(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019564
(43)【公開日】2024-02-09
(54)【発明の名称】梱包体、エンジニアリング方法、及び輸送方法
(51)【国際特許分類】
B65D 71/00 20060101AFI20240201BHJP
B65D 57/00 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
B65D71/00 ZAB
B65D57/00
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023211797
(22)【出願日】2023-12-15
(62)【分割の表示】P 2020133149の分割
【原出願日】2020-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(74)【代理人】
【識別番号】100181124
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 壮男
(72)【発明者】
【氏名】大久保 武
(57)【要約】
【課題】省資源で地球環境への負担を低減でき、また、梱包作業の効率化を図ると共に梱包容積を低減できる梱包体、出荷から現地でのセットアップまでの負担を低減できるエンジニアリング方法、及び輸送方法の提供。
【解決手段】梱包体は、内部に少なくとも電子計算機を収容するためのデスク兼梱包箱体と、前記デスク兼梱包箱体に連結される回動天板部と、前記デスク兼梱包箱体及び前記回動天板部を収容するための外装箱部と、を備え、前記回動天板部は、前記デスク兼梱包箱体の天面に重なる収容状態と、前記デスク兼梱包箱体の天面に連なる展開状態との間で回動可能であり、前記回動天板部は、前記収容状態で前記外装箱部に収容可能であり、前記外装箱部が取り外された状態で前記展開状態に展開可能であり、前記外装箱部は、有機材料から形成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に少なくとも電子計算機を収容するためのデスク兼梱包箱体と、
前記デスク兼梱包箱体に連結される回動天板部と、
前記デスク兼梱包箱体及び前記回動天板部を収容するための外装箱部と、を備え、
前記回動天板部は、前記デスク兼梱包箱体の天面に重なる収容状態と、前記デスク兼梱包箱体の天面に連なる展開状態との間で回動可能であり、
前記回動天板部は、前記収容状態で前記外装箱部に収容可能であり、前記外装箱部が取り外された状態で前記展開状態に展開可能であり、
前記外装箱部は、有機材料から形成されている、
梱包体。
【請求項2】
前記デスク兼梱包箱体及び前記回動天板部は、有機材料から形成されている、
請求項1に記載の梱包体。
【請求項3】
前記回動天板部は、前記展開状態において、左右に引き出し可能な引き出し部を備える、
請求項1または2に記載の梱包体。
【請求項4】
前記デスク兼梱包箱体内に収容される前記電子計算機と接続されるディスプレイ装置を支持するための物品支持部をさらに備える、
請求項1~3のいずれか一項に記載の梱包体。
【請求項5】
前記物品支持部は、
前記ディスプレイ装置を支持する第1物品支持部と、
前記第1物品支持部と背面合わせで設けられ、複数のモジュールが実装状態で取り付けられた電子ユニットを支持する第2物品支持部と、を含む、
請求項4に記載の梱包体。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の梱包体において、前記外装箱部を取り外した状態で、前記回動天板部を前記展開状態とすると共に、前記デスク兼梱包箱体の内部に収容された前記電子計算機を検査対象機器に接続し、当該検査対象機器の検査を行うことを含む、
エンジニアリング方法。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか一項に記載の梱包体において、前記回動天板部を前記収容状態とし、前記外装箱部を前記梱包体に取り付け、前記梱包体を輸送することを含む、
