(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019719
(43)【公開日】2024-02-09
(54)【発明の名称】電気光学ディスプレイを駆動する方法
(51)【国際特許分類】
G09G 3/34 20060101AFI20240202BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20240202BHJP
G02F 1/141 20060101ALI20240202BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20240202BHJP
G02F 1/167 20190101ALI20240202BHJP
G02F 1/16757 20190101ALI20240202BHJP
G02F 1/1681 20190101ALI20240202BHJP
G02F 1/1685 20190101ALI20240202BHJP
【FI】
G09G3/34 C
G09G3/20 660P
G09G3/20 621A
G09G3/20 670J
G09G3/20 670K
G02F1/141
G02F1/133 560
G02F1/167
G02F1/16757
G02F1/1681
G02F1/1685
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023222702
(22)【出願日】2023-12-28
(62)【分割の表示】P 2022526363の分割
【原出願日】2020-11-13
(31)【優先権主張番号】62/935,175
(32)【優先日】2019-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500080214
【氏名又は名称】イー インク コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】テック ピン シム
(72)【発明者】
【氏名】ユヴァル ベン-ドブ
(57)【要約】
【課題】電気光学ディスプレイを駆動する方法の提供。
【解決手段】方法は、駆動スキームを使用してディスプレイの第1の部分を更新することであって、駆動スキームは、白色テキストを黒色背景上に表示するように構成されている、ことと、ディスプレイの第1の部分を更新することに続いて、時間遅延を実施することと、ディスプレイにわたるスワイプ動作を作成するために、駆動スキームを使用してディスプレイの第2の部分を更新することとを含む。一実施形態において、方法は、エッジアーチファクトをディスプレイピクセルから除去することをさらに含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本願は、2019年11月14日に出願された米国仮出願第62/935,175号に関し、その優先権を主張する。
【0002】
前述の出願の開示全体は、参照することによって本明細書に組み込まれる。
(発明の主題)
【0003】
本発明は、電気光学ディスプレイを駆動する方法に関する。より具体的に、本発明は、電気光学ディスプレイにおけるピクセルエッジアーチファクトおよび/または画像残留を低減させる駆動方法に関する。
【背景技術】
【0004】
電気光学ディスプレイは、典型的に、それらの各々がディスプレイの1つのピクセルを画定する複数のピクセル電極を提供されたバックプレーンを有する。従来的に、多数のピクセル、通常、ディスプレイ全体にわたって広がっている単一の共通電極が、電気光学媒体の反対側に提供される。個々のピクセル電極は、直接駆動され得る(すなわち、別個の導体が各ピクセル電極に提供され得る)か、または、ピクセル電極は、バックプレーン技術の当業者に熟知されているであろうアクティブマトリクス様式で駆動され得る。隣接するピクセル電極が、多くの場合、異なる電圧にあろうから、それらは、電極間の電気短絡を回避するために、有限幅のピクセル間の間隙によって分離されなければならない。一見すると、これらの間隙にある電気光学媒体は、駆動電圧がピクセル電極に印加されたときに切り替わらないであろうと考えられ得る(実際、それは、多くの場合、黒色マスクが、典型的に、これらの非切り替り間隙を隠すために提供される、液晶等のいくつかの非双安定電気光学媒体に当てはまる)が、多くの双安定電気光学媒体の場合、間隙にある媒体は、「ブルーミング」として公知であるエッジアーチファクト現象により、切り替わる。
【0005】
ブルーミングは、ピクセル電極への駆動電圧の印加が、ピクセル電極の物理的サイズより大きいエリアにわたって電気光学媒体の光学状態の変化を引き起こす傾向を指す。過剰なブルーミングは、回避されるべきである(例えば、高解像度アクティブマトリクスディスプレイでは、ディスプレイの有効解像度を低減させるであろうから、単一のピクセルへの駆動電圧の印加がいくつかの隣接するピクセルを覆うエリアにわたって切り替わりを引き起こすことは、望まれない)が、制御された量のブルーミングは、多くの場合、有用である。例えば、各数字のための7つの直接駆動されたピクセル電極の従来の7セグメントアレイを使用して数字を表示する白地に黒色の電気光学ディスプレイを考慮されたい。例えば、ゼロが表示されるとき、6つのセグメントが、黒色に変えられる。ブルーミングが存在しない場合、6つのピクセル間の間隙が、可視であろう。しかしながら、例えば、米国特許第7,602,374号(その全体として本明細書に組み込まれる)に説明されるように、制御された量のブルーミングを提供することによって、ピクセル間の間隙は、黒色に変化させられ、より視覚的に美しい数字をもたらし得る。しかしながら、ブルーミングは、「エッジ残影」と表される問題につながり得る。
【0006】
ブルーミングのエリアは、均一に白色または黒色ではなく、典型的に、ブルーミングのエリアを横断して移動すると、媒体の色がグレーの種々の陰影を通して白色から黒色に移行する移行ゾーンである。故に、エッジ残影は、典型的に、均一なグレーエリアではなく、グレーの種々の陰影のエリアであろうが、それは、特に、ヒトの眼が各ピクセルが純黒色または純白色であると仮定される単色画像においてグレーのエリアを検出する能力を持っているので、依然として、可視かつ不愉快であり得る。ある場合、非対称ブルーミングが、エッジ残影に影響し得る。「非対称ブルーミング」は、いくつかの電気光学媒体(例えば、米国特許第7,002,728号に説明される銅クロマイト/チタニアのカプセル化電気泳動媒体)では、逆方向への移行中よりピクセルの一方の極端な光学状態から他方の極端な光学状態への移行中に、さらなるブルーミングが起こるという意味で、ブルーミングが「非対称」である現象を指し、本特許に説明される媒体では、典型的に、黒色から白色への移行中のブルーミングは、白色から黒色への移行中のそれを上回る。
