(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019706
(43)【公開日】2024-02-09
(54)【発明の名称】可視ラマンレーザーを用いた材料加工のための用途、方法、及びシステム
(51)【国際特許分類】
G02F 1/35 20060101AFI20240202BHJP
【FI】
G02F1/35 502
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023220383
(22)【出願日】2023-12-27
(62)【分割の表示】P 2022042177の分割
【原出願日】2015-08-27
(31)【優先権主張番号】62/042,785
(32)【優先日】2014-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/193,047
(32)【優先日】2015-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】316003531
【氏名又は名称】ヌブル インク
(74)【代理人】
【識別番号】100175983
【弁理士】
【氏名又は名称】海老 裕介
(72)【発明者】
【氏名】ゼディカー, マーク, エス.
(57)【要約】
【課題】800nmより下のレーザー波長を使用するレーザー利用製造システム及び装置を提供する。
【解決手段】当該ラマンレーザーモジュールは、レーザー利用製造で使用するためのラマンレーザーモジュール(RLM)であり、約700nm未満の波長、2以下のM
2、及び500Wより大きいパワーを有する機能的レーザービームを提供するためのポンプレーザービーム源及びラマン発振器、を備えている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー利用製造で使用するためのラマンレーザーモジュール(RLM)であって、約700nm未満の波長、2以下のM2、及び500Wより大きいパワーを有する機能的レーザービームを提供するためのポンプレーザービーム源及びラマン発振器、を備えているラマンレーザーモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本願は、(i)合衆国法典第35巻、第119条(e)(1)の下に、米国仮特許出願第62/042,785号の出願日である2014年8月27日について出願日の恩典を主張するとともに、(ii)合衆国法典第35巻、第119条(e)(1)の下に、米国仮特許出願第62/193,047号の出願日である2015年7月15日について出願日の恩典を主張するものであり、それら仮特許出願の各々の開示全体をここに参考文献として援用する。
【0002】
[0002]本発明は、300nmから700nmの範囲にあるレーザービームを発生させるレーザーに関するものであり、当該レーザービームはこれらの波長にあって優れたビーム品質を有するより高いパワーのレーザービームを含む。本発明は、更に、レーザー製造プロセス、レーザー製造システム、及びレーザー製造デバイスに関し、特に、本発明の新規性のあるレーザーの新規性のあるレーザービームを使用するレーザー利用製造プロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]本発明以前は、300nm-700nmの範囲にあるレーザービームは、典型的には、近赤外線レーザー又は赤外線レーザーの周波数二逓倍化を使用するレーザー源から得られている。今日まで、一般的には、またとりわけ商業的に存立可能なシステムについては、技術がこれらの型式のレーザーをスケールして、より高いパワーのレーザー、例えば500W(0.5kW)より大きいレーザー、特に1kW以上のレーザーを作り出すことはできなかったと考えられる。ひいては、これまで、技術がこれらのレーザーをスケールして300nm-700nmの範囲にあって高ビーム品質を有する高パワーレーザーを得ることはできなかったと考えられる。これらの波長範囲にある高パワーレーザーを得ることができないという無能さは、概して、技術的には、他にもあるが中でも特に、高いパワーレベルで要求される熱負荷及びフルエンスレベルを取り扱う非線形結晶の能力によって制限されるものであると考えられる。必然の結果として、周波数二逓倍化によって入手可能な最も高いパワーの高ビーム品質レーザーは、目下のところ、約400W(0.4kW)パルスに制限されると考えられる。結晶への熱負荷を管理するにはパルシングが必要になる。300nm-700nmの範囲にあって例えば1kW以上のより高いパワーを有し且つ例えばM2~1のより高いビーム品質を有する商業的に存立可能又は有用なレーザーは、本発明以前は得られなかったと考えられる。
【0004】
[0004]本発明の具現化以前は、大別して4つの型式の青色レーザーがあったと考えられる。青色レーザーは、約400nm-505nm、典型的には405nm-495nmの範囲にある波長を有するレーザーである。これらの青色レーザーは、(i)He:Cd型、(ii)Ar-イオン型、(iii)ダイオードレーザーダイレクト及び周波数二逓倍化型、(iv)固体パラメトリック発振器及び周波数二逓倍化型、(v)ファイバーレーザー二逓倍化型及び周波数シフトファイバーレーザー二逓倍化型、である。
(i)He:Cd型レーザーは、単一モードであるが、パワーは数百ミリワット、例えば0.0001kWに制限される。He:Cd型レーザーは、典型的には単一横モードであるが、これらのレーザーの低効率(<0.025%)のせいで、これらのレーザーを高いパワーレベルへスケールするのは極めて困難であり、よってそれらは高パワー材料加工用途には適していない。
(ii)Ar-イオン型レーザーは、非常に非効率であり、必然の結果として比較的低いパワー、即ち約0.005kW未満マルチラインに制限される。これらのレーザーは、これらの低パワーにおいて、多波長動作を有する単一横モードである。これらのシステムの寿命は、典型的には<5,000時間であって、殆どの工業的用途にとっては比較的短い。
(iii)青色ダイオードレーザーは近年になって入手可能になりつつある。とはいえ、それらは、低パワー、典型的には0.0025kW未満であり、また貧弱なビーム品質、例えば遅軸でM2>5、速軸でM2_~1を有している。それらデバイスは今日では20,000時間のオーダーの寿命を有しており、多くの工業的レーザー用途及び商業的レーザー用途に適している。これらのデバイスを200ワット又はそれ以上へスケールしようとすると、ビーム品質はパワーの漸増につれ低下する。例えば200ワットでM2>50である。
(iv)周波数二逓倍化青色レーザー源は典型的には約0.50kW程度の出力パワーに制限される。青色光を作成するための方法は、800nm台-900nm台の範囲の光源を周波数二逓倍化するか又は2つの異なる波長の和周波数混合を使用して第3の周波数を生成するかのどちらかということになろう。どちらの技法もニオブ酸リチウム又はKTPの様な非線形二逓倍化結晶の使用が必要条件となる。これらの結晶は比較的短く、必然の結果として、それらは効率的な変換を実現するのに高いピークパワーレベルを必要とする。CWモードでの動作時、熱の問題並びに電荷移動の問題が、結晶の急速な劣下及びその結果として起こるレーザーの出力パワーの低下を引き起こさないとも限らない。
(v)周波数シフトされ次いで青色へと周波数二逓倍化されるファイバーレーザーは、ニオブ酸リチウム又はKTPの様な非線形二逓倍化結晶の使用が必要条件となる。これらの結晶は比較的短く、必然の結果として、それらは効率的な変換を実現するのに高いピークパワーレベルを必要とする。CWモードでの動作時、熱の問題並びに電荷移動の問題が、結晶の急速な劣下及びその結果として起こるレーザーの出力パワーの低下を引き起こさないとも限らない。
【0005】
[0005]本発明以前は、青色波長レーザービームは、典型的には、パラメトリック発振器、四光波混合、及びダイレクト二逓倍化によって得られた。これらは全て、青色波長を実現するのに非線形結晶の使用を頼みとする非効率的なプロセスである。これらの結晶は、レーザーパワーが数百W(0.数kW)CWに近付くと起こる熱負荷を管理することができず、1kW及びそれより大きいパワーについては言うまでもない。
【0006】
[0006]これらの先行技術による型式の青色レーザー及びそれらが提供したレーザービームは、レーザー利用製造プロセス又はレーザー利用製造システムでの使用には不適当であると考えられる。これらの型式の先行技術による青色レーザーは、本発明の実施形態の高パワーのレーザービーム、例えば0.1kW及びそれより大きいパワーを有する青色波長、を得ることができないと考えられる。高パワー周波数二逓倍化レーザー源は、典型的には、高いピークパワーレベル及びその結果である高い変換効率を実現することのできる高速パルス源である。これらの型式の先行技術による青色レーザーは、更に、殆どのレーザー利用製造での使用、とりわけ厳しい公差を有する物品の形成で使用するうえでの時間的特性を有している。これらの型式の先行技術による青色レーザーは、本発明の実施形態の高パワー及び高CW出力を提供するのは無理である。
【0007】
[0007]本発明以前は、450nm以下のレーザービームは、典型的には、パラメトリック発振器、四光波混合、及びIR源の周波数三逓倍化によって得られた。これらは全て、短い(200nm-450nm)波長を実現するのに非線形結晶の使用を頼みとする非効率的なプロセスである。これらの結晶は、レーザーパワーが数百W(0.数kW)CWに近付くと起こる熱負荷を管理することができず、1kW及びそれより大きいパワーについては言うまでもない。
【0008】
[0008]本発明以前は、700nm-800nmの範囲にあるレーザービームは、典型的には、色素レーザーの励起、パラメトリック発振器、四光波混合、及びIR源の周波数二逓倍化によって得られた。これらは全て非効率的なプロセスであり、色素レーザーは経時的に脱色する傾向があり、限られた相互作用体積を有しており、高いCWパワーレベルを実現するのを困難にする。他のプロセスは700nm-800nmの波長を実現するのに非線形結晶の使用を頼みとしている。これらの結晶は、レーザーパワーが数百W(0.数kW)CWに近付くと起こる熱負荷を管理することができず、1kW及びそれより大きいパワーについては言うまでもない。
【0009】
