(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019820
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
H05B 33/12 20060101AFI20240206BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20240206BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20240206BHJP
H05B 33/02 20060101ALI20240206BHJP
H05B 33/22 20060101ALI20240206BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
H05B33/12 B
H01L27/32
H05B33/14 A
H05B33/02
H05B33/22 Z
G09F9/30 365
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122529
(22)【出願日】2022-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂本 亜沙美
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC31
3K107CC41
3K107DD89
3K107DD96
3K107EE06
3K107EE07
5C094AA45
5C094BA27
5C094CA19
5C094EB02
5C094FB01
5C094FB15
(57)【要約】
【課題】 画素デザインの幅を広げることが可能な表示装置を提供する。
【解決手段】 表示装置は、平面視で中心に設けられる第1発光層と、前記第1発光層上に設けられる、第1金属酸化物層と、前記第1発光層を囲んで設けられる、リング形状の第2発光層と、前記第2発光層上に設けられる、第2金属酸化物層と、前記第2発光層を囲んで設けられる、リング形状の第3発光層と、前記第3発光層上に設けられる、第3金属酸化物層と、前記第1発光層、前記第2発光層、前記第3発光層、前記第1金属酸化物層、前記第2金属酸化物層、及び前記第3金属酸化物層を覆う、有機絶縁層と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視で中心に設けられる第1発光層と、
前記第1発光層上に設けられる、第1金属酸化物層と、
前記第1発光層を囲んで設けられる、リング形状の第2発光層と、
前記第2発光層上に設けられる、第2金属酸化物層と、
前記第2発光層を囲んで設けられる、リング形状の第3発光層と、
前記第3発光層上に設けられる、第3金属酸化物層と、
前記第1発光層、前記第2発光層、前記第3発光層、前記第1金属酸化物層、前記第2金属酸化物層、及び前記第3金属酸化物層を覆う、有機絶縁層と、
前記第1金属酸化物層及び前記有機絶縁層に設けられ、前記第1発光層に達する、第1開口部と、
前記第2金属酸化物層及び前記有機絶縁層に設けられ、前記第2発光層に達する、第2開口部と、
前記第3金属酸化物層及び前記有機絶縁層に設けられ、前記第3発光層に達する、第3開口部と、
を備える、表示装置。
【請求項2】
前記第1発光層に接して設けられる、第1陽極と、
前記第2発光層に接して設けられる、第2陽極と、
前記第3発光層に接して設けられる、第3陽極と、
前記第1開口部、前記第2開口部、及び前記第3開口部それぞれの内部に設けられ、前記有機絶縁層を覆う、陰極と、
をさらに備える、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1金属酸化物層及び前記第2発光層の間に設けられる、第1層間金属酸化物層と、
前記第2金属酸化物層及び前記第3発光層の間に設けられる、第2層間金属酸化物層と、
をさらに備える、請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1発光層は、第1色の光を発し、
前記第2発光層は、第2色の光を発し、
前記第3発光層は、第3色の光を発する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1色、前記第2色、及び前記第3色は、それぞれ、赤色、緑色、及び青色である、請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