輸送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梱包体、エンジニアリング方法、及び輸送方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から電子機器を収容する梱包体として、例えば、特許文献1に記載されているような梱包体が知られている。この梱包体においては、昇降リフトのテーブルを下降させた状態のときに、当該テーブルのテーブル面よりも高い位置に物品設置面が位置する台座部と、前記物品設置面上に配置された梱包対象物品を覆い、前記物品設置面上に前記梱包対象物品が設置された状態で取り外し可能な外装部材とを、備えており、梱包対象物品が重量物であっても当該梱包対象物品を容易に昇降リフトに移動することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、プラント等で、複数のデバイスを制御またはモニタするように構成されたシステムは、I/O(入出力)ノードや集線装置等の複数のモジュールを備えるI/Oユニット(電子ユニット)を介してデバイスと通信するように構成される。このような電子ユニットは、従来、モジュールごとに分解され、個別に梱包が行われていた。このため、梱包資材、梱包容積が増加し、ひいては運送費の増加を招いており、地球環境に対しても大きな負担となっていた。
【0005】
さらに、このような電子ユニットは、現地への納入前や、納入後のセットアップ時にPC(電子計算機)に接続して検査を行っており、PC関係(サーバー、モニタ、キーボード、マウス、UPS(無停電電源装置)、その他)についても個別に梱包し、現地納入後、開梱から取り付けまで行われていた。PC関係は、セットアップするためのステージングエリアを用意する必要あり、その結果、セットアップまでの時間・場所(スペース)・費用が嵩む要因となっていた。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、省資源で地球環境への負担を低減でき、また、梱包作業の効率化を図ると共に梱包容積を低減できる梱包体、出荷から現地でのセットアップまでの負担を低減できるエンジニアリング方法、及び輸送方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の一態様に係る梱包体は、内部に少なくとも電子計算機を収容するためのデスク兼梱包箱体と、前記デスク兼梱包箱体に連結される回動天板部と、前記デスク兼梱包箱体及び前記回動天板部を収容するための外装箱部と、を備え、前記回動天板部は、前記デスク兼梱包箱体の天面に重なる収容状態と、前記デスク兼梱包箱体の天面に連なる展開状態との間で回動可能であり、前記回動天板部は、前記収容状態で前記外装箱部に収容可能であり、前記外装箱部が取り外された状態で前記展開状態に展開可能であり、前記外装箱部は、有機材料から形成されている。
【0008】
(2)上記(1)に記載された梱包体であって、前記デスク兼梱包箱体及び前記回動天板部は、有機材料から形成されていてもよい。
(3)上記(1)または(2)に記載された梱包体であって、前記回動天板部は、前記展開状態において、左右に引き出し可能な引き出し部を備えてもよい。
(4)上記(1)~(3)に記載された梱包体であって、前記デスク兼梱包箱体内に収容される前記電子計算機と接続されるディスプレイ装置を支持するための物品支持部をさらに備えてもよい。
(5)上記(4)に記載された梱包体であって、前記物品支持部は、前記ディスプレイ装置を支持する第1物品支持部と、前記第1物品支持部と背面合わせで設けられ、複数のモジュールが実装状態で取り付けられた電子ユニットを支持する第2物品支持部と、を含んでもよい。
【0009】
(6)本発明の一態様に係るエンジニアリング方法は、上記(1)~(5)に記載された梱包体において、前記外装箱部を取り外した状態で、前記回動天板部を前記展開状態とすると共に、前記デスク兼梱包箱体の内部に収容された前記電子計算機を検査対象機器に接続し、当該検査対象機器の検査を行うことを含む。
【0010】
(7)本発明の一態様に係る輸送方法は、上記(1)~(5)に記載された梱包体において、前記回動天板部を前記収容状態とし、前記外装箱部を前記梱包体に取り付け、前記梱包体を輸送することを含む。
【発明の効果】
【0011】
