(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019691
(43)【公開日】2024-02-09
(54)【発明の名称】肺動脈性高血圧症および他疾患に関連する肺動脈性肺高血圧症の治療法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/438 20060101AFI20240202BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20240202BHJP
【FI】
A61K31/438
A61P9/12
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023217954
(22)【出願日】2023-12-25
(62)【分割の表示】P 2021526561の分割
【原出願日】2019-11-15
(31)【優先権主張番号】62/768,575
(32)【優先日】2018-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519165489
【氏名又は名称】アルタバント・サイエンシズ・ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】ALTAVANT SCIENCES GmbH
【住所又は居所原語表記】VIADUKTSTRASSE 8,4051 BASEL,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】スティーブ リング
(72)【発明者】
【氏名】マグダレーナ アロンソ-ガリシア
(72)【発明者】
【氏名】トーマス パック
(72)【発明者】
【氏名】ジュリー ルーカ
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド カーペンター
(72)【発明者】
【氏名】メリッサ ローズ
(57)【要約】
【課題】肺動脈性高血圧症および他疾患に関連する肺動脈性肺高血圧症の治療法の提供。
【解決手段】患者において肺動脈性肺高血圧症または他疾患に関連する肺動脈性肺高血圧症を治療または予防する方法がある。本方法は、治療上有効量の1つ以上の化合物を患者に全身的に投与する手順を備える:(S)-エチル8-(2-アミノ-6-((R)-1-(5-クロロ-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエトキシ)ピリミジン-4-イル)-2,8-ジアザスピロ[4.5] デカン-3-カルボン酸塩もしくはその薬学的に許容される塩、または (S)-8-(2-アミノ-6-((R)-1-(5-クロロ-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエトキシ)ピリミジン-4-イル)-2,8-ジアザスピロ[4.5] デカン-3-カルボン酸もしくはその薬学的に許容される塩、またはこれらの組み合わせ。TPH1阻害剤の治療有効量を約1mg/kg/日~約50mg/kg/日で全身投与することによって、患者における肺動脈性肺高血圧症または関連する肺動脈性肺高血圧症を治療または予防する方法もある。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1. 本開示の分野
本開示は、患者における肺動脈性肺高血圧症 (PAH) および他疾患に関連する肺動脈性
肺高血圧症(APAH) を治療するための方法に関する。本開示は、さらに患者への全身投与
を介してPAH/APAHを治療する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2. 先行技術の説明
肺動脈性肺高血圧症 (PAH) は、肺での高血圧を意味する肺高血圧症として知られる広範
な病態の一形態である。PAHでは、血管内の圧力上昇は、肺の小動脈の閉塞および/または直径の収縮もしくは狭窄によって引き起こされ、肺を通る血流に対する抵抗が増大する。時間経過とともに、血圧の上昇が心臓に損傷を与えることがある。肺動脈性肺高血圧症の多くは原因不明である。その他の原因としては、薬物関連、HIV感染症、結合組織/自己免疫疾患(強皮症など)などがある。
【0003】
PAHの病態タイプの一つに、他疾患に関連する肺動脈性肺高血圧症 (APAH)がある。APAHとは、次の疾患に関連するPAHである可能性があると考えることができる。(1)強皮症や狼
瘡などの自己免疫疾患を含むコラーゲン血管疾患(または結合組織疾患)、(2)先天性心
疾患および肺疾患、(3) 門脈圧亢進症(たとえば肝臓疾患に起因するもの)、(4) HIV感
染、(5) 薬物(たとえば食欲抑制剤、コカイン、アンフェタミンなど)、(6)甲状腺疾患
、グリコーゲン貯蔵病、ゴーシェ病、遺伝性出血性毛細血管拡張症、ヘモグロビン減少症、骨髄増殖性疾患、脾臓摘出などのその他の疾患。APAHは、肺静脈閉塞症(PVOD)や肺毛
細血管腫症など、肺静脈や毛細血管の異常な狭窄を伴うPAHとなる場合もある。
【0004】
