(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019751
(43)【公開日】2024-02-13
(54)【発明の名称】システム及びプログラム等
(51)【国際特許分類】
G01S 7/38 20060101AFI20240205BHJP
【FI】
G01S7/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023125144
(22)【出願日】2023-07-31
(31)【優先権主張番号】P 2022122399
(32)【優先日】2022-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】391001848
【氏名又は名称】株式会社ユピテル
(74)【代理人】
【識別番号】100092598
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 伸一
(72)【発明者】
【氏名】小林 典仙
(72)【発明者】
【氏名】福田 稔
(72)【発明者】
【氏名】清水 勇喜
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AA02
5J070AE20
5J070AF03
5J070AK29
5J070BD06
5J070BH12
(57)【要約】
【課題】 車両速度測定装置が出射したマイクロ波を検出する技術を提供する。
【解決手段】 車両に設けられ、車両速度測定装置が出射した所定のマイクロ波を受信した場合に報知する機能を有するシステムであり、Kバンドのマイクロ波を受信する機能を備え、そのKバンドのマイクロ波を受信する機能は、Kバンドの周波数帯域中の利用可能帯域における周波数の高い領域側を受信する機能を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられ、所定のマイクロ波を受信する受信部と、
前記所定のマイクロ波の受信に応じて報知する制御を行う制御部と、
を有し、
前記受信部は、
前記所定のマイクロ波として、車両速度測定装置において利用可能なKバンドに属する周波数帯域のうちの少なくとも高域側の領域を含む第1の周波数帯域のマイクロ波を受信する
システム。
【請求項2】
前記受信部は、
受信した前記所定のマイクロ波の受信信号の周波数を、局部発振器の発振周波数に基づいて変換し、その変換後の信号を検波するヘテロダイン方式の受信回路を有し、
前記局部発振器の発振周波数は、前記第1の周波数帯域が所定の電波発生源から前記受信部に飛来し得る所定の周波数を避けるように、設定される
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記局部発振器の発振周波数は、他車両に搭載されるミリ波を用いた車両衝突防止システムから飛来し得る電波の周波数を避けるように、設定される
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記局部発振器の発振周波数は、前記第1の周波数帯域が、VICS(Vehicle Information and Communication System)用の受信機から飛来し得る電波の周波数を避けるように、設定される
請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記受信回路は、
前記所定のマイクロ波として、さらに、車両速度測定装置において利用可能なXバンドに属する第2の周波数帯域のマイクロ波を受信するように構成され、
前記局部発振器の発振周波数は、前記第1の周波数帯域、及び前記第2の周波数帯域が、前記所定の電波発生源から前記受信部に飛来し得る所定の周波数を避けるように、設定される
請求項2から4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記受信回路は、
前記局部発振器として、少なくとも1つの1次局部発振器と、少なくとも1つの2次局部発振器と、を有し、
前記少なくとも1つの1次局部発振器の発振周波数、及び前記少なくとも1つの2次局部発振器の発振周波数は、前記第1の周波数帯域の上限が少なくとも24.135[GHz]を超えるように、設定される
請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1つの2次局部発振器は、前記第1の周波数帯域のマイクロ波を受信しようとする期間に、少なくとも1180[MHz]を超える発振周波数の発振信号を発生させる
請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの2次局部発振器は、1300[MHz]近傍を発振周波数の上限として前記発振信号を発生させる
請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記制御部は、
前記第1の周波数帯域における第1の周波数のマイクロ波が受信された場合と、前記第1の周波数よりも高い第2の周波数のマイクロ波が受信された場合とで、前記報知する制御を異ならせる
請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1の周波数帯域は、前記Kバンドに属する周波数帯域のうちの低域側の領域をさらに含む
請求項6に記載のシステム。
【請求項11】
前記受信回路は、
前記2次局部発振器として、第1の2次局部発振器と、第2の2次局部発振器とを有し、
前記第1の2次局部発振器は、前記Kバンドに属する周波数帯域のうち、前記高域側の領域である第3の周波数帯域のマイクロ波を受信するための発振信号を発生させ、前記第2の2次局部発振器は、前記Kバンドに属する周波数帯域のうち、前記低域側の領域である第4の周波数帯域のマイクロ波を受信するための発振信号を発生させる
請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記第3の周波数帯域と前記第4の周波数帯域とが一部重複する
請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記制御部は、
前記第3の周波数帯域のマイクロ波が受信されたのか、又は前記第4の周波数帯域のマイクロ波が受信されたのかに応じて、前記報知する制御を異ならせる
請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記受信回路は、
前記第3の周波数帯域、及び前記第4の周波数帯域のマイクロ波を受信する第1のモードと、前記第3の周波数帯域と前記第4の周波数帯域との一方のマイクロ波を受信する第2のモードと、により動作可能である
請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記車両の現在位置の位置情報を取得する位置情報取得部を備え、
前記制御部は、
取得した前記位置情報に基づいて、前記第1のモード、又は前記第2のモードに切り替える
請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記制御部は、
前記第3の周波数帯域、及び前記第4の周波数帯域のマイクロ波を検出する処理を行わない第3のモードをさらに有し、
前記第1のモード、前記第2のモード、及び前記第3のモードの各モードは、いずれも、前記第2の周波数帯域のマイクロ波を検出する処理を行うモードである
請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記車両の現在位置の位置情報を取得する位置情報取得部を備え、
前記制御部は、
取得した前記位置情報に基づいて、前記第2のモード、又は前記第3のモードに切り替え、
ユーザからの入力に応じて、前記第2のモード、及び前記第3のモードに優先して前記第1のモードで動作させる
請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記受信回路は、
掃引発振する前記局部発振器を有し、前記掃引発振する局部発振器をスイープストップすることなく、前記第1の周波数帯域のマイクロ波を受信したか否かを判定する
請求項12に記載のシステム。
【請求項19】
前記受信回路は、
前記第2の周波数帯域のマイクロ波が検知された場合に、前記掃引発振する局部発振器をスイープストップして、前記第2の周波数帯域のマイクロ波の検知状況により、当該マイクロ波を受信したか否かを判定する
請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記受信回路は、
前記第1の周波数帯域のマイクロ波を受信する場合と、前記第4の周波数帯域のマイクロ波を受信する場合とで、前記掃引発振する局部発振器のスイープ速度を異ならせる
請求項12に記載のシステム。
【請求項21】
前記制御部は、
前記第1の周波数帯域のマイクロ波を受信した場合と、前記第2の周波数帯域のマイクロ波を受信した場合とで異なる前記報知する制御を行う
請求項12に記載のシステム。
【請求項22】
前記受信回路は、
前記第1の周波数帯域のマイクロ波を受信するための第1の回路部と、前記第2の周波数帯域のマイクロ波を受信するための第2の回路部とが一部の回路部分を共有し、かつ共有しない回路部分は互いに領域を分けて配置された単一の集積回路で構成される
請求項12に記載のシステム。
【請求項23】
前記受信回路は、
前記1次局部発振器については固定周波数で発振し、
前記2次局部発振器については掃引発振し、
前記1次局部発振器は、
前記第1の周波数帯域のマイクロ波を受信する場合と、前記第2の周波数帯域のマイクロ波を受信する場合とで共通に用いられ、
前記2次局部発振器は、
前記第1の周波数帯域のマイクロ波を受信するためのものと、前記第2の周波数帯域のマイクロ波を受信するためのものとが別々に構成される
請求項10に記載のシステム。
【請求項24】
前記受信回路は、
前記1次局部発振器については固定周波数で発振し、
前記2次局部発振器については掃引発振し、
前記1次局部発振器は、
前記第1の周波数帯域のマイクロ波を受信するためのものと、前記第2の周波数帯域のマイクロ波を受信するためのものとが別々に構成され、
前記2次局部発振器は、
前記第1の周波数帯域のマイクロ波を受信する場合と、前記第2の周波数帯域のマイクロ波を受信する場合とで共通に用いられる
請求項10に記載のシステム。
【請求項25】
前記制御部は、
前記少なくとも1つの1次局部発振器と、前記少なくとも1つの2次局部発振器との制御を、共通の制御信号を与えることで行い、かつ動作させる局部発振器の電源をオンさせる
請求項10に記載のシステム。
【請求項26】
コンピュータに、
車両に設けられて所定のマイクロ波を受信する受信部による前記所定のマイクロ波の受信に応じて報知する制御を行う機能を実現させ、
前記受信部は、
前記所定のマイクロ波として、車両速度測定装置において利用可能なKバンドに属する周波数帯域のうちの少なくとも高域側の領域を含む第1の周波数帯域のマイクロ波を受信するように構成される
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばシステム及びプログラム等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の室内の所定位置に装着され、外部から飛来する所定の電波を受信し報知するレーダー探知機が知られている。特許文献1には、スーパーヘテロダイン方式の受信機を用いて、Xバンド、及びKバンドの周波数帯域に属するマイクロ波を受信する探知機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のレーダー探知機等では、解決できていない様々な課題があった。本発明の目的の一つは、従来のシステム等の課題を解決するための技術を提供することである。
【0005】
上述した課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、本発明は、必ずしも記載した課題の全てを解決できる必要はない。本願の発明の目的はこれに限定されず、本明細書及び図面等に開示される構成の部分から奏する効果を得ることを目的とする構成についても分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。例えば本明細書において「~できる」と記載した箇所を「~が課題である」と読み替えた課題が本明細書には開示されている。課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、この課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。課題が明細書の記載から黙示的に把握されるものであっても、本出願人は本明細書に記載の構成の一部を補正又は分割出願にて特許請求の範囲とする意思を有する。またこれら独立の課題を組み合わせた課題も開示されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)車両に設けられ、所定のマイクロ波を受信する受信部と、前記所定のマイクロ波の受信に応じて報知する制御を行う制御部と、を有し、前記受信部は、前記所定のマイクロ波として、車両速度測定装置において利用可能なKバンドに属する周波数帯域のうちの少なくとも高域側の領域を含む第1の周波数帯域のマイクロ波を受信するシステムが提供されるとよい。
【0007】
このようにすると、車両速度測定装置において利用可能なKバンドに属する周波数帯域のうち、高域側の領域のマイクロ波を出射する車両速度測定装置を検出することができる。ユーザは、このようなKバンド対応の車両速度測定装置の存在を知り、これを安全に配慮した運転をする動機づけとすることができる。
【0008】
車両速度測定装置において利用可能なKバンドに属する周波数帯域は、Kバンドに属する周波数帯域であって、車両速度測定装置において出射することが可能なマイクロ波の周波数帯域のことをいうとよい。車両速度測定装置において利用可能なKバンドに属する周波数帯域は、電波の用途により法令上・保安上その他の基準により利用が認められた周波数帯域をいうとよく、これは免許範囲と称されることもある。車両速度測定装置において利用可能なKバンドに属する周波数帯域のことを、以下では「Kバンドの利用可能帯域」という。Kバンドの利用可能帯域は、本願出願時において、24.050~24.250[GHz]とされている。
【0009】
特許文献1に記載の構成では、Kバンドの利用可能帯域のうちの高域側のマイクロ波を受信することができない。特許文献1に記載されているような、Xバンドのマイクロ波とKバンドのマイクロ波とを共通の回路で受信する構成では、XバンドとKバンドとの周波数帯域どうしの関係もあって、当該高域側の領域のマイクロ波を受信することに、技術的な課題があったからである。そのため、従来は、例えば24.135[GHz]を受信の上限とするレーダー探知機も普及していたが、当該高域側の領域のマイクロ波を利用する車両速度測定装置がなかったため、事実上の問題がなかった。しかし、近年、そのような高域側の領域のマイクロ波を利用する車両速度測定装置も存在し、ユーザへの的確な報知を行うことができないという問題が顕在化しつつあるという点に、発明者は注目した。
【0010】
第1の周波数帯域としては、従来構成での受信の上限を超える周波数を含むとよく、24.135[GHz]を超える周波数を含むとよく、より望ましくは24.165[GHz]を超える周波数を含むとよく、より望ましくは24.235[GHz]を超える周波数を含むとよい。第1の周波数帯域としては、Kバンドの利用可能帯域の上限である24.250[GHz]を含むようにすると、例えば、比較的新しいKバンド対応の車両速度測定装置を検出する上で、特に望ましい。第1の周波数帯域としては、Kバンドの利用可能帯域の上限を超えるようにしてもよいが、外部の所定の電波発生源の存在を考慮して第1の周波数帯域の上限が設定されると、特に良い。
【0011】
(2)前記受信部は、受信した前記所定のマイクロ波の受信信号の周波数を、局部発振器の発振周波数に基づいて変換し、その変換後の信号を検波するヘテロダイン方式の受信回路を有し、前記局部発振器の発振周波数は、前記第1の周波数帯域が所定の電波発生源から前記受信部に飛来し得る所定の周波数を避けるように、設定されるとよい。
【0012】
このようにすると、受信部が、受信された所定のマイクロ波の受信信号の周波数を、局部発振器の発振周波数に基づいて変換し、その変換後の信号を検波するヘテロダイン方式の受信回路を有する構成のもと、局部発振器の発振周波数の設定により、所定の電波発生源から受信部に飛来し得る所定の周波数の電波による影響を抑えることができる。その結果、ユーザは、そのような電波発生源からの電波の受信に応じた誤報の可能性が低減した状態で、報知に接することができる。
【0013】
ヘテロダイン方式の受信回路としては、マイクロ波の受信信号を、局部発振器が発生させた局部発振信号と混合することにより、一旦中間周波数の信号に変換するものとするとよい。このようにすると、受信信号よりも低い周波数の信号に基づく処理を行うことができる。ヘテロダイン方式の受信回路は、少なくとも1つの局部発振器を有するとよいが、多段(例えば2段)の構成とすると特に良い。ヘテロダイン方式の受信回路としては、スーパーヘテロダイン方式の受信回路とすると特に良い。
【0014】
所定の電波発生源として車両速度測定装置とは異なる複数種類の電波発生源からの電波による影響を抑えられると、誤報の発生をより抑えることができる。その結果、ユーザは、より正確な報知に接することができる。所定の電波発生源としては、受信部又は自車両に飛来する電波を発生させる様々な電波発生源が想定されるが、例えば、自車両に搭載される機器や、走行中の自車両の周囲に存在する機器、又は自車両の遠方で電波を発生させる機器が想定される。このような電波は、マイクロ波を受信する受信部にとって、その受信を妨げる妨害波ということができる。
【0015】
局部発振器が発生させる局部発振信号、及びその高調波(特に2次高調波)の周波数が、日本国で電波を受信できる所定の無線局の周波数であって、特に大電力の無線局からの周波数を避けるようになっているとよい。
【0016】
(3)前記局部発振器の発振周波数は、他車両に搭載されるミリ波を用いた車両衝突防止システムから飛来し得る電波の周波数を避けるように、設定されるとよい。
【0017】
このようにすると、他車両に搭載されるミリ波を用いた車両衝突防止システムから飛来する電波による影響を抑えることができる。衝突防止システムは、物体の接近検知のためにKバンドの近接領域のミリ波レーダーを有し、多くの一般車両にも搭載されている。発明者は、このような車両衝突防止システムが使用する周波数は、Kバンドの利用可能帯域よりもさらに高域側にあるが、かなり近接していることに、注目した。衝突防止システムで使用される周波数帯域として、24.25~29[GHz]の周波数帯域があり、Kバンドの利用可能帯域、特に、上述し24.050~24.250[GHz]の周波数帯域に非常に近接している。そのため、衝突防止システムからのミリ波レーダーの影響による誤報が頻発するおそれが懸念されるが、上記局部発振器の発振周波数により、そのような誤報をする可能性を抑えることができる。
【0018】
(4)前記局部発振器の発振周波数は、前記第1の周波数帯域が、VICS(Vehicle Information and Communication System)用の受信機から飛来し得る電波の周波数を避けるように、設定されるとよい。VICSは、登録商標である。
【0019】
このようにすると、VICS用の受信機から飛来する電波による影響を抑えることができる。発明者は、従来構成のレーダー探知機では、このようなVICS用の受信機が有する局部発振器から漏れ出てくる電波を受信してその影響を受けてしまうことに注目した。例えば、VICS用の受信機が有する2次局部発振器(2ndローカルともいう。)の2次高調波の影響を受けてしまうことがある。そのため、局部発振器の発振周波数は、当該2次高調波の周波数による影響を避けるように設定されると、特に良い。
【0020】
(5)前記受信回路は、前記所定のマイクロ波として、さらに、車両速度測定装置において利用可能なXバンドに属する第2の周波数帯域のマイクロ波を受信するように構成され、前記局部発振器の発振周波数は、前記第1の周波数帯域、及び前記第2の周波数帯域が、前記所定の電波発生源から前記受信部に飛来し得る所定の周波数を避けるように、設定されるとよい。
【0021】
このようにすると、ヘテロダイン方式の受信回路を有する構成のもと、局部発振器の発振周波数の設定により、所定の電波発生源から受信部に飛来し得る所定の周波数の電波による影響を抑えつつ、Kバンド対応、及びXバンド対応の車両速度測定装置を検出することができる。その結果、ユーザは、そのような電波発生源からの電波の受信に応じた誤報に接する可能性を抑えた状態で、Kバンド対応及びXバンド対応の車両速度測定装置の存在を知ることができる。
【0022】
(6)前記受信回路は、前記局部発振器として、少なくとも1つの1次局部発振器と、少なくとも1つの2次局部発振器と、を有し、前記少なくとも1つの1次局部発振器の発振周波数、及び前記少なくとも1つの2次局部発振器の発振周波数は、前記第1の周波数帯域の上限が少なくとも24.135[GHz]を超えるように、設定されるとよい。
【0023】
このようにすると、一般的なレーダー探知機においても採用されることの多い、少なくとも1つの1次局部発振器と、少なくとも1つの2次局部発振器と、を有する受信回路を有する構成のもと、少なくとも24.135[GHz]を超える周波数を使用するKバンド対応の車両速度測定装置と、Xバンド対応の車両速度測定装置との検出を両立することができる。第1の周波数帯域の上限は、より望ましくは、24.165[GHz]を超えるとよく、より望ましくは、24.235[GHz]を超えるとよい。このようにすると、より高域側の領域を利用するXバンド対応の車両速度測定装置を検出することができる。
【0024】
(7)前記少なくとも1つの2次局部発振器は、前記第1の周波数帯域のマイクロ波を受信しようとする期間に、少なくとも1180[MHz]を超える発振周波数の発振信号を発生させるとよい。
【0025】
このようにすると、一般的なレーダー探知機において採用されることの多い、少なくとも1つの1次局部発振器と、少なくとも1つの2次局部発振器と、を有する受信回路を有する構成のもと、24.135[GHz]を超える高域側の周波数を使用するKバンド対応の車両速度測定装置の検出と、Xバンド対応の車両速度測定装置の検出とを両立することができる。
【0026】
(8)前記少なくとも1つの2次局部発振器は、1300[MHz]近傍を発振周波数の上限として前記発振信号を発生させるとよい。
【0027】
このようにすると、衝突防止システムからのミリ波レーダを原因とする誤報の発生をより確実に抑えることができる。
【0028】
(9)前記制御部は、前記第1の周波数帯域における第1の周波数のマイクロ波が受信された場合と、前記第1の周波数よりも高い第2の周波数のマイクロ波が受信された場合とで、前記報知する制御を異ならせるとよい。
【0029】
このようにすると、ユーザは、Kバンドに属するマイクロ波が受信された場合でも、周波数によって異なる報知に接することができる。上述したとおり、Kバンドの利用可能帯域よりも高域側に、車両衝突防止システムで使用される周波数が存在するところ、第1の周波数のマイクロ波が受信された場合よりも、それよりも周波数が高い第2の周波数のマイクロ波が受信された場合には、誤報である可能性を踏まえた報知を行うようにするとよい。誤報である可能性を踏まえた報知としては、「レーダーを検知しました。ただし、他車両からのミリ波レーダーの可能性があります。」のように、誤報である可能性を直接的に表現した報知とするとよい。あるいは、誤報である可能性を踏まえた報知としては、誤報である可能性を間接的に表現した報知としてもよく、例えば抑えめの報知とするとよい。抑えめの報知としては、例えば報知に係る音量を小さくしたり、報知に係る表示の目立ちやすさを抑えたりする等、ユーザが抑えめの報知であることが分かるような報知とするとよい。
【0030】
(10)前記第1の周波数帯域は、前記Kバンドに属する周波数帯域のうちの低域側の領域をさらに含むとよい。
【0031】
このようにすると、所定の電波発生源から受信部に飛来し得る所定の周波数の電波による影響を抑えつつ、より広範な仕様のKバンド対応の車両速度装置を検出することができる。特に、第1の周波数帯域は、Kバンドに属する周波数帯域のうちの低域側の領域、及び高域側の領域を含む連続性のある周波数領域とするとよい。特に、第1の周波数帯域は、Kバンドに属する周波数帯域の全体とするとよく、言い換えると、Kバンドの利用可能帯域の全体をフルカバーするようにするとよい。
【0032】
(11)前記受信回路は、前記2次局部発振器として、第1の2次局部発振器と、第2の2次局部発振器とを有し、前記第1の2次局部発振器は、前記Kバンドに属する周波数帯域のうち、前記高域側の領域である第3の周波数帯域のマイクロ波を受信するための発振信号を発生させ、前記第2の2次局部発振器は、前記Kバンドに属する周波数帯域のうち、前記低域側の領域である第4の周波数帯域のマイクロ波を受信するための発振信号を発生させるとよい。
【0033】
このようにすると、第1の2次局部発振器と第2の2次局部発振器とで、発生させるべき発振信号の発振周波数の範囲を分担させることできる。それぞれが担当する発振周波数の範囲が狭くなる分、第1の2次局部発振器、及び第2の2次局部発振器の設計を容易にし、又は機器の選択の自由度を向上させることができる。
【0034】
(12)前記第3の周波数帯域と前記第4の周波数帯域とが一部重複するとよい。
【0035】
このようにすると、Kバンドに属する周波数帯域のうちの低域側の領域である第4の周波数帯域と、高域側の領域である第3の周波数帯域との連続性を確保し、Kバンド対応の車両速度測定装置の検出をより確実に行うことができる。例えば、受信回路の回路要素の品質による影響(例えば、部品毎の品質のばらつき、個体差)や、温度等などの外的要因を原因として、受信回路が実際にマイクロ波を受信する周波数が、想定からずれてしまうことが考えられる。そのような場合でも、第3の周波数帯域と第4の周波数帯域とが一部重複し、この重複領域がバッファのようにして機能することで、仮に第3の周波数帯域、又は第4の周波数帯域の範囲が広狭変化し、又はシフトしても、それによる問題を抑えることができる。
【0036】
(13)前記制御部は、前記第3の周波数帯域のマイクロ波が受信されたのか、又は前記第4の周波数帯域のマイクロ波が受信されたのかに応じて、前記報知する制御を異ならせるとよい。
【0037】
このようにすると、ユーザは、Kバンドに属する周波数帯域のうちの高域側の領域のマイクロ波が受信されたのか、低域側の領域のマイクロ波が受信されたのかによって、異なる報知に接することができる。報知する制御としては、例えば、高域側であるのか又は低域域側であるのかをユーザが認識できる報知をするとよく、例えば、高域側であれば「K1バンドの取締波を検出しました。」、「KバンドHiを受信しました。」というメッセージを、低域側であれば「K2バンドの取締波を検出しました。」、「KバンドLowを受信しました。」というメッセージを出力させるとよい。メッセージは、例えば音声や、テキスト等のユーザが報知を認識できる態様で出力されるとよい。報知する制御としては、表示する警報画面を異ならせる等、ユーザが違いを認識できる態様により報知を異ならせるとよい。報知の内容が車両速度測定装置の種類が分かるものであると、ユーザは、車両がどのような車両速度測定装置に近接したのかを把握することができる。
【0038】
この場合において、制御部は、第1の2次局部発振器と、第2の2次局部発振器とのどちらが動作しているときに、所定のマイクロ波が受信されたかに応じて、Kバンドに属する周波数帯域のうちの高域側のマイクロ波が受信されたのか、又は低域側のマイクロ波が受信されたのかを判定するようにしてもよい。特に、制御部が、第1の2次局部発振器と、第2の2次局部発振器と、を制御する構成のもとでは、制御部に対して外部から2次局部発振器の制御信号が与えられなくとも、その判定をすることもできる。
【0039】
(14)前記受信回路は、前記第3の周波数帯域、及び前記第4の周波数帯域のマイクロ波を受信する第1のモードと、前記第3の周波数帯域と前記第4の周波数帯域との一方のマイクロ波を受信する第2のモードと、により動作可能であるとよい。
【0040】
このようにすると、Kバンドに属する周波数帯域のマイクロ波を受信するモードとして、高域側と低域側の広範囲にわたってマイクロ波を受信する第1のモード、どちらか一方の領域に絞って効率良くマイクロ波を受信する第2のモードとを使い分けることができる。モードの切り替えは、例えば、ユーザの手動に応じて切り替える構成としてもよいが、所定の条件に基づいてユーザの指示がなくとも切り替える構成とするとよい。条件としては、例えば位置的、時間的、速度取締が行われる可能性、その他の要素に基づいて決められているとよいが、特に現在位置に基づいて決められるとよい。
【0041】
(15)前記車両の現在位置の位置情報を取得する位置情報取得部を備え、前記制御部は、取得した前記位置情報に基づいて前記第1のモード、又は前記第2のモードに切り替えるとよい。
【0042】
このようにすると、車両の現在位置に応じてマイクロ波を受信する周波数帯域のモードを切り替えることができる。例えば、Kバンド対応の車両速度測定装置においては、地域(例えば、都道府県)によって、どの周波数帯域を利用する車両速度測定装置が設置されるか、又はより多く設置されるかが、異なることがある。例えば、特定の周波数帯域を利用する車両速度測定装置が、特定の地域に限定して設置され、それが既知である場合がある。そのような場合、利用されていない周波数帯域について、マイクロ波の受信動作をしないようにすると、効率的な受信動作をすることができる。例えば、マイクロ波を受信すべき領域が狭くなることで、受信に係る処理を充てられる時間をより多く確保しやすくすることができる。その結果、より正確な報知を行うことができる。
【0043】
(16)前記制御部は、前記第3の周波数帯域、及び前記第4の周波数帯域のマイクロ波を検出する処理を行わない第3のモードをさらに有し、前記第1のモード、前記第2のモード、及び前記第3のモードの各モードは、いずれも、前記第2の周波数帯域のマイクロ波を検出する処理を行うモードであるとよい。
