IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社魁半導体の特許一覧

<>
  • 特開-機能性粉体及び組成物 図1
  • 特開-機能性粉体及び組成物 図2
  • 特開-機能性粉体及び組成物 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019795
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】機能性粉体及び組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 27/22 20060101AFI20240206BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20240206BHJP
   C08J 3/28 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
C08L27/22
C08L101/00
C08J3/28 CEW
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122475
(22)【出願日】2022-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】504119424
【氏名又は名称】株式会社魁半導体
(72)【発明者】
【氏名】山原 基裕
(72)【発明者】
【氏名】北川 貴之
(72)【発明者】
【氏名】登尾 一幸
(72)【発明者】
【氏名】田口 貢士
【テーマコード(参考)】
4F070
4J002
【Fターム(参考)】
4F070AA24
4F070AC01
4F070AC19
4F070AE29
4F070BA06
4F070DB00
4F070HA06
4F070HB14
4J002AA002
4J002AC032
4J002AC062
4J002BB032
4J002BB122
4J002BB172
4J002BB212
4J002BC032
4J002BC062
4J002BD042
4J002BD132
4J002BD152
4J002BD171
4J002BG062
4J002BN152
4J002CB002
4J002CC032
4J002CC162
4J002CC182
4J002CD002
4J002CF052
4J002CF062
4J002CF072
4J002CF082
4J002CF162
4J002CF212
4J002CG012
4J002CH062
4J002CH072
4J002CH092
4J002CJ002
4J002CK022
4J002CL002
4J002CM022
4J002CM042
4J002CN012
4J002CN032
(57)【要約】
【課題】プラズマ処理のみでポリマーやセラミック等の有機、無機の固体中に一様に分散することができるPTFE等のフッ素系ポリマーの粉体及びその粉体を含有する組成物を提供する。
【解決手段】エチレンに基づく単位の中に於いて、少なくとも2つのフッ素が炭素と結合したフルオロエチレンに基づく単位から構成される分子構造を有するフッ素ポリマーを含有する粉体であって、前記フッ素ポリマーは、アミノ基系官能基を有することを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレンに基づく単位の中に於いて、少なくとも2つのフッ素が炭素と結合したフルオロエチレンに基づく単位から構成される分子構造を有するフッ素ポリマーを含有する粉体であって、
前記フッ素ポリマーは、アミノ基系官能基を有することを特徴とする粉体。
【請求項2】
前記フッ素ポリマーが、エチレンに基づく単位の中に於いて、少なくとも2つのフッ素が炭素と結合したフルオロエチレンに基づく単位と、アミノ基系官能基を有する単位とを有することを特徴とする請求項1に記載の粉体。
【請求項3】
前記粉体の表面自由エネルギーが、
41.00mJ/m以上72.00mJ/m未満であることを特徴とする請求項1及び2に記載の粉体。
【請求項4】
エチレンに基づく単位の中に於いて、少なくとも2つのフッ素が炭素と結合したフルオロエチレンに基づく単位から構成される分子構造を有するフッ素ポリマーを含有する粉体と、表面張力が41.00mN/m以下の液体とを少なくとも含むことを特徴とする組成物。
【請求項5】
