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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019773
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】ラベル搬送装置及びガイドローラ
(51)【国際特許分類】
   B65H 27/00 20060101AFI20240206BHJP
   B65C 9/18 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
B65H27/00 B
B65C9/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122439
(22)【出願日】2022-08-01
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年5月4日、フジフーズ株式会社/船橋第3工場に納品 令和4年6月8日、デリカウイング株式会社/広島工場に納品 令和4年6月22日、わらべや日洋食品株式会社/東京工場に納品 令和4年7月7日、わらべや日洋食品株式会社/茨城工場に納品
(71)【出願人】
【識別番号】000145068
【氏名又は名称】株式会社寺岡精工
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【弁理士】
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【弁理士】
【氏名又は名称】狩生 咲
(74)【代理人】
【識別番号】100205648
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 真一
(72)【発明者】
【氏名】島袋 透
【テーマコード(参考)】
3E095
3F104
【Fターム(参考)】
3E095BA02
3E095CA02
3E095DA03
3E095DA24
3E095DA62
3E095DA90
3E095EA24
3E095EA34
3E095FA08
3F104AA00
3F104FA02
3F104JA03
3F104JB01
3F104JB05
3F104KA11
3F104KA18
(57)【要約】
【課題】ライナレスラベルの発行工程において、ライナレスラベル用紙の不具合を防ぎ、適切にライナレスラベルを発行できるラベルプリンタを提供する。
【解決手段】ライナレスラベル用紙21を搬送するラベルプリンタは、ライナレスラベル用紙21を下流へ案内するガイドローラ32、を備える。ガイドローラ32は、ライナレスラベル用紙21の粘着面とは反対側の面に接触する本体部321と、本体部321の両端に設けられ、本体部321の軸心方向に対して斜めをなす傾斜面323aが形成されたフランジ323とを有する。
【選択図】図6

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライナレスラベル用紙を搬送するラベル搬送装置であって、
前記ライナレスラベル用紙を下流へ案内するガイドローラ、を備え、
前記ガイドローラは、
前記ライナレスラベル用紙の粘着面とは反対側の面に接触する本体部と、
前記本体部の両端に設けられ、前記本体部の軸心方向に対して斜めをなす傾斜面が形成されたフランジと、を有する、
ラベル搬送装置。
【請求項2】
前記フランジは、外側に底面を向けた円錐台形状を呈する、
請求項1記載のラベル搬送装置。
【請求項3】
前記本体部は、円柱形状を呈し、
前記フランジの前記本体部側の端面は、前記本体部の端面の径と同じ径、又は前記本体部の端面の径よりも小さい径からなる、
請求項2記載のラベル搬送装置。
【請求項4】
前記ガイドローラは、
前記本体部と前記フランジの間に、前記本体部よりも小径のくびれ部、を有する、
請求項1乃至3いずれかの項に記載のラベル搬送装置。
【請求項5】
ライナレスラベル用紙を下流へ案内するガイドローラであって、
前記ライナレスラベル用紙の粘着面とは反対側の面に接触する本体部と、
前記本体部の両端に設けられ、前記本体部の軸心方向に対して斜めをなす傾斜面が形成されたフランジと、を有する、
ガイドローラ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライナレスラベルを発行可能なラベル搬送装置、及びライナレスラベル用紙の搬送に用いられるガイドローラに関する。
【背景技術】
【0002】
フィルムにより包装されたサンドイッチ、おにぎり等には、商品名や値段を印字したラベルが貼付される。ラベルの発行過程においては、ラベルを被貼付物に貼付した後、台紙が破棄されるが、台紙の廃棄量が相当量になるため台紙レス化が望まれていた。
【0003】
この点、特許文献1では、粘着剤で形成された粘着層を最下層に有し、該粘着剤に対して剥離性を有する剥離層を最上層に有する積層体からなるロール状に巻回された台紙なしラベル本体を備え、前記台紙なしラベル本体のうち、ロール状に巻回されている前記剥離層は除去されず、ロール状に巻回されていない前記剥離層が少なくとも除去されてなる台紙なしラベルが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-156707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、台紙のないラベル、所謂ライナレスラベルを連設させたライナレスラベル用紙は、発行時に粘着面がむき出しになるため適切にラベルを発行するのが難しかった。
【0006】
そこで本発明は、ライナレスラベルの発行工程において、ライナレスラベル用紙の不具合を防ぎ、適切にライナレスラベルを発行できるラベル搬送装置及びライナレスラベル用紙の搬送に用いられるガイドローラを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係るラベル搬送装置は、ライナレスラベル用紙を搬送するラベル搬送装置であって、前記ライナレスラベル用紙を下流へ案内するガイドローラ、を備え、前記ガイドローラは、前記ライナレスラベル用紙の粘着面とは反対側の面に接触する本体部と、前記本体部の両端に設けられ、前記本体部の軸心方向に対して斜めをなす傾斜面が形成されたフランジと、を有する。
【0008】
なお、上記本発明に係るラベル搬送装置を構成する機能部は、同様の構成を有する方法、システム、あるいはコンピュータプログラムに係る発明として構成することもできる。また、コンピュータプログラムは、インターネット等のネットワークを介したダウンロードによって提供したり、CD-ROMなどのコンピュータ読取可能な各種の記録媒体に記録して提供したりすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ライナレスラベルの発行工程において、ライナレスラベル用紙の不具合を防ぎ、適切にライナレスラベルを発行できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係るラベルプリンタの物理的構成を模式的に示した模式図である。
