(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019772
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】集風型垂直軸風車
(51)【国際特許分類】
F03D 3/04 20060101AFI20240206BHJP
【FI】
F03D3/04 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122434
(22)【出願日】2022-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】521518910
【氏名又は名称】合同会社加速流グリーンパワー研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100133411
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 龍郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067677
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 彰司
(72)【発明者】
【氏名】浅井 壮一郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 邦光
(72)【発明者】
【氏名】清徳 則雄
(72)【発明者】
【氏名】吉場 康隆
(72)【発明者】
【氏名】山田 浩司
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA12
3H178AA40
3H178AA43
3H178BB31
3H178DD28X
(57)【要約】
【課題】
羽根の回転に有効な羽根車の面である羽根の受風面に風を効率よく誘導し、風力を効率よく利用し、羽根車の回転及び発電効率を高めた集風型垂直軸風車を提供する。
【解決手段】
垂直軸に適数の羽根が形成された羽根車と、該羽根車を覆い風流入口及び風流出口が形成されたケーシングと、からなり、前記風流入口は羽根車を形成する4分の1の羽根の受風面に向けて形成され、前記風流出口は前記回転軸と同方向に形成され、好ましくは、外側周囲に外側集風体を設けた集風型垂直軸風車。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直軸に適数の羽根が形成された羽根車と、該羽根車を覆い風流入口及び風流出口が形成されたケーシングと、からなり、前記風流入口は前記羽根車を形成する4分の1の羽根の受風面に向けて形成され、前記風流出口は前記回転軸と同方向に向けて形成されたことを特徴とする集風型垂直軸風車。
【請求項2】
前記風流出口を前記風流入口と同じ方向に形成したことを特徴とする請求項1に記載の集風型垂直軸風車。
【請求項3】
垂直軸に適数の羽根が形成された羽根車と、該羽根車を覆い風流入口及び風流出口が形成されたラバール管形状のケーシングと、からなり、風向きに対して羽根が逆向きとなる羽根車の外周部のケーシングを円弧状に形成するとともに該円弧状部の外周に風分入路を形成し、該風分入流路を風向きに対して羽根が逆向きとなるケーシングの内部に延長して該延長部の端部に第2の風流出口を形成したことを特徴とする集風型垂直軸風車。
【請求項4】
前記第2の風流出口にラバール管を連結したことを特徴とする請求項3に記載の集風型垂直軸風車。
【請求項5】
前記集風型垂直軸風車の外側周囲に外側集風体を設けたことを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の集風型垂直軸風車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は羽根の回転に有効な羽根車の面である羽根の受風面に風を効率よく誘導し、風力を効率よく利用し、発電効率を高めた集風型垂直軸風車に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化防止が叫ばれて、新しいクリーンエネルギーの開発が急務となっている。該クリーンエネルギーの一つとして注目されているのがCO2を排出しない風力発電システムである。しかしながら、風力発電は現状では石油代替えエネルギーとしての位置は低い。風力エネルギーを有効に捕捉する手段の開発が望まれる。