【0007】
したがって、残影またはブルーミング効果を低減させる駆動方法が、必要とされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、電気光学ディスプレイを駆動する方法を提供し、方法は、駆動スキームを使用してディスプレイの第1の部分を更新することであって、駆動スキームは、白色テキストを黒色背景上に表示するように構成される、ことと、ディスプレイの第1の部分を更新することに続いて、ある時間遅延を実施することと、ディスプレイにわたるスワイプ動作を作成するために、駆動スキームを使用してディスプレイの第2の部分を更新することとを含む。いくつかの実施形態では、駆動方法はさらに、エッジアーチファクトをディスプレイピクセルから除去することを含む。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
電気光学ディスプレイを駆動する方法であって、前記方法は、
駆動スキームを使用して前記ディスプレイの第1の部分を更新することであって、前記駆動スキームは、白色テキストを黒色背景上に表示するように構成されている、ことと、
前記ディスプレイの前記第1の部分を更新することに続いて、時間遅延を実施することと、
前記ディスプレイにわたるスワイプ動作を作成するために、前記駆動スキームを使用して前記ディスプレイの第2の部分を更新することと
を含む、方法。
(項目2)
エッジアーチファクトをディスプレイピクセルから除去することをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記ディスプレイの前記第1の部分を更新するステップは、アクティブ光学移行を経るディスプレイピクセルのみを更新するように構成された駆動スキームを使用することを含む、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記ディスプレイの前記第1の部分を更新するステップは、ゼロ光学移行を経るピクセルを表示するために波形を印加しないように構成された駆動スキームを使用することを含む、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記エッジアーチファクトを除去するステップは、エッジアーチファクトを有するディスプレイピクセルを決定することを含む、項目2に記載の方法。
(項目6)
前記エッジアーチファクトを有するディスプレイピクセルを決定するステップは、アクティブ光学移行を受ける最も近い隣のピクセルを有するディスプレイピクセルを識別することを含む、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記ディスプレイにわたるスワイプ動作を作成するために、前記駆動スキームを使用して前記ディスプレイの第2の部分を更新するステップは、前記ディスプレイへの光学キックバックを低減させる、項目5に記載の方法。
(項目8)
前記電気光学系ディスプレイは、電気泳動材料の層を有する電気泳動ディスプレイである、項目1に記載のディスプレイ。
(項目9)
前記電気泳動材料は、流体内に配置された複数の荷電粒子を備え、前記複数の荷電粒子は、電場の影響下で前記流体を通して移動することが可能である、項目8に記載のディスプレイ。
(項目10)
前記荷電粒子および前記流体は、複数のカプセルまたはマイクロセル内に閉じ込められている、項目9に記載のディスプレイ。
(項目11)
前記電気泳動材料は、マイクロセルを用いて閉じ込められた染色流体内の単一タイプの電気泳動粒子を備えている、項目8に記載のディスプレイ。
(項目12)
前記荷電粒子および前記流体は、高分子材料を備えている連続相によって包囲された複数の別々の液滴として存在する、項目8に記載のディスプレイ。
(項目13)
前記流体は、ガス状である、項目12に記載のディスプレイ。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、電気泳動ディスプレイを表す回路図である。
【0010】
【
図2】
図2は、電気光学結像層の回路モデルを示す。
【0011】
【
図3】
図3は、暗モード下のセグメント化スワイプ動作を図示する。
【0012】
【
図4】
図4は、エッジ消去を伴う暗モードスワイプ動作を図示する。
【0013】
【
図5】
図5は、暗モードスワイプ動作を実装するための波形である。
【0014】
【
図6】
図6は、駆動後放電に起因する白色および黒色レールの光学キックバックを図示する。
【0015】
【
図7】
図7は、本明細書に開示される主題による駆動スキームを更新する2つの段階の利点を図示する。
【0016】
【
図8】
図8は、駆動スキームを更新する2つの段階を伴う黒色光学キックバックを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、電気光学ディスプレイ、特に、双安定電気光学ディスプレイを駆動する方法と、そのような方法で使用するための装置とに関する。より具体的に、本発明は、そのようなディスプレイにおいて、「残影」およびエッジ効果の低減、および点滅の低減を可能にし得る駆動方法に関する。本発明は、排他的ではないが、特に、1つ以上のタイプの荷電粒子が流体中に存在し、ディスプレイの外観を変化させるように電場の影響下で流体を通して移動させられる粒子ベースの電気泳動ディスプレイと共に使用するために意図されている。
【0018】
用語「電気光学」は、材料またはディスプレイに適用されるように、結像技術分野におけるその従来的な意味で使用され、少なくとも1つの光学特性が異なる第1および第2の表示状態を有する材料であって、材料への電場の印加によって、その第1からその第2の表示状態に変化させられる、材料を指すために、本明細書で使用される。光学特性は、典型的に、ヒトの眼に知覚可能な色であるが、光学透過率、反射率、ルミネッセンス、または機械読取のために意図されるディスプレイの場合、可視範囲外の電磁波長の反射率の変化の意味における擬似色等の別の光学特性であり得る。
【0019】
用語「グレー状態」は、結像技術分野におけるその従来的な意味で本明細書で使用され、2つの極端なピクセルの光学状態の中間の状態を指し、必ずしも黒色と白色とのこれらの2つの極端な状態の間の移行を意味するわけではない。例えば、下で参照されるいくつかのE Ink特許および公開された出願は、中間の「グレー状態」が実際には薄青であるように、極端な状態が白色および濃青色である電気泳動ディスプレイを説明している。実際、すでに記述されているように、光学状態の変化は、全く色の変化ではないこともある。用語「黒色」および「白色」は、ディスプレイの2つの極端な光学状態を指すために以降で使用され得、通常、厳密には黒色および白色ではない極端な光学状態、例えば、前述の白色および濃青色状態を含むものとして理解されるべきである。用語「単色」は、以降では、介在グレー状態を伴わず、ピクセルをそれらの2つの極端な光学状態のみに駆動させる駆動スキームを表すために使用され得る。
