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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001965
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
   E01C 19/26 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
E01C19/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100854
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】池田 豊
(72)【発明者】
【氏名】長谷部 貴尚
(72)【発明者】
【氏名】切田 勝之
【テーマコード(参考)】
2D052
【Fターム(参考)】
2D052BB01
2D052BB05
2D052CA14
(57)【要約】
【課題】機体の走行方向に存在する障害物を検出する障害物検出装置の検出精度と、オペレータの視界との双方を確保することができる作業機械を提供する。
【解決手段】機体(1)のフレーム(2、4)に開閉可能に支持されるカバー(14)と、フレーム(2,4)上に設けられた運転席(6)と、機体(1)の走行方向に存在する障害物を検出する障害物検出装置(24)とを備えた作業機械であって、カバー(14)は、運転席(6)から機体(1)の走行方向側のフレーム(2、4)のフレーム先端部(22)に向けて斜め下方に傾斜したカバー上面(14a)を有し、障害物検出装置(24)は、フレーム先端部(22)に支持され、カバー上面(14a)から延設される延長線(28)の下側、且つ延長線(28)に対してフレーム先端部(22)よりも近接した位置に、カバー(14)と離間して設けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体に搭載される機器類を覆うとともに、前記機体のフレームに開閉可能に支持されるカバーと、
前記フレーム上に設けられた運転席と、
前記機体の走行方向に存在する障害物を検出する障害物検出装置と
を備えた作業機械であって、
前記カバーは、前記運転席から前記機体の走行方向側の前記フレームのフレーム先端部に向けて斜め下方に傾斜したカバー上面を有し、
前記障害物検出装置は、前記フレーム先端部に支持され、前記カバー上面から延設される延長線の下側、且つ、前記延長線に対して前記フレーム先端部よりも近接した位置に、前記カバーと離間して設けられる、ことを特徴とする作業機械。
【請求項2】
前記障害物検出装置は、前記機体の前後方向における全長内であって、前記前後方向における前記機体の機体先端部を通る垂直線に対して前記フレーム先端部よりも近接した位置に設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記障害物検出装置は、前記フレーム先端部の前記機体の車幅方向における中央に設けられる、ことを特徴とする請求項2に記載の作業機械。
【請求項4】
前記フレーム先端部の前記中央には、前記機体を牽引するための牽引用ブラケットが設けられ、
前記障害物検出装置は、前記牽引用ブラケットよりも上側に設けられる、ことを特徴とする請求項3に記載の作業機械。
【請求項5】
前記フレームに対して前記カバーを回動可能に支持する回転軸と、
前記カバーを開位置に保持する保持具と
を備え、
前記カバーが前記保持具により前記開位置に保持されたとき、前記障害物検出装置は前記カバーと隙間を有して離間している、ことを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体のフレームに開閉可能に支持されるカバーと、機体の走行方向に存在する障害物を検出する障害物検出装置とを備えた作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、機体の本体部の前側にエンジンルームが設けられるとともに、機体の前方の障害物を検出するセンサが設けられた転圧機械が開示されている。センサは、エンジンルームを覆うエンジンカバーの上面に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-76577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エンジンカバーのようなカバーは、カバーに覆われた機器類に作業者が容易にアクセス可能なように、機体のフレームに対して回動して開閉可能に支持される。しかしながら、開閉可能なカバー上面にセンサ、すなわち障害物検出装置を取り付けると、カバーを何度も繰り返し開閉することにより、カバーを閉じた状態のフレームに対するカバーの建付けが変化し、障害物検出装置の取付位置や角度が変化することがある。