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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019771
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】ダスト処理設備
(51)【国際特許分類】
   F27D 17/00 20060101AFI20240206BHJP
   F23G 5/16 20060101ALI20240206BHJP
   F23G 5/20 20060101ALI20240206BHJP
   F23G 7/06 20060101ALI20240206BHJP
   F27D 25/00 20100101ALI20240206BHJP
   F27B 7/20 20060101ALI20240206BHJP
   C22B 19/30 20060101ALI20240206BHJP
   C22B 1/00 20060101ALI20240206BHJP
   C22B 7/02 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
F27D17/00 104G
F23G5/16 B
F23G5/20 A
F23G7/06 D
F27D17/00 105K
F27D25/00
F27B7/20
C22B19/30
C22B1/00 601
C22B7/02 A
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122433
(22)【出願日】2022-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】000211123
【氏名又は名称】中外炉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087572
【弁理士】
【氏名又は名称】松川 克明
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 嘉文
【テーマコード(参考)】
3K078
3K261
4K001
4K056
4K061
【Fターム(参考)】
3K078AA04
3K078AA05
3K078BA19
3K078CA02
3K261AA05
3K261DA02
3K261DA08
3K261DA13
4K001AA30
4K001BA14
4K001CA16
4K001GA07
4K001HA01
4K056AA09
4K056BA06
4K056CA20
4K056DB03
4K056DB22
4K056DB26
4K056EA01
4K061AA08
4K061BA12
4K061FA02
4K061GA09
4K061HA05
4K061HA07
(57)【要約】
【課題】 亜鉛を含むダストをロータリーキルン内において加熱して、ダストに含まれる亜鉛をガス化させて回収するにあたり、ダストから発生した可燃ガスを、大型設備を使わずに簡単に除去させて、亜鉛を簡単かつ低コストで回収できるようにする。
【解決手段】 亜鉛を含むダストDを回転するロータリーキルン10内で間接加熱させてダストに含まれる亜鉛をガス化させ、ガス化された亜鉛を含む処理ガスGを吸引管30により吸引してロータリーキルンの外部に導き、ガス化された亜鉛を冷却させて亜鉛回収装置において粗酸化亜鉛の状態で回収すると共に、ロータリーキルンの排出側の部分に助燃性気体を吹き込むようにした。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転する筒状になったロータリーキルンの外周側に加熱装置を設け、前記のロータリーキルンの装入側から亜鉛を含むダストをロータリーキルン内に装入させて前記の加熱装置により間接加熱させ、前記のダストに含まれる亜鉛をガス化させてロータリーキルン内から回収すると共に、加熱処理されたダストの残渣をロータリーキルンの排出側における排出口から残渣回収部に排出させるダスト処理設備において、前記のロータリーキルンの排出側にロータリーキルン内においてガス化された亜鉛を吸引口から吸引してロータリーキルンの外部に導く吸引管を設け、前記の吸引管によりロータリーキルンの外部に導かれたガス化された亜鉛を冷却させて亜鉛回収装置に導き、ガス化された亜鉛を前記の亜鉛回収装置において回収すると共に、前記のロータリーキルンの排出側の部分に助燃性気体を吹き込むことを特徴とするダスト処理設備。
【請求項2】
請求項1に記載したダスト処理設備において、前記のロータリーキルンの排出側の部分に吹き込まれた助燃性気体が、前記の吸引管の外周側を通して吸引管の吸引口に導かれ、ロータリーキルン内で加熱処理されたダストから発生した可燃性ガスが、前記の助燃性気体と前記の吸引管の吸引口近傍で混合されて燃焼されることを特徴とするダスト処理設備。
