(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019784
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】ローラコンベアシステム
(51)【国際特許分類】
B65G 39/00 20060101AFI20240206BHJP
H02K 7/18 20060101ALI20240206BHJP
H02K 7/10 20060101ALI20240206BHJP
B65G 23/04 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
B65G39/00 Z
H02K7/18 A
H02K7/10 Z
B65G23/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122455
(22)【出願日】2022-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】391025246
【氏名又は名称】株式会社東京理工舎
(74)【代理人】
【識別番号】100148862
【弁理士】
【氏名又は名称】赤塚 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179811
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 良和
(72)【発明者】
【氏名】中島 篤志
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 孝宣
(72)【発明者】
【氏名】本多 悠一郎
【テーマコード(参考)】
3F033
5H607
【Fターム(参考)】
3F033CA05
5H607BB02
5H607BB14
5H607BB17
5H607BB26
5H607CC05
5H607EE26
5H607FF21
(57)【要約】
【課題】センサを駆動する電力を独自に賄うことができ、低コストで場所を選ばずにコーラコンベアを設置することができるローラコンベアシステムを提供する。
【解決手段】本発明に係るのローラコンベアシステム1は、導電体で構成された複数のコンベアローラ2と、複数のコンベアローラ2の少なくとも1つに対向して設けられた非接触式発電機と、非接触式発電機から送電される電力により駆動するセンサ4とを有する。非接触式発電機は、アウターロータ型発電機またはインナーロータ型発電機である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電体で構成された複数のコンベアローラと、
複数の前記コンベアローラの少なくとも1つに対向して設けられた非接触式発電機と、
前記非接触式発電機から送電される電力により駆動するセンサと
を有する
ローラコンベアシステム。
【請求項2】
前記非接触式発電機は、前記コンベアローラと対向する筒状ロータと、
前記筒状ロータの内表面に沿って放射状に間隔をあけて前記筒状ロータ上に配列して設置される複数の磁石と、
前記筒状ロータの内部に収容され、ステータコアと当該ステータコアに巻回されたコイルとを備えるステータと
を有する
請求項1に記載のローラコンベアシステム。
【請求項3】
前記ステータコアは、珪素鋼板で構成されている
請求項2に記載のローラコンベアシステム。
【請求項4】
前記筒状ロータと前記コンベアローラとの距離は、4~20mmである
請求項2に記載のローラコンベアシステム。
【請求項5】
前記非接触式発電機は、前記コンベアローラと対向するロータと、
前記ロータの外表面に沿って放射状に間隔をあけて前記筒状ロータ上に配列して設置される複数の磁石と、
前記ロータの前記コンベアローラと対向する部分が露出するように前記ロータを覆い、ステータコアと当該ステータコアに巻回されたコイルとを備えるステータと
を備えるステータと
を有する
請求項1に記載のローラコンベアシステム。
【請求項6】
前記ステータコアは、珪素鋼板で構成されている
請求項5に記載のローラコンベアシステム。
【請求項7】
前記ロータと前記コンベアローラとの距離は、1~6mmである
請求項5に記載のローラコンベアシステム。
【請求項8】
前記センサは、搬送物の通過を検出するセンサである
請求項1に記載のローラコンベアシステム。
【請求項9】
交流電圧を直流電圧に変換するAC/DCコンバータと、
直流電圧に変換した電力を蓄電するインダクタと、
前記インダクタから供給された電力を前記センサの駆動用の電力として蓄電するコンデンサと
