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特開2024-19818表示装置における色温度の設定値の調整方法、及び表示システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019818
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】表示装置における色温度の設定値の調整方法、及び表示システム
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/02 20060101AFI20240206BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20240206BHJP
   G09G 5/36 20060101ALI20240206BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20240206BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20240206BHJP
   H04N 9/31 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
G09G5/02 B
G09G5/00 550C
G09G5/36 530Y
G09G5/00 510B
G09G5/00 510V
G03B21/00 D
G03B21/14 Z
H04N9/31 820
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122526
(22)【出願日】2022-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】山口 勝義
【テーマコード(参考)】
2K203
5C060
5C182
【Fターム(参考)】
2K203FA02
2K203FA62
2K203FA82
2K203FA93
2K203FA94
2K203GC15
2K203KA56
2K203MA05
5C060JA13
5C060JA14
5C060JB06
5C182AA03
5C182AA04
5C182AB03
5C182AB11
5C182AC02
5C182AC03
5C182AC13
5C182AC37
5C182BA03
5C182BA14
5C182BA26
5C182BB12
5C182BB21
5C182BC22
5C182BC25
5C182CA22
5C182CC02
(57)【要約】
【課題】表示装置により表示される画像の色味を、経年劣化を加味して調整できるようにする。
【解決手段】第1表示制御部110aは、画像供給装置から与えられる基準画像信号の表す基準画像を表示面に表示する。基準画像は例えば白色画像である。第1受付部110bは、基準画像における色温度の計測を指示する操作をユーザーから受け付ける。第1取得部110cは、第1受付部110bにより受け付けた操作に応じて基準画像における色温度を計測することにより、色温度を取得する。第1変更部110eは、第1取得部110cにより取得した色温度が基準色温度に近づくように、設定情報に含まれる色温度設定値を変更する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の画像信号に基づく第1の画像を第1の表示装置によって表示することと、
前記第1の画像における色温度の計測を指示する第1の操作をユーザーから受け付けることと、
前記第1の操作に応じて前記第1の画像の色温度を計測することにより、第1の色温度を取得することと、
前記第1の色温度が、基準色温度に近づくように、前記第1の表示装置における色温度の設定値を変更することと、
を含む、表示装置における色温度の設定値の調整方法。
【請求項2】
前記第1の画像信号に基づく第2の画像を第2の表示装置によって表示することと、
前記第2の画像における色温度の計測を指示する第3の操作を前記ユーザーから受け付けることと、
前記第3の操作に応じて前記第2の画像の色温度を計測することにより、第2の色温度を取得することと、
前記第1の色温度より、前記第2の色温度の方が、第3の色温度に近い場合に、前記第2の色温度を前記基準色温度として設定すること、を更に含む、請求項1に記載の調整方法。
【請求項3】
前記基準色温度を設定する第2の操作を前記ユーザーから受け付けることと、
前記第1の画像信号に基づく第2の画像を第2の表示装置によって表示することと、
前記第2の画像における色温度の計測を指示する第3の操作を前記ユーザーから受け付けることと、
前記第3の操作に応じて前記第2の画像の色温度を計測することにより、第2の色温度を取得することと、
前記第2の色温度が、前記基準色温度に近づくように、前記第2の表示装置における色温度の設定値を変更することと、
を更に含む請求項1に記載の調整方法。
【請求項4】
前記第1の表示装置の動作モードを指定する第4の操作を前記ユーザーから受け付けることと、
前記動作モードとして第1の動作モードが指定された場合には、第4の色温度を前記基準色温度として設定することと、
前記動作モードとして前記第1の動作モードとは異なる第2の動作モードが指定された場合には、前記第4の色温度とは異なる第5の色温度を前記基準色温度として設定することと、
を更に含む、請求項1に記載の調整方法。
【請求項5】
前記第1の表示装置における色温度の設定値は、前記第1の表示装置が画像を表示する場合に適用する色温度を示す設定色温度を含み、
前記第1の表示装置における色温度の設定値を変更することは、
前記設定色温度の値を更新すること、を含み、
前記第1の表示装置における色温度の設定値に基づいて生成した第3の画像を前記第1の表示装置が表示すること、を更に含み、
前記第3の画像は、前記設定色温度を示す画像を含む、請求項1乃至4のうちの何れか1項に記載の調整方法。
