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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019753
(43)【公開日】2024-02-13
(54)【発明の名称】車両用制御システム
(51)【国際特許分類】
   G05G 1/015 20080401AFI20240201BHJP
   B60W 40/09 20120101ALI20240201BHJP
【FI】
G05G1/015 Z
B60W40/09
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023209066
(22)【出願日】2023-12-12
(62)【分割の表示】P 2018210847の分割
【原出願日】2018-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】000213954
【氏名又は名称】朝日電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 通之
(72)【発明者】
【氏名】大村 俊介
(57)【要約】
【課題】操作手段の操作量を検出することができ、走行に関する情報をより充実させて活用することができる車両用制御システムを提供する。
【解決手段】車両に配設されて運転者が操作可能な操作手段(a~c)と、操作手段に対する操作を検出する操作検出手段(1~3)とを具備した車両用制御システムにおいて、操作検出手段(1~3)は、操作手段(a~c)の操作量に応じて変位する変位手段(1a~3a)と、変位手段(1a~3a)の変位量を検知し、当該変位量に応じた連続的な信号を出力する検知手段(1b~3b)とを具備するとともに、検知手段(1b~3b)で検知された連続的な信号を入力し、当該連続的な信号に対応した所定の制御を行わせる制御手段6を備え、変位手段(1a~3a)は、操作手段(a~c)の操作量に応じて直線状に変位することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に配設されて運転者が操作可能な操作手段と、
前記操作手段に対する操作を検出する操作検出手段と、
を具備した車両用制御システムにおいて、
前記操作検出手段は、前記操作手段の操作量に応じて変位する変位手段と、前記変位手段の変位量を検知し、当該変位量に応じた連続的な信号を出力する検知手段とを有して構成されるとともに、前記検知手段で検知された連続的な信号を入力し、当該連続的な信号に対応した所定の制御を行わせる制御手段を備え、前記変位手段は、前記操作手段の操作量に応じて直線状に変位することを特徴とする車両用制御システム。
【請求項2】
前記検知手段は、前記変位手段に形成された磁石からの磁気変化を検出することにより当該変位手段の変位に応じた連続的な信号を出力可能な磁気センサから成ることを特徴とする請求項1記載の車両用制御システム。
【請求項3】
前記操作手段は、車両のクラッチを操作するクラッチレバー、または車両のブレーキを操作するブレーキレバー若しくはブレーキペダルから成り、前記クラッチレバー、ブレーキレバーまたはブレーキペダルの揺動操作に応じて前記変位手段が直線状に変位することを特徴とする請求項1記載の車両用制御システム。
【請求項4】
前記制御手段は、前記検知手段で検知された連続的な信号に応じて車両が具備する電装部品を制御することを特徴とする請求項1記載の車両用制御システム。
【請求項5】
前記操作手段は、車両のブレーキを操作するブレーキレバー若しくはブレーキペダルから成り、前記検知手段で検知された連続的な信号に基づいて、前記電装部品としてのブレーキランプの点灯形態を変化させることを特徴とする請求項4記載の車両用制御システム。
【請求項6】
前記制御手段は、前記検知手段で検知された連続的な信号を記憶手段に記憶させることを特徴とする請求項1記載の車両用制御システム。
【請求項7】
前記制御手段は、前記検知手段で検知された連続的な信号を通信手段で通信させることを特徴とする請求項1記載の車両用制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に配設されて運転者が操作可能な操作手段と、操作手段に対する操作を検出する操作検出手段とを具備した車両用制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