【請求項3】
請求項1に記載したダスト処理設備において、前記の吸引管によりロータリーキルンの外部に導かれたガス化された亜鉛を冷却させるにあたり、前記の吸引管内に冷却用気体を供給して、ガス化された亜鉛を冷却させることを特徴とするダスト処理設備。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか1項に記載したダスト処理設備において、前記の吸引管の内周面に付着した付着物を除去する付着物除去装置を設けたことを特徴とするダスト処理設備。
【請求項5】
請求項4に記載したダスト処理設備において、前記の付着物除去装置として、前記の吸引管の内周面に接触する掻き取り板を吸引管の内部でスライドさせて、吸引管の内周面に付着した付着物を除去するスライド式の付着物除去装置を設けたことを特徴とするダスト処理設備。
【請求項6】
請求項4に記載したダスト処理設備において、前記の付着物除去装置として、前記の吸引管の内周面に接触して回転して、吸引管の内周面に付着した付着物を除去する回転式の付着物除去装置を設けたことを特徴とするダスト処理設備。
【請求項7】
請求項4に記載したダスト処理設備において、前記の付着物除去装置として、前記の吸引管に振動を与えて、吸引管の内周面に付着した付着物を除去する振動式の付着物除去装置を設けたことを特徴とするダスト処理設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電炉製鋼ダスト等の亜鉛を含むダストを処理して、ダストに含まれる亜鉛をガス化させて回収するダスト処理設備に関するものである。特に、亜鉛を含むダストをロータリーキルン内において加熱して、ダストに含まれる亜鉛をガス化させて回収するにあたり、ダストを加熱させて処理する際に発生した可燃ガスを燃焼させて除去させるために、燃焼装置を別に設ける必要がなく、発生した可燃ガスを簡単に燃焼させて除去させ、設備を大型化させずに、ダストに含まれる亜鉛を簡単かつ低コストで回収できるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、電炉製鋼ダスト等の亜鉛を含むダストを加熱処理して、ダストに含まれる亜鉛をガス化させて回収することが行われている。
【0003】
そして、このように亜鉛を含むダストを加熱処理して、ダストに含まれる亜鉛をガス化させて回収するにあたり、特許文献1に示されるものにおいては、製鉄所で発生する亜鉛含有ダストを溶解炉で溶融し溶銑を得るとともに、発生する溶解炉出側ダストを水洗した後、還元剤のコークスと共にロータリーキルン内に装入し、907~1023℃の温度域で還元焙焼させて亜鉛をガス化させ、ガス化された亜鉛をロータリーキルン内から取り出し、ロータリーキルン内に残った残渣を、ロータリーキルン内から取り出して溶解炉に返送して再溶融するようにしたものが提案されている。
【0004】
また、特許文献2、3に示されるように、ロータリーキルン内でガス化された亜鉛を冷却させて凝結させ、バグフィルター等の回収装置によって粗酸化亜鉛として回収して、リサイクルすることが行われている。
【0005】
ここで、特許文献1~3に示されるように、亜鉛を含む溶解炉出側ダストをペレット化させ、907~1023℃の温度域で還元焙焼して亜鉛をガス化させるようにした場合、ガス化された亜鉛の他に、水素ガスや一酸化酸素ガス等の可燃性ガスが発生し、このように可燃性ガスを含んだ状態でガス化された亜鉛を冷却させて粗酸化亜鉛として回収するようにした場合、前記の可燃性ガスが爆発するなどの危険があった。
【0006】
このため、従来においては、ロータリーキルン内から取り出したガス化された亜鉛に含まれる可燃性ガスを燃焼装置において燃焼させた後、燃焼させた後のガスを冷却装置により冷却し、このように冷却させたガスをバグフィルター等の回収装置によって粗酸化亜鉛として回収するようにしており、燃焼装置や冷却装置を別に設けることが必要になり、設備が大型化して、設備コストが高くつき、ダストに含まれる亜鉛を簡単かつ低コストで回収することが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006-241574号公報
【特許文献2】特開2006-328451号公報
【特許文献3】特開平10-339417号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、電炉製鋼ダスト等の亜鉛を含むダストを処理して、ダストに含まれる亜鉛をガス化させて回収するダスト処理設備における前記のような問題を解決することを課題とするものである。