【0044】
このようにすると、出願時において全国的に使用されているXバンド対応の車両速度測定装置の検出漏れを抑えつつ、不要な場合には第3の周波数帯域、及び第4の周波数帯域のマイクロ波を検出する処理をOFFできるようにすることで、効率よく車両速度測定装置を検出することができる。例えば、第3の周波数帯域、及び第4の周波数帯域のマイクロ波による取り締まりの状況により、これらの両方について検出する処理が不要である場合は、第3のモードが選択されるようにするとよい。また、受信部が局部発振器のON/OFFを切り替えることにより、第2の周波数帯域、第3の周波数帯域、及び第4の周波数帯域のマイクロ波を選択的に受信する構成のもとでは、第3のモードの選択によって、このON/OFFの切り替えによるロスタイムが減少し、その減少する分だけ、ONとしている帯域の受信反応速度を向上させることができる。
【0045】
(17)前記車両の現在位置の位置情報を取得する位置情報取得部を備え、前記制御部は、取得した前記位置情報に基づいて、前記第2のモード、又は前記第3のモードに切り替え、ユーザからの入力に応じて、前記第2のモード、及び前記第3のモードに優先して前記第1のモードで動作させるとよい。
【0046】
このようにすると、車両の現在位置に応じて、第3の周波数帯域、及び第4の周波数帯域のマイクロ波を検出する処理をOFFできるようにすることで、効率よく車両速度測定装置を検出することができるようにしつつも、ユーザの入力に応じて、第2の周波数帯域、第3の周波数帯域、及び第4の周波数帯域のマイクロ波を検出する処理をONとする第1のモードを優先させることで、ユーザ、特に誤報が多くても安心感を求めるユーザに対して、配慮した動作をすることができる。
【0047】
(18)前記受信回路は、掃引発振する前記局部発振器を有し、前記掃引発振する局部発振器をスイープストップすることなく、前記第1の周波数帯域のマイクロ波を受信したか否かを判定するとよい。
【0048】
このようにすると、マイクロ波を短時間だけ出射するKバンド対応の車両速度測定装置があるが、スイープストップしないことで、そのような車両速度測定装置もより確実に検出することができる。仮に、スイープストップしている間に、Kバンド対応の車両速度測定装置のマイクロ波の出射が停止されると、当該所定のマイクロ波を検出できないことがあるからである。例えば、少なくとも1つの1次局部発振器と、少なくとも1つの2次局部発振器と、を有する受信回路のもとでは、掃引発振する局部発振器は2次局部発振器とするとよい。この場合に、1次局部発振器としては、固定の発振周波数で発振するものとするとよい。
【0049】
(19)前記受信回路は、前記第2の周波数帯域においてマイクロ波が検知された場合に、前記掃引発振する局部発振器をスイープストップして、前記第2の周波数帯域のマイクロ波の検知状況により、前記第2の周波数帯域のマイクロ波を受信したか否かを判定するとよい。
【0050】
このようにすると、Xバンドに属する第2の周波数帯域のマイクロ波については、掃引発振する局部発振器をスイープストップすることで、その受信の有無をより確実に判定することができる。
【0051】
(20)前記受信回路は、前記第1の周波数帯域のマイクロ波を受信する場合と、前記第4の周波数帯域のマイクロ波を受信する場合とで、前記掃引発振する局部発振器のスイープ速度を異ならせるとよい。
【0052】
このようにすると、Kバンド対応の車両速度測定装置、及びXバンド対応の車両速度測定装置の性質を考慮したスイープ速度により、それぞれのマイクロ波を受信することができる。特に、車両速度測定装置が出射するマイクロ波において、XバンドよりもKバンドの方が、受信強度が弱い場合があるが、Kバンドのスイープ速度をXバンドよりも遅くしてゆっくりと検波することで、車両速度測定装置の検出可能な距離(つまり、探知距離)を稼ぐことができる。
【0053】
(21)前記制御部は、前記第1の周波数帯域のマイクロ波を受信した場合と、前記第2の周波数帯域のマイクロ波を受信した場合とで異なる前記報知する制御を行うとよい。
【0054】
このようにすると、ユーザは、Kバンド対応の車両速度測定装置が検出されたのか、Xバンド対応の車両速度測定装置が検出されたのかによって、異なる報知に接することができる。報知する制御としては、例えば、Kバンド対応の車両速度測定装置なのか、又はXバンド対応の車両速度測定装置なのかで異なるメッセージを出力するとよい。メッセージは、例えば音声や、テキスト等のユーザが報知を認識できる態様で出力されるとよい。報知する制御としては、表示する警報画面を異ならせる等、ユーザが違いを認識できる態様により報知を異ならせるとよい。報知の内容が車両速度測定装置の種類が分かるものであると、ユーザは、どのような車両速度測定装置に近接したのかを把握することができる。
【0055】
(22)前記受信回路は、前記第1の周波数帯域のマイクロ波を受信するための第1の回路部と、前記第2の周波数帯域のマイクロ波を受信するための第2の回路部とが一部の回路部分を共有し、かつ共有しない回路部分は互いに領域を分けて配置された単一の集積回路で構成されるとよい。
【0056】
このようにすると、一部の回路部分は共有して回路規模の縮小を図りつつ、Xバンド用の回路部分とKバンド用の回路部分の領域を分けることで、配置・配線を容易にした単一の集積回路を得ることができる。集積回路としては、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)とするとよい。このようにすると、ASICを用いて1チップ化した構成のもと、基板の大型化を抑えることができる。共有をしない回路部分としては、例えば2次局部発振器とするとよい。
【0057】
(23)前記受信回路は、前記1次局部発振器については固定周波数で発振し、前記2次局部発振器については掃引発振し、前記1次局部発振器は、前記第1の周波数帯域のマイクロ波を受信する場合と、前記第2の周波数帯域のマイクロ波を受信する場合とで共通に用いられ、前記2次局部発振器は、前記第1の周波数帯域のマイクロ波を受信するためのものと、前記第2の周波数帯域のマイクロ波を受信するためのものとが別々に構成されるとよい。
【0058】
このようにすると、Xバンド用の2次局部発振器と、Kバンド用の2次局部発振器とを別々に設けることで、発振器の機器の選択の自由度を向上させることができる。また、Kバンド用の2次局部発振器において、第1周波数領域の高域側の領域と低域側の領域とで、共通の2次局部発振器が用いられるようにすることで、受信回路の回路規模の肥大化を抑えることができる。
【0059】
(24)前記受信回路は、前記1次局部発振器については固定周波数で発振し、前記2次局部発振器については掃引発振し、前記1次局部発振器は、前記第1の周波数帯域のマイクロ波を受信するためのものと、前記第2の周波数帯域のマイクロ波を受信するためのものとが別々に構成され、前記2次局部発振器は、前記第1の周波数帯域のマイクロ波を受信する場合と、前記第2の周波数帯域のマイクロ波を受信する場合とで共通に用いられるとよい。
【0060】
このようにすると、Xバンド用とKバンド用とで共通の2次局部発振器が用いられるので、異なる2つのバンドのマイクロ波を受信する受信回路であっても、回路規模の肥大化を抑えることができる。例えば、回路規模の肥大化を抑えたことで確保された領域を、アンテナ素子を配置する領域とすることで、マイクロ波の受信感度をさせることができる。これは、特に、Kバンドに対する受信感度を向上させる点でも望ましい。
【0061】
(25)前記制御部は、前記少なくとも1つの1次局部発振器と、前記少なくとも1つの2次局部発振器との制御を、共通の制御信号を与えることで行い、かつ動作させる局部発振器の電源をオンさせるとよい。
【0062】
このようにすると、少なくとも1つの1次局部発振器と、前記少なくとも1つの2次局部発振器との制御系統を簡便化しつつも、これらの動作のオンオフを電源制御により個別に行うことができる。
【0063】
(26)上記いずれかに記載のシステムに用いられる制御部の機能をコンピュータに実現させるためのプログラムが提供されるとよい。
【0064】
(27)受信部の機能が、ハードウェア要素を中心に実現されてもよいが、一部又は全部の機能がソフトウェア要素によって実現されるようにすると、システムのハードウェア構成を簡単にすることができる。
【0065】
本願の発明は以下のように把握されてもよい。
(A)車両に設けられ、所定のマイクロ波を受信する受信部と、レーザー光を受信する受光部と、前記所定のマイクロ波の受信に応じて報知する制御を行う制御部と、を有し、前記制御部は、前記所定のマイクロ波と前記レーザー光の双方が受信された場合と、前記所定のマイクロ波のみが受信された場合とで、前記報知する制御を異ならせるシステムが提供されるとよい。このようにすると、ユーザは、所定のバンドに属するマイクロ波が受信された場合でも、同時にレーザーを受信したか否かによって異なる報知に接することができる。
【0066】
(B)車両に設けられ、所定のマイクロ波を受信する受信部と、レーザー光を受信する受光部と、所定のマイクロ波の受信に応じて報知する制御を行う制御部と、を有し、前記制御部は、前記所定のマイクロ波を受けているときにレーザー光を受けたときには、車両速度測定装置が特定の機種であることに関する報知を行うシステムが提供されるとよい。このようにすると、ユーザは、マイクロ波とレーザー光を出射する特定の機種の車両速度測定装置の存在を知ることができる。
【0067】
(C)車両に設けられ、所定のマイクロ波を受信する受信部と、レーザー光を受信する受光部と、前記所定のマイクロ波の受信とレーザー光の受信の関係を特定可能に記憶手段に記憶する制御部を備えるシステムが提供されるとよい。このようにすると、ユーザは、記憶手段に記憶した所定のマイクロ波の受信とレーザーの受信の関係を知ることができる。
【0068】
(D)車両に設けられ、所定のマイクロ波を受信するレーダー受信部と、レーザー光を受信する受光部の少なくとも一方を有し、ストロボ光の検知情報を取得し、所定のマイクロ波及びまたはレーザー光の受信と、ストロボ光の検知が所定の時間的関係にあったか否かを特定可能に記憶手段に記憶する制御部を備えるシステムが提供されるとよい。このようにすると、ユーザは、記憶手段に記憶した情報から、ストロボ光の発光があった場合に、所定のマイクロ波或いはレーザー光との時間的関係を確認できる。
【0069】
(F)車両に設けられ、所定のマイクロ波を受信する受信部と、レーザー光を受信する受光部の少なくとも一方と、前記受信部及びまたは前記受光部で受信した信号に基づき所定の処理を行う制御部と、ストロボ光の検知情報を取得する手段を備え、前記制御部は、前記所定のマイクロ波及びまたは前記レーザー光の受信中や受信開始後の所定時間内にストロボ光を受光した場合の自車両の車速と、当該所定時間内にストロボ光を受光しなかった場合の自車両の車速を、位置情報とともに記憶手段に記憶するシステムが提供されるとよい。このようにするとユーザは、記憶された情報に基づき、制限速度を守って走行していたのに光ったなどの証拠を記録できる。
【0070】
(G)車両に設けられ、所定のマイクロ波を受信する受信部と、所定のマイクロ波の受信に応じて報知する制御を行う制御部と、ストロボ光の検知情報を取得する手段を備え、前記制御部は、前記ストロボ光を検知してから前記所定のマイクロ波を受信しなくなるまでの経過情報に基づき、特定の車両速度測定装置を検出し、報知するシステムが提供されるとよい。車速を計測する装置の設置位置と、撮影するためのストロボの設置位置が所定の関係にある特定の車両速度測定装置の存在を報知することができる。経過情報は、経過時間や移動距離とするとよい。
【0071】
(H)前方からの所定のマイクロ波とレーザー光を受信する電子機器と、後方からの所定のマイクロ波とレーザー光を受信する後方用受信機とが、通信可能に接続されたシステムであり、前記電子機器に実装された制御部は、前記電子機器の受信情報と前記後方用受信機の受信情報に基づいて所定の報知を行う制御をするシステムが提供されるとよい。ユーザは、例えば車両の前方に設置された車両速度取締装置に加え、覆面パトカー等の後方から自車両に向けて出射されたマイクロ波やレーザー光を用いる車両速度測定装置の存在を知ることができる。
【0072】
(I)車両に設けられ、所定のマイクロ波を受信する受信部と、レーザー光を受信する受光部と、前記所定のマイクロ波或いは前記レーザー光の受信に応じて報知する制御を行う制御部と、を備えた機器であって、前記電子機器に接続されて前記後方用受信機として動作するモードと、前記電子機器と非接続の状態で前記制御部が前記報知する制御を行うモードを備える機器が提供されるとよい。このようにすると、後方用受信機としても使用でき、単体で車両に設置して、所定のマイクロ波等の受信に基づく報知を行う機器として使用できる。
【0073】
(J)車両に設けられ、所定のマイクロ波を受信する受信部と、前記所定のマイクロ波の受信に応じて報知する制御を行う制御部と、領域ごとにマイクロ波の受信感度設定をするための情報を記憶する記憶手段と、を有し、前記制御部は、前記記憶手段に記憶された現在位置が属する領域についてのレーダー受信感度設定をする情報に基づいて前記受信部の受信感度を設定する制御を行うシステムが提供されるとよい。このようにすると、領域毎に適切な受信感度でマイクロ波の検出処理を行える。
【0074】
(K)車両に設けられ、所定のマイクロ波を受信する受信部と、レーザー光を受信する受光部の少なくとも一方と、前記受信に応じて報知する制御を行う制御部と、を有し、制御部は、現在の受信感度を報知するシステムが提供されるとよい。このようにすると、ユーザは現在位置での受信感度が理解できる。受信感度の報知は、制御部が、例えば表示画面を用いたり、表示画面とは別に設けたLED等の発光部を用いたり、音・音声を用いてユーザに知らせる制御を行うとよい。
【0075】
(L)上記(A)から(K)のいずれかに記載のシステム或いは機器に用いられる制御部の機能をコンピュータに実現させるためのプログラムが提供されるとよい。
【0076】
上述した(1)から(27)に示した発明は、任意に組み合わせることができる。例えば、(1)に示した発明の全て又は一部の構成に、(2)以降の少なくとも1つの発明の少なくとも一部の構成を加える構成としてもよい。特に、(1)に示した発明に、(2)以降の少なくとも1つの発明の少なくとも一部の構成を加えた発明とするとよい。また、(1)から(27)に示した発明から任意の構成を抽出し、抽出された構成を組み合わせてもよい。また、上述した(A)から(K)に示した発明は、任意に組み合わせることができる。例えば、また、(A)から(K)に示した発明から任意の構成を抽出し、抽出された構成を組み合わせてもよい。さらには、これらの(A)から(K)に示した発明の全て又は一部の構成と、(1)から(27)に示した発明の全て又は一部の構成を組み合わせてもよい。本願の出願人は、これらの構成を含む発明について権利を取得する意思を有する。また「~の場合」「~のとき」という記載があったとしても、その場合やそのときに限られる構成として記載はしているものではない。これらはよりよい構成の例を示しているものであって、これらの場合やときでない構成についても権利取得する意思を有する。また順番を伴った記載になっている箇所もこの順番に限らない。一部の箇所を削除したり、順番を入れ替えたりした構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電子機器10の概要を説明する図である。
【
図4】電子機器10の電気的構成を示すブロック図である。
【
図6】レーダー受信部15の一例である第1のレーダー受信部15Aの構成を示すブロック図である。
【
図7】各局部発振器を動作させるクロック信号等のタイミングチャートである。
【
図8】各局部発振器を動作させるクロック信号等の別のタイミングチャートである。
【
図10】レーダー受信部15の一例である第2のレーダー受信部15Bの構成を示すブロック図である。
【
図12】レーダー受信部15の一例である第3のレーダー受信部15Cの構成を示すブロック図である。
【
図13】受信回路の配置パターンの一例を示す図である。
【
図14】周波数帯と主な用途の関係を示す図である。
【
図15】局部発振器の発振周波数の設定方法を説明する図である。
【
図16】電子機器(前方用)と後方用受信機におけるマイクロ波の受信レベルの推移の一例を示す図である。
【
図17】特定の車両速度測定装置を検出可能な電子機器の実施形態を説明する図である。
【
図18】電子機器と後方用受信機を備えたシステムの実施形態を説明する図である。
【
図19】単独でも動作する後方用受信機の実施形態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0078】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。これらの図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。記載されている装置の構成や形状等は単なる説明例であり、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。以下の説明における、第1、第2、・・・という数値を用いたラベリングは各要素を識別するためのもので、要素の数を定めるものではない。以下の実施形態は、このような課題を解決するための実施形態の一例である。
【0079】
[1.従来技術の課題と本実施形態の着想の経緯]
従来技術の課題と本実施形態の着想の経緯について、特許文献1(特開2000-98023号公報)に記載の従来構成を参照しつつ、説明する。
【0080】
<1-1.従来構成のレーダー探知機で、車両速度測定装置において利用可能なKバンドに属する周波数帯域のうち、高域側の領域を受信しなかったことの背景>
レーダー探知機では、従来、車両速度測定装置において利用可能なKバンドに属する周波数帯域のうち、高域側の領域を受信しないものが、多く普及していた。特許文献1に開示されている、XバンドとKバンドとの両方を受信可能とするレーダー探知機では、マイクロ波の受信回路として、ダブルスーパーヘテロダイン方式の受信回路を採用している。かかる受信回路では、1次局部発振器、及び2次局部発振器の発振周波数がそれぞれ調整され、1次局部発振器の2次高調波を利用することで、同一の回路で、Xバンドのマイクロ波と、Kバンドのマイクロ波とを受信する。ダブルスーパーヘテロダイン方式を用いた受信回路は、1次局部発振器と2次局部発振器との一方の発振周波数を、所定の範囲でスイープさせ、検波する周波数を変化させる。Xバンドに比べてKバンドのほうが広いため、スイープする範囲が、Xバンドを基準に設定されると、Kバンドの一部の狭い範囲のマイクロ波は検波できるが、その範囲外の周波数のマイクロ波は検波できない。一方、スイープする範囲がKバンドを基準に設定されると、Xバンドを含むが、それを超える広範囲のマイクロ波も検波することになる。この場合、Xバンドのマイクロ波を出射する車両速度測定装置と関係ない範囲もスイープすることになり、無関係な周波数の電波を受信する原因になってしまう。
【0081】
また、Xバンドには、車両速度測定装置で利用される周波数帯域外の周波数も存在し、車両速度測定装置以外の装置・機器から出力される様々な電波があり、受信強度も車両速度測定装置からの電波よりも大きいものも多く存在する。そのため、Kバンドに合わせてスイープ範囲を広くすると、車両速度測定装置以外の装置等から出力された電波を受信してしまい、それに基づいて誤った報知をしないようにするための処理が必要となる。
【0082】
このようなことから、従来構成の受信回路では、Xバンドを基準にスイープする範囲が設定されていた。その結果、Kバンドにおいては、車両速度測定装置で利用可能な周波数帯域のうちの低域側の一部の領域のみのマイクロ 波を検波することになっていた。
【0083】
Kバンド対応の車両速度測定装置において利用可能な周波数帯域は、本願出願時において、24.050~24.250[GHz]である。一方で、従来は、例えば24.135[GHz]を受信の上限とするレーダー探知機も普及していた。しかし、従来は、24.135[GHz]を超えるような高域側の領域を利用する車両速度測定装置がなかったため、事実上の問題がなかった。しかし、近年、そのような高域側の領域のマイクロ波を利用する車両速度測定装置も存在し、ユーザへの的確な報知を行うことができないという問題が顕在化しつつあるという点に、発明者は注目した。
【0084】
<1-2.外部の電波発生源の影響を受けることについて>
近年、様々なサービスの普及もあって様々な周波数の電波が飛び交っており、レーダー探知機においても、外部の電波発生源の影響を受けた誤報が発生することがある。そのような電波発生源として、受信部又は自車両に飛来する電波を発する様々な電波発生源が想定され、例えば、自車両に搭載される機器や、走行中の自車両の周囲に存在する機器、又は自車両の遠方で電波を発生させる機器が想定される。このような電波は、マイクロ波を受信する受信部にとって、その受信を妨げる妨害波ということができる。新たな電波発生源として、特に、VICS、及び衝突防止システムに係るものの影響に、発明者は注目した。
【0085】
(1-2-1.ミリ波を用いた車両衝突防止システム)
衝突防止システムは、多くの一般車両に搭載されている。車両衝突防止システムでは、物体の接近検知のために、Kバンドの近接領域のミリ波レーダーを用いている。発明者は、このような車両衝突防止システムが使用する周波数は、Kバンド対応の車両速度測定装置で利用可能な周波数帯域よりもさらに高域側にあるが、かなり近接していることに、注目した。上述したとおり、Kバンド対応の車両速度測定装置において利用可能な周波数帯域は、本願出願時において、24.050~24.250[GHz]である。これに対し、衝突防止システムで使用される周波数領域として、24.25~29[GHz]がある。そのため、Kバンドのマイクロ波を受信するレーダー探知機では、衝突防止システムからのミリ波レーダーの影響による誤報が頻発するおそれが懸念される。
【0086】
(1-2-2.VICS用の受信機)
VICSというサービスが知られている。VICSは、渋滞や交通規制等の情報をリアルタイムに送信して車載機器に各種の情報を表示するための情報通信システムである。VICSにおける情報通信、情報提供は、例えば、FM放送電波(FM多重放送)、電波ビーコン(2.4GHz帯)、DSRC(5.8GHz帯)など多様な通信・放送メディアによって行われている。その中でも、発明者は、従来構成のレーダー探知機では、このようなVICS用の受信機の局部発振器から漏れ出てくる電波の影響を受けてしまうことがあることを発見した。具体的には、この受信機が有する2次局部発振器(2ndローカルともいう。)の2次高調波の影響を受け、例えばレーダー探知機の受信回路の2次側から入って来てしまうことがあることに、発明者は注目した。
【0087】
(1-2-3.その他の電波発生源)
上記以外にも、各種の用途の電波が存在する。日本国で使用される無線局周波数と用途との関係の一例を示すと、
図14に示すとおりである。これらは、例えば速度測定用周波数の近傍周波数において汎用的に利用され、かつレーダー探知機の受信部や車両に飛来する電波の発生源となり得るものが含まれる。
【0088】
本願の実施形態は、以上のような課題の少なくともいずれかを解決するために、本願の発明者が着想を得たものである。
【0089】
[A.第1実施形態]
[2.電子機器10の構成]
図1は、本発明の第1実施形態に係る電子機器10の概要を説明する図である。電子機器10は、車両40に配置される電子機器であり、運転手その他のユーザに対して各種の情報を提供する。電子機器10は、レーダー/レーザー探知機の機能を有しており、運転手の安全運転に資する情報を提供する。車両40は、4輪自動車とするとよいが、4輪自動車に限らず、例えばバイク等の2輪車や4輪以上の大型輸送車等としてもよい。
【0090】
電子機器10は、車両40が所定の目標物と所定の接近関係を有する場合に、ユーザに報知する報知機能を有する。所定の接近関係とは、車両40が目標物に対して所定の距離以下まで接近している関係をいい、さらに、車両40の進行方向、又は進路上に目標物が存在し、かつその目標物に対して所定の距離以下まで接近している関係をいうようにしてもよい。目標物として、例えば、車両の速度取締が行われる地点である速度取締地点がある。速度取締地点には、車両速度測定装置が設置されることがある。電子機器10は、車両速度測定装置から発せられる取締波を受信する。取締波は、車両の速度を測定するための電磁波で、測定波、速度測定信号等と称呼されてもよい。速度取締地点は、車両の走行状況(例えば、車両が速度を出しやすいこと)、交通事故の発生状況(例えば、事故の発生数が多い地点)等の状況を勘案して、決定される。速度取締地点の一例は、例えば、車両が走行する路線(道路)のうち、一般道や、直線状の道路、カーブ又はカーブの先の地点等に存在する。車両速度測定装置としては、固定式、移動式等と呼ばれるもの等、多数存在する。移動式は、例えば、可搬式及び車両に搭載される方式がある。
【0091】
電子機器10は、本体部101と、固定部102と、に大別される。本体部101は、固定部102を用いて所定の設置位置に固定される。本実施形態では、設置位置は、車両40のダッシュボード41の上面である。固定部102は、本体部101の下に設けられ、本体部101を所定の設置位置に固定させるための固定部材である。固定部102は、ブラケットとも呼ばれる。
【0092】
図2は、本体部101の外観構成を示す図である。
図2(A)は、本体部101を正面側の右斜め上方向から見た図である。
図2(B)は、本体部101を背面側の左斜め上方向から見た図である。
【0093】
本体部101は、筐体1011を有する。筐体1011は、上下よりも左右に長く、かつ厚みが比較的小さい直方体状である。筐体1011は、例えば樹脂又はその他の材料で形成されている。筐体1011の正面側には、上下よりも左右に長い長方形の開口部が設けられている。本体部101は、この開口部の位置で画像を表示するための表示部13、及び表示部13の表示領域に重ねられたタッチセンサ191を有する。本体部101は、その正面側の表示部13の左側の位置に、照度センサ窓201、及び発光部24を有する。発光部24は、上下方向を長手方向とした発光領域を有する。筐体1011の右側面には、記憶媒体挿入口が設けられている。この記録媒体挿入口を介して、本体部101に対して、記憶媒体50が装着される。記憶媒体50は、例えばSDカードである。SDカードは、例えば、SDメモリカード、miniSDカード、及びmicroSDカード等のいずれの形状も含む。
【0094】
筐体1011の背面側には、レンズホルダ1012が設けられている。レンズホルダ1012は、筐体1011の内外を貫通する貫通孔で、レンズ121を保持する。レンズ121は、集光用のレンズである。レンズ121は、本実施形態では、上下よりも左右よりも長い楕円形状で、光の入射面が非球面状であるアスフェリックレンズ(エスフェリックレンズ)と呼ばれるレンズであるが、他の集光用のレンズが用いられてもよい。筐体1011の背面側の下端付近であって、筐体1011の左右方向の中心付近には、取付部1013が設けられている。取付部1013は、固定部102が取り付けられる部位である。取付部1013は、それぞれが上下に延びている一対の溝部を有する。筐体1011の背面側には、さらに、電子機器10の電源のオン/オフを切り替えるための電源スイッチ221、及び外部の装置を接続するための端子部23が設けられている。
【0095】
図3は、固定部102の外観構成を示す図である。
図3(A)は、固定部102を正面側の右斜め上方向から見た図である。
図3(B)は、固定部102を正面側の左斜め上方向から見た図である。
【0096】
固定部102は、固定部材1021を用いて設置位置に固定され、台座部1022と、ソケット部1023と、ボールスタッド1024と、装着部材1025とを有する部材である。台座部1022は、設置位置(設置面)に固定される部位である。台座部1022の底面が、例えば粘着シート又は両面テープ等の固定部材1021を用いて設置位置に貼り付けられる。台座部1022は、正面側に開口した空間を有するソケット部1023を有する。ソケット部1023は、ボールスタッド1024が有するボール部が装着される。ソケット部1023と、ソケット部1023に装着されたボールスタッド1024とにより、ボールジョイント機構が構成される。ボールスタッド1024は、外力を受けて、ソケット部1023に装着された状態で、上下、及び左右に姿勢を変化させる。ボールスタッド1024のうちの正面側の部位には、装着部材1025が設けられている。装着部材1025は、本体部101の取付部1013に装着される。装着部材1025は、正面から見て左右の両側に、正面側に突き出す一対の突出部を有する。この一対の突出部が、本体部101の取付部1013の一対の溝部に挿入されることで、本体部101の固定部102への取り付けが完了する。本体部101は外力を受けて、固定部102に装着された状態で、上下左右に姿勢を変化することができる。これにより、ユーザは本体部101を所望する姿勢に固定した状態で、電子機器10を利用することができる。
【0097】
図4は、電子機器10の電気的構成を示すブロック図である。制御部11は、電子機器10の各部を制御する。制御部11は、電子機器10の各部を制御する。制御部11は、例えば、プロセッサ111、及びメモリ112を含むコンピュータである。プロセッサ111は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application-Specific Integrated Circuit)、及びFPGA(Field Programmable Gate Array)の少なくともいずれかを有する。メモリ112は、例えば、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)等を有する主記憶装置である。プロセッサ111は、メモリ112のROM又は記憶部25から読み出したプログラムをRAMに一時的に記憶させる。また、メモリ112のRAMは、プロセッサ111に作業領域を提供する。プロセッサ111は、プログラムの実行中に生成されるデータをRAMに一時的に記憶させながら演算処理を行うことにより、各種の制御を行う制御部11は、さらに、時刻を計る計時部113を備える。計時部113は、例えばリアルタイムクロックである。計時部113は、プロセッサ111のマザーボードに実装されていてもよいし、プロセッサ111に外付けされてもよい。制御部11は、1つ若しくは複数のハードウェア要素、1つ若しくは複数のソフトウェア要素、又はこれらの組み合わせにより実現されるとよい。
