、肌検知部402によって、電極部30に肌が接していないと判定された場合(S104のNo)、制御部40は、その旨を通知するエラーパターンV5(
図43(e)参照)を発生させて振動体431を振動させる(S113、「肌未検知通知」)。エラーパターンV5としては、例えば
図43(d)に示すように、振動体431を0.25秒間振動させた後、0.25秒間停止する基本波形V40を、電極部30に肌が接していると判定されるまで繰り返す態様を採用することができる。
【0323】
更に、制御部40は、電源オフカウンタ403へカウント開始信号を送り、電源オフカウンタ403において経過時間の計測をスタートする(S114)。なお、経過時間の計測をスタートするステップ(S114)から、筋肉電気刺激装置1を停止するステップ(S117)までの動作フローは、実施例1の場合と同じである。
【0324】
次に、上述のメイン動作フローS100におけるS105~S110の間に割り込んで優先処理される割り込み処理について説明する。本例の筋肉電気刺激装置1における第1の割り込み処理である肌検出割り込み処理S200は、実施例1の場合と同様に
図10に示す肌検出割り込み処理S200に基づいて行われる。
【0325】
肌検出割り込み処理S200は、使用途中で電極が人体から離脱した場合に、自動的に電源をオフにする機能として用いられる。肌検出割り込み処理S200では、まず、実施例1の場合と同様に、肌検知部402により、電極部30に肌が接しているか否かを検知する(S201)。肌検知部402によって、電極部30に肌が接していることが検知された場合(S201のYes)は、メイン動作フローS100における元のフローへ戻る。
【0326】
一方、肌検知部402によって、電極部30に肌が接していないと判定された場合(S201のNo)、制御部40は、上述したS113と同様にエラーパターンV5(
図43(e)参照)を発生させて振動体431を振動させる(S202、「肌未検知通知」)。そして、制御部40から電源オフカウンタ403へカウント開始信号を送り、電源オフカウンタ403が経過時間の計測をスタートする(S203)。
【0327】
なお、次に肌検知部402により、電極部30に肌が接しているか否かを検知するステップ(S204)から筋肉電気刺激装置1の電源がオフとなるステップ(S206)までは、実施例1の場合と同じである。
【0328】
次に、上述のメイン動作フローS100(
図9参照)におけるS105~S110の間に割り込んで優先処理される第2の割り込み処理である電池電圧低下処理S300について説明する。本例の筋肉電気刺激装置1における電池電圧低下処理S300は、実施例1の場合と同様に
図11に示す電池電圧低下処理S300に基づいて行われる。
【0329】
図11に示すように、電池電圧低下処理S300では、まず、実施例1の場合と同様に、電池電圧検出部406により、検知された電源部20における電池21の電池電圧Vが所定の閾値Vmよりも低いか否か判定する(S301)。電池電圧Vが所定の閾値Vmよりも低くないと判定された場合(S301のNo)は、メイン動作フローS100における元のフローへ戻る。
【0330】
一方、電池電圧Vが所定の閾値Vmよりも低いと判定された場合には、制御部40はエラーパターンV5(
図43(e)参照)を発生させて振動体431を振動させる(S302、「電池電圧低下通知」)。そして、制御部40から電源オフカウンタ403へカウント開始信号を送り、電源オフカウンタ403において経過時間の計測をスタートする(S303)。
【0331】
なお、次の、電源オフカウンタ403における経過時間が2分を超えたか否かを判定するステップ(S304)から筋肉電気刺激装置1の電源がオフとなるステップ(S305)までは実施例1の場合と同じである。
【0332】
次に、上述のメイン動作フローS100(
図9参照)におけるS105~S110の間に割り込んで優先処理される第3の割り込み処理である中断処理S400について説明する。本例の筋肉電気刺激装置1における中断処理S400は、実施例1の場合と同様に
図12に示す中断処理S400に基づいて行われる。
【0333】
図12に示すように、中断処理S400では、まず、実施例1の場合と同様に、制御部40により、操作部50における操作面54の「-」ボタンを押下している時間が2秒以上か否か判定する(S401)。「-」ボタンを押下している時間が2秒以上でないと判定された場合(S401のNo)は、メイン動作フローS100における元のフローへ戻る。
【0334】
一方、「-」ボタンを押下している時間が2秒以上であると判定された場合(S401のYes)、制御部40は、筋肉電気刺激装置1がオン状態からオフ状態に切り替わったことを契機として、振動体431を電源操作パターンV1で振動させる(S402、「終了通知」)。電源操作パターンとしては、例えば
図43(a)に示す態様を採用することができる。そして、電源をオフにする(S403)。
【0335】
以下、本例の筋肉電気刺激装置1の作用効果について、詳述する。本例の筋肉電気刺激装置1は、電源部20、制御部40及び振動体431が内蔵されていると共に、操作面54を外表面に備えた本体部10を有している。また、制御部40は電極311~313、321~323への電力の供給態様が変更されたことを契機として振動体431を振動させるよう構成されている。それ故、筋肉電気刺激装置1は、振動体431の振動によって、操作が筋肉電気刺激装置1に受け入れられたことを使用者に容易に認識させることができる。
【0336】
また、本例の筋肉電気刺激装置1は、
図9~
図12、
図43に示すように、使用者が行う操作に対応して異なる振動パターンを発生させるよう構成されている。そのため、制御部40に受け入れられた操作の種類をより容易に使用者に認識させることができ、筋肉電気刺激装置1の使い勝手をより向上させることができる。また、筋肉電気刺激装置1は、視覚や聴覚によらず制御部40に受け入れられた操作の種類を使用者に容易に認識させることができるため、衣服の下に着用して使用する態様にも好適に用いることができる。
【0337】
また、本体部10は、筋肉電気刺激装置1の着用時に人体側を向く肌対面部101(第2ケース112)を有しており、肌対面部101は周囲よりも膨出している。そのため、筋肉電気刺激装置1が着用された状態において、使用者に振動をより容易に感知させることができる。その結果、筋肉電気刺激装置1の使い勝手をより向上させることができる。
【0338】
更に、電源部20は、本体部10内における、肌対面部101の近傍に配置されている。そのため、使用者の体温により、筋肉電気刺激装置1の着用中に電源部20の温度が過度に低下することを抑制することができる。その結果、電源部20から供給される電力の変動をより低減することができる。
【0339】
以上のごとく、実施例10によれば、実施例1における作用効果と同等の作用効果を奏するとともに、使い勝手の良い筋肉電気刺激装置1が提供されることとなる。
また、実施例10では、操作が受け入れられたことやエラーが発生したことの通知のために振動体431を振動させる例を示したが、何らかの通知以外のタイミングで振動体431を振動させることも可能である。例えば、
図8における第1ステータスと第2ステータスとの間、あるいは第2ステータスと第3ステータスとの間等に振動体431を振動させても良い。
【0340】