【0020】
いくつかの電気光学材料は、材料が固体外部表面を有するという意味で固体であるが、材料は、多くの場合、内部液体または気体充填空間を有し得る。固体電気光学材料を使用するそのようなディスプレイは、以降では、便宜上、「固体電気光学ディスプレイ」と称され得る。したがって、用語「固体電気光学ディスプレイ」は、回転二色部材ディスプレイ、カプセル化電気泳動ディスプレイ、マイクロセル電気泳動ディスプレイ、およびカプセル化液晶ディスプレイを含む。
【0021】
用語「双安定」および「双安定性」は、当技術分野におけるそれらの従来の意味で、少なくとも1つの光学特性が異なる第1および第2の表示状態を有する表示要素を備えているディスプレイを指すために本明細書で使用され、表示要素は、第1または第2の表示状態のうちのいずれか一方を示すように有限持続時間のアドレスパルスを用いて任意の所与の要素が駆動されてから、アドレスパルスが終了した後、表示要素の状態を変化させるために要求されるアドレスパルスの最小持続時間の少なくとも数倍、例えば、少なくとも4倍、その状態が続くようなものである。米国特許第7,170,670号では、グレースケール対応のいくつかの粒子ベースの電気泳動ディスプレイが、それらの極端な黒色および白色状態においてだけではなく、それらの中間グレー状態においても、安定しており、同じことは、いくつかの他のタイプの電気光学ディスプレイにも当てはまることが示されている。このタイプのディスプレイは、適切に、双安定ではなく、「多安定」と呼ばれるが、便宜上、用語「双安定」が、本明細書では、双安定および多安定ディスプレイの両方を網羅するために使用され得る。
【0022】
用語「インパルス」は、時間に対する電圧の積分のその従来の意味で、本明細書で使用される。しかしながら、いくつかの双安定電気光学媒体は、電荷トランスデューサとしての機能を果たし、そのような媒体の場合、インパルスの代替定義、すなわち、経時的な電流の積分(印加される全電荷に等しい)が、使用され得る。インパルスの適切な定義が、媒体が電圧時間インパルストランスデューサとして作用するか、電荷インパルストランスデューサとして作用するかに応じて、使用されるべきである。
【0023】
下での議論の多くは、初期グレーレベルから最終グレーレベル(初期グレーレベルと異なる場合とそうではないこともある)への移行を通して、電気光学ディスプレイの1つ以上のピクセルを駆動する方法に焦点を当てるであろう。用語「波形」は、ある特定の初期グレーレベルから特定の最終グレーレベルへの移行をもたらすために使用される時間に対する電圧全体の曲線を示すために使用されるであろう。典型的に、そのような波形は、複数の波形要素を備えているであろう。すなわち、これらの要素が、本質的に長方形である場合(すなわち、所与の要素が、ある期間にわたって一定電圧の印加を備えている場合)、要素は、「パルス」または「駆動パルス」と呼ばれ得る。用語「駆動スキーム」は、特定のディスプレイに関してグレーレベル間の全ての可能な移行をもたらすために十分な波形の組を示す。ディスプレイは、2つ以上の駆動スキームを利用し得る。例えば、本明細書にその全体として組み込まれる米国特許第7,012,600号は、駆動スキームが、ディスプレイの温度またはその寿命中に動作していた時間等のパラメータに応じて、修正される必要があり得、したがって、ディスプレイが、異なる温度等で使用されるべき複数の異なる駆動スキームを提供され得ることを教示する。このようにして使用される駆動スキームの組は、「関連駆動スキームの組」と称され得る。前述のMEDEOD出願のうちのいくつかに説明されるように、2つ以上の駆動スキームを同じディスプレイの異なるエリア内で同時に使用することも可能であり、このようにして使用される駆動スキームの組は、「同時駆動スキームの組」と称され得る。
【0024】
いくつかのタイプの電気光学ディスプレイが、公知である。1つのタイプの電気光学ディスプレイは、例えば、米国特許第5,808,783号、第5,777,782号、第5,760,761号、第6,054,071号、第6,055,091号、第6,097,531号、第6,128,124号、第6,137,467号、および第6,147,791号に説明されるような回転二色部材タイプである(このタイプのディスプレイは、多くの場合、「回転二色ボール」ディスプレイと称されるが、上で記述される特許のうちのいくつかでは、回転部材が球形ではないので、用語「回転二色部材」の方がより正確なものとして好ましい)。そのようなディスプレイは、異なる光学特性を伴う2つ以上の区分と、内部双極子とを有する多数の小さい本体(典型的に、球形または円筒形)を使用する。これらの本体は、マトリクス内の液体が充填された空胞内に懸濁され、空胞は、本体が自由に回転するように、液体で充填されている。ディスプレイの外観は、ディスプレイに電場を印加することによって、したがって、本体を種々の位置に回転させ、視認表面を通して見られる本体の区分を変動させることによって、変更される。このタイプの電気光学媒体は、典型的に、双安定である。
【0025】
別のタイプの電気光学ディスプレイは、エレクトロクロミック媒体、例えば、少なくとも部分的に半導体金属酸化物から形成される電極と、電極に付着した可逆的色変化が可能な複数の染色分子とを備えているナノクロミックフィルムの形態におけるエレクトロクロミック媒体を使用する。例えば、O’Regan,B.,et al.,Nature 1991,353,737、およびWood,D.,Information Display,18(3),24(March 2002)を参照されたい。また、Bach,U.,et al.,Adv. Mater.,2002,14(11),845も参照されたい。このタイプのナノクロミックフィルムはまた、例えば、米国特許第6,301,038号、第6,870,657号、および第6,950,220号にも説明されている。このタイプの媒体はまた、典型的に、双安定である。
【0026】
別のタイプの電気光学ディスプレイは、Philipsによって開発され、Hayes,R. A.,et al.“Video-Speed Electronic Paper Based on Electrowetting”,Nature,425,383-385(2003)に説明される、エレクトロウェッティングディスプレイである。米国特許第7,420,549号では、そのようなエレクトロウェッティングディスプレイは、双安定にされ得ることが示されている。
