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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001971
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】取付構造
(51)【国際特許分類】
   F16B 5/10 20060101AFI20231228BHJP
   B62D 37/02 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
F16B5/10 C
B62D37/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100863
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 晶子
【テーマコード(参考)】
3J001
【Fターム(参考)】
3J001FA03
3J001GA02
3J001GB01
3J001HA02
3J001JD15
3J001KA21
3J001KB01
(57)【要約】
【課題】取付対象物を取付先に取り付けた取付構造の耐荷重をより高くする。
【解決手段】取付構造60(取付用台座23)は、リアスポイラ20(取付対象物)を車体30(取付先)に締結部材40(固定部材)により取り付けるための取付構造である。取付構造60は、平面視U字状に形成され、締結部材40の被保持部41dを保持する基部51と、基部51の外周縁部をリアスポイラ20に接続する基部壁部52と、基部51の開口端部の一方から延長された第1延長基部53aを有する延長基部53と、延長基部53をリアスポイラ20に接続する第1追加壁部54aを有する追加壁部54と、を備えている。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付対象物を取付先に固定部材により取り付けるための取付構造であって、
前記取付構造は、
平面視U字状に形成され、前記固定部材の被保持部を保持する基部と、
前記基部の外周縁部を前記取付対象物に接続する基部壁部と、
前記基部の開口端部の一方から延長された第1延長基部を有する延長基部と、
前記延長基部を前記取付対象物に接続する第1追加壁部を有する追加壁部と、
を備えたことを特徴とする取付構造。
【請求項2】
前記第1追加壁部または前記第1追加壁部に連続する基部壁部の厚みは、他の基部壁部の厚みより厚く形成されていることを特徴とする請求項1に記載の取付構造。
【請求項3】
前記追加壁部は、前記第1追加壁部の先端部から前記第1追加壁部の延長方向と異なる方向に沿って延長され、かつ、前記第1延長基部を前記取付対象物に接続する第2追加壁部をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の取付構造。
【請求項4】
前記延長基部は、前記第1延長基部の先端部から前記第1延長基部の延長方向と異なる方向に沿って延長された第2延長基部をさらに備え、
前記追加壁部は、前記第2延長基部を前記取付対象物に接続する第3追加壁部をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の取付構造。
【請求項5】
取付対象物を取付先に固定部材により取り付けた取付構造であって、
前記取付構造は、
前記固定部材の被保持部をスライド可能に保持する保持開口部を有する基部と、
前記基部の外周縁を前記取付対象物に接続する基部壁部と、
前記保持開口部と連通して設けられ、かつ、前記固定部材が挿通可能である挿通開口部と、
を備え、
前記挿通開口部は、前記取付対象物に力が付与された際に前記力が作用し難い場所に設けられていることを特徴とする取付構造。
【請求項6】
請求項1~請求項5の何れか一項に記載の前記取付構造が自動車用部材取付構造である取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
取付構造として、特許文献1には、リヤスポイラがブロー成形等により成形される際に予めインサートして設けられたインサート係止片と、該係止片に頭部が係止され且つ軸部が外板を挿通できる係止ボルトと、外板の裏面において上記係止ボルトを締めつける袋ナットとから構成されている、自動車のリヤスポイラ取付構造が開示されている。インサート係止片は、上壁と下壁とにより形成された空間部と、下壁に設けられた切欠きリード部とを有している。インサート係止片の空間部に係止ボルトの頭部が挿入されてインサート係止片と係止ボルトとが係合されている。