【0003】
現状の風力発電システムは揚力型のプロペラ式風車(水平軸風車)が主流となっている。このプロペラ式風車の場合は長大なブレード(プロペラ翼)を必要とするとともに、そのエネルギー効率は40%前後であり、風力エネルギーの40%前後を捕捉しているのが現状である。ちなみに理論的最高効率は59.3%(ベッツの法則)である。
【0004】
従来、垂直軸風車では、効率が20乃至40%と低いことを改良する目的で、風向きに直角な軸の周囲にバケット型の羽根を任意数突設し、風向きに対してバケットが逆向きとなる羽根車の外周部を円弧状の遮蔽板で遮蔽すると共に分流路を設けて羽根の背面にも噴射加速するようにした風塔装置を塔形フレームに取り付け、風車装置に取り付けた垂直尾翼により風向きに風車装置を対向誘導して羽根車を高速回転させながら発電機を回転させて電力を得る風力発電装置が提案されている(特許文献1)。
【0005】
この提案は風の主流路の他に分流路を設けて二流路を合流させることにより風車の効率アップを目的としている。さらに風向きに風車装置を対向誘導するために垂直尾翼を構成している。
【0006】
他に、風向きに対向するように一点で支えたフレームに、2つの1対の縦型の風車をフードプレートとウエッジノーズとで風の増速流路を構成してセットし、両方の風車に出て来る出力を傘歯車によって1本の軸に合流して発電機を駆動させるツイン風車式発電装置が提案されている(特許文献2)。しかし、特許文献1や2に記載の提案では、羽根の回転に有効な受風面の効率を上げることが十分にできない、という問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭52-1251号公報
【特許文献2】特開平9-242658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、上述の従来技術の問題点を解決することにあり、羽根の回転に有効な受風面の効率を上げた集風型垂直軸風車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の集風型垂直軸風車は、垂直軸に適数の羽根が形成された羽根車と、該羽根車を覆い風流入口及び風流出口が形成されたケーシングと、からなり、前記風流入口は前記羽根車を形成する4分の1の羽根の受風面に向けて形成され、前記風流出口は前記回転軸と同方向に形成されてなることを特徴とする(請求項1)。
【0010】
前記の本発明の集風型垂直軸風車は、風流入口から供給された風が羽根車を形成する4分の1の羽根の受風面に効率よく誘導されるとともに風流がケーシングによって全部の羽根に当てられて羽根車を回転させて回転軸と同方向に形成された風流出口から排出される。
【0011】
すなわち、風流入口からケーシングに供給された風によって羽根車が回転させられて直角方向の風流出口から排出される。そして羽根車の回転に伴い回転軸に連係させられた発電機によって発電が行われる。
【0012】
本発明の実施の一形態は、前記風流出口を前記風流入口と同方向に形成したことを特徴とする(請求項2)。
【0013】
この実施の一形態によれば、風流入口に供給された風は羽根車を回転させた後、風の流入方向と同方向に形成された風流出口から排出される。すなわち、出口の風流と入口の風流及び集風が垂直軸風車の外側の風流を同方向とすることにより迅速に風流出口から排出させられる。そして、羽根車の回転に伴い回転軸に連係させられた発電機によって発電が行われる。
【0014】
本発明の集風型垂直軸風車の実施の一形態は、垂直軸に適数の羽根が形成された羽根車と、該羽根車を覆い風流入口及び風流出口が形成されたラバール管状のケーシングと、からなり、風向きに対して羽根が逆向きとなる羽根車の外周部のケーシングを円弧状に形成するとともに該円弧状部の外周に風流入路を形成し、該風流入路を風向きに対して羽根が逆向きとなるケーシングの内部に延長して該延長部の端部に第2の風流出口を形成したことを特徴とする(請求項3)。
【0015】
前記の実施の一形態によれば、ケーシングがラバール管状に形成されていることから風がケーシングの風流入口から羽根車の設置された位置までの間で直線的若しくは曲線的に縮小するように形成された風流入口とその縮小した位置から風流出口までの間で直線的若しくは曲線的に拡大するように形成された風流出口に供給されてケーシングの風車に当たる部分の風速を上げて羽根車の回転効率を向上せしめて発電電力が高められる。
