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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019790
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】フェースカバー
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20240206BHJP
   A42B 1/012 20210101ALI20240206BHJP
   A45D 44/12 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
A42B1/012
A45D44/12 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122468
(22)【出願日】2022-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】514192756
【氏名又は名称】株式会社ネオックス
(71)【出願人】
【識別番号】391021466
【氏名又は名称】春日製紙工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】島 圭吾
(72)【発明者】
【氏名】久保田 雅則
(57)【要約】
【課題】使い捨てに好適で使いやすく衛生的で快適に使用できるようにする。特に衣料品店での試着用に利用しやすくする。
【解決手段】顔面を覆う前面シート部12と、前面シート部12の上部における後面に位置して後頭部を覆う後面シート部13を有するフェースカバー11において、前面シート部12と後面シート部13を含む全体を木材パルプ100%原紙からなる1枚の薄葉紙で構成する。前面シート部12と後面シート部13の人体に接する内側面を薄葉紙Pの裏面Pbで形成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔面を覆う前面シート部と、前記前面シート部の上部における後面に位置して後頭部を覆う後面シート部を有するフェースカバーであって、
前記前面シート部と前記後面シート部の全体がそれぞれパルプ100%原紙からなる1枚の薄葉紙で構成された
フェースカバー。
【請求項2】
前記薄葉紙が木材パルプ100%原紙である
請求項1に記載のフェースカバー。
【請求項3】
前記前面シート部と前記後面シート部が薄葉紙の裏面を内側に向けて形成され、
前記前面シート部と前記後面シート部の重なり状態を維持するシール部がエンボスロールによる圧着により形成された
請求項1または請求項2に記載のフェースカバー。
【請求項4】
前記シール部が互いに並行した線状をなす複数のシール線で構成された
請求項3に記載のフェースカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば試着や着替えに際して着用して化粧料や汗、皮脂などの衣服への付着を防止したり頭髪の乱れを防止したりするフェースカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
フェースカバーは使い捨てできるシート材で構成されており、四角いシート材をセンターからずらした位置で2つ折りして折り目と直交する両側縁を接合して構成され、頭にかぶる袋状の部分を上部に有している。フェースカバーを構成するシート材はポリプロピレンなどの化学繊維からなる不織布である(例えば下記特許文献1)。
【0003】
不織布製のフェースカバーは軽くて肌触りが良く丈夫であるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】登録実用新案第3157323号号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、不織布製のフェースカバーは表裏両面が滑らかであるので、服を頭からかぶるときや脱ぐときに顔からずれやすく、慣れないと使用しにくい。
【0006】
このような事情もあって、衣料品店での試着においては、フェースカバーの使用目的は理解されるものの使用をためらう顧客もあり、化粧料が付着して商品を毀損してしまうことがしばしばあった。
【0007】
しかも、フェースカバーはごく薄い不織布シートで構成されているので、毛羽立ちがある場合や端の処理が雑で化学繊維が糸屑のように飛び出している場合には、気持ちよく使用できない。
【0008】
そこでこの発明は、使い捨てに好適で使いやすく快適に使用できるようにすることを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのための手段は、顔面を覆う前面シート部と、前記前面シート部の上部における後面に位置して後頭部を覆う後面シート部を有するフェースカバーであって、前記前面シート部と前記後面シート部の全体がそれぞれパルプ100%原紙からなる1枚の薄葉紙で構成されたフェースカバーである。