この結果、障害物検出装置の検出領域にずれが生じ、障害物検出装置による検出精度が悪化するおそれがある。さらに、カバー上面に障害物検出装置を取り付けると、運転席から機体前方への視界が遮られてしまう。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、機体の走行方向に存在する障害物を検出する障害物検出装置の検出精度と、オペレータの視界との双方を確保することができる作業機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するべく、本発明の作業機械は、機体に搭載される機器類を覆うとともに、機体のフレームに開閉可能に支持されるカバーと、フレーム上に設けられた運転席と、機体の走行方向に存在する障害物を検出する障害物検出装置とを備えた作業機械であって、カバーは、運転席から機体の走行方向側のフレームのフレーム先端部に向けて斜め下方に傾斜したカバー上面を有し、障害物検出装置は、フレーム先端部に支持され、カバー上面から延設される延長線の下側、且つ延長線に対してフレーム先端部よりも近接した位置に、カバーと離間して設けられる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の作業機械によれば、機体の走行方向に存在する障害物を検出する障害物検出装置の検出精度と、オペレータの視界との双方を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】作業機械の側面図である。
図2】フレーム最前部の斜視図である。
図3】作業機械の前面図である。
図4】カバーの全閉時におけるフロントフレームの側面図である。
図5】カバーの全開時におけるフロントフレームの側面図である。
図6】カバーの開保持状態における第3支持部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態に係る作業機械について図面を参照して説明する。図1は作業機械の側面図を示す。作業機械は、機体1に、フロントフレーム(フレーム)2、リアフレーム(フレーム)4、運転席6、転圧ローラ8及び駆動輪10を備えたアーティキュレート式の転圧機械(土工用振動ローラ)である。機体1は、駆動輪10を駆動することで前後進しつつ、転圧ローラ8を用いて路面を締固めることが可能である。
【0010】
フロントフレーム2は、機体1の前部に配設された左右一対の骨格部材である。フロントフレーム2には、金属製の円筒状に形成された転圧ローラ8が備えられている。また、フロントフレーム2は、回動支持体12を介してリアフレーム4に回動可能に取り付けられている。フロントフレーム2には、エンジン、ラジエータなどの機器類が搭載され、これらはエンジンカバー14(以下、単にカバー14ともいう)により覆われている。
【0011】
エンジンの駆動力を利用することで、駆動輪10を駆動し、回動支持体12を軸にしてフロントフレーム2を回動させることが可能である。リアフレーム4は、機体1の後部に配設された骨格部材である。リアフレーム4には、ゴム製のタイヤを備えた駆動輪10が機体1の左右方向(車幅方向)でリアフレーム4を挟むように配設されている。運転席6は、リアフレーム4の上部に配設されている。
【0012】
運転席6の前側には、コントロールパネル16、ステアリング18、前後進レバー20などが備えられ、オペレータが運転席6に着座してこれらを操作することで機体1の走行などを行うことが可能である。また、リアフレーム4の運転席6の後側には、水を貯留した貯水タンク21が設置されている。貯水タンク21は、図示しない配管及び散水ポンプを介して、フロントフレーム2の転圧ローラ8の近傍と、リアフレーム4の駆動輪10の近傍とに配設された散水ノズル37(図3から図5に図示)に接続される。
【0013】
カバー14は、フロントフレーム2に開閉可能に支持されている。カバー14のカバー上面14aは、運転席6に着座したオペレータが機体1の走行方向の路面状況を目視しやすいように、運転席6から遠位側、すなわち最前側となるフロントフレーム2のフレーム最前部(フレーム先端部)22に向けて斜め下方に傾斜して形成されている。フレーム最前部22には、機体1の走行方向(図1においては前方向)に存在する障害物を検出する障害物検出装置24が取り付けられている。
【0014】
また、フレーム最前部22の機体1の車幅方向における中央には、機体1をワイヤで牽引するための牽引用ブラケット26が設けられている。牽引用ブラケット26は板材に孔を有する形状をなしている。障害物検出装置24は、フロントフレーム2のフレーム最前部22に支持され、カバー上面14aから延設される延長線28の下側、且つ延長線28に対してフロントフレーム2のフレーム最前部22よりも近接した位置に、カバー14と離間して設けられる。さらに、障害物検出装置24は、機体1の前後方向における全長内であって、機体1の前後方向における機体1の機体最前部(機体先端部)30を通る垂直線32に対してフロントフレーム2のフレーム最前部22よりも近接した位置に設けられる。