前記組成物において、前記粉体が分散されていることを特徴とする請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物において、有機高分子が溶解されていることを特徴とする請求項4及び5に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ素ポリマーから成る機能性粉体及びその組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE )を始めとするフッ素ポリマーは、摩擦係数が低く、非粘着性、耐薬品性、耐熱性等の特性に優れている。そのことから、フッ素ポリマーは、半導体、自動車、産業機械、化学工業、土木建築、電気電子関係等、幅広く使用されている。また、PTFEの微粒子や粉末等のファインパウダーは、他の材料中に分散し、あるいは他の材料とブレンドして、改質剤として利用されている。
【0003】
従来から、PTFEファインパウダーは、凝集しやすい性質を有しているため、充填容器から取り出し、成形加工等に供する際の作業性が悪いという問題を有していた。たとえば、ペースト押し出し法でロッドやチューブ状の予備成形品を押し出す際にPTFEファインパウダーと押出助剤とを混合する必要があるが、この時の作業性が悪いという問題がある。また、プラスチックへ添加して摺動性やドリップ防止性を付与する際に予めPTFEファインパウダーと原料樹脂とを予備混合する必要があるが、この時ヘンシェルミキサーや押し出し機フィーダー内で粉末が固まってブロッキングをおこし、作業性、生産性を著しく阻害するという問題がある。さらに、原料樹脂に対するPTFEファインパウダーの分散性が悪いため、コンパウンドの条件によっては成形品表面にPTFEが分離したシルバーラインが発生するという問題がある。シルバーラインとは成形品表面に樹脂の流動方向に沿って生成する銀条痕である。
【0004】
分散またはブレンド用として、低分子量PTFEの微粒子や粉末のファインパウダーが従来から市販されている。低分子量PTFEを粒子形態からみると、コロイド粒子の凝集粉末か、又は一旦溶融されて緻密化したのち、粉砕によって粉末にしたものに大別される。
【0005】
特許文献1において、テトラフルオロエチレンを乳化重合して得られるPTFEラテックスに界面活性剤等を添加し凝析することにより、PTFEファインパウダーの製造方法が記載されている。
【0006】
これに対して特許文献2において、PTFEに放射線を照射することにより、低分子量のPTFEを生成した後に、粉砕し、熱処理工程を行うことによりパーフルオロカルボン酸及びその塩の含有量が少ない、低分子量PTFEファインパウダーの製造方法が記載されている。
【0007】
また、特許文献3において、パーフルオロオクタン酸等のパーフルオロカルボン酸を含有せず、摺動部材に均一に混合することが容易であり、摺動部材の耐摩耗性を改善することができる粉体および該粉体を含む樹脂組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3931382号
【特許文献2】特開2018-024868号公報
【特許文献3】特開2020-200426号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1で記載の乳化重合で得られたパウダーに界面活性剤や、凝析剤を添加することにより凝析を行うが、凝析後、乳化剤や界面活性剤、凝析剤を洗浄しきれずに不純物として含有するおそれがある。また、パウダーの表面については改質を施さないので、目的とする特性は向上するが、パウダーの分散状態が悪化する為、ある量を超えて含有させることができない。
【0010】
また、特許文献3で記載の接着基に於いて、カルボニル基やヒドロキシル基を導入するには、有機合成では可能ではあるが、プラズマ照射に於いてはPTFE等のフッ素ポリマーに対しては不可能である。
【0011】
近年、PTFEを始めとするフッ素ポリマーのパウダーについて、ポリマーやセラミック等の有機、無機の固体中に高濃度で一様に分散するようにブレンドできる技術が望まれている。しかし、界面活性剤等の分散剤を使用せずにプラズマ処理のみで、ポリマーやセラミック等の有機、無機の固体中に一様に分散できるブレンド技術は未だ見出されていない。
【0012】
本発明の目的は、プラズマ処理のみでポリマーやセラミック等の有機、無機の固体中に一様に分散することができるPTFE等のフッ素系ポリマーの粉体および該粉体を含む組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記課題を解決するために、下記の[1]~[6]のいずれかに記載の微粒子の製造方法を提供するものである。
【0014】
[1]エチレンに基づく単位の中に於いて、少なくとも2つのフッ素が炭素と結合したフルオロエチレンに基づく単位から構成される分子構造を有するフッ素ポリマーを含有する粉体であって、前記フッ素ポリマーは、アミノ基系官能基を有する。
[2]前記フッ素ポリマーが、エチレンに基づく単位の中に於いて、少なくとも2つのフッ素が炭素と結合したフルオロエチレンに基づく単位と、アミノ基系官能基を有する単位とを有する。
[3]前記粉体の表面自由エネルギーが、41.00mJ/m以上72.00mJ/m未満である。