【0016】
同時に風分流路からの風が風向きに対して逆向きの羽根に供給されて羽根車の回転に寄与して第2の風流出口から排出される。すなわち、前記風流入路からの風は前記風流入口に供給される加速された風に合流させられることなく羽根車の回転に寄与した後に第2の風流出口から排出されて羽根車の回転効率を向上させる。この実施の一形態は、ラバール管状のケーシングによって加速された風に風分流路からの加速されていない風を合流させないことを特徴とする。
【0017】
本発明の実施の一形態は、前記第2の風流出口にラバール管を連結したことを特徴とする(請求項4)。この実施の一形態によれば、第2の風流出口に連結したラバール管の高められた風速の働きで該第2の風流出口からの風が吸引排出される。したがって、風向きに対して逆向きの羽根が加速されて羽根車の回転効率を向上させるものである。
【0018】
本発明の実施の一形態は、前記集風型垂直軸風車の外側周囲に外側集風体を設けたことを特徴とする(請求項5)。外側集風体を設けることにより、集風型垂直軸風車の集風及び排出効果が高められて羽根車の回転効率が向上させられる。
【0019】
なお、外側集風体は集風型垂直軸風車を覆う形状とされ、該形状としては途中の断面積を縮小したラバール管形状、途中の断面積を縮小しないストレート管形状、その他、集風型垂直軸風車の集風及び排出効果を高める形状とされる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、回転に有効な羽根車の面である羽根の受風面に風を効率よく誘導し、風力を効率よく利用し、羽根車の回転及び発電効率を高めた集風型垂直軸風車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の集風型垂直軸風車の正面断面図である。
【
図2】
図1の集風型垂直軸風車の側面断面図である。
【
図3】
図1の風流入口を拡大した状態を示す正面断面図である。
【
図4】
図2の風流出口の変形例を示す側面断面図である。
【
図5】他の実施の一形態を示す集風型垂直軸風車の正面断面図である。
【
図6】さらに他の実施の一形態を示す集風型垂直軸風車の正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に図面に基づいて本発明の実施の一形態を説明する。
【0023】
図1は本発明の集風型垂直軸風車の正面断面図、
図2は同側面断面図である。
【0024】
図中、1は垂直軸2に適数の羽根3が形成された羽根車であり、図中、4は該羽根車1を覆うケーシングである。まず、該ケーシング4には前記羽根車1を形成する4分の1の羽根の受風面に向けて風流入口5が形成される。
【0025】
さらに、ケーシング4には風流出口6が前記回転軸2と同方向に向けて形成される。図面実施例では、風流出口6がケーシング4の内部に延長させられて延長部6aが干渉しないように羽根3が削られて風の吹き抜けを防止している。
【0026】
図中、13は前記集風型垂直軸風車の外側周囲に設けた外側集風体であり、図面実施例では途中の断面積を縮小したラバール管形状に形成している。なお、外側集風体は途中の断面積を縮小しないストレート管形状であってもよい。また、断面形状は矩形、円形あるいは楕円形、その他、集風型垂直軸風車の集風及び排出効果を高める形状とされる。
【0027】
図3は
図1の風流入口5の入口を拡大した状態を示す正面断面図である。同図に示すように風流入口5の入口を拡大すると集風効果及び羽根車の回転効率を高めることができる。
【0028】
また、
図4は、風流出口6の変形例を示す側面断面図である。同図では風流出口6の出口をラバール管形状に形成しており羽根車1の回転後の風の排出効果及び羽根車1の回転効率を高めることができる。
【0029】
前記集風型垂直軸風車は、好ましくは、使用時に公知の手段により風流入口
5が風向きに対向移動させられる。具体的には本体部を一本の支柱で回動自在に支持するとともに本体部の風流入口5と反対側に、例えば風見羽根などを延長して設けるなどの方法により行われる。
【0030】
前記構成の集風型垂直軸風車では、風流入口5に供給された風がケーシング4によって羽根車1を形成する4分の1の羽根3に受風面に効率よく誘導するだけでなく、ケーシング4によって風流が全部の羽根3に当てられて羽根車1を回転させて回転軸2と同方向に形成された風流出口6から排出される。そして、羽根車1の回転に伴い回転軸2に連係させられた発電機によって発電が行われる。