【0015】
なお、図1において、機体最前部30は転圧ローラ8の最前面である。また、機体1の全長とは、障害物検出装置24を除く機体1の最前端から最後端までの距離であり、機体1の型式によって異なるが、本実施形態の場合、転圧ローラ8の最前面から、機体1の後端に設けられた牽引用ブラケットの後端部までの距離である。つまり、障害物検出装置24は、障害物検出装置24を除く機体1の最前端から最後端までの範囲に収まるように設けられている。
【0016】
図2は、フレーム最前部22の斜視図を示す。障害物検出装置24は、検出センサ34と、検出センサ34を覆って支持するブラケット36とから構成されている。検出センサ34は、例えばミリ波レーダであって、ブラケット36に形成された窓36aから送信波を送信する。障害物に衝突した送信波は、反射波となって窓36aを介し検出センサ34で受信する。これにより、機体1の走行方向に存在する障害物の有無や、障害物までの距離が検出される。なお、検出センサ34は、ミリ波レーダに限らず、カメラやLiDAR(light detection and ranging)であっても良い。
【0017】
ブラケット36は、検出センサ34を雨水や飛び石から保護するカバーとしての役割を有する。特に、ブラケット36によって検出センサ34への水滴の付着が抑制される。さらに、カバー上面14aに降った雨水がカバー上面14aの傾斜に沿って車体前方に流れても、カバー14の前端部と検出センサ34とはブラケット36によって前後方向に隙間を有して離間しているため、カバー上面14aに降った雨水が検出センサ34の上面に流れることが抑制される。これにより、検出センサ34が水滴を障害物と誤検出することを抑制可能である。
【0018】
また、ブラケット36によって、検出センサ34の下方も覆われていることから、検出センサ34が路面や転圧ローラ8から生じる蒸気の付着が抑制される。これにより、検出センサ34の表面での結露が抑制され、検出センサ34が水滴を障害物と誤検出することを抑制可能である。
【0019】
障害物検出装置24が検出した検出信号は、例えば機体1の制動制御に用いられる。制動制御は、機体1と障害物との距離や機体1の走行速度に応じて、機体1のブレーキによる制動を自動でアシストし、障害物への機体1の衝突を回避する。また、障害物検出装置24は、フレーム最前部22において牽引用ブラケット26よりも上側に位置付けられている。これにより、ワイヤを牽引用ブラケット26に取り付ける際の作業空間を確保することができるため、機体1の牽引作業時にワイヤが障害物検出装置24に接触することはない。
【0020】
図3は、作業機械の前面図を示す。障害物検出装置24は、フレーム最前部22において、機体1の車幅方向(図3における左右方向)における中央に位置付けられている。これにより、障害物検出装置24が障害物を検出可能な検出領域を機体1の車幅方向の広範囲に亘って設定することができる。牽引用ブラケット26も同様に、機体1の車幅方向における中央に位置付けられる。
【0021】
また、フロントフレーム2には例えば5つの散水ノズル37が配設されている。前述した貯水タンク21内の水は、散水ポンプにより各散水ノズル37に供給され、各散水ノズル37から転圧ローラ8に噴射される。これにより、転圧ローラ8によって路面を締固める際に使用される舗装材が転圧ローラ8に付着することを抑制可能である。また、路面を締固める際に熱を帯びる転圧ローラ8を水噴射により冷却可能である。
【0022】
同様の散水ノズル37がリアフレーム4にも配設され、駆動輪10においても転圧ローラ8の場合と同様の効果を奏する。なお、散水ノズル37から水以外の液剤(例えばアスファルト付着防止剤)を噴射しても良い。特に、本実施形態の場合には、駆動輪10はゴム製のタイヤであるため、上記液剤を噴射することにより、駆動輪10の接地面に液剤の膜を形成することができ、舗装材が駆動輪10に付着することを効果的に抑制可能である。
【0023】
図4は、カバー14の全閉時におけるフロントフレーム2の側面図を示す。なお、図4及び後述する図5においては、カバー14の開閉機構38を透過して示すとともに、説明上、部分的に図示しない箇所が存在する。開閉機構38は、回転軸40、ステー42、及びダンパ44を備えている。また、開閉機構38は、カバー14の内側面14bに形成された第1支持部46と、フロントフレーム2に形成された第2支持部48及び第3支持部50とを備えている。
【0024】