を有し、
前記センサは、取得した情報を外部に無線により送信する無線通信手段を有し、
前記無線通信手段は、前記情報の送信時以外には待機状態となるよう構成され、
前記送信時の電力消費を前記待機状態時に前記コンデンサに蓄電して確保するよう構成されている
請求項1に記載のローラコンベアシステム。
【請求項10】
さらに、前記センサと前記コンデンサとの間に設けられた電界効果トランジスタを有し、
前記電界効果トランジスタは、前記コンデンサ内への蓄電と前記センサへの電力供給を制御することにより、前記センサを間欠的に駆動させる
請求項9に記載のローラコンベアシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローラコンベアシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から物流において荷物等の搬送物を搬送するのに、ローラコンベアが用いられている。また、搬送物が搬送されているかどうかをチェックするための検出センサ等が設置されている場合もある。このようなセンサを駆動させるためには、電源を確保する必要がある。コンセントなどから電源を確保する場合、配線しなければならず、配線自体が動線を妨げたり、物流倉庫内のレイアウト上の制限を受けたりする場合がある。
このような問題を解決するために、例えば、コンベアローラ内部に発電機を設けたり(特許文献1参照)、コンベアローラ自体が発電機として機能したりするローラコンベアシステムが知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-023933号公報
【特許文献1】特表2018-509873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のようなローラコンベアシステムでは、特殊な構造のコンベアローラが必要となり、種々のローラコンベアには対応できず、また、コストがかかるといった問題もある。
【0005】
そこで、本発明は、センサを駆動する電力を独自に賄うことができ、低コストで場所を選ばずにコーラコンベアを設置することができるローラコンベアシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、導電体で構成された複数のコンベアローラと、
複数の前記コンベアローラの少なくとも1つに対向して設けられた非接触式発電機と、
前記非接触式発電機から送電される電力により駆動するセンサと
を有する
ローラコンベアシステムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、センサを駆動する電力を独自に賄うことができ、低コストで場所を選ばずにコーラコンベアを設置することができるローラコンベアシステムを提供することができる。また、非接触式とすることにより、コンベアのローラや発電機の摩耗を抑制することができる。また、既存のローラコンベアに対して容易に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明のローラコンベアシステムの第1実施形態を示した模式図である。
【
図2】
図1のローラコンベアシステムが備えるアウターロータ型発電機の縦断面図である。
【
図3】
図1のローラコンベアシステムが備えるアウターロータ型発電機のステータコアを表す斜視図である。
【
図4】
図1のローラコンベアシステムが備えるアウターロータ型発電機の三相型(a)及び単相型(b)を示す模式図である。
【
図5】本発明のローラコンベアシステムの第2実施形態を示した模式図である。
【
図6】
図5のローラコンベアシステムが備えるインナーロータ型発電機のステータコアを表す断面斜視図である。
【
図7】本発明のローラコンベアシステムの一例を説明する回路図である。
【
図8】AC/DCコンバータの動作の一例を説明する回路図である。
【
図9】昇降圧チョッパの動作の一例を説明する図である。
【
図10】本発明のローラコンベアシステムの他の一例を説明する回路図である。
【
図11】無線通信手段の間欠動作を説明するためのグラフである。
【
図12】本発明のローラコンベアシステムの一例を説明する回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のローラコンベアシステムの好適な実施形態について詳細に説明する。
[第1実施形態]
まず、本発明のローラコンベアシステムの第1施形態について説明する。
図1は、本発明のローラコンベアシステムの第1実施形態を示した模式図、