[0009]ここでの使用に際し、別途明示されていない限り、「レーザー利用製造」(「LAM:Laser Additive Manufacturing」)、「レーザー利用製造プロセス」、「利用製造プロセス」という用語及び類似のその様な用語は、それらの可能な限り最も広範な意味を与えられるべきであり、3D印刷、三次元印刷、焼結、溶接、及びろう付けの様なプロセス、用途、及びシステムはもとより、作製される物品(例えば、製品、構成要素、及び部品)の作製過程の少なくとも1つの段階でレーザービームを利用する何れかの他のプロセスを含む、ということになる。これらの用語は、作製される物品のサイズによって限定又は制限されることはなく、例えば、それらは、サブミクロン、例えば、1μm未満から、1μmまで、10μmまで、数十ミクロンまで、数百ミクロンまで、数千ミクロンまで、ミリメートルまで、メートル乃至キロメートルまで、の物品を網羅することになる(例えば、リボン状又は帯状の材料を作成する連続LAMプロセス)。
【0010】
[0010]ここでの使用に際し、別途明示されていない限り、「レーザービームスポットサイズ」及び「スポットサイズ」という用語は、それらの可能な限り最も広範な意味を与えられるべきであり、レーザービームの横断面形状、レーザービームの横断面積、ターゲット上のレーザービーム照射区域の形状、ターゲット上のレーザービームの照射面積、「最大強度スポットサイズ」つまりレーザービームが少なくとも1/e2又はそのピーク値の0.135であるレーザービームの断面積、「50%強度スポットサイズ」つまりレーザービームがそのピーク値の少なくとも0.00675であるレーザービームの断面積、及びレーザービームが機能的特性を有しているレーザービームの断面積、を含む。
【0011】
[0011]ここでの使用に際し、別途明示されていない限り、「機能的利用製造レーザービーム」、「機能的ビーム」、「機能的レーザービーム」という用語及び類似のその様な用語は、出発材料又はターゲット材料を物品へと形成又は造形するためのパワー、波長、フルエンス、放射照度(単位面積当たりパワー)、及びこれらの特性の組合せ及び変形形態を有するレーザービームであって、これらの材料へレーザービーム効果を及ぼすことによって、例えば、焼結する、ろう付けする、焼き鈍す、溶接する、融解させる、接合する、粘着性を高める、軟化させる、架橋結合する、結着する、反応させる、などによって、出発材料又はターゲット材料を物品へと形成又は造形するレーザービームを意味する。
【0012】
[0012]ここでの使用に際し、別途明示されていない限り、「約」という用語は、±10%の分散又は範囲、表明されている値を得ることに関連付けられる実験誤差又は計器誤差、及び望ましくはこれらのより広い範囲、を網羅するものとする。
【0013】
[0013]ここでの使用に際し、別途明示されていない限り、「光学素子」、「光学要素」、「光学系」という用語及び類似のその様な用語は、それらの可能な限り最も広範な意味を与えられるべきであり、それらは、レーザービームを取り扱う(例えば、ビームのエネルギーによって傷ついたり急速に破壊されたりすること無しにレーザービームを伝送する、反射する)ことのできる何れかの型式の要素又は系;レーザービームを所定の方式で有効化すること(例えば、レーザービームを、伝送する、合焦する、焦点外しする、成形する、コリメートする、操舵する、走査する、など)のできる何れかの型式の要素又は系;多重化されたビーム形状、例えば、十字、X形状、矩形、六角形、アレイ状の線、或いは、線、方形、及び円柱形を接続させた又は異なる距離に離間させた関連の形状など、を提供する要素又は系;屈折レンズ;回折レンズ;回折格子;透過型回折格子;ミラー;プリズム;レンズ;コリメーター;非球面レンズ;球面レンズ;凸レンズ;負メニスカスレンズ;両凸レンズ;アキシコン、勾配屈折レンズ;非球面プロファイルを有する要素;アクロマティックダブレットを有する要素;マイクロレンズ;マイクロアレイ;オンザフライで画像を作成及び操舵するのに使用することのできるDLPプロジェクターで使用されている様なメムスステアリングミラー;ニオブ酸リチウムビーム操舵用結晶;高速度ガルバノメーター;リニアモーターと高速度ガルバノメーターの組合せ;浮上式光ヘッド;形状可変ミラーデバイス;これら及び他のビーム取り扱いデバイスの組合せ及び変形形態、を含むことになる。
【0014】
[0014]本発明の背景技術の項は、本発明の実施形態と関連付けられ得る当技術の様々な態様を紹介することを意図している。而して、本項での上記論考は、本発明をより深く理解するための枠組みを提供しており、先行技術の是認と見なされてはならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国仮特許出願第62/042,785号
【特許文献2】米国仮特許出願第62/193,047号
【特許文献3】米国特許第5,352,405号
【特許文献4】米国特許第5,340,656号
【特許文献5】米国特許第5,204,055号
【特許文献6】米国特許第4,863,538号
【特許文献7】米国特許第5,902,441号
【特許文献8】米国特許第5,053,090号
【特許文献9】米国特許第5,597,589号
【特許文献10】米国特許出願公開第2012/0072001号
【特許文献11】米国特許第5,832,006号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
[0015]他にもあるが中でも特に300nm-800nm波長にあるレーザービームを提供するレーザーの必要性、具体的には、他にもあるが中でも特に改善されたレーザー利用製造プロセス、溶接プロセス、切削プロセス、ろう付けプロセス、研磨プロセス、アブレーションプロセス、及びはんだ付けプロセスで使用するための高パワー及び高ビーム品質を有する青色レーザー及びレーザービームの必要性が、長年に亘って存在し未だ成就されていない。本発明は、他にもあるが中でも特に、これらの必要性をここに教示され開示されている製造品、デバイス、及びプロセスを提供することによって解決する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
[0016]レーザー利用製造プロセス(LAM:Laser Additive Manufacturing)装置であって、約750nm未満の波長を有する機能的レーザービームをビーム経路に沿って提供するためのレーザーと、造形台と、出発材料及び出発材料を造形台に隣接するターゲット区域へ送達することのできる出発材料送達装置と、機能的レーザービームを提供するとともにレーザービームスポットを形成するためのビーム成形光学素子を有するレーザービーム送達装置と、造形台又はレーザービーム送達装置又はそれら両方へ機械的に接続されていて、それによりレーザービーム送達装置と造形台の間の相対運動を提供することのできるモーター及び位置決め装置と、プロセッサとメモリデバイスとLAM計画を有していて、機能的レーザービーム及び出発材料の所定の配置を通してLAM計画を実施することのできる制御システムと、を有しているLAM装置が提供されている。
【0018】
[0017]また更に、次の特徴の1つ又はそれ以上を有しているシステム、装置、及び方法であって、即ち、レーザーは、500nm未満の波長を有するポンプレーザーダイオードと、ラマン発振器ファイバーと、を有している;レーザーは、ポンプレーザーダイオード及びラマン発振器であってnを整数としてnオーダーのラマン発振を提供するように構成されているポンプレーザーダイオード及びラマン発振器、を有している;nは1、2、3、4、5、6、7、8、及び9から成る群より選択されている;nオーダーの発振はストークスである;nオーダーの発振はアンチストークスである;造形材料は、マグネシウム、アルミニウム、ガリウム、錫、鉛、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、タングステン、金、水銀、金属、金属の合金、及び金属の混合物から成る群より選択されている;出発材料は粉末である;出発材料は約1μm未満の粒子サイズを有する粉末である;出発材料は約0.05μmから約2.5μmまでの粒子サイズを有する粉末である;出発材料は約0.05μmから約2.5μmまでの粒子サイズを有する粉末である;出発材料は約40μmからの及びそれより小さい粒子サイズを有する粉末である;出発材料は約25μm未満の粒子サイズを有する粉末である;出発材料は約15μm未満の粒子サイズを有する粉末である;出発材料は約0.5μm未満の粒子サイズを有する粉末である、のうちの1つ又はそれ以上を有しているシステム、装置、及び方法が提供されている。
【0019】
[0018]加えて、レーザー利用製造で使用するためのラマンレーザーモジュール(RLM:Rama Laser Modules)であって、約700nm未満の波長、2未満のM2、及び500Wより大きいパワーを有する機能的レーザービームを提供するためのポンプレーザービーム源及びラマン発振器を有しているラマンレーザーモジュールが提供されている。
【0020】
[0019]更にまた、次の特徴の1つ又はそれ以上を有している装置、システム、及び方法であって、即ち、ラマン発振器は、シリカ、GeO2ドープシリカ、リンドープシリカから成る群より選択された材料を有するファイバー発振器を有している;ポンプレーザー源はダイオードレーザーを有している;ポンプレーザー源は、約10mm-mrad未満のビームパラメータ積を有するポンプレーザービームを発生させるために複数のレーザーダイオードを有している;ポンプレーザー源は少なくとも20個の青色レーザーダイオードで成るアレイを有している;アレイは約405nmから約460nmの範囲にある波長を有するポンプレーザービームを提供する;発振器ファイバーは長さを有しており、当該長さは約30m又はそれより短い;発振器ファイバーは長さを有しており、当該長さは約20m又はそれより短い;発振器ファイバーは長さを有しており、当該長さは約25m又はそれより短い;発振器ファイバーは長さを有しており、当該長さは約40m又はそれより短い;機能的レーザービームは約405nmから約470nmまでの波長を有している、のうちの1つ又はそれ以上を有している装置、システム、及び方法が提供されている。
【0021】
[0020]更には、ポンプレーザー源が、約405nm-約470nmの波長、100Wより大きいパワー、を有するポンプレーザービームを提供する青色レーザーダイオードシステムを有している、及びラマン発振器ファイバーが、約10μm-50μmのコア径を有していて、グレーデッドインデックスファイバー又はステップインデックスファイバーである、装置、方法、及びシステムが提供されている。
【0022】
