(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019718
(43)【公開日】2024-02-09
(54)【発明の名称】線を保管容器に包装する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
B65H 75/36 20060101AFI20240202BHJP
【FI】
B65H75/36 F
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023222569
(22)【出願日】2023-12-28
(62)【分割の表示】P 2020053632の分割
【原出願日】2020-03-25
(31)【優先権主張番号】16/364,690
(32)【優先日】2019-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】510202156
【氏名又は名称】リンカーン グローバル,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム ディー.クーパー
(57)【要約】
【課題】線コイリング装置及び線コイルを包装する方法を提供する。
【解決手段】この線コイリング装置は、一連の線ループを連続線から形成する回転線敷設ヘッドを含む。X-Yテーブルは、一連の線ループが、X-Yテーブルの線形X-Y運動のために、X-Yテーブルによって支持されている保管容器内に多角形に配列されるように、一連の線ループが形成されている間に、回転線敷設ヘッドの下で線形X-Y方向に移動するように構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一連の線ループを連続線から形成する回転線敷設ヘッドと、
前記一連の線ループが、X-Yテーブルの線形X-Y運動のために、前記X-Yテーブルによって支持されている保管容器内に多角形に配列されるように、前記一連の線ループが形成されている間に、前記回転線敷設ヘッドの下で線形X-Y方向に移動するように構成されている前記X-Yテーブルと
を含む線コイリング装置。
【請求項2】
前記回転線敷設ヘッドの回転軸は、前記保管容器の軸と平行であり、前記保管容器の前記軸は、前記一連の線ループが形成されている間に、前記線形X-Y方向に前記回転線敷設ヘッドの前記回転軸の周りを移動する、請求項1に記載の線コイリング装置。
【請求項3】
前記X-Yテーブルは、前記保管容器の前記軸の周りに前記保管容器を回転させることなく、前記一連の線ループが形成されている間に、前記回転線敷設ヘッドの下で前記線形X-Y方向に前記保管容器を移動させる、請求項2に記載の線コイリング装置。
【請求項4】
前記一連の線ループは、前記X-Yテーブルの前記線形X-Y運動のために、前記保管容器内に八角形に配列されている、請求項2に記載の線コイリング装置。
【請求項5】
前記X-Yテーブルは、前記一連の線ループが形成されている間に、8つの異なるX-Y方向に前記保管容器を移動させる、請求項4に記載の線コイリング装置。
【請求項6】
前記保管容器は、複数の垂直壁を有する八角形ライナーを含み、前記線ループの各々は、接線で前記垂直壁のうち少なくとも1つに接触する、請求項4に記載の線コイリング装置。
【請求項7】
前記連続線は、前記保管容器内に複数の八角形層を形成し、前記八角形層の各々は、それぞれの前記一連の線ループから構成されている、請求項4に記載の線コイリング装置。
【請求項8】
線コイルを包装する方法であって、
一連の線ループを連続線から形成する回転線敷設ヘッドと、
前記一連の線ループが形成されている間に、線形X-Y方向に移動するように構成されているX-Yポジショナーと
を含むコイリングマシンを設けるステップと、
多角形内壁を有する保管箱を前記コイリングマシンに置くステップと、
前記一連の線ループを前記保管箱の前記多角形内壁の内部に多角形に配列するように、前記X-Yポジショナーによって前記線形X-Y方向に前記保管箱を同時に移動させている間に、前記一連の線ループを前記保管箱内に形成するステップと
を含む方法。
【請求項9】