図2は、
図1のローラコンベアシステムが備えるアウターロータ型発電機の縦断面図、
図3は、
図1のローラコンベアシステムが備えるアウターロータ型発電機のステータコアを表す斜視図、
図4は、
図1のローラコンベアシステムが備えるアウターロータ型発電機の三相型(a)及び単相型(b)を示す模式図である。
【0010】
本発明に係るローラコンベアシステム1は、
図1に示すように、導電体で構成された複数のコンベアローラ2と、複数のコンベアローラ2の少なくとも1つに対向して設けられた非接触式発電機3と、非接触式発電機から送電される電力により駆動するセンサ4と有している。
【0011】
複数のコンベアローラ2は、それぞれの回転軸が平行となるように配列している。また、複数のコンベアローラ2が配列した面は、配列方向の一方に傾斜している。これにより、搬送されてきた搬送物は自重により傾斜面を下って、さらに先へと搬送される。この際に、搬送物によってコンベアローラ2が回転させられる。なお、本実施形態では、コンベアローラ2は、搬送物の通過によって回転させられる受動ローラであるが、駆動手段によって単独で回転できる能動ローラであってもよい。能動ローラの場合、複数のコンベアローラ2が配列した面は、水平でもよいし、搬送方向に向かって上り傾斜でも下り傾斜でもよい。
コンベアローラ2を構成する導電体としては、例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス、銅等の金属材料や導電性プラスチック等を用いることができる。
【0012】
図2及び
図3に示す非接触型発電機3は、アウターロータ型発電機であり、コンベアローラ2と対向する筒状ロータ31と、筒状ロータ31の内表面に沿って放射状に間隔をあけて筒状ロータ31上に配列して設置される複数の磁石32と、筒状ロータ31の内部に収容されたステータ33とを有している。ステータ33は、ステータコア330と当該ステータコア330に巻回されたコイル331とを備えている。
筒状ロータ31は、ステータ33を中心に回転可能となっており、内表面に沿って複数の磁石32を設置可能となっている。
磁石32は、ネオジム磁石、サマコバ磁石、アルニコ磁石やフェライト磁石等の永久磁石で構成されて、N極とS極が交互に配置した構造となっている。本実施形態では、6つの磁石32を配置した構造となっているが、磁石32の数はこれに限定されず、2つ以上あればよい。
【0013】
本実施形態において、ステータコア330は、中心から放射状に6つのスロット330aで構成されている。コイル331は、それぞれのスロット330aに巻回されている。コイル331の巻数は、特に限定されず、取得したい性能に応じて適宜変更することができる。なお、スロット330aの数は、2つ以上であれば特に限定されないが、6つ以上であることが好ましい。ステータコア330としては、樹脂材料で構成された空芯コアや、珪素鋼板で構成された珪素鋼板コアを用いることができる。珪素鋼板コアとすることで、出力電圧を向上させる効果がある。ただし、珪素鋼板コアの場合、初動でコギングが大きく、コンベアローラ2の回転速度が低い場合に発電機が回転開始しにくい。このため、搬送物によってコンベアローラ2が回される受動ローラ等でコンベアローラ2の回転速度が低い場合は空芯コアを用いることが好ましく、例えば、コンベアローラ2が駆動手段によって回転する能動ローラ等でコンベアローラ2の回転速度が高い場合は、珪素鋼板コアを用いることが好ましい。
【0014】
珪素鋼板コアを用いた場合のように静止状態からの初動に課題がある場合、磁石の数よりもスロット330aの数を多くすることにより(例えば、図示の構成のように磁石32が6つの場合、スロット330aの数を7つにする等することにより)、6つの磁石32に対して位相をずらし、コギングを抑制し、筒状ロータ31をよりスムーズに回転させることができる。
空芯コアを用いるか、珪素鋼板コアを用いるかは、発電機全体の重量、コスト、コンベアローラ2の回転方式等を考慮して選定する。
【0015】
このような構成の非接触型発電機3では、搬送されてきた搬送物によってコンベアローラ2が回転し、回転するコンベアローラ2と磁石32の磁束が鎖交すると、コンベアコーラ2に発生する渦電流により、非接触式発電機3の筒状ロータ31が回転し、それとともに磁石32が回転する。これと同時に、磁石32の磁束はコイル331と鎖交するため、コイル331は、筒状ロータ31の回転速度に比例した誘導電圧を生成し、発電する。
【0016】
