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特開2024-19732免疫調節性融合タンパク質およびその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019732
(43)【公開日】2024-02-09
(54)【発明の名称】免疫調節性融合タンパク質およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/62 20060101AFI20240202BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20240202BHJP
   C07K 14/705 20060101ALI20240202BHJP
   C12N 15/867 20060101ALI20240202BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240202BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALI20240202BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20240202BHJP
   C07K 16/00 20060101ALI20240202BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20240202BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20240202BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20240202BHJP
   A61K 38/16 20060101ALI20240202BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240202BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240202BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20240202BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20240202BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240202BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240202BHJP
   C12N 15/113 20100101ALN20240202BHJP
【FI】
C12N15/62 Z
C07K19/00 ZNA
C07K14/705
C12N15/867 Z
C12N5/10
C12N5/0783
C12N15/13
C07K16/00
A61K31/7088
A61K35/17
A61K35/76
A61K38/16
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61K48/00
A61P1/18
A61P15/00
A61P35/00
A61P35/02
C12N15/113 140Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024000159
(22)【出願日】2024-01-04
(62)【分割の表示】P 2022097950の分割
【原出願日】2018-03-16
(31)【優先権主張番号】62/473,282
(32)【優先日】2017-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/629,663
(32)【優先日】2018-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】522176001
【氏名又は名称】フレッド ハッチンソン キャンサー センター
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】シャノン ケー. オダ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ディー. グリーンバーグ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス エム. シュミット
(57)【要約】
【課題】細胞外結合ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインを含有する免疫調節性融合タンパク質であって、標的の結合により、T細胞などの宿主細胞における調節性シグナルが生じ得る、融合タンパク質を提供すること。
【解決手段】本開示は、がんまたは感染症などのある特定の疾患を処置するための、そのような免疫調節性融合タンパク質を発現する免疫細胞の使用にも関する。ある特定の態様では、本開示は、標的に特異的に結合する結合ドメインを含有する細胞外成分、細胞内シグナル伝達ドメインで構成される細胞内成分、および細胞外成分と細胞内成分とを連結する疎水性成分を含む融合タンパク質を対象とするが、ただし、融合タンパク質::標的複合体の長さは、免疫学的シナプスにおける膜間の距離と同様の距離にまたがるものとする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
図面に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表に関する記述
本出願に付随する配列表は、紙コピーの代わりにテキスト形式で提供され、これによって参照により本明細書に組み込まれる。配列表を含むテキストファイルの名称は、360056_447WO_SEQUENCE_LISTING.txtである。テキストファイルは322KBであり、2018年に3月15日に作成されたものであり、EFS-Webを介して電子的に提出される。
【背景技術】
【0002】
T細胞に基づく免疫療法は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の集団の中で腫瘍反応性T細胞が見いだされた時に開発され始めた(Clarkら、Cancer Res.、29巻:705頁、1969年)。1つの戦略は、養子T細胞移入として公知であり、一部の状況では、腫瘍反応性について予め選択した腫瘍浸潤リンパ球を単離すること、IL-2の存在下で抗CD3抗体および抗CD28抗体によって誘導される腫瘍反応性T細胞をクローン拡大させること、ならびに、最終的に、拡大させた細胞集団を、腫瘍を担持する患者に注入し戻すこと(化学療法およびIL-2の反復投与と共に)を伴う(Dudleyら、Science、298巻:850頁、2002年)。腫瘍浸潤リンパ球を用いるこの形態の養子T細胞療法は、技術的に煩わしいことがあり、また、完全寛解は黒色腫を有する患者のほんの一部にしか導かれず、他のがんではめったに有効でない(Besserら、Clin. Cancer Res.、16巻:2646頁、2010年)。
【0003】
腫瘍反応性T細胞クローンの単離は、別の免疫療法的手法、つまり、腫瘍細胞上に発現する主要組織適合性遺伝子複合体(MHC)分子(ヒトではヒト白血球抗原(HLA)分子として公知)によって提示される腫瘍関連ペプチドなどの所望の標的に対する特異性を付与するために、例えばベクター送達系を使用してT細胞に導入することができる、特定の抗原に特異的な組換えT細胞受容体(TCR)の生成につながる。別の手法では、一般には、例えば抗腫瘍療法の状況では腫瘍に特異的であるまたは関連する抗原に結合することができる抗原結合ドメインと、それと連結した、TCRシグナル伝達ドメインなどの一次シグナル伝達ドメインまたは一部の状況では共刺激シグナル伝達ドメインなどのエフェクタードメインを含む1つまたは複数の細胞内成分を含有する、キメラ抗原受容体(CAR)と呼ばれる合成受容体を導入する。TILの投与とは異なり、TCRまたはCAR T細胞免疫療法を操作するための基本的な手順は、一般に、腫瘍標的化部分をコードする導入遺伝子を用いてヒトT細胞を遺伝子改変し、組換えT細胞をex vivoにおいて拡大させ、拡大させた組換えT細胞を患者に輸注し戻すことである。
【0004】
組換えTCRを発現するT細胞を使用する養子T細胞療法には、特に、ある特定のB細胞がんにおいて有望な臨床的有用性があることが示されている。しかし、有効なT細胞活性化は、多くの場合、同時の共刺激シグナルを必要とするまたはそれにより増強される(ChenおよびFlies、Nat. Rev. Immunol.、13巻:227~242頁、2013年)。腫瘍微小環境では、共刺激分子は一般に下方制御される。結果として、がん抗原に特異的な組換えTCRを発現するT細胞には、IL-2を介した外因性刺激が一般に必要である。
【0005】
T細胞の活性化は、TCRが抗原提示細胞(APC)上のMHCに提示された特異的なペプチドと会合すると開始される(Rossyら、Frontiers in Immunol.、3巻:1~12頁、2012年)。T細胞とAPCの相互作用の点は免疫学的シナプス(immunological synapse)になり、これは、中心部のcSMAC、周辺部のpSMAC、および遠位のdSMACを含めた3つの同心性超分子活性化クラスター(SMAC)で構成される(Rossyら、Frontiers in Immunol.、3巻:1~12頁、2012年)。cSMAC内では、共刺激受容体によりシグナル伝達分子が動員されてTCRシグナルが増幅し得る。そのような共刺激受容体はCD28を含み得、一部の状況では、TCRと共にマイクロクラスターを形成して活性化の閾値を低下させる(ChenおよびFlies、Nat. Rev. Immunol.、13巻:227~242頁、2013年)。T細胞によって発現される膜貫通タンパク質によるcSMACへの接近は、細胞外ドメインのサイズによって制限される可能性がある。例えば、CD45は大きな外部ドメインを有し、一般には免疫学的シナプスから排除され、それにより、TCRシグナル伝達を阻害するその能力が妨げられる(JamesおよびVale、Nature、487巻:64~69頁、2012年)。
免疫療法の分野では、がんまたは感染などの様々な疾患を処置するために、宿主細胞に免疫調節性シグナルをもたらす代替組成物および方法が依然として必要とされている。本明細書で開示される実施形態は、これらの必要性に対処し、他の関連する利点をもたらすものである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】ChenおよびFlies、Nat.Rev.Immunol.(2013年)13巻:227~242頁
【非特許文献2】Rossyら、Frontiers in Immunol.(2012年)3巻:1~12頁
【非特許文献3】JamesおよびVale、Nature(2012年)487巻:64~69頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
ある特定の態様では、本開示は、標的に特異的に結合する結合ドメインを含有する細胞外成分、細胞内シグナル伝達ドメインで構成される細胞内成分、および細胞外成分と細胞内成分とを連結する疎水性成分を含む融合タンパク質を対象とするが、ただし、融合タンパク質::標的複合体の長さは、免疫学的シナプスにおける膜間の距離と同様の距離にまたがるものとする。
【0008】
一部の実施形態では、融合タンパク質と標的の間で形成される複合体またはそのような融合タンパク質::標的複合体の一部(一般に、そのような複合体の細胞外部分)の長さまたは空間距離は、特定の距離であるかまたは特定の距離にまたがり、例えば、一部の実施形態では、ある特定の距離未満またはおよそある特定の距離未満の距離である。一部の態様では、融合タンパク質::標的複合体(または、一般には、その細胞外部分)の距離は、50nm未満もしくは約50nm未満、40nm未満もしくは約40nm未満、30nm未満もしくは約30nm未満、または20nm未満もしくは約20nm未満、または15nmに等しいかもしくはそれ未満、もしくは約15nmに等しいかもしくはそれ未満である。一部の実施形態では、当該距離は、10nmもしくは約10nm、11nmもしくは約11nm、12nmもしくは約12nm、13nmもしくは約13nm、14nmもしくは約14nm、15nmもしくは約15nm、16nmもしくは約16nm、17nmもしくは約17nm、18nmもしくは約18nm、19nmもしくは約19nm、または20nmもしくは約20nm、例えば、14nmもしくは約14nmまたは15nmもしくは約15nmなどである。一部の態様では、距離は、免疫学的シナプスにおける膜間の距離と同様の距離である、または、TCR-ペプチド/MHC複合体に関しては、TCRの細胞外ドメインの膜最近位部分、例えば残基と、MHC(例えば、MHCIもしくはMHCIIなどのHLA)分子の膜最近位部分、例えば残基の間の距離、または、そのような複合体の細胞外部分がまたがる距離(または、CD8、CD4、CD28、およびそれぞれの結合パートナーまたはそのリガンドを含有する複合体などの、シナプス内に含有されることが公知の細胞外部分がまたがる空間距離)と、同じ、ほぼ同じ、もしくは実質的に同じ距離である。一部の実施形態では、複合体の空間距離は、2つの異なる細胞の膜間の距離を指し、第1の細胞と第2の細胞は、それぞれ、それらの表面上に、細胞が互いと近傍になった場合に膜間で複合体を形成し得る結合パートナーを発現する。一部の態様では、距離は、TCRとMHC分子との同族相互作用の間で形成される複合体の細胞外部分がまたがる距離と同じ、ほぼ同じ、または実質的に同じ距離である。融合タンパク質が、普通は免疫学的シナプスに進入することまたは抗原受容体と共局在することができる分子に由来する結合ドメインを含む場合などの一部の態様では、距離は、分子(融合タンパク質に使用される結合ドメインを有する)と天然の結合パートナーとの間で形成される複合体がまたがる距離と同様であるかまたは同じである。融合タンパク質が、普通は免疫学的シナプスに進入することができないまたは普通は抗原受容体と共局在することができない分子に由来する結合ドメインを含む場合などの一部の態様では、距離は、分子(融合タンパク質に使用される結合ドメインまたはその機能的部分を有する)とその天然の結合パートナーとの間で形成される複合体がまたがる距離とは異なる、例えば、その距離よりも短いまたは実質的に短い。
【0009】
一部の実施形態では、本開示の融合タンパク質の細胞外成分内の結合ドメインは、阻害分子、例えば、免疫阻害受容体または免疫チェックポイント分子などの免疫阻害分子などの阻害シグナルを送達することができる分子の標的結合部分を含有する。一部の態様では、そのような分子は、糖タンパク質、チェックポイントファミリーメンバーである。ある特定の実施形態では、融合タンパク質は、糖タンパク質、チェックポイントファミリーメンバーに由来するか、または、B7もしくはB7結合分子ではないか、または、CD28-B7-スーパーファミリーメンバーではない(例えば、CD28、CTLA4、ICOS、もしくは他のB7ファミリー結合分子ではない)結合ドメインを含む。例示的な糖タンパク質、チェックポイントファミリーメンバーは、CD200R、SIRPα、CD279(PD-1)、CD2、CD95(Fas)、CTLA4(CD152)、CD223(LAG3)、CD272(BTLA)、A2aR、KIR、TIM3、CD300、またはLPA5、またはそのような分子のいずれかの結合性改変体を含む。一部の実施形態では、本開示の融合タンパク質の細胞外成分内の結合ドメインは、前述のもののいずれかの結合パートナー、またはそのような分子のいずれかの結合性改変体を含む。そのような実施形態の一部の態様では、融合タンパク質の細胞内部分は、共刺激シグナルなどの刺激シグナルをT細胞などのリンパ球に送達することができるシグナル伝達ドメイン、例えば、CD28、4-1BB、ICOSの共刺激領域、または他の共刺激分子などを含む。一部の態様では、細胞外結合部分がチェックポイントまたは免疫阻害分子に由来する場合には、融合タンパク質の細胞内部分は、チェックポイントまたは免疫阻害分子などの阻害分子の細胞内シグナル伝達ドメインを含まない。一部の態様では、融合タンパク質は、CD3ζシグナル伝達ドメインまたは一次シグナルをT細胞に送達することができる他のドメインなどの一次シグナル伝達ドメインを含まない。
【0010】
ある特定の態様では、細胞外成分またはその結合部分は、CD200Rの結合部分またはその改変体などの、CD200に特異的に結合することができる、分子の結合ドメインまたは外部ドメインを含有する、またはこのドメインである。一部の実施形態では、結合ドメインは、CD47に特異的に結合することができる、分子または外部ドメインの結合領域、例えば、SIRP外部ドメインまたはそのCD47結合領域など、例えば、SIRPα外部ドメインまたはそのCD47結合領域などであるまたはそれを含む。一部の実施形態では、結合ドメインは、PD-L1分子またはPD-L2分子またはLAG3分子に結合することができる。例示的な標的は、本発明で提供される融合タンパク質および組成物を用いて処置または改善される疾患もしくは状態に関連するもしくはそれのある特定の細胞もしくは組織、例えば、腫瘍細胞もしくは腫瘍微小環境などにおいて発現が増大するもしくは上方制御される、または、腫瘍などの患部組織に浸潤しているリンパ球などの免疫細胞上で一般に上方制御される受容体が結合する、1つもしくは複数のタンパク質であり得る。
【0011】
一部の実施形態では、細胞外成分は、例えば結合ドメインが由来する分子以外の分子または結合ドメインが同一性を共有する分子以外の分子に由来する1つまたは複数の追加的な領域またはドメインをさらに含む。1つまたは複数の追加的な細胞外ドメインは、ヒンジまたはCH2ドメインもしくはCH3ドメインなどの定常領域ドメインの全部または一部を含有し得る、免疫グロブリン分子に由来するもの、または、別の細胞表面分子、例えば共刺激受容体など、例えばCD28などに由来するものなどの、スペーサー領域を含み得る。追加的な細胞外ドメイン(複数可)は、一部の態様では、マルチマー形成ドメイン、例えば、別の分子とのホモダイマー形成またはヘテロダイマー形成、例えば2つまたはそれ超の融合タンパク質のマルチマー形成などを促進し得るダイマー形成ドメインまたは配列を含み得る。一部の実施形態では、そのようなドメインは、少なくとも膜貫通最近位システインを含むCD28分子の細胞外ドメインの一部、および一般に、そのようなシステインと膜との間の細胞外部分、またはその改変された改変体を含む。一部の態様では、そのようなドメインは、配列番号32に記載のアミノ酸配列もしくはその一部、または、それに対して少なくとも90%、95%、もしくは99%同一性を有するものなどのその改変体を含む。一部の態様では、マルチマー形成を容易にするまたは促進するために、そのようなドメインを含めることができる。一部の実施形態では、融合タンパク質は、CD200結合ドメイン、例えば、CD200Rの細胞外部分(またはその一部、例えば、その結合ドメインなど)など、例えば、配列番号25に記載のアミノ酸配列を有するもしくは配列番号2に記載の核酸分子によりコードされるCD200Rの細胞外部分など、またはそのCD200結合部分もしくはその改変体もしくはその結合部分を含めた細胞外成分を含有する。そのような実施形態の一部の態様では、融合タンパク質の細胞外部分は、CD28の細胞外領域の一部、例えば、最大でその約9~約12アミノ酸(例えば、9アミノ酸または12アミノ酸)などをさらに含み、一部の態様では、CD28細胞外領域の膜最近位システイン残基を含む。一部のそのような実施形態では、細胞外領域のCD200R部分の長さは、CD28由来の部分における追加的な残基の数に対応して、長さが、例えば、約9~約12アミノ酸(例えば、9アミノ酸もしくは12アミノ酸)、または、融合タンパク質とCD200分子の間の複合体の細胞外部分がまたがる距離が、ヒトCD200R、例えば、CD200RとCD200との複合体の細胞外部分がまたがる距離;もしくは、同族ペプチド-MHC複合体に結合した、MHC分子(例えば、MHC IまたはMHCII)と同族相互作用しているTCRの複合体の細胞外部分がまたがる距離;もしくは免疫学的シナプスの距離と同様、実質的に同様、もしくは同じになるのに十分な数のアミノ酸だけ、減少する。一部の態様では、融合タンパク質は、膜貫通ドメイン、例えば、CD28膜貫通など、例えば、配列番号4として記載されている配列によりコードされる膜貫通ドメインもしくはその一部など、またはその改変バージョン、例えば、分子間相互作用を容易にするために追加的な荷電領域もしくは残基または親水性残基を含有するように改変された改変体などをさらに含む。一部の実施形態では、タンパク質は、CD28細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、CD28の共刺激ドメインなど、例えば、ライゲーションに応答して1つまたは複数のアダプター分子をCD28に動員することができるものなどをさらに含む。一部の態様では、CD28細胞内ドメインは、配列番号5のヌクレオチド配列によりコードされる配列またはその部分もしくは機能的改変体を含む、またはこれらの配列またはその部分もしくは機能的改変体である。
【0012】
一部の実施形態では、本開示は、標的に特異的に結合する結合ドメインで構成される細胞外成分、細胞内シグナル伝達ドメインで構成される細胞内成分、および細胞外成分と細胞内成分とを連結する疎水性成分を含む融合タンパク質を対象とするが、ただし、融合タンパク質:標的複合体の長さは、免疫学的シナプスにおける膜間の距離と同様の距離にまたがるものとし、ここで、(a)細胞外成分は、CD200Rの細胞外部分を含み、(b)疎水性成分は、CD28の膜貫通ドメインを含み、(c)細胞内成分は、CD28の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0013】
一部の実施形態では、本開示は、標的に特異的に結合する結合ドメインで構成される細胞外成分、細胞内シグナル伝達ドメインで構成される細胞内成分、および細胞外成分と細胞内成分とを連結する疎水性成分を含む融合タンパク質を対象とするが、ただし、融合タンパク質:標的複合体の長さは、免疫学的シナプスにおける膜間の距離と同様の距離にまたがるものとし、ここで、(a)細胞外成分は、CD200Rの細胞外部分を含み、(b)疎水性成分は、CD28の膜貫通ドメインを含み、(c)細胞内成分は、CD28の細胞内シグナル伝達ドメインおよびCD137(4-1BB)の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0014】
一部の実施形態では、本開示は、標的に特異的に結合する結合ドメインで構成される細胞外成分、細胞内シグナル伝達ドメインで構成される細胞内成分、および細胞外成分と細胞内成分とを連結する疎水性成分を含む融合タンパク質を対象とするが、ただし、融合タンパク質::標的複合体の長さは、免疫学的シナプスにおける膜間の距離と同様の距離にまたがるものとし、ここで、(a)細胞外成分は、CD200Rの細胞外部分を含み、(b)疎水性成分は、CD28の膜貫通ドメインを含み、(c)細胞内成分は、CD137(4-1BB)の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0015】
一部の実施形態では、本開示は、標的に特異的に結合する結合ドメインで構成される細胞外成分、細胞内シグナル伝達ドメインで構成される細胞内成分、および細胞外成分と細胞内成分とを連結する疎水性成分を含む融合タンパク質を対象とするが、ただし、融合タンパク質:標的複合体の長さは、免疫学的シナプスにおける膜間の距離と同様の距離にまたがるものとし、ここで、(a)細胞外成分は、SIRPαの細胞外部分を含み、(b)疎水性成分は、CD28の膜貫通ドメインを含み、(c)細胞内成分は、CD28の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0016】
一部の実施形態では、本開示は、標的に特異的に結合する結合ドメインで構成される細胞外成分、細胞内シグナル伝達ドメインで構成される細胞内成分、および細胞外成分と細胞内成分とを連結する疎水性成分を含む融合タンパク質を対象とするが、ただし、融合タンパク質::標的複合体の長さは、免疫学的シナプスにおける膜間の距離と同様の距離にまたがるものとし、ここで、(a)細胞外成分は、CD279(PD-1)の細胞外部分を含み、(b)疎水性成分は、CD28の膜貫通ドメインを含み、(c)細胞内成分は、CD28の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0017】
一部の実施形態では、本開示は、標的に特異的に結合する結合ドメインで構成される細胞外成分、細胞内シグナル伝達ドメインで構成される細胞内成分、および細胞外成分と細胞内成分とを連結する疎水性成分を含む融合タンパク質を対象とするが、ただし、融合タンパク質::標的複合体の長さは、免疫学的シナプスにおける膜間の距離と同様の距離にまたがるものとし、ここで、(a)細胞外成分は、CD95(Fas)の細胞外部分を含み、(b)疎水性成分は、CD28の膜貫通ドメインを含み、(c)細胞内成分は、CD28の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0018】
一部の実施形態では、本開示は、標的に特異的に結合する結合ドメインで構成される細胞外成分、細胞内シグナル伝達ドメインで構成される細胞内成分、および細胞外成分と細胞内成分とを連結する疎水性成分を含む融合タンパク質を対象とするが、ただし、融合タンパク質:標的複合体の長さは、免疫学的シナプスにおける膜間の距離と同様の距離にまたがるものとし、ここで、(a)細胞外成分は、TIM3の細胞外部分を含み、(b)疎水性成分は、CD28の膜貫通ドメインを含み、(c)細胞内成分は、CD28の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0019】
一部の実施形態では、本開示は、標的に特異的に結合する結合ドメインで構成される細胞外成分、細胞内シグナル伝達ドメインで構成される細胞内成分、および細胞外成分と細胞内成分とを連結する疎水性成分を含む融合タンパク質を対象とするが、ただし、融合タンパク質:標的複合体の長さは、免疫学的シナプスにおける膜間の距離と同様の距離にまたがるものとし、ここで、(a)細胞外成分は、LAG3の細胞外部分を含み、(b)疎水性成分は、CD28の膜貫通ドメインを含み、(c)細胞内成分は、CD28の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0020】
一部の実施形態では、本開示は、標的に特異的に結合する結合ドメインで構成される細胞外成分、細胞内シグナル伝達ドメインで構成される細胞内成分、および細胞外成分と細胞内成分とを連結する疎水性成分を含む融合タンパク質を対象とするが、ただし、融合タンパク質::標的複合体の長さは、免疫学的シナプスにおける膜間の距離と同様の距離にまたがるものとし、ここで、(a)細胞外成分は、CD2の細胞外部分を含み、(b)疎水性成分は、CD28の膜貫通ドメインを含み、(c)細胞内成分は、CD28の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0021】
一部の実施形態では、本開示は、(a)標的に特異的に結合する結合ドメインで構成される細胞外成分、(b)細胞内シグナル伝達ドメインで構成される細胞内成分、および(c)細胞外成分と細胞内成分とを連結する疎水性成分を含む融合タンパク質を対象とし、ここで、融合タンパク質と標的の特異的な結合によって形成される複合体(融合タンパク質::標的複合体)の細胞外部分は、(i)最大でおよそ免疫学的シナプスの2つの細胞膜間の距離、(ii)最大で、T細胞受容体(TCR)とTCRが特異的に結合したMHC-ペプチド複合体との間の複合体の細胞外部分がまたがる距離とほぼ同じであるかまたは実質的に同じ、(iii)最大で、結合ドメインを含む天然分子とその同族結合パートナーとの間の複合体の細胞外部分がまたがる距離とほぼ同じであるかまたは実質的に同じ;(iii)約40nm未満もしくは最大で約40nm、約25nm未満もしくは最大で約25nm、約20nm未満もしくは最大で約20nm、約15nm未満もしくは最大で約15nm、または約14nm未満もしくは最大で約14nm;または(iv)それらの任意の組合せのサイズである、またはその距離にまたがり、細胞外成分は、CD95(Fas)外部ドメインもしくはその機能的断片であるかまたはCD95(Fas)外部ドメインもしくはその機能的断片を含み、細胞内成分は、CD137(4-1BB)細胞内シグナル伝達ドメインもしくはその機能的部分であるかまたはCD137(4-1BB)細胞内シグナル伝達ドメインもしくはその機能的部分を含む。
【0022】
一部の実施形態では、本開示は、(a)標的に特異的に結合する結合ドメインで構成される細胞外成分、(b)細胞内シグナル伝達ドメインで構成される細胞内成分、および(c)細胞外成分と細胞内成分とを連結する疎水性成分を含む融合タンパク質を対象とし、ここで、結合ドメインは、阻害分子結合ドメインであるかまたは阻害分子結合ドメインに対して少なくとも95%の同一性を有し、細胞内シグナル伝達ドメインは、共刺激分子もしくは刺激分子結合ドメインであるかまたは共刺激分子もしくは刺激分子結合ドメインに対して少なくとも95%の同一性を含み、阻害分子は、CD95(Fas)外部ドメインもしくはその機能的断片であるかまたはCD95(Fas)外部ドメインもしくはその機能的断片を含み、共刺激分子または刺激分子は、CD137(4-1BB)に由来する細胞内シグナル伝達ドメインもしくはその機能的部分であるかまたはCD137(4-1BB)に由来する細胞内シグナル伝達ドメインもしくはその機能的部分を含む。
【0023】
一部の実施形態では、本開示は、(a)配列番号71に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含む細胞外成分、(b)配列番号197に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含む疎水性成分、および(c)配列番号13に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含む細胞内成分を含む融合タンパク質を対象とする。
【0024】
一部の実施形態では、本開示は、(a)配列番号72に記載のアミノ酸配列を有する結合ドメインを含む細胞外成分;(b)配列番号198に記載のアミノ酸配列を含む疎水性成分;および(c)配列番号36に記載のアミノ酸配列を含む細胞内成分を含む融合タンパク質を対象とする。
【0025】
ある特定の態様では、本開示は、本明細書に記載の融合タンパク質をコードする核酸分子を対象とする。
【0026】
ある特定の態様では、本開示は、本明細書に記載の融合タンパク質をコードする核酸分子を含むベクターを対象とする。
【0027】
ある特定の他の態様では、本開示は、本明細書に記載の融合タンパク質、核酸、またはベクターを含む宿主細胞を対象とする。
【0028】
ある特定の他の態様では、免疫細胞の活性を増大させる方法であって、免疫細胞活性の増大を必要とする被験体に、有効量の本明細書に記載の宿主細胞を投与するステップを含む方法が提供される。
【0029】
他の態様では、本開示は、免疫応答を増強または延長する方法であって、免疫細胞活性の増強または延長を必要とする被験体に、有効量の本明細書に記載の宿主細胞を投与するステップを含む方法を対象とする。
【0030】
さらに他の態様では、本開示は、抗原特異的T細胞応答を刺激する方法であって、免疫細胞活性の増大を必要とする被験体に、有効量の本明細書に記載の宿主細胞を投与するステップを含む方法を提供する。
【0031】
他の態様では、本開示は、免疫抑制シグナル伝達経路を阻害する方法であって、それを必要とする被験体に、有効量の本明細書に記載の宿主細胞を投与するステップを含む方法を対象とする。
【0032】
他の態様では、本開示は、がんを処置する方法であって、がんを有する被験体に、治療有効量の本明細書に記載の宿主細胞を投与するステップを含む方法を対象とする。
【0033】
他の態様では、本開示は、がん細胞の免疫抵抗性を阻害する方法であって、それを必要とする被験体に、有効量の本明細書に記載の宿主細胞を投与するステップを含む方法を対象とする。
【0034】
さらに他の態様では、本開示は、腫瘍を処置するための方法であって、腫瘍を有する被験体に、治療有効量の本明細書に記載の宿主細胞を投与するステップを含み、投与される宿主細胞が、免疫抑制性の腫瘍微小環境において増殖することができるものである、方法を提供する。
【0035】
感染を処置する方法であって、感染を有する被験体に、治療有効量の本明細書に記載の宿主細胞を投与するステップを含む方法も本開示によって提供される。
【0036】
本発明のこれらおよび他の態様は、以下の詳細な説明および付属図を参照すれば明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1-1】図1Aおよび1Bは、初代マウスCD8T細胞上で高レベルで発現されるCD200R-CD28構築物を示す図である。(A)例示的なCD200R-CD28構築物の模式図。構築物「I」は、CD200R細胞外(「EC」)および膜貫通(「TM」)ドメインならびにCD28細胞内(「IC」)シグナル伝達ドメインを含有している(CD200Rtm-CD28)。構築物「II」は、CD200Rの細胞外ドメインならびにCD28の膜貫通および細胞内ドメインを含有している(CD200R-CD28tm)。構築物「III~V」は、マルチマー形成を促進し、CD28シグナル伝達を増強するためにCD28の細胞外ドメインから膜貫通近位システインの部分も組み込んでいる。任意の追加の細胞外アミノ酸(例えば1から約50アミノ酸;本明細書で開示される例示的なマウス構築物は追加の9個の(9)アミノ酸を含有し、本明細書で開示される例示的なヒト構築物は12個の(12)アミノ酸を含有するなど)を検討するために、一部の構築物は細胞外または細胞内ドメインの切断された一部を有する(例えばN連結グリコシル化部位を保存しているCD200R)。例えば構築物IVは、3アミノ酸短縮されたCD200Rの切断された一部を有する。構築物Vは、9アミノ酸短縮されたCD200Rの切断された一部を有する。構築物「I」、「II」および「V」は、細胞間(例えば、T細胞と抗原提示細胞との間)の短い空間距離を維持しており、cSMAC内でTCRと共局在でき、強い共刺激シグナルを送達することができる。(B)抗CD200R抗体によって検出されたTCRgagT細胞上のマウスCD200R-CD28構築物のトランスジェニック発現。対照ベクターは緑色蛍光タンパク質(GFP)を含有している。
図1-2】同上
【0038】
図2-1】図2Aから2Gは、CD200R-CD28構築物がin vitroでCD200腫瘍標的細胞に応答して増殖、蓄積およびエフェクター機能を促進し、免疫学的シナプスにおいて蓄積することを示す図である。ナイーブのTCRgagマウス由来脾細胞は、in vitroで抗CD3、抗CD28および組換えヒトIL-2(100U/ml)で刺激され、レトロウイルス上清で2日間形質導入された。細胞は、照射FBLおよび脾細胞で7日ごとに再刺激され、rhIL-2(50U/mL)と共に3回刺激まで培養された。T細胞は、最後の刺激の5~7日後にアッセイのために使用された。(A)CellTrace Violet dilutionによって測定されたCD200R-CD28およびGFP対照TCRgagT細胞の増殖。T細胞は、CD200FBL(上パネル)またはCD200FBL(下パネル)で3日間刺激された。(B)照射CD200FBLおよび脾細胞での刺激の毎週のサイクルの間、形質導入されていないTCRgagT細胞との共培養での形質導入TCRgagT細胞の優先的拡大/生存。(C)形質導入T細胞の濃縮。照射CD200腫瘍細胞での反復再刺激は、空GFP対照ベクターで形質導入された野生型T細胞と比較してCD200R-9aas-CD28Cysで形質導入された細胞を濃縮した。(D)T細胞:FBLシナプスでのCD200RおよびCD200シグナル強度の増加。脂質ラフトは免疫学的シナプス(I)で増加している。CD200R-9aas-CD28Cys融合タンパク質は脂質ラフトと共局在していた。これは、融合タンパク質が免疫学的シナプス(III、IV)内で濃縮していることを示している。(E)CD200R-CD28CD8T細胞は、CD200FBL細胞をin vitroで溶解する能力の増強を示している。標的腫瘍細胞は、示したとおり蛍光色素5,6-カルボキシフルオレセインジアセテートスクシンイミジルエステル(CFSE)のさまざまな希釈物で標識された。示したCD200R-CD28融合タンパク質または空ベクター対照で形質導入されたエフェクターTCRgagT細胞は、示したエフェクター対標的の比で、CD200FBL(CFSEhi)と非特異的EL4(CFSElo)対照標的との1:1混合物と5時間インキュベートされた。FBLと対照腫瘍細胞の合計でのFBLの百分率は、フローサイトメトリーによって決定された。溶解百分率は、T細胞とインキュベートされたFBLのパーセントをT細胞を含まずにインキュベートされたFBLのパーセントで割ることによって決定された。(F)(G)におけるCFSEアッセイのための標的腫瘍細胞。標的腫瘍細胞は、蛍光色素CellTrace Violet(CTV)またはCFSEのさまざまな希釈物で標識された。EL4細胞(CTV+)、CD200FBL(CFSEhi)および非特異的EL4(CFSElo)対照標的の1:1:1混合物が生成された。(G)CFSE細胞毒性アッセイ。TCRgagT細胞は、CD200R-CD28受容体またはGFP対照ベクターで形質導入された。エフェクターTCRgagT細胞は、示したエフェクター対標的の比で、CD200FBLまたはCD200FBLと非特異的EL4対照標的との1:1混合物と4時間インキュベートされた。FBLと対照腫瘍細胞との合計でのFBLの百分率は、フローサイトメトリーによって決定された。溶解百分率は、T細胞とインキュベートされたFBLのパーセントをT細胞を含まずにインキュベートされたFBLのパーセントで割ることによって決定された。
図2-2-1】同上
図2-2-2】同上
図2-3】同上
図2-4】同上
図2-5】同上
図2-6】同上
図2-7】同上
【0039】
図3-1】図3Aから3Dは、CD200R-9aas-CD28Cysで形質導入されたT細胞がin vivoでの腫瘍チャレンジに応答して優先的に蓄積し、シクロホスファミド処置、FBL保有マウスへの注射後にエフェクター表現型と一致する表面タンパク質を発現することを示す図である。形質導入TCRgagT細胞は、実施例2に記載のとおり生成された。(A)実験の模式図。C57BL/6マウスはCD200FBL細胞4×10個を注射された。5日後、CD200R-9aas-CD28Cys(Thy1.1ホモ接合)およびeGFP対照(Thy1.1ヘテロ接合)TCRgagT細胞をシクロホスファミド処置FBL保有B6マウスに細胞4×10個/マウスで同時注射した。IL-2は、2日ごとに投与された(2×10U/用量)。T細胞移入8日後にマウスは、安楽死され、脾臓および鼠径部リンパ節は回収された。(B)CD200R-9aas-CD28Cys TCRgagT細胞は、FBLに応答して脾臓に蓄積する(LN=リンパ節;Spl=脾臓)。(C)CD200R-9aas-CD28Cysを発現するように形質導入されたT細胞、空ベクターで形質導入されたT細胞および内因性T細胞について移入3日後での表面タンパク質の比較。CD200R-9aas-CD28Cys TCRgagT細胞は対照TCRgagT細胞と比較して低減したCD62Lを発現していた。これは、エフェクターT細胞表現型を示唆している。(D)CD200R-9aas-CD28CysT細胞を発現するように形質導入された細胞、空ベクターで形質導入されたT細胞および内因性T細胞について移入15日後での表面タンパク質の比較。CD200R-9aas-CD28Cys TCRgagT細胞は対照TCRgagT細胞と比較して同様のレベルの細胞表面タンパク質を発現している。
図3-2】同上
図3-3】同上
図3-4】同上
【0040】
図4-1】図4Aから4Dは、CD200R-CD28-形質導入T細胞での養子免疫療法が播種性白血病(disseminated leukemia)を根絶させることができることを示す図である。(A)実験の模式図。C57BL/6マウスは、CD200FBL細胞4×10個を注射された。5日後、CD200R-CD28tm、CD200R-CD28Cys、CD200R-9aas-CD28CysまたはeGFP TCRgagT細胞がCy処置FBL保有マウスにi.p.で細胞10個/マウスで注射された。IL-2は、示したとおりマウスのコホートに2日ごとに投与された(2×10U/用量)。(B)フローサイトメトリーによって決定されたIL-2を注射した日のCD200R-CD28tm形質導入T細胞および形質導入されていないT細胞における細胞表面タンパク質の発現の代表例。(C)IL-2注射存在下で処置したマウスの生存。(D)IL-2注射非存在下で処置したマウスの生存。CD200R-9aas-CD28Cys TCRgagT細胞の移入は、IL-2注射非存在下での生存を有意に改善した(p<0.05、ログランクマンテル・コックス検定)。
図4-2】同上
図4-3】同上
図4-4】同上
【0041】
図5-1】図5Aから5Cは、CD200R-9aas-CD28Cysを発現しているT細胞が検出可能な自己免疫性肝臓損傷を誘導せず、正常組織に浸潤しないことを示す図である。(A)実験の模式図。シクロホスファミド処置Alb/Gagマウスは、CD200FBL細胞4×10個を注射された。5日後、CD200R-9aas-CD28CysおよびeGFP TCRgagT細胞がシクロホスファミド処置FBL保有マウスにi.p.で細胞10個/マウスで注射された。IL-2は、示したとおりマウスのコホートに2日ごとに投与された(2×10U/用量)。移行の3および7日後に肝臓損傷は、肝臓酵素アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)およびアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)の血清レベルの定量によって評価された。(B)T細胞を受けていない、GFPを発現している対照T細胞またはCD200R-9aas-CD28Cysを発現しているT細胞を受けたマウスについて移入3および7日後に測定されたASTおよびALTレベルは、処置によって変化しなかった。(C)正常組織のT細胞浸潤の評価。肝臓組織においてT細胞の限定的な存在がT細胞マーカーCD3(左パネル)に特異的な抗体を使用して観察され、CD200R-9aas-CD28Cys TCRgagまたは対照TCRgagT細胞(右パネル)のレシピエント間で有意な差異はなかった。
図5-2】同上
図5-3】同上
【0042】
図6-1】図6Aから6Dは、4-1BB共刺激シグナル伝達ドメインがin vitroで形質導入T細胞の蓄積およびエフェクター機能を促進し、CD200腫瘍標的細胞に応答して形質導入T細胞の腫瘍保有レシピエントの生存を促進することを示す図である。(A)CD200R-CD28(「V」)、-4-1BB(「VI」)および-CD28-4-1BB(「VII」)構築物の模式図。(B)照射CD200FBLおよび脾細胞での毎週の刺激後の、形質導入されていないTCRgagT細胞と比較した形質導入TCRgagT細胞の拡大。CD200R-4-1BBおよびCD200R-CD28-4-1BBもin vitroで形質導入T細胞の蓄積を促進する。(C)標準的CFSEベース細胞毒性アッセイを使用して、CD200R-9aas-4-1BBCD8T細胞は、対照と比較してin vitroでCD200FBL細胞を溶解する能力の増強を示した。FBLと対照腫瘍細胞の合計でのFBLの百分率は、フローサイトメトリーによって決定された。溶解百分率は、T細胞とインキュベートされたFBLのパーセントをT細胞を含まずにインキュベートされたFBLのパーセントで割ることによって決定された。(D)CD200R-41BB-形質導入T細胞も対照と比較して生存を促進する。C57BL/6マウスは、CD200FBL細胞4×10個を注射された。5日後、CD200R-9aas-CD28、CD200R-9aas-4-1BB、CD200R-9aas-CD28-4-1BBまたはeGFP TCRgagT細胞はシクロホスファミド処置FBL保有マウスにi.p.で細胞10個/マウスで注射された。
図6-2】同上
図6-3】同上
図6-4】同上
【0043】
図7-1】図7Aから7Dは、WT1特異的TCRおよびCD200Rtm-CD28融合タンパク質を発現するように形質導入されたヒト初代T細胞が、CD200を発現する標的細胞の増殖の増強およびCD200を発現する腫瘍細胞に応答したサイトカイン産生の増加を示すことを示す図である。(A)WT1126特異的TCR、C4およびCD200Rtm-CD28の発現。(B)T2およびK562細胞におけるCD200の発現。T2細胞は、低レベルの内因性CD200発現を示す。(C)CFSEによって示されるT細胞の増殖。抗原に応答して増殖する細胞は、CFSE蛍光強度の低減を示す。C4およびIFPの両方で形質導入されたT細胞は、C4のみで形質導入されたT細胞と比較して低レベルのCD200を発現する標的細胞の増殖の増強を示す。(D)フローサイトメトリーによって測定されたCD200dim腫瘍細胞への曝露に応答したサイトカイン産生。TCR C4のみで形質導入された対照T細胞と比較して、C4およびIFP CD200Rtm-CD28の両方で形質導入されたT細胞はサイトカイン産生の増加を示す。
図7-2】同上
図7-3】同上
図7-4】同上
【0044】
図8-1】図8Aから8Eは、SIRPα細胞外成分およびCD28共刺激シグナル伝達ドメインを含有する融合タンパク質がin vitroで形質導入T細胞の蓄積および増殖を促進することを示す図である。(A)例示的なSIRPα-CD28構築物の模式図。構築物「I」は、SIRPα細胞外(「EC」)および膜貫通(「TM」)ドメインならびにCD28細胞内(「IC」)シグナル伝達ドメインを含有している(SIRPαtm-CD28)。構築物「II」は、SIRPαの細胞外ドメインならびにCD28の膜貫通および細胞内ドメインを含有している(SIRPα-CD28tm)。構築物「III~VI」は、マルチマー形成を促進し、CD28シグナル伝達を増強するためにCD28の細胞外ドメインから膜貫通近位システインの部分も組み込んでいる。追加の細胞外アミノ酸(例えばマウス構築物についての追加の9個の(9)アミノ酸、またはヒト構築物についての12個の(12)アミノ酸)を検討するために、一部の構築物は、細胞外または細胞内ドメインの切断された一部(例えば、N連結グリコシル化部位を保存しているSIRPα部位)を有する。構築物IVは、N連結グリコシル化部位を保存するように6アミノ酸短縮されているSIRPαの切断された一部を有する。構築物Vは、9アミノ酸短縮されているSIRPαの切断された一部を有する。構築物VIは、23アミノ酸短縮されているSIRPαの切断された一部を有する。構築物「I」、「II」および「V」は、細胞間(例えば、T細胞と抗原提示細胞との間)の短い空間距離を維持しており、cSMAC内でTCRと共局在でき、強い共刺激シグナルを送達することができる。(B)形質導入されていないTCRgagT細胞と比較した、照射SIRPαFBLおよび脾細胞での毎週の刺激後の形質導入TCRgagT細胞の拡大。SIRPα-CD28構築物は、SIRPα-9aas-CD28Cysが蓄積の増強を示して形質導入T細胞の蓄積をin vitroで促進する。(C)CellTrace Violet(CTV)希釈増殖アッセイにおけるSIRPα-CD28構築物で形質導入されたT細胞の増殖。T細胞-腫瘍細胞距離を維持するように操作されたSIRPα-CD28構築物を発現しているT細胞は、形質導入されていないT細胞と比較して増殖の増強を示した。(D)CD47腫瘍細胞は、SIRPαtm-CD28またはSIRPα-9aas-CD28Cys構築物を発現するように形質導入されたSIRPα-CD28T細胞との共培養後に殺滅された。対照的に腫瘍細胞は、空ベクターまたその細胞内ドメインを欠如している切断型SIRPαを受けたT細胞と培養された場合は根絶されなかった。(E)CD47腫瘍細胞の殺滅を定量するために使用されるIncuCyte(登録商標)アッセイの結果。CD47FBL腫瘍細胞は、mCherryで形質導入された。赤シグナルの喪失は腫瘍細胞の殺滅を示している。腫瘍細胞の殺滅は、エフェクター:標的比10:1、2:1および0.4:1で検査された。検査した最も低いエフェクター対標的比においてさえ、SIRPα-CD28T細胞は、CD47腫瘍細胞を殺滅した。
図8-2-1】同上
図8-2-2】同上
図8-3】同上
図8-4】同上
図8-5】同上
【0045】