セロトニン(5-ヒドロキシトリプタミン、5-HT)は、神経細胞、平滑筋、その他の細胞に作用して中枢および末梢機能を調節する神経伝達物質である。5-HTは肺および肺疾患を含む複数の生理学的、心理学的プロセスの制御と調節に関与する。文献では、5-HTと肺疾患との関係性についてBritishJournalof Pharmacology 141, 1285-93 (2004)、「慢性閉塞性肺疾患の発症における循環セロトニンの役割」およびPloSOne 7,e31617 (2012)、「急性および慢性肺高血圧症の病因におけるセロトニンの役割」にその報告がある。
【0005】
5-HT生合成の律速段階では、二酸素によりトリプトファンがヒドロキシル化する。この時、補因子(6R)-L-エリスロ-5,6,7,8-テトラヒドロビオプテリン(BH4) の存在下でトリ
プトファンヒドロキシラーゼ (TPH; EC 1.14.16.4)が触媒として機能する。得られた酸化生成物である5-ヒドロキシトリプトファン (5-HTT) は、続いて芳香族アミノ酸デカルボ
キシラーゼ (AAAD; EC4.1.1.28) により脱炭酸され、5-HTを生成する。TPHは、フェニル
アラニン水酸化酵素 (PheOH)、チロシン水酸化酵素 (TH) とともにプテリン依存性芳香族アミノ酸水酸化酵素ファミリーに属する。
【0006】
TPHの2つの脊椎動物アイソフォームであるTPH1とTPH2が同定されている。TPH1は、主に松果体および胃腸(GI) 管に局在するenteiクロム親和性(EC) 細胞などの非神経組織で発現する。TPH2(脳で優勢な型)は、背側縫線や筋層間神経叢細胞などの神経細胞にのみ発現する。5-HT生合成に関与する末梢系および中枢系は分離されており、5-HTは血液脳関門を通過できない。このため、5-HTの薬理学的効果は末梢のTPH、主に腸のTPH1に影響する
薬剤によって調節される。
WO2015/035113および米国特許第9,199,994号は、TPHの阻害剤として作用し、肺動脈性
肺高血圧症 (PAH) および他疾患に関連する肺動脈性肺高血圧症(APAH) の心血管疾患を含む、末梢セロトニンと関連する種々の疾患および障害の治療に有用であるスピロ環式化合物を開示している。
しかしながら、患者におけるPAH/APAHを治療または予防する方法が必要である。PAH/APAHの作用を調節または改善するうえで有効となる医薬化合物または組成物を全身投与している患者では、PAH/APAHを治療または予防する方法がさらに必要である。さらに、TPH1阻害剤を含有する医薬化合物または組成物によって患者のPAH/APAHを治療または予防する方法が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2015/035113号
【特許文献2】米国特許第9,199,994号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】British Journal of Pharmacology 141, 1285-93 (2004)
【非特許文献2】PloS One 7, e31617 (2012)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示において、患者におけるPAH/APAHを治療または予防する方法を提供する。本方法は、(i) (S)-エチル8-(2-アミノ-6-((R)-1-(5-クロロ-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエトキシ)ピリミジン-4-イル)-2、8-ジアザスピロ[4.5] デカン-3-カルボン酸塩、(ii) (S)-8-(2-アミノ-6-((R)-1-(5-クロロ-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエトキシ)ピリミジン-4-イル)-2,8-ジアザスピロ[4.5] デカン-3-カルボン酸、および (iii) 上記の組み合わせからなる群より選択される化合物の治療有効量を患
者に投与する手順を備えている。この化合物の治療有効量は、約10mg/kg/日~約1000 mg/kg/日の範囲である。
【0010】
本開示において、患者におけるPAH/APAHを治療または予防する方法を提供する。本方法は、(i) (S)-エチル8-(2-アミノ-6-((R)-1-(5-クロロ-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエトキシ)ピリミジン-4-イル)-2,8-ジアザスピロ[4.5] デカン-3-カルボ
ン酸塩、(ii) (S)-8-(2-アミノ-6-((R)-1-(5-クロロ-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエトキシ)ピリミジン-4-イル)-2,8-ジアザスピロ[4.5] デカン-3-カルボン酸、および (iii) 上記の組み合わせからなる群から選択される化合物を含む組成物の治
療有効量を、1種以上の薬学的に許容される賦形剤と共に患者に投与する手順を備えてい
る。この化合物の治療有効量は、約10mg/kg/日~約1000 mg/kg/日の範囲である。
【0011】