アウターロータ型発電機の場合、筒状ロータ31とコンベアローラ2との距離は、3~20mmであることが好ましく、4~20mmであることがより好ましい。筒状ロータ31とコンベアローラ2との距離が前記下限値未満であると、筒状ロータ31の回転速度は増加するが、筒状ロータ31を回転させるためのエネルギーが増大し、コンベアローラ2の回転速度が低下する可能性がある。筒状ロータ31とコンベアローラ2との距離が前記上限値を超えると、筒状ロータ31の回転速度が低下し、発電効率が低下する場合がある。
なお、アウターロータ型の非接触型発電機3は、
図4(a)に示す三相型であってもよいし、
図4(b)に示すような単相型であってもよい。
【0017】
センサ4は、非接触型発電機3から送電される電力により駆動するものである。
センサ4は、熱を検出するもの、向きや方向を検出するもの、搬送物の通過を検出するもの等、いかなるものを検出するものであってもよい。特に物流においては、搬送物の通過を検出するものをセンサ4として用いることが好ましい。
また、センサ4は、取得した情報を外部に無線により送信する無線通信手段を備えていてもよい。
【0018】
[第2実施形態]
次に、本発明のローラコンベアシステムの第2施形態について説明する。
図5は、本発明のローラコンベアシステムの第2実施形態を示した模式図、
図6は、
図5のローラコンベアシステムが備えるインナーロータ型発電機のステータコアを表す斜視図である。
本発明に係るローラコンベアシステム1は、
図5に示すように、導電体で構成された複数のコンベアローラ2と、複数のコンベアローラ2の少なくとも1つに対向して設けられた非接触式発電機3’と、非接触式発電機3’から送電される電力により駆動するセンサ4(図示せず)とを有している。
【0019】
本実施形態では、非接触型発電機3’が、インナーロータ型発電機である点で、前述した実施形態と異なっている。コンベアローラ2とセンサ4の構成については、前述した実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
非接触型発電機3’は、コンベアローラ2と対向するロータ31’と、ロータ31’の外表面に沿って放射状に間隔をあけてロータ31’上に配列して設置される複数の磁石32と、ロータ31’のコンベアローラ2と対向する部分が露出するようにロータ31’を覆うステータ33’とを有している。ステータ33’は、ステータコア330’と、当該ステータコア33’に巻回されたコイル331’とを有している。
ロータ31’は、ステータ33’内で回転可能となっており、外表面に沿って複数の磁石32を設置可能となっている。
磁石32は、前述した第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0020】
ステータコア330’は、
図6に示すように、その外周に、コイル331’を巻回するためのスペース330a’を備えている。ステータコア330’としては、前述した実施形態と同様に、樹脂材料で構成された空芯コアや、珪素鋼板で構成された珪素鋼板コアを用いることができる。珪素鋼板コアとすることで、出力電圧を向上させる効果がある。
【0021】
インナーロータ型発電機の場合、ロータ31’とコンベアローラ2との距離は、1~6mmであることが好ましく、1~4mmであることがより好ましい。ロータ31’とコンベアローラ2との距離が前記下限値未満であると、ロータ31’の回転速度は増加するが、筒状ロータ31を回転させるためのエネルギーが増大し、コンベアローラ2の回転速度が低下する可能性がある。ロータ31’とコンベアローラ2との距離が前記上限値を超えると、ロータ31’の回転速度が低下し、発電効率が低下する場合がある。なお、インナーロータ型発電機の場合、ロータ31’とコンベアローラ2との距離を縮めても、コンベアローラ2の回転速度の低下が少ないことから、受動ローラであるコンベアローラ2に適している。
【0022】
このような構成の非接触型発電機3’では、回転するコンベアローラ2と磁石32の磁束が鎖交すると、コンベアコーラ2に発生する渦電流により、非接触式発電機3’のロータ31’が回転し、それとともに磁石32が回転する。これと同時に、磁石32の磁束はコイル331’と鎖交するため、コイル331’は、ロータ31’の回転速度に比例した誘導電圧を生成し、発電する。
【0023】
[ローラコンベアシステムの回路]
次に、本発明のローラコンベアシステムを備える回路について説明する。
図7は、本発明のローラコンベアシステムの一例を説明する回路図、
図8は、AC/DCコンバータの動作の一例を説明する回路図、
図9は、昇降圧チョッパの動作の一例を説明する図、