前記回転線敷設ヘッドの回転軸は、前記保管箱の軸と平行であり、前記保管箱の前記軸は、前記一連の線ループを形成している間に、前記線形X-Y方向に前記回転線敷設ヘッドの前記回転軸の周りを移動する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記X-Yポジショナーは、前記保管箱の前記軸の周りに前記保管箱を回転させることなく、前記一連の線ループを形成している間に、前記回転線敷設ヘッドの下で前記線形X-Y方向に前記保管箱を移動させる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記多角形内壁は八角形を形成し、前記回転線敷設ヘッドの下で前記線形X-Y方向に前記保管箱を移動させるために、前記一連の線ループを前記保管箱の内部に八角形に配列する、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記連続線は、前記保管箱内に複数の八角形層を形成し、前記八角形層の各々を、それぞれの前記一連の線ループから構成する、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接線などの線の大量保管容器への包装に関する。大量保管容器の例は、ドラム缶、箱などを含む。
【背景技術】
【0002】
連続溶接線を大型容器に包装することが知られている。この線で、線の層を形成するためにこの容器内に円形パターンで配置された一連のループを形成する。数百ポンドの線を必要とすることがある容器がいっぱいになるまで、層の上に層を追加する。一連のループによって各々形成される線の層は、容器内で円筒形を有する。容器も円筒形である場合、個々のループ及び線の層を、容器の壁の近くに敷設することができる。幾つかの容器は、正方形であり、八角形ライナーを有する。このような場合、円筒形を一緒に形成する線の層は、円筒形の容器に比べて、容器の内壁の近くに位置しない。八角形ライナーと線ループとの間の隙間は、出荷中に容器内で線の移動又はへたりを引き起こすことがある。線のへたりは、(線の初期低密度包装のために)必要な高さよりも容器が高くなるように要求するので一般的に望ましくない。また、線のへたりにより、例えば自動又は半自動溶接作業中に、容器から線を繰り出す場合に線が絡まることがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
下記の概要は、本明細書に記載のデバイス、システム及び/又は方法の幾つかの態様の基本的な理解を与えるために簡単な概要を提示する。この概要は、本明細書に記載のデバイス、システム及び/又は方法の広範囲の概説ではない。この概要は、重要な要素を識別し、又はこのようなデバイス、システム及び/又は方法の範囲を線引きするように意図されていない。概要の唯一の目的は、後で提示されるより詳細な説明に対する前置きとして簡単な形で幾つかの概念を提示することである。
【0004】
本発明の一態様は、容器を提供する。この容器は、外箱と、外箱内に設置されている多角形ライナーとを含む。多角形ライナーは、複数の垂直壁を有する。連続線は、多角形ライナー内に設置され、複数の層を形成する。これらの層の各々は、多角形ライナーの垂直壁に沿って多角形に配列されている一連の線ループから構成されている。
【0005】
本発明の別の態様は、容器を提供する。この容器は、長方形箱と、長方形箱内に設置され、多角形に配置されている複数の垂直壁を形成する少なくとも1つの多角形ライナーとを含む。連続線は、長方形箱内に設置され、複数の層を形成する。これらの層の各々は、垂直壁に沿って多角形に配列されている一連の線ループから構成されている。
【0006】
本発明の別の態様は、線コイリング装置を提供する。この線コイリング装置は、一連の線ループを連続線から形成する回転線敷設ヘッドを含む。X-Yテーブルは、一連の線ループが、X-Yテーブルの線形X-Y運動のために、X-Yテーブルによって支持されている保管容器内に多角形に配列されるように、一連の線ループが形成されている間に、回転線敷設ヘッドの下で線形X-Y方向に移動するように構成されている。
【0007】
本発明の別の態様は、線コイルを包装する方法を提供する。この方法は、コイリングマシンを設けるステップを含む。コイリングマシンは、一連の線ループを連続線から形成する回転線敷設ヘッドを含む。コイリングマシンは、一連の線ループが形成されている間に、線形X-Y方向に移動するように構成されているX-Yポジショナーを更に含む。多角形内壁を有する保管箱を、コイリングマシンに置く。一連の線ループを保管箱の多角形内壁の内部に多角形に配列するように、X-Yポジショナーによって線形X-Y方向に保管箱を同時に移動させている間に、一連の線ループを保管箱内に形成する。