【請求項6】
画像信号に基づいて第1の画像を表示する第1の表示装置と、
前記第1の画像を計測する計測装置と、
処理装置と、を含み、
前記処理装置は、
第1の画像信号に基づく前記第1の画像を前記第1の表示装置に表示させることと、
前記第1の画像における色温度の計測を指示する操作をユーザーから受け付けることと、
前記第1の画像を前記計測装置が計測した計測結果に基づき、第1の色温度を取得することと、
前記第1の色温度が、基準色温度に近づくように、前記第1の表示装置における色温度の設定値を変更することと、を実行する、
表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置における色温度の設定値の調整方法、及び表示システム、に関する。
【背景技術】
【0002】
複数台のプロジェクターを含むマルチプロジェクションシステムは、各プロジェクターの投射画像を組み合わせることにより、一つの大きな画像を表示できる。各プロジェクターの投射画像の組み合わせにより大きな画像を表示する場合、互いに隣り合う投射画像の境界が目立たないように、各プロジェクターの色調整を行っておく必要がある。プロジェクターの色調整に関する先行技術としては、例えば特許文献1に開示の技術が挙げられる。特許文献1に開示の技術では、各プロジェクターの製造工程において行われた色温度調整の前後のデータを色温度情報として各プロジェクターに記憶させておき、各プロジェクターに記憶されている色温度情報を比較することで、プロジェクター間の投射画像の色の調整が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-140119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プロジェクターの投射画像の色味は、投射レンズを含む光学系等の経年劣化により、プロジェクターの製造時から変化する場合がある。特許文献1に開示の技術では、プロジェクターの製造工程において行われた色温度調整の前後のデータに基づいてプロジェクター間の投射画像の色の調整が行われるため、経年劣化による色味の変化には対処できず、調整精度が低下する虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の表示装置における色温度の設定値の調整方法の一態様は、第1の画像信号に基づく第1の画像を第1の表示装置によって表示することと、前記第1の画像における色温度の計測を指示する第1の操作をユーザーから受け付けることと、前記第1の操作に応じて前記第1の画像の色温度を計測することにより、第1の色温度を取得することと、前記第1の色温度が、基準色温度に近づくように、前記第1の表示装置における色温度の設定値を変更することと、を含む。
【0006】
本開示の表示システムの一態様は、画像信号に基づいて第1の画像を表示する第1の表示装置と、前記第1の画像を計測する計測装置と、処理装置と、を含み、前記処理装置は、第1の画像信号に基づく前記第1の画像を前記第1の表示装置に表示させることと、前記第1の画像における色温度の計測を指示する操作をユーザーから受け付けることと、前記第1の画像を前記計測装置が計測した計測結果に基づき、第1の色温度を取得することと、前記第1の色温度が、基準色温度に近づくように、前記第1の表示装置における色温度の設定値を変更することと、を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の第1実施形態による表示装置10を含む表示システム1Aの構成例を示す図である。
図2】表示装置10の構成例を示す図である。
図3】表示装置10が表示面SSに表示する基準画像G1及び設定通知画像G2の一例を示す図である。
図4】表示装置10の処理装置110がプログラムPRAに従って実行する調整方法の流れを示すフローチャートである。
図5】本開示の第2実施形態による表示装置11の構成例を示すブロック図である。
図6】表示装置11の処理装置110がプログラムPRBに従って実行する調整方法の流れを示すフローチャートである。
図7】本開示の第3実施形態による表示装置12を含む表示システム1Cの構成例を示す図である。
図8】表示装置12の構成例を示す図である。
図9】表示装置12の処理装置110がプログラムPRCに従って実行する調整方法の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に述べる実施形態には技術的に好ましい種々の限定が付されている。しかし、本開示の実施形態は、以下に述べる形態に限られるものではない。
1.第1実施形態
図1は、本開示の第1実施形態による表示システム1Aの構成例を示す図である。表示システム1Aは、表示装置10A、表示装置10B、及びカメラ20、を含む。表示装置10A及び表示装置10Bは、画像光を表示面SSに投射することによって、当該画像光の表す画像を表示面SSに表示するプロジェクターである。表示面SSは例えば投射スクリーンである。表示装置10A及び表示装置10Bには、図示せぬ画像供給装置が有線又は無線により接続される。表示装置10Aは、画像供給装置から供給される画像データに応じた画像を表示面SSにおける領域PGAに表示する。同様に、表示装置10Bは、画像供給装置から供給される画像データに応じた画像を、表示面SSにおける領域PGBに表示する。以下では、表示装置10Aと表示装置10Bとを区別する必要がない場合、表示装置10A及び表示装置10Bは表示装置10と称される。
【0009】