[4]エチレンに基づく単位の中に於いて、少なくとも2つのフッ素が炭素と結合したフルオロエチレンに基づく単位から構成される分子構造を有するフッ素ポリマーを含有する粉体と、表面張力が41.00mN/m以下の液体とを少なくとも含む。
[5]前記組成物において、前記粉体が分散されていることを特徴とする。
[6]前記組成物において、有機高分子が溶解されている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、プラズマ処理のみでポリマーやセラミック等の有機、無機の固体中に一様に分散することができるPTFE等のフッ素系ポリマーの粉体を提供することができる。
また、本発明によれば、プラズマ処理のみでポリマーやセラミック等の有機、無機の固体中に一様に分散することができるPTFE等のフッ素系ポリマーの粉体を含む組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係るフッ素系ポリマー含有粉体表面を活性化する粉体表面処理プラズマ処理装置構成の全体を示す模式図である。
図2】実施例において、両面テープを貼ったスライドガラス上の両面テープ上にPTFE粉体を敷き詰めたサンプルに、N-メチル-2-ピロリドンの液滴を滴下した直後の様子を示した写真である。
図3】実施例において、両面テープを貼ったスライドガラス上の両面テープ上にPTFE粉体を敷き詰めたサンプルに於けるN-メチル-2-ピロリドンの接触角測定時の写真である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態の粉体について、プラズマ粉体処理方法は、低温プラズマ処理である減圧高周波プラズマ処理を行う。そのため、高い電子密度下で処理を行うことができ、多様な材質の粉体の表面改質を行うことができる。また、ナノ粒子の表面改質処理にも好適である。
【0018】
また、プラズマ生成用のガスとしてアンモニア(NH)ガスに限定されず、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、キセノン(Xe)、窒素(N2)、四フッ化炭素(CF)、水(HO)、酸素(O2)ガスなども使用することができ、前記ガスの2種類以上を混合して使用することができる。前記した種々の活性ガス(反応性ガス)が適用可能であるため、エッチング、活性化などの多様な機能を付与する表面改質処理を行うことができる。
【0019】
図1は、実施形態に係る粉体表面プラズマ処理装置の全体構成を示す模式図である。
【0020】
本実施形態に係る粉体表面プラズマ処理装置1は、フッ素系ポリマーを含有する粉体表面の活性化を実施するためのプラズマ処理装置である。
【0021】
また、本実施形態では、フッ素系ポリマーを含有する粉体として、少なくとも含有されるフッ素ポリマーは、フッ素系ポリマーであれば特定されず、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン;polytetrafluoroethlene)、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン;poly[tetrafluoroethylene-co-prefluoro(alkyl vinyl ether)])、FEP(パーフルオロエチレンプロペンコポリマー;fluorinated ethylene propylene copolymer)、ETFE(エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー;ethylene tetrafluoroethylenecopolymer)、PVDF(ポリビニリデンフルオライド;poly(vinyliden di fluoride))等のポリマーが挙げられる。
【0022】
図1に示すように粉体表面処理プラズマ処理装置1は、基板Sを収容するチャンバー2と、チャンバー2内に粉体Pを配置する電極を兼ねるドラム3と、前記電極を兼ねるドラム3に対向するチャンバーの蓋4と電極5を有し、前記電極を兼ねるドラム3には、プラズマ生成用電源6が接続されている。また、プラズマ生成用電源6は、周波数が13.56MHzの高周波電源を用いることが好ましい。さらに、前記電極を兼ねるドラムを回転させるためのモーター7が前記電極を兼ねるドラム3に接続されている。さらに、プラズマ処理に使用するガス導入口8から導入する。プラズマ処理に使用するガスはガスボンベ(図示せず)から供給され、流量調整バルブ/マスフローコントローラ9を介してチャンバー2に導入される。アース10はチャンバー2とチャンバーの蓋4に接続され、チャンバー2内の圧力を監視する圧力ゲージ11がチャンバー2に接続されている排気管に接続されている。そして、排気流量調整バルブ12とフィルター13、排気機構14とがチャンバー2に接続されている。
