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特開2024-19724巻線キャリア及び磁心を有する装置及び装置の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019724
(43)【公開日】2024-02-09
(54)【発明の名称】巻線キャリア及び磁心を有する装置及び装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 30/10 20060101AFI20240202BHJP
   H01F 27/32 20060101ALI20240202BHJP
   H01F 27/29 20060101ALI20240202BHJP
   H01F 27/30 20060101ALI20240202BHJP
   H01F 27/26 20060101ALI20240202BHJP
【FI】
H01F30/10 H
H01F30/10 A
H01F30/10 F
H01F30/10 E
H01F27/32 140
H01F27/29 T
H01F27/30 160
H01F27/26 130W
H01F27/29 N
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023222922
(22)【出願日】2023-12-28
(62)【分割の表示】P 2022514997の分割
【原出願日】2021-03-11
(31)【優先権主張番号】102020106982.0
(32)【優先日】2020-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】518379278
【氏名又は名称】テーデーカー エレクトロニクス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】マリノフスキー,ウラジミール
(72)【発明者】
【氏名】ハウブネル,マティアス
(57)【要約】
【課題】 改善された巻線キャリアを含む装置を提供する。
【解決手段】 装置(1)は、巻線キャリア(2)と、少なくとも1つの巻線(3)と、磁心(7)と、第1及び第2の端子(5、6)とを含む。巻線キャリア(2)は、装置(1)の下側(14)に沿った端末間の絶縁経路が、磁心(7)によるブリッジを含まないように、磁心(7)を所定の領域で取り囲む。とりわけ、巻線キャリア(2)の下側(14)は閉じた形態である。
【選択図】 図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻線キャリアと、該巻線キャリアの周りに配置される少なくとも1つのワイヤの巻線と、
磁心と、少なくとも1つの第1の電気端子と、少なくとも1つの第2の電気端子と、
を含む装置であって、
前記巻線キャリアは、当該装置の下側に沿った端子間の絶縁経路が、前記磁心によるブリッジを含まないように、少なくとも所定の領域で前記磁心を包み込む、装置。
【請求項2】
前記磁心は、前記第1の端子と前記磁心との間の絶縁経路と、前記第2の端子と前記磁心との間の絶縁経路との合計が、前記第1の端子と前記第2の端子との間の幾何学的距離と少なくとも同程度大きくなるように、前記巻線キャリアによって包み込まれている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装置は変圧器として設計され、前記第1の端子は一次側にあり、前記第2の端子は二次側にある、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記巻線キャリアの下側は、前記磁心が露出される切り欠きを含まない、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記巻線キャリアは、前記磁心を前記巻線キャリア内に挿入可能な少なくとも1つの開口を含み、前記巻線キャリアの下側は該開口を含まない、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記開口は、前記巻線キャリアの側面に配置されている、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記開口は、前記巻線キャリアの上側に配置され、前記側面は開口を含まない、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記磁心は少なくとも2つの磁心部を含み、前記巻線キャリアは上側に開口を含み、該磁心部の双方は、該上側の開口を介して前記巻線キャリアに挿入される、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記磁心は第1の磁心部及び第2の磁心部を含み、該磁心部のうちの一方はI字状であり、該磁心部のうちの他方はU字状である、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記第1の端子は前記巻線キャリアの第1の側面に配置され、前記第2の端子