カメラ20は、例えば、レンズ等の光学系にて集光された光を電気信号に変換する撮像素子を備える。カメラ20が備える撮像素子の具体例としては、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)が挙げられる。カメラ20には、可視光を受光するためのフィルターが取り付けられる。つまり、カメラ20により撮像される画像は、可視画像である。カメラ20は、第1の通信線を介して表示装置10Aに接続されるとともに、第2の通信線を介して表示装置10Bに接続される。カメラ20は、表示装置10による制御の下、表示面SSを含む所定範囲の画像を撮像する。カメラ20は、表示面SSを含む所定範囲の画像を撮像することにより得られた撮像画像を表す画像データを表示装置10へ出力する。カメラ20は本開示における計測装置の一例である。表示面SSを含む所定範囲の画像をカメラ20により撮像することにより得られる撮像画像を表す画像データは、本開示における計測結果の一例である。
【0010】
カメラ20と表示装置10Aとの間の接続は無線接続であってもよい。カメラ20と表示装置10Aとの間の接続も無線接続であってもよい。また、本実施形態では、1つのカメラ20が表示装置10Aと表示装置10Bとに接続されるが、表示装置10Aに接続されるカメラ20と、表示装置10Bに接続されるカメラ20とが別個の装置であってもよい。表示装置10Aに接続されるカメラ20と、表示装置10Bに接続されるカメラ20とが別個の装置である場合、カメラ20は表示装置10に含まれてもよい。
【0011】
表示装置10は、カメラ20により撮像された画像に基づいて、表示面SSに表示する画像における色温度の設定を調整する。色温度とは、光の色を定量的に数値化した値であり、具体的には、光の色を、当該色の光を放射する黒体の温度で表現した値である。色温度の単位はK(ケルビン)である。図2は、表示装置10の構成例を示す図である。図2に示されるように表示装置10は、処理装置110、投射装置120、入力装置130、及び記憶装置140、を含む。表示装置10は、処理装置110、投射装置120、入力装置130、及び記憶装置140の他に、画像供給装置と有線又は無線により通信するための通信装置を含む。この通信装置については、図2では図示が省略されている。
【0012】
処理装置110は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサー、即ちコンピューターを含んで構成される。処理装置110は、単一のプロセッサーで構成されてもよいし、複数のプロセッサーで構成されてもよい。処理装置110は、記憶装置140に記憶されているプログラムPRAに従って作動することにより、表示装置10の制御中枢として機能する。
【0013】
投射装置120は、投射レンズ、液晶駆動部、液晶パネル、及び光源部、を含む。以下では、投射装置120に含まれる投射レンズ、液晶駆動部、液晶パネル、及び光源部は投射装置120の光学系と称される。図2では、光学系の図示は省略されている。液晶駆動部は、処理装置110から供給される画像データに従って液晶パネルを駆動することにより、この画像データの表す表示画像を液晶パネルに描画する。光源部は、例えば、ハロゲンランプ又はレーザーダイオード等の光源を含む。光源部からの光は、液晶パネルにおいて画素毎に変調され、投射レンズを介して画像光として投射される。この画像光が表示面SSに投射されることにより、表示面SSに画像が表示される。なお、投射装置120は、画像光を表示面SSに投射できる構成であればよく、液晶駆動部、及び液晶パネルに代えて、デジタルミラーデバイス(DMD)を備える構成であってもよい。
【0014】
入力装置130は、ユーザーの各種入力操作を受け付ける複数の操作子を含む。入力装置130が有する複数の操作子の具体例としては、表示装置10の筐体、又は不図示のリモコンに配置されるボタン、スイッチ、テンキー及びカーソルキーが挙げられる。入力装置130は、ユーザーの操作内容を示すデータを処理装置110に出力する。これにより、ユーザーの操作内容が処理装置110に伝達される。
【0015】
記憶装置140は、処理装置110が読み取り可能な記録媒体である。記憶装置140は、例えば、不揮発性メモリーと揮発性メモリーとを含む。不揮発性メモリーは、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)又はEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)である。揮発性メモリーは、例えば、RAM(Random Access Memory)である。
【0016】
記憶装置140の不揮発性メモリーには、本開示の調整方法を処理装置110に実行させるプログラムPRAが予め記憶されている。また、不揮発性メモリーには、表示装置10により表示する画像に関する各種設定を示す設定情報が記憶される。この設定情報には、表示装置10により表示する画像、即ち投射装置120により投射する画像光の色味を定める設定色温度が含まれる。本実施形態における設定色温度は、投射装置120により投射する画像光における白色の色温度を表し、赤色又は青色等の白色以外の色味も設定色温度に応じて定まる。例えば、画像供給装置からある色温度を表す画像信号が与えられた場合、白色を表す色温度と設定色温度との差分に応じて画像信号を補正することで、表示面SSに表示する画像の色味の調整が実現される。設定色温度は本開示における色温度の設定値の一例である。
【0017】
白色の色温度は、一般的には5000Kであるが、投射装置120の光学系の特性によっては、設定色温度を5000Kに設定しても、実際に表示面SSに表示される画像における白色が赤みを帯びたり、逆に青みを帯びたりする場合がある。本実施形態では、表示装置10の工場出荷時点では、表示面SSに表示される画像における白色が赤みを帯びたり、逆に青みを帯びたりしないように、設定色温度が予め調整されている。しかし、表示面SSに表示される画像の色味は、光学系の経年劣化等に応じて変化し得る。そこで、本実施形態では、表示装置10のユーザーが設定色温度を調整することにより、表示面SSに表示される画像の色味の調整ができる。
【0018】
記憶装置140の揮発性メモリーは、プログラムPRAを実行する際のワークエリアとして処理装置110によって利用される。
【0019】