平面視で隣り合って設けられる、第1発光層及び第2発光層と、
前記第1発光層上に設けられる、第1金属酸化物層と、
前記第2発光層上に設けられる、第2金属酸化物層と、
前記第1発光層及び前記第2発光層を囲んで設けられる、リング形状の第3発光層と、
前記第3発光層上に設けられる、第3金属酸化物層と、
前記第1発光層、前記第2発光層、前記第3発光層、前記第1金属酸化物層、前記第2金属酸化物層、及び前記第3金属酸化物層を覆う、有機絶縁層と、
前記第1金属酸化物層及び前記有機絶縁層に設けられ、前記第1発光層に達する、第1開口部と、
前記第2金属酸化物層及び前記有機絶縁層に設けられ、前記第2発光層に達する、第2開口部と、
前記第3金属酸化物層及び前記有機絶縁層に設けられ、前記第3発光層に達する、第3開口部と、
を備える、表示装置。
【請求項7】
前記第1発光層に接して設けられる、第1陽極と、
前記第2発光層に接して設けられる、第2陽極と、
前記第3発光層に接して設けられる、第3陽極と、
前記第1開口部、前記第2開口部、及び前記第3開口部それぞれの内部に設けられ、前記有機絶縁層を覆う、陰極と、
をさらに備える、請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第1金属酸化物層及び前記第2発光層の間に設けられる、第1層間金属酸化物層と、
前記第2金属酸化物層及び前記第3発光層の間に設けられる、第2層間金属酸化物層と、
をさらに備える、請求項6に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第1発光層は、第1色の光を発し、
前記第2発光層は、第2色の光を発し、
前記第3発光層は、第3色の光を発する、請求項6に記載の表示装置。
【請求項10】
前記第1色、前記第2色、及び前記第3色は、それぞれ、赤色、緑色、及び青色である、請求項9に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence:EL)材料を含む発光層を有する表示装置が開発されている。表示装置には、異なる色を発光する画素が隣り合って設けられる。画素それぞれには、異なる色を発する発光層が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態は、画素デザインの幅を広げることが可能な表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る表示装置は、
平面視で中心に設けられる第1発光層と、
前記第1発光層上に設けられる、第1金属酸化物層と、
前記第1発光層を囲んで設けられる、リング形状の第2発光層と、
前記第2発光層上に設けられる、第2金属酸化物層と、
前記第2発光層を囲んで設けられる、リング形状の第3発光層と、
前記第3発光層上に設けられる、第3金属酸化物層と、
前記第1発光層、前記第2発光層、前記第3発光層、前記第1金属酸化物層、前記第2金属酸化物層、及び前記第3金属酸化物層を覆う、有機絶縁層と、
前記第1金属酸化物層及び前記有機絶縁層に設けられ、前記第1発光層に達する、第1開口部と、
前記第2金属酸化物層及び前記有機絶縁層に設けられ、前記第2発光層に達する、第2開口部と、
前記第3金属酸化物層及び前記有機絶縁層に設けられ、前記第3発光層に達する、第3開口部と、
を備える。
【0006】
また、一実施形態に係る表示装置は、
平面視で隣り合って設けられる、第1発光層及び第2発光層と、
前記第1発光層上に設けられる、第1金属酸化物層と、
前記第2発光層上に設けられる、第2金属酸化物層と、
前記第1発光層及び前記第2発光層を囲んで設けられる、リング形状の第3発光層と、
前記第3発光層上に設けられる、第3金属酸化物層と、
前記第1発光層、前記第2発光層、前記第3発光層、前記第1金属酸化物層、前記第2金属酸化物層、及び前記第3金属酸化物層を覆う、有機絶縁層と、
前記第1金属酸化物層及び前記有機絶縁層に設けられ、前記第1発光層に達する、第1開口部と、
前記第2金属酸化物層及び前記有機絶縁層に設けられ、前記第2発光層に達する、第2開口部と、
前記第3金属酸化物層及び前記有機絶縁層に設けられ、前記第3発光層に達する、第3開口部と、
を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態の表示装置の全体斜視図である。