筋肉電気刺激装置1による電気刺激は筋肉を直接動かすため、筋肉電気刺激装置1を長時間に亘って使用し続けると、場合によっては、刺激を受けた筋肉に疲労感などを感じることがある。そこで、例えば第1ステータスと第2ステータスとの間等のインターバルの時間に振動体431を振動させることにより、筋肉の疲労をほぐすなどの効果が期待できる。また、振動体431を振動させることにより電気刺激とは異なる種類の刺激を与えることができるため、筋肉電気刺激装置1の使い心地をより向上させることができる。
【0341】
なお、実施例10には、振動体431の振動パターンを操作の種類ごとに変更した例を示したが、これ以外の構成を採用することも可能である。例えば、制御部40は、電源操作パターンV1、強度増大パターンV2、強度低下パターンV3及び限界通知パターンV4を全て具備する必要はなく、いずれかの振動パターンを備えない構成とすることもできる。また、例えば強度増大パターンを強度低下パターンと同一の振動パターンとすることもできる。また、
図43に示した振動パターンは一例であり、振動の継続時間や間隔、繰り返し回数等を適宜変更しても良い。即ち、例えば電源操作パターンにおいて、振動体431を複数回振動させる構成等とすることも可能である。
【0342】
(実施例11)本発明における実施例11の筋肉電気刺激装置について、説明する。
特許文献1に開示の構成では、電極には予め定められたサイズのゲルパッドは貼り付けられている。そのため、使用者ごとの好みに応じて、ゲルパッドのサイズやその導電性を変更することが容易ではなかった。
【0343】
実施例11の筋肉電気刺激装置1では、かかる問題にも鑑みて次のように構成される。なお、先行する実施例における筋肉電気刺激装置1と同等の部材には同一の符号を付して、その説明及びその使用態様の説明を省略する。また、本例の説明において使用する図面が、先行する実施例における図面と同一の場合は、先行する実施例における図面を代用する。
【0344】
実施例11の筋肉電気刺激装置1では、
図2において、ゲルパッド35が電極311~323を覆うように貼り付けられることに替えて、導電性及び比較的低粘度の粘着性を有するゲルが、電極311~323を覆うように使用者の所望の大きさ(範囲)及び厚さで塗り拡げられている。かかるゲルとして、例えば、アルギン酸ナトリウムを主成分とするゲルであって、電極311~323を覆うように塗りつけることができるとともに、塗りつけられたときに容易に流れ落ちない程度の粘度を有するものがあげられる。
【0345】
電極311~323を覆うように塗りつけられるゲルの厚さは、特に限定されないが、当該ゲルの導電性等を考慮して決定することができる。例えば、ゲルの厚さを比較的厚くすることにより、当該ゲルの電気抵抗を大きくして導電性を低下させて、電極311~323から付与される電気刺激をマイルドなものとすることができる。実施例11の筋肉電気刺激装置1におけるその他の構成は実施例1の筋肉電気刺激装置1と同等である。
【0346】
以上のごとく、実施例11によれば、実施例1における作用効果と同等の作用効果を奏するとともに、使用者ごとの好みに応じて、ゲルのサイズやその導電性を容易に変更することができる筋肉電気刺激装置1を提供することができる。
【0347】
(実施例12)本発明における実施例12の筋肉電気刺激装置について、説明する。
特許文献1に開示の構成では、繰り返し使用することにより、電極は貼り付けられたゲルパッドに汚れが付着したり、粘着力が低下したりする。かかる場合には、別途新たなゲルパッドに交換することが行われている。
【0348】
しかしながら、かかる場合においてその都度、新たなゲルパッドに交換することとすれば、使用者の手間が増大することとなる。また、通常、ゲルパッドはその両面に保護シートが貼り付けられた状態で市場に流通している。そのため、使用者はゲルパッドを交換する際に当該保護シートをゲルパッドから剥離する必要があり、かかる保護シートがゴミとなっている。そして、かかるゴミは、ゲルパッドの交換の際に毎回発生してしまう。さらに、電極数が多くなり使用するゲルパッドの枚数が多くなればなるほど交換時の手間や発生するごみの量が増大してしまう。
【0349】
実施例12の筋肉電気刺激装置1では、かかる問題にも鑑みて次のように構成される。なお、先行する実施例における筋肉電気刺激装置1と同等の部材には同一の符号を付して、その説明及びその使用態様の説明を省略する。また、本例の説明において使用する図面が、先行する実施例における図面と同一の場合は、先行する実施例における図面を代用する。
【0350】
実施例12の筋肉電気刺激装置1では、
図2において、電極311~324を覆うように貼り付けられたゲルパッド35に替えて、
図44に示すように、複数のゲルパッド35a~35dを積層してなる積層ゲルパッド354が設けられている。本例では、積層ゲルパッド354は、4枚のゲルパッド35a~35dが積層されてなる。そして、積層ゲルパッド354は、電極311~323に貼り付けられる側と反対側のゲルパッド35aから順に剥離可能に構成されている。
【0351】
本例の筋肉電気刺激装置1を繰り返し使用することにより、積層ゲルパッド354における、電極311~323に貼り付けられる側と反対側のゲルパッド35aに汚れが付着したり、粘着力が低下したりした場合には、当該ゲルパッド35aを剥離することにより、ゲルパッド35aの下側(電極311~323側)に積層されていたゲルパッド35bが露出させることができる。ゲルパッド35bは剥離したゲルパッド35aにより覆われていたため、汚れが付着しておらず、粘着力も低下していない。そのため、ゲルパッド35aを剥離することにより、積層ゲルパッド354の汚れを取り除き、粘着力を回復させることができる。
【0352】
その結果、ゲルパッド35の交換の手間が省けるとともに、新たなゲルパッド35に交換する場合に比べて、流通時の保護シートなどのゴミを低減することができる。また、さらに、電極数が多くなった場合にも、各電極311~323に積層ゲルパッド354を使用することにより、ゲルパッド35の交換時の手間や交換に伴って発生するごみの量を低減することができる。なお、本例においても実施例1における作用効果と同等の作用効果を奏する。
【0353】
(実施例13)本発明における実施例13の筋肉電気刺激装置について、説明する。
特許文献1に開示の構成では、電極ごとにゲルパッドが貼り付けられている。そして、繰り返し使用することにより、ゲルパッドに汚れが付着したり、粘着力が低下したりした場合には、ゲルパッドを新しいものと交換するようになっている。しかしながら、電極の数が多くなればなるほど、ゲルパッドを交換する際にゲルパッドを一つずつ貼り付ける作業が手間となる。
【0354】
実施例13の筋肉電気刺激装置1では、かかる問題にも鑑みて次のように構成される。なお、実施例13の筋肉電気刺激装置1の構成は実施例1の筋肉電気刺激装置1と同等である。そして、本例の説明において使用する図面が、先行する実施例における図面と同一の場合は、先行する実施例における図面を代用する。
【0355】
実施例13の筋肉電気刺激装置1では、ゲルパッド35を交換する際に、