【0003】
他の取付構造として、特許文献2には、車体に対するリヤスポイラの取付手段を補強部に設けた例を開示されている。この場合の補強部には孔が形成されており、この孔に取付ボルトが組み付けられている。
【0004】
他の取付構造として、特許文献3には、エアロ部材がバンパカバー部材の長手方向の複数箇所に設けられた取付部において、ねじ部材によってバンパカバー部材の下部に固定される、車体外装品の固定構造が開示されている。この固定構造においては、取付孔に連通するスリットが、対向壁の側面に開口している。ボルトの軸部を、対向壁の側面からスリットを経て、取付孔に挿入することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5-170144号公報
【特許文献2】特開2001-347969号公報
【特許文献3】特開2002-370593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1に開示されている取付構造において、リアスポイラ(取付対象物)を車体(取付先)に取り付けることはできるものの、リアスポイラに力が作用した場合、リアスポイラをボルトにより固定する取付構造ひいては樹脂部材であるインサート係止片に荷重がかかるため、作用する力が大きくなると取付構造への荷重も大きくなり、樹脂部材が変形・破損するおそれがあった。特に、樹脂部材の応力が集中しやすい部分、例えば、インサート係止片の切欠きリード部の開口の周辺が変形・破損するおそれがあった。
【0007】
また、上述した特許文献2に開示されている取付構造においても、特許文献1と同様に、リアスポイラをボルトにより固定する取付構造ひいては樹脂部材である補強部12に荷重がかかるため、作用する力が大きくなると取付構造への荷重も大きくなり、樹脂部材が変形・破損するおそれがあった。
【0008】
また、上述した特許文献3に開示されている取付構造においても、特許文献1と同様に、エアロ部材をボルトにより固定する取付構造ひいては樹脂部材である取付部15に荷重がかかるため、作用する力が大きくなると取付構造への荷重も大きくなり、樹脂部材が変形・破損するおそれがあった。
【0009】
本発明は、上述した問題を解消するためになされたもので、取付対象物を取付先に取り付けた取付構造の耐荷重をより高くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明に係る取付構造は、取付対象物を取付先に固定部材により取り付けるための取付構造であって、前記取付構造は、平面視U字状に形成され、前記固定部材の被保持部を保持する基部と、前記基部の外周縁部を前記取付対象物に接続する基部壁部と、前記基部の開口端部の一方から延長された第1延長基部を有する延長基部と、前記延長基部を前記取付対象物に接続する第1追加壁部を有する追加壁部と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
この発明に係る取付構造によれば、固定部材が基部の開口部の周縁部により保持され、固定部材を保持した基部が取付対象物に固定されることにより、取付構造によって取付対象物を取付先に取り付けることが可能となる。このとき、U字状の基部の開口端部の一方は、第1延長基部によって延長されるとともに、延長された第1延長基部(延長基部)は、第1追加壁部(追加壁部)によって取付対象物に接続されるので、U字状の基部の開口端部の一方の剛性を高めることが可能となる。その結果、取付対象物を取付先に取り付けた取付構造の耐荷重をより高くすることが可能となる。
【0012】
また、本発明に係る取付構造においては、前記第1追加壁部または前記第1追加壁部に連続する基部壁部の厚みは、他の基部壁部の厚みより厚く形成されていることが好ましい。これによれば、第1追加壁部または第1追加壁部に連続する基部壁部の剛性を、他の基部壁部に対して高くすることが可能となるので、第1延長基部(延長基部)の剛性を高くすることが可能となる。その結果、取付構造の耐荷重をさらに高くすることが可能となる。
【0013】