図2】本発明の実施形態に係るラベルプリンタに用いられるライナレスラベル用紙を示した平面図である。
図3】本発明の実施形態に係るラベルプリンタに用いられるラベルロールを示した斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係るラベルプリンタによって発行されたライナレスラベルが貼付された包装体の一例を示す図であり、(a)は開封前の包装体及びライナレスラベルの一例を示す図であり、(b)は開封途中の包装体及びライナレスラベルの一例を示す。
図5】本発明の実施形態に係るラベルプリンタの電気的構成を示した機能ブロック図である。
図6】本発明の実施形態に係るガイドローラ、及び当該ガイドローラを介して搬送されるライナレスラベル用紙の状態を示した図である。
図7】本発明の実施形態に係るガイドローラの(a)正面図、(b)側面図、(c)A-A矢視断面図である。
図8】本発明の実施形態に係るガイドローラにライナレスラベル用紙が接触している状態を示した模式図である。
図9】本発明の別の実施形態に係るガイドローラの正面図である。
図10】本発明のさらに別の実施形態に係るガイドローラの正面図である。
図11】本発明の実施形態に係るラベルプリンタのサブローラ、及び当該サブローラによって搬送されるライナレスラベル用紙の状態を示した図である。
図12】本発明の実施形態に係るラベルプリンタによって間隙を検出する、第一検出部及び第二検出部の構成を示す概念図であって、(a)は第一検出部、(b)は第二検出部の構成を示す。
図13】本発明の実施形態に係るラベルプリンタによって実行されるラベル発行処理の流れを示した処理フロー図である。
図14】本発明の実施形態に係るラベルプリンタによって実行される異常判別処理の流れを示した処理フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態に係るラベル搬送装置を構成するラベルプリンタ1について、図を参照して説明する。
図1に示されるラベルプリンタ1は、ラベル供給部2にセットしたラベルロール22からライナレスラベル用紙21を繰り出すと共に、テンションローラ31、ガイドローラ32、及びサブローラ33(以下、テンションローラ31、ガイドローラ32、及びサブローラ33をまとめて「フィード部」と称することがある。)を介して印字部4にライナレスラベル用紙21を搬送する。そして、印字部4においてライナレスラベル用紙21に印字を行うと、印字されたライナレスラベル用紙21をカッター部5で切断して図4に示されるような枚葉状のライナレスラベル20を発行し、商品等の被貼付物に当該ライナレスラベル20を貼付する。
【0012】
●ライナレスラベル20
図2は、本実施形態に係るラベルプリンタ1で用いられるライナレスラベル用紙21を示している。ライナレスラベル用紙21は、台紙なしラベル用紙又は台紙レスラベル用紙とも称されるものであり、台紙のないラベル用紙である。このライナレスラベル用紙21は、枚葉状のライナレスラベル20を切断可能に連設させた長尺の用紙であり、図2において左右方向にのみ連続する。
【0013】
ライナレスラベル用紙21の表面は印字面211を構成し、裏面は粘着面212を構成している。
また、ライナレスラベル用紙21は、図3に示されるように、印字面211を外側、粘着面212を内側に向けて紙管23にロール状に巻回されてラベルロール22を構成する。なお、印字面211には剥離加工が適宜に施されており、これによりラベルロール22からライナレスラベル用紙21が引き出されやすいようになっている。
【0014】
ラベルロール22は、ラベルプリンタ1に装着され、ラベルロール22から引き出されたライナレスラベル用紙21は、ラベルプリンタ1によって連設箇所で枚葉状に切断される。枚葉状に形成されたライナレスラベル20は、図4に示されるように、おにぎり等の商品を包装する包装体25(被貼付物)に貼付される。
【0015】
ライナレスラベル用紙21には、ライナレスラベル用紙21の搬送方向に所定の間隔L1でスリット21bが設けられている。スリット21bは、ライナレスラベル用紙21の搬送方向に対して直交する方向、即ちライナレスラベル用紙21の幅方向に所定の間隔L2で複数形成されている。
なお、スリット21bは、搬送方向に長さを有した貫通孔又は薄厚部として形成される。また、スリット21bの数、形状、形成位置、及び間隔等は、包装体25の開封形態に応じて適宜設定される。
【0016】
なお、スリット21bは、ライナレスラベル用紙21の切断位置を調整することにより、ライナレスラベル20の上端部や下端部、あるいは両方に形成できるほか、定位置でライナレスラベル用紙21をカットする場合でも、ライナレスラベル用紙21に設けるスリット21bの位置や形状を予め調整しておくことによって、ライナレスラベル20の上端部や下端部、あるいは両方に形成し、同様のデザインのライナレスラベル20を発行できる。
【0017】
なお、商品としてのおにぎり等の包装体25に貼付されるライナレスラベル20は、包装体25に貼付された状態でその下辺(下端部)と上辺(上端部)にスリット21bが配置されるように発行される。これにより、包装体25の開封用の摘み部251が引っ張られた場合、包装体25は切断予定線252に沿って切断され、切断予定線252上に貼付されたライナレスラベル20もこれに応じて、開封用の摘み部251側の切断が開始される側のスリット21bから他方のスリット21bに向かって切断される。
なお、スリット21bの設け方あるいはライナレスラベル用紙21の切断の仕方次第では、スリット21bはライナレスラベル20の下辺(下端部)又は上辺(上端部)にのみ設けられる。また、包装体25の摘み部251は、図4に示す面の裏側に設けられてもよく、その場合は図示とは逆向きにライナレスラベル20が切断される。
【0018】
また、本実施形態におけるライナレスラベル用紙21は、表面が印字面211を構成し、裏面が粘着面212を構成しているが、これにかかわらず、表面に印字を施さない、即ち表面が印字面211を構成しないライナレスラベル用紙21についても本発明は適用可能である。
【0019】
●間隙21a
ライナレスラベル用紙21において連設するライナレスラベル20間には、ライナレスラベル用紙21の切断箇所であると共に、ライナレスラベル20の連設箇所を検出するための間隙21aが設けられている。ラベルプリンタ1は、後述する第一検出部6及び第二検出部7により間隙21aを検出し、これによりライナレスラベル用紙21の切断箇所たる連設箇所を識別できる。
【0020】
この間隙21aは、ライナレスラベル20が連設する箇所ごとに、ライナレスラベル用紙21の搬送方向に直交する向きの端部に設けられると共に、外側に向かって開放されている。
また、間隙21aは、ライナレスラベル用紙21の幅方向の端部を切り欠いた形状からなるが、図2の例では、前後に連設するうちの一の枚葉状のライナレスラベル20の搬送方向下流側の角部が直角をなし、搬送方向上流側の角部は、間隙21aの幅が外側に向かって徐々に広がるよう、弧状に形成されている。
【0021】