【0027】
長年にわたり集中的な研究および開発の関心の対象である、あるタイプの電気光学ディスプレイは、複数の荷電粒子が電場の影響下で流体を通して移動する粒子ベースの電気泳動ディスプレイである。電気泳動ディスプレイは、液晶ディスプレイと比較したとき、良好な輝度およびコントラスト、広視野角、状態双安定性、および低電力消費の属性を有することができる。それにもかかわらず、これらのディスプレイの長期画質に関する問題は、それらの広範な利用を妨げている。例えば、電気泳動ディスプレイを構成する粒子は、沈降する傾向があり、これらのディスプレイの不十分な使用可能寿命をもたらす。
【0028】
上記のように、電気泳動媒体は、流体の存在を要求する。殆どの従来技術の電気泳動媒体では、この流体は、液体であるが、電気泳動媒体は、ガス状流体を使用して生産されることもできる(例えば、Kitamura,T.,et al.「Electrical toner movement for electronic paper-like display」(IDW Japan,2001,Paper HCS1-1)、およびYamaguchi,Y.,et al.,「Toner display using insulative particles charged triboelectricaily」(IDW Japan,2001,Paper AMD4-4)参照)。同様に、米国特許第7,321,459号および第7,236,291号も参照されたい。そのようなガスベースの電気泳動媒体は、例えば、媒体が垂直プレーンに配置される看板で、媒体がそのような沈降を可能にする向きで使用されるとき、粒子沈降に起因して液体ベースの電気泳動媒体と同じタイプの問題の影響を受けやすいと考えられる。実際、粒子沈降は、液体の粘度と比較して、ガス状懸濁流体のより低い粘度が、電気泳動粒子のより高速の沈降を可能にするので、液体ベースの電気泳動媒体よりガスベースの電気泳動媒体において深刻な問題であると考えられる。
【0029】
Massachusetts Institute of Technology(MIT)およびE Ink Corporationに譲渡された、またはそれらの名義の多数の特許および出願は、カプセル化電気泳動および他の電気光学媒体に使用される種々の技術を説明している。そのようなカプセル化媒体は、多数の小型カプセルを含み、それらの各々は、それ自体、電気泳動により移動可能な粒子を流体媒体中に含む内相と、内相を包囲するカプセル壁とを含む。典型的に、カプセルは、それら自体が、ポリマー結合剤内に保持され、2つの電極間に位置付けられる密着した層を形成する。これらの特許および出願に説明される技術は、以下を含む。
【0030】
(a)電気泳動粒子、流体、および流体添加物(例えば、米国特許第7,002,728号および第7,679,814号参照)
【0031】
(b)カプセル、結合剤、およびカプセル化プロセス(例えば、米国特許第6,922,276号および第7,411,719号参照)
【0032】
(c)マイクロセル構造、壁材料、およびマイクロセルを形成する方法(例えば、米国特許第7,072,095号および第9,279,906号参照)
【0033】
(d)マイクロセルを充填および密閉する方法(例えば、米国特許第7,144,942号および第7,715,088号参照)
【0034】
(e)電気光学材料を含むフィルムおよびサブアセンブリ(例えば、米国特許第6,982,178号および第7,839,564号参照)
【0035】
(f)バックプレーン、接着剤層、および他の補助層、およびディスプレイで使用される方法(例えば、米国特許第7,116,318号および第7,535,624号参照)
【0036】
(g)色形成および色調節(例えば、米国特許第7,075,502号および第7,839,564号参照)
【0037】
(h)ディスプレイの適用(例えば、米国特許第7,312,784号および第8,009,348号参照)
【0038】
(i)米国特許第6,241,921号および米国特許出願公開第2015/0277160号に説明されるような非電気泳動ディスプレイ、およびディスプレイ以外のカプセル化およびマイクロセル技術の適用(例えば、米国特許出願公開第2015/0,005,720号および第2016/0,012,710号参照)
【0039】
(j)ディスプレイを駆動する方法(例えば、米国特許第5,930,026号、第6,445,489号、第6,504,524号、第6,512,354号、第6,531,997号、第6,753,999号、第6,825,970号、第6,900,851号、第6,995,550号、第7,012,600号、第7,023,420号、第7,034,783号、第7,061,166号、第7,061,662号、第7,116,466号、第7,119,772号、第7,177,066号、第7,193,625号、第7,202,847号、第7,242,514号、第7,259,744号、第7,304,787号、第7,312,794号、第7,327,511号、第7,408,699号、第7,453,445号、第7,492,339号、第7,528,822号、第7,545,358号、第7,583,251号、第7,602,374号、第7,612,760号、第7,679,599号、第7,679,813号、第7,683,606号、第7,688,297号、第7,729,039号、第7,733,311号、第7,733,335号、第7,787,169号、第7,859,742号、第7,952,557号、第7,956,841号、第7,982,479号、第7,999,787号、第8,077,141号、第8,125,501号、第8,139,050号、第8,174,490号、第8,243,013号、第8,274,472号、第8,289,250号、第8,300,006号、第8,305,341号、第8,314,784号、第8,373,649号、第8,384,658号、第8,456,414号、第8,462,102号、第8,537,105号、第8,558,783号、第8,558,785号、第8,558,786号、第8,558,855号、第8,576,164号、第8,576,259号、第8,593,396号、第8,605,032号、第8,643,595号、第8,665,206号、第8,681,191号、第8,730,153号、第8,810,525号、第8,928,562号、第8,928,641号、第8,976,444号、第9,013,394号、第9,019,197号、第9,019,198号、第9,019,318号、第9,082,352号、第9,171,508号、第9,218,773号、第9,224,338号、第9,224,342号、第9,224,344号、第9,230,492