(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001979
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】検査用プローブ、及び、検査用プローブに使用される検査用ソケット
(51)【国際特許分類】
G01R 1/067 20060101AFI20231228BHJP
G01R 1/073 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
G01R1/067 J
G01R1/067 C
G01R1/073 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100877
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】390005049
【氏名又は名称】ヒロセ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】新井 達也
【テーマコード(参考)】
2G011
【Fターム(参考)】
2G011AA16
2G011AB01
2G011AB06
2G011AB07
2G011AE22
2G011AF07
(57)【要約】
【課題】より小型且つ簡易な方法でシールド機能を有する、又は、有することができる検査用プローブ、及び、該検査用プローブに使用される検査用ソケットを提供する。
【解決手段】検査用プローブであって、導電性材料から成る中空の外殻と、軸方向に伸縮可能な状態で外殻内に設置される弾性部材と、弾性部材によって常時付勢された状態で且つ外殻の外部に一部を突出させた状態で外殻内に設置される接触部材とを備え、
外殻が、軸方向に延びる円筒状の本体部と、本体部の周面の一部に本体部の径方向に突出させた状態で軸方向に沿って設けたシールド部と、を含む、又は、外殻が、軸方向に延びる円筒状の本体部と、本体部の周面の一部に本体部の径方向に窪ませた状態で軸方向に沿って設けた凹陥部とを含み、凹陥部に、連結すべき他の検査用プローブのシールド部の端部、及び/又は、シールド部材の端部を設置することができるように構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性材料から成る中空の外殻と、軸方向に伸縮可能な状態で前記外殻内に設置される弾性部材と、前記弾性部材によって常時付勢された状態で且つ前記外殻の外部に一部を突出させた状態で前記外殻内に設置される接触部材とを備え、
前記外殻が、
前記軸方向に延びる円筒状の本体部と、
前記本体部の周面の一部に前記本体部の径方向に突出させた状態で前記軸方向に沿って設けたシールド部と、を含む、
又は、
前記外殻が、
前記軸方向に延びる円筒状の本体部と、
前記本体部の周面の一部に前記本体部の径方向に窪ませた状態で前記軸方向に沿って設けた凹陥部と、を含み、前記凹陥部に、連結すべき他の検査用プローブの前記シールド部の端部、及び/又は、シールド部材の端部を設置することができるように構成されている
ことを特徴とする検査用プローブ。
【請求項2】
前記軸方向と交差する面において、前記シールド部又は前記シールド部材が、放射状に複数配置されている、請求項1に記載の検査用プローブ。
【請求項3】
前記軸方向と交差する面において、前記シールド部又は前記シールド部材が、略一定の幅で延びる直線形状を有する、請求項1に記載の検査用プローブ。
【請求項4】
前記軸方向と交差する面において、前記シールド部又は前記シールド部材が、前記周面から前記径方向に離れるに従って先細る形状を有する、請求項1に記載の検査用プローブ。
【請求項5】
前記軸方向と交差する面において、前記シールド部又は前記シールド部材の少なくとも一部の輪郭が湾曲している、請求項4に記載の検査用プローブ。
【請求項6】
前記シールド部又は前記シールド部材によって複数の検査用プローブを連結して成る、請求項1に記載の検査用プローブ。
【請求項7】
前記軸方向と交差する面において、前記シールド部又は前記シールド部材は、前記シールド部又は前記シールド部材によって連結された相隣り合う検査用プローブの配列方向から遠ざかる方向に曲げた曲げ部を有する、請求項6に記載の検査用プローブ。
【請求項8】