【0010】
この構成によれば、前面シート部と後面シート部フェースカバーはパルプ100%原紙からなる1枚の薄葉紙で構成されているので、不織布に比べて人体との間での滑りが抑制される。このため装着状態を安定させやすい。しかもフェースカバーはティシュと同じ素材で構成され得るので、衛生的であって抵抗感なく使用され得る。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、1枚のパルプ100%原紙からなるフェースカバーは安定した装着状態を得やすいので、衣服を脱ぎ着する際にずれにくく使用しやすい。そのうえ、普段使用するティシュと同じ材料で構成し得るので、衛生的に使用でき、しかも使い回しを許さない構成であるため快適に使用できる。そのため、フェースカバーを衣料品店での試着に際して用いるものとする場合には使用率を向上して不測の商品毀損などを皆無にすることに資する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】フェースカバーの装着状態を示す斜視図。
図2】フェースカバーの背面図。
図3】フェースカバーの縦断面図。
図4】フェースカバーの製造工程の概略説明図。
図5】折り線を表したフェースカバーの背面図。
図6図5の折り線で折りたたんだフェースカバーの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
【0014】
発明に係るフェースカバー11は、図1に示したように人体の顔面等を覆うものであり、頭からかぶるタイプの衣服を脱ぎ着するとき、特に衣料品店での試着に際して使用するものである。フェースカバー11は柔軟なごく薄いシート材で構成されており、顔面を覆う前面シート部12と、前面シート部12の上部における後面に位置して後頭部を覆う後面シート部13を有している。これら前面シート部12と後面シート部13はそれぞれ1枚のシート材で構成されている。
【0015】
図2は使用前の状態のフェースカバー11を後面から見た状態を示している。
【0016】
この図に示すように前面シート部12は略正方形であり、後面シート部13は横に長い長方形である。前面シート部12と後面シート部13からなるフェースカバー11は全体が1枚のシート材で構成されており、前面シート部12と後面シート部13の上端は折り返し部14によって一体である。前面シート部12の上下方向の長さは頭頂から胸元までを覆う長さにするとよい。後面シート部13の上下方向の長さは、後頭部を覆う程度の長さがあればよく、図示例のように前面シート部12における上下方向の長さの上半分程度であるとよい。
【0017】
前面シート部12と後面シート部13が重なり合う領域の左右両側縁には、それらの重なり状態を維持して重なり合う部分を袋状にするシール部15が形成されている。
【0018】
前面シート部12と後面シート部13を構成するシート材は、パルプ100%原紙からなる1枚の薄葉紙Pである。パルプは非木材パルプであってもよいが、好ましくは木材パルプからなる薄葉紙Pを使用するとよい。木材パルプ100%原紙の薄葉紙Pであると、違法伐採された木材ではなく生物多様性などの環境配慮がなされた木材のみを使用した製品とすることができるうえに、柔らかい肌触りの製品とすることもできるからである。また、パルプは再生パルプ(リサイクルパルプ)であってよい。薄葉紙の坪量は好ましくは10g/m~30g/mとするとよい。
【0019】
薄葉紙Pの厚さは一般的なティシュと同程度であって薄く、例えば約0.04mmである。このため、薄葉紙P越しに光は入るので、顔面を覆っても前面シート部12の向こう側の様子が視認できる状態である。
【0020】
薄葉紙Pには表面Paと裏面Pbがあり、表面Paの方が裏面Pbよりも滑らかである。このためフェースカバー11の構成に際して、前面シート部12と後面シート部13は薄葉紙Pの裏面Pbを内側に向けて形成される。図3図2の中央縦断面図であり、この図では前面シート部12と後面シート部13の内側面12b,13b(裏面Pb)を細かなドットの連続であらわして粗さを表現している。
【0021】
シール部15は、エンボスロールによる接着剤なしの圧着により形成されている。具体的には線状をなすシール線16を有しており、シール線16の延びる方向に凹凸が連続するように両面エンボスで形成されている。シール線16は前面シート部12と後面シート部13の左右方向の端から若干内側に寄った位置に形成されており、直線状に延びている。シール部15のシール線16の本数は複数、具体的には2本であり、シール線16は互いの間に間隔をあけて並行して延びている。シール線16の端部、つまり後面シート部13の下端に近い部分は4分の1円弧状であり、端を前面シート部12と後面シート部13の左右方向の端に形成している。
【0022】
以上のような構成のフェースカバー11は、概略図である図4に示したようにして製造される。
【0023】