【0098】
受光部12は、レーザー方式に対応した車両速度測定装置から、取締波としてのレーザー光を受光するための受光部である。受光部12は、レンズ121を介して入射した光を受光して、その受光した光に応じた信号を、制御部11に出力する。受光部12は、レーザー光のうちの可視光をカットするフィルタ等の光学部材をさらに有してもよい。受光部12が出力する信号は、例えば受光部12の受光量に応じて変化する。受光部12は、例えば受光素子としてフォトダイオードを備えるが、フォトトランジスタ又はその他の受光素子であってもよい。受光部12は、受光素子を2つ以上備えてもよい。受光部12は、少なくとも赤外光領域に感度を有するとよい。受光部12は、さらに受光素子からのアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路等を有してもよい。
【0099】
表示部13は、画像を表示する。表示部13は、例えば3.2インチのカラーTFT液晶ディスプレイである。液晶ディスプレイは、例えばIPS(In Plane Switching)式である。表示部13は、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ又はその他の方式の表示装置でもよい。
【0100】
音声出力部14は、音声を出力する。音声出力部14は、例えば音声処理回路及びスピーカを有する。
【0101】
レーダー受信部15は、レーダー方式に対応した車両速度測定装置から、取締波としてのレーダー波を受信する。レーダー波は、例えば、所定のマイクロ波、所定のステルス取締器が計測する瞬間だけ電波を発射するステルス波、通常レーダー波、及びキャンセル告知がある。レーダー受信部15は、例えばアンテナ及び受信回路を有する。本実施形態のレーダー受信部15は、特に、車両速度測定装置が出射するKバンド、及びXバンドに属するマイクロ波を受信する機能に特徴を有する。
【0102】
無線受信部16は、所定の周波数の無線信号を受信する。この所定の周波数の無線信号は、速度取締地点の周辺を伝搬することがあるもので、速度取締地点の存在を示す取締波の一例である。この所定の周波数の無線信号は、例えば、取締無線、カーロケ無線、デジタル無線、特小無線、所轄系無線、警察電話、警察活動無線、レッカー無線、ヘリテレ無線、消防ヘリテレ無線、消防無線、救急無線、高速道路無線、警察無線等の周波数に属する無線信号がある。無線受信部16は、例えばアンテナ及び受信回路を有する。
【0103】
位置情報取得部17は、電子機器10の位置(より具体的には、現在位置)を示す位置情報を取得する。電子機器10の位置は、電子機器10が配置された車両40の位置、及び車両40に乗車している運転手その他の人(乗員)の位置と同視することができる。位置情報取得部17は、例えば、GNSS(Global Navigation SatelliteSystem:全球測位衛星システム)の一つであるGPS(Global Posisioning System)からの信号に基づき、電子機器10の位置情報(緯度情報、及び経度情報)を取得する。位置情報取得部17は、QZSS(Quasi-Zenith Satellite System:準天頂衛星システム)として、みちびきを併せて利用してもよい。位置情報取得部17は、4G、5G通信その他の基地局装置からの信号に基づいて、位置情報を取得してもよい。
【0104】
通信部18は、外部装置と通信する。通信部18は、例えば、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)その他の無線LAN(Local Area Network)通信や近距離無線通信により、外部装置と無線通信する。外部装置は、例えば、スマートフォンやタブレット型コンピュータその他の車両40内の通信端末である。通信部18は、例えば、LTE(Long Term Evolution)、4G、5G等の移動通信システムの規格等に準拠した通信を行うための通信回路を有してもよい。
【0105】
入力部19は、ユーザからの情報の入力を受け付ける。入力部19は、タッチセンサ191と、マイクロホン192と、を有する。タッチセンサ191は、ユーザの操作の入力を受け付ける。タッチセンサ191は、ユーザによりタッチされた位置を検出する。タッチセンサ191は、例えば静電容量方式である。マイクロホン192は、入射した音を電気信号に変換する。マイクロホン192は、例えばコンデンサマイクである。入力部19は、これ以外にも、音量調整ボタン、及び作業用ボタン等の物理ボタンを備えてもよい。
【0106】
センサ部20は、各種のセンサを有する。センサ部20は、例えば、加速度センサ、ジャイロセンサ、気圧センサ、温度センサ、湿度センサ、及び照度センサの少なくともいずれかを有する。加速度センサは、例えば車両の前後、左右、上下の加速度を検出する3軸の加速度センサである。ジャイロセンサは、電子機器10の傾きを検出するセンサである。加速度センサ及びジャイロセンサは、例えば、GNSS衛星からの信号が受信できない場合に、自律航法により車両40の位置を推測するのに使用されてもよい。気圧センサは、気圧を測定する。気圧センサは、例えば、高低差を検知して、高速道と一般道を判定するために用いられる。温度センサは、温度を検知する。湿度センサは、湿度を検知する。照度センサは、照度センサ窓201を介して入射した光に基づいて、電子機器10の周辺である車室内の明るさを示す照度を検知するセンサである。照度センサは、例えば表示部13の表示の輝度の調整に使用される。
【0107】
装着部21は、記録媒体挿入口から挿入された記憶媒体50を保持する媒体保持部として機能する。装着部21は、記憶媒体50にデータを書き込んだり、記憶媒体50からデータを読み出したりする。装着部21は、記憶媒体50を1つだけ保持するものでもよいが、2つ以上の記憶媒体50を同時に保持することが可能に構成されてもよい。
【0108】
電源制御部22は、電子機器10の各部への電力の供給を制御する。電源制御部22は、例えば、電源スイッチ221、及び電源制御回路を有する。電源制御部22は、端子部23を介して車両40側から供給された電力を、電子機器10の各部に供給する。電源制御部22は、さらに、蓄電手段として、二次電池やボタン電池、電気二重層コンデンサ(スーパーキャパシタとも呼ばれる。)を有してもよい。
【0109】
端子部23は、外部の装置と電気的に接続するための端子である。端子部23は、外部の装置から電力の供給を受けるための端子である。端子部23は、例えばminiUSBの規格に準拠した端子を有する。端子部23は、電源用のコード(例えば、シガープラグコード)の一端側のコネクタが接続される。電源用コードの他端側のコネクタは、例えば車両400側に設けられた給電用の端子(例えば、シガーソケット)に接続される。
【0110】
端子部23は、車両40のOBDII(「II」は「2」のローマ数字である。)コネクタに接続可能なOBDIIアダプタが接続されてもよい。OBDIIコネクタは、故障診断コネクタとも称され、車両のECU(Engine Control Unit)に接続され、所定の期間毎(例えば、0.5秒毎)に各種の車両情報が出力される端子である。端子部23が、OBDIIアダプタを用いてOBDIIコネクタと接続されることで、電子機器10は、動作用の電力の供給を受けるとともに、車両情報を取得することができる。
【0111】
車両情報は、車両40の状態に関する情報である。車両情報は、例えば、車両40の速度(車速)、エンジン回転数、エンジン負荷率、スロットル度、点火時期、残り燃料の割合、インテークマニホールドの圧力、吸入空気量(MAF)、インジェクション開時間、エンジン冷却水の温度(冷却水温度)、エンジンに吸気される空気の温度(吸気温度)、車外の気温(外気温度)、燃料タンクの残り燃料の量(残燃料量)、燃料流量、瞬間燃費、アクセル開度、ウインカー情報(左右のウインカーの動作(ON/OFF))、ブレーキ開度、ハンドルの回転操舵角、ギヤポジション、及びドア開閉状態の情報等の少なくとも1つ以上とするとよい。
【0112】
端子部23に接続される装置として、車両40側からの給電がなくても、電子機器10が動作できるように、外付けのバッテリが用いられてもよい。端子部23に接続される装置は、例えば、ユーザの安全運転を支援する機能を有する装置であってもよい。このような装置として、例えば、運転手(例えば顔)を撮影して、わき見及び居眠り運転に例示される運転手の状態を検出して報知する機能を有する装置や、車両400の周辺の障害物を検知して報知する機能を有する装置(例えば、前方車両追突警報システム(FCWS:Forward vehicle Collision Warning Systems)のための車両検知に使用される装置)がある。端子部23に接続される装置は、その他にも、ドライブレコーダに例示される撮影装置、カーナビゲーション装置、ディスプレイ装置等の車載装置としてもよい。
【0113】
発光部24は、所定の色で発光する。発光部24は、例えば発光ダイオードを含む。
【0114】
記憶部25は、データを記憶する。記憶部25は、例えば、制御部11が各種の制御を行うためのプログラムを記憶する。制御部11は、記憶部25からプログラムを読み出して実行する。記憶部25は、さらに、地図を示す地図データ、目標物の種類やその位置情報、目標物の存在を報知するためのデータ(例えば、効果音やBGM、音声メッセージ等の音声データ、写真や模式図等の画像データ、等)、電子機器10がナビゲーション機能を有する場合のルート案内機能を実現するためのデータ、待受画面を表示するためのデータ等を記憶する。目標物は、例えば、車両速度測定装置(レーザー方式、レーダー方式、ループコイル式、Hシステム、LHシステム、光電管式、移動式等)のほか、居眠り運転事故地点、制限速度切替りポイント、取締エリア、検問エリア、駐禁監視エリア、Nシステム、交通監視システム、交差点監視ポイント、信号無視抑止システム、警察署、事故多発エリア、車上狙い多発エリア、急/連続カーブ(高速道)、分岐/合流ポイント(高速道)、ETCレーン事前案内(高速道)、サービスエリア(高速道)、パーキングエリア(高速道)、ハイウェイオアシス(高速道)、スマートインターチェンジ(高速道)、PA/SA内 ガソリンスタンド(高速道)、トンネル(高速道)、ハイウェイラジオ受信エリア(高速道)、県境告知、道の駅、ビューポイントパーキング等がある。
【0115】
記憶部25には、電子機器10の製品出荷時に、目標物(例えば、経度・緯度を含む位置情報、目標物の種別情報等)に関する情報が登録されている。制御部11は、その後に追加される新規な目標物に関する情報を、装着された記憶媒体50から取得し、又は通信部18を用いて通信により取得し、取得した情報を、記憶部25に記憶させる。このように、制御部11は、新規な目標物に関する情報等についての更新情報を、記憶部25に記憶させる機能を有するとなおよい。
【0116】
なお、記憶部25は、例えば、フラッシュメモリ(例えばeMMC、SSD)に例示される各種の記憶媒体を用いて実現された補助記憶装置とするとよい。記憶部25は、光学式記憶媒体、磁気記憶媒体、及び半導体記憶媒体に例示される各種の記憶媒体を用いて実現されてもよい。
【0117】
[3.電子機器10の報知機能]
電子機器10の報知機能は、受光部12、レーダー受信部15、無線受信部16、及び位置情報取得部17等を用いて、ユーザに情報を報知する機能である。報知機能は、POI(Point of interest)と呼ばれる目標物に関する情報を報知する機能である。報知機能は、例えば、以下で説明する機能を有する。報知機能による報知は、表示部13への表示、音声出力部14による音声の出力、発光部24の所定の発光、及びその他の人が知覚可能な方法のいずれかを用いて行われる。
【0118】
制御部11は、レーザー警報機能を有する。具体的には、制御部11は、受光部12を用いて、レーザー方式に対応する車両速度測定装置から、速度測定用のレーザー光を受光したと判定した場合に、警報を発する警報制御を行う。レーザー方式に対応するレーザー光は、特定波長の光で、所定のパルス幅を有するパルスレーザーである。特定波長は、例えば赤外光領域に属し、その波長は例えば850nm、905nm、950nm、又は1900nmである。パルス幅は、例えば略20ns又は略15nsである。パルス間隔は、例えば、略80msである。「略」は、基準となる値と同一又はその値と実質的に同一とみなせる所定範囲内とするとよい。制御部11は、例えば、レーザー方式に対応するレーザー光が受信されたと判定した場合には、記憶部25に記憶されたレーザー方式に対応する車両速度測定装置の模式図又は写真を表示部13に表示させるとともに、記憶部25に記憶された音声データを読み出して「レーザー光を受信しました。スピード注意」という音声メッセージを、音声出力部14から出力する。
【0119】
制御部11は、レーダー警報機能を有する。具体的には、制御部11は、レーダー受信部15によって車両速度測定装置からのレーダー波を受信したと判定した場合に、警報を発する警報制御を行う。制御部11は、例えば、速度測定用のレーダー波が受信されたと判定した場合には、記憶部25に記憶されたレーダー方式に対応する車両速度測定装置の模式図又は写真を表示部13に表示させるとともに、記憶部25に記憶された音声データを読み出して「レーダーです。スピード注意」という音声メッセージを、音声出力部14から出力する。
【0120】
制御部11は、無線警報機能を有する。具体的には、制御部11は、無線受信部16によって所定の周波数の無線信号を受信したと判定した場合に、警報を発する警報制御を行う。制御部11は、上述した各種無線信号に対応する周波数をスキャンする。制御部11は、スキャンした周波数で、無線信号を受信したと判定した場合には、記憶部25に無線種別ごとに記憶されたその周波数に対応する無線を受信した旨の模式図又は写真を表示部13に表示させるとともに、記憶部25に無線種別ごとに記憶された音声データを読み出して、音声出力部14からその無線の種別を示す音声を出力する。制御部11は、例えば、取締無線を受信した場合には、「取締無線です。スピード注意」のような音声メッセージを出力する。
【0121】
制御部11は、位置警報機能(一般的には、GPS警報と呼ばれる。)を有する。具体的には、制御部11は、記憶部25に記憶された目標物の位置情報と、位置情報取得部17が取得した位置情報とに基づいて、警報を発する警報制御を行う。制御部11は、例えば、目標物の位置情報と電子機器10の位置情報との距離を算出し、算出した距離が所定の接近距離になった場合に、警報制御を行う。制御部11は、例えば、高速道路の走行中は、目標物まで2kmに接近した場合に警報制御を行い、そのほか、目標物まで1km、500m、直前、通過と判定した場合に、警報制御を行う。制御部11は、例えば、トンネル内の速度取締地点については、高速道路の走行中は目標物まで2kmに接近した場合に警報制御を行い、そのほか、目標物まで1km、500mと判定した場合に警報制御を行う。制御部11は、表示部13に警報画面を表示し、音声出力部14から効果音、BGM、音声メッセージ等の音声を出力する。
【0122】
位置警報機能で警報制御の対象とする目標物としては、速度取締地点のほか、例えば、ネズミ捕りエリア、移動オービスエリア、追尾式取締りエリア、一時停止取締エリア、交差点取締エリア、その他取締エリア、シートベルト検問エリア、飲酒検問エリア、携帯電話検問エリア、その他検問エリア、交差点監視ポイント、信号無視抑制システム、高速道交通警察隊、Nシステム、交通監視システム、警察署、事故多発エリア、サービスエリア、パーキングエリア、ハイウェイオアシス、高速道長/連続トンネル、ハイウェイラジオ受信エリア、道の駅、ビューポイントパーキング、駐車場、公衆トイレ等がある。
【0123】
なお、制御部11は、上述した複数の報知機能のうち、ユーザにより設定された報知機能のみを動作させてもよい。また、複数の報知機能のそれぞれに又は報知の対象物となる目標物のそれぞれに、電子機器10の設計段階又はユーザの設定により、優先度が設定されていてもよい。この場合、制御部11は、優先度の高い報知を優先的に発するようにし、例えば、優先度が低い報知よりも優先度が高い報知を目立たせたり、優先度が低い報知と優先度が高い報知とが競合した場合は、優先度が高い報知のみを行ったりしてもよい。
【0124】
[4.電子機器10の他の構成]
電子機器10は、取締波を受信する機能と、取締波を受信したことに応じて報知する報知機能とを有する電子機器であるが、これらの機能を互いに別の電子機器に搭載してもよい。この態様の一例である
図5(A)に示す構成では、第1の電子機器103は、取締波を受信する機能と、その受信結果に応じた信号を外部に出力する機能と、を有する。第1の電子機器103は、アンテナ部とも呼ばれる。第2の電子機器101Aは、第1の電子機器103から出力された信号を取得し、この信号に基づいて、第1の電子機器103で取締波が受信されたことに応じて報知する報知機能を有する。第1の電子機器103と第2の電子機器101Aとは、例えば有線の通信路(例えば、
図5(A)に示すケーブル104)により接続されるが、無線の通信路により接続されてもよい。報知は、例えば、表示、音、及び光の少なくともいずれかによる報知を含まなくてもよい。この態様の一例である
図5(B)に示す構成では、電子機器101Bは、表示部を有しない。電子機器101Bは、正面側に設けられた放音孔105から音声を出力したり、発光部106を発光させたりして、報知を行う。また、電子機器は、ダッシュボード上とは異なる設置位置として、例えば車両のフロントガラス(例えば、フロントガラスにおける上端付近)、又は車両のルームミラーや車室内の天井等を設置位置とする電子機器としてもよい。この態様の一例である
図5(C)に示す構成では、電子機器101Bが、固定部102に代えて、取付部材107を用いてフロントガラスに固定される。取付部材107は、例えば金属製の板状部材を用いて形成されている。また、電子機器は、複数の設置位置の候補の中からユーザが選択したいずれかの設置位置に固定できるように構成されていてもよい。
【0125】
[5.レーダー受信部15]
<5-1.レーダー受信部15の機能>
レーダー受信部15は、Kバンド、及びXバンド対応の車両速度測定装置において利用可能な周波数帯域のマイクロ波を受信するための構成に特徴を有する。車両速度測定装置において利用可能なKバンドに属する周波数帯域は、Kバンド(18~27GHz)に属する周波数帯域であって、車両速度測定装置において出射することが可能なマイクロ波の周波数帯域のことをいうとよい。車両速度測定装置において利用可能なKバンドに属する周波数帯域は、電波の用途により法令上・保安上その他の基準により利用が認められた周波数帯域をいうとよく、これは免許範囲と称されることもある。車両速度測定装置において利用可能なKバンドに属する周波数帯域のことを、以下では「Kバンドの利用可能帯域」という。Kバンドの利用可能帯域は、本願出願時において、24.050~24.250[GHz]とされている。Xバンドの利用可能帯域は、Xバンド(8~12GHz)に属する周波数帯域であって、車両速度測定装置において出射することが可能なマイクロ波の周波数帯域である。Xバンドの利用可能帯域は、本願出願時において、10.5~10.55[GHz]である。本実施形態では、利用可能帯域を本願出願時におけるものとして説明するが、本願出願時よりも後に変更される可能性もありうるため、必ずしも上記数値範囲に限定して解釈される必要はない。
【0126】
レーダー受信部15は、Kバンドの利用可能帯域のうち、所定の受信帯域(第1の周波数帯域の一例)のマイクロ波を受信する。レーダー受信部15におけるKバンドの受信帯域は、<1-1.従来構成のレーダー探知機で、車両速度測定装置において利用可能なKバンドに属する周波数帯域のうち、高域側の領域を受信しなかったことの背景>ので説明した従来構成とは異なり、Kバンドの利用可能帯域のうちの高域側の領域を含む。Kバンドの受信帯域は、高域側の領域として、少なくとも従来構成で受信可能であった周波数の上限を超える範囲を含む。受信帯域は、24.135[GHz]を超える周波数を含むとよく、より望ましくは24.165[GHz]を超える周波数を含むとよく、より望ましくは24.235[GHz]を超える周波数を含むとよい。このようにすると、24.135[GHz]、24.165[GHz]、又は24.235[GHz]を超える周波数を超えるマイクロ波を使用するXバンド対応の車両速度測定装置、例えば新型のXバンド対応の車両速度測定装置を検出することができる。なお、24.165[GHz]、及び24.235[GHz]の数値条件の根拠は、後述する。
【0127】
Kバンドの受信帯域は、高域側の領域として、Kバンドの利用可能帯域の上限である24.250[GHz]を必ずしも含まなくてもよいが、24.250[GHz]を含むようにすると、Xバンド対応の車両速度測定装置をより確実に検出する上で、特に望ましい。Kバンドの受信帯域は、Kバンドの利用可能帯域の上限(つまり、24.050[GHz])を超える範囲を含むことを妨げるものではない。ただし、所定の電波発生源、特に、上述したミリ波を用いた車両衝突防止システムの使用周波数を考慮すると、Kバンドの利用可能帯域の上限を超えない、又はほぼ超えないようにすると、特に良い。Kバンドの受信帯域の上限は、例えば、Kバンドの利用可能帯域の上限の近傍にあるようにするとよい。
【0128】
レーダー受信部15は、さらに、Kバンドの利用可能帯域における低域側の領域のマイクロ波を受信するように構成される。Kバンドの利用可能帯域における低域側の領域としては、Kバンドの下限の24.000[GHz]を必ずしも含まなくてもよいが、24.000[GHz]を含むようにすると、Kバンド対応の車両速度測定装置をより確実に検出する上で、特に望ましい。レーダー受信部15は、Kバンドの利用可能帯域の下限(つまり、24.000[GHz])をさらに下回る範囲を含むことを妨げるものではない。上述したミリ波を用いた車両衝突防止システムで使用される周波数が近接している高域側と比べると、Kバンドの利用可能帯域の下限を下回らないようにするシビアな設定までは不要であると考えられる。ただし、車両速度測定装置以外の電波発生源の存在を考慮すると、Kバンドの下限を下回らない、又はほぼ下回らないようにすると、特に良い。Kバンドの受信帯域の下限は、例えば、Kバンドの利用可能帯域の下限の近傍にあるようにするとよい。
【0129】
レーダー受信部15は、さらに、Xバンドの利用可能帯域のうち、所定の受信帯域(第2の周波数帯域の一例)のマイクロ波を受信する。車両速度測定装置には、Xバンド対応のものと、Kバンド対応のものとが混在しているが、レーダー受信部15は、いずれの車両速度測定装置から発せられるマイクロ波も受信する機能を備えるように構成される。Xバンド対応の受信帯域についても、Xバンドの利用可能帯域のなるべく広範囲をカバーするように、レーダー受信部15は構成されているとよい。
【0130】
このようにレーダー受信部15は、Kバンドのマイクロ波、及びXバンドのマイクロ波を受信するよう構成しつつ、さらに、<1-2.外部の電波発生源の影響を受けることについて>で説明した、衝突防止システムやVICS用の受信機その他の所定の電波発生源から飛来し得る所定の周波数の電波を避けるように構成してある。
【0131】
<5-2.レーダー受信部15の受信回路の方式>
レーダー受信部15は、ヘテロダイン方式の受信回路を有する。ヘテロダイン方式の受信回路では、受信された所定のマイクロ波の受信信号の周波数を、局部発振器の発振周波数に基づいて変換し、その変換後の信号を検波する。このようにすると、受信信号よりも低い周波数の信号に基づく処理を行うことができる。具体的には、レーダー受信部15は、スーパーヘテロダイン方式の受信回路を有する。レーダー受信部15は、マイクロ波の受信信号を、局部発振器が発生させた局部発振信号と混合することにより、一旦中間周波数の信号に変換する。局部発振器の発振周波数の設定により、レーダー受信部15における受信帯域が決まる。局部発振器の発振周波数の設定により、所定の電波発生源からレーダー受信部15に飛来し得る所定の周波数の電波による影響を抑えることができる。その結果、ユーザに、そのような電波発生源からの電波の受信に応じた誤報をしてしまう可能性を低減させることができる。
【0132】
続いて、レーダー受信部15の具体的構成を説明する。
【0133】
<5-3.第1のレーダー受信部15Aの構成>
図6は、レーダー受信部15の一例である第1のレーダー受信部15Aの構成を示すブロック図を示している。第1のレーダー受信部15Aは、アンテナ51と、ダブルスーパーヘテロダイン方式の受信回路とを備える。本実施形態では、レーダー受信部15の受信回路の各部が制御部11により制御される場合を説明するが、制御部11とは異なる制御主体によって制御されてもよい。
【0134】
レーダー受信部15の受信回路は、1段目に、固定周波数で発振する1次局部発振器52と、アンテナ51で受信した信号と1次局部発振器52から出力される信号を周波数混合する第1ミキサ53と、第1ミキサ53にて周波数混合されて生成される中間周波信号を増幅する第1中間周波増幅器54とを備える。レーダー受信部15の受信回路は、2段目に、それぞれが掃引発振する電圧制御型可変周波数発振器(VCO)からなる2次局部発振器551、552及び553と、第1中間周波増幅器54を通過した信号と2次局部発振器551、552及び553のいずれかから出力される信号とを周波数混合する第2ミキサ56と、第2ミキサ56にて周波数混合されて生成される中間周波信号を増幅する第2中間周波増幅器57と、第2中間周波増幅器57を通過した信号に対して所定の検波処理を行う検波器58とを備える。電圧制御型可変周波数発振器(VCO)からなる局部発振器は、与えられた電圧(制御電圧ともいう。)に応じた発振周波数の発振信号を発生させる。第2の2次局部発振器552は、第1の2次局部発振器の一例である。第3の2次局部発振器553は、第2の2次局部発振器の一例である。
【0135】
第1の2次局部発振器551、第2の2次局部発振器552、及び第3の2次局部発振器553は、スイープする(つまり、掃引する、走査する)周波数範囲(以下「スイープ範囲」という。)が、互いに異なる。スイープ範囲は、受信帯域を定めるものである。第1の2次局部発振器551は、Xバンドに対応するスイープ範囲をスイープする。第2の2次局部発振器552は、Kバンドの一部であって、低域側の一部の周波数帯域をスイープ範囲としてスイープする。この周波数領域を、以下では「K1バンド」という。第3の2次局部発振器553は、Kバンドの一部であって、高域側の一部の周波数帯域をスイープ範囲としてスイープする。この周波数領域を、以下では「K2バンド」という。K1バンドは第4の周波数帯域の一例である。K2バンドは第3の周波数帯域の一例である。本実施形態では、K1バンドとK2バンドとは周波数軸上で連続性が確保されており、さらにK1バンドとK2バンドとが一部重複している。すなわち、K1バンドにおける高域側とK2バンドにおける低域側とが重なり合う。
【0136】
このように、K1バンドとK2バンドとが一部重複するようにスイープ範囲が設定されていることで、レーダー受信部15は、K1バンドとK2バンドとの連続性を確保してマイクロ波を受信しやすくすることができる。その結果、電子機器10において、Kバンド対応の車両速度測定装置の検出をより確実に行うことができる。例えば、レーダー受信部15の受信回路の回路要素の品質による影響(例えば、部品毎の品質のばらつき、個体差)や、温度等などの外的要因を原因として、受信回路が実際にマイクロ波を受信する周波数が、想定からずれてしまうことが考えられる。後述するように、第1のレーダー受信部15Aが、単一の集積回路、例えばASICにより構成されると、性能により発振周波数が安定せず、設定通りに動作せずに周波数範囲が設計値からずれることがありうる。そのような場合でも、K1バンドとK2バンドとの重複領域がバッファのようにして機能することで、仮にK1バンドとK2バンドが広狭変化し、又はシフトしても、Kバンドのマイクロ波を受信できない事象の発生を抑えることができる。K1バンドとK2バンドとの関係として、例えば、K1バンドの上限値は、K1バンドの下限値と、K2バンドの上限値との中間値以上とするとよい。例えば、K2バンドの下限値は、K1バンドの下限値と、K2バンドの上限値との中間値以下とするとよい。この場合、K1バンドとK2バンドとの重複領域内に、Kバンドの利用可能帯域の中間値が存在することになる。
【0137】
制御部11は、各2次局部発振器を切り替えて、所定の発振周波数の信号を第2ミキサ56に与える。具体的には、制御部11は、第1の2次局部発振器551と、第2の2次局部発振器552と、第3の2次局部発振器553とを排他的に動作させるように、各2次局部発振器を制御するとよい。制御部11は、第1の2次局部発振器551と、第2の2次局部発振器552と、第3の2次局部発振器553とが所定の順番で動作するように、制御するとよい。
【0138】
制御部11は、1次局部発振器52の発振周波数、並びに第1の2次局部発振器551、第2の2次局部発振器552、及び第3の2次局部発振器553のそれぞれのスイープ範囲を設定して、スイープさせる。スイープ範囲の設定として、制御部11は、第1の2次局部発振器551の信号を第2ミキサ56に入力させている状態では、検波器58において、Xバンドのマイクロ波を検波し、Kバンド(K1バンド、及びK2バンド)のマイクロ波を検波しないようにする。第2の2次局部発振器552の信号を第2ミキサ56に入力させている状態では、検波器58において、K1バンドのマイクロ波を検波し、K2バンド、及びXバンドのマイクロ波を検波しないようにする。同様に、第3の2次局部発振器553の信号を第2ミキサ56に入力させている状態では、検波器58において、K2バンドのマイクロ波を検波し、K1バンド、及びXバンドのマイクロ波を検波しないようにする。なお、具体的なスイープのパターンの例については、後述する。
【0139】
<5-4.局部発振器の発振周波数について>