図45に示すように、新たな交換用のゲルパッド35が複数貼り付けられた台紙6を用いる。台紙6は、シート状であって、筋肉電気刺激装置1の外形よりも若干大きい疑似四角形の外形を有する。台紙6におけるゲルパッド35が貼り付けられる面である貼付面60には、筋肉電気刺激装置1の外形61及び孔18の形状618が印刷されている。そして、貼付面60には、かかる外形61において、筋肉電気刺激装置1におけるゲルパッド35が貼り付けられる位置に相当する位置にゲルパッド35がそれぞれ貼り付けられている。本例では、6個のゲルパッド35が貼付面60にそれぞれ貼り付けられている。なお、ゲルパッド35が貼り付けられた台紙6には流通時においては、複数のゲルパッド35を一括して覆う保護シート(図示せず)が取り付けられている。
【0356】
そして、ゲルパッド35を交換する際には、まず、筋肉電気刺激装置1からゲルパッド35をすべて取り外す。そして、ゲルパッド35が貼り付けられた台紙6から保護シート(図示せず)を取り外す。その後、台紙6の貼付面60を筋肉電気刺激装置1の肌対面部101(
図3参照)側の面に対向させて、貼付面60の外形61と筋肉電気刺激装置1の外縁を合わせながら貼付面60を肌対面部101側の面に当接させて、ゲルパッド35を筋肉電気刺激装置1の肌対面部101側の面に貼り付ける。そして、ゲルパッド35が筋肉電気刺激装置1から剥がれないように、台紙6をゆっくりと剥がす。これにより、ゲルパッド35が筋肉電気刺激装置1におけるゲルパッド35が貼り付けられる位置にそれぞれ貼り付けられることとなる。なお、貼付面60には、ゲルパッド35の剥離が容易なように、表面処理を施してもよい。
【0357】
上述のように、ゲルパッド35が貼り付けられた台紙6を利用することにより、複数のゲルパッド35を筋肉電気刺激装置1の所定の位置に一括して貼り付けることができる。そのため、ゲルパッド35を一枚ずつ貼り付ける場合に比べて、ゲルパッド35の交換の手間が大幅に軽減されることとなる。また、ゲルパッド35の交換時にゴミとなる保護シートを一枚にすることができるため、ゴミの数を削減することができる。
【0358】
以上のように、実施例13によれば、実施例1による作用効果と同等の作用効果を奏するとともに、パッド35を貼り付ける際の手間が大幅に軽減され、ゲルパッド交換時のゴミの数が削減される筋肉電気刺激装置1を提供することができる。
【0359】
(実施例14)本発明における実施例14の筋肉電気刺激装置について、説明する。
実施例14の筋肉電気刺激装置1では、実施例1におけるゲルパッド35に替えて、美容成分を有するゲルパッド35が備えられている。ゲルパッド35が有する美容成分は、例えば、代謝促進効果を奏するカプサイシン、肌の張り、ツヤ、きめの細かさ等を維持するのに有効とされる各種のビタミン、肌の保水力を高めるのに有効とされる各種の成分を列挙することができる。ゲルパッド35は、複数の美容成分を有していてもよい。
【0360】
ゲルパッド35が有する美容成分は、予めゲルパッド35に含有させておいても良いし、使用者が使用時又は使用前にゲルパッド35に浸透させたり、塗布したりするように構成されていてもよい。なお、本例の筋肉電気刺激装置1におけるその他の構成は実施例1の筋肉電気刺激装置1と同等である。
【0361】
以上の如く、実施例14によれば、実施例1による作用効果と同等の作用効果を奏するとともに、ゲルパッド35に含有される美容成分によって、肌の美容効果を奏することができる筋肉電気刺激装置1を提供することができる。
【0362】
(実施例15)本発明における実施例15の筋肉電気刺激装置について、説明する。
特許文献1に開示の構成は、人体に貼り付けられて使用されるものであるが、貼り付ける人体の部位が特段限定されないため、所定の部位を刺激するのに特に適した構成とはなっておらず、腹直筋を効果的に刺激するには改善の余地がある。
【0363】
実施例15の筋肉電気刺激装置1では、かかる問題にも鑑みて次のように構成される。なお、先行する実施例における筋肉電気刺激装置1と同等の部材には同一の符号を付して、その説明及びその使用態様の説明を省略する。また、本例の説明において使用する図面が、先行する実施例における図面と同一の場合は、先行する実施例における図面を代用する。
【0364】
実施例15の筋肉電気刺激装置1では、
図46に示すように、筋肉電気刺激装置1の幅(左右方向Xの長さ)TWが、175.00~237.5mmの範囲(第1の範囲)内であって、より好ましくは、187.50~225.0mmの範囲(第2の範囲)内であって、本例では、198.00mmとしている。なお、本例の筋肉電気刺激装置1における構成は実施例1の筋肉電気刺激装置1と同等である。
【0365】
「厚生労働省平成22年国民健康・栄養調査 第2部 身体状況調査の結果」に開示された成人の腹囲(へその辺り)の統計資料に基づいて、当該腹囲の1/4の長さを腹直筋4の幅として算出すると、成人の61.4%において腹直筋4の幅が上記第1の範囲内となっている。そして、上記統計資料における腹直筋4の幅の中央値は、上記第2の範囲内にある。
【0366】
従って、実施例15の筋肉電気刺激装置1の幅TWは、上記第1の範囲(175.00~237.5mm)内であるため、実施例15の筋肉電気刺激装置1は成人の腹直筋4に適した大きさである。さらに、実施例15の筋肉電気刺激装置1の幅TWは、上記第2の範囲(187.50~225.0mm)内であるため、実施例15の筋肉電気刺激装置1は成人の腹直筋4に一層適した大きさである。そのため、実施例15の筋肉電気刺激装置1は電極311~323を腹直筋4に近い位置に取り付けやすくなっており、腹直筋4に効果的に電気刺激を付与させやすくなっている。
【0367】
以上のように、実施例15によれば、実施例1による作用効果と同等の作用効果を奏するとともに、腹直筋4を刺激するのに適した筋肉電気刺激装置1を提供することができる。
【0368】
(実施例16)本発明における実施例16の筋肉電気刺激装置について、説明する。
従来、複数の電極を備え、複数の箇所に同時に電気刺激を付与することができるように構成された筋肉電気刺激装置がある。しかし、どの電極が体のどこに電気刺激を与えているかを使用者が体感により確認するための構成は備えられていない。
【0369】
実施例16の筋肉電気刺激装置1では、かかる問題にも鑑みて次のように構成される。なお、先行する実施例における筋肉電気刺激装置1と同等の部材には同一の符号を付して、その説明及びその使用態様の説明を省略する。また、本例の説明において使用する図面が、先行する実施例における図面と同一の場合は、先行する実施例における図面を代用する。
【0370】
実施例16の筋肉電気刺激装置1では、
図47に示すように、実施例1における端子接続部383(393)(
図30参照)は備えられていない。そして、制御部40を構成する制御基板41において、第1端子群45には、第1端子451、第2端子452に加えて、第5端子453が備えられ、第2端子群46には、第3端子461、第4端子462に加えて、第6端子463が備えられる。
【0371】
第1端子451には第1電極接続部385が直接接続されており、第2端子452には第3電極接続部387が直接接続されており、第5端子453には第2電極接続部386が直接接続されている。同様に、第3端子461には第4電極接続部395が直接接続されており、第4端子462には第6電極接続部397が直接接続されており、第6端子463には第5電極接続部396が直接接続されている。
【0372】