本開示において、患者におけるPAH/APAHを治療または予防する方法を提供する。本方法は、(i) (S) -エチル8-(2-アミノ-6-((R)-1-(5-クロロ-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエトキシ)ピリミジン-4-イル)-2,8-ジアザスピロ[4.5] デカン-3-カルボン酸塩またはその薬学的に許容される塩、(ii) (S)-8-(2-アミノ-6-((R)-1-(5-クロロ-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエトキシ)ピリミジン-4-イル)-2,8-ジアザスピロ[4.5] デカン-3-カルボン酸またはその薬学的に許容される塩、および (iii) 前
記化合物と薬学的に許容される賦形剤との組み合わせからなる群から選択される化合物の治療有効量を含む組成物を患者に投与する手順を備えている。この化合物の治療有効量は、約10mg/kg/日~約1000mg/kg/日の範囲である。
【0012】
本開示において、PAH/APAHを治療する際の治療有効量の化合物の使用を提供する。この化合物は、(i)(S)-エチル8-(2-アミノ-6-((R)-1-(5-クロロ-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエトキシ)ピリミジン-4-イル)-2,8-ジアザスピロ[4.5] デカン-3-カルボン酸塩またはその薬学的に許容される塩、および (ii) (S)-8-(2-アミノ-6-((R)-1-(5-クロロ-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエトキシ)ピリミジン-4-イル)-2,8-ジアザスピロ[4.5] デカン-3-カルボン酸またはその薬学的に許容される塩、なら
びに (iii) 上記の組み合わせからなる群より選択される。この化合物の治療有効量は、
約10mg/kg/日~約1000 mg/kg/日の範囲である。
【0013】
本開示において、患者におけるPAH/APAHを治療または予防する方法を提供する。本方法は、(i) (S)-エチル8-(2-アミノ-6-((R)-1-(5-クロロ-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエトキシ)ピリミジン-4-イル)-2,8-ジアザスピロ[4.5] デカン-3-カルボ
ン酸塩またはその薬学的に許容される塩、(ii) (S)-8-(2-アミノ-6-((R)-1-(5-クロロ-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエトキシ)ピリミジン-4-イル)-2,8-ジアザスピロ[4.5] デカン-3-カルボン酸またはその薬学的に許容される塩、および (iii) 上
記の組み合わせからなる群から選択される化合物の治療有効量を患者に投与する手順を備えている。
【0014】
本開示において、患者におけるPAH/APAHを治療または予防する方法を提供する。本方法は、約1 mg/kg/日~約50 mg/kg/日の治療有効量のTPH1阻害剤を患者に投与する手順を備
えている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
下図を参照して、本開示の実施形態を説明する。
【0016】
【
図1】
図1には、本開示による(S)-エチル8-(2-アミノ-6-((R)-1-(5-クロロ-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエトキシ)ピリミジン-4-イル)-2,8-ジアザスピロ [4.5] デカン-3-カルボン酸塩の結晶性化合物(結晶性形態3)のXRPDをプロットした。
【0017】
【
図2】
図2には、
図1とは異なる多形形態の (S)-エチル8-(2-アミノ-6-((R)-1-(5-クロロ-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエトキシ)ピリミジン-4-イル) -2,8-ジアザスピロ [4.5] デカン-3-カルボン酸塩の結晶性化合物(結晶形態1)のXRPDをプロットした。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示の詳細な説明
肺動脈性肺高血圧症 (PAH) および他疾患に関連する肺動脈性肺高血圧症 (APAH) は、2つのスピロ環式化合物の一方または両方の投与により治療される。いかなる理論にも拘束されず、2つのスピロ環式化合物の各々は、5-HTの形成を阻害するように作用する。これ
により、PAH/APAHの効果を減少または改善する。
【0019】
有用なスピロ環式化合物は、(S)-エチル8-(2-アミノ-6-((R)-1-(5-クロロ-[1,1'-ビフ
ェニル]-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエトキシ)ピリミジン-4-イル) -2,8-ジアザスピロ [4.5] デカン-3-カルボン酸塩(本明細書では「RVT-1201」とも称する)である。この化
合物は、次式で示される:
【化1】
【0020】
上記化合物は、非晶質または結晶形のいずれかでPAH/APAHを予防または治療するために使用することができる。