【0008】
本発明の上述の態様及び他の態様は、添付図面を参照して下記の説明を読めば、本発明が関連する当業者に明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、溶接線などの線の大量包装に関する。ここで、全体にわたって同じ要素を意味するために同じ参照符号を使用する図面を参照して、本発明を説明する。様々な図面を、図面毎にも所与の図面内でも縮尺通りに必ずしも描く必要がないこと、特に、図面の理解を容易にするために構成要素のサイズを任意に描くことが分かるはずである。下記の説明において、説明の目的で、本発明の完全な理解を与えるために、多くの特定の詳細を説明する。しかし、これらの特定の詳細無しで、本発明を実行することができることは明白である。更に、本発明の他の実施形態も可能であり、本明細書に記載の方法以外の方法で、本発明を実行して実施することができる。本発明を説明する際に使用される用語及び表現は、本発明の理解を促す目的のために使用され、限定と見なされるべきではない。
【0011】
本明細書で使用されるように、「少なくとも1つ」、「1つ又は複数」、及び「及び/又は」は、両方とも連結的及び離接的に作用する制限のない表現である。例えば、表現「A、B及びCのうち少なくとも1つ」、「A、B、又はCのうち少なくとも1つ」、「A、B、及びCのうち1つ又は複数」、「A、B、又はCのうち1つ又は複数」、及び「A、B、及び/又はC」の各々は、A単独、B単独、C単独、A及びBの両方、A及びCの両方、B及びCの両方、又はA、B及びCの全てを意味する。実施形態の説明であろうと特許請求の範囲であろうと又は図面であろうと、2つ以上の代替用語を提示する任意の離接語又は語句は、用語のうち1つ、用語の何れか一方、又は両方の用語を含む可能性を考えるものと理解される。例えば、語句「A又はB」は、「A」、又は「B」、又は「A及びB」の可能性を含むものと理解される。
【0012】
図1は、長方形箱、特に正方形箱10の形をした保管容器Cを示す。この箱を、ボール紙、又は同様の構造特性を有する材料から形成することができる。箱10は、4つの隅を規定する外側壁12、14、16及び18を有する。箱10内で線のコイル20を支持するために、八角形ライナー22などの多角形ライナーを、外箱10内に設置する。このライナー22を、ボール紙又は同様の材料から形成することもできる。ライナー22は、複数の垂直に延在する壁を有し、これらの壁は、箱10の内壁に対して配置される、又は箱の内隅を横切って対角線上に延在する。箱10の隅におけるライナー22の対角壁は、補強要素24、26、28、30を充填することができる三角形隅空洞を形成する。単一ライナーを含むのではなく、保管容器Cは、箱の壁と一緒に保管容器の内部の多角形を形成する多数のライナー部材(例えば、三角形隅挿入物)を含むことができる。
【0013】
線のコイル20は、ライナー22の形状に一致させるために、大体多角形(例えば、八角形)断面形状を有する。八角形ライナーを利用する従来の線容器は、円筒形の線のコイルを保持する。円筒形コイルと八角形ライナーとの間の形状の差は、円筒形コイルと八角形ライナーの壁との間に隙間をもたらし、出荷中に線のへたりを引き起こすことがある。線がへたると、容器から線を繰り出す場合に線が絡まる可能性が増加する。
図1における八角形コイル20では、このコイルとライナー22の壁との間の隙間が、従来の円筒形コイルよりも小さくなる。従って、八角形コイル20は、従来の円筒形コイルよりも、容器C内でへたりを被る可能性が低い、又はへたりの程度が小さい。
【0014】
後述のように、コイル20を、複数の層に配置された連続線によって形成する。これらの層の各々は、線の一連の円形ループから構成されている。各ループの直径は、ライナー22の壁毎の幅よりもわずかに小さい(例えば、ライナーの壁毎の幅よりも約15%小さい)。各ループの中心は、箱10及びライナー22の軸からライナーの壁の方へ半径方向にオフセットされている。線の層を形成する一連の線ループは、ライナーの形状に一致させるために、ライナー22の垂直壁に沿って多角形に(例えば、長方形、八角形、十二角形などに)配列されている。線ループの多角形配列は、ライナー壁の中心部に沿った直線部分、及び湾曲又はアール付き頂点を有する。一連の多角形配列ループの各々によって形成された線の層は、幾層にも積み重ねられているので、線のコイルは、中央開口部及びアール付き頂点を有する多角形(例えば、八角形)柱の形となる。線コイリング装置の回転線敷設ヘッドによってループを形成している間に、線形X-Y方向に保管容器C及び/又は回転線敷設ヘッドを移動させることによって、線のループを多角形配列に敷設する。