は前記巻線キャリアの第2の側面に配置され、前記磁心は、これらの側面うちの少なくとも1つで前記巻線キャリアにより完全に又は主要な部分が包み込まれている、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記巻線キャリアは巻線軸に沿ってリードスルーを含み、前記磁心は、該リードスルー内に配置されている、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記端子のうちの少なくとも1つは、横方向に後退して配置されている、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記巻線キャリアは、前記端子のうちの少なくとも一方が配置される前記側面に前記磁心を挿入のための少なくとも1つの開口を含む、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
装置を製造するための方法であって、
A)側面又は上側に1つ以上の開口を含む巻線キャリアを提供するステップと、
B)前記開口うちの1つに第1の磁心部を挿入するステップと、
C)前記開口のうちの同じ又は別の開口に第2の磁心部を挿入するステップと、
を含む、方法。
【請求項15】
前記第1の磁心部8を挿入した後に、前記巻線キャリアに巻線が適用され、その後に前記第2の磁心部が挿入される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の磁心部及び前記第2の磁心部は同じ開口に挿入される、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記磁心部のうちの一方は前記側面にある開口に挿入され、前記磁心部のうちの他方は前記上側にある開口に挿入される、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項18】
巻線キャリアと、該巻線キャリアの周りに配置される少なくとも1つのワイヤの巻線と、
磁心と、少なくとも1つの第1の電気端子と、少なくとも1つの第2の電気端子と、
を含む装置であって、
前記巻線キャリアは下側を含み、
前記端子は、前記下側に対して互いに反対に配置され、
前記巻線キャリアは、少なくとも、前記第1の端子及び前記第2の端子によって横方向に境される前記下側の領域に、前記磁心が露出される切り欠きを含まない、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻線及び磁心を有する巻線キャリアを含む装置に関する。それは、例えば変圧器である。それは、磁心を有する別の装置であり得る。
【背景技術】
【0002】
変圧器等の電気機器の場合、例えば、電気端子間の規定の、とりわけIEC規格に従った絶縁距離を守らなければならない。したがって、端子間の絶縁距離、すなわち、絶縁材料に沿った最も短い可能な沿面距離及び/又はクリアランス距離は十分に大きくすべきである。例えば、電源側の端子と消費者側の端子の間で絶縁距離を守る必要がある。
【0003】
絶縁距離は導電性の磁心によりブリッジ可能なため、端子間の距離はそれに応じて長くなる。例えば、海抜4kmを越える動作高度では、長いクリアランス距離が必要になる。十分な絶縁経路を確保するために、電気端子から磁心までの距離は、通常、適切に大きくなるように選択される。これは、とりわけ、守るべき絶縁経路及び磁心のサイズが合計されるため、望ましくない形で装置のサイズの増大につながる。
【0004】
絶縁経路がブリッジされるのを防止するために、それ自体の磁心をプラスチックのハウジングに封入し、絶縁された状態で装置内に配置することができる。部品を、例えば、端子のみが鋳物から出るように、巻きトロイダルコアを全体として鋳造することも知られている。しかしながら、これには、コスト及び部品サイズの点で欠点がある。
【0005】
特許文献1から、片側に開いたハウジングに磁心を有するコイルを一緒に挿入して磁心から端子ピンから絶縁し、このような方法でクリアランス距離を増やすことも知られている。次いで、ハウジングの外側を介してワイヤ端部が巻線からピンに導かれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第9646755号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、改良された装置及び装置を製造する方法を特定することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、装置は、巻線キャリアと、巻線キャリアの周りに配置される少なくとも1つの巻線とを含む。巻線は、例えば、円形又は平坦なワイヤ等のワイヤの巻線であり得るか又はプリント巻線であり得る。巻線キャリアは、とりわけ、電気絶縁材料から形成される。例えば、それはプラスチック材料である。巻線キャリアは、とりわけ巻線を位置決めするために用いられる。とりわけ、巻線は、巻線キャリアの領所定の領域に直接巻かれる。巻線キャリアは、例えば、単一ピース設計を有する。とりわけ、巻線キャリアは射出成形によって製造できる。