処理装置110は、表示装置10の電源投入を契機としてプログラムPRAを不揮発性メモリーから揮発性メモリーへ読み出し、読み出したプログラムPRAの実行を開始する。なお、図2では、表示装置10の電源の図示は省略されている。プログラムPRAに従って作動している処理装置110は、図2に示される第1表示制御部110a、第1受付部110b、第1取得部110c、第1設定部110d、第1変更部110e、及び第2表示制御部110fとして機能する。図2に示される第1表示制御部110a、第1受付部110b、第1取得部110c、第1設定部110d、第1変更部110e、及び第2表示制御部110fは、プログラムPRAに従って処理装置110を作動させることにより実現されるソフトウェアモジュールである。図3に示される第1表示制御部110a、第1受付部110b、第1取得部110c、第1設定部110d、第1変更部110e、及び第2表示制御部110fの各々が担う機能は次の通りである。
【0020】
第1表示制御部110aは、画像供給装置から与えられる画像信号に基づく画像を表す投射光を投射装置120に投射させることにより、当該画像を表示面SSに表示する。そして、第1表示制御部110aは、当該画像が表示されている表示面SSを含む所定の範囲の画像をカメラ20に撮像させる。画像供給装置から表示装置10に与えられる画像信号の一例としては、表示装置10における色温度の調整の際の基準画像G1を表す画像信号が挙げられる。
【0021】
図3には、本実施形態における基準画像G1が示されている。図3における横線のハッチングは、色温度が5000Kの色、即ち白色を表す。図3に示されるように、基準画像G1は、白色で塗り潰された画像である。本実施形態における基準画像G1は、白色で塗り潰された画像であるが、他の色で塗り潰された画像であってもよい。また、基準画像G1は、単色で塗り潰された画像には限定されず、複数種の色で塗り分けられた画像であってもよい。以下では、基準画像G1を表す画像信号は基準画像信号と称される。画像供給装置から表示装置10A及び表示装置10Bの各々に与えられる基準画像信号は本開示における第1の画像信号の一例である。表示装置10Aが基準画像信号に基づいて表示面SSの領域PGAに表示する基準画像G1は本開示における第1の画像の一例である。表示装置10Bが基準画像信号に基づいて表示面SSの領域PGBに表示する基準画像G1は本開示における第2の画像の一例である。
【0022】
第1受付部110bは、入力装置130から出力されるデータを受け付けることにより、ユーザーの操作を受け付ける。第1受付部110bにより受け付けるユーザーの操作の具体例としては、表示装置10により表示面SSに表示された基準画像G1の色温度の取得を指示する操作、及び表示面SSに表示される画像の色味を調整する際の基準となる基準色温度を指定する操作が挙げられる。表示装置10Aに対して行われる前者の操作は本開示における第1の操作の一例であり、後者の操作は本開示における第2の操作の一例である。表示装置10Bに対して行われる、色温度の取得を指示する操作は本開示における第3の操作の一例である。
【0023】
第1取得部110cは、第1の操作に応じて、投射装置120により表示面SSに表示された基準画像G1の色温度を取得する。本実施形態では、第1取得部110cは、第1表示制御部110aにより基準画像G1を表示面SSに表示させる一方、表示面SSを含む所定範囲を撮像することをカメラ20に指示する。第1取得部110cは、カメラ20により撮像される画像を表す画像データをカメラ20から取得する。表示装置10Aにおける第1取得部110cは、カメラ20により撮像される画像における領域PGAを解析することにより、領域PGAに表示された基準画像G1の色温度を取得する。表示装置10Bにおける第1取得部110cは、カメラ20により撮像される画像における領域PGBを解析することにより、領域PGBに表示された基準画像G1の色温度を取得する。表示装置10Aの第1取得部110cにより取得される色温度は本開示における第1の色温度の一例である。表示装置10Bの第1取得部110cにより取得される色温度は本開示における第2の色温度の一例である。
【0024】
第1設定部110dは、第2の操作に応じて、基準色温度を設定する。本実施形態では、ユーザーは、基準色温度として基準画像G1の色温度を設定する。つまり、本実施形態では、基準色温度として5000Kが設定される。本実施形態では、入力装置130に対する第2の操作によりユーザーが基準色温度を設定するが、第1設定部110dは、基準画像信号に基づいて基準色温度を設定してもよい。
【0025】
第1変更部110eは、第1取得部110cにより取得された色温度が、基準色温度に近づくように、設定情報の含まれる設定色温度を変更する。具体的には、第1変更部110eは、第1取得部110cにより取得された色温度が基準色温度を上回る場合には、表示画像の色温度が一定値下がるように設定色温度を変更する。本実施形態における基準色温度は白色を示す色温度であるから、第1取得部110cにより取得された色温度が基準色温度を上回るということは、表示面SSに表示された基準画像G1が青みを帯びていることを意味する。この場合、第1変更部110eは、表示面SSに表示される画像の青みを減退させるため、即ち当該画像の色温度が一定値下がるように、設定色温度を上記一定値だけ小さな値に変更する。
【0026】
また、第1取得部110cにより取得された色温度が基準色温度を下回る場合には、表示画像の色温度が一定値上がるように設定色温度を変更する。第1取得部110cにより取得された色温度が基準色温度を下回るということは、表示面SSに表示された基準画像G1が赤みを帯びていることを意味する。この場合、第1変更部110eは、表示面SSに表示される画像の赤みを減退させるため、即ち当該画像の色温度が一定値上がるように、設定色温度を上記一定値だけ大きな値に変更する。なお、上記一定値の具体例としては50Kが挙げられる。この一定値については、入力装置130に対する操作によりユーザーが好適な値を適宜設定できてもよい。