図1(形態3)および
図2(形態1)ならびに表1および表2(形態3
)ならびに表3および表4(形態1)に示されるX線粉末回折パターンによって、2つの異な
る多形結晶形態が同定される。結晶性形態3多形は、特に95°C未満の温度下にて、結晶性形態1多形と比較して実質的により大きな安定性および貯蔵寿命を示すので好ましいと考
えられる。
【表1】
【表2】
【0021】
さらに別の態様では、形態3結晶多形は、19.05±0.20 (°2θ) に特徴的なXRPDピーク
を示す。
【0022】
形態1の結晶性化合物は、以下の表3に示すXRPD(X線粉末回折)パターンを示す。
【表3】
【0023】
さらに別の態様において、形態1の結晶性化合物は、以下の表4に示す顕著なXRPDピークを示す。
【表4】
【0024】
RVT-1201化合物の非晶質形態は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第9,199,994号(WO2015/054202に対応する)の実施例63iに記載されている方法に
よって調製することができる。次いで非晶質形態は、C4~C10アルコール、C4~C10酢酸アルキルおよびエーテルのような有機溶媒による抽出によって結晶形態に変換され得る。有用なアルコールとしては、ペンタン、ヘキサン、およびヘプタンがある。有用なエーテルには、メチルtertブチルエーテル(MTBE)がある。一例として、結晶形1はイソプロパノール、エタノール、シクロヘキサン、酢酸エチル、アセトン、水、およびこれらの混合物による抽出によって調製することができ、結晶形3は、MTBEおよび/またはヘプタンによる抽出によって調製することができる。結晶形態1および3は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれている、2018年11月14日出願の米国仮出願第62/767,171号に記載される抽出技術によって調製することができる。
【0025】
これとは別の有用なスピロ環式化合物は、下式の (S)-8-(2-アミノ-6-((R)-1-(5-クロ
ロ-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエトキシ) ピリミジン-4-イル)-2,8-ジアザスピロ [4.5] デカン-3-カルボン酸(本明細書では代わりに「KAR5417」と称する)である:
【化2】
【0026】
KAR 5417化合物の非晶質形態は、米国特許第9,199,994号の実施例34cに記載の方法によって調製することができる。
【0027】
「薬学的に許容できる」という表記は、本明細書では、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題または合併症を伴わずにヒトおよび動物の組織と接触して使用するのに適し、合理的な利益/リスク比と釣り合う化合物、材
料、組成物および/または剤形を指すために用いられる。
【0028】
マウスにおけるTPH1の阻害における非晶質(S)-エチル8-(2-アミノ-6-((R)-1-(5-クロロ-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエトキシ)ピリミジン-4-イル)-2,8-ジアザスピロ [4.5] デカン-3-カルボン酸塩の有効性は、実施例63iおよび表27に示す生物
学的アッセイにて米国特許第9,199,994号に示されている。
【0029】
本明細書中で使用される用語「患者」とは、互換的に使用され、哺乳動物、好ましくはマウス、ラット、他の齧歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマまたは霊長類、および最も好ましくはヒトを含む任意の動物を指す。ヒトには、成人を含むあらゆる年齢のヒトおよび乳幼児を含む小児が含まれる。
【0030】
本明細書中で使用される用語「治療有効量」とは、研究者、獣医、医師または他の臨床医によって求められている、組織、システム、動物、個人またはヒトにおける生物学的または医学的応答を誘発する活性化合物または薬剤の量を指す。
【0031】
本明細書で使用される用語「治療する」または「治療」は、1) 疾患を阻害することを
意味する。たとえば疾患、病態または障害の病状または総体的症状を経験しているかまたは示している個人における疾患、病態または障害を阻害すること(すなわち、病態および/または症状のさらなる進展を阻止することなど)、もしくは2)疾患を改善すること、たとえば疾患、病態または障害の病状または総体的症状を経験しているかまたは示している個人における疾患、病態または障害を改善すること(すなわち、病態および/または症状
を逆転させること)を指す。
【0032】
本明細書中で使用される用語「抑止」または「予防」とは、リスク発生率を低下させること、疾患の発症または悪化を遅らせるまたは阻害することを指す。たとえば疾患、病態または障害の素因はあるが、まだ疾患の症状または総体的症状を経験していないまたは示していない人や、以前に疾患、病態または障害の症状を示したことがあるが、治療を受けることで疾患の症状や相対的症状を示さなくなった人などが「抑止」または「予防」の対象となる。
【0033】