【0009】
加えて、装置は磁心を含む。磁心は、例えば、フェライト材料を含む。とりわけ、磁心は巻線の所定の領域を包み込む。例えば、磁心は閉鎖磁気回路を形成する。磁心は、数の磁心部を含み得る。例えば、磁心はI字状の磁心部及びU字状の磁心部を含む。他の磁心部の形状も可能である。例えば、磁心部は互いに接着される。
【0010】
装置は、少なくとも1つの第1の電気端子と、少なくとも1つの第2の電気端子とを含む。装置は、例えば、変圧器として構成される。第1の電気端子は、例えば、一次側に形成され、第2の端子は二次側に形成される。第1の端子は、とりわけ、電源側にある端子であり、第2の端子は消費者(consumer side)側にある端子であり得る。
【0011】
装置は複数の第1の端子及び複数の第2の端子を有し得る。端子は、例えば、ピンの形態である。例えば、第1の端子は第1の列に並んで配置され、第2の端子は第2の列に並んで配置される。第1の端子は、例えば、1つ以上の第1の巻線と対で電気的に接続され、第2の端子は、1つ以上の第2の巻線と対で電気的に接続されている。端子は、例えば、巻線キャリアの下側の領域に配置される。第1の端子及び第2の端子は、例えば、巻線キャリアの反対側の縁部に配置される。端子は、巻線キャリアに直接取り付けられ得る。例えば、端子は射出成形プロセスで共射出成形される。
【0012】
巻線キャリアは、磁心の少なくとも部分的な絶縁体として設計される。したがって、磁心の追加の絶縁は不要である。とりわけ、磁心のために別個の鋳物又は別個のハウジングが必要にならない。とりわけ、巻線キャリアは、装置の下側に沿った端子間の絶縁経路が磁心によるブリッジ(bridging)を含まないように、少なくとも部分的に磁心を取り囲む。ここでの絶縁経路は、最短のクリアランス及び/又は沿面経路である。そのため、例えば、最小沿面距離は磁心に向かって延びるのではなく、巻線キャリアに沿ってのみ延びる。
【0013】
例えば、磁心は、第1の端子と磁心との間の絶縁経路と、第2の端子と磁心との間の絶縁経路との合計が、第1の端子と第2の端子との間の幾何学的距離と少なくとも同程度大きくなるように、巻線キャリアによって包み込まれている(encased)。
【0014】
そのため、巻線キャリアは、端子間の絶縁経路が磁心の存在によって短くなることがないように、磁心を端子から絶縁する。磁心を絶縁することにより、コンポーネントサイズを小さくできる。例えば、最小絶縁距離に等しい距離で端子を配置すれば十分である。磁心を介した絶縁経路のブリッジを考慮する必要なしに、コンポーネントサイズを最小限に留めることができる。
【0015】
例えば、巻線キャリアは下側を含む。下側は、巻線キャリア又は装置の取り付け側、すなわち、例えば、巻線キャリアが取り付けられ得るプリント回路基板に面する側である。第1の端子は、例えば、下側から見た場合に第1の縁部に配置され、第2の端子は反対側の第2の縁部に配置される。巻線キャリアは、例えば、磁心が露出される切り欠きを下側に含まない。とりわけ、そのような切り欠きは、第1及び第2の端子によって横方向に境される領域に設けられない。このように、下側に沿った端子間の絶縁経路は、磁心を介したブリッジを含むことが防止されている。
【0016】
しかしながら、端子を越えた磁心の部分、すなわち、装置の中心から離れる部分は、巻線キャリアによって包み込まれないことも可能である。しかしながら、これは、端子間の絶縁経路のブリッジを生じない。
【0017】
巻線キャリアは、磁心又は磁心の磁心部を巻線キャリア内に挿入可能な少なくとも1つの開口を含むことができる。下側には、例えば、そのような開口がない。これにより、下側の巻線キャリアを閉じた設計にできる。
【0018】
一実施形態では、少なくとも1つの開口が巻線キャリアの側面に配置される。そのため、磁心を横方向から巻線キャリアに挿入できる。加えて、巻線キャリアは、その上側に少なくとも1つの開口を含み得る。例えば、巻線キャリアは、側面にある開口と、上側にある開口とを含む。これらの開口を介して2つの磁心部を挿入できる。例えば、開口のうちの1つを介してI字状の磁心部が挿入され、他方の開口を介してU字状の磁心部が挿入される。
【0019】
さらなる実施形態では、巻線キャリアは、その上側のみに、磁心を挿入するための1つ以上の開口を含み得る。このように、巻線キャリアの側面には開口を設ける必要がないため、側面は磁心をさらに絶縁することができる。そのため、複数の磁心部の場合、全ての磁心部は上側から巻線キャリアに挿入される。例えば、第1の磁心部を上側の開口から先ず挿入し、次に巻線を適用でき、次に第2の磁心部を挿入できる。
【0020】
巻線キャリアの開口が適切に配置されていれば、磁心を下側だけでなく側面においても巻線キャリアで包み込むことができる。そのため、磁心による絶縁経路のブリッジをとりわけ良好に防止できる。例えば、磁心は少なくとも1つの側面上で巻線キャリアによって外側から完全に絶縁される。2つ以上の側面で巻線キャリアにより磁心を外側から完全に絶縁することもできる。
【0021】