[0021]また加えて、ポンプレーザー源を含むレーザーを冷却する手段が提供されており当該冷却する手段は、能動的又は受動的な空気冷却を使用する空冷式、冷却液又は冷媒を使用する様な液冷式、及び閉ループ水冷システムを使用する水冷式であってもよい。
【0023】
[0022]更には、次の特徴の1つ又はそれ以上を有している装置、方法、及びシステムであって、即ち、ポンプレーザー源はスペクトルビームコンバイナを有している;RLMからのレーザービームはコヒーレント的に組み合わされて単一の機能的レーザービームを形成する;ポンプレーザー源は、駆動電子機器一体型レーザーダイオードであって、電流を制御しパルスポンプレーザービームを提供するべくポンプレーザー源ダイオードの急速パルシングを可能にする駆動電子機器一体型レーザーダイオードを有している;約0.1MHzから約10MHzまでのパルス繰返し数、のうちの1つ又はそれ以上を有している装置、方法、及びシステムが提供されている。
【0024】
[0023]更にまた、出発材料を所定の造形区域に隣接するターゲット区域へ送達することのできる出発材料送達装置と、造形区域にて約100ミクロン未満の断面を有する機能的レーザービームスポットを提供するビーム成形光学素子と、ラマンレーザーモジュール(RLM)と、を有している3D印刷装置が提供されている。
【0025】
[0024]更にまた、本明細書に説明されているRLMのうちの1つ又はそれ以上のRLMを有する3D印刷装置を含んでいるLAMシステムが提供されている。
【0026】
[0025]加えて、レーザー利用製造(LAM)の方法であって、所定の最大吸収波長を有する出発材料を提供する段階と、所定の波長を有する機能的レーザービームを出発材料へ方向決めする段階であって、機能的レーザービーム波長は少なくとも部分的に出発材料の最大吸収波長に整合させることに基づいている、機能的レーザービームを方向決めする段階と、機能的レーザービームが出発材料と相互作用して物品を造形する段階と、を含んでいる方法が提供されている。
【0027】
[0026]更に、次の特徴の1つ又はそれ以上を有している方法、システム、及び装置であって、即ち、機能的レーザービーム波長と最大吸収波長は互いの100nm内で整合している;機能的レーザービーム波長と最大吸収波長は互いの50nm内で整合している;機能的レーザービーム波長と最大吸収波長は互いの10%内で整合している;機能的レーザービーム波長と最大吸収波長は互いの20%内で整合している;機能的レーザービーム波長と最大吸収波長は整合しており、それらは同じ波長である;物品は単一工程で造形される;物品は、熱膨張7.5乃至32μm/(m-K)(25°Cにて)、熱伝導率18乃至450W/(m-K)、電気抵抗14乃至420nΩ-m(20°Cにて)、ヤング率40乃至220GPa、剪断弾性係数15乃至52GPa、体積弾性係数40乃至190GPa、ポアソン比0.2乃至0.5、モース硬さ1乃至7、ビッカース硬さ150乃至3500MPa、ブリネル硬さ35乃至2800MPa、密度1.5乃至21g/cm3、を有している;物品は、熱膨張7.5乃至32μm/(m-K)(25°Cにて)、熱伝導率18乃至450W/(m-K)、ヤング率40乃至220GPa、剪断弾性係数15乃至52GPa、体積弾性係数40乃至190GPa、ポアソン比0.2乃至0.5、及び密度1.5乃至21g/cm3、を有している;物品は、電気抵抗14乃至420nΩ-m(20°Cにて)、ポアソン比0.2乃至0.5、及びモース硬さ1乃至7、を有している;物品は、熱膨張7.5乃至32μm/(m-K)(25°Cにて)、電気抵抗14乃至420nΩ-m(20°Cにて)、ヤング率40乃至220GPa、モース硬さ1乃至7、及び密度1.5乃至21g/cm3、を有している;物品は、熱膨張7.5乃至32μm/(m-K)(25°Cにて)、熱伝導率18乃至450W/(m-K)、電気抵抗14乃至420nΩ-m(20°Cにて)、ヤング率40乃至220GPa、剪断弾性係数15乃至52GPa、体積弾性係数40乃至190GPa、ポアソン比0.2乃至0.5、モース硬さ1乃至7、ビッカース硬さ150乃至3500MPa、ブリネル硬さ35乃至2800MPa、及び密度1.5乃至21g/cm3から成る群より選択された物理的特性を有している、のうちの1つ又はそれ以上を有している方法、システム、及び装置が提供されている。
【0028】
[0027]更にまた、次の特徴の1つ又はそれ以上を有している装置、システム、及び方法であって、即ち、ラマン発振器は、ダイヤモンド、KGW、YVO4、及びBa(NO3)2から成る群より選択された材料を有する結晶発振器を有している;ラマン発振器は高圧ガスを有している;ポンプレーザー源は約14mm-mrad未満のビームパラメータ積を有するポンプレーザービームを発生させるために複数のレーザーダイオードを有している;ポンプレーザー源は約9mm-mradから約14mm-mradまでのビームパラメータ積を有するポンプレーザービームを発生させるために複数のレーザーダイオードを有している、のうちの1つ又はそれ以上を有している装置、システム、及び方法が提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】[0028]本発明によるLAMシステム及びLAMプロセスの或る実施形態の概略斜視図である。
【
図2】[0029]本発明によるLAMプロセスの或る段階での出発材料の或る実施形態の断面図である。
【
図2A】[0030]本発明によるLAMプロセスの或る実施形態のより後の段階で
図2の出発材料から形成される物品の或る実施形態の断面図である。
【
図2B】[0031]本発明によるLAMプロセスの或る実施形態のより後の段階で出発材料及び
図2Aの物品の実施形態の断面図である。
【
図3】[0032]本発明によるLAM物品の或る実施形態の断面図である。
【
図4】[0033]本発明によるLAM物品の或る実施形態の断面図である。
【
図5】[0034]本発明によるLAMシステムの斜視図である。
【
図6】[0035]本発明によるLAMシステムの斜視図である。
【
図7】[0036]本発明による、459nmの機能的レーザービームを提供するための様々なラマン発振器ファイバー長さについての出力対出力カプラパーセンテージの図表である。
【
図8】[0037]本発明による、455nmの機能的レーザービームを提供するための様々な100Wのポンプ波長での出力パワー対出力カプラパーセンテージの図表である。
【
図9】[0038]本発明による、様々なラマン発振器ファイバー長さでの100W450nmポンプレーザービームからの455nm機能的レーザービームについての出力パワー対出力カプラの図表である。
【
図10】[0039]本発明による、コリメートされたレーザーダイオードの遅軸及び速軸について500mm焦点距離レンズを通るポンプレーザービームについてのスポットサイズ対ビームウエストの図表である。
【
図11】[0040]本発明による、使用される出発材料の実施形態についての最大吸収波長を示す図表である。
【
図12】[0041]本発明による、使用される水の吸収率を示す図表である。
【
図13A】[0042]本発明による、様々な材料のラマンファイバー及びラマン結晶についてのラマンストークスシフトを示す図表である。
【
図13B】[0042]本発明による、様々な材料のラマンファイバー及びラマン結晶についてのラマンストークスシフトを示す図表である。
【
図13C】[0042]本発明による、様々な材料のラマンファイバー及びラマン結晶についてのラマンストークスシフトを示す図表である。
【
図14A】[0043]本発明による、様々な材料のラマンファイバー及びラマン結晶についてのラマンアンチストークスシフトを示す図表である。
【
図14B】[0043]本発明による、様々な材料のラマンファイバー及びラマン結晶についてのラマンアンチストークスシフトを示す図表である。
【
図14C】[0043]本発明による、様々な材料のラマンファイバー及びラマン結晶についてのラマンアンチストークスシフトを示す図表である。
【
図15】[0044]本発明による、リンケイ酸ファイバーの或る実施形態での使用される3通りの異なるドーパントレベルについてのラマンスペクトルである。
【
図16】[0045]本発明によるレーザーの実施形態について、複数の波長での吸収率増加を示す様々な金属の吸収率のグラフである。
【
図17】[0046]本発明によるLAMシステムの或る実施形態の模式図である。
【
図18】[0047]本発明によるレーザーの様々な実施形態のレーザー性能を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
[0048]概して、本発明は、約200nmから約800nmの範囲にある波長を有するレーザービームを発生させるレーザーに関する。具体的には、本発明の実施形態は、青色レーザービームを発生させるレーザー及びこれらのレーザービームの用途に関する。また、本発明の実施形態は、300nm-700nmの範囲、特に400nm台の範囲、及び500nm台の範囲にある波長を有するより高いパワー乃至は高いパワーのレーザー及びレーザービーム、及びこれらの波長にあって優れたビーム品質を有するレーザー及びレーザービーム、に関する。本発明の実施形態は、更に、レーザー利用製造及びレーザー材料加工、特に、本発明の新規性のあるレーザーの新規性のあるレーザービームを使用するレーザー利用製造プロセス並びに溶接、ろう付け、切削、及びはんだ付けに関する。
【0031】
[0049]更に、本発明の実施形態は、所定の金属出発材料、及びこれらの出発材料へレーザー利用製造を遂行するための所定のレーザー波長に関する。特に、本発明の実施形態は、レーザー利用製造を遂行して金属物品を作製するために金属出発材料に整合されている所定のレーザービーム波長に関する。
【0032】
[0050]
図1を見ると、LAMシステム及びLAMプロセスの或る実施形態を描く概略図が示されている。而して、基部100、レーザーユニット101、レーザービーム送達組立体102がある。レーザービーム送達組立体102は、基部100からのスタンドオフ距離103にある(また出発材料が基部上にある場合は出発材料からのスタンドオフ距離にある)遠位端108を有している。典型的には、LAMプロセス中、出発材料(図に示さず)は基部100によって支持される。次いで、出発材料とレーザービームを互いに対して動かし、機能的レーザービーム109をビーム経路110に沿って進ませてレーザースポット111を形成させ、当該スポットが出発材料に接触することで出発材料が一体に接合され物品が形成される。出発材料とレーザースポットの相対運動(例えばラスタースキャン)が、矢印104(例えばx軸運動)、矢印105(例えばy軸運動)、矢印106(例えばz軸運動)、及び矢印107(例えば回転)によって描かれており、加えて、レーザービーム経路及びレーザービームが基部ひいては基部上の出発材料を打つ角度は変えることもできる。レーザースポットはまた、ベクトル様式で動かされてもよく、その場合、xとyの両方の運動が同時に起こってスポットを材料上の所定位置へ動かす。