また、本発明に係る取付構造においては、前記追加壁部は、前記第1追加壁部の先端部から前記第1追加壁部の延長方向と異なる方向に沿って延長され、かつ、前記第1延長基部を前記取付対象物に接続する第2追加壁部をさらに備えることが好ましい。これによれば、延長された第1延長基部(延長基部)は、第1追加壁部の先端部に設けた第2追加壁部によって取付対象物に接続されるので、U字状の基部の開口端部の一方の剛性をより高めることが可能となる。
【0014】
また、本発明に係る取付構造においては、前記延長基部は、前記第1延長基部の先端部から前記第1延長基部の延長方向と異なる方向に沿って延長された第2延長基部をさらに備え、前記追加壁部は、前記第2延長基部を前記取付対象物に接続する第3追加壁部をさらに備えることが好ましい。これによれば、U字状の基部の開口端部の一方から延長された第1延長基部は第2延長基部によって方向を変えて延長されるとともに、延長された第2延長基部(延長基部)は、第3追加壁部(追加壁部)によって取付対象物に接続されるので、U字状の基部の開口端部の一方の剛性をより高めることが可能となる。
【0015】
また、本発明に係る取付構造は、取付対象物を取付先に固定部材により取り付けた取付構造であって、前記取付構造は、前記固定部材の被保持部をスライド可能に保持する保持開口部を有する基部と、前記基部の外周縁を前記取付対象物に接続する基部壁部と、前記保持開口部と連通して設けられ、かつ、前記固定部材が挿通可能である挿通開口部と、を備え、前記挿通開口部は、前記取付対象物に力が付与された際に前記力が作用し難い場所に設けられていることを特徴とする。
【0016】
この発明に係る取付構造によれば、固定部材が基部の保持開口部により保持され、固定部材を保持した基部が取付対象物に固定されることにより、取付構造によって取付対象物を取付先に取り付けることが可能となる。このとき、保持開口部に連通して設けられ固定部材が挿通可能である挿通開口部は、取付対象物に力が付与された際に前記力が作用し難い場所に設けることが可能となるので、挿通開口部の剛性を高めることが可能となる。その結果、取付対象物を取付先に取り付けた取付構造の耐荷重をより高くすることが可能となる。
【0017】
また、本発明に係る取付構造においては、上述した取付構造が自動車用部材取付構造であることが好ましい。これによれば、自動車用部材取付構造の耐荷重をより高くすることが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、取付対象物を取付先に取り付けた取付構造の耐荷重をより高くすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明による取付構造60が適用された車体30の一実施形態を示す後方斜視図である。
図2図1に示すリアスポイラ20の2-2線に沿った一部分を示す部分拡大断面図である。
図3図2に示すリアスポイラ20のロア部材22を示す底面図である。
図4図3に示すロア部材22を示す前方斜視図である。
図5】実施形態に係る取付用台座23を示す底面図である。
図6】実施形態に係る取付用台座23を示す左下前方から見た斜視図である。
図7】実施形態に係る取付用台座23を示す右下前方から見た斜視図である。
図8】ナット部材41が所定位置に位置する取付用台座23を示す右下前方から見た斜視図である。
図9】ボルト部材142が所定位置に位置する取付用台座23を示す右下前方から見た斜視図である。
図10】第1変形例に係る取付用台座223を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明による取付構造の一実施形態について図面を参照して説明する。ただし、本発明は、この実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
【0021】
取付構造60は、図2に示すように、取付対象物であるリアスポイラ20を取付先である車体30に取り付けるための取付構造である。取付構造60は、リアスポイラ20(取付対象物)、車体30(取付先)、及び、締結部材40(固定部材)を備えている。
【0022】
図1に示すように、リアスポイラ20は、車体30のルーフ部31に連なるバックドア32の上部に取り付けられ、ルーフ部31の後方に位置するとともにバックドア32から後方へ延びるように設けられている。リアスポイラ20は、バックドア32の上部の左右幅と略同サイズの横長形状に形成され、車両前後方向の幅が左右幅と比べて短い細長い形状に形成されている。
【0023】
