(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019565
(43)【公開日】2024-02-09
(54)【発明の名称】穿孔装置
(51)【国際特許分類】
B26F 1/20 20060101AFI20240201BHJP
B26D 11/00 20060101ALI20240201BHJP
C09J 7/38 20180101ALN20240201BHJP
【FI】
B26F1/20
B26D11/00
C09J7/38
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023211825
(22)【出願日】2023-12-15
(62)【分割の表示】P 2020015291の分割
【原出願日】2020-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000004020
【氏名又は名称】ニチバン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096644
【弁理士】
【氏名又は名称】中本 菊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100083998
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 丈夫
(72)【発明者】
【氏名】杉山 裕輔
(72)【発明者】
【氏名】川嶋 永人
(57)【要約】
【課題】幅方向で刃先幅と刃先高さを一定の範囲に制御して、被穿孔物の所定の強度を担保しつつ手切れ性を発現でき、穿孔処理の安定化を図れるようにすること。
【解決手段】粘着性を有するシート状の被穿孔物を挟み、通過させて上記被穿孔物に穿孔を施す連動して回転する一対のロール体の表面に形成される穿孔刃を有する穿孔ロール刃を備えた穿孔装置であって、一方の上記穿孔刃6Aは、上記ロール体の周面の軸方向に沿って周方向に複数設けられ、他方の上記穿孔刃6は、上記ロール体の周面の周方向に沿って軸方向に複数設けられ、上記一方及び他方の穿孔ロール刃の刃先幅bを、10μm~100μmに形成し、かつ、上記他方の穿孔刃の刃先高さhを、上記一対のロール体の軸方向の端部同士が当接するベアラー部7,7Aを基準として、-10μm~0μmに形成する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着性を有するシート状の被穿孔物を挟み、通過させて上記被穿孔物に穿孔を施す、連動して回転する一対のロール体の表面に形成される穿孔刃を有する穿孔ロール刃を備える穿孔装置であって、
一方の上記穿孔刃は、上記ロール体の周面の軸方向に沿って周方向に複数設けられ、他方の上記穿孔刃は、上記ロール体の周面の周方向に沿って軸方向に複数設けられ、
上記一方及び他方の穿孔刃の刃先幅が、10μm~100μmに形成され、かつ、上記他方の穿孔刃の刃先高さが、上記一対のロール体の軸方向の端部同士が当接するベアラー部を基準として、-10μm~0μmに形成され、
穿孔が施された上記被穿孔物に、該被穿孔物に要求される引張強度を担保しつつ幅方向の手切れ性を可能にした、
ことを特徴とする穿孔装置。
【請求項2】
請求項1に記載の穿孔装置であって、
上記穿孔刃の刃先ピッチが0.5mm~5.0mmである、ことを特徴とする穿孔装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の穿孔装置であって、
少なくとも上記他方の穿孔刃の刃先ピッチは、上記ロール体の周面の周方向に沿って軸方向に等間隔に設けられている、ことを特徴とする穿孔装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の穿孔装置であって、
上記穿孔ロール刃の軸方向の長さが少なくとも600mmである、ことを特徴とする穿孔装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の穿孔装置であって、
上記被穿孔物の供給側に配設され、ロール体(15,15A)の軸方向の両端部に端部穿孔刃(16,16A)を有する一対の穿孔ロール刃(12,13)を備える第1の穿孔ユニット(10)と、
上記被穿孔物の取り出し側に配設され、ロール体(25,25A)の軸方向の中央部に中央穿孔刃(26,26A)を有する一対の穿孔ロール刃(22,23)を備える第2の穿孔ユニット(20)とを2列に配設した、
ことを特徴とする穿孔装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シート状の被穿孔物に穿孔処理を施す穿孔ロール刃を備える穿孔装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、プラスチック製の容器本体と蓋体とを有する開閉容器を固定する易開封テープ、例えばフードパック固定用易開封テープは粘着性を有しており、フードパック用容器に対して自動貼付機を使用した際、切断等の不具合なく貼付できる貼付機器適性やテープ強度が十分で、巻き戻し力に耐えることができるディスペンサー適性を備え、また、トラック輸送時に千切れることがない輸送適性を備え、商品陳列時、低温・高温環境下やレンジ使用等に耐え、フードパック(容器)を開ける直前まで切断や剥がれない引張強度(固定性)を備える必要がある。