【
図2】
図2は、表示装置の概略的な構成の一例を示す平面図である。
【
図3】
図3は、
図2の線A1-A2に沿った表示装置の構成を示す断面図である。
【
図4】
図4は、実施形態の表示装置の概略的な構成の一例を示す断面図である。
【
図5】
図5は、実施形態の表示装置の製造方法を説明する図である。
【
図6】
図6は、実施形態の表示装置の製造方法を説明する図である。
【
図7】
図7は、実施形態の表示装置の製造方法を説明する図である。
【
図8】
図8は、実施形態の表示装置の製造方法を説明する図である。
【
図9】
図9は、実施形態の表示装置の製造方法を説明する図である。
【
図10】
図10は、実施形態の表示装置の製造方法を説明する図である。
【
図11】
図11は、実施形態の表示装置の製造方法を説明する図である。
【
図12】
図12は、実施形態の表示装置の製造方法を説明する図である。
【
図13】
図13は、実施形態の表示装置の製造方法を説明する図である。
【
図14】
図14は、実施形態の表示装置の製造方法を説明する図である。
【
図15】
図15は、実施形態の表示装置の製造方法を説明する図である。
【
図16】
図16は、実施形態の表示装置の製造方法を説明する図である。
【
図17】
図17は、実施形態の表示装置の製造方法を説明する図である。
【
図18】
図18は、実施形態の表示装置の製造方法を説明する図である。
【
図19】
図19は、実施形態の表示装置の製造方法を説明する図である。
【
図20】
図20は、実施形態の表示装置の製造方法を説明する図である。
【
図21】
図21は、実施形態の表示装置の製造方法を説明する図である。
【
図22】
図22は、実施形態の表示装置の製造方法を説明する図である。
【
図23】
図23は、実施形態の表示装置の製造方法を説明する図である。
【
図24】
図24は、実施形態における表示装置の他の構成例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
以下、図面を参照しながら一実施形態に係る表示装置について詳細に説明する。
【0009】
本実施形態においては、第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zは、互いに直交しているが、90度以外の角度で交差していてもよい。第3方向Zの矢印の先端に向かう方向を上又は上方と定義し、第3方向Zの矢印の先端に向かう方向とは反対側の方向を下又は下方と定義する。なお第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zを、それぞれ、X方向、Y方向、及び、Z方向と呼ぶこともある。
【0010】
また、「第1部材の上方の第2部材」及び「第1部材の下方の第2部材」とした場合、第2部材は、第1部材に接していてもよく、又は第1部材から離れて位置していてもよい。後者の場合、第1部材と第2部材との間に、第3の部材が介在していてもよい。一方、「第1部材の上の第2部材」及び「第1部材の下の第2部材」とした場合、第2部材は第1部材に接している。
【0011】
また、第3方向Zの矢印の先端側に表示装置を観察する観察位置があるものとし、この観察位置から、第1方向X及び第2方向Yで規定されるX-Y平面に向かって見ることを平面視という。第1方向X及び第3方向Zによって規定されるX-Z平面、あるいは第2方向Y及び第3方向Zによって規定されるY-Z平面における表示装置の断面を見ることを断面視という。
【0012】
[実施形態]
図1は、実施形態の表示装置の全体斜視図である。表示装置DSPは、基板SUB1に表示領域DA及び表示領域DAの周辺に設けられた周辺領域FAが設けられている。表示装置DSPは、表示領域DA内に配置された、複数の画素PXを有している。表示装置DSPでは、裏面からの光LTが表面に透過し、逆もまた然りである。
【0013】
表示領域DAの上面には封止材としての基板SUB2が設けられている。基板SUB2は表示領域DAを囲むシール材(非表示)によって、基板SUB1に固定されている。基板SUB1に形成された表示領域DAは、封止材である基板SUB2とシール材によって大気に晒されないように封止されている。
【0014】
基板SUB1の端部の領域EAは、基板SUB2の外側に配置されている。領域EAには、配線基板PCSが設けられている。配線基板PCSには、映像信号や駆動信号を出力する駆動素子DRVが設けられている。駆動素子DRVからの信号は、配線基板PCSを介して、表示領域DAの画素PXに入力される。映像信号及び各種制御信号に基づいて、画素PXが発光する。