【0023】
本実施形態において、前記チャンバー2の内部に設けられている前記電極を兼ねたドラム3に対して、前記電極を兼ねるドラムを回転させるためのモーター7によって、前記電極を兼ねたドラム3を回転させながら、粉体Pの表面に対して活性化処理を行う。電極を兼ねたドラム3を回転させつつ、プラズマ処理を行うことにより、粉体Pをかき混ぜることが可能になり、粉体の個々の表面がプラズマ雰囲気下にさらされることになり、活性化することが可能である。
【0024】
本実施形態においては、ガス導入口8から導入するプラズマ処理に使用するガスはガスボンベ(図示せず)から供給され、流量調整バルブ/マスフローコントローラ11を介してチャンバー2に導入される。プラズマ処理に使用される表面活性化ガスとしては、フッ素系ポリマーを含有する粉体に処理することから主にNHガスが選択される。例えば、ArやHe、Xe等の希ガスも使用することが可能であり、フッ素系ポリマーを活性化及び活性化の補助をすることが可能なガスであれば、混合ガス等何ら限定するものではない。
【0025】
本実施形態の粉体において、多段階プラズマ処理を行うことが好ましく、ArやHe、Xe等の希ガスにより前処理を行うことが好ましく、その後でNHによる活性化処理をすることが好ましい。活性化処理時において、HOやOを混合させた混合ガスを用いても良いし、別々に単独ガスで活性化処理を行ってもよいが、少なくともNHによる活性化処理は不可欠である。
【0026】
本実施形態の粉体おいて、活性化処理した粉体を液状媒体に分散させることが可能である。液状媒体としては特に制限されないが、アルコール(メタノール(表面張力:22.6mN/m)、エタノール(表面張力:22.4mN/m)等)、ケトン(アセトン(表面張力:23.3mN/m)、メチルエチルケトン(表面張力:24.6mN/m)、メチルイソブチルケトン(表面張力:25.4mN/m)等)、エーテル(メチルセロソルブ(表面張力:36.4mN/m)等)、ホルムアミド誘導体(N,N-ジメチルホルムアミド(表面張力:36.4mN/m)等)、アセトアミド誘導体(N,N-ジメチルアセトアミド(表面張力:34.0mN/m)等)、ピロリドン誘導体(N-メチル-2-ピロリドン(表面張力:41.0mN/m)等)が挙げられる。
【0027】
本実施形態の組成物において、本発明の粉体と、上記フッ素ポリマーとは異なる樹脂とを含む。樹脂としては、熱可塑性樹脂(ただし、上記フッ素ポリマーを除く)および熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0028】
熱可塑性樹脂としては、結晶性樹脂、非晶性樹脂、熱可塑性エラストマー、その他が挙げられる。
【0029】
結晶性樹脂としては、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、液晶ポリエステル等)、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、酸変性ポリエチレン、酸変性ポリプロピレン、酸変性ポリブチレン等)、ポリオキシメチレン、ポリアミド、ポリアリーレンスルフィド(ポリフェニレンスルフィド等)、ポリケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルニトリル、上記フッ素ポリマー以外のフッ素ポリマー(ポリテトラフルオロエチレン等)、液晶ポリマー等が挙げられる。
【0030】
非晶性樹脂としては、スチレン樹脂(ポリスチレン、アクリロニトリルスチレン樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂等)、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、未変性又は変性されたポリフェニレンエーテル、熱可塑性ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート等が挙げられる。
【0031】
熱可塑性エラストマーとしては、ポリスチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリブタジエン系エラストマー、ポリイソプレン系エラストマー、フッ素系エラストマー、アクリロニトリル系エラストマー等が挙げられる。
【0032】
熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリアリールスルホン、芳香族ポリエーテルイミド、ポリアリーレンスルフィド、ポリアリールエーテルケトン、ポリアミドイミド、液晶ポリエステル、ポリケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルニトリル、変性されたポリフェニレンエーテル、熱可塑性ポリイミド、ポリスルホン等が好ましい。