上記本発明の態様によれば、省資源で地球環境への負担を低減でき、また、梱包作業の効率化を図ると共に梱包容積を低減できる梱包体、出荷から現地でのセットアップまでの負担を低減できるエンジニアリング方法、及び輸送方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】一実施形態に係る外装箱部を取り外した状態を示す梱包体の斜視図である。
【
図3】一実施形態に係る回動天板部を展開した状態の梱包体を示す斜視図である。
【
図4】一実施形態に係る回動天板部から引き出し部を引き出した状態を示す梱包体の斜視図である。
【
図5】一実施形態に係る梱包体の分解斜視図である。
【
図9】一実施形態に係るエンジニアリング方法のフローチャートである。
【
図10】一実施形態に係るエンジニアリング方法における電子ユニットの検査の状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、一実施形態に係る梱包体1の斜視図である。
図2は、一実施形態に係る外装箱部13を取り外した状態を示す梱包体1の斜視図である。
図3は、一実施形態に係る回動天板部90を展開した状態を示す梱包体1の斜視図である。
図4は、一実施形態に係る回動天板部90から引き出し部92を引き出した状態を示す梱包体1の斜視図である。
これらの図に示すように、梱包体1は、ディスプレイ装置2を含む電子機器を収容する箱体10を備えている。
【0015】
箱体10は、有機材料から形成されている。具体的に、箱体10の台座部11、物品支持部12、外装箱部13は、段ボールから形成されている。また、台座部11、物品支持部12、外装箱部13を一体的に縛るバンド14(
図1参照)と、台座部11と物品支持部12とを連結する連結具15(
図2~
図4参照)は、プラスチックから形成されている。また、段ボールから台座部11、物品支持部12、外装箱部13を組み立てる際に使用する図示しない粘着テープや接着材も、樹脂製である。
【0016】
台座部11、物品支持部12、外装箱部13には、段ボールを二重、三重構造とした強化段ボールを使用している。この強化段ボールには、松等の硬い材料を加えた木材並みの硬度を有する重量物用のものを使用することが好ましい。これにより、箱体10を資源としてリサイクルできる。また、この構成によれば、資源としてのリサイクルが不能になるまで使用した後、箱体10の焼却処分が可能なため、廃棄も容易である。なお、箱体10には、段ボールに類似した構造を有するプラスチック段ボールや、プラスチック製のキャビネット等を使用してもよい。
【0017】
台座部11は、
図2に示すように、桁材20と、デッキボード21と、トレー22と、を備えている。桁材20は、箱体10の底部に3本平行に配置されている。隣り合う桁材20の間には、フォークリフトのフォークが挿入可能な隙間23が形成されている。なお、この隙間23には、
図1に示すようにバンド14を通すことができ、箱体10の上下を周回して縛ることができる。
【0018】
桁材20の内部には、図示しない複数の紙管が配置されており、強度に優れる。3本の桁材20の上面には、デッキボード21が固定されている。デッキボード21は、段ボールを折り曲げて全面溶着したものである。このデッキボード21の上面には、トレー22が固定されている。トレー22は、段ボールを折り曲げた平面視矩形状の受け皿であり、物品支持部12を支持している。
【0019】
トレー22の周壁部には、
図2に示すように、連結具15を介して、物品支持部12が固定されている。連結具15は、周知の連結具であり、先端に折り畳み可能なフランジを有し、当該先端を物品支持部12に挿入して配置した後、折り畳んだフランジを展開させることにより、台座部11と物品支持部12とを挟み込んで連結するものである。なお、台座部11と物品支持部12との連結には、粘着テープや接着材等を使用してもよい。
【0020】
物品支持部12は、台座部11に対して垂直に立設する支持面40aを有する支持板部40と、支持板部40の両側端から支持面40aが向く方向に屈曲した一対の側板部41と、を備えている。支持板部40の支持面40aには、2台のディスプレイ装置2が、壁掛け状態且つ縦並びで支持されている。ディスプレイ装置2は、後述する