図9-1】図9Aおよび9Bは、PD-1細胞外成分およびCD28共刺激シグナル伝達ドメインを含む融合タンパク質がin vitroでサイトカイン産生を促進することを示す図である。(A)例示的なPD-1-CD28構築物の模式図。構築物「I」は、PD-1細胞外(「EC」)および膜貫通(「TM」)ドメインならびにCD28細胞内(「IC」)シグナル伝達ドメインを含有している(PD-1tm-CD28)。構築物「II」は、PD-1の細胞外ドメインならびにCD28の膜貫通および細胞内ドメインを含有している(PD1-CD28tm)。構築物「III~VII」は、マルチマー形成を促進し、CD28シグナル伝達を増強するために膜貫通近位システインに近接するCD28の細胞外ドメインの一部も組み込んでいる。追加の細胞外アミノ酸(例えばマウス構築物についての追加の9個の(9)アミノ酸、またはヒト構築物についての12個の(12)アミノ酸)を検討するために、構築物IV~VIIはPD-1の切断された一部を有する。構築物IVは、9アミノ酸短縮されているPD-1の切断された一部を有する。構築物Vは、12アミノ酸短縮されているPD-1の切断された一部を有する。構築物VIは、15アミノ酸短縮されているPD-1の切断された一部を有する。構築物VIIは、21アミノ酸短縮されているPD-1の切断された一部を有する。構築物「I」、「II」および「V」は、細胞間(例えば、T細胞と抗原提示細胞との間)の短い空間距離を維持しており、cSMAC内でTCRと共局在でき、強い共刺激シグナルを送達することができる。(B)PD1-CD28T細胞は、内因的にPD-1リガンド、PD-L1およびPD-L2を発現するFBL細胞でBrefeldin Aの存在下での5時間の刺激に応答してサイトカイン産生の増加を示した。刺激されたT細胞は、フローサイトメトリーによってエフェクターサイトカイン、IFNγおよびTNFαの細胞内発現について評価された。
図9-2】同上
【0046】
図10図10は、TCR C4およびPD-1 IFPの共発現を示す図である(PD1-12aas-CD28Cys、PD1-15aas-CD28CysまたはPD1-21aas-CD28Cys)。C4およびPD1-12aas-CD28CysまたはPD1-15aas-CD28Cysで形質導入されたT細胞は、両方のタンパク質の高い形質導入効率および発現を示した。
【0047】
図11-1】図11Aから11Cは、Fas細胞外成分およびCD28共刺激シグナル伝達ドメインを含む融合タンパク質が、照射FBL細胞での刺激の際にin vitroで蓄積することを示す図である。(A)例示的なFas-CD28構築物の模式図。構築物「I」は、Fas細胞外(「EC」)および膜貫通(「TM」)ドメインならびにCD28細胞内(「IC」)シグナル伝達ドメインを含有している(Fastm-CD28)。構築物「II」は、Fasの細胞外ドメインならびにCD28の膜貫通および細胞内ドメインを含有している(Fas-CD28tm)。構築物「III」および「IV」は、マルチマー形成を促進し、CD28シグナル伝達を増強するために膜貫通近位システインに近接するCD28の細胞外ドメインの一部も組み込んでいる。追加の細胞外アミノ酸(例えばマウス構築物についての追加の9個の(9)アミノ酸、またはヒト構築物についての12個の(12)アミノ酸)を検討するために、構築物IVはFasの切断された一部を有し、Fas細胞外ドメインは9アミノ酸短縮されている。構築物「I」、「II」および「IV」は、細胞間(例えば、T細胞と抗原提示細胞との間)の短い空間距離を維持しており、cSMAC内でTCRと共局在でき、強い共刺激シグナルを送達することができる。(B)Fas構築物で形質導入されたTCRgagT細胞の照射FBL細胞での複数回刺激での蓄積。すべての構築物が対照T細胞と比較してT細胞の蓄積を促進した。(C)Fas-CD28構築物の発現は、in vitroで複数回の刺激においてT細胞の生存および拡大を促進したが、全長(FL)Fasはしなかった。
図11-2】同上
図11-3】同上
【0048】
図12-1】図12Aおよび12Bは、LAG3細胞外成分およびCD28共刺激シグナル伝達ドメインを含む融合タンパク質の構造および発現を示す図である。(A)例示的なLAG3-CD28構築物の模式図。構築物「I」は、LAG3細胞外(「EC」)および膜貫通(「TM」)ドメインならびにCD28細胞内(「IC」)シグナル伝達ドメインを含有している(LAG3tm-CD28)。構築物「II」は、LAG3の細胞外ドメインならびにCD28の膜貫通および細胞内ドメインを含有している(LAG3-CD28tm)。構築物「III」および「IV」は、マルチマー形成を促進し、CD28シグナル伝達を増強するために膜貫通近位システインに近接するCD28の細胞外ドメインの一部も組み込んでいる。追加の細胞外アミノ酸(例えばマウス構築物についての追加の9個の(9)アミノ酸、またはヒト構築物についての12個の(12)アミノ酸)を検討するために、構築物IVはLAG3の切断された一部を有し、LAG3細胞外ドメインは9アミノ酸短縮されている。構築物「I」、「II」および「IV」は、細胞間(例えば、T細胞と抗原提示細胞との間)の短い空間距離を維持しており、cSMAC内でTCRと共局在でき、強い共刺激シグナルを送達することができる。(B)抗LAG3抗体染色およびフローサイトメトリーによって決定されたマウスCD8T細胞によるLAG3-CD28構築物の発現。LAG3-CD28構築物(LAG3tm-CD28;LAG3-CD28tm;LAG3-CD28Cys;LAG3-9aas-CD28Cys)を発現するように形質導入されたT細胞は、空ベクターを受けた対照T細胞とは対照的に構築物の発現を示した。
図12-2】同上
【0049】
図13-1】図13Aおよび13Bは、TIM3細胞外成分およびCD28共刺激シグナル伝達ドメインを含む融合タンパク質の構造および発現を示す図である。(A)例示的なTIM3-CD28構築物の模式図。構築物「I」は、TIM3細胞外(「EC」)および膜貫通(「TM」)ドメインならびにCD28細胞内(「IC」)シグナル伝達ドメインを含有している(TIM3tm-CD28)。構築物「II」は、TIM3の細胞外ドメインならびにCD28の膜貫通および細胞内ドメインを含有している(TIM3-CD28tm)。構築物「III」および「IV」は、マルチマー形成を促進し、CD28シグナル伝達を増強するために膜貫通近位システインに近接するCD28の細胞外ドメインの一部も組み込んでいる。追加の細胞外アミノ酸(例えばマウス構築物についての追加の9個の(9)アミノ酸、またはヒト構築物についての12個の(12)アミノ酸)を検討するために、構築物IVはTIM3の切断された一部を有し、TIM3細胞外ドメインは9アミノ酸短縮されている。構築物「I」、「II」および「IV」は、細胞間(例えば、T細胞と抗原提示細胞との間)の短い空間距離を維持しており、cSMAC内でTCRと共局在でき、強い共刺激シグナルを送達することができる。(B)抗TIM3抗体染色およびフローサイトメトリーによって決定されたマウスCD8T細胞によるTIM3-CD28構築物の発現。TIM3-CD28構築物(TIM3tm-CD28;TIM3-CD28tm;TIM3-CD28Cys;TIM3-9aas-CD28Cys)を発現するように形質導入されたT細胞は、典型的に、空ベクターを受けた対照T細胞とは対照的に構築物の発現を示した。
図13-2】同上
【0050】
図14-1】図14Aおよび14Bは、初代マウスCD8T細胞上で高レベルで発現されるCD200R-CD28構築物を示す図である。(A)代表的なCD200R-CD28構築物の模式図。構築物「I」は、CD200R細胞外(「EC」)および膜貫通(「TM」)ドメインならびにCD28細胞内(「IC」)シグナル伝達ドメインを含有している(CD200Rtm-CD28)。構築物「II」は、CD200Rの細胞外ドメインならびにCD28の膜貫通および細胞内ドメインを含有している(CD200R-CD28tm)。構築物「III~V」は、マルチマー形成を促進し、CD28シグナル伝達を増強するためにCD28の細胞外ドメインから膜貫通近位システインの部分も組み込んでいる。CD28の細胞外ドメインの部分を組み込むことによって引き起こされる任意の追加の細胞外アミノ酸(例えば、1から約50アミノ酸;本明細書で開示される例示的なマウス構築物は追加の3個(3)または9個の(9)アミノ酸を含有し、本明細書で開示される例示的なヒト構築物は追加の9個(9)または12個の(12)アミノ酸を含有するなど)を検討するために、一部の構築物は、細胞外または細胞内ドメインの切断された一部を有する(例えば、N連結グリコシル化部位を保存しているCD200R)。例えば、構築物IVは、3アミノ酸短縮されたCD200Rの切断された一部を有する。構築物Vは、9アミノ酸短縮されたCD200Rの切断された一部を有する。構築物「I」、「II」、および「V」は、破線で示されているとおり細胞間(例えば、T細胞と抗原提示細胞との間)の空間距離を維持しており、cSMAC内でTCRと共局在でき、強い共刺激シグナルを送達することができる。(B)抗CD200R抗体によって検出されたTCRgagT細胞上のマウスCD200R-CD28構築物のトランスジェニック発現。
図14-2】同上
【0051】
図15-1】図15Aから15Nは、CD200R-CD28構築物がin vitroでCD200腫瘍標的細胞によって刺激されるT細胞の増殖、蓄積、およびエフェクター機能を促進し、免疫学的シナプスにおいて蓄積することを示す図である。特に示さない限り、結果はすべて、結果が同様であった少なくとも2回の実験を表す。ナイーブのTCRgagマウス由来脾細胞は、in vitroで抗CD3、抗CD28、および組換えヒトIL-2(rhIL-2、100U/ml)で刺激され、レトロウイルス上清で2日間形質導入された。細胞は、照射FBLおよび脾細胞で7日ごとに再刺激され、rhIL-2(50U/mL)と共に3回刺激まで培養された。T細胞は、最後の刺激の5~7日後にアッセイのために使用された。(A)刺激されていない細胞(影付き)と比較し、CellTrace Violet(CTV)希釈によって測定されたCD200R-CD28およびGFP対照TCRgagT細胞の増殖。T細胞は、CD200FBL(上パネル)またはCD200FBL(下パネル)で3日間刺激された。(B)切断されたCD200R(trCD200R)の模式図。(C)共刺激のためにCD28シグナル伝達ドメインが必要とされる。抗CD200R抗体によって検出された、TCRgagT細胞上のtrCD200R構築物のトランスジェニック発現。(D)CellTrace Violet希釈によって測定されたtrCD200R(青色の線)およびGFP対照(赤色の線)TCRgagT細胞の増殖。T細胞は、CD200FBLで3日間刺激された。(E)CD200FBLでの再刺激は、CD200R IFPで形質導入されたT細胞を濃縮した。照射CD200(左パネル)またはCD200(右パネル)FBL、および脾細胞での再刺激の1サイクルの間、形質導入されていないTCRgagT細胞を含む混合集団における形質導入TCRgagT細胞の濃縮。TCRgagT細胞は、CD200R-CD28(上パネル)またはGFP対照(下パネル)で形質導入された。(F、G)照射CD200FBLおよび脾細胞での刺激の毎週のサイクルの間、形質導入されていないTCRgagT細胞を含む混合集団における形質導入TCRgagT細胞の濃縮。P<0.05、**P<0.01(t検定)。(H)CD200R-9aas-CD28CysCD8T細胞は、CD200FBL細胞をin vitroで溶解する能力の増強を示している。標的腫瘍細胞は、蛍光色素5,6-カルボキシフルオレセインジアセテートスクシンイミジルエステル(CFSE)で標識された。TCRgagT細胞は、CD200R-9aas-CD28Cysまたは模擬形質導入細胞(黒色の記号)で形質導入された。エフェクターTCRgagT細胞は、示したエフェクター対標的の比で、CD200FBLと非特異的EL4対照標的との1:1混合物と4時間インキュベートされた。FBLと対照腫瘍細胞の合計でのFBLの百分率は、フローサイトメトリーによって決定された。溶解百分率は、T細胞とインキュベートされたFBLのパーセントをT細胞を含まずにインキュベートされたFBLのパーセントで割ることによって決定された。(I)1:1の比でのFBL刺激に応答したTCRgagT細胞におけるサイトカイン産生のパターンを示す円グラフ。円グラフ内の各スライスは、IFNγ、TNFα、およびIL-2を含むサイトカイン染色の組合せを表す。(J)フローサイトメトリーによって測定された、(I)において示したサイトカイン産生のヒストグラム。影付きのヒストグラムは、GFP対照で形質導入された細胞を表す。(K~M)CD200R-9aas-CD28Cys融合タンパク質は、脂質ラフトと共局在していた。これは、融合タンパク質がT細胞:標的接触の領域で濃縮していることを示し、これは、融合タンパク質のサイズが免疫学的シナプス内で適応し得ることを示唆する。ベクターで形質導入されたTCRgag in vitro拡大エフェクターT細胞は、37℃で20分間、FBLと10:1のE:Tで組み合わせられた。コンジュゲートは、μ-スライドVI.4チャンバー(Ibidi)上にさらに15分間ローディングされた。固定細胞は、染色され、顕微鏡によって視覚化された。図15Kでは、上パネルは、接触している細胞を示し、下パネルは、接触していない細胞を示す。(N)CD200R-9aas-CD28Cys(赤色の線)、CD200R-CD28Cys(青色の線)、およびGFP対照(黒い線)で形質導入され、標識のとおり10分間刺激されたTCRgagT細胞のLCK Y394発現。
図15-2】同上
図15-3】同上
図15-4】同上
図15-5】同上
図15-6】同上
図15-7】同上
図15-8】同上
図15-9】同上
図15-10】同上
図15-11】同上
図15-12】同上
図15-13】同上
図15-14】同上
【0052】
図16-1】図16Aから16Eは、CD200R-9aas-CD28Cysで形質導入されたT細胞がin vivoでの腫瘍チャレンジに応答して優先的に蓄積し、播種性白血病の養子免疫療法を増強することを示す図である。形質導入TCRgagT細胞は、実施例15に記載のとおり生成された。C57BL/6マウスは、CD200FBL細胞4×10個を注射された。5日後、CD200R-9aas-CD28Cys(Thy1.1ホモ接合)およびeGFP(Thy1.1ヘテロ接合)TCRgagT細胞をCy処置FBL保有B6マウスに細胞4×10個/マウスで同時注射した。IL-2は、2日ごとに投与された(2×10U/用量)。T細胞移入8日後に、マウスは、安楽死され、脾臓および鼠径リンパ節は回収された。(A)CD200R-9aas-CD28CysTCRgagT細胞は、空ベクター対照TCRgagT細胞と比較して、FBLに応答して脾臓に蓄積する。(B)IFPで形質導入されたT細胞の表現型は、対照と同様である。in vitroでの刺激の5日後の、CD200R-CD28で形質導入されたTCRgagT細胞上の表面マーカーの発現(赤色の線)または形質導入されていないTCRgagT細胞上の表面マーカーの発現(青色の線)。(C)FBLに応答した、リンパ節(LN)および脾臓(Spl)へのCD200R-9aas-CD28Cysおよび空ベクター対照TCRgagT細胞の蓄積。CD200R-9aas-CD28Cys TCRgagT細胞(Thy1.1 hom)の増大倍率は、空ベクター対照(Thy1.1Thy1.2)TCRgagT細胞の百分率で割ることによって算出された。(D、E)8日目(D)および15日目(E)のCD200R-9aas-CD28Cys TCRgagT細胞上の表面マーカーの発現(青色の線)、対照TCRgagT細胞上の表面マーカーの発現(赤色の線)、および内因性T細胞上の表面マーカーの発現(影付き)。移入の15日後、CD200R-9aas-CD28Cys TCRgagT細胞は、空ベクター対照TCRgagT細胞と比較して同様のレベルの細胞表面タンパク質を発現した。
図16-2】同上
図16-3】同上
図16-4】同上
図16-5】同上
【0053】
図17-1】図17Aおよび17Bは、IL-2注射の存在下で処置したマウスの生存(A)またはIL-2注射の非存在下で処置したマウスの生存(B)を示す図である。C57BL/6マウスは、CD200FBL細胞4×10個を注射された。5日後、CD200R-9aas-CD28Cys、およびeGFP TCRgagT細胞がCy処置FBL保有マウスにi.p.で細胞10個/マウスで注射された(矢印で示した)。IL-2は、マウスのコホートに2日ごとに合計10日間投与された(2×10U/用量)(A)。CD200R-9aas-CD28Cys TCRgagT細胞の移入は、IL-2注射の非存在下での生存を有意に改善した(P<0.05、ログランクマンテル・コックス検定)(B)。(A)では、データは1回の実験からのものである(n=3~4マウス/群)。(B)では、データは3回の独立した実験からプールされた(n=6~10マウス/群)。
図17-2】同上
【0054】
図18-1】図18Aから18Eは、WT1特異的TCRおよびCD200Rtm-CD28融合タンパク質を発現するように形質導入されたヒト初代T細胞が、CD200を発現する標的細胞の増殖の増強およびCD200を発現する腫瘍細胞に応答したサイトカイン産生の増加を示すことを示す図である。(A)健康なドナー白血球アフェレーシス(上パネル)または白血病芽球(下パネル)由来のCD34細胞上のCD200の発現。(B)初代ヒトT細胞におけるWT1126特異的TCR、TCRC4、およびCD200Rtm-CD28の発現。図は、IFP、TCRα、およびTCRβ鎖を組み合わせた構築物を示す。(C、D)CFSEによって示されるT細胞の増殖。抗原に応答して増殖する細胞は、CFSE蛍光強度の低減を示す。TCRC4またはTCRC4およびCD200Rtm-CD28で形質導入されたT細胞は、WT1126パルス化T2細胞で刺激された。(E)フローサイトメトリーによって測定されたT2細胞への曝露に応答したサイトカイン産生。TCRC4のみで形質導入されたT細胞(上パネル)またはTCRC4およびCD200標的化IFPの両方で形質導入されたT細胞(下パネル)は、示すとおりWT1126パルス化T2細胞を用量調整(titration)して刺激された。TCR のみで形質導入された対照T細胞と比較して、TCRC4およびIFP CD200Rtm-CD28の両方で形質導入されたT細胞は、サイトカイン産生の増加を示した。
図18-2】同上
図18-3】同上
図18-4】同上
図18-5】同上
【0055】
図19-1】図19Aから19Cは、初代ヒトT細胞においてWT1特異的TCRと同時発現されたCD200R-CD28構築物を示す図である。(A)代表的なCD200R-CD28構築物の模式図。(B)IFP、TCRα、およびTCRβ鎖を組み合わせた構築物を示す図。(C)初代ヒトT細胞におけるWT1126特異的TCR、TCRC4、およびCD200R-CD28融合タンパク質の発現。
図19-2】同上
図19-3】同上
【0056】
図20-1】図20Aから20Dは、CD200R-CD28構築物を発現するT細胞の濃縮についてのアッセイの結果を示す図である。
図20-2】同上
図20-3】同上
図20-4】同上
【0057】
図21-1】図21Aから21Kは、CD200R-CD28構築物を発現するT細胞についてのエフェクター機能アッセイ(サイトカイン産生、細胞傷害)を示す図である。
図21-2】同上
図21-3】同上
図21-4】同上
図21-5】同上
図21-6】同上
図21-7】同上
図21-8】同上
図21-9】同上
図21-10】同上
図21-11】同上
【0058】
図22-1】図22Aから22Dは、Fas IFP構築物を発現するT細胞での免疫療法に関するin vivo研究の結果を示す図である。(A)研究デザイン。(B~C)腫瘍細胞4×10個の腹腔内接種(0日目)後、およびシクロホスファミド処置後、その後に、追加的な処置なしでまたはGFPで形質導入されたまたはFas-CD28で形質導入されたTCRgagトランスジェニックCD8T細胞10個の養子移入(5日目)の示した時点でのC57BL/6マウスにおけるホタルルシフェラーゼFBL腫瘍のin vivo生物発光イメージング。図22Cに示した2匹のマウスは、n=4マウスの代表である。(D)IVISイメージングによって定量されたFBL腫瘍細胞の体内分布。腫瘍細胞4×10個の腹腔内接種(0日目)後およびシクロホスファミド処置後に、追加的な処置なし(白い丸)またはGFPで形質導入されたTCRgagトランスジェニックCD8T細胞10個の養子移入(黒い丸)またはFas-CD28で形質導入されたTCRgagトランスジェニックCD8T細胞10個の養子移入(赤色の丸)(5日目)を行った後の示した時点でのC57BL/6マウスにおけるFBL腫瘍。
図22-2】同上
図22-3】同上
図22-4】同上
【0059】
図23-1】図23Aから23Dは、Fas細胞外成分および4-1BB共刺激シグナル伝達ドメインを含む融合タンパク質が、腫瘍細胞で刺激されるとin vitroで蓄積し、増殖し、またFas誘導細胞死も低減することを示す図である。(A)例示的なFas-4-1BB構築物の模式図。構築物は、Fas細胞外(「EC」)ドメインおよび4-1BB膜貫通(「TM」)および細胞内(「IC」)シグナル伝達ドメイン(「Fas-4-1BBtm」)を含有する。(B)マウスT細胞におけるトランスジェニックTCRおよびFas-4-1BB IFP(Fas-4-1BBtm)の同時発現。レトロウイルス上清は、TCRgagのみ、またはTCRgagおよびFas-4-1BBtm(配列番号187)のいずれかをコードするDNA構築物でのPlat-E細胞のトランスフェクションによって生成された。ナイーブのP14 T細胞は、抗CD3および抗CD28で刺激され、次いで、レトロウイルス上清で2日間形質導入された。刺激の5日後、形質導入T細胞は、TCRに対する特異的抗体およびFasに対する特異的抗体で染色され、フローサイトメトリーによって解析された。(C)CellTrace Violet(CTV)希釈によって測定された、TCRgagのみでまたはTCRgagおよびFas-4-1BBtmで形質導入されたT細胞の増殖。形質導入されたP14 T細胞は、CellTrace Violet(CTV)増殖色素で染色され、刺激されなかったか(左)またはFBL腫瘍細胞で、エフェクターの標的に対する比8:1で6日間刺激された(右)。次いで、T細胞は、回収され、フローサイトメトリーによって解析された。(D)(i)トランスジェニックTCRgagは発現するがFas発現を欠くT細胞;(ii)トランスジェニックTCRgagを発現する野生型T細胞;ならびに(iii)トランスジェニックTCRgagおよびFas-4-1BBtmを発現するT細胞における細胞死Fasシグナル伝達経路活性。P14 T細胞は、刺激され、TCRgagまたはTCRgag+Fas-4-1BBtm IFPで形質導入された。7日後、T細胞は、Fas経路による細胞死の尺度として活性カスパーゼ-8発現についてFLICA方法体系を使用して染色された。
図23-2】同上
図23-3】同上
図23-4】同上
【0060】
図24-1】図24Aから24Bは、Fas-4-1BB T細胞が、卵巣がんのID8モデルにおいて腫瘍成長を制御し、生存を促進することを示す図である。(A)ID8卵巣腫瘍細胞の殺滅を定量するために使用されたIncuCyte(登録商標)アッセイの結果。マウス形質導入T細胞(抗メソテリンTCRまたは抗メソテリンTCR+Fas-4-1BBtm)は、赤色蛍光ID8卵巣腫瘍細胞と2日間と共インキュベートされ、ID8細胞成長は、IncuCyte(登録商標)解析によって定量された。赤色シグナルの消失は、腫瘍細胞の殺滅を示す。(B)(i)抗メソテリンTCR細胞または(ii)抗メソテリンTCR+Fas-4-1BBtm細胞で処置されたID8マウスの生存。ID8マウス卵巣がんモデルにおいて、ID8腫瘍細胞5×10個を植え込み、6週間播種させた。シクロホスファミド処置後、マウスは、T細胞10個およびメソテリンパルス化脾細胞5.0×10個を受け、その後、10日間IL-2注射された。マウスは、安楽死させるまで2週間ごとに処置された。
図24-2】同上
【0061】
図25-1】図25Aから25Dは、Fas-4-1BB T細胞が、膵がんのKPCマウスモデルにおいてより大きな持続性を示し、生存を促進することを示す図である。(A)正常な膵臓を有する健康なマウス(左)および「登録された」マウス(KPC遺伝子操作マウス)における膵腫瘍(右)の超音波画像。(B)実験模式図。KPCマウスを、超音波によってスクリーニングしていつ腫瘍が生じるかを決定し、およそ8週齢で、腫瘍が検出された場合、研究に登録された。マウスは、処置群にランダムに割り当てられた;マウスは、シクロホスファミドで処置され、TCR-T細胞を受けたマウスは、シクロホスファミド後、メソテリン特異的T細胞およびメソテリンペプチドパルス化脾細胞それぞれ10個を注射された。登録の14日後に開始して、T細胞/APC注入(シクロホスファミドは伴わない)を2週間ごとに繰り返し、合計3回の注入を行い、IL-2注射は伴わなかった。研究終了時に、マウスは、生存について評価された。(C)最終的なT細胞注入の28日後に生存していたマウスは、採血され、フローサイトメトリーによって遺伝子導入により標識されたT細胞を検出することにより移入T細胞の持続性が評価された。(D)(i)抗メソテリンTCR細胞または(ii)抗メソテリンTCR+Fas-4-1BBtm細胞で処置されたKPCマウスの生存。
図25-2】同上
図25-3】同上
図25-4】同上
【0062】
図26図26は、(i)TCRgagT細胞または(ii)TCRgag+Fas-4-1BBtm T細胞で処置されたAMLモデル(FBLが注射された)マウスの生存を示す図である。マウスは、FBL細胞を注射された。5日後、マウスは、シクロホスファミドで処置され、T細胞10個の投与を伴ったかまたは伴わなかった。
【発明を実施するための形態】
【0063】
本開示は、免疫細胞などの宿主細胞におけるシグナル伝達を調節する融合タンパク質を提供する。例えば、本開示の融合タンパク質は、ヒトT細胞において活性化または共刺激シグナルをもたらすことができ、T細胞は、任意選択で、好ましい抗原特異的TCRを有するように操作することができる。これらの免疫調節性融合タンパク質(IFP)は、遍在的に発現される標的または一般に非正常細胞(例えば、がん細胞)において上方制御または過剰発現される標的と相互作用することができる。そのようなIFPは、細胞外結合ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインを有する。操作されたTCR(例えば、高親和性TCR)および活性化シグナルを生成する本開示の融合タンパク質を用いてT細胞に形質導入することにより、T細胞のある特定の実施形態は、例えば腫瘍細胞との相互作用の際に外因性共刺激がもはや必要なくなる可能性がある。
【0064】
ある特定の態様では、本開示は、被験体における疾患(例えば、がん、感染症)の処置を含めた様々な治療への適用のための、IFPを含む宿主細胞(例えば、例えばT細胞、樹状細胞、NK細胞などの免疫細胞)、IFPをコードするベクター、およびIFPを含むT細胞を活性化する方法を提供する。
【0065】
本開示をより詳細に説明する前に、本明細書で使用される特定の用語の定義を示すことは、それを理解するのに有用であり得る。付加的な定義は、本開示を通して説明する。
【0066】
本説明では、任意の濃度範囲、百分率範囲、比率範囲または整数範囲は、特に示さない限り、列挙範囲内の任意の整数および、適切な場合、その分数(整数の十分の一および百分の一など)の値を含むと理解すべきである。また、ポリマーのサブユニット、サイズまたは厚さなどの、任意の物理的特徴に関連して本明細書で列挙する任意の数の範囲は、特に示さない限り、列挙範囲内の任意の整数を含むと理解すべきである。本明細書で使用される場合、「約」という用語は、特に示さない限り、表示された範囲、値または構造の±20%を意味する。「1つの(a)」および「1つの(an)」という用語は、本明細書で使用される場合、「1つまたは複数」の列挙された構成要素を意味することが理解されるものとする。選択肢(例えば、「または」)の使用は、選択肢のいずれか1つ、両方またはその任意の組合せを意味すると理解すべきである。本明細書で使用される場合、「包含する」、「有する」および「含む」という用語は、同義で使用され、それらの用語およびその変形形態は、非限定的と解釈するものとする。
【0067】
「から本質的になる」という用語は、指定された材料もしくはステップに、または特許請求の範囲に記載されている発明の基本的特性に実質的に影響を及ぼさない材料もしくはステップに特許請求の範囲を限定する。例えば、タンパク質ドメイン、領域、またはモジュール(例えば、結合ドメイン、ヒンジ領域、リンカーモジュール)もしくはタンパク質(1つまたは複数のドメイン、領域、またはモジュールを有し得る)は、ドメイン、領域、モジュールまたはタンパク質のアミノ酸配列が、一緒に、ドメイン、領域、モジュールまたはタンパク質の長さの多くて20%(例えば、多くて15%、10%、8%、6%、5%、4%、3%、2%または1%)に寄与し、ドメイン(複数可)、領域(複数可)、モジュール(複数可)またはタンパク質の活性(例えば、結合タンパク質の標的結合親和性)に実質的に影響を及ぼさない(すなわち、活性を40%、30%、25%、20%、15%、10%、5%または1%以下など、50%を超えて低下させない)伸長、欠失、変異またはそれらの任意の組合せ(例えば、アミノもしくはカルボキシ末端またはドメイン間におけるアミノ酸)を含む場合、特定のアミノ酸配列「から本質的になる」。
【0068】
本明細書で使用される場合、「異種性」または「非内因性」または「外因性」は、宿主細胞もしくは被験体にとって天然ではない任意の遺伝子、タンパク質、化合物、分子、もしくは活性を指す、または、宿主もしくは宿主細胞にとって天然であり、構造、活性もしくはその両方が、天然の分子と変異した分子の間で異なるように変更されたもしくは変異した、任意の遺伝子、タンパク質、化合物、分子、もしくは活性である。ある特定の実施形態では、異種、非内因性または外因性の分子(例えば、受容体、リガンド)は、宿主細胞または被験体に対して内因性ではなくてよいが、その代わりに、そのような分子をコードする核酸が、宿主細胞に、コンジュゲーション、形質転換、トランスフェクション、電気穿孔などによって付加されていてよく、ここで、付加された核酸分子は、宿主細胞のゲノム内に組み込まれていてもよく、染色体外遺伝物質として(例えば、プラスミドまたは他の自己複製性ベクターとして)存在していてもよい。「相同」または「ホモログ」という用語は、宿主細胞、種、または株において見いだされるまたはそれに由来する分子または活性を指す。例えば、分子をコードする異種または外因性の分子または遺伝子は、それぞれ天然の宿主または宿主細胞分子または当該分子をコードする遺伝子と相同であり得るが、構造、配列、発現レベルまたはこれらの組合せが変更されていてよい。非内因性分子は、同じ種、異なる種、またはこれらの組合せに由来するものであり得る。
【0069】
本明細書で使用される場合、「内因性」または「天然」という用語は、宿主または宿主細胞に通常存在し、操作された変更を有さない遺伝子、タンパク質、化合物、分子、または活性を指す。
【0070】
「結合ドメイン」(「結合領域」または「結合部分」とも呼ばれる)は、本明細書で使用される場合、標的分子(例えば、CD200、CD47、CD19、CD20、CD22、ROR1、メソテリン、PD-L1、PD-L2、PSMA、WT-1、サイクリン-A1)と特異的かつ非共有結合により会合する、1つに合わさる、または組み合わさる能力を保有するペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質などの分子を指す。結合ドメインは、目的の生体分子または他の標的またはその結合タンパク質の、任意の天然に存在する、合成、半合成または組換えにより生成した結合パートナーを含む。一部の実施形態では、結合ドメインは、抗体またはT細胞受容体(TCR)または機能的結合ドメインまたはその抗原結合断片などの抗原結合ドメインである。例示的な結合ドメインは、生体分子に結合する特定の能力について選択された、受容体外部ドメイン(例えば、CD200R、PD-1、CTLA4、BTLA、CD2、Fasのもの)またはその結合部分、リガンド(例えば、IL35、ケモカインなどのサイトカイン)またはその結合部分、単鎖抗体可変領域(例えば、ドメイン抗体、sFv、scFv、Fab)またはその結合部分、単鎖TCR(scTCR)などのT細胞受容体(TCR)の抗原結合領域、または合成ポリペプチドを含む。
【0071】
一部の実施形態では、「特異的に結合する」は、10-1に等しいもしくはより大きい親和性もしくはK(すなわち、1/Mの単位を有する特定の結合相互作用の平衡会合定数)で標的分子に結合ドメイン、もしくはその融合タンパク質が会合することもしくは1つに合わさること、または試料中の任意の他の分子もしくは成分と有意に会合することも1つに合わさることもなしに、そのような標的分子に結合することを指す。結合ドメイン(またはその融合タンパク質)は、「高親和性」結合ドメイン(もしくはその融合タンパク質)または「低親和性」結合ドメイン(もしくはその融合タンパク質)と分類することができる。「高親和性」結合ドメインは、少なくとも10-1、少なくとも10-1、少なくとも10-1、少なくとも1010-1、少なくとも1011-1、少なくとも1012-1、または少なくとも1013-1のKを有する結合ドメインを指す。「低親和性」結合ドメインは、最大で10-1まで、最大で10-1まで、最大で10-1までのKを有する結合ドメインを指す。あるいは、親和性は、Mの単位を有する特定の結合相互作用の平衡解離定数(K)(例えば、10-5M~10-13M)と定義することができる。ある特定の実施形態では、結合ドメインは、「増強された親和性」を有し得、これは、標的抗原に対して野生型(または親)結合ドメインよりも強力な結合を有する、選択または操作された結合ドメインを指す。例えば、増強された親和性は、標的抗原に対するKa(平衡会合定数)が野生型結合ドメインよりも高いことに起因し得る、または標的抗原に対するK(解離定数)が野生型結合ドメインよりも低いことに起因し得る、または標的抗原に対する解離速度(off-rate)(Koff)が野生型結合ドメインよりも低いことに起因し得る。ウエスタンブロット、ELISA、およびBiacore(登録商標)分析などの、特定の標的に特異的に結合する本開示の結合ドメインを同定するためならびに結合ドメインまたは融合タンパク質親和性を決定するための様々なアッセイが公知である(例えば、Scatchardら、Ann. N.Y. Acad. Sci.、51巻:660頁、1949年;および米国特許第5,283,173号、同第5,468,614号、または同等物も参照されたい)。
【0072】
本明細書で使用される場合、「融合タンパク質」は、単鎖で少なくとも2つの別個のドメインを有し、それらのドメインが天然ではタンパク質において一緒には見いだされない、ポリペプチドを指す。融合タンパク質をコードする核酸分子は、PCR、組換え操作などを使用して構築することができる、または、そのような融合タンパク質は、タンパク質合成の方法を使用して作製することができる。融合タンパク質は、タグまたは生物活性分子などの他の成分(例えば、共有結合した)をさらに含有し得る。ある特定の実施形態では、宿主細胞(例えば、T細胞)により発現または産生される融合タンパク質は細胞表面に位置し、そこで、融合タンパク質は細胞膜につなぎ止められ、融合タンパク質の一部(例えば、結合ドメインを含有する)が細胞外に位置し、融合タンパク質の一部(例えば、シグナル伝達ドメインを含有する)が細胞内に位置する。
【0073】
「疎水性成分」は、本明細書で使用される場合、細胞膜において熱力学的に安定な三次元構造を有する任意のアミノ酸配列を意味し、一般に、約15アミノ酸から約30アミノ酸までの長さにわたる。疎水性成分の構造は、アルファヘリックス、ベータバレル、ベータシート、ベータへリックス、またはそれらの任意の組合せを含み得る。ある特定の実施形態では、疎水性成分は、細胞膜に挿入またはまたがり得る膜貫通タンパク質の部分である、公知の膜貫通タンパク質由来の「膜貫通ドメイン」で構成される。さらなる実施形態では、疎水性成分または膜貫通ドメインは、融合タンパク質の細胞外部分と細胞内部分との間に位置し、それらを連結することができる。さらに、疎水性成分は、分子間相互作用を容易にするために、荷電した領域または親水性残基を含有するように改変することができる。
【0074】
本明細書で使用される場合、「細胞内シグナル伝達ドメイン」は、適切なシグナルを受け取った際に細胞における共刺激、陽性、または活性化生物学的応答または生理応答などの応答を直接または間接的に促進することができる、本開示の融合タンパク質において使用されるものなどの分子の細胞内部分である。ある特定の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、結合によりシグナルを受け取る、またはそれ自体が標的分子に直接結合して細胞内の他の成分にシグナルを伝達することができる、タンパク質またはタンパク質複合体の一部である。細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば免疫受容活性化チロシンモチーフ(ITAM)、キナーゼドメイン、共刺激ドメインなどの1つまたは複数のシグナル伝達ドメインまたはモチーフを含有する場合、細胞応答を直接促進し得る。他の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、1つまたは複数の他のタンパク質と会合することによって細胞応答を間接的に促進し、それが今度は細胞応答を直接促進する。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインまたはその機能的断片は、CD3ε、CD3δ、CD3ζ、CD25、CD27、CD28、CD40、CD47、CD79A、CD79B、CD134(OX40)、CD137(4-1BB)、CD150(SLAMF1)、CD278(ICOS)、CD357(GITR)、CARD11、DAP10、DAP12、FcRα、FcRβ、FcRγ、Fyn、Lck、LAT、LRP、NKG2D、NOTCH1、NOTCH2、NOTCH3、NOTCH4、ROR2、Ryk、Slp76、pTα、TCRα、TCRβ、TRIM、Zap70、PTCH2、またはそれらの任意の組合せに由来し得る。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインまたはその機能的断片は、CD3ζを含まない。
【0075】
「マルチマー形成ドメイン」は、本明細書で使用される場合、別のポリペプチド分子または領域と、直接または間接的に、優先的に相互作用または会合するポリペプチド分子または領域を指し、マルチマー形成ドメインの相互作用は、マルチマー形成(すなわち、ホモダイマー、ヘテロダイマー、ホモトリマー、ヘテロトリマー、ホモマルチマー、ヘテロマルチマーなどであり得るダイマー、トリマー、テトラマー、またはより高次のマルチマーの形成)に実質的に寄与するまたはそれを効率的に促進する。例えば、マルチマー形成は、共有結合(例えば、ジスルフィド結合または架橋)、イオン結合、金属結合、静電相互作用、塩橋、双極子-双極子力、水素結合、ファンデルワールス力、疎水性相互作用、またはそれらの任意の組合せを含めた1つまたは複数の型の分子力に起因し得る。マルチマーは、適切な条件下(例えば、生理的条件、組換えもしくは操作されたタンパク質の発現、精製、もしくは保管に適した水溶液中、または非変性もしくは非還元電気泳動の条件下)で安定である。例示的なマルチマー形成ドメインは、1つまたは複数のジスルフィド結合、ジンクフィンガーモチーフ、ロイシンジッパーモチーフ、へリックス-ターン-へリックス、へリックス-ループ-へリックスなどを含み得る。
【0076】
ある特定の実施形態では、融合タンパク質は、得られるポリペプチド構造が標的分子に対する特異的結合親和性を維持するまたはシグナル伝達活性(例えば、エフェクタードメイン活性)を維持するまたはその両方であるように2つの単鎖融合タンパク質の相互作用または1つもしくは複数の結合ドメインの位置付けを容易にするスペーサー機能をもたらす「リンカー」を含有し得る。例示的なリンカーは、1~約10のGlySerの反復を含み、式中、xおよびyは、独立に、1~5の整数である。
【0077】
「接合部アミノ酸」または「接合部アミノ酸残基」は、結合ドメインと隣接する疎水性成分との間または疎水性成分の一方の末端もしくは両方の末端上などの、融合タンパク質の2つの隣接するモチーフ、領域またはドメインの間の1つまたは複数(例えば、約2~20)のアミノ酸残基を指す。接合部アミノ酸は、融合タンパク質の構築デザインに起因し得る(例えば、融合タンパク質をコードする核酸分子の構築中の制限酵素部位の使用に起因するアミノ酸残基)。ある特定の実施形態では、接合部アミノ酸は、1~約10のGlySerの反復を有し、式中、xおよびyが、独立に1~5の整数であるものなどのリンカーを形成する。
【0078】
本明細書で使用される場合、「免疫系細胞」は、2つの主要な系統である骨髄系前駆細胞(単球、マクロファージ、樹状細胞、巨核球および顆粒球などの骨髄系細胞を生じる)およびリンパ系前駆細胞(T細胞、B細胞およびナチュラルキラー(NK)細胞などのリンパ系細胞を生じる)を生じる、骨髄における造血幹細胞に由来する免疫系の任意の細胞を意味する。例示的な免疫系細胞は、CD4+T細胞、CD8+T細胞、CD4-CD8-二重陰性T細胞、γδT細胞、調節T細胞、ナチュラルキラー細胞、および樹状細胞を含む。マクロファージおよび樹状細胞は、ペプチドと複合体を形成したAPCの表面上の主要組織適合性遺伝子複合体(MHC)受容体がT細胞の表面上のTCRと相互作用する時にT細胞を活性化し得る特殊化した細胞である、「抗原提示細胞」または「APC」と呼ぶことができる。
【0079】
「T細胞」は、胸腺において成熟し、T細胞受容体(TCR)を生成する免疫系細胞である。T細胞は、ナイーブ(抗原に曝露されていない;TCMと比較してCD62L、CCR7、CD28、CD3、CD127およびCD45RAの発現の増大、ならびにCD45ROの発現の低下)、メモリーT細胞(T)(抗原経験済みおよび長寿命)およびエフェクター細胞(抗原経験済み、細胞傷害性)であり得る。Tは、セントラルメモリーT細胞(TCM、ナイーブT細胞と比較してCD62L、CCR7、CD28、CD127、CD45ROおよびCD95の発現の増大、ならびにCD54RAの発現の低下)およびエフェクターメモリーT細胞(TEM、ナイーブT細胞またはTCMと比較してCD62L、CCR7、CD28、およびCD45RAの発現の低下、ならびにCD127の発現の増大)のサブセットにさらに分けることができる。エフェクターT細胞(T)は、TCMと比較してCD62L、CCR7、CD28の発現の低下を有し、グランザイムおよびパーフォリンについて陽性である抗原経験済みCD8+細胞傷害性Tリンパ球を指す。他の例示的なT細胞は、CD4+CD25+(Foxp3+)調節T細胞およびTreg17細胞などの調節T細胞、ならびにTr1、Th3、CD8+CD28-、およびQa-1制限T細胞を含む。
【0080】
「T細胞受容体」(TCR)は、CD3と会合すると、一般に、主要組織適合性遺伝子複合体(MHC)分子に結合した抗原の認識に関与する、T細胞(またはTリンパ球)の表面上に見いだされる分子を指す。大多数のT細胞では、TCRは、高度に可変性のα鎖およびβ鎖(それぞれTCRαおよびTCRβとしても公知)のジスルフィド連結ヘテロダイマーを有する。T細胞の小さなサブセットでは、TCRは、可変性のγ鎖およびδ鎖(それぞれTCRγおよびTCRδとしても公知)ヘテロダイマーで構成される。TCRの各鎖は、免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーであり、N末端免疫グロブリン可変ドメイン1つ、免疫グロブリン定常ドメイン1つ、膜貫通領域、およびC末端における短い細胞質尾部を有する(Janewayら、Immunobiology: The
Immune System in Health and Disease、第3版、Current Biology Publications、4:33頁、1997年を参照されたい)。本開示において使用されるTCRは、ヒト、マウス、ラット、ネコ、イヌ、ヤギ、ウマ、または他の哺乳動物を含めた、様々な動物種に由来し得る。TCRは、細胞に結合した形態(すなわち、膜貫通領域もしくはドメインを有する)または可溶性形態であり得る。
【0081】
「主要組織適合性遺伝子複合体分子」(MHC分子)は、互換的に使用され、ヒト対応物のヒト白血球抗原(HLA分子)も指し、ペプチド抗原を細胞表面に送達する糖タンパク質を指すと理解される。MHCクラスI分子は、膜を貫通するα鎖(3つのαドメインを有する)および非共有結合により会合したβ2ミクログロブリンからなるヘテロダイマーである。MHCクラスII分子は、どちらも膜を貫通する2つの膜貫通糖タンパク質、αおよびβで構成される。各鎖は2つのドメインを有する。MHC(HLA)クラスI分子は、細胞質ゾルにおいて生じたペプチドを細胞表面に送達し、そこで、ペプチド:MHC(または、ヒトではペプチド:HLA)複合体がCD8+T細胞によって認識される。MHC(HLA)クラスII分子は、小胞系において生じたペプチドを細胞表面に送達し、そこでペプチドはCD4T細胞によって認識される。MHC分子は、ヒト、マウス、ラット、または他の哺乳動物を含めた、様々な動物種に由来し得る。
【0082】
「核酸分子」またはポリヌクレオチドは、RNA、または、cDNA、ゲノムDNA、および合成DNAを含むDNAの形態であり得る。核酸分子は、二本鎖または一本鎖であり得、一本鎖である場合、コード鎖または非コード(アンチセンス鎖)であり得る。コード分子は、当技術分野で公知のコード配列と同一のコード配列を有し得る、または、遺伝暗号の重複性もしくは縮重の結果として、異なるコード配列を有し得る、または、スプライシングにより、同じポリペプチドをコードし得る。
【0083】
本開示の核酸分子またはポリヌクレオチドの改変体も意図されている。改変体ポリヌクレオチドは、本明細書に記載の定義済みの配列のポリヌクレオチドのうちの1つと少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%、99%、もしくは99.9%同一である、または、定義済みの配列のそれらのポリヌクレオチドのうちの1つと、0.015Mの塩化ナトリウム、0.0015Mのクエン酸ナトリウム、約65~68℃、もしくは0.015Mの塩化ナトリウム、0.0015Mのクエン酸ナトリウム、および50%ホルムアミド、約42℃のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする。ポリヌクレオチド改変体は、本明細書に記載の機能性を有する結合ドメインまたはその融合タンパク質をコードする能力を保持する。
【0084】
「ストリンジェント」という用語は、当技術分野においてストリンジェントであると一般に理解されている条件を指すために使用される。ハイブリダイゼーションストリンジェンシーは、主に温度、イオン強度、およびホルムアミドなどの変性剤の濃度によって決定される。ハイブリダイゼーションおよび洗浄についてのストリンジェントな条件の例は、0.015Mの塩化ナトリウム、0.0015Mのクエン酸ナトリウム、約65~68℃または0.015Mの塩化ナトリウム、0.0015Mのクエン酸ナトリウム、および50%ホルムアミド、約42℃である(Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、N.Y.、1989年を参照されたい)。
【0085】
よりストリンジェントな条件(例えば、より高い温度、より低いイオン強度、より高いホルムアミド、または他の変性剤など)を使用することもできるが、ハイブリダイゼーションの速度が影響を受ける。デオキシオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションに関する例では、追加的な例示的なストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、6×SSC、0.05%ピロリン酸ナトリウム、37℃(14塩基のオリゴヌクレオチドに対して)、48℃(17塩基のオリゴヌクレオチドに対して)、55℃(20塩基のオリゴヌクレオチドに対して)、および60℃(23塩基のオリゴヌクレオチドに対して)の洗浄を含む。
【0086】
「ベクター」は、別の核酸を輸送することができる核酸分子である。ベクターは、例えば、プラスミド、コスミド、ウイルス、またはファージであり得る。「発現ベクター」は、適切な環境に存在すると、ベクターに担持されている1つまたは複数の遺伝子によりコードされるタンパク質の発現を導くことができるベクターである。
【0087】
「レトロウイルス」は、RNAゲノムを有するウイルスである。「ガンマレトロウイルス」は、レトロウイルス科の属を指す。例示的なガンマレトロウイルスは、マウス幹細胞ウイルス、マウス白血病ウイルス、ネコ白血病ウイルス、ネコ肉腫ウイルス、およびトリ細網内皮症ウイルスを含む。
【0088】
「レンチウイルス」は、分裂細胞および非分裂細胞に感染することができるレトロウイルスの属を指す。レンチウイルスのいくつかの例は、HIV(ヒト免疫不全ウイルス:1型HIV、および2型HIVを含む);ウマ伝染性貧血ウイルス;ネコ免疫不全ウイルス(FIV);ウシ免疫不全ウイルス(BIV);およびサル免疫不全ウイルス(SIV)を含む。
【0089】
「同一の」または「パーセント同一性」という用語は、2つまたはそれ超のポリペプチドまたは核酸分子の配列に関しては、配列比較アルゴリズムなどの当技術分野で公知の方法を使用して、手動のアラインメントにより、または目視検査により測定して、比較ウインドウまたは指定の領域にわたって最大の対応について比較し、アラインメントした場合に、同じであるか、または指定された領域にわたって、指定された百分率のアミノ酸残基またはヌクレオチドが同じである(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一性)2つまたはそれ超の配列または部分配列を意味する。例えば、パーセント配列同一性および配列類似性を決定するための適切な好ましいアルゴリズムは、それぞれAltschulら(1977年)、Nucleic Acids Res.、25巻:3389頁およびAltschulら(1990年)、J. Mol.