号、第9,251,736号、第9,262,973号、第9,269,311号、第9,299,294号、第9,373,289号、第9,390,066号、第9,390,661号、および第9,412,314号、および米国特許出願公開第2003/0102858号、第2004/0246562号、第2005/0253777号、第2007/0,070,032号、第2007/0,076,289号、第2007/0,091,418号、第2007/0,103,427号、第2007/0,176,912号、第2007/0,296,452号、第2008/0,024,429号、第2008/0,024,482号、第2008/0,136,774号、第2008/0,169,821号、第2008/0,218,471号、第2008/0,291,129号、第2008/0,303,780号、第2009/0,174,651号、第2009/0,195,568号、第2009/0,322,721号、第2010/0,194,733号、第2010/0,194,789号、第2010/0,220,121号、第2010/0,265,561号、第2010/0,283,804号、第2011/0,063,314号、第2011/0,175,875号、第2011/0,193,840号、第2011/0,193,841号、第2011/0,199,671号、第2011/0,221,740号、第2012/0,001,957号、第2012/0,098,740号、第2013/0,063,333号、第2013/0,194,250号、第2013/0,249,782号、第2013/0,321,278号、第2014/0,009,817号、第2014/0,085,355号、第2014/0,204,012号、第2014/0,218,277号、第2014/0,240,210号、第2014/0,240,373号、第2014/0,253,425号、第2014/0,292,830号、第2014/0,293,398号、第2014/0,333,685号、第2014/0,340,734号、第2015/0,070,744号、第2015/0,097,877号、第2015/0,109,283号、第2015/0,213,749号、第2015/0,213,765号、第2015/0,221,257号、第2015/0,262,255号、第2016/0,071,465号、第2016/0,078,820号、第2016/0,093,253号、第2016/0,140,910号、および第2016/0,180,777号参照)
【0040】
前述の特許および出願の多くは、カプセル化電気泳動媒体内の別々のマイクロカプセルを包囲する壁が、連続相と置換され得、したがって、いわゆる高分子分散電気泳動ディスプレイを生産し、電気泳動媒体が、電気泳動流体の複数の別々の液滴と、高分子材料の連続相とを備え、そのような高分子分散電気泳動ディスプレイ内の電気泳動流体の別々の液滴が、別々のカプセル膜が各個々の液滴に関連付けられていない場合でも、カプセルまたはマイクロカプセルと見なされ得ることを認識する。例えば、前述の第2002/0,131,147号を参照されたい。故に、本願の目的のために、そのような高分子分散電気泳動媒体は、カプセル化電気泳動媒体の亜種と見なされる。
【0041】
関連タイプの電気泳動ディスプレイは、いわゆる「マイクロセル電気泳動ディスプレイ」である。マイクロセル電気泳動ディスプレイでは、荷電粒子および懸濁流体は、マイクロカプセル内にカプセル化されず、代わりに、キャリア媒体、例えば、ポリマーフィルム内に形成される複数の空洞内に保持される。例えば、両方とも、Sipix Imaging,Incに譲渡されている、国際出願公開第WO02/01,281号および公開された米国出願第2002/0,075,556号を参照されたい。
【0042】
前述のE InkおよびMIT特許および出願の多くも、マイクロセル電気泳動ディスプレイおよび高分子分散電気泳動ディスプレイを想定する。用語「カプセル化電気泳動ディスプレイ」は、あらゆるそのようなディスプレイタイプを指し得、それは、壁の形態にわたって一般化するために、集合的に「マイクロキャビティ電気泳動ディスプレイ」とも説明され得る。
【0043】
別のタイプの電気光学ディスプレイは、Philipsによって開発され、Hayes,R. A.,et al.「Video-Speed Electronic Paper Based on Electrowetting」,Nature,425,383-385(2003)に説明されるエレクトロウェッティングディスプレイである。2004年10月6日に出願された同時係属中の出願第10/711,802号では、そのようなエレクトロウェッティングディスプレイは、双安定にされ得ることが示されている。
【0044】
他のタイプの電気光学材料も、使用され得る。特に着目すべきこととして、双安定強誘電液晶ディスプレイ(FLC)が、当技術分野において公知であり、残留電圧挙動を示している。
【0045】
電気泳動媒体は、不透明であり(例えば、多くの電気泳動媒体では、粒子がディスプレイを通した可視光の透過を実質的に遮断するので)、反射モードで動作し得るが、いくつかの電気泳動ディスプレイは、ある表示状態が、実質的に不透明であり、ある表示状態が、光透過性であるいわゆる「シャッタモード」で動作するようにされることができる。例えば、米国特許第6,130,774号および第6,172,798号、および米国特許第5,872,552号、第6,144,361号、第6,271,823号、第6,225,971号、および第6,184,856号を参照されたい。電気泳動ディスプレイに類似するが、電場強度の変動に依拠する誘電泳動ディスプレイは、類似モードで動作することができる。米国特許第4,418,346号を参照されたい。他のタイプの電気光学ディスプレイも、シャッタモードで動作することが可能であり得る。
【0046】
高分解能ディスプレイは、隣接するピクセルからの干渉を伴わずに、アドレス可能である個々のピクセルを含み得る。そのようなピクセルを取得するための1つの方法は、トランジスタまたはダイオード等の非線形要素のアレイを提供することであり、少なくとも1つの非線形要素は、各ピクセルに関連付けられ、「アクティブマトリクス」ディスプレイを生産する。1つのピクセルをアドレスするアドレスまたはピクセル電極は、関連付けられた非線形要素を通して、適切な電圧源に接続される。非線形要素が、トランジスタであるとき、ピクセル電極は、トランジスタのドレインに接続され得、この配置が、以下の説明では仮定されるであろうが、本質的に恣意的であり、ピクセル電極は、トランジスタのソースにも接続され得る。高分解能アレイでは、ピクセルは、任意の特定のピクセルが、1つの規定された行と1つの規定された列の交点によって一意に画定されるように、行および列の2次元アレイで配置され得る。各列内の全てのトランジスタのソースは、単一列電極に接続され得る一方で、各行内の全てのトランジスタのゲートは、単一行電極に接続され得る。再び、行へのソースおよび列へのゲートの割当は、所望に応じて、逆転され得る。