ここで、前後に連設する各ライナレスラベル20について、搬送方向に隣接するライナレスラベル20と連設する中央部分は連設部201を構成する。また、連設部201から搬送方向に直交する向きに延び出している端部(ライナレスラベル用紙21の幅方向の端部)であって、間隙21aが搬送方向の前後に設けられている部分は舌片部202を構成する。
【0022】
なお、図2の例では、ライナレスラベル用紙21の搬送方向に直交する向きの両端部に間隙21aを設けているが、これに限らず、一方の端部にのみ間隙21aを設け、当該一方の端部にのみ設けた間隙21aによって連設箇所を検出することもできる。
また、図2の例では、間隙21aは外側に向かって開放されているが、これに限らず、端部が閉じていてもよく、少なくとも、ライナレスラベル用紙21の幅方向において、ライナレスラベル用紙21の表面から裏面にかけて貫通する部分を設ければ、当該貫通する部分は、連設箇所を検出するための間隙21aを構成することができる。ただし、間隙21aとスリット21bの関係では、搬送方向において、間隙21aの長さよりもスリット21bの長さが長いほうが好適である。即ち、間隙21aはデザイン上、できる限り小さく加工されるため、スリット21bは間隙21aと同じ長さ又はそれ以上の長さであったほうが、包装体25と共に当該包装体25に貼付されたライナレスラベル20をカットするときにカットしやすい。
【0023】
また、間隙21aの幅と長さ、即ち、連設するライナレスラベル20間の距離や、ライナレスラベル用紙21の幅方向における距離は特に限定されないが、当該間隙21aを検出する第一検出部6及び第二検出部7による検出精度、スリット21bを形成する幅などによって適宜に決定される。
また、間隙21aの形状を規定すると共にライナレスラベル20の角部を規定する弧あるいは角の形状は、ライナレスラベル20を貼付する包装体25(被貼付物)の形状に即して決定することができる。したがって、ライナレスラベル20の搬送方向、上流側及び下流側の両方の角部を弧状に形成してもよいし、両方の角部を直角に形成してもよい。また、上流側又は下流側とで弧の曲率半径を変えてもよい。また、本実施形態とは逆に、上流側を直角にし、下流側を弧状に形成してもよい。
【0024】
●リードテープ24
図3に示されるように、ラベルロール22として紙管23に巻回されたライナレスラベル用紙21の先端には、リードテープ24が設けられている。
リードテープ24は、ラベルロール22からライナレスラベル用紙21を引き出すための先端部であり、ライナレスラベル用紙21に連設している。ラベルロール22からリードテープ24を引き出すと、リードテープ24に追随してライナレスラベル用紙21が引き出される。
このリードテープ24は、間隙21aやスリット21b等が設けられていない帯状の用紙であり、表裏面いずれにも粘着面212が設けられていない。
【0025】
このようなリードテープ24が設けられていることにより、ラベルロール22を収容していた袋等から当該ラベルロール22を取り出すときにライナレスラベル用紙21の先端部分等が当該袋等にくっついて出しづらいとか、その結果ライナレスラベル用紙21が破れるといった不都合が生じない。
また、ラベルロール22をラベルプリンタ1にセットしてその先端部分を引き出す際、リードテープ24がライナレスラベル用紙21に粘着していないため、引き出す先端部分が分かりやすい。
また、ラベルロール22からライナレスラベル用紙21の先端部分を引き出す際、先端部分が内側のライナレスラベル用紙21に粘着していると、間隙21a周辺の舌片部202が粘着する力に負けて破れやすいが、そのようなこともない。
また、ラベルロール22をラベルプリンタ1にセットする作業において、先端部分を引き出し、引き出した部分をテンションローラ31からガイドローラ32やサブローラ33を介して印字部4へ引き回す際、ライナレスラベル用紙21が作業者の手やラベルプリンタ1の構成部材にくっつくなどせず、セットしやすい。なお、この点において、ラベルロール22から先端部分を引き出してラベルプリンタ1にセットする際に作業者が手にする部分に応じた長さだけ、リードテープ24を設けるとよい。例えば、ラベルプリンタ1のプラテンローラ42からテンションローラ31までの長さ以上の長さのリードテープ24を設けるとよい。
【0026】
なお、リードテープ24は、ラベルロール22の初期セット時、ライナレスラベル20の発行前に切断される。即ち、作業者がラベルロール22からリードテープ24を引き出し、そのままテンションローラ31、ガイドローラ32、及びサブローラ33を介してプラテンローラ42へリードテープ24を引き回してセットが完了すると、ラベルプリンタ1を駆動させてリードテープ24を搬送方向に搬送し、リードテープ24をカッター部5で切断する。
【0027】
なお、本実施形態においては、ラベルプリンタ1が扱うライナレスラベル用紙21として、枚葉状のライナレスラベル20を切断可能に連設させた長尺のラベル用紙を例に挙げたが、ラベルプリンタ1の扱うことのできるラベル用紙はこれに限られない。即ち、ラベルプリンタ1は、一面側が印字面211を構成し、他面側が粘着面212を構成するラベル用紙に好適であり、切断前の状態において枚葉状に構成されていないラベル用紙も扱うことができるし、デザインなどが限定されることもない。
【0028】
また、本発明は、幅方向に間隙21aを有するラベル用紙を扱う場合には、間隙21aが設けられている部分の角部がガイドローラ35に引っかかったり、粘着面212の糊が削り取られたりするのを防ぐことができるいう特徴的な効果を奏する。もっとも、間隙21aのない、端部が長さ方向に一直線状に延びるラベル用紙を扱う場合においても、少なくとも端部(端面)にあらわれる糊が削り取られるのを防ぐことができるという、本発明に特徴的な効果が得られる。
また、台紙付きラベル用紙を扱う場合であっても、ラベルと台紙の幅が同一になっている場合は幅方向の端部(端面)に糊が露出するため、この糊がガイドローラ35の位置で削り取られるのを防ぐことができるという本発明に特徴的な効果が得られる。
【0029】
●ラベルプリンタ1
ラベルプリンタ1は、図1及び図5に示されるように、ラベル供給部2、フィード部(テンションローラ31、ガイドローラ32、サブローラ33)、印字部4、カッター部5、第一検出部6、第二検出部7、及びラベル貼付部8等を備える。
また、ラベルプリンタ1を制御する制御装置9として、情報処理を実行するためのCPU(Central Processing Unit)91などの演算装置、フラッシュメモリ92、RAM(Random Access Memory)93などの記憶装置、表示・操作部94、及びI/Oインターフェース95を備えている。この制御装置9は、I/Oインターフェース95を介して下ローラ33-2、印字部4、カッター部5、第一検出部6、第二検出部7、及びラベル貼付部8に接続されている。
【0030】
CPU91は、中央演算装置であり、フラッシュメモリ92に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、ラベルプリンタ1の動作を統括制御する。
フラッシュメモリ92は、CPU91の補助記憶装置であって、プログラムをはじめとしてCPU91が利用する各種の情報を記憶する。
RAM93は、CPU91の主記憶装置であると共に、一時的にデータを呼び出して処理するためのワークエリアである。