図1のターゲット上のレーザービームの角度は、基部に対して90°又は直角である。この角度は、45°から130°まで、30°から120°まで、及び0°から180°まで、及び180°から360°までで変えることができる(例えば、物品は一例としてU字形状のリップを作製するように反転される)。これらの異なる基本的な相対運動の更なる組合せ及び変形形態を、レーザービームの発射及び出発材料の堆積と連携して遂行させることができ、この方式で、多くの異なる形状の物品、多くの異なるサイズの物品、また複雑度の変化する物品を作製することができる。これらの相対運動は、基部を動かすこと、レーザービーム送達組立体を動かすこと、レーザービームを操舵すること(例えば、ビームをガルボスキャナーで走査すること)、及びこれらの組合せ及び変形形態、によって実現され得るものと理解している。
【0033】
[0051]レーザーユニット及びレーザービーム送達組立体は、1つの一体型装置であってもよいし、又はそれらは別々になっていて光学的に例えば光ファイバー又は浮上式光ヘッドを介して接続されていてもよい。更に、レーザーユニットの構成要素の幾つか又は全てがレーザービーム送達組立体内に在ってもよく、その逆であってもよい。同様に、これらの構成要素及び他の構成要素は、レーザーユニット及びレーザービーム送達組立体から離して配置されていてもよい。これらの遠隔の構成要素は、光学的にレーザーユニット及びレーザービーム送達組立体と関連付けられていてもよく、機能的にレーザーユニット及びレーザービーム送達組立体と関連付けられてもよく(例えば、制御通信、データ通信、WiFi、など)、また光学的と機能的の両方であってもよい。レーザーユニット及びレーザービーム送達組立体は、概して、高パワーレーザー(好適には、本明細書に開示され教示されているラマンレーザー又はその開示全体がここに参考文献として援用される第62/193,047号に開示され教示されているダイレクトダイオードレーザー)と、レーザービームをレーザービーム経路に沿って所定のスポットサイズで送達するためのビーム成形及び取り扱い光学素子と、を有している。
【0034】
[0052]好適には、レーザーユニットは、レーザービームを所定の波長に生成し伝播させることのできる高パワーレーザーを有していて、レーザービームをレーザービーム送達組立体へ送達し、レーザービーム送達組立体がレーザービームを成形し、当該レーザービームを遠位端からレーザービーム経路に沿ってターゲットである例えば基部上又は造形途上の物品上に在る出発材料へ送達することができる。
【0035】
[0053]例えば、レーザービームは好適には表Iに示されている特性の1つ、2つ、又はそれ以上を有することができる。(表中の列又は行は特定の実施形態のためではなく、異なる行の特性は異なる列の特性と組み合わされてもよく、例えば1つの列内のパワーを異なる波長の全てについて存在させてもよい。単一の実施形態が表の異なる列及び異なる行からの特性を有するようにすることができる。)
【0036】
【表1】
※横断面は、スポットを例えば遅軸に横断して最も長い距離であり、円形スポットについて横断面は直径であり、楕円形についてそれは長径ということになる。
【0037】
[0055]レーザービーム送達装置は、所定のスポットサイズを意図されるスタンドオフ距離にて提供する受動的及び能動的なレーザービーム成形光学素子を収容している。レーザービーム送達装置は、更に、監視及び制御デバイスを収容していてもよいし、又は監視及び制御デバイスと動作可能に関連付けられていてもよい。例えば、当該デバイスは一例として高速度ビデオカメラを有する直線視野(down the pipe viewing)を有することもできるのではないだろう。この方式では、カメラはレーザービーム経路を基部へと下って眺め、レーザービームと出発材料との相互作用からの溶融塊の形成を視認することができる。深度センサ又は計器、場所センサ又は計器、レーザー警告(monitory)、溶融塊温度を測定する及びデバイスを測定するための赤外線及び可視光線高温計、及び他の監視、分析、及び制御装置、が使用することができる。この方式では、LAMプロセス、例えば物品を出発材料から造形する又は作製するプロセスを、監視、分析、及び制御することができる。而して、LAMプロセスは所定の用途に従うように制御され、LAMプロセスがリアルタイムで変更又は修正されてもよいし、又は監視機器が加工中の材料の緻密化及び品質に関してリアルタイムのフィードバックを提供するようにしてもよい。
【0038】
[0056]出発材料を提供するための送達デバイスはまた、レーザービーム送達装置に隣接しているか、或いはそれ以外にレーザービーム送達装置と動作可能に関連付けられているか、またそれ以外のやり方でレーザービーム送達装置と関連付けられていてもよい。この方式では、出発材料は基部上へ又は作製途上の物品上へと送達されることになり、例えば、噴霧され、流され、搬送され、引き出され、注がれ、まぶされる、ことになる。而して、例えば、出発材料は、ジェット、ノズル、レーザービームを中心とする同軸ジェット、エアナイフ又はドクターブレード組立体、レーザービームの動きを先回りして出発材料を送達する何れかの装置、噴霧ノズル、及び出発材料を送達する及び取り扱うための他のデバイス、を通して送達することができる。例えば、3D印刷用途に見られる出発材料送達デバイス及び出発材料を送達するためのプロセスを使用することができる。
【0039】
[0057]3D印刷装置、3D印刷システム、及び3D印刷方法の実施形態は、米国特許第5,352,405号、同第5,340,656号、同第5,204,055号、同第4,863,538号、同第5,902,441号、同第5,053,090号、同第5,597,589号、及び米国特許出願公開第2012/0072001号、に開示され、教示されており、それら特許及び特許出願の各々の開示全体をここに参考文献として援用する。
【0040】
[0058]制御システムは、レーザーの動作と物品を造形するための相対運動を提供する各種構成要素の動きと出発材料の送達を、統合し、監視し、制御するのが望ましい。制御システムはまた、監視、安全インターロック、レーザー動作条件、及びLAM加工プログラム又はLAM加工計画の様な、動作の他の態様を統合し、監視し、制御していてもよい。制御システムは、物品に関係のある様々な情報及びデータ、例えば幾つか例を挙げるなら顧客情報、伝票情報、在庫、動作履歴、保守点検、及びLAM加工プログラム又はLAM加工計画など、を記憶及び計算するためのデータ記憶デバイス及びデータ処理デバイスと(例えばネットワーク経由で)通信しているか又はその様なデータ記憶デバイス及びデータ処理デバイスを自身のシステムの一部として有していてもよい。
【0041】
[0059]LAM加工プログラム又はLAM加工計画は、所定の物品を作製するべく所定のLAMプロセスを遂行するようにLAMデバイスである例えば3Dプリンタを動作させるために制御部が実施するファイル、プログラム、又は一連の命令である。LAM加工計画は、3D描画又は3Dモデルファイルであるか、それに基づくか、又はそれから導出されてもよく、例えば、一例として.STEP、.STL、.WRL(VRML)、.PLY、.3DS、及び.ZPRを含む標準フォーマットをしているファイルの様なCADファイルがある。制御部はLAM加工計画(例えば、自身のメモリ内、ドライブ上、記憶デバイス上、又はネットワーク経由で入手可能)を有しており、当該計画を使用し、デバイスを動作させLAMプロセスを遂行させて意図する物品を造形させる。制御部が直接に3Dモデルファイルを使用する能力又は直接に当該ファイルをLAM加工計画へ変換する能力を有していてもよい。変換は、別のコンピュータによってなされていて、制御部に対し直接利用可能にされているというのであってもよいし又は後で使用するためにメモリ内又は記憶デバイス上に保持されるようになっていてもよい。3DモデルファイルをLAM加工計画へ変換するプログラムの一例は、Z Corp.社から入手できるZPrint(商標)である。
【0042】
[0060]出発材料は、幾つか例を挙げれば、液体、流体、固体、逆エマルジョン、エマルジョン、コロイド、マイクロエマルジョン、懸濁液、及びこれらの組合せ及び変形形態、であってもよい。流体ベースの出発材料系、例えば、懸濁液、コロイド、エマルジョンは、担体成分と担体成分内に分散させた造形成分とを有している。造形成分がレーザービームと相互作用して物品を作製する。これらの出発材料系は、レーザー波長に対して透過性である担体成分とレーザー波長に対して吸収性である造形成分とを有するものとすることができる。
図11及び
図12を見ると、金属出発材料である例えば造形材料の諸実施例の吸収特性と担体成分の一例である水の吸収特性が示されている。これらの図から、450nmの波長では、造形成分は吸収が高く、水は当該波長を容易に透過させることが分かる。而して、流体ベースの出発材料系については、所定のレーザー波長、特に表Iのレーザー波長につき、造形成分は、担体成分の吸収率の少なくとも2倍、担体成分の吸収率の少なくとも5倍、担体成分の吸収率の少なくとも10倍、担体成分の吸収率の少なくとも100倍、の吸収率を有することができる。
【0043】
[0061]
図16を見ると、出発材料の主成分であるか又は出発材料を構成しているとされるアルミナ、銅、金、銀、チタン、鉄、ニッケル、ステンレス鋼304、及び錫、についての吸収特性が示されている。このグラフから、本レーザーの実施形態の波長である例えば線1602では、これらの金属についての吸収率が、IR波長である例えば線1601でのそれらの吸収率より大きいことが分かる。
【0044】