また、フードパック固定用易開封テープにおいては、上記貼付機器適性、ディスペンサー適性、輸送適性と固定性が充分に担保された上で、テープのどこからも手で切れる手切れ性(易開封性)を備えている必要がある。
【0003】
従来、フードパック固定用易開封テープ等の粘着性を有するシート状の被穿孔物に易開封性を施す手段の一つとして、表面に刃加工が施された2本の上下穿孔ロール刃でシート状の被穿孔物を挟み、上下穿孔ロール刃の交点を被穿孔物に当接させた状態で、上下穿孔ロール刃を連動して回転させることで、被穿孔物に孔を形成して被穿孔物に手切れ性を付与する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載の技術は、
図10Aに示すように、周方向に沿う第1線状切刃160を有する第1の穿孔ロール刃と、軸方向に沿う第2線状切刃160Aを有する第2の穿孔ロール刃を対向させて、上記シート状の被穿孔物を挟み、通過させることで、上記第1の穿孔ロール刃の第1線状切刃160と第2の穿孔ロール刃の第2線状切刃160Aの交点が順次当接し、被穿孔物に対して連続して穿孔を施す技術である。
なお、
図10Aにおいては、第2線状切刃160Aは二点鎖線のように見えないが、刃先の状態をイメージしやすいように垂直軸線Cを中心に水平方向に90°回転して示している。
【0005】
特許文献1に記載の技術を用いて手切れ性を有する被穿孔物を多量に生産するには、第1の穿孔ロール刃と第2の穿孔ロール刃のロール幅を広げると共に、線状切刃を増やして対応することができる。すなわち、被穿孔物を第1の穿孔ロール刃と第2の穿孔ロール刃によって穿孔処理を施した後、被穿孔物を全幅に渡って所定の幅、例えば15mm、18mm等に切断してテープ状の製品を多量に生産することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、穿孔ロール刃の線状切刃は刃先が完全に尖った刃先幅がゼロであるため、
図10Bに示すように、線状切刃の加工時に刃先が欠け、上下穿孔ロール体の軸方向の端部同士が当接するベアラー部170,170Aを基準とする刃先高さが足りなくなるなどして切削位置のわずかなずれで刃先が低くなり、手切れ性が発現できない部分180が残る。また、
図10Cに示すように、穿孔処理時のわずかな摩耗によって簡単に刃先幅と刃先高さが変化して、手切れ性が発現できなくなる。
【0008】
したがって、ロール幅が例えば600mmを超えるような幅広タイプの場合、手切れ性に影響を及ぼす幅方向の破断点荷重がばらつき、手切れ性が発現できない製品が多くなる懸念がある。この現象は、特に周方向に沿う切刃を有する穿孔ロール刃に現れる。
また、幅方向の破断点荷重のばらつきは、穿孔ロール刃の軸方向の端部側、特に駆動源に接続する端部と反対側の端部に多く現れる。この現象は、穿孔ロール刃のロール軸の撓みが起因していると推測される。
【0009】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、幅方向で刃先幅と刃先高さを一定の範囲に制御して、穿孔が施された被穿孔物が不用意に切断や剥がれない等の所定の強度を担保しつつ手切れ性を発現でき、穿孔処理の安定化を図れるようにした穿孔ロール刃を備える穿孔装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、この発明に係る穿孔装置は、粘着性を有するシート状の被穿孔物を挟み、通過させて上記被穿孔物に穿孔を施す、連動して回転する一対のロール体の表面に形成される穿孔刃を有する穿孔ロール刃を備える穿孔装置であって、一方の上記穿孔刃は、上記ロール体の周面の軸方向に沿って周方向に複数設けられ、他方の上記穿孔刃は、上記ロール体の周面の周方向に沿って軸方向に複数設けられ、上記一方及び他方の穿孔刃の刃先幅が、10μm~100μmに形成され、かつ、上記他方の穿孔刃の刃先高さが、上記一対のロール体の軸方向の端部同士が当接するベアラー部を基準として、-10μm~0μmに形成され、穿孔が施された上記被穿孔物に、該被穿孔物に要求される引張強度を担保しつつ幅方向の手切れ性を可能にした、ことを特徴とする(請求項1)。
この場合、穿孔が施された上記被穿孔物の幅方向での破断点荷重が25~38(N/15mm)になるように形成するのがよい。
【0011】
このように構成することにより、穿孔ロール刃の加工時に刃先が欠けるのを抑制することができると共に、穿孔処理時のわずかな摩耗によって簡単に刃先幅と刃先高さが変化するのを抑制することができる。また、幅方向の破断点荷重を全幅方向で安定化させ、被穿孔物に要求される引張強度を担保しつつ手切れ性を実現することができる。
【0012】
この発明において、上記穿孔刃の刃先ピッチが0.5mm~5.0mmとするのがよい(請求項2)。
刃先ピッチが0.5mmより小さいと穿孔刃の加工が困難であり、5.0mmより大きいと、手切れ性が発現できなくなるからである。
【0013】
また、この発明において、上記穿孔刃の刃先ピッチは任意の間隔であっても差し支えないが、好ましくは、少なくとも周方向に沿って設けられた穿孔刃の刃先ピッチは、上記ロール体の周面の周方向に沿って軸方向に等間隔に設けられている方がよい(請求項3)。
このように構成することにより、被穿孔物の幅方向に均一に穿孔を施すことができる。
【0014】
また、この発明において、上記穿孔ロール刃は、軸方向の長さが少なくとも600mmであるのが好ましい(請求項4)。
このように構成することにより、ロール幅が600mmを超える幅広タイプの場合においても幅方向の全域において被穿孔物に要求される引張強度を担保しつつ手切れ性を実現することができる。