Biol.、215巻:403頁に記載されているBLASTおよびBLAST2.0アルゴリズムである。
【0090】
「処置する」または「処置」または「改善する」は、被験体(例えば、ヒト、または、霊長類、ウマ、イヌ、マウスもしくはラットなどの非ヒト哺乳動物)の疾患、障害、または状態の医学的管理を指す。一般に、本開示の融合タンパク質を発現する宿主細胞、および任意選択でアジュバントまたは補助的療法を含む適切な用量または処置レジメンを、治療的または予防的利益を引き出すために十分な量で投与する。治療的または予防的/防止的利益は、臨床転帰の改善;疾患に関連する症状の軽減または緩和;症状の出現の減少;生活の質の改善;より長い無病状態;疾患の程度の低下、疾患状態の安定化;疾患の進行の遅延;寛解;生存;生存の持続;またはそれらの任意の組合せを含む。
【0091】
融合タンパク質または本開示の融合タンパク質(例えば、CD200R-CD28、SIRPα-CD28、CD200R-41BB、SIRPα-41BB、CD200R-CD28-41BB、SIRPα-CD28-4-1BBまたは他のそのような融合タンパク質)を発現する細胞の「治療有効量」または「有効量」は、処置される疾患または状態に関しては、処置される疾患の1つまたは複数の症状の改善を統計的に有意にもたらすために(例えば、感染の減少、腫瘍サイズの縮小、がんの成長の阻害など)十分な融合タンパク質の量または細胞の数を指す。
【0092】
免疫調節性融合タンパク質(IFP)
ある特定の態様では、本開示は、細胞外成分、疎水性成分、および細胞内成分を含む融合タンパク質を提供する。一部の実施形態では、細胞外成分は、標的に特異的に結合するものなどの結合ドメインを含む。一部の実施形態では、結合ドメインは、普通は、例えば、その天然の状態では、免疫阻害受容体もしくはチェックポイント分子などのその結合パートナーもしくはリガンドもしくは受容体に結合すると負もしくは阻害シグナルを送達することができる分子に由来するか、または、標的は、阻害性受容体もしくはリガンドもしくはチェックポイント分子もしくは他の阻害性リガンドである。一部の実施形態では、細胞内成分は、一般に共刺激または正のシグナルを例えば免疫細胞に送達することができる、分子の共刺激シグナル伝達ドメインまたはシグナル伝達領域などのシグナル伝達ドメインを含む。したがって、一部の態様では、融合タンパク質は、天然の状況では阻害シグナルをもたらす結合事象に応答して、正または共刺激シグナルを送達することができる。
【0093】
一部の実施形態では、融合タンパク質は、特定の距離が達成されるようなものである。例えば、一部の実施形態では、融合タンパク質::標的複合体(例えば、融合タンパク質と標的の間で特異的な結合により形成される複合体の細胞外部分で構成されるものなど)は、特定の長さのものである、または、最大で免疫学的シナプスにおける膜間の距離、もしくは、例えばTCRによる特異的な認識後のTCRとMHC分子との間の同族複合体の細胞外部分がまたがる距離、もしくは天然分子との天然の結合パートナーとの間で形成される複合体の細胞外部分がまたがる距離などの、特定の距離にまたがる。一部の実施形態では、距離または長さは、T細胞などの免疫細胞において発現した際、または免疫学的シナプスに進入した際に、融合タンパク質と抗原受容体または他のシグナル伝達分子の共局在を促進するために十分なものである。
【0094】
背景として、免疫学的シナプスは、様々な細胞間、例えば免疫細胞間で形成され得る、細胞間の界面である(Rossyら、Frontiers in Immunol.、3巻:1~12頁、2012年;Hatherleyら、Structure、21巻:820頁、2013年)。例えば、抗原提示細胞(APC)と接触するT細胞の場合では、免疫学的シナプスは、TCR(T細胞の表面上に見いだされる)とHLAペプチド(非ヒトについてはMHC-ペプチド)複合体(例えばAPCの表面上に見いだされる;HLAクラスI分子は、全ての有核細胞の表面上に見いだされ得、一方、HLAクラスIIは、全ての細胞型において条件的に発現し得るが、通常APC上に見いだされる)との結合によって形成され得る。さらに、免疫学的シナプスは、超分子活性化クラスター(SMAC)に組織化し得、それが、リンパ球活性化に影響を及ぼし、リンパ球への抗原-HLA(または抗原-MHC)複合体提示を導き、細胞間のサイトカインまたは溶解性顆粒分泌を導く可能性がある。SMACは、同心円に配置された3つの構造:多数のTCRならびに共刺激および阻害分子を含有する中心領域(cSMAC)、LFA-1およびタリンがクラスター化している周辺領域(pSMAC)、およびCD43およびCD45分子に富む遠位領域(dSMAC)で構成され得る。ある特定の実施形態では、免疫学的シナプスは、約10nmから約15nmまでにまたがる。例えば、TCR::HLAペプチド相互作用または融合タンパク質-標的相互作用などの、免疫学的シナプス内で見出されるタンパク質相互作用は、一般に、膜間の約14nmにまたがる。ある特定の実施形態では、免疫学的シナプスにおけるSMACの幅は、15nmを超えない。
【0095】
一部の実施形態では、融合タンパク質::標的複合体の細胞外スパンは、免疫学的シナプスの特定の区画に局在し得るようなものである。免疫学的シナプスの様々な区画に局在すると考えられる一部の複合体は、それらの細胞外スパンの長さに関してよく特徴付けられている。例えば、MHC-TCR複合体は、およそ10~15nmの細胞外スパンを有すると考えられ、より多くのインテグリンに基づく複合体は、およそ40nmの細胞外スパンを有すると考えられる(Alakoskelaら、Biophys J、100巻:2865頁、2011年)。追加的な例示的な複合体は、CD2-CD48複合体を含み、これは、およそ12.8nmの細胞外スパンを有すると考えられる(Milsteinら、J Biol Chem、283巻:34414頁、2008年)。さらに、cSMACに局在すると考えられる例示的なリガンド結合分子は、TCRおよびMHC複合体、CD2、CD4、CD8、CD28、およびそのリガンドを含み(Dustinら、CSH Perspectives in Biology 2巻:a002311頁、2010年)、したがって、それらの天然のリガンドと複合体を形成するこれらの分子は、cSMACに局在するのに適したサイズのものであることが意図されている。
【0096】
一部の態様では、特定の構築物または融合タンパク質の細胞外部分などの操作されたその細胞外部分、または前述のもののいずれかと、例えばその結合パートナーとの複合体の長さもしくは距離またはおよその長さもしくは距離は、公知の方法によって決定またはモデリングすることができる。一部の例示的なモデルでは、タンパク質の三次構造、結合ドメイン、および他の特性は、インプットアミノ酸配列または核酸配列を使用して概算することができる。タンパク質の三次構造を使用して、タンパク質またはその複合体の細胞外部分のおよその長さを決定するために有用な、細胞外部分のサイズ、柔軟性、および他の特性を概算することができる。一般に、タンパク質の細胞外部分の長さをモデリングまたは概算するための方法は公知である。例えば、molbiol-tool.caおよびSwiss-Modelは、タンパク質の構造を予測するために有用な多数のツールを含有する(Schwede, T.、Structure、21巻:1531頁、2013年も参照されたい)。
【0097】
ある特定の実施形態では、標的と複合体を形成する、会合するまたは相互作用する本開示の融合タンパク質は、免疫学的シナプス中に存在することができる。一部の実施形態では、融合タンパク質::標的複合体の細胞外部分は、免疫学的シナプスにまたがる。他の実施形態では、融合タンパク質::標的複合体は、cSMACなどの超分子活性化クラスター(SMAC)に局在する。さらなる実施形態では、融合タンパク質::標的複合体の細胞外部分は、TCR::HLA-ペプチド相互作用の細胞外部分によって定義される免疫学的シナプスにまたがる。さらに別の実施形態では、融合タンパク質::標的複合体の細胞外部分の長さは、約12nm~約15nm、または約14nmである。
【0098】
免疫学的シナプスにおいて相互作用する細胞の細胞膜間の距離は、当技術分野で公知の任意の方法によって測定することができる。例えば、特定の実施形態では、距離は、サブ回折解像度方法(subdiffraction-resolution method)または電子顕微鏡によって測定することができる(JamesおよびVale、Nature、487巻:64~69頁、2012年)。
【0099】
特定の実施形態では、本明細書で開示される融合タンパク質は、細胞膜から40nm未満伸長した細胞外部分を含む。一部の実施形態では、本明細書で開示される融合タンパク質は、細胞膜から30nm未満伸長した細胞外部分を含む。一部の実施形態では、本明細書で開示される融合タンパク質は、細胞膜から20nm未満伸長した細胞外部分を含む。一部の実施形態では、本明細書で開示される融合タンパク質は、細胞膜から15nm未満伸長した細胞外部分を含む。
【0100】
一部の実施形態では、提供される融合タンパク質は、細胞膜間の距離と比較して、シナプスへの進入もしくは抗原受容体との共局在を可能にするまたは天然のタンパク質に存在する距離もしくは長さを模倣する細胞外の長さもしくは空間距離を有するという利点を提供する。融合タンパク質の細胞外部分が、結合ドメインを得たものとは異なる分子に由来する追加的な分子由来のドメイン(複数可)を含む一部の実施形態では、結合ドメインを含有する細胞外成分の長さは、そのような同様の長さまたは距離をもたらすように、天然分子の細胞外領域と比較して、減少、例えば、切断される。一部の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質は、細胞表面受容体の細胞外ドメインおよび第2のドメイン(例えば、リンカーまたは第2の細胞表面受容体の細胞外ドメイン)を含む細胞外成分を含む。一部のそのような実施形態では、標的分子と複合体を形成した場合に免疫学的シナプス中に存在することまたは免疫学的シナプスにまたがることができる細胞外成分を維持するために、細胞外成分の1つまたは複数のドメインを切断することができる。
【0101】
一部の疾患(例えば、がん)では、T細胞受容体(TCR)による抗原認識によって生じるT細胞応答の大きさおよび質は、共刺激シグナルと阻害シグナルとの間の不均衡に起因して調節不全である(例えば、低下する)可能性があり、その結果、免疫抵抗性が生じる可能性がある。本開示のある特定の融合タンパク質の1つの利点は、第1のシグナルを質的に異なる第2のシグナルに転換することができることである。例えば、一部の実施形態では、融合タンパク質は、負または阻害シグナルを正または共刺激シグナルに有効に転換することができ、それにより、がんなどの疾患に関連する免疫抵抗性を軽減するまたは最小限にするようなものである。例えば、一部の実施形態では、天然の結合パートナーが結合した場合には阻害または負のシグナルの送達をもたらす標的に、本発明で提供される融合タンパク質が結合すると、その代わりに、正、例えば共刺激シグナルを、それを発現する細胞、例えばT細胞などに送達することができる。ある特定の実施形態では、本開示の融合タンパク質は、負のシグナルに関連する細胞外成分および正のシグナルに関連する細胞内成分を含む。T細胞の表面上に見いだされる例示的な受容体、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA4またはCD152)は、APC上に見いだされるそのリガンドであるCD80またはCD86のうちの1つが結合すると、阻害シグナルを受け取り得る。CTLA4は、初期T細胞活性化の大きさを、T細胞共刺激受容体CD28を打ち消すことによって調節する(Ruddら、Immunol. Rev.、229巻:12頁、2009年を参照されたい)。T細胞の表面上に見いだされる別の例示的な受容体、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1またはCD279)は、APC上に見いだされるそのリガンドであるPD-L1(B7-H1、CD274)またはPD-L2(B7-DC、CD73)のうちの1つが結合すると、阻害シグナルを受け取り得る。PD-1は、炎症中の末梢組織におけるT細胞の活性を制限し、自己免疫を最小限にする(Keirら、Annu. Rev. Immunol.、26巻:677頁、2008年を参照されたい)。負のシグナルに関連する細胞外成分(例えば、CTLA4またはPD-1)および正のシグナルに関連する細胞内成分(例えば、CD28、CD137)を含む本開示の代表的な融合タンパク質は、CTLA4 CD28融合タンパク質、CTLA4 CD137融合タンパク質、CTLA4 CD28-CD137融合タンパク質、PD1-CD28融合タンパク質、PD1-CD137融合タンパク質、またはPD1-CD28-CD137融合タンパク質を含む。
【0102】
本開示の融合タンパク質は、免疫細胞から受け取る阻害シグナルを遮断するまたはその数を減少させることができる。例えば、一部の実施形態では、本明細書で開示される融合タンパク質は、阻害シグナルを正のシグナルに転換し、それにより、免疫細胞から受け取る阻害シグナルの総数を減少させる、または普通は負または阻害シグナルであるものを正のシグナルに転換する。他の実施形態では、本明細書で開示される融合タンパク質は、野生型受容体のシグナル伝達を遮断する。例えば、ドミナントネガティブ融合タンパク質が本開示の範囲内に含まれる。一部の実施形態では、本明細書で開示される融合タンパク質は、野生型受容体に結合し、野生型受容体とオリゴマーを形成することにより、野生型受容体のシグナル伝達を遮断する。
【0103】
本開示のある特定の融合タンパク質のさらに別の利点は、1つ超のそのような融合タンパク質を細胞によって発現させ、それにより、多数の刺激シグナルをもたらすことができることである。多数の共刺激ドメインを有する組換えTCRにより適切な共刺激シグナル伝達が起きない場合があることが観察されている。多数の免疫調節性融合タンパク質、特に免疫学的シナプス中に存在することができる免疫調節性融合タンパク質の同時発現により、T細胞がアネルギーを回避し、増殖するために必要な共刺激シグナル伝達がもたらされ得る。
【0104】
一部の実施形態では、本開示の融合タンパク質は、TCRもしくはキメラ抗原受容体(CAR)または他の抗原受容体に対してトランスに作動する。一部の実施形態では、本明細書で開示される融合タンパク質は、免疫学的シナプスの外部で作動する。
【0105】
さらに別の態様では、本開示の融合タンパク質により、選別を必要とせずに、融合タンパク質に結合するリガンドを発現する腫瘍細胞を用いて再刺激することにより、形質導入されたT細胞を濃縮することが可能になる。
【0106】
例示的な一実施形態では、(a)CD200Rの細胞外部分、(b)CD28の膜貫通ドメイン、および(c)CD28の細胞内シグナル伝達ドメインを含む融合タンパク質が提供される。一部の実施形態では、細胞外部分は、CD28膜貫通ドメインから伸長したCD28の細胞外部分をさらに含む。さらなる実施形態では、CD200Rの細胞外部分は、CD200RのN末端から少なくとも約231アミノ酸を含む。さらに別の実施形態では、融合タンパク質は、CD137(4-1BB)の細胞内シグナル伝達ドメインをさらに含む。
【0107】
別の例示的な実施形態では、本開示は、(a)SIRPαの細胞外部分、(b)CD28の膜貫通ドメイン、および(c)CD28の細胞内シグナル伝達ドメインを含む融合タンパク質を提供する。一部の実施形態では、融合タンパク質は、CD28膜貫通ドメインから伸長したCD28の細胞外部分をさらに含む。さらなる実施形態では、SIRPαの細胞外部分は、SIRPαのN末端から少なくとも約361アミノ酸を含む。さらに別の実施形態では、融合タンパク質は、CD137(4-1BB)の細胞内シグナル伝達ドメインをさらに含む。
【0108】
別の例示的な実施形態では、本開示は、(a)CD95(Fas)の細胞外部分、(b)CD137(4-1BB)の膜貫通ドメイン、および(c)CD137(4-1BB)の細胞内シグナル伝達ドメインを含む融合タンパク質を提供する。
【0109】
別の例示的な実施形態では、本開示は、(a)CD95(Fas)の細胞外部分、(b)CD28の膜貫通ドメイン、および(c)CD137(4-1BB)の細胞内シグナル伝達ドメインを含む融合タンパク質を提供する。一部の実施形態では、融合タンパク質は、CD28膜貫通ドメインから伸長したCD28の細胞外部分をさらに含む。
【0110】
別の例示的な実施形態では、本開示は、(a)標的に特異的に結合する結合ドメインで構成される細胞外成分、(b)細胞内シグナル伝達ドメインで構成される細胞内成分、および(c)細胞外成分と細胞内成分とを連結する疎水性成分を含む融合タンパク質を提供し、ここで、融合タンパク質と標的の特異的な結合によって形成される複合体(融合タンパク質::標的複合体)の細胞外部分は、(i)最大でおよそ免疫学的シナプスの2つの細胞膜間の距離、(ii)最大で、T細胞受容体(TCR)とTCRが特異的に結合したMHC-ペプチド複合体との間の複合体の細胞外部分がまたがる距離とほぼ同じであるかまたは実質的に同じ、(iii)最大で、結合ドメインを含む天然分子とその同族結合パートナーとの間の複合体の細胞外部分がまたがる距離とほぼ同じであるかまたは実質的に同じ;(iii)約40nm未満もしくは最大で約40nm、約25nm未満もしくは最大で約25nm、約20nm未満もしくは最大で約20nm、約15nm未満もしくは最大で約15nm、または約14nm未満もしくは最大で約14nm;または(iv)それらの任意の組合せのサイズである、またはその距離にまたがり、細胞外成分は、CD95(Fas)外部ドメインもしくはその機能的断片であるかまたはCD95(Fas)外部ドメインもしくはその機能的断片を含み、細胞内成分は、CD137(4-1BB)細胞内シグナル伝達ドメインもしくはその機能的部分であるかまたはCD137(4-1BB)細胞内シグナル伝達ドメインもしくはその機能的部分を含む。
【0111】
別の例示的な実施形態では、本開示は、(a)標的に特異的に結合する結合ドメインで構成される細胞外成分、(b)細胞内シグナル伝達ドメインで構成される細胞内成分、および(c)細胞外成分と細胞内成分とを連結する疎水性成分を含む融合タンパク質を提供し、ここで、結合ドメインは、阻害分子結合ドメインであるかまたは阻害分子結合ドメインに対して少なくとも95%の同一性を有し、細胞内シグナル伝達ドメインは、共刺激分子もしくは刺激分子結合ドメインであるかまたは共刺激分子もしくは刺激分子結合ドメインに対して少なくとも95%の同一性を含み、阻害分子は、CD95(Fas)外部ドメインもしくはその機能的断片であるかまたはCD95(Fas)外部ドメインもしくはその機能的断片を含み、共刺激分子または刺激分子は、CD137(4-1BB)に由来する細胞内シグナル伝達ドメインもしくはその機能的部分であるかまたはCD137(4-1BB)に由来する細胞内シグナル伝達ドメインもしくはその機能的部分を含む。
【0112】
別の例示的な実施形態では、本開示は、(a)配列番号71に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含む細胞外成分、(b)配列番号197に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含む疎水性成分、および(c)配列番号13に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含む細胞内成分を含む融合タンパク質を提供する。
【0113】
別の例示的な実施形態では、本開示は、(a)配列番号72に記載のアミノ酸配列を有する結合ドメインを含む細胞外成分;(b)配列番号198に記載のアミノ酸配列を含む疎水性成分;および(c)配列番号36に記載のアミノ酸配列を含む細胞内成分を含む融合タンパク質を提供する。
【0114】
ここで本開示の融合タンパク質の構成部分をさらに詳細に記載する。
細胞外成分
【0115】
本明細書に記載の通り、本開示の融合タンパク質は、一般に、標的に特異的に結合する結合ドメインを含む細胞外成分を含む。融合タンパク質結合ドメインの標的への結合により、例えば、融合タンパク質が発現する細胞において、(1)標的と、別の分子との相互作用が遮断される(例えば、受容体-リガンド相互作用が遮断または干渉される)、(2)標的のある特定の機能(例えば、阻害性シグナルトランスダクション)が干渉される、低下するまたは排除される、(3)標的が結合した際に通常は誘導されないある特定の生物学的経路が誘導される(例えば、阻害または負のシグナルが刺激または正のシグナルに転換される)、またはそれらの任意の組合せをもたらす。一部の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質は、細胞外部分を含み、細胞外部分は、負のシグナルに関連するタンパク質の細胞外部分を含む。
【0116】
例示的な本開示の結合ドメインは、細胞表面受容体の外部ドメイン、またはその結合部分、細胞表面リガンドの外部ドメイン、サイトカイン(例えば、IL35)、ケモカイン、抗体に基づく結合ドメイン、TCRに基づく結合ドメイン、従来のものではない結合ドメイン、またはそれらの任意の組合せであり得る。例えば、CD200R、SIRPα、CD279(PD-1)、CD2、CD95(Fas)、CTLA4(CD152)、CD223(LAG3)、CD272(BTLA)、A2aR、KIR、TIM3、CD300、またはLPA5の外部ドメインを含む結合ドメインが本開示の範囲内に入る。本明細書で使用される場合、細胞表面受容体またはリガンドに由来する「外部ドメイン」は、完全な細胞外ドメインまたはその機能的(結合)断片を含む。ある特定の実施形態では、外部ドメインは、標的に対するアビディティが野生型または参照タンパク質と比較して高い、変異した細胞外ドメインまたはその機能的(結合)断片を含む。ある特定の実施形態では、外部ドメインは、可変様ドメインまたは可変様ドメインのCDRを含む。
【0117】
一部の実施形態では、融合タンパク質は、CD200R外部ドメインまたはそのCD200結合部分などのCD200結合ドメインを含む細胞外成分を含有する。背景として、CD200Rは、免疫グロブリンスーパーファミリーの1型膜タンパク質であるCD200に結合する受容体である(Tonksら、Leukemia、21巻:566~568頁、2007年)。CD200は、白血病、多発性骨髄腫、および様々な固形腫瘍(例えば、黒色腫、乳房、および扁平上皮細胞癌)を含めた様々な悪性疾患において上方制御されることが報告されている。実際、高レベルのCD200発現は、急性骨髄性白血病(AML)の予後不良に関連付けられており、また、CD200Rシグナル伝達にはT細胞に対する阻害効果があることが示されている(Colesら、Leukemia、26巻:2148~2151頁、2012年)。ある特定の実施形態では、CD200R外部ドメインは、CD200Rタンパク質の全長細胞外部分、CD200Rタンパク質の全長成熟細胞外部分、CD200Rタンパク質の細胞外部分の結合断片、またはCD200Rの膜貫通ドメインの一部と共になったCD200Rタンパク質の細胞外部分の結合断片、またはそれらの任意の組合せを含む。
【0118】
さらなる実施形態では、CD200Rは、配列番号2に記載の核酸分子によりコードされる。ある特定の他の実施形態では、CD200R外部ドメインは、CD200RのN末端から少なくとも200アミノ酸を含む。一部の他の実施形態では、CD200Rは、配列番号11に記載の核酸分子によりコードされる。さらに他の実施形態では、CD200Rの細胞外部分は、CD200RのN末端から少なくとも180アミノ酸、190アミノ酸、200アミノ酸、210アミノ酸、220アミノ酸、230アミノ酸、231アミノ酸、234アミノ酸、または243アミノ酸を含む。例えば、ある特定の実施形態では、CD200Rは、配列番号8に記載の核酸分子によりコードされる。上述の実施形態のいずれかにおいて、本開示の融合タンパク質に使用されるCD200R、CD200R外部ドメイン、または任意のそのCD200R断片は、ヒトCD200Rである。さらなる実施形態では、配列番号2に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を有する分子の外部ドメインと少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または少なくとも100%同一である配列を有するCD200R外部ドメインが提供される。
【0119】
一部の実施形態では、CD200Rは、配列番号25に記載のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、CD200Rは、配列番号34に記載のアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、CD200Rは、配列番号31に記載のアミノ酸配列を含む。上述の実施形態のいずれかにおいて、本開示の融合タンパク質に使用されるCD200R、CD200R外部ドメイン、または任意のそのCD200R断片は、ヒトCD200Rである。さらなる実施形態では、配列番号25に記載のアミノ酸配列を有する分子の外部ドメインと少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または少なくとも100%同一である配列を有するCD200R外部ドメインが提供される。
【0120】
一部の実施形態では、融合タンパク質は、SIRPα外部ドメインまたはその結合部分などのCD47結合ドメインを含む細胞外成分を含有する。背景として、CD47は、食作用からの細胞の保護において役割を果たす、広範に発現する膜貫通タンパク質である(Willinghamら、PNAS、109巻:6662~6667頁、2012年)。CD47がSIRPαに結合することにより、SIRPαシグナル伝達が開始され、それによりマクロファージによる食作用が阻害される。したがって、SIRPαの下方制御により、マクロファージによる食作用が増大する。SIRPαは、AML、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、多発性骨髄腫(MM)、肺、膀胱、および他の固形腫瘍を含めた多数のヒト腫瘍型において発現する。ある特定の実施形態では、SIRPα外部ドメインは、SIRPαタンパク質の全長細胞外部分、SIRPαタンパク質の全長成熟細胞外部分、SIRPαタンパク質の細胞外部分の結合断片、およびSIRPαの膜貫通ドメインの一部と共になったSIRPαタンパク質の細胞外部分の結合断片、またはそれらの任意の組合せを含む。
【0121】
さらなる実施形態では、SIRPα外部ドメインまたはその結合部分は、配列番号17に記載の核酸分子によりコードされる。ある特定の実施形態では、SIRPα外部ドメインは、SIRPαのN末端から少なくとも300アミノ酸、310アミノ酸、320アミノ酸、330アミノ酸、340アミノ酸、350アミノ酸、360アミノ酸、361アミノ酸、370アミノ酸、373アミノ酸、またはそれ超を含む。一部の他の実施形態では、SIRPαは、配列番号21に記載の核酸分子によりコードされる。上述の実施形態のいずれかにおいて、本開示の融合タンパク質に使用されるSIRPα、SIRPα外部ドメイン、または任意のそのSIRPα断片は、ヒトSIRPαである。さらなる実施形態では、配列番号17に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を有する分子の外部ドメインと少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または少なくとも100%同一である配列を有するSIRPα外部ドメインが提供される。
【0122】
さらなる実施形態では、SIRPα外部ドメインは、配列番号40に記載のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、SIRPαは、配列番号44に記載のアミノ酸配列を含む。上述の実施形態のいずれかにおいて、本開示の融合タンパク質に使用されるSIRPα、SIRPα外部ドメイン、または任意のそのSIRPα断片は、ヒトSIRPαである。さらなる実施形態では、配列番号40に記載のアミノ酸配列を有する分子の外部ドメインと少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または少なくとも100%同一である配列を有するSIRPα外部ドメインが提供される。
【0123】
一部の実施形態では、融合タンパク質は、PD-L1、PD-L2、またはその両方に結合する結合ドメインを含む細胞外成分を含有する。一部の実施形態では、融合タンパク質は、PD-1外部ドメインまたはそのリガンド結合部分を含む細胞外成分を含有する。ある特定の実施形態では、PD-1外部ドメインは、PD-1タンパク質の全長細胞外部分、PD-1タンパク質の全長成熟細胞外部分、PD-1タンパク質の細胞外部分の結合断片、またはPD-1の膜貫通ドメインの一部と共になったPD-1タンパク質の細胞外部分の結合断片、またはそれらの任意の組合せを含む。ある特定の実施形態では、PD-1外部ドメインは、PD-1のN末端から少なくとも80アミノ酸、90アミノ酸、100アミノ酸、110アミノ酸、120アミノ酸、125アミノ酸、130アミノ酸、132アミノ酸、135アミノ酸、137アミノ酸、140アミノ酸、149アミノ酸、150アミノ酸、155アミノ酸、158アミノ酸、160アミノ酸、または170アミノ酸を含む。例えば、ある特定の実施形態では、PD-1外部ドメインは、配列番号91、93または95に記載の核酸分子によりコードされる。さらなる実施形態では、PD-1外部ドメインは、配列番号60に記載のPD-1からの少なくとも約90アミノ酸~少なくとも約130アミノ酸を含む。さらに別の実施形態では、PD-1外部ドメインは、配列番号90に記載のPD-1外部ドメインのN末端から170アミノ酸を含む。一部の実施形態では、PD-1は、配列番号89に記載の核酸分子によりコードされる。上述の実施形態のいずれかにおいて、本開示の融合タンパク質に使用されるPD-1、PD-1外部ドメイン、または任意のそのPD-1断片は、ヒトPD-1である。さらなる実施形態では、配列番号60に記載のアミノ酸配列を有する分子の外部ドメインと少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または少なくとも100%同一である配列を有するPD-1外部ドメインが提供される。さらなる実施形態では、配列番号90に記載のアミノ酸配列を有する分子の外部ドメインと少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または少なくとも100%同一である配列を有するPD-1外部ドメインが提供される。なおさらなる実施形態では、配列番号89に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を有する分子の外部ドメインと少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または少なくとも100%同一である配列を有するPD-1結合ドメインが提供される。
【0124】
ある特定の実施形態では、PD-1外部ドメインは、配列番号92、94、または96に記載のアミノ酸配列を含む。さらなる実施形態では、配列番号92、94、または96に記載のアミノ酸配列を有する分子の外部ドメインと少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または少なくとも100%同一である配列を有するPD-1外部ドメインが提供される。上述の実施形態のいずれかにおいて、本開示の融合タンパク質に使用されるPD-1、PD-1外部ドメイン、または任意のそのPD-1断片は、ヒトPD-1である。
【0125】
一部の実施形態では、融合タンパク質は、CD2外部ドメインを含む細胞外成分を含有する。ある特定の実施形態では、CD2外部ドメインは、配列番号61に記載の核酸分子によりコードされる。ある特定の実施形態では、CD2外部ドメインは、CD2タンパク質の全長細胞外部分、CD2タンパク質の全長成熟細胞外部分、CD2タンパク質の細胞外部分の結合断片、またはCD2の膜貫通ドメインの一部と共になったCD2タンパク質の細胞外部分の結合断片、またはそれらの任意の組合せを含む。上述の実施形態のいずれかにおいて、本開示の融合タンパク質に使用されるCD2、CD2外部ドメイン、または任意のそのCD2断片は、ヒトCD2である。さらなる実施形態では、GenBank受託番号NM_001767.3に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を有する分子の外部ドメインと少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または少なくとも100%同一である配列を有するCD2外部ドメインが提供される。さらなる実施形態では、配列番号61に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を有する分子の外部ドメインと少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または少なくとも100%同一である配列を有するCD2外部ドメインが提供される。
【0126】
一部の実施形態では、CD2外部ドメインは、配列番号62に記載のアミノ酸配列を含む。さらなる実施形態では、配列番号62に記載のアミノ酸配列を有する分子の外部ドメインと少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または少なくとも100%同一である配列を有するCD2外部ドメインが提供される。上述の実施形態のいずれかにおいて、本開示の融合タンパク質に使用されるCD2、CD2外部ドメイン、または任意のそのCD2断片は、ヒトCD2である。
【0127】
一部の実施形態では、融合タンパク質は、FasLに結合する結合ドメインを含む細胞外成分を含有する。一部の実施形態では、融合タンパク質は、Fas(CD95)外部ドメインを含む細胞外成分を含有する。Fasは、腫瘍関連脈管構造において発現し、細胞死を誘導することによってCD8細胞浸潤を妨げる。FasLは、AML、膵臓がん、卵巣がん、および他のがんにおいて発現される(Kornmannら、Annals of Surgery、231
巻:368~379頁、2000年;Continiら、Leukemia、21巻:253~260頁
、2007年;Motzら、NatureMedicine、20巻:607~615頁、2014年)。
さらに、多くの化学療法薬が腫瘍でのFasLの上方制御を引き起こすことが報告されており、また、FasLは、CD44会合に応答してT細胞でも上方制御され得る。ある特定の実施形態では、Fas外部ドメインは、Fasタンパク質の全長細胞外部分、Fasタンパク質の全長成熟細胞外部分、Fasタンパク質の細胞外部分の結合断片、およびFasの膜貫通ドメインの一部と共になったFasタンパク質の細胞外部分の結合断片、またはそれらの任意の組合せを含む。一部の実施形態では、Fas外部ドメインは、配列番号71に記載の核酸分子によりコードされる。さらに他の実施形態では、Fas外部ドメインは、FasのN末端から少なくとも150アミノ酸、160アミノ酸、161アミノ酸、166アミノ酸、170アミノ酸、または173アミノ酸を含む。例えば、ある特定の実施形態では、Fasは、配列番号73に記載の核酸分子によりコードされる。ある特定の他の実施形態では、Fasは、配列番号75に記載の核酸分子によりコードされる。上述の実施形態のいずれかにおいて、本開示の融合タンパク質に使用されるFas、Fas外部ドメイン、または任意のそのFas断片は、ヒトFasである。さらなる実施形態では、GenBank受託番号NM_000043.4に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を有する分子の外部ドメインと少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または少なくとも100%同一である配列を有するFas外部ドメインが提供される。なおさらなる実施形態では、配列番号71に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を有する分子の外部ドメインと少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または少なくとも100%同一である配列を有するFas外部ドメインが提供される。
【0128】
一部の実施形態では、Fas外部ドメインは、配列番号72に記載のアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、Fas外部ドメインは、配列番号74に記載のアミノ酸配列を含む。ある特定の他の実施形態では、Fas外部ドメインは、配列番号76に記載のアミノ酸配列を含む。上述の実施形態のいずれかにおいて、本開示の融合タンパク質に使用されるFas、Fas外部ドメイン、または任意のそのFas断片は、ヒトFasである。さらなる実施形態では、配列番号72に記載のアミノ酸配列を有する分子の外部ドメインと少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または少なくとも100%同一である配列を有するFas外部ドメインが提供される。
【0129】
一部の実施形態では、融合タンパク質は、LAG3(CD223)外部ドメインを含む細胞外成分を含有する。ある特定の実施形態では、LAG3外部ドメインは、LAG3タンパク質の全長細胞外部分、LAG3タンパク質の全長成熟細胞外部分、LAG3タンパク質の細胞外部分の結合断片、およびLAG3の膜貫通ドメインの一部と共になったLAG3の細胞外部分タンパク質の結合断片、またはそれらの任意の組合せを含む。例えば、一部の実施形態では、LAG3外部ドメインは、LAG3のN末端から約420アミノ酸、416アミノ酸、415アミノ酸、413アミノ酸、または410アミノ酸を含む。上述の実施形態のいずれかにおいて、本開示の融合タンパク質に使用されるLAG3、LAG3外部ドメイン、または任意のそのLAG3断片は、ヒトLAG3である。さらなる実施形態では、GenBank受託番号NM_002286.5に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を有する分子の外部ドメインと少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または少なくとも100%同一である配列を有するLAG3外部ドメインが提供される。
【0130】
さらなる実施形態では、LAG3は、配列番号153に記載の核酸分子によってコードされる。ある特定の他の実施形態では、LAG3外部ドメインは、LAG3のN末端から少なくとも430アミノ酸、435アミノ酸、438アミノ酸、440アミノ酸、445アミノ酸、または450アミノ酸を含む。例えば、ある特定の実施形態では、LAG3は、配列番号161に記載の核酸分子によりコードされる。上述の実施形態のいずれかにおいて、本開示の融合タンパク質に使用されるLAG3、LAG3外部ドメイン、または任意のそのLAG3断片は、ヒトLAG3である。さらなる実施形態では、配列番号153に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を有する分子の外部ドメインと少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または少なくとも100%同一である配列を有するLAG3外部ドメインが提供される。
【0131】
一部の実施形態では、LAG3は、配列番号154に記載のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、LAG3は、配列番号162に記載のアミノ酸配列を含む。上述の実施形態のいずれかにおいて、本開示の融合タンパク質に使用されるLAG3、LAG3外部ドメイン、または任意のそのLAG3断片は、ヒトLAG3である。さらなる実施形態では、配列番号154に記載のアミノ酸配列を有する分子の外部ドメインと少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または少なくとも100%同一である配列を有するLAG3外部ドメインが提供される。
【0132】
一部の実施形態では、融合タンパク質は、TIM3外部ドメインを含む細胞外成分を含有する。ある特定の実施形態では、TIM3外部ドメインは、TIM3タンパク質の全長細胞外部分、TIM3タンパク質の全長成熟細胞外部分、TIM3タンパク質の細胞外部分の結合断片、およびTIM3の膜貫通ドメインの一部と共になったTIM3タンパク質の細胞外部分の結合断片、またはそれらの任意の組合せを含む。上述の実施形態のいずれかにおいて、本開示の融合タンパク質に使用されるTIM3、TIM3外部ドメイン、または任意のそのTIM3断片は、ヒトTIM3である。さらなる実施形態では、GenBank受託番号NM_032782.4に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を有する分子の外部ドメインと少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または少なくとも100%同一である配列を有するTIM3外部ドメインが提供される。
【0133】
さらなる実施形態では、TIM3は、配列番号167に記載の核酸分子によりコードされる。ある特定の他の実施形態では、TIM3外部ドメインは、TIM3のN末端から少なくとも180アミノ酸、185アミノ酸、190アミノ酸、195アミノ酸、または200アミノ酸を含む。例えば、ある特定の実施形態では、TIM3は、配列番号177に記載の核酸分子によりコードされる。上述の実施形態のいずれかにおいて、本開示の融合タンパク質に使用されるTIM3、TIM3外部ドメイン、または任意のそのTIM3断片は、ヒトTIM3である。さらなる実施形態では、配列番号167に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を有する分子の外部ドメインと少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または少なくとも100%同一である配列を有するTIM3外部ドメインが提供される。
【0134】
一部の実施形態では、TIM3は、配列番号168に記載のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、TIM3は、配列番号178に記載のアミノ酸配列を含む。上述の実施形態のいずれかにおいて、本開示の融合タンパク質に使用されるTIM3、TIM3外部ドメイン、または任意のそのTIM3断片は、ヒトTIM3である。さらなる実施形態では、配列番号168に記載のアミノ酸配列を有する分子の外部ドメインと少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または少なくとも100%同一である配列を有するTIM3外部ドメインが提供される。
【0135】
結合ドメインは、目的の標的に特異的に結合する任意のペプチドであり得る。結合ドメインの供給源は、ヒト、齧歯類、トリ、またはヒツジを含めた様々な種に由来する抗体可変領域(抗体、sFv、scFv、Fab、scFvに基づくグラバボディー(grababody)、または可溶性VHドメインまたはドメイン抗体の形態であり得る)を含む。追加的な結合ドメインの供給源は、ラクダ科の動物(ラクダ、ヒトコブラクダ、もしくはラマに由来する;Ghahroudiら、FEBS Lett.、414巻:521頁、1997年;Vinckeら、J. Biol. Chem.、284巻:3273頁、2009年;Hamers-Castermanら、Nature、363巻:446頁、1993年およびNguyenら、J. Mol. Biol.、275巻:413頁、1998年)、テンジクザメ(Rouxら、Proc. Nat’l. Acad.