図6に示すように、背面側に取り付けられた固定具3を介して支持面40aに固定されている。固定具3は、図示しない結束バンドによって支持板部40に固縛されている。
【0021】
ディスプレイ装置2の両側には、一対の柱部70が配置されている。一対の柱部70は、物品支持部12と同様に、強化段ボールから形成されている。具体的に、一対の柱部70は、強化段ボールを接着剤等で複数層重ねたブロック状のものを、上下方向に複数継ぎ合せて柱状に形成したものである。この一対の柱部70は、物品支持部12の上端から下端に向かって延在している。
【0022】
一対の柱部70は、ディスプレイ装置2の両側に僅かな隙間をあけて配置され、輸送の際にディスプレイ装置2の横揺れ時の緩衝材として機能する。また、この一対の柱部70は、支持板部40と一対の側板部41との角部に配置されており、物品支持部12の強度を向上させ、前後及び左右方向の倒れに強くさせる。このような一対の柱部70は、支持板部40の支持面40aに接着剤等で固定されている。なお、この一対の柱部70を、更に一対の側板部41に接着剤等で固定してもよい。
【0023】
一対の側板部41は、
図2に示すように、支持板部40に対して支持面40a側に垂直に折り曲げられることで形成されている。側板部41の上下方向(鉛直方向)の略中央部には、作業者の手が挿入可能な取手孔47が形成されている。さらに、側板部41には、検査時などにおいて接続配線などを支持するための切り欠き部48が形成されている。
【0024】
切り欠き部48は、側板部41の前端縁に沿って上下方向に間隔をあけて複数形成されている。切り欠き部48は、側板部41の前端縁から後端縁に向かって所定幅で水平方向に延びる水平部48aと、水平部48aに連通し、水平部48aにおける幅よりも拡径した拡径部48bと、を有する。拡径部48bは、円形状を有し、水平部48aの終端部における幅を下方に拡径させている。
【0025】
図5は、一実施形態に係る梱包体1の分解斜視図である。
図6は、一実施形態に係る梱包体1の平面図である。
図7は、
図6に示す矢視A-A断面図である。
図8は、一実施形態に係る梱包体1の背面図である。
図5に示すように、支持板部40及び一対の側板部41によって囲まれた空間(平面視でコの字状に囲まれた空間)には、デスク兼梱包箱体80が配置される。デスク兼梱包箱体80は、天面80a、底面80b、正面80c1、背面80c2、右側面80c3、左側面80c4を有する直方体状に形成されている。
【0026】
デスク兼梱包箱体80は、有機材料から形成されている。具体的に、デスク兼梱包箱体80は、段ボール箱から形成されている。デスク兼梱包箱体80の内部には、
図7に示すように、電子計算機2Cと、無停電電源装置2Dと、が収容されている。また、デスク兼梱包箱体80の内部には、複数の中敷き100A~100Cが収容されている。デスク兼梱包箱体80の底部には、電子計算機2Cをホールドする中敷き100Aが配置されている。中敷き100Aの上面には、電子計算機2Cの形状に応じた窪み100A1が形成されている。
【0027】
電子計算機2Cの上には、電子計算機2C及び無停電電源装置2Dをホールドする第2の中敷き100Bが配置されている。この中敷き100Bには、その下面に電子計算機2Cの形状に応じた窪み100B1が形成され、また、その上面には無停電電源装置2Dの形状に応じた窪み100B2が形成されている。本実施形態の無停電電源装置2Dは、底部に複数の脚部3Dを有しており、窪み100B2は、これら脚部3Dの形状及び配置に応じて形成されている。
【0028】
無停電電源装置2Dの上には、無停電電源装置2Dをホールドする第3の中敷き100Cが配置されている。この中敷き100Cには、その下面に無停電電源装置2Dの形状に応じた窪み100C1が形成されている。なお、中敷き100Cの上面は、フラットになっており、中敷き100Cとデスク兼梱包箱体80の天面80aとの間の内部空間Sに、キーボード2Eなどの小型の電子機器を収容できるようになっている。なお、デスク兼梱包箱体80の天面80aは、開閉自在とされており、キーボード2Eなどを容易に取り出すことができる。
【0029】