二輪車等の車両には、通常、ブレーキレバー等の操作手段が配設されており、これら操作手段を操作することにより、任意の操作(ブレーキ操作等)が可能とされている。例えば、運転者がブレーキレバーを把持しつつ揺動操作すると、そのブレーキレバーの一部にタクトスイッチ等の作動部が押圧されて電気的にオンするよう構成されており、車両のブレーキランプを点灯させ得るようになっている。なお、かかる先行技術は、文献公知発明に係るものでないため、記載すべき先行技術文献情報はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来技術においては、以下の問題がある。
車両の走行状態に関する情報をリアルタイムで記憶しておき、その記憶された走行に関する情報を出力させることにより、運転の良否や事故時の状況を把握するニーズが高まりつつあり、例えばドライブレコーダが提案されている。しかるに、ドライブレコーダでは、走行時の映像を記憶することができるものの、ブレーキレバーやクラッチレバー等の操作手段の操作の有無や操作量について把握させることができない。
【0004】
また、近時において、自分が運転する車両と他の車両との間で走行状態に関する情報を通信して円滑な走行を行わせ、安全な走行を図ることが種々検討されている。このような状況において、例えばブレーキレバーをタクトスイッチのオン・オフのみで検出した場合、どの程度の操作量でブレーキレバーを操作したかの情報を得ることができず、車両間で通信される情報が不十分となってしまう。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、操作手段の操作量を検出することができ、走行に関する情報をより充実させて活用することができる車両用制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、車両に配設されて運転者が操作可能な操作手段と、前記操作手段に対する操作を検出する操作検出手段とを具備した車両用制御システムにおいて、前記操作検出手段は、前記操作手段の操作量に応じて変位する変位手段と、前記変位手段の変位量を検知し、当該変位量に応じた連続的な信号を出力する検知手段とを有して構成されるとともに、前記検知手段で検知された連続的な信号を入力し、当該連続的な信号に対応した所定の制御を行わせる制御手段を備え、前記変位手段は、前記操作手段の操作量に応じて直線状に変位することを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の車両用制御システムにおいて、前記検知手段は、前記変位手段に形成された磁石からの磁気変化を検出することにより当該変位手段の変位に応じた連続的な信号を出力可能な磁気センサから成ることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の車両用制御システムにおいて、前記操作手段は、車両のクラッチを操作するクラッチレバー、または車両のブレーキを操作するブレーキレバー若しくはブレーキペダルから成り、前記クラッチレバー、ブレーキレバーまたはブレーキペダルの揺動操作に応じて前記変位手段が直線状に変位することを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の車両用制御システムにおいて、前記制御手段は、前記検知手段で検知された連続的な信号に応じて車両が具備する電装部品を制御することを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の車両用制御システムにおいて、前記操作手段は、車両のブレーキを操作するブレーキレバー若しくはブレーキペダルから成り、前記検知手段で検知された連続的な信号に基づいて、前記電装部品としてのブレーキランプの点灯形態を変化させることを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項1記載の車両用制御システムにおいて、前記制御手段は、前記検知手段で検知された連続的な信号を記憶手段に記憶させることを特徴とする。
【0012】
請求項7記載の発明は、請求項1記載の車両用制御システムにおいて、前記制御手段は、前記検知手段で検知された連続的な信号を通信手段で通信させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、操作検出手段は、操作手段の操作量に応じて変位する変位手段と、変位手段の変位量を検知し、当該変位量に応じた連続的な信号を出力する検知手段とを有して構成されるとともに、検知手段で検知された連続的な信号を入力し、当該連続的な信号に対応した所定の制御を行わせる制御手段を備えたので、操作手段の操作量を検出することができ、走行に関する情報をより充実させて活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る車両用制御システムを示すブロック図
図2】同車両用制御システムにおけるクラッチレバー又はブレーキレバーの操作量を検出するための操作検出手段を示す2面図