Sci.(USA)95巻:11804頁、1998年)、スポッテッドラットフィッシュ(Nguyenら、Immunogen.、54巻:39頁、2002年)、またはヤツメウナギ(Herrinら、Proc. Nat’l. Acad. Sci.(USA)105巻:2040頁、2008年およびAlderら Nat. Immunol.、9巻:319頁、2008年)などの他の種に由来する抗体の可変領域を含む。これらの抗体は、重鎖可変領域のみを使用して抗原結合領域を形成し得る、すなわち、これらの機能的抗体は、重鎖のみのホモダイマーである(「重鎖抗体」と呼ばれる)(Jespersら、Nat. Biotechnol.、22巻:1161頁、2004年;Cortez-Retamozoら、Cancer Res.、64巻:2853頁、2004年;Baralら、Nature Med.、12巻:580頁、2006年;およびBarthelemyら、J. Biol. Chem.、283巻:3639頁、2008年)。
【0136】
本開示の従来のものではない結合ドメインの代替供給源は、ランダムなペプチドライブラリーをコードする配列、または、scTCR(例えば、Lakeら、Int. Immunol.11巻:745頁、1999年;Maynardら、J. Immunol.
Methods、306巻:51頁、2005年;米国特許第8,361,794号を参照されたい)、フィブリノーゲンドメイン(例えば、Weiselら、Science、230巻:1388頁、1985年を参照されたい)、クニッツドメイン(例えば、米国特許第6,423,498号を参照されたい)、デザインされたアンキリンリピートタンパク質(DARPins)(Binzら、J. Mol. Biol.、332巻:489頁、2003年およびBinzら、Nat. Biotechnol.、22巻:575頁、2004年)、フィブロネクチン結合ドメイン(アドネクチン(adnectin)またはモノボディ(monobody))(Richardsら、J. Mol. Biol.、326巻:1475頁、2003年;Parkerら、Protein Eng. Des. Selec.、18巻:435頁、2005年およびHackelら(2008年)、J. Mol. Biol.、381巻:1238~1252頁)、システインノットミニタンパク質(Vitaら(1995年)、Proc. Nat’l.
Acad. Sci.(USA)92巻:6404~6408頁;Martinら(2002年)、Nat. Biotechnol.、21巻:71頁、2002年およびHuangら(2005年)、Structure、13巻:755頁、2005年)、テトラトリコペプチド(tetratricopeptide)リピートドメイン(Mainら、Structure、11巻:497頁、2003年およびCortajarenaら、ACS Chem. Biol.、3巻:161頁、2008年)、ロイシンリッチリピートドメイン(Stumppら、J. Mol. Biol.、332巻:471頁、2003年)、リポカリンドメイン(例えば、WO2006/095164、Besteら、Proc. Nat’l. Acad. Sci.(USA)96巻:1898頁、1999年およびSchoenfeldら、Proc. Nat’l. Acad.
Sci.(USA)106巻:8198頁、2009年を参照されたい)、V様ドメイン(例えば、米国特許出願公開第2007/0065431号を参照されたい)、C型レクチンドメイン(ZelenskyおよびGready、FEBS J.、272巻:6179頁、2005年;Beavilら、Proc. Nat’l. Acad. Sci.(USA)89巻:753頁、1992年およびSatoら、Proc. Nat’l. Acad. Sci.(USA)100巻:7779頁、2003年)、mAbまたはFcab(商標)(例えば、PCT特許出願公開第WO2007/098934号;同第WO2006/072620号を参照されたい)、アルマジロリピートタンパク質(例えば、Madhurantakamら、Protein Sci.、21巻:1015頁、2012年;PCT特許出願公開第WO2009/040338号を参照されたい)、アフィリン(affilin)(Ebersbachら、J. Mol. Biol.、372巻:172頁、2007年)、アフィボディ(affibody)、アビマー(avimer)、ノッチン、フィノマー(fynomer)、アトリマー(atrimer)、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質-4(Weidleら、Cancer Gen. Proteo.、10巻:155頁、2013年)などの代替的な非抗体足場のループ領域内の操作された多様なアミノ酸をコードする配列を含む(Nordら、Protein Eng.、8巻:601頁、1995年;Nordら、Nat. Biotechnol.、15巻:772頁、1997年;Nordら、Euro. J. Biochem.、268巻:4269頁、2001年;Binzら、Nat. Biotechnol.、23巻:1257頁、2005年;BoersmaおよびPlueckthun、Curr. Opin. Biotechnol.、22巻:849頁、2011年)。
【0137】
一部の実施形態では、結合ドメインは、Vα/βおよびCα/β鎖(例えば、Vα-Cα、Vβ-Cβ、Vα-Vβ)を含むまたは目的の標的(例えば、ペプチド-MHC複合体またはペプチド-HLA複合体)に特異的なVα-Cα、Vβ-Cβ、Vα-Vβ対を含む単鎖T細胞受容体(scTCR)である。
【0138】
ある特定の実施形態では、結合ドメインは、TCR Vα、Vβ、Cα、またはCβのアミノ酸配列を有する分子の外部ドメインと少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または100%同一の配列を含む、またはこの配列であり、各CDRは、目的の標的に特異的に結合するTCRまたはその断片もしくは誘導体からゼロの変化または最大で1つ、2つ、または3つの変化を含む。
【0139】
ある特定の実施形態では、本開示の結合ドメインVα領域、Vβ領域、Cα領域、またはCβ領域は、公知のTCR(例えば、高親和性TCR)のVα、Vβ、Cα、またはCβに由来するものまたはそれに基づくものであり得、公知のTCRのVα、Vβ、Cα、またはCβと比較して1つまたは複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10)の挿入、1つまたは複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10)の欠失、1つまたは複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10)のアミノ酸置換(例えば、保存的アミノ酸置換または非保存的アミノ酸置換)、または上記の変化の組合せを含有する。挿入、欠失または置換は、各CDRがゼロの変化または最大で1つ、2つ、または3つの変化を含み、また、改変されたVα領域、Vβ領域、Cα領域、またはCβ領域を含有する結合ドメインがなおその標的に野生型と同様の親和性で特異的に結合するのであれば、アミノ末端またはカルボキシ末端またはこれらの領域の両末端を含めた、Vα領域、Vβ領域、Cα領域、またはCβ領域内のどこにあってもよい。ある特定の実施形態では、TCRは、ペプチド-HLA複合体に対して、約10μMから約500μMまでにわたる親和性を有する。さらなる実施形態では、TCRは、ペプチド-HLA複合体に対して、約10nMから約200pMまでにわたる高親和性を有する。
【0140】
ある特定の態様では、本開示による融合タンパク質は、標的に特異的に結合する結合ドメインで構成される細胞外成分(例えば、リガンドまたは受容体)を有し、細胞外成分は、任意選択で、マルチマー形成ドメイン、リンカー、接合部アミノ酸、またはそれらの任意の組合せなどの、1つまたは複数の他の機能的な小成分またはドメインを含む。
【0141】
ある特定の実施形態では、本明細書で開示される融合タンパク質は、結合ドメインに加えてまたは結合ドメインが由来する分子に由来する部分に加えて、スペーサーまたはマルチマー形成ドメインなどの追加的な細胞外領域をさらに含む。例えば、一部の態様では、マルチマー形成ドメインは、融合タンパク質の細胞外成分に含有されるまたはその一部である。例えば、マルチマー形成ドメインは、細胞外成分を変化させること(例えば、変異させること)によって作製することができる、またはマルチマー形成ドメインは、細胞外成分に1~約50アミノ酸残基を付加することによって作製することができる。マルチマー形成ドメインは、細胞外成分の結合ドメインと本開示の融合タンパク質の疎水性成分との間に位置し得る。ある特定の実施形態では、細胞表面上に発現した融合タンパク質は、細胞外成分内にマルチマー形成ドメインを含み、細胞膜に近位であり、疎水性成分から1~50アミノ酸の範囲内にある。例えば、融合タンパク質マルチマー形成ドメインは、融合タンパク質疎水性成分から30アミノ酸、25アミノ酸、20アミノ酸、15アミノ酸、14アミノ酸、13アミノ酸、12アミノ酸、11アミノ酸、10アミノ酸、9アミノ酸、8アミノ酸、7アミノ酸、6アミノ酸、5アミノ酸、4アミノ酸、3アミノ酸、2アミノ酸、1アミノ酸または0アミノ酸以内に位置する1つまたは複数のシステイン残基を含み得、1つの融合タンパク質からのそのような1つまたは複数のシステイン残基は、1つまたは複数の他の融合タンパク質と1つまたは複数のジスルフィド架橋を形成し得る。一部の実施形態では、追加的な細胞外部分は、融合タンパク質の膜貫通または刺激領域が由来するものと同じ分子に由来する。
【0142】
さらなる実施形態では、2つまたはそれ超の融合タンパク質のマルチマー形成ドメイン間の相互作用は、融合タンパク質モノマーと比較して、シグナルトランスダクション(例えば、免疫細胞刺激または活性化)に実質的に寄与するまたはそれを効率的に促進する。ある特定の実施形態では、融合タンパク質のマルチマー形成は、融合タンパク質モノマーと比較して、宿主細胞におけるシグナルトランスダクションを統計的に有意に促進する。さらなる実施形態では、宿主細胞におけるシグナルトランスダクションを促進または増強する融合タンパク質のマルチマー形成は、ジスルフィド架橋を介したものである。
【0143】
例示的なマルチマーは、「ダイマー」であり、これは、互いと会合した2つの融合タンパク質などの2つの分子を含有する生物学的実体を指す。そのようなダイマーは、2つの会合した融合タンパク質が実質的に同様または同一のアミノ酸配列を有する場合には、「ホモダイマー」とみなされる。同様に、3つの実質的にまたは完全に同一の融合タンパク質のマルチマー形成は、「ホモトリマー」と呼ばれる。一部の実施形態では、マルチマー形成ドメインは、少なくとも1つのシステイン残基を含み、第1の融合タンパク質に由来するマルチマー形成ドメインのシステイン残基は、第2の融合タンパク質に由来するマルチマー形成ドメインのシステイン残基とジスルフィド架橋を形成し得る。ある特定の実施形態では、融合タンパク質ダイマーはジスルフィド架橋を介して形成される。他の実施形態では、融合タンパク質トリマーは、2つまたはそれ超のジスルフィド架橋を介して形成される。あるいは、ダイマー、ホモダイマー、トリマーまたはホモトリマーは、ジンクフィンガーモチーフまたはロイシンジッパーモチーフを介してマルチマー形成し得る。さらに別の実施形態では、融合タンパク質は、複数のマルチマー形成ドメインを含み、これは、細胞外、細胞内またはその両方に位置し得る。
【0144】
一部の実施形態では、融合タンパク質の細胞外成分内に含有されるマルチマー形成ドメインは、疎水性成分から伸長した細胞外部分を含む。例えば、一部の実施形態では、融合タンパク質の細胞外成分内に含有されるマルチマー形成ドメインは、CD28膜貫通ドメインから伸長したCD28の細胞外部分を含む。一部の実施形態では、CD28の細胞外部分は、膜貫通ドメインに隣接する約5アミノ酸、6アミノ酸、7アミノ酸、8アミノ酸、9アミノ酸、10アミノ酸、11アミノ酸、12アミノ酸、13アミノ酸、14アミノ酸、15アミノ酸、または最大で約25アミノ酸を含む。一部の実施形態では、CD28の細胞外部分は、膜貫通ドメインに隣接する9アミノ酸または12アミノ酸を含む。一部の実施形態では、CD28の細胞外部分は、配列番号9に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、CD28の細胞外部分は、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含む。さらに別の例示的な実施形態では、融合タンパク質の細胞外成分内に含有されるマルチマー形成ドメインは、CD137(4-1BB)膜貫通ドメインから伸長したCD137(4-1BB)の細胞外部分(例えば、1~50アミノ酸にわたる)を含む。ある特定の実施形態では、マルチマー形成ドメインおよび疎水性成分は、異なるタンパク質に由来する。例えば、融合タンパク質の細胞外成分内に含有されるマルチマー形成ドメインは、CD137膜貫通ドメインから伸長したCD28の細胞外部分を含む、または、CD28膜貫通ドメインから伸長したCD137の細胞外部分を含む。上述の実施形態のいずれかにおいて、マルチマー形成ドメインは、グリコシル化部位をさらに含み得る。
【0145】
一部の実施形態では、融合タンパク質は、例えば、細胞外成分とマルチマー形成ドメインを連結する、または細胞外成分と疎水性成分を連結する、または疎水性成分と細胞内成分を連結するリンカーまたは接合部アミノ酸を含有し得る。一部の実施形態では、リンカーはGlySerであり、式中、xおよびyは、独立に、1~5の整数である。
【0146】
一部の実施形態では、細胞外成分は、マルチマーを形成する分子またはその一部であるかまたはマルチマーを形成する分子またはその一部を含み、細胞内成分は、同じ数のマルチマーを形成する分子またはその一部であるかまたは同じ数のマルチマーを形成する分子またはその一部を含む。例えば、一部の実施形態では、細胞外成分は、ダイマーを形成する分子またはその一部であるかまたはダイマーを形成する分子またはその一部を含み、細胞内成分は、同じくダイマーを形成する分子またはその一部であるかまたは同じくダイマーを形成する分子またはその一部を含む。一部の実施形態では、細胞外成分は、トリマーを形成する分子またはその一部であるかまたはトリマーを形成する分子またはその一部を含み、細胞内成分は、同じくトリマーを形成する分子またはその一部であるかまたは同じくトリマーを形成する分子またはその一部を含む。
【0147】
本開示の融合タンパク質に含有される結合ドメインが特異的に結合する標的分子は、目的の細胞(「標的細胞」)上にまたはそれに付随して見いだされ得る。例示的な標的細胞は、免疫細胞、がん細胞、自己免疫疾患もしくは障害もしくは炎症性疾患もしくは障害に関連する細胞、および感染性生物体もしくは細胞(例えば、細菌、ウイルス、ウイルスに感染した細胞)、またはMHCまたはヒト白血球抗原(HLA)と複合体を形成した抗原を提示する任意の細胞を含む。哺乳動物寄生生物などの感染性生物体の細胞も標的細胞として意図されている。一部の実施形態では、標的は、免疫抑制リガンドである。一部の実施形態では、標的は、CD47、CD58、CD80、CD86、CD95L(FasL)、CD200、CD270(HVEM)、CD274(PD-L1)、またはGAL9から選択される。
【0148】
細胞内成分
本開示の融合タンパク質に含有される細胞内成分は、機能的シグナルを細胞に伝達することができる活性化ドメインまたは共刺激ドメインなどの細胞内シグナル伝達ドメインを有する。ある特定の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、細胞応答を直接促進する1つまたは複数の他のタンパク質と会合することによって細胞応答を間接的に促進する。細胞内シグナル伝達ドメインは、1つ、2つ、3つまたはそれ超の受容体シグナル伝達ドメイン、共刺激ドメイン、またはこれらの組合せを含み得る。様々なシグナル伝達分子(例えば、シグナルトランスダクション受容体)のいずれかに由来する活性化ドメイン、共刺激ドメイン、またはその両方を含む任意の細胞内成分を本開示の融合タンパク質に使用することができる。
【0149】
本明細書で使用される場合、細胞表面受容体またはリガンドに由来する「細胞内シグナル伝達ドメイン」は、完全な細胞内ドメイン、細胞内シグナル伝達ドメインを含む部分、またはその機能的(シグナル伝達)断片を含む。ある特定の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、野生型または参照細胞内シグナル伝達ドメインと比較してシグナル伝達活性が増大した、変異した細胞内ドメインまたはその機能的(シグナル伝達)断片を含む。
【0150】
「共刺激分子」は、本明細書で使用される場合、T細胞にシグナルを伝達してT細胞活性化を正に調節することができる受容体または細胞表面分子を指す(ChenおよびFlies、Nat. Rev. Immunol.、13巻:227~242頁、2013年)。背景として、T細胞活性化および増殖には、T細胞抗原特異的受容体(TCR)と共刺激シグナルの会合、最も典型的にはCD28とCD80およびCD86の結合を通じて媒介される2つのシグナルが必要である(Ledbetterら、Blood、75巻:1531頁、1990年)。
【0151】
本開示の融合タンパク質に有用な細胞内シグナル伝達ドメインまたはその機能的断片は、CD3ε、CD3δ、CD3ζ、CD25、CD27、CD28、CD40、CD47、CD79A、CD79B、CD134(OX40)、CD137(4-1BB)、CD150(SLAMF1)、CD278(ICOS)、CD357(GITR)、CARD11、DAP10、DAP12、FcRα、FcRβ、FcRγ、Fyn、Lck、LAT、LRP、NKG2D、NOTCH1、NOTCH2、NOTCH3、NOTCH4、ROR2、Ryk、Slp76、pTα、TCRα、TCRβ、TRIM、Zap70、PTCH2、またはそれらの任意の組合せに由来するものであり得る。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインまたはその機能的断片は、一次シグナルを含まない。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζを含まない。
【0152】
一部の実施形態では、本開示の融合タンパク質の細胞内シグナル伝達ドメインは、CD28を含む。CD28シグナル伝達は、TCRを介して刺激されるT細胞の増殖を促進する(ChenおよびFlies、Nat. Rev. Immunol.、13巻:227~242頁、2013年)。CD28は、膜貫通ドメインの近位にあるシステイン残基の結果としてジスルフィド連結ホモダイマーを形成する(Lazar-Molnarら、Cell Immunol.、244巻:125~129頁、2006年)。ある特定の実施形態では、CD28シグナル伝達ドメインは、CD28タンパク質の全長細胞内部分、CD28タンパク質の全長成熟細胞内部分、CD28タンパク質の細胞内部分のシグナル伝達断片、およびCD28の膜貫通ドメインまたはその断片と共になったCD28タンパク質の細胞内部分のシグナル伝達断片、またはそれらの任意の組合せを含む。
【0153】
一部の実施形態では、融合タンパク質の細胞内シグナル伝達ドメインは、CD137(4-1BB)の細胞内シグナル伝達ドメインを含有する。CD137は共刺激分子であり、CD137とそのリガンド(4-1BBLまたはCD137L)の結合はT細胞活性化および増殖に関連する(Cheukら、Cancer Gene Therapy、11巻:215~226頁、2004年)。ある特定の実施形態では、CD137シグナル伝達ドメインは、CD137タンパク質の全長細胞内部分、CD137タンパク質の全長成熟細胞内部分、CD137タンパク質の細胞内部分のシグナル伝達断片、およびCD137の膜貫通ドメインまたはその断片と共になったCD137タンパク質の細胞内部分のシグナル伝達断片、またはそれらの任意の組合せを含む。
【0154】
ある特定の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、リンパ球受容体シグナル伝達ドメインを含む、または、1つまたは複数の免疫受容活性化チロシンモチーフ(ITAM)を有するアミノ酸配列を含む。さらに別の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、細胞質シグナル伝達タンパク質と会合する細胞質部分を含み、細胞質シグナル伝達タンパク質は、リンパ球受容体またはそのシグナル伝達ドメイン、複数のITAMを含むタンパク質、共刺激因子、またはそれらの任意の組合せである。
【0155】
一部の例示的な実施形態では、本開示は、CD200に特異的に結合するCD200Rの細胞外部分を含む細胞外成分、CD28の細胞内部分を含む細胞内成分、および細胞外成分と細胞内成分とを連結する疎水性成分を有する融合タンパク質を提供するが、ただし、融合タンパク質::標的複合体は、免疫学的シナプスにおける膜間の距離と同様の距離にまたがるものとする。
【0156】
特定の実施形態では、本開示の融合タンパク質の細胞内成分は、CD28、CD137(4-1BB)またはその両方を含む。例えば、一部の実施形態では、細胞内成分は、配列番号5に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含む。一部の他の実施形態では、細胞内成分は、配列番号13に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、細胞内成分は、2つの細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、CD28およびCD137(4-1BB)を含む。一部の実施形態では、細胞内成分は、配列番号5に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列および配列番号13に記載のヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む。
【0157】
疎水性成分
本開示の単鎖融合タンパク質に含有される疎水性部分により、本開示の融合タンパク質と細胞膜の会合が可能になり、その結果、融合タンパク質の一部が細胞外に位置し、一部が細胞内に位置する(例えば、細胞内シグナル伝達ドメイン)。疎水性成分は、一般に、細胞膜リン脂質二重層内に配置される。ある特定の実施形態では、1つまたは複数の接合部アミノ酸が間に位置し、疎水性部分と細胞内シグナル伝達ドメインを連結する。
【0158】
ある特定の実施形態では、疎水性ドメインは、内在性膜タンパク質(例えば、受容体、表面抗原分類(CD)分子、酵素、輸送体、細胞接着分子など)に由来するものなどの膜貫通ドメインである。一部の実施形態では、疎水性ドメインは、内在性膜タンパク質において見いだされるまたはそれに由来する膜貫通ドメインを含み、膜貫通ドメインは、1つまたは複数のアミノ酸の付加、除去、または分子間相互作用を容易にする荷電または親水性残基などの少なくとも1つの異なるアミノ酸での置き換え、またはそれらの任意の組合せによって改変されている。したがって、「疎水性ドメイン」という用語は、疎水性を低下させ得る改変を有する膜貫通ドメインを含む。
【0159】
一部の実施形態では、疎水性成分は、CD2、CD3ε、CD3δ、CD3ζ、CD25、CD27、CD28、CD40、CD47、CD79A、CD79B、CD80、CD86、CD95(Fas)、CD134(OX40)、CD137(4-1BB)、CD150(SLAMF1)、CD152(CTLA4)、CD200R、CD223(LAG3)、CD270(HVEM)、CD272(BTLA)、CD273(PD-L2)、CD274(PD-L1)、CD278(ICOS)、CD279(PD-1)、TIM3、CD300、CD357(GITR)、A2aR、DAP10、FcRα、FcRβ、FcRγ、Fyn、GAL9、KIR、Lck、LAT、LPA5、LRP、NKG2D、NOTCH1、NOTCH2、NOTCH3、NOTCH4、PTCH2、ROR2、Ryk、Slp76、SIRPα、pTα、TCRα、TCRβ、TIM3、TRIM、またはZap70の膜貫通ドメインを含む。特定の実施形態では、疎水性部分は、CD28、CD4、CD8、CD27、またはCD137(4-1BB)に由来する膜貫通ドメインである。
【0160】
ある特定の実施形態では、膜貫通ドメインは、CD28膜貫通ドメインを含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号4のポリヌクレオチドに対して少なくとも80%、85%、90%、95%またはそれよりも大きな配列同一性を有するポリヌクレオチドによりコードされるアミノ酸配列を有するCD28膜貫通ドメインを含むかまたはこのCD28膜貫通ドメインからなる。さらなる実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号4に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含むかまたは配列番号4に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列からなるCD28膜貫通ドメインである。なおさらなる実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号27のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%またはそれよりも大きな配列同一性を有するCD28膜貫通ドメインである。なおさらなる実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号27に記載のアミノ酸配列を含むかまたは配列番号27に記載のアミノ酸配列からなるCD28膜貫通ドメインである。
【0161】
ある特定の実施形態では、膜貫通ドメインは、CD137(4-1BB)膜貫通ドメインを含む。さらなる実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号197のポリヌクレオチドに対して少なくとも80%、85%、90%、95%またはそれよりも大きな配列同一性を有するポリヌクレオチドによりコードされるアミノ酸配列を有するCD137膜貫通ドメインを含むかまたはこのCD137膜貫通ドメインからなる。特定の実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号197の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含むかまたは配列番号197の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列からなるCD137膜貫通ドメインである。
【0162】
ある特定の他の実施形態では、膜貫通ドメインは、CD200R膜貫通ドメインを含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号3のポリヌクレオチドに対して少なくとも80%、85%、90%、95%またはそれよりも大きな配列同一性を有するポリヌクレオチドによりコードされるアミノ酸配列を有するCD200R膜貫通ドメインを含むかまたはこのCD200R膜貫通ドメインからなる。さらなる実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号3に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含むかまたは配列番号3に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列からなるCD200R膜貫通ドメインである。
【0163】
ある特定の実施形態では、膜貫通ドメインは、SIRPα膜貫通ドメインを含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号18のポリヌクレオチドに対して少なくとも80%、85%、90%、95%またはそれよりも大きな配列同一性を有するポリヌクレオチドによりコードされるアミノ酸配列を有するSIRPα膜貫通ドメインを含むかまたはこのSIRPα膜貫通ドメインからなる。さらなる実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号18に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含むかまたは配列番号18に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列からなるSIRPα膜貫通ドメインである。
【0164】
ある特定の実施形態では、膜貫通ドメインは、CD2膜貫通ドメインを含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号63のポリヌクレオチドに対して少なくとも80%、85%、90%、95%またはそれよりも大きな配列同一性を有するポリヌクレオチドによりコードされるアミノ酸配列を有するCD2膜貫通ドメインを含むかまたはこのCD2膜貫通ドメインからなる。さらなる実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号63に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含むかまたは配列番号63に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列からなるCD2膜貫通ドメインである。
【0165】
ある特定の実施形態では、膜貫通ドメインは、Fas膜貫通ドメインを含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号77のポリヌクレオチドに対して少なくとも80%、85%、90%、95%またはそれよりも大きな配列同一性を有するポリヌクレオチドによりコードされるアミノ酸配列を有するFas膜貫通ドメインを含むかまたはこのFas膜貫通ドメインからなる。さらなる実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号77に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含むかまたは配列番号77に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列からなるFas膜貫通ドメインである。
【0166】
ある特定の実施形態では、膜貫通ドメインは、TIM3膜貫通ドメインを含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号169のポリヌクレオチドに対して少なくとも80%、85%、90%、95%またはそれよりも大きな配列同一性を有するポリヌクレオチドによりコードされるアミノ酸配列を有するTIM3膜貫通ドメインを含むかまたはこのTIM3膜貫通ドメインからなる。さらなる実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号169に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含むかまたは配列番号169に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列からなるTIM3膜貫通ドメインである。
【0167】
ある特定の実施形態では、膜貫通ドメインは、LAG3膜貫通ドメインを含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号155のポリヌクレオチドに対して少なくとも80%、85%、90%、95%またはそれよりも大きな配列同一性を有するポリヌクレオチドによりコードされるアミノ酸配列を有するLAG3膜貫通ドメインを含むかまたはこのLAG3膜貫通ドメインからなる。さらなる実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号155に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含むかまたは配列番号155に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列からなるLAG3膜貫通ドメインである。
【0168】
核酸および宿主細胞
ある特定の態様では、本開示は、免疫調節性融合タンパク質(IFP)であり得る本明細書に記載の融合タンパク質の任意の1つまたは複数をコードする核酸分子を提供する。そのような核酸分子は、目的の宿主細胞(例えば、造血前駆細胞、T細胞)への導入のために、適切なベクター(例えば、ウイルスベクターまたは非ウイルスプラスミドベクター)に挿入することができる。
【0169】
本明細書で使用される場合、「組換え」または「非天然」という用語は、少なくとも1つの遺伝学的変更を含む、または外因性核酸分子の導入により改変された生物体、微生物、細胞、核酸分子、またはベクターを指し、そのような変更または改変は、遺伝子工学により導入される。遺伝学的変更は、例えば、タンパク質、融合タンパク質または酵素をコードする発現可能な核酸分子を導入する改変、または他の核酸分子の付加、欠失、置換または細胞の遺伝物質の他の機能的破壊を含む。追加的な改変は、例えば、改変により遺伝子またはオペロンの発現が変化する非コード調節領域を含む。ある特定の実施形態では、被験体から得たT細胞などの細胞を、本明細書に記載の融合タンパク質をコードする核酸を導入し、それによって細胞が融合タンパク質を発現することにより、非天然または組換え細胞(例えば、非天然または組換えT細胞)に転換することができる。
【0170】
ある特定の実施形態では、融合タンパク質をコードする核酸分子は、特定の型のT細胞などの細胞における発現を増強するまたは最大にするために、コドン最適化することができる(Scholtenら、Clin. Immunol.、119巻:135~145頁、2006年)。
【0171】
例示的な一実施形態では、本開示は、CD200R-CD28構築物(huCD200Rtm-CD28)をコードする核酸分子であって、細胞外成分がCD200R外部ドメインを含み、疎水性成分がCD200Rの膜貫通ドメインを含み、細胞内成分がCD28の細胞内シグナル伝達ドメインを含む、核酸分子を提供する。例えば、一実施形態では、配列番号1に記載の核酸分子が提供される。ある特定の実施形態では、本開示は、配列番号1のポリヌクレオチド配列と少なくとも80%または少なくとも90%同一であるポリヌクレオチドを含むhuCD200Rtm-CD28を提供する。他の実施形態では、本開示は、配列番号1のポリヌクレオチド配列を含むかまたは配列番号1のポリヌクレオチド配列からなるhuCD200Rtm-CD28を提供する。
【0172】
別の例示的な実施形態では、本開示は、CD200R-CD28構築物(huCD200R-CD28tm)をコードする核酸分子であって、疎水性成分がCD28の膜貫通ドメインを含む、核酸分子を提供する。例えば、一実施形態では、本開示は、配列番号6に記載の核酸分子を提供する。ある特定の実施形態では、本開示は、配列番号6のポリヌクレオチド配列と少なくとも80%または少なくとも90%同一であるポリヌクレオチドを含むhuCD200R-CD28tmを提供する。他の実施形態では、本開示は、配列番号6のポリヌクレオチド配列を含むかまたは配列番号6のポリヌクレオチド配列からなるhuCD200R-CD28tmを提供する。さらなる実施形態では、huCD200R-CD28tmタンパク質は、配列番号29に記載のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または100%同一であるアミノ酸配列を有する。
【0173】
他の例示的な実施形態では、本開示は、CD200R-CD28構築物をコードする核酸分子であって、細胞外成分がCD200Rの切断された細胞外ドメインおよびCD28の細胞外部分を含む、核酸分子を提供する。例えば、CD200R細胞外ドメインは、約9~約15アミノ酸短縮されたものであり得る。本開示の例示的なCD200R-CD28構築物は、9アミノ酸短縮されたもの(例えば、huCD200R-9aas-CD28Cys、配列番号7)、12アミノ酸短縮されたもの(例えば、huCD200R-12aas-CD28Cys、配列番号10)、または15アミノ酸短縮されたもの(例えば、huCD200R-15aas-CD28Cys、配列番号183)を含む。CD28の細胞外部分は、一部の実施形態では、配列番号9に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、CD28の細胞外部分は、配列番号32に記載のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。さらなる実施形態では、CD28の細胞外部分は、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むかまたは配列番号32に記載のアミノ酸配列からなる。ある特定の他の実施形態では、huCD200R-9aas-CD28Cysタンパク質は、配列番号30に記載のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。例示的なhuCD200R-9aas-CD28Cysタンパク質は、配列番号30に記載のアミノ酸配列を含むかまたは配列番号30に記載のアミノ酸配列からなる。ある特定の他の実施形態では、huCD200R-12aas-CD28Cysタンパク質は、配列番号33に記載のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。例示的なhuCD200R-12aas-CD28Cysタンパク質は、配列番号33に記載のアミノ酸配列を含むかまたは配列番号33に記載のアミノ酸配列からなる。ある特定の他の実施形態では、huCD200R-15aas-CD28Cysタンパク質は、配列番号184に記載のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。例示的なhuCD200R-15aas-CD28Cysタンパク質は、配列番号184に記載のアミノ酸配列を含むかまたは配列番号184に記載のアミノ酸配列からなる。
【0174】
例示的な一実施形態では、本開示は、CD200R-CD28-4-1BB構築物(huCD200R-9aas-CD28Cystm-41BBicまたはhuCD200R-12aas-CD28Cystm-41BBic)をコードする核酸分子であって、細胞内成分がCD137(4-1BB)の細胞内シグナル伝達ドメインを含む、核酸分子を提供する。例えば、一実施形態では、核酸分子は、配列番号12または配列番号14に記載のヌクレオチド配列を有する。
【0175】
別の例示的な実施形態では、本開示は、CD200R-CD28-4-1BB構築物(huCD200R-9aas-CD28Cys tm ic 41BBicまたはhuCD200R-12aas-CD28Cys tm ic-41BBic)をコードする核酸分子であって、細胞内成分がCD28の細胞内シグナル伝達ドメインおよびCD137(4-1BB)の細胞内シグナル伝達ドメインを含む、核酸分子を提供する。一実施形態では、例えば、本開示の核酸は、配列番号9または配列番号15に記載のヌクレオチド配列を有する。
【0176】
他の例示的な実施形態では、本開示は、SIRPα-CD28構築物をコードする核酸分子を提供する。例えば、本開示は、配列番号16に記載の核酸分子(huSIRPαtm-CD28)または配列番号19に記載の核酸分子(huSIRPα-CD28tm)を含む。
【0177】
他の例示的な実施形態では、本開示は、SIRPα-CD28構築物をコードする核酸分子であって、細胞外成分がSIRPαの切断された細胞外ドメインおよびCD28の細胞外部分を含む、核酸分子を提供する。例えば、SIRPα細胞外ドメインは、約8アミノ酸~約15アミノ酸短縮されたものであり得る。例示的なSIRPα-CD28構築物は、12アミノ酸短縮されたCD95(Fas)細胞外ドメインを有する(例えば、huSIRPα-12aas-CD28Cys、配列番号20)。
【0178】
例示的な一実施形態では、本開示は、SIRPα-CD28-4-1BB構築物(huSIRPα-12aas-CD28Cystm-41BBic)をコードする核酸分子であって、細胞内成分がCD137(4-1BB)の細胞内シグナル伝達ドメインを含む、核酸分子を提供する。例えば、一実施形態では、本開示の核酸は、配列番号22に記載のヌクレオチド配列を有する。
【0179】
別の例示的な実施形態では、本開示は、SIRPα-CD28-4-1BB構築物(huSIRPα-12aas-CD28Cys tm ic-41BBic)をコードする核酸分子であって、細胞内成分がCD28の細胞内シグナル伝達ドメインおよびCD137(4-1BB)の細胞内シグナル伝達ドメインを含む、核酸分子を提供する。一実施形態では、例えば、本開示の核酸は、配列番号23に記載のヌクレオチド配列を有する。
【0180】
他の例示的な実施形態では、本開示は、PD-1-CD28構築物をコードする核酸分子を提供する。例えば、本開示は、配列番号97に記載の核酸分子(huPD1-CD28Cys)を含む。
【0181】
他の例示的な実施形態では、本開示は、PD-1-CD28構築物をコードする核酸分子であって、細胞外成分がPD-1の切断された細胞外ドメインおよびCD28の細胞外部分を含む、核酸分子を提供する。例えば、PD-1細胞外ドメインは、約10アミノ酸~約25アミノ酸短縮されたものであり得る。例示的なPD-1-CD28構築物は、12アミノ酸(例えば、huPD1-12aas-CD28Cys、配列番号99)、15アミノ酸(例えば、huPD1-15aas-CD28Cys、配列番号101)、または21アミノ酸(例えば、huPD1-21aas-CD28Cys、配列番号103)短縮されたPD-1細胞外ドメインを有する。
【0182】
他の例示的な実施形態では、本開示は、CD2-CD28構築物をコードする核酸分子を提供する。例えば、本開示は、配列番号69に記載の核酸分子(huCD2-CD28Cys)を含む。
【0183】
他の例示的な実施形態では、本開示は、Fas-CD28構築物をコードする核酸分子を提供する。例えば、本開示は、配列番号83に記載の核酸分子(huFas-CD28Cys)を含む。
【0184】
他の例示的な実施形態では、本開示は、Fas-CD28構築物をコードする核酸分子であって、細胞外成分がFasの切断された細胞外ドメインおよびCD28の細胞外部分を含む、核酸分子を提供する。例えば、Fas細胞外ドメインは、約7アミノ酸~約15アミノ酸短縮されたものであり得る。例示的なFas-CD28構築物は、7アミノ酸(例えば、huFas-7aas-CD28Cys、配列番号85)または12アミノ酸(例えば、huFas-12aas-CD28Cys、配列番号87)短縮されたCD95(Fas)細胞外ドメインを有する。
【0185】