図5に示すように、デスク兼梱包箱体80には、正面80c1及び背面80c2のそれぞれに、取手孔81及び複数の放熱孔82が形成されている。取手孔81は、正面80c1及び背面80c2の上部において、左右方向に延びる長孔状に形成されている。放熱孔82は、正面80c1及び背面80c2の略全面において、左右方向及び上下方向に間隔をあけたマトリクス状に形成されている。なお、放熱孔82は、少なくとも正面80c1及び背面80c2に形成されていればよく、さらに右側面80c3や左側面80c4に形成されていても構わない。
【0030】
図6に示すように、上述した一対の柱部70は、デスク兼梱包箱体80の背面80c2と、物品支持部12の支持面40aとの間に、通気用の隙間Dを形成している。この構成によれば、デスク兼梱包箱体80の背面80c2に形成された放熱孔82が、物品支持部12の支持面40aによって閉塞されず、デスク兼梱包箱体80の背面80c2から正面80c1に抜ける空気の流れ、若しくはデスク兼梱包箱体80の正面80c1から背面80cに抜ける空気の流れを形成することができる。
【0031】
例えば、電子計算機2Cや無停電電源装置2Dのファンの向きを調整し、デスク兼梱包箱体80の背面80c2から正面80c1に抜ける空気の流れを形成する場合は、冬場や寒冷地において、電子計算機2Cや無停電電源装置2Dの熱でデスク作業者の足元を温めることができる。なお、空気の流れは、デスク兼梱包箱体80の背面80c2から正面80c1に抜ける流れに限定されず、設置場所やその他の条件に応じて、デスク兼梱包箱体80の正面80c1から背面80cに抜けるように形成しても構わない。
【0032】
図5に示すように、デスク兼梱包箱体80には、正面80c1の上部に、逆U字状の連結孔83が形成されている。連結孔83は、正面80c1と天面80aとの角部に左右方向に延びるスリットを形成すると共に、当該スリットの両端部から下方に向かって平行に延びる一対のスリットを形成している。連結孔83は、デスク兼梱包箱体80の左右方向に間隔をあけて一対で形成されている。一対の連結孔83には、回動天板部90の一対のT字状の連結片91が挿入される。
【0033】
回動天板部90は、
図2に示すように、デスク兼梱包箱体80の天面80aに重なって、支持板部40及び一対の側板部41によって囲まれたコの字状の空間に収まる収容状態と、
図3に示すように、当該コの字状の空間から突出してデスク兼梱包箱体80の天面80aに連なる展開状態と、の間で回動可能にデスク兼梱包箱体80に連結されている。この回動天板部90も、有機材料から形成されている。具体的に、回動天板部90は、段ボールを折り曲げることで形成されている。
【0034】
回動天板部90は、天面90a、斜面90b、垂直面90cを有する側面視で直角三角形状に形成されている。天面90aは、
図3に示す展開状態のときに、デスク兼梱包箱体80の天面80aを前方に拡張させ、電子計算機2Cに接続されたキーボード2Eなどを配置するスペースを形成する。斜面90bは、
図3に示す展開状態のときに、天面90aの手前側の端部からデスク兼梱包箱体80の正面80c1に向かって斜め下方に延び、天面90aの裏側にデスク作業者の脚やデスク作業者が座る椅子を配置するスペースを形成する。また、垂直面90cは、
図3に示す展開状態のときに、デスク兼梱包箱体80の正面80c1に当接し、連結片91を中心とする回動天板部90のモーメント荷重を受ける。
【0035】
連結片91は、
図5に示すように、天面90aからデスク兼梱包箱体80に向かって延出したヒンジ部91aと、ヒンジ部91aの先端部から左右方向両側に延出した一対の係止部91bと、を備えている。連結片91も段ボールで形成されており、連結孔83への挿入時には、一対の係止部91bを下方に折り曲げ、連結片91全体を連結孔83と同様の逆U字状に変形させ、その状態で連結孔83に挿入する。一対の係止部91bは、連結孔83への連結片91の挿入後、復元変形し、デスク兼梱包箱体80の内壁面に係止する。これにより、回動天板部90がデスク兼梱包箱体80に連結される。
【0036】
図4に示すように、回動天板部90は、展開状態において、左右に引き出し可能な引き出し部92を備えている。引き出し部92は、回動天板部90と同様に側面視で直角三角形状に形成され、回動天板部90の左右側面を貫通する貫通孔93に収容されている。この引き出し部92も、有機材料から形成されている。具体的に、引き出し部92は、段ボールを折り曲げることで形成されている。引き出し部92は、