本発明のスピロ環式化合物は、そのような治療を必要とする患者(動物またはヒト)に、予防および/または治療効果が得られるような適切な量で投与することができる。任意
の特定の疾患または障害の治療または予防における使用に必要とされる用量は、通常、例えば選択された特定の化合物または組成物、投与経路、治療される状態の性質、患者の年齢および状態、同時に投与される薬剤または患者が摂取している特別な食事および他の因子に応じて、患者ごとに異なる。適切な投与量は、治療を行う医師によって決定され得る。しかし、投与量は本明細書に定義されるパラメータの範囲内である。
【0034】
スピロ環式化合物は、薬学的に許容される担体、アジュバントおよびビヒクルを含有する投与単位処方物中で、全身的に経口、皮下、非経口、噴霧吸入または直腸投与することができる。非経口投与法として、皮下注射、静脈内または筋肉内注射、または輸液法などがある。注射可能な液体は、水性および/または有機成分を含み得る。治療期間は、治療
を行う医師が必要であると判断した期間とすることができる。組成物は、必要に応じて、たとえば1日に1~4回(またはそれ以上)、またはさらに複数回以上投与することができ
る。投与は、1日2回、1日3回、毎日、毎週、隔週、毎週2回、隔週、毎月などで行うこと
ができる。治療期間は、所望の結果、たとえば特定の治療効果が達成されたときに終了することができる。ただし、場合によっては、治療期間を無期限に継続することができる。
【0035】
態様によっては、薬学的組成物は、経口投与用の固体剤形として調製することができる(たとえば、カプセル、錠剤、丸剤、糖衣錠、粉末、顆粒など)。錠剤は、圧縮および/
または成形によって調製することができる。圧縮錠剤は、結合剤、滑沢剤、滑沢剤、不活性希釈剤、保存剤、崩壊剤、分散剤などの薬学的に許容される賦形剤を含めることができるが、これらだけに限定されない。錠剤および他の固体剤形にはカプセル、丸剤、粉末、および顆粒などがあるがこれらだけに限定されず、腸溶コーティングなどのコーティングを含むことができる。
【0036】
経口投与のための液体投薬形態は、薬学的に許容されるエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシルなどのビヒクルを含むことができるが、これらだけに限定されない。液体ビヒクルは、水性および/または有機成分を有する。
懸濁液は、1種以上の懸濁剤を含むことができる。液体投与形態において有用な成分の例
としては、キレート剤、封鎖剤、粘度剤、増粘剤、浸透促進剤、溶媒、乳化剤、および皮膚軟化剤が挙げられるが、これらだけに限定されない。
【0037】
非経口投与に適した薬学的組成物は、1種以上の薬学的に許容される減菌した等張水溶
液または非水溶液、分散液、懸濁液またはエマルジョンと共にスピロ環式化合物を含むことができる。
【0038】
あるいは、組成物は、使用直前に滅菌注射可能溶液または分散液に再構成され得る滅菌粉末の形態にすることができる。
【0039】
固体および液体投与形態は、それらが所望の放出プロファイル、たとえば、即時放出、遅延放出、および延長または持続放出に適合するように製剤化することができる。
【0040】
投与されるスピロ環式化合物の量は、選択されるスピロ環式化合物、投与方法、放出プロファイル、および組成物配合物などの因子に応じて変動する。一般的には、PAH/APAHを治療または予防するための経口投与形態における2種類のスピロ環式化合物の場合、典型
的な投与量は、患者の体重に基づき、約1mg/kg/日~約50 mg/kg/日であり、さらに一般的には約5 mg/kg/日~約30 mg/kg/日である。最も好ましいスピロ環式化合物は、結晶形3のRVT-1201である。個々の経口投与形態には通常、約50mg~約3000mgのスピロ環式化合物
および追加量の一つ以上の薬学的に許容される賦形剤が含まれる。その他の有用な個々の経口投与形態には、その例として、100mg、150 mg、200 mg、250mg、300 mg、350 mg、
または400 mg、450 mg、500 mg、550 mg、575 mg、600mg、625 mg、650 mg、675 mg、700
mg、725 mg、750 mg、775 mg、800 mg、900 mg、950 mg、1000mg、1050 mg、1100 mg、1150 mg、および約1200mg、特に1200 mgの用量のスピロ環式化合物を有することができる。好ましい投与量は1200mgである。50 mgから3000 mgの間で、その他の投与量が適用可能であり、たとえば、約325mg~約475 mg、約350 mg~約500 mg、約375mg~約525 mg、約400 mg~約550 mg、約425 mg~約575 mg、約450mg~約600 mg、約475 mg~約625 mg、約500mg~約650 mg、約525 mg~約675 mg、約550 mg~約700 mg、約575mg~約725 mg、約600 mg~約750 mg、約625mg~約775 mg、約650 mg~約800 mg、約675 mg~約825 mg、約700