第1のレーダー受信部15Aの各局部発振器の発振周波数は、第1のレーダー受信部15Aが所定の電波発生源からの電波を受信してそれによる影響を受けないように、特に、上述した衝突防止システムからのミリ波の周波数、及びVICS用受信機からの電波を避けるように、設定してある。発明者は、そのような局部発振器の発振周波数として、例えば以下のようにすればよいことを発見した。
【0140】
1次局部発振器52:11.482[GHz]
第1の2次局部発振器551: 900~1000[MHz](振り幅100[MHz])
第2の2次局部発振器552:1071~1204[MHz](振り幅133[MHz])
第3の2次局部発振器553:1168~1301[MHz](振り幅133[MHz])
【0141】
このような発振周波数の設定とした場合、1次局部発振器52の発振周波数の基準波と、第1の2次局部発振器551とを使用することで、第1のレーダー受信部15Aの受信回路は、Xバンドの利用可能帯域のうち、10.491~10.554[GHz]のマイクロ波を検出する。1次局部発振器52の2次高調波は22.964[GHz]となり、この2次高調波と、スイープする第1の2次局部発振器551の発振周波数との組み合わせでは、第1のレーダー受信部15Aの受信回路は、Kバンド以外の周波数帯域を検出するようになり、Kバンドは検出しない。これにより、第1の2次局部発振器551を使用中にマイクロ波を検出した場合、Kバンドのマイクロ波ではないことが保障される。
【0142】
1次局部発振器52の発振周波数の2次高調波と、第2の2次局部発振器552とを使用することで、第1のレーダー受信部15Aの受信回路は、Kバンドの利用可能帯域における低域側である24.050~24.153[GHz]を受信帯域として、マイクロ波を受信する。本実施形態では、この受信帯域が「K1バンド」(第4の周波数帯域の一例)である。1次局部発振器52と第2の2次局部発振器552のそれぞれの発振周波数の基本波及び高調波の組み合わせでは、第1のレーダー受信部15Aの受信回路は、Xバンド、及びK1バンドとの重複範囲を除くK2バンドのマイクロ波を検出しない。これにより、第2の2次局部発振器552を使用中にマイクロ波を検出した場合、Xバンド及びK2バンドのマイクロ波ではないことが保障される。
【0143】
1次局部発振器52の発振周波数の2次高調波と、第3の2次局部発振器553とを使用することで、第1のレーダー受信部15Aの受信回路は、Kバンドの利用可能帯域における高域側である24.147~24.250[GHz]を受信帯域として、マイクロ波を受信する。本実施形態では、この受信帯域が「K2バンド」(第3の周波数帯域の一例)である。1次局部発振器52と第3の2次局部発振器553のそれぞれの発振周波数の基本波及び高調波の組み合わせでは、第1のレーダー受信部15Aの受信回路は、Xバンド、及びK2バンドとの重複範囲を除くK1バンドのマイクロ波を検出しない。これにより、第3の2次局部発振器553を使用中にマイクロ波を検出した場合、Xバンドや上述のK1バンドの取締波ではないことが保障される。
【0144】
さらに、各局部発振器の発振周波数を上述したとおり設定すると、各局部発振器の高調波に基づく検波を考慮しても、Xバンド、K1バンド、K2バンドの相互間に限ることなく、衝突防止システムで使用される電波や、VICS用の受信機からの電波、
図15に示す他の無線局に割り当られた電波、
図14に示す各種の用途(ただし、
図14の[3]を除く。)の検出による影響を抑えることができることを、発明者は確認した。
【0145】
Xバンド用の第1の2次局部発振器551のスイープ範囲の幅(「振り幅」ともいう。)は、100[MHz]である。K1バンドの第2の2次局部発振器552、及びK2バンド用の第3の2次局部発振器553のスイープ範囲の振り幅は、それぞれ133[MHz](つまり、130[MHz]近傍)で同じ値としている。このように、第2の2次局部発振器552と、K2バンド用の第3の2次局部発振器553とに、スイープ範囲を分担させることで、それぞれが担当する発振周波数の範囲が狭くなる分、第2の2次局部発振器552、及び第3の2次局部発振器553の設計を容易にし、又は発振器の機器の選択の自由度を向上させることができる。
【0146】
また、各2次局部発振器に割り当てられるスイープ範囲が狭い範囲となり、さらに、第1の2次局部発振器551と、第2の2次局部発振器552と、第3の2次局部発振器553とで、3つのスイープ範囲の幅が近い。このように構成すると、Xバンド、K1バンド、及びK2バンドのマイクロ波で各回のスイープ時間を等しくした場合に、各2次局部発振器から出力され周波数混合する信号に対するサンプリング間隔も同程度となり、各回で同程度の分解能を得られ、どのバンドのマイクロ波の検出処理についても、同程度の検出精度が得やすくなる。例えば、1つの2次局部発振器の振り幅を他に比べて極端に大きくした状態でスイープ時間を各回で等しくすると、その1つの2次局部発振器から出力される信号のサンプリング間隔が長くなり、他に比べて分解能が低下するが、そのような課題を解決するものである。
【0147】
また、3つのスイープ範囲の幅が比較的近いことから、それぞれの局部発振器を構成する回路や、局部発振器を制御するために当該回路に与える制御信号の設計上の差異が小さくなり、その設計が用意となる。スイープ範囲の振り幅を狭くするとともに、Xバンド、K1バンド、及びK2バンド専用の2次局部発振器をそれぞれ設けることで、1次局部発振器52やそれぞれの2次局部発振器のスイープ範囲を過不足無く設定しやすくなり、目的のバンドの範囲内の周波数のマイクロ波を検出しやすくなる。これは、第1のレーダー受信部15Aが、懸案であったKバンドの利用可能帯域の上限値を超えてマイクロ波を受信しないようにする上でも望ましく、特に、自車両の周辺に多く存在し得る車両衝突防止システムで使用されるミリ波を受信することによる誤報の発生を抑えることができる点で、望ましい。
【0148】
局部発振器の発振周波数の設定上の理由は、以上である。局部発振器の発振周波数は、これに限られず、例えば上述した課題の少なくともいずれかを解決することができる範囲内で、局部発振器の発振周波数が変更されてもよい。発明者は、車両が北海道を走行中である場合において、レーダー探知機を用いて、以下の検証を行った。その場合の、製品と、当該製品の受信帯域と、同じ車両速度測定装置からのマイクロ波の受信の有無との関係は、以下のとおりであった。
【0149】
自社製品その1:24.072~24.134[GHz]:受信しない
他社製品その1:24.144~24.207[GHz]:受信する
他社製品その2:24.165~24.235[GHz]:受信する
【0150】
このような検証結果から、当該車両速度測定装置からマイクロ波を受信するために、受信帯域に、24.165~24.207[GHz]の範囲が含まれると有利であることが分かった。ただし、そこで、第1のレーダー受信部15Aが受信可能な高域側の領域としては、少なくとも24.165[GHz]以上の周波数領域を含むとよく、より望ましくは上限を24.207[GHz]以上とするとよい。さらに、第1のレーダー受信部15Aが、Kバンドの利用可能帯域をフルカバーできるようにすると、Kバンド対応であるが従来と異なる速度測定装置が使用されても、マイクロ波を受信することができる。
【0151】
なお、望ましい局部発振器の発振周波数は、例えば第1次局部発振器と2次局部発振器との発振周波数の関係や、2次局部発振器の個数等に応じて変化するので、それらも考慮して、上記課題の少なくともいずれかを解決するように設定されるとよい。
【0152】
<5-5.マイクロ波の受信に応じた報知>
制御部11は、検波器58の検波処理の結果に基づいて、第1のレーダー受信部15Aによるマイクロ波の受信に応じた報知をする制御を行うとよい。制御部11は、表示部13への表示(例えば、警報画面の絵・CG等の表示)や、音声出力部14による音声の出力(例えば、メッセージ音声や警報音の出力)、その他のユーザが知覚可能な方法を用いて、報知を行うとよい
【0153】
制御部11は、Xバンド、K1バンド、及びK2バンドで報知する制御を同一としてもよいが、少なくとも一部のバンドについて報知する制御を異ならせると、ユーザに対してより多様な情報を提供することができる。また、制御部11は、同じバンド内でも、そのバンドに属するどの周波数のマイクロが受信されたかに応じて報知する制御を異ならせてもよい。このようにすることによっても、ユーザに対してより多様な情報を提供することができる。報知する制御の例を説明すると、以下のとおりである。
【0154】
(5-5-1.報知する制御の第1の例)
制御部11は、K1バンドのマイクロ波が受信されたのか、又はK2バンドのマイクロ波が受信されたのかに応じて報知する制御を異ならせるとよい。このようにすると、ユーザは、Kバンドの利用可能帯域のうち、高域側の領域のマイクロ波が受信されたのか、低域側の領域のマイクロ波が受信されたのかによって、異なる報知に接することができる。制御部11は、報知する制御としては、例えば、高域側であるのか低域側であるのかをユーザが認識できる報知をするとよく、例えば、高域側であれば、「K1バンドの取締波を検出しました。」、「KバンドHiを受信しました。」というメッセージを、低域側であれば「K2バンドの取締波を検出しました。」、「KバンドLowを受信しました。」というメッセージを出力させるとよい。メッセージは、例えば音声や、テキスト等のユーザが報知を認識できる態様で出力されるとよい。報知する制御としては、表示する警報画面を異ならせる等、ユーザが違いを認識できる態様により報知を異ならせるとよい。報知の内容が車両速度測定装置の種類が分かるものであると、ユーザは、どのような車両速度測定装置に近接したのかを把握することができる。
【0155】
(5-5-2.報知する制御の第2の例)
制御部11は、Kバンドのマイクロ波を受信した場合と、Xバンドのマイクロ波を受信した場合とで異なる報知する制御を行うとよい。このようにすると、ユーザは、Kバンド対応の車両速度測定装置が検出されたのか、Xバンド対応の車両速度測定装置が検出されたのかによって、異なる報知に接することができる。報知する制御としては、例えば、Kバンド対応の車両速度測定装置なのか、又はXバンド対応の車両速度測定装置なのかで異なるメッセージを出力するとよい。メッセージは、例えば音声や、テキスト等のユーザが報知を認識できる態様で出力されるとよい。報知する制御としては、表示する警報画面を異ならせる等、ユーザが違いを認識できる態様により報知を異ならせるとよい。報知の内容が車両速度測定装置の種類が分かるものであると、ユーザは、どのような車両速度測定装置に近接したのかを把握することができる。
【0156】
(5-5-3.報知する制御の第3の例)
制御部11は、例えば、K2バンドにおける第1の周波数のマイクロ波が受信された場合と、K2バンドにおけるこの第1の周波数よりも高い第2の周波数のマイクロ波が受信された場合とで、報知する制御を異ならせるとよい。このようにすると、ユーザは、同じK1バンドに属するマイクロ波が受信された場合でも、周波数によって異なる報知に接することができる。上述したとおり、Kバンド対応の車両速度測定装置で利用可能な周波数帯域の高域側に、車両衝突防止システムで使用される周波数が存在する。また、K2バンドにおける高域側の周波数のマイクロ波を受信した場合に、受信回路が実際にマイクロ波を受信する周波数が想定からずれてしまい、車両衝突防止システムで使用されるミリ波を受信している可能性もある。
【0157】
制御部11は、第1の周波数のマイクロ波が受信された場合とは異なり、それよりも高い第2の周波数のマイクロ波が受信された場合には、例えば、誤報である可能性を踏まえた報知を行うようにするとよい。そのため第2の周波数は、K2バンド内ではあるが、K2バンド(Kバンドの利用可能帯域)の上限近傍の周波数とすると特によい。上限近傍の周波数としては、例えば、従来構成のレーダー探知機では受信できなかった24.135[GHz]を超える周波数としてもよいし、24.165[GHz]を超える周波数、又は24.235[GHz]を超える周波数としてもよい。誤報である可能性を踏まえた報知としては、「レーダーを検知しました。ただし、他車両からのミリ波レーダーの可能性があります。」のように、誤報である可能性を直接的に表現した報知とするとよい。あるいは、誤報である可能性を踏まえた報知としては、誤報である可能性を間接的に表現した報知としてもよく、例えば、抑えめの報知とするとよい。抑えめの報知としては、例えば報知に係る音量を小さくしたり、報知に係る表示の目立ちやすさを抑える等、ユーザが抑えめであることが分かるような報知とするとよい。
【0158】
<5-6.局部発振器の切替制御>
制御部11が行う各局部発振器の切替制御を説明する。
【0159】
(5-6-1.局部発振器の切替制御の第1の例)
図7は、局部発振器の切替制御の第1の例を示すタイミングチャートである。
図7において、横軸tは時間軸を表す。
図7には、Xバンド、K1バンド、K2バンドの順番で車両速度測定装置からのマイクロ波を受信する場合の制御パターンを示している。本実施形態では、1次局部発振器52、第1の2次局部発振器551、第2の2次局部発振器552、及び第3の2次局部発振器553の電源電圧が供給されてON状態を継続し、制御部11からの制御信号に従って動作する。
【0160】
制御部11は、まず、Xバンドのマイクロ波の検出のため、1次局部発振器52用のクロック信号である1st.Lo.CLK(X)をONにする。制御部11は、この1st.Lo.CLK(X)の立ち上がりに基づき、第1の2次局部発振器551用のクロック信号である2nd.Lo.CLK(X)のトリガを出力する。制御部11は、この2nd.Lo.CLK(X)のトリガを受けて、第1の2次局部発振器551に与えるスイープのための制御信号であるタレサガリ(X)を所定パターンで出力する。所定のパターンとして、制御部11は、マイクロ波を受信しない状態では最大値(本実施形態では、3V)から0Vに向けて一定の傾きで徐々に電圧降下させるパターンの制御信号を出力するとよい。なお、制御信号の名称の「タレサガリ」という文言は、このような電圧降下させるパターンであることを分かりやすくするために、便宜的に付したものである。また、タレサガリ(X)は、制御部11自体から出力されてもよいし、制御部11の制御に従って電源制御部22の電源制御回路から出力されてもよい。この点は、後述する他の「タレサガリ」という名称を含む制御信号でも同様である。
【0161】
1st.Lo.CLK(X)がONである期間に、1次局部発振器52は動作する。1次局部発振器52は、所定の発振周波数の局部発振信号を発生させて、第1ミキサ53に与える。1st.Lo.CLK(X)がOFFになると、1次局部発振器52は、1st.Lo.CLK(X)に基づいて動作を停止する。これにより、1次局部発振器52は、局部発振信号の出力を停止させる。また、制御部11は、第1の2次局部発振器551に、タレサガリ(X)を制御信号として与える。第1の2次局部発振器551は、例えば2nd.Lo.CLK(X)のトリガを受信すると所定期間動作する。第1の2次局部発振器551は、タレサガリ(X)として与えられた制御信号の電圧(制御電圧といってもよい。)に応じた局部発振周波数(本実施形態では、Xバンドに属する10.491~10.554[GHz])の局部発振信号を発生させて、第2ミキサ56に与える。所定期間としては、例えば、タレサガリ(X)の電圧が3.0から0V(GND)に変化するまでの期間とするとよい、0Vに変化するまでの期間としては、例えば、0Vになった瞬間までの期間としてもよいが、0Vの状態が所定時間だけ継続した後の期間とするとよい。また、制御部11は、例えば1st.Lo.CLK(X)のように、2nd.Lo.CLK(X)のトリガとは別の制御信号を、第1の2次局部発振器551に与えるとよい。第2の2次局部発振器552は、その制御信号がONしている期間の間、局部発振信号を出力するとよい。
【0162】
制御部11は、次に、K1バンドのマイクロ波の検出のため、ここではタレサガリ(X)が0になってから所定期間経過した後、1stCLK(X)をOFFにするとともに、1st.Lo.CLK(K1)をONにする。制御部11は、この1st.Lo.CLK(K1)の立ち上がりに基づき、2nd.Lo.CLK(K1)のトリガを出力する。制御部11は、この2nd.Lo.CLK(K1)のトリガを受けて、第2の2次局部発振器552に与えるスイープのための制御信号であるタレサガリ(K1)を所定パターンで出力する。この所定パターンは、ここではタレサガリ(X)と同じにしているが、異なるパターンとしてもよい。同じパターンにすると、K1バンドのマイクロ波の検出時間を、Xバンドのマイクロ波の検出時間と同じにすることができる。
【0163】
1st.Lo.CLK(K1)がONである期間に、1次局部発振器52は動作する。1次局部発振器52は、所定の発振周波数の局部発振信号を発生させて、第1ミキサ53に与える。1st.Lo.CLK(K1)がOFFになると、1次局部発振器52は、1st.Lo.CLK(K1)に基づいて動作を停止する。これにより、1次局部発振器52は、局部発振信号の出力を停止させる。また、制御部11は、第2の2次局部発振器552に、タレサガリ(K1)を制御信号として与える。第2の2次局部発振器552は、例えば2nd.Lo.CLK(K1)のトリガを受信すると所定期間動作する。第2の2次局部発振器552は、タレサガリ(K1)として与えられた制御信号の電圧に応じた局部発振周波数(本実施形態では、K1バンドに属する24.050~24.153[GHz])の局部発振信号を発生させて、第2ミキサ56に与える。所定期間としては、例えば、タレサガリ(K1)の電圧が3.0から0V(GND)に変化するまでの期間とするとよい、0Vに変化するまでの期間としては、例えば、0Vになった瞬間までの期間としてもよいが、0Vの状態が所定時間だけ継続した後の期間とするとよい。また、制御部11は、例えば1st.Lo.CLK(K1)のように、2nd.Lo.CLK(K1)のトリガとは別の制御信号を、第2の2次局部発振器552に与えるとよい。第2の2次局部発振器552は、その制御信号がONしている期間の間、局部発振信号を出力するとよい。
【0164】
制御部11は、次に、K2バンドのマイクロ波の検出のため、ここではタレサガリ(K1)が0になってから所定期間経過した後、1stCLK(K1)をOFFにするとともに、1st.Lo.CLK(K2)をONにする。制御部11は、この1st.Lo.CLK(K2)の立ち上がりに基づき、2nd.Lo.CLK(K2)のトリガを出力する。制御部11は、この2nd.Lo.CLK(K2)のトリガを受けて、第3の2次局部発振器553に与えるスイープのための制御信号であるタレサガリ(K2)を所定パターンで出力する。この所定パターンは、ここではタレサガリ(X)やタレサガリ(K1)と同じにしているが、異なるパターンとしてもよい。同じパターンにすると、K2バンドのマイクロ波の検出時間が、XバンドやK1バンドのマイクロ波の検出時間と同じにすることができる。
【0165】
1st.Lo.CLK(K2)がONである期間に、1次局部発振器52は動作する。1次局部発振器52は、所定の発振周波数の局部発振信号を発生させて、第1ミキサ53に与える。1st.Lo.CLK(K2)がOFFになると、1次局部発振器52は、1st.Lo.CLK(K2)に基づいて動作を停止する。これにより、1次局部発振器52は、局部発振信号の出力を停止させる。また、制御部11は、第3の2次局部発振器553に、タレサガリ(K2)を制御信号として与える。第3の2次局部発振器553は、例えば2nd.Lo.CLK(K2)のトリガを受信すると所定期間動作する。第3の2次局部発振器553は、タレサガリ(K2)として与えられる制御信号の電圧に応じた発振周波数(本実施形態では、24.147~24.250[GHz])の局部発振信号を発生させて、第2ミキサ56に与える。所定期間としては、例えばタレサガリ(K2)の電圧が3.0から0V(GND)に変化するまでの期間とするとよい、0Vに変化するまでの期間としては、例えば、0Vになった瞬間までの期間としてもよいが、0Vの状態が所定時間だけ継続した後の期間とするとよい。また、制御部11は、例えば1st.Lo.CLK(K2)のように、2nd.Lo.CLK(K2)のトリガとは別の制御信号を、第3の2次局部発振器553に与えるとよい。第3の2次局部発振器553は、その制御信号がONしている期間の間、局部発振信号を出力するとよい。
【0166】
上述の構成をとることで、1次局部発振器52は、1st.Lo.CLK(X)、1st.Lo.CLK(K1)、及び1st.Lo.CLK(K2)のいずれからもONが与えられるため、常時動作して、所定の発振周波数の局部発振信号を出力し、第1ミキサ53に与える。第1の2次局部発振器551、第2の2次局部発振器552、及び第3の2次局部発振器553は排他的に動作して、スイープをするための制御信号を第2ミキサ56に与える。これにより、第1のレーダー受信部15Aは、Xバンド、K1バンド、及びK2バンドのうちの選択された1つのバンドのマイクロ波を受信することができるようになる。
【0167】
また、
図7に示した制御は、マイクロ波を受信していないときの基本パターンである。制御部11は、マイクロ波を検出した場合に、適宜パターンを変更するとよい。制御部11は、例えば、この変更は、例えば、従来と同様にマイクロ波を検出した場合には、例えば、2次局部発振器に与える制御信号の電圧を所定時間固定させる(つまり保持する)処理である、スイープストップ処理を行う。制御部11は、スイープストップして、そのときのマイクロ波の検知状況により、目的のマイクロ波が受信されたか否かを判定するとよい。また、Xバンドのマイクロ波の検出処理中に検波器58においてマイクロ波を検波した場合、Xバンドのマイクロ波をアンテナ51で受信したものに基づく場合と、受信回路の2次側に直接飛び込んでくる電波に基づくものがあるので、制御部11は、次の検出処理のサイクルでは、K1バンドの検出処理に移行させないようにしてもよい。制御部11は、例えば、次の検出処理のサイクルにおいても、検波器58の検波処理を、Xバンドのマイクロ波か否かを判定するための処理を行うようにしてもよい。このXバンドのマイクロ波か否かを判定するための処理は、例えば、Xバンドの検出処理中に検波器58が検波した場合、制御部11は、1st.Lo.CLK(X)をOFFにするとともに、1st.Lo.CLK(K1)もOFFのままにすることで実現させるとよい。この状態で、制御部11は所定パターンのタレサガリ(X)を出力し、この所定パターンのタレサガリ(X)を出力する期間の間、第1の2次局部発振器551の動作を継続させるように制御するとよい。これにより、1次局部発振器52の動作は停止し、第1の2次局部発振器551はタレサガリ(X)の電圧に応じた発振周波数の局部発振信号を出力する。
【0168】
なお、この所定パターンのタレサガリ(X)は、例えば1回目と同様に、最大値(例えば3V)から0Vに向けて、一定の傾きで徐々に降下させるようにするとよいが、異なるパターンとしてもよい。このようにすることで、受信回路は、1次局部発振器52を停止し、第1の2次局部発振器551のみ動作した状態で、マイクロ波の検出処理を行うことができる。この状態で検波しなければ、制御部11は、その前に検波したのは車両速度測定装置からのマイクロ波からのものとして報知する制御を行いし、停止しても検波していれば、誤動作源からのものとして、報知しないように制御を行うとよい。
【0169】
(5-6-2.局部発振器の切替制御の第2の例)
(5-6-1.局部発振器の切替制御の第1の例)では、Xバンド、K1バンド、K2バンドの順番で繰り返しバンド毎のマイクロ波の検出処理を行う制御例を示したが、マイクロ波の検出処理をする順番はこれに限ることはなく、任意の順番で検出処理を行うとよい。
【0170】
制御部11は、例えば、通常は、Xバンド→K1バンド→K2バンド→Xバンド→…のように決められた基準パターンで繰り返してマイクロ波の検出処理を行い、あるバンドで検波した場合、そのバンドの検出処理を重点的、又は集中的に行うとよい。重点的、又は集中的に行う処理は、例えば、連続して行ったり、頻度を多くしたりするとよい。頻度を多くする場合、制御部11は、例えば、検波したバンドのマイクロ波の検出処理と、その2つのバンドのマイクロ波の検出処理とを交互に行うなど、他のバンドの検出処理も行いつつ、検波したバンドのマイクロ波の検出処理を行う回数を増やすとよい。制御部11は、例えば、Xバンドで検波した場合、X→K1→X→K2→X→…のような順番に変更するとよい。
【0171】
あるバンドのマイクロ波の検出処理を重点的に行う場合に、制御部11は、他のバンドの検出処理も混在させるとよい。このようにすると、最初に検波したバンドのマイクロ波を効率よく検出しつつ、別のバンドのマイクロ波も検出できる。例えば誤警報源の一つである自動ドアにおける人の接近を検出装置から出射されるマイクロ波はXバンドに属する。そのため、その誤警報源からのマイクロ波の受信に基づきそのバンドの検出処理を連続して行うと、別のバンドのマイクロ波を用いた車両速度測定装置から電波を検波できないおそれがある。そこで、制御部11は、K1バンド、及びK2バンドの少なくとも一方についてのマイクロ波の検出処理も、適宜のタイミングで行うとよい。このようにすると、Kバンドを用いた車両速度測定装置の存在を検出できる。適宜のタイミングとしては、例えば、重点的に行うバンドのマイクロ波の検出処理をn回(nは2以上)行う間に、別のバンドのマイクロ波の検出処理を1回行うようにするとよい。別のバンドが複数種類ある場合はその中の一部又はすべての検出処理の回数が行っていてもよい。
【0172】
制御部11は、重点的、集中的に行う処理を行うか否か並びに行う場合の程度の軽重は、検波した際のバンドの種類により変えるとよい。
【0173】
(5-6-3.局部発振器の切替制御の第3の例)
制御部11は、基準パターンで繰り返して行うマイクロ波の検出処理は、各バンドで均一の処理回数で行ってもよいが、基準パターンからバンドごとに軽重を付けてもよい。制御部11は、例えば、Xバンド対応の車両速度測定装置が相対的に多い場合、マイクロ波を受信していないで基準パターンを行っている際には、Xバンドについての検出処理の回数を相対的に多くしたり、単位時間当たりの処理回数をXバンドが多くなるように行ったりするとよい。
【0174】
(5-6-4.局部発振器の切替制御の第4の例)
第1のレーダー受信部15Aは、X、K1、及びK2の3種類のバンドに対するマイクロ波の検出処理の全てを行うモードと、少なくともいずれかのバンドのマイクロ波の検出処理を行わずに、それ以外のバンドのマイクロ波の検出処理を行うモードとにより動作可能に構成されるとよい。このようにすると、第1のレーダー受信部15Aは、広範なバンドにわたって車両速度測定装置の検出を行う場合と、一部のバンドに絞って効率良く車両速度測定装置の検出を行う場合とを切り替え可能にすることができる。
【0175】
特に、第1のレーダー受信部15Aは、Kバンド対応の車両速度測定装置を検知するためのマイクロ波を受信するモードとして、K1バンドとK2バンドとにわたってマイクロ波を受信する第1のモード、K1バンドとK2バンドとのどちらか一方の領域に絞ってマイクロ波を受信する第2のモードとにより、動作可能であるとよい。制御部11は、第1のレーダー受信部15Aのモードを切り替える機能を有するとよい。制御部11は、例えば、ユーザの手動による指示(例えば、入力部19を介した指示入力)に応じて、モードを切り替えてもよいが、特に、所定の条件に基づいてユーザの指示がなくとも切り替えるとよい。条件としては、時間的、位置的(例えば地域的)、速度取締が行われる可能性、その他の要素に基づいて決められているとよい。制御部11は、例えば、速度取締が行われる可能性が相対的に高い所定の時刻には、第1のモード、それ以外の時刻には、第2のモードとするとよい。制御部11は、ゾーン30に例示される所定の種別の道路の走行中、又は公開取締情報に基づいて速度取締が行われる道路の走行中には、第1のモードとするとよい。
【0176】
好ましくは、制御部11は、位置情報取得部17が取得した現在位置の位置情報に基づいてモードの切り替えをするとよい。このようにすると、車両40の現在位置に応じてマイクロ波を受信するバンドを切り替えることができる。例えば、Kバンド対応の車両速度測定装置においては、地域(例えば、都道府県)によって、どの周波数帯域を利用する車両速度測定装置が設置されるか、又はより多く設置されるかが、異なることがある。例えば、特定の周波数帯域を利用する車両速度測定装置が、特定の地域に限定して設置され、それが既知である場合がある。そのような場合、電子機器10が、利用されていない周波数領域について、マイクロ波の受信動作をしないようにすると、効率的な受信動作をすることができる。例えば、マイクロ波を受信すべき領域が狭くなることで、受信に係る処理を充てられる時間をより多く確保しやすくすることができる。その結果、より正確な報知を行うことにも資することができる。
【0177】
具体的な制御方法を説明する。
例えば、位置情報と車両速度測定装置において使用されるバンド、又は使用されないバンドの情報とを関連付けた情報が、例えば記憶部25に記憶される。制御部11は、記憶部25に記憶された情報を、例えば通信部18により更新データを受信することにより、更新する機能を有するとよい。制御部11は、位置情報取得部17が取得した現在の位置情報と、記憶部25に記憶された上記関連付けた情報とに基づき、現在位置で使用されるバンドの種類の情報を取得する。制御部11は、取得した種類のバンドについてマイクロ波の検出処理を行い、それ以外の種類のバンドについてのマイクロ波の検出処理を行わないように、第1のレーダー受信部15Aを制御するとよい。制御部11は、例えば、ある地域では、K2バンドの車両速度測定装置が使用されていない場合、XバンドとK1バンドに対するマイクロ波の検出処理を行い、K2バンドに対するマイクロ波の検出処理を行わないようにするとよい。例えば、車両40が北海道を走行中である場合、制御部11は、K2バンドに対するマイクロ波の検出処理を行わないモードとしてもよいが、K2バンドが使用されることを示す情報が記憶されている場合には、K2バンドに対するマイクロ波の検出処理を行うモードとするとよい。制御部11は、モードに応じて、マイクロ波の検出処理を行うか行わないかを制御することに代えて、又は加えて、モードに応じて、マイクロ波の検出処理における受信感度を変えたり、あるいは、スイープ時間やスイープ範囲の振り幅、スイープ速度等の、マイクロ波の検出処理における動作を変えたりするとよい。