【0015】
図2は、線コイリング装置32の例の一部を示す。連続溶接線34を、製造プロセス(図示せず)から引く。モーター38によって駆動されるキャプスタン36によって、この溶接線34を引く。一連のダンサローラー40は、線に掛かる張力を保つ。溶接線34を、キャプスタン36に約270度巻き付ける。これにより、適切な摩擦及び駆動能力を与えて、ダンサローラー40を横切って溶接線34を引く。
【0016】
キャプスタン36から、溶接線を、回転線敷設ヘッド42に供給する。この敷設ヘッド42は、底部に、又は底部に隣接する円筒に沿って開口部を有する大体円筒形の管であることができる。溶接線34は、キャプスタン36から敷設ヘッド42の内部に通過する。溶接線34は、この管を通って延在し、敷設ヘッド42における開口部から出るとすぐ、溶接線34は、保管容器C内に置かれる。大体垂直軸Aの周りを回転するために、敷設ヘッド42を線コイリング装置32の上部から吊るす。
【0017】
敷設ヘッド42は、保管容器Cに延在し、軸Aの周りを回転する。この軸Aは、保管容器の軸Bと大体平行である。キャプスタン36によって敷設ヘッド42に供給されている線を、この敷設ヘッドの回転速度と異なる回転速度で供給する。敷設ヘッド42の回転速度とキャプスタン36の回転速度との間の比は、保管容器C内の線ループのループサイズ直径を決定する。モーター44は、例えば駆動ベルトを介して、敷設ヘッド42を駆動する。制御器46は、キャプスタンモーター38及び敷設ヘッドモーター44の速度を制御して、2つのモーターの速度間の比を調整することができ、これによって、多角形コイルを形成する線ループの直径を調整する。線ループの直径の例は、約14~17インチである。しかし、必要に応じて、この範囲を超える直径を与えることができる。
【0018】
線34を保管容器C内に敷設する時に、センサーは、線の高さを確認し、保管容器を、制御器46によって下降させる。保管容器が下方に移動する時に、敷設ヘッド42は、回転し続け、その結果、保管容器Cはいっぱいになる。保管容器Cを、(例えば、双頭矢印で示すZ方向に)案内トラック48に沿って垂直に移動可能なL字形梁47に支持する。シリンダー及びピストン組立体50、及び/又はボールねじアクチュエータなどのアクチュエータを、L字形梁及びコイリング装置32の枠に装着し、保管容器Cに線を充填する時に、保管容器Cの下降を制御することができる。保管容器Cに充填する時に、保管容器Cが敷設ヘッド42から離れて下方に移動するので、敷設ヘッド42は垂直方向に移動する必要がないことが分かるはずである。
【0019】
コイリング装置32は、保管容器Cを搭載するX-Yテーブル52又は同様なX-Yポジショナーを含む。X-Yテーブル52は、保管容器CをX-Yテーブルにしっかりと装着するクリップ54又は他の締め付けデバイスを含むことができる。X-Yテーブル52は、一連の線ループが形成されている間に、敷設ヘッド42の下でX及びY方向に(例えば、大体水平面内で)保管容器Cを移動させる。Y方向を、
図2における水平双頭矢印で概略的に示し、X方向は、Y方向及びZ方向(例えば、図面の面内及び面外)に直角である。X-Yテーブル52又はポジショナーは、ベルト駆動アクチュエータ、ボール又は送りねじアクチュエータ、ラックアンドピニオンアクチュエータ、空気圧又は液圧アクチュエータなどの線形アクチュエータを使用することができる。敷設ヘッド42の動作中に、X-Yテーブル52の運動は、コイル20の層を形成する一連の線ループを、ライナーの多角形壁に沿って保管容器C内に多角形に配列するように、制御される。特に、これらのループを、敷設ヘッド42の下で容器Cを移動させるX-Yテーブル52によって設定された八角形パターンに配列する。X-Yテーブル52の運動を、制御器46によって制御することができる。代わりに、線ループを形成している間に、敷設ヘッド42を、X-Y方向に移動させることができる。必要に応じて、X-Yテーブル52は、X及びY方向に可変速度運動を与えて、線ループを曲線に沿って配列することができる。特定の実施形態において、線コイリング装置32は、X及びY方向への移動に加えて、容器Cを軸Bの周りに回転させることができるターンテーブルを含むことができる。このターンテーブルは、必要に応じて、一連のループを円形パターンに敷設することができる。