mg~約850 mg、約725 mg~約875 mg、約750mg~約900 mg、約775 mg~約925 mg、約800 mg~約950 mg、約825mg~約975 mg、約850 mg~約1000 mg、約900mg~約1150 mg、約1000 mg~約1150 mg、約1100 mg~約1250 mg、および約1200mg~約1350 mgの範囲である。
【0041】
「wt%」とは、組成物または配合物の総重量に基づく重量%を意味する。
【0042】
本開示により、上記の投与および投与レベルの方法において治療的に有効な量のTPH1阻害剤を患者に投与することによって、患者におけるPAH/APAHを治療または予防する方法も提供される。さらに本開示により、PAHおよび/またはAPAHの治療に有用な組成物、たとえば医薬組成物、ならびにこのような組成物でPAHおよび/またはAPAHを治療する方法も提供される。本発明の組成物は、本明細書に開示された1種以上のTPH1阻害剤のほか、1種以上の薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0043】
本発明の組成物は、10 mg、20 mg、30 mg、40 mg、50 mg、60 mg、70 mg、80 mg、90 mg、100 mg、110 mg、120mg、130mg、140 mg、150 mg、160 mg、170 mg、180 mg、190 mg、200 mg、210 mg、220 mg、230 mg、240mg、250mg、260 mg、270 mg、280 mg、290 mg
、300 mg、310 mg、320 mg、330 mg、340 mg、350 mg、360mg、370 mg、380 mg、390 mg
、400 mg、410 mg、420 mg、430 mg、440 mg、450 mg、460 mg、470 mg、480mg、490 mg
、500 mg、510 mg、520 mg、530 mg、540 mg、550 mg、560 mg、570 mg、580 mg、590 mg、600mg、610mg、620 mg、630 mg、640 mg、650 mg、660 mg、670 mg、680 mg、670 mg
、680 mg、690 mg、700mg、710 mg、720 mg、730 mg、740 mg、750 mg、760 mg、770 mg
、780 mg、790 mg、800 mg、810 mg、820mg、830 mg、840 mg、850 mg、860 mg、870 mg
、880 mg、890 mg、900 mg、910 mg、920 mg、930 mg、940mg、950 mg、960 mg、970 mg
、980 mg、990 mg、1000 mg、1050 mg、1100 mg、1150 mg、1200 mg、1250mg、1300 mg、1350 mg、または1400mgの本明細書に開示される一つ以上のTPH1阻害剤、および一つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含むことができる。
【0044】
本発明の組成物は、約10 mg~約1000 mgの本明細書に開示される一つ以上のTPH1阻害剤、および一つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含有することができる。
【0045】
上記のスピロ環式化合物およびその薬学的に許容される塩は、有用なTPH1阻害剤である。その他の有用なTPH1阻害剤には、p-クロロフェニルアラニンおよびp-エチニルフェニルアラニンなどのフェニルアラニン由来のTPH1阻害剤が挙げられる。「p-エチニルフェニルアラニン:強力なトリプトファン水酸化酵素阻害剤」、JournalofNeurochemistry 74, 2067-73 (2000) を参照のこと。その他の有用なTPH1阻害剤は、置換3-(4-(1,3,5-トリアジン-2-イル)-フェニル)-2-アミノプロパン酸を含む。次の文献を参照のこと。「トリプト
ファン5-ヒドロキシラーゼ阻害剤とそのセロトニン増加を伴う慢性下痢における可能性」Neurogastroenterologyand Motility:TheOfficial Journal of the European Gastrointestinal MotilitySociety 23, 193-200(2011年) 「新しいトリプトファンヒドロキシラーゼ阻害剤としての置換3-(4-(l,3,5-トリアジン-2-イル)-フェニル)-2-アミノプロパン
酸」Bioorganic& Medicinal Chemistry Letters 19, 5229-32 (2009)、「機能性消化器疾患の潜在的治療のための新しいトリプトファンヒドロキシラーゼ阻害剤による末梢セロトニンレベルの調節」JournalofMedicinal Chemistry 51, 3684-7 (2008)、および「消化
管におけるセロトニン合成を選択的に阻害する新しいトリプトファンヒドロキシラーゼ阻害剤の発見と特性解析」、TheJournal of Pharmacologyand Experimental Therapeutics, 325, 47-55 (2008))。
【実施例0046】
以下は、開示の例であり、限定として解釈されるべきではない。
【0047】