前記凹陥部が、前記本体部の環状隆起部を利用して形成されている、請求項1に記載の検査用プローブ。
【請求項9】
前記凹陥部の前記軸方向における少なくとも一方の端部が、前記軸方向と交差する面において実質的に閉じている、請求項1に記載の検査用プローブ。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載の検査用プローブに使用される検査用ソケット。
【請求項11】
前記本体部が収容される支持体の穴の周囲に、前記シールド部又は前記シールド部材を保持する保持部材が設けられている、請求項10に記載の検査用ソケット。
【請求項12】
請求項5に記載の検査用プローブの、前記シールド部又は前記シールド部材の湾曲した輪郭が、隣接する検査用プローブの前記本体部の周面と実質的に同心円上に位置付けられている、請求項10に記載の検査用ソケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査用プローブ、更に詳細には、シールド機能を有する、又は、有することができる、グランド用プローブとしての使用に特に適した検査用プローブ、及び、検査用プローブに使用される検査用ソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
検査用プローブは、例えば、パッケージ上に複数の半田ボール、パッド、リード等を配設したICチップ等のアレイ型の電子デバイスの電気検査に使用されるものであって、電源用プローブ及び信号用プローブとして使用されることは勿論、グランド用プローブ等として使用されることもある。
【0003】
特許文献1(特許第6475479号公報)に、検査用プローブをグランド用プローブとして使用する際の使用態様の一例が開示されている。尚、以下の記載において、参照番号は特許文献1中の参照番号に従う。
特許文献1は、高周波対応のソケットを構成する検査ユニット30に関するものであって、検査ユニット30は、多数の貫通孔51を形成した金属ブロック(ピンブロック)50と、これら金属ブロックの貫通孔51に挿入、配置されるグランド用コンタクトプローブ40A、電源用コンタクトプローブ40B、及び高周波信号用コンタクトプローブ40Cと、グランド用コンタクトプローブ40Aの周囲に配されるグランドブッシュ60と、絶縁体板である樹脂プレート(ピンプレート)70と、絶縁部材としてのインシュレータリング75とを備える。
【0004】
グランド用コンタクトプローブ40Aは、電源用コンタクトプローブ40B及び高周波信号用コンタクトプローブ40Cと共に、金属ブロック50に挿入、配置され、また、電源用コンタクトプローブ40B及び高周波信号用コンタクトプローブ40Cと同様に、絶縁体板である樹脂プレートとインシュレータリング75によって金属ブロック50と絶縁されている。従って、このままでは、グランド用コンタクトプローブ40Aにグランド機能を発揮させることはできない。
グランド用コンタクトプローブ40Aに本来の機能を発揮させるため、特許文献1では、グランド用コンタクトプローブ40Aの周囲に導体金属から成るグランドブッシュ60を配置することにより、グランド用コンタクトプローブ40Aと金属ブロック50を電気的に接続して、金属ブロック50をシールド部として機能させたグランド用コンタクトプローブ40Aを提供している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の記載からも明らかなように、当業者の間には、検査用プローブの形状は円筒状であるべきという固定概念が従来存在していた。この固定概念のため、特許文献1では、装置が大型化、複雑化するにも拘わらず、また、設計の自由度が制限されるにも拘わらず、グランドブッシュと金属ブロックを用いて、コンタクトプローブにグランド機能を付加する構成を採用したと考えられる。
本発明は、このような当業者の固定概念を覆し、円筒状であるべきと考えられてきた検査用プローブそれ自体の形状に変更を加えることによって、装置を大型化することなく且つより簡易な方法で、シールド機能を有する、又は、有することができる検査用プローブ、及び、検査用プローブに使用される検査用ソケットを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様による検査用プローブは、導電性材料から成る中空の外殻と、軸方向に伸縮可能な状態で前記外殻内に設置される弾性部材と、前記弾性部材によって常時付勢された状態で且つ前記外殻の外部に一部を突出させた状態で前記外殻内に設置される接触部材とを備え、