【0015】
図2は、表示装置の概略的な構成の一例を示す平面図である。上述の通り、表示装置DSPの表示領域DAには、複数の画素PXが設けられている。画素PXそれぞれには、赤色(R)の光を出射する発光層ELR、緑色(G)の光を出射する発光層ELG、青色(B)の光を出射する発光層ELBを有している。発光層ELR、ELG、及びELBは、発光層ELRを中心として、同心円状にこの順に配置されている。つまり、概略楕円形状又は矩形形状の発光層ELRを囲んで、リング形状の発光層ELGが設けられている。発光層ELGを囲んで、リング形状の発光層ELBが設けられている。
【0016】
ただし、本実施形態の発光層ELR、ELG、及びELBの順番は、これに限定されない。中心の発光層は、発光層ELG又はELBであってもよい。一番外側の発光層は、発光層ELR又はELGであってもよい。本実施形態では、所定の色を発光する発光層を、当該所定の色とは異なる色を発光する発光層で囲んでいる。これにより、画素デザインの幅を広げることが可能な表示装置DSPを得ることができる。
【0017】
図3は、
図2の線A1-A2に沿った表示装置の構成を示す断面図である。表示装置DSPは、基材BA1上に、陽極PEB、発光層ELB、金属酸化物層MOb、金属酸化物層IMO1、陽極PEG、発光層ELG、金属酸化物層MOg、金属酸化物層IMO2、陽極PER、金属酸化物層MOr、及びバンク(隔壁、リブともいう)BNKが設けられている。ただし上述したように、発光層ELR、ELG、及びELBは、この順に配置されていなくてもよい。発光層ELR、ELG、及びELBは、断面構造においても、その位置を交換可能である。
【0018】
基材BA1は、例えばガラスや、樹脂材料で構成される樹脂材料で構成される基材が挙げられる。樹脂材料としては、例えばアクリル、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等を用いればよく、いずれかの単層又は複数層の積層で形成してもよい。
【0019】
陽極PEB、PEG、及びPERは、例えばインジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:IZO)、銀(Ag)、IZOの3層積層構造で形成される。本実施形態では、陽極PEB、PEG、及びPERを、画素電極と呼ぶこともある。
【0020】
金属酸化物層MOb、MOg、MOr、IMO1、及びIMO2は、酸化チタン(TiO2)、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化モリブデン(MoO2)、及び酸化亜鉛(ZnO)のうち少なくとも1つを含んでいる。金属酸化物層MOb、MOg、MOr、IMO1、及びIMO2は、それぞれ、上記の酸化物のうち1つの酸化物層であってもよいし、2つ以上の酸化物を含む混合層又は積層であってもよい。金属酸化物層を用いることにより、色の異なる発光層を互いに分離し、色ごとに独立する発光層を形成することができる。
【0021】
バンクBNKは、有機絶縁材料を用いて形成される。当該有機絶縁材料として、例えば、感光性アクリル、ポリイミド等の有機材料が挙げられる。
【0022】
陽極PEBは、基材BA1上に設けられる。なお基材BA1及び陽極PEBとの間に、発光層の駆動を制御する薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)、電極や配線、及び絶縁層等が設けられていてもよい。
【0023】
陽極PEB上に、発光層ELBが設けられている。
図3では、2つの発光層ELBが示されているが、
図2に示した通り、発光層ELBは、一体化して形成されている。
発光層ELB上には、金属酸化物層MObが設けられている。
陽極PEB、発光層ELB、及び金属酸化物層MObを覆って、金属酸化物層IMO1が設けられている。
【0024】
金属酸化物層IMO1上に、
図3では2つの発光層ELBの間に、陽極PEG及び発光層ELGが設けられている。陽極PEG及び発光層ELGはこの順に積層されている。
図3では、2つの発光層ELGが示されているが、
図2に示した通り、発光層ELGは一体化して形成されている。
発光層ELG上には、金属酸化物層MOgが設けられている。