【0027】
第2表示制御部110fは、第1変更部110eによる変更後の設定色温度の値を示す画像を含む設定通知画像G2を表示面SSに表示することにより、設定色温度をユーザーに通知する。設定色温度の値を示す画像の具体例としては、例えば、図3に示されるように、設定色温度の表す色で背景が塗り潰され、且つ設定色温度の値を示す文字列が配置された画像が挙げられる。なお、図3における縦線のハッチングは、設定色温度に応じた色を表す。
【0028】
また、プログラムPRAに従って作動している処理装置110は、図4に示される調整方法を実行する。図4に示されるように、この調整方法は、第1受付処理SA110、第1取得処理SA120、第1設定処理SA130、第1変更処理SA140、及び通知処理SA150を含む。
【0029】
第1受付処理SA110では、処理装置110は、第1受付部110bとして機能する。第1受付処理SA110では、処理装置110は、入力装置130から出力されるデータを受け付けることにより、ユーザーの操作を受け付ける。
【0030】
第1受付処理SA110に後続する第1取得処理SA120では、処理装置110は、第1表示制御部110a及び第1取得部110cとして機能する。第1取得処理SA120では、処理装置110は、第1の操作に応じて、基準画像G1を投射装置120により表示面SSに投射させることにより、基準画像G1を表示面SSに表示する。次いで、処理装置110は、表示面SSを含む所定範囲をカメラ20に撮像させ、撮像された画像を解析することにより、表示面SSに表示された基準画像G1における色温度を取得する。
【0031】
第1取得処理SA120に後続する第1設定処理SA130では、処理装置110は、第1設定部110dとして機能する。第1設定処理SA130では、処理装置110は、第2の操作に応じて基準色温度を設定する。なお、第1取得処理SA120と第1設定処理SA130の実行順が入れ替わり、第1設定処理SA130の実行後に第1取得処理SA120が実行されてもよい。
【0032】
第1変更処理SA140では、処理装置110は、第1変更部110eとして機能する。第1変更処理SA140では、処理装置110は、第1取得処理SA120にて取得された色温度が、基準色温度に近づくように設定色温度を変更する。
【0033】
通知処理SA150では、処理装置110は、第2表示制御部110fとして機能する。通知処理SA150では、処理装置110は、設定通知画像G2を表示面SSに表示することにより、第1変更処理SA140にて変更された設定色温度をユーザーに通知する。
【0034】
表示装置10のユーザーは、設定通知画像G2を視認することにより、設定色温度の値を把握することができる。また、設定色温度と基準色温度とが異なる場合、両者の差には表示装置10の投射装置120の特性が反映されている。表示装置10のユーザーは、設定通知画像G2に表示される設定色温度の値と基準色温度との差から、表示装置10の投射装置120の特性を把握できる。
【0035】
設定通知画像G2が赤みを帯びて見える場合、又は設定通知画像が青みを帯びて見える場合には、表示装置10のユーザーは、入力装置130に対する入力操作により、設定色温度の変更を継続する旨の指示を入力することができる。以下では、設定色温度の変更を継続する旨の指示は、継続指示と称される。これに対して、設定通知画像G2が赤みを帯びておらず、且つ設定通知画像が青みも帯びていない白色である場合、ユーザーは、入力装置130に対する入力操作により、設定色温度の変更を終了する旨の指示を入力することができる。以下では、設定色温度の変更を終了する旨の指示は、終了指示と称される。
【0036】
処理装置110は、入力装置130に対する入力操作により、継続指示が入力された場合には、第1取得処理SA120、第1変更処理SA140、及び通知処理SA150を再度実行する一方、終了指示が入力された場合に、本調整方法を終了してもよい。なお、また、ユーザーによる設定色温度の確認が不要である場合、第2表示制御部110f及び通知処理SA150は省略されてもよい。
【0037】
本実施形態によれば、表示装置10Aと表示装置10Bの各々において、投射装置120により表示面SSに表示される基準画像G1の色温度の計測値に基づいて設定色温度が変更される。投射装置120により表示面SSに表示される画像の色味には、投射装置120の特性が反映され、この特性は、投射レンズのくもり或いは投射パネルの劣化等の光学系の経年劣化に応じて変化する。従って、本実施形態によれば、経年劣化による色味の変化を加味して設定色温度を調整することができ、表示装置10により表示される画像の色味の調整精度が向上する。なお、本実施形態における調整方法は、設定通知画像G2から取得される色温度と基準色温度との差の絶対値が所定の閾値未満となるまで、第1取得処理SA120、第1変更処理SA140、及び通知処理SA150が繰り返し実行されるように変更されてもよい。
【0038】
2.第2実施形態
図5は、本開示の第2実施形態による表示装置11の構成例を示す図である。表示装置11は、表示装置10と同様にプロジェクターである。図5では図2におけるものと同一の構成要素には図2におけるものと同一の符号が付されている。図5図2とを対比すれば明らかなように、表示装置11のハードウェア構成は表示装置10のハードウェア構成と同一である。表示装置11の構成は、プログラムPRAに代えてプログラムPRBが記憶装置140に記憶されている点において表示装置10の構成と異なる。プログラムPRBに従って作動している処理装置110は、図5に示されるように、第1表示制御部110a、第2受付部111b、第1取得部110c、第2設定部111d、第1変更部110e、及び第2表示制御部110fとして機能する。
【0039】