[0062]好適には、表Iの波長について、出発材料は、金属ベースの粒子、例えば、ビード、粉末、微粒子である。而して、出発材料の実施形態は、マグネシウム、アルミニウム、ガリウム、錫、鉛、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、タングステン、金、及び水銀、これら及び他の金属の合金、インコネル625、インバー、ステンレス鋼、ステンレス鋼304、及びこれら及び他の金属及び合金の混合物及び変形物、の粒子とすることができる。出発材料の実施形態は、幾つか例を挙げれば、炭化ケイ素や光構造化可能な(photo-structurable)アルミノシリケートガラス-セラミック基板の様なセラミック材料、アルミニウム充填プラスチック、耐衝撃性ナイロン、ナイロン、ガラス充填ナイロン、難燃性ナイロン、炭素繊維、炭素繊維充填ナイロン、及びゴム様プラスチック、であってもよいし又はそれらを含んでいてもよい。システムの実施形態はまた、光学系が清浄に保たれるのを保証するとともに材料加工中に放出される何れかの揮発物を捕捉するための手段を提供する流動ガスエアナイフを含むことができる。粒子はまた、例えば混合金属複合体物品又は複合材物品を作製する場合には、金属と他の例えばセラミック又は充填剤の様な材料とを含有していることもあろう。3D印刷技術にとって知られている他の型式の出発材料を使用することもできる。機能的レーザービーム波長を出発材料の吸収特性に整合させることができる、例えば出発材料の吸収特性に対し適合するものとされている、のが好適である。例えば、450nmでの高い吸収にとって良好な出発材料の実施形態が
図11に示されており、それらは
図16にも示されている。
【0045】
[0063]金属粒子は、物品を造形するためレーザービームの経路への給送段階に備えてファイバー又はロッドの中へ好適には均一に分散させて組み入れられていてもよい。ファイバー又はロッド中の金属粒子のための担体は、形成される合金の中へ、各金属の正しい比を確立させ当該金属の「管材」が溶融塊内の材料の必要なバランスを提供するようにして、組み入れられているのが望ましい。加えて、ファイバー担体又はロッド担体は、出発材料又は造形品へ最小限又は無視できるほどの影響しか与えずに又は全く影響を与えずに機能的レーザービームによって蒸発させエアナイフシステムによって除去させる非金属材料とすることもできると考えられる。担体材料は、同様に、複合材物品の様な物品の一部を形成するように選択されていてもよい。例えば、機能的レーザービームに金属粒子の融合をもたらす吸収特性を持たせ、融合によって物品のための母材を作成し、そこへ次いで担体材料が充填されるというようにしてもよい。
【0046】
[0064]新規性のある新しいレーザー及び高パワーレーザービームは、これらの型式の所定の出発材料の組合せが、異なる吸収特性を活かし、先行技術による3D印刷では得ることのできなかった、また約700nmより下の波長では概して得ることのできなかった材料及び物品を造形する多くの機会を提供する。更に、金属粒子がサブミクロン範囲にあるなら、独自の新しいナノ複合材物品及びナノ複合材材料を造形することが可能になる。
【0047】
[0065]理解しておくべきこととして、物品及び造形品又は作製品は、例えば、完成最終製品、最終製品で使用するための完成構成要素、更なる加工工程又は追加の製造工程を必要とする製品又は構成要素、他の用途で使用するための材料、及び基板上の被覆、例えばワイヤ上の被覆、であってもよい。
【0048】
[0066]出発材料の粒子は、全体として単一金属又は単一合金で構成されていてもよいし、全体として幾つかの金属の混合物、幾つかの合金の混合物、及び幾つかの金属及び合金の混合物で構成されていてもよいし、約5%から約100%を金属、合金、又はその両方で構成されていてもよい。出発材料粒子の金属ベースの成分は、レーザービームによって直接接触させるために、及び粒子を一体に接合するのに使えるようにするために、粒子の外部に配置させることができる。粒子は、同じ形状又は本質的に同じ形状であってもよいし、又は粒子は異なる形状であってもよい。粒子は本質的に同じサイズであってもよいし、又は粒子は異なるサイズであってもよい。粒子は、約<1μmから約1mmまで、約1μmから約100μmまで、約1μmから約5μmまで、約0.05μmから約2.5μmまで、約0.1μmから約3.5μmまで、約0.5μmから約1.5μmまで、約1μmから約10μmまで、約0.1μmから約1μmまで、及びより大きいサイズ及びより小さいサイズ、の断面を有してもよい。粒子サイズ、例えば断面は、所定の機能的レーザービーム波長に関して所定のサイズを有するものとすることができる。而して、例えば、粒子は、レーザービームスポットサイズの約1/10、レーザービーム波長と同じ、波長より2倍大きい、波長より3倍大きい、波長より5倍大きい、及び波長より10倍大きいサイズ、更には、より小さい及びより大きいサイズ、を有していてもよい。好適には、レーザービームスポットより小さいサイズを有する粒子を使用し、レーザービームとほぼ同じサイズのレーザービームスポットを使用することで、例えば単一モード回折制限ビームが形成するその最も小さいスポットを使用することで、極めて高い解像度の物品、例えば高解像度3D印刷、を提供することができる。
【0049】
[0067]粒子のサイズ及び形状は、所定の機能的レーザービームスポットに関して所定とすることができる。而して、例えば、粒子は、レーザービームスポットより小さい(例えば、1/2、1/5、1/10)サイズ、レーザービームスポットとほぼ同じサイズ、スポットより2倍大きい、スポットより3倍大きい、スポットより5倍大きい、及びスポットより10倍大きいサイズ、を有することができる。粒子は、レーザービームスポットの形状と本質的に同じ形状を有していてもよく、例えば円形スポットなら球状ビードとすることもできるし、又は異なる形状を有していてもよいし、これらの組合せ及び変形形態を有していてもよい。
【0050】
[0068]粒子サイズを有する出発材料内粒子の一団について、粒子のサイズに言及するなら、中央値粒子サイズ分布、例えばD50、を使用することができる。典型的な3D印刷機械は40μmの平均粒子サイズを有しており、粒子はサイズが15μmから80μmに及んでいる。粒子分布がより厳密に制御されるのが望ましく、そうすれば最終的に印刷される部品の表面粗さが改善されるであろう。
【0051】
[0069]出発材料内の粒子の形状は、何れの体積形状であってもよく、例えば次の形状、即ち、球、ペレット、リング、レンズ、円盤、パネル、円錐、円錐台形、方形、矩形、立方体、溝、中空封止室、中空球、ブロック、シート、被覆、フィルム、スキン、スラブ、ファイバー、ステープルファイバー、管、カップ、不定形又は無定形、楕円体、回転楕円体、卵型、多面カット構造、及び多面体(例えば、八面体、十二面体、二十・十二面体、菱形三十面体、及びプリズム)、及び、これらの形状及び他の工学的にも建築学的にもより複雑な形状の組合せ及び各種形態、を含むことができる。好ましい粒子形状は本質的にはほぼ完全な球体であり、且つ狭いサイズ分布を持たせることで、粒子がシステムを通って流れてゆくことが支援され、また作製される最終部品の表面粗さの低減化が支援される。平均粒子サイズが40μmより小さい場合は、粒子間の静摩擦、摩擦、及びその両方を低減する何れかの形状が望ましい。
【0052】
[0070]
図2から
図2Bまでを見て、LAMプロセスの或る実施形態の模式表現が示されている。
図2には、幾つかの出発材料粒子例えば201、202、203が2つの層204、205を形成している簡略化された模式図が示されている。動作時、機能的レーザービームは出発材料粒子と相互作用し、それら粒子を一体に融合させて
図2Aに見られる様に物品207の初期区分を形成する。
図2Bでは、出発材料粒子209の追加の層208が初期区分206上に設置される。次いで、機能的レーザービームが追加の層208を初期区分206と一体に融合し、更に物品207を造形してゆく。このプロセスは、その後、物品が完成するまで繰り返される。
【0053】
[0071]
図2から
図2Bまでのプロセス及び物品の実施形態では、物品は、例えば初期区分206に示されている様に、本質的に固体モノリシック材料として造形される。LAMデバイス及びLAMプロセス、及び特に表Iのレーザービームを使用するLAMデバイスは物品を強度補強するための別段の浸潤工程又は樹脂浸潤工程の必要性無しに並外れた強度のある物品を作製する性能を有している。而して、本LAMデバイス及びプロセスの実施形態は、現在の3Dプリンタを用いての、単一プロセスによって作製される物品、また更には二工程式再浸潤プロセスによって作製される物品の、2倍、3倍、4倍、10倍、又はそれより更に強度のある物品をたった1回の工程(即ち、その後に続く浸潤プロセス、充填、又は再充填の型式のプロセス無しに)作製することができる。而して、本発明の本LAM造形品、例えば3D印刷品、の実施形態は、表IIに示されている特性を有することができる。
【0054】
【0055】
[0073]LAM造形品及びLAM造形材料の実施形態、特に単一工程3D印刷プロセスによって造形される物品の実施形態は、次の特性の1つ又はそれ以上を有することができ、即ち、熱膨張0乃至32μm/(m-K)(25°Cにて)、熱伝導率18乃至450W/(m-K)、電気抵抗14乃至420nΩ-m(20°Cにて)、ヤング率40乃至220GPa、剪断弾性係数15乃至52GPa、体積弾性係数40乃至190GPa、ポアソン比0.2乃至0.5、モース硬さ1乃至7、ビッカース硬さ150乃至3500MPa、ブリネル硬さ35乃至2800MPa、密度1.5乃至21g/cm3、及びこれら並びに他の特徴及び特性の組合せ、のうちの1つ又はそれ以上を有することができる。
【0056】
[0074]
図3を見ると、造形骨格301の形態をしている、金属出発材料の物品の実施形態が示されており、当該実施形態は、LAM加工計画に準拠して、機能的レーザービームを使用して金属出発材料同士を選択的に融合させることによって形成することができる。骨格301は、相互接続されたフィラメント例えば302、303と空隙例えば304を有している。この物品301へ更なるLAMプロセス又は他のプロセスが遂行されるかもしれないし、それは完成品例えばフィルタであるかもしれない。
【0057】
[0075]
図4を見ると、幾つかの異なるサイズの出発材料粒子、例えば401、403、404で作り上げられている造形品400の或る実施形態が示されている。粒子は接合部405、406、407にて一体に融合されて、空隙例えば408を形成している。この物品400へ更なるLAMプロセス又は他のプロセスが遂行されるかもしれないし、それは完成品であるかもしれない。
【0058】
[0076]