【0020】
制御器46は、1つ又は複数のプロセッサを有する電子制御器を含むことができる。例えば、制御器46は、マイクロプロセッサ、マイクロ制御器、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)、個別論理回路などのうち1つ又は複数を含むことができる。制御器46は、メモリを更に含むことができ、本明細書で帰属する機能を制御器に実行させるプログラム命令を記憶してもよい。このメモリは、1つ又は複数の揮発性、不揮発性、磁気、光、又は電気媒体、例えば、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)、フラッシュメモリなどを含んでもよい。制御器46は、制御器への様々なアナログ入力を処理する1つ又は複数のアナログ・デジタル(A/D)変換器を更に含むことができる。
【0021】
図3は、線ループを八角形ライナー22内に円形配列に配置した結果を示し、
図4は、線ループの円形配列の例を概略的に示す。敷設ヘッドの軸Aの周りに敷設ヘッドを回転させることによって、溶接線34を、ライナー22内で輪にする。敷設ヘッドの回転を、矢印56で示す。敷設ヘッドの軸Aは、保管容器及びライナー22の軸Bから半径方向にオフセットされている。敷設ヘッドが線ループを生成している間に、保管容器を、わずか1回転(例えば、1度又は2度)だけ反時計回りに回転させる。線ループを生成している間に、保管容器を回転させると、ループの円形配列が生成される。円形配列におけるループの一部はライナー22の側面に接触する一方、他のループは接触しないことが、
図3で分かる。
図3の左下部分で、ループとライナー壁との間に、隙間が存在する。このような隙間は、線の容器の出荷中に線がへたる余地があり、その結果、容器から線を繰り出す場合に線が絡まることがあり、より高い容器を必要とすることがある。
【0022】
図5は、一連の線ループが形成されている間に線敷設ヘッドの下でX及びY方向に保管容器Cを線形移動させる例を示す。
図6は、例えば容器Cにおいてループの層で見られる、線ループの多角形配列の例を示す。多角形配列における線のループが保管容器の中心に位置しないように、保管容器Cの軸Bを、敷設ヘッドの回転軸Aからオフセットすることができる。しかし、保管容器Cの軸Bを、八角形ライナー22の垂直壁の方へオフセットする。保管容器Cの軸Bと敷設ヘッドの回転軸Aとの間のオフセット量は、線ループの直径、従って、キャプスタン及び敷設ヘッドの回転速度に左右され得る。保管容器Cの軸Bと敷設ヘッドの回転軸Aとの間のより大きいオフセットを用いて、より小さい線ループを形成し、その結果、これらのループはライナー22の壁に沿って配置される。より大きい線ループを形成する場合、保管容器Cの軸Bと敷設ヘッドの回転軸Aとの間のオフセットを減らす。軸Aと軸Bとの間のオフセットを、所望のループ直径に基づいて、制御器46(
図2)によって制御することができる。線のループとライナー22の内壁との間の隙間を最小化するために、線ループの各々が接線で八角形ライナー22の壁のうち少なくとも1つに接触するように、線ループをライナー内に配置することができる。これは、敷設ヘッドの回転軸Aから保管容器Cの軸Bを適切にオフセットし、線のループを形成している間に線形X-Y方向に保管容器を移動させることによって、達成可能である。線ループを形成している間に保管容器Cを移動させる時に、保管容器Cの軸Bと敷設ヘッドの回転軸Aとの間のオフセットは、
図5における矢印で示すような八角形パターンに保管容器を移動させるにつれて、変化する、例えば増減する。保管容器Cの軸Bと敷設ヘッドの回転軸Aとの間のオフセットの例は、保管容器の軸B及び敷設ヘッドの回転軸Aをライナーの対向垂直壁の中心に位置合わせする場合、ライナー22の内幅(対向垂直壁間の壁毎の距離)と線ループの直径との間の差の半分である。特定の実施形態において、容器Cに充填している間に、ループサイズを調整することができ、その結果、線の幾つかの層は、第1の直径のループによって形成され、線の他の層は、第1の直径と異なる第2の直径のループによって形成される。このような実施形態において、保管容器に充填している間に、保管容器Cの軸Bと敷設ヘッドの回転軸Aとの間のオフセットを調整及び制御して、線の異なる直径のループに対応することができる。