別の例示的な実施形態では、本開示は、Fas-4-1BB構築物をコードする核酸分子であって、細胞外成分が、CD95(Fas)の細胞外ドメイン全体または切断された細胞外ドメインを含み、細胞内成分が、CD137(4-1BB)のシグナル伝達ドメインを含む、核酸分子を提供する。さらなる実施形態では、核酸分子は、Fas-4-1BB構築物をコードし、疎水性成分は、CD95(Fas)またはCD137(4-1BB)の膜貫通部分をさらに含む。例えば、ある特定の実施形態では、Fas-4-1BB構築物は、配列番号185のポリヌクレオチド配列と少なくとも80%、85%、90%、95%またはそれよりも大きな配列同一性を有する核酸分子によりコードされる。一部の実施形態では、Fas-4-1BB構築物は、配列番号185のポリヌクレオチド配列を含むかまたは配列番号185のポリヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドによりコードされる。他の実施形態では、Fas-4-1BB構築物は、配列番号187のポリヌクレオチド配列と少なくとも80%、85%、90%、95%またはそれよりも大きな配列同一性を有する核酸分子によりコードされる。一部の実施形態では、Fas-4-1BB構築物は、配列番号187のポリヌクレオチド配列を含むかまたは配列番号187のポリヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドによりコードされる。ある特定の他の実施形態では、Fas-4-1BB構築物は、配列番号186に記載のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むhuFastm-41BBタンパク質である。例示的なhuFastm-41BBタンパク質は、配列番号186に記載のアミノ酸配列を含むかまたは配列番号186に記載のアミノ酸配列からなる。ある特定の他の実施形態では、Fas-4-1BB構築物は、配列番号188に記載のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むhuFas-41BBtmタンパク質である。例示的なhuFas-41BBtmタンパク質は、配列番号188に記載のアミノ酸配列を含むかまたは配列番号188に記載のアミノ酸配列からなる。
【0186】
他の例示的な実施形態では、本開示は、Fas-CD28-41BB構築物をコードする核酸分子であって、細胞外成分が、CD95(Fas)の細胞外ドメインを含み、疎水性成分が、CD28の膜貫通ドメインを含み、細胞内成分が、CD137(4-1BB)のシグナル伝達ドメインを含む、核酸分子を提供する。一部の実施形態では、細胞外成分は、切断されたCD95(Fas)の細胞外ドメインおよびCD28の細胞外部分を含む。例えば、CD95(Fas)細胞外ドメインは、約7アミノ酸~約15アミノ酸短縮されたものであり得る。例示的なFas-CD28-41BB構築物は、7アミノ酸、9アミノ酸、12アミノ酸、または15アミノ酸短縮されたCD95(Fas)細胞外ドメインを有する。例えば、一部の実施形態では、CD95(Fas)細胞外ドメインは、配列番号73または75に記載の核酸配列によりコードされるアミノ酸配列を含み得る。CD28の細胞外部分は、マルチマー形成ドメインを含み得る。CD28の細胞外部分は、例えば、配列番号9に記載の核酸配列によりコードされるアミノ酸配列を含み得る。
【0187】
他の例示的な実施形態では、本開示は、TIM3-CD28構築物をコードする核酸分子を提供する。例えば、本開示は、配列番号173に記載の核酸分子(huTIM3-CD28Cys)を含む。細胞外成分がTIM3の切断された細胞外ドメインおよびCD28の細胞外部分を含むTIM3-CD28融合タンパク質も本開示の範囲内に含まれる。例えば、TIM3細胞外ドメインは、約8~約15アミノ酸短縮されたものであり得る(例えば、huTIM3-12aas-CD28Cys、配列番号175は12アミノ酸の短縮を有する)。
【0188】
他の例示的な実施形態では、本開示は、LAG3-CD28構築物をコードする核酸分子を提供する。例えば、本開示は、配列番号163に記載の核酸分子(huLAG3-CD28Cys)を含む。細胞外成分がLAG3の切断された細胞外ドメインおよびCD28の細胞外部分を含むLAG3-CD28融合タンパク質も本開示の範囲内に含まれる。例えば、LAG3細胞外ドメインは、12アミノ酸短縮されたものであり得る(例えば、huLAG3-12aas-CD28Cys、配列番号159)。
【0189】
コアウイルスをコードするベクターは、本明細書では、「ウイルスベクター」と呼ばれる。ヒト遺伝子療法への適用のために同定されたものを含め、本開示の組成物と共に使用するのに適した多数の入手可能なウイルスベクターが存在する(PfeiferおよびVerma、Ann. Rev. Genomics Hum. Genet.、2巻:177頁、2001年を参照されたい)。適切なウイルスベクターは、RNAウイルスに基づくベクター、例えば、レトロウイルス由来ベクター、例えば、モロニーマウス白血病ウイルス(MLV)由来ベクターなどを含み、より複雑なレトロウイルス由来ベクター、例えば、レンチウイルス由来ベクターを含む。HIV-1由来ベクターはこのカテゴリーに属する。他の例は、HIV-2、FIV、ウマ伝染性貧血ウイルス、SIV、およびマエディ-ビスナウイルス(ヒツジレンチウイルス)に由来するレンチウイルスベクターを含む。キメラ抗原受容体導入遺伝子を含有するウイルス粒子を用いて哺乳動物宿主細胞に形質導入するための、レトロウイルスウイルスベクターおよびレンチウイルスウイルスベクターならびにパッケージング細胞の使用方法は当技術分野で公知であり、以前に、例えば、米国特許第8,119,772号;Walchliら、PLoS One、6巻:327930頁、2011年;Zhaoら、J. Immunol.、174巻:4415頁、2005年;Engelsら、Hum. Gene Ther.、14巻:1155頁、2003年;Frechaら、Mol. Ther.、18巻:1748頁、2010年;Verhoeyenら、Methods Mol. Biol.、506巻:97頁、2009年に記載されている。レトロウイルスおよびレンチウイルスベクター構築物および発現系はまた、市販もされている。
【0190】
ある特定の実施形態では、ウイルスベクターを使用して、融合タンパク質をコードする非内因性核酸配列または標的に特異的な融合タンパク質をコードする非内因性核酸配列を導入する。ウイルスベクターは、レトロウイルスベクターまたはレンチウイルスベクターであり得る。ウイルスベクターは、形質導入についてのマーカーをコードする核酸配列も含み得る。ウイルスベクター用の形質導入マーカーは当技術分野で公知であり、薬物耐性を付与することができる選択マーカー、または、フローサイトメトリーなどの方法によって検出することができる蛍光マーカーまたは細胞表面タンパク質などの検出可能なマーカーを含む。特定の実施形態では、ウイルスベクターは、緑色蛍光タンパク質(GFP)を含む形質導入についての遺伝子マーカー、ヒトCD2の細胞外ドメイン、または切断されたヒトEGFR(huEGFRt;Wangら、Blood、118巻:1255頁、2011年を参照されたい)をさらに含む。ウイルスベクターゲノムが、別々の転写物として宿主細胞において発現される複数の核酸配列を含む場合、ウイルスベクターは、2つ(またはそれ超)の転写物の間に、バイシストロン性または多シストロン性の発現を可能にする追加的な配列も含み得る。ウイルスベクターに使用するそのような配列の例は、配列内リボソーム進入部位(IRES)、フューリン切断部位、ウイルス2Aペプチド、またはそれらの任意の組合せを含む。
【0191】
例えばアデノウイルスに基づくベクターおよびアデノ随伴ウイルス(AAV)に基づくベクターを含めた、DNAウイルスベクター;アンプリコンベクター、複製欠損HSVおよび弱毒化HSVを含めた、単純ヘルペスウイルス(HSV)に由来するベクターを含めた他のベクターも、ポリヌクレオチド送達のために使用することができる(Kriskyら、Gene Ther.、5巻:1517頁、1998年)。
【0192】
遺伝子療法への使用のために最近開発された他のベクターも本開示の組成物および方法と共に使用することができる。そのようなベクターは、バキュロウイルスおよびα-ウイルスに由来するもの(Jolly, D J.、1999年、Emerging Viral Vectors.、209~40頁、Friedmann T.編、The Development of Human Gene Therapy.、New York: Cold Spring Harbor Lab)、またはプラスミドベクター(例えば、sleeping beautyまたは他のトランスポゾンベクターなど)を含む。一部の実施形態では、ウイルスベクターまたはプラスミドベクターは、形質導入についての遺伝子マーカー(例えば、緑色蛍光タンパク質、huEGFRt)をさらに含む。
【0193】
一部の実施形態では、本明細書で開示される融合タンパク質をコードするベクターは、1つ超の融合タンパク質をコードし得る。例えば、ベクターは、2つの異なる融合タンパク質(例えば、PD-1外部ドメインを含む第1の融合タンパク質およびTIM3外部ドメインを含む第2の融合タンパク質)をコードし得る。
【0194】
一部の実施形態では、本明細書で開示される融合タンパク質をコードするベクターは、抗原特異的TCRをさらに含み得る。一部の実施形態では、抗原特異的TCRは外因性である。一部の実施形態では、抗原特異的TCRは、HLA(MHC)クラスI制限抗原に特異的である。一部の実施形態では、抗原は、がん特異的抗原である。がん特異的抗原がWT-1、メソテリン、またはサイクリン-A1を含む実施形態も本開示の範囲内に入る。さらに他の実施形態では、本明細書で開示される融合タンパク質をコードするベクターは、CD200、CD47、PD-L1、またはCD58であり得るリガンドをさらにコードする。さらに別の実施形態では、本明細書で開示される融合タンパク質をコードするベクターは、内因性受容体の発現を低下させるためのsiRNAをさらにコードする。一部の特定の実施形態では、内因性受容体は、CD200R、SIRPα、CD279(PD-1)、CD95(Fas)またはCD2である。
【0195】
一部の実施形態では、本開示の融合タンパク質を細胞表面上に発現することができる宿主細胞は、免疫細胞である。一部の実施形態では、本開示の融合タンパク質を細胞表面上に発現することができる宿主細胞は、ヒト、マウス、ラット、または他の哺乳動物に由来する初代細胞または細胞株を含めたT細胞である。T細胞は、哺乳動物から得る場合、血液、骨髄、リンパ節、胸腺、または他の組織または体液を含めた多数の供給源から得ることができる。T細胞は、濃縮または精製することができる。T細胞株は当技術分野で周知であり、その一部は、Sandbergら、Leukemia、21巻:230頁、2000年に記載されている。ある特定の実施形態では、TCR α鎖およびβ鎖の内因性発現を欠くT細胞を使用する。そのようなT細胞は、TCR α鎖およびβ鎖の内因性発現を天然に欠くものであってもよく、発現が遮断されるように改変されたもの(例えば、TCR α鎖およびβ鎖を発現しないトランスジェニックマウス由来のT細胞もしくはTCR α鎖およびβ鎖の発現が阻害されるように操作された細胞)またはTCR α鎖、TCR β鎖、または両方の遺伝子がノックアウトされるように改変されたものであってもよい。一部の実施形態では、T細胞を、特定の抗原に特異的なTCRを発現するように操作することができる。
【0196】
ある特定の実施形態では、本開示の融合タンパク質を発現するようにトランスフェクトされる宿主細胞は、ウイルス特異的T細胞、腫瘍抗原特異的細胞傷害性T細胞、ナイーブT細胞、メモリー幹T細胞、セントラルまたはエフェクターメモリーT細胞、γδ T細胞、またはCD4+CD25+調節T細胞などの機能的T細胞である。さらなる実施形態では、本開示の融合タンパク質をコードする核酸分子を、バルクCD8+T細胞、ナイーブCD8+T細胞、CD8+TCM細胞、CD8+TEM細胞、またはそれらの任意の組合せに導入する。さらに別の実施形態では、本開示の融合タンパク質をコードする核酸分子を、バルクCD4+T細胞、ナイーブCD4+T細胞、CD4+TCM細胞、CD4+TEM細胞、またはそれらの任意の組合せに導入する。他の実施形態では、本開示の融合タンパク質をコードする核酸分子を、ナイーブCD8+T細胞およびCD8+TCM細胞が濃縮されたT細胞の集団に導入する。さらに他の実施形態では、本開示の融合タンパク質をコードする核酸分子を、ナイーブCD4+T細胞およびCD4+TCM細胞が濃縮されたT細胞の集団に導入する。上述の実施形態のいずれかにおいて、T細胞は、操作された抗原特異的T細胞受容体(TCR)、操作された抗原特異的高親和性TCR、外因性共刺激分子、キメラ抗原受容体(CAR)、またはそれらの任意の組合せをコードする核酸分子をさらに含有する。
【0197】
ある特定の実施形態では、本開示の融合タンパク質を発現するようにトランスフェクトされる宿主細胞は、機能的なナチュラルキラー細胞である。
【0198】
本開示の融合タンパク質を発現するT細胞の増殖を促進する1つまたは複数の増殖因子サイトカインを、T細胞を拡大させるために使用する培養物に添加することができる。サイトカインは、ヒトまたは非ヒトであり得る。T細胞増殖を促進するために使用することができる例示的な増殖因子サイトカインは、IL2、IL15などを含む。
【0199】
ある特定の実施形態では、本開示の融合タンパク質を発現するようにトランスフェクトされる宿主T細胞は、HLA(MHC)クラスI制限抗原に特異的な抗原特異的高親和性TCRも発現するCD4T細胞である(Sotoら、Cancer Immunol Immunother.、62巻:359~369頁、2013年を参照されたい)。
【0200】
ある特定の実施形態では、本開示の融合タンパク質を発現するようにトランスフェクトされる宿主T細胞は、がん抗原に特異的な組換えTCRも発現する。一部の実施形態では、がん抗原は、WT1である。「WT1」は、C末端に4つのジンクフィンガーモチーフを含有し、N末端にプロリン/グルタミンリッチDNA結合ドメインを含有する転写因子であるウィルムス腫瘍1を指す。WT1は、泌尿生殖器系の正常な発達において重要な役割を有し、ウィルムス腫瘍の患者の小さなサブセットにおいて変異している。WT1の高発現は、乳がん、卵巣がん、急性白血病、血管の新生物、黒色腫、結腸がん、肺がん、甲状腺がん、骨および軟部組織肉腫、ならびに食道がんを含めた様々ながんにおいて観察されている。WT1について選択的スプライシングが認められている。
【0201】
ある特定の実施形態では、本開示の融合タンパク質を発現するようにトランスフェクトされる宿主T細胞は、メソテリンに特異的な組換えTCRも発現する。「メソテリン」(MSLN)は、2つの生成物、巨核球増強因子およびメソテリンに切断される前駆タンパク質をコードする遺伝子を指す。巨核球増強因子は、骨髄巨核球におけるコロニー形成を刺激することができるサイトカインとして機能する。メソテリンは、細胞接着タンパク質として機能し得るグリコシルホスファチジルイノシトール係留細胞表面タンパク質である。このタンパク質は、上皮中皮腫、卵巣がんにおいて、および特定の扁平上皮細胞癌において過剰発現する。選択的スプライシングにより、多数の転写物改変体が生じる。
【0202】
ある特定の実施形態では、本開示の融合タンパク質を発現するようにトランスフェクトされる宿主T細胞は、サイクリン-A1に特異的な組換えTCRも発現する。
【0203】
ある特定の実施形態では、本開示の融合タンパク質を発現するようにトランスフェクトされる宿主T細胞は、CARも発現する。
【0204】
さらに他の実施形態では、本明細書で開示される融合タンパク質を発現する宿主細胞は、CD200、CD47、PD-L1、またはCD58であり得るリガンドをさらに含む。さらに別の実施形態では、本明細書で開示される融合タンパク質を発現する宿主細胞は、内因性受容体の発現を低下させるためのsiRNAをさらに発現する。一部の特定の実施形態では、内因性受容体は、CD200R、SIRPα、CD279(PD-1)、CD95(Fas)、またはCD2である。
【0205】
一部の実施形態では、本明細書で開示される融合タンパク質を発現する宿主細胞は、1つ超の融合タンパク質を発現し得る。例えば、宿主細胞は、2つの異なる融合タンパク質(例えば、PD-1外部ドメインを含む第1の融合タンパク質およびTIM3外部ドメインを含む第2の融合タンパク質)を発現し得る。
【0206】
使用
本開示に記載の融合タンパク質を発現する細胞を用いて処置することができる疾患は、がん、感染症(ウイルス感染、細菌感染、原生動物感染)、免疫疾患(例えば、自己免疫性)、または老化関連疾患(例えば、老化)を含む。養子免疫および遺伝子療法は、様々な型のがん(Morganら、Science、314巻:126頁、2006年;Schmittら、Hum. Gene Ther.、20巻:1240頁、2009年;June、J. Clin. Invest.、117巻:1466頁、2007年)および感染症(Kitchenら、PLoS One、4巻:38208頁、2009年;Rossiら、Nat. Biotechnol.、25巻:1444頁、2007年;Zhangら、PLoS Pathog.、6巻:e1001018頁、2010年;Luoら、J. Mol. Med.、89巻:903頁、2011年)に対して有望な処置である。
【0207】
固形腫瘍および白血病を含む、様々ながんは、本明細書で開示する組成物および方法に感受性である。処置することができる例示的な種類のがんは、乳房、前立腺、および結腸の腺癌;肺のすべての型の気管支原性癌;骨髄性白血病;黒色腫;肝がん;神経芽腫;乳頭腫;アプドーマ;分離腫;鰓腫;悪性カルチノイド症候群;カルチノイド心疾患;ならびに癌腫(例えば、ウォーカー、基底細胞、基底有棘細胞、ブラウン・ピアース、腺管、エールリッヒ腫瘍、クレブス2、メルケル細胞、粘液性、非小細胞肺、エンバク細胞、乳頭状、硬性、細気管支、気管支原性、扁平上皮細胞、および移行上皮)を含む。処置することができるさらなる種類のがんは、組織球性障害;悪性組織球症;白血病;ホジキン病;免疫増殖性小細胞(immunoproliferative small);非ホジキンリンパ腫;形質細胞腫;細網内皮症;黒色腫;軟骨芽細胞腫;軟骨腫;軟骨肉腫;線維腫;線維肉腫;巨細胞腫;組織球腫;脂肪腫;脂肪肉腫;中皮腫;粘液腫;粘液肉腫;骨腫;骨肉腫;脊索腫;頭蓋咽頭腫;未分化胚細胞腫;過誤腫;間葉腫;中腎腫;筋肉腫;エナメル上皮腫;セメント質腫;歯牙腫;奇形腫;胸腺腫;絨毛性腫瘍を含む。さらに、以下の種類のがんも処置に感受性であると考えられる:腺腫;胆管腫;コレステリン腫;円柱腫(cyclindroma);嚢胞腺癌;嚢胞腺腫;顆粒膜細胞腫;半陰陽性卵巣腫瘍;肝がん;汗腺腫;膵島細胞腫瘍;ライジッヒ細胞腫;乳頭腫;セルトリ細胞腫;卵胞膜細胞腫;平滑筋腫(leimyoma);平滑筋肉腫;筋芽細胞腫;筋腫(myomma);筋肉腫;横紋筋腫;横紋筋肉腫;上衣腫;神経節細胞腫;神経膠腫;髄芽腫;髄膜腫;神経鞘腫;神経芽細胞腫;神経上皮腫;神経線維腫;神経腫;傍神経節腫;非クロム親和性傍神経節腫。処置することができる種類のがんは、被角血管腫;好酸球増加随伴性血管類リンパ組織増殖症;硬化性血管腫;血管腫症;グロムス血管腫;血管内皮腫;血管腫;血管外皮細胞腫;血管肉腫;リンパ管腫;リンパ管筋腫;リンパ管肉腫;松果体腫;癌肉腫;軟骨肉腫;葉状嚢胞肉腫;線維肉腫;血管肉腫;平滑筋肉腫;白血肉腫(leukosarcoma);脂肪肉腫;リンパ管肉腫;筋肉腫;粘液肉腫;卵巣癌腫;横紋筋肉腫;肉腫;新生物;神経線維腫症(nerofibromatosis);および子宮頸部異形成をも含む。
【0208】
融合タンパク質T細胞療法に感受性である例示的なさまざまな過剰増殖性障害は、B細胞リンパ腫(様々な種類のホジキン病、非ホジキンリンパ腫(NHL)または中枢神経系リンパ腫など)、白血病(急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、ヘアリーセル白血病、慢性骨髄性白血病のB細胞芽球化反応(B cell blast transformation)、および急性骨髄性白血病(AML))ならびに骨髄腫(多発性骨髄腫)などを含む、B細胞がんである。さらなるB細胞がんは、小リンパ球性リンパ腫、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、脾臓辺縁層リンパ腫、形質細胞骨髄腫、骨の孤立性形質細胞腫、骨外形質細胞腫(extraosseous plasmacytoma)、粘膜関連(MALT)リンパ様組織の節外性辺縁層B細胞リンパ腫、結節性辺縁層B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、縦隔の(胸腺の)大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性滲出液リンパ腫、バーキットリンパ腫/白血病、未確定の悪性度のB細胞増殖(B-cell proliferations of
uncertain malignant potential)、リンパ腫様肉芽腫症、および移植後リンパ増殖性障害を含む。
【0209】
炎症性疾患および自己免疫疾患は、関節炎、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、変形性関節症、多発性軟骨炎、乾癬性関節炎、乾癬、皮膚炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、封入体筋炎、炎症性筋炎、中毒性表皮壊死症、全身性強皮症および硬化症、CREST症候群、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、呼吸窮迫症候群、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、髄膜炎、脳炎、ぶどう膜炎、大腸炎、糸球体腎炎、アレルギー性状態、湿疹、喘息、T細胞の浸潤および慢性炎症性応答を伴う状態、アテローム性動脈硬化症、自己免疫性心筋炎、白血球接着不全症、全身性エリテマトーデス(SLE)、亜急性皮膚エリテマトーデス、円板状ループス、ループス脊髄炎、ループス脳炎、若年発症糖尿病、多発性硬化症、アレルギー性脳脊髄炎、視神経脊髄炎、リウマチ熱、シドナム舞踏病、サイトカインおよびT-リンパ球によって媒介される急性過敏症および遅延型過敏症に関連する免疫応答、結核、サルコイドーシス、ウェゲナー肉芽腫症およびチャーグ・ストラウス病を含めた肉芽腫症、顆粒球減少症、血管炎(過敏性血管炎(hypersensitivity vasculitis)/過敏性血管炎(hypersensitivity angiitis)、ANCAおよびリウマチ性血管炎を含む)、再生不良性貧血、ダイアモンド・ブラックファン貧血、自己免疫性溶血性貧血(AIHA)を含めた免疫性溶血性貧血、悪性貧血、赤芽球ろう(PRCA)、第VIII因子欠乏症、血友病A、自己免疫性好中球減少症、汎血球減少、白血球減少症、白血球漏出を伴う疾患、中枢神経系(CNS)炎症性障害、多臓器傷害症候群、重症筋無力症、抗原抗体複合体媒介性疾患、抗糸球体基底膜抗体病、抗リン脂質抗体症候群、アレルギー性神経炎、ベーチェット病、キャッスルマン症候群、グッドパスチャー症候群、ランバート・イートン筋無力症症候群、レイノー症候群(Reynaud’s syndrome)、シェーグレン症候群(Sjorgen’s syndrome)、スティーブンス・ジョンソン症候群、実質臓器移植片拒絶、移植片対宿主病(GVHD)、水疱性類天疱瘡、天疱瘡、自己免疫性多発性内分泌腺症、血清反応陰性脊椎関節症、ライター病、スティフ・マン症候群、巨細胞性動脈炎、免疫複合体腎炎、IgA腎症、IgM多発ニューロパチーまたはIgM媒介性ニューロパチー、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic throbocytopenic purpura)(TTP)、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、自己免疫性血小板減少症、自己免疫性精巣炎および卵巣炎を含めた精巣および卵巣の自己免疫疾患、原発性甲状腺機能低下症;自己免疫性甲状腺炎、慢性甲状腺炎(橋本甲状腺炎)、亜急性甲状腺炎、特発性甲状腺機能低下症、アジソン病、グレーブス病、自己免疫性多腺性症候群(autoimmune polyglandular syndrome)(または多腺性内分泌疾患症候群)、インスリン依存性糖尿病(IDDM)とも呼ばれる1型糖尿病およびシーハン症候群を含めた自己免疫性内分泌疾患;自己免疫性肝炎、リンパ性間質性肺炎(HIV)、閉塞性細気管支炎(非移植)、非特異的間質性肺炎(NSIP)、ギラン・バレー症候群、大型血管炎(リウマチ性多発筋痛および巨細胞(高安)動脈炎を含む)、中型血管炎(川崎病および結節性多発性動脈炎を含む)、結節性多発性動脈炎(PAN)強直性脊椎炎、ベルジェ病(IgA腎症)、急速進行性糸球体腎炎、原発性胆汁性肝硬変、セリアックスプルー(グルテン腸症)、寒冷グロブリン血症、肝炎に関連する寒冷グロブリン血症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、冠動脈疾患、家族性地中海熱、顕微鏡的多発血管炎、コーガン症候群、ウィスコット・アルドリッチ症候群および閉塞性血栓性血管炎を含む。
【0210】
特定の実施形態では、本明細書で開示される融合タンパク質を用いて被験体を処置する方法は、急性骨髄球性白血病、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病(AML)、および慢性骨髄球性白血病を処置することを含む。
【0211】
特定の実施形態では、本明細書で開示される融合タンパク質を用いて被験体を処置する方法は、膵がんを処置することを含む。
【0212】
特定の実施形態では、本明細書で開示される融合タンパク質を用いて被験体を処置する方法は、卵巣がんを処置することを含む。
【0213】
特定の実施形態では、本明細書で開示される融合タンパク質を用いて疾患を処置する方法であって、疾患が、CD200を発現する固形腫瘍またはCD200である骨髄細胞によって浸潤される腫瘍を含み、融合タンパク質が、CD200Rの細胞外部分を含む細胞外成分を有する、方法が提供される。
【0214】
特定の実施形態では、本明細書で開示される融合タンパク質を用いて疾患を処置する方法であって、疾患が、急性骨髄性白血病(AML)を含み、融合タンパク質が、CD200R、SIRPα、CD95(Fas)、CD279(PD-1)、またはCD2の細胞外部分を含む細胞外成分を有する、方法が提供される。
【0215】
特定の実施形態では、本明細書で開示される融合タンパク質を用いて疾患を処置する方法であって、疾患が、固形腫瘍を含み、融合タンパク質が、TIM3、CD223(LAG3)、CD95(Fas)、CD279(PD-1)、またはCD2の細胞外部分を含む細胞外成分を有する、方法が提供される。
【0216】
特定の実施形態では、本明細書で開示される融合タンパク質を用いて疾患を処置する方法であって、疾患が、乳がん、卵巣がん、結腸がん、前立腺がん、または多発性骨髄腫を含み、融合タンパク質が、CD200Rの細胞外部分を含む細胞外成分を有する、方法が提供される。一部のそのような実施形態では、CD200R-9aas-CD28Cys融合タンパク質は、配列番号7に記載のポリヌクレオチド配列と少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%同一であるポリヌクレオチドによりコードされる。ある特定の実施形態では、CD200R-9aas-CD28Cys融合タンパク質は、配列番号7に記載のポリヌクレオチド配列を含むかまたは配列番号7に記載のポリヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドによりコードされる。他の実施形態では、CD200R-9aas-CD28Cys融合タンパク質は、配列番号30に記載のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。さらなる実施形態では、CD200R-9aas-CD28Cys融合タンパク質は、配列番号30に記載のアミノ酸配列を含むかまたは配列番号30に記載のアミノ酸配列からなる。
【0217】
特定の実施形態では、本明細書で開示される融合タンパク質を用いて疾患を処置する方法であって、疾患が、卵巣がん、膵がん、またはAMLを含み、融合タンパク質が、CD95(Fas)の細胞外部分を含む細胞外成分を有する、方法が提供される。一部のそのような実施形態では、Fastm-4-1BB融合タンパク質は、配列番号185に記載のポリヌクレオチド配列と少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%同一であるポリヌクレオチドによりコードされる。ある特定の実施形態では、Fastm-4-1BB融合タンパク質は、配列番号185に記載のポリヌクレオチド配列を含むかまたは配列番号185に記載のポリヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドによりコードされる。他の実施形態では、Fastm-4-1BB融合タンパク質は、配列番号186に記載のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。さらなる実施形態では、Fastm-4-1BB融合タンパク質は、配列番号186に記載のアミノ酸配列を含むかまたは配列番号186に記載のアミノ酸配列からなる。
【0218】
特定の実施形態では、本明細書で開示される融合タンパク質を用いて疾患を処置する方法であって、疾患が、卵巣がん、膵がん、またはAMLを含み、融合タンパク質が、CD95(Fas)の細胞外部分を含む細胞外成分を有する、方法が提供される。一部のそのような実施形態では、Fas-4-1BBtm融合タンパク質は、配列番号187に記載のポリヌクレオチド配列と少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%同一であるポリヌクレオチドによりコードされる。ある特定の実施形態では、Fas-4-1BBtm融合タンパク質は、配列番号187に記載のポリヌクレオチド配列を含むかまたは配列番号187に記載のポリヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドによりコードされる。他の実施形態では、Fas-4-1BBtm融合タンパク質は、配列番号188に記載のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。さらなる実施形態では、Fas-4-1BBtm融合タンパク質は、配列番号188に記載のアミノ酸配列を含むかまたは配列番号188に記載のアミノ酸配列からなる。
【0219】
感染症は、感染因子に関連するものを含み、また、様々な細菌(例えば、病原性E.coli、S.typhimurium、P.aeruginosa、B.anthracis、C.botulinum、C.difficile、C.perfringens、H.pylori、V.cholerae、Listeria spp.、Rickettsia spp.、Chlamydia spp.など)、マイコバクテリア、および寄生生物(原生生物の任意の公知の寄生生物のメンバーを含む)のいずれかを含む。感染性ウイルスは、例えば、アデノウイルス、ブニヤウイルス、ヘルペスウイルス、パポバウイルス、パピローマウイルス(例えば、HPV)、パラミクソウイルス、ピコルナウイルス、ラブドウイルス(例えば、狂犬病)、オルトミクソウイルス(例えば、インフルエンザ)、ポックスウイルス(例えば、ワクシニア)、レオウイルス、レトロウイルス、レンチウイルス(例えば、HIV)、フラビウイルス(例えば、HCV、HBV)などの真核生物ウイルスを含む。ある特定の実施形態では、その抗原がプロセシングされ、HLA(MHC)クラスI分子に提示される細胞質ゾル病原体による感染を、本開示の融合タンパク質を用いて処置する。
【0220】
本開示の融合タンパク質は、細胞に結合した形態で被験体に投与することができる(例えば、標的細胞集団(成熟T細胞(例えば、CD8またはCD4T細胞)または他のT細胞系統の細胞)の遺伝子療法)。特定の実施形態では、被験体に投与される融合タンパク質を発現するT細胞系統の細胞は、同系細胞、同種異系細胞、または自己細胞である。
【0221】
本開示の融合タンパク質を含む医薬組成物は、医療分野の当業者によって決定される処置(または防止)すべき疾患または状態に適切な方式で投与することができる。組成物の適切な用量、好適な投与の期間および頻度は、患者の状態、サイズ、疾患の種類および重症度、有効成分の特定の形態、ならびに投与方法のような因子により決定される。本開示は、本明細書で開示される融合タンパク質を発現する細胞および薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤を含む医薬組成物を提供する。適切な賦形剤は、水、食塩水、デキストロース、グリセロールなどおよびこれらの組合せを含む。
【0222】
一部の実施形態では、本開示は、免疫細胞の活性を増大させる、免疫応答を増強または延長する、抗原特異的T細胞応答を刺激する、免疫抑制シグナル伝達経路を阻害する、がんまたは腫瘍を処置する、がん細胞の免疫抵抗性を阻害する、または感染を処置する方法であって、それを必要とする被験体に、本明細書に記載の融合タンパク質を発現する有効量の宿主細胞を投与することを含む方法を対象とする。さらなる実施形態では、上述の方法のいずれかにおいて使用するための宿主細胞は、操作された抗原特異的TCR、操作された抗原特異的高親和性TCR、CAR、共刺激分子、またはそれらの任意の組合せをさらに発現する。特定の実施形態では、本明細書で開示される融合タンパク質と組換え抗原特異的TCRを同時発現させることを含む、白血病を処置する方法が提供される。
【0223】
一部の実施形態では、CD4+T細胞によるクラスI HLA応答を誘導または増強する方法であって、それを必要とする被験体に、本明細書に記載の融合タンパク質を発現する有効量のCD4+T細胞を投与することを含む方法が提供される。さらなる実施形態では、CD4+T細胞によるクラスI HLA応答を誘導または増強において使用するための宿主細胞は、操作された抗原特異的TCR、操作された抗原特異的高親和性TCR、CAR、共刺激分子、またはそれらの任意の組合せをさらに発現する。
【0224】
上述の実施形態のいずれかにおいて、方法は、外因性IL-2の投与の非存在下で有効である。
【0225】
一部の実施形態では、被験体の免疫細胞(例えば、CD4T細胞またはCD8T細胞)におけるサイトカイン産生を増加させるための方法であって、それを必要とする被験体に、有効量の本明細書で開示する融合タンパク質、または融合タンパク質をコードするベクターを投与することを含む方法が提供される。
【0226】
一部の実施形態では、免疫細胞(例えば、CD4T細胞またはCD8T細胞)におけるサイトカイン産生を増加させるための方法であって、免疫細胞を、本明細書で開示する融合タンパク質、または融合タンパク質をコードするベクターと接触させることを含む方法が提供される。さらなる実施形態では、免疫細胞は、操作された抗原特異的TCR、操作された抗原特異的高親和性TCR、CAR、共刺激分子、またはそれらの任意の組合せをさらに発現する。一部の実施形態では、増加されるサイトカインは、インターフェロンガンマ(IFNγ)、腫瘍壊死因子(TNFα)、またはインターロイキン2(IL-2)を含む。
【0227】
さらに他の実施形態では、上述の方法のいずれかの被験体を、化学療法などの補助的療法を用いてさらに処置する。例示的な化学療法剤は、例えば、チオテパおよびシクロホスファミドなどのアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファンなどのスルホン酸アルキル;ベンゾドパ、カルボコン、メツレドパ、およびウレドパなどのアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミドおよびトリメチルオロメラミンを含めたエチレンイミンおよびメチルアメラミン;クロラムブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベムビシン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチンなどのニトロソ尿素;アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アントラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリチアマイシン、カラビシン、カミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシンなどの抗生物質;メトトレキサートおよび5-フルオロウラシル(5-FU)などの代謝拮抗薬;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサートなどの葉酸類似体;フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなどのプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、5-FUなどのピリミジン類似体;カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなどのアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなどの抗副腎剤(anti-adrenal);フォリン酸(frolinic acid)などの葉酸補充剤;アセグラトン;アルドホスファミド配糖体(aldophosphamide glycoside);アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキセート;デフォファミン;デメコルチン;ジアジクオン;エルフロルニチン;エリプチニウム酢酸塩(elliptinium acetate);エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSKTM;ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキサン、例えば、パクリタキセル(Taxol(商標)、Bristol-Myers Squibb Oncology、Princeton、N.J.)およびドセタキセル(Taxotere(商標)、Rhone-Poulenc Rorer、Antony、France);クロラムブシル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチンおよびカルボプラチンなどの白金類似体;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸;エスペラミシン、カペシタビン;ならびに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸または誘導体を含む。
【0228】
一部の実施形態では、補助的療法は、ワクチン、免疫抑制シグナルの阻害剤、B-Raf阻害剤、MEK阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、細胞傷害性薬剤、化学療法薬、またはそれらの任意の組合せである。一部の実施形態では、免疫抑制シグナルの阻害剤は、抗体またはsiRNAである。一部の実施形態では、抗体またはsiRNAは、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA4、LAG3、KIR、CD244、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、GAL9、TIM3、A2aR、またはそれらの任意の組合せに対して特異的である。
【実施例0229】
(実施例1)
CD200R-CD28融合タンパク質構築
本明細書に記載の例示的な融合タンパク質は、図1Aの模式図を使用して例示される。例示的な融合タンパク質は、CD200Rの細胞外ドメインまたはその一部およびCD28の細胞内シグナル伝達ドメインまたはその一部からなる免疫調節性融合タンパク質(IFP)を含む(図1A、構築物I~V)。疎水性成分は、CD200R(図1A、構築物I)もしくはCD28(図1A、構築物II~V)のいずれかの膜貫通ドメインまたはその部分からなってよい。一部の例示的なCD200R-CD28融合タンパク質では疎水性成分は、CD28の膜貫通ドメインを含み、細胞外成分は、CD28の細胞外部分、詳細には疎水性成分に隣接する細胞外システイン残基をさらに含む(例えば図1A構築物III、CD200R-CD28Cys;構築物IV、CD200R-3aas-CD28Cys;および構築物V、CD200R-9aas-CD28Cys)。細胞外成分は、CD200Rの細胞外ドメインのすべてまたは部分を含んでよい。一部の実施形態では細胞外成分は、CD200Rの細胞外ドメイン全体を含む(図1A、構築物I~III)。他の例では細胞外成分は、CD200RのN末端からの最初の235アミノ酸(N連結グリコシル化部位を保存している)(例えば図1A、構築物IV、CD200R-3aas-CD28Cys)または最初の229アミノ酸(例えば図1A、構築物V、CD200R-9aas-CD28Cys)を含む。融合タンパク質構築物を調整することによって操作できる細胞外成分のサイズは、免疫学的シナプスに侵入しcSMAC内のTCRと共局在して強い共刺激シグナルを送達する融合タンパク質の能力に影響を与える場合がある。追加的にCD200R-CD28構築物は、CD200Rのその標的への結合由来の典型的には阻害シグナルであるものをCD28細胞内シグナル伝達ドメインによって生成される正のシグナルに転換する能力を有する。
【0230】
CD200R-CD28融合タンパク質をコードする例示的な核酸分子は、次のエレメントを含む(5’から3’):細胞外成分(CD200R)-マルチマー形成ドメイン(CD28システイン)-疎水性成分(CD28膜貫通)-細胞内成分(CD28細胞内)。一部の実施形態では、CD200R-CD28融合タンパク質をコードする核酸分子は、配列番号47~51または1、6、7、10、12、14または15のいずれか1つとして記載する核酸分子を含む。
【0231】
構築物をコードする核酸は、Invitrogenに発注したまたはPCRによって所内で生成し、次いでpENTRTM/D-TOPO(登録商標)ベクター(Invitrogen)に指向的にTOPOクローニングし、Gateway(登録商標)technology(Invitrogen)を使用してレトロウイルスベクターpMP71-attRに移入した。ある特定の実施形態では本開示のIFPをコードする核酸分子は、pMP71-attRレトロウイルスベクターへのクローニングの前にコドン最適化した。
【0232】
(実施例2)
CD200R-CD28構築物のトランスジェニック発現
マウスC57BL/6 Friendウイルス誘発赤白血病(FBL)およびTCRgagトランスジェニックマウスに基づく播種性白血病についての前臨床マウスモデルを、CD200R-CD28キメラ受容体がT細胞機能を改善できるかどうかを決定するために使用した。
【0233】