【0009】
特に、本発明においては、亜鉛を含むダストをロータリーキルン内において加熱して、ダストに含まれる亜鉛をガス化させて回収するにあたり、ダストを加熱させて処理する際に発生した可燃ガスを燃焼させて除去させるために、燃焼装置を別に設ける必要がなく、発生した可燃ガスを簡単に燃焼させて除去させ、設備を大型化させずに、ダストに含まれる亜鉛を簡単かつ低コストで回収できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明におけるダスト処理設備においては、前記のような課題を解決するために、回転する筒状になったロータリーキルンの外周側に加熱装置を設け、前記のロータリーキルンの装入側から亜鉛を含むダストをロータリーキルン内に装入させて前記の加熱装置により間接加熱させ、前記のダストに含まれる亜鉛をガス化させてロータリーキルン内から回収すると共に、加熱処理されたダストの残渣をロータリーキルンの排出側における排出口から残渣回収部に排出させるダスト処理設備において、前記のロータリーキルンの排出側にロータリーキルン内においてガス化された亜鉛を吸引口から吸引してロータリーキルンの外部に導く吸引管を設け、前記の吸引管によりロータリーキルンの外部に導かれたガス化された亜鉛を冷却させて亜鉛回収装置に導き、ガス化された亜鉛を前記の亜鉛回収装置において回収すると共に、前記のロータリーキルンの排出側の部分に助燃性気体を吹き込むようにした。ここで、前記の助燃性気体としては、空気を用いることができる。
【0011】
そして、本発明におけるダスト処理設備において、前記のようにロータリーキルンの排出側の部分に助燃性気体を吹き込むと、ロータリーキルン内で発生した前記のガス化された亜鉛が、前記の助燃性気体によってロータリーキルンの排出側に流れるのが防止され、ロータリーキルンの排出側に設けられた排出口を通して亜鉛がダストの残渣と一緒に排出されるのが防止される。
【0012】
また、前記のようにロータリーキルンの排出側の部分に助燃性気体を吹き込むと、ロータリーキルンの排出側の部分に吹き込まれた助燃性気体が、前記の吸引管の外周側を通して吸引管の吸引口に導かれ、ロータリーキルン内で加熱処理されたダストから発生した可燃性ガスが、前記の助燃性気体と前記の吸引管の吸引口近傍で混合されて燃焼されるようになる。このため、加熱処理されたダストから発生した可燃性ガスが、前記のガス化された亜鉛と一緒に吸引管によりロータリーキルンの外部に導かれるのが防止され、ガス化された亜鉛を冷却させて、亜鉛回収装置において粗酸化亜鉛として回収する場合に、前記の可燃性ガスが爆発するのを防止することができる。
【0013】
また、本発明におけるダスト処理設備においては、前記の吸引管によりロータリーキルンの外部に導かれたガス化された亜鉛を冷却させるにあたり、前記の吸引管内に冷却用気体を供給して、ガス化された亜鉛を冷却させるようにすることができる。このように、吸引管によりガス化された亜鉛をロータリーキルンの外部に導き、この吸引管内に冷却用気体を供給してガス化された亜鉛を冷却させるようにすると、ガス化された亜鉛を冷却させるために、水冷装置等の冷却装置を別に設けなくても、簡単にガス化された亜鉛を冷却させることができるようになる。なお、このように吸引管内に冷却用気体を供給しても、ダストから発生した可燃性ガスが吸引管の吸引口近傍で混合されて燃焼されているため、冷却用気体に空気を用いても、可燃性ガスが燃焼するということがない。
【0014】
また、本発明におけるダスト処理設備においては、前記の吸引管の内周面に付着した付着物を除去する付着物除去装置を設けることができる。このようにすると、前記のようにロータリーキルン内においてガス化された亜鉛を吸引口から吸引し、吸引管を通してロータリーキルンの外部に導く場合に、ロータリーキルン内におけるガスが吸引管内で冷却されて、ガス化された亜鉛の一部が粗酸化亜鉛の粉末の状態で吸引管の内周面に付着しても、吸引管の内周面に付着した粗酸化亜鉛の粉末が前記の付着物除去装置によって吸引管の内周面に除去されて、ガス化された亜鉛と一緒に吸引管によりロータリーキルンの外部に導かれて、前記の亜鉛回収装置において回収されるようになる。
【0015】