【0015】
また、この発明において、上記被穿孔物の供給側に配設され、ロール体(15,15A)の軸方向の両端部に端部穿孔刃(16,16A)を有する一対の穿孔ロール刃(12,13)を備える第1の穿孔ユニット(10)と、上記被穿孔物の取り出し側に配設され、ロール体(25,25A)の軸方向の中央部に中央穿孔刃(26,26A)を有する一対の穿孔ロール刃(22,23)を備える第2の穿孔ユニット(20)とを2列に配設するのが好ましい(請求項5)。
【0016】
このように構成することにより、両端穿孔ロールによって被穿孔物の左右の端部の領域を穿孔処理し、中央穿孔ロール刃によって残りの中央部の領域を穿孔処理することができる。
【0017】
また、このように構成することにより、両端穿孔ロールによって被穿孔物の左右の端部の領域を穿孔処理した後、中央穿孔ロール刃によって残りの中央部の領域を穿孔処理することができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、上記のように構成されるので、以下のような効果が得られる。
【0019】
(1)請求項1,2に記載の発明によれば、穿孔ロール刃の加工時に刃先が欠けるのを抑制することができると共に、穿孔処理時のわずかな摩耗によって簡単に刃先幅と刃先高さが変化するのを抑制することができるので、ロール幅が幅広タイプの場合においても幅方向の全域において被穿孔物に要求される引張強度を担保しつつ均一な手切れ性を実現することができる。
【0020】
(2)請求項3に記載の発明によれば、上記(1)に加えて、更に少なくとも周方向に沿って設けられる穿孔刃の刃先ピッチを等間隔に設けることで、被穿孔物の幅方向に均一に穿孔を施すことができるので、被穿孔物に要求される均一な手切れ性を更に良好にすることができる。
【0021】
(3)請求項4に記載の発明によれば、上記(1),(2)に加えて、更に幅広の被穿孔物の幅方向の全域において被穿孔物に要求される引張強度を担保しつつ手切れ性を実現することができる。
【0022】
(4)請求項5に記載の発明によれば、両端穿孔ロールによって被穿孔物の左右の端部の領域を穿孔処理し、中央穿孔ロール刃によって残りの中央部の領域を穿孔処理することで、幅広の被穿孔物の穿孔処理にかかる負荷を分担して行うことができるので、上記(1)~(3)の発明に加えて、更に幅広の被穿孔物の幅方向及び送り方向に等間隔に穿孔を施すことができ、穿孔処理を安定した状態で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】この発明に係る穿孔ロール刃による穿孔処理の状態を示す概略斜視図(a)、その要部概略側面図(b)及び穿孔状態を示す拡大平面図(c)である。
【
図2】この発明に係る穿孔装置の第1実施形態の使用状態を示す概略側面図(a)、概略平面図(b)、概略底面図(c)及び穿孔部を示す拡大平面図(d)である。
【
図3】上記第1実施形態の穿孔装置の正面図である。
【
図5】この発明に係る穿孔装置の第2実施形態の使用状態を示す概略側面図(a)、概略平面図(b)及び概略底面図(c)である。
【
図6】上記第2実施形態の穿孔装置の正面図である。
【
図7】上記第2実施形態の穿孔装置の背面図である。
【
図8】この発明における上穿孔刃と下穿孔刃を示す要部拡大側面図である。
【
図9】この発明における下穿孔刃の任意の刃先幅の測定位置を示す概略斜視図(a)及び(a)のI-I線に沿う刃幅測定値の断面図(b)である。
【
図10A】刃先幅0.0μmの上刃と下刃の穿孔状態を示す概略説明図である。
【
図10B】刃先幅0.0μmの下刃の切削加工による刃先の欠損状態を示す概略説明図である。
【
図10C】刃先幅0.0μmの下刃の摩耗状態を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、この発明に係る穿孔ロール刃及び穿孔装置の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。ここでは、粘着性を有するシート状の被穿孔物であるフードパックテープに穿孔を施す穿孔ロール刃及び穿孔装置について説明する。
【0025】
まず、穿孔ロール刃を有する穿孔装置について説明する。
<第1実施形態>
穿孔装置1Aは、
図2に示すように、フードパックテープT(以下にテープTという)を捲回した操出ロール100とテープTを巻き取る巻取ロール200との間に配置されている。
【0026】
この場合、テープTは、例えば2軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP:Oriented Poly Propylene)の基材に粘着剤(天然ゴム系粘着剤)層を形成した粘着性を有するフィルムにて形成されており、穿孔処理後、所定の幅、例えば15mm,18mm等に切断されてフードパックテープ固定用易開封テープに供される。
【0027】
また、テープTは、テープ強度が十分で、巻き戻し力に耐えることができるディスペンサー適性を備え、輸送時にテープが不用意に千切れることがない輸送適性を備え、商品陳列時、低温・高温環境下やレンジ使用等に耐え、フードパック(容器)を開ける直前まで切断や剥がれない引張強度(固定性)等を備える必要がある。
更に、テープTは、上記ディスペンサー適性、輸送適性と固定性が充分に担保された上で、テープTのどこからも手で切れる手切れ性(易開封性)を備えている必要がある。
【0028】