例1:ラットに対して100 mg/kg/日 (KAR5417 AUC0-24 15,300 ng.h/ml) の用量で経口
投与されたRVT‐1201は、確定診断されているPAHに対するモノクロタリン予防モデルとSUGEN低酸素治療モデルの両方でPAHをブロックまたは改善する可能性がある。RVT-1201(30~300mg/kg/日)は、ラット血清セロトニン(-27%~-96%) および5-HIAAの24時間尿中排
泄量 (-45%~-56%) を用量に依存して減少させる可能性がある。HIAAは全セロトニン生合成を反映する代謝産物である。
【0048】
75mg/kg/日で投与したラットの分割投与試験(~65%のセロトニン減少)では、低下したセロトニンバイオマーカーと相関するCmaxまたはCtroughよりもむしろ、KAR5417AUC0-24が示されている。ラットに1日1回投与すると、それがBIDまたはTIDレジメンに匹敵することが示されると考えられる。
【0049】
例2:
【0050】
健常なヒト被験者(n=~120) にRVT-1201を投与することが可能である。投与後に発現した有害事象のうち、重篤となるもの、あるいは用量制限毒性と考えられるものはない。標準食とともに摂取した場合、単回投与後のAUCは200~1200mgの用量に比例すると考えられる)。
【0051】
400 mgBID(1日2回)では、5-HIAAの変化は試験間で同程度になると考えられる。血漿
中5-HIAAの平均変化量は、投与1日目から14日目にかけて約-53%であるが、プラセボでは
約+26%である。KAR5417のAUCを400mgと800 mgの間のBIDレジメンで補うことにより、ヒトでは500~600 mgのBIDでラットモデルでの有効性に関連した目標暴露量を達成できると考えられる。以上をまとめると、RVT-1201は臨床的に意義のあるAUCを達成するうえで必要
となる用量で、またPAH治療のためのセロトニンバイオマーカーを低下させることにより
、健常被験者において良好な忍容性を示すと考えられる。
【0052】
上述の説明は、本開示の単なる例示であることを理解されたい。当業者は、本開示から逸脱することなく、様々な選択肢および修正を考案することができる。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲の範囲内にあるすべてのそのような選択肢、修正および変異を包含することを意図している。
例えば、本発明は、以下の項目を提供する。
(項目1)
(i)(S)-エチル8-(2-アミノ-6-((R)-1-(5-クロロ-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエトキシ)ピリミジン-4-イル)-2,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-3-カルボキシレ
ートまたはその薬学的に許容される塩、(ii) (S)-8-(2-アミノ-6-((R)-1-(5-クロロ-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエトキシ)ピリミジン-4-イル)-2,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-3-カルボン酸またはその薬学的に許容される塩、および(iii) 上記の
組み合わせからなる群から選択される化合物の治療有効量を患者に全身投与することを含む、患者での肺動脈性高血圧症または他疾患に関連する肺動脈性高血圧症を治療または予防する方法であって、治療有効量が約1mg/kg/日~約50mg/kg/日とする方法。
(項目2)
本化合物またはその薬学的に許容される塩を経口投与する、項目1に記載の方法。
(項目3)
本化合物またはその薬学的に許容される塩が、カプセル、錠剤、粉末および顆粒からなる群より選択される剤形によって経口投与される、項目2に記載の方法。
(項目4)
本合物またはその薬学的に許容される塩が、液体の形態で経口投与される、項目2に記載
の方法。
(項目5)
本化合物またはその薬学的に許容される塩を1日1~4回投与する、項目1乃至4のうち何れ
か1項に記載の方法。
(項目6)
本化合物が(S)-エチル8-(2-アミノ-6-((R)-1-(5-クロロ-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエトキシ)ピリミジン-4-イル)-2,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-3-カルボキシレートまたはその薬学的に許容される塩である、項目1乃至5のうち何れか1項に記載
の方法。
(項目7)
本化合物が(S)-エチル8-(2-アミノ-6-((R)-1-(5-クロロ-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエトキシ)ピリミジン-4-イル)-2,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-3-カルボキシレートである、項目1乃至5のうち何れか1項に記載の方法。
(項目8)