前記外殻が、前記軸方向に延びる円筒状の本体部と、前記本体部の周面の一部に前記本体部の径方向に突出させた状態で前記軸方向に沿って設けたシールド部と、を含む、
又は、
前記外殻が、前記軸方向に延びる円筒状の本体部と、前記本体部の周面の一部に前記本体部の径方向に窪ませた状態で前記軸方向に沿って設けた凹陥部とを含み、前記凹陥部に、連結すべき他の検査用プローブの前記シールド部の端部、及び/又は、シールド部材の端部を設置することができるように構成されている。
この態様の検査用プローブによれば、検査用プローブそれ自体の形状に変更を加えることによってシールド機能を付加した、又は、付加することができる、グランド用プローブとしての使用に特に適した検査用プローブを提供することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、シールド機能を有する、又は、有することができる検査用プローブ、及び、該検査用プローブに使用される検査用ソケットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】従来の一般的な検査用プローブの斜視図及びその内部構造を示す斜視図である。
【
図2】本発明の例示的な第一の実施形態による検査用プローブの概略斜視図である。
【
図3】
図1の検査用プローブの変形例を示す斜視図である。
【
図4】検査用ソケットにおける検査用プローブの配置例を示した斜視図である。
【
図5】検査用プローブの配置例を示した平面図である。
【
図6】
図5に対応する検査用プローブの配置例を示した平面図である。
【
図7】
図1の検査用プローブの変形例を示す斜視図である。
【
図8】検査用プローブの配置例を示した平面図である。
【
図9】検査用プローブの連結態様の一例を示す斜視図である。
【
図10】検査用プローブの連結態様の一例を示す斜視図である。
【
図11】本発明の例示的な第二の実施形態による検査用プローブの概略斜視図である。
【
図12】
図11の検査用プローブの変形例を示す斜視図である。
【
図13】凹陥部とシールド部の双方を設けた検査用プローブと、凹陥部のみを有する検査用プローブの連結態様を示す斜視図である。
【
図15】
図13に示した検査用プローブの連結態様の一例を示す斜視図である。
【
図16】凹陥部のみを有する検査用プローブの連結態様を示す平面図である。
【
図17】凹陥部のみを有する検査用プローブの他の連結態様を示す平面図である。
【
図18】本発明の例示的な実施形態による検査用ソケットの概略斜視図である。
【
図19】下側ハウジングに収容された検査用プローブの配列状態を示す部分破断斜視図である。
【
図21】保持部材と貫通穴の配置を、検査用プローブが設置される前の状態で示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための例示的な実施形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、以下の実施形態で説明する材料、形状及び構成要素の相対的な位置等は、本発明の課題を解決するために本質的な事項を除き任意であり、本発明が適用される装置の構成又は様々な条件に応じて変更できる。また、特別な記載がない限り、本発明の範囲は、以下に具体的に記載された実施形態に限定されるものではない。
【0011】
図1に、特許文献1等に開示されている従来の一般的な検査用プローブ9、更に言えば、シールド機能を有しない検査用プローブの斜視図(
図1の(a))とその内部構造(
図1の(b))の斜視図を示す。検査用プローブ9は、円筒状に形成された中空の外殻110と、外殻110内に設置される弾性部材31と、外殻110の外部に一部を突出させた状態で外殻110内に設置される接触部材21、22を備える。
【0012】
外殻110は導電性材料から成り、例えば、1枚の金属板を打ち抜き、折り曲げ加工することにより形成されている。
【0013】
弾性部材31は、例えば、