陽極PEG、発光層ELG、及び金属酸化物層MOgを覆って、金属酸化物層IMO2が設けられている。
【0025】
金属酸化物層IMO2上に、陽極PER及び発光層ELRが設けられている。陽極PER及び発光層ELRはこの順に積層されている。第1方向Xに沿って、発光層ELR及びELBの間には、発光層ELGが設けられている。
発光層ELR上には、金属酸化物層MOrが設けられている。
【0026】
本実施形態では、陽極PE及び後述する陰極CEとの間に、発光層EL(ELR、ELG、及びELB)を設ける例について説明するが、これに限定されない。陽極PE及び陰極CEとの間に、発光層ELに加えて、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロッキング層、正孔ブロッキング層、電子輸送層、電子注入層等を設けてもよい。また本実施形態では、陽極PE及び陰極CEを、それぞれ、画素電極及び共通電極とも呼ぶ。
【0027】
陽極PER、発光層ELR、及び金属酸化物層MOrを覆って、バンクBNKが設けられている。
金属酸化物層MOb、IMO1、及びIMO2、並びにバンクBNKに、発光層ELBに達する開口部OPbが設けられている。金属酸化物層MOg及びIMO2、並びにバンクBNKに、発光層ELGに達する開口部OPgが設けられている。金属酸化物層MOr及びバンクBNKに、発光層ELRに達する開口部OPrが設けられている。
【0028】
バンクBNK、開口部OPr、CHg、及びCHb、並びに、発光層ELR、ELG、及びELBを覆って、陰極CEが設けられている。陰極CEは、発光層ELR、ELG、及びELBのそれぞれに接している。陰極CEとして、マグネシウム-銀合金(MgAg)膜を、発光層からの出射光が透過する程度の薄膜として形成する。
【0029】
図示しないが、陰極CE上に、外部から水分が発光層ELに侵入することを防止する絶縁層を設けてもよい。当該絶縁層としてはガスバリア性の高いものが好適である。さらに当該絶縁層上に、保護材として、基材BA1と同じ材料の別の基材を設けてもよい。
【0030】
なお本実施形態において、陽極PER、PEG、及びPEBを、特に区別する必要がないときは、単に陽極(画素電極)PEと呼ぶ。発光層ELR、ELG、及びELBを、特に区別する必要がないときは、単に発光層ELと呼ぶ。金属酸化物層MOr、MOg、及びMObを、特に区別する必要がないときは、単に金属酸化物層MOと呼ぶ。開口部OPr、OPg、及びOPBを、特に区別する必要がないときは、単に開口部OPと呼ぶ。
【0031】
図4は、実施形態の表示装置の概略的な構成の一例を示す断面図である。
図4は、
図3より詳細な断面構造を示している。
図4において、基材BA1上には、絶縁層UC1が設けられている。絶縁層UC1は、例えば酸化シリコン膜及び窒化シリコン膜を単層又は積層して形成される。
【0032】
絶縁層UC1上に、後述するトランジスタTrと重畳して、遮光層BMが設けられてもよい。遮光層BMは、トランジスタTrのチャネル裏面からの光の侵入等によるトランジスタ特性の変化を抑制する。遮光層BMが導電層で形成される場合は、所定の電位を与えることで、トランジスタTrにバックゲート効果を与えることも可能である。
【0033】
絶縁層UC1及び遮光層BMを覆って、絶縁層UC2が設けられている。絶縁層UC2の材料としては、絶縁層UC1と同様の材料を用いることができる。絶縁層UC2は、絶縁層UC1と異なる材料であってもよい。例えば、絶縁層UC1は酸化シリコン、絶縁層UC2は窒化シリコンを用いることができる。絶縁層UC1及びUC2を併せて、絶縁層UCとする。
【0034】
絶縁層UC上に、トランジスタTrが設けられる。トランジスタTrは、半導体層SC、絶縁層GI、ゲート電極GE(走査線)、絶縁層ILI、ソース電極SE(信号線)、ドレイン電極DEを有している。
【0035】
半導体層SCとして、アモルファスシリコン、ポリシリコン、又は酸化物半導体を用いる。
絶縁層GIとして、例えば、酸化シリコン又は窒化シリコンを単層又は積層して設ける。
ゲート電極GEとして、例えば、モリブデンタングステン合金(MoW)を用いる。ゲート電極GEは、走査線と一体形成されていてもよい。
【0036】
半導体層SC及びゲート電極GEを覆って、絶縁層ILIが設けられている。絶縁層ILIは、例えば酸化シリコン層又は窒化シリコン層を単層又は積層して形成される。
