(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019575
(43)【公開日】2024-02-09
(54)【発明の名称】文書処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 40/186 20200101AFI20240201BHJP
G06Q 30/0601 20230101ALI20240201BHJP
G06F 40/197 20200101ALI20240201BHJP
G06F 16/383 20190101ALI20240201BHJP
【FI】
G06F40/186
G06Q30/0601
G06F40/197
G06F16/383
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023212352
(22)【出願日】2023-12-15
(62)【分割の表示】P 2021519247の分割
【原出願日】2019-10-23
(31)【優先権主張番号】P 2019091069
(32)【優先日】2019-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】717005132
【氏名又は名称】株式会社LegalOn Technologies
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川戸 崇志
(72)【発明者】
【氏名】舟木 類佳
(57)【要約】
【課題】契約書の一連の改変に対応する文書処理プログラムを提供する。
【解決手段】情報処理装置1は、入力契約書112から修正履歴に基づいて複数のバージョンの契約書に分離するバージョン分離手段101と、入力契約書112の複数のバージョンの契約書から、ひな型である契約書を特定し、当該ひな型と同一又は類似の契約書をバージョンに含む他の契約書を契約書データベース111から検索するひな型検索手段102と、当該ひな型である契約書と同一又は類似の契約書をバージョンに含む契約書から入力契約書112に内容が類似する類似契約書を抽出する類似契約書抽出手段103と、類似契約書に基づいて入力契約書112の修正候補を提示する修正候補提示手段105を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
入力契約書から修正履歴に基づいて複数のバージョンの契約書に分離する分離手段と、
前記入力契約書の前記複数のバージョンの契約書から、ひな型である契約書を特定し、当該ひな型と同一又は類似の契約書を一のバージョンとして含む他の契約書を契約書のデータベースから検索する検索手段と、
当該ひな型である契約書と同一又は類似の契約書を一のバージョンとして含む契約書から前記入力契約書に内容が類似する契約書を類似契約書として抽出する抽出手段と、
前記類似契約書の内容に基づいて前記入力契約書の修正候補を提示する提示手段として機能させるための文書処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、契約書が改変された場合に改変された契約条件のリスクや対応策を提示する情報処理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示された情報処理装置は、雛形契約書データを条文毎に分割した雛形契約書分割データと、改変契約書データを条文毎に分割した改変契約書分割データとを生成し、雛形契約書分割データ及び改変契約書分割データに基づいて、両契約書の各条文の対応関係及び対応関係にある条文同士の差異部分を示す対照データを生成して、対照データに基づいて、雛形契約書の条文毎に規定された審査項目データのなかから差異部分に係る審査項目データを抽出し、対照データと抽出された審査項目データと出力することで、改変された契約条件のリスクや対応策を提示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した特許文献1の情報処理装置は、契約書が改変された場合に改変された契約条件のリスクや対応策を提示するものの、改変として抽出するのは雛形契約書との差異であるし、審査項目データはリスク事項として予め登録されたものである。一般的に契約書の改変は、契約相手とのやり取りで行われていくものであり、注意すべきは雛形との差分ではなく契約相手の改変に対してどのような差異をもって改変すべきかであるし、一連の改変の内容に合わせて注意すべき項目の内容も変わるのであるから注意事項はケースバイケースとなる場合が多い。つまり、上記した特許文献1の情報処理装置は、雛形との差異と、当該差異に対する審査項目を提示するものの、契約相手の改変に対応して次に提示すべき内容を提示したり、当該一連の改変に対応した注意事項を提示したりするものではなく、必ずしも直前の改変に適した提案をすることができるとはいえない。