そして、制御部40には、電極切替部407が備えられる。電極切替部407は、電極311~323に流れる電流を制御して電気刺激の出力状態を切り替える。電極切替部407の動作は、操作面54に設けられる電極切替スイッチ(図示せず)によって制御されるように構成されている。 なお、本例の筋肉電気刺激装置1におけるその他の構成は実施例1の筋肉電気刺激装置1と同等である。
【0373】
実施例16の筋肉電気刺激装置1では、電極切替スイッチにより、例えば、上側電極対301、中央電極対302、下側電極対303のそれぞれの電極対ごとに、電極311~323から電気刺激が出力される状態と、出力されない状態に切り替えことができる。これにより、使用者は、電極切替スイッチの操作により、どの電極311~323がどの部位に電気刺激を与えているか体感により容易に確認することができる。
【0374】
また、電極切替スイッチにより、例えば、電極311~323のうちの一部に電流が流れないように、又は流れる電流量を少なくすることにより、他の電極への電流量を増やすことができる。これにより、所望の電極311~323に電力を集中して、当該電極311~323から他の電極311~323よりも強い電気刺激が出力されるようにすることができる。
【0375】
また、電極切替スイッチにより、例えば、電極311~323から出力される電気刺激の周波数を変更することができる。これにより、例えば、対角線上に位置する右側第1電極311及び第3左側電極323の電極対と、右側第3電極313及び第1左側電極321の電極対とにおいて、出力される電気刺激の周波数をずらすことにより、対角線上に位置する右側第1電極311及び第3左側電極323を結ぶ仮想線と右側第3電極313及び第1左側電極321の電極対を結ぶ仮想線との交点位置(すなわち、基材33の中心33c)に、干渉波による刺激を与えるように構成することができる。そして、当該干渉波による刺激の周波数は4~20Hzの間の所定の周波数に設定することができる。そのため、当該干渉波による刺激を、実施例1における各出力モードと同様の出力モードで出力するようにしてもよい。
【0376】
以上のように、実施例16によれば、実施例1による作用効果と同等の作用効果を奏するとともに、どの電極311~323が体のどこに電気刺激を与えているかを使用者が体感により容易に確認することができる筋肉電気刺激装置1を提供することができる。
【0377】
(実施例17)本発明における実施例17の筋肉電気刺激装置について、説明する。
特許文献1に開示の構成では、所定の出力態様で電気刺激が出力されるように構成されている。しかし、同じ出力態様が長時間維持されると、使用者の身体が当該電気刺激に慣れてしまい、体感が低下するとともに、電気刺激による効果も低減する。
【0378】
実施例17の筋肉電気刺激装置1では、かかる問題にも鑑みて次のように構成される。なお、先行する実施例における筋肉電気刺激装置1と同等の部材には同一の符号を付して、その説明及びその使用態様の説明を省略する。また、本例の説明において使用する図面が、先行する実施例における図面と同一の場合は、先行する実施例における図面を代用する。
【0379】
実施例17の筋肉電気刺激装置1では、制御部40の出力調整部401において、同一態様の電気刺激が所定期間出力された場合には、別の態様の電気刺激が出力されるように調整される。例えば、
図13に示す第5バースト波による電気刺激が所定時間出力されると、
図13に示す第2バースト波による電気刺激が所定時間出力されるように切り替わるように構成されていることとすることができる。なお、本例の筋肉電気刺激装置1におけるその他の構成は実施例1の筋肉電気刺激装置1と同等である。
【0380】
以上のように、実施例17によれば、実施例1による作用効果と同等の作用効果を奏するとともに、使用者の身体が当該電気刺激に慣れることによる、体感の低下及び電気刺激による効果の低減を防止することができる筋肉電気刺激装置1を提供することができる。
【0381】
(実施例18)本発明における実施例18の筋肉電気刺激装置について、説明する。
特許文献1に開示の構成では、人の肌面を介して筋肉に電気刺激が付与されるように構成されているが、人の肌における水分量や体脂肪量によって、人への電流の流れやすさが変わるため、水分量や体脂肪量によっては、電気刺激が筋肉に十分に到達しないおそれがある。そして、水分量や体脂肪量は個人差があるため、同じ筋肉電気刺激装置を用いても、その効果に個人差が生じるおそれがあるという問題がある。
【0382】
実施例18の筋肉電気刺激装置1では、かかる問題にも鑑みて次のように構成される。なお、先行する実施例における筋肉電気刺激装置1と同等の部材には同一の符号を付して、その説明及びその使用態様の説明を省略する。また、本例の説明において使用する図面が、先行する実施例における図面と同一の場合は、先行する実施例における図面を代用する。
【0383】
実施例18の筋肉電気刺激装置1では、
図49に示すように、本体部10には、電極311~323間の電気抵抗を検出することにより、肌の水分量及び体脂肪量を検出する体組成検出部408を備える。そして、
図9に示すステップS104において、電極311~323間の抵抗値を検出することにより、肌検知部402によって、電極部30が肌に接しているか否かを検知するとともに、体組成検出部408により、肌の水分量及び体脂肪量を検出する。そして、制御部40の出力調整部401によって、水分量及び体脂肪量に応じて、出力レベル(出力電圧値)が設定されるように構成されている。具体的には、水分量及び体脂肪量に応じて、基準状態よりも電流が流れにくい場合には出力レベルが基準状態よりも高く設定され、基準状態よりも電流が流れやすい場合には出力レベルが基準状態よりも低く設定される。これにより、水分量や体脂肪量が基準状態と異なる場合でも、基準状態と同等の電気刺激を付与することができる。これにより、水分量や体脂肪量における個人差によって、本例の筋肉電気刺激装置1の電気刺激による効果が異なることが低減される。
【0384】
体組成検出部408は、水分量、体脂肪量以外の体組成を検出対象とするとともに、該検出した体組成の値に基づいて、出力レベルが設定されるようにしてもよい。
以上のように、実施例18によれば、実施例1による作用効果と同等の作用効果を奏するとともに、体組成における個人差によって付与される電気刺激による効果が異なることが低減される筋肉電気刺激装置1を提供することができる。
【0385】
(実施例19)本発明における実施例19の筋肉電気刺激装置について、説明する。
特許文献1に開示の構成において、筋肉電気刺激装置における種々の使用履歴情報、使用中の出力モード、出力中の電気刺激の周波数、電池残量など様々な情報を使用者が取得することができるようには構成されていない。
【0386】
実施例19の筋肉電気刺激装置1では、かかる問題にも鑑みて次のように構成される。なお、先行する実施例における筋肉電気刺激装置1と同等の部材には同一の符号を付して、その説明及びその使用態様の説明を省略する。また、本例の説明において使用する図面が、先行する実施例における図面と同一の場合は、先行する実施例における図面を代用する。
【0387】
実施例19の筋肉電気刺激装置1の本体部10(