【0023】
図5における矢印で示すように、ライナー22の形状に一致させる八角形配列に線ループを敷設するように、保管容器Cを、X-Yテーブル52(
図2)又はポジショナーによって八角形パターンで移動させる。
図5における矢印のパターン及び方向は、例示的であり、保管容器Cを、反対方向(例えば、時計回り八角形パターン)で、及び他のパターン(例えば、正方形又は他の多角形パターン)で移動させることもできる。八角形パターンで線ループを配列するために、X-Yテーブル又はポジショナーは、線ループを敷設ヘッドの回転によって形成している間に、X-Y平面上の8つの異なる線形方向に保管容器Cを移動させる。線ループの直径を、キャプスタン及び敷設ヘッドの回転速度によって制御し、保管容器Cにおける線ループの配置を、X-Yテーブル又はポジショナーの運動によって制御する。好ましくは、線のコイルとライナーの壁との間の隙間を最小化するために、各線ループは、接線でライナー22の垂直壁のうち少なくとも1つに接触する。しかし、幾つかのループは、ライナーの壁に接触しないかもしれないけれども、他のループ(例えば、ループの大部分)は接触する。保管容器Cを八角形パターンで移動させる時に、保管容器の軸Bは、線ループをライナー22の垂直壁に対して敷設するように、八角形パターンでX-Y方向に敷設ヘッドの回転軸Aの周りを移動する。特定の実施形態において、線ループを保管容器内に形成している間に、保管容器Cをターンテーブルによって回転させることもでき、X及び/又はY方向への保管容器の同時移動の有無にかかわらず、このような回転を行うことができる。他の実施形態において、X-Yテーブル又はポジショナーは、保管容器の軸Bの周りに保管容器を回転させることなく、一連の線ループを形成している間に、回転線敷設ヘッドの下で線形X-Y方向に保管容器Cを移動させる。特定の実施形態において、敷設ヘッドをX及びY方向に移動させて、所望の多角形パターンで線ループを敷設することができる。代わりに、敷設ヘッドは、X及びY方向のうち一方の方向に移動するように構成可能であり、線コイリング装置は、X及びY方向のうち他方の方向に保管容器Cを移動させることができ、その結果、線ループを形成している間に、敷設ヘッド及び保管容器は、一緒に移動して、線ループを多角形に配列する。
【0024】
図4に示す線ループの円形配列と
図6に示す線ループの八角形配列とを比較すると、線ループの八角形配列は、ライナー22の壁の中央部に沿った直線部分S、及び湾曲又はアール付き頂点Rを有することが分かる。頂点Rの半径は大きいので、線ループの配列の八角形は、直線短辺Sと略同じ長さの湾曲Rを掃引することによって接続された8つの直線短辺Sを有する。線ループの多角形配列によって形成された直線部分S及び湾曲頂点Rの相対的長さは、ライナー22の内部壁毎の幅及び線ループの直径で決まる。線ループの直径を小さくするにつれて、多角形配列の直線部分Sの長さは長くなり、直線部分を接続する湾曲頂点Rの長さは短くなる。線ループの直径が大きくなるにつれて、多角形配列の直線部分Sの長さは短くなり、直線部分を接続する湾曲頂点Rの長さは長くなる。
【0025】
この開示は一例であること、及びこの開示に含まれる教示の公正な範囲から逸脱することなく、詳細を追加、修正又は削除することによって、様々な変更を行うことができることは明白であるべきである。従って、本発明は、下記の特許請求の範囲が必然的に限定される場合を除いて、この開示の特定の詳細に限定されない。
【0026】
次の付記を記す。
(付記1) 外箱と、
前記外箱内に設置され、複数の垂直壁を有する多角形ライナーと、
複数の層を形成する前記多角形ライナー内の連続線であって、前記層の各々は、前記多角形ライナーの前記垂直壁に沿って多角形に配列されている一連の線ループから構成されている連続線と
を含む容器。
(付記2) 前記一連の線ループは、八角形に配列されている、付記1に記載の容器。
(付記5) 前記多角形ライナーは、八角形である、付記2に記載の容器。
(付記4) 前記線ループの各々は、接線で前記垂直壁のうち少なくとも1つに接触する、付記1に記載の容器。
(付記5) 長方形箱と、