尚、取付対象物は、リアスポイラ20に限定されず、フロントスポイラなど自動車用外装部材や、自動車用内装部材などの自動車用部材であることが好ましい。取付対象物は、合成樹脂材に限定されず、炭素繊維強化プラスチックなどの複合材を採用してもよい。また、取付先は、取付対象物が自動車用部材である場合には、車体であるが、これに限定されず、プリンタ、パソコン、テレビなどの電化製品の本体を採用してもよい。また、固定部材は、締結部材40に限定されず、リベットや、互いに係合する凹凸を有する係合部材を採用してもよい。
【0024】
また、取付構造60は、自動車用部材を取り付けるための自動車用部材取付構造であることが好ましい。取付構造としては、自動車用部材以外の部材(例えば、プリンタ、パソコン、テレビなどの電化製品の部材)を取り付けるための取付構造を採用するようにしてもよい。
【0025】
リアスポイラ20は、図2に示すように、合成樹脂製のアッパ部材21と合成樹脂製のロア部材22とを備えている。アッパ部材21とロア部材22とは、例えば振動溶着により固定されている。尚、アッパ部材21とロア部材22とは、振動溶着以外の固定方法、例えば接着剤やねじ止めにより固定されるようにしてもよい。
【0026】
ロア部材22には、リアスポイラ20(取付対象物)を車体30(取付先)に取り付けるための取付用台座23が一体的に形成されている。取付用台座23は、ロア部材22の外側(下方)に向けて突出して設けられている。図2に示すように、取付用台座23にナット部材41が保持され、そのナット部材41にバックドア32側(車体30側)からボルト部材42が締結されることにより、リアスポイラ20がバックドア32に取り付けられている。
【0027】
取付用台座23は、図3及び図4に示すように、リアスポイラ20の所定箇所に形成されている。所定箇所は、リアスポイラ20を車体30に固定するために必要な場所に1または複数設けられている。本実施形態では、取付用台座23は、2箇所設けられている。取付用台座23は、取付構造60に含められている。
【0028】
取付用台座23は、本実施形態では、台座状の凸部(凹部)となるように形成されている。取付用台座23は、図5図7に示すように、基部51、基部壁部52、延長基部53、及び、追加壁部54を備えている。基部51は、平面視U字状に形成され、ナット部材41(固定部材)の被保持部41d(図2参照)を保持する。
【0029】
基部51は、平面視U字状かつ板状に形成されており、その内側に保持開口部55を有する。基部51は、第1基部51a(左側基部と称してもよい。)と、第1基部51aの一端部(前端部)に基端部が接続された第2基部51b(前側基部と称してもよい。)と、第1基部51aの他端部(後端部)に基端部が接続された第3基部51c(後側基部と称してもよい。)と、を備えている。第1基部51a、第2基部51b及び第3基部51cの幅は、同一に設定されるのが好ましい。第2基部51bと第3基部51cの左右方向長さは、同一に設定されるのが好ましい。
【0030】
基部51の内側は、右側に向けて(基部51の水平方向のうち右方向に向けて)開口する保持開口部55を形成している。保持開口部55は、上下方向(基部51の厚み方向)に沿って貫通している。
【0031】
基部51の内側周縁部は、U字状に形成されており、保持開口部55の開口周縁部55aとも言える。この保持開口部55の開口周縁部55aは、ナット部材41(固定部材)の被保持部41d(図2参照)を保持する。開口周縁部55aを保持部と称してもよい。保持開口部55は、ナット部材41(固定部材)の被保持部41dをスライド可能に保持する。ナット部材41は、ナット部材41の被保持部41dが基部51の内側周縁部(保持開口部55の開口周縁部55a)に嵌合されることにより、基部51に保持される。尚、U字状の保持開口部55の内壁面(特に開口端部)には、突出して形成された凸部を設けるのが好ましい。凸部は、所定位置(図8参照)まで一端挿入されたナット部材41が外れないようにするために機能する。
【0032】
基部壁部52は、基部51(の外周縁部)をロア部材22(取付対象物)に接続する。基部壁部52は、左壁52a、前壁52b、及び後壁52cを備えている。左壁52aは、基部51の第1基部51aの左縁部に接続されている。左壁52aの前端部が前壁52bの左端部に接続されるとともに、左壁52aの後端部が後壁52cの左端部に接続されている。前壁52bは、基部51の第2基部51bの前縁部に接続されている。