ハウジングによる磁心のエンクロージャの設計に応じて、絶縁は、端子に対して対称的又は非対称的であり得る。例えば、ハウジングは、磁心と端子のうちの一方との間の絶縁経路を増加させる。磁心と両端子との間の絶縁経路も増加され得る。
【0022】
例えば、第1の端子は巻線キャリアの第1の側面に配置され、第2の端子は巻線キャリアの第2の側面に配置される。例えば、磁心はこれらの側面のうちの少なくとも1つで巻線キャリアによって完全に取り囲まれている。そのため、磁心を介した絶縁経路のブリッジは、この側面に沿って形成できない。磁心は、側面上に完全には包み込まれておらず、支配的な程度しか包み込まれていない。例えば、磁心のより小さな部分が側面の上端で露出されてもよい。
【0023】
巻線キャリアは、巻線軸に沿ったリードスルーを含み得る。磁心はリードスルー内に配置され得る。リードスルー内に配置することによっても、磁心は巻線キャリアから外側、例えば側面の方に絶縁される。
【0024】
一実施形態によれば、端子のうちの少なくとも一方は凹部に配置される。例えば、リセス端子は、側面の別の領域に対して内側に窪んだ巻線キャリアの側面の領域に取り付けられる。このように、コンポーネントの寸法を小さくすることができる。その結果、最小絶縁距離を下回らない磁心の絶縁により、第1の端子と第2の端子との間の距離を小さくすることができる。例えば、端子間の間隔は最小絶縁間隔と等しくすることができる。そのため、全体的なコンポーネントサイズを最小絶縁寸法に制限することもできる。
【0025】
本発明の別の態様によれば、装置は、巻線キャリアと、巻線キャリアの周りに配置されたワイヤの少なくとも1つの巻線とを含む。装置は、磁心と、少なくとも第1の電気端子と、少なくとも1つの第2の電気端子と、を含み、前記巻線キャリアは下側を含み、前記端子は、前記下側に対して互いに反対に配置されている。前記巻線キャリアは、少なくとも、前記第1の端子及び前記第2の端子によって横方向に境される前記下側の領域に、前記磁心が露出される切り欠きを含まない。装置は、前述の装置の構造的及び機能的な特徴の全てを含み得る。
【0026】
巻線キャリアが下側で閉じた形態は、下側の磁心を端子から絶縁し、この領域の安全間隙は磁心によってブリッジされない。
【0027】
本発明のさらなる態様によれば、装置を製造するための方法が規定される。装置及び装置の全てのコンポーネント、例えば、巻線キャリア、端子及び磁心は上述のように構成され得る。
【0028】
本方法によれば、側面及び/又は上側に1つ以上の開口を含む巻線キャリアが提供される。前記開口うちの1つを介して第1の磁心部が巻線キャリアに挿入される。前記開口のうちの1つを介して第2の磁心部が巻線キャリアに挿入される。第2の磁心部は第1の磁心部と同じ開口を介して又は異なる開口を介して挿入され得る。そのため、磁心部は、巻線キャリアの下側のではなく、側面及び/又は上側にある開口を介して挿入される。そのため、下側はそのような開口なしに形成され得る。
【0029】
例えば、磁心部のうちの一方はI字状であり、磁心部のうちの他方はU字状である。巻線キャリアへの挿入の後、磁心部は閉鎖磁性回路を形成し得る。例えば、磁心部は挿入後に互いに接着される。
【0030】
一実施形態では、磁心部のうちの一方は側面にある開口を介して挿入され、磁心部のうちの他方は上面にある開口を介して挿入される。この場合、巻線は、両方の磁心部を挿入する前に巻線キャリアに巻き付けられ得る。例えば、巻線マンドレルは、上側にある開口のうちの1つを介して巻線キャリア内に挿入され、巻き付け後に取り外される。
【0031】
一実施形態では、2つの磁心部が上側にある同じ開口を介して挿入される。例えば、第1の磁心部は、巻線キャリア内で巻線軸に沿って配置される。例えば、第1の磁心部の挿入後、巻線キャリアに巻線が適用される。例えば、巻線は、巻線キャリア及び磁心の周りに適用される。その後、第2の磁心部が挿入される。
【0032】
巻線軸が巻線が適用される前に第1の磁心部で占有されている場合、巻線軸に巻線マンドレルを挿入することはできない。例えば、巻線キャリアは、巻線キャリアを巻線機に固定できる保持装置をその外面に含む。
【0033】
本発明はいくつかの態様、とりわけ装置及び方法を含む。1つの態様について説明した実施形態は、他の態様に相応に適用される。
【0034】
さらに、本明細書で開示する目的の説明は、個々の特定の実施形態に限定されない。むしろ、個々の実施形態の特徴は、技術的に有用な程度に互いに組み合わられ得る。
【0035】
以下では、本明細書に記載の主題について、概略的な実施形態を用いてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1A図1Aは、装置の実施形態の断面図である。
図1B図1Bは上から斜めに見た図1Aの装置を示す。
図1C図1Cは、下から斜めに見た図1の装置を示す。
図2図2は、上から斜めに見た装置のさらなる実施形態を示す。
図3A図3Aは、上から斜めに見た巻線キャリアの一実施形態を示す。
図3B図3Bは、図3Aの巻線キャリアの長手方向断面図である。
図4A図4Aは、斜め上からの装置のさらなる実施形態の側面図である。