【0031】
ラベルプリンタ1は、CPU91、フラッシュメモリ92、及びRAM93といったハードウェア資源により、ソフトウェア資源としてライナレスラベル20の発行や貼付に関わる機能部を構成する。機能部は例えば、ライナレスラベル用紙21の引き出し速度や使用するライナレスラベル20の情報といったラベルプリンタ1の設定情報や、ライナレスラベル20を貼付する商品等の情報を記憶する記憶部、各種の情報の入出力や抽出を実行し、各機能部の機能実行に必要な情報を生成する処理部などである。
【0032】
●ラベル供給部2
ラベル供給部2は、フィード部を介して印字部4にライナレスラベル用紙21を供給する部分であって、筒状のロールセットによりラベルロール22を回転可能に保持する。
【0033】
ラベル供給部2に保持されているラベルロール22からは、ライナレスラベル用紙21が、印字ヘッド41とライナレスラベル用紙21を挟圧するプラテンローラ42の回転駆動によって引き出される。引き出されたライナレスラベル用紙21は、フィード部を介して印字部4へ搬送される。
【0034】
フィード部は、ラベルロール22から引き出されたライナレスラベル用紙21を印字部4へフィードする部分であって、上流側から順にテンションローラ31、ガイドローラ32、及びサブローラ33によって構成される。
【0035】
●テンションローラ31
テンションローラ31は、ラベルロール22から引き出されたライナレスラベル用紙21を、当該テンションローラ31の外周面の側面(図示右側)から下面に接触させながらガイドローラ32へ搬送する。
本実施形態では、このテンションローラ31は回転自在なフリーローラによって実現されるが、これに限らず、回転不能な棒状あるいは板状の部材で構成することもできる。
【0036】
このテンションローラ31には、ライナレスラベル用紙21をガイドローラ32へ搬送する方向とは反対方向に付勢するバネ等の付勢手段が設けられている。これにより、ラベルロール22から引き出されたライナレスラベル用紙21が弛むのを防ぐことができ、ライナレスラベル用紙21は、テンションをかけられた状態でガイドローラ32へ搬送される。
このように、ラベルロール22から引き出されたライナレスラベル用紙21にテンションをかけて当該ライナレスラベル用紙21が弛むのを防ぐ点において、テンションローラ31はライナレスラベル用紙21の緊張手段を構成する。
【0037】
また、テンションローラ31は少なくとも、ガイドローラ32を基準としてライナレスラベル用紙21が当該ガイドローラ32を介して搬送される向きとは反対側(図示右側)に設けられている。そして、ガイドローラ32に対するテンションローラ31の鉛直方向及び水平方向の設置位置により、ラベルロール22から引き出されたライナレスラベル用紙21をガイドローラ32へ搬送する角度、例えばガイドローラ32から直線状に印字部4へライナレスラベル用紙21を搬送する搬送方向に直交する方向と、テンションローラ31からガイドローラ32へライナレスラベル用紙21が搬送される方向のなす角θが規定される。
【0038】
ここで、なす角θが緩やかな角度となるようにテンションローラ31を設けることで、後に詳述するとおり、ガイドローラ32の位置においてライナレスラベル用紙21に不具合が生じるのを防ぐことができる。
このように、ラベルロール22から引き出されたライナレスラベル用紙21をガイドローラ32へ搬送する角度を規定する点において、テンションローラ31はライナレスラベル用紙21の搬送角度を規定する規定手段を構成する。
【0039】
●ガイドローラ32
ガイドローラ32は、図1に示すように、テンションローラ31の下流側に設けられ、テンションローラ31から搬送されてきたライナレスラベル用紙21をさらに下流側に設けられているサブローラ33へ案内する。
また、ガイドローラ32はラベル供給部2及び当該ラベル供給部2にセットされたラベルロール22の下方に設けられている。即ち、ライナレスラベル用紙21の搬送方向において、ガイドローラ32は、ラベルロール22と略同じ位置、少なくともラベルロール22からライナレスラベル用紙21が引き出される位置よりも搬送方向上流側に設けられている。これにより、ラベル供給部2とガイドローラ32の位置関係において、ラベルプリンタ1の機長を短くし、ラベルプリンタ1自体をコンパクトなものにできる。
【0040】
図6は、ライナレスラベル用紙21の搬送方向上流側から見たガイドローラ32、及び当該ガイドローラ32を介して搬送されるライナレスラベル用紙21を示している。また、図7はガイドローラ32単体の形状を示している。
このガイドローラ32は、本体部321と、くびれ部322と、一対のフランジ323と、支承軸324によって構成される。
なお、図7(a)はガイドローラ32の正面を示すところ、背面、平面、底面は正面と同一にあらわれる。また、図7(b)はガイドローラ32の側面を示すところ、右側面と左側面は同一にあらわれる。また、図7(c)は正面左側のくびれ部322におけるA-A矢視図であるが、正面右側のくびれ部322においても同一にあらわれる。
【0041】
本体部321は、円柱形状を呈する軸棒であり、回転自在に支承されている。この本体部321の外周面の下面側には、ライナレスラベル用紙21が粘着面212とは反対側の面、即ち印字面211から接触する。
【0042】
くびれ部322は、本体部321の両端に一対で設けられている。このくびれ部322は、高さの低い円柱形状からなり、その底面の径は本体部321の円形状の端面の径よりも小さい。これにより、本体部321とフランジ323の間には、くびれ部322周りにギャップ322aが形成される。
また、本実施形態におけるくびれ部322の幅は、少なくともフランジ323の幅よりも短く、ライナレスラベル用紙21の間隙21a又は舌片部202の幅よりも短い。
【0043】
フランジ323は、くびれ部322を挟んで本体部321の両端に一対で設けられている。このフランジ323は、外側に円形の底面(下底)を向けた円錐台形状を呈し、内側には本体部321の軸心方向に対して斜めをなす傾斜面323aが形成されている。
この傾斜面323aの傾斜は、図7(a)に示すように、本体部321の軸心方向と傾斜面323aとのなす角φが少なくとも90度未満となるものであればよいが、好適には55度から75度である。
【0044】
フランジ323の内側、即ち本体部321側の円形状の端面は、くびれ部322の端面に接合する接合面を構成する。この接合面の径は、本体部321の円形状の端面よりも小さい径からなり、本実施形態ではさらにくびれ部322の円形状の端面の径と同じである。
【0045】
テンションローラ31から搬送されたライナレスラベル用紙21は、本体部321の下面側に接触しながら、一対のフランジ323の間を通ってサブローラ33側へ搬送される。
【0046】
この点、図8に示すように、ライナレスラベル用紙21は、ガイドローラ32によって下流へ案内されるときその印字面211を本体部321に接触させると共に、端部をフランジ323の内側に接触させる。ライナレスラベル用紙21の端部は、印字面211と粘着面212の積層面が露わになっているため、粘着面212がフランジ323に接触する可能性がある。特に、ライナレスラベル用紙21に間隙21aが設けられている場合には、間隙21aの形状によらず、間隙21a近傍の端部が揺れ動くなどして、粘着面212がフランジ323に接触しやすい。