第1支持部46及び第2支持部48は、カバー14及びフロントフレーム2の前端側に形成され、第3支持部50は、第2支持部48よりもフロントフレーム2の後側に形成される。第1支持部46と第2支持部48とは回転軸40を介して連結され、回転軸40はフロントフレーム2に対してカバー14をその前端側で回動可能に支持している。ステー42は、棒状をなした保持具であって、その両端には折り曲げられた上端部42aと下端部42bとがそれぞれ形成されている。上端部42aは、フロントフレーム2の上側において第1支持部46に回動可能に係止される。下端部42bは、第3支持部50に形成された係止溝52において、上端部42aの後側においてフロントフレーム2に移動可能に係止される。
【0025】
係止溝52は、フロントフレーム2の前側上方に向けて傾斜した長溝であり、係止溝52の前端上部には、下方に凹んだ凹溝52aが形成されている。ダンパ44は、例えば、シリンダ44aとロッド44bとから構成されたエアシリンダである。シリンダ44aの上端は、カバー14の側壁14cに回動可能に接続される。ロッド44bの下端は、第3支持部50の下部に回動可能に接続される。
【0026】
図5は、カバー14の全開時におけるフロントフレーム2の側面図を示す。カバー14を矢印で示す方向に持ち上げることにより、ダンパ44は、ロッド44bの下端が接続された第3支持部50の下部を中心として回動し、シリンダ44aに充填されたエアの圧力に抗してシリンダ44aからロッド44bが突出して伸長する。このとき、ダンパ44の緩衝作用により、カバー14が自重によって開途中で閉方向に倒れることはなく、カバー14の移動はゆっくりと円滑に行われる。
【0027】
また、ロッド44bの伸長に伴い、ステー42の下端部42bは、第3支持部50の係止溝52を斜め上方に移動し、図5に示すように係止溝52の前側上端に当接する。これにより、カバー14が全開位置に位置付けられる。このように、ステー42は、フロントフレーム2とカバー14とに接続され、回転軸40を中心としてカバー14を開状態にしたときの開位置にカバー14を保持する。
【0028】
カバー14がステー42により開位置に保持されたとき、障害物検出装置24は、カバー14の前端部の上面14aと隙間54を有して離間している。すなわち、カバー14は、その全閉位置から全開位置に至る開閉領域において、障害物検出装置24に非接触となるため、障害物検出装置24がカバー14の開閉に支障となることはない。
【0029】
図6は、カバー14の開保持状態における第3支持部50の拡大図を示す。図5におけるカバー14の全開位置からカバー14を閉方向(図5で見て右方向)に若干倒すことにより、係止溝52の凹溝52aにステー42の下端部42bが落ち込む形で嵌り込む。これにより、ステー42の下端部42bが第3支持部50に一時的に固定され、カバー14が開状態に保持される。
【0030】
カバー14を閉じる際には、カバー14を開方向(図5で見て左方向)に若干倒すことにより、ステー42の下端部42bが係止溝52の凹溝52aから離脱し、カバー14が図5に示した全開位置に位置付けられる。そして、カバー14を全閉位置に向けて倒すことにより、ダンパ44は、ロッド44bの下端が接続された第3支持部50の下部を中心として回動し、シリンダ44aに充填されたエアの圧力に抗してシリンダ44aにロッド44bが収容されて短縮する。
【0031】
併せて、ステー42の下端部42bが係止溝52の後側下端に当接することにより、カバー14が図4に示した全閉位置に位置付けられる。このとき、ダンパ44の緩衝作用により、カバー14が自重によって開途中でいきなり全閉位置に倒れることはなく、カバー14の移動はゆっくりと円滑に行われる。
【0032】
以上のように本実施形態の作業機械は、障害物検出装置24がフロントフレーム2のフレーム最前部22に支持され、カバー上面14aから延設される延長線28の下側、且つ延長線28に対してフロントフレーム2のフレーム最前部22よりも近接した位置に、カバー14と離間して設けられる。これにより、カバー14の建付けや開閉状態の影響を受けることなく、障害物を検出することができる。
【0033】
また、フロントフレーム2の最前面であり且つ路面から最も高い位置で障害物を検出可能となるため、障害物検出装置24が受ける蒸気や熱の影響を抑制することができ、これらに起因した障害物検出装置24の誤検出及び故障を抑制することができる。しかも、運転席6からのオペレータの視界が障害物検出装置24によって遮られることはない。従って、障害物検出装置24の検出精度と、オペレータの視界との双方を確保することができる。
【0034】
また、障害物検出装置24は、機体1の前後方向における全長内であって、機体1の前後方向における機体1の機体最前部30を通る垂直線32に対してフロントフレーム2のフレーム最前部22よりも近接した位置に設けられる。これにより、障害物検出装置24は、規定された機体1の全長からはみ出すことなく、且つ、機体1の走行方向における先端部に極力近い位置において、機体1に搭載された他の部品によって、障害物を検出可能な検出領域が遮られることなく、障害物を検出可能となるため、障害物検出装置24の検出精度を向上することができる。