図4B図4Bは、上から斜めに見た図4Aの装置のさらなる側面図である。
図4C図4Cは、下から斜めに見た図4Aの装置を示す。
図4D図4Dは、上から見た図4Aの装置を示す。
図5図5は、上から斜めに見た装置のさらなる実施形態の側面図である。
図6A図6A図6Eは、図5の装置のコンポーネントを製造するための方法のステップである。
図6B図6A図6Eは、図5の装置のコンポーネントを製造するための方法のステップである。
図6C図6A図6Eは、図5の装置のコンポーネントを製造するための方法のステップである。
図6D図6A図6Eは、図5の装置のコンポーネントを製造するための方法のステップである。
図6E図6A図6Eは、図5の装置のコンポーネントを製造するための方法のステップである。
図7図7は、上から斜めに見た装置のさらなる実施形態の側面図である。
【0037】
好ましくは、以下の図面では、様々な実施形態の機能的又は構造的に対応する部分を同じ参照記号で指す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1Aは、装置1の一実施形態の長手断面を示す。図1Bは上から斜めに見た装置1を示し、図1Cは下から斜めに見た装置1を示す。
【0039】
装置1は、例えば変圧器として構成されている。装置1は、異なる機能を有する装置、とりわけ、電気端子間の絶縁経路の維持が特に重要な装置としても構成され得る。
【0040】
装置1は、ワイヤ4の少なくとも1つの巻線3が巻かれた巻線キャリア2を含む。ここでは、巻線3は直立した形で配置される。すなわち、巻線軸は装置1の下側14に対して垂直に配置されている。下側14は、例えば、プリント回路基板に固定する場合には、装置1の取り付け側に対応する。巻線キャリア2は電気絶縁材料から形成されている。巻線キャリア2は、例えば非磁性的に形成されている。巻線キャリア2はプラスチック材料で形成してもよい。例えば、巻線キャリア2は射出成形プロセスによって製造される。
【0041】
巻線キャリア2の周囲に複数の巻線が、具体的には変圧器の1つ以上の一次側巻線及び1つ以上の二次側巻線が適用され得る。本明細書で1つの巻線に言及する場合、これは複数の巻線にも当てはまる。巻線キャリア2は両側にフランジ状の境界10、11を有し、その間に巻線3が配置されている。
【0042】
ワイヤ4は金属材料、例えば銅を含む。ワイヤ4は絶縁体でシースされ、例えば三重に絶縁されている(TIW「三重絶縁ワイヤ」)。そのため、ワイヤ4又は巻線3は別個に被覆されるか又は追加的に絶縁される必要はない。
【0043】
装置1は少なくとも第1の端子5及び第2の端子6を含む。端子5、6は巻線2に直接取り付けられ、例えば、射出成形プロセスで巻線キャリア2を製造する場合に共射出成形される。巻線3の端部は端子5、6に接続されている。現在、複数の第1の端子5が一列に配置され、複数の第2の端子6が一列に配置されている。第1の端子5及び第2の端子6は装置1の両側面16、24に配置されている。
【0044】
この点に関して、第1の端子5の全ては一次側端子、すなわち、電源側端子であり、第2の端子6の全ては二次側端子、すなわち、消費者側端子であり得る。例えば、第1の端子5は供給ネットワークに接続するためのものであり、第2の端子6は消費者、例えば冷蔵庫に接続するためのものである。例えば、第1の端子5の2つのそれぞれは第1の一次側巻線に接続され、第2の端子6の2つは二次側巻線に接続される。
【0045】
装置1は磁心7を含む。磁心7は、例えば、フェライト材料又は他の磁性材料を含む。磁心7は、それ自体は巻線キャリアとして形成されておらず、巻線キャリア2に取り付けられた別個の要素である。磁心7は巻線キャリア2と材料が異なる。具体的には、磁心7は巻線キャリア2よりも大きな電気導電性を有する。
【0046】
本件では、磁心7は複数の部分で構成される。第1の磁心部8はI字状を含む。第2の磁心部9はU字状を含む。磁心部8、9は別の形状を含むこともでき、例えば、両方の磁心部8、9はU字状であってもよい。磁心部8、9は共に閉じた磁気回路を形成する。磁心部8、9は、例えば、互いに接着される。
【0047】
磁心7は、通常、巻線キャリア2よりも電気導電性が高く、第1の端子5と第2の端子6との間の絶縁経路の電気的なブリッジを導くことができる。そのため、磁心7は、第1の端子5及び第2の端子6間の絶縁経路に寄与しないため、磁心7とは別に絶縁クリアランスを守る必要がある。
【0048】
ここでは、第1の端子5と第2の端子6との間の絶縁経路28は、とりわけコンポーネント1の表面に沿った端子5、6間の最短の沿面距離及び/又は端子5、6間の最短のクリアランス距離である。このような絶縁経路の場合、例えば、IEC規格に従った最小長さを遵守しなければならない。複数の第1の端子5及び複数の第2の端子6の場合、絶縁経路は、第1の端子5と第2の端子6との間の絶縁経路のうち最も短いものである。つまり、本明細書に記載の間隔及び絶縁経路の条件は、第1の端子5及び第2の端子6の任意の対に適用され得る。
【0049】