【0047】
ディスプレイは、行毎様式で書き込まれ得る。行電極は、行ドライバに接続され、それは、選択された行内の全てのトランジスタが伝導性であることを確実にするような電圧を選択された行電極に印加する一方で、これらの選択されていない行内の全てのトランジスタが非伝導性のままであることを確実にするような電圧を全ての他の行に印加し得る。列電極は、列ドライバに接続され、それは、選択された行内のピクセルをそれらの所望の光学状態に駆動するように選択される電圧を種々の列電極にかける。(前述の電圧は、電気光学媒体の非線形アレイと反対側に提供され、ディスプレイ全体をにわたって広がり得る共通正面電極に対するものである。当技術分野において公知のように、電圧は、相対的であって、2つの点間の電荷差の測定値である。一方の電圧値は、別の電圧値に対するものである。例えば、ゼロ電圧(「0V」)は、別の電圧に対して無電圧差を有することを指す。)「ラインアドレス時間」として公知である事前選択された間隔後、選択された行が、選択解除され、別の行が、選択され、列ドライバ上の電圧は、ディスプレイの次のラインが書き込まれるように変化させられる。
【0048】
しかしながら、使用時、ある波形が、電気光学ディスプレイのピクセルへの残留電圧を生成し得、上での議論から明白であるように、この残留電圧は、いくつかの不要な光学効果を生成し、一般に、望ましくない。
【0049】
本明細書に提起されるように、アドレスパルスに関連付けられた光学状態における「シフト」は、電気光学ディスプレイへの特定のアドレスパルスの最初の印加が、第1の光学状態(例えば、第1のグレー色調)をもたらし、電気光学ディスプレイへの同じアドレスパルスの後続の印加が、第2の光学状態(例えば、第2のグレー色調)をもたらす状況を指す。残留電圧は、アドレスパルスの印加中に電気光学ディスプレイのピクセルに印加される電圧が、残留電圧とアドレスパルスの電圧との合計を含むので、光学状態におけるシフトを生じさせ得る。
【0050】
経時的なディスプレイの光学状態における「ドリフト」は、ディスプレイが静止している間に(例えば、アドレスパルスがディスプレイに印加されていない期間中に)、電気光学ディスプレイの光学状態が変化する状況を指す。残留電圧は、ピクセルの光学状態が、ピクセルの残留電圧に依存し、ピクセルの残留電圧が、経時的に減衰し得るので、光学状態におけるドリフトを生じさせ得る。
【0051】
上で議論されるように、「残影」は、電気光学ディスプレイが書き換えられた後、前の画像の痕跡が、依然として、見えることを指す。残留電圧は、前の画像の一部の輪郭(エッジ)が可視のままである残影のタイプである「エッジ残影」を生じさせ得る。
【0052】
(例示的EPD)
【0053】
図1は、本明細書に提起される主題による、電気光学ディスプレイのピクセル100の概略図を示す。ピクセル100は、結像フィルム110を含み得る。いくつかの実施形態では、結像フィルム110は、双安定であり得る。いくつかの実施形態では、結像フィルム110は、限定ではないが、例えば、荷電顔料粒子を含み得るカプセル化電気泳動結像フィルムを含み得る。
【0054】
結像フィルム110は、正面電極102と背面電極104との間に配置され得る。正面電極102は、結像フィルムとディスプレイの正面との間に形成され得る。いくつかの実施形態では、正面電極102は、透明であり得る。いくつかの実施形態では、正面電極102は、限定ではないが、酸化インジウムスズ(ITO)を含む、任意の好適な透明材料から形成され得る。背面電極104は、正面電極102の反対側に形成され得る。いくつかの実施形態では、寄生静電容量(図示せず)が、正面電極102と背面電極104との間に形成され得る。
【0055】
ピクセル100は、複数のピクセルのうちの1つであり得る。複数のピクセルは、行および列の2次元アレイに配置され、任意の特定のピクセルが、1つの規定された行と1つの規定された列との交点によって一意に画定されるように、マトリクスを形成し得る。いくつかの実施形態では、ピクセルのマトリクスは、各ピクセルが、少なくとも1つの非線形回路要素120に関連付けられた「アクティブマトリクス」であり得る。非線形回路要素120は、バックプレート電極104とアドレス電極108との間に結合され得る。いくつかの実施形態では、非線形要素120は、ダイオード、および/または、限定ではないが、MOSFETを含むトランジスタを含み得る。MOSFETのドレイン(またはソース)は、バックプレート電極104に結合され得、MOSFETのソース(またはドレイン)は、アドレス電極108に結合され得、MOSFETのゲートは、MOSFETのアクティブ化および非アクティブ化を制御するように構成されたドライバ電極106に結合され得る。(簡単にするために、バックプレート電極104に結合されるMOSFETの端子は、MOSFETのドレインと称され、アドレス電極108に結合されるMOSFETの端子は、MOSFETのソースと称されるであろう。しかしながら、当業者は、いくつかの実施形態では、MOSFETのソースおよびドレインが交換され得ることを認識するであろう。)
【0056】
アクティブマトリクスのいくつかの実施形態では、各列内の全てのピクセルのアドレス電極108は、同じ列電極に接続され得、各行内の全てのピクセルのドライバ電極106は、同じ行電極に接続され得る。行電極は、行ドライバに接続され得、行ドライバは、選択された行内の全てのピクセル100の非線形要素120をアクティブにするために十分な電圧を選択された行電極に印加することによって、ピクセルの1つ以上の行を選択し得る。列電極は、列ドライバに接続され得、列ドライバは、ピクセルを所望の光学状態に駆動するために好適な電圧を選択された(アクティブにされる)ピクセルのアドレス電極106にかけ得る。アドレス電極108に印加される電圧は、ピクセルのフロントプレート電極102に印加される電圧(例えば、約ゼロボルトの電圧)に対するものであり得る。いくつかの実施形態では、アクティブマトリクス内の全てのピクセルのフロントプレート電極102は、共通電極に結合され得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、アクティブマトリクスのピクセル100は、行毎様式で書き込まれ得る。例えば、ピクセルの行は、行ドライバによって選択され得、ピクセルの行に関する所望の光学状態に対応する電圧が、列ドライバによって、そのピクセルに印加され得る。「ラインアドレス時間」として公知である事前選択された間隔後、選択された行が、選択解除され得、別の行が、選択され得、列ドライバ上の電圧は、ディスプレイの別のラインが書き込まれるように変化させられ得る。