【0178】
(5-6-5.スイープパターンの変形例1)
制御部11は、制御信号としてのタレサガリ(X)、タレサガリ(K1)、及びタレサガリ(K2)に関し、最大値3.0Vから0Vまで徐々に電圧値を降下させ、マイクロ波を受信した場合に、所定期間だけ電圧を一定に維持するスイープストップを行うようにしていた。これに代えて、制御部11は、少なくとも一部のバンドについてスイープストップを行わずにマイクロ波を検出するとよい。このようにすると、例えば車両速度測定装置が取締波を短時間しか出力せず、仮にスイープストップしている間に電波がなくなるような場合でも、車両速度測定装置を検出しやすくすることができる。特に、マイクロ波を短時間だけ出射するKバンド対応の車両速度測定装置が知られている。仮に、スイープストップしている間に、Kバンド対応の車両速度測定装置のマイクロ波の出射が停止されると、当該所定のマイクロ波を検出できないことがある。そのため、制御部11は、スイープストップを行わずにKバンドのマイクロ波を受信したか否かを判定するとよい。制御部11は、Xバンドについては、すでに説明したようにスイープストップさせる方法を採用するとよい。
【0179】
(5-6-6.スイープパターンの変形例2)
第1の2次局部発振器551、第2の2次局部発振器552、及び第3の2次局部発振器553のそれぞれに与える制御信号のスイープパターンは、一定の傾きで、徐々に電圧を降下させることに限られない。すなわち、制御信号は、「タレサガリ」と称される制御信号でなくてもよい。スイープパターンは、例えば、スイープの途中で電圧が上昇したり、電圧の下降と上昇との両方を行ったりするものとしてもよい。また、スイープさせる電圧の変化率がスイープの途中で変更してもよい。また、第1の2次局部発振器551へ与えるタレサガリ(X)と、第2の2次局部発振器552へ与えるタレサガリ(K1)と、第3の2次局部発振器553へ与えるタレサガリ(K2)との少なくとも一部、又はすべてにおいて、電圧の変化の方向が異なっていてもよく、特に、K1バンドとK2バンドと電圧の変化の方向が異なっているとよい。制御部11は、電圧の変化の方向を異ならせる場合、例えば、タレサガリ(K1)の電圧を上昇させながらスイープし、タレサガリ(K2)の電圧を下降させながらスイープし、又はその逆パターンにするとよい。このようにすると、スイープ範囲で重複範囲を連続して行わないようにすることができる。
【0180】
(5-6-7.局部発振器の切替制御の第5の例)
図8は、局部発振器の切替制御の第5の例を示すタイミングチャートである。
図8において、横軸tは時間軸を表す。この例では、制御部11は、1次局部発振器52、第1の2次局部発振器551、第2の2次局部発振器552、及び第3の2次局部発振器553に対しクロック信号、及び制御信号を共通の信号として与えるように構成される。さらに、1次局部発振器52、第1の2次局部発振器551、第2の2次局部発振器552、及び第3の2次局部発振器553は、電源制御部22が有する電源制御回路による電源制御により、各2次局部発振器のON/OFFを個別に制御される構成とする。以下では、マイクロ波の検出処理を行う期間においては、制御部11は、1次局部発振器52については、電源がONの状態を継続させ、第1の2次局部発振器551、第2の2次局部発振器552、及び第3の2次局部発振器553については、順次、電源をON状態とさせる。
【0181】
制御部11は、1次局部発振器52用のクロック信号である1st.Lo.CLK(X/K)を、
図8に示すようにON/OFFを繰り返すパターンで出力し、1次局部発振器52に与える。1次局部発振器52については電源がONの状態が継続しているから、1次局部発振器52は、1st.Lo.CLK(X/K)がONのときは動作して所定の発振周波数の信号を出力し、OFFのときは信号を出力しない。
【0182】
また、制御部11は、この1st.Lo.CLK(X/K)の立ち上がりに基づき、2次局部発振器の電源制御用のクロック信号である2nd.Lo.CLK(X/K)のトリガを出力する。制御部11は、この2nd.Lo.CLK(X/K)のトリガを受けて、各2次局部発振器に与えるスイープのための共通の制御信号であるタレサガリ(X/K)を、所定パターンで出力する。この所定パターンは、例えば
図8に示すように、マイクロ波を受信しない状態では最大値(例えば3V)から0Vに向けて、一定の傾きで徐々に電圧降下させるパターンである。このタレサガリ(X/K)の制御信号に基づく電圧が、第1の2次局部発振器551、第2の2次局部発振器552、及び第3の2次局部発振器553に対して共通に与えられる。ただし、この時点では、第1の2次局部発振器551、第2の2次局部発振器552、及び第3の2次局部発振器553は電源がOFFの状態であるから、いずれも局部発振信号を発生させない(出力しない)。
【0183】
制御部11は、次に、例えば2nd.Lo.CLK(X/K)のトリガを受けて、第1の2次局部発振器551用のクロック信号であるVCO.CLK(X)、第2の2次局部発振器552用のクロック信号であるVCO.CLK(K1)、及び第3の2次局部発振器553用のクロック信号であるVCO.CLK(K2)の各クロック信号のいずれか1つを、所定時間だけ継続して、ONの状態にする。所定時間は、例えば、タレサガリ(X/K)の電圧が0Vになってから、所定の時間長の期間の経過後とするとよい。また、制御部11は、この所定の時間長の期間経過後、1st.Lo.CLK(X/K)をOFFにし、以降同様に、1st.Lo.CLK(X/K)のON/OFFを繰り返す。
【0184】
制御部11は、例えば、VCO.CLK(X)→VCO.CLK(K1)→VCO.CLK(K2)→VCO.CLK(X)…の順にONの状態にする。VCO.CLK(X)がONの期間中は、第1の2次局部発振器551の電源がONになり、局部発振信号を発生させ、これを出力する。VCO.CLK(K1)がONの期間中は、第2の2次局部発振器552の電源がONになり、局部発振信号を発生させ、これを出力する。VCO.CLK(K2)がONの期間中は、第3の2次局部発振器553の電源がONになり、局部発振信号を発生させ、これを出力する。
【0185】
このようにすると、第1の2次局部発振器551、第2の2次局部発振器552、及び第3の2次局部発振器553のうちの1つの電源がONの状態になり、そのONの状態になった2次局部発振器が動作して、与えられる電圧に応じた発振周波数の局部発振信号を発生させる。そのONの状態になった2次局部発振器に対応するバンドのマイクロ波の検出処理が実行される。
【0186】
このように、制御部11が全ての局部発振器に対して共通の制御信号を与え、2次局部発振器(VCO)に対する電源のON/OFF制御をし、いずれか1つに電力を供給して動作させることで、Xバンド、K1バンド、及びK2バンドのマイクロ波の検出処理をバンド毎に行う。すなわち、このような第1のレーダー受信部15Aは、制御信号は共通で、電源のON/OFFを制御することで動作させる局部発振器を選ぶように構成される。
【0187】
上述した例では、VCOのクロック信号のONする順番は、VCO.CLK(X)→VCO.CLK(K1)→VCO.CLK(K2)→VCO.CLK(X)であったが、これに限られない。VCOのクロック信号のONする順番を変えたり、一部のVCOのクロック信号をOFFのままにし、ONにしないことで、上述したようにして特定のバンドのマイクロ波の検出処理を重点的に行ったり、一部のバンドのマイクロ波の検出処理を行わないようにしたりする等、適宜他の構成例と組み合わされてもよい。
【0188】
<5-7.集積回路を用いた構成例>
第1のレーダー受信部15Aの一部または全部の要素が、単一の集積回路により構成されるようにするとよい。集積回路としては、特にASICとするとよく、受信回路の一部または全部をワンチップに組み込んだASICとするとよい。
【0189】
図9は、ASIC200の構成例を示す図である。ASIC200は、少なくとも、第1の2次局部発振器551、第2の2次局部発振器552、及び第3の2次局部発振器553が実装される。このようにすることで、基板サイズのコンパクト化を図ることができる。第1の2次局部発振器551、第2の2次局部発振器552、及び第3の2次局部発振器553は、VCOで構成されるとよい。VCOは、例えば高周波モジュールの素子の場合、比較的大きい寸法サイズを有する。これら3個のVCOをASIC化して1チップにすることで、例えば、従来構成のXバンド、及びKバンドのマイクロ波を検出していたシステムで用いられていた基板サイズと同じ大きさで実現できる。
【0190】
図9に示すように、ASIC200は、平面視において、XエリアT1とKエリアT2とに分けられている。XエリアT1は、主として、Xバンドのマイクロ波の検出用の回路部分が配置される領域である。KエリアT2は、主として、Kバンドのマイクロ波の検出用の回路部分が配置される領域である。この例では、ASIC200を平面視したときにXエリアT1とKエリアT2とが左右に分離されており、Xバンドのマイクロ波の検出用の回路部分と、Xバンドのマイクロ波の検出用の回路部分とが互いに領域を分けて配置される。
【0191】
XエリアT1には、例えば、Xバンド用のVCOである第1の2次局部発振器551が配置される。KエリアT2には、例えば、K1バンド用のVCOである第2の2次局部発振器552と、K2バンド用のVCOである第3の2次局部発振器553とが配置される。<5-4.局部発振器の発振周波数について>で説明したように、第1の2次局部発振器551は、スイープ範囲を900~1000[MHz]とし、その振り幅が100[MHz]となるように制御される。第2の2次局部発振器552は、スイープ範囲を1071~1204[MHz]とし、その振り幅が133[MHz]になるように制御される。第3の2次局部発振器553は、スイープ範囲を1168~1301[MHz]とし、その振り幅が133[MHz]になるように制御される。
【0192】
ASIC200は、
図9に示すように、「1」~「40」番までの番号が付された複数の端子を有する。複数の端子は、例えば、制御部11又は電源制御部22と電気的に接続される端子を含むとよい。制御部11は、ASIC200の所定の端子に信号を入力し、又はASIC200の所定の端子からの信号の入力を受け付ける。電源制御部22は、ASIC200の所定の端子に電源電圧を供給する。
【0193】
ASIC200の端子に入力される信号として、例えば、第1の2次局部発振器551、第2の2次局部発振器552、及び第3の2次局部発振器553のそれぞれに対するスイープ範囲の中心周波数の指示、制御信号、及びクロック信号がある。例えば、Xバンド用の第1の2次局部発振器551に接続される中心周波数の設定用の端子には、中心周波数として950[MHz]が指示され、制御信号(タレサガリ(X))の入力端子部に、0~3.0V(MAX)の電圧が入力されると、第1の2次局部発振器551は、入力された電圧に応じて900~1000[MHz]のいずれかの周波数の局部発振信号が出力される。K1バンド用の第2の2次局部発振器552に接続される中心周波数の設定用の端子には、中心周波数として1137.5[MHz]が指示され、制御信号(タレサガリ(K1))の入力端子部に、0~3.0V(MAX)の電圧が入力されると、第2の2次局部発振器552は、入力された電圧に応じて1071~1004[MHz]のいずれかの周波数の局部発振信号が出力される。K2バンド用の第3の2次局部発振器553に接続される中心周波数の設定用の端子には、中心周波数として1234.5[MHz]が指示され、制御信号(タレサガリ(K2))の入力端子部に、0~3.0V(MAX)の電圧が入力されると、第3の2次局部発振器553は、入力された電圧に応じて1168~1301[MHz]のいずれかの周波数の局部発振信号が出力される。
【0194】
図9に示す「LNA/MIX」と付した回路部211は、第1のレーダー受信部151Aのうち、第1ミキサ53、第1中間周波増幅器54、第2ミキサ56、及び第2中間周波増幅器57を含んで構成されるとよい。回路部211は、ASIC200の平面視において、第1の2次局部発振器551、第2の2次局部発振器552、及び第3の2次局部発振器553のそれぞれを構成するVCOと分離して配置され、これらとはある程度の距離を空けた左上隅部に配置されている。「LNA」は、Low Noise Amplifierの略語であり、すなわち低雑音増幅器である。LNAは、高周波の受信回路のフロントエンドに多く使用され、受信機の雑音特性を改善するものである。この例では、第1中間周波増幅器54、及び第2中間周波増幅器57のそれぞれがLNAで構成される。「MIX」は、ミキサの意味であり、第1中間周波増幅器54、及び第2ミキサ56に対応する。回路部211は、Xバンドのマイクロ波の検出用の回路部分と、Xバンドのマイクロ波の検出用の回路部分として共有される。回路部211は、
図9では、XエリアT1に配置されるが、KエリアT2に配置されてもよく、例えばASIC200の平面視において右上隅部に配置されてもよい。
【0195】
図9に示す「DECODER」と付した回路部212は、制御部11で取り扱い可能なデータ形式に変換する機能を有する。回路部212は、例えば、検波器58や、制御部11に取り扱い可能なデータ形式に変換するデコーダを含むとよい。回路部212は、Xバンドのマイクロ波の検出用の回路部分と、Xバンドのマイクロ波の検出用の回路部分として共有される。回路部212は、
図9では、XエリアT1に配置される。これに限られず、回路部212は、KエリアT2に配置されてもよく、例えばASIC200の平面視において右下隅部に配置されてもよい。
【0196】
このように、ASIC200は、Kバンドのマイクロ波を受信するための第1の回路部と、Xバンドのマイクロ波を受信するための第2の回路部とが一部の回路部分を共有し、かつ共有しない回路部分互いに領域を分けて配置されるとよい。このようにすると、一部の回路部分は共有して回路規模の縮小を図りつつ、Xバンド用の回路部分とKバンド用の回路部分の領域を分けることで、配置・配線を容易にしたASIC200を得ることができる。
【0197】
ところで、Xバンドのマイクロ波とKバンドにおける低域側のマイクロ波とを、VCOを1つだけ備えた共有の受信回路で検出する従来構成のシステムでは、2次局部発振器(VCO)のスイープ範囲を、例えば900~1050[MHz]とし、振り幅を150[MHz]とするものがある。これに対し、第1の2次局部発振器551、第2の2次局部発振器552、及び第3の2次局部発振器553の3つのVCOは、互いにスイープ範囲が異なるものの、いずれも振り幅は130[MHz]程度には収まるので、従来の振り幅が150[MHz]ベースに設計し、短期で品質保証されたものを製造可能とすることができる。さらに、Kバンドの利用可能帯域の全体が、K1バンドとK2バンドとに分けてスイープされることで、上述のように従前の振り幅と同等になり、各回の検出時間を等しくし分解能を同程度に確保できる。また、3つのVCOを適宜切り替えて動作させる場合に、集積回路、特にASIC200で組むことで、動作させるVCOの切り替えも簡単に行える。
【0198】
以上説明した第1実施形態の電子機器10によると、Kバンド対応をはじめとした車両速度測定装置の検出の精度を良くすることができる。ユーザは、車両速度測定装置の存在を知り、これを安全に配慮した運転をする動機づけとすることができる。このようにすることは、道路やその周辺のエリアにおいて、安心・安全に住み続けられるまちづくりを実現することにも貢献することができるものである。また、例えばKバンドの利用可能帯域における高域側等、従来構成では対応できなかった領域をあらかじめ受信帯域に含めることで、既知の車両速度測定装置だけでなく、未知の車両速度測定装置にも対応しやすくなり、新たな車両速度測定装置の登場に伴って都度製品を作り替えるような場合に比べて、廃棄品を減らす等、環境にも配慮した製品設計を実現することにも貢献することができる。
【0199】
[B.第2実施形態]
第2実施形態は、レーダー受信部15として、第2のレーダー受信部15Bが用いられる点で、上述した第1実施形態とは異なる。電子機器10の構成におけるその余の点は、特に断りのない限り、上述した第1実施形態と同じとするとよい。
【0200】
図10は、第2のレーダー受信部15Bの構成を示すブロック図を示している。第2のレーダー受信部15Bは、第1のレーダー受信部15Aと相違し、Kバンドの利用可能帯域の全体を一括してスイープ(サーチ)するようにしている。また、動作する局部発振器の切替制御は、K1バンド用をKバンド用(Kバンドの利用可能帯域の全体用)として用い、K2バンド用を用いない場合の動作に実質的に等しい。なお、その他の受信回路を構成する素子等は、第1のレーダー受信部15Aと同様であるため同一符号を付し、その説明を省略する。また、Xバンド用とKバンド用のクロック信号・制御信号を共通に与え、電源のON/OFF制御により動作する局部発振器を切り替える方式を採るとよい。
【0201】
第2のレーダー受信部15Bは、アンテナ51と、ダブルスーパーヘテロダイン方式の受信回路を備える。第2のレーダー受信部15Bの受信回路は、1段目に、固定周波数で発振する1次局部発振器52と、アンテナ51で受信した信号と1次局部発振器52から出力される信号を周波数混合する第1ミキサ53と、第1ミキサ53にて周波数混合されて生成される中間周波信号を増幅する第1中間周波増幅器54と、を備える。第2のレーダー受信部15Bの受信回路、2段目に、掃引発振する電圧制御型可変周波数発振器(VCO)からなる2次局部発振器と、第1中間周波増幅器54を通過した信号と、2次局部発振器から出力される信号を周波数混合する第2ミキサ56と、第2ミキサ56にて周波数混合されて生成される中間周波信号を増幅する第2中間周波増幅器57と、第2中間周波増幅器57を通過した信号に対して所定の検波処理を行う検波器58と、を備える。2次局部発振器としては、Xバンド用の第1の2次局部発振器551と、Kバンド用の第4の2次局部発振器554とを備える。
【0202】
第2のレーダー受信部15BのXバンド、及びKバンドの受信帯域は、第1のレーダー受信部15Aと同じであるとよい。1次局部発振器52、及び第1の2次局部発振器551の発振周波数も、第1のレーダー受信部15Aにおけるものと同じである。第4の2次局部発振器554の発振周波数は、第2の2次局部発振器552の下限値(1071[MHz])から第3の2次局部発振器553の上限値(1301[MHz])である。
【0203】
このようにすると、第4の2次局部発振器554の動作範囲は、第2の2次局部発振器552と第3の2次局部発振器553の動作範囲を合わせたものと同じになる。これにより、第2のレーダー受信部15Bは、1次局部発振器52と第4の2次局部発振器554とを動作させている状態では、Kバンドの利用可能帯域の周波数帯のマイクロ波を検出する。
【0204】
このように1つの第4の2次局部発振器554でKバンドの全体を検出すると、第4の2次局部発振器554の発振周波数のスイープ範囲の振り幅が大きくなる。この場合に、第4の2次局部発振器554のスイープ時間を、Xバンド用の第1の2次局部発振器551のスイープ時間と同じ又は近い時間にすると、分解能が低下する。そのため、制御部11は、第4の2次局部発振器554におけるスイープ速度を遅くするとよい。
【0205】
第2のレーダー受信部15Bは、第1のレーダー受信部15Aよりも、必要な2次局部発振器の数が少なくて済むので、例えばVCOの数が3個から2個に減じられるので、回路規模の縮小化をすることができる。このような第2のレーダー受信部15Bの受信回路を実際に形成する場合に、VCO等をASICにより形成してもよいが、本実施形態では素子で形成した。このように素子を用いて形成することで、受信回路を実装する基板は、大きくなる。
【0206】
このように基板が大きくなることにあわせ、
図11(A)に示すように、第2のレーダー受信部15Bの基板60Bの表面に形成するパッチアンテナの設置数を多くして、受信感度のアップを図ることができる。
図11(A)に示す例では、Xバンド用のパッチアンテナ51Aが2個、Kバンド用のパッチアンテナ51Bが8個形成されている。
図11(B)に示す例では、ASICを用いて形成した第1のレーダー受信部15Aを構成する基板60Aの表面を示しており、Xバンド用のパッチアンテナ51Aが2個、Kバンド用のパッチアンテナ51Bが4個形成されている。Kバンドのマイクロ波は、Xバンドのマイクロ波に比べて受信電界強度が小さいため、この例ではKバンド用のパッチアンテナ51Bの個数を多くし、Kバンドのマイクロ波受信の感度アップを図っている。なお、図示省略するが、これらの基板60A,60Bの裏面側には、各種の素子、ASICを実装するとともに、プリント基板の回路パターンが形成されるとよい。
【0207】
通常、3つのVCOが同一基板上に実装されると、基板サイズが大きくなってしまう。そこで、本実施形態のように、基板上に1次局部発振器を複数設けて2次局部発振器を1つとすること、あるいは、上述した第1実施形態のように複数の2次局部発振器をASIC化して1チップにすることに大きな意味がある。
【0208】
[C.第3実施形態]
第3実施形態は、レーダー受信部15として、第3のレーダー受信部15Cが用いられる点で、上述した第1実施形態や第2実施形態とは異なる。電子機器10の構成におけるその余の点は、特に断りのない限り、上述した第1実施形態や第2実施形態と同じとするとよい。
【0209】
<C-1.第3のレーダー受信部15Cの構成>
図12は、第3のレーダー受信部15Cの構成を示すブロック図を示している。第3のレーダー受信部15Cは、第2のレーダー受信部15Bと同様にして、Kバンドに対しては利用可能帯域の全範囲をスイープして検出する。ただし、第3のレーダー受信部15Cは、1次側に、Xバンド用の第1の1次局部発振器521と、Kバンド用の第2の1次局部発振器522とを有する。すなわち、制御部11は、Xバンドのマイクロ波の検出処理においては、第1の1次局部発振器521を動作させて、所定の発振周波数の局部発振信号を出力させる。制御部11は、Kバンドのマイクロ波の検出処理においては、第2の1次局部発振器522を動作させて、所定の発振周波数の局部発振信号を出力させる。
【0210】
第3のレーダー受信部15Cは、2次側に、XバンドとKバンドとで共通に使用される2次局部発振器55を有する。2次局部発振器55は、掃引発振する電圧制御型可変周波数発振器(VCO)で構成される。なお、その他の受信回路を構成する素子等は、第1のレーダー受信部15A、第2のレーダー受信部15Bと同様であるため同一符号を付し、その説明を省略する。また、動作する局部発振器の切替制御も、第2のレーダー受信部15B等と同様に、動作させる局部発振器に対してクロック信号や、VCOに制御電圧を与えるための制御信号を出力する方式や、Xバンド用とKバンド用のクロック信号・制御信号を共通に与え、電源のON/OFF制御により動作する局部発振器を切り替える方式を採るとよい。
【0211】
<C-2.局部発振器の発振周波数について>
第3のレーダー受信部15Cの各局部発振器の発振周波数も、第3のレーダー受信部15Cが所定の電波発生源からの電波を受信してそれによる影響を受けないように、特に、上述した衝突防止システムからのミリ波の周波数、及びVICS用受信機からの電波の周波数を避けるように、設定してある。発明者は、そのような局部発振器の発振周波数として、例えば、以下のようにすればよいことを発見した。この場合も、
図15に示す他の無線局に割り当られた電波や、
図14に示す各種の用途(ただし、
図14の[3]を除く。
)の受信による影響を抑えることができる。
【0212】
第1の1次局部発振器521:11.646[GHz]
第2の1次局部発振器522:11.482[GHz]
2次局部発振器55:1071~1301[MHz](振り幅230[MHz])
【0213】
ここでは、Kバンド用の受信回路を構成する第2の1次局部発振器522と2次局部発振器55とは、第2のレーダー受信部15Bと同じ周波数に設定され、かつその2次局部発振器55のスイープ範囲に基づき第1の1次局部発振器521の発振周波数が設定されている。これに限ることはなく、条件を具備する周波数に設定されるとよい。また、第2のレーダー受信部15Bにおける1次局部発振器52の周波数をそのまま用いたため、Kバンド用の第2の1次局部発振器522は、11.482[GHz]の2倍の高調波(2次高調波)を利用しているが、22.964[GHz]を原発として発振させたものが用いられてもよい。このようにすると、Kバンドのマイクロ波の受信感度がさらに向上することが期待できる。
【0214】
ここでは、Kバンドのスイープ範囲を決め、それに併せて、Xバンド用の第1の1次局部発振器521の周波数を11.646[GHz]としてある。このようにすると、Xバンドの利用可能帯域の全範囲をスイープすることができる。実際には、1071~1301[MHz]をスイープ範囲とし、低域側がXバンドの検出に寄与し、高域側はXバンドと関係ないが、Kバンドも検出できない周波数となる。そこで、Xバンドのマイクロ波の検出処理中は、2次局部発振器55は、1071~1301[MHz]の全範囲をスイープ、高域側で検波しても、制御部11はこれを無視して報知を発しないようにしてもよい。制御部11は、Xバンドに対応する低域側のスイープを行ったら、マイクロ波の検出処理を終了してもよいが、全範囲をスイープし、高域側で検波しても報知をしないようすると、制御が簡易である。
【0215】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の2次局部発振器及びその制御を採用され、第1の2次局部発振器551、第2の2次局部発振器552、及び第3の2次局部発振器553とが用いられてもよい。この場合の各局部発振器の発振周波数として、例えば以下のようにするとよいことを発明者は発見した。
【0216】
(設定例1)
第1の1次局部発振器521:11.640[GHz]
第2の1次局部発振器522:23.086[GHz]
第1の2次局部発振器551:1065~1165[MHz](振り幅100[MHz])
第2の2次局部発振器552: 950~1080[MHz](振り幅130[MHz])
第3の2次局部発振器553:1050~1180[MHz](振り幅130[MHz])
【0217】
(設定例2)
第1の1次局部発振器521:11.640[GHz]
第2の1次局部発振器522:11.482[GHz]
第1の2次局部発振器551:1065~1165[MHz](振り幅100[MHz])
第2の2次局部発振器552:1071~1204[MHz](振り幅133[MHz])
第3の2次局部発振器553:1168~1301[MHz](振り幅133[MHz])
【0218】
(設定例3)
第1の1次局部発振器521:11.482[GHz]
第2の1次局部発振器522:11.482[GHz]
第1の2次局部発振器551: 900~1000[MHz](振り幅100[MHz])
第2の2次局部発振器552:1071~1204[MHz](振り幅133[MHz])
第3の2次局部発振器553:1168~1301[MHz](振り幅133[MHz])
【0219】
以上のことから、レーダー受信部15が有する2次局部発振器については、1300[MHz]近傍を発振周波数の上限とすると、衝突防止システムからのミリ波レーダを原因とする誤報の発生を抑える上で望ましい。その一方で、例えば新型の速度測定装置のようなKバンドの利用可能帯域における高域側のマイクロ波を受信するために、少なくとも1つの2次局部発振器が、Kバンド(例えば、K2バンド)のマイクロ波を受信しようとする期間に、少なくとも1180[MHz]を超える発振周波数の発振信号を発生させるとよい。
【0220】
<C-3.基板の構成例>
図13(A)は、第1のレーダー受信部15Aが実装された基板60Aの模式図を示している。
図13(A)には、基板60Aの一方の面を平面視した場合の素子の配置のレイアウトが模式的に示してある。例えば、
図13(A)において、基板60Aにおいて左上側に位置する「DRO」とした領域には、1次局部発振器52等が実装されている。「DRO」は、Dielectric Resonator Oscillatorの略語であり、すなわち、誘電共振発振器である。これは、1次局部発振器52として、DROが用いられることを意味する。基板60Aの平面視において、基板60Aにおける左下側の領域に位置する。「MIX」と付した領域には、第1ミキサ53が実装される。基板60Aの平面視において、基板60Aにおいて右側に位置する「IF~DET」と付した領域であって、基板60上の領域を左右に分割してその半分以上の割合を占める領域には、第1中間周波増幅器54以降の回路部分が実装される。
【0221】
第1の2次局部発振器551、第2の2次局部発振器552、及び第3の2次局部発振器553のそれぞれを構成する3つのVCO等を1チップ化したASICが形成される場合も、第1中間周波増幅器54以降の回路部分が実装この領域に実装されるとよい。この場合の基板サイズは、例えば35×25mm程度である。
【0222】
図13(B)には、第3のレーダー受信部15Cが実装された基板60Cの一方の面を平面視した場合の素子の配置のレイアウトが模式的に示してある。例えば、
図13(B)において、基板60Cにおいて左上側に位置する「X_DRO」と付した領域には、第1の1次局部発振器521等が実装されている。基板60Cにおいて左下側に位置する「K_DRO」と付した領域には、第2の1次局部発振器522等が実装されている。「K_DRO」と付した領域と、「K_DRO」と付した領域との間には、「MIX」と付された領域が確保されている。この領域には、第1ミキサ53が実装されている。
【0223】
基板60Cにおいて右側に位置する「IF~DET」と付した領域には、第1中間周波増幅器54以降の回路部分が実装される。2次局部発振器55も、この「IF~DET」と付した領域に実装される。2次局部発振器55は、ASICではなく高周波モジュールの素子が用いられるが、その数は1個であるため、「IF~DET」と付した領域はさほど大きくはならない。しかし、第3のレーダー受信部15Cは、1次局部発振器を2個有する構成であることから、基板60Cの全体の基板サイズは、例えば50×25mm程度と大きくなる。そこで、図示は省略するが、基板60Bと同様に、基板サイズの大型化に伴い、例えばKバンド用のパッチアンテナ51Bの個数を多くすることで、Kバンドのマイクロ波の受信感度を改善することができる。