そして、本発明におけるダスト処理設備において、吸引管の内周面に付着した付着物を除去する付着物除去装置としては、前記の吸引管の内周面に接触する掻き取り板を吸引管の内部でスライドさせて、吸引管の内周面に付着した付着物を除去するスライド式の付着物除去装置、前記の吸引管の内周面に接触して回転して、吸引管の内周面に付着した付着物を除去する回転式の付着物除去装置、前記の吸引管に振動を与えて、吸引管の内周面に付着した付着物を除去する振動式の付着物除去装置等を設けることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明におけるダスト処理設備においては、前記のようにロータリーキルンの排出側に、ロータリーキルン内におけるガス化された亜鉛を吸引口から吸引してロータリーキルンの外部に導く吸引管を設け、前記の吸引管によりロータリーキルンの外部に導かれたガス化された亜鉛を冷却させて亜鉛回収装置に導いて、ガス化された亜鉛を前記の亜鉛回収装置において粗酸化亜鉛の状態で回収すると共に、前記のロータリーキルンの排出側の部分に助燃性気体を吹き込むようにしたため、ロータリーキルン内で発生した前記のガス化された亜鉛が、前記の助燃性気体によってロータリーキルンの排出側に流れるのが防止され、ロータリーキルンの排出側に設けられた排出口を通して亜鉛がダストの残渣と一緒に排出されるのが防止される。
【0017】
また、本発明におけるダスト処理設備において、前記のようにロータリーキルンの排出側の部分に助燃性気体を吹き込むと、ロータリーキルンの排出側の部分に吹き込まれた助燃性気体が、前記の吸引管の外周側を通して吸引管の吸引口に導かれるようになり、ロータリーキルン内で加熱処理されたダストから発生した可燃性ガスが、前記の助燃性気体と前記の吸引管の吸引口近傍で混合されて燃焼されるようになる。
【0018】
この結果、本発明におけるダスト処理設備においては、亜鉛を含むダストをロータリーキルン内において加熱して、ダストに含まれる亜鉛をガス化させて回収するにあたり、ダストを加熱させて処理した際に発生する可燃ガスを燃焼させて除去させるために、燃焼装置を別に設ける必要がなく、発生した可燃ガスを簡単に燃焼させて除去させることがてき、設備を大型化させずに、ダストに含まれる亜鉛を簡単かつ低コストで回収できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係るダスト処理設備において、亜鉛を含むダストをロータリーキルン内で間接加熱させ、ダストに含まれる亜鉛をガス化させてロータリーキルン内から吸引管により亜鉛回収装置に導いて亜鉛を回収する状態を示した概略説明図である。
図2】前記の実施形態に係るダスト処理設備において、前記の吸引管の内周面に付着した付着物を除去する付着物除去装置の第1の例を示した部分概略説明図である。
図3】前記の実施形態に係るダスト処理設備において、前記の吸引管の内周面に付着した付着物を除去する付着物除去装置の第2の例を示し、(A)は部分概略説明図、(B)は吸引口の側面の拡大図である。
図4】前記の実施形態に係るダスト処理設備において、前記の吸引管の内周面に付着した付着物を除去する付着物除去装置の第3の例を示した部分概略説明図である。
図5】前記の実施形態に係るダスト処理設備において、前記の吸引管の内周面に付着した付着物を除去する付着物除去装置の第4の例を示した部分概略説明図である。
図6】前記の実施形態に係るダスト処理設備において、前記の吸引管の内周面に付着した付着物を除去する付着物除去装置の第5の例を示し、(A)はた部分概略説明図、(B)は(A)におけるX―X線の断面を示した拡大断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係るダスト処理設備を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明に係るダスト処理設備は、下記の実施形態に示したものに限定されず、発明の要旨を変更しない範囲において、適宜変更して実施できるものである。
【0021】
この実施形態に係るダスト処理設備においては、図1に示すように、筒状になったロータリーキルン10を回転装置(図示せず)によって回転させ、このロータリーキルン10の軸方向片側の装入側に材料導入部11を設け、この材料導入部11を通して、ダスト供給装置20により被処理物となる電炉製鋼ダスト等の亜鉛を含むダストDをロータリーキルン10内に装入(投入)させると共に、還還元剤であるコークスCも一緒にロータリーキルン10内に装入させるようにしている。
【0022】
また、前記のロータリーキルン10の外周側に、ロータリーキルン10の内部を間接加熱させる加熱装置12を設け、回転するロータリーキルン10内において前記のダストDとコークスCとを混合させながら、前記の加熱装置12によって間接加熱させて、ロータリーキルン10の軸方向反対側の排出側に移動させるようにしている。
【0023】
ここで、前記のようにロータリーキルン10内に装入されたダストDとコークスCとを混合させて間接加熱させると、前記のダストDがコークスCにより還元状態で加熱されるようになり、ダストDに含まれる亜鉛や揮発性の可燃成分がガス化されるようになる。
【0024】