図1Bでは、磁心7と第1の端子5との間に第1の絶縁経路12が示されている。加えて、第2の絶縁経路13、とりわけ最も短い空隙が磁心7と第2の端子6との間に示されている。ここでは、装置の上側15に沿った第1の端子5と第2の端子6との間の絶縁経路は、第1の絶縁経路12と第2の絶縁経路13との合計である。
【0050】
図1Cでは、装置1をその下側14から示す。巻線キャリア2は底部で閉じている。とりわけ、磁心7が巻線キャリア2から突出するか又は磁心7を巻線キャリア2に押し込むことが可能な切り欠きは下側14にはない。そのため、磁心7は、下側14の、第1の端子5と第2の端子6との間の領域で巻線キャリア2により絶縁されている。巻線キャリア2の内側に磁心7を配置することにより、省スペースの絶縁が確かなものとなる。磁心7は巻線キャリア2から横方向にのみ突出する。第1の端子5及び第2の端子6によって横方向に境界された下側14の領域で少なくとも、巻線キャリア2は磁心7が露出される切り欠きを含まない。
【0051】
このように、下側14に沿った第2の端子6間の絶縁経路28は磁心7によってブリッジされない。図から分かるように、第2の端子6から磁心7までの絶縁経路29は、絶縁性の巻線キャリア2によって包み込むことにより増加される。そのため、装置1の下側14に沿った第1の端子5と第2の端子6との間の最小の沿面距離又はクリアランス距離が、磁心によるブリッジを含まないように、磁心7は、巻線キャリア2によって外部から部分的に絶縁されている。そのため、磁心7は端子5、6間の絶縁経路をブリッジしたり、短くしたりしない。
【0052】
そのため、下側14では、磁心7は端子5、6間の絶縁経路28に影響を及ぼさないため装置1のサイズを小さくできる。とりわけ、下側14では、第1の端子5の第2の端子6からの距離dを最小絶縁距離に最小化できる。磁心7によるブリッジにおいても、必要な最小絶縁距離が上側15に沿って維持されることが確かになるようにすることだけが必要である。
【0053】
とりわけ、磁心7は、第1の端子5と磁心7との間の絶縁経路12と、第2の端子6と磁心7との間の絶縁経路13との合計が、第1の端子と第2の端子6との間の幾何学的距離と少なくとも同程度の大きさになるように巻線キャリア2によって包み込まれる。
【0054】
下側では、巻線キャリアは、第2の端子6と磁心7との間の絶縁経路29を延ばすことができる凹部23も含む。
【0055】
磁心7は、巻線キャリア2の側面16でのみ巻線キャリア2から突出する。とりわけ、巻線キャリア2は側面16に第1の開口17(図3A図3B参照)を含み、第1の開口17を介して磁心7が巻線キャリア2から突出する。加えて、巻線キャリア2は、その上側15に第2の開口18(図3A図3B参照)を含み、第2の開口18を介して磁心7が巻線キャリア2から突出する。
【0056】
磁心7は第1の開口17内に突出し、リードスルー19を介して巻線キャリア2を貫通し、第2の開口18を介して巻線キャリア2から出る。リードスルー19(図3A図3B参照)は第1の領域30内で巻線軸に沿って延び、第2の領域31内では下側14と平行に延びる。リードスルー19の内部では、すなわち、第1の開口17から第2の開口18まででは、磁心7は中断なく巻線キャリア2によって取り囲まれる。
【0057】
図1A図1B図1Cの実施形態では、磁心7は、巻線キャリア2及び端子5、6に対して非対称に配置され且つ絶縁されている。そのため、磁心7と第1の端子5との間の絶縁経路12は小さいが、磁心7と第2の端子6との間の絶縁経路13はかなり大きい。
【0058】
第1の磁心部8はI字状であり、第2の磁心部9はU字状である。I字状の第1の磁心部8は下側14と平行に配置されている。U字状の第2の磁心部9は、巻線軸に沿って脚部と共に配置されている。他の実施形態では、I字状の第1の磁心部分が巻線軸に沿って配置され、U字状の第2の磁心部が脚部と共に下側と平行に配置されてもよい。また、両方の磁心部8、9を、例えばU字状とすることもできる。
【0059】
以下では、装置1を製造するための方法を説明する。
【0060】
巻線キャリア2が提供され、巻線3が巻線キャリア2に適用される。この目的のために、例えば、(ここには示さない)巻線マンドレルが第1の開口17(図3A図3B参照)に挿入される。巻線3を適用した後、巻線マンドレルが取り除かれ、I字状の第1の磁心部8が第1の開口17内に横方向に挿入される。続いて、U字状の第2の磁心部9が上側15から第2の開口18(図3A図3B参照)に挿入される。第1の磁心部8及び第2の磁心部9は互いに接着できる。
【0061】
図2は、装置1のさらなる実施形態を示す。上述の実施形態とは対照的に、装置1は、第1の側面15上の2つの第1の端子5を含み、第2の側面24上に4つの第2の端子6を含む。
【0062】
第1の端子5は、例えば供給ネットワークへの接続のために構成され、第2の端子6は消費者への接続のために構成されている。第1の端子5は、例えば第1の巻線3に接続され、第2の端子6は、2つの別の巻線20に対に接続される。第1の巻線3は、例えば、巻線軸の方向で第2の巻線20の上に配置される。第2の巻線20は同じ位置で、例えば巻線軸に対して上下に配置される。巻線は外側から絶縁されているため、巻線3、20は異なる形で配置でき、例えば、巻線軸に対して全て同じ位置で配置することもできる。