また、契約相手により編集された契約書を受け取った際に自己の契約書のいずれに対応したものか探す工程が増加するという問題がある。これは特に、契約書の内容やタイトル(ファイル名等)が改変されると契約書の内容の突き合わせ等を必要とし、手順が増加する。
【0006】
本発明の目的は、契約書の一連の改変に対応する文書処理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、上記目的を達成するため、以下の文書処理プログラムを提供する。
【0008】
[1]コンピュータを、
入力契約書から修正履歴に基づいて複数のバージョンの契約書に分離する分離手段と、
前記入力契約書の前記複数のバージョンの契約書から、ひな型である契約書を特定し、当該ひな型と同一又は類似の契約書を一のバージョンとして含む他の契約書を契約書のデータベースから検索する検索手段と、
当該ひな型である契約書と同一又は類似の契約書を一のバージョンとして含む契約書から前記入力契約書に内容が類似する契約書を類似契約書として抽出する抽出手段と、
前記類似契約書の内容に基づいて前記入力契約書の修正候補を提示する提示手段として機能させるための文書処理プログラム。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、契約書の一連の改変に適した修正候補を提案することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1の実施の形態に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、基本契約動作を説明するための概略図である。
【
図3A】
図3Aは、文書処理プログラムの契約書抽出動作を説明するための概略図である。
【
図3B】
図3Bは、文書処理プログラムの契約書抽出動作を説明するための概略図である。
【
図3C】
図3Cは、文書処理プログラムの契約書抽出動作を説明するための概略図である。
【
図4】
図4は、文書処理プログラムの契約書抽出動作を説明するための概略図である。
【
図5】
図5は、文書処理プログラムの契約書提示動作を説明するための概略図である。
【
図6】
図6は、文書処理プログラムの動作例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、第2の実施の形態に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
【
図8A】
図8Aは、文書処理プログラムの契約書抽出動作を説明するための概略図である。
【
図8B】
図8Bは、文書処理プログラムの契約書抽出動作を説明するための概略図である。
【
図8C】
図8Cは、文書処理プログラムの契約書抽出動作を説明するための概略図である。
【
図9】
図9は、文書処理プログラムの契約書提示動作を説明するための概略図である。
【
図10】
図10は、文書処理プログラムの動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施の形態]
(情報処理装置の構成)
図1は、第1の実施の形態に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
【0012】
情報処理装置1は、CPU(CentralProcessingUnit)等から構成され、各部を制御するとともに、各種のプログラムを実行する制御部10と、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の記憶媒体から構成され情報を記憶する記憶部11と、ネットワークを介して外部と通信する通信部12とを備える。
【0013】
制御部10は、後述する文書処理プログラムとしての契約書管理プログラム110を実行することで、契約書受付手段100、バージョン分離手段101、ひな型検索手段102、類似契約書抽出手段103、条文分割手段104及び修正候補提示手段105等として機能する。
【0014】
契約書受付手段100は、現バージョンの契約書の入力を受け付けて入力契約書112として記憶部11に格納する。
【0015】
バージョン分離手段101は、入力契約書112の修正履歴から過去のバージョンの契約書を分離する。また、バージョン分離手段101は、契約書データベース111の契約書の修正履歴から過去のバージョン(版)の契約書を分離する。なお、契約書データベース111は、予めバージョンを分離して用意しておいてもよい。また、「修正履歴」については後述する(
図2の説明を参照。)。
【0016】
ひな型検索手段102は、バージョン分離手段101が分離した入力契約書112の過去のバージョンの契約書からひな型である契約書を抽出し、同一又は類似のひな型を用いた契約書データベース111の契約書を検索する。なお、ここで「ひな型」とは、契約書の種類に応じて予め単数又は複数の条文が入力された契約書の手本であり、その様式及び/又は書式が指定されたものである。また、「ひな型」は、予めひな型として用意された契約書に限らず、使用された頻度が多くなった結果、ひな型のように扱われた契約書であってもよい。