第2受付部111bは、表示装置11の動作モードを指定する操作を受け付ける点において第1受付部110bと異なる。表示装置11の動作モードには、表示面SSに表示する画像が赤みを帯びた色味となるようにするウォームモードと、表示面SSに表示する画像が青みを帯びた色味となるようにするクールモードの2種類がある。以下では、表示装置11の動作モードを指定する操作は、モード指定操作と称される。モード指定操作は本開示における第4の操作の一例である。ウォームモードは本開示における第1の動作モードの一例である。クールモードは本開示における第2の動作モードの一例である。
【0040】
第2設定部111dは、ウォームモードが指定された場合とクールモードが指定された場合とで、異なる色温度を基準色温度に設定する。ウォームモードが指定された場合に基準色温度に設定される色温度は本来の白色の色温度よりも低い色温度、例えば4000Kである。ウォームモードが指定された場合に基準色温度に設定される色温度は本開示における第4の色温度の一例である。クールモードが指定された場合に基準色温度に設定される色温度は本来の白色の色温度よりも高い色温度、例えば6000Kである。クールモードが指定された場合に基準色温度に設定される色温度は本開示における第5の色温度の一例である。
【0041】
また、プログラムPRBに従って作動している処理装置110は、図6に示される調整方法を実行する。図6では、図4におけるもの同一の処理には図4における処理と同一の符号が付されている。図6図4とを比較すれば明らかなように、本実施形態における調整方法は以下の2点において第1実施形態における調整方法と異なる。第1の相違点は、第1受付処理SA110に代えて第2受付処理SB110が実行される点である。第2の相違点は、第1設定処理SA130に代えて第2設定処理SB130が実行される点である。
【0042】
第2受付処理SB110では、処理装置110は、第2受付部111bとして機能する。第2受付処理SB110では、処理装置110は、モード指定操作を受け付ける。第2設定処理SB130では、処理装置110は、第2設定部111dとして機能する。第2設定処理SB130では、処理装置110は、第2受付処理SB110にて受け付けたモード指定操作により、ウォームモードが指定された場合とクールモードが指定された場合とで、異なる色温度を基準色温度に設定する。
【0043】
本実施形態では、第2受付処理SB110に後続する第1取得処理SA120において、投射装置120により表示面SSに表示される基準画像G1における色温度が取得される。そして、第2設定処理SB130に後続する第1変更処理SA140において、第1取得処理SA120にて取得された色温度が、第2設定処理SB130にて設定された基準色温度に近づくように、設定情報の含まれる設定色温度が変更される。
【0044】
本実施形態においても、第1実施形態と同様に、投射装置120により表示面SSに表示される基準画像G1の色温度の計測値に基づいて設定色温度が変更されるので、投射装置120に含まれる光学系の経年劣化による色味の変化を加味して設定色温度を調整することができる。加えて、本実施形態によれば、ユーザーは表示装置11の動作モードを指定するだけで、設定色温度を当該動作モードに応じた適切な値に設定できる。
【0045】
3.第3実施形態
図7は、本開示の第3実施形態による表示装置12A及び表示装置12Bを含む表示システム1Cの構成例を示す図である。図7では、図1におけるものと同じ構成要素には図1におけるものと同一の符号が付されている。図7図1とを対比すれば明らかなように、表示システム1Cの構成は以下の2点において表示システム1Aの構成と異なる。第1の相違点は、表示システム1Cの構成は表示装置10Aに代えて表示装置12Aを設け、且つ表示装置10Bに代えて表示装置12Bを設けた点である。第2の相違点は、表示装置12Aと表示装置12Bとが第3の通信線を介して互いに接続されている点である。表示装置12A及び表示装置12Bは、表示装置10と同様にプロジェクターである。以下では、表示装置12A及び表示装置12Bの各々を区別する必要がない場合には、表示装置12A及び表示装置12Bは表示装置12と表記される。
【0046】
図8は、表示装置12の構成例を示す図である。図8では図2におけるものと同一の構成要素には図2におけるものと同一の符号が付されている。図8図2とを対比すれば明らかなように、表示装置12のハードウェア構成は表示装置10のハードウェア構成と同一である。表示装置12の構成は、プログラムPRAに代えてプログラムPRCが記憶装置140に記憶されている点において表示装置10の構成と異なる。プログラムPRCに従って作動している処理装置110は、図8に示されるように、第1表示制御部110a、第3受付部112b、第2取得部112c、第3設定部112d、第1変更部110e、及び第2表示制御部110fとして機能する。
【0047】
第3受付部112bは、前述の第1の操作又は前述の第3の操作のみを受け付け、前述の第2の操作を受け付けない点において、第1受付部110bと異なる。
【0048】
第2取得部112cは、第1の操作に応じて、第1取得部110cと同様に、自装置の投射装置120により表示面SSに表示される基準画像G1を解析することにより、第1の色温度を取得する。また、第2取得部112cは、第3の操作に応じて、他方の表示装置12Bの投射装置120により表示面SSに表示される基準画像G1を解析することにより、第2の色温度を取得する。表示装置12Aにとっての他方の表示装置12とは表示装置12Bのことであり、表示装置12Bにとっての他方の表示装置12とは表示装置12Aのことである。表示装置12Aの投射装置120と表示装置12Bの投射装置120とには個体差があり得るため、第1の色温度と第2の色温度とが一致するとは限らない。
第2取得部112cは、第1の操作に応じて、第1の色温度及び第2の色温度を取得してもよい。この場合、第3受付部112bは、第1の操作を受け付けた場合に、第3の操作が受け付けられたと判断してもよい。また、第2取得部112cは、他方の表示装置12が解析して取得した第2の色温度を、第3の通信線を介して他方の表示装置12から受信することで取得してもよい。