上述したテープTの要求品質を満たすためには、幅方向でテープTの破断点荷重(引張強度)を25~38(N/15mm)にすることが望ましい。
【0029】
なお、操出ロール100から繰り出されたテープTは、第1のガイドローラ400によって案内されて穿孔装置1A内に送り込まれ、穿孔装置1Aによって穿孔処理された後、スリット300によって所定の幅例えば15mm又は18mmに切断された後、第2のガイドローラ500によって案内されて巻取ロール200に巻き取られる。なお、
図2では2つの巻取ロール200が示されているが、切断されたテープTに応じて複数設けてもよい。
【0030】
穿孔装置1Aは、
図2ないし
図4に示すように、設置ベース8上の幅方向に対峙して立設される左右一対の縦フレーム11間に回動可能に架設される下部穿孔ロール刃2と、下部穿孔ロール刃2に対して接離可能にかつ回動可能に架設される上部穿孔ロール刃3とを具備する。
【0031】
下部穿孔ロール刃2は、対峙する両縦フレーム11に固設された下部軸受4にて回動自在に支承される下部ロール体5に下穿孔刃6が設けられている。この場合、下穿孔刃6は、ベアラー部7を残して下部ロール体5の周面の周方向に沿って軸方向に刃先のピッチp(以下に刃先ピッチpという)が等間隔に設けられている。
【0032】
なお、下部ロール体5の両端のベアラー部7の2箇所は、設置ベース8に設けられた二叉状のブラケット30の両腕部31に回動自在に支承された一対の案内ローラ32によって支持されている。
【0033】
また、下部ロール体5の軸方向の一端には、駆動モータ40Aに連結される駆動ギア41Aが装着されている。
【0034】
上部穿孔ロール刃3は、縦フレーム11に対して上下方向に摺動可能に取り付けられた上部軸受4Aにて回動可能に支承される上部ロール体5Aに上穿孔刃6Aが設けられている。この場合、上穿孔刃6Aは、ベアラー部7Aを残して上部ロール体5Aの周面の軸方向に沿って周方向に刃先ピッチが等間隔に設けられている。
【0035】
なお、上部ロール体5Aの軸方向の一端には、上記駆動ギア41Aに噛合する従動ギア42Aが装着されている。
【0036】
縦フレーム11における上部穿孔ロール刃3の上方には、縦フレーム11に対して昇降可能に架設される昇降桁材9が設けられている。この昇降桁材9の両端の2箇所には二叉状のブラケット30の両腕部31に回動自在に支承される一対の押圧ローラ33が設けられている。
【0037】
また、縦フレーム11の上端部にはエアーシリンダ50Aが設置されており、エアーシリンダ50Aのピストン51Aが昇降桁材9に連結されている。エアーシリンダ50Aへのエアーの供給・排出操作によって昇降桁材9が昇降可能に形成され、エアーの供給によって昇降桁材9が下降し昇降桁材9に取り付けられた押圧ローラ33が上部穿孔ロール刃3を押圧して、上穿孔刃6Aと下穿孔刃6を当接する。
【0038】
上穿孔刃6Aと下穿孔刃6が交差状に当接した状態で、駆動モータ40Aにより駆動ギア41Aが回転すると共に、従動ギア42Aが連動して回転することによってテープTの幅方向の全領域に穿孔Taが施される。
【0039】
この場合、下部穿孔ロール刃2、上部穿孔ロール刃3は、共に同径例えば118mmに形成されると共に、同じ軸長さ例えば660mm(穿孔刃幅:630mm)に形成されている。
なお、上記各部の寸法は一例であって必ずしもこれに限定するものではないが、少なくとも600mmであることが望ましい。
【0040】
また、下穿孔刃6、上穿孔刃6Aの刃先ピッチpは等間隔の同ピッチ例えば1mmピッチに形成されている。このように、下穿孔刃6、上穿孔刃6Aの刃先ピッチpを同ピッチにすることにより、テープTの幅方向及び送り方向に等間隔に穿孔Taが施される(
図1(c)参照)。なお、少なくとも下穿孔刃6の刃先ピッチpをテープTの幅方向すなわち下部穿孔ロール刃2の軸方向に等間隔に形成してもよい。
【0041】
なお、刃先ピッチpは必ずしも1mmである必要はなく、必要に応じて0.5mm~5.0mmの範囲内で任意に設定してもよい。刃先ピッチpを0.5mm以上とした理由は、刃先ピッチpが0.5mmより小さいと穿孔刃の加工が困難であり、5.0mmより大きいと、手切れ性を発現できなくなるからである。
【0042】
なお、上記第1実施形態において、下部穿孔ロール刃2と上部穿孔ロール刃3の配置を逆にしてもよい。すなわち、軸方向に沿う上穿孔刃6Aを有する上部穿孔ロール刃3を下方側に回動可能に配設し、周方向に沿う下穿孔刃6を有する下部穿孔ロール刃2を上方側に回動及び摺動可能に配設して、上述のようにエアーシリンダ50Aによって昇降可能な構造としてもよい。
【0043】
上記のように構成される穿孔装置1Aによれば、操出ロール100から繰り出された幅約630mmの幅広のテープTを、下部穿孔ロール刃2と上部穿孔ロール刃3によって全領域を穿孔処理することができる。
【0044】
<第2実施形態>
第2実施形態の穿孔装置1Bは、
図5に示すように、テープTを捲回した操出ロール100側に位置する第1の穿孔ユニット10とテープTを巻き取る巻取ロール200側に位置する第2の穿孔ユニット20とを具備する。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同一部分には同一符号を付して説明する。
【0045】
なお、操出ロール100から繰り出されたテープTは、第1のガイドローラ400によって案内されて穿孔装置1B内に送り込まれ、穿孔装置1Bの第1の穿孔ユニット10と第2の穿孔ユニット20によって穿孔処理された後、スリット300によって所定の幅例えば15mm又は18mmに切断された後、第2のガイドローラ500によって案内されて巻取ロール200に巻き取られる。