図1参照)には、携帯端末、パーソナルコンピュータ等の情報端末との無線通信を可能とする通信手段を有する。また、筋肉電気刺激装置1の本体部10には、種々の使用履歴情報などを記憶する記憶手段が備えられる。そして、操作面54には、上記通信手段のオンオフ及び通信操作をするための通信手段操作部(図示せず)が備えられている。かかる通信手段操作部により、実施例19の筋肉電気刺激装置1は、上記通信手段を介して、情報端末と無線で情報を送受信できるように構成されている。
【0388】
情報端末に送信される情報は、例えば、上記記憶手段に記憶された種々の使用履歴情報の他、使用中の出力モード、出力中の電気刺激の周波数、電池残量などとすることができる。また、筋肉電気刺激装置1の体組成検出部408(
図49参照)により検出された水分量や、体脂肪量などの様々な体組成の値や、操作面54の操作情報(スイッチ部53の押下の有無、電極311~323の出力状態の制御情報など)、スピーカ43の発音情報などを送信される情報とすることもできる。一方、情報端末から受信される情報は、出力モードの設定情報、電気刺激の周波数の設定情報、操作面54の操作情報などとすることができる。
【0389】
上記通信手段の種類は特に限定されないが、例えば、Bluetooth(登録商標)、赤外線、電磁波などを採用することができる。例えば、Bluetooth(登録商標)を介して、携帯型情報端末、いわゆるスマートフォンと情報の送受信が可能とすることができる。スマートフォン等の情報端末には、当該情報を送受信するための専用のソフトウエアがインストールされているようにすることができる。当該ソフトウエアを介して、容易に本例の筋肉電気刺激装置1と情報の送受信が可能となる。なお、本例の筋肉電気刺激装置1におけるその他の構成は実施例1の筋肉電気刺激装置1と同等である。
【0390】
実施例19の筋肉電気刺激装置1によれば、筋肉電気刺激装置1における様々な情報を情報端末と送受信できるため、使用者はかかる情報を容易に入手することができるとともに、当該通信手段を介して情報端末から実施例19の筋肉電気刺激装置1における出力モードを変更したり、電極311~323の出力状態を制御したりするなどの操作をすることができる。
【0391】
また、実施例19の筋肉電気刺激装置1は、初期状態では使用することができない特定の出力モードが、記憶手段に記憶された使用回数などの情報が所定の閾値に到達した場合に、当該特定の出力モードが使用可能となるように制御されるように構成されていてもよい。かかる場合には、使用者は実施例19の筋肉電気刺激装置1を繰り返し使用する動機付けが得られて、楽しみながら筋肉電気刺激装置1を使用することができる。また、使用者は、いわゆるスマートホンや、PC(パーソナルコンピュータ)などの情報端末を介して、出力モードを所望の他の出力モードに変更可能となっていてもよい。
【0392】
以上のように、実施例19によれば、実施例1による作用効果と同等の作用効果を奏するとともに、使用者は上記の種々の情報を容易に入手することができる筋肉電気刺激装置1を提供することができる。
【0393】
(実施例20)本発明における実施例20の筋肉電気刺激装置について、説明する。
特許文献1に開示の構成では、電極を覆うゲルパッドの粘着性を利用して筋肉電気刺激装置を人に取り付けることができるように構成されている。しかしながら、繰り返し使用することにより、ゲルパッドに汚れが付着するなどして、ゲルパッドの粘着性が低下することがある。ゲルパッドの粘着性が低下すると、使用中に電極が肌面から剥がれて、電気刺激の付与が中断したり、筋肉電気刺激装置が剥がれ落ちたりするおそれがある。
【0394】
実施例20の筋肉電気刺激装置1では、かかる問題にも鑑みて次のように構成される。なお、先行する実施例における筋肉電気刺激装置1と同等の部材には同一の符号を付して、その説明及びその使用態様の説明を省略する。また、本例の説明において使用する図面が、先行する実施例における図面と同一の場合は、先行する実施例における図面を代用する。
【0395】
実施例20の筋肉電気刺激装置1では、
図50(a)に示すように、電極312には、ゲルパッド35は貼り付けられていない。そして、電極312を支持ずる電極支持部121は中央部が椀状に緩やかに湾曲して凹部305を形成している。凹部305の縁部306は平坦面となっており、凹部305の内側面に基材33を介して電極312が設けられている。筋肉電気刺激装置1を取り付ける際には、
図50(b)に示すように、電極312を肌面6に押し付けることにより、凹部305と縁部306とによって、肌面6が凹部305の内側に吸い上げられて、肌面6が電極312に当接することとなる。 なお、他の電極311、313、321~323も同等の構成となっている。また、本例の筋肉電気刺激装置1におけるその他の構成は実施例1の筋肉電気刺激装置1と同等である。
【0396】
実施例20の筋肉電気刺激装置1によれば、電極支持部121が吸盤のように作用して、肌面6が凹部305の内側に吸い上げられることにより、各電極311~323が肌面6に確実に当接するとともに、筋肉電気刺激装置1が人2にしっかりと取り付けられることとなる。そのため、ゲルパッド35を用いることなく筋肉電気刺激装置1を人2に取り付けることができる。また、電極支持部121が吸盤のように作用するため、肌の揉み出し効果も得られる。
【0397】
以上のように、実施例20によれば、実施例1による作用効果と同等の作用効果を奏するとともに、ゲルパッド35を用いる必要がないため、ゲルパッド35の粘着性の低下による電極311~323の剥がれや筋肉電気刺激装置1の脱落が生じない筋肉電気刺激装置1を提供することできる。
【0398】
なお、本例ではゲルパッド35を用いないこととしたが、ゲルパッド35を用いるとともに、基材33における電極が形成されていない部分などに、肌面に吸着可能な吸着部(例えば、吸盤)を設けて、当該ゲルパッド35の粘着性が低下した場合においても、当該吸着部によって、電極311~323の剥がれや筋肉電気刺激装置1の脱落が生じないようにしてもよい。
【0399】
(実施例21)本発明における実施例21の筋肉電気刺激装置について、説明する。
特許文献1に開示の構成では、ゲルパッドを介して電極が人に貼り付けられているが、使用者はゲルパッドが冷たく感じられて、不快感を覚えるおそれがある。
【0400】
実施例21の筋肉電気刺激装置1では、かかる問題にも鑑みて次のように構成される。なお、先行する実施例における筋肉電気刺激装置1と同等の部材には同一の符号を付して、その説明及びその使用態様の説明を省略する。また、本例の説明において使用する図面が、先行する実施例における図面と同一の場合は、先行する実施例における図面を代用する。
【0401】
実施例21の筋肉電気刺激装置1では、図示しないが、電極支持部121(
図2参照)に発熱体が備えられている。発熱体は電力の供給により発熱するように構成されている。該発熱体は、制御部40に備えられた発熱体制御部(図示せず)により、その発熱状態が制御されている。なお、本例の筋肉電気刺激装置1におけるその他の構成は実施例1の筋肉電気刺激装置1と同等である。
【0402】
実施例21の筋肉電気刺激装置1によれば、筋肉電気刺激装置1の電源をオンにすると、発熱体制御部が発熱体に電力が供給されるよう制御して、発熱体が発熱する。これにより、電極支持部121に基材33を介して設けられた電極311~323に貼り付けられたゲルパッド35が加温されることとなる。その結果、使用者はゲルパッドが冷たく感じられることが抑制され、使用者の不快感を低減できる。また、使用中に発熱体が発熱することにより、肌面も加温されて血行が促進されることとなる。