図5を見ると、LAMシステム500の或る実施形態の斜視図が示されている。システム500は、レーザーユニットとレーザービーム送達組立体と基部を収容するキャビネット501を有している。キャビネット501は、更に、モーター、センサ、アクチュエータ、ノズル、出発材料送達デバイス、及び相対運動を遂行したり出発材料を所定の方式で送達したりするのに使用される他のデバイス、例えばLAM加工計画を実施する機器及びデバイス、を収容している。キャビネット501及びより具体的にはキャビネット501内の構成要素は、ケーブル503を介し、制御部を有する動作ステーション502とデータ通信及び制御通信している。制御部は、PLC(プログラムマブル・ロジック・コントローラ)、自動化及びデバイスコントローラ、PC、又はLAM加工計画を実施することのできる他の型式のコンピュータ、とすることができる。この実施形態では、動作ステーションは、2つのGUI(グラフィックユーザーインターフェース)503、504、例えばモニタ、を有している。キャビネット501は、レーザーセーフガラスを有する窓であってもよいとされるアクセスパネル505を有している。
【0059】
[0077]LAMシステムの実施形態では、システム及び好適にはキャビネットは、次の追加の構成要素、即ち、自動エアフィルタ、出発材料バルク貯蔵庫、完成品を清浄にする空気を送達するためのコンプレッサ、造形区域(例えば、機能的レーザービームが出発材料と相互作用し出発材料を融合する場所)を清浄に且つレーザービームのレーザービーム経路に沿った進行に干渉しかねない塵埃や他の物質の無い状態に保つことのできる内部フィルタリングシステム、を収容していてもよい。更に、制御部はキャビネット内に又はキャビネットに隣接して配置されていてもよいし、又は制御部は遠隔場所に但しシステムと制御通信及びデータ通信して配置されていてもよい。更に、造形室とフィルタの両方で酸素モニタが使用されていてもよく、酸素の欠乏を継続的に監視するには使用されるのが望ましい。
【0060】
[0078]
図6を見ると、LAM造形区域600の斜視図が提供されている。造形区域600は、駆動モーター602を有する造形台601を有しており、モーター602は関節型ロボット603によって台601へ接続されている。この方式では、台の運動、方向転換、角度、スタンドオフ距離を制御することができる。出発材料送達組立体604が、出発材料給送ライン605と、レーザービーム608が照準を合わされる場所に隣接して位置付けられているノズル606と、を有している。レーザービーム608はレーザーヘッド614から送達される。レーザーヘッド614は、LAMプロセスを視認するためのカメラ611と、機能的レーザービームをレーザーユニットから送達するためのコネクタ612及び光ファイバー613と、レーザービーム608をレーザービーム経路616に沿ってターゲット区域617へ送達するためのビーム成形光学素子組立体607例えば合焦光学素子と、を有している。レーザーヘッド614は、LAMプロセス中に物品が造形されてゆく際、レーザービームを使用して当該物品の位置サイズ及び形状を測定及び監視する2つのレーザー位置確定デバイス609、610を有している。レーザーヘッド614は、示されていないフレームヘ接続されている架台615を有している。フレーム及び駆動モーター602は、更に、一体化されていてもよく、追加の型式の相対運動を提供するように可動であってもよい。
【0061】
[0079]より低い波長範囲、例えば約700nm及びそれより下は、LAMでは、特に3D印刷では、有意な利点を提供する。これらのより低い波長範囲では、出発材料特に金属及び金属ベースの出発材料のより高い吸収能が、他にもあるが中でも特に、LAMプロセスをより高い効率で遂行する性能を提供する。例えば、高い吸収能のおかげで、物品を造形するための出発材料を接合する段階を遂行するのに必要なパワーはより少なくて済む。このことは、結果として、他にも利点がある中で特に、より高速な造形時間、費用のあまりかからないLAMデバイス、保守点検が少なくて済み且つより長いデューティーサイクルを有するLAMデバイス、をもたらすことができる。
【0062】
[0080]例えば、金属物品を造形する3Dプリンタの実施形態は、1m/秒より大きい、5m/秒より大きい、及び10m/秒より大きい線形印刷速度を有することができる。更に、一般的にはそれぞれの材料に依存して、青色レーザーなら、2mm又はそれより薄い金属シートを、CO2レーザーより少なくとも約4倍速く、またファイバーレーザーより少なくとも約2倍速く、切削することができる。異なった見方をすれば、これは2kW青色レーザーがこれらの材料について5kW-8kWのCO2レーザーと同じ切削速度を持てるようになるということである。青色レーザー光の吸収増加は利点であり、薄い材料の切削、溶接、及び焼結の場合がそうである様に断熱プロセスがレーザープロセスを支配する場合には望ましい。この利点は、5mm又はそれより厚い材料については利用性が低い又はより小さい恩恵しかもたらさず、というのも、加工される材料の熱拡散率及び必然の結果としての吸収特性によってプロセスが制限されると、プロセスに対する効果は使用されている総パワー分よりも薄れてしまう。
【0063】
[0081]加えて、より低い波長は、実質的により小さいスポットサイズ及び造形プロセスに対するより大きな制御性を持つことを可能にする。この方式では、より鋭い縁とより滑らかな表面を有し尚且つ微細機械加工された部品の表面特徴及び特性に引けを取らない高度に洗練された表面特徴及び特性を有する物品が、本LAMシステムを用いて得られるわけである。基本的には、レーザーによって形成されるスポットサイズは源レーザーの波長によって制限され、波長が短いほど、所与の焦点距離の系について形成されるスポットサイズは小さくなる。しかしながら、同じスポットサイズが所望されるなら、IRレーザーに比較して、より長い焦点距離のレンズを青色レーザーと共に使用すれば、青色レーザーはIRレーザー源の8倍のアドレス指定可能体積を提供することができる。
【0064】
[0082]システムのスポットサイズを融合される粒子サイズと組み合わせることで、最小限の特徴サイズ及び表面粗さが決まる。より小さい直径の粒子(<40μm、<10μm、又は<1μm)を、<40μm、<10μm、又は<1μmのビームサイズと共に使用すると、~40μm、~10μm、又は~1μmのオーダーの最小特徴サイズを有する部品を現出させることができ、結果として<1μmの部品についての表面粗さの劇的改善がもたらされる。より小さいスポットそしてより小さい粒子が当該部品を形成するのに使用されるということは、当該部品の収縮及び応力が、より大きな粒子の場合よりも格段に良好に制御できるようになり、必然の結果としてより大きな部品安定性を実現できる、ということを意味する。加工材料の体積が小さいほど、「ボクセル」を溶融させるのに要するエネルギーは少なく、必然の結果として造形途上の基板又は部品は、製作中により低い熱勾配を経験することになり、必然の結果として当該部品がその加工温度から「冷める」際の収縮量は小さくなる。而して、粒子を固体へ融合するのにより少ないレーザーパワー、例えばより低い熱入力、を使用することによって、強度がより大きく狂いがより低い物品を造形することが実現できる。
【0065】
[0083]本レーザーの実施形態は、300nmから800nmの範囲にあるレーザービームを提供する。本発明のラマンレーザーの実施形態は、300nm-700nmの範囲にある波長、特に400nm台の範囲及び500nm台の範囲にある波長、を有するレーザービームを提供する。本ラマンレーザーの実施形態は、少なくとも約10W(0.01kW)、少なくとも約100W(0.1kW)、少なくとも約1,000W(1kW)、少なくとも約5kW、及びそれより大きいパワーを有している。加えて、本発明のラマンレーザー及びレーザービームは優れたビーム品質を有している。而して、これらのラマン生成レーザービームの実施形態は、
図18に示されているビームパラメータスケーラビリティを有することができる。この図は、ダイレクト青色レーザーダイオード源(450nm)、線1801と、波長の組み合わされた青色レーザーダイオード源、線1802と、光学的に組み合わされたラマンレーザー源、線1803と、波長の組み合わされた青色ラマンレーザー源、線1804と、を用いて生成され得るビームパラメータを強調表示している。ラマンレーザー源は、同等のパワー出力のIRレーザーに勝る源輝度を提供する。波長の組み合わされたラマンレーザー源は、出力パワーレベルの広い範囲に亘って類を見ないパワー及びビーム輝度を提供する。ラマンレーザー源は、広いスペクトル範囲(溶融シリカについては~10μm)に亘る単一モード性能維持の可能な大コア光ファイバーの開発と共に、波長の組み合わされたラマンレーザー源と同等のスケーラビリティを有することができる。
【0066】
[0084]注目すべきこととして、この明細書における主眼は、本発明のラマン高パワー青色レーザーを、LAMプロセス、LAMシステム、及びLAMデバイスで使用する用途に置かれているが、本発明のラマンレーザーにとっては多くの現時点での用途及び将来的な用途がある。而して、例えば、本発明のラマンレーザーの実施形態は、溶接、切削、熱処理、ろう付け、及び表面改質における用途として、;n-ラマンオーダーファイバーレーザーを励起して任意の可視波長を実現する;3D性能を含むカラー画像を投影するためのデジタルミラーデバイスと組み合わせるための少なくとも約10Wのパワーを有する青色ラマンレーザービームを提供する;娯楽目的のための少なくとも約10Wのパワーを有する青色ラマンレーザービームを提供する;他にもあるが中でも特に投影システム、ヘッドライト、又は照明システムで使用できる白色光源を現出するようにリンを励起するための少なくとも約10Wのパワーを有する青色ラマンレーザービームを提供する;水中レーザー測距のための少なくとも約10Wのパワーを有する青色ラマンレーザービームを提供する;暗号化された通信を含む水中通信のための少なくとも約10Wのパワーを有する青色ラマンレーザービームを提供する;レーザー測距、特に霧や雲の様な高水分含量環境でのレーザー測距のための少なくとも約10Wのパワーを有する青色ラマンレーザービームを提供する;通信、特に霧や雲の様な高水分含量環境での暗号化された通信のための少なくとも約10Wのパワーを有する青色ラマンレーザービームを提供する;水中及び霧や雲の様な高水分含量環境でのレーザー兵器としての使用のための少なくとも約1000Wのパワーを有する青色ラマンレーザービームを提供する;船舶サルベージ作業及び沖合サルベージ作業、特に水面環境、潮汐環境、水面下環境でのサルベージ作業のための少なくとも約10,000Wのパワーを有する青色ラマンレーザービームを提供する;海洋上、海洋より上方数フィート未満、海洋の波を通して、及び海洋の水面より下での、レーザー兵器としての使用のための少なくとも約1000Wのパワーを有する青色ラマンレーザービームを提供する;非致死レーザー兵器としての使用のための少なくとも約1000Wのパワーを有する青色ラマンレーザービームを提供する;ガラス切削のための少なくとも約100Wのパワーを有する青色ラマンレーザービームを提供する;塗料除去のための少なくとも約1000Wのパワーを有する青色ラマンレーザービームを提供する;ラマン散乱による海底ダイヤモンド発見のための少なくとも約100Wのパワーを有する青色ラマンレーザービームを提供する;AuSnはんだを溶融するための及びはんだ付け全般のための少なくとも約100Wのパワーを有する青色ラマンレーザービームを提供する、ことに用途を見い出すことができる。