そして、前記のように加熱処理されてダストDに含まれる亜鉛や揮発性の可燃成分をガス化させた後のダストDの残渣を、ロータリーキルン10の排出側における排出口13から残渣回収部14に排出させて回収するようにしている。
【0025】
また、前記のようにダストDを加熱処理することにより、ロータリーキルン10内でガス化された亜鉛や可燃性ガス等を含む処理ガスGを、ロータリーキルン10の排出側に設けられた残渣回収部14を貫通して設けられた吸引管30の吸引口31から吸引させるようにしている。
【0026】
ここで、この実施形態に係るダスト処理設備においては、前記のようにロータリーキルン10内でガス化された亜鉛や可燃性ガス等を含む処理ガスGを吸引管30の吸引口31から吸引させるにあたり、空気供給管40から助燃性気体の空気Airをロータリーキルン10の排出側に設けた残渣回収部14を通してロータリーキルン10内部に向けて吹き込み、前記の吸引管30の外周側を通して吸引管30の吸引口31に導くようにしている。
【0027】
なお、助燃性気体としては、空気以外の酸素含有ガスや酸素等を使用することができる。
【0028】
このようにすると、残渣回収部14を通してロータリーキルン10内部に吹き込まれた空気Airにより、前記の処理ガスGが残渣回収部14に流れるのが抑制されて、ガス化された亜鉛がダストDの残渣と一緒に残渣回収部14に排出されるのが防止されると共に、吸引管30の外周側を通して吸引管30の吸引口31に導かれた空気Airが、吸引口31を通して吸引される前記の処理ガスGと吸引口31の近傍において混合され、前記の処理ガスGに含まれる可燃性ガスが可燃性ガスの自然着火温度以上の高温となっている吸引口31の近傍や吸引管30の内部で自然着火して燃焼されて可燃性を失い、安全に取り扱いできるようになる。
【0029】
そして、このように可燃性ガスが燃焼された後の処理ガスGを、前記の吸引管30を通してロータリーキルン10の外部に設けられた冷却装置50に導き、この冷却装置50においてガス化された亜鉛を含む処理ガスGを冷却させて亜鉛を固化させた後、この処理ガスGをバクフィルター等の亜鉛回収装置60に導き、固化された亜鉛を、亜鉛回収装置60により粗酸化亜鉛の状態で回収容器61に回収すると共に、残りの処理ガスGを排気させるようにしている。
【0030】
ここまでの一連の気体の流れは、空気供給管40から流入した空気によって生じているが、必要に応じて、図示していないが、送風ファンや吸引ファンを用いるようにしてもよい。
【0031】
ここで、前記のように可燃性ガスが燃焼された後の処理ガスGを前記の吸引管30を通して冷却装置50に導き、この冷却装置50においてガス化された亜鉛を含む処理ガスGを冷却させる場合、冷却装置50に導かれる処理ガスGには可燃性ガスが含まれていないため、この冷却装置50としては、従来のような水冷式等の冷却装置を用いなくても、前記の吸引管30内に冷却用空気等の冷却用気体を吹き込むようにして、処理ガスGを冷却させるようにすることができ、冷却装置50の設備やコストを低減させることができる。
【0032】
また、この実施形態に係るダスト処理設備において、前記のように可燃性ガスが燃焼された後のガス化された亜鉛を含む処理ガスGが、吸引管30を通してロータリーキルン10の外部に導かれる途中において、前記の処理ガスGの温度が低下して、処理ガスGに含まれるガス化された亜鉛が、吸引管30の内周面に付着してたまるのを防止するため、図2図4に示すように、吸引管30の内周面に付着した付着物xを除去する付着物除去装置70を設け、この付着物除去装置70によって吸引管30の内周面から付着物xを除去し、除去した付着物xを前記の処理ガスGと一緒に吸引管30内を通してロータリーキルン10の外部に導くようにすることが好ましい。
【0033】
ここで、図2(A),(B)に示す付着物除去装置70においては、処理ガスGを前記のロータリーキルン10内から外部に導く吸引管30の横長部分において、吸引管30の内周面の一部に接触する掻き取り板71aを先端部に取り付けたスライド部材71を設け、このスライド部材71を吸引管30の外部に設けたスライド装置72によって吸引管30内においてスライドさせ、吸引管30の内周面の一部に接触する前記の掻き取り板71aにより、吸引管30の内周面に付着した付着物xを除去するようにし、前記の掻き取り板71aには、処理ガスGが流れるように流通孔71bを設けている。
【0034】
また、図3に示す付着物除去装置70においては、処理ガスGを前記のロータリーキルン10内から外部に導く吸引管30の横長部分において、吸引管30の内周面の一部に接触するようにしてスクリュウ羽根73を吸引管30の内部に沿って設け、吸引管30の外部に設けた回転装置74から吸引管30の内部に挿入させた回転軸74aに前記のスクリュウ羽根73の端部を取り付け、前記のスクリュウ羽根73の一部が吸引管30の内周面に接触するようにして、前記の回転装置74によりスクリュウ羽根73を吸引管30内において回転させ、吸引管30の内周面に付着した付着物xをスクリュウ羽根73によって除去するようにしている。