前記長方形箱内に設置され、多角形に配置されている複数の垂直壁を形成する少なくとも1つのライナーと、
複数の層を形成する前記長方形箱内の連続線であって、前記層の各々は、前記垂直壁に沿って多角形に配列されている一連の線ループから構成されている連続線と
を含む容器。
(付記6) 前記一連の線ループは、八角形に配列されている、付記5に記載の容器。
(付記7) 前記少なくとも1つのライナーは、八角形を有する、付記6に記載の容器。
(付記8) 前記線ループの各々は、前記垂直壁のうち少なくとも1つの内面に接触する、付記7に記載の容器。
(付記9) 前記長方形箱は、正方形である、付記8に記載の容器。
(付記10) 一連の線ループを連続線から形成する回転線敷設ヘッドと、
前記一連の線ループが、X-Yテーブルの線形X-Y運動のために、前記X-Yテーブルによって支持されている保管容器内に多角形に配列されるように、前記一連の線ループが形成されている間に、前記回転線敷設ヘッドの下で線形X-Y方向に移動するように構成されている前記X-Yテーブルと
を含む線コイリング装置。
(付記11) 前記回転線敷設ヘッドの回転軸は、前記保管容器の軸と平行であり、前記保管容器の前記軸は、前記一連の線ループが形成されている間に、前記線形X-Y方向に前記回転線敷設ヘッドの前記回転軸の周りを移動する、付記10に記載の線コイリング装置。
(付記12) 前記X-Yテーブルは、前記保管容器の前記軸の周りに前記保管容器を回転させることなく、前記一連の線ループが形成されている間に、前記回転線敷設ヘッドの下で前記線形X-Y方向に前記保管容器を移動させる、付記11に記載の線コイリング装置。
(付記13) 前記一連の線ループは、前記X-Yテーブルの前記線形X-Y運動のために、前記保管容器内に八角形に配列されている、付記11に記載の線コイリング装置。
(付記14) 前記X-Yテーブルは、前記一連の線ループが形成されている間に、8つの異なるX-Y方向に前記保管容器を移動させる、付記13に記載の線コイリング装置。
(付記15) 前記保管容器は、複数の垂直壁を有する八角形ライナーを含み、前記線ループの各々は、接線で前記垂直壁のうち少なくとも1つに接触する、付記13に記載の線コイリング装置。
(付記16) 前記連続線は、前記保管容器内に複数の八角形層を形成し、前記八角形層の各々は、それぞれの前記一連の線ループから構成されている、付記13に記載の線コイリング装置。
(付記17) 線コイルを包装する方法であって、
一連の線ループを連続線から形成する回転線敷設ヘッドと、
前記一連の線ループが形成されている間に、線形X-Y方向に移動するように構成されているX-Yポジショナーと
を含むコイリングマシンを設けるステップと、
多角形内壁を有する保管箱を前記コイリングマシンに置くステップと、
前記一連の線ループを前記保管箱の前記多角形内壁の内部に多角形に配列するように、前記X-Yポジショナーによって前記線形X-Y方向に前記保管箱を同時に移動させている間に、前記一連の線ループを前記保管箱内に形成するステップと
を含む方法。
(付記18) 前記回転線敷設ヘッドの回転軸は、前記保管箱の軸と平行であり、前記保管箱の前記軸は、前記一連の線ループを形成している間に、前記線形X-Y方向に前記回転線敷設ヘッドの前記回転軸の周りを移動する、付記17に記載の方法。
(付記19) 前記X-Yポジショナーは、前記保管箱の前記軸の周りに前記保管箱を回転させることなく、前記一連の線ループを形成している間に、前記回転線敷設ヘッドの下で前記線形X-Y方向に前記保管箱を移動させる、付記18に記載の方法。
(付記20) 前記多角形内壁は八角形を形成し、前記回転線敷設ヘッドの下で前記線形X-Y方向に前記保管箱を移動させるために、前記一連の線ループを前記保管箱の内部に八角形に配列する、付記17に記載の方法。
(付記21) 前記連続線は、前記保管箱内に複数の八角形層を形成し、前記八角形層の各々を、それぞれの前記一連の線ループから構成する、付記20に記載の方法。
【符号の説明】
【0027】
10 箱
12、14、16、18 外側壁
20 コイル
22 ライナー
24、26、28、30 補強要素
32 線コイリング装置
34 溶接線
36 キャプスタン
38、44 モーター
40 ダンサローラー
42 敷設ヘッド
46 制御器
47 L字形梁
48 案内トラック
50 シリンダー及びピストン組立体
52 X-Yテーブル
54 クリップ
56 矢印
【外国語明細書】