図11は、無線通信手段の間欠動作を説明するためのグラフである。
本発明に係るローラコンベアシステムは、
図7に示すように、交流電圧を直流電圧に変換するAC/DCコンバータと、直流電圧に変換した電力を蓄電するインダクタと、インダクタから供給された電力をセンサ4の駆動用の電力として蓄電するコンデンサとを有していることが好ましい。
図7の回路は、AC/DCコンバータ(回路の左側)と昇降圧チョッパ(回路の右側)で構成されている。Gで生成された単相の正弦波電圧は、AC/DCコンバータで整流され、昇降圧チョッパを用いて電圧変換が行われる。なお、
図7に示すように、昇降圧チョッパの電界効果トランジスタは、ゲートドライブ回路の簡単化のために(ゲートドライブ回路が非絶縁でよい)、グラウンド側に備えることが好ましい。
図7において、Gは非接触型発電機(以下単に発電機ともいう)、D
1~D
5はダイオード、FETは電界効果トランジスタ、Lはインダクタ、Cはコンデンサ、Rはセンサ(負荷)を示す。また、
図7中の制御回路は、FETのオンオフを制御する。
【0024】
まず、
図8(a)に示すAC/DCコンバータでは、発電機の上側が高電位となるため、D
1とD
4のダイオードが順方向バイアスとなり、発電機→D
1→出力→D
4→発電機の経路で電流が流れる。
図8(b)に示すAC/DCコンバータでは、発電機の下側が高電位となるため、D
2とD
3のダイオードが順方向バイアスとなり、発電機→D
3→出力→D
2→発電機の経路で電流が流れる。したがって、入力の絶対値を出力する動作となっている。
【0025】
また、
図9に示す昇降圧チョッパでは、FETのスイッチのONとOFFの2パターンの時間割合に対して昇降圧する。スイッチON時の動作は、入力電圧側では入力→L→FET→入力の経路となり、インダクタLにエネルギーが蓄えられる。一方、負荷側ではコンデンサCに蓄えられたエネルギーによってセンサ4側へ電力が供給され、反転した電圧がDuty比により決定する昇降圧比に準じて入力電圧の降圧(0<Duty<0.5)もしくは昇圧(0.5<Duty<1)された値として出力される。
スイッチOFF時の動作は、FETがオフとなるため入力電源は開放され、センサ4側ではインダクタLに蓄えられたエネルギーはセンサ4へ供給される。また、インダクタLによって放出されたエネルギーの一部はコンデンサCに蓄えられる。
【0026】
(無線通信手段の間欠動作)
図10は、本発明のローラコンベアシステムの他の一例を説明する回路図、
図11は、無線通信手段の間欠動作を説明するためのグラフである。
本実施形態では、センサ4は、取得した情報を外部に無線により送信する無線通信手段を有していることが好ましい。
この無線通信手段は、情報の送信時以外には待機状態となるよう構成され、送信時の電力消費を待機状態時にコンデンサに蓄電して確保するよう構成されていることが好ましい。すなわち、無線通信手段は、間欠動作をすることが好ましい。これにより、センサ4における消費電力を抑制することができる。
【0027】
無線通信手段を間欠動作させるには、例えば、
図10に示す回路を備えることが好ましい。
図10に示すように、本実施形態のローラコンベアシステムは、交流電圧を直流電圧に変換するAC/DCコンバータと、直流電圧に変換した電力を蓄電するインダクタLと、インダクタLから供給された電力をセンサ4(図中のR)(無線通信手段)の駆動用の電力として蓄電するコンデンサCとを有している。
図10の回路は、AC/DCコンバータ(回路の左側)と昇降圧チョッパ(回路の右側)で構成されている。また、
図10に示すように、昇降圧チョッパのグラウンド側に電界効果トランジスタS
6を備え、また、センサ4とコンデンサCとの間に電界効果トランジスタS
7を備えている。
図10中の制御回路は、電界効果トランジスタS
6と電界効果トランジスタS
7のオンオフを制御するよう構成されている。
【0028】
センサ4の無線通信手段は、搬送物が流れるたびに断続的に通信する。そのためデータの送信間隔に応じて電力需要が断続的に発生する。一方、コンベアローラが回っている間において非接触式発電機は常に発電する。したがって、
図11のグラフで示すように、間欠動作での動作電圧範囲(グラフ中のX-Y)と消費電流のエネルギーサイクルを制御することにより、必要なエネルギーおよび電圧、電流値を確保することができる。すなわち、発電するエネルギー量に対して、センサ4で消費するエネルギーサイクルがバランスするようにコンデンサ容量を設計することで、コンデンサの電圧を無線通信手段の動作電圧XからYの範囲に制御することができる。
【0029】