【0017】
類似契約書抽出手段103は、ひな型検索手段102が検索した同一又は類似のひな型を用いた契約書データベース111の契約書のバージョンから、入力契約書112のバージョンに内容が類似したものを類似契約書として抽出する。また、内容の類似度は、共通する条文、文章、文節、用語等が多いものであってもよいし、特徴量を抽出して当該特徴量が類似するものであってもよい。
【0018】
条文分割手段104は、入力契約書112及び契約書データベース111の契約書を条文単位に分割する。なお、契約書データベース111の契約書は、予め条文単位分割して用意しておいてもよい。
【0019】
修正候補提示手段105は、類似契約書抽出手段103が抽出した類似契約書に基づいて入力契約書112の修正候補を提示する。具体的な修正候補の提示方法は後述する。
【0020】
記憶部11は、制御部10を上述した各手段100-105として動作させる契約書管理プログラム110、契約書データベース111及び入力契約書112等を記憶する。
【0021】
(情報処理装置の動作)
次に、第1の実施の形態の作用を、(1)基本契約動作、(2)契約書抽出動作、(3)契約書提示動作に分けて説明する。
【0022】
(1)基本契約動作
図2は、基本契約動作を説明するための概略図である。
【0023】
一般的に、自社と契約相手が契約を締結するまでには、自社又は契約相手の一方側でひな型111aを編集して初版の契約書112a1を作成した後、自社又は契約相手の他方側での契約書の内容確認及び修正が複数回繰り返されて第2版以降の契約書112a2、112a3…が作成された後、最終版の契約書112anが作成される。新たな版が作成されることを改変という場合がある。また、以降において当該編集及び修正により追加、削除された内容と追加、削除した時系列の組み合わせを「修正履歴」といい、契約書の文書情報に付随する情報である。また、「修正履歴」は、さらに追加、削除された内容に対応したコメント及び/若しくは編集又は修正した利用者の識別子を含むことが好ましい。なお、版の区切りは編集又は修正した利用者が変わったタイミングであってもよいし、時間的なまとまり毎に設けてもよく、様々な変形例が考えられる。
【0024】
(2)契約書抽出動作
図6は、文書処理プログラムの動作例を示すフローチャートである。また、
図3A~
図3C及び
図4は、文書処理プログラムの契約書抽出動作を説明するための概略図である。なお、
図2で説明した自社側の利用者と契約相手側の利用者は適宜入れ替え可能であるが、説明を簡単にするため以降は自社側の利用者が契約相手側から編集済みの契約書を受け取り、内容を確認し、契約相手側の利用者に送るために契約書を修正する際の動作について説明する。
【0025】
まず、自社側の利用者は、契約相手側の利用者から契約書を受け取ると情報処理装置1と通信部12を介して接続された図示しない端末に入力する。
【0026】
情報処理装置1の契約書受付手段100は、
図3Aに示すように、契約書の入力を受け付けて(S1)、入力契約書112b
iとして記憶部11に格納する。なお、入力契約書112b
iは、第i版目の契約書であるとする。
【0027】
次に、情報処理装置1のバージョン分離手段101は、
図3Bに示すように、入力契約書112b
iに付随する情報である修正履歴からひな型である契約書111bを含む過去のバージョンの契約書112b
1…112b
iを生成して分離する(S2)。
【0028】
また、バージョン分離手段101は、
図3Cに示すように、同時に又は異なるタイミングで、契約書データベース111の契約書112lの修正履歴から過去のバージョンの契約書111b、112l
1…112l
jを、契約書112mの修正履歴から過去のバージョンの契約書111c、112m
1…112m
jを、契約書112nの修正履歴から過去のバージョンの契約書111b、112n
1…112n
jを分離する。なお、契約書112l、112m、112nのバージョンがすべて第j版となっているがそれぞれ異なっていてもよい。
【0029】
次に、ひな型検索手段102は、バージョン分離手段101が分離した入力契約書112b
iの過去のバージョンの契約書からひな型である契約書111bを抽出し(S3)、共通のひな型を用いた契約書データベース111の契約書を検索する(S4)。
図3Cに示した例では、契約書112l、112nのひな型が111bで共通する。なお、ひな型検索手段102は、完全に同一のひな型のみならず、一定の範囲で類似するひな型を用いたものも共通するひな型として検索するものとする。また、ひな型である契約書は、必ずしも初版でなくともよく、異なる契約書間で類似するものが存在する場合、互いにひな型として扱ってもよい。
【0030】