図3】同操作検出手段を示す断面図
図4】同車両用制御システムにおけるフットブレーキの操作量を検出するための操作検出手段を示す正面図
図5】同操作検出手段を示す断面図
図6】同車両用制御システムにおけるシフトペダルの操作量を検出するための操作検出手段を示す2面図
図7】同操作検出手段を示す断面図
図8】同操作検出手段における変位手段と検知手段の位置関係を示す模式図
図9】同車両用制御システムにおけるステアリングの操作量を検出するための操作検出手段を示す3面図
図10】同操作検出手段を示す断面図
図11】本実施形態に係る車両用制御システムの検知手段から出力される出力電圧を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る車両用制御システムは、二輪車(車両)に配設されたブレーキレバー等の操作手段に対する操作を検出するためのもので、図1に示すように、操作手段としてのクラッチレバーa、ブレーキレバーb、ブレーキペダルc、シフトペダルd及びステアリングeと、操作検出手段としてのクラッチ検出手段1、フロントブレーキ検出手段2、フットブレーキ検出手段3、シフト検出手段4及びステアリング検出手段5と、制御手段6とを具備したものである。
【0016】
クラッチレバーa(操作手段)は、二輪車のハンドルバーにおける左側の把持グリップ近傍に取り付けられ、運転者が把持グリップを把持しつつ揺動操作することによりクラッチ操作可能な操作レバーから成り、ブレーキレバーb(操作手段)は、二輪車のハンドルバーにおける右側のスロットルグリップ近傍に取り付けられ、運転者がスロットルグリップを把持しつつ揺動操作することにより前輪に対するブレーキ操作可能な操作レバーから成る。
【0017】
クラッチ検出手段1及びフロントブレーキ検出手段2は、クラッチレバーa及びブレーキレバーbに対する操作を検出するためのもので、図2、3に示すように、変位手段(1a、2a)と、検知手段(1b、2b)と、スプリングS1と、ケースC1とを有して構成されている。ケースC1は、二輪車におけるクラッチレバーa及びブレーキレバーbの近傍に取り付けられ、内部に変位手段(1a、2a)が変位可能に収容されている。
【0018】
変位手段(1a、2a)は、クラッチレバーa及びブレーキレバーbの操作量に応じて変位するもので、クラッチレバーa及びブレーキレバーbが揺動操作されると、その一部に押圧され、スプリングS1の付勢力に抗して図3中右側に向かって直線状に摺動(変位)可能とされている。かかる変位手段(1a、2a)は、所定位置に磁石M1が取り付けられており、変位手段(1a、2a)と共に磁石M1が変位するよう構成されている。
【0019】
磁石M1は、変位手段(1a、2a)の変位方向に異極(例えば、部位M1aがS極、部位M1bがN極、或いは部位M1aがN極、部位M1bがS極)が並ぶように配設されており、変位手段(1a、2a)の変位に伴って検知手段(1b、2b)に及ぼされる磁気が変化し得るようになっている。なお、磁石M1は、永久磁石の他、変位手段(1a、2a)の所定位置を着磁させたもの等であってもよい。
【0020】
検知手段(1b、2b)は、変位手段(1a、2a)の変位量を検知し、当該変位量に応じた連続的な信号を出力するもので、本実施形態においては、基板Kに取り付けられたホールIC(磁気センサ)から成る。かかるホールICは、磁石M1からの磁気変化に応じた出力電圧を得るもので、ケースC1内における磁石M1と対峙する位置に固定されている。なお、検知手段(1b、2b)は、配線hにより車両側の制御手段6と電気的に接続されており、得られた出力電圧(変位量に応じた連続的な信号)が制御手段6に出力されるよう構成されている。
【0021】
しかして、クラッチレバーa又はブレーキレバーbが揺動操作されて変位手段(1a、2a)がケースC1内で摺動(変位)し、それに伴って磁石M1が変位して検知手段(1b、2b)に及ぼされる磁気が変化すると、図11に示すように、検知手段(1a、1b)にて直線状の出力電圧を得ることができる。すなわち、クラッチレバーa又はブレーキレバーbに対する操作量α、β、γのそれぞれの出力電圧をグラフ上にプロットして線で結ぶと、同図で示すように、変位手段(1a、2a)の変位量(クラッチレバーa又はブレーキレバーbに対する操作量α、β、γ)に応じた連続的な信号が得られるのである。
【0022】
ブレーキペダルc(操作手段)は、二輪車における運転者の足下の位置に取り付けられ、運転者が足で踏み込んで揺動操作することにより後輪に対するブレーキ操作可能な操作レバーから成る。フットブレーキ検出手段3は、ブレーキペダルcに対する操作を検出するためのもので、図4、5に示すように、変位手段3aと、検知手段3bと、スプリングS2と、ケースC2とを有して構成されている。ケースC2は、二輪車におけるブレーキペダルcの近傍に取り付けられ、内部に変位手段3aが変位可能に収容されている。