図1に示すようなコイルばねであって、軸方向「α」に伸縮可能な状態で外殻110内に設置される。弾性部材31は、必ずしも導電性材料から形成する必要はないが、導電性材料で形成することにより、接触部材21と接触部材22の間の、また、これら接触部材21、22と外殻110の間の電気的な接続を強化することもできる。
【0014】
接触部材21、22は、外殻110と同様に、導電性材料から成り、例えば、金属の塊を切削することによって形成されている。但し、この切削加工に代えて、又は、切削加工と組み合わせて、一枚の金属板を打ち抜き、折り曲げ加工することにより形成されてもよい。接触部材21、22は、いわゆるプランジャとして機能する部材であって、弾性部材31によって常時付勢されており、また、外殻110と、更に、弾性部材31が導電性材料から形成されている場合にはそのような弾性部材31と導通している。
【0015】
図2に、本発明の例示的な第一の実施形態による検査用プローブ1の概略斜視図を示す。検査用プローブ1は、
図1に示した検査用プローブ9とその外殻を異にする。詳細には、検査用プローブ9の外殻110は、軸方向「α」に延びる単なる円筒状の本体部111であるのに対し、検査用プローブ1の外殻10は、本体部11に加え、シールド部13を含む。尚、外殻以外の要素、即ち、弾性部材31、及び、接触部材21、22について、検査用プローブ1と検査用プローブ9の間に実質的な相違はない。
【0016】
シールド部13は、導電性部材から成り、例えば、1枚の金属板を打ち抜き、折り曲げ加工することによって、又は、金属の塊を切削することによって、本体部11と共に一体的に形成することができる。但し、必ずしも、本体部11と一体的に形成する必要はなく、本体部11とは別個に形成した後に、本体部11に溶接等によって固定されてもよい。
【0017】
各シールド部13は、本体部11の周面11aの一部に本体部11の径方向「R」に突出させた状態で設けられている。径方向に突出させることにより、隣接する検査用プローブをシールドする機能を発揮し得る。
【0018】
各シールド部13はまた、軸方向「α」に沿って所定の長さに亘って設けられている。この長さは、装置の大きさ、及び、シールド効果を考慮して自由に決定することができる。
【0019】
シールド部13の数は特に限定されない。検査用プローブ1では、計4個のシールド部13を設けているが、例えば、
図3に示す検査用プローブ1Aのように1個だけとしてもよい。
【0020】
シールド部13を複数設ける場合、
図2に示すように、これらのシールド部13を、「β-γ」面において、放射状に、また、互いに等間隔で離間させた状態で配置してもよい。放射状に配置することにより、より多くの検査用プローブ1をシールドすることができ、また、等間隔で離間させることにより、検査用プローブの配置設計をより簡単且つ効率的なものにすることができる。但し、必ずしも、放射状とする必要はないし、等間隔で離間させる必要もない。配置方法は、使用態様に応じて、適宜変更することができる。
【0021】
各シールド部13は、「β-γ」面において、略一定の幅で延びる直線形状としてもよい。例えば、
図2に示すように、細条に形成してもよく、この場合、シールド部13は、全体として、薄い板状体として形成される。板状体の形状も特に限定されない。例えば、
図2に示すように、矩形状とした場合、配置設計をより簡単且つ効率的なものにすることができる。但し、その形状は、使用態様に応じて適宜変更することができる。
【0022】
図4に、検査用ソケット(簡略化のため、ここでは省略している)における検査用プローブ1の配置例を斜視図で示す。また、
図5に、検査用プローブ1の他の配置例を平面図で示し、更に、
図6に、
図5に対応する検査用プローブ1Aの配置例を平面図で示す。
【0023】
検査用プローブ1、1Aは、例えば、従来の一般的な検査用プローブ9と共に、検査用ソケットに配置される。検査用プローブ9は、例えば、電源検査用又は信号検査用のプローブであってもよく、
図4乃至
図6に示した配置とすることにより、これら検査用プローブ9を、グランド用プローブとして機能する検査用プローブ1、1Aの本体部11によって、更に、検査用プローブ1、1Aのシールド部13によって、軸方向「α」及び「β-γ」面において、隣接する検査用プローブ9から、また、外部信号から、遮蔽することができる。特に、
図5、