次に、類似契約書抽出手段103は、ひな型検索手段102が検索した同一又は類似のひな型を用いた契約書データベース111の契約書112l、112nの複数のバージョンの契約書112l1…112lj、112n1…112njから、入力契約書112biの現バージョンである第i版に類似度の近いバージョンの契約書、ここでは第i版の契約書112li、112niを類似契約書として抽出する(S5)。なお、同一の版を類似契約書として抽出するというわけではなく、契約書の内容として類似する版を類似契約書として抽出する。なお、次のステップで契約書を条文単位に分割するが、先に条文単位で分割して、条文単位で類似する内容の条文を含む版をそれぞれ類似契約書として抽出してもよい。
【0031】
次に、条文分割手段104は、入力契約書112bi及び契約書112li及び112niを条文単位に分割する(S6)。なお、契約書データベース111の契約書は、予め条文単位に分割して用意しておいてもよい。
【0032】
この時点で、
図4に示すように、入力契約書112b
iの第x条の条文1120bx
iと類似する条文は、類似契約書112l
iの第x条の条文1120lx
i及び類似契約書112l
iの第x条の条文1120lx
iとなる。なお、いずれの契約書も第x条としているが、内容が対応したものであることが本質であり条文番号が異なっていてもよい。
【0033】
(3)契約書提示動作
次に、修正候補提示手段105は、類似契約書抽出手段103が抽出した類似契約書112l
i及び112n
iの内容を用いて入力契約書112b
iの修正候補を提示するが、
図4に示すように、入力契約書112b
iの修正候補として提示すべきであるのは次のバージョンである第i+1版、自社側の契約書として記載するべき内容であるため、第i+1版である類似契約書112l
i+1及び112n
i+1の第x条である1120lx
i+1及び1120nx
i+1を提案用条文とする。
【0034】
次に、修正候補提示手段105は、上記一連の動作により選択された提案用条文を修正候補及び対応するコメントとともに提示する(S7)。
【0035】
図5は、文書処理プログラムの契約書提示動作を説明するための概略図である。
【0036】
入力契約書112b
iの条文1120b1
i、1120b2
i…1120bx
i…のそれぞれに対し提案用条文、修正候補及び対応するコメントが表示されるが、
図5に示すように、例えば、第x条の条文1120bx
iには、提案用条文1120lx
i+1(下線部分が修正部分)及びコメント1121lx
1、1121lx
2、提案用条文1120nx
i+1(下線部分が修正部分)及びコメント1121nx
1、1121nx
2、提案用条文1120px
i+1(下線部分が修正部分)及びコメント1121px
1、1121px
2、並びに提案用条文1120qx
i+1(下線部分が修正部分)及びコメント1121qx
1、1121qx
2が表示される。
【0037】
上記した動作により表示された表示内容は、端末の表示部に表示される。自社側の利用者は端末の表示部の表示内容を確認し、コメントを参照しつつ、所望の修正候補を選択して変更後の条文とする又は修正候補を参考にしつつ自ら条文の内容を編集する。
【0038】
(第1の実施の形態の効果)
上記した第1の実施の形態によれば、入力契約書112を修正履歴に基づいてバージョンに分離し、元となったひな型を特定して、同一又は類似のひな型から作成された他の契約書を特定して、当該契約書のうち入力契約書112と内容の近いバージョン及びその次のバージョンから修正候補を提案するようにしたため、契約書の一連の改変に対応することができる。
【0039】
[第2の実施の形態]
(情報処理装置の構成)
図7は、第2の実施の形態に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
【0040】
情報処理装置2は、CPU等から構成され、各部を制御するとともに、各種のプログラムを実行する制御部20と、HDDやフラッシュメモリ等の記憶媒体から構成され情報を記憶する記憶部21と、ネットワークを介して外部と通信する通信部22とを備える。
【0041】
制御部20は、後述する文書処理プログラムとしての契約書管理プログラム210を実行することで、契約書受付手段200、バージョン分離手段201、属性抽出手段202、関連契約書抽出手段203、紐付契約書候補提示手段204及び契約書紐付手段205等として機能する。
【0042】
契約書受付手段200は、現バージョンの契約書の入力を受け付けて入力契約書212として記憶部21に格納する。
【0043】
バージョン分離手段201は、入力契約書212の修正履歴から過去のバージョンの契約書を分離する。また、バージョン分離手段201は、契約書データベース211の契約書の修正履歴から過去のバージョン(版)の契約書を分離する。なお、契約書データベース211は、予めバージョンを分離して用意しておいてもよい。