絶縁層ILI上には、ソース電極SE及びドレイン電極DEが設けられている。ソース電極SE及びドレイン電極DEは、それぞれ、絶縁層ILI及び絶縁層GIに設けられたコンタクトホールを介して、半導体層SCのソース領域及びドレイン領域に接続される。ソース電極SEは、信号線と一体形成されていてもよい。
【0037】
ソース電極SE、ドレイン電極DE、及び絶縁層ILIを覆って、絶縁層PASが設けられる。絶縁層PASを覆って、絶縁層PLLが設けられる。
絶縁層PASは、無機絶縁材料を用いて形成する。無機絶縁材料は、例えば酸化シリコン又は窒化シリコンを単層又は積層してものが挙げられる。絶縁層PLLは、有機絶縁材料を用いて形成する。有機絶縁材料は、例えば、感光性アクリル、ポリイミド等の有機材料が挙げられる。絶縁層PLLを設けることにより、トランジスタTrによる段差を平坦化することができる。
【0038】
絶縁層PLL上に、陽極PE(画素電極)が設けられる。陽極PEは、絶縁層PAS及びPLLに設けられたコンタクトホールを介して、ドレイン電極DEに接続されている。
【0039】
陽極PEから陰極CE(共通電極)までの構成は、
図3で説明した通りである。陰極CEを覆って、絶縁層SEYが設けられる。絶縁層SEYは、上述のように、外部から水分が発光層ELに侵入することを防止する機能を有している。上述のように、絶縁層SEYとしてはガスバリア性の高いものが好適である。絶縁層SEYとして、例えば、有機絶縁層を、窒素を含む無機絶縁層2層で挟持した絶縁層が挙げられる。当該有機絶縁層の材料としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。当該窒素を含む無機絶縁層の材料としては、例えば、窒化シリコン、窒化アルミニウムが挙げられる。
【0040】
絶縁層SEY上に、基材BA2が設けられている。基材BA2は、基材BA1と同様の材料で形成されている。基材BA2及び絶縁層SEYとの間に、透光性を有する無機絶縁層や有機絶縁層が設けられていてもよい。有機絶縁層が絶縁層SEYと基材BA2を接着する機能を有していてもよい。
【0041】
本実施形態の表示装置の製造方法について説明する。
図5乃至
図23は、実施形態の表示装置の製造方法を説明する図である。ただし、
図5乃至
図23では、青色(B)を発光する発光層の製造工程についてのみ説明している。
【0042】
まず基材BA1上に陽極PEを形成する。
図5に示す断面図では、陽極PEとして青色(B)発光層に対向する陽極PEBを設けている。
陽極PEB上に、青色(B)の光を発する発光層ELBを形成する。
図6は、発光層ELBを形成した表示装置の平面図である。
図7は、
図6に示す線B1-B2に沿う表示装置の断面図である。発光層ELBは、陽極PEBの全面に接して設けられる。発光層ELBは、例えば、蒸着法、インクジェット法、塗布法、印刷法等により形成すればよい。
【0043】
本実施形態では、発光層ELBを設ける例について説明するが、本発明はこれに限定されない。発光層ELBに代えて、赤色(R)の光を発する発光層ELR、又は、緑色(G)の光を発する発光層ELGを設けてもよい。発光層ELB、ELG、及びELRを形成する順番は、本実施形態に限定されるものではない。
【0044】
発光層ELB上に、金属酸化物層MObを形成する。
図8は、金属酸化物層MObを形成した表示装置の平面図である。
図9は、
図8に示す線B3-B4に沿う表示装置の断面図である。金属酸化物層MObは、発光層ELBの全面に接して設けられる。
【0045】
金属酸化物層MObを覆って、フォトレジストPSを形成する。
図10は、フォトレジストPSを形成した表示装置の平面図である。
図11は、
図10に示す線B5-B6に沿う表示装置の断面図である。
【0046】
フォトリソ工程により、フォトレジストPSの一部を除去する。
図12は、フォトリソ工程後の表示装置の平面図である。
図13は、
図12に示す線B7-B8に沿う表示装置の断面図である。フォトレジストPSの一部を除去することにより、金属酸化物層MObが露出する。当該除去されたフォトレジストPSの一部の領域を、凹部RSCとする。
【0047】
残ったフォトレジストPSをマスクとして、金属酸化物層MOb及び発光層ELBを除去する。
図14は、金属酸化物層MOb及び発光層ELB除去後の表示装置の平面図である。
図15は、
図14に示す線B9-B10に沿う表示装置の断面図である。凹部RSCでは、陽極PEBが露出する。
【0048】