図6に示した配置とした場合、検査用プローブ9の実質的に四方を検査用プローブ1、1Aによって取り囲むことができるため、検査用プローブ9を略完全に外部から遮蔽することができる。検査用プローブ1、1Aは、このように、グランド用プローブとしての使用に特に適したものとして構成されているが、グランド用プローブとしての使用に限定されるものではなく、電源検査用又は信号検査用のプローブとしても、勿論、使用することもできる。
【0024】
図7に、シールド部の形状に変形を加えた、変形例に係る検査用プローブ1Bを示し、更に、
図8に、検査用ソケット(簡略化のため、ここでは省略している)における検査用プローブ1Bの配置例を、
図5、
図6と同様の平面図で示す。
【0025】
検査用プローブ1Bのシールド部13Bは、「β-γ」面において、周面11aから径方向「R」に離れるに従って先細る形状を有する。このような形状とすることにより、他の検査用プローブの配置を妨げることなく、検査用プローブ1Bにより近い位置において、シールド機能をより強化することができる。先細るシールド部13Bの輪郭13Bbは湾曲していてもよい。湾曲した輪郭13Bbは、隣接する検査用プローブ9の本体部11の周面11aと実質的に同心円上に位置付けるのが好ましい。このような位置付けとすることにより、検査用プローブ1Bと、検査用プローブ9との間の距離を一定として、ノイズの発生をより効果的に防ぐことができる。
【0026】
図9に、検査用プローブの連結態様の一例を斜視図で示す。この図に示すように、例えば、
図3に示した検査用プローブ1Aのシールド部13を用いて、相隣り合う検査用プローブを連結してもよい。連結する検査用プローブの数は特に限定されず、2つ以上の検査用プローブを連結してもよい。尚、
図2に示した検査用プローブ1、
図7に示した検査用プローブ1B、更に、後述する検査用プローブについても、同様の方法で連結することができる。
【0027】
図9は、近位に位置する検査用プローブの連結例を示したものであるが、
図10に示すように、遠位に位置する検査用プローブ1Dを連結してもよい。
図10は、検査用ソケット(簡略化のため、ここでは省略している)における検査用プローブ1Dの配置例を、
図4と同様の斜視図で示したものである。シールド部13Dによって連結された一組の検査用プローブ1Dの間には、1つ又は複数の検査用プローブ9を配置することにより、それらをシールドすることができる。この場合、シールド機能をより高めるため、検査用プローブ1Dの間に配置される検査用プローブ9は、シールド部13Dによって連結された検査用プローブ1Dの配列方向「K」に沿って可能な限り一直線状に配列するのが望ましい。このため、シールド部13Dには、「β-γ」面において、シールド部13Dによって連結された相隣り合う検査用プローブ1Dの配列方向「K」から遠ざかる方向に曲げた曲げ部13Dbが設けられている。特に示していないが、
図2に示した検査用プローブ1、
図7に示した検査用プローブ1B、その他の検査用プローブも、同様の方法で連結することができる。
【0028】
図11に、本発明の例示的な第二の実施形態による検査用プローブ1Eの概略斜視図を示す。検査用プローブ1Eは、
図2等に示した検査用プローブ1等とその外殻を異にする。詳細には、検査用プローブ1Eの外殻10は、検査用プローブ1のシールド部13に代えて、凹陥部14を含む。
【0029】
凹陥部14には、
図1、
図2に示した他の検査用プローブ1、1Aのシールド部13の端部13a(
図2乃至
図6参照)、
図7に示した検査用プローブ1Bのシールド部13Bの端部13Ba(
図7、
図8参照)、その他のシールド部の他、「シールド部材」(後述する
図15に参照番号「15」で示している)の端部15a(
図15参照)が設置される。ここで「シールド部材」とは、シールド部と同様の大きさ、形状を有するが、シールド部と異なり、検査用プローブの一部ではなく、検査用プローブとは別個独立に設けた部材を意味する。このように、凹陥部14に、シールド部、及び/又は、シールド部材の所定部分を設置することにより、
図2等に示した変形例と同様に、検査用プローブ1Eを、他の検査用プローブと連結することができる。
【0030】