図5に示すように、一対の引き出し天面92aと、一対の引き出し天面92aの間に設けられたポケット部92bと、を有している。引き出し天面92aには、電子計算機2Cに接続されたマウスなどを配置するスペースを形成する。ポケット部92bには、梱包体1の輸送時などに、当該マウスなどの小型の電子機器を収容できるようになっている。
【0037】
図6に示すように、箱体10は、上述したデスク兼梱包箱体80及び回動天板部90が配置され、ディスプレイ装置2を支持する第1物品支持部12Aと、第1物品支持部12Aと背面合わせで設けられ、検査対象機器となる電子ユニット2Aを支持する第2物品支持部12Bと、を備えている。第2物品支持部12Bにおいては、一対の柱部70の間に、拘束部材43Aを介して電子ユニット2Aが架設されている。一対の柱部70には、拘束部材43Aが通される孔部71が形成されている。拘束部材43Aは、孔部71に通された結束バンドのバンド部を、結束バンドのロック部でロックし、電子ユニット2Aを固定している。
【0038】
電子ユニット2Aは、例えば
図8に示すような横型タイプのI/Oユニットであり、左右方向に延びるモジュール取付部3Aと、モジュール取付部3Aに取り付けられたモジュール4Aと、を備える。モジュール取付部3Aは、複数のモジュール4Aを電気的に接続する複数のコネクタ5を備える。複数のモジュール4Aは、I/Oノードや集線装置等から構成されている。コネクタ5は、モジュール取付部3Aの本体フレーム3A1(
図6参照)に、左右方向に間隔をあけて複数設けられている。
【0039】
図6に示すように、本体フレーム3A1の背面側には、突出部3A2が形成されている。突出部3A2は、例えば、本体フレーム3A1に支持された基板や、その基板に接続された配線、または、その基板から突出する電子部品の端子(ハンダ付けされたもの)である。一対の柱部70は、本体フレーム3A1の背面と支持板部40の支持面40aとの間に、突出部3A2を配置する空間を形成している。
【0040】
図1に戻り、外装箱部13は、上述した物品支持部12の側方及び上方を覆うものである。外装箱部13は、物品支持部12の側方を覆うスリーブ50と、物品支持部12の上方を覆う天キャップ51と、を備える。スリーブ50は、長方形の段ボールを四角筒状に折り曲げたものであり、物品支持部12の四方に巻き付けられる。天キャップ51は、受け皿状に段ボールを折り曲げて形成されたものであり、上述したトレー22とは天地逆さにした状態で物品支持部12の上方に配置される。
【0041】
続いて、上記構成の梱包体1の作用及びこの梱包体1を用いたエンジニアリング方法(以下、本手法と称する)について
図9及び
図10を参照して説明する。
図9は、一実施形態に係るエンジニアリング方法のフローチャートである。
図10は、一実施形態に係るエンジニアリング方法における電子ユニット2Aの検査の状態を示す模式図である。
本手法は、
図9に示すように、第一梱包工程S1と、検査工程S2と、第二梱包工程S3と、輸送工程S4と、現地セットアップ工程S5とを有する。
【0042】
第一梱包工程S1は、工場等で、外装箱部13が取り外された状態の梱包体1に、上述したディスプレイ装置2、電子ユニット2Aを支持させると共に、上述したデスク兼梱包箱体80、回動天板部90を収容する工程である。なお、デスク兼梱包箱体80の内部には、
図7に示すように、電子計算機2C、無停電電源装置2Dが収容されている。
【0043】
支持板部40の支持面40aにディスプレイ装置2や電子ユニット2Aが支持されると、物品支持部12は、ディスプレイ装置2や電子ユニット2Aから荷重を受ける。そうすると、支持板部40の下端を支点としたモーメントが発生し、物品支持部12は、支持面40a側に回転し(倒れ)ようとする。ここで、本実施形態の物品支持部12は、支持板部40の両側端から支持面40aが向く方向に屈曲した一対の側板部41を備える。一対の側板部41は、電子ユニット2Aの荷重による支持板部40の下端を支点とした物品支持部12の支持面40a側への倒れを防止する。このため、ディスプレイ装置2や電子ユニット2Aを堅牢に支持することができる。
【0044】
また、本実施形態では、