【0063】
本発明は、示した第1、第2の端子及び巻線の数及び配置に限定されない。例えば、2つの第1の端子及び2つの第2の端子並びに2つの巻線のみが存在してもよい。
【0064】
また、図示の実施形態では、巻線キャリア2の下側14は完全に閉じられているため、装置1の下側14で最小絶縁経路を維持するためには、対向する端子5、6間の距離が最小絶縁経路と等しくなるように選択すれば十分である。
【0065】
加えて、巻線キャリア2はその上側15に突起を有し、その突起により、上側15に沿った磁心7と第2の端子6との間の沿面及びクリアランス距離が増加する。第1の突起21は巻線キャリア2の領域内で上方に延びる。第2の突起22は、巻線キャリア2を一方側の方に伸ばす。両方の突起21、22は、装置1の外寸を増加させないように選択される。
【0066】
図3Aは、上部から斜めに見た巻線キャリア2の一実施形態を示す。図3Bは、巻線キャリア2の長手断面を示す。巻線キャリア2は、追加の突起21、22を含まない点を除いて基本的に図2の巻線キャリア2として構成されている。
【0067】
巻線キャリア2は、側面16に第1の開口17を含み、その上側15に第2の開口18含む。図3Bの断面図では、リードスルー19があることが分かる。リードスルー19は、巻線軸(この場合は垂直)に平行に延びる第1の領域30と、巻線軸と垂直に延びる第2の領域31とを含む。第2の領域31は下側14と平行に延びる。リードスルー19は、全体としてL字状に構成されている。リードスルー19は、巻線キャリア2によって完全に包み込まれているため、開口17、18でのみ外部からアクセス可能である。
【0068】
図4Aは、上部から斜めに見た装置1の一実施形態の側面図を示す。図4Bは、上から斜めに見た装置の別の側面図を示す。図4Cは、下から斜めに見た装置を示す。図4Dは、装置の上面図を示す。
【0069】
明確性のために、装置1は巻線なしで示されている。完成品の装置1において、巻線は巻線キャリア2のまわりに直接適用されている。上述の実施形態とは対照的に、巻線軸は、装置1の下側14に平行に延びる。巻線キャリア2は、巻線を両側で境界を接する2つのフランジ状の境界10、11を含む。
【0070】
第1の端子5及び第2の端子6は巻線キャリア2に直接設けられている。本件では、2つの第1の端子5及び2つの第2の端子6のみ存在する。
【0071】
また、ここでは、磁心7は、I字状の第1磁心部8と、U字状の第2の磁心部9とを含む(図4B参照)。第1の磁心部8は、水平方向の巻線軸に沿って巻線キャリア2に配置されている。
【0072】
巻線キャリア2は、下側14で磁心7を完全に包み込む。この場合、磁心7の下側領域はI字状の磁心部8によって形成され、ほとんど全ての側から巻線キャリア2によって包み込まれている。さらなる側面24の方を向いたI字状の磁心部8の領域のみが開いている。第1の側面16に向かって、磁心7は外側の方に巻線キャリア2から完全に絶縁されている。そのため、下側14の図及び側面16の図から磁心領域を見ることはできない。全体として、磁心7の大きな領域は巻線キャリア2に組み込まれているため、端子5、6から隠れ且つ絶縁されるように配置されている。
【0073】
そのため、ここでも、装置1の下側14に沿った第1の端子5と第2の端子6との間の絶縁経路は、磁心7によってブリッジされていない。装置1の形状に応じて、絶縁経路、すなわち、第1の端子5と第2の端子6との間の最小沿面又はクリアランス距離は、装置1の下側14に沿って又は側面16、24に沿って延びる。ここでも、第1の端子5と磁心7との間の絶縁経路と、第2の端子6と磁心7との間の絶縁経路との合計は、第1の端子5と第2の端子6との間の幾何学的距離dと少なくとも同じ程度の大きさである。
【0074】
そのため、第1の端子5と第2の端子6との間の距離dは、最小絶縁距離と等しくなるように選択できる。図4Dで容易に分かるように、第1の端子5及び第2の端子6は内方にオフセットされている。とりわけ、端子5、6が固定されている巻線キャリア2の領域は、磁心7を横方向で包み込む領域よりもさらに内側にある。そのため、巻線キャリア2は、側面16、24に段付きで構成されている。
【0075】
これにより、必要な最小絶縁距離に違反することなく、コンポーネント1のサイズをさらに小さくすることができる。この小型化は、端子5、6に対して巻線キャリア2により磁心7を絶縁することによって可能となる。
【0076】
以下では、装置1を製造するための方法を説明する。
【0077】
巻線キャリア2が提供され、巻線キャリア2(図示せず)に巻線が適用される。この目的のために、例えば、巻きマンドレル(ここでは図示せず)が第1の開口17(図4B)に挿入される。巻線を適用した後、巻線マンドレルが取り外され、I字状の第1の磁心部8が第1の開口17に挿入される。次に、U字状の第2の磁心部9が上側15から第2開口18に挿入される。第1の磁心部8及び第2の磁心部9は互いに接着され得る。
【0078】