TCRトランスジェニックマウスをgagエピトープに特異的なCD8T細胞を産生するために生成した(TCRgag)。C57BL/6(B6)マウスは、Jackson Laboratoryから購入した。TCRgagトランスジェニックマウスは、CD8T細胞においてFriendウイルスgagエピトープに特異的なTCR導入遺伝子を発現する(Oehlenら、J.Immunol.166巻:2863~2870頁、2001年)。実施されたすべての動物研究は、University of Washington Institutional Animal Care and Use Committee protocol(Protocol #2013-01)で承認された。マウスB6 Friendウイルス誘発赤白血病(FBL)は、gagエピトープ(ペプチドCCLCLTVFL)(配列番号213)をコードするF-MuLVを発現する。
【0234】
マウス遺伝子に基づくCD200R-CD28キメラ構築物をpMP71レトロウイルスベクターに挿入し、抗CD3および抗CD28抗体で刺激した初代マウス脾細胞を形質導入するために使用した。構築物は、実施例1に記載のとおり設計し、Invitrogenに発注したまたはPCRによって所内で生成した。次いで構築物をpENTRTM/D-TOPO(登録商標)ベクター(Invitrogen)に指向的にTOPOクローニングし、Gateway(登録商標)technology(Invitrogen)を使用してレトロウイルスベクターpMP71-attRに移入した。レトロウイルスパッケージング細胞株Plat-E(Moritaら、2000年、Gene Therapy 7巻:1063~1066頁、2000年;Cell Biolabs,Inc.)をeffectene形質導入試薬(Qiagen)を使用してレトロウイルスベクターで形質導入した。ウイルス上清を2および3日目に回収し、次いでTCRgagT細胞を形質導入するために使用した。
【0235】
トランスフェクションの1日前に、TCRgagT細胞を抗CD3/CD28および100U/mL rhIL-2で刺激した。TCRgagT細胞の形質導入を90分間、1000gでのスピンフェクション(spinfection)によってIL-2およびポリブレンの存在下で12ウエルプレートで実施した。FBL細胞を、T細胞形質導入と同様にポリブレンスピンフェクションでCD200で形質導入し、次に均一な集団を生成するために選別した。
【0236】
形質導入の5日後、CD8T細胞を抗CD200R抗体染色およびフローサイトメトリーによって構築物発現について解析した(図1B)。緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードするベクターを対照として使用した。形質導入効率は4~36%の範囲であり、形質導入細胞の平均蛍光強度(MFI)は構築物間で同様であった。
【0237】
(実施例3)
CD200R-CD28構築物は、形質導入T細胞の増殖、蓄積およびエフェクター機能をin vitroで促進する
実施例1および2に記載のCD200R-CD28構築物をTCRgagT細胞の増殖、蓄積およびエフェクター機能を促進するそれらの能力について評価した。
【0238】
エフェクター細胞のin vitro拡大
TCRgagエフェクター細胞をin vitroで以前記載の通り生成した(Stromnesら、J. Clin. Invest. 120巻:3722~34頁、2010年)。照射抗原提示脾細胞(5×10個)、照射FBL(3×10個)およびTCRgagtg細胞(10個)をIL-2(50U/mL)と共に培養培地(非必須アミノ酸、2μMグルタミン、100U/mLペニシリン/ストレプトマイシン、10%FBSおよび50μM 2-メルカプトエタノール(mercapatoethanol)を補充したIMDM)10mL中で培養した。T細胞を毎週再刺激し、最後の刺激の5~7日後にフローサイトメトリーによって評価した。
【0239】
in vitro T細胞増殖アッセイ
TCRgagT細胞を実施例2に記載のとおり形質導入した。in vitroでのT細胞増殖を評価するために、TCRgagT細胞を製造業者のプロトコールに従ってCellTrace Violet(CTV、Life Technology)で染色した。CTV-標識Tg T細胞(10個)およびGFP対照T細胞をCD200FBLまたはCD200FBL細胞の数を用量調整(titrate)して刺激した。3日後、TCRgagT細胞のCTV希釈物をフローサイトメトリーによって評価した。
【0240】
CD200-FBL細胞(上)またはCD200FBL(下)の数を用量調整した刺激後のTCRgagT細胞の数を示すフローサイトメトリー結果は図2Aに示されている。検査した5個のCD200R-CD28構築物の内4個は、GFP対照形質導入T細胞(赤線)と比較して、CD200FBL(青線)に応答してTCRgagT細胞の増殖を劇的に改善した。
【0241】
in vitro T細胞蓄積アッセイ
増殖の増強も形質導入細胞の蓄積の増加をもたらすかどうかを決定するために、照射CD200FBLでの複数サイクルの刺激による総TCRgag集団における形質導入細胞の割合を測定した。
【0242】
CD200R-CD28tm、CD200R-CD28Cys、CD200R-3aas-CD28CysおよびCD200R-9aas-CD28Cysを含むいくつかの構築物は、形質導入T細胞の蓄積を促進した(図2B)。これらの構築物の内、CD200R-9aas-CD28Cysは複数回の刺激で形質導入T細胞における最も高い増加を示し、3回の刺激で3倍を超える拡大を生じる。
【0243】
in vitro T細胞濃縮アッセイ
形質導入したおよび形質導入していないCD8T細胞の混合集団を、再刺激が形質導入CD200R-9aas-CD28Cys IFPT細胞の集団を濃縮するかどうかを決定するためにCD200またはCD200照射FBL細胞で再刺激した。照射CD200腫瘍細胞での反復刺激は、野生型T細胞と比較してIFPで形質導入した細胞を濃縮し、CD200R-9aas-CD28Cys IFPに対するリガンドを発現している標的の認識が応答を増強することを実証している(図2C)。
【0244】
in vitro共局在アッセイ
T細胞活性化の際に免疫学的シナプス(IS)においてCD200R-9aas-CD28Cys IFPが同族リガンドと共局在するかどうかを決定するために形質導入T細胞を顕微鏡によって画像化した。シナプスで濃縮される細胞膜内の脂質を染色するためにCTxBを使用した(図2D、パネルI)。FBL細胞によって発現されるCD200(図2D、パネルII)またはT細胞によって発現されるCD200R(図2D、パネルIII)を標的化する標識抗体をISとの関連する分子の位置を視覚化するために使用した。CD200リガンドおよびCD200RはIS内に共局在し(図2D、パネルIV)、構築物が免疫学的シナプスによって受け入れられるように適切なサイズにされていることを実証している。
【0245】
CFSEに基づく細胞毒性アッセイ
CD28シグナル伝達の増加もエフェクター機能を促進する(Chen and Flies, Nat. Rev. Immunol. 13巻:227~242頁、2013年)。CD200R-CD28融合タンパク質形質導入T細胞を標的腫瘍細胞の殺滅の増加について検査した。FBLおよび対照EL4腫瘍を10分間、室温で2.5μM(CFSEhi)または0.25μM(CFSElo)CFSEと共にPBS中でそれぞれインキュベートした。過剰の色素は腫瘍細胞を血清含有培地中で洗浄することによって除去した。EL4とFBL腫瘍細胞との1:1混合物を用量調整した数のCD200R-CD28またはGFPベクターで形質導入したTCRgag in vitro拡大エフェクターT細胞と共に4時間、96ウエル丸底プレート、37℃、5%COでインキュベートした。特異的FBL溶解をウエルに残存している総CFSE陽性細胞(FBL+EL4)の%CFSEhi(FBL)についてのフローサイトメトリー解析によって決定した。
【0246】
CD200R-CD28構築物で形質導入したTCRgagT細胞は、空ベクターで形質導入したTCRgagT細胞と比較してFBL腫瘍をin vitroで溶解する能力の増強を示した(図2E、2G)。標的腫瘍細胞をEL4細胞(CTV+)、CD200FBL(CFSEhi)および非特異的EL4(CFSElo)対照標的の1:1:1混合物を生成するために、さまざまな希釈の蛍光色素CellTrace Violet(CTV)またはCFSEで標識した(図2F)。追加的に対照GFP形質導入TCRgagT細胞はCD200FBLおよびCD200FBLを等効率で溶解した(図2G)。対照的にCD200R-9aas-CD28Cysで形質導入したTCRgagT細胞は、対照T細胞と比較してCD200FBL細胞の殺滅の増加を示し、検査した最低のE:T比において40%を超えるCD200FBLを溶解した(図2G)。
【0247】
まとめるとこれらのデータは、CD200R-CD28構築物が腫瘍細胞刺激に応答して形質導入T細胞の蓄積および溶解活性を増加させるように機能することを示している。
【0248】
(実施例4)
CD200R-9aas-CD28Cysで形質導入したT細胞は、FBLの認識に応答してin vivoで増強した蓄積を示す
B6マウスに以前記載(Stromnesら、J. Clin. Invest. 120巻:3722~34頁、2010年)のとおり生FBL白血病4×10個を腹腔内(i.p.)注射した。FBLを5日間播種した後、マウスはエフェクターT細胞の移入の少なくとも6時間前に180mg/kgのシクロホスファミド(Cy、「Cytoxan」として市販されている)をi.p.で受けた。生存研究について、刺激1~3回をin vitroで先に受けたTCRgagT細胞10個を腫瘍保有マウスに移入した。短期間増殖および蓄積を評価するために、融合タンパク質を形質導入した、およびGFP対照を形質導入したT細胞各2×10個を腫瘍保有マウスに同時注射し、マウスは解析のために8日後に安楽死させた。マウスは、腫瘍負荷について定期的にモニターし、24~48時間以内の死亡が予測される腫瘍進行のエビデンスが生じた場合は安楽死させた。
【0249】
CD200R-9aas-CD28Cys融合タンパク質形質導入T細胞がFBLの認識に応答してin vivoでさらに大きな増殖および蓄積を示すかどうかを評価するために、融合タンパク質形質導入細胞と対照細胞との混合集団を腫瘍保有マウスに移入し、ex vivo解析による細胞の比を移入8日後に比較した(図3A)。導入遺伝子マーカーの使用により、注射した比と比較して脾臓およびリンパ節の両方において対照細胞の1.2~1.4倍を超える比で形質導入T細胞が検出された(図3B)。形質導入CD200R-9aas-CD28CysTCRgagT細胞は、CD62L発現の低減を腫瘍保有マウスへの移入3日後に示した。これは、エフェクターT細胞表現型を示唆している(図3C)。15日目までに形質導入および対照T細胞は、疲弊マーカーの欠如を含む同様の表現型を示した(図3D)。in vitroでの知見と同様にCD200R-9aas-CD28Cysを発現するT細胞は、in vivoでの腫瘍刺激に応答して増加した蓄積を示した。さらにそれらは、腫瘍保有マウスへの移入後少なくとも3日間についてエフェクターT細胞表現型と一致するタンパク質発現パターンを示した。
【0250】
(実施例5)
CD200R-CD28T細胞での養子免疫療法は、播種性白血病の治療においてさらに大きな活性を示す
CD200R-CD28で形質導入したT細胞での養子免疫療法は、播種性白血病の前臨床マウスモデルにおける治療活性の増加を媒介した。
【0251】
マウスにCD200FBL白血病の致死用量を注射し、5日後、Cy処置マウスのコホートはT細胞10個での追加的治療を受けた(図4A)。CD200R-CD28構築物によって媒介される有効性へのCD28システイン結合の寄与を図1Aに示すCD200R-CD28tm、CD200R-9aas-CD28CysおよびGFP対照構築物で形質導入したT細胞を比較することによって評価した。IL-2をT細胞の活性を促進するためにマウスのコホートに10日間、追加的治療試薬として投与した(Stromnesら、J. Clin. Invest. 120巻:3722~34頁、2010年)。注射前にT細胞をフローサイトメトリーによって種々の表面タンパク質について評価した。形質導入および対照TCRgagT細胞は、同様の表現型を示した。これは、形質導入が注射前の細胞の表現型を変化させなかったことを示している(図4B)。
【0252】
IL-2注射を受けたマウスの小コホートにおいてT細胞は生存を改善したが、異なる群のT細胞を受けたマウスの生存において有意な差異は検出できなかった(図4C)。しかしIL-2注射を受けなかったマウスのコホートでは、免疫学的シナプス内に適合するように適切なサイズにしたCD200R-CD28構築物で形質導入したT細胞を受けたマウスの生存に顕著な改善があった(図4D)。T細胞を受けなかった、GFP対照ベクターで形質導入したT細胞または最も大きな外部ドメイン(CD200R-CD28Cys IFP)で形質導入したT細胞を受けたマウスの大部分は、30日を超えて生存しなかった(図4Cおよび4D、それぞれ黒実線、破線およびオレンジ線)。対照的にCD200R-CD28tmT細胞を受けたマウスの71%およびCD200R-9aas-CD28CysT細胞を受けたマウスの83%は治療後100日間より長く生存した(図4Cおよび4D、それぞれ緑および赤線)。これらのデータは、免疫学的シナプスにおける膜間の距離と同様の距離にまたがるCD200R-CD28構築物でのT細胞の形質導入が、外因性IL-2の注射へのT細胞免疫療法の依存を克服する十分な共刺激を提供することを示唆している。さらに、外因性IL-2の注射を受けなかったマウスにおいて検査したCD200Rtm-CD28構築物とCD200R-9aas-CD28Cys構築物との間では増殖および蓄積において差異があったが、両方のIFPとも、他の進行性白血病からの臨床転帰を有意に改善するようにT細胞免疫療法を有効に増強した。
【0253】
(実施例6)
CD200R-9aas-CD28CysT細胞は、内因性組織に自己反応性を生じず、in vivoで正常組織の浸潤を示さない
TCRgagT細胞の形質導入が内因性組織との自己反応性を生じるように活性化の閾値を十分に低下させるかどうかを決定するために、自己免疫性毒性をアルブミンプロモーターの調節下で肝細胞において自己抗原としてFBL gag腫瘍Agを発現するように操作されたトランスジェニックマウスにおいて評価した(図5A)。TCRgagエフェクターをin vitroで生成し、10個を播種性白血病を有するシクロホスファミド処置Alb:Gagマウスに移入した。移入3および7日後に肝臓損傷を肝臓酵素、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)およびアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)の血清レベルを定量によって評価した。マウスにおける対照またはCD200R-9aas-CD28CysTCRgag細胞での養子療法は、移入3または7日後にASTまたはALTの血清レベルに影響を与えなかった。これは、CD200R-9aas-CD28Cysが検出可能な自己免疫性肝臓損傷をAlb:Gagマウスにおいて誘導しないことを示している(図5B)。
【0254】
IFPで形質導入したT細胞は、対照T細胞と比較して正常組織の浸潤の増加を示さない。マウスを移入7日後に安楽死させ、肝臓切片をT細胞浸潤を定量するためにT細胞マーカーCD3に対する抗体で染色した。肝臓組織におけるT細胞の限定的な存在が観察され、CD200R-9aas-CD28Cysまたは対照TCRgagのレシピエント間で有意な差異はなかった。これは、IFP発現の結果としてリンパ球細胞浸潤が増加しなかったことを示している(図5C)。
【0255】
(実施例7)
4-1BB共刺激シグナル伝達ドメインは、in vitroで形質導入T細胞の蓄積を促進する
共刺激受容体4-1BBは活性化T細胞で上方制御され、T細胞生存およびサイトカイン産生を促進する(ChenおよびFlies, Nat. Rev. Immunol. 13巻:227~242頁、2013年)。CD28の細胞内シグナル伝達ドメインを有するまたは有さない4-1BBの細胞内シグナル伝達ドメインがT細胞増殖および蓄積の増加を誘導できるかどうかを評価するために、4-1BB(CD200R-9aas-4-1BB)を使用してまたは4-1BBをCD28(CD200R-9aas-CD28-4-1BB)と組み合わせて、実施例2に記載の方法を使用してIFPを生成した(図6A)。TCRgagT細胞を実施例2のとおり形質導入し、TCRgagエフェクター細胞を実施例3のとおりin vitroで生成した。
【0256】
CD200R-9aas-CD28Cysで観察されたとおり、4-1BB構築物で形質導入したT細胞は、in vitroでの複数ラウンドの刺激で蓄積した(図6B)。これらのデータは、4-1BB IFPもT細胞の増殖および生存を促進することを示している。
【0257】
CD200R-4-1BBで形質導入したTCRgagT細胞は、実施例3に記載のCFSEベース細胞毒性アッセイを使用して、in vitroでFBL腫瘍を溶解する能力の増強を示した(図6C)。CD200R-41BB-形質導入T細胞も生存を促進する(図6D)。
【0258】
(実施例8)
CD200Rtm-CD28の共発現は、WT1特異的TCR初代T細胞において機能を増強する
ヒトCD200Rtm-CD28構築物(配列番号1)をIFP発現がヒト初代T細胞のT細胞機能を増強するかどうかを決定するために生成した。構築物を、P2Aエレメントを有する遺伝子を連結することによってHLA-A2制限WT1126特異的TCR「C4」のベータおよびアルファ鎖と組み合わせた(図7A)。第2のP2A配列との遺伝子組換えを妨げるために第1のP2A配列をコドン最適化した。レンチウイルスを生成するために、293T/17細胞(細胞3×10個/プレート)をEffectene(Qiagen)を使用してpRRLSINならびにパッケージングベクターpMDLg/pRRE、pMD2-GおよびpRSV-REV中のヒト構築物で形質導入した。培養培地をトランスフェクション後1日目に交換し、ウイルス含有上清を2および3日目に回収し、将来の使用のためにアリコートを凍結した。
【0259】
内因性TCRを欠如しているジャーカットヒトT細胞亜系統(subline)をIFPおよびTCRの発現を検査するために使用した。これらのジャーカットT細胞を2mlのレトロウイルス上清、1000g、90分間、32℃での細胞2×10個のスピンフェクションによって形質導入した。ジャーカットヒトT細胞株の3種の遺伝子構築物での形質導入は、IFPの高発現およびTCRのみで形質導入したT細胞と同様のMFIでTCRの発現を生じた(図7A)。
【0260】
初代ヒトT細胞を形質導入するために、末梢血液単核細胞(PBMC)をHLA-A2+ドナーから回収した。CD8T細胞はMiltenyi magnetic beadsを使用して精製し、ヒトT細胞Expander CD3/CD28 Dynabeads(Life Technologies)および50IU/ml IL-2で刺激した。刺激4時間後にT細胞をジャーカットT細胞について上に記載したのと同様に形質導入した。T細胞は以前記載(Hoら、J Immunol Methods 310巻:40~52頁、2006年)のとおり急速拡大プロトコール(REP)で10~14日ごとに再刺激した。
【0261】
ヒト細胞株T2をAPCとして使用した。これはTAPが欠損しており、そのため内因性ペプチドを提示できないが、低レベルMHCI発現により、外因性に負荷されたペプチドの提示は可能だからである。T2細胞によるCD200の発現をフローサイトメトリーによって評価した(図7B)。T2細胞は、低レベルの内因性CD200発現を示した(図7B)。
【0262】
形質導入T細胞をWT1126-パルス化T2細胞で刺激した。標的細胞での低レベルのCD200発現にもかかわらず、CD200Rtm-CD28-形質導入T細胞は、C4 TCRのみで形質導入したT細胞と比較して、増殖の増強を示した(図7C)。加えて、刺激されたCD200Rtm-CD28-形質導入T細胞(すなわち、IFPT細胞)は、CD200dim腫瘍細胞に曝露した場合に対照T細胞と比較して増加したレベルのIFNγおよびIL-2を産生した(図7D)。
【0263】
全体としてこれらの結果は、ヒトCD200Rtm-CD28構築物ならびにWT1126特異的TCRのベータおよびアルファ鎖を発現するように形質導入した初代T細胞が、TCR構築物のみで形質導入したT細胞と比較して増殖の増強およびサイトカイン産生の増加を示したことを示している。
【0264】
(実施例9)
SIRPα-CD28融合タンパク質構築物は形質導入T細胞の蓄積をin vitroで促進する
本明細書に記載の例示的な融合タンパク質は、SIRPαの細胞外ドメインまたはその一部およびCD28の細胞内シグナル伝達ドメインからなるIFPも含む(図8A)。疎水性成分は、SIRPαもしくはCD28のいずれかの膜貫通ドメインまたはその一部からなってよい。一部の例示的なSIRPα-CD28融合タンパク質では疎水性成分はCD28の膜貫通ドメインを含み、細胞外成分はCD28の細胞外部分、具体的には疎水性成分に隣接する細胞外システイン残基をさらに含む(例えば、SIRPα-CD28Cys、SIRPα-6aas-CD28Cys、SIRPα-9aas-CD28CysおよびSIRPα-9aas-CD28Cys)。細胞外成分は、SIRPαの細胞外ドメインのすべてまたは一部を含んでよい。一部の実施形態では細胞外成分は、SIRPαの細胞外ドメイン全体を含む。他の例では細胞外成分は、SIRPαのN末端からの最初の367アミノ酸(例えばSIRPα-6aas-CD28Cys)、最初の364アミノ酸(例えばSIRPα-9aas-CD28Cys)または最初の350(SIRPα-23aas-CD28Cys)アミノ酸を含む。細胞外成分のサイズは、免疫学的シナプスに侵入しcSMAC内でTCRと共局在して強い共刺激シグナルを送達する融合タンパク質の能力に影響を与える場合がある。一部の例では細胞外成分は、細胞外成分のサイズを変更できる切断型SIRPαを含む。例えば融合タンパク質の細胞外ドメインの追加的細胞外アミノ酸(例えば追加的9または12アミノ酸)を検討するために、SIRPα-6aas-CD28は天然N連結グリコシル化部位を保存しているSIRPαの切断された一部を有する。別の例ではSIRPα-23aas-CD28は、SIRPα細胞外ドメインのステム領域全体を欠如しているSIRPαの切断された一部を有する。追加的にSIRPα-CD28構築物は、SIRPαのその標的への結合によって開始されるシグナルをCD28細胞内シグナル伝達ドメインによって生成される正の(例えば共刺激)シグナルに転換する能力を有する。
【0265】
実施例2に記載の方法を使用して、SIRPα細胞外成分を使用するIFPを生成した(図8A)。TCRgagT細胞を実施例2のとおり形質導入し、TCRgagエフェクター細胞を実施例3のとおりin vitroで生成した。FBL細胞をCD47またはmCherryでポリブレンスピンフェクションを用いて、T細胞形質導入と同様に形質導入し、次に均一な集団を生成するために選別した。
【0266】
CD200R-9aas-CD28Cysで観察されたとおり、SIRPα構築物で形質導入したT細胞は、in vitroでの複数ラウンドの刺激で蓄積した(図8B)。これらのデータは、SIRPα-CD28 IFPもT細胞の増殖および生存を促進することを示唆している。
【0267】
in vitroでのT細胞増殖を評価するために、CTV希釈増殖アッセイを実施例2に記載のとおり実施した。CD200R-9aas-CD28Cysで観察されたとおり、T細胞-腫瘍細胞シナプス距離を維持するように操作されたSIRPα構築物で形質導入したT細胞は、対照T細胞と比較して増殖の増強を示した(図8C)。加えて、CD47腫瘍細胞はSIRPα-CD28T細胞との共培養の3日後に効率的に殺滅されたが、対照T細胞または細胞内シグナル伝達ドメインを欠如しているSIRPα構築物で形質導入したT細胞ではされなかった(図8D)。SIRPα-CD28T細胞の溶解能力をさらに評価するために、IncuCyteアッセイをCD47FBLの殺滅を定量するために使用した。mCherryCD47FBL合計10個を24ウエルプレートでSIRPα-CD28構築物で形質導入したヒトT細胞を用量調整して共培養した。プレートを細胞培養インキュベーター内でIncuCyte(Essen BioScience)において70時間インキュベートした。赤色シグナルの消失によって決定される腫瘍細胞の殺滅をモニターするために画像を1時間ごとに保存した。検査した最も低いエフェクター対標的比においてさえSIRPα-CD28T細胞は、CD47腫瘍細胞を殺滅した(0.4:1、図8E)。
【0268】
(実施例10)
PD-1-CD28融合タンパク質構築物は、in vitroで形質導入T細胞におけるサイトカイン産生を促進する
本明細書に記載の例示的な融合タンパク質は、PD-1の細胞外ドメインまたはその一部およびCD28の細胞内シグナル伝達ドメインからなるIFPも含む(図9A)。膜貫通成分は、PD-1もしくはCD28のいずれかの膜貫通ドメインまたはその一部からなってよい。一部の例示的なPD1-CD28融合タンパク質では膜貫通成分はCD28の膜貫通ドメインを含み、細胞外成分は鎖間ダイマー形成を促進するためにCD28の細胞外部分、具体的には膜貫通成分に隣接する細胞外システイン残基をさらに含む(例えば、PD1-CD28Cys、PD1-9aas-CD28CysおよびPD1-21aas-CD28Cys)。細胞外成分は、PD-1の細胞外ドメインのすべてまたは一部を含んでよく、リガンド結合した受容体の免疫学的シナプスへの接近を促進するために細胞間の短い空間距離を維持するために短縮されてよい(例えばマウス構築物において-9aa、ヒト構築物において-12aaまたは-15aa;PD-1のステム領域を欠如している、-21aa)。追加的にPD1-CD28構築物は、PD1のその標的への結合由来の典型的には阻害シグナルであるものをCD28細胞内シグナル伝達ドメインによって生成される正の(例えば共刺激)シグナルに転換する能力を有する。
【0269】
PD-1細胞外成分を含むIFPは、実施例2に記載の方法を使用して生成した(図9A)。TCRgagT細胞を実施例2のとおり形質導入し、TCRgagエフェクター細胞を実施例3のとおりin vitroで生成した。
【0270】
マウスPD1-CD28 IFPを構築物I~IVおよびVII(図9A)を使用して生成した。PD1-CD28T細胞を内因的にPD-1リガンド、PD-L1およびPD-L2を発現するFBL細胞でBrefeldin A(産生されたサイトカインを保持するため)の存在下で再刺激した。5時間後、細胞を固定し、BD Cytofix/Cytopermキットで処置し、エフェクターサイトカイン、IFNγおよびTNFαを細胞内で染色した。5個のPD1-CD28構築物のそれぞれでの形質導入は、対照T細胞と比較して細胞内サイトカインの産生を増強した(図9B)。
【0271】
ヒトPD1-CD28 IFPを構築物I~IIIおよびV~VIIを使用して生成した(図9A)。PD1-CD28 IFPおよびC4 TCRを含有するベクターを上に記載のとおり生成した。ジャーカットT細胞を上に記載のとおり形質導入した。TCRおよびPD1-12aas-CD28CysまたはPD1-15aas-CD28Cysで形質導入したT細胞は、両方のタンパク質の高い形質導入効率および発現を示した(図10)。
【0272】
(実施例11)
Fas-CD28融合タンパク質構築物はin vitroで形質導入T細胞における蓄積を促進し機能を増強する
本明細書に記載の例示的な融合タンパク質は、Fasの細胞外ドメインまたはその一部およびCD28の細胞内シグナル伝達ドメインからなるIFPも含む(図11A)。膜貫通成分は、FasもしくはCD28のいずれかのドメインまたはその一部からなってよい。一部の例示的なFas-CD28融合タンパク質では膜貫通成分はCD28の膜貫通ドメインを含み、細胞外成分はCD28の細胞外部分、具体的には膜貫通成分に隣接する細胞外システイン残基をさらに含む(例えばFas-CD28CysおよびFas-9aas-CD28Cys)。細胞外成分は、Fasの細胞外ドメインのすべてまたは一部を含んでよく、受容体-リガンド相互作用の際に細胞間の短い空間距離を維持するために短縮されてよい(-9aa)。追加的にFas-CD28構築物は、Fasのその標的への結合によって開始されるシグナルをCD28細胞内シグナル伝達ドメインによって生成される正の(例えば共刺激)シグナルに転換する能力を有する。
【0273】
Fas細胞外成分を含むIFPを実施例2に記載の方法を使用して生成した(図11A)。TCRgagT細胞を実施例2のとおり形質導入し、TCRgagエフェクター細胞を実施例3のとおりin vitroで生成した。
【0274】
Fas-CD28 IFPの発現が形質導入細胞の蓄積の増加を生じるかどうかを決定するために、総TCRgag集団における混合集団からの形質導入細胞の割合を実施例3に記載のとおり照射FBLでの複数サイクルの刺激にわたって測定した。すべての構築物は、対照T細胞と比較して形質導入T細胞の蓄積を促進した(図11B)。付加的にFas-CD28構築物の発現は、in vitroで複数回の刺激でT細胞の生存および拡大を促進したが、全長(FL)Fasはしなかった(図11C)。
【0275】
(実施例12)
LAG3-CD28融合タンパク質構築物
本明細書に記載の例示的な融合タンパク質は、LAG3の細胞外ドメインまたはその一部およびCD28の細胞内シグナル伝達ドメインからなるIFPも含む(図12A)。膜貫通成分は、LAG3もしくはCD28のいずれかのドメインまたはその一部からなってよい。一部の例示的なLAG3-CD28融合タンパク質では膜貫通成分はCD28の膜貫通ドメインを含み、細胞外成分はCD28の細胞外部分、具体的には膜貫通成分に隣接する細胞外システイン残基をさらに含む(例えばLAG3-CD28CysおよびLAG3-9aas-CD28Cys)。細胞外成分は、LAG3の細胞外ドメインのすべてまたは一部を含んでよく、受容体-リガンド相互作用の際に細胞間の短い空間距離を維持するために短縮されてよい(例えば-9aa)。追加的にLAG3-CD28構築物は、LAG3のその標的への結合由来の典型的には阻害シグナルであるものをCD28細胞内シグナル伝達ドメインによって生成される正の(例えば共刺激)シグナルに転換する能力を有する。
【0276】
LAG3細胞外成分を使用するIFPを実施例2に記載の方法を使用して生成した(図12A)。T細胞を記載のとおりLAG3-eGFP構築物で形質導入した。形質導入の5日後、CD8T細胞を抗LAG3抗体染色およびフローサイトメトリーによって構築物発現について解析した(図12B)。緑色蛍光タンパク質(GFP)のみをコードするベクターを対照として使用した。すべての構築物はLAG3の発現を示した(図12B)。
【0277】
(実施例13)
TIM3-CD28融合タンパク質構築物
本明細書に記載の例示的な融合タンパク質は、TIM3の細胞外ドメインまたはその一部およびCD28の細胞内シグナル伝達ドメインからなるIFPも含む(図13A)。膜貫通成分は、TIM3もしくはCD28のいずれかのドメインまたはその一部からなってよい。一部の例示的なTIM3-CD28融合タンパク質では膜貫通成分はCD28の膜貫通ドメインを含み、細胞外成分はCD28の細胞外部分、具体的には膜貫通成分に隣接する細胞外システイン残基をさらに含む(例えばTIM3-CD28CysおよびTIM3-9aas-CD28Cys)。細胞外成分は、TIM3の細胞外ドメインのすべてまたは一部を含んでよく、細胞間の短い空間距離を維持するために短縮されてよい(例えば-9aa)。追加的にTIM3-CD28構築物は、TIM3のその標的への結合由来の典型的には阻害シグナルであるものをCD28細胞内シグナル伝達ドメインによって生成される正のシグナルに転換する能力を有する。
【0278】
TIM3細胞外成分を使用する新規IFPを実施例2に記載の方法を使用して生成した(図13A)。T細胞を記載のとおりGFP-TIM3構築物で形質導入した。形質導入の5日後、CD8T細胞を抗TIM3抗体染色およびフローサイトメトリーによって構築物発現について解析した(図13B)。緑色蛍光タンパク質(GFP)のみをコードするベクターを対照として使用した。大部分の構築物はTIM3の同様の発現を示した(図13B)。
【0279】
(実施例14)
CD200R-CD28融合タンパク質構築物は、初代T細胞によって発現させることができる
さらなる実施例では、本明細書に記載の例示的な融合タンパク質は、図14Aの模式図を使用して例示される。代表的な融合タンパク質は、CD200Rの細胞外ドメインまたはその一部およびCD28の細胞内シグナル伝達ドメインまたはその一部からなるIFPを含む(図14A、構築物I~V)。疎水性成分は、CD200R(図14A、構築物I)もしくはCD28(図14A、構築物II~V)のいずれかの膜貫通ドメインまたはその部分からなってよい。一部の例示的なCD200R-CD28融合タンパク質では、疎水性成分はCD28の膜貫通ドメインを含み、細胞外成分は、CD28の細胞外部分、詳細には疎水性成分に隣接する細胞外システイン残基をさらに含む(例えば、図14A構築物III、CD200R-CD28Cys;構築物IV、CD200R-3aas-CD28Cys;および構築物V、CD200R-9aas-CD28Cys)。細胞外成分は、CD200Rの細胞外ドメインのすべてまたは部分を含んでよい。一部の実施形態では、細胞外成分は、CD200Rの細胞外ドメイン全体を含む(図14A、構築物I~III)。他の例では、細胞外成分は、CD200RのN末端からの最初の235アミノ酸(N結合グリコシル化部位を保存している)(例えば、図14A、構築物IV、CD200R-3aas-CD28Cys)または最初の229アミノ酸(例えば、図14A、構築物V、CD200R-9aas-CD28Cys)を含む。本明細書で開示するCD200R-CD28構築物は、CD200Rのその標的への結合由来の典型的には阻害シグナルであるものをCD28細胞内シグナル伝達ドメインによって生成される正のシグナルに転換する能力を有する。
【0280】
融合タンパク質構築物を調整することによって操作できる細胞外成分のサイズは、免疫学的シナプスに侵入しcSMAC内のTCRと共局在して強い共刺激シグナルを送達する融合タンパク質の能力に影響を与える場合がある。CD28シグナル伝達は免疫学的シナプスにおいて天然に存在し、そこでCD28が動員されてTCRシグナルを増幅させ、活性化の閾値を低下させる(ChenおよびFlies、Nat.Rev. Immunol.、13巻:227~242頁、2013年;Yokosukaら、Immunity、29巻:589~601頁、2008年)。T細胞とAPCとの間の空間距離は免疫学的シナプス内で最も短く、大きな外部ドメインを有する分子は排除される。したがって、免疫学的シナプスの細胞間の間隔に最もよく近似する構築物が、免疫学的シナプス内にTCRと共局在し、有効な共刺激シグナルを送達することができる可能性がある。構築物IIIおよびIVは、CD28膜貫通ドメインを細胞外空間内に伸長させて、CD28ホモダイマー形成を促進し、天然のCD28シグナル伝達を増強する膜近位システイン(CD28Cys)を組み込む(Lazar-Molnarら、CellImmunol.、244巻:125~129頁、2006年)。細胞外CD28ドメインの
9アミノ酸によって付加される長さを検討するために、CD200R-9aas-CD28CysのCD200R細胞外ドメイン部分は、CD28細胞外ドメインによって付加されるものと同等数である9アミノ酸だけ短縮されている。同様に、CD200R-3aas-CD28Cysの細胞外CD200Rは3アミノ酸短縮されている。切断された細胞外CD200Rは、N結合グリコシル化部位を保存するためにC末端から短縮されている。したがって、マウス構築物CD200Rtm-CD28、CD200R-CD28tm、およびCD200R-9aas-CD28Cysは、免疫学的シナプス内にTCRと共局在するために必要なT細胞とAPCとの間の短い空間距離を理論的に最もよく維持する。
【0281】
CD200R-CD28融合タンパク質をコードする例示的な核酸分子は、次のエレメントを含む(5’から3’):細胞外成分(CD200R)-マルチマー形成ドメイン(CD28システイン)-疎水性成分(CD28膜貫通)-細胞内成分(CD28細胞内)。一部の実施形態では、CD200R-CD28融合タンパク質をコードする核酸分子は、配列番号47~51または1、6、7、10、12、14、15、または183のいずれか1つとして記載する核酸分子を含む。
【0282】
構築物をコードする核酸をpMP71レトロウイルスベクターに挿入して、抗CD3抗体および抗CD28抗体で刺激した初代マウス脾細胞に形質導入した。C57BL/6(B6)マウスはJackson Laboratoryから購入した。TCRgagトランスジェニックマウスは、CD8T細胞においてフレンドウイルスgagエピトープに特異的なTCR導入遺伝子を発現する(Ohlenら、J. Exp. Med.、195巻:1407~
1418頁、2002年)。B6 フレンドウイルス誘発赤白血病(FBL)は、フレンドウイルスgagエピトープ(ペプチドCCLCLTVFL(配列番号213))を発現する(Teagueら、Nat. Med.、12巻:335~341頁、2006年)。DNA構築物
は、Invitrogenに発注したまたはPCRによって所内で生成した。ベクターpENTR/D-TOPO指向的にTOPOクローニングした構築物を、Gateway(登録商標)technologyを使用してレトロウイルスベクター(RV)pMP71-attRに移入した。レトロウイルスパッケージング細胞株Plat-E(Cell-Bio Labs)をeffectene形質導入試薬(Qiagen)を使用してRVで形質導入した。ウイルス上清を2および3日目に回収した。トランスフェクションの1日前に、TCRgagT細胞を抗CD3/CD28および100U/mL rhIL-2で刺激した。TCRgagT細胞の形質導入を、90分間、1000gでのスピンフェクションによってIL-2およびポリブレンの存在下で12ウエルプレートで実施した。形質導入した細胞を刺激の7日後に照射脾細胞(5×10)、照射FBL(3×10)、およびIL-2(IU/mL)の存在下で再刺激した。
【0283】
形質導入の5日後、CD8T細胞をフローサイトメトリーによってIFP発現について解析した(図14B)。蛍光色素とコンジュゲートした抗体はeBioscienceまたはBiolegendから購入した。形質導入効率は5~43%にわたり、形質導入細胞の平均蛍光強度は構築物間で同様であり、これは、IFP発現が同様であることを示唆する。
【0284】
(実施例15)
CD200R-CD28構築物は、形質導入T細胞の増殖、蓄積およびエフェクター機能をin vitroで促進する
実施例14に記載のCD200R-CD28構築物をTCRgagT細胞の増殖、蓄積、およびエフェクター機能を促進するそれらの能力について評価した。
【0285】
in vitro T細胞増殖アッセイ
CD28シグナル伝達は、TCRを介して刺激されるT細胞の増殖および生存を促進する(ChenおよびFlies、Nat. Rev. Immunol.、13巻:227~242頁、2013年)
。CD200R-CD28 IFPが増殖を改善するかどうかを決定するために、実施例14に記載のフレンドマウス白血病ウイルス形質転換FBL白血病に由来するエピトープに特異的なナイーブのCD8TCRトランスジェニックT細胞(TCRgag細胞)(Stromnesら、J Clin Invest.、120巻:3722~3734頁、2010年)を形質導入し、IL-2の存在下で抗原を用いてin vitroで2~3回の刺激サイクルにわたって拡大して、エフェクターT細胞を生成し、そしてヒト養子免疫療法プロトコールをモデル化した。エフェクターT細胞をCellTrace Violet(CTV)で標識し、およびCTV標識されたTg T細胞(10)を、天然にCD200を発現しないFBL(CD200FBL)(図15A、上パネル)、またはCD200を発現するように形質導入されたFBL株(CD200FBL)(図15A、下パネル)のいずれかで3日間刺激し、次いで、フローサイトメトリーによって評価した。
【0286】
25:1の低いT細胞のFBLに対する比で、GFP対照形質導入T細胞(図15A、青色の線)は、CD200またはCD200FBLに応答して最小の増殖を示した。対照的に、試験した構築物5種のうち4種(図15A、赤色の線)がCD200FBLに応答して増殖を劇的に改善したが、CD200FBLには応答しなかった。最も大きな外部ドメイン、CD200R-CD28Cysで形質導入されたT細胞は、増殖を改善しなかった。
【0287】
白血病に発現されるCD200とのCD200R相互作用によって送達される増殖の増大が共刺激ではなく接着および/またはデコイ結合の増強を反映するかどうかを試験するために、CD200R細胞外およびCD28膜貫通ドメインのみを用いて構築物の切断された非シグナル伝達バージョンを生成した(「trCD200R」;図15B)。構築物を発現する形質導入TCRgagT細胞(図15C)はCD200FBLに対して増殖の増強を示さず(図15D)、これは、CD28共刺激シグナルについて必要な役割を示す。
【0288】
in vitro T細胞濃縮アッセイ
CD200標的化IFPの発現が、CD200FBLでの刺激後にIFPT細胞と比較してIFPT細胞の濃縮をもたらすことが予測された。照射CD200またはCD200FBLでの複数のサイクルの刺激後の総TCRgag集団における形質導入細胞の割合を評価した。CD200またはCD200FBLのいずれかでの3サイクルの刺激後の細胞組成の解析により、GFP対照を発現するTCRgagT細胞の分率に変化がないことが明らかになった(図15E)。対照的に、IFPを発現するTCRgagT細胞は、CD200での刺激後に濃縮されたが、CD200FBLでの刺激後には濃縮されなかった(CD200R-9aas-CD28Cys、図15F)。予測どおり、いくつかの構築物は形質導入T細胞の蓄積を促進したが、免疫学的シナプス内に適合するように適切なサイズにし、ダイマー形成システインモチーフを含めた構築物、CD200R-9aas-CD28Cysは、最大の相対的増加を生じさせ、3回の別々の実験において、3回の刺激後に平均で>3倍の濃縮をもたらした(P<0.05)(図15G、濃縮倍率を示す、刺激3/刺激1、eGFP、CD200Rtm-CD28、CD200R-CD28tm、CD200R-3aas-CD28cys、およびCD200R-9aas-CD28cysで形質導入されたT細胞について)。
【0289】
CFSEに基づく細胞傷害性アッセイ
CD28シグナル伝達は、エフェクター機能を促進する(ChenおよびFlies、Nat. Rev.Immunol.、13巻:227~242頁、2013年)。CD200R-9aas-CD
28Cysを発現するように形質導入されたT細胞を腫瘍標的細胞の殺滅の増加について試験した。
【0290】
FBLおよび対照EL4腫瘍を10分間、室温で2.5μM(hi)または0.25μM(lo)CFSEと共にPBS中でそれぞれインキュベートした。過剰の色素は腫瘍細胞を血清含有培地中で洗浄することによって除去した。非特異的EL4対照標的およびCD200FBL腫瘍細胞の1:1混合物を用量調整した数のCD200R-9aas-CD28CysまたはGFPで形質導入したTCRgagエフェクターT細胞(すなわち、ある範囲のエフェクターと標的(E:T)の比)と共に5時間、96ウエル丸底プレート、37℃、5%COでインキュベートした。比FBL溶解は、ウエルに残存している総CFSE陽性細胞(FBL+EL4)の%CFSEhi(FBL)についてのフローサイトメトリー解析によって決定した。