【0049】
第3設定部112dは、第1の色温度よりも第2の色温度の方が、基準画像信号に応じて定まる第3の色温度に近い場合、第2の色温度を基準色温度に設定する。本実施形態における基準画像信号は白色で塗り潰された画像を表す信号であり、第3の色温度は白色を表す色温度、即ち5000Kである。なお、本実施形態では、第3設定部112dは、第2の色温度よりも第1の色温度の方が第3の色温度に近い場合、第1の色温度を基準色温度に設定するが、第3の色温度を基準色温度に設定してもよい。
【0050】
また、プログラムPRCに従って作動している処理装置110は、図9に示される調整方法を実行する。図9では、図3におけるものと同一の処理には図4における処理と同一の符号が付されている。図9図4とを比較すれば明らかなように、本実施形態における調整方法は以下の3点において第1実施形態における調整方法と異なる。第1の相違点は、第1受付処理SA110に代えて第3受付処理SC110が実行される点である。第2の相違点は、第1取得処理SA120に代えて第2取得処理SC120が実行される点である。第3の相違点は、第1設定処理SA130に代えて第3設定処理SC130が実行される点である。
【0051】
第3受付処理SC110では、処理装置110は、第3受付部112bとして機能する。第3受付処理SC110では、処理装置110は、第1の操作を受け付ける。第2取得処理SC120では、処理装置110は、第2取得部112cとして機能する。第2取得処理SC120では、処理装置110は、第1の色温度及び第2の色温度を取得する。第3設定処理SC130では、処理装置110は、第3設定部112dとして機能する。第3設定処理SC130では、処理装置110は、第1の色温度と第2の色温度とのうち第3の色温度に近い方を基準色温度に設定する。
【0052】
本実施形態においても、第1実施形態と同様に、投射装置120により表示面SSに表示される画像における色温度の計測値に基づいて設定色温度が変更されるので、投射装置120に含まれる光学系等の経年劣化による色味の変化を加味して設定色温度を調整することができる。加えて、本実施形態によれば、表示装置12Aと表示装置12Bのうちの一方の設定色温度を他方の設定色温度に近づけることができ、表示装置12Aにより表示される画像の色味と表示装置12Bにより表示される画像の色味との差を少なくすることができる。
【0053】
4.変形
上記実施形態は、以下のように変形され得る。
(1)表示システム1Aには、2台の表示装置10が含まれたが、表示装置10に代えて表示装置11が含まれてもよい。また、表示システム1Aに含まれる表示装置10の数は、1であってもよく、また、3以上であってもよい。同様に、表示システム1Cに含まれる表示装置12の数も、1であってもよく、また、3以上であってもよい。また、上記各実施形態における表示装置10、表示装置11及び表示装置12は何れもプロジェクターであったが、設定色温度の変更が可能な表示装置であればよく、フラットパネルディスプレイ(FPD)であってもよい。
【0054】
(2)上記第1実施形態では、処理装置110が、表示装置10に含まれたが、処理装置110は、表示装置10とは別個の装置、例えば表示装置10に有線接続又は無線接続されるパーソナルコンピューターのCPUであってもよい。第2実施形態における処理装置110も同様に、表示装置11に有線接続又は無線接続されるパーソナルコンピューターのCPUであってもよい。第3実施形態における処理装置110も同様に、表示装置12に有線接続又は無線接続されるパーソナルコンピューターのCPUであってもよい。
【0055】
(3)上記第1実施形態における第1表示制御部110a、第1受付部110b、第1取得部110c、第1設定部110d、第1変更部110e、及び第2表示制御部110fはソフトウェアモジュールであった。しかし、第1表示制御部110a、第1受付部110b、第1取得部110c、第1設定部110d、第1変更部110e、及び第2表示制御部110fのうちの何れか一つ或いは複数、又は全部がASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェアモジュールであってもよい。第1表示制御部110a、第1受付部110b、第1取得部110c、第1設定部110d、第1変更部110e、及び第2表示制御部110fのうちの何れか一つ或いは複数、又は全部がハードウェアモジュールであっても、上記第1実施形態と同じ効果が奏される。同様に、第2受付部111b、第3受付部112b、第2取得部112c、第2設定部111d、及び第3設定部112dのうちの何れか一つ或いは複数、又は全部がハードウェアモジュールであってもよい。
【0056】
(4)プログラムPRAは単体で製造されてもよく、有償又は無償で提供されてもよい。プログラムPRAを提供する際の具体的な態様としては、フラッシュROM等のコンピューター読み取り可能な記録媒体にプログラムPRAを書き込んで提供する態様、又はインターネット等の電気通信回線経由のダウンロードによりプログラムPRAを提供する態様が挙げられる。これらの態様により提供されるプログラムPRAに従って一般的なコンピューターを作動させることで、当該コンピューターに本開示の色温度の調整方法を実行させることが可能になる。同様にプログラムPRBが単体で製造されてもよく、有償又は無償で提供されてもよい。また、プログラムPRCが単体で製造されてもよく、有償又は無償で提供されてもよい。
【0057】
5.実施形態及び各変形例の少なくとも1つから把握される態様
本開示は、上述した実施形態及び変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実現することができる。例えば、本開示は、以下の態様によっても実現可能である。以下に記載した各態様中の技術的特徴に対応する上記実施形態中の技術的特徴は、本開示の課題の一部又は全部を解決するために、或いは本開示の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