凹陥部14は、本体部11の周面11aの一部に本体部11の径方向「R」に窪ませた状態で設けられている。凹陥部14は、例えば、本体部11の環状の隆起部18を利用して形成してもよい。凹陥部14は、この隆起部18が形成する本体部の周面11aの一部を径方向「R」に窪ませることによって形成されている。このように、隆起部18を利用して凹陥部14を形成することにより、本体部11の壁厚を薄くすることなく、従って、検査用プローブの強度を弱めることなく、凹陥部14を形成することができる。
【0031】
各凹陥部14はまた、軸方向「α」に沿って所定の長さに亘って設けられている。この長さは、装置の大きさ、及び、シールド効果、更に、凹陥部14に設置される、シールド部13及び/又はシールド部材の端部の大きさ等を考慮して自由に決定することができる。
【0032】
凹陥部14が軸方向「α」に沿って隆起部18の全体に亘って設けられている場合、凹陥部14に設置された、シールド部、及び/又は、シールド部材の端部は、特に底側において抜け落ちてしまう危険がある。抜け落ちを防止して設置を安定させるため、
図12に示すように、凹陥部14の軸方向「α」における少なくとも一方の端部、特に、底側の端部14aを、「β-γ」面において実質的に閉じた検査用プローブ1Fとしてもよい。
【0033】
凹陥部14の数は特に限定されない。検査用プローブ1Eでは、計4個の凹陥部14を設けているが、例えば、1個としてもよいし、3個としてもよいし(後述する
図13乃至
図15)、8個等としてもよい(後述する
図17)。
【0034】
凹陥部14を複数設ける場合、
図11に示すように、これら凹陥部14は、「β-γ」面において、放射状に、また、互いに等間隔で離間させた状態で配置してもよい。但し、必ずしも、放射状とする必要はないし、等間隔で離間させる必要もない。配置方法は、使用態様に応じて、適宜変更することができる。
【0035】
図13乃至
図17に、凹陥部14を利用して連結した検査用プローブの連結態様を示す。尚、
図1等に示した第一の実施形態では、シールド部材を設けた検査用プローブを、一方、
図11等に示した第二の実施形態では、凹陥部を設けた検査用プローブを、それぞれ説明したが、
図13乃至
図15に示すように、これらを組み合わせた検査用プローブとすることもできる。
【0036】
図13乃至
図15では、1つの検査用プローブ1Gに、凹陥部14とシールド部13の双方が設けられている。
図13は、検査用プローブ1Gと、
図11(
図12)に示した検査用プローブ1E(1F)の連結態様を示した斜視図、
図14は、その平面図である。これらの図に示すように、検査用プローブ1Gの凹陥部14に、検査用プローブ1E(1F)のシールド部13の端部13aを設置することによって、検査用プローブ1Gと、検査用プローブ1E(1F)を連結することができる。
【0037】
図15は、検査用プローブ1Gと検査用プローブ1E(1F)の他の連結態様を、
図14と同様の平面図で示したものである。この連結態様では、検査用プローブ1Gは、検査用プローブ1E(1F)に加え、更に、他の検査用プローブ1Gと連結された状態にある。検査用プローブ1Gは、凹陥部14とシールド部13の双方を有することから、この図に示すように、自身のシールド部13を利用して他の検査用プローブ1E(1F)に連結させることができるとともに、他の検査用プローブ1Gによって連結され得る。尚、これら
図13乃至
図15に示した検査用プローブ1Gは、3個の凹陥部14と、1個のシールド部13を有するものとなっているが、勿論、これら凹陥部及びシールド部の総数、凹陥部及びシールド部のそれぞれの個数は特に限定されない。
【0038】
図16は、
図15に相当する平面図であって、凹陥部14のみを有する検査用プローブ1E(1F)を用いて、
図15と同じ連結態様を達成したものである。検査用プローブ1E(1F)は、検査用プローブ1Gのように、シールド部13を有しないことから、ここでは、シールド部材15を用いて、検査用プローブ1E(1F)が互いに連結されている。
図17も、凹陥部14のみを有する検査用プローブ1Hを用いた連結態様を示しているが、ここでは、計8個の凹陥部14が放射状に設けられていることから、
図16に示した連結態様よりも複雑な連結態様となっている。この
図17に示した連結態様によれば、計6個の検査用プローブ1Hによって、計2個の検査用プローブ9をより少ない面積でシールドできるという利点がある。
【0039】
図18に、本発明の例示的な実施形態による検査用ソケットの概略斜視図を示す。検査用ソケット5は、
図1乃至