しかしながら、ライナレスラベル用紙21の端部がフランジ323に接触する場合、当該ライナレスラベル用紙21の端部は、傾斜面323aに接触することになる。そして、この傾斜面323aは内側に向かって徐々に径が小さくなるように構成されていることから、ライナレスラベル用紙21の端部は印字面211側が傾斜面323aに接触しつつも、粘着面212側は傾斜面323aに接触しにくい。その結果、粘着面212がフランジ323に擦れて糊が削り取られ、削り取られた糊がフランジ323に付着するのを防ぐことができる。
【0047】
また、ギャップ322aが形成されていることから、ライナレスラベル用紙21の幅方向の端部(舌片部202の角部分)とガイドローラ32が接触する部分を最小限に抑えられ、当該端部がフランジ323に引っかかりにくくなることから、ライナレスラベル用紙21はスムーズに下流側へ案内され、粘着面212の糊が剥ぎ取られにくい。さらに、舌片部202の下流側の直角の角部がガイドローラ32の本体部321やフランジ323に引っかかって上方へめくれるように折れ曲がることも防げる。
【0048】
なお、ガイドローラ32の下方には、所定の部材によってガイドローラ32を軸支すると共に、ガイドローラ32の下面側を搬送されるライナレスラベル用紙21の垂下を防ぐ板状部材の支持板325が設けられている。支持板325には、フランジ323が設けられる位置に対応して貫通孔325aが設けられている。フランジ323は、支持板325の貫通孔325aから下方へ僅かに突出するように設けられている。
【0049】
ガイドローラ32を介してサブローラ33へ搬送されるライナレスラベル用紙21は、フランジ323により、幅方向への移動を規制される。さらに、ガイドローラ32のフランジ323が貫通孔325aから支持板325の下方へ突出していることから、ライナレスラベル用紙21が垂れ下がったとしても、当該ライナレスラベル用紙21がフランジ323の下方をすり抜けてしまうことがない。
【0050】
上述のとおり、ガイドローラ32を支持している支持板325には、フランジ323を突出させる貫通孔325aが設けられているところ、ライナレスラベル用紙21の舌片部202が当該貫通孔325aの周縁に引っかかるおそれがある。即ち、舌片部202は、搬送方向の前後に間隙21aが設けられているため、幅方向外側に撓みやすく、テンションローラ31から所定の角度でガイドローラ32へ搬送されるとその角度のままに貫通孔325aへ沈み込むようにして当該貫通孔325aの周縁に引っかかるおそれがある。そして、舌片部202が貫通孔325aに引っかかった状態で搬送されると、舌片部202が破れることになる。
【0051】
これに対し、ライナレスラベル用紙21をテンションローラ31からガイドローラ32へ搬送する角度、上述したなす角θを緩やかなものとすることにより、ライナレスラベル用紙21の端部である舌片部202が幅方向外側に撓み、貫通孔325aの周縁に引っかかって破れるのを防ぐことができる。
この点において好適ななす角θは例えば、40度以上80度以下、より好ましくは50度以上60度以下である。
【0052】
なお、ラベルロール22から引き出されたライナレスラベル用紙21をガイドローラ32へ搬送する角度を示すなす角θは、例えばガイドローラ32から直線状に印字部4へライナレスラベル用紙21を搬送する搬送方向と、テンションローラ31からガイドローラ32へライナレスラベル用紙21が搬送される方向のなす角(この場合のなす角を「なす角θ2」とする)として規定してもよい。この場合、なす角θ2は例えば、10度以上50度以下、より好ましくは30度以上40度以下である。
となる。
【0053】
なお、別の実施形態において、ガイドローラ32は、図9に示すガイドローラ34のように構成することもできる。
ガイドローラ34は、ガイドローラ32の本体部321、フランジ323、及び支承軸324に相当する本体部341、フランジ342、及び支承軸343を有する。一方、ガイドローラ32のくびれ部322に相当する構成を有さず、フランジ342が本体部341に直接、接合している。
【0054】
本体部341の両端に一対で設けられフランジ342は、上述したフランジ323と同様、外側に円形の底面(下底)を向けた円錐台形状を呈し、内側には本体部341の軸心方向に対して斜めをなす傾斜面342aが形成されている。
フランジ342の内側の円形状の端面は、本体部341の端面に接合する接合面を構成する。この接合面の径は、本体部341の円形状の端面と同じ径で構成されている。
このガイドローラ34によっても、ライナレスラベル用紙21の端部は、印字面211側のみが傾斜面342aに接触することになる。その結果、粘着面212がフランジ342に擦れて糊が削り取られ、削り取られた糊がフランジ342に付着するのを防ぐことができる。
【0055】
また、さらに別の実施形態において、ガイドローラ32は、図10に示すガイドローラ35のように構成することもできる。
ガイドローラ35は、ガイドローラ32の本体部321、フランジ323、及び支承軸324に相当する本体部351、フランジ352、及び支承軸353を有する。一方、ガイドローラ32のくびれ部322に相当する構成を有さず、フランジ352が本体部351に直接、接合している。
【0056】
本体部351の両端に一対で設けられフランジ352は、上述したフランジ323と同様、外側に円形の底面(下底)を向けた円錐台形状を呈し、内側には本体部351の軸心方向に対して斜めをなす傾斜面352aが形成されている。
フランジ352の内側の円形状の端面は、本体部351の端面に接合する接合面を構成する。この接合面の径は、本体部351の円形状の端面よりも小さい径で構成されている。これにより、フランジ352と本体部351の間には、フランジ352の端部周りにギャップ352bが形成される。
このガイドローラ35によっても、ライナレスラベル用紙21の端部は、印字面211側のみが傾斜面352aに接触することになるし、ギャップ352bによってライナレスラベル用紙21の幅方向の端部(舌片部202の角部分)とガイドローラ35が接触する部分を最小限に抑えられ、当該端部がフランジ352に引っかかりにくくなる。その結果、粘着面212がフランジ352に擦れて糊が削り取られ、削り取られた糊がフランジ352に付着するのを防ぐことができる。
【0057】
●サブローラ33
サブローラ33は、図1に示すように、ガイドローラ32の下流側に設けられ、ガイドローラ32から搬送されたライナレスラベル用紙21を印字部4へ搬送する。
このサブローラ33は、図11に示すように、ライナレスラベル用紙21の印字面側(上側)に配置された第一ローラを構成する上ローラ33-1と、ライナレスラベル用紙21の粘着面側(下側)に配置された第二ローラを構成する下ローラ33-2とからなる。上ローラ33-1と下ローラ33-2は、いずれもラベルロール22の幅よりも長く、ライナレスラベル用紙21をその間に介在させる。
【0058】