【0035】
また、図4に示す付着物除去装置70においては、処理ガスGを前記のロータリーキルン10内から外部に導かれた吸引管30の横長部分に、吸引管30を振動させる振動装置75を設け、この振動装置75により吸引管30を振動させて、吸引管30の内周面に付着した付着物xを除去するようにしている。
【0036】
また、図5に示す付着物除去装置70においては、処理ガスGを前記のロータリーキルン10内から外部に導く前記の吸引管30の横長部分の内側に、吸引穴32を施した内管33を設け、その端面34から吸引管30の外部に延長したシャフト35の端部36を、エアハンマーなどの衝撃装置76に設けられたハンマー77で叩くことにより、内管33の内周面に付着した付着物xを除去するようにしている。なお、このようにハンマー77でシャフト35の端部36を叩いて内管33に衝撃を加えた場合においても、その衝撃が吸引管30に伝わらないようにするため、吸引管30の外側にスプリングケース37を設け、このスプリングケース37内を挿通するシャフト35に施したツバ38を、スプリング39で両側から保持するようにしている。
【0037】
また、図6(A),(B)に示す付着物除去装置70においては、前記の吸引管30の横長部分の内側に内管33を設けるようにし、この内管33の内部にセラミックボール78を入れ、この内管33をその端面34から吸引管30の外部に延長した回転軸74aを介して回転装置74によって回転させ、内管33内で転がるセラミックボール78どうしが常に摩擦することによって、付着物xが内管33の内周面に付着しないようにしている。
【0038】
そして、図6(A),(B)に示す付着物除去装置70においては、内管33の内部に入れたセラミックボール78が吸引管30から落下しないように、吸引管30の吸引口31に堰79を設ける一方、これによって吸引口31の開口が少なくなるので、吸引口31の上部における吸引管30に切欠き部80を設けて、開口面積を広くしている。また、前記の内管33には吸引穴32を複数設け(図6(B)に示す例では3か所)、内管33が回転しても、処理ガスGが吸引管30に常時流れるようにしている。
【符号の説明】
【0039】
10 :ロータリーキルン
11 :材料導入部
12 :加熱装置
13 :排出口
14 :残渣回収部
20 :ダスト供給装置
30 :吸引管
31 :吸引口
32 :吸引穴
33 :内管
34 :端面
35 :シャフト
36 :端部
37 :スプリングケース
38 :ツバ
39 :スプリング
40 :空気供給管
50 :冷却装置
60 :亜鉛回収装置
61 :回収容器
70 :付着物除去装置
71 :スライド部材
71a :掻き取り板
71b :流通孔
72 :スライド装置
73 :スクリュウ羽根
74 :回転装置
74a :回転軸
75 :振動装置
76 :衝撃装置
77 :ハンマー
78 :セラミックボール
79 :堰
80 :切欠き部
Air :空気(助燃性気体)
C :コークス
D :ダスト
G :処理ガス
x :付着物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-04-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係るダスト処理設備において、亜鉛を含むダストをロータリーキルン内で間接加熱させ、ダストに含まれる亜鉛をガス化させてロータリーキルン内から吸引管により亜鉛回収装置に導いて亜鉛を回収する状態を示した概略説明図である。
図2】前記の実施形態に係るダスト処理設備において、前記の吸引管の内周面に付着した付着物を除去する付着物除去装置の第1の例を示し、(A)は部分概略説明図、(B)は吸引口の側面の拡大図である
図3】前記の実施形態に係るダスト処理設備において、前記の吸引管の内周面に付着した付着物を除去する付着物除去装置の第2の例を示した部分概略説明図である
図4】前記の実施形態に係るダスト処理設備において、前記の吸引管の内周面に付着した付着物を除去する付着物除去装置の第3の例を示した部分概略説明図である。
図5】前記の実施形態に係るダスト処理設備において、前記の吸引管の内周面に付着した付着物を除去する付着物除去装置の第4の例を示した部分概略説明図である。
図6】前記の実施形態に係るダスト処理設備において、前記の吸引管の内周面に付着した付着物を除去する付着物除去装置の第5の例を示し、(A)はた部分概略説明図、(B)は(A)におけるX―X線の断面を示した拡大断面図である。