【0046】
第1の穿孔ユニット10は、
図5ないし
図7に示すように、設置ベース8上の幅方向に対峙して立設される左右一対の縦フレーム11間に回動可能に架設される第1の下部穿孔ロール刃12と、第1の下部穿孔ロール刃12に対して接離可能にかつ回動可能に架設される第1の上部穿孔ロール刃13とを具備する。
【0047】
第1の下部穿孔ロール刃12は、対峙する両縦フレーム11に固設された下部軸受14にて回動自在に支承される下部ロール体15の両端に端部下穿孔刃16が設けられている。この場合、端部下穿孔刃16は、ベアラー部17を残して軸方向の約1/3の長さを有しており、下部ロール体15の周面の周方向に沿って軸方向に刃先ピッチpが等間隔に設けられている。また、周方向に沿って設けられた両端部下穿孔刃16の間に軸方向の約1/3の長さを有する穿孔刃のない中間軸部18が設けられている。なお、中間軸部18に剥離紙(図示せず)を巻いて、中間軸部18を非粘着化してある。
【0048】
なお、下部ロール体15の両端のベアラー部17の2箇所及び中間軸部18の2箇所は、設置ベース8に設けられた二叉状のブラケット30の両腕部31に回動自在に支承された一対の案内ローラ32によって支持されている。
【0049】
また、下部ロール体15の軸方向の一端には、駆動モータ40Bに連結される駆動ギア41Bが装着されている。
【0050】
第1の上部穿孔ロール刃13は、縦フレーム11に対して上下方向に摺動可能に取り付けられた上部軸受14Aにて回動可能に支承される上部ロール体15Aの両端に端部上穿孔刃16Aが設けられている。この場合、端部上穿孔刃16Aは、ベアラー部17Aを残して軸方向の約1/3の長さを有しており、上部ロール体15Aの周面の軸方向に沿って周方向に刃先ピッチが等間隔に設けられている。また、軸方向に沿って設けられた両端部上穿孔刃16Aの間に軸方向の約1/3の長さを有する穿孔刃のない中間軸部18Aが設けられている。
【0051】
なお、上部ロール体15Aの軸方向の一端には、上記駆動ギア41Bに噛合する従動ギア42Bが装着されている。
【0052】
縦フレーム11における第1の上部穿孔ロール刃13の上方には、縦フレーム11に対して昇降可能に架設される昇降桁材19が設けられている。この昇降桁材19の両端の2箇所及び中央部の2箇所には二叉状のブラケット30の両腕部31に回動自在に支承される一対の押圧ローラ33が設けられている。
【0053】
また、縦フレーム11の上端部にはエアーシリンダ50Bが設置されており、エアーシリンダ50Bのピストン51Bが昇降桁材19に連結されている。エアーシリンダ50Bへのエアーの供給・排出操作によって昇降桁材19が昇降可能に形成され、エアーの供給によって昇降桁材19が下降し昇降桁材19に取り付けられた押圧ローラ33が第1の上部穿孔ロール刃13を押圧して、端部上穿孔刃16Aと端部下穿孔刃16を当接する。
【0054】
端部上穿孔刃16Aと端部下穿孔刃16が交差状に当接した状態で、駆動モータ40Bにより駆動ギア41Bが回転すると共に、従動ギア42Bが連動して回転することによってテープTの幅方向の両側の2/3の領域に穿孔Taが施される。
【0055】
第2の穿孔ユニット20は、
図7に示すように、設置ベース8上の幅方向に対峙して立設される左右一対の縦フレーム21間に回動可能に架設される第2の下部穿孔ロール刃22と、第2の下部穿孔ロール刃22に対して接離可能にかつ回動可能に架設される第2の上部穿孔ロール刃23とを具備する。
【0056】
第2の下部穿孔ロール刃22は、対峙する両縦フレーム21に固設された下部軸受24にて回動自在に支承される下部ロール体25の中間部に中央下穿孔刃26が設けられている。中央下穿孔刃26は、ベアラー部27を残して中間部に軸方向の約1/3の長さを有しており、下部ロール体25の周面の周方向に沿って軸方向に刃先ピッチpが等間隔に設けられている。また、周方向に沿って設けられた中央下穿孔刃26と両端のベアラー部27との間には、軸方向の約1/3の長さを有する穿孔刃のない側方軸部28が設けられている。なお、側方軸部28に剥離紙(図示せず)を巻いて、側方軸部28を非粘着化してある。
【0057】
なお、下部ロール体25の両端のベアラー部27の2箇所及び左右の側方軸部28の中央下穿孔刃26側の1箇所は、第1の穿孔ユニット10と同様に、設置ベース8に設けられた二叉状のブラケット30の両腕部31に回動自在に支承された一対の案内ローラ32によって支持されている。
【0058】
また、下部ロール体25の軸方向の一端には、駆動モータ40Bと同期する駆動モータ40Cに連結される駆動ギア41Cが装着されている。
なお、この場合、駆動モータ40Cを設けずに、下部ロール体25と駆動モータ40Bの駆動軸とをタイミングベルト(図示せず)によって連動するようにしてもよい。
【0059】
第2の上部穿孔ロール刃23は、縦フレーム21に対して上下方向に摺動可能に取り付けられた上部軸受24Aにて回動可能に支承される上部ロール体25Aの中間部に中央上穿孔刃26Aが設けられている。中央上穿孔刃26Aは、ベアラー部27Aを残して中間部に軸方向の約1/3の長さを有しており、上部ロール体25Aの周面の軸方向に沿って周方向に刃先ピッチpが等間隔に設けられている。また、軸方向に沿って設けられた中央上穿孔刃26Aと両端のベアラー部27Aとの間には、軸方向の約1/3の長さを有する穿孔刃のない側方軸部28Aが設けられている。