他の実施形態では、例えば、I字状の磁心部が上側の左端にある開口に挿入され、U字状の磁心部が横方向に挿入されてもよい。本発明はI字状及びU字状の磁心部に限定されない。
【0079】
図5は、装置1のさらなる実施形態を示す。図6A図6Eは装置を製造するための方法を示し、それにより、図5の装置1の内部構造も示す。
【0080】
上述の実施形態と同様に、巻線キャリア2は、磁心7を第1の端子5及び/又は第2の端子6から絶縁するために、磁心7のためのハウジングも形成する。巻線キャリア2は、端子5、6の間で磁心7のいずれの領域も露出することがないように、下側14から磁心7を包み込む。図4A図4Dの実施形態のように、磁心7は、磁心7の領域が露出しないように、下側14で完全に包み込まれている。
【0081】
ここでも、磁心7は第1の磁心部8(図5)及び第2の磁心部9(図6A)を含む。第1の磁心部8はU字状であり、第2の磁心部9はI字状である。
【0082】
前述の実施形態とは対照的に、磁心7は完全に、すなわち、磁心部8、9(磁心部8については図6A参照)の両方が、上側15から巻線キャリア2に挿入されている。とりわけ、巻線キャリア2は、磁心部8、9の両方を挿入するために開口18を上側15のみに含む。ハウジング2は2つのさらなる側面25、26上にも部分的に延びる。下側の磁心部8は外側からは見えない。上側磁心部9の上側のみから見える。
【0083】
そのため、磁心7は、同様に、第1の端子5及び第2の端子6から絶縁されている。とりわけ、第1の端子5と磁心7との間の絶縁経路は、第2の端子6と磁心7との間の絶縁経路と同じ長さである。全体として、磁心7と第1の端子5との間及び磁心7と第2の端子との間の絶縁経路の割り当てが対称的になっている。
【0084】
図6Aに示すように、巻線キャリア2は、装置1の製造の間に提供される。端子5、6が巻線キャリア2に取り付けられている。ワイヤは巻線キャリア2にまだ取り付けられていない。U字状の第1の磁心部8は、上側15にある開口18を介して巻線キャリア2に挿入されている。とりわけ、巻線キャリア2の開口巻線軸に第1の磁心部8が挿入されている。
【0085】
図6Bは、U字状の第1の磁心部8が挿入された巻線キャリア2を示す。巻線キャリア2は、下側14及び全ての側面16、24、25、26から第1の磁心部8を包み込む。第1の磁心部8は上側15のみで露出されている。その後、ワイヤ4が巻線キャリア2に巻回され、巻線3が適用される。
【0086】
図6Cは、巻線3を有する巻線キャリア2を示す。巻線3は、巻線軸が装置1の下側14と平行になるように水平に配置されている。巻線3のワイヤ端部は、巻線キャリア2内のガイド溝を介して端子5、6に導かれ、端子5、6と電気的に接続されている。端子5、6では、絶縁層がワイヤから取り除かれ、ワイヤは、例えば、それぞれの端子5、6に半田付け又はレーザ溶接されている。
【0087】
図6Dに示すように、次に、第2の磁心部9が開口18を介して上側15から巻線キャリア2に挿入される。本件では、第2の磁心部9はI字状である。しかしながら、異なる形状の磁心部8、9を、例えば、両方がU字状の磁心部8、9を用いることも可能である。
【0088】
図6Eは、完成した装置1を示す。第1の磁心部8は、第2の磁心部9と共に閉鎖磁気回路を形成する。第1の磁心部8は、例えば、第2の磁心部9に接着されている。第2の磁心部9は、2つの側面16、24で巻線キャリア2により完全に包み込まれている。巻線キャリア2は、磁心部8、9としっかり嵌合するため、磁心部8、9の位置を定義する。そのため、磁心部8、9の自動的で且つ良好な制御可能な配置及び接着が可能となる。
【0089】
図7は、図5図6Eの装置1の変形例を示す。ここで、巻線キャリア2は、巻線キャリア2を巻線機に固定するための横方向保持装置27を含む。保持装置27は、例えば、2部構成のスピンドルを巻線キャリア2に取り付け可能なウェブを含む。
【0090】
図1A図4Dの実施形態とは対照的に、図5図7の実施形態では、巻線キャリア2は、巻線の製造の間にスピンドルを巻線軸に挿入可能な開口を含まない。巻線を適用する前に、第1の磁心部8を巻線キャリア2内に設置することにより、第1の磁心部8によって空間が既に占有される。
【符号の説明】
【0091】
1 装置
2 巻線キャリア
3 巻線
4 ワイヤ
5 第1の端子
6 第2の端子
7 磁心
8 第1の磁心部
9 第2の磁心部
10 境界
11 境界
12 第1の端子と磁心との間の絶縁経路
13 側面に沿った第2の端子と磁心との間の絶縁経路
14 下側
15 上側
16 側面
17 側面の開口
18 上側の開口
19 リードスルー
20 さらなる巻線
21 第1の突起
22 第2の突起
23 凹部
24 さらなる側面
25 さらなる側面
26 さらなる側面
27 保持装置
28 下側に沿った第1及び第2の端子間の絶縁経路
28 下側に沿った第2の端子と磁心との間の絶縁経路
30 リードスルーの第1の領域
31 リードスルーの第2の領域
d 距離
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7
【外国語明細書】