【0033】
後壁52cは、基部51の第3基部51cの後縁部に接続されている。左壁52aは、前壁52b及び後壁52cに対して垂直に配置されており、前壁52b及び後壁52cは、互いに平行に配置されている。尚、左壁52a、前壁52b、及び後壁52cは、基部51に対して第1所定角度(例えば90度)をなすように設けられている。
【0034】
尚、第1所定角度は、90度以上であり180度より小さい角度に設定されている。また、左壁52a、前壁52b、及び後壁52cの形状は、本実施形態の形状に限定されず、取付用台座23の設置場所、ロア部材22の形状に応じた最適な形状となるように自由に設定することができる。
【0035】
延長基部53は、基部51の開口端部の一方を基部51に沿って(ロア部材22に平行に)延長された部分である。延長基部53は、第1延長基部53a及び第2延長基部53bを有している。
【0036】
第1延長基部53aは、基部51の開口端部(第3基部51cの右端部及び第2基部51bの右端部)の一方(本実施形態では第3基部51cの右端部)から延長されており、一方の開口端部(第3基部51cの右端部ひいては第3基部51c)の延びている方向(延在方向)に沿って延長されている。第1延長基部53aの基端部(左端部)は、本実施形態では、第3基部51cの右端部に接続されている。尚、第1延長基部53aが基部51の開口端部の他方に接続される場合には、第1延長基部53aの基端部(左端部)は、第2基部51bの右端部に接続される。
【0037】
第2延長基部53bは、第1延長基部53aの先端部から第1延長基部53aの延長方向と異なる方向に沿って延長されている。第2延長基部53bの基端部(後端部)は、本実施形態では、第1延長基部53aの先端部(右端部)に接続されている。尚、異なる方向すなわち第2延長基部53bの延長方向は、例えば、本実施形態では第1延長基部53aの延長方向と垂直な方向である。
【0038】
第1延長基部53a及び第2延長基部53bの厚みは、基部51の厚みと同一に設定されるのが好ましい。第1延長基部53aの幅は、基部51の第3基部51cの幅と同一に設定されるのが好ましい。第2延長基部53bの幅は、基部51の第1基部51aの幅と同一に設定されるのが好ましい。
【0039】
追加壁部54は、延長基部53をロア部材22に接続する壁部であり、ロア部材22から立ち上げ形成されている。追加壁部54は、基部壁部52に接続されて追加される壁部である。追加壁部54の上端(図2参照)は、ロア部材22に接続されており、追加壁部54の下端(図2参照)は、延長基部53に接続されている。
【0040】
追加壁部54は、第1追加壁部54a、第2追加壁部54b、及び第3追加壁部54cを有している。
【0041】
第1追加壁部54aは、第1延長基部53aをロア部材22に接続する壁部である。第1追加壁部54aは、第1延長基部53aの外周縁部(本実施形態では後縁部)に接続されている。第1追加壁部54aの基端部(左端部)は、基部壁部52の後壁52cに接続されている。第1追加壁部54aの基端部(左端部)は、後壁52cの先端部(右端部)に接続されている。第1追加壁部54aの先端部(右端部)は、第2追加壁部54bの基端部(後端部)に接続されている。
【0042】
第2追加壁部54bは、第1追加壁部54aと同様に、第1延長基部53aをロア部材22に接続する壁部である。第2追加壁部54bは、第1延長基部53aの外周縁部(本実施形態では右縁部)に接続されている。第2追加壁部54bは、第1追加壁部54aの先端部(右端部)から第1追加壁部54aの延長方向(例えば左右方向)と異なる方向(例えば前後方向)に沿って延長されている。第2追加壁部54bは、基部壁部52の左壁52aに対向して配置されている。
【0043】
このように、第1追加壁部54a、及び第2追加壁部54bは、逆L字状に形成されており、第1延長基部53aの後縁部及び右縁部により形成された逆L字状の縁部をロア部材22に接続している。これによれば、第1延長基部53aの剛性を高めることが可能となり、さらには、第1延長基部53aが接続されている基部51の剛性を高めることが可能となる。
【0044】
尚、第1追加壁部54aの厚みは、第1追加壁部54aに連続する基部壁部52(本実施形態では後壁52c)の他の壁部(本実施形態では左壁52aまたは前壁52b)の厚みより厚く形成されるのが好ましい。また、第1追加壁部54aに連続する基部壁部52(本実施形態では後壁52c)の厚みは、第1追加壁部54aの厚みと同一に形成されるのが好ましく、すなわち、他の壁部(本実施形態では左壁52aまたは前壁52b)の厚みより厚く形成されるのが好ましい。