本化合物が(S)-8-(2-アミノ-6-((R)-1-(5-クロロ-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)-2,2,2-ト
リフルオロエトキシ) ピリミジン-4-イル)-2,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-3-カルボン酸
またはその薬学的に許容される塩である、項目1乃至5のうち何れか1項に記載の方法。
(項目9)
本化合物が(S)-8-(2-アミノ-6-((R)-1-(5-クロロ-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)-2,2,2-ト
リフルオロエトキシ) ピリミジン-4-イル)-2,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-3-カルボン酸
である、項目1乃至5のうち何れか1項に記載の方法。
(項目10)
本化合物が実質的に非晶質形態である、項目1乃至3および5乃至9のうち何れか1項に記載
の方法。
(項目11)
本化合物が実質的に結晶形態である、項目1乃至3および6乃至9のうち何れか1項に記載の
方法。
(項目12)
本化合物が、
図1に対応するXRPDプロットを有する結晶多形である、項目11に記載の方法
(項目13)
本化合物が、表1または表2に対応するXRPDプロットを有する結晶多形である、項目11に記載の方法。
(項目14)
本化合物が、19.05±0.20(°2θ) に特徴的なXRPDピークを示す結晶多形である、項目11
に記載の方法。
(項目15)
組成物を全身的に患者に投与することを含む患者での肺動脈高血圧症または他疾患に関連する肺動脈高血圧症を治療する方法であって、この組成物は、(i) (S)-エチル8-(2-アミ
ノ-6-((R)-1-(5-クロロ-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエトキシ)ピリ
ミジン-4-イル)-2,8-ジアザスピロ[4.5] デカン-3-カルボキシレートまたはその薬学的に許容される塩、(ii) (S)-8-(2-アミノ-6-((R)-1-(5-クロロ-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエトキシ)ピリミジン-4-イル)-2,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-3-カ
ルボン酸またはその薬学的に許容される塩、および (iii) 上記の組み合わせからなる群
から選択される治療有効量の化合物、および薬学的に許容される賦形剤を含み、治療有効量は約1mg/kg/日~約50mg/kg/日であることを特徴とする。
(項目16)
(i)(S)-エチル8-(2-アミノ-6-((R)-1-(5-クロロ-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエトキシ)ピリミジン-4-イル)-2,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-3-カルボキシレ
ートまたはその薬学的に許容される塩、(ii) (S)-8-(2-アミノ-6-((R)-1-(5-クロロ-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエトキシ)ピリミジン-4-イル)-2,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-3-カルボン酸またはその薬学的に許容される塩、および(iii) 上記の
組み合わせからなる群から選択された、肺動脈性高血圧症または他疾患に関連する肺動脈性高血圧症の治療または予防における治療有効量の化合物の使用で、治療上の有効量は、約1mg/kg/日~約50mg/kg/日であることを特徴とする。
(項目17)
患者において肺動脈性肺高血圧症または他疾患に関連する肺動脈性肺高血圧症を治療または予防する方法であって、約1 mg/kg/日~約50 mg/kg/日の治療有効量のTPH1阻害剤を患
者に全身的に投与することを含む方法。
(項目18)
(i)(S)-エチル8-(2-アミノ-6-((R)-1-(5-クロロ-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエトキシ)ピリミジン-4-イル)-2,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-3-カルボキシレ
ートまたはその薬学的に許容される塩、(ii) (S)-8-(2-アミノ-6-((R)-1-(5-クロロ-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエトキシ)ピリミジン-4-イル)-2,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-3-カルボン酸またはその薬学的に許容される塩、および(iii) 前記の
組み合わせからなる群から選択される化合物の治療有効量を患者に全身投与することを含む、患者における肺動脈性高血圧症または関連する肺動脈性高血圧症を治療または予防する方法。