【0044】
属性抽出手段202は、入力契約書212の契約書タイトル、当事者名、ファイル名、更新日等の属性情報を抽出する。
【0045】
関連契約書抽出手段203は、関連契約書の抽出方法の一例として、バージョン分離手段101が分離した入力契約書212の過去のバージョンの契約書と類似する契約書を契約書データベース211から関連契約書として抽出する。また、関連契約書抽出手段203は、関連契約書の抽出方法の他の例として、属性抽出手段202が抽出した契約書タイトル、当事者名、ファイル名、更新日等の属性情報の一部又はすべてが同一又は類似する契約書を契約書データベース211から関連契約書として抽出する。なお、更新日については入力契約書212の更新日より前の更新日を有する契約書を関連性が高いものとしてもよいし、入力契約書212の更新日に近い更新日を有する契約書を関連性が高いものとしてもよい。
【0046】
紐付契約書候補提示手段204は、関連契約書抽出手段203が抽出した関連契約書を候補として表示処理する。
【0047】
契約書紐付手段205は、紐付契約書候補提示手段204が候補として表示処理した関連契約書から利用者の操作によって選択された又は予め定めた条件から選択された契約書を入力契約書212の過去バージョンの契約書として互いに紐づけて契約書データベース211の内容を更新する。
【0048】
記憶部21は、制御部20を上述した各手段200-205として動作させる契約書管理プログラム210、契約書データベース211及び入力契約書212等を記憶する。
【0049】
(情報処理装置の動作)
次に、第1の実施の形態の作用を、(1)基本契約動作、(2)契約書抽出動作、(3)契約書提示動作に分けて説明する。なお、「(1)基本契約動作」については、第1の実施の形態と同様であるため省略する。
【0050】
(2)契約書抽出動作
図10は、文書処理プログラムの動作例を示すフローチャートである。また、
図8A~
図8Cは、文書処理プログラムの契約書抽出動作を説明するための概略図である。なお、
図2で説明した自社側の利用者と契約相手側の利用者は適宜入れ替え可能であるが、説明を簡単にするため以降は自社側の利用者が契約相手側から編集済みの契約書を受け取り、当該契約書を契約書データベース211の契約書に紐付ける際の動作について説明する。
【0051】
まず、自社側の利用者は、契約相手側の利用者から契約書を受け取ると情報処理装置2と通信部22を介して接続された図示しない端末に入力する。
【0052】
情報処理装置2の契約書受付手段200は、
図8Aに示すように、契約書の入力を受け付けて(S11)、入力契約書212b
iとして記憶部21に格納する。なお、入力契約書212b
iは、第i版目の契約書であるとする。
【0053】
次に、情報処理装置2のバージョン分離手段201は、
図8Bに示すように、入力契約書212b
iに付随する情報である修正履歴からひな型である契約書211bを含む過去のバージョンの契約書212b
1…212b
iを生成して分離する(S12)。なお、バージョンに分離できない場合は当該ステップを無視してもよい。
【0054】
また、バージョン分離手段201は、
図8Cに示すように、同時に又は異なるタイミングで、契約書データベース211の契約書212lの修正履歴から過去のバージョンの契約書211b、212l
1…212l
i‐1を、契約書212mの修正履歴から過去のバージョンの契約書211c、212m
1…212m
i‐1を、契約書212nの修正履歴から過去のバージョンの契約書211b、212n
1…212n
i‐1を分離する。なお、契約書212l、212m、212nのバージョンがすべて第i‐1版となっているがそれぞれ異なっていてもよい。
【0055】
次に、関連契約書抽出手段203は、バージョン分離手段201が分離した入力契約書212b
iの過去のバージョンの契約書からひな型である契約書211bを抽出し、共通のひな型を用いた契約書データベース211の契約書を検索する(S14)。
図8Cに示した例では、契約書212l、212nのひな型が211bで共通するため、契約書212l、212nを関連契約書として抽出する(S15)。なお、ひな型検索手段102は、完全に同一のひな型のみならず、一定の範囲で類似するひな型を用いたものも共通するひな型として検索するものとする。また、ひな型である契約書は、必ずしも初版でなくともよく、異なる契約書間で類似するものが存在する場合、互いにひな型として扱ってもよい。
【0056】
また、関連契約書抽出手段203は、バージョン分離手段201が分離した入力契約書212b
iの過去のバージョンの契約書からひな型以外の契約書211b
1…211b
i‐1を抽出し、内容の類似する契約書バージョンを有する契約書データベース211の契約書を検索する(S14)。