図17に示した本発明の検査用プローブ1等及びその他の検査用プローブを収容した状態で互いに組み合わされる上側ハウジング5Aと下側ハウジング5Bから成る。上側ハウジング5Aは、樹脂製の基体51と、基体51の外周を取り囲むように設けられた基体51を支持する枠体52を含む。
【0040】
検査用プローブは、これら上側ハウジング5Aの基体51Aに設けた貫通穴54Aと、下側ハウジング5Bの基体51Bに設けた貫通穴54Bとを利用して、貫通穴54A、54Bの配置に従ってグリッド状に配列される。
検査用プローブ1等がこれら上側ハウジング5Aと下側ハウジング5Bに収容されたとき、上側ハウジング5Aの収容空間には検査用プローブの略上半分が、下側ハウジング5Bの収容空間には検査用プローブの略下半分(
図19参照)が、それぞれ収容される。また、このとき、検査用プローブの接触部材21の一部、特に、その先端に設けた多点接点部21a(
図1等参照)は、貫通穴54Aを通じて基体51の表面51aよりも上方に多少突出した状態で設置され、同様に、検査用プローブ1等の接触部材22の一部、特に、その先端に設けた接点部22a(
図1等参照)は、貫通穴54Bを通じて下側ハウジング5Bの底部表面よりも下方に多少突出した状態で設置される。
【0041】
枠体52はネジ穴52aを含み、同様に、下側ハウジング5Bはネジ穴52cを含む。枠体52及び下側ハウジング5Bは、これらのネジ穴52a、52cを利用して、基体51とともに、プリント回路基板等の検査装置(図示していない)の所定位置にネジ固定される。所定位置に固定された際、検査用ソケット5の基体51に組み込まれた、検査用プローブ1等の接触部材21は各々、検査装置の所定部分と電気的に接続される。
【0042】
検査対象である電子デバイス(図示していない)は、枠体52の内壁面52bと基体51の表面51aによって形成された凹陥状の設置部57内に挿入される。この結果、電子デバイスの所定部分、例えば、IC回路の所定の半田ボール等が、基体51の表面51aに配列された接触部材21の多点接点部21aの各々と電気的且つ弾性的に接続される。検査用ソケット5には、検査対象である複数の電子デバイスが代わる代わる挿抜され得る。電子デバイスの検査に必要な電力は、例えば、検査装置から供給することができる。検査装置からの電流は、検査装置と接触部材22の接点部22aの間の電気的な接続を通じて、電子デバイスに供給される。
【0043】
図19に、下側ハウジング5Bに収容された検査用プローブ1の配列状態を部分破断斜視図で示し、更に、
図20に、その概略平面図を示す。下側ハウジング5Bには、検査用プローブ1の外殻の本体部11が収容される貫通穴54Bに加え、その周囲に、シールド部13又はシールド部材15を保持する保持部材58が設けられている。
図21の平面図に更に、保持部材58と貫通穴54Bの配置を、検査用プローブ1が設置される前の状態で示し、
図22に、
図21のA-A線に沿う断面斜視図を示す。これらの図によく示されているように、保持部材58は、平面視略H状とされており、対向位置に設けた窪み58aに、検査用ソケットのシールド部13又はシールド部材15の端部13b、15b付近を受容し、保持することができるようになっている保持部材58を設けることにより、本検査用ソケット5では、検査用プローブ1等を、確実に且つ安定した状態で設置することが可能とされている。また、保持部材58を貫通穴54Bの対応位置にそれぞれ設けることにより、検査用プローブのどのような配置も許容するよう設計の自由度が高められている。
【0044】
本発明に関連する分野の当業者であれば、上記の説明で示された教示の助けを借りれば、本発明の多くの修正形態または他の実施形態を思いつくであろうし、当業者には、本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく、本発明の変形および修正を行うことができることは明らかであろう。したがって、本発明は、開示されている特有の実施形態に限定されず、修正形態およびその他の実施形態は、添付の特許請求の範囲内に含まれるよう意図されているものと理解されたい。
【符号の説明】
【0045】
1 シールド機能を有する検査用プローブ
5 検査用ソケット
9 検査用プローブ
10 外殻
11 本体部
11a 周面
13 シールド部
13a 端部
14 凹陥部
15 シールド部材