図6に示すように、一対の物品支持部12は、支持面40aの背面側が互いに対向するように背面合せで設けられている。この構成によれば、一対の物品支持部12のうち、一方の物品支持部12の背面側の倒れを、他方の物品支持部12の一対の側板部41によって防止することができる。したがって、一対の物品支持部12を背面合せで設けることで、前後方向の倒れに強くなる。また、一対の物品支持部12のそれぞれは、平面視でコの字形状に形成されているため、前後方向の倒れだけでなく、左右方向の倒れにも強くなる。
【0045】
次の検査工程S2は、上述のように外装箱部13が取り外された状態で、回動天板部90を展開状態(
図3参照)とすると共に、デスク兼梱包箱体80の内部に収容された電子計算機2Cを電子ユニット2Aと接続し、電子ユニット2Aの検査を行う。なお、
図10に示すように、上述したデスク兼梱包箱体80及び回動天板部90を収容した本実施形態の梱包体1の隣に、電子ユニット2Fのみを収容した梱包体1A(例えば、特開2018-100127号公報の
図2及び
図3に示す電子ユニット(I/Oユニット)のみを収容した梱包体)を配置し、電子ユニット2Aだけでなく電子ユニット2Fの検査を行っても構わない。
【0046】
デスク兼梱包箱体80には、
図4に示すように、取手孔81や放熱孔82などの複数の孔部が形成され、また、
図6に示すように、背面80c2側には隙間Dが形成されているため、電子計算機2Cとディスプレイ装置2との配線を介した接続は容易である。また、物品支持部12の上方は開放されているため、電子計算機2Cと背面側に支持された電子ユニット2Aとの配線を介した接続も容易である。また、電子ユニット2A,2Fの間を接続する配線は、
図3に示す切り欠き部48に引っ掛けることで、取り回しが容易になる。電子計算機2Cは、このように外部機器と接続され、電子ユニット2A,2Fの各モジュール4A,4Fの動作を出荷前に検査する。
【0047】
この検査工程S2によれば、電子ユニット2A,2Fを梱包体1,1Aに収容したまま検査することができる。これにより、これにより、従来のように、モジュール4A,4Fを検査テーブルなどに平置きで並べる必要がなくなるため、検査作業性が向上する。さらに、この検査工程S2では、ディスプレイ装置2、電子計算機2Cを含むPC関係も梱包体1に収容したままであり、梱包体1自体がPC関係のステージングエリアになるため、当該PC関係をセットアップするためのステージングエリアを別途用意する必要がなく、検査作業性が向上する。
【0048】
また、物品支持部12は、平面視でコの字形状に形成されており、デスク作業者のパーティションとなる。さらに、物品支持部12の材質は、段ボールであり、その表面の水分値は3%~4%(紙の重量に含む水分の重さの%単位)であり、中芯(波部分)の水分値は4~6%程度ある。つまり、デスク作業者が咳やくしゃみをした場合であっても、その飛沫を物品支持部12に吸収できる。このため、昨今のCOVID-19のようなコロナウイルス対策としても効果的である。また、梱包体1(デスク)を並べて配置する場合、梱包体1の配置距離は自由に設定できる。
【0049】
次の第二梱包工程S3は、上述の検査を終えた後に、
図2に示すように回動天板部90を収容状態とし、
図1に示すように外装箱部13を梱包体1に取り付け、ディスプレイ装置2、電子ユニット2A、デスク兼梱包箱体80、及び、回動天板部90を梱包体1に梱包する工程である。ここで、電子ユニット2Aにおいては、複数のモジュール4Aが上述の検査時と同じ実装状態で取り付けられている状態であるとよい。なお、電子計算機2Cと外部機器とを接続する配線は、全部の接続を解除しても構わないし、外装箱部13の取り付けに干渉しないような一部の接続は残しておいても構わない。
【0050】
次の輸送工程S4は、外装箱部13が取り付けられた
図1に示す状態の梱包体1を、電子ユニット2Aの設置場所(現地)へ輸送する工程である。梱包体1には、電子ユニット2Aを検査時の状態のまま、すなわち電子ユニット2Aが実装状態で収容されている。また、電子ユニット2Aを検査するPC関係も、物品支持部12やデスク兼梱包箱体80の内部に収容されている。このため、各電子機器を個別に梱包して輸送する場合と比べて、輸送する箱数が少なくなり(例えば、システム全体で、数百箱が数箱まで削減され)、また、梱包容積も少なくなるため、運送費を大幅に削減することができる。また、箱数が少なくなれば、梱包作業の時間短縮につながり、作業効率を向上させることができる。