【0060】
なお、上部ロール体25Aの軸方向の一端には、上記駆動ギア41Cに噛合する従動ギア42Cが装着されている。
【0061】
縦フレーム21における第2の上部穿孔ロール刃23の上方には、縦フレーム21に対して昇降可能に架設される昇降桁材29が設けられている。この昇降桁材29の両端の2箇所及び左右の側方軸部28Aの中央上穿孔刃26A側の1箇所には、第1の穿孔ユニット10と同様に、二叉状のブラケット30の両腕部31に回動自在に支承される一対の押圧ローラ33が設けられている。
【0062】
また、縦フレーム21の上端部にはエアーシリンダ50Cが設置されており、エアーシリンダ50Cのピストン51Cが昇降桁材29に連結されている。エアーシリンダ50Cへのエアーの供給・排出操作によって昇降桁材29が昇降可能に形成され、エアーの供給によって昇降桁材29に取り付けられた押圧ローラ33が第2の上部穿孔ロール刃23を押圧して、中央上穿孔刃26Aと中央下穿孔刃26を当接する。
【0063】
中央上穿孔刃26Aと中央下穿孔刃26が交差状に当接した状態で、駆動モータ40Cにより駆動ギア41Cが回転すると共に、従動ギア42Cが連動して回転することによってテープTの中間部の1/3の領域に穿孔Taが施される。
【0064】
この場合、第1の下部穿孔ロール刃12、第1の上部穿孔ロール刃13、第2の下部穿孔ロール刃22及び第2の上部穿孔ロール刃23は、共に同径例えば118mmに形成されると共に、同じ軸長さ例えば660mm(穿孔刃幅:630mm)に形成されている。
なお、上記各部の寸法は一例であって必ずしもこれに限定するものではないが、軸長さは少なくとも600mmであることが望ましい。
【0065】
また、端部下穿孔刃16、端部上穿孔刃16A、中央下穿孔刃26及び中央上穿孔刃26Aの刃先ピッチpは等間隔の同ピッチ例えば1mmピッチに形成されている。このように、端部下穿孔刃16、端部上穿孔刃16A、中央下穿孔刃26及び中央上穿孔刃26Aの刃先ピッチpを同ピッチにすることにより、テープTの幅方向及び送り方向に等間隔に穿孔Taが施される(
図2(d)参照)。なお、少なくとも端部下穿孔刃16と中央下穿孔刃26の刃先ピッチpをテープTの幅方向すなわち第1の下部穿孔ロール刃12と第2の下部穿孔ロール刃22の軸方向に等間隔に形成してもよい。
【0066】
なお、刃先ピッチpは必ずしも1mmである必要はなく、上述した第1実施形態と同様に、必要に応じて0.5mm~5.0mmの範囲内で任意に設定してもよい。
【0067】
上記のように構成される第2実施形態の穿孔装置1Bによれば、操出ロール100から繰り出された幅約630mmの幅広のテープTを、第1の穿孔ユニット10において第1の下部穿孔ロール刃12と第1の上部穿孔ロール刃13によって左右の端部1/3(全体の2/3)の領域を穿孔処理した後、第2の穿孔ユニット20において第2の下部穿孔ロール刃22と第2の上部穿孔ロール刃23によって残りの中央部の1/3の領域を穿孔処理することができる。
【0068】
したがって、幅広のテープTの穿孔処理にかかる負荷を第1の穿孔ユニット10と第2の穿孔ユニット20によって分担して行うことができると共に、幅広のテープTの幅方向及び送り方向に等間隔に穿孔Taを施すことができ、穿孔処理を安定した状態で行うことができる。
【0069】
次に、上記下穿孔刃6、上穿孔刃6A、端部下穿孔刃16、端部上穿孔刃16A、中央下穿孔刃26及び中央上穿孔刃26Aについて、下穿孔刃6(以下に下刃6という)、上穿孔刃6A(以下に上刃6Aという)を代表して、
図1及び
図8を参照して説明する。なお、
図8においては、上刃6Aは二点鎖線のように見えないが、刃先の状態をイメージしやすいように垂直軸線Cを中心に水平方向に90°回転して示している。
【0070】
下刃6と上刃6Aは共に刃先幅bは、10μm~100μmに形成されており、刃先高さhが、下部ロール体5と上部ロール体5Aの軸方向の端部同士が当接するベアラー部7,7Aを基準として、-10μm~0μmに形成されている。
【0071】
このように、下刃6と上刃6Aの刃先幅bを、10μm~100μmに形成することにより、下刃6と上刃6Aの加工時に刃先が欠けるのを抑制することができると共に、穿孔処理時のわずかな摩耗によって簡単に刃先幅と刃先高さが変化するのを抑制することができる。
【0072】
また、下刃6と上刃6Aの刃先幅bを、10μm~100μmに形成すると共に、刃先高さhを、下部ロール体5と上部ロール体5Aの軸方向の端部同士が当接するベアラー部7,7Aを基準として、-10μm~0μmに形成することにより、テープTが不用意に切断や剥がれない等の所定の強度を担保しつつ手切れ性を発現できる幅方向の破断点荷重を全幅方向で安定化させ、穿孔処理の安定化を図ることができる。
【0073】
なお、上記第2実施形態では、端部下穿孔刃16、端部上穿孔刃16A及び中間軸部18,18Aと、中央下穿孔刃26、中央上穿孔刃26A及び側方軸部28,28Aをそれぞれ軸方向の約1/3に形成した場合について説明したが、必ずしもこのような比率である必要はない。少なくとも、端部下穿孔刃16、端部上穿孔刃16Aと側方軸部28,28Aの軸方向の長さを同寸法に形成し、中間軸部18,18Aと中央下穿孔刃26、中央上穿孔刃26Aを軸方向の残りの寸法に形成してもよい。
【0074】