【0224】
[D.第4実施形態]
本実施形態では、レーダー受信部15は、環境温度の変化に伴う局部発振器の発振周波数のドリフト対策のための構成として、以下で説明する構成とするとよい。本実施形態の構成は、他の実施形態と適宜組み合わされてよい。
【0225】
上述した1次局部発振器、及び2次局部発振器に例示される局部発振器が、環境温度により、発振周波数が変わってしまうことがある。特に、1次局部発振器として固定周波数で発振する誘電共振発振器(DRO)が用いられる場合に、熱の影響を最も受ける。例えば温度が高いときに10[MHz]程度低域側へシフトし、温度が低いときに10[MHz]くらい高い方へシフトすることがある。このようにして、1次局部発振器、及び2次局部発振器で同じ方向に周波数がドリフトすると、トータルで発振周波数のシフトの影響が生じる。その結果、あらかじめ想定したXバンドやKバンドの帯域外の目的外の電波を受信してしまい、その結果、誤報が発生してしまうおそれがある。また、それとは逆に、本来検出すべき目的のマイクロ波が飛来していても、これを検出できないおそれもある。このため、従来は、境界周波数領域では、報知対象の周波数と非報知の周波数との識別があいまいで、「誤警報止む無し」状態となることがあった。
【0226】
このような課題を解決するため、レーダー受信部15は、環境温度変化があっても発振周波数がドリフトすることを抑制するための温度補償機能を備えるとよい。温度補償機能としては、例えば、制御部11が周波数位相同期(PLL:phase locked loop)により制御する機能が採用されるとよい。PLLの基準周波数は、例えば温度補償型水晶発振器が用いられているため、環境温度の変化があっても、精度良く、発振周波数を補正することができる。また、制御部11は、PLLの基準周波数を、位置情報取得部17が取得するGNSS信号(例えば、GPS信号)に基づいて取得するとよい。このようにすると、PLLの基準周波数の精度をより高精度にすることができる。
【0227】
また、レーダー受信部15は、上述したPLLを用いた温度補償に代えて、或いはそれに加えて、サーミスタで温度補償する構成を備えてもよい。あるいは、制御部11は、1次局部発振器と2次局部発振器とで、温度変化に応じて、周波数の移動方向を互いに逆にする制御を行ってもよい。
【0228】
このようにすると、例えば環境温度変化による影響も抑えつつ、レーダー受信部15がマイクロ波を受信することができる。
【0229】
[E.第5実施形態]
ここまで、レーダー受信部15が、ヘテロダイン方式の受信回路によりハードウェア要素を中心に実現される場合を説明したが、ハードウェア要素で実現されていた機能の一部又は全部がソフトウェア処理によって実現されるようにすると、レーダー受信部のハードウェア構成を簡単にすることができる。例えば、以下のようにするとよい。
【0230】
電子機器10は、受信した所定のマイクロ波を受信信号における所定の周波数領域、例えば、Xバンド、及びKバンドのそれぞれの利用可能帯域(例えば全域)の信号をキャプチャーする処理部を有するとよい。当該処理部について説明すると、電子機器10は、例えば、受信された所定のマイクロ波の受信信号の周波数を、局部発振器の発振周波数に基づいて変換する機能を有する。これについては、上述したヘテロダイン方式の受信回路と同様、局部発振器とミキサとを用いて中間周波数を得る仕組みとするとよい。電子機器10は、この変換後の信号を、周波数解析するとよい。広い範囲の周波数全域の信号をキャプチャーするのは、例えばソフトウエアラジオの技術を利用するとよい。制御部11は、例えば、周波数解析として、Kバンドの利用可能帯域(例えば免許範囲。例えば、200[MHz]の範囲)を、例えばFFT(高速フーリエ変換)により積分する処理を行うとよい。電子機器10は、キャプチャーする処理部によりキャプチャーした信号に応じて報知する制御を行うとよい。あるいは、制御部11は、例えば、周波数解析した結果に基づいて、周波数領域におけるパワーの分布(例えば、パワースペクトル)に応じて報知する制御を行うとよい。制御部11は、周波数毎のパワーを検出して、車両速度測定装置を検出してもよい。報知する制御としては、上述した制御と同様とするとよい。
【0231】
上述した各種の実施形態では、VCOを用いて局部発振器の周波数をスイープし、例えば10[MHz]程度の信号が発生し、特徴的な検出波形が出ると報知するものであった。本実施形態の電子機器10は、例えば利用周波数帯域の全周波数範囲をキャプチャーするため、スイープする必要がなく、例えば局部発振器を1次側のみの実装としてもマイクロ波の検出をすることができる。また、制御部11は、所望の周波数の信号の有無に基づいて報知するよう構成することもできるので、マイクロ波の上述の特徴的な波形が検出できない場合や、マイクロ波が短時間出力される場合でも、より確実に報知することができる。また、電子機器10は、今現在発生している電波の周波数成分を参照するので、例えば瞬時の検出が可能となり、また、スイープしないので、検出対象の周波数になるまで待つ必要が無く、常時の監視が可能となる。
【0232】
[F.変形例]
本発明は上記の実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。以下は、本発明の変形例の一例である。
【0233】
(1)上述した第1~第4実施形態に関し、レーダー受信部15は、少なくとも1つの1次局部発振器と、少なくとも1つの2次局部発振器と、を有する構成のもと、各段の局部発振器の数が適宜変更されてもよい。例えば、上述した第1実施形態において、第1のレーダー受信部15Aは、Kバンド用の2次局部発振器として、第2の2次局部発振器552、及び第3の2次局部発振器553を有していたが、3つ以上の2次局部発振器を有する構成としてもよい。2次局部発振器の数が増加するほど、各2次局部発振器が担当すべきスイープ範囲の幅(振り幅)を小さくすることができる。このように、3つ以上の2次局部発振器を有する場合も、各2次局部発振器においては、担当するスイープする範囲のバンドの高域側、及び低域側の少なくとも一方が、他の2次局部発振器が担当するスイープする範囲のバンドの一部と重複していてもよい。また、隣接するバンド同士の周波数軸上での重複領域は必須ではなく、隣接箇所の一部又は全部においてこのような重複領域がなくてもよい。また、レーダー受信部15は、少なくとも1つの局部発振器を有するとよい。ただし、イメージ応答等の問題を解決するため、多段(例えば2段)の構成とするとのもよい
【0234】
(2)レーダー受信部15は、少なくともKバンドの利用可能帯域における高域側のマイクロ波を受信する構成を有していればよく、例えば、低域側のマイクロ波を受信する構成を有しなくてもよい。例えば、レーダー受信部15は、K2バンドのマイクロ波を受信し、K1バンドのマイクロ波を受信しない構成であってもよい。この場合でも、新型の車両速度測定装置がKバンドの利用可能帯域における高域側のみを使用する場合は、レーダー受信部15はこれを検出できるからである。また、レーダー受信部15は、Xバンドのマイクロ波を受信する機能を有しなくてもよく、このようにすると、上記外部の電波発生源からの影響を避けるための発振周波数の設定の自由度をより向上させることができる。
【0235】
(3)上記実施形態で説明した数値の条件は、それによる作用効果を奏するための数値であり、同様の作用効果を奏する範囲で変更する余地があるものである。例えば、数値範囲を定める「〇〇~」という記載は、典型的には〇〇以上であることを意味するが、下限値を規定する「〇〇」は、「〇〇」である場合と同様の作用効果を奏するのであれば、「略〇〇」であったり「〇〇近傍」の意味で把握されてもよい。上記実施形態において数値範囲を定める「~△△」という記載は、典型的には△△以下であるあることを意味するが、上限値を規定する「△△」は、「△△」である場合と同様の作用効果を奏するのであれば、「略△△」であったり「△△近傍」の意味で把握されてもよい。
【0236】
(4)上述した各実施形態では、レーダーを用いた取締波と、レーザーを用いた取締波のいずれも検出可能なレーダー/レーザー探知機を例にし、レーダーを用いた取締波の検出機能について説明したが、レーザーを用いた取締波の検出機能は必ずしも備えていなくてもよい。
【0237】
(5)上述した各実施形態で説明した電子機器10が有する構成の一部を有しないようにしてもよい。例えば、電子機器10は、上述した課題の少なくともいずれかが改善する限りにおいて、ここまでに説明した構成、例えばハードウェア要素又はソフトウェア要素の一部の構成が省略されてもよい。
【0238】
(6)上述した第1~第4実施形態に関し、電子機器10は、Xバンド、K1バンド、及びK2バンドの3種類のバンドに対するマイクロ波の検出処理の全てを行うモードA(上述した第1のモードの一例。)と、K1バンドとK2バンドとの少なくとも一方のバンドのマイクロ波の検出処理を行わずに、それ以外のバンドのマイクロ波の検出処理を行うモードBとにより、レーダー受信部15を動作可能にするよう、構成されるとよい。後者のモードBは、さらに、以下のモードB-1、モードB-2、及びモードB-3に細分化されるとよい。すなわち、電子機器10が有するモードは、以下のとおりである。
【0239】
モードA:X-ON、K1-ON、K2-ON
モードB-1:X-ON、K1-OFF、K2-OFF
モードB-2:X-ON、K1-ON、K2-OFF
モードB-3:X-ON、K1-OFF、K2-ON
【0240】
モードAは、Xバンド、K1バンド、及びK2バンドに対するマイクロ波の検出処理を行うモードである。モードAは、電子機器10が有する機能であってON/OFF設定が可能な機能の全てをON設定とする、いわゆるオールオンモードとしてユーザが利用できるモードとしてもよい。モードB-1は、Xバンドに対するマイクロ波の検出処理を行い、K1バンド及びK2バンドのマイクロ波の検出処理を行わないモードである。モードB-1は、第3のモードの一例である。モードB-2は、Xバンド及びK1バンドに対するマイクロ波の検出処理を行い、K2バンドに対するマイクロ波の検出処理を行わないモードである(上述した第2のモードの一例)。モードB-3は、Xバンド及びK2バンドに対するマイクロ波の検出処理を行い、K1バンドに対するマイクロ波の検出処理を行わないモード(上述した第2のモードの一例。)である。
【0241】
制御部11は、モードA、モードB-1、B-2、及びモードB-3のうちのいずれか1つのモードを選択し、選択したモードに従い、レーダー受信部15を動作させるとよい具体的には、制御部11は、選択したモードに従い、局部発振器(VCO)のON/OFFを含む制御を行うとよい。制御部11は、モードA、モードB-1、B-2、及びモードB-3のいずれのモードにおいても、Xバンドのマイクロ波の検出処理を行うように、レーダー受信部15を動作させる。このように電子機器10では、Xバンドのマイクロ波の検出処理に対しては常時ONとし、どのモードを選択しても、Xバンド対応の車両速度測定装置を検知の対象とする。換言すれば、電子機器10が有するモードとしては、Xバンドを検知の対象とする複数種のモードのみが用意され、Xバンドを検知の対象としないモードが用意されていないようにする。その理由は、全国的にXバンド対応の車両速度測定装置が多く配備・使用されているという、出願時の実情を考慮したためである。このようにすると、電子機器10は、電子機器10の使用場所によらず、その使用場所で使用されている可能性の高いXバンド対応の車両速度測定装置の検出漏れを抑えつつ、効率よく車両速度測定装置を検出することができる。
【0242】
電子機器10は、いずれかのモードで動作するかについては、ユーザの手動に応じて切り替える構成とするとよい。ユーザの手動で切り替え可能にする構成については特に問わないが、例えば、制御部11が、モードA、モードB-1、B-2、及びモードB-3の選択肢(例えば、ソフトボタン)を表示部13に表示させる。制御部11は、入力部19(例えば、タッチセンサ191)により受け付けたユーザの操作に応じたモードを選択する。あるいは、制御部11は、K1バンド、及びK2バンドの各バンドに対応する選択肢(例えば、ソフトボタン)を表示部13に表示させる。制御部11は、入力部19(例えば、タッチセンサ191)により受け付けたユーザの操作に応じて、検出対象とするものとして指示されたバンドに対応するモードを選択してもよい。このときに制御部11は、Xバンドについては、常時検出対象とする(すなわち、常時ONとする)旨も表示部13に表示させ、XバンドについてはOFFできないことが視覚的に判るような表示をしてもよい。制御部11は、選択したモードの設定を特定するデータを、記憶部25又は記憶媒体50に記憶させることで、モードの設定を行う。制御部11は、この記憶させたデータにより特定されるモードに従い、マイクロ波の検出処理を行うように、レーダー受信部15を制御するとよい。
【0243】
また、出願時における現況では、K1バンド対応の車両速度測定装置、及びK2バンド対応の車両速度測定装置が配備されている地域は殆んどない。言い換えると、電子機器10がK1バンドやK2バンドを常にONすべき地域は殆ど無い。そのため、電子機器10が、モードB-1、B-2、及びモードB-3のいずれかを選択する構成を有することにより、K1バンド及びK2バンドの双方を常時ONとする場合に比べて、レーダー受信部15のVCO(局部発振器)のON/OFF切り替えによるロスタイムが減少し、その減少する分だけ、ONとしているバンド(帯域)の受信反応速度が向上するメリットもある。
【0244】
(7)(5-6-4.局部発振器の切替制御の第4の例)では、「第1のレーダー受信部15Aは、X、K1、及びK2の3種類のバンドに対するマイクロ波の検出処理の全てを行うモードと、少なくともいずれかのバンドのマイクロ波の検出処理を行わずに、それ以外のバンドのマイクロ波の検出処理を行うモードとにより動作可能に構成されるとよい。」と記載し、モードの切り替えの一例として、例えば位置情報に基づいて行うことを記載した。
【0245】
この構成のもと、電子機器10は、位置情報に関係なく、Xバンド、K1バンド、及びK2バンドの3種類のバンドに対するマイクロ波の検出処理の全てを行うモードを備えるとよい。3種類のバンドに対するマイクロ波の検出処理の全てを行うモードは、上述したモードAのことである。本実施形態のモードAは、ユーザにより選択された場合に発動するモードで、位置情報に基づくバンドの選択よりも優先して発動するモードとするとよい。これにより、電子機器10は、ユーザの入力に応じて、強制的にモードAに設定し動作するようになる。制御部11は、例えば、表示部13のモードAを発動させるためのソフトボタンを表示させる。制御部11は、入力部19(例えば、タッチセンサ191)を介してこのソフトボタンに対する操作の入力を受け付けるとモードAを発動させ、モードAに従い、レーダー受信部15を動作させるとよい。このようにすると、電子機器10は、位置情報に関係なく3種類のバンドが常時ONの動作モードで動作し、適宜の順番で各バンドに対するマイクロ波の検出処理を行うことができる。このようにすると、電子機器10は、広範なバンドにわたって車両速度測定装置の検出を行うことができ、より確実に、Xバンド、及びKバンド対応のマイクロ波を発する車両速度測定装置を検出することができる。例えば所定のバンド(例えば、K1バンド、K2バンド)に対応する車両速度測定装置が無い地域で、これが新規導入された場合を想定する。この場合、電子機器10が、位置情報に基づいて、車両が走行する地域で使用されている又は使用されている可能性の高いバンドを検出対象としようとしても、その地域での検出対象のバンドを適切に設定することが難しい。その理由は、新規導入された車両速度測定装置やそれが使用するバンドの情報がまだないとか、電子機器10の販売事業者等が調査中である場合があるからである。このように、新たな車両速度測定装置が新規導入されてから、その車両速度測定装置が導入された地域の情報が、電子機器10に登録反映されるまでには、ある程度の時間を要する。その結果、電子機器10において、新規導入された車両速度測定装置からのマイクロ波を検出することができず、警報を発することができないシチュエーションを生じるおそれがある。上記のようなシチュエーションが不安と感じ、誤報が多くても安心感を求めるユーザにとって、3つのバンドを常時ONにする構成は、好ましい構成となる。
【0246】
また、(7)においても、(6)と同様、電子機器10が、モードB-1、B-2、及びモードB-3のいずれかを選択する構成を有することにより、K1バンド及びK2バンドの双方を常時ONとする場合に比べて、レーダー受信部15のVCO(局部発振器)のON/OFF切り替えによるロスタイムが減少し、その減少する分だけ、ONとしているバンド(帯域)の受信反応速度が向上するメリットもある。
【0247】
また、以下のような作用効果もある。上述した各実施形態では、制御部11は、記憶部25に記憶された目標物の位置情報と、位置情報取得部17が取得した位置情報とに基づいて、警報を発する位置警報機能(一般的には、GPS警報と呼ばれる。)を有している。そして、上記の新規導入される車両速度測定装置に関する位置情報等は、例えば、目標物の情報等を管理するサーバ等に順次登録される。電子機器10においても、例えば、制御部11が上記のサーバから目標物の位置情報等のデータをダウンロードして記憶部25に記憶される目標物の位置情報等を更新する。この更新後、制御部11は、新規導入される車両速度測定装置に接近した際に、上記の記憶した位置情報に基づく位置警報機能による警報を行う。しかし、新たな車両速度測定装置が新規導入されてから、その情報が実際に電子機器10に登録反映されるまでに時間を要する。よって、目標物の情報を更新したからといって、新規導入された車両速度測定装置の情報も現況に合った最新の情報に更新されるとは限らない。そのため、新規導入されてから電子機器10で位置警報機能のためのGPSデータの登録が反映されるまでの期間に警報しないと不安といったユーザが存在するおそれがある。このように目標物の情報を更新する機能を有する電子機器10においても、3つのバンドに対するマイクロ波の検出処理の常時ONのモードがあると、そのようなユーザに対し、安心感を与えることができる。
【0248】
(8)<5-3.第1のレーダー受信部15Aの構成>では、K1バンドのスイープ範囲とK2バンドのスイープ範囲の一部が重なり合い、K1バンドとK2バンドは周波数軸上で連続性が確保されるように構成することを説明した。このスイープ範囲は、例えば環境温度の変化に伴い局部発振器の発振周波数がドリフトすると、それに伴い変化する。環境温度の変化に伴うスイープ範囲の変化は、局部発振器の発振周波数のドリフト以外にも回路を構成する素子の動作特性の変化など各種のものがある。
【0249】
上述した実施形態で説明した重なり合うレベルとして、電子機器10は、電子機器10が設置される車内における温度環境下で取りうる温度範囲、例えば-40度から120度までなどのあらかじめ想定される所定の温度範囲において、すべての温度条件で重なるようにその重なりの範囲を設定するとよい。これにより、電子機器10の使用が想定される様々な温度環境下において、Kバンドでの周波数軸上でスイープ範囲の連続性が確保される。
【0250】
(9)上述した第1~第4実施形態に関し、電子機器10は、K1バンドとK2バンドのスイープ範囲の重なる範囲の周波数を発振する高精度な発振器(GPSDO(GPS Disciplined Oscillator)等)を有し、高精度な発振器とVCO(局部発振器)の出力をミキシングして、カウントする等により、複数のVCOの各々の発振周波数のずれを求める機能を備えるとよい。このようにすると、レーダー受信部15を構成するVCOの発振周波数のずれを知ることができる。例えば、電子機器10は、現在動作中のスイープ範囲が適切か否かの判断をする機能を備えるようにしてもよい。
【0251】
また、電子機器10は、求めたVCOの発振周波数のずれに基づき、所定のVCOのスイープ範囲を調整する機能を備えるとよい。このようにすることで、設定した適切なスイープ範囲でマイクロ波の検出処理を行うことができる。調整対象の所定のVCOは、例えば、設定当初のスイープ範囲からずれた全てとしてもよい。また、調整対象の所定のVCOは、検出処理が正しくできる一定の範囲内を超えたものを対象としてもよい。
【0252】
高精度な発振器に換えて、GPS出力クロックを用いたPLLを用いてもよい。電子機器10は、PLLの出力と通常のVCOのローカルをミキシングして、VCOのローカルの発振周波数のずれを測定し、その測定結果を用いてVCOのスイープ範囲を調整する機能を備える構成としてもよい。
【0253】
(10)(5-6-4.局部発振器の切替制御の第4の例)では、制御部11は、位置情報取得部17が取得した現在位置の位置情報に応じてマイクロ波を受信するバンドを切り替える機能を備えるとした。電子機器10は、位置情報に応じたバンドの切り替えは地域単位で行い、各地域(例えば都道府県単位)で配備されている車両速度測定装置が使用する取締波の内容を特定する情報をファイル(以下、「設定情報ファイル」と称する)として、例えば記憶部25に記憶する。そして制御部11は、その設定情報ファイルに記憶された情報に従って受信するバンドを決定し、必要に応じてモードの切り替えを行うとよい。
【0254】
設定情報ファイルに記憶する情報は、少なくとも各地域で使用されるバンドの種類、すなわち、Xバンド、K1バンド、K2バンドについてそれぞれ使用されているか否かを特定する情報を有するとよい。さらにその記憶する情報は、各バンドのマイクロ波が変調波か否か、変調波の場合の変調の種類等も関連付けた情報とするとよい。制御部11は、係る関連付けられた情報に基づいて、所定のバンドのマイクロ波を受信した場合に、そのマイクロ波が車両速度測定装置から出射された取締波か否かの判定をしたり、報知の制御を変えたりするとよい。
【0255】
例えば、電子機器10は、車両速度測定装置が使用するK1バンドやK2バンドのマイクロ波が変調波の場合に、設定情報ファイルにその変調波の情報を記憶する。制御部11は、K1バンドやK2バンドの変調されたマイクロ波を受信した場合には、レーダー警報機能による報知を行う制御をし、K1バンドやK2バンドであっても無変調のマイクロ波を受信した場合には、レーダー警報機能による報知は行わない制御をするとよい。制御部11は、係るレーダー警報機能による報知を行わない場合に、報知をしないようにしてもよいが、無変調のマイクロ波を受信したことを報知する制御を行うとよい。また制御部11は、受信したマイクロ波の変調方式を検出し、速度測定装置で採用される変調の方式の場合に報知する制御を行うとよい。
【0256】
このようにすると、電子機器10は、K1ハンド或いはK2バンドの無変調のマイクロ波を受信した際に、誤警報をすることを防止できる。また、(1-2-1.ミリ波を用いた車両衝突防止システム)で説明したように、車両衝突防止システムで使用される電波は一般にはミリ波であるが、特定の自動車メーカーの車両に搭載される車両衝突防止システムでは、K1バンド或いはK2バンドの無変調のマイクロ波が使用されるものがある。このような車両衝突防止システムを採用する別の車両から飛来するマイクロ波を受信した場合でも、制御部11が変調の有無を判断することで誤警報の発生が抑止される。
【0257】
車両速度測定装置の配備情報は、時間の経過に伴い変わる。例えば、ある地域において当初はXバンドのみの配置であったところ、K1バンド或いはK2バンドの車両速度測定装置を追加設置する場合がある。また、当初はXバンドとK1バンドの車両速度測定装置を配置していたところ、K1バンドの車両速度測定装置をK2バンドの車両速度測定装置に切り換え、K1バンドの車両速度測定装置の配置が無くなることがある。そこで、電子機器10は、適宜のタイミングで設定情報ファイルの記憶内容を更新するとよい。この更新処理は、例えば、サーバに設定情報ファイルを記憶しておき、電子機器10の制御部11は、サーバにアクセスして設定情報ファイルをダウンロードし、記憶部25に記憶していた設定情報ファイルを、ダウンロードしたファイルに書き換える処理を行うとよい。
【0258】
また制御部11は、GPS警報機能を実行するため、POI(Point of interest)と呼ばれる目標物に関する情報を適宜のタイミングで更新することがある。制御部11は、この更新のタイミングに合わせて、設定情報ファイルの更新を行うとよい。係る更新は上記のように設定情報ファイル自体をダウンロードするものに限らない。例えば、制御部11は、POIの情報をダウンロードして更新する際に、設定情報ファイルに使用登録されていないバンドを利用した車両速度測定装置が採用された地域の存在を検出したとする。この場合に制御部11は、設定情報ファイルにそのバンドの使用を追加更新する処理を行うようにしてもよい。例えば、従来長野県ではXバンドのみの使用であった場合に長野県警でKバンドを利用するMSSS(センシス社の移動式オービスの略称)が新たに導入され、K1とK2のいずれが使用されているかが不明な場合、制御部11は、K1バンドとK2バンドがともにONの内容に設定情報ファイルを更新する。また、上記の場合に、K1バンドとK2バンドのいずれかが使用されているかが特定されている場合、制御部11は、特定されているバンドのみをONにする更新処理をするとよい。また、本実施形態では、報知制御を行うための情報、例えば使用されるバンドや変調の有無等を設定情報ファイルに記憶したが、設定情報ファイルを備えていなくてもよい。例えば記憶部25にそれらの情報を記憶し、制御部11は、その情報に基づいて動作するとよい。これは以下に示す各実施形態においても同様である。
【0259】
(11)(5-6-4.局部発振器の切替制御の第4の例)の具体例の説明で、「K2バンドの車両速度測定装置が使用されていない場合、XバンドとK1バンドに対するマイクロ波の検出処理を行い、K2バンドに対するマイクロ波の検出処理を行わないようにするとよい。例えば、車両40が北海道を走行中である場合、制御部11は、K2バンドに対するマイクロ波の検出処理を行わないモードとするとよい。」と記載し、K2バンドの車両速度測定装置が使用されていない地域の例として「北海道」を例示したが、例えば、北海道で、K1バンドの車両速度測定装置が使用されていない場合、XバンドとK2バンドに対するマイクロ波の検出処理を行い、K1バンドに対するマイクロ波の検出処理を行わないようにするとよい。また、北海道で、XバンドとK1バンドとK2バンドの全ての車両速度測定装置が使用されている場合には、3つのバンドに対するマイクロ波の検出処理を行うとよい。
【0260】
[G.別の実施形態]
従来の車両速度測定装置は、レーダーを用いた取締波と、レーザーを用いた取締波のいずれかを使用して車両の速度を測定していたため、1つの車両速度測定装置からは、レーダーを用いた取締波である所定のバンドのマイクロ波と、レーザー光のいずれかが出力される。そこで、上述した各実施形態等のようにレーダーを用いた取締波と、レーザーを用いた取締波のいずれも検出可能なレーダー/レーザー探知機では、一度の検出処理の際に受信するのは所定のマイクロ波かレーザー光のいずれか一方であり、同時に受けることはなかった。そして、電子機器10がいずれか一方の取締波を受けると、制御部11は、例えば、速度測定用の所定のバンドのマイクロ波を検出したと判定した場合に所定の警報を発する警報制御を行い、速度測定用のレーザー光を受光したと判定した場合に所定の警報を発する警報制御を行うことで、レーダーを用いた取締波やレーザーを用いた取締波に対しそれぞれに対応する警報を発することができる。
【0261】
車両速度測定装置の一種として、所定のマイクロ波を出射して車両の速度を測定するレーダー式測定機能と、レーザー照射を行う機能を備えたものがある、又は将来的に使用される可能性がある。このレーザー照射は、車両速度測定装置のカメラの撮影範囲内に所定の車両が入ったことを検知するために用いられると言われている。このような機能を備える特定機種の車両速度測定装置に接近した場合、電子機器10は、同時にレーダーの取締波である所定のマイクロ波と、レーザー光を同時に受信する事態を生じる。このような事態を生じた場合に対応する電子機器10として、例えば以下に示す各種の構成を備えるとよい。
【0262】
基本的な構成は、例えば上述した各実施形態並びに変形例に示す電子機器10のように、レーダーを用いた取締波と、レーザーを用いた取締波のいずれも検出可能なレーダー/レーザー探知機の構成を用いるとよい。また、上記の特定機種の車両速度測定装置から出射される所定のマイクロ波は、Xバンド、K1バンド並びにK2バンドの各種のものが適用可能となる。例えば、特定機種の車両速度測定装置がK2バンドのマイクロ波が使用されない場合、上述した各実施形態並びに変形例のように、少なくともKバンドに属する周波数帯域のうちの高域側の領域であるK2バンドに対するマイクロ波の検出処理を行う機能を備えず、従前からあるXバンドからK1バンドまで対応するレーダー/レーザー探知機の構成を用いてもよい。その場合に電子機器10は、特定機種の車両速度測定装置から出射される所定のマイクロ波のバンドの種類に対応したマイクロ波を検出可能なレーダー受信部15を備えた構成とするとよい。また、上述した実施形態等の受光部12は、レーザーを用いた取締波のためのレーザー光を受光可能に構成されている。この受光部12は、上記の特定機種の車両速度測定装置から出射されるレーザー光も受光可能に構成するとよい。
【0263】
(1)電子機器10は、車両に設けられ、所定のマイクロ波(「レーダー波」と称されることもある)を受信するレーダー受信部15と、レーザー光を受信する受光部12と、所定のマイクロ波の受信に応じて報知する制御を行う制御部11と、を有する。制御部11は所定のマイクロ波とレーザー光の双方が受信された場合と、所定のマイクロ波のみが受信された場合とで、報知する制御を異ならせるとよい。このようにすると、ユーザは、所定のバンドに属するマイクロ波が受信された場合でも、同時にレーザーを受信したか否かによって異なる報知に接することができる。
【0264】
異なる警報は、同時にレーザー光を受信した場合には、例えば、特定機種の車両速度測定装置であることを報知する特定機種警報を行うとよい。また、特定機種警報は、例えば、「J社製取締器です」のように機種を特定するメッセージを音声出力や表示部13にテキスト表示であるとよい。制御部11は、表示部13に特定機種警報を表示する場合、特定機種の車両速度測定装置を示す写真やCGなどを描画するとよい。また、所定のマイクロ波のみ受信している場合は、「レーダー受信です」のようなメッセージを表示又は音声で出力するなど、一般的な報知をするとよい。