図10の回路では、非接触型発電機Gで発電された交流電圧は、AC/DCコンバータで直流電圧に変換され、電界効果トランジスタS
6がオンの際に、昇降圧チョッパ側に電力が供給される。
電界効果トランジスタS
6がオンの時は、インダクタLにエネルギーが蓄えられる。この際、電界効果トランジスタS
7がオンの時は、コンデンサCに蓄えられたエネルギーによってセンサ4側へ電力が供給され、電界効果トランジスタS
7がオフの時は、電力は供給されない。
電界効果トランジスタS
6がオフで、電界効果トランジスタS
7がオンの時は、インダクタLに蓄えられたエネルギーはセンサ4へ供給され、また、インダクタLによって放出されたエネルギーの一部はコンデンサCに蓄えられる。
電界効果トランジスタS
6がオフで、電界効果トランジスタS
7がオフの時は、インダクタLによって放出されたエネルギーはコンデンサCに蓄えられる。
【0030】
なお、発電機の出力と負荷の決め方は、非接触型発電機の発電エネルギー[J]≧負荷の消費エネルギー[J]となるように決めるが、非接触型発電機の発電エネルギー[J]は、非接触型発電機の発電電力[W]×単位時間[sec]で求める。発電機の回転速度が一定であれば、発電電力も一定のため、発電エネルギーも一定となる。一方、搬送ラインなどでは周期的に搬送物が通過するため、搬送ラインのサイクルタイムが負荷の周期となる。したがって、エネルギーの計算時間単位は、負荷の周期すなわち搬送ラインのサイクルタイムを用いる。上記より、発電エネルギー[J]=発電電力[W]×サイクルタイム[sec]となる。センサ4(無線通信手段)の消費エネルギー[J]は、センサ4の待機時間ではほぼゼロとみなせるため、1サイクルタイム内の制御器の動作している間の消費電力[W]×動作している時間[sec]となる。この時、センサ4が動作中の消費電力は一定であると仮定すると、実際の値よりも、発電エネルギーは小さめに、消費エネルギーは大きめに見積もれば、エネルギー不足に陥ることはない。
【0031】
また、発電エネルギーが消費エネルギーよりも大きい場合、コンデンサの電圧が上昇しすぎないように、昇降圧チョッパにより制御することが好ましい。なお、昇降圧チョッパを設けずに倍電圧整流のみとした場合(例えば
図12)、コンデンサCは、非接触型発電機の開放電圧の2倍まで充電されるが、それ以上は充電されずに負荷開放状態になるため、この電圧よりコンデンサCの耐電圧を高く設定しておけばエネルギー過多で故障することはない。
【0032】
(コンデンサの容量の決め方)
コンデンサの容量の決め方は、センサ4(無線通信手段)の動作電圧範囲を考慮し、センサ4の動作直前のコンデンサ電圧がセンサ4の動作電圧の上限を超えないように設定し、センサ4の動作直後のコンデンサ電圧がセンサ4の動作下限電圧を下回らないように設定する。
例えば、センサ4の動作電圧範囲が、2.1Vから3.6Vの場合において、センサ4の送信時間が10ms必要な場合、コンデンサ電圧が3.6[V]時点で、S7をt=10[ms]導通させる。10[ms]導通しても2.1[V]を下回らないようにするためのコンデンサCの容量を決定する必要があり、次の式(1)の様に求められる。
容量C=(I×t)/(Vmax-Vmin) ・・・(1)
なお、式(1)中、Iはセンサ4の放電電流、tはS7の導通時間、Vmaxはセンサ4の最大動作電圧、Vminはセンサ4の最小動作電圧である。
電圧制御範囲をセンサ4の最大動作電圧Vmax=3.6[V]から最小動作電圧Vmin=2.1[V]までとし、放電電流はセンサ4の定格より求められ、例えばI=59[mA]とした場合、上記式(1)よりC=394[μF]と求められる。
【0033】
以上、本発明のローラコンベアシステムについて、好適な実施形態を基に説明したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、本発明に係るローラコンベアシステムの回路は、
図7、10に限定されず、例えば、
図12に示すような倍電圧整流回路を用いることができる。
図12に示す倍電圧整流回路は、例えば、発電機からの発電電圧が低いが、発電出力が十分で最大電力点追従制御が不要な場合に適用することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 ローラコンベアシステム
2 コンベアローラ
3、3’ 非接触型発電機
4 センサ
31 筒状ロータ
31’ ロータ
32 磁石
33、33’ ステータ
330、330’ ステータコア
331、331’ コイル
330a スロット
330a’ スペース