なお、上記第2実施形態において、第1,2の下部穿孔ロール刃12,22と第1,2の上部穿孔ロール刃13,23の配置を逆にしてもよい。すなわち、第1の穿孔ユニット10において、軸方向に沿う端部上穿孔刃16Aを有する第1の上部穿孔ロール刃13を下方側に回動可能に配設し、周方向に沿う端部下穿孔刃16を有する第1の下部穿孔ロール刃12を上方側に回動及び摺動可能に配設して、上述のようにエアーシリンダ50Bによって昇降可能な構造としてもよい。
また、第2の穿孔ユニット20においても同様に、軸方向に沿う中央上穿孔刃26Aを有する第2の上部穿孔ロール刃23を下方側に回動可能に配設し、周方向に沿う中央下穿孔刃26を有する第2の下部穿孔ロール刃22を上方側に回動及び摺動可能に配設し、上述のようにエアーシリンダ50Cによって昇降可能な構造としてもよい。
【0075】
上記のように構成された実施形態の穿孔装置1A,1Bによって穿孔処理されたテープTは、次工程のスリット300によって所定の幅例えば15mm(又は18mm)に切断されて、巻取ロール200に巻き取られる。したがって、テープTの幅が第1,第2の下部穿孔ロール刃12,22及び第1,第2の上部穿孔ロール刃13,23の穿孔刃幅の630mm以上の場合、切断幅が15mm(又は18mm)では42本(又は35本)のフードパック固定用易開封テープを量産することができる。
【実施例0076】
以下に、上記穿孔装置を用いた穿孔試験と試験結果について説明する。
【0077】
[試験条件]
<被穿孔物(テープ)>
・基材:OPP/ゴム系 基材厚:40μm
・粘着剤:天然ゴム系粘着剤 粘着剤厚:12μm
総厚:54±3μm
<穿孔サンプル(穿孔ロール刃)>
・直径:118mm、軸長さ:660mm(穿孔刃幅:630mm)
・軸方向(幅方向)を三等分し、両端上下刃と中央上下刃と定義。
・刃先幅の測定値:0°の位置、120°の位置、240°の位置(
図9参照)
<刃先幅測定方法>
・顕微鏡にて、穿孔ロール刃の左端上下刃の3点、中央上下刃の3点、右端上下刃の3点の刃先幅を測定、3点の平均値を穿孔ロール刃の刃先幅とした。
<刃先高さ測定>
・輪郭形状測定器 SURFCOM NEX 40-SD-14{(株)東京精密製}を用いて、ベアラー部と穿孔刃の高さの差を測定した。
<引張試験機>
・JIS B7721に準拠する引張試験機を用い、15mm幅、長さ100mmの試験片を作製し、テープ両端部を引張試験機に挟み、速度300mm/分で引っ張り、試験片が切断したときの荷重を破断点荷重とした。
【0078】
[評価]
・手切れ性
テープ流れ方向に上下刃1周分を約15mm間隔で、10名の被験者(A~J)によって手で切る官能試験を行った。
○:すべての箇所にて問題なく切断できる。
×:手でテープを切ることができない箇所がある。
・ディスペンサー適性
市販のテープディスペンサーを用いて10名の被験者(A~J)及び自動貼付機(品番:CS-800、(株)小坂研究所製)にて、テープの切断等なく、問題なく使用できるか確認した。
○:テープの強度が十分で、巻き戻し力に耐えることができる。
×:テープの強度が低く、巻き戻し力に耐えることができない。
・輸送適性
長方形の弁当容器とフタを固定するため、各辺中央に各実施例で作製したテープを貼付した。その後、弁当容器のフタだけを持ち、手動で約10cmのストロークを25~30秒間で100往復上下に振とうさせ、テープの剥がれや亀裂、切断の有無を確認した。
○:テープの剥がれや亀裂、切断がない。
×:テープの剥がれや亀裂、切断がある。
【0079】
<実施例1>
上刃と下刃の刃先幅を10μm、上刃のベアラー部と上刃の刃先先端部との差を0.0μm、下刃のベアラー部と下刃の刃先先端部との差を0.0μmとした状態で、上刃と下刃のベアラー部を加圧接触させて穿孔処理を行った粘着テープを引張試験したところ、初期破断点荷重(標準偏差SD)が33.0(1.5)(N/15mm)であった。また、100,000mのロングラン穿孔処理を行った後、その粘着テープを引張試験したところ、ロングラン穿孔後破断点荷重(標準偏差SD)が30.1(1.5)(N/15mm)であった。
実施例1では、手切れ性について表1に示すような結果が得られ、ディスペンサー適性(市販ディスペンサー、自動貼付機)について表2に示すような結果が得られ、また、輸送適性において表3に示すように充分満足できる結果が得られた。
【0080】
<実施例2>
上刃と下刃の刃先幅を29μmとした以外は、実施例1と同様に処理した粘着テープを引張試験したところ、初期破断点荷重(標準偏差SD)が30.8(1.3)(N/15mm)であった。また、100,000mのロングラン穿孔処理を行った後、その粘着テープを引張試験したところ、ロングラン穿孔後破断点荷重(標準偏差SD)が32.3(0.8)(N/15mm)であった。
実施例2では、手切れ性について表1に示すような結果が得られ、ディスペンサー適性(市販ディスペンサー、自動貼付機)について表2に示すような結果が得られ、また、輸送適性において表3に示すように充分満足できる結果が得られた。
【0081】
<実施例3>
上刃と下刃の刃先幅を57μmとした以外は、実施例1と同様に処理した粘着テープを引張試験したところ、初期破断点荷重(標準偏差SD)が30.8(1.1)(N/15mm)であった。また、100,000mのロングラン穿孔処理を行った後、引張試験したところ、ロングラン穿孔後破断点荷重(標準偏差SD)が31.5(0.4)(N/15mm)であった。
実施例3では、手切れ性について表1に示すような結果が得られ、ディスペンサー適性(市販ディスペンサー、自動貼付機)について表2に示すような結果が得られ、また、輸送適性において表3に示すように充分満足できる結果が得られた。