【0265】
また、本実施形態の制御部11は、レーザーの取締波のレーザー光を受けた場合に警報を行う機能を備えている。このような構成の場合、制御部11は、所定のマイクロ波とレーザー光の双方が受信された場合と、レーザー光のみが受信された場合とで、報知する制御を異ならせるとよい。このようにすると、ユーザは、レーザー光を受信された場合でも、同時に所定のマイクロ波を受信したか否かによって異なる報知に接することができる。
【0266】
異なる警報は、所定のマイクロ波とレーザー光を同時に受信した場合には、例えば「レーダー受信です」のようにレーダーを用いた車両速度測定装置の存在を報知したり、レーザーを用いた車両速度測定装置ではないことを報知したりする警報とするとよい。また、制御部11は、レーザー光のみ受信した場合、レーザー方式に対応する車両速度測定装置を検出した場合のレーザー警報機能に基づく警報を行うとよい。
【0267】
また、制御部11は、所定のマイクロ波とレーザー光を同時に受信した場合、受信したレーザー光の性質、例えば特定波長で、所定のパルス幅を有するパルスレーザーであるか否かを決定する。そして制御部11は、所定のパルスレーザーを受信した場合にはレーザーの警報をし、所定のパルスレーザーではない周期性のないレーザーを受光した場合にはレーダーの警報をするとよい。
【0268】
(2)電子機器10は、車両に設けられ、所定のマイクロ波を受信するレーダー受信部15と、レーザー光を受信する受光部12と、所定のマイクロ波の受信に応じて報知する制御を行う制御部11と、を有する。制御部11は、所定のマイクロ波を受けているときにレーザー光を受けたときには、マイクロ波とレーザー光を出射する特定の機種であることに関する警告、例えば上述した特定機種警報を行う制御を行うように構成するとよい。このようにすると、ユーザは、マイクロ波とレーザー光を出射する特定の車両速度測定装置の存在を知ることができる。
【0269】
車両速度測定装置の種類の報知は、例えば、「JMA-○○」、「MSSSです」等のように車両速度測定装置の型番・機種名などを具体的に特定するもの、例えば「K社製取締器です」、「M社製取締器です」等のように会社名を特定するもの、例えば「変調波です」等のように車両速度測定装置が利用しているレーダーの取締波の種類を特定するものなどとするとよい。
【0270】
また、上記の制御部11は、受信した所定のマイクロ波の性質の違いに応じて車両速度測定装置の種類を報知する制御を行うものとするとよい。所定のマイクロ波の性質は、例えば周波数、バンドの種類、変調の有無などがある。
【0271】
また、制御部11は、所定のマイクロ波とレーザー光の双方を受信した場合において、それぞれの受信のタイミングに基づき報知する制御を異ならせるとよい。これにより、ユーザは、所定のマイクロ波とレーザー光をともに受信している場合であっても、受信のタイミングにより異なる報知に接することができる。受信のタイミングは、例えば、受信の前後の関係とするとよい。例えば、制御部11は、所定のマイクロ波を受信してからレーザー光を受信した場合には上述した特定機種警報を行う制御を行い、レーザー光を受信してから所定のマイクロ波を受信した場合には特定機種警報を行わない制御をする。制御部11は、特定機種警報の制御を行わない場合、全く警報を行わなくてもよいが、所定のマイクロ波やレーザー光をそれぞれ単独で受信した場合に行われる一般警報を行うとよい。制御部11は、一般警報を行う場合、レーザー光が特定の周期性を有する所定のパルスレーザーの場合にはレーザーに基づくレーザー警報機能の一般警報を行うとよい。また、制御部11は、それにあわせて所定のマイクロ波の受信に基づくレーダー警報機能による警報を行うとよい。また、制御部11は、レーザー光に周期性がない場合、レーダー警報機能による警報を行うとよい。
【0272】
(3)電子機器10は、車両に設けられ、所定のマイクロ波を受信するレーダー受信部15と、レーザー光を受信する受光部12と、所定のマイクロ波の受信とレーザー光の受信の関係を特定可能に記憶部25(記憶手段の一例)に記憶する制御部11を備えるとよい。ユーザは、記憶部25に記憶した所定のマイクロ波の受信とレーザーの受信の関係を知ることができる。本実施形態において、記憶部25としたところは、記憶媒体50としてもよく、いわゆる不揮発性メモリ、非一時的な記憶をする記憶部と読み替えてもよい。
【0273】
制御部11は、記憶部25に記憶した所定のマイクロ波の受信とレーザーの受信の関係を特定するための情報を、有線通信或いは無線通信を介して外部に出力する機能を備えるとよい。係る情報の出力先は、例えば、ビューアがインストールされたコンピュータや情報端末とするとよい。このようにすると、ユーザは、ビューアを用いて電子機器10が記録した所定のマイクロ波の受信とレーザー光の受信の関係を確認できる。また、制御部11は、記録した所定の関係を外部のサーバにアップロードする機能を備えるとよい。このようにすると、サーバは、複数の電子機器10からの情報を収集することができる。
【0274】
所定のマイクロ波の受信とレーザー光の受信の関係は、例えば、時間的関係や位置的関係とするとよい。時間的関係は、受信の前後関係・どちらが先かという相対的な関係とするとよいが、受信した具体的な時刻・日時情報のように絶対的な関係がわかるようにするとよい。時刻を記憶する場合、少なくとも受信開始時刻を記録するとよく、受信終了時刻をあわせて記憶するとよい。
【0275】
制御部11は、所定のマイクロ波の受信とレーザー光の受信の位置的関係を記憶する場合、それぞれを受信したときの位置情報を記憶するとよい。制御部11は、例えば、位置情報取得部17が取得した現在位置の位置情報を取得し、記憶するとよい。記憶する位置情報は、少なくとも受信開始位置の位置情報を用いるとよく、受信終了位置の位置情報を関連付けるとよい。さらに、制御部11は、受信している期間中に所定のサンプリング間隔で取得した位置情報の履歴を記憶するとよい。電子機器10が位置情報の履歴を記憶すると、走行経路のどの区間でマイクロ波を受信し、また、その走行経路のうちどの区間でレーザー光を受信しているかを知ることができる。これにより、ユーザは、レーザー光が特定機種の車両速度測定装置から出射されている場合、車両の撮影区間を知ることができる。
【0276】
(4)電子機器10は、車両に設けられ、所定のマイクロ波を受信するレーダー受信部15と、レーザー光を受信する受光部12の少なくとも一方を有し、ストロボ光の検知情報を取得し、所定のマイクロ波及びまたはレーザー光の受信と、ストロボ光の検知が所定の時間的関係にあったか否かを特定可能にメモリ112(一時記憶手段の一例)に記憶する制御部11を備えるとよい。ユーザは、メモリ112に記憶した情報から、ストロボ光の発光があった場合に、所定のマイクロ波或いはレーザー光の受信とストロボ発光の検知の時間的関係を確認できる。制御部11は、メモリ112に記憶した情報を記憶部25或いは記憶媒体50(記憶手段の一例)に記憶するとよい。また、制御部11は、メモリ112に書き込むことなく、記憶部25や記憶媒体50にアクセスして記憶させてもよい。これら記憶部25或いは記憶媒体50に記憶することで、電子機器10の電源をOFFにしても記憶した情報が保持される。係る構成は、以下に示す各種の実施形態等において具体的に記載しない場合でも、制御部11がメモリ112に記憶する各種の処理機能において同様に実施可能である。
【0277】
時間的関係は、例えばストロボ光の発光を検知したときと、所定のマイクロ波或いはレーザー光の受信を開始したときの前後関係や、時間差などの相対的な関係としてもよいが、それぞれの具体的な時刻・日時情報のように絶対的な関係がわかるようにするとよい。メモリ112に記憶する時刻は、少なくとも受信開始時刻とするとよく、受信終了時刻を関連付けたものとするとよい。また、制御部11は、時刻情報とともに検知・受信した際の位置情報を関連付けてメモリ112に記憶するとよい。例えば、ストロボ光の発光の方が先の場合には、車両速度測定装置の撮影に伴う発光でない可能性が高いといえる。また、ストロボ光の発光の方が一定時間以内の後の場合には、車両速度測定装置の撮影に伴う発光の可能性が高いといえる。
【0278】
さらに制御部11は、上記の時刻情報等に加え、ストロボ光を検知した際の車速を関連付けてメモリ112に記憶する機能を備えるとよい。ユーザは、ストロボ光が発光した際の車速を確認することで、ストロボ光が発光したときに制限速度を超過して走行していたか否かを知ることができる。また、制限速度以下で走行している場合にストロボ光の発光を検知した場合、ユーザは、ストロボ光は車両速度測定装置の撮影に伴う発光でない可能性が高いことが確認できる。また、仮に車両速度測定装置に違反車両として撮影された場合、制限速度以下で走行していたことの証拠になり得る。また、メモリ112に記憶する車速情報は、ストロボ光の発光した際の車速に限ることなく、所定のマイクロ波/レーザー光を受信している間の一連の車速の履歴とするとよい。このようにすると、ユーザは、仮に車両速度測定装置に違反車両として撮影された場合等において、撮影される前の一定区間も制限速度以下で走行していたか否かの確認ができる。制御部11は、車速の履歴情報をメモリ112に記憶する機能を備える場合に、ストロボ光の発光を検出した以降の車速は記憶しないようにするとよい。このようにすると、制御部11は、ストロボ光の発光を検出した以降の車速の記憶処理が不要となり負荷が軽減され、メモリ112ひいては記憶部25や記憶媒体50の記録容量の削減が図れる。
【0279】
また、制御部11は、所定のマイクロ波/レーザー光の受信はなく、ストロボ光の発光の検出のみがあった場合、車両速度測定装置のカメラの発光ではないことを報知する制御を行うとよい。ユーザである運転手は、走行中にストロボ光の発光を認識すると、たとえ制限速度以下で走行していてもドキッとすることがある。そこで制御部11が係る報知をすることで、ユーザは、車両速度測定装置による撮影でないことを知ることができ、それ以降は安心して走行することができる。よって電子機器10は、安全運転のために有益な情報を提供できる。係る報知は、例えば「心配しないでいいよ」、「光ったけど取締ではないと思われます」などを音声やテキスト表示等で行うとよい。また、音声を用いて報知すると、走行中の運転手は、車両の前方等を見ている状態ですぐに内容を認識できるのでよい。
【0280】
また、車両速度測定装置が撮影するために発光するストロボ光の強度は、一般的なカメラの撮影時に発光するストロボやフラッシュの光の強度よりも強い。そこで、制御部11は、検知したストロボ光の強度情報を取得し、ストロボ光の強度が所定のレベル以上の場合には車両速度測定装置で撮影されたことを報知する制御を行うとよい。制御部11は、例えば「取締が行われました」「取り締まり器に撮影されました」などを、音声やテキスト表示等で報知するとよく、音声を用いて報知すると特によい。
【0281】
ストロボ光の検知情報や強度情報の取得は、例えば、電子機器10が照度センサ等のストロボ光を検知するセンサ・機器を備え、電子機器10自信がストロボ光の検知情報を取得するとよい。また、電子機器10は、電子機器10とは別に車両に実装されるセンサ或いは設置される別の機器(例えば、ドライブレコーダのカメラや車両の後方に取り付けられるバックカメラなど)からそれらの情報を取得するとよい。
【0282】
(5)制御部11は、受信した所定のマイクロ波やレーザー光の種類を特定し、メモリ112に記憶する機能を備えるとよい。ユーザは、受信した所定のマイクロ波やレーザー光の種類を知ることができる。記録する種類は、例えば周波数、変調方式、強度などとするとよく、受信時刻の履歴情報を関連付けるとよい。
【0283】
(6)上記(1)から(5)のいずれかの電子機器10で検出した所定のマイクロ波やレーザー光を受信した際の位置情報を、別の電子機器の制御部が取得するとともにその別の電子機器が備える所定の記憶部に記憶する機能を備えるとよい。その別の電子機器の制御部は、現在位置が記憶した位置情報に基づく場所に接近した際に接近を報知する制御を行うとよい。別の電子機器のユーザは、過去に自分が走行せず、あるいは走行中に取り締まりが行われずに所定のマイクロ波やレーザー光を受信していない場所に接近していった場合でも、位置情報に基づく接近警報が行われ、その存在を知ることができる。
【0284】
別の電子機器が行う上記の情報の取得は、複数の電子機器間で通信を行い、直接情報を送信することで行うとよい。また、電子機器10が一旦サーバにアップロードし、別の電子機器がサーバにアクセスしてダウンロードすることで行ってもよい。
【0285】
電子機器10の制御部11は、位置情報に加え、受信した時刻に関する情報や、受信した所定のマイクロ波やレーザー光の種類を関連付けて、別の電子機器あるいはサーバに送信するとよい。時刻に関する情報を関連付けた場合、別の電子機器の制御部は、現在の状況が場所的・時間的に近接するときに警報を行うとよい。また、別の電子機器の制御部は、位置情報に所定のマイクロ波やレーザー光の種類を関連付けた場合、その詳細な種類とともに位置情報に基づく警報を行うとよい。
【0286】
制御部11は、場所的に近接するときに行う警報として、警報を発する位置警報機能(一般的には、GPS警報と呼ばれる。)に基づく警報と同様に、登録した場所から一定の距離以内に接近した際に報知するとよい。さらに制御部11は、上記の場所的に近接するときに行う警報を、接近に伴い離散的に複数回報知するとよい。
【0287】
記憶部25に受信した時刻が記録されている場合、制御部11は現在時刻が警報時間の場合には上記の警報を行い、警報時間外の場合には上記の警報を行わない制御を行うとよい。警報時間は、記録された時間の前後所定時間以内したり、例えば一日を複数の時間帯に区分けして記録された時刻が属する時間帯としたりするとよい。時間帯の区分けは、3時間間隔や6時間間隔等、等間隔で設定するとよい。また、例えばゾーン30のエリアで移動式の車両速度測定装置を用いた不定期で行われる計測の場合、通学の時間帯などに行われることが多い。そこで、ゾーン30のエリア内で所定のマイクロ波やレーザー光を受信した場合は、制御部11は、受信した時刻が含まれる通学時間帯、朝であれば例えば6:00-9:00などを警報時間の時間帯に設定し、午後・夕方であれは例えば14:00-18:00などを警報時間の時間帯に設定するとよい。
【0288】
制御部11は、ダウンロードした情報に含まれる所定のマイクロ波のバンドの種類、レーザー光の周波数、変調方式や時刻情報といずれかが異なるものを受信した場合に、その異なる情報をサーバにアップロードする機能を備えるとよい。このようにすると、サーバは、同じ地域で異なる内容の所定のマイクロ波やレーザー光の受信情報が登録され、直近の状況を知ることができる。
【0289】
制御部11は、ダウンロードした情報に含まれる所定のマイクロ波のバンドの種類、レーザー光の周波数、変調方式や時刻情報と同じもの受信した場合には、その旨をサーバに通知する機能を備えるとよい。このようにすると、サーバは、現在登録され各電子機器にダウンロードを許可している内容の車両速度測定装置が現在も動作中であることがわかる。
【0290】
電子機器10の制御部11が、上記の異なる情報をアップロードする機能と、同じ内容の受信通知をする機能を備える場合、サーバは、当該通知がなく上記の異なる情報と同種の情報が所定数アップロードされると、前回登録された移動式の車両速度測定装置による監視は終了したとして所定の処理を行うとよい。一体期間通知がなくても上記の異なる情報がアップロードされると、電子機器10を搭載した車両は、その地域を走行しているが上記の通知がなく監視は終了していることが確認できる。一方、一定期間通知がない場合は、たまたま通知する機能を備えた電子機器がその地域を走行していない可能性がある。そこで、サーバは、電子機器10からの通知がないだけでは監視は終了と判定しないようするとよい。
【0291】
制御部11は、例えばダウンロードしたのがKバンドに関するレーダー(MSSS等)で、今回受信したのがXバンドのマイクロ波(Kバンドのマイクロ波は受信しない)の場合には、その旨をサーバにアップロードする。これは、Kバンドを利用した移動式の車両速度測定装置を用いた計測は既に終了し、自動ドアなどの誤警報源からのマイクロ波を受信したおそれが高いためである。
【0292】
具体的な一例としては、例えばゾーン30で朝6:00-9:00の時間帯ではKバンドを用いた取締を行っている。そして午前10時に同じエリアにある店舗が開店し、その店舗の自動ドアからXバンドを用いたマイクロ波が出射される。このようなケースの場合、朝方走行していた車両に実装された電子機器10からは、Kバンドの受信実績の報告がサーバにアップロードされ、それをダウンロードした別の車両に実装された電子機器10は、ダウンロードした位置情報に基づくGPS警報を行う。これにより、別の車両に乗っているユーザは、実際に所定のマイクロ波やレーザー光を受信する前に事前に取締の情報を知る。また、GPS警報を行った車両に実装された電子機器10が実際に同じ種類のマイクロ波やレーザー光を受信した場合には、その旨をサーバに通知する。
【0293】
一方、昼間走行した車両に実装された電子機器10は、ダウンロードした情報(Kバンドのマイクロ波を用いた車両速度測定装置)に基づきGPS警報はするが、実際に受信したのはそれとは異なるXバンドとするとその旨をサーバにアップロードする。
【0294】
サーバにそのようなアップロード情報が複数回あると、前回の登録に基づく取締は終了したとしてサーバは所定の処理をする。所定の処理は、例えば登録した情報を削除したり、ダウンロードさせなかったり、過去に行われたことを示す情報としてダウンロードさせたり、終了したことを積極的に配信したりするとよい。
【0295】
また、上記のように制御部11は、ダウンロードした位置情報に基づくGPS警報を行う制御を行うが、このGPS警報による報知の制御を実行中に上記の異なる所定のマイクロ波やレーザー光を受信し、ダウンロードした情報と同じマイクロ波やレーザー光を受信しない場合には、そのダウンロードした情報に基づく報知を停止するとよい。
【0296】
(7)制御部11は、所定のマイクロ波の受信中や受信開始後の所定時間内にストロボ光を受光した場合の自車両の車速と、当該所定時間内にストロボ光を受光しなかった場合の自車両の車速を、位置情報とともにメモリ112に記憶する機能を備えるとよい。ユーザは、記憶された情報に基づき、制限速度を守って走行していたのに光ったなどの証拠を記録できる。
【0297】
制御部11は、そのメモリ112に記憶した情報をサーバに送信する機能を備えるとよい。このようにすると、サーバは複数の電子機器10から同種の情報を収集することができる。サーバ側で異なる車両に搭載される複数の電子機器10から収集した履歴に基づき、統計的に制限速度に対し時速何キロ以上でストロボが光る傾向にあるかがわかる。
【0298】
(8)
図17(A)に示すように、一般的な制限速度を超過した違反車両を撮影する機能を備える車両速度測定装置70は、車両の進行方向に沿って速度測定機能を備えた本体701と同じ位置或いは後方にストロボ702を配置する構成をとる。
図17(B)に示すように、例えばMSSS等の特定の車両速度測定装置71は、本体711よりも15~20mくらい手前にストロボ712があり、そこで撮影する構成を採るものがある。なお
図17(A)ではストロボ702を本体701と進行方向に沿って同じ位置に配置し、
図17(B)ではストロボ712を本体711の20m手前に配置した例を模式的に示している。
【0299】
上記の(4)に記載したストロボ光の検知情報を取得する機能を備えた電子機器10を取り付けた車両が、上記の構成からなる特定の車両速度測定装置71の設置位置付近を通過する場合と、一般的な通常の車両速度測定装置70の設置位置付近を通過する場合では、以下のような相違が出現する。車両速度測定装置71のストロボ光の発光を検知する位置Pは、一般的な通常の車両速度測定装置70におけるストロボ光の発光を検知する位置P′よりも手前側となる。車両速度測定装置70と車両速度測定装置71から出射される所定のマイクロ波の性質等が同じ場合、そのマイクロ波を受信しなくなる位置は同じである。その結果、車両が同一速度で走行している場合、ストロボ光を検知してから所定のマイクロ波を受信しなくなるまでの時間は、特定の車両速度測定装置71の方が、通常の車両速度測定装置70よりも長くなる。仮に、車両速度測定装置70と車両速度測定装置71におけるストロボ光の到達距離や所定のマイクロ波の検知範囲が等しいとすると、図示した例では、ストロボ光を検知してから所定のマイクロ波を受信しなくなるまでの距離は20mだけ長くなる。そこで制御部11は、ストロボ光を検知してから、所定のマイクロ波を受信しなくなるまでの時間を求め、その求めた時間が閾値を超えた場合には特定の機種である車両速度測定装置であることを知らせる報知を行う制御をするとよい。これによりユーザは、特定の車両速度測定装置で撮影されたことを知ることができる。
【0300】
また制御部11は、当該求めた時間が閾値以下の場合、マイクロ波の受信に伴い行う一般的な警報を行うとよい。これによりユーザは、一般的な車両速度測定装置で撮影されたことを知ることができる。また、ユーザは、間接的に特定の機種の車両速度測定装置ではないことを理解できる。或いは制御部11は、受信したマイクロ波が特定の車両速度測定装置でなかった旨を報知する制御を行うとよい。これによりユーザは、撮影された機種が特定の車両速度測定装置ではないことを直接的に知ることができる。
【0301】
制御部11は、ストロボ光を検知した際に所定のマイクロ波を検知した場合に、ストロボ光を検知してからマイクロ波を受信しなくなるまでの時間が閾値以上の場合に、マイクロ波の性質に基づき異なる報知をするとよい。例えば制御部11は、マイクロ波の性質、例えばバンドの種類や変調の有無が、特定の車両速度測定値から出射されるマイクロと同じ場合に、上述した特定の車両速度測定装置を知らせる報知を行う制御を行うとよい。制御部11は、マイクロ波の性質が異なる場合には、係る報知は行わない制御をするとよい。また、上記の各例において制御部11は、時間に変えて移動距離に基づいて報知するようにしてもよい。
【0302】
(9)
図18に示すように、前方からの所定のマイクロ波とレーザー光を受信する電子機器10と、後方からの所定のマイクロ波とレーザー光を受信する後方用受信機80とが、通信可能に接続されたシステムとするとよい。このシステムを構成する電子機器10に実装された制御部11は、電子機器10の受信情報と後方用受信機の受信情報に基づいて所定の報知を行う制御をするとよい。ユーザは、例えば車両の前方に設置された車両速度取締装置に加え、覆面パトカー等の後方から自車両に向けて出射されたマイクロ波やレーザー光を用いる車両速度測定装置の存在を知ることができる。
【0303】
各受信機のアンテナは、前方用の電子機器10は前方に向けて指向性があり、後方用受信機80は後方に向けて指向性が強いように設置する。また後方用受信機80は、例えばリアガラスを介して車内に進んでくるマイクロ波やレーザー光を受信可能な位置に設置する。また、電子機器10と後方用受信機80は、信号線と電源線を有する接続ケーブル90を介して接続するとよい。このようにすると、後方用受信機80と電子機器10は、相互間でのデータの送受に加え、後方用受信機80は、電子機器10側から電源供給を受けることができ、電子機器10と後方用受信機80で別々の電源を確保する必要がなくなる。
【0304】
電子機器10は、
図18(B)に構成の一部を図示するが、上述した各実施形態に示すものを用いることができ、所定のマイクロ波を受信するレーダー受信部15、レーザー光を受信する受光部12等を備える。また、制御部11は、受信した情報に基づき表示部13や音声出力部14から所定の警報を報知する。また、制御部11は、取得した情報を記憶部25に記憶する。
【0305】
後方用受信機80は、所定のマイクロ波を受信するレーダー受信部81、レーザー光を受信する受光部82、受信した情報に基づく所定の処理並びに電子機器10と通信を行う制御部83等を備える。これらレーダー受信部81と受光部82は、電子機器10に実装されるレーダー受信部15及び受光部12と同等のものを用いるとよい。また、それらと異なるものを用いてもよい。
【0306】
また、電子機器10は、一体型或いはセパレートタイプの表示部13を備えるが、後方用受信機80には表示部を備えないようにするとよい。表示部を備えていないため、小型でコンパクトになり、運転手がルームミラー越しに見る後方の視界の邪魔にならず、設置位置の自由度が増す。
【0307】
(9-1)電子機器10に実装された制御部11は、電子機器10と後方用受信機80の受信状況に応じて以下に示す各種の報知を行うとよい。
【0308】
(9-1-1)制御部11は、電子機器10と後方用受信機80のいずれか一方で所定のマイクロ波或いはレーザー光を受信した場合、マイクロ波或いはレーザー光の受信に伴う警報を、受信した方向がわかるように報知する制御を行う。これによりユーザは、前後どちらの方向からいずれの取締波を受信したかがわかる。例えば制御部11は、「前方レーダー受信中」や「後方レーサー受信中」などのメッセージを、音声やテキスト表示等するとよい。また、制御部11は、後方用受信機80で受信した場合には「パトカー」に関連する報知を行うが、前方用の電子機器10で受信した場合には「パトカー」に触れない報知の制御をするとよい。パトカーに関連する報知は、例えば「パトカーに注意してください。」、「後方からのレーザーを受信しました。パトカーに注意してください。」というメッセージを音声やテキスト表示したり、「パトカー」の画像を含む警報画面を表示したり態様とするとよい。
【0309】
制御部11は、電子機器10と後方用受信機80の両方が所定のマイクロ波或いはレーザー光の取締波を受信した際には、受信した方向がわかるように報知するとよい。ユーザは、前方と後方の両方から取締波を受信しているか、前方或いは後方の一方側から取締波を受信しているかがわかる。例えば、前方或いは後方の一方からのレーダー或いはレーザーを受信した場合、制御部11は、「前方レーダー受信中」或いは「後方レーダー受信中」のように方向が分かるように報知する。また制御部11は、前方及び後方の両方で受信した場合には「レーダー受信中」のように方向は言わないで警報する。このようにすると、ユーザは、受信した方向についての情報が無い報知の場合には、両方から取締波を受信したことがわかる。
【0310】
また、制御部11は、両方から同時に取締波を受信した場合、それぞれの警報を別々に報知してもよいが、前方の警報と後方の警報を同時に出力する機能を備えるとよい。同時に出力するとは、例えば「前方レーザー・後方レーダー受信中」のようなメッセージを音声や画面に表示するとよい。特に、警報画面に表示すると、2つの取締波を同時に受けていることが直感的に理解できるのでよい。また、警報画面は、1つの警報画面中に両方の内容を示すようにしてもよい。また、前方用の警報画面と後方用の警報画面を別々に用意し、その2つの警報画面を同時に表示部13に表示するとよい。また、「後方レーダーMSSS 前方レーダーJ社製」のように種類も入れるとよい。
【0311】
(9-1-2)また、制御部11は、探知機本体と後方用受信機の両方が所定のマイクロ波或いはレーザー光の取締波を受信した際に、取締波の発信源が同じか否かを判断し、同じ場合にはその発信源の方向からの警報を行い、異なる場合には、それぞれの発信源についての警報を行う制御を行うとよい。ユーザは、両方から取締波を受信している場合でも、前方と後方の両方から取締波を受信しているか、前方或いは後方の一方側から取締波を受信しているかがわかる。
【0312】
同一の発信源か否かの判断は、例えば、2つの取締波の種類・性質が異なる場合には同一の発信源ではないとする。また、時間差を受けて両方で受信した所定のマイクロ波の種類・性質が同じ場合、同一の発信源と判断する。これは、遅れて受信した方は回り込みの可能性があるためである。このような場合は、制御部11は、最初に受けた方に発信源があるとして警報するとよい。例えば、制御部11は、後方で受信を開始し、その後遅れて前方でも受信し始めると、「後方レーダー受信」などと報知する。
【0313】
また、両方から同じ種類・性質の所定のマイクロ波を受信した場合でも、たまたま両方にある発信源から同じタイミングでマイクロ波を受信することもある。例えば、前方からは道路脇等に設置された車両速度測定装置から出射され、後方からパトカー等から出射されるような場合がある。そこで、制御部11は、両方から所定のマイクロ波を受信した場合、受信レベルの履歴を考慮して報知するとよい。このようにすると、より正確に判断できるので好ましい。例えば前後の受信機の感度が同じとすると、後方から近づいてきた場合、当初は、後側の受信機が受信し、レベルがだんだん高くなる。それに伴い、前側の電子機器10のレーダー受信部15でもマイクロ波を受信するが、当初はレベルが弱く、後方車両が接近すると、後も前もともに受信レベルMAXになる。制御部11は、受信レベルの履歴がこのよう名場合、後方からの受信と判断して警報する。
【0314】
(9-1-3)また、後方から所定のマイクロ波を受信中に行う報知は、「後方レーダー受信中」のように方向と種類を特定する表示を行うとともに、後方の電波の受信レベルを表示するとよい。このとき、制御部11は、前方の電波の受信レベルもあわせて表示するとよい。例えば後方からパトカーで追跡されて徐々に接近してくる場合、前後のレベルの変化は、上述したようになるが、一例として
図16に示すように遷移したとする。すると、制御部11は、後方の受信レベルがMAX(この例では「5」)の場合に、前方の受信レベルを同時に表示する。これにより、ユーザは、パトカーの接近状況(例えば、どれくらい近づいているか等)がわかる。
【0315】
(9-1-4)一方、レーザー光の場合、回り込みはあまり考えられない。よって、制御部11は、前後両方からレーザー光を受光した場合には、取締波の種類・性質が同じであってもレーザー光の場合には同一の発信源でないと判断し、それぞれについて警報するとよい。
上記の(9-1-1)から(9-1-4)に記載した各種の報知制御は、全てを組み込み実施してもよく、いずれか一つ或いは任意の組み合わせで実施してもよい。また、各項目に記載の一部の機能を実施してもよい。