以下、本開示のまとめを付記する。
【0058】
(付記1)
本開示の表示装置における色温度の設定値の調整方法は、第1の画像信号に基づく第1の画像を第1の表示装置によって表示することと、前記第1の画像における色温度の計測を指示する第1の操作をユーザーから受け付けることと、前記第1の操作に応じて前記第1の画像の色温度を計測することにより、第1の色温度を取得することと、前記第1の色温度が、基準色温度に近づくように、前記第1の表示装置における色温度の設定値を変更することと、を含む。(付記1)の調整方法によれば、第1の表示装置により表示面に表示される画像の色温度の計測値に基づいて、第1の表示装置における色温度の設定値が変更される。第1の表示装置により表示面に表示される画像の色温度の計測値には、第1の表示装置の経年劣化に起因する色味の変化が反映されているので、(付記1)の調整方法によれば、表示装置により表示される画像の色味を、経年劣化を加味して精度よく調整することができる。
【0059】
(付記2)
より好ましい態様の調整方法は、前記第1の画像信号に基づく第2の画像を第2の表示装置によって表示することと、前記第2の画像における色温度の計測を指示する第3の操作を前記ユーザーから受け付けることと、前記第3の操作に応じて前記第2の画像の色温度を計測することにより、第2の色温度を取得することと、前記第1の色温度より、前記第2の色温度の方が、第3の色温度に近い場合に、前記第2の色温度を前記基準色温度として設定すること、を更に含む、(付記1)に記載の調整方法である。(付記2)の調整方法によれば、(付記1)の調整方法と同様に、第1の表示装置により表示される画像の色味を、経年劣化を加味して精度よく調整することができる。また、(付記2)の調整方法によれば、第1の表示装置により表示される画像の色味を、第2の表示装置により表示される画像の色味に近づけることができる。
【0060】
(付記3)
別の好ましい態様の調整方法は、前記基準色温度を設定する第2の操作を前記ユーザーから受け付けることと、前記第1の画像信号に基づく第2の画像を第2の表示装置によって表示することと、前記第2の画像における色温度の計測を指示する第3の操作を前記ユーザーから受け付けることと、前記第3の操作に応じて前記第2の画像の色温度を計測することにより、第2の色温度を取得することと、前記第2の色温度が、前記基準色温度に近づくように、前記第2の表示装置における色温度の設定値を変更することと、を更に含む(付記1)に記載の調整方法である。(付記3)の調整方法によれば、(付記1)の調整方法と同様に、第1の表示装置により表示される画像の色味を、経年劣化を加味して精度よく調整することができる。また、(付記3)の調整方法によれば、第2の表示装置により表示される画像の色味を、経年劣化を加味して精度よく調整することができる。
【0061】
(付記4)
更に好ましい態様の調整方法は、前記第1の表示装置の動作モードを指定する第4の操作を前記ユーザーから受け付けることと、前記動作モードとして第1の動作モードが指定された場合には、第4の色温度を前記基準色温度として設定することと、前記動作モードとして前記第1の動作モードとは異なる第2の動作モードが指定された場合には、前記第4の色温度とは異なる第5の色温度を前記基準色温度として設定することと、を更に含む、(付記1)又は(付記3)に記載の調整方法である。(付記3)の調整方法によれば、動作モードの指定により、当該動作モードに応じて基準色温度を設定することが可能になる。
【0062】
(付記5)
更に好ましい態様の調整方法は、前記第1の表示装置における色温度の設定値は、前記第1の表示装置が画像を表示する場合に適用する色温度を示す設定色温度を含み、前記第1の表示装置における色温度の設定値を変更することは、前記設定色温度の値を更新すること、を含み、前記第1の表示装置における色温度の設定値に基づいて生成した第3の画像を前記第1の表示装置が表示すること、を更に含み、前記第3の画像は、前記設定色温度を示す画像を含む、(付記1)、(付記2)、(付記3)、又は(付記4)の何れかに記載の調整方法である。(付記4)の調整方法によれば、表示画像における色温度の計測値に基づいて変更された設定色温度を示す画像を表示することができる。表示装置のユーザーは第3の画像から設定色温度を把握できる。
【0063】
(付記6)
本開示の表示システムは、画像信号に基づいて第1の画像を表示する第1の表示装置と、前記第1の画像を計測する計測装置と、処理装置と、を含み、前記処理装置は、第1の画像信号に基づく前記第1の画像を前記第1の表示装置に表示させることと、前記第1の画像における色温度の計測を指示する操作をユーザーから受け付けることと、前記第1の画像を前記計測装置が計測した計測結果に基づき、第1の色温度を取得することと、前記第1の色温度が、基準色温度に近づくように、前記第1の表示装置における色温度の設定値を変更することと、を実行する、表示システムである。(付記6)の表示システムによれば、(付記1)の調整方法と同様に、第1の表示装置により表示される画像の色味を、経年劣化を加味して精度よく調整することができる。
【符号の説明】
【0064】
1A、1C…表示システム、10,10A,10B,11,12,12A,12B…表示装置、20…カメラ、110…処理装置、110a…第1表示制御部、110b…第1受付部、111b…第2受付部、112b…第3受付部、110c…第1取得部、112c…第2取得部、110d…第1設定部、111d…第2設定部、112d…第3設定部、110e…第1変更部、110f…第2表示制御部、120…投射装置、130…入力装置、140…記憶装置、PRA,PRB,PRC…プログラム、SS…表示面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9