【0058】
図2は、本明細書に提起される主題による、正面電極102と背面電極104との間に配置される電気光学結像層110の回路モデルを示す。抵抗器202およびコンデンサ204は、任意の接着剤層を含む電気光学結像層110、正面電極102、および背面電極104の抵抗および静電容量を表し得る。抵抗器212およびコンデンサ214は、積層接着剤層の抵抗および静電容量を表し得る。コンデンサ216は、正面電極102と背面電極104との間、例えば、結像層と積層接着剤層との間および/または積層接着剤層とバックプレーン電極との間の界面等の層間の界面接触エリアに形成され得る静電容量を表し得る。ピクセルの結像フィルム110を横断した電圧Viは、ピクセルの残留電圧を含み得る。
【0059】
いくつかの用途に関して、
図1および2に提示されるような電気光学ディスプレイは、駆動電圧が、非ゼロ移行(すなわち、初期グレーレベルと最終グレーレベルとが互いに異なる移行)を受けるピクセルにのみ印加されるが、駆動電圧が、ゼロ移行中(初期グレーレベルと最終グレーレベルとが同じである)、印加されない駆動スキームで駆動し得る。実践では、そのような駆動スキームは、「グローバル限定」または「GL」駆動スキーム)と指定され得る。GL駆動スキームは、ゼロ移行(例えば、白色から白色へ、または、黒色から黒色へ)を受けているピクセルに駆動電圧を印加しないことを特徴とし、それは、これらのピクセルが、ゼロまたは無光学トランザクションを経ることを意味する。例えば、電子書籍読取機として使用されるディスプレイは、白色テキストを黒色背景(すなわち、暗モード動作)上に表示し、黒色背景には、多数の黒色ピクセルがある(特に、テキストのあるページから次のページに変わらないままであるマージン内、およびテキストの線の間)。故に、これらの黒色ピクセルを書き換えないことは、ディスプレイ書き換えの明白な「フラッシュ」を実質的に低減させる。代わりに、アクティブ光学トランザクションを経るピクセルのみが、更新されている。
【0060】
さらに、電気光学ディスプレイがあるページから次のページへと進むとき、移行体験をより流動的であるように改良するために、ある方法は、複数のセグメントのディスプレイの更新をパイプライン化し、あるセグメントから別のセグメントへの短遅延τ(例えば、10ms~20ms)を行う。例えば、本明細書に提示される駆動方法は、最初に、GL駆動スキーム等の駆動スキームを使用して、ディスプレイの第1の部分を更新し(例えば、
図3の304)、次いで、時間遅延を導入または実施し、その後、ディスプレイの第2の部分の更新が続き(例えば、
図3の306)、このように、ページ更新として運動の錯覚を与える。
図3は、暗モードにおける可能な一続きのセグメント毎更新を示す。この様式の更新では、ページを「スワイプ」していると錯覚を与えるであろう。この「スワイプ」の方向は、左から右、右から左、上から下、または下から上であり得、タッチパネル上でユーザの入力のアクションを検出することによって推測され、ディスプレイのアクションに関する制御の印象をユーザに与え得る。示されるように、完全な黒色ページ300から更新されたページ302へのディスプレイの更新は、一連のセグメント化更新を通して生じることができる。第1のセグメント化更新304から開始して、ディスプレイの一部のみが、更新され、テキストの一部が、表示されている。続いて、短遅延τ後、次のセグメント306が、ディスプレイ上で更新され得る。後続セグメント308-322は、ディスプレイが完全に更新されるまで、その間に短遅延τを伴って、類似方式でディスプレイ上で更新され得る。更新の方法は、ページをスワイプする錯覚を作成し、単一の完全なディスプレイ更新と比較して、より少ないフラッシュを提供することができる。
【0061】
上で説明されるように、暗モードで動作し、セグメント化および低フラッシュ駆動スキームを使用するとき、時として、駆動または更新サイクルは、2つの段階を含み得る。段階1 402では、任意の駆動後放電を伴わずに、スワイプアクションを実施し得る。段階2 404では、
図4で示すように、エッジ消去アクションを実施し得る。本設定では、段階1更新402は、
図3に図示されるように、電気光学ディスプレイが、マルチセグメント化スワイプを通して更新される低フラッシュグローバル限定(GL)駆動スキームを使用し得る。代替として、電気光学ディスプレイは、単一または1セグメントスワイプで更新され得る。その後、現在の画像から次の画像に移行すると、結像アルゴリズムが、ブルーミングおよび/またはエッジアーチファクトを展開させる可能性が高くあり得るピクセルを識別および/または決定するために使用され得る。そのようなアルゴリズムの一例は、下に提示される。
For all pixel locations (i,j) in any order:
If the currentpixels(i,j) is black and nextpixels(i,j) is black then assigns edgepixels(i,j) = nextpixels(i,j)
Else if at least one cardinal neighbors of currentpixels(i,j) not black and nextpixels(i,j) of black,assigns edgepixels(i,j) = edgeclearstate
Else if the currentpixels(i,j) is not black and nextpixels(i,j) is black and at least one cardinal neighbors of currentpixels(i,j)and nextpixels(i,j) of black,assigns edgepixels(i,j) = edgeclearstate
Otherwise edgepixels(i,j) = nextpixels(i,j)
End
ここで、
・nextpixels(i,j)は、場所(i,j)における次の画像ピクセルを表す・currentpixels(i,j)は、場所(i,j)における現在のピクセルを表す
・cardinal neighborsは、ピクセルに対して北、南、および東、西隣接を表す
・edgeclearstateは、特殊エッジ消去ピクセル状態を表す
【0062】