【0316】
(9-2)また、電子機器10と後方用受信機80における所定のマイクロ波の受信に伴い発する警報は、前と後のそれぞれに対して各バンドで警報を行う閾値、例えば感度レベルや警報を行うレベルを設定により変更可能に構成するとよい。
【0317】
(9-3)後方用受信機80は、電子機器10に接続してシステム構成する後方からの取締波を受信するための専用品ともよい。また、後方用受信機80は、所定のマイクロ波と、レーザー光をそれぞれ受信する受信部を有するユニットを備え、ユニット単体でも動作し、電子機器10に接続される後方用受信用のオプションユニットとしても動作する受信機80A(機器の一例)を用いるとよい(
図19参照)。係る受信機80Aに対する操作で前方用と後方用の設定ができ、制御部83はその設定情報を受信機80Aの記憶部に記憶する。後方用受信機80として使用する場合、事前に上記の操作を行い後方用に設定しておき、その後方用に設定した受信機80Aを電子機器10に通信可能に有線或いは無線を接続する。この接続に伴い、電子機器10側が受信機80Aとの通信を確立し、受信機80Aに記憶された設定情報、ここでは、「後方用」を取得する。そして電子機器10は後方用受信機80が接続されたことを認識し、以後、協働するように構成するとよい。また、電子機器10側に後方用受信機80が接続されることを設定しておき、接続した受信機80Aを後方用として設定するように構成するとよい。また、受信機80Aがユニット単体でも動作する機能を備える場合、電子機器10と同様の機能を備えるとよい。このとき、少なくとも表示部は、レーダー受信部81や受光部82や制御部83等が実装される筐体と別の筐体で構成するセパレートタイプとするとよい。セパレートタイプにすることで、ユニット単体で動作する際には表示部から所定の情報を報知することができ、後方用受信機として動作させる際には表示部を取り外して小型化した姿態で用いることができる。
【0318】
このような受信機80Aは、リア用アンテナユニットとして機能するほか、自機が備えるスイッチ等の操作に応じて切り替えることで、フロント用アンテナユニットとして機能するようにしてもよい。また、受信機80Aは、レーザー光とレーダーの受信が可能であり、スイッチなどの操作に応じて切り替えたとき、両方の警報を同時に同じものに切り替えるようにしてもよい。すなわち、リア同士またはフロント同士で両方の警報を同じものとするとよい。
【0319】
また、電子機器10と受信機80Aを接続ケーブルで接続し、データ通信に加えて受信機80Aに対する電源供給をその接続ケーブルを介して行うシステムにおいて、後方用接続ケーブル91を用いて両者を接続すると、受信機80Aは後方用受信機80として機能するように設定される。一方、その他の接続ケーブル92を受信機80Aに接続した場合には単体として動作するように構成するとよい(
図19参照)。例えば、後方用接続ケーブル91に所定の信号線を用意し、後方用接続ケーブル91の特定の端子ピンを電源ライン(例えば5V)に接続されるように構成する。そして受信機80Aは、その端子ピンの電圧を見て5Vであれば後方用にセットされるように構成する。このようにすると、後方用接続ケーブル91を用いて両者を接続するといった簡単な作業で後方用受信機80の設定が行える。一方、接続ケーブル92は、特定の端子ピンは電源ラインに接続されないように構成する。よって、この接続ケーブル92を受信機80Aに接続しても、特定の端子ピンは5Vに接続されていないため、単独で動作するモードにセットされる。また、この接続ケーブル92は、先端にシガーソケットに接続するプラグ93が取付けられており、電源ケーブルとして機能する。
【0320】
(9-4)後方用受信機80の制御部83は、所定レベル以上の所定のマイクロ波やレーザー光を受信した際に、その受信したことを電子機器10の制御部11に通知する。電子機器10の制御部は、受信したときの車速を取得し、メモリ112に記憶する機能を備えるとよい。このようにすると、ユーザは、所定レベル以上の所定のマイクロ波等を受信したときの車速を確認することができる。受信したときの車速は、例えば、制御部83からの通知を受けたときの車速とするとよい。また、後方用受信機80が車速を検出する機能を備える場合、後方用受信機80の制御部83が受信の通知とともに車速情報もあわせて電子機器10に送ったり、制御部83のメモリ等に記憶したりするとよい。制御部11は、車速に加え、受信した位置情報、日時情報、受信したマイクロ波・レーザー光の種類、受信レベル等の受信した取締波の内容や受信時の状況を関連付けてメモリ112に記憶するとよい。また記憶する情報は、上記の所定レベル以上の所定のマイクロ波等を受信した時の車速に関する情報に加え、その後の車速の履歴情報も関連付けたものとするとよい。
【0321】
(9-5)ある地域では、車線の横に斜め前向きでパトカーを停車しておき、そのパトカーの横を通過した車両に対して速度を計測して、速度超過があった場合にパトカーが車両を追いかけ、該当車両を停車させることがある。このような場合、例えば車両がパトカーの近くを走行している際に速度が測定される。また、速度が測定される検知範囲は、パトカーを車線に対して斜めに置き、車線に対して斜めに取締波を発するので短く、例えば10m程度である。これらのことから後方用受信機80が受信した際の取締波の受信レベルは大きい。そこで、例えば電子機器10の制御部11は、後方用受信機80で所定のレベル以上の所定のマイクロ波等を受信したときの車速を取得し、メモリ112に記憶するとよい。これにより、記憶した情報は、速度違反をしていないなどの反論の証拠になり得る。
【0322】
このような車両の速度の測定は、特定の地域で行われている。よって、制御部11及び制御部83は、現在位置がこのような速度の測定が行われている特定の地域の場合に上記の記憶処理を行い、特定の地域以外の地域では係る記憶処理を行わない制御をするとよい。係る特定の地域か否かは、上記の設定情報ファイルの各地域の情報として記憶部25等に記憶し、制御部11がその設定情報ファイルのデータを確認して決定するとよい。
【0323】
(9-6)リア用カメラ(車両の後方を撮影する撮影装置の一例)にレーザー受光部を設けおき、単体で警報か、フロント側のドライブレコーダまたはフロント側のレーダー探知機(例えば、電子機器10)に接続して、後方レーザーの受光警報をフロント側のレーダー探知機で行うようにしてもよい。このようにすると、リア用カメラを用いて車両後方から受光したレーザー光に応じて警報を発するシステムを提供することができる。リア用カメラとしては、狭角(さらにはズーム機能を有することが望ましい。)のAIカメラとすると特によい。
【0324】
(9-7)リア用アンテナユニットとして機能する後方用受信機80又は受信機80Aと、リア用カメラとの間で電源ラインを接続するようにしてもよい。このようにすると、後方用受信機80又は受信機80Aと、リア用カメラとの間で、一方から他方に、又は相互に電源ラインを介した電力の供給をすることができる。
【0325】
(9-8)リア用アンテナユニットとして機能する後方用受信機80又は受信機80Aに、記録媒体挿入口、及びこの記憶媒体挿入口から挿入された記憶媒体を保持する装着部を設けてもよい。装着部は、上述した装着部21と同様に媒体保持部として機能するものとするとよい。このようにすると、後方用受信機80又は受信機80Aに装着された記憶媒体にデータを書き込み、あるいはデータの読み出しを行うことができる。そして、後方用受信機80又は受信機80Aの制御部83は、リア用カメラの映像をリア用アンテナユニットで記録する機能を備える。ここでは、制御部83は、リア用カメラの映像を、この記憶媒体に記憶させるとよい。なお、媒体挿入口は、例えばSDカードスロットとするとよい。記憶媒体は、例えばSDカードとするとよい。この装着部は、記憶媒体にデータを書き込んだり、記憶媒体からデータを読み出したりする。装着部は、記憶媒体を1つだけ保持するものでもよいが、2つ以上の記憶媒体を同時に保持することが可能に構成されてもよい。
【0326】
(9-9)(9-8)とは逆に、リア用カメラに記録媒体挿入口及び装着部(例えばSDカードスロット)を設けておく。このようにすると、リア用カメラに装着された記憶媒体にデータを書き込み、あるいはデータの読み出しを行うことができる。リア用アンテナユニットとしての後方用受信機80又は受信機80Aの制御部83は、この装着部に装着された記憶媒体に記憶されたデータに基づいて、POI情報又はファームウェア等のソフトウェアを更新する機能を有してもよい。
【0327】
(9-10)後方用受信機80又は受信機80Aとリア用カメラとを有するシステム(例えば、RD+DVR複合機)が覆面パトカーを見分ける機能を有するとよい。このシステムは、さらに、覆面パトカーを見分ける機能による判断結果に基づいて、リア用カメラにより覆面パトカーの特徴が撮影されると、注意喚起する機能(例えば、アラートを発する機能)を有するとよい。このようにすると、リア用カメラを用いて覆面パトカーに関する注意喚起をすることができる。
【0328】
覆面パトカーを見分ける機能として第1の方法が採用されるとよい。
覆面パトカーに多い特定の車種(以下「特定車種」という。)が知られている。そこで後方用受信機80又は受信機80Aの制御部83は、車両の走行中において、図示せぬ記憶部に登録された特定車種の写真の画像と、リア用カメラにより撮影された画像とを比較し、その比較した結果に基づいて、特定車種の車両の存在の有無を判定する。記憶部は、例えば(9-8)で説明した記憶媒体とするとよいが、内蔵又は外付けの記憶部のいずれでもよい(本項において以下同じ。)。比較の方法については特に問わない。制御部83は、例えばパターンマッチングや、画像から特徴点を抽出し両画像での一致度合いを判断する方法でもよいし、新車の写真の特徴部分を何点か囲い全て又は殆どで一致するかどうかを判断するようにしてもよい。記憶部に登録された特定車種の写真の画像については、製品出荷段階で予め記憶されていてもよいし、更新データに含める方法により、後方用受信機80又は受信機80Aに提供されこれが記憶部に登録されてもよい。あるいは、後方用受信機80又は受信機80Aが、記憶部に特定車種の写真の画像を登録する機能を有してもよい。制御部83は、例えば、新車が出れば、リア用カメラにより撮影された、特定車種の新車の写真の画像を図示せぬ記憶部に登録する。制御部83は、追加する方法として、新車の写真を一定間隔で数回、写すなどで登録する。新車が出たことは、例えば、更新データに含まれるデータにより制御部83が特定できるようにするとよい。
【0329】
覆面パトカーを見分ける機能として第2の方法が採用されるとよい。第2の方法は、車両ナンバーとPOIによる選別を用いる方法である。警察には管轄が有るので、POIとナンバー地域が合致していることが、覆面パトカーの特徴として知られている。例えば、制御部11は、車両周辺のPOIにより特定される地域と、リア用カメラにより撮影された車両の車両ナンバーから特定される地域とが一致するかどうかを判定するとよい。このようにすると、システムにおいて、パトカーに多い車種であっても、これらが一致しない場合はパトカーでないとして切り捨てたり、あるいは一致する場合は危険度をUPさせたりすることができる。
【0330】
覆面パトカーを見分ける機能として第3の方法が採用されるとよい。大抵の覆面パトカーには、バックミラーが2つ備え付けられていている。そして、パトロール時は、運転者と助手席もう一人乗車している。そこで、制御部83は、リア用カメラにより撮影された画像に基づいて、これらの状況が撮影されたかどうかを判断する。この判断には、公知の画像認識アルゴリズムが用いられるとよい。このように第3の方法は、見た目の選別を用いる方法である。
【0331】
覆面パトカーを見分ける機能として第4の方法が採用されるとよい。第4の方法では、制御部83は、記憶部に記憶された覆面パトカーの車両ナンバーのリストに基づいて、リア用カメラにより覆面パトカーの車両ナンバーが映し出されたかどうかを判断するとよい。覆面パトカーの車両ナンバーのリストは、更新データに基づいて更新されるようにすると特に良い。
【0332】
後方用受信機80又は受信機80Aは、さらに、記憶部に覆面パトカーの車両ナンバーの画像を登録する機能を有してもよい。制御部83は、例えば、更新データに基づいて新たな覆面パトカーの車両ナンバーが判明した場合、リア用カメラにより撮影されたその車両ナンバーを撮影した画像を一定間隔で数回、写すなどで登録するとよい。
【0333】
後方用受信機80又は受信機80Aの制御部83は、覆面パトカーを見分ける機能の第1の方法~第4の方法の少なくともいずれかにより、覆面パトカーの特徴が撮影されると、注意喚起するとよい。注意喚起は、表示や音声の出力、発光など、ユーザが知覚可能な方法により、覆面パトカーの存在を報知する処理とするとよい。あるいは、制御部83は、第1の方法~第4の方法のいずれにより、覆面パトカーの特徴が撮影されたかによって、注意喚起の内容を異ならせるようにすると特によい。
【0334】
制御部83は、第1の方法により覆面パトカーの特徴が撮影されると、第1の注意喚起(注意1)を行う。第1の注意喚起は、例えば、「ピピ」という音を鳴らすものとするとよい。制御部83は、第2の方法により覆面パトカーの特徴が撮影されると、第2の注意喚起(注意2)を行う。第2の注意喚起は、例えば、「ピピ」という音を鳴らすものとするとよい。ここでは、第1の注意喚起と第2の注意喚起とは、注意喚起の内容が同じであるが、異なっていてもよい。制御部83は、第3の方法により覆面パトカーの特徴が撮影されると、第3の注意喚起行う。第3の注意喚起は、例えば、「ピーピピ」という音を鳴らすもので、第1の注意喚起及び第2の注意喚起よりも、覆面パトカーの信ぴょう性が高いという意味で、レベルの高い報知である。制御部83は、第4の方法により覆面パトカーの特徴が撮影されると、第4の注意喚起行う。第4の注意喚起は、例えば、「ピーピーピー」という音を鳴らすもので、第3の注意喚起よりも、覆面パトカーの信ぴょう性が高いという意味で、レベルの高い報知である。なお、第3の注意喚起が第1の警報と読み替えられ、第4の注意喚起が第2の警報と読み替えられてもよい。また、注意喚起という用語は、例えば、警報、警告、報知などと読み替えられてもよい。
【0335】
制御部83は、第1の方法又は第4の方法により、撮影した画像を解析対象として登録する機能を有している。このように第1の方法又は第4の方法により登録された画像が、他の車両と共有可能としてもよい。その共有の目的で、制御部83は、登録したデータを図示せぬサーバに送信してもよい。制御部83は、図示せぬサーバから他車両により登録されたデータを受信し、これを記憶部に登録してもよい。また、制御部83は、第1の方法では車体を、第4の方法で車両ナンバーを解析の対象としており、範囲を指定して解析対象とする機能を有する。
【0336】
なお、本項において制御部83が実行していた処理を、リア用カメラの制御部、又は電子機器10の制御部11が実行してもよい。またリア用カメラ以外のカメラを用いることも考えられる。例えば、今後4Kカメラなどで、カメラ画質が良くなれば、追い越し時にフロントカメラで、すれ違い時にリア用カメラで撮影された映像で判別できるようにすることもできる。また、本項では、覆面パトカーを見分ける機能として説明したが、これに限られず、外観において特定の特徴を有する車両を見分けることにも、本項の見分ける機能を適用することもできる。
【0337】
(10)電子機器10は、領域ごとにレーダー受信感度設定をする情報を記憶部25(記憶手段の一例)に記憶保持し、制御部11はその情報に基づいてレーダー受信感度を設定する制御を行うとよい。このようにすると、領域毎に適切な受信感度でマイクロ波の検出処理を行える。領域は、例えば、都道府県のように上述した地域に対応する広い範囲でもよく、また、その地域の中でさらに複数の区域にわけた当該地域よりも狭い範囲でもよい。これらの感度の切り替えは、例えば記憶部25に領域毎の感度レベルの設定情報ファイルを記憶しておき、制御部11が現在位置に基づき感度レベルを変更するとよい。係る切り換え制御は、以下に示す各例においても同様である。
【0338】
(10-1)領域は、特定の速度測定装置が配備されている都道府県と配備されていない都道府県とで別とする。制御部11は、配備されている領域内でだけ感度を上げるとよい。感度を上げた領域では、より確実に特定の速度測定装置からの所定のマイクロ波を検知し、報知することができる。特定の速度測定装置は、例えばMSSSとするとよい。
【0339】
(10-2)領域は、誤警報源が多いエリアと少ないエリアを別の領域にするとよい。例えば、所定の車両速度測定装置が配備されていそうな領域では感度レベルを大きく(例えばレベル5:MAX)する。また、所定の車両速度測定装置が配備されていなさそうな領域や自動ドアや自動販売機等の誤警報源が多く設置されている領域では感度レベルを小さく(例えば5段階評価のレベル3)するとよい。このようにすると、所定の車両速度測定装置が配備されていそうな領域では確実に車両速度測定装置からのマイクロ波を検出し、誤警報源が多く設置されている領域ではマイクロ波が検出されにくくなるため誤警報が抑制される。例えば、MSSSが配備されることが多い郊外では感度レベルを大きくして確実にMSSSを検出する一方、市街地では自動ドア等の誤警報源により誤警報をしてしまうおそれを抑制する。
【0340】
(10-2-1)誤警報源となる電波を発する登録車両が多い地域の感度は、少ない地域の感度よりも低く設定するとよい。このようにすると、係る登録車量が多い地域を走行する場合、感度レベルが低く設定されているため、係る登録車両から発せられる誤動作源となる電波の受信に基づく警報が行われにくくなり、誤警報の発生が抑制される。[F.変形例](10)で説明したように、特定の自動車メーカーの車両に搭載される車両衝突防止システムでは、K1バンド或いはK2バンドを利用しているものがある。特定の自動車メーカーは、例えばマツダ社がある。そして広島県ではマツダ社の車両が多く登録されているため、広島県では感度レベルを低く設定するとよい。
【0341】
(10-3)領域は都市度合別に設定するとよい。例えば人口密度が高いなどの都市部では感度レベルを低くし、都市部以外では感度レベルを高くするとよい。都市部は例えば信号も多く、周囲に他の車両も多く存在することから制限速度を超えた高速で走行することが少ない。そこで感度レベルを下げることで、頻繁に警報が発することを抑制できる。一方、都市部以外では信号も少なく車間距離も長くなりがちのため、制限速度を超えて走行してしまう恐れがある。そこで、感度レベルを高く設定することで確実に車両速度測定装置を検出し、報知するとよい。一例として、2領域に分けた場合、札幌市街で感度低として札幌郊外で感度高とするとよい。
【0342】
(10-4)領域は取締の実績の度合別に設定するとよく、例えば所定の車両速度測定装置を用いた計測が行われた取締実績のある道路では感度を高くし、取締実績のない道路で感度を低くするとよい。移動式の車両速度測定装置を用いた測定・取締は、同じような場所・道路で繰り返し行わせることが多いので、取締実績のある道路で感度を高くすることで、確実に車両速度測定装置を検出し、取締実績の無い道路では感度を低くして誤警報の発生を抑制するとよい。
【0343】
車両速度測定装置を用いた測定は、例えば、速度超過がしやすく交通事故が発生しやすい危険な道路などで行われるため、移動式の車両速度測定装置を用いた測定・取締は同じ道路で繰り返し行われることがある。一方、そのような危険がない道路では、移動式の車両速度測定装置を用いた測定・取締が行われにくい。そこで上記のような制御をすることで、適切な警報を行うことができる。
【0344】
また、上記の例示では、取締実績のある/なしで領域を分けたが、これに限ることはなく、取り締まり実績の頻度・多少に応じてさらに細分化して感度を3段階以上に分けてもよい。また、取締実績の多い道路と0回を含む少ない道路にわけて感度を設定してもよい。取締実績が少ない場合でも、実績があればその後に再度取締が行われる可能性があるため、上記例示した取締実績のある/なしで領域を分けるのがより好ましい。
【0345】
(10-5)領域は2つの領域とし、感度は、高と低にするとよい。上述した各実施形態では、例えば、車両速度測定装置の配備状況等に応じて、バンドの種類ごとにON/OFFを設定したが、OFFではなく感度を下げた状態でONにするとよい。このようにすると、例えば、新たなバンドを利用した車両速度測定装置が新規導入された地域で、その情報の更新が間に合わない場合でも、新規導入された車両速度測定装置を検出可能となる。また、低い感度で検出処理を行うため、誤警報の発生は抑制できる。また、感度はHigh/Lowのように2段階とするとよいが、12345のように数値で調整できる場合には、場所ごとに細かく設定できるように構成するとよい。
【0346】
(11)レーダー受信感度はレーダーのバンドごとに異なる領域と関連付けているとよい。Xバンド、K1バンド、K2バンドのように複数のバンドに対して検出処理をする場合において領域毎に全てのバンドに対して同じ感度レベルを設定してもよいが、本形態のようにバンド毎に異なる感度レベルを設定することで、状況に応じた適切な警報処理を行うことができる。
【0347】
例えば、Xバンドは札幌市街で感度レベルを低くし、札幌郊外で感度レベルを高くする。一方、K1バンドやK2バンドは札幌市街のゾーン30と札幌郊外で感度レベルを高くし、ゾーン30を外れた札幌市街では感度レベルを低くするとよい。
【0348】
(12)制御部11は、現在の受信感度を画面またはLEDまたは音による報知でユーザに知らせる制御を行うとよい。このようにすると、ユーザは現在位置での受信感度が理解できる。
【0349】
報知の態様は、画面を用いた報知では、例えば制御部11が表示部13に地図を表示している場合に前景透過色の色を変える、スクロール領域の文字または背景の色を変える、市町村名の文字または背景の色を変えるなどとするとよい。例えば感度が高い領域では赤色等の暖色系の色を用い、感度が低い領域では青など寒色系の色を用いるとよい。例えば市街地であれば青、郊外であれば赤を用いて表示する。LED等の発光部を用いた報知も同様である。
【0350】
上記の構成において、制御部11は、実際に所定のマイクロ波等を受信した場合にその受信レベルが強くなると、前景透過色や背景色等の表示色を明るくしたり、フラッシュしたりする制御を行うとよい。
【0351】
今までの報知は、例えばレベル3以上は赤でそれ未満は青などレーダーの受信レベルの大きさに基づいて表示色を変えることがあった。本実施形態では、現在の感度レベルを報知することで、ユーザは現在が報知されやすい状況か否かが理解できる。またユーザは、実際に警報が発せられたときに誤警報の可能性の高低を認識し、適切な運転操作等が行える。また、車両速度測定装置が配備されているなど注意すべき領域の感度を高くするようにした場合、例えば高い感度レベルに設定された領域にいる場合には、ユーザは近くに車両速度測定装置が存在する可能性が高いことを認識して運転できるのでよい。
【0352】
また、表示部13の表示画面の上方や下方に各種のアイコンを表示するアイコン領域が設定されている場合、制御部11は、そのアイコン領域に、現在オンになって検出処理をしているバンドを表示する機能を備えるとよい。制御部11は、表示部13の所定位置に例えばXとK2などバンドを特定する文字を表示するとよく、さらに、変調の有無などもあわせて表示するとよい。このようにすると、ユーザは、どのバンドのマイクロ波が検出できるようになっているかなどを知ることができる。
【0353】
(12-1)制御部11は、取得した現在位置情報から領域が変わったことで感度が変更されたときに、現在の領域の感度レベルを報知するとよい。このようにすると、ユーザは感度レベルが切り替わったことを容易に理解できる。また、変更に伴う報知は、音声を用いて行うとよい。このようにすると、運転手は、画面を注視していなくても感度レベルが変わったことを理解できるのでよい。
【0354】
(13)領域ごとに、所定のマイクロ波の使用周波数帯を特定する情報を関連付けて記憶部25に記憶しておき、制御部11は取得した現在位置に対応する記憶された使用周波数帯の感度を上げる制御をするとよい。このようにすると、使用されている使用周波数帯の感度が上がるため、車両速度測定装置からのマイクロ波を確実に検出できる。また制御部11は、使用していない使用周波数帯の感度を下げる制御を行うとよい。このようにすると、誤警報源からの電波に基づく誤警報の発生を可及的に抑制できる。
【0355】
(14)領域ごとに、マイクロ波の使用周波数帯を特定する情報を関連付けて記憶部25に記憶しておき、制御部11は、現在位置に対応する記憶された使用周波数帯にスイープ範囲を設定するとよい。このようにすると、使用されている周波数帯のマイクロ波を効率よく確実に検出でき、それ以外の周波数帯のマイクロ波を検出して誤警報をすることを抑制できる。上述した実施形態では、検出対象の各バンドの全体をスイープするようにしているが、スイープ範囲をバンドごと(地域ごと)にスイープ範囲を設定できるようにするとよい
【0356】
(15)上述した各実施形態において、感度低にする領域は、受信・検出処理を行わない(例えば、切ってしまう)ようにしてもよい。
【0357】
(16)上述した各実施形態において、「受信感度」と書いたところ、「警報を行う受信レベル」と置き換えてもよい。感度レベルではなく警報のレベルを変えることによっても同様の効果を発揮することができる。感度は同じにしたが警報をするレベルを調整することで、同じレベルのマイクロ波を受信した場合でも報知したり報知しなかったりすることができる。例えば誤警報源があるところでは警報をするレベルを高くして警報がされにくくし、誤警報の発生を抑制するとよい。また、所定のマイクロ波を検出した際に行う報知の種類として表示用警報と音声用警報が存在する場合に、両方とも警報のレベルを変えても良いし、それぞれについて異なるレベルに設定としてもよい。また、表示用警報については警報レベルを変えずに報知し、音声用警報について警報するレベル(閾値)を設定する機能を備えるとよい。
【0358】
(17)車両速度測定装置の設置位置を設定する機能を備え、制御部11は、設定された設置位置に応じて受信感度を変更する機能を備えるとよい。このようにすると、車両速度測定装置が設置状況に応じて受信感度を変更し、適切な警報を行うことができる。例えば、車両速度測定装置の設置位置の周囲の領域では受信感度を高く設定し、より遠い位置からその車両速度測定装置からの所定のマイクロ波等を検出し、報知することができる。また、設定されていた車両速度測定装置の設置位置が削除された場合、その削除された車両速度測定装置に基づいて設定されていた周囲の領域の受信感度を低く変更するとよい。
【0359】
車両速度測定装置の設置位置を設定する機能により設定された設置位置の情報は、例えば記憶手段の一例である記憶部25に記憶するとよい。車両速度測定装置の設置位置を設定する機能は、例えば、制御部11がサーバにアクセスし、サーバに登録された車両速度測定装置の設置位置に関する情報をダウンロードし、記憶部25に記憶するとよい。また、車両の走行中等において電子機器10が車両速度測定装置からの取締波を受信した場合に、制御部11が受信した位置に基づいて自動的に設置位置を記憶部25に記憶するとよい。また、ユーザの入力部19の操作に基づくユーザ設定により、制御部11が設置位置を記憶部25に記憶する構成としてもよい。
【0360】
[H.付記]
本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求の範囲とする意思を有する。
【0361】
本願発明は上述した実施の形態に記載の構成に限定されない。上述した各実施の形態や変形例の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また各実施の形態や変形例の任意の構成要素と、発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素又は発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成するとよい。これらについても本願の補正又は分割出願等において権利取得する意思を有する。「~の場合」「~のとき」という記載があったとしてもその場合やそのときに限られる構成として記載はしているものではない。これらの場合やときでない構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。また順番を伴った記載になっている箇所もこの順番に限らない。一部の箇所を削除したり、順番を入れ替えた構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。
【0362】
また、意匠登録出願への変更により、全体意匠又は部分意匠について権利取得する意思を有する。図面は本装置の全体を実線で描画しているが、全体意匠のみならず当該装置の一部の部分に対して請求する部分意匠も包含した図面である。例えば当該装置の一部の部材を部分意匠とすることはもちろんのこと、部材と関係なく当該装置の一部の部分を部分意匠として包含した図面である。当該装置の一部の部分としては、装置の一部の部材としてもよいし、その部材の部分としてもよい。全体意匠はもちろんのこと、図面の実線部分のうち任意の部分を破線部分とした部分意匠を、権利化する意思を有する。また、装置の筐体の内部のモジュール・部材・部品・画像等についても、図面に表示されているものは、いずれも独立して取引の対象となるものであって、同様に、意匠登録出願への変更を行って権利化を行う意思を有するものである。
【符号の説明】
【0363】
10 :電子機器
11 :制御部
15 :レーダー受信部
15A :第1のレーダー受信部
15B :第2のレーダー受信部
15C :第3のレーダー受信部
17 :位置情報取得部
51 :アンテナ
51A :パッチアンテナ
51B :パッチアンテナ
52 :1次局部発振器
521 :第1の1次局部発振器
522 :第2の1次局部発振器
53 :第1ミキサ
54 :第1中間周波増幅器
55 :2次局部発振器
551 :第1の2次局部発振器
552 :第2の2次局部発振器
553 :第3の2次局部発振器
554 :第4の2次局部発振器
56 :第2ミキサ
57 :第2中間周波増幅器
58 :検波器
60A :基板
60B :基板
60C :基板
200 :ASIC
211 :回路部
212 :回路部