なお、上ローラ33-1は後述のとおり、大径部331において下ローラ33-2とライナレスラベル用紙21を挟圧するところ、その圧力は、印字部4における印字ヘッド41とプラテンローラ42とでライナレスラベル用紙21を挟圧する圧力より低く設定されている。そして、この上ローラ33-1の大径部331と下ローラ33-2による挟圧の圧力は、一定圧力に固定されていてもよいが、所定の圧力内で強弱調整可能としてもよい。圧力を調整可能とする構造としては、例えば、上ローラ33-1又は下ローラ33-2の一方に、互いと接触する方向に付勢するバネ等の付勢部材を設け、この付勢部材の弾発力を調整自在としてもよい。
【0059】
上ローラ33-1は、下ローラ33-2の上側に回転可能に設けられている。
この上ローラ33-1は、長さ方向の中央部分を構成する大径部331と、当該大径部331の径に比して径の小さい小径部332とで構成される。
大径部331は、ライナレスラベル用紙21の幅方向中央部分にあたる連設部201を下ローラ33-2と挟圧する。
【0060】
小径部332は、大径部331の両脇に一対で設けられ、ライナレスラベル用紙21の幅方向両端部分にあたる舌片部202を下ローラ33-2との間に、圧力をかけることなく介在させる。
なお、小径部332は、大径部331よりも径が小さいものの、軸心よりも径が大きく、上方に反り返る舌片部202が過剰に反り返るのを防ぐ。即ち、舌片部202が過剰に反り返る場合には、舌片部202は小径部332に当接し、それ以上反り返ることがない。
【0061】
また、小径部332の幅方向外側には、大径部331と略同径に拡径した拡径部333が設けられている。拡径部333が小径部332の外側に一対で設けられ、各拡径部333がそれぞれ対称な位置で下ローラ33-2に当接する結果、サブローラ33においてライナレスラベル用紙21にかかる圧力の偏りを防ぐことができる。
さらに、拡径部333のさらに外側には、上ローラ33-1を所定の部材に対して回転可能に連結するための連結部334が設けられている。
【0062】
下ローラ33-2は、上ローラ33-1の下側に設けられている。
この下ローラ33-2は、上ローラ33-1と略同一の長さを有し、軸心方向(長さ方向)に亘って径が同一のローラであり、ステッピングモータ等により駆動回転可能に構成されている。また、下ローラ33-2には、当該下ローラ33-2を軸支する部材との間にワンウェイクラッチが設けられており、これにより、ライナレスラベル用紙21の搬送方向とは逆方向においてはステッピングモータ等の駆動力が伝達し、ライナレスラベル用紙21の搬送方向では空転するようになっている。即ち、下ローラ33-2は、ライナレスラベル用紙21がプラテンローラ42の駆動回転によって搬送されるときは、空転して当該ライナレスラベル用紙21を印字部4へ搬送する。一方、カッター部5においてライナレスラベル用紙21の切断が行われた後、ライナレスラベル用紙21の印字開始位置を調整すべく当該ライナレスラベル用紙21をバックフィードさせるときは、プラテンローラ42の駆動回転に連動して駆動回転し、ライナレスラベル用紙21を搬送方向とは反対方向に引っ張る。
【0063】
図11に示すように、上ローラ33-1と下ローラ33-2によってライナレスラベル用紙21を搬送している状態において、ライナレスラベル用紙21はその中央部においてのみ上ローラ33-1と下ローラ33-2から圧力を受け、その端部においては圧力を受けない。より具体的には、ライナレスラベル用紙21はその連設部201においてのみ大径部331と下ローラ33-2によって挟圧され、舌片部202においては小径部332と下ローラ33-2の間に圧力を受けることなく介在しているにとどまる。ただし、このことは、舌片部202が上ローラ33-1や下ローラ33-2と当接又は接触することを妨げるものではない。
その結果、連設部201においてのみ上ローラ33-1と下ローラ33-2によって挟圧されると共に、舌片部202においては小径部332との間に空間的な余裕があることから、ライナレスラベル用紙21には、舌片部202が上側に反るように力がかかることになる。
【0064】
●印字部4
印字部4は、制御装置9の制御により、ラベル供給部2にセットされたラベルロール22から引き出されたライナレスラベル用紙21の印字面211に、例えば、商品ファイルから選択した商品の商品データ(商品の品名、値段、有効期限、及びバーコード)等を印字する。
【0065】
この印字部4は、下方に配設されたプラテンローラ42と、当該プラテンローラ42と対向して上方に配置された印字ヘッド41で構成される。
印字ヘッド41とプラテンローラ42は、その間にライナレスラベル用紙21を挟み込む。そして、ステッピングモータ等のモータで駆動するプラテンローラ42の駆動回転に応じて、ラベルロール22からライナレスラベル用紙21を引き出し、ライナレスラベル用紙21の印字面211に所定の商品データを印字する。
【0066】
印字ヘッド41は、サーマルヘッドなどで構成され、サーマルヘッドの発熱体を選択的に発熱させることにより、搬送されるライナレスラベル用紙21の印字面211に印字を施す。この場合、ライナレスラベル用紙21には感熱紙が採用される。
【0067】
なお、印字ヘッド41とライナレスラベル用紙21を挟圧するプラテンローラ42は、少なくともその外周面が、ライナレスラベル用紙21に対して非粘着性をもつように構成されているとよい。この場合には例えば、プラテンローラ42の表面を離型剤でコーティングするとよい。これにより、ライナレスラベル用紙21の印字面211とは反対側の粘着面212に塗布されている粘着剤がプラテンローラ42に付着せず、ライナレスラベル用紙21が円滑に搬送されるようになっている。ライナレスラベル用紙21の粘着面212に塗布された粘着剤がプラテンローラ42に付着しにくくする構成は、上記構成に限らず、プラテンローラ42自体又はプラテンローラ42の最外層部分を易剥離性の部材で構成するものであってもよい。
また、印字部4は、インクをライナレスラベル用紙21に塗布することにより印字を行うものであってもよい。また、印字部4はレーザー光などの光を台紙なしライナレスラベル用紙21に照射することにより印字を行うものであってもよい。
【0068】
●カッター部5
カッター部5は、印字部4でライナレスラベル20の1枚分の商品データが印字されたライナレスラベル用紙21を切断し、枚葉状のライナレスラベル20を発行する。カッター部5は、印字部4の下流側で、プラテンローラ42に接近して配置されている。
【0069】
カッター部5は、剪断作用でライナレスラベル用紙21を切断する上下一対の帯状の刃体で構成されている。具体的には、直線状に搬送されてきたライナレスラベル用紙21の下側に配置される固定刃52と、ライナレスラベル用紙21の上側に配置され、固定刃52に向けて進退動する可動刃51とで構成され、可動刃51はステッピングモータで駆動するように構成されている。
【0070】
●第一検出部6
第一検出部6は、ライナレスラベル用紙21の間隙21aを検出し、検出結果を示す信号を制御装置9に出力するセンサである。この第一検出部6は、フィード部よりもライナレスラベル用紙21の搬送方向上流側であって、ラベルロール22からライナレスラベル用紙21が引き出される位置の近傍に配置されている。
【0071】