【0082】
<実施例4>
上刃と下刃の刃先幅を100μmとした以外は、実施例1と同様に処理した粘着テープを引張試験したところ、初期破断点荷重(標準偏差SD)が27.1(0.5)(N/15mm)であった。なお、上刃と下刃の刃先幅が100μmであって、摩耗による刃先幅の変化は少ないと考えられるため、100,000mのロングラン穿孔処理は行わなかった。
実施例4では、手切れ性について表1に示すような結果が得られ、ディスペンサー適性(市販ディスペンサー、自動貼付機)について表2に示すような結果が得られ、また、輸送適性において表3に示すように充分満足できる結果が得られた。
【0083】
<実施例5>
上刃と下刃の刃先幅を32μm、上刃のベアラー部と上刃の刃先先端部との差を0.0μm、下刃のベアラー部と下刃の刃先先端部との差を-10.0μmとした状態で、実施例1と同様に処理した粘着テープを引張試験したところ、初期破断点荷重(標準偏差SD)が28.1(1.1)(N/15mm)であった。また、100,000mのロングラン穿孔処理を行った後、引張試験したところ、ロングラン穿孔後破断点荷重(標準偏差SD)が30.9(1.5)(N/15mm)であった。
実施例5では、手切れ性について表1に示すような結果が得られ、ディスペンサー適性(市販ディスペンサー、自動貼付機)について表2に示すような結果が得られ、また、輸送適性において表3に示すように充分満足できる結果が得られた。
【0084】
<比較例1>
上刃と下刃の刃先幅を5μmとした以外は、実施例1と同様に処理した粘着テープを引張試験したところ、初期破断点荷重(標準偏差SD)が46.3(2.1)(N/15mm)であった。また、100,000mのロングラン穿孔処理を行った後、引張試験したところ、ロングラン穿孔後破断点荷重(標準偏差SD)が35.4(4.2)(N/15mm)であった。
比較例1では、手切れ性については表1に示すような結果が得られ、ディスペンサー適性(市販ディスペンサー、自動貼付機)について表2に示すような結果が得られ、表3に示すように、ディスペンサー適性及び輸送適性は得られたが、手切れ性は発現できなかった。
【0085】
<比較例2>
上刃と下刃の刃先幅を120μmとした以外は、実施例1と同様に処理した粘着テープを引張試験したところ、初期破断点荷重(標準偏差SD)が22.2(0.9)(N/15mm)であった。なお、上刃と下刃の刃先幅が120μmであって、摩耗による刃先幅の変化は少ないため、100,000mのロングラン穿孔処理は行わなかった。
比較例2では、表1に示すように手切れ性は発現できたが、ディスペンサー適性(市販ディスペンサー、自動貼付機)については表2に示す結果が得られ、表3に示すように輸送適性においては充分満足できる結果は得られなかった。
【0086】
<比較例3>
上刃と下刃の刃先幅を13μm、上刃のベアラー部と上刃の刃先先端部との差を0.0μmとし、下刃のベアラー部と下刃の刃先先端部との差を-13.5μmとした状態で、実施例1と同様に処理した粘着テープを引張試験したところ、初期破断点荷重(標準偏差SD)が45.0(5.6)(N/15mm)であった。なお、所望の手切れ性が得られなかったため、100,000mのロングラン穿孔処理は行わなかった。
比較例3では、手切れ性については表1に示す結果が得られ、ディスペンサー適性(市販ディスペンサー、自動貼付機)については表2に示す結果が得られ、表3に示すように、ディスペンサー適性及び輸送適性はあるが、手切れ性は発現できなかった。
【0087】
<比較例4>
上刃と下刃の刃先幅を41μm、上刃のベアラー部と上刃の刃先先端部との差を0.0μmとし下刃のベアラー部と下刃の刃先先端部との差を-13.5μmとした状態で、実施例1と同様に処理した粘着テープを引張試験したところ、初期破断点荷重(標準偏差SD)が41.5(6.1)(N/15mm)であった。なお、所望の手切れ性が得られなかったため、100,000mのロングラン穿孔処理は行わなかった。
比較例4では、手切れ性については表1に示す結果が得られ、ディスペンサー適性(市販ディスペンサー、自動貼付機)については表2に示す結果が得られ、表3に示すように、ディスペンサー適性及び輸送適性はあるが、手切れ性は発現できなかった。
【0088】
【0089】
【0090】
【0091】
上記試験の結果、上刃と下刃の刃先幅が、10μm~100μmに形成され、かつ、刃先の先端部が、ベアラー部を基準として、-10μm~0μmに形成された実施例1~5においては、テープの要求品質であるディスペンサー適性、輸送適性を担保しつつ手切れ性が発現できることが判った。
【0092】
実施例1~5において、破断点荷重の最小値と最大値に着目すると、破断点荷重の最小値は、実施例4の27.1(標準偏差:0.5)(N/15mm)である。この値(データ)が正規分布に従うとして、標準偏差(以下σとする)が±3σであると、全体の約99.7%が入る。したがって、破断点荷重の最小値は、27.1-0.5×3=25.6≒25(N/15mm)となる。
また、破断点荷重の最大値は、実施例1の33.0(σ:1.5)である。上述したように、標準偏差(σ)が±3σであると、全体の約99.7%が入る。したがって、破断点荷重の最大値は、33+1.5×3=37.5≒38(N/15mm)となる。
【0093】
上記より、穿孔が施されたテープの幅方向での破断点荷重が25~38(N/15mm)の範囲が、テープの要求品質であるディスペンサー適性、輸送適性を担保しつつ手切れ性が発現できる。