【0051】
また、設置場所に輸送する梱包体1の箱数が少なくなるため、設置場所における梱包体1の開梱スペースを削減することができる。さらに、この梱包体1は、有機材料から形成されているため、金属製の箱や台車と比べて、現地での処分が容易である。また、この梱包体1は、強化段ボール等から形成されており、軽く丈夫なため、資源としてリサイクル可能であり、省資源で地球環境への負担を低減できる。
【0052】
次の現地セットアップ工程S5は、輸送先の設置場所で外装箱部13を梱包体1から取り外し、内部の電子ユニット2Aを取り外して検査時の状態のまま設置場所に設けられたキャビネットに収容する工程である。このキャビネットは、例えば、旧システムの納入時に、設置場所に据え付けた既設の金属製の箱筐体であって、該キャビネットの前後には扉が付いており、扉をあけると、
図8に示すような状態で、旧システムの電子ユニット2Aが取り付けられている。
【0053】
この工程では、先ず、キャビネットに取り付けられた古い電子ユニット2Aを取り外す。そして、その取り外した場所に、新しい電子ユニット2Aを、上述した検査時の状態のまま取り付ける。この電子ユニット2Aは、すでに組み上げられた実装状態であり、即時の使用が可能であって、モジュール取付部3Aと各モジュール4Aとの接続作業が不要である。このように、電子ユニット2Aを検査時の状態のまま既設のキャビネットに取り付けることで、現地における接続ミスを防止でき、現地でのセットアップ作業の効率化を図ることができる。
【0054】
なお、電子ユニット2Aは、検査にクリアした状態であるので、接続トラブルの発生は極めて低いが、現地で電子ユニット2Aをキャビネットに取り付ける前、若しくは、現地で電子ユニット2Aをキャビネットに取り付けた後に、電子ユニット2Aの再検査を行っても構わない。この場合、上述した検査工程S2と同様に、回動天板部90を展開状態とすると共に、デスク兼梱包箱体80の内部に収容された電子計算機2Cを電子ユニット2Aと接続することで、PC関係のステージングエリアを別途用意することなく、電子ユニット2Aの検査を即時且つ容易に行える。
【0055】
以上のように、上述の本実施形態によれば、台座部11と、台座部11に支持された物品支持部12と、物品支持部12の側方及び上方を覆う外装箱部13と、を備える箱体10を備え、箱体10は、有機材料から形成されており、物品支持部12は、台座部11に対して垂直に立設する支持面40aを有する支持板部40と、支持板部40の両側端から支持面40aが向く方向に屈曲した一対の側板部41と、を備え、支持板部40及び一対の側板部41によって囲まれた空間に配置されると共に、内部に少なくとも電子計算機2Cを収容したデスク兼梱包箱体80と、デスク兼梱包箱体80に連結されると共に、デスク兼梱包箱体80の天面80aに重なって当該空間に収まる収容状態と、当該空間から突出してデスク兼梱包箱体80の天面80aに連なる展開状態との間で回動可能な回動天板部90と、を備える梱包体1を採用することで、省資源で地球環境への負担を低減でき、また、梱包作業の効率化を図ると共に梱包容積を低減できる。また、この梱包体1を用いたエンジニアリング方法によれば、PC関係のステージングエリアを別途用意する必要がなく、出荷から現地でのセットアップまでの負担を低減できる。
【0056】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【符号の説明】
【0057】
1…梱包体、2…ディスプレイ装置、2A…電子ユニット(検査対象機器)、2C…電子計算機、2F…電子ユニット(検査対象機器)、4A…モジュール、4F…モジュール、10…箱体、11…台座部、12…物品支持部、12A…第1物品支持部、12B…第2物品支持部、13…外装箱部、40…支持板部、40a…支持面、41…側板部、70…柱部、80…デスク兼梱包箱体、80a…天面、80c1…正面、80c2…背面、82…放熱孔、83…連結孔、90…回動天板部、91…連結片、92…引き出し部、D…隙間