【0031】
図5は他の実施の一形態を示し、風流出口を風流入口と同方向に形成した正面断面図である。この実施の一形態は風流出口6に風流を変えるエルボウ管12を連結してなる。
【0032】
したがって、風流入口5に供給された風はケーシング4によって風流が全部の羽根3に当てられて羽根車1を回転させた後、エルボウ管12によって、風の流入方向と同方向に排出される。すなわち、出口の風流と入口の風流及び集風が垂直軸風車の外側の風流と同方向とすることにより迅速に風流出口6であるエルボウ管12から排出させられる。そして、羽根車1の回転に伴い回転軸2に連係させられた発電機によって発電が行われる。
【0033】
なお、図中、13は外側集風体であり、図面実施例では途中の断面積を縮小したラバール管形状に形成している。なお、外側集風体は途中の断面積を縮小しないストレート管形状であってもよい。また、断面形状は矩形、円形あるいは楕円形、その他、集風型垂直軸風車の集風及び排出効果を高める形状とされる。
【0034】
この実施の一形態においても、好ましくは、使用時に公知の手段により風流入口5が風向きに対向移動させられる。
【0035】
図6はさらに他の実施の一形態を示す正面断面図であり、
図7は
図6の集風型垂直軸風車の側面図である。
【0036】
なお、前記実施の一形態と同一部分には同一符号を付している。
【0037】
垂直軸2に適数の羽根3が形成された羽根車1と該羽根車1を覆い風流入口5及び風流出口6が形成されたラバール管状のケーシンク4からなる。すなわち、該ケーシング4を形成する風流入口5は該風流入口5から羽根車1の設置された位置までの間で直線的若しくは曲線的に縮小するように形成され、該縮小した位置から風流出口6までの間で直線的若しくは曲線的に拡大するように形成されて風速を向上させて羽根車1の回転効率を上げる構成になっている。
【0038】
さらに、風向きに対して羽根3が逆向きとなる羽根車1の外周部のケーシング4に円弧状部7を形成するとともに該円弧状部7の外周に風流入路8を形成し、該風流入路8を風向きに対して羽根3が逆向きとなるケーシング4の内部に延長して該延長部9の端部に第2の風流出口10を形成した構成である。
【0039】
この構成にあっては、風流入路8からの風がその延長部9を通って風向きに対して逆向きの羽根3の背面に供給されて羽根車1の回転に寄与して第2の風流入口10から排出される。すなわち、羽根車1の回転に寄与した風を風流入口5に供給される加速された風に合流させることなく第2の風流出口10からは排出するものである。
【0040】
図中、13は外側集風体であり、図面実施例では途中の断面積を縮小したラバール管形状に形成されている。なお、外側集風体は途中の断面積を縮小しないストレート管形状であってもよい。また、断面形状は矩形、円形あるいは楕円形、その他、集風型垂直軸風車の集風及び排出効果を高める形状とされる。
【0041】
この実施の一形態においても、好ましくは、使用時に公知の手段により風流入口5が風向きに対向移動させられる。
【0042】
図7は前記第2の風流出口10にラバール管11を連結した側面図である。この構成によれば、第2の風流出口10に連結したラバール管11によって高められた風速の働きで該第2の風流出口10からの風が吸引排出される。したがって、風向きに対して逆向きの羽根3が加速されて羽根車1の回転効率が向上させられるものである。
【産業上の利用範囲】
【0043】
本発明は、回転に有効な羽根車の面である羽根の受風面に風を効率よく誘導し、風力を効率よく利用し、羽根車の回転及び発電効率を高めるもので風力発電分野での利用可能性は大である。
【符号の説明】
【0044】
1 羽根車
2 垂直軸
3 羽根
4 ケーシング
5 風流入口
6 風流出口
8 風流入路
10 第2の風流出口
【手続補正書】
【提出日】2023-12-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直軸に適数の羽根が形成された羽根車と、該羽根車を覆い風流入口及び風流出口が形成されたケーシングとからなり、前記風流入口は前記羽根車を形成する4分の1の羽根の受風面に向けて形成され、前記風流出口に設けたエルボウ管によって、前記風流出口を前記風流入口と同じ方向に形成し、前記集風型垂直軸風車の外側周囲に外側集風体を設けたことを特徴とする集風型垂直軸風車。