【0403】
以上のように、実施例21によれば、実施例1による作用効果と同等の作用効果を奏するとともに、ゲルパッドが冷たく感じられることによる不快感を軽減することができる筋肉電気刺激装置1を提供することができる。
【0404】
(実施例22)本発明における実施例22の筋肉電気刺激装置について、説明する。
特許文献1に開示の構成では、本体部と電極部とが一体的に形成されているため、本体部に故障や破損が生じたり、電極部に破断や断線が生じたりした場合には、個別に交換することができないため、新たな筋肉電気刺激装置に取り換える必要がある。そのため、修理が高コストとなっている。また、本体部内に備えられたプログラムを変更する場合にも、筋肉電気刺激装置全体を用意する必要があるため、作業性が悪い。
【0405】
実施例22の筋肉電気刺激装置1では、かかる問題にも鑑みて次のように構成される。なお、先行する実施例における筋肉電気刺激装置1と同等の部材には同一の符号を付して、その説明及びその使用態様の説明を省略する。また、本例の説明において使用する図面が、先行する実施例における図面と同一の場合は、先行する実施例における図面を代用する。
【0406】
実施例22の筋肉電気刺激装置1では、図示しないが、本体部10と電極部30とが別体として形成されている。そのため、本体部10に故障や破損が生じたり、電極部30に破断や断線が生じたりした場合には、個別に交換することが容易となる。また、本体部10内に備えられたプログラムを変更する場合にも、本体部10のみ取り外して用意すれば良いため、作業性が向上する。
【0407】
実施例22の筋肉電気刺激装置1は、例えば、電源部20及び制御部40とこれらが収納された本体部10とが一体的に形成された本体ユニットと、基材33、電極311~323とが一体的に形成された電極ユニットと、電極支持部121がユニット化された支持ユニットと、からなるように構成され、各ユニットが互いに取り外し可能に構成されていることとすることができる。 なお、本例の筋肉電気刺激装置1におけるその他の構成は実施例1の筋肉電気刺激装置1と同等である。
【0408】
以上のように、実施例22によれば、実施例1による作用効果と同等の作用効果を奏するとともに、本体部10や電極部30等の交換が容易で修理の際の作業性が向上する筋肉電気刺激装置1を提供することができる。
【0409】
(実施例23)本発明における実施例23の筋肉電気刺激装置について、説明する。
特許文献1に開示の構成では、本体部と電極部とが一体的に形成されているため、電極部を交換することができない。そのため、使用者の好みや使用部位等に合わせた電極を用いようとすると、使用者の好みや使用部位等ごとに筋肉電気刺激装置を用意する必要がある。
【0410】
実施例23の筋肉電気刺激装置1では、かかる問題にも鑑みて次のように構成される。なお、先行する実施例における筋肉電気刺激装置1と同等の部材には同一の符号を付して、その説明及びその使用態様の説明を省略する。また、本例の説明において使用する図面が、先行する実施例における図面と同一の場合は、先行する実施例における図面を代用する。
【0411】
実施例23の筋肉電気刺激装置1では、図示しないが、本体部10と電極部30とが別体として形成されている。そして、本体部10に内蔵された電源部20及び制御部40と電極部30とは、着脱可能なコネクタを介して、電気的に接続されているとともに、本体部10と電極部30と機械的に接続されている。着脱可能なコネクタの種類は、限定されないが、例えば、スナップコネクタを採用することができる。なお、本例の筋肉電気刺激装置1におけるその他の構成は実施例1の筋肉電気刺激装置1と同等である。
【0412】
実施例23の筋肉電気刺激装置1によれば、着脱可能なコネクタを介して本体部10と電極部30とが接続されているため、本体部10から電極部30を取り外すことができる。そして、使用者の好みや使用する部位に適した形状の電極を有する電極部に交換することができる。
【0413】
以上のように、実施例23によれば、実施例1による作用効果と同等の作用効果を奏するとともに、使用者の好みや使用する部位に適した形状の電極を有する電極部に交換することができる筋肉電気刺激装置1を提供することができる。
【0414】
(実施例24)本発明における実施例24の筋肉電気刺激装置について、説明する。
特許文献1の開示の構成では、電極を支持する上蓋本体部は、電極部において一様の厚さとなっている。そのため、使用後に筋肉電気刺激装置を人から取り外す際に、電極部を剥がしにくいという問題がある。
【0415】
実施例24の筋肉電気刺激装置1では、かかる問題にも鑑みて次のように構成される。なお、先行する実施例における筋肉電気刺激装置1と同等の部材には同一の符号を付して、その説明及びその使用態様の説明を省略する。また、本例の説明において使用する図面が、先行する実施例における図面と同一の場合は、先行する実施例における図面を代用する。
【0416】
実施例24の筋肉電気刺激装置1では、
図51に示すように、電極312において、電極支持部121の外縁部(本体部10と反対側の縁部)121bは、電極支持部121の中央部121cや、電極支持部121の内側部(本体部10に近い側の領域)121dに比べて、肉厚に形成されている。 なお、他の電極311、313、321~323においても同様に形成されている。また、本例の筋肉電気刺激装置1におけるその他の構成は実施例1の筋肉電気刺激装置1と同等である。
【0417】
実施例24の筋肉電気刺激装置1では、外縁部121bが肉厚であるため、使用後に筋肉電気刺激装置を人から取り外す際に、指を外縁部121bに引掛けて、電極311~323(電極支持部121)を剥がしやすくなっている。また、外縁部121bに比べて、中央部121c、内側部121dは、薄肉になっているため、外縁部121bに比べて、体の湾曲に合わせて湾曲しやすくなっている。その結果、外縁部121bが肉厚であるにもかかわらず、電極311~323が肌面6から剥がれにくくなっている。
【0418】
以上のように、実施例24によれば、実施例1による作用効果と同等の作用効果を奏するとともに、使用後に筋肉電気刺激装置を人から取り外しやすい筋肉電気刺激装置1を提供することができる。
【0419】
(実施例25)本発明における実施例25の筋肉電気刺激装置について、説明する。
特許文献1の開示の構成では、電極を支持する上蓋本体部は、電極部において一様の厚さとなっている。そのため、上蓋本体部が体の湾曲に合わせて湾曲しにくく、使用中に電極が肌面から剥がれるおそれがある。
【0420】
実施例25の筋肉電気刺激装置1では、かかる問題にも鑑みて次のように構成される。なお、先行する実施例における筋肉電気刺激装置1と同等の部材には同一の符号を付して、その説明及びその使用態様の説明を省略する。また、本例の説明において使用する図面が、先行する実施例における図面と同一の場合は、先行する実施例における図面を代用する。
【0421】
実施例25の筋肉電気刺激装置1では、
図52に示すように、電極312において、電極支持部121の外縁部(本体部10と反対側の縁部)121bは、電極支持部121の中央部121cや、電極支持部121の内側部(本体部10に近い側の領域)121dに比べて、薄肉に形成されている。 なお、他の電極311、313、321~323においても同様に形成されている。また、本例の筋肉電気刺激装置1におけるその他の構成は実施例1の筋肉電気刺激装置1と同等である。