図8Cに示した例では、契約書212l、212mの契約書が内容類似する。なお、契約書バージョンが完全に類似する契約書のみならず、部分的に類似する契約書バージョンを有する契約書を関連する契約書として抽出するものとする(S15)。
【0057】
また、属性抽出手段202は、入力契約書212biの契約書タイトル、当事者名、ファイル名、更新日等の属性情報を抽出し(S13)、関連契約書抽出手段203は、契約書タイトル、当事者名、ファイル名、更新日の一部又はすべてが同一又は類似する契約書を契約書データベース211から関連契約書として抽出する(S15)。
【0058】
(3)契約書提示動作
次に紐付契約書候補提示手段204は、関連契約書抽出手段203が抽出した関連契約書である契約書212l及び212nを入力契約書112biの紐付候補として提示する(S16)。
【0059】
図9は、文書処理プログラムの契約書提示動作を説明するための概略図である。
【0060】
紐付契約書候補提示手段204は、入力契約書212biを入力契約書表示欄204a1に表示し、関連契約書抽出手段203が抽出した契約書212l、212m、212nを関連契約書として関連契約書表示欄204a2に表示する。関連契約書表示欄204a2における契約書212l、212m、212nの表示順は関連性の高い順に表示してもよいし、予め定めた規則に基づいて表示する。また、契約書212l、212m、212nの内容としてファイル名、当事者名、契約書タイトル、更新日時、更新者等を表示するが、これに限られず、さらに契約書の内容を表示してもよい。また、関連契約書表示欄204a2に表示される契約書それぞれには「紐付け」ボタンが配置され、当該ボタンを操作することで入力契約書212biと紐付けが行われる。
【0061】
上記した表示内容は、端末の表示部に表示される。自社側の利用者は端末の表示部の表示内容を確認し、所望の紐付候補を選択して入力契約書212biに紐付ける。
【0062】
情報処理装置2の契約書紐付手段205は、紐付契約書候補提示手段204が候補として表示処理した関連契約書から利用者の操作によって選択された契約書を入力契約書212の過去バージョンの契約書として互いに紐づけて契約書データベース211の内容を更新する。なお、候補として表示処理された関連契約書は、人手ではなく予め定めた条件から選択されるものであってもよい。
【0063】
(第2の実施の形態の効果)
上記した第2の実施の形態によれば、入力契約書212の修正履歴又は属性情報と同一の又は類似する契約書を契約書データベース211から関連契約書として抽出するようにしたため、契約相手により編集された契約書を受け取った際に自己の契約書のいずれに対応したものか探す工程の増加を抑制することができる。これは特に、契約書の内容やタイトル(ファイル名等)が改変された場合の契約書の内容の突き合わせ等を不要とすることができ、手順増加を抑制可能である。
【0064】
[他の実施の形態]
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々な変形が可能である。
【0065】
上記実施の形態では制御部10の各手段100~105の機能及び制御部20の各手段200~205の機能をプログラムで実現したが、各手段の全て又は一部をASIC等のハードウエアによって実現してもよい。また、上記実施の形態で用いたプログラムをCD-ROM等の記録媒体に記憶して提供することもできる。また、上記実施の形態で説明した上記ステップの入れ替え、削除、追加等は本発明の要旨を変更しない範囲内で可能である。
【0066】
(付記)
本発明の一態様は、以下の文書処理プログラム及び情報処理装置を提供する。
[1]コンピュータを、
入力契約書から修正履歴に基づいて複数のバージョンの契約書に分離する分離手段と、
前記入力契約書の前記複数のバージョンの契約書から、ひな型である契約書を特定し、当該ひな型と同一又は類似の契約書を一のバージョンとして含む他の契約書を契約書のデータベースから検索する検索手段と、
当該ひな型である契約書と同一又は類似の契約書を一のバージョンとして含む契約書から前記入力契約書に内容が類似する契約書を類似契約書として抽出する抽出手段と、
前記類似契約書の内容に基づいて前記入力契約書の修正候補を提示する提示手段として機能させるための文書処理プログラム。
[2]前記コンピュータを、
前記入力契約書を条文単位に分割するとともに、前記類似契約書を条文単位に分割する分割手段としてさらに機能させ、
前記提示手段は、前記入力契約書の条文毎に、前記類似契約書の対応する条文に基づいて前記修正候補を提示する前記[1]に記載の文書処理プログラム。
[3]前記提示手段は、前記ひな型と同一又は類似の契約書を一のバージョンとして含む他の契約書の複数のバージョンの契約書のうち、前記入力契約書に内容が類似するバージョンの契約書の次のバージョンの契約書の内容を修正候補として提示する前記[1]又は[2]に記載の文書処理プログラム。
[4]前記提示手段は、前記修正候補を前バージョンの契約書からの変更箇所とともに提示する前記[1]から[3]のいずれかに記載の文書処理プログラム。