【0023】
変位手段3aは、ブレーキペダルcの操作量に応じて変位するもので、フック状部材Hを有する軸部材Lに取り付けられている。フック状部材Hは、その一端が軸部材Lに取り付けられるとともに、他端がブレーキペダルcに取り付けられている。そして、ブレーキペダルcが揺動操作されると、フック状部材Hで連結された軸部材Lが引っ張られ、変位手段3aがスプリングS2の付勢力に抗して図5中右側に向かって直線状に摺動(変位)可能とされている。かかる変位手段3aは、所定位置に磁石M2が取り付けられており、変位手段3aと共に磁石M2が変位するよう構成されている。
【0024】
磁石M2は、変位手段3aの変位方向に異極(例えば、部位M2aがS極、部位M2bがN極、或いは部位M2aがN極、部位M2bがS極)が並ぶように配設されており、変位手段3aの変位に伴って検知手段3bに及ぼされる磁気が変化し得るようになっている。なお、磁石M2は、永久磁石の他、変位手段3aの所定位置を着磁させたもの等であってもよい。
【0025】
検知手段3bは、変位手段3aの変位量を検知し、当該変位量に応じた連続的な信号を出力するもので、本実施形態においては、基板Kに取り付けられたホールIC(磁気センサ)から成る。かかるホールICは、磁石M2からの磁気変化に応じた出力電圧を得るもので、ケースC2内における磁石M2と対峙する位置に固定されている。なお、検知手段3bは、配線hにより車両側の制御手段6と電気的に接続されており、得られた出力電圧(変位量に応じた連続的な信号)が制御手段6に出力されるよう構成されている。
【0026】
しかして、ブレーキペダルcが揺動操作されて変位手段3aがケースC2内で摺動(変位)し、それに伴って磁石M2が変位して検知手段3bに及ぼされる磁気が変化すると、図11に示すように、検知手段3bにて直線状の出力電圧を得ることができる。すなわち、ブレーキペダルcに対する操作量α、β、γのそれぞれの出力電圧をグラフ上にプロットして線で結ぶと、同図で示すように、変位手段3aの変位量(ブレーキペダルcに対する操作量α、β、γ)に応じた連続的な信号が得られるのである。
【0027】
シフトペダルd(操作手段)は、二輪車における運転者の足下の位置に取り付けられ、運転者が足で踏み込んで揺動操作することによりシフト操作可能な操作レバーから成る。シフト検出手段4は、シフトペダルdに対する操作を検出するためのもので、図6~8に示すように、変位手段4aと、検知手段4bと、ケースC3とを有して構成されている。ケースC3は、二輪車におけるシフトペダルdの近傍に取り付けられ、内部に変位手段4aが変位可能に収容されている。なお、図6、7中符号Nは、カバー部材を示している。
【0028】
変位手段4aは、シフトペダルdの操作量に応じて変位するもので、変位部4aaと作動部4abとが一体形成されて成り、カラーDを中心に回転可能に取り付けられている。カラーDは、シフトペダルdの揺動中心である軸部材を挿通し得る挿通孔Daが形成されるとともに、作動部4abは、シフトペダルdに取り付けられている。そして、シフトペダルdが揺動操作されると、変位手段4aが軸e1を中心として回転し、変位部4aaが図8中矢印方向に回動(変位)可能とされている。かかる変位手段4aの変位部4aaは、所定位置に磁石M3が取り付けられており、変位手段4aと共に磁石M3が変位するよう構成されている。
【0029】
磁石M3は、変位手段4aの変位方向に異極(例えば、部位M3aがS極、部位M3bがN極、或いは部位M3aがN極、部位M3bがS極)が並ぶように配設されており、変位手段4aの変位に伴って検知手段4bに及ぼされる磁気が変化し得るようになっている。なお、磁石M3は、永久磁石の他、変位手段4aの所定位置を着磁させたもの等であってもよい。
【0030】
検知手段4bは、変位手段4aの変位量を検知し、当該変位量に応じた連続的な信号を出力するもので、本実施形態においては、基板Kに取り付けられたホールIC(磁気センサ)から成る。かかるホールICは、磁石M3からの磁気変化に応じた出力電圧を得るもので、ケースC3内における磁石M3と対峙する位置に固定されている。なお、検知手段4bは、配線hにより車両側の制御手段6と電気的に接続されており、得られた出力電圧(変位量に応じた連続的な信号)が制御手段6に出力されるよう構成されている。
【0031】
しかして、シフトペダルdが揺動操作されて変位手段4aがケースC3内で回動(変位)し、それに伴って磁石M3が変位して検知手段4bに及ぼされる磁気が変化すると、図11に示すように、検知手段4bにて直線状の出力電圧を得ることができる。すなわち、シフトペダルdに対する操作量α、β、γのそれぞれの出力電圧をグラフ上にプロットして線で結ぶと、同図で示すように、変位手段4aの変位量(シフトペダルdに対する操作量α、β、γ)に応じた連続的な信号が得られるのである。