残ったフォトレジストPSを除去して、金属酸化物層MObを露出させる。
図16は、フォトレジストPS除去後の表示装置の平面図である。
図17は、
図16に示す線B11-B12に沿う表示装置の断面図である。いわゆるベタ膜の陽極PEBの一部の領域に、発光層ELB及び金属酸化物層MObの積層体が設けられている。発光層ELB及び金属酸化物層MObの積層体は、平面視でリング形状を有している。
【0049】
陽極PEB、発光層ELB、及び金属酸化物層MObを覆って、有機絶縁膜ORNが形成される。
図18は、有機絶縁膜ORNを形成した表示装置の平面図である。
図19は、
図18に示す線B13-B14に沿う表示装置の断面図である。有機絶縁膜ORNとして、上述したバンクBNKの材料である有機絶縁材料を用いる。
【0050】
金属酸化物層MOb上の有機絶縁膜ORNを除去し、バンクBNKを形成する。
図20は、有機絶縁膜ORNの一部を除去した表示装置の平面図である。
図21は、
図20に示す線B15-B16に沿う表示装置の断面図である。有機絶縁膜ORNの一部を除去することにより、金属酸化物層MObの一部が露出する。
【0051】
露出した金属酸化物層MObの一部を除去し、開口部OPbを形成する。
図22は、金属酸化物層MObの一部を除去した表示装置の平面図である。
図23は、
図22に示す線B17-B18に沿う表示装置の断面図である。金属酸化物層MObの一部を除去することにより、開口部OPbの底部では、発光層ELBの一部が露出する。
【0052】
以上のように、青色(B)を発光する陽極PEB、発光層ELB、及び金属酸化物層MObの積層体が形成される。他の色、赤色(R)を発光する陽極PER、発光層ELR、及び金属酸化物層MOrの積層体、並びに、緑色(G)を発光する陽極PEG、発光層ELG、及び金属酸化物層MOgの積層体は、上述の工程を繰り返すことにより形成される(
図2乃至
図4参照)。
【0053】
本実施形態では、所定の色を発光する発光層を、当該所定の色とは異なる色を発光する発光層で囲む表示装置DSPを得ることができる。発光層の上には、発光層に接して金属酸化物層が設けられている。金属酸化物層を用いることにより、発光する色が異なる発光層を独立して形成することが可能である。本実施形態により、画素デザインの幅を広げることが可能な表示装置DSPを得ることができる。
【0054】
<構成例1>
図24は、実施形態における表示装置の他の構成例を示す平面図である。
図24に示した構成例では、
図2に示した構成例と比較して、隣り合って設けられた2つの発光層を、さらに別の発光層が囲んでいる、という点で異なっている。
【0055】
図24では、概略楕円形状又は矩形形状の発光層ELG及びELRが、隣り合って並んで配置されている。発光層ELG及びELRは、第1方向Xに沿って延伸し、第2方向Yに沿って並んで配置されている。ただし、発光層の形状はこれに限定されず、第2方向に沿って延伸し、第1方向Xに沿って並んで配置されていてもよい。発光層ELG及びELRの大きさは、概略同じであってもよいし、一方が他方より大きくてもよい。
【0056】
2つの発光層ELG及びELRを囲んで、リング形状の発光層ELBが設けられている。ただし本構成例は
図24に示す構成に限定されない。リング形状の発光層は、発光層ELBではなく、発光層ELR又はELGであってもよい。
本構成例においても、実施形態と同様の効果を奏する。
【0057】
本明細書において、発光層ELR、ELG、及びELBを、それぞれ、第1発光層、第2発光層、及び第3発光層と呼ぶ。赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)を、それぞれ、第1色、第2色、及び第3色と呼ぶ。
金属酸化物層MOr、MOg、及びMObを、それぞれ、第1金属酸化物層、第2金属酸化物層、及び第3金属酸化物層と呼ぶ。金属酸化物層IMO1及びIMO2を、それぞれ、第1層間金属酸化物層及び第2金属酸化物層と呼ぶ。
【0058】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0059】
CE…陰極、DSP…表示装置、ELB…発光層、ELG…発光層、ELR…発光層、IMO1…金属酸化物層、IMO2…金属酸化物層、MO…金属酸化物層、MOb…金属酸化物層、MOg…金属酸化物層、MOr…金属酸化物層、OP…開口部、PE…陽極、PEB…陽極、PEG…陽極、PER…陽極、PX…画素。