【0035】
また、障害物検出装置24は、フレーム最前部22において、機体1の車幅方向における中央に位置付けられている。これにより、障害物検出装置24が障害物を検出可能な検出領域を機体1の車幅方向の広範囲に亘って、且つ車幅方向の一方に偏ることなく設定することができるため、障害物検出装置24の検出精度をさらに向上することができる。
【0036】
また、フレーム最前部22の機体1の車幅方向における中央には、牽引用ブラケット26が設けられ、障害物検出装置24は、牽引用ブラケット26よりも上側に設けられる。これにより、機体1の牽引作業時にワイヤを障害物検出装置24に接触することが抑制できるため、障害物検出装置24が機体1の牽引作業の支障となることはない。従って、障害物検出装置24によって機体1において行われる作業が困難となることはなく、機体1における作業性を向上することができる。また、ワイヤと障害物検出装置24とが、接触することによって、障害物検出装置24の取付位置や角度がずれ、障害物検出装置24の検出領域にずれが生じることを抑制できる。
【0037】
また、カバー14がステー42により開位置に位置付けられたとき、障害物検出装置24は、カバー14と隙間54を有して離間している。これにより、カバー14は、その全閉位置から全開位置に至る開閉領域において、障害物検出装置24に非接触となるため、カバー14の開閉状態によって障害物検出装置24による障害物検出が困難となることはない。例えば、エンジンの動作状況を確認するために、カバー14を開けたままの状態でエンジンを駆動している場合であっても、障害物検出装置24は機体1が走行する可能性のある方向の障害物を検出し、障害物を検出した場合には、機体1の制動制御の実行、或いは警報を発報することができる。従って、障害物検出装置24の検出精度をさらに向上することができるとともに、機体1のメンテナンス性を向上することができる。
【0038】
また、前述した作業機械は、路面を締固める転圧ローラ8を備える転圧機械であり、フロントフレーム2の転圧ローラ8の近傍には、液剤を噴射する散水ノズル37が配設される。前述したように、障害物検出装置24は、フロントフレーム2の最前面であり且つ路面から最も高い位置に設けられる。従って、散水ノズル37から噴射される液剤が障害物検出装置24に付着することを抑制することができ、これに起因した障害物検出装置24の誤検出及び故障を抑制することができる。
【0039】
以上で本発明の一実施形態についての説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更ができるものである。例えば、上記実施形態において、障害物検出装置24は、フレーム最前部22に取り付けられ、機体1の機体最前部30を通る垂直線32に近接して位置付けられる。しかし、これに限らず、障害物検出装置24が後方の障害物を検出する場合にも適用可能である。
【0040】
この場合、障害物検出装置24は、リアフレーム4のフレーム最後部に取り付けられるとともに、機体1の機体最後部を通る垂直線に近接して位置付けられる。すなわち、障害物検出装置24は、フロントフレーム2、リアフレーム4のどちらに取り付ける場合であっても、運転席6から遠位側となるフレーム先端部に取り付けるとともに、機体先端部を通る垂直線に近接して位置付ければ良い。これにより、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0041】
また、上記実施形態において、障害物検出装置24は、エンジンカバー14の斜め下方に傾斜したカバー上面14aから延設される延長線28の下側に近接して位置付けられる。しかし、カバーは、機体1に搭載される機器類を覆うとともに、フロントフレーム2に開閉可能に支持され、斜め下方に傾斜したカバー上面14aが形成されるのであれば、エンジンカバー14以外のカバー、例えばモータカバーやバッテリカバーであっても良い。
【0042】
さらに、本発明は、カバー14と障害物検出装置24とを備えた作業機械であれば、前述した転圧機械に限らず、種々の作業機械に適用可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 機体
2 フロントフレーム(フレーム)
4 リアフレーム(フレーム)
6 運転席
14 エンジンカバー(カバー)
14a カバー上面
22 フレーム最前部(フレーム先端部)
24 障害物検出装置
26 牽引用ブラケット
28 延長線
30 機体最前部(機体先端部)
32 垂直線
40 回転軸
42 ステー(保持具)
54 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6