[5]前記提示手段は、前記修正候補を当該修正候補に付されたコメントとともに提示する前記[1]から[4]のいずれかに記載の文書処理プログラム。
[6]コンピュータを、
入力契約書から修正履歴に基づいて複数のバージョンの契約書に分離する分離手段と、
前記入力契約書の前記複数のバージョンのいずれか又はすべての契約書と同一又は類似の契約書をバージョンとして含む契約書を関連する関連契約書として抽出する関連契約書抽出手段と、
前記関連契約書を入力契約書と紐付ける紐付契約書候補として提示する紐付契約書候補提示手段として機能させるための文書処理プログラム。
[7]前記コンピュータを、
前記入力契約書から属性情報を抽出する属性抽出手段としてさらに機能させ、
前記関連契約書抽出手段は、前記入力契約書の前記属性情報の項目のいずれか又はすべてと同一又は類似の項目を属性情報として含む契約書を前記関連契約書として抽出する前記[6]に記載の文書処理プログラム。
[8]コンピュータを、
入力契約書から属性情報を抽出する属性抽出手段と、
前記入力契約書の前記属性情報の項目のいずれか又はすべてと同一又は類似の項目を属性情報として含む契約書を前記関連契約書として抽出する関連契約書抽出手段と、
前記関連契約書を入力契約書と紐付ける紐付契約書候補として提示する紐付契約書候補提示手段として機能させるための文書処理プログラム。
[9]入力契約書から修正履歴に基づいて複数のバージョンの契約書に分離する分離手段と、
前記入力契約書の前記複数のバージョンの契約書から、ひな型である契約書を特定し、当該ひな型と同一又は類似の契約書を一のバージョンとして含む他の契約書を契約書のデータベースから検索する検索手段と、
当該ひな型である契約書と同一又は類似の契約書を一のバージョンとして含む契約書から前記入力契約書に内容が類似する契約書を類似契約書として抽出する抽出手段と、
前記類似契約書の内容に基づいて前記入力契約書の修正候補を提示する提示手段とを有する情報処理装置。
[10]入力契約書から修正履歴に基づいて複数のバージョンの契約書に分離する分離手段と、
前記入力契約書の前記複数のバージョンのいずれか又はすべての契約書と同一又は類似の契約書をバージョンとして含む契約書を関連する関連契約書として抽出する関連契約書抽出手段と、
前記関連契約書を入力契約書と紐付ける紐付契約書候補として提示する紐付契約書候補提示手段とを有する情報処理装置。
[11]入力契約書から属性情報を抽出する属性抽出手段と、
前記入力契約書の前記属性情報の項目のいずれか又はすべてと同一又は類似の項目を属性情報として含む契約書を前記関連契約書として抽出する関連契約書抽出手段と、
前記関連契約書を入力契約書と紐付ける紐付契約書候補として提示する紐付契約書候補提示手段とを有する情報処理装置。
【0067】
前記[1]又は前記[9]に係る発明によれば、契約書の一連の改変に適した修正候補を提案することができる。
前記[2]に係る発明によれば、入力契約書の条文毎に、類似契約書の対応する条文を修正候補として提示することができる。
前記[3]に係る発明によれば、入力契約書に内容が類似するバージョンの次のバージョンを類似契約書として抽出することができる。
前記[4]に係る発明によれば、修正候補を前バージョンからの変更箇所とともに提示することができる。
前記[5]に係る発明によれば、修正候補を当該修正候補に付されたコメントとともに提示することができる。
前記[6]又は前記[10]に係る発明によれば、契約相手により編集された契約書を受け取った際に自己の契約書のいずれに対応したものか探す工程の増加を抑制することができる。
前記[7]に係る発明によれば、入力契約書から属性情報を抽出し、入力契約書の前記属性情報の項目のいずれか又はすべてと同一又は類似の項目を属性情報として含む契約書を関連契約書として抽出することができる。
前記[8]又は前記[11]に係る発明によれば、契約相手により編集された契約書を受け取った際に自己の契約書のいずれに対応したものか探す工程の増加を抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
契約書の一連の改変に対応する文書処理プログラム及び情報処理装置を提供する。
【符号の説明】
【0069】
1 :情報処理装置
10 :制御部
11 :記憶部
12 :通信部
100 :契約書受付手段
101 :バージョン分離手段
102 :ひな型検索手段
103 :類似契約書抽出手段
104 :条文分割手段
105 :修正候補提示手段
110 :契約書管理プログラム
111 :契約書データベース
112 :入力契約書
200 :契約書受付手段
201 :バージョン分離手段
202 :属性抽出手段
203 :関連契約書抽出手段
204 :紐付契約書候補提示手段
205 :契約書紐付手段
210 :契約書管理プログラム
211 :契約書データベース
212 :入力契約書