実践では、上で述べられたアルゴリズムは、エッジアーチファクトを展開するディスプレイピクセルを識別し、および/または、それにフラグを付け、これらのピクセルにエッジ消去波形を適用し得る。例えば、特定のディスプレイピクセルに関して、このディスプレイピクセルの少なくとも1つの最も近い隣(cardinal neighbor)が、黒色ではない現在の光学状態と、黒色の次の光学状態(すなわち、最も近い隣のピクセル(cardinal neighbor pixel)は、アクティブ光学移行を経る)とを有する場合、この特定のディスプレイピクセルは、エッジアーチファクトを展開する可能性が高いと見なされ得、適宜、フラグを付けられるであろう。この特定のディスプレイピクセルは、段階2においてエッジ消去波形を受けるであろう。さらに、特定のピクセルが、黒色ではない現在の光学状態と、黒色である次の光学状態と、黒色の現在の光学状態および黒色の次の光学状態を伴う少なくとも1つの最も近い隣のピクセルとを有する場合、この特定のディスプレイピクセルは、エッジアーチファクトを展開する可能性が高いと見なされ得、適宜、フラグを付けられる。
【0063】
いくつかの実施形態では、段階2 404において、エッジアーチファクトの消去は、段階1更新の終了後、開始し得、時間遅延τが、2つの段階の間に挿入されることができる。実践では、シームレスな移行外観のために、かつユーザが望ましくないエッジアーチファクトを検出することを回避するために、τは、可能な限り短くあるべきである。これを行うために、実践では、次のいずれかを行い得る。(1)駆動後放電を伴う特殊エッジ消去DC非平衡波形でエッジマップのパイプライン更新を実施する、または(2)エッジ消去波形を含むように波形ルックアップテーブルを変更することによって、かつ、
図5に示されるように、ゼロ走査フレームの追加による標準的移行の残りを正当化することによって、これを可能にする。
図5に示されるように、本明細書で説明されるような更新スキームの実施は、駆動後放電が高い光学キックバックをもたらし得る蓄積残留電圧を放電するために駆動後放電を使用しないオプションを提供する。
図6は、駆動後放電が印加されるときの結果として生じる光学キックバックの比較を図示する。青色線604は、駆動後放電が印加されないときの赤色線602と比較して、駆動後放電に起因する増加した光学キックバックを白色レール上に示す。同様に、青色線608は、駆動後放電が印加されないときの赤色線606と比較して、駆動後放電に起因する増加した光学キックバックを黒色レール上に示す。
【0064】
実践では、本明細書に説明されるような駆動スキームの適用は、エッジアーチファクトを伴わずに、暗モードにおいてマルチセグメント化スワイプを実施することを可能にする。さらに、光学キックバックは、
図7に示されるように、典型的使用シナリオで低減されることができる。「キックバック」または「自己消去」は、いくつかの電気光学ディスプレイにおいて観察される現象であり(例えば、自己消去が、カプセル化されていない電気泳動ディスプレイにおいて報告された、Ota,I.,et al.,「Developments in Electrophoretic Displays」(Proceedings of the SID,18,243(1977))参照)、それによって、ディスプレイを横断して印加される電圧が、オフに切り替えられると、電気光学媒体は、その光学状態を少なくとも部分的に逆転させ得、ある場合、動作電圧より大きくあり得る逆電圧が、電極を横断して生じることが観察され得る。この使用シナリオが動機となって、黒色背景は、常時、エッジ消去を要求しない、波形の使用によって設定され、故に、駆動後放電の必要性がなくなる。エッジ消去に関する使用は、暗モードGL(すなわち、空の黒色から黒色への移行および/または白色から白色への移行)が、GL移行の滞留および更新時間の組み合わせが、経過した時点において、次の更新シーケンスで始動されるときのみ生じる。
【0065】
図7では、赤色ボックス702は、黒色背景の設定の重要な移行を動機付け、次の移行:白色→黒色→黒色を有する。
図8は、提案される方策(赤色線)802、806および暗モード実装(青色線)804、808に関する代替方策を採用する場合を比較する光学トレースを提供する。提案される方策(赤色線)802、806の場合:白色→黒色(黒色背景を設定するための駆動後放電を伴わない波形を使用する);黒色→黒色(駆動後放電を伴うエッジ消去で終了する低フラッシュの空の黒色から黒色への波形を使用する)。
【0066】
加えて、いくつかの実施形態では、以下を実施し得る:白色→黒色移行(黒色背景を設定するための駆動後放電を伴う専門波形を使用する);黒色→黒色(駆動後放電を伴う低フラッシュ空の黒色から黒色への波形およびエッジ消去を使用する)。
図8に示されるように、提案される方策(青色線)は、現在の商業用方策(赤色線)よりより暗い黒色を維持する。これは、提案される方策が、駆動後放電に関する必要性を伴わずに専門波形を使用して黒色を設定するからであり、駆動後放電が、その後、低フラッシュ波形のエッジ消去のために段階2において必要とされるとき、黒色は、Tの時間持続時間に関して、すでに定位置に設定されているからである。
T=滞留時間+低フラッシュ波形に関する更新時間+τ
Tは、インクシステムにおいて残留電荷の自然減衰を可能にし、黒色背景上の駆動後放電のアサーションに起因する光学キックバックを低減させる。
図8に示されるように、Tが、低減するにつれて、提案される方策の黒色は、提案される低フラッシュ波形の段階2においてより多くの光学キックバックを伴い、黒さがより少ないであろう。
【0067】
実装の一実施形態では、最小Tは、光学キックバックが容認可能である値に事前に設定され、次いで、τは、故に、すなわち、以下に調節され得る。
τ=max(0、T-滞留時間-低フラッシュ波形に関する更新時間)
【0068】
別の実施形態では、低フラッシュ波形+τに関する更新時間は、常時、容認可能光学キックバックレベルに設定される。さらに別の実施形態では、第1の低いフラッシュ更新(その後、黒色が設定される)は、黒色背景の大部分が黒色のままであることを確実にし、光学キックバックが後続の低いフラッシュ更新において予期されるエリア上に過暗駆動を採用するための大きなTを常時有するべきである。提案されるアプローチは、日中モード、すなわち、白色背景上に黒色テキストで使用されることもできる。その一般化において、本方策は、次の使用を伴う:所望の粗光学状態に到達するための駆動機構としての段階1(この場合、黒色背景上にテキストを表示するが、エッジアーチファクトに関する問題を伴う))、および、光学状態を精緻化するための駆動機構としての段階2(この場合、消去エッジ)。
【0069】
多数の変更および修正が、本発明の範囲から逸脱することなく、上で説明される本発明の具体的実施形態に行なわれ得ることが、当業者に明白となるであろう。故に、前述の説明の全体は、限定的意味ではなく、例証的意味で解釈されるべきである。
【外国語明細書】