【0422】
実施例25の筋肉電気刺激装置1では、外縁部121bが薄肉であるため、電極311~323を肌面6の湾曲に追従するように、容易に湾曲させることができる。これにより、使用中に電極311~323が肌面6から剥がれることを抑制できる。特に、中央が平たくなっており、外側が湾曲している腹直筋4などに適した構成となっている。
【0423】
以上のように、実施例25によれば、実施例1による作用効果と同等の作用効果を奏するとともに、使用中に電極311~323が肌面6から剥がれることを抑制できる筋肉電気刺激装置1を提供することができる。
【0424】
(実施例26)本発明における実施例26の筋肉電気刺激装置について、説明する。
特許文献1の開示の構成では、本体部には剛性の高いコイン電池が収納されているため、使用中に当該本体部を体に沿わせて湾曲させるのは困難である。そのため、筋肉電気刺激装置をより確実に体に沿わせて湾曲させて、筋肉電気刺激装置と肌面との密着性を向上するには改善の余地がある。
【0425】
実施例26の筋肉電気刺激装置1では、かかる問題にも鑑みて次のように構成される。なお、先行する実施例における筋肉電気刺激装置1と同等の部材には同一の符号を付して、その説明及びその使用態様の説明を省略する。また、本例の説明において使用する図面が、先行する実施例における図面と同一の場合は、先行する実施例における図面を代用する。
【0426】
実施例26の筋肉電気刺激装置1では、図示しないが、コイン電池21に替えて、可撓性を有する電池を備える。当該可撓性を有する電池としては、例えば、フレキシブルアルミニウム電池や、メタルファイバー技術を使ったリチウムイオン二次電池等を採用することができる。なお、本例の筋肉電気刺激装置1におけるその他の構成は実施例1の筋肉電気刺激装置1と同等である。
【0427】
実施例26の筋肉電気刺激装置1では、電池が可撓性を有する電池を有するため、使用中に当該電池を内蔵する本体部10を人2に沿わせて湾曲させることが容易となる。その結果、筋肉電気刺激装置1をより確実に体に沿わせて湾曲させて、筋肉電気刺激装置1と肌面6との密着性を向上することができる。
【0428】
以上のように、実施例26によれば、実施例1による作用効果と同等の作用効果を奏するとともに、肌面との密着性が向上される筋肉電気刺激装置1を提供することができる。
(実施例27)本発明における実施例27の筋肉電気刺激装置について、説明する。
【0429】
特許文献1の開示の構成では、操作時に等に音声を発生させるために、本体部にスピーカを内蔵させることが考えられる。通常、スピーカは剛性の高い部材からなるため、単に剛性の高いスピーカ備えることとすれば、使用中に当該本体部を体に沿わせて湾曲させるのは困難となる。そのため、筋肉電気刺激装置をより確実に体に沿わせて湾曲させて、筋肉電気刺激装置と肌面との密着性を向上するには改善の余地がある。
【0430】
実施例27の筋肉電気刺激装置1では、かかる問題にも鑑みて次のように構成される。なお、先行する実施例における筋肉電気刺激装置1と同等の部材には同一の符号を付して、その説明及びその使用態様の説明を省略する。また、本例の説明において使用する図面が、先行する実施例における図面と同一の場合は、先行する実施例における図面を代用する。
【0431】
実施例27の筋肉電気刺激装置1では、図示しないが、スピーカ43に替えて、可撓性を有するスピーカを備える。当該可撓性を有するスピーカとしては、例えば、フィルムスピーカなどを採用することができる。なお、本例の筋肉電気刺激装置1におけるその他の構成は実施例1の筋肉電気刺激装置1と同等である。
【0432】
実施例27の筋肉電気刺激装置1では、可撓性を有するスピーカを有するため、使用中に当該電池を内蔵する本体部10を人2に沿わせて湾曲させることが容易となる。その結果、筋肉電気刺激装置1をより確実に体に沿わせて湾曲させて、筋肉電気刺激装置1と肌面6との密着性を向上することができる。また、スピーカ43に替えてフィルムスピーカを採用する場合には、軽量化することができる。
【0433】
以上のように、実施例27によれば、実施例1による作用効果と同等の作用効果を奏するとともに、肌面6との密着性が向上される筋肉電気刺激装置1を提供することができる。
【0434】
(実施例28)本発明における実施例28の筋肉電気刺激装置について、説明する。
特許文献1の開示の構成では、本体部には剛性の制御基板が収納されているため、使用中に当該本体部を体に沿わせて湾曲させるのは困難である。そのため、筋肉電気刺激装置をより確実に体に沿わせて湾曲させて、筋肉電気刺激装置と肌面との密着性を向上するには改善の余地がある。
【0435】
実施例28の筋肉電気刺激装置1では、かかる問題にも鑑みて次のように構成される。なお、先行する実施例における筋肉電気刺激装置1と同等の部材には同一の符号を付して、その説明及びその使用態様の説明を省略する。また、本例の説明において使用する図面が、先行する実施例における図面と同一の場合は、先行する実施例における図面を代用する。
【0436】
実施例28の筋肉電気刺激装置1では、図示しないが、制御基板41に替えて、可撓性を有する基板を備える。当該可撓性を有する基板としては、例えば、フレキシブル基板を採用することができる。なお、本例の筋肉電気刺激装置1におけるその他の構成は実施例1の筋肉電気刺激装置1と同等である。
【0437】
実施例28の筋肉電気刺激装置1では、制御部40にフレキシブル基板を有するため、使用中に当該電池を内蔵する本体部10を人2に沿わせて湾曲させることが容易となる。その結果、筋肉電気刺激装置1をより確実に体に沿わせて湾曲させて、筋肉電気刺激装置1と肌面6との密着性を向上することができる。
【0438】
以上のように、実施例28によれば、実施例1による作用効果と同等の作用効果を奏するとともに、肌面6との密着性が向上される筋肉電気刺激装置1を提供することができる。
【0439】
(実施例29)本発明における実施例29の筋肉電気刺激装置について、説明する。
特許文献1の開示の構成では、電極部は本体部に固定されているため、両電極が貼り付けられる範囲は非常に限られた領域である。そのため、両電極間の距離を適宜調整することができないという問題がある。
【0440】
実施例29の筋肉電気刺激装置1では、かかる問題にも鑑みて次のように構成される。なお、先行する実施例における筋肉電気刺激装置1と同等の部材には同一の符号を付して、その説明及びその使用態様の説明を省略する。また、本例の説明において使用する図面が、先行する実施例における図面と同一の場合は、先行する実施例における図面を代用する。
【0441】
実施例29の筋肉電気刺激装置1では、図示しないが、電極部30は本体部10と一体的に形成されているが、電極部30と本体部10との接合部がベローズ構造(いわゆる、蛇腹構造)となっている。本体部10に収納された制御部40と電極部30とは、本体部10内に這わされたワイヤーハーネス(図示せず)により電気的に接続されている。当該ワイヤーハーネスは、上記ベローズ構造が伸びきって電極部30と本体部10とが最も離れた場合でも両者を電気的に接続可能な十分な長さを有している。