【0045】
第3追加壁部54cは、第1追加壁部54aと同様に、第2延長基部53bをロア部材22に接続する壁部である。第3追加壁部54cは、第2延長基部53bの外周縁部(本実施形態では右縁部)に接続されている。第3追加壁部54cは、第2追加壁部54bの先端部(右端部)から第2追加壁部54bの延長方向(例えば左右方向)と異なる方向(例えば前後方向)に沿って延長されている。第3追加壁部54cは、基部壁部52の左壁52aに対向して配置されている。
【0046】
これら第1追加壁部54a、第2追加壁部54b、及び第3追加壁部54cは、連続して形成されている。このように、第1追加壁部54a、及び第2追加壁部54bは、逆L字状に形成されており、第1延長基部53aの後縁部及び右縁部並びに第2延長基部53bの右縁部により形成された逆L字状の縁部をロア部材22に接続している。これによれば、第1延長基部53a及び第2延長基部53bの剛性を高めることが可能となり、さらには、第1延長基部53aが接続されている基部51の剛性を高めることが可能となる。
【0047】
取付用台座23は、延長開口部56及び挿通開口部57を備えている。延長開口部56は、保持開口部55を延長して形成した開口部であり、保持開口部55と挿通開口部57とを連通している。延長開口部56は、保持開口部55の開口を開口側(右側)に延長して配置されており、平面視略方形状に形成されている。延長開口部56は、基部51の輪郭(保持開口部55も含んだ輪郭)と延長基部53の内側との間に形成された開口部である。延長基部53の内側は、逆L字状に形成された第1延長基部53aと第2延長基部53bとの内側であり、第1延長基部53aの前縁部と第2延長基部53bの左縁部の内側である。
【0048】
挿通開口部57は、保持開口部55と連通して設けられ、かつ、ナット部材41(固定部材)が挿通可能である開口部である。挿通開口部57は、ナット部材41を保持開口部55に導入・導出するための入出口として機能する。挿通開口部57は、ナット部材41の筒状本体41aが挿通可能である第1挿通開口部57a、及び、ナット部材41の第2フランジ部41cが挿通可能である第2挿通開口部57bを有している。
【0049】
第1挿通開口部57aは、基部51の第2基部51b(の右端部)と第2延長基部53b(の先端部(前端部))との間に形成された開口部である。第1挿通開口部57aの開口幅は、少なくとも筒状本体41aの外径より大きい値に設定されている。第2挿通開口部57bは、基部壁部52の前壁52b(の右端部)と第3追加壁部54c(の先端部(前端部))との間に形成された開口部である。第2挿通開口部57bの開口幅は、少なくとも第2フランジ部41cの短辺(正方形の場合には一辺)より大きい値に設定されている。
【0050】
挿通開口部57は、取付用台座23のうち、ロア部材22(取付対象物)に力が付与された際に前記力が作用し難い場所に設けられていることが好ましい。前記力が作用し難い場所は、取付用台座23のうち基部51や基部壁部52でなく、基部51を延長した延長基部53又は延長基部53を取付対象物に接続する追加壁部54が設けられる場所であって、前記力が作用する場所(高負荷箇所)から離れた場所であって負荷が低い場所(低負荷箇所)である。本実施形態では、高負荷箇所は、取付用台座23の後側部であり、低負荷箇所は、取付用台座23の前側部である。よって、挿通開口部57は、取付用台座23の後側部以外の場所に設けられれば良く、取付用台座23の前側部や右側部に設けられるのが好ましい。
【0051】
ナット部材41が挿通開口部57に導入される際には、ナット部材41の筒状本体41aが第1挿通開口部57aに挿通されるとともに、ナット部材41の第2フランジ部41cが第2挿通開口部57bに挿通される。ナット部材41が保持開口部55に向けて移動される際には、ナット部材41の被保持部41d(図2参照)が延長開口部56の開口周縁部に案内されており、第1フランジ部41bは、延長基部53の下面(図2参照)に沿って移動し、第2フランジ部41cは、延長基部53の上面(図2参照)に沿って移動する。そして、ナット部材41が保持開口部55に移動される。
【0052】