【0067】
[0085]本発明の青色ラマンレーザーの実施形態は、殆どの現時点でのレーザー切削、加工、及び製造システムに用途を見い出すことができる。青色ラマンレーザーは、これらのシステムへの容易代入物であり、その様なシステムで現在使用されている既存のIR(赤外線、>700nm)レーザーに取って代わる。青色ラマンレーザーは、これらのシステムで、置き換えられるIRレーザーに勝ること2倍乃至10倍の効率増加及び処理速度増加並びに他の利点をもたらすことができる。青色ラマンレーザーは、更に、より小さいパワー要件及びより小さいフットプリントを有する全体として改善されたシステムを提供することができる。而して、例えば、青色ラマンレーザーの実施形態は、製造施設内、例えば巨大な自動車製造工場内のレーザーシステムで使用されているIRレーザーに置換する例えばスワップアウトするのに使用することができるのではないだろうか。好適にも、このレーザースワップアウトは、ビーム送達光学素子を青色波長用に被覆する必要があるといった様にレーザーシステムの他の構成要素への変更を最小限に留めて行うことができる。
【0068】
[0086]一般に、本発明の青色ラマンレーザーの実施形態は、nオーダーのラマンレーザーを励起して410nmと800nmの間で発振させるのに固体レーザーを使用する。或る実施形態では、405nm-475nmの領域で放射する青色ダイオードレーザーのアレイ(少なくとも10、少なくとも50、及び少なくとも1000のダイオードを有する)が、nオーダーのラマンレーザーを励起して410nmから近赤外線800nmの間で任意のオーダー例えばn-ラマンオーダーで発振させることができる。より大きいオーダー又は他のオーダーも実施可能であり本発明によって構想されていると理解しているが、405nm-475nmの範囲内のnオーダーが現時点では好適であり、というのも、nオーダーのラマン範囲を提供する波長励起範囲で利用できる商業的に入手可能なレーザーダイオードが幾つかあるからである。
【0069】
[0087]或る実施形態では、青色ダイオードレーザーアレイは、n次のラマンオーダーを通じて300nmほども短い波長を生成するアンチストークスラマンレーザーを励起することができる。アンチストークスのゲインはストークスよりも実質的に低いが、450nmポンプ波長から300nmへの移行時に低損失媒質を使用するのが好適である。
【0070】
[0088]或る実施形態では、青色レーザーダイオードポンプは、T056事例又は個別取り付けのどちらにしても、個々のレーザーダイオードに基づく。概して、レーザーダイオードからのポンプレーザービームは、2軸にコリメートされる。レーザーダイオードをモジュールパッケージに設置し、それからバックプレーンへ挿入したら、レーザーダイオード全てを同一線上に配し同時に単一ファイバーへ集束させるようにすることができる。レーザーダイオードを、更に、単一の担持体上に取り付け、それらのビームをコリメートし、単一の合焦光学素子によってファイバーの中へ発射させるようにしてもよい。而して、レーザーダイオードビームは二重クラッドファイバーの中へ発射され、二重クラッドは、外側のクラッドが20μm又はそれより大きく、内側のコアは出力レーザー波長となるはずの第nラマンオーダーでの単一モード動作を支持するのに十分な直径である。外側クラッドの内側コアに対する比はn+1オーダーの閾値によって制限され、ここに、第nオーダーを励起しn+1を励起しないことが所望される。n+1は、外対内コアの比、ファイバーの長さ、を制限することによって、又はn+1オーダーを抑制する共振器内のフィルタによって、抑制することができる。
【0071】
[0089]好適な実施形態では、本発明のラマン青色レーザーは、高輝度青色レーザー源によって励起された場合、2.9kWへスケール可能である。これらのパワーレベルでは、青色レーザーダイオードポンプからの455nm又は459nm波長への変換効率は80%という高いものとなり、結果的に≧20%のシステム電気-光変換効率がもたらされる。
【0072】
[0090]ラマン変換プロセスは、青色波長での光ファイバーのモード損失に依存しており、また極めて依存性が高いこともある。この損失は、主にファイバー内のレイリー散乱が原因であり、波長の逆4乗に従ってスケールするので、結果的に450nmでの損失は30dB/kmのオーダーとなってしまう。この損失は懸念事項となり得るものであり、幾つかの実施形態ではレーザーシステム設計時の主たる懸念事項となることもある。この損失に対処するために、本ラマンレーザーの実施形態は、短い光ファイバー(例えば、<15m、<10m、<5m、<3m)を使用することができる。これらのより短い長さの実施形態はレーザーの動作効率を高める。但し、より長いファイバーが構想されるものと理解している。而して、ラマン発振ファイバーは、30m以上、50m以上、80m以上、及び100m以上、の長さとすることができる。
【0073】
[0091]このラマンレーザーの実施形態のモデル化は、第1ラマン変換オーダーでの高い発振パワーレベルを実現するのに比較的高い出力カプラ反射能が使用できるようになることを示しており、その結果、このオーダーへの効率的なエネルギー移動がもたらされる。ラマンシフトに因るエネルギー変換損失は、ポンプ波長が447nmであり第1ラマンオーダーを455nmで発振するよう仕向けることができるので、ごく僅かである。これはたった2%の量子欠損に相当し、エネルギーの98%は変換波長で利用可能となる。但し、ファイバーでのレイリー散乱が、変換効率を、モデル化された最も短いファイバー(6m)について80%未満に制限する。このモデル化されたレーザーより短いファイバーレーザーも構想され、より大きい及びより小さい変換効率が獲得できるものと理解している。逆に言えば、光ファイバー内で、例えばP2O5ドープファイバーについて、溶融シリカファイバーの損失85%であったレイリー散乱を、利得を5より高い倍数にしたまま低減させることができるなら、なおいっそう大きい効率を実現することができる。
【0074】
[0092]本発明のラマン変換レーザーは、nラマンオーダーを取り扱うことができる。この能力を設計に利用し、所定の波長及び例えば455nm又は459nmで発振させることのできるファイバーレーザー出力を設計することができる。この実施形態は、同時に異なる波長例えば455nmと459nmの両方で発振させるように設計することができる。次のラマンオーダーは抑制されるのが望ましい。この抑制は、例えば、ファイバーへの十分なAR被覆、ファイバーの長さを制限すること及びクラッド対コア比を制限すること、次のラマンオーダーでのインライン損失性フィルタの追加、及びこれらの組合せ及び変形形態、を用いて実現させることができる。
【0075】
[0093]ファイバーに加え、ラマン発振器を結晶及びガスにすることもできる。ラマン結晶発振器は、例えば、ダイヤモンド、KGW、YVO4、及びBa(NO3)2であってもよい。ラマンガス発振器は、例えば、一例として50気圧の圧力の高圧ガス、高圧水素、及び高圧メタンであってもよい。
【0076】
[0094]クラッド励起型ラマンレーザーをレーザーダイオードビームと組み合わせることによって、組み合わせの諸方法が、400nm-800nmの範囲にある波長での、例えば455nm又は459nmでの、数kWファイバーレーザーの設計及び構築を可能にする。
図7は、このレーザー源についての、4,000ワットまでのレーザーダイオードパワーを30μm単一モードコアを有する200μm直径クラッドの中へ発射した場合のファイバーの長さの関数としての予測出力である。
図7は、20m、15m、10m、8m、及び6mの長さを有するラマンファイバーから459nmのレーザービームを生成するラマンファイバーレーザーについて、パワー出力をW対%出力カプラに示している。これらのより短い長さのファイバー実施形態は、誘導ブリュアン散乱の様な他の非線形現象からの有害な影響を低減、緩和、及び好適には排除し、尚且つ次のオーダーのラマンオーダー発振を抑制するという、追加の利点を有している。
【0077】
[0095]実施形態では、ダイヤモンドラマン変換器又は類似の材料を使用している方法は、従来の共振器である例えば半共焦点共振器又は全共焦点共振器を、モード整合ポンプビームと組み合わせて使用している。ダイヤモンドは、極めて大きいストークスシフト及び高いラマン利得係数に因り、比類が無い。
【0078】
[0096]様々な発振器についてのストークスシフトの実施形態が表IIIに示されており、第1ストークスシフトは、光の波長における450nmから479nmへの29nmのシフト、つまりこの波長に透過性の現時点で入手可能な材料を用いて実現可能な最も大きい単一のストークスシフトの1つ、に対応している。他のラマン変換方法を使用し高パワー可視動作を実現させることもでき、例えば、純粋な溶融シリカファイバー、GeO2ドープ光ファイバー、P2O5(リン)ドープ光ファイバー、レーザーダイオードのアレイ又は単一のレーザー源によって励起されるKGW結晶、レーザーダイオードのアレイ又は単一のレーザー源によって励起されるYVO4(バナジン酸イットリウム)結晶、レーザーダイオードのアレイ又は単一のレーザー源によって励起されるBa(NO3)2(硝酸バリウム)結晶、の中へ発射するといった様な方法が使用されてもよい。
【0079】
【0080】