第一検出部6は、例えばライナレスラベル用紙21の表面側と裏面側それぞれに設けられた発光部61と受光部62によって実現され、発光部61から照射された検出光を受光部62が受けて信号としている。この発光部61と受光部62は、図12(a)に示されるように、発光部61から受光部62に向かって照射される検出光の光軸が、ラベルロール22から引き出されたライナレスラベル用紙21に形成されている間隙21aの位置に対応するように設けられている。そして、第一検出部6は、発光部61と受光部62の間の光軸がライナレスラベル用紙21の舌片部202によって遮られたり、間隙21aによって検出可能になったりすることで発生する信号の変化を読み取って間隙21aを検出し、検出結果を示す信号を制御装置9に出力する。
【0072】
ここで、制御装置9は、第一検出部6による検出結果に応じて、ライナレスラベル用紙21がラベルロール22から正常に引き出され、ライナレスラベル用紙21に異常が生じていないかどうかを判断することができる。例えば、ライナレスラベル用紙21の搬送速度に応じて正常なライナレスラベル用紙21の間隙21aが第一検出部6による検出領域を通過するのに要する時間を所定の閾値とする。そして、受光部62が当該所定の閾値を超えて発光部61からの検出光を受光し続けた場合には、ライナレスラベル用紙21自体あるいは舌片部202が破れるなどして、ライナレスラベル20の発行を正常に行えない状態になったものと判断できる。
【0073】
なお、図1及び図12の例にかかわらず、発光部61と受光部62は、どちらがライナレスラベル用紙21の印字面側あるいは貼付面側にあってもよい。また、図1及び図12の例では、ライナレスラベル用紙21の幅方向の両端に間隙21aが設けられている場合を示しており、両端の間隙21aを検出すべく、二組の発光部61と受光部62を設けているが、これに限らず、一方の間隙21aのみを検出可能に一組の発光部61と受光部62を設けてもよい。
【0074】
このような構成からなる第一検出部6が、ラベルロール22からライナレスラベル用紙21が引き出される位置の近傍に設けられていることから、ライナレスラベル用紙21に異常が生じた場合でも早いタイミングで異常を検知し、ラベルプリンタ1の動作を停止させるなどの対応をとることができる。その結果、異常の発生したライナレスラベル用紙21が搬送されてしまうことでラベルプリンタ1に不具合が生じたり、誤って破損したライナレスラベル20が被貼付物に貼付されてしまったりすることがない。
【0075】
●第二検出部7
第二検出部7は、第一検出部6と同様、ライナレスラベル用紙21の間隙21aを検出し、検出結果を示す信号を制御装置9に出力する。この第二検出部7は、サブローラ33の下流側であって、印字部4の上流側に配置されている。
【0076】
第二検出部7は第一検出部6と同様に、例えばライナレスラベル用紙21の表面側と裏面側それぞれに設けられた発光部71と受光部72によって実現され、発光部71から照射された検出光を受光部72が受けて信号としている。この発光部71と受光部72は、図12(b)に示されるように、発光部71から受光部72に向かって照射される検出光の光軸が、ラベルロール22から引き出されたライナレスラベル用紙21に形成されている間隙21aの位置に対応するように設けられている。そして、第二検出部7は、発光部71と受光部72の間の光軸がライナレスラベル用紙21の舌片部202によって遮られたり、間隙21aによって検出可能になったりすることで発生する信号の変化を読み取って間隙21aを検出し、検出結果を示す信号を制御装置9に出力する。
【0077】
このような構成からなる第二検出部7により、サブローラ33と印字部4の間において、第一検出部6の検出結果に基づいた異常判別処理と同様にしてライナレスラベル20の異常を判別することができる。
なお、印字部4の直前に設けられている第二検出部7による検出結果は、ライナレスラベル用紙21において連設している各ライナレスラベル20の先端位置を識別し、これにより印字開始のタイミングを計るためにも利用される。
【0078】
なお、第二検出部7についても、図1及び図12の例にかかわらず、発光部71と受光部72は、どちらがライナレスラベル用紙21の印字面側あるいは貼付面側にあってもよい。また、図1及び図12の例では、ライナレスラベル用紙21の幅方向の両端に間隙21aが設けられている場合を示しており、両端の間隙21aを検出すべく、二組の発光部71と受光部72を設けているが、これに限らず、一方の間隙21aのみを検出可能に一組の発光部71と受光部72を設けてもよい。
【0079】
●ラベル貼付部8
ラベル貼付部8は、印字部4の下流側に設けられており、印字部4で印字され、カッター部5で所定の長さの枚葉状に切断されたライナレスラベル20を被貼付物に貼付する。
このラベル貼付部8は例えば、ライナレスラベル20をその印字面側から負圧によって吸着保持し、その粘着面212を被貼付物に押し付けて当該被貼付物にライナレスラベル20を貼付する。
【0080】
●表示・操作部94
表示・操作部94は、ラベルプリンタ1の操作を行ったり、データを出力したりするための入出力装置である。この表示・操作部94は例えば、入力手段と出力手段が一体的に構成されたタッチパネルによって実現される。
【0081】
●処理の流れ
本実施形態に係るラベルプリンタ1によって実行される処理の流れについて図13及び図14を参照して説明する。
まず、作業者は印字前作業として、ラベルロール22をラベル供給部2にセットすると共に、ラベルロール22からリードテープ24を引き出して、そのままテンションローラ31、ガイドローラ32、及びサブローラ33を介してプラテンローラ42へリードテープ24を引き回す。そして、ラベルプリンタ1を駆動させてリードテープ24を搬送方向に搬送し、リードテープ24をカッター部5で切断する(S101)。
また、制御装置9は印字前処理として、各種パラメータの初期化、ラベルファイルの読み込みなどの処理を行う(S102)。
【0082】
ラベルプリンタ1は、作業者からライナレスラベル20の発行処理の開始要求操作を受け付けると、ライナレスラベル20の発行処理を開始する。
即ち、制御装置9は、プラテンローラ42を回転駆動させるとともに、印字部4の印字ヘッド41によりライナレスラベル用紙21にライナレスラベル20の一枚分の印字処理を行う(S103)。
【0083】
制御装置9は、印字部4により印字されたライナレスラベル用紙21をカッター部5によりカットし(S104)、ラベル貼付部8により当該印字されたライナレスラベル20を被貼付物に貼付する(S105)。
【0084】
制御装置9は、プラテンローラ42及び下ローラ33-2を駆動して、ライナレスラベル用紙21をバックフィードさせ、ライナレスラベル用紙21の印字開始位置と印字ヘッド41の位置を合わせる(S106)。
設定された枚数の発行終了、あるいは動作停止要求を受け付けるまで、S103~S106までのライナレスラベル20の発行処理が継続される(S107)。
【0085】
一方、第一検出部6と第二検出部7はライナレスラベル20の発行処理と並行して、ライナレスラベル用紙21の間隙21aを検出する検出処理を実行し、制御装置9はその検出結果に応じてライナレスラベル用紙21の異常判別処理を実行する(S108)。