さらに、ナット部材41が保持開口部55に導入されると、ナット部材41の被保持部41dが保持開口部55の開口周縁部55aに案内され、第1フランジ部41bは、基部51の下面(図2参照)に沿って所定の固定位置(図8参照)まで移動し、第2フランジ部41cは、基部51の上面(図2参照)に沿って所定の固定位置(図8参照)まで移動する。
【0053】
締結部材40は、図2及び図8に示すように、ナット部材41とボルト部材42とを備えている。ナット部材41は、筒状本体41a、筒状本体41aの一端部(下端部)に同軸に設けられた環状の第1フランジ部41b、筒状本体41aの他端部(上端部)に同軸に設けられた方形状の第2フランジ部41c、並びに、筒状本体41aの外壁面、第1フランジ部41b、及び第2フランジ部41cにより形成された環状凹部である被保持部41d、を備えている。筒状本体41aの内周面には、ボルト部材42の雄ねじが螺合する雌ねじ41fが形成されている。
【0054】
被保持部41dの幅(第1フランジ部41bと第2フランジ部41cとの間隔)は、取付用台座23の基部51(内側周縁部)の厚みより若干大きくなるように設定されるのが好ましい。第1フランジ部41bと第2フランジ部41cとは、取付用台座23の基部51(内側周縁部)を挟持する。換言すると、被保持部41dは、取付用台座23の基部51(内側周縁部)によって保持されている。
【0055】
尚、第1フランジ部41bの下端面には、環状の弾性部材41eが同軸に設けられている。また、第2フランジ部41cは、ナット部材41の回転を規制するために、基部壁部52のいずれかの内壁面(好ましくは、前壁52bまたは後壁52c)に接触可能な方形状に形成されている。具体的には、方形状の第2フランジ部41cの短辺(正方形の場合には一辺)の長さは、基部壁部52の前壁52bと後壁52cとの間隔より小さく、保持開口部55の前後方向幅より大きい値に設定されている。方形状の第2フランジ部41cの長辺(正方形の場合には対角線)の長さは、基部壁部52の前壁52bと後壁52cとの間隔より大きい値に設定されている。
【0056】
尚、ナット部材41を取付用台座23に保持するようにしたが、ボルト部材142を取付用台座23に保持するようにしてもよい。この場合、ボルト部材142は、図9に示すように、筒状本体41aに雌ねじ41fを設ける代わりに、筒状本体41aに同軸に雄ねじ142fを設ければよい。ボルト部材142は、ナット部材41と同様に、筒状本体41a、第1フランジ部41b、第2フランジ部41c、被保持部41d、及び弾性部材41eを備えている。また、ボルト部材142に締結されるナット部材は、一般的な六角ナットなどを採用すればよい。
【0057】
(第1変形例)
さらに、第1変形例に係る取付用台座223について、図10を参照して説明する。上述した取付用台座23の延長基部53は、第1延長基部53a及び第2延長基部53bにて形成するようにしたが、図10に示すように、第1延長基部53aのみにて形成するようにしてもよい。第1変形例に係る取付用台座223において、追加壁部54は、第3追加壁部54cを設けないで、第1追加壁部54a及び第2追加壁部54bのみにて形成するのが好ましい。すなわち、取付用台座223は、基部51、基部壁部52、保持開口部55、第1延長基部53a、第1追加壁部54a、第2追加壁部54b及び挿通開口部257を備えている。
【0058】
尚、挿通開口部257は、挿通開口部57と同様に機能し、基部51の第2基部51b(の右端部)及び基部壁部52の前壁52b(の右端部)と、第1延長基部53a及び第2追加壁部54bと、の間に形成された開口部である。さらに、追加壁部54は、第1追加壁部54aのみにて形成するようにしてもよい。
【0059】
(実施形態の作用・効果)
上述した実施形態に係る取付構造60(取付用台座23)は、リアスポイラ20(取付対象物)を車体30(取付先)に締結部材40(固定部材)により取り付けるための取付構造である。取付構造60は、平面視U字状に形成され、締結部材40の被保持部41dを保持する基部51と、基部51の外周縁部をリアスポイラ20に接続する基部壁部52と、基部51の開口端部の一方から延長された第1延長基部53aを有する延長基部53と、延長基部53をリアスポイラ20に接続する第1追加壁部54aを有する追加壁部54と、を備えている。
【0060】