[0098]これらのレーザーダイオードのためのパッケージングコンセプトの或る実施例は、並外れた高信頼度のための十分な冗長性を提供することのできるモジュール性の高い設計を用いて極めてコンパクトな高密度構成を可能にする。青色ダイオードレーザー装置の実施形態は、20℃で450nmにて発振する。この波長は、ダイオードを冷却することによってより低い波長へシフトさせることができ、例えばGaNレーザーダイオード波長シフトは0.04乃至0.06nm/℃のオーダーである。波長は、同様に、例えば体積ブラッグ回折格子(VBG)又はリトロー又はリットマン-メトカフ外部共振器型の刻線回折格子、の様な外部回折格子でダイオードをロックすることによって下げることができる。ポンプアレイ全体を必須波長へロックするのに必要なのはVBG1つだけである。但し、2つ、3つ、又はそれ以上のVBGを使用することもできる。ラマンレーザーが455nmか又は459nmのどちらかで発振するために、ポンプ波長を450nmとすることができる。455nmラインは459nmラインより利得が低く、結果的に変換効率はより低くなることに留意されたい。
【0081】
[0099]青色レーザーダイオードポンプはラマンレーザー例えばラマン発振器ファイバーへファイバー連結され、融着接続されている。これは好適であり、高振動及び広範な温度の振れの様な極限条件下に動作できる最も堅牢な設計を提供する。極限条件にとって好適であるとはいえ、ポンプレーザー及び複数ポンプレーザーをラマン発振器ファイバーへ結合する方式は、外部光学素子を有する自由空間の様な他の方式を採用することもできるものと認識している。
【0082】
[0100]
図8を見ると、62.5μm直径のクラッドと10μm直径のコアを有するラマン発振器ファイバーレーザーのモデル化された出力が示されている。レーザーは、ファイバーの遠位端側のポンプ波長にHR回折格子を、ファイバーのポンプ入力端の第1ラマンオーダーにHR回折格子を、有している。第1ラマンオーダーでのファイバーの遠位端の出力カプラの反射能は、ファイバー長さ及びポンプ中心波長への依存度を研究するために変化させている。第1ラマンオーダーでの高反射能を要求する設計は、第2オーダーのラマン発振の抑制にとって好適であるが、必要条件ではない。このラマン発振器ファイバーへ結合されている450nm、449nm、448nm、及び447nmからのポンプ波長を変化させた場合についての結果が、
図8に、455nm発振器出力について示されており、而して発振器についての所定の波長でのポンプ帯域幅が実証されている。このグラフ及びモデルでは、出力パワーは出力カプラとポンプ源の波長の関数として示されている。ファイバーは、長さが15メートルで、62.5μm直径クラッドにつき0.21naを有している。外側クラッドのより高いnaは、同等に高い出力パワーレベルをクラッドへ注入することを可能にする。
【0083】
[0101]459nmラマンレーザーシミュレーションの結果が
図9に示されている。この実施形態では、ラマンレーザーは459nmのレーザービームを提供しており、出力パワーは、20mと15mの2通りのファイバー長さについて、出力カプラの関数として示されている。クラッド及びコア構成は
図8の実施形態と同一であり、459nmは、レーザーダイオードの450nm中心波長で励起したときのこれらのファイバーについての第1ラマンオーダーである。この波長は、広い帯域の温度での動作が所望される場合、出力パワーへの影響がほんの僅かである体積ブラッグ回折格子を使用して安定化させることができる。
【0084】
[0102]450nmビームを発生させる青色レーザーダイオードポンプの実施形態は、ビーム火面を確定しひいてはレーザーアレイを発射させることのできるファイバー直径を確定するべく500nm焦点距離レンズを使用して測定された。
図10は、出力パワーの関数としてのビームウエストを示しており、それは実質的に装置の出力パワーに伴って変化していない。この図は、遅軸が200μmの1/e
2ウエストを有していることを示しており、それは80mm焦点距離レンズを使用したときの30μmウエストビームへ翻訳される。
図10は速軸もグラフ化されている。これは、この実施形態については、90%超の結合効率が62.5μm直径のファイバーの中へ実現され得るということを示唆している。62.5μm直径のファイバーの中への発射に先立ち、ポンプパワーと輝度を両方の偏光状態を使用して二逓倍化することができる。而して、この実施形態では、ラマン発振器レーザーファイバーの中への200ワットの入力で約60ワットより大きい出力となる。
【0085】
[0103]
図7-
図10の実施形態に使用されている高輝度青色レーザーダイオードは、単一モードコアにラマン発振を可能にさせ而してラマン生成レーザービームを提供するに足る利得を生み出すのに十分なフルエンスを提供する。而して、これらの本実施形態は、可視ラマンレーザーの開発を妨げる重要課題の1つを克服する。当該課題は、光ファイバーでの可視波長における高い損失である。このことが、本発明以前には可視ラマン発振器レーザーが当技術によって看過され他の技術によって実例的に示されることも提案されることもなかったのはなぜかということの主要理由ではないにしても理由の1つであると考えられる。
【0086】
[0104]本発明のラマン発振器の実施形態は、多くの異なる型式の材料から作製することができる。好適には、ファイバーについては、それらは、シリカベースであり、GeO2又はP2O5でドープされたシリカベースのファイバーを含むものということになり、その特性は表IIIに示されている。他の重金属も、同様に、様々な型式の発振器のためのドーパントとして使用することができ、そこでは動作波長は吸収帯域端に近く、従来の源より実質的に高くなり得る異例のラマン利得を生じさせる。500nm光についてのこれの一例はテルライトドープガラスということになり、その場合、ラマン利得は溶融シリカよりほぼ40倍大きくなる。目標波長450nmで同様の結果を有する他のドーパントが使用されてもよい。
【0087】
[0105]或る好適な実施形態では、クラッドがポンプ波長において比較的低損失性でありコアが>3μm、>10μm、また一部の実施形態では>20μmである二重クラッドファイバーについては、高いNAの外側クラッドとされている。クラッド/コア比は、好適には、第2ストークスオーダーの自己発振のための閾値より下に維持される。第1ストークス利得は、コアへと結合されるクラッド内の光の強度によって決まり、方や第2オーダーストークスの利得は、コア内の第1オーダーストークスの発振によって決まる。以上に言及されている様に、これは、制限因子となり、ファイバー内の損失、第1オーダーストークスでの発振パワー、ファイバーの長さひいては総利得、及び仮にあれば第2オーダーストークス信号でのフィードバック、に依存性である。このプロセスは、究極的には、この方法で実現できる輝度増強量を制限するものであり、例えば
図18に示されているスケーラビリティによって解決を図ることができ、その場合、ラマン源は高輝度及び高パワーを実現するのに波長ビーム組み合わせ方法を必要とする。
【0088】
[0106]ラマン増幅は、優にGHzレジームに入る変調速度を可能にさせる極めて広い帯域幅を有している。この急速変調は、青色ラマンレーザー源の場合、反転プロセスと関連付けられる短寿命に因り実現可能である。急速変調性能はレーザー利用製造用途において、例えば部品が高い空間周波数又は再現させる必要のある鋭利な細部を有している場合に、多大な恩恵をもたらすことができる。理想的には、レーザーのオンオフ切り替えがより高速にできれば、より高速に部品を印刷することができる。例えば或る実施形態では、所与の走査速度について、部品の空間周波数が印刷速度への制限となり、というのは数kHzでしか変調させられないレーザーは微小な細部を複製するのにスキャナを低速度で動かす必要があるからであるが、数十GHzレジームで変調させられるレーザーは、部品を速く走査できるようにし、当然の結果として部品を速く印刷できるようにする。
【0089】
[0107]表IVは、ファイバーレーザー造形速度の、同等パワーレベルの青色レーザーについての造形速度に対する比較を示している。この表は、所与のスポットサイズについて、青色レーザーはより大きい造形体積を実現することができ、比較対象の材料に依存して、速度はレーザー波長の吸収強化に基づき1.2倍(チタン)乃至>80倍(金)の間で増加する、ということを示している。
【0090】
【0091】
[0109]
図13Aを見ると、450nmのポンプ源からの478nmの機能的レーザービームを提供するべく3つのラマンオーダーのストークスを通して起こる遷移が示されている。
【0092】
[0110]異なる材料を有していて450nmレーザーで励起されたときのnオーダーストークスシフトについて各自の波長出力を有しているラマンファイバーレーザーの実施例が、
図13B及び
図13Cに示されている。これらのファイバーは全て20μm直径コアと50μmクラッド厚さを有している。
【0093】
[0111]
図14Aを見ると、450nmのポンプ源からの425nmの機能的レーザービームを提供するべく3つのラマンオーダーのアンチストークスを通して起こる遷移が示されている。
【0094】
[0112]異なる材料を有していて450nmレーザーで励起されたときのnオーダーストークスシフトについて各自の波長出力を有しているラマンファイバーレーザーの実施例が、
図14B及び
図14Cに示されている。これらのファイバーは全て20μm直径コアと50μmクラッド厚さを有している。
【0095】
[0113]
図15を見ると、リンケイ酸ドープファイバーでのラマンスペクトルが示されている。ファイバー中のP
2O
5濃度は、線1が18モル%、線2が7モル%、そして線3が無P
2O
5(例えば、0nik%)の溶融シリカファイバーについてである。而してレーザー放射は、数cm
-1から1330cm
-1までの周波数の広い範囲に亘って実現させることができる。
【0096】
[0114]次の実施例は、本発明のLAMシステム、LAM方法、及びラマン発振器レーザーの様々な実施形態を例示するために提供されている。これらの実施例は、例示目的であり、本発明の範囲を限定するものと見なされてはならず、また他の形で本発明の範囲を限定するものでもない。
【実施例0097】
[0115]実施例1
[0116]ラマンレーザーモジュール(RLM)が、様々な製造用途及び所定の製造用途のための、2MHzにまで変調させることのできる、200W、約1のM2、及び460nmのレーザービームを提供するべく、ラマンレーザー発振器ファイバーに対するポンプレーザーとして前方型ポンプラマン標準レーザーモジュールを有する。ポンプ標準レーザーモジュール(SLM)は、レーザー発振器ファイバーのための前方型ポンプとして使用されることになる200W、10mm-mrad、~450nmのレーザービームを提供する。発振器ファイバーは、60μm-100μmクラッド、10μm-50μmコアを有し、200W出力、<0.3mm-mrad、~460nmのレーザービームを提供する。