【0442】
なお、ワイヤーハーネスに替えて、ベローズ構造を形成する電極支持部121の内側面に印刷した導電性インクにより、電極部30と本体部10とを電気的に接続してもよい。本例の筋肉電気刺激装置1におけるその他の構成は実施例1の筋肉電気刺激装置1と同等である。
【0443】
実施例29の筋肉電気刺激装置1では、電極部30と本体部10との接合部がベローズ構造を有するため、容易に両電極間の距離(第1電極群31、第2電極群間の距離)を適宜調整することができる。これにより、電極311~323を筋肉に電気刺激を付与するのに適した場所に配置しやすくなる。また、体格には個人差があるが、上記両電極間の距離を適宜調整することにより、かかる個人差にも対応しやすくなる。
【0444】
以上のように、実施例29によれば、実施例1による作用効果と同等の作用効果を奏するとともに、容易に両電極間の距離(第1電極群31、第2電極群間の距離)を適宜調整することができる筋肉電気刺激装置1を提供することができる。
【0445】
(実施例30)本発明における実施例30の筋肉電気刺激装置について、説明する。
特許文献1の開示の構成では、電極を支持する上蓋本体部は、本体部の周囲において、一様の厚さとなっている。そのため、腕や足など、腹部等に比べて比較的曲率の大きい部分に取り付けようとすると、本体部の周囲において、上蓋本体部が十分に湾曲されないため、筋肉電気刺激装置と肌面との密着性が低下するおそれがある。
【0446】
実施例30の筋肉電気刺激装置1では、かかる問題にも鑑みて次のように構成される。なお、先行する実施例における筋肉電気刺激装置1と同等の部材には同一の符号を付して、その説明及びその使用態様の説明を省略する。また、本例の説明において使用する図面が、先行する実施例における図面と同一の場合は、先行する実施例における図面を代用する。
【0447】
実施例30の筋肉電気刺激装置1では、
図53に示すように、電極支持部121の外表面121aにおける本体部10の周囲には、溝状に形成された薄肉部125a、125b、126a、126bが設けられている。薄肉部125aは仮想直線M1に沿って、上側Y1の一対の穴18aを繋ぐように形成されている。また、薄肉部125bは仮想直線M2に沿って、下側Y2の一対の穴18bを繋ぐように形成されている。一方、薄肉部126aは、上下方向(身長方向Y)に平行に、上側の一方の孔18aと下側の一方の孔18bとを繋ぐように形成されている。また、薄肉部126bは、上下方向(身長方向Y)に平行に、上側の他方の孔18aと下側の他方の孔18bとを繋ぐように形成されている。これらにより、薄肉部125a、125b、126a、126bは、本体部10を囲むとともに、本体部10の周囲に形成されている4つの孔18と繋ぐように形成されている。なお、本例の筋肉電気刺激装置1におけるその他の構成は実施例1の筋肉電気刺激装置1と同等である。
【0448】
実施例30の筋肉電気刺激装置1では、薄肉部125aにより、仮想直線M1の位置で曲がりやすくなっており、薄肉部125bにより、仮想直線M2の位置で曲がりやすくなっている。そのため、これらの位置で筋肉電気刺激装置1曲げることにより、腕や足などの腹部3よりも曲率の大きい部位に巻き付けるように取り付けやすくなる。その結果、筋肉電気刺激装置1と肌面との密着性が高まることとなる。例えば、腕に取り付ける場合には、左右方向Xが腕の延びる方向と一致するように本体部10を腕に重ねて、中央電極対302を腕に貼り付けるとともに、上側電極対301及び下側電極対303を腕に巻き付けるように、仮想直線M1,M2に沿って曲げる。このようにすれば、筋肉電気刺激装置1の通電方向(左右方向X)が腕の筋肉の延びる方向と一致するため、当該腕の筋肉に効果的に電気刺激を付与することができる。
【0449】
また、本例の筋肉電気刺激装置1では、薄肉部126a、126bの位置においても曲がりやすくなっている。これにより、中央電極対302を身長方向Yに平行に曲げやすくなるため、肌面の湾曲に追従しやすくなり、筋肉電気刺激装置1と肌面との密着性が高まる。
【0450】
以上のように、実施例30によれば、実施例1による作用効果と同等の作用効果を奏するとともに、肌面、特に、腕や足などの比較的曲率の大きい部位の肌面との密着性が高まる筋肉電気刺激装置1を提供することができる。
本発明の一態様は、電気刺激を筋肉に与える筋肉電気刺激装置であって、上記電気刺激は、上記筋肉に不完全強縮及び完全強縮の少なくとも一方を起こさせる第1電気信号が出力される第1出力期間と、上記筋肉に単収縮を起こさせる第2電気信号が出力される第2出力期間のみからなることを特徴とする。本発明の一態様は、電気刺激を筋肉に与える筋肉電気刺激装置であって、上記電気刺激は、15Hz以上30Hz以下の範囲の周波数を有する第1電気信号が出力される第1出力期間と、15Hz未満の範囲内の周波数を有する第2電気信号が出力される第2出力期間のみからなることを特徴とする。
請求項1によれば、筋肉電気刺激装置を連続して使用しても、疲労物質が筋肉に蓄積しにくいため、効率的に筋肉を刺激することができる。さらに、使用者の負担が軽減されるため、長時間使用しても使用感がよく、使用者に積極的な継続使用を促すことができる。
請求項2によれば、筋肉に急激に疲労物質が生じることが抑制されて、効率的に筋肉を刺激することができる。第1出力期間において生じた疲労物質は、第2出力期間において筋肉から排出されることとなり、連続して使用しても疲労物質の蓄積が防止される。
以上のように、実施例30によれば、実施例1による作用効果と同等の作用効果を奏するとともに、肌面、特に、腕や足などの比較的曲率の大きい部位の肌面との密着性が高まる筋肉電気刺激装置1を提供することができる。
分割当初の請求項1
電気刺激を筋肉に与える筋肉電気刺激装置であって、
上記電気刺激は、上記筋肉に不完全強縮及び完全強縮の少なくとも一方を起こさせる第1電気信号が出力される第1出力期間と、上記筋肉に単収縮を起こさせる第2電気信号が出力される第2出力期間と、が交互に繰り返され、
上記第1出力期間の継続時間は、上記第2出力期間の継続時間よりも長いことを特徴とする筋肉電気刺激装置。
分割当初の請求項2
電気刺激を筋肉に与える筋肉電気刺激装置であって、
上記電気刺激は、15Hz以上30Hz以下の範囲の周波数を有する第1電気信号が出力される第1出力期間と、15Hz未満の範囲内の周波数を有する第2電気信号が出力される第2出力期間と、が交互に繰り返され、
上記第1出力期間の継続時間は、上記第2出力期間の継続時間よりも長いことを特徴とする筋肉電気刺激装置。
分割当初の段落0007
請求項1によれば、筋肉電気刺激装置を連続して使用しても、疲労物質が筋肉に蓄積しにくいため、効率的に筋肉を刺激することができる。さらに、使用者の負担が軽減されるため、長時間使用しても使用感がよく、使用者に積極的な継続使用を促すことができる。また、出力される電気刺激において、第1出力期間が十分確保され、筋肉の増強効果が一層高まる。
分割当初の段落0008
請求項2によれば、筋肉に急激に疲労物質が生じることが抑制されて、効率的に筋肉を刺激することができる。第1出力期間において生じた疲労物質は、第2出力期間において筋肉から排出されることとなり、連続して使用しても疲労物質の蓄積が防止される。また、出力される電気刺激において、第1出力期間が十分確保され、筋肉の増強効果が一層高まる。