このように異常判別処理と同時並行でライナレスラベル20の発行が行われ、正常な状態で全てのライナレスラベル20の発行が完了すると一連の処理を終了する。
【0086】
ここで、上記した異常判別処理の具体的な流れを図14に示す。
第一検出部6と第二検出部7はそれぞれ、発光部61(発光部71)から受光部62(受光部72)に対して検出光を照射している。ライナレスラベル用紙21が搬送され、検出光がライナレスラベル用紙21の舌片部202によって遮断された状態から、間隙21aを介し受光部62(受光部72)により受光されると(S201)、制御装置9は所定の閾値よりも長い時間、受光部62(受光部72)が継続して検出光を受光しているかどうかを判別する(S202)。
【0087】
その結果、受光部62(受光部72)が検出光を受光し始めたときから所定の閾値よりも長い時間、継続して受光していると判別すると、ライナレスラベル用紙21に異常が生じているものと判断し、ラベルプリンタ1の動作を停止する(S203)。
一方、受光部62(受光部72)が検出光を受光し始めたときから所定の閾値よりも短い時間で受光しなくなったと判別すると、ライナレスラベル用紙21は正常な状態で搬送されているものと判断し、動作を継続する。
【0088】
このように一定間隔でライナレスラベル用紙21の間隙21aが断続的に検出されるか否かを判別することにより、ライナレスラベル用紙21の異常の有無を判断することができる。
なお、上記した処理の例では、受光部62(受光部72)が所定の閾値よりも長い時間、継続して検出光を受光しているか否かを判別し、これにより異常の有無を判断したが、さらに、所定の閾値よりも短い時間で検出光を受光しなくなったか否かを判別するようにしてもよい。例えば、舌片部202が搬送方向に撚れるなどした場合には、間隙21aの搬送方向における間隔が小さくなる可能性があり、そのような場合についても異常な状態と判断することができる。
【0089】
以上の本実施形態に係るラベルプリンタ1によれば、ライナレスラベル20の発行工程において、ライナレスラベル用紙21の不具合を防ぎ、適切にライナレスラベル20を発行できる。特に、搬送方向に直交する向きの端部に間隙21aが設けられたライナレスラベル用紙21について、搬送方向の前後に間隙21aが設けられている舌片部202の折れ曲がりや意図しない部材等への貼り付き、舌片部202の側端面にあらわれる粘着面212の糊がガイドローラ32に付着するのを防ぐことができる。
【0090】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
また、上述の各図で示した実施形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの記載内容を組み合わせることが可能である。また、各図の記載内容はそれぞれ独立した実施形態になり得るものであり、本発明の実施形態は各図を組み合わせた一つの実施形態に限定されるものではない。
【0091】
また、ラベルプリンタ1を構成するソフトウェア資源は適宜の設計によりいずれかのハードウェア資源に分散又は集約させることができるし、ハードウェア資源も物理的に一体をなす装置あるいは別体をなす装置として構成することもできる。これにより例えば、ソフトウェア資源はその一部又は全てを、中央集権的な上位の装置やコントローラにもたせるように構成することもできるし、所定のネットワークによって接続された外部のサーバにもたせることもできる。
【0092】
●実施形態総括
本発明は、ライナレスラベルを発行可能なラベル搬送装置に関する。
【0093】
フィルムにより包装されたサンドイッチ、おにぎり等には、商品名や値段を印字したラベルが貼付される。ラベルの発行過程においては、ラベルを被貼付物に貼付した後、台紙が破棄されるが、台紙の廃棄量が相当量になるため台紙レス化が望まれていた。
【0094】
この点、特開2017-156707号公報では、粘着剤で形成された粘着層を最下層に有し、該粘着剤に対して剥離性を有する剥離層を最上層に有する積層体からなるロール状に巻回された台紙なしラベル本体を備え、前記台紙なしラベル本体のうち、ロール状に巻回されている前記剥離層は除去されず、ロール状に巻回されていない前記剥離層が少なくとも除去されてなる台紙なしラベルが提案されている。
【0095】
しかしながら、台紙のないラベル、所謂ライナレスラベルを連設させたライナレスラベル用紙は、発行時に粘着面がむき出しになるため、適切にラベルを発行するのが難しかった。
【0096】
そこで本発明は、ライナレスラベルの発行工程において、ライナレスラベル用紙の不具合を防ぎ、適切にライナレスラベルを発行できるラベル搬送装置及びライナレスラベル用紙の搬送に用いられるガイドローラを提供することを目的の一つとする。
【0097】
上記目的を達成するため、本発明に係るラベル搬送装置は、ライナレスラベル用紙を搬送するラベル搬送装置であって、前記ライナレスラベル用紙を下流へ案内するガイドローラ、を備え、前記ガイドローラは、前記ライナレスラベル用紙の粘着面とは反対側の面に接触する本体部と、前記本体部の両端に設けられ、前記本体部の軸心方向に対して斜めをなす傾斜面が形成されたフランジと、を有する。
【0098】
前記フランジは、外側に底面を向けた円錐台形状を呈するものとしてもよい。
【0099】
前記本体部は、円柱形状を呈し、前記フランジの前記本体部側の端面は、前記本体部の端面の径と同じ径、又は前記本体部の端面の径よりも小さい径からなる、ものとしてもよい。
【0100】
前記ガイドローラは、前記本体部と前記フランジの間に、前記本体部よりも小径のくびれ部、を有するものとしてもよい。
【0101】
また、本発明の別の観点に係るガイドローラは、ライナレスラベル用紙を下流へ案内するガイドローラであって、前記ライナレスラベル用紙の粘着面とは反対側の面に接触する本体部と、前記本体部の両端に設けられ、前記本体部の軸心方向に対して斜めをなす傾斜面が形成されたフランジと、を有する。
【0102】
以上の本発明に係るラベル搬送装置及びガイドローラによれば、ライナレスラベルの発行工程において、ライナレスラベル用紙の不具合を防ぎ、適切にライナレスラベルを発行できる。特に、搬送方向に直交する向きの端部に間隙が設けられたライナレスラベル用紙について、搬送方向の前後に間隙が設けられている舌片部の角がガイドローラのフランジに擦れて粘着面の糊が削り取られ、削り取られた糊がガイドローラに付着して不具合を起こすことを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0103】
1 :ラベルプリンタ
2 :ラベル供給部
20 :ライナレスラベル
201 :連設部
202 :舌片部
21 :ライナレスラベル用紙
21a :間隙
21b :スリット
22 :ラベルロール
31 :テンションローラ
32 :ガイドローラ
321 :本体部
322 :小径部
323 :フランジ
323a :傾斜面
324 :支承軸
33 :サブローラ
4 :印字部
5 :カッター部
6 :第一検出部
7 :第二検出部
8 :ラベル貼付部

図1
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