【0032】
ステアリングe(操作手段)は、二輪車におけるハンドルバーから成り、運転者が把持して揺動操作することによりステアリング操作可能なものである。ステアリング検出手段5は、ステアリングeに対する操作を検出するためのもので、図9、10に示すように、変位手段5aと、検知手段5bと、ケースC4とを有して構成されている。ケースC4は、二輪車におけるステアリングeの近傍に取り付けられ、内部に変位手段5aが変位可能に収容されている。なお、図9、10中符号Fは、車両に対する取付部材を示している。
【0033】
変位手段5aは、ステアリングeの操作量に応じて変位するもので、ステアリングeの回転中心軸を挿通して取付可能な凹部5aaが形成されたカップ状部材から成る。そして、ステアリングeが回転操作されると、変位手段5aが軸e2を中心として回転(変位)可能とされている。かかる変位手段5aの中央部には、磁石M4が取り付けられており、変位手段5aと共に磁石M4が変位するよう構成されている。
【0034】
磁石M4は、変位手段5aの変位方向(回転方向)に異極が(例えば、周方向にS極とN極とが交互に並ぶように)配設されており、変位手段5aの変位に伴って検知手段5bに及ぼされる磁気が変化し得るようになっている。なお、磁石M4は、永久磁石の他、変位手段5aの所定位置を着磁させたもの等であってもよい。
【0035】
検知手段5bは、変位手段5aの変位量を検知し、当該変位量に応じた連続的な信号を出力するもので、本実施形態においては、基板Kに取り付けられたホールIC(磁気センサ)から成る。かかるホールICは、磁石M4からの磁気変化に応じた出力電圧を得るもので、ケースC4内における磁石M4と対峙する位置に固定されている。なお、検知手段5bは、配線hにより車両側の制御手段6と電気的に接続されており、得られた出力電圧(変位量に応じた連続的な信号)が制御手段6に出力されるよう構成されている。
【0036】
しかして、ステアリングeが回転操作されて変位手段5aがケースC4内で回転(変位)し、それに伴って磁石M4が変位して検知手段5bに及ぼされる磁気が変化すると、図11に示すように、検知手段5bにて直線状の出力電圧を得ることができる。すなわち、ステアリングeに対する操作量α、β、γのそれぞれの出力電圧をグラフ上にプロットして線で結ぶと、同図で示すように、変位手段5aの変位量(ステアリングeに対する操作量α、β、γ)に応じた連続的な信号が得られるのである。
【0037】
制御手段6は、例えば車両に取り付けられたマイコン等から成り、検知手段(1b、2b、3b、4b、5b)で検知された連続的な信号を入力し、当該連続的な信号に対応した所定の制御を行わせるものである。本実施形態に係る制御手段6は、記憶手段7と電気的に接続されており、検知手段(1b、2b、3b、4b、5b)で検知された連続的な信号が、記憶手段7にて記憶されるよう構成されている。記憶手段7は、車両に取り付けられたメモリ等の記憶媒体から成り、検知手段から出力された連続的な信号を記憶するとともに、その信号を任意に出力し得るよう構成されている。
【0038】
また、本実施形態に係る制御手段6は、通信手段8と電気的に接続されており、検知手段(1b、2b、3b、4b、5b)で検知された連続的な信号が、通信手段8にて通信されるよう構成されている。通信手段8は、車両に取り付けられた電波等の送信手段(アンテナやインターフェイス等)から成り、検知手段から出力された連続的な信号を入力するとともに、その信号を任意に送信し得るよう構成されている。
【0039】
さらに、本実施形態に係る制御手段6は、電装部品9と電気的に接続されており、検知手段(1b、2b、3b、4b、5b)で検知された連続的な信号に基づいて電装部品9が制御されるよう構成されている。電装部品8は、車両に取り付けられたブレーキランプ等の各種部品から成り、例えばフロントブレーキ検出手段2やフットブレーキ検出手段3の検知手段2b、3bで検出された連続的な信号に基づいて、ブレーキランプの点灯形態を変化させる(制動力が大きい場合は点滅させたり或いは発光量を大きくするなど)ことができる。
【0040】
本実施形態によれば、操作検出手段(クラッチ検出手段1、フロントブレーキ検出手段2、フットブレーキ検出手段3、シフト検出手段4及びステアリング検出手段5)は、操作手段(a~e)の操作量に応じて変位する変位手段(1a~5a)と、変位手段(1a~5a)の変位量を検知し、当該変位量に応じた連続的な信号を出力する検知手段(1b~5b)とを具備するとともに、検知手段(1b~5b)で検知された連続的な信号を入力し、当該連続的な信号に対応した所定の制御を行わせる制御手段6を備えたので、操作手段(a~e)の操作量を検出することができ、走行に関する情報をより充実させて活用することができる。