【0291】
CD200R-9aas-CD28Cysで形質導入したTCRgagT細胞は、対照T細胞よりも良好にCD200FBL細胞を殺滅し、低E:T比(0.3:1)でCD200FBLの>40%を溶解させた(図15H)。
【0292】
in vitroサイトカイン産生アッセイ
CD200R-9aas-CD28Cys IFPで形質導入したT細胞が、共刺激の他の機能を表す、増大した量および多様性のサイトカインを産生するかどうかを決定するために、多機能性サイトカイン産生をフローサイトメトリーによって評価した。より高い百分率のCD200R IFPT細胞が、CD200FBLでの刺激後に対照T細胞よりもIFNγ、IL-2、およびTNFαを産生した。より低い百分率のCD200R
IFPT細胞がサイトカイン非産生細胞である(27%対51%、図15I、青色)一方、より高い百分率のCD200R IFPT細胞が3種すべてのサイトカインを産生する多機能性細胞であった(22%対7%、図15I、紫色)。CD200FBLで刺激したCD200R IFPT細胞は、平均蛍光強度(MFI)に基づいて、サイトカイン/細胞の増加を有した(図15J)。
【0293】
in vitro共局在アッセイ
IFP発現でのT細胞機能の増強の機構をより綿密に調査するために、T細胞表面上のCD200R IFPの位置を顕微鏡によって視覚化した。天然のCD28の、CD80/86との結合後の免疫学的シナプスへの局在は、TCRシグナルを増幅するシグナル伝達分子を動員する(ChenおよびFlies、Nat.Rev. Immunol.、13巻:227~242頁、2013年)。刺激後のIFPの移動を評価するために、FITCとコンジュゲートしたコレラ毒素Bサブユニット(CTxB)を、免疫学的シナプスにおいて濃縮される細胞膜内の脂質ラフトを染色するために使用し(図15K、パネルIII)(Stephanら、NatMed.、13巻:1440~1449頁、2007年)、免疫学的シナプスアセンブリの部
位を画定するために使用した。次いで、FBL上のCD200(図15K、パネルII)またはT細胞上のCD200R(CD200R-9aas-CD28Cys、図15K、パネルI)に結合する抗体を、これらの分子を免疫学的シナプスとの関連で視覚化するために使用した。CD200R IFPで形質導入したin vitro拡大エフェクターTCRgag細胞をFBLと15mL中、10:1のE:Tで混合し、次いで、37℃で20分インキュベートし、次いで、μ-スライドVI.4チャンバー(Ibidi)に15分にわたってローディングした。スライドをPBSで洗浄し、2%パラホルムアルデヒドで4分間固定した。次いで、細胞を、洗浄し、染色し、Deltavision Elite Fluorescent Microscopeを使用して60×でイメージングし、Image J(NIH)を使用して解析した。
【0294】
CD200Rは、T細胞:標的接触の領域において脂質ラフト染色の増大を伴って局在し(図15Kから15M、パネルIV)、これは、IFPのサイズを免疫学的シナプスによって適応させることができることを示唆する。
【0295】
LCKリン酸化
チロシンキナーゼ、LCKは、TCRシグナル伝達およびCD3複合体内の免疫受容活性化チロシンモチーフ(ITAM)配列のリン酸化をもたらしてTCRシグナル伝達カスケードを開始させるLCKのTCRシグナル伝達複合体への動員にとって重要である(ChenおよびFlies、Nat.Rev. Immunol.、13巻:227~242頁、2013年)。LCKは、CD28シグナル伝達尾部においてプロリンモチーフを介してCD28と会合し、LCK残基Y394のリン酸化の持続のためにはT細胞によるCD28の発現が必要である(Holdorfら、NatImmunol.、3巻:259~264頁、2002年)。CD200R-
CD28 IFP発現がCD28シグナル伝達をもたらすまたは強化するかどうかを決定するために、GFP対照、リード構築物(CD200R-9aas-CD28Cys)、または増殖を促進しなかった効果のない構築物(CD200R-CD28Cys)で形質導入したT細胞におけるpLCK Y394を評価した(図15A)。形質導入T細胞を、刺激しなかったかまたはPMA/イオノマイシン、FBL、もしくはCD200FBLで10分間刺激し、固定し、細胞内pLCK Y394について染色し、フローサイトメトリーによって解析した。ホスホ-LCK(Tyr394)に対する抗体はR&D Systemsから購入し、および細胞内染色はBioLegendからの抗マウスPEでの二次標識によって検出した。
【0296】
T細胞の3つの集団は、強い刺激(PMA/イオノマイシン)およびCD200FBL刺激に応答して同様のLCK Y394のリン酸化を達成した(図15N)。GFP対照またはより大きな外部ドメインを有するIFP、CD200R-CD28Cysで形質導入したT細胞は、CD200FBLおよびCD200FBLに応答して同様の低レベルのpLCK Y394発現を示した。しかし、CD200FBLで刺激した場合、CD200R-9aas-CD28Cysで形質導入されたT細胞は、10分の時点でLCK Y394のリン酸化の増加の持続を示し、これは、CD200R-9aas-CD28cysの発現がCD28共刺激の必要な機能をもたらしたことを実証する。
【0297】
まとめ
総合すると、これらのデータは、CD200R-CD28構築物が、腫瘍細胞による刺激に応答して形質導入T細胞の蓄積および溶解活性を増大させるように機能することを示す。パネルCD200R-CD28 IFP構築物の解析から、共刺激はダイマー形成モチーフおよび免疫学的シナプスへの局在を容易にする腫瘍-T細胞距離を含有するIFPにおいて最も有効に達成されることが明らかになった。そのようなCD200R-CD28 IFPで形質導入したT細胞は、in vitroでCD200標的細胞に応答して増殖およびエフェクター機能の増強を示した。
【0298】
(実施例16)
CD200R-9aas-CD28Cysで形質導入されたT細胞は、in vivoでFBLの認識に応答して蓄積の増強を示す
悪性疾患の養子T細胞療法では、腫瘍は、一般に、限られた共刺激シグナルしかもたらさないかまたは共刺激シグナルをもたらさず、それどころか、阻害性受容体のリガンドを発現する。白血病では、CD200は一般に発現される阻害性リガンドであり、予後不良に関連付けられている(Tonksら、Leukemia、21巻:566~568頁、2007年)
。したがって、in vitroで最も有効であると思われる、CD200R-9aas-CD28Cys IFPを発現するTCRgagT細胞の、in vivoでCD200FBL白血病に遭遇した時に増殖し蓄積する能力を評価した。
【0299】
形質導入TCRgagT細胞を実施例15に記載のとおり生成した。ヒト養子免疫療法プロトコールと同様に、B6マウスに生CD200FBL白血病4×10個を腹腔内(i.p.)注射し、FBLを5日間播種した後、マウスは、腫瘍負荷を低減し、リンパ球減少を誘導するために、エフェクターT細胞の移入の6時間前に180mg/kgのシクロホスファミド(Cy)をi.p.で受けた。短期間増殖および蓄積を評価するために、IFPで形質導入されたThy1.1T細胞2×10個を、同等数の遺伝子導入により明確なGFP対照で形質導入されたThy1.1×Thy1.2T細胞と、腫瘍保有マウスに同時注射し、各マウスが内部標準として機能するようにした(図16A)。どちらのT細胞集団も、in vitroで生成し、同一方法による3回の刺激サイクルで拡大し、注射日、第3の刺激の5日後に表現型的に同様であると思われた(図16B)。IL-2を2日ごとに投与した(2×10U/用量)。T細胞移入8日後に、マウスを安楽死させ、脾臓および鼠径リンパ節を回収した。
【0300】
一部の研究については、CD8T細胞をEasySep(商標)Mouse CD8 T Cell Enrichment Kit(STEMCELL)を使用した負の選択によって単離した。マウスは、腫瘍負荷の増大について定期的にモニターし、24~48時間以内の死亡が予測される腫瘍進行のエビデンスが生じた場合は安楽死させた。
【0301】
IFP発現T細胞は脾臓およびリンパ節のどちらにおいても対照細胞と比較して1.2~1.4倍濃縮された(図16C)。移入T細胞により獲得される可能性のある表現型の差異を評価するために、マウスのコホートを初期(d3)および後期(d15)時点で安楽死させて、エフェクター、メモリー、および疲弊マーカーを同定した。T細胞を非接触CD8T細胞濃縮によって脾臓から単離し、フローサイトメトリーによって評価した。形質導入したCD200R-9aas-CD28CysTCRgagおよび対照T細胞は、移入の3日後に、エフェクターT細胞表現型と一致して同様の表面分子を発現した(図16D)。15日目までに、持続IFPおよび対照T細胞は再度表現型的に同様であると思われ、疲弊マーカーであるPD-1またはLag-3を発現せず(図16E)、これは、どちらの細胞型もこの期間中、機能的なままである可能性が高いことを示唆する。
【0302】
要約すると、播種性白血病の養子療法のin vivo研究では、CD200R-CD28で形質導入した白血病特異的T細胞が、それなしでは致死的な疾患を野生型細胞よりも効率的に根絶させ、in vivo活性を持続させるためのIL-2投与の必要を回避した。
【0303】
(実施例17)
CD200R-CD28T細胞での養子免疫療法は、播種性白血病の治療においてより大きな活性を示す
CD200R-9aas-CD28Cys IFPを発現する細胞にもたらされた共刺激が、白血病根絶を達成するためにはT細胞応答が>25日続くことが必要とされる、播種性白血病の前臨床マウスモデルにおいて治療的T細胞活性を増強するかどうかを評価した(Cheeverら、J Immunol.、125巻:711~714頁、1980年)。以前記載の
とおり、B6マウスに致死用量(4×10個)のCD200FBL白血病細胞をi.p.注射した(Stromnesら、J Clin Invest.、120巻:3722~3734頁、2010年)。5日後、マウスのコホートは、180mg/kgのシクロホスファミド(Cy)をi.p.で受け、6時間後にTCRgagエフェクターT細胞10個を受けて、薬物を代謝させた(Cheeverら、1980年)。TCRgagT細胞は、予めin vitr
oで1~3回刺激した。CD200R-9aas-CD28Cysで形質導入されたT細胞を用いた治療の有効性を、GFP対照を発現するT細胞と比較した(図17A、17B)。この手法は、最初に、T細胞活性を増強し、持続させるためにT細胞移入後にIL-2を10日間受けたマウスの小さなコホートを用いて試験した(Stromnesら、J Clin Invest.、120巻:3722~3734頁、2010年)(図17A)。
【0304】
IL-2注射を用いると、対照T細胞を使用した免疫療法では、マウスの67%が治癒し、CD200R-9aas-CD28CysT細胞ではマウスの100%が治癒し、統計的有意性は達成されなかった(図17A)。その後の研究はより大きなコホートで行い、IL-2注射は省いた。これらの研究では、GFP対照ベクターで形質導入したT細胞で処置したマウスのわずか40%が30日目を超えて生存した(図17B、青色の線)。対照的に、CD200R-9aas-CD28CysT細胞を受けたマウスの89%がFBL移入後、100日間生存した(図17B、赤色の線、P<0.05)。これらの結果は、共刺激シグナルをもたらすCD200Rを有するIFPが、進行性白血病のT細胞免疫療法を増強するだけでなく、IL-2の投与の必要をほぼ回避することができることを示す。
【0305】
(実施例18)
CD200Rtm-CD28の同時発現は、WT1特異的TCR初代T細胞における機能を増強する
操作されたT細胞を用いた養子療法は、特に、急性リンパ球性白血病において、細胞表面タンパク質CD19に特異的なキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を用いて、有望な臨床上の利益が示されている(Turtleら、J Clin Invest.、126巻:2123~2138頁、2016年;Kalosら、Sci Transl Med.、3巻:95ra73頁、2011年)。あるいは、T細胞は、腫瘍に特異的なT細胞受容体(TCR)を発現するように形質導入することができ、これは、多くの場合に腫瘍形成表現型を駆動する転写因子などの細胞内タンパク質を含めることによって標的抗原の幅を著しく拡大する。多くの悪性疾患において過剰発現される転写因子であるWT1に特異的なCD8T細胞(Yangら、Leukemia、21巻:868~876頁、2007年;Qiら、SciRep.、5巻:8924頁、
2015年)は、患者への移入後に抗白血病活性を示し(Chapuisら、Sci Transl Med.、5巻:174ra127頁、2013年)、白血病、肺がん、または中皮腫の患者における、高親和性WT1特異的TCRで形質導入したCD8T細胞を用いた試験が進行中である(clinicaltrials.gov NCT01640301、NCT02408016)。増殖および生存を伴うT細胞活性化には、抗原受容体の誘発と同時の共刺激シグナルが必要である(Chenら、NatRevImmunol.、13巻:227~242頁、20
13年)。共刺激ドメインをキメラシグナル伝達タンパク質内に含むCARとは異なり、TCRが導入された細胞は、共刺激受容体の独立した誘発を必要とする。しかし、腫瘍細胞は、一般に、共刺激受容体のリガンドはあったとしてもほとんど発現しないだけでなく、一般に、共刺激に干渉し、T細胞活性化を遮断する可能性がある阻害性受容体リガンドを上方制御しさえする(Driessensら、ImmunolRev.、229巻:126~144頁、2
009年)。したがって、T細胞抗腫瘍活性を促進するために、阻害シグナル伝達を克服し、共刺激/活性化シグナル伝達を増大させるための戦略が積極的に探求されている(Mellmanら、Nature、480巻:480~489頁、2011年)。
【0306】
急性骨髄性白血病(AML)の5年生存率は現行の治療では26%である(SocietyAC
、CancerFacts& Figures 2016.、Atlanta: American Cancer Society、2016年)。
T細胞はAMLが局在する造血部位に天然に輸送されるので、T細胞療法には、この疾患の処置に関して有意な潜在性があるが、AML細胞による阻害分子の過剰発現が、成功に対する実質的な関門である(GeigerおよびRubnitz、DiscovMed.、19巻:275~28
4頁、2015年)。免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーである1型膜タンパク質CD200は、T細胞阻害性受容体CD200Rに結合し(Hatherleyら、Structure、21巻:820~832頁、2013年)、AMLおよび多発性骨髄腫、卵巣がん、および前立腺がんを含めた他の悪性疾患ではCD200発現の増大が観察される(Sivaら、CancerImmunolImmunother.、57巻:987~996頁、2008年;Stumpfovaら、Cancer Res.、70巻:2962~2972頁、2010年;Kawasakiら、TrendsImmunol.
、29巻:464~468頁、2008年)。標的化治療に関して重要なことに、CD
200発現の増大は、高い増殖能力ならびに放射線および化学療法に対する抵抗性を有する疾患を開始し、維持する細胞の小集団であるがん幹細胞(CSC)および白血病幹細胞(LSC)において報告されている(Snauwaertら、Oncoimmunology、2巻:e2294
3頁、2013年;Tonksら、Leukemia、21巻:566~568頁、2007年;Hoら
、58thASHAnnual Meeting、San Diego、CA、2016年;Kawasakiら、Biochem Biophys
Res Commun.、364巻:778~782頁、2007年)。CD200Rシグナル伝
達は、T細胞機能(Colesら、Leukemia、26巻:2148~2151頁、2012年;Kretz-Rommelら、TheJournalof Immunology、178巻:5595~5605頁、200
7年)、ならびに、ナチュラルキラー(NK)細胞を含む他の免疫細胞(Colesら、Leukemia、25巻:792~799頁、2011年)を阻害し、高レベルのCD200発現は
AML患者の転帰不良に関連付けられている(Tonksら、Leukemia、21巻:566~5
68頁、2007年)。
【0307】
合成生物学は、T細胞を、腫瘍反応性受容体を用いてのみだけでなく、負のシグナルを抑止し、それらを活性化シグナルで置き換える分子も用いて操作する機会をもたらす。AMLに関連する阻害性CD200Rシグナル伝達を克服すると同時に欠如した共刺激シグナルをCD8T細胞にもたらすために、細胞内T細胞共刺激シグナル伝達ドメインと融合したCD200R外部ドメインからなる免疫調節性融合タンパク質(IFP)を設計し、その結果、IFPは、この阻害性リガンドに結合するが共刺激シグナルを生成することによって、CD200を発現する白血病細胞を利用し得る。PD-1外部ドメインを含む融合タンパク質は、共刺激シグナルをもたらすことができることが示されているが(Prosserら、Mol Immunol.、51巻:263~272頁、2012年)、共刺激シグナルを生
成するかまたはさらには最適化する分子の設計に関する原理は定義されていいない。
【0308】
TCRで形質導入されたT細胞を用いた治療をAML臨床試験(clinicaltrials.orgにNCT01640301として登録)において調査した。臨床的調査はすべて、Declaration of Helsinki principlesに従って行われた。プロトコール2498は、Fred Hutchinson Cancer Research Center(FHCRC)Institutional Review Board(IRB)およびU.S.Food and Drug Administration(FDA)により認可された。AML患者をTCRで形質導入されたT細胞で処置した。末梢芽細胞をT細胞療法後に進行/再発した患者4名から得た。AML維持亜集団、LSCが白血病芽球のCD45dimCD34CD38集団内に存在し(Bachasら、Leukemia、26巻:1313~1320頁、2012年;Hoら、58thASH AnnualMeeting、SanDiego、CA、2016年)、CD200発現を、注入用のT細胞を生成するために使用された健康なドナー3名から動員された白血球アフェレーシスから得たCD34細胞と比較した。正常なCD34細胞上ではCD200発現は検出されなかったが、試験された患者それぞれ由来のAML芽細胞の大部分ではCD200が発現され(範囲42~97%)(図18A)、これは以前の報告と一致する(Tonksら、Leukemia、21巻:566~568頁、2007年;Colesら、Leukemia、29巻:1952~1954頁、2015年)。
【0309】
以前のマウス実験の結果に基づいて(実施例14~17を参照されたい)、ヒトCD200Rtm-CD28構築物(配列番号1)を、免疫学的シナプスにおけるヒトT細胞と腫瘍細胞との間の空間距離が維持されるように生成した(図18B)。このIFPの発現が機能を増強し得るかどうかを決定するために、ヒト初代T細胞を形質導入した。構築物を、HLA-A2制限WT1126特異的TCRC4のベータおよびアルファ鎖を有する単一のレンチウイルスベクター構築物に挿入し(Stromnesら、Immunol Rev.、257巻:145~164頁、2014年)、これを、遺伝子のそれぞれとP2Aエレメントと連結することにより、AMLの治療に関する臨床試験においてT細胞を形質導入するために使用した(図18B)。第1のP2A配列を、第2のP2A配列との遺伝子組換えを防止するためにコドン最適化した。
【0310】
レンチウイルスを生成するために、293T/17細胞(細胞3×10個/プレート)を、Effectene(Qiagen)を使用してpRRLSINプラスミドならびにパッケージングプラスミドpMDLg/pRRE、pMD2-G、およびpRSV-REV中のヒト構築物で形質導入した。培養培地をトランスフェクション後1日目に交換し、ウイルス含有上清を2および3日目に回収し、将来の使用のためにアリコートを凍結した。インフォームドコンセントを得た後、末梢血単核細胞(PBMC)を正常なHLA-A2ドナーから回収した。CD8T細胞を、Miltenyi磁気ビーズを使用して精製し、Human T cell Expander CD3/CD28 Dynabeads(Life Technologies)および50IU/mLのIL-2を用いて刺激した。刺激の4時間後、T細胞を、32℃、1000gで90分間のレンチウイルス上清2mLを用いた細胞5~10×10個のスピンフェクションによって形質導入した。T細胞を以前記載(Hoら、J. Immunol. Methods、310巻:40~52頁、20
06年を参照されたい)のとおり急速拡大プロトコール(REP)で10~14日ごとに再刺激した。
【0311】
TCRC4およびCD200R-CD28融合タンパク質を発現するように形質導入されたヒト初代T細胞は、TCRC4のみで形質導入されたT細胞と比較して高レベルのCD200R発現および同等レベルのTCRC4発現を示した(図18B)。
【0312】
CD200R-CD28 IFPが、形質導入されたヒトT細胞の機能を改善するかどうかを決定するために、細胞を、初代AML(図18A)およびCD200CML細胞株、K562と比較して低レベルの内因性CD200を天然に発現するペプチドパルス化T2リンパ芽球様細胞で刺激した(Colesら、Leukemia、25巻:792~799頁、2
011年)(図18C)。WT1126パルス化T2細胞に応答して、TCRC4プラスCD200R-CD28 IFPで形質導入したT細胞は、特に低E:T比で増殖の増強(図18D)およびサイトカイン産生の増加を示し(図18E)、これは、かすかであってもCD200発現を発現する腫瘍細胞が共刺激をもたらし得ることを示唆する。
【0313】
要約すると、ヒトIFPでのヒト初代T細胞の形質導入も、CD200白血病細胞に応答して増殖およびサイトカイン産生を増大させた。この研究では、がん細胞、特にAMLおよびLSC細胞上で頻繁に上方制御され、T細胞免疫応答を抑制することが公知の阻害分子であるCD200を標的化するためにIFPを生成することに焦点を当てた。AMLに加えて、他のヘム悪性疾患ならびに乳がん、結腸がん、卵巣がん、および前立腺がんなどの固形腫瘍についてもCD200発現の増大が報告されている。ある特定の実施形態では、CD200 IFPをヘム悪性疾患ならびに乳がん、結腸がん、卵巣がん、および前立腺がんを含めた固形腫瘍の処置に使用することができる。これらの結果は、CD200R外部ドメインを含有するIFPを用いた腫瘍特異的T細胞の遺伝子操作により、効率的に、白血病細胞によって送達される阻害シグナルを共刺激シグナルに細胞内因的に変換し、したがって、内因性自己反応性T細胞の活性化を促進するリスクを伴ってこの阻害性受容体を全体的に遮断する必要を不要にすることができることを示す。さらに、IFPは、TCRを操作せずに感受性を改善するために使用することができる。
【0314】
(実施例19)
CD200Rtm-CD28またはCD200R-9aas-CD28CysとWT1特異的TCRの同時発現は、初代T細胞における機能を増強する
さらなる実施例では、本明細書に記載の例示的な融合タンパク質は、図19Aの模式図を使用して例示される。代表的な融合タンパク質は、ヒトCD200Rの細胞外ドメインまたはその一部、およびヒトCD28の細胞内シグナル伝達ドメインまたはその一部で構成されるIFPを含む(図19A、構築物II~VII)。疎水性成分は、ヒトCD200R(図19A、構築物I、II、およびVIII)またはヒトCD28(図19A、構築物III~VII)のいずれかの膜貫通ドメインまたはその一部からなってよい。一部の例示的なCD200R-CD28融合タンパク質では、疎水性成分は、ヒトCD28の膜貫通ドメインを含み、細胞外成分は、ヒトCD28の細胞外部分、特に疎水性成分に隣接する細胞外システイン残基をさらに含む(例えば、図19A構築物IV、CD200R-CD28Cys;構築物V、CD200R-9aas-CD28Cys;構築物VI、CD200R-12aas-CD28Cys;および構築物VII、CD200R-15aas-CD28Cys)。構築物VIIIは、細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインを含むが、細胞内シグナル伝達ドメインを含まない(図19A)。細胞外成分は、ヒトCD200Rの細胞外ドメインのすべてまたは部分を含んでよい。一部の実施形態では、細胞外成分は、CD200Rの細胞外ドメイン全体を含む(図19A、構築物II~IVおよびVIII)。一部の他の実施例では、細胞外成分は、CD200RのN末端からの最初の234アミノ酸(例えば、図19A、構築物V、CD200R-9aas-CD28Cys)、最初の231アミノ酸(例えば、図19A、構築物VI、CD200R-12aas-CD28Cys)、または最初の228アミノ酸(例えば、図19A、構築物VII、CD200R-15aas-CD28Cys)を含む。本明細書で開示するヒトCD200R-CD28構築物は、CD200Rのその標的への結合由来の典型的には阻害シグナルであるものをCD28細胞内シグナル伝達ドメインによって生成される正のシグナルに転換する能力を有する。
【0315】
融合タンパク質構築物を調整することによって操作できる細胞外成分のサイズは、免疫学的シナプスに侵入しcSMAC内のTCRと共局在して強い共刺激シグナルを送達する融合タンパク質の能力に影響を与える場合がある。CD28シグナル伝達は免疫学的シナプスにおいて天然に存在し、そこでCD28が動員されてTCRシグナルを増幅させ、活性化の閾値を低下させる(ChenおよびFlies、Nat.Rev. Immunol.、13巻:227~242頁、2013年;Yokosukaら、Immunity、29巻:589~601頁、2008年)。T細胞とAPCとの間の空間距離は免疫学的シナプス内で最も短く、大きな外部ドメインを有する分子は排除される。したがって、免疫学的シナプスの細胞間の間隔に最もよく近似する構築物が、免疫学的シナプス内にTCRと共局在し、有効な共刺激シグナルを送達することができる可能性がある。構築物IV~VIIは、CD28膜貫通ドメインを細胞外空間内に伸長させて、CD28ホモダイマー形成を促進し、天然のCD28シグナル伝達を増強する膜近位システイン(CD28Cys)を組み込む(Lazar-Molnarら、CellImmunol.、244巻:125~129頁、2006年)。一部の実施形態では、細胞外C
D28ドメインの追加的なアミノ酸によって付加される長さを検討するために、CD200R細胞外部分が同等数だけ短縮されている;例えば、CD200R-9aas-CD28CysのCD200R細胞外ドメイン部分は、CD28細胞外ドメインによって付加されるものと同等数である9アミノ酸だけ短縮されている。同様に、CD200R-12aas-CD28Cysの細胞外CD200Rは12アミノ酸短縮されており、CD200R-15aas-CD28Cysの細胞外CD200Rは15アミノ酸短縮されている。構築物V~VIIでは、切断された細胞外CD200Rは、N結合グリコシル化部位を保存するためにC末端から短縮されている。図19Aに例示されている代表的な融合タンパク質については、CD200Rtm-CD28、CD200R-CD28tm、およびCD200R-12aas-CD28cysが、免疫学的シナプス内にTCRと共局在するために必要なT細胞とAPCとの間の短い空間距離を理論的に最もよく維持する。
【0316】
臨床的調査はすべて、Declaration of Helsinki principlesに従って行われた。プロトコール2498は、Fred Hutchinson Cancer Research Center(FHCRC)Institutional Review Board(IRB)およびU.S.Food and Drug Administration(FDA)によって認可された。この試験はclinicaltrials.orgでNCT01640301として登録された。
【0317】
レンチウイルスを生成するために、293T/17細胞(細胞3×10個/プレート)を、Effectene(Qiagen)を使用してpRRLSINプラスミドならびにパッケージングプラスミドpMDLg/pRRE、pMD2-G、およびpRSV-REV中のヒト構築物(図19B)で形質導入した。培養培地をトランスフェクション後1日目に交換し、ウイルス含有上清を2日目および3日目に回収し、将来の使用のためにアリコートを凍結した。
【0318】
免疫学的シナプスにおけるT細胞と腫瘍細胞との間の空間距離を理論的に維持するヒトCD200R-CD28 IFP構築物を生成した(図19B)。構築物をHLA-A2制限WT1126特異的TCRC4のベータおよびアルファ鎖を有する単一のレンチウイルスベクター構築物に挿入し(Stromnesら、Immunol Rev.、257巻:145~164頁、2014年)、これは、遺伝子のそれぞれとP2Aエレメントと連結することにより、AMLの治療に関する臨床試験においてT細胞を形質導入するために使用した。第1のP2A配列を、第2のP2A配列との遺伝子組換えを防止するためにコドン最適化した。
【0319】
インフォームドコンセントを得た後、末梢血単核細胞(PBMC)を正常なHLA-A2ドナーから回収した。CD8T細胞を、Miltenyi磁気ビーズを使用して精製し、Human T cell Expander CD3/CD28 Dynabeads(Life Technologies)および50IU/mLのIL-2を用いて刺激した。刺激の4時間後、T細胞を、32℃、1000gで90分間の、レンチウイルス上清2mLを用いた細胞5~10×10個のスピンフェクションによって形質導入した。T細胞を、以前記載(Hoら、J Immunol Methods、310巻:40~52頁、20
06年)のとおり急速拡大プロトコール(REP)で10~14日ごとに再刺激した。
【0320】
形質導入されたCD8T細胞をフローサイトメトリーによってIFP発現について解析した(図19C)。結果は、IFPおよびWT1特異的TCRをコードする構築物で形質導入すると、初代ヒトT細胞は、CD200R-CD28 IFPおよびWT1特異的TCRを同時発現することを示す。
【0321】
(実施例20)
CD200標的化IFPを発現するT細胞は、CD200細胞での刺激後にIFPT細胞と比較して濃縮される
CD200標的化IFPの発現が、CD200細胞での刺激後にIFPT細胞と比較してIFPT細胞の濃縮をもたらすかどうかを試験するために、CD200LCL細胞での刺激の前後のCD200R細胞の相対的な割合を測定した。
【0322】
図20Aに示されているとおり、IFP CD200R-CD28tm(図19Aの構築物III)の発現は、CD200で形質導入したLCLでの再刺激後にIFPT細胞(CD200R)と比較してIFPT細胞(CD200R)の濃縮をもたらした。
【0323】
trCD200R(図19Aの構築物VIII)およびCD200R-15aas-CD28Cys(図19Aの構築物VII)で形質導入したT細胞は濃縮されず、これは、共刺激の欠如を示唆する(図20Bおよび20C)。しかし、いくつかの他の構築物を発現するT細胞は、CD200LCL REP後に、特にCD200R-CD28tm(図19Aの構築物III)およびCD200R-9aas-CD28Cys(図19Aの構築物V)(図20Cおよび20D)の比を増大させた。
【0324】
(実施例21)
CD200R-CD28tmおよびCD200R-9aas-CD28Cys IFPを発現するヒトT細胞はより大きなエフェクター機能を示す
CD200標的化IFP CD200R-9aas-CD28Cysを発現するヒトT細胞は、IFP細胞と比較してサイトカイン産生の増加を有した。TAP欠損腫瘍細胞株であるT2は、内因性CD200を発現する(図21A)。CD200R-9aas-CD28Cys発現は、ペプチドパルス化T2細胞(1ug/mLのWT1-126でパルス化)に対して、刺激されていない細胞およびTCRを発現するがIFPは発現しない刺激した細胞と比較して、サイトカイン産生を増強した(図21B)。
【0325】
CD200R-9aas-CD28Cys発現に関連するエフェクター機能の増大が共刺激ではなく接着および/またはデコイ結合の増強を反映するかどうかを試験するために、CD200R細胞外およびCD28膜貫通ドメインのみを用いて構築物の切断された非シグナル伝達バージョンを生成した(「trCD200R」;図19A、構築物VIII;図21C)。構築物を発現する形質導入T細胞は、TCRC4のみを発現する細胞と比較してサイトカイン産生の増強を示さず(図21D)、これは、CD200R-9aas-CD28Cysが共刺激シグナルをもたらすことを示す。
【0326】
他のCD200R標的化構築物のサイトカイン産生を増大させる能力を図21Eに示す。CD200R-CD28tm(図21Fおよび21G、「B」と標識されている)およびCD200R-9aas-CD28Cys(図21Fおよび21G、「-9」と標識されている)は、サイトカイン産生を顕著に改善した。CD200標的化IFPは、増大した、多機能性のサイトカイン産生を示した(図21I)。
【0327】
エフェクター機能を、実施例15に記載のものと同様のフローサイトメトリーに基づく細胞傷害性アッセイにおいても評価した(図21J)。CD200R-CD28構築物で形質導入したT細胞は、標的を対照T細胞よりも有効に溶解させた(図21K、CD200R-CD28tm、「B」と標識されている、およびCD200R-9aas-CD28Cys、「-9」と標識されている)。
【0328】
(実施例22)
FAS IFPのin vivo試験
Fas-CD28構築物を実施例11と同様に設計し、白血病のin vivoマウスモデルにおいて試験した(図22A)。C57BL/6マウスに腫瘍細胞4×10個を腹腔内接種し(0日目)、シクロホスファミドで処置し、その後、(1)追加的な処置を行わなかったか、(2)GFPで形質導入されたTCRgagトランスジェニックCD8T細胞10個を養子移入したか(5日目)、または(3)Fas-CD28で形質導入されたTCRgagトランスジェニックCD8T細胞10個を養子移入した(5日目)。ホタルルシフェラーゼFBL腫瘍のin vivo生物発光イメージングを使用して、様々な時点でマウスにおける白血病を測定した。
【0329】
Fas IFPで形質導入したT細胞は、疾患をより迅速に根絶させ(図22B)、経時的に保護をもたらす(図22B、22C)傾向があった。
【0330】
(実施例23)
Fas-4-1BB融合タンパク質構築物
本明細書に記載の例示的な融合タンパク質は、Fasの細胞外ドメインまたはその一部、および4-1BBの細胞内シグナル伝達ドメインで構成されるIFPも含む。細胞外成分は、Fasの細胞外ドメインのすべてまたは部分を含んでよい。一部の実施形態では、膜貫通成分は、Fas、4-1BB、またはCD28のドメインまたはその部分からなってよい。一部の例示的なFas-4-1BB融合タンパク質では、膜貫通成分はCD28の膜貫通ドメインを含み、細胞外成分は、CD28の細胞外部分、特に膜貫通成分と隣接する細胞外システイン残基をさらに含む(例えば、Fas-CD28Cys-4-1BBicおよびFas-9aas-CD28Cys-4-1BBic)。細胞外成分は、Fasの細胞外ドメインのすべてまたは部分を含んでよい、または、受容体-リガンド相互作用の際の細胞間の短い空間距離を維持するよう保存するために短縮されてよい(-9aas)。一部の他の例示的なFas-4-1BB融合タンパク質では、膜貫通成分は、4-1BBの膜貫通ドメインを含む(例えば、Fas-4-1BBtm;図23A)。さらに、Fas-4-1BB構築物は、Fasのその標的への結合によって開始されるシグナルを、4-1BB細胞内シグナル伝達ドメインによって生成される正の(例えば、共刺激)シグナルに変換する能力を有する。
【0331】
Fas-4-1BB IFPおよびトランスジェニックTCRは、形質導入されたマウスT細胞において同時発現させることができる。Fas細胞外成分を含むIFPを、実施例2に記載の一般的な方法を使用して生成した。P14 T細胞を、Fas-4-1BBtm IFPおよびトランスジェニックTCR(TCRgag、フレンドマウス白血病ウイルス形質転換FBL白血病に由来するエピトープに特異的(Stromnesら、J Clin Invest.、120巻:3722~3734頁、2010年))を同時発現するように形質導入した。レトロウイルス上清を、TCRgagのみ、またはTCRgagおよびFas-4-1BBtmをコードするDNA構築物でのPlat-E細胞のトランスフェクションによって生成した。ナイーブのP14 T細胞を、抗CD3および抗CD28で刺激し、次いで、レトロウイルス上清で2日間形質導入した。刺激の5日後、形質導入T細胞を、TCRに対する特異的抗体およびFasに対する特異的抗体で染色し、フローサイトメトリーによって解析した。TCRgagおよびFas-4-1BBtmをコードする構築物で形質導入したP14 T細胞は、TCRを同様のレベルで発現し、また、Fas-4-1BBtm IFP構築物も高レベルで発現した(図23B)。
【0332】
Fas-4-1BBT細胞は、in vitroで増殖の増強を示すことが見いだされた。形質導入したP14 T細胞を、CellTrace Violet(CTV)増殖色素で染色し、FBL腫瘍細胞で6日間、エフェクターと標的(E:T)の比8:1で刺激した。T細胞を回収し、フローサイトメトリーによって解析した。刺激を伴わないと、TCRgagのみで形質導入したT細胞は、TCRgagおよびFas-4-1BBtmの両方で形質導入したT細胞(TCR+Fas-4-1BBtm)と同様に、増殖の欠如を示した(図23C、左)。8:1のE:Tでは、一部のTCRのみのT細胞は増殖を示した;しかし、TCR+Fas-4-1BBT細胞はすべてが頑強な増殖を示し、これは、刺激および増殖能力の増大を支持する(図23C、右)。
【0333】
さらに、Fas-4-1BBT細胞は、細胞死Fas経路シグナル伝達の低減を示し、これは、Fas細胞内ドメインが4-1BB細胞内ドメインで置き換えられたIFPについて予測されたとおり、Fas細胞外ドメインの結合がFasシグナル伝達経路の活性化をもたらさなかったことを示す。(i)トランスジェニックTCRgagは発現するがFas発現を欠くT細胞;(ii)トランスジェニックTCRgagを発現する野生型T細胞;ならびに(iii)トランスジェニックTCRgagおよびFas-4-1BBtmを発現するT細胞における細胞死Fasシグナル伝達経路活性を図23Dに示す。P14 T細胞を、刺激し、TCRgagまたはTCRgag+Fas-4-1BB IFPで形質導入した。7日後に、T細胞を、Fas経路による細胞死の尺度として活性カスパーゼ-8発現について、カスパーゼの蛍光阻害剤(FLICA)方法体系を使用して染色した。Fas欠損T細胞(灰色)は、活性カスパーゼ-8発現を示さなかったが、TCRで形質導入したT細胞は、発現の上昇を示した。TCR+Fas-4-1BB T細胞は、TCRのみのT細胞と比較してより少ない活性カスパーゼ-8発現を有し、これは、Fas経路による細胞死がより少ないことを示す(図23D)。
【0334】
全体として、これらのデータは、Fas-4-1BBtm融合タンパク質が、Fasの結合に関連する負の/細胞死シグナル伝達を正の共刺激シグナルに変換できることを示す。
【0335】
(実施例24)
Fas-4-1BB融合タンパク質は、ID8卵巣がんモデルにおいて腫瘍成長の制御を増強し、生存を改善する
Fas-4-1BBtmで形質導入したT細胞は、卵巣がんのID8モデルにおいて腫瘍成長を制御し、生存を促進した。
【0336】
ID8モデルは、卵巣がんの移植可能なマウスモデルである(Waltonら、Cancer Res、76巻:6118~29頁、2016年)。ID8卵巣腫瘍細胞の殺滅を定量するためにIncuCyte(登録商標)アッセイを使用した。マウス形質導入T細胞(TCRまたはTCR+4-1BB)を、赤色蛍光ID8卵巣腫瘍細胞と2日間と共インキュベートし、ID8細胞成長を、IncuCyte(登録商標)解析によって定量した。赤色シグナルの消失は、腫瘍細胞の殺滅を示す。TCR+Fas-4-1BB T細胞は、赤色シグナルが少ないことによって示されるとおり、TCRのみのT細胞と比較して、ID8腫瘍細胞成長の制御の増大を示した(図24A)。
【0337】
さらに、抗メソテリンTCR+Fas-4-1BBtmで形質導入したT細胞で処置したマウスは、抗メソテリンTCRのみで形質導入したT細胞で処置したマウスと比較して生存が増大した。ID8マウス卵巣がんモデルにおいて、ID8腫瘍細胞5×10個を植え込み、6週間播種させた。シクロホスファミド処置後、マウスは、T細胞10個およびメソテリンパルス化脾細胞50×10個を受け、その後、IL-2注射を10日間受けた。マウスを、IACUCにより認可されたエンドポイント評価基準に従って安楽死させるまで2週間ごとに処置した。TCR+Fas-4-1BBtmで形質導入したT細胞では、TCRのみのT細胞と比較して生存が改善された(図24B)。
【0338】
(実施例25)
Fas-4-1BB融合タンパク質を発現するT細胞は、膵がんのKPCマウスモデルにおいてT細胞持続性を示し、生存を改善する
メソテリンを標的とするTCR-T細胞を用いた免疫療法が、マウス膵臓KPC腫瘍モデルにおける生存を有意に延長することが以前示されている。この研究では、KPCモデルを使用して、Fas-4-1BB融合タンパク質を発現するT細胞を用いた免疫療法が生存を改善することができるかどうかを決定した。
【0339】
自発性KPC膵がんモデルを使用して、ヒト疾患をモデル化した(Leeら、Curr. Protoc. Pharmacol.、73巻:14.39.1~14.39.20頁、2016年)。患者に
おいて、膵管腺腫(PDA)症例の>90%が、KRASの活性化変異を示し、>75%がp53の変異を有する。KPCモデルでは、膵臓特異的Creリコンビナーゼ(「C」)を使用して、膵臓上皮においてKras(「K」)およびp53(「P」)に変異を作製する。KPCモデルは、(i)頑強な炎症反応およびエフェクターT細胞の排除を含めた、ヒトPDAにおいて観察される免疫微小環境の重要な特徴の多くを再現し、(ii)免疫療法の評価のための、最も広範囲にわたって研究されたPDAの遺伝学的モデルであり、(iii)CD40アゴニストおよび抗PDL1抗体を含めたいくつかの免疫腫瘍学的薬物で処置されたPDA患者において見られる臨床的知見を再現してきた。このモデルはまた、患者における治療有効性の予測因子としての薬物のスクリーニングにおいても有用である。
【0340】