すなわち、折り工程S1、シール工程S2及び切離し工程S3を有する。まず、一定幅の薄葉紙Pをその裏面Pbを上向きにして搬送し、幅方向のセンターからずれた位置において片側を折り返して、前面シート部12になる部分の上に後面シート部13となる部分が重なった2つ折り状態にする(折り工程S1)。続いて、フェースカバー11ごとに切り離す位置となる一定間隔ごとの切断予定線Lを跨ぐ位置に平面視U字状のシール線16からなるシール部15を形成する(シール工程S2)。このあと、切断予定線Lにおいて切断を行い、フェースカバー11ごと切り離す(切離し工程S3)。
【0024】
このようにして製造されたフェースカバー11は折りたたまれて梱包等がなされて使用に供される。折りたたみの一例を図5に示す。図5は、図2と同様にフェースカバー11を後面側から見た状態であり、破線は谷折り線17,18を、一点鎖線は山折り線19を示している。
【0025】
谷折り線17,18のうちの一つは上下方向の中間よりも下側に寄った位置で、左右方向の全体に延びている。これを第1谷折り線17という。谷折り線17,18の他の一つ、すなわち第2谷折り線18は、第1谷折り線17の長手方向の中間位置からフェースカバー11の上端まで真っすぐに延びている。第1谷折り線17と第2谷折り線18のなす角度は直角である。第1谷折り線17の長手方向中間位置からフェースカバー11の下端にかけて、第1谷折り線17と直角に延びる線は山折り線19である。
【0026】
まず第1谷折り線17で2つ折りしたのち、第2谷折り線18及び山折り線19でさらに2つ折りすると、図6に示したように四角く折りたたまれることになる。このとき第1谷折り線17がセンターからずれた位置にあるので、フェースカバー11の4つの角が重なり合うことはなく、使用に際して開きやすい状態である。
【0027】
このようなフェースカバー11は、袋を開くように後面シート部13を前面シート部12から離して両者間に空間を作り、前面シート部12で顔面を覆う状態で頭にかぶる。前面シート部12は前頭部から胸元までを覆い、後面シート部13は後頭部を覆う。この状態においてフェースカバー11の内側で人体に接する薄葉紙Pの裏面Pbは、外側に露出する表面Paよりも粗い。このため、人体に対する被覆状態は安定し、不測なずれは生じにくい。したがって、フェースカバー11を着用していても衣服の脱ぎ着がしすい。
【0028】
そのうえ、フェースカバー11はパルプ又は木材パルプ100%原紙の薄葉紙Pからなるので、ティシュと同じ柔らかい肌触りであるとともに、清潔感があって不織布の場合のような毛羽立ちや糸屑が生じることはなく、誰でも抵抗なく快適に使用できる。
【0029】
さらには、フェースカバー11は薄葉紙Pからなるので、少しでも濡れたりすれば見てすぐわかり、同様に汚れが付着してもすぐに判別できるものである。皺も付きやすい。このため、フェースカバー11は使い回しできるものではなく、未使用であることが一目でわかる構成である。したがって、試着時に使用するフェースカバー11とした場合に、使用者には快適に使用してもらうことができる。職場のロッカー室や自宅で使用するフェースカバー11とした場合でも、衛生的に使用できる。
【0030】
以上のようにフェースカバー11は、使い捨てに好適で使いやすく、快適に使用できるものとなる。
【0031】
特に試着時に使用するものとした場合、使いやすさと清潔感から顧客による使用率を向上させることができ、商品の毀損を未然に防止することに貢献できる。
【0032】
そのうえ、シール部15がエンボスロールによる圧着により形成されるが、前面シート部12と後面シート部13は薄葉紙Pの裏面Pbを内側に向けて形成されているので、製造における折り工程S1やシール工程S2が精度良く行える。すなわち、表面Paの滑らかさゆえに折り返しが所望の位置で行えるとともに、重なり合った裏面Pb同士は容易にずれることなく効果的に圧着できる。
【0033】
しかもそのシール部15は互いに並行した線状をなす2本のシール線16で構成されているので、シール部15に適宜の幅を持たせるとともにシール部15の接合強度を高めることもできる。
【0034】
以上の構成はこの発明を実施するための一形態であって、この発明は前述の構成のみに限定されるものではなく、その他の構成を採用することもできる。
【0035】
例えばフェースカバー11は前面シート部12と後面シート部13を別のシート材で構成することができる。また、前面シート部12と後面シート部13で上下方向の長さを同じにすることもできる。この場合には、シール部15の長さを前面シート部12と後面シート部13の上下方向の長さよりも短くする。
【0036】
シール部15を構成する複数のシール線16は部分的に互いに交差してもよい。
【0037】
フェースカバー11は、1枚ずつ取り出せるように折り重ねて箱などに包装してもよい。
【符号の説明】
【0038】
11…フェースカバー
12…前面シート部
12b…内側面
13…後面シート部
13b…内側面
15…シール部
16…シール線
P…薄葉紙
Pb…裏面
図1
図2
図3
図4
図5
図6