この発明に係る取付構造60によれば、締結部材40が基部51の開口部の周縁部により保持され、締結部材40を保持した基部51がリアスポイラ20に固定されることにより、取付構造60によってリアスポイラ20を車体30に取り付けることが可能となる。このとき、U字状の基部51の開口端部の一方は、第1延長基部53aによって延長されるとともに、延長された第1延長基部53a(延長基部53)は、第1追加壁部54a(追加壁部54)によってリアスポイラ20に接続されるので、U字状の基部51の開口端部の一方の剛性を高めることが可能となる。その結果、リアスポイラ20を車体30に取り付けた取付構造60の耐荷重をより高くすることが可能となる。よって、取付構造60、特に取付用台座23ひいてはリアスポイラ20の変形・破損を抑制することが可能となる。
【0061】
また、本発明に係る取付構造60においては、第1追加壁部54aまたは第1追加壁部54aに連続する基部壁部52の厚みは、他の基部壁部52の厚みより厚く形成されていることが好ましい。これによれば、第1追加壁部54aまたは第1追加壁部54aに連続する基部壁部52の剛性を、他の基部壁部52に対して高くすることが可能となるので、第1延長基部53a(延長基部53)の剛性を高くすることが可能となる。その結果、取付構造60の耐荷重をさらに高くすることが可能となる。
【0062】
また、本発明に係る取付構造60においては、追加壁部54は、第1追加壁部54aの先端部から第1追加壁部54aの延長方向と異なる方向に沿って延長され、かつ、第1延長基部53aをリアスポイラ20に接続する第2追加壁部54bをさらに備えることが好ましい。これによれば、延長された第1延長基部53a(延長基部53)は、第1追加壁部54aの先端部に設けた第2追加壁部54bによってリアスポイラ20に接続されるので、U字状の基部51の開口端部の一方の剛性をより高めることが可能となる。その結果、リアスポイラ20を車体30に取り付けた取付構造60の耐荷重をより高くすることが可能となる。
【0063】
また、本発明に係る取付構造60においては、延長基部53は、第1延長基部53aの先端部から第1延長基部53aの延長方向と異なる方向に沿って延長された第2延長基部53bをさらに備え、追加壁部54は、第2延長基部53bをリアスポイラ20に接続する第3追加壁部54cをさらに備えることが好ましい。これによれば、U字状の基部51の開口端部の一方から延長された第1延長基部53aは第2延長基部53bによって方向を変えて延長されるとともに、延長された第2延長基部53b(延長基部53)は、第3追加壁部54c(追加壁部54)によってリアスポイラ20に接続されるので、U字状の基部51の開口端部の一方の剛性をより高めることが可能となる。
【0064】
また、本発明に係る取付構造60は、リアスポイラ20(取付対象物)を車体30(取付先)に締結部材40により取り付けた取付構造60である。取付構造60は、締結部材40の被保持部41dをスライド可能に保持する保持開口部55を有する基部51と、基部51の外周縁をリアスポイラ20に接続する基部壁部52と、保持開口部55と連通して設けられ、かつ、締結部材40が挿通可能である挿通開口部57と、を備え、挿通開口部57は、リアスポイラ20に力が付与された際に前記力が作用し難い場所に設けられていることを特徴とする。
【0065】
この発明に係る取付構造60によれば、締結部材40が基部51の保持開口部55により保持され、締結部材40を保持した基部51がリアスポイラ20に固定されることにより、取付構造60によってリアスポイラ20を車体30に取り付けることが可能となる。このとき、保持開口部55に連通して設けられ締結部材40が挿通可能である挿通開口部57は、リアスポイラ20に力が付与された際に前記力が作用し難い場所に設けることが可能となるので、挿通開口部57の剛性を高めることが可能となる。その結果、リアスポイラ20を車体30に取り付けた取付構造60の耐荷重をより高くすることが可能となる。
【符号の説明】
【0066】
20…取付対象物(リアスポイラ)、23…取付用台座、30…取付先(車体)、40…固定部材(締結部材)、41d…被保持部、51…基部、52…基部壁部、53…延長基部、53a…第1延長基部、53b…第2延長基部、54c…第3追加壁部、54…追加壁部、54a…第1追加壁部、54b…第2追加壁部、55…保持開口部、57…挿通開口部、60…取付構造。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10