KPCマウスを、超音波によってスクリーニングしていつ腫瘍が生じるかを決定し、およそ8週齢で、腫瘍が検出された場合、研究に登録した。図25Aは、正常な膵臓を有する健康なマウスおよび「登録された」マウス(KPC遺伝子操作マウス)における膵腫瘍の超音波画像を示す。マウスを処置群にランダムに割り当てた。マウスを、シクロホスファミドで処置し、TCR-T細胞を受けたマウスには、メソテリン特異的T細胞(抗メソテリンTCR細胞または抗メソテリンTCR+Fas-4-1BBtmを形質導入した)およびメソテリンペプチドパルス化脾細胞のそれぞれ10個をシクロホスファミド後に注射した。登録の14日後に開始して、T細胞/APC注入(シクロホスファミドは伴わない)を2週間ごとに繰り返し、合計3回の注入を行い、IL-2注射は伴わなかった。最終的なT細胞注入の28日後に生存していたマウスについて、採血し、フローサイトメトリーを使用して遺伝子導入により標識されたT細胞を検出することによって移入T細胞の持続性を評価した。研究終了時に、マウスを、生存について評価し、IACUCによって認可されたエンドポイント評価基準に従って安楽死させた。本実施例で使用した実験計画の要約を図25Bに示す。
【0341】
Fas-4-1BBT細胞は、第3のT細胞注入の28日後に血液中でのより高い持続性を示した(図25C)。Fas-4-1BBT細胞を受けたマウスのすべて(100%)がT細胞持続性を示したが、一方、TCRのみのT細胞は持続しなかった(図25C)。メソテリン特異的TCRおよびFas-4-1BBT細胞で処置したマウスの生存は、メソテリン特異的TCRのみのT細胞免疫療法よりも有意に改善された(マンテル・コックス検定、P<0.05;図25D)。
【0342】
(実施例26)
Fas-4-1BB発現は、AMLのマウスモデルにおける養子免疫療法を増強する
実施例24において固形腫瘍について示されたのと同様に、Fas-4-1BBT細胞での処置は、液性腫瘍においても生存を改善する。マウスAMLモデル(Teagueら、Nature Medicine、12巻:335~341頁、2006年;Odaら、Blood、130巻:2
410~2419頁、2017年)において、FBL細胞を注射し、5日間播種させた。5日目に、マウスを、T細胞10個を伴ってまたは伴わずに、シクロホスファミドで処置した。TCR+Fas-4-1BBtmで形質導入したT細胞を用いるとTCRのみのT細胞と比較して生存が改善された(図26)。
【0343】
本発明の具体的な実施形態は例示され、記載される一方で、上に記載の種々の実施形態をさらなる実施形態を提供するために組み合わせることができ、種々の変更を本発明の精神および範囲から逸脱することなく行うことができることは容易に理解される。
【0344】
米国仮特許出願第62/128,979号、同第62/473,282号および同第62/629,663号ならびにPCT国際出願第PCT/US2016/021064号を含むがそれに限定されない、本明細書で言及され、または出願データシートに示された米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、および非特許刊行物のすべては、それらの全体として参照により本明細書に組み込まれる。さらなる実施形態を提供するために様々な特許、出願および刊行物の概念を用いることが必要である場合、実施形態の態様を修正することができる。
【0345】
上記の詳細な説明に照らして実施形態についてこれらおよび他の変更を行うことができる。一般的に、以下の特許請求の範囲において、使用される用語は、特許請求の範囲を、明細書および特許請求の範囲に開示される特定の実施形態に限定すると解釈されるべきではないが、すべての可能な実施形態、加えてそのような特許請求の範囲により権利が与えられる均等物のすべての範囲を含むと解釈すべきである。したがって、特許請求の範囲は本開示に限定されない。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
(a)標的に特異的に結合する結合ドメインで構成される細胞外成分、(b)細胞内シグナル伝達ドメインで構成される細胞内成分、および(c)前記細胞外成分と前記細胞内成分とを連結する疎水性成分を含む融合タンパク質であって、
前記融合タンパク質と前記標的の特異的な結合によって形成される複合体(融合タンパク質::標的複合体)の細胞外部分が、(i)最大でおよそ免疫学的シナプスの2つの細胞膜間の距離、(ii)最大で、T細胞受容体(TCR)と前記TCRが特異的に結合したMHC-ペプチド複合体との間の複合体の細胞外部分がまたがる距離とほぼ同じであるかまたは実質的に同じ、(iii)最大で、前記結合ドメインを含む天然分子とその同族結合パートナーとの間の複合体の細胞外部分がまたがる距離とほぼ同じであるかまたは実質的に同じ;(iii)約40nm未満もしくは最大で約40nm、約25nm未満もしくは最大で約25nm、約20nm未満もしくは最大で約20nm、約15nm未満もしくは最大で約15nm、または約14nm未満もしくは最大で約14nm;または(iv)それらの任意の組合せのサイズである、またはその距離にまたがり、
前記細胞外成分が、CD95(Fas)外部ドメインもしくはその機能的断片であるかまたはCD95(Fas)外部ドメインもしくはその機能的断片を含み、前記細胞内成分が、CD137(4-1BB)細胞内シグナル伝達ドメインもしくはその機能的部分であるかまたはCD137(4-1BB)細胞内シグナル伝達ドメインもしくはその機能的部分を含む、融合タンパク質。
(項目2)
前記融合タンパク質::標的複合体が、超分子活性化クラスター(SMAC)に局在する、項目1に記載の融合タンパク質。
(項目3)
前記融合タンパク質::標的複合体が、中心領域超分子活性化クラスター(cSMAC)に局在する、項目1または2に記載の融合タンパク質。
(項目4)
前記SMACが、抗原::ヒト白血球抗原(HLA)複合体と会合したT細胞受容体(TCR)の幅を有する、項目2または3に記載の融合タンパク質。
(項目5)
(a)標的に特異的に結合する結合ドメインで構成される細胞外成分、(b)細胞内シグナル伝達ドメインで構成される細胞内成分、および(c)前記細胞外成分と前記細胞内成分とを連結する疎水性成分を含む融合タンパク質であって、
前記結合ドメインが、阻害分子結合ドメインであるかまたは阻害分子結合ドメインに対して少なくとも95%の同一性を有し、前記細胞内シグナル伝達ドメインが、共刺激分子もしくは刺激分子結合ドメインであるかまたは共刺激分子もしくは刺激分子結合ドメインに対して少なくとも95%の同一性を含み、
前記阻害分子が、CD95(Fas)外部ドメインもしくはその機能的断片であるかまたはCD95(Fas)外部ドメインもしくはその機能的断片を含み、前記共刺激分子または刺激分子が、CD137(4-1BB)に由来する細胞内シグナル伝達ドメインもしくはその機能的部分であるかまたはCD137(4-1BB)に由来する細胞内シグナル伝達ドメインもしくはその機能的部分を含む、融合タンパク質。
(項目6)
抗原に特異的なTCRまたはキメラ抗原受容体を含むT細胞において前記融合タンパク質を発現させることにより、前記T細胞と実質的に同じであるが前記融合タンパク質を含有しない細胞と比較して、前記抗原との結合に応答して、かつ/もしくは被験体への投与後に、前記T細胞による、生存、拡大、細胞傷害、サイトカイン分泌、および/もしくは多数回の刺激への応答の少なくとも約1.5倍、2倍、または3倍の増大をもたらし、かつ/または、前記細胞が投与される被験体の生存時間、無病生存期間、もしくは1つもしくは複数の疾患症状の改善の少なくとも約1.5倍、2倍、または3倍の増大をもたらす、項目1から5までのいずれかに記載の融合タンパク質。
(項目7)
前記融合タンパク質が、T細胞において発現させると、前記T細胞によって発現されるTCRまたはCARと共局在することができる、項目1から6までのいずれかに記載の融合タンパク質。
(項目8)
前記細胞外成分が、追加的な細胞外部分をさらに含み、前記追加的な細胞外部分が、必要に応じて、前記結合ドメインの供給源分子とは別個の分子の細胞外部分に由来するもしくはそれと同一性を共有する、または前記結合ドメインを含有しない、項目1から7までのいずれかに記載の融合タンパク質。
(項目9)
前記細胞外成分が、疎水性成分に由来する追加的な細胞外部分をさらに含む、または前記疎水性成分もしくはその一部を含有する、項目1から8までのいずれか一項に記載の融合タンパク質。
(項目10)
前記追加的な細胞外部分が、マルチマー形成ドメインおよび/またはスペーサーを含む、項目8または9に記載の融合タンパク質。
(項目11)
前記細胞外成分または前記追加的な細胞外部分が、マルチマー形成ドメインを含む、項目1から10までのいずれか一項に記載の融合タンパク質。
(項目12)
前記マルチマー形成ドメインが、システイン残基を含む、項目11に記載の融合タンパク質。
(項目13)
前記マルチマー形成ドメインが、前記疎水性成分から約2~約15アミノ酸内にシステイン残基を含有するように改変された細胞外成分を含む、項目11または12に記載の融合タンパク質。
(項目14)
前記疎水性成分が、CD2、CD3ε、CD3δ、CD3ζ、CD25、CD27、CD28、CD40、CD79A、CD79B、CD80、CD86、CD95(Fas)、CD134(OX40)、CD137(4-1BB)、CD150(SLAMF1)、CD152(CTLA4)、CD200R、CD223(LAG3)、CD270(HVEM)、CD272(BTLA)、CD273(PD-L2)、CD274(PD-L1)、CD278(ICOS)、CD279(PD-1)、CD300、CD357(GITR)、A2aR、DAP10、FcRα、FcRβ、FcRγ、Fyn、GAL9、KIR、Lck、LAT、LRP、NKG2D、NOTCH1、NOTCH2、NOTCH3、NOTCH4、PTCH2、ROR2、Ryk、Slp76、SIRPα、pTα、TCRα、TCRβ、TIM3、TRIM、LPA5、またはZap70の膜貫通ドメインを含む、項目1から13までのいずれか一項に記載の融合タンパク質。
(項目15)
前記疎水性成分が、CD28の膜貫通ドメインを含む、項目1から14までのいずれか一項に記載の融合タンパク質。
(項目16)
前記細胞外成分が、前記CD28膜貫通ドメインから伸長したCD28の細胞外部分を含む、項目15に記載の融合タンパク質。
(項目17)
前記CD28の細胞外部分がシステイン残基を含む、項目16に記載の融合タンパク質。
(項目18)
前記疎水性成分が4-1BBの膜貫通ドメインを含む、項目1から14までのいずれか一項に記載の融合タンパク質。
(項目19)
前記細胞外成分が、前記CD137(4-1BB)膜貫通ドメインから伸長したCD137(4-1BB)の細胞外部分を含む、項目18に記載の融合タンパク質。
(項目20)
前記CD137(4-1BB)の細胞外部分がシステイン残基を含む、項目19に記載の融合タンパク質。
(項目21)
前記疎水性成分が、CD95(Fas)の膜貫通ドメインを含む、項目1から14までのいずれか一項に記載の融合タンパク質。
(項目22)
前記標的が、CD95L(FasL)であるかまたはCD95L(FasL)を含む、項目1から21までのいずれか一項に記載の融合タンパク質。
(項目23)
(a)前記細胞外成分がCD95(Fas)外部ドメインまたはその機能的断片を含み、(b)前記疎水性成分が、CD137(4-1BB)の膜貫通ドメインを含み、(c)前記細胞内成分が、CD137(4-1BB)の細胞内シグナル伝達ドメインまたはその機能的断片を含む、項目1から22までのいずれかに記載の融合タンパク質。
(項目24)
前記CD95(Fas)外部ドメインが、CD95(Fas)の細胞外ドメイン全体を含む、項目1から23までのいずれか一項に記載の融合タンパク質。
(項目25)
前記CD95(Fas)が、ヒトCD95(Fas)である、項目1から24までのいずれかに記載の融合タンパク質。
(項目26)
(a)前記細胞外成分が、配列番号71に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含み、(b)前記疎水性成分が、配列番号197に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含み、(c)前記細胞内成分が、配列番号13に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含む、項目1または5に記載の融合タンパク質。
(項目27)
前記細胞内成分が、第2の細胞内シグナル伝達ドメインを含む、項目1から26までのいずれか一項に記載の融合タンパク質。
(項目28)
前記第2の細胞内シグナル伝達ドメインが、CD28の細胞内シグナル伝達ドメインであるかまたはCD28の細胞内シグナル伝達ドメインを含む、項目27に記載の融合タンパク質。
(項目29)
(a)前記細胞外成分が、配列番号71に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列および配列番号9に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を有するマルチマー形成ドメインを含み、(b)前記疎水性成分が、配列番号4、77、または197に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含み、(c)前記細胞内成分が、配列番号13に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含む、項目1または5に記載の融合タンパク質。
(項目30)
(a)前記細胞外成分が、配列番号73に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列および配列番号9に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を有するマルチマー形成ドメインを含み、(b)前記疎水性成分が、配列番号4、77、または197に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含み、(c)前記細胞内成分が、配列番号13に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含む、項目1または5に記載の融合タンパク質。
(項目31)
(a)前記細胞外成分が、配列番号75に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列および配列番号9に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を有するマルチマー形成ドメインを含み、(b)前記疎水性成分が、配列番号4、77、または197に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含み、(c)前記細胞内成分が、配列番号13に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含む、項目1または5に記載の融合タンパク質。
(項目32)
(a)前記細胞外成分が、配列番号72に記載のアミノ酸配列を含み、(b)前記疎水性成分が、配列番号198に記載のアミノ酸配列を含み、(c)前記細胞内成分が、配列番号36に記載のアミノ酸配列を含む、項目1または5に記載の融合タンパク質。
(項目33)
(a)前記細胞外成分が、配列番号72に記載のアミノ酸配列および配列番号32に記載のアミノ酸配列を有するマルチマー形成ドメインを含み、(b)前記疎水性成分が、配列番号27、78、または198に記載のアミノ酸配列を含み、(c)前記細胞内成分が、配列番号36に記載のアミノ酸配列を含む、項目1または5に記載の融合タンパク質。(項目34)
(a)前記細胞外成分が、配列番号74に記載のアミノ酸配列および配列番号32に記載のアミノ酸配列を有するマルチマー形成ドメインを含み、(b)前記疎水性成分が、配列番号27、78、または198に記載のアミノ酸配列を含み、(c)前記細胞内成分が、配列番号36に記載のアミノ酸配列を含む、項目1または5に記載の融合タンパク質。(項目35)
(a)前記細胞外成分が、配列番号76に記載のアミノ酸配列および配列番号32に記載のアミノ酸配列を有するマルチマー形成ドメインを含み、(b)前記疎水性成分が、配列番号27、78、または198に記載のアミノ酸配列を含み、(c)前記細胞内成分が、配列番号36に記載のアミノ酸配列を含む、項目1または5に記載の融合タンパク質。(項目36)
(a)配列番号71に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含む細胞外成分、(b)配列番号197に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含む疎水性成分、および(c)配列番号13に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含む細胞内成分を含む融合タンパク質。
(項目37)
(a)配列番号72に記載のアミノ酸配列を有する結合ドメインを含む細胞外成分;(b)配列番号198に記載のアミノ酸配列を含む疎水性成分;および(c)配列番号36に記載のアミノ酸配列を含む細胞内成分を含む融合タンパク質。
(項目38)
項目1から37までのいずれか一項に記載の融合タンパク質をコードする核酸分子。
(項目39)
項目38に記載の核酸分子を含むベクター。
(項目40)
ウイルスベクターである、項目39に記載のベクター。
(項目41)
前記ウイルスベクターが、レンチウイルスベクターまたはレトロウイルスベクターである、項目40に記載のベクター。
(項目42)
抗原特異的TCRをさらにコードする、項目39から41までのいずれか一項に記載のベクター。
(項目43)
前記TCRが、宿主細胞に対して外因性である、項目42に記載のベクター。
(項目44)
前記TCRが、HLAクラスI制限抗原に特異的である、項目42または43に記載のベクター。
(項目45)
前記抗原が、がん特異的抗原である、項目42から44までのいずれか一項に記載のベクター。
(項目46)
前記がん特異的抗原が、WT-1、メソテリン、またはサイクリン-A1を含む、項目45に記載のベクター。
(項目47)
リガンドをさらにコードする、項目39から46までのいずれか一項に記載のベクター。
(項目48)
前記リガンドが、CD200、CD47、PD-L1、またはCD58である、項目47に記載のベクター。
(項目49)
内因性受容体の発現を低下させるためのsiRNAをさらにコードする、項目39から48までのいずれか一項に記載のベクター。
(項目50)
前記内因性受容体が、CD200R、SIRPα、CD279(PD-1)、CD95(Fas)、もしくはCD2を含む、または、TCRもしくはその一部である、項目49に記載のベクター。
(項目51)
項目1から37までのいずれか一項に記載の融合タンパク質を含む宿主細胞。
(項目52)
項目38に記載の核酸分子を含む宿主細胞。
(項目53)
項目39から50までのいずれか一項に記載のベクターを含む宿主細胞。
(項目54)
免疫系細胞である、項目51から53までのいずれか一項に記載の宿主細胞。
(項目55)
前記免疫系細胞が、T細胞である、項目54に記載の宿主細胞。
(項目56)
前記T細胞が、CD4+T細胞である、項目55に記載の宿主細胞。
(項目57)
前記T細胞が、CD8+T細胞である、項目55に記載の宿主細胞。
(項目58)
必要に応じて抗原特異的TCRである抗原受容体をさらに含む、項目51から57までのいずれか一項に記載の宿主細胞。
(項目59)
前記抗原特異的TCRが、前記細胞または宿主に対して外因性である、項目58に記載の宿主細胞。
(項目60)
前記TCRが、HLAクラスI制限抗原に特異的である、項目58から59までのいずれか一項に記載の宿主細胞。
(項目61)
前記抗原が、がん特異的抗原である、項目58から60までのいずれか一項に記載の宿主細胞。
(項目62)
前記がん特異的抗原が、WT-1、メソテリン、またはサイクリン-A1を含む、項目61に記載の宿主細胞。
(項目63)
前記抗原が、ウイルス抗原である、項目58から60までのいずれか一項に記載の宿主細胞。
(項目64)
前記抗原受容体が、キメラ抗原受容体である、項目58に記載の宿主細胞。
(項目65)
被験体における疾患の処置において使用するための、項目1から37までのいずれか一項に記載の融合タンパク質、項目39から50までのいずれか一項に記載のベクター、または項目51から64までのいずれか一項に記載の宿主細胞。
(項目66)
前記被験体が、ヒトである、項目65に記載の融合タンパク質、ベクター、または宿主細胞。
(項目67)
前記疾患が、血液学的悪性疾患または固形腫瘍である、項目65または66に記載の融合タンパク質、ベクター、または宿主細胞。
(項目68)
前記疾患が、急性骨髄性白血病(AML)である、項目65または66に記載の融合タンパク質、ベクター、または宿主細胞。
(項目69)
前記疾患が、卵巣がんである、項目65または66に記載の融合タンパク質、ベクター、または宿主細胞。
(項目70)
前記疾患が、膵がんである、項目65または66に記載の融合タンパク質、ベクター、または宿主細胞。
(項目71)
被験体において疾患を処置する方法であって、治療有効量の項目1から37までのいずれか一項に記載の融合タンパク質、項目39から50までのいずれか一項に記載のベクター、または項目51から64までのいずれか一項に記載の宿主細胞を前記被験体に投与するステップを含む方法。
(項目72)
前記被験体が、ヒトである、項目71に記載の方法。
(項目73)
前記疾患が、血液学的悪性疾患または固形腫瘍である、項目71または72に記載の方法。
(項目74)
前記疾患が、急性骨髄性白血病(AML)である、項目71または72に記載の方法。(項目75)
前記疾患が、卵巣がんである、項目71または72に記載の方法。
(項目76)
前記疾患が、膵がんである、項目71または72に記載の方法。
(項目77)
(a)標的に特異的に結合する結合ドメインで構成される細胞外成分、(b)細胞内シグナル伝達ドメインで構成される細胞内成分、および(c)前記細胞外成分と前記細胞内成分とを連結する疎水性成分を含む融合タンパク質であって、
前記融合タンパク質と前記標的の特異的な結合によって形成される複合体(融合タンパク質::標的複合体)の細胞外部分が、(i)最大でおよそ免疫学的シナプスの2つの細胞膜間の距離、(ii)最大で、T細胞受容体(TCR)と前記TCRが特異的に結合したMHC-ペプチド複合体との間の複合体の細胞外部分がまたがる距離とほぼ同じであるかまたは実質的に同じ、(iii)最大で、前記結合ドメインを含む天然分子とその同族結合パートナーとの間の複合体の細胞外部分がまたがる距離とほぼ同じであるかまたは実質的に同じ;(iii)約40nm未満もしくは最大で約40nm、約25nm未満もしくは最大で約25nm、約20nm未満もしくは最大で約20nm、約15nm未満もしくは最大で約15nm、または約14nm未満もしくは最大で約14nm;または(iv)それらの任意の組合せのサイズである、またはその距離にまたがり、
前記細胞外成分が、CD200R外部ドメインもしくはその機能的断片であるかまたはCD200R外部ドメインもしくはその機能的断片を含み、前記細胞内成分が、CD28細胞内シグナル伝達ドメインもしくはその機能的部分であるかまたはCD28細胞内シグナル伝達ドメインもしくはその機能的部分を含む、融合タンパク質。
(項目78)
前記融合タンパク質::標的複合体が、超分子活性化クラスター(SMAC)に局在する、項目77に記載の融合タンパク質。
(項目79)
前記融合タンパク質::標的複合体が、中心領域超分子活性化クラスター(cSMAC)に局在する、項目77または78に記載の融合タンパク質。
(項目80)
前記SMACが、抗原::ヒト白血球抗原(HLA)複合体と会合したT細胞受容体(TCR)の幅を有する、項目78または79に記載の融合タンパク質。
(項目81)
(a)標的に特異的に結合する結合ドメインで構成される細胞外成分、(b)細胞内シグナル伝達ドメインで構成される細胞内成分、および(c)前記細胞外成分と前記細胞内成分とを連結する疎水性成分を含む融合タンパク質であって、
前記結合ドメインが、阻害分子結合ドメインであるかまたは阻害分子結合ドメインに対して少なくとも95%の同一性を有し、前記細胞内シグナル伝達ドメインが、共刺激分子もしくは刺激分子結合ドメインであるかまたは共刺激分子もしくは刺激分子結合ドメインに対して少なくとも95%の同一性を含み、
前記阻害分子が、CD200R外部ドメインもしくはその機能的断片であるかまたはCD200R外部ドメインもしくはその機能的断片を含み、前記共刺激分子または刺激分子が、CD28に由来する細胞内シグナル伝達ドメインもしくはその機能的部分であるかまたはCD28に由来する細胞内シグナル伝達ドメインもしくはその機能的部分を含む、融合タンパク質。
(項目82)
抗原に特異的なTCRまたはキメラ抗原受容体を含むT細胞において前記融合タンパク質を発現させることにより、前記T細胞と実質的に同じであるが前記融合タンパク質を含有しない細胞と比較して、前記抗原との結合に応答して、かつ/もしくは被験体への投与後に、前記T細胞による、生存、拡大、細胞傷害、サイトカイン分泌、および/または多数回の刺激への応答の少なくとも約1.5倍、2倍、または3倍の増大をもたらし、かつ/または、前記細胞が投与される被験体の生存時間、無病生存期間、もしくは1つもしくは複数の疾患症状の改善の少なくとも約1.5倍、2倍、または3倍の増大をもたらす、項目77から81までのいずれかに記載の融合タンパク質。
(項目83)
前記融合タンパク質が、T細胞において発現させると、前記T細胞によって発現されるTCRまたはCARと共局在することができる、項目77から82までのいずれかに記載の融合タンパク質。
(項目84)
前記細胞外成分が、追加的な細胞外部分をさらに含み、前記追加的な細胞外部分が、必要に応じて、前記結合ドメインの供給源分子とは別個の分子の細胞外部分に由来するもしくはそれと同一性を共有する、または前記結合ドメインを含有しない、項目77から83までのいずれかに記載の融合タンパク質。
(項目85)
前記細胞外成分が、疎水性成分に由来する追加的な細胞外部分をさらに含む、または前記疎水性成分もしくはその一部を含有する、項目77から84までのいずれか一項に記載の融合タンパク質。
(項目86)
前記追加的な細胞外部分が、マルチマー形成ドメインおよび/またはスペーサーを含む、項目84または85に記載の融合タンパク質。
(項目87)
前記細胞外成分または前記追加的な細胞外部分が、マルチマー形成ドメインを含む、項目77から86までのいずれか一項に記載の融合タンパク質。
(項目88)
前記マルチマー形成ドメインが、システイン残基を含む、項目87に記載の融合タンパク質。
(項目89)
前記マルチマー形成ドメインが、前記疎水性成分から約2~約15アミノ酸内にシステイン残基を含有するように改変された細胞外成分を含む、項目87または88に記載の融合タンパク質。
(項目90)
前記疎水性成分が、CD2、CD3ε、CD3δ、CD3ζ、CD25、CD27、CD28、CD40、CD79A、CD79B、CD80、CD86、CD95(Fas)、CD134(OX40)、CD137(4-1BB)、CD150(SLAMF1)、CD152(CTLA4)、CD200R、CD223(LAG3)、CD270(HVEM)、CD272(BTLA)、CD273(PD-L2)、CD274(PD-L1)、CD278(ICOS)、CD279(PD-1)、CD300、CD357(GITR)、A2aR、DAP10、FcRα、FcRβ、FcRγ、Fyn、GAL9、KIR、Lck、LAT、LRP、NKG2D、NOTCH1、NOTCH2、NOTCH3、NOTCH4、PTCH2、ROR2、Ryk、Slp76、SIRPα、pTα、TCRα、TCRβ、TIM3、TRIM、LPA5、またはZap70の膜貫通ドメインを含む、項目77から89までのいずれか一項に記載の融合タンパク質。
(項目91)
前記疎水性成分が、CD28の膜貫通ドメインを含む、項目77から90までのいずれか一項に記載の融合タンパク質。
(項目92)
前記細胞外成分が、前記CD28膜貫通ドメインから伸長したCD28の細胞外部分を含む、項目91に記載の融合タンパク質。
(項目93)
前記CD28の細胞外部分がシステイン残基を含む、項目92に記載の融合タンパク質。
(項目94)
前記疎水性成分が、CD200Rの膜貫通ドメインを含む、項目77から93までのいずれか一項に記載の融合タンパク質。
(項目95)
前記標的が、CD200であるかまたはCD200を含む、項目77から94までのいずれか一項に記載の融合タンパク質。
(項目96)
(a)前記細胞外成分がCD200R外部ドメインまたはその機能的断片を含み、(b)前記疎水性成分が、CD28の膜貫通ドメインを含み、(c)前記細胞内成分が、CD28の細胞内シグナル伝達ドメインまたはその機能的断片を含む、項目77から95までのいずれかに記載の融合タンパク質。
(項目97)
前記CD200R外部ドメインが、CD200Rの細胞外ドメイン全体を含む、項目77から96までのいずれか一項に記載の融合タンパク質。
(項目98)
前記CD200Rの細胞外部分が、CD200RのN末端から少なくとも200アミノ酸を含む、項目77から96までのいずれか一項に記載の融合タンパク質。
(項目99)
前記CD200Rの細胞外部分が、CD200RのN末端から少なくとも約225アミノ酸~少なくとも約235アミノ酸を含む、項目98に記載の融合タンパク質。
(項目100)
前記CD200Rの細胞外部分が、CD200RのN末端から少なくとも約228アミノ酸を含む、項目98に記載の融合タンパク質。
(項目101)
前記CD200Rの細胞外部分が、CD200RのN末端から少なくとも約231アミノ酸を含む、項目98に記載の融合タンパク質。
(項目102)
前記CD200Rの細胞外部分が、CD200RのN末端から少なくとも約234アミノ酸を含む、項目98に記載の融合タンパク質。
(項目103)
前記CD200Rが、ヒトCD200Rである、項目77から102までのいずれかに記載の融合タンパク質。
(項目104)
(a)前記細胞外成分が、配列番号2に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含み、(b)前記疎水性成分が、配列番号3に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含み、(c)前記細胞内成分が、配列番号5に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含む、項目77または81に記載の融合タンパク質。
(項目105)
(a)前記細胞外成分が、配列番号2に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含み、(b)前記疎水性成分が、配列番号4に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含み、(c)前記細胞内成分が、配列番号5に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含む、項目77または81に記載の融合タンパク質。
(項目106)
(a)前記細胞外成分が、配列番号8に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含み、(b)前記疎水性成分が、配列番号4に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含み、(c)前記細胞内成分が、配列番号5に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含む、項目77または81に記載の融合タンパク質。
(項目107)
(a)前記細胞外成分が、配列番号11に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含み、(b)前記疎水性成分が、配列番号4に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含み、(c)前記細胞内成分が、配列番号5に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含む、項目77または81に記載の融合タンパク質。
(項目108)
(a)前記細胞外成分が、配列番号181に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含み、(b)前記疎水性成分が、配列番号4に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含み、(c)前記細胞内成分が、配列番号5に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含む、項目77または81に記載の融合タンパク質。
(項目109)
前記細胞外成分が、配列番号9に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含むマルチマー形成ドメインをさらに含む、項目105から108までに記載の融合タンパク質。
(項目110)
(a)前記細胞外成分が、配列番号25に記載のアミノ酸配列を含み、(b)前記疎水性成分が、配列番号26に記載のアミノ酸配列を含み、(c)前記細胞内成分が、配列番号28に記載のアミノ酸配列を含む、項目77または81に記載の融合タンパク質。
(項目111)
(a)前記細胞外成分が、配列番号25に記載のアミノ酸配列を含み、(b)前記疎水性成分が、配列番号27に記載のアミノ酸配列を含み、(c)前記細胞内成分が、配列番号28に記載のアミノ酸配列を含む、項目77または81に記載の融合タンパク質。
(項目112)
(a)前記細胞外成分が、配列番号31に記載のアミノ酸配列を含み、(b)前記疎水性成分が、配列番号27に記載のアミノ酸配列を含み、(c)前記細胞内成分が、配列番号28に記載のアミノ酸配列を含む、項目77または81に記載の融合タンパク質。
(項目113)
(a)前記細胞外成分が、配列番号34に記載のアミノ酸配列を含み、(b)前記疎水性成分が、配列番号27に記載のアミノ酸配列を含み、(c)前記細胞内成分が、配列番号28に記載のアミノ酸配列を含む、項目77または81に記載の融合タンパク質。
(項目114)
(a)前記細胞外成分が、配列番号182に記載のアミノ酸配列を含み、(b)前記疎水性成分が、配列番号27に記載のアミノ酸配列を含み、(c)前記細胞内成分が、配列番号28に記載のアミノ酸配列を含む、項目77または81に記載の融合タンパク質。
(項目115)
前記細胞外成分が、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むマルチマー形成ドメインをさらに含む、項目111から114までに記載の融合タンパク質。
(項目116)
(a)配列番号2に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含む細胞外成分、(b)配列番号3に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含む疎水性成分、および(c)配列番号5に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含む細胞内成分を含む融合タンパク質。
(項目117)
(a)配列番号2に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含む細胞外成分、(b)配列番号4に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含む疎水性成分、および(c)配列番号5に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含む細胞内成分を含む融合タンパク質。
(項目118)
(a)配列番号8に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含む細胞外成分、(b)配列番号4に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含む疎水性成分、および(c)配列番号5に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含む細胞内成分を含む融合タンパク質。
(項目119)
(a)配列番号11に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含む細胞外成分、(b)配列番号4に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含む疎水性成分、および(c)配列番号5に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含む細胞内成分を含む融合タンパク質。
(項目120)
(a)配列番号181に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含む細胞外成分、(b)配列番号4に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含む疎水性成分、および(c)配列番号5に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含む細胞内成分を含む融合タンパク質。
(項目121)
前記細胞外成分が、配列番号9に記載の核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含むマルチマー形成ドメインをさらに含む、項目117から120までに記載の融合タンパク質。
(項目122)
(a)配列番号25に記載のアミノ酸配列を含む細胞外成分、(b)配列番号26に記載のアミノ酸配列を含む疎水性成分、および(c)配列番号28に記載のアミノ酸配列を含む細胞内成分を含む融合タンパク質。
(項目123)
(a)配列番号25に記載のアミノ酸配列を含む細胞外成分、(b)配列番号27に記載のアミノ酸配列を含む疎水性成分、および(c)配列番号28に記載のアミノ酸配列を含む細胞内成分を含む融合タンパク質。
(項目124)
(a)配列番号31に記載のアミノ酸配列を含む細胞外成分、(b)配列番号27に記載のアミノ酸配列を含む疎水性成分、および(c)配列番号28に記載のアミノ酸配列を含む細胞内成分を含む融合タンパク質。
(項目125)
(a)配列番号34に記載のアミノ酸配列を含む細胞外成分、(b)配列番号27に記載のアミノ酸配列を含む疎水性成分、および(c)配列番号28に記載のアミノ酸配列を含む細胞内成分を含む融合タンパク質。
(項目126)
(a)配列番号182に記載のアミノ酸配列を含む細胞外成分、(b)配列番号27に記載のアミノ酸配列を含む疎水性成分、および(c)配列番号28に記載のアミノ酸配列を含む細胞内成分を含む融合タンパク質。
(項目127)
前記細胞外成分が、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むマルチマー形成ドメインをさらに含む、項目123から126までに記載の融合タンパク質。
(項目128)
項目77から127までのいずれか一項に記載の融合タンパク質をコードする核酸分子。
(項目129)
項目128に記載の核酸分子を含むベクター。
(項目130)
ウイルスベクターである、項目129に記載のベクター。
(項目131)
前記ウイルスベクターが、レンチウイルスベクターまたはレトロウイルスベクターである、項目130に記載のベクター。
(項目132)
抗原特異的TCRをさらにコードする、項目129から131までのいずれか一項に記載のベクター。
(項目133)
前記TCRが、宿主細胞に対して外因性である、項目132に記載のベクター。
(項目134)
前記TCRが、HLAクラスI制限抗原に特異的である、項目132または133に記載のベクター。
(項目135)
前記抗原が、がん特異的抗原である、項目132から134までのいずれか一項に記載のベクター。
(項目136)
前記がん特異的抗原が、WT-1、メソテリン、またはサイクリン-A1を含む、項目135に記載のベクター。
(項目137)
リガンドをさらにコードする、項目129から136までのいずれか一項に記載のベクター。
(項目138)
前記リガンドが、CD200、CD47、PD-L1、またはCD58である、項目137に記載のベクター。
(項目139)
内因性受容体の発現を低下させるためのsiRNAをさらにコードする、項目129から138までのいずれか一項に記載のベクター。
(項目140)
前記内因性受容体が、CD200R、SIRPα、CD279(PD-1)、CD95(Fas)、もしくはCD2を含む、またはTCRもしくはその一部である、項目139に記載のベクター。
(項目141)
項目77から127までのいずれか一項に記載の融合タンパク質を含む宿主細胞。
(項目142)
項目128に記載の核酸分子を含む宿主細胞。
(項目143)
項目129から140までのいずれか一項に記載のベクターを含む宿主細胞。
(項目144)
免疫系細胞である、項目141から143までのいずれか一項に記載の宿主細胞。
(項目145)
前記免疫系細胞が、T細胞である、項目144に記載の宿主細胞。
(項目146)
前記T細胞が、CD4T細胞である、項目145に記載の宿主細胞。
(項目147)
前記T細胞が、CD8T細胞である、項目145に記載の宿主細胞。
(項目148)
必要に応じて抗原特異的TCRである抗原受容体をさらに含む、項目141から147までのいずれか一項に記載の宿主細胞。
(項目149)
前記抗原特異的TCRが、前記細胞または宿主に対して外因性である、項目148に記載の宿主細胞。
(項目150)
前記TCRが、HLAクラスI制限抗原に特異的である、項目148から149までのいずれか一項に記載の宿主細胞。
(項目151)
前記抗原が、がん特異的抗原である、項目148から150までのいずれか一項に記載の宿主細胞。
(項目152)
前記がん特異的抗原が、WT-1、メソテリン、またはサイクリン-A1を含む、項目151に記載の宿主細胞。
(項目153)
前記抗原が、ウイルス抗原である、項目148から150までのいずれか一項に記載の宿主細胞。
(項目154)
前記抗原受容体が、キメラ抗原受容体である、項目148に記載の宿主細胞。
(項目155)
被験体における疾患の処置において使用するための、項目77から127までのいずれか一項に記載の融合タンパク質、項目129から140までのいずれか一項に記載のベクター、または項目141から154までのいずれか一項に記載の宿主細胞。
(項目156)
前記被験体がヒトである、項目155に記載の融合タンパク質、ベクター、または宿主細胞。
(項目157)
前記疾患が、血液学的悪性疾患または固形腫瘍である、項目155または156に記載の融合タンパク質、ベクター、または宿主細胞。
(項目158)
前記疾患が、急性骨髄性白血病(AML)である、項目155または156に記載の融合タンパク質、ベクター、または宿主細胞。
(項目159)
被験体において疾患を処置する方法であって、治療有効量の項目77から127までのいずれか一項に記載の融合タンパク質、項目129から140までのいずれか一項に記載のベクター、または項目141から154までのいずれか一項に記載の宿主細胞を前記被験体に投与するステップを含む方法。
(項目160)
前記被験体がヒトである、項目159に記載の方法。
(項目161)
前記疾患が、血液学的悪性疾患または固形腫瘍である、項目159または160に記載の方法。
(項目162)
前記疾患が、急性骨髄性白血病(AML)である、項目159または160に記載の方法。
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【外国語明細書】