【0041】
また、本実施形態に係る制御手段6は、検知手段(1b~5b)で検知された連続的な信号を記憶手段7に記憶させるので、操作手段(a~e)の操作量を記憶させることができ、その記憶した操作手段(a~e)の操作量を走行に関する情報として活用することができる。これにより、走行に関わる種々情報を充実させて記憶することができ、事後的な運転に関する解析や交通事故等の原因の追及等をより詳細に行わせることができる。
【0042】
さらに、本実施形態に係る制御手段6は、検知手段(1b~5b)で検知された連続的な信号を通信手段8で通信させるので、操作手段(a~e)の操作量を通信させることができ、その通信した操作手段(a~e)の操作量を走行に関する情報として活用することができる。これにより、車両間の通信を行わせて走行をより円滑且つ安全に行わせることができる。
【0043】
またさらに、本実施形態に係る制御手段6は、検知手段(1b~5b)で検知された連続的な信号に応じて車両が具備する電装部品9を制御するので、操作手段(a~e)の操作量に応じた電装部品9の制御を行わせることができる。なお、電装部品9は、既述のようにブレーキランプの他、車両が具備する他の電装部品(ターニングランプやヘッドライト等)であってもよい。
【0044】
加えて、本実施形態に係る操作手段は、車両のクラッチ又は前輪ブレーキを操作するクラッチレバーa又はブレーキレバーbから成り、当該クラッチレバーa又はブレーキレバーbの操作角度に応じて変位手段(1a、2a)が変位するので、クラッチレバーa又はブレーキレバーbの操作量を把握して走行に関する情報として活用することができる。また、本実施形態に係る操作手段は、車両の後輪ブレーキを操作するフットブレーキcから成り、当該フットブレーキcの操作角度に応じて変位手段3aが変位するので、フットブレーキcの操作量を把握して走行に関する情報として活用することができる。
【0045】
さらに、本実施形態に係る操作手段は、車両の変速機を操作するシフトペダルdから成り、当該シフトペダルdの操作角度に応じて変位手段4aが変位するので、シフトペダルdの操作量を把握して走行に関する情報として活用することができる。またさらに、本実施形態に係る操作手段は、車両を操舵するためのステアリングeから成り、当該ステアリングeの操作角度に応じて変位手段5aが変位するので、ステアリングeの操作量(操舵角)を把握して走行に関する情報として活用することができる。
【0046】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば変位手段(1a~5a)の変位量を検知し、当該変位量に応じた連続的な信号を出力する検知手段(1b~5b)は、磁石M1~M4の磁界変化を利用したものの他、変位手段(1a~5a)の変位に伴って電流の変化や光の変化を生じさせ、その変化に基づいて図11で示すような連続的な信号を出力するもの等であってもよい。
【0047】
また、操作手段(a~e)は、本実施形態の如くクラッチレバーa、ブレーキレバーb、ブレーキペダルc、シフトペダルd及びステアリングeに限定されるものでなく、二輪車(車両)が具備する他の操作手段であってもよい。さらに、制御手段6で制御される対象は他の構成部品であってもよく、車両が具備する種々ロック手段や安全機構等を制御するものであってもよい。なお、本実施形態においては、二輪車に適用されているが、自動車等の他の車両に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
操作検出手段は、操作手段の操作量に応じて変位する変位手段と、変位手段の変位量を検知し、当該変位量に応じた連続的な信号を出力する検知手段とを有して構成されるとともに、検知手段で検知された連続的な信号を入力し、当該連続的な信号に対応した所定の制御を行わせる制御手段を備え、変位手段は、前記操作手段の操作量に応じて直線状に変位する車両用制御システムであれば、他の機能が付加されたもの等としてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 クラッチ検出手段
1a 変位手段
1b 検知手段
2 フロントブレーキ検出手段
2a 変位手段
2b 検知手段
3 フットブレーキ検出手段
3a 変位手段
3b 検知手段
4 シフト検出手段
4a 変位手段
4b 検知手段
5 ステアリング検出手段
5a 変位手段
5b 検知手段
6 制御手段
7 記憶手段
8 通信手段
9 電装部品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11