【0033】
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、シアネートエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、ユリア・メラミン樹脂、ポリイミド、ビスマレイミド樹脂等が挙げられる。
【0034】
熱硬化性樹脂は液状媒体に溶解された形態であってもよい。液状媒体としては特に制限されないが、アルコール(メタノール、エタノール等)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エーテル(メチルセロソルブ等)、ホルムアミド誘導体(N,N-ジメチルホルムアミド等)、アセトアミド誘導体(N,N-ジメチルアセトアミド等)、ピロリドン誘導体(N-メチル-2-ピロリドン等)が挙げられる。
【0035】
熱硬化性樹脂の種類に応じて公知の硬化剤を適宜選択できる。エポキシ樹脂の場合、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエーテル、ビスアニリン、ベンジルジメチルアニリンが挙げられる。シアネートエステル樹脂の場合、ジエポキシ化合物等が好ましい。硬化剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、硬化剤とともに、一般に知られた硬化触媒を併用することも好ましい。
【0036】
熱硬化性樹脂の種類に応じて公知の硬化剤を適宜選択できる。エポキシ樹脂の場合、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエーテル、ビスアニリン、ベンジルジメチルアニリンが挙げられる。シアネートエステル樹脂の場合、ジエポキシ化合物等が好ましい。硬化剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、硬化剤とともに、一般に知られた硬化触媒を併用することも好ましい。
【0037】
本発明の樹脂組成物は、本発明の粉体および樹脂を公知の混合方法により混合することで得られる。また、上記のとおり、粗大粒子が小さい本発明の粉体を用いることにより、樹脂中に本発明の粉体が微小なドメインで均一に分散した樹脂組成物が容易に得られる。
【0038】
また、本発明の樹脂組成物を公知の成形方法で成形することにより、摺動部材等を得ることができる。
【実施例0039】
図1に示す粉体表面処理プラズマ処理装置1において、サンプル粉体PであるPTFE製の粉体200mLをチャンバー2の電極を兼ねたドラム3の中に投入し、チャンバーの蓋4で蓋をし、電極5を設置した。
【0040】
チャンバー2内の雰囲気圧力を減圧した。プラズマガスであるArガスをチャンバー2に導入した。前記Arガスは流量25sccmとし、チャンバー内圧力を30Paに調節し、プラズマ生成電源7に13.56MHzの高周波電源を用いて、100Wの電力で30分間のプラズマによる第1段階プラズマ処理を行った。
【0041】
続いて、活性化用プラズマガスであるNHガスをチャンバー2に導入した。前記NHガスは流量25sccmとし、チャンバー内圧力を70Paに調節し、プラズマ生成電源7に13.56MHzの高周波電源を用いて、100Wの電力で90分間のプラズマによる第2段階プラズマ処理を行った。
【0042】
図2は、スライドガラス上に両面テープを貼り、その上に、処理前のPTFE粉体と、活性化処理後のPTFE粉体を敷き詰めたサンプルに、N-メチル-2-ピロリドンの液滴を滴下した直後の様子を示したものである。処理前のPTFE粉体の液滴は、撥液状況で液滴の形状がはっきりしているが、処理後のPTFE粉体の液滴は、形状がはっきりせず染みこんでいる様子が見られた。
【0043】
また、図4に接触角の経時変化を示した。水滴滴下後、約12分後に接触角5°以下となり、親水性特性の表面に変化したことを示した。更に、後日に同様の試験を行ったところ、撥水性特性の表面に戻っており、約12分後に親水性特性に変化し、表面周辺の環境に影響されて撥水性と親水性を繰り返すことを確認した。
【0044】
以上の結果から、フッ素系ポリマーを含有する粉体に対して、プラズマ処理により粉体表面の活性化を実現することができた。また、活性化処理したフッ素系ポリマーを含有する粉体を液状媒体に分散させることができる。
【符号の説明】
【0045】
1・・・粉体表面処理プラズマ処理装置
2・・・チャンバー
3・・・電極を兼ねるドラム
4・・・チャンバーの蓋
5・・・電極
6・・・プラズマ生成用電源
7・・・電極を兼ねるドラムを回転させるためのモーター
8・・・ガス導入口
9・・・流量調整バルブ/マスフローコントローラ
10・・・アース
11・・・チャンバー2内の圧力を監視する圧力ゲージ
12・・・排気流量調整バルブ
13・・・フィルター
14・・・排気機構
図1
図2
図3