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特開2024-19821光ファイバー式ウェハー温度センサー、ウェハー温度計測センサーシステム及びウェハー温度計測センサーの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019821
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】光ファイバー式ウェハー温度センサー、ウェハー温度計測センサーシステム及びウェハー温度計測センサーの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01K 11/3206 20210101AFI20240206BHJP
   G01K 1/14 20210101ALI20240206BHJP
【FI】
G01K11/3206
G01K1/14 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122530
(22)【出願日】2022-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】森谷 義明
(72)【発明者】
【氏名】今井 範章
【テーマコード(参考)】
2F056
【Fターム(参考)】
2F056CL07
(57)【要約】
【課題】FBG式光ファイバーをウェハーの渦巻形状の溝に埋め込むことにより、少ない本数の光ファイバーで多数の測定点で温度を測定できる光ファイバー式ウェハー温度センサー、ウェハー温度計測センサーシステム及びウェハー温度計測センサーの製造方法を提供すること。
【解決手段】ウェハー温度計測センサー100は、第1のウェハー101と、第2のウェハー102と、FBG(Fiber Bragg Gratings)式光ファイバー103とを備え、第1のウェハー101及び第2のウェハー102は接合しており、第1のウェハー101及び第2のウェハー102の少なくとも1つに、ウェハー同士が接合する面で渦巻形状の溝111が形成されており、FBG式光ファイバー103は、溝111に埋め込まれており、FBG式光ファイバー103は、溝111内で2点以上の温度計測点を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のウェハーと、第2のウェハーと、FBG(Fiber Bragg Gratings)式光ファイバーとを備え、
前記第1のウェハー及び前記第2のウェハーは接合しており、
前記第1のウェハー及び前記第2のウェハーの少なくとも1つに、ウェハー同士が接合する面で渦巻形状の溝が形成されており、
前記FBG式光ファイバーは、前記溝に埋め込まれており、
前記FBG式光ファイバーは、前記溝内で2点以上の温度計測点を有する、ウェハー温度計測センサー。
【請求項2】
前記第1のウェハー及び前記第2のウェハーの少なくとも1つに、前記接合面以外の面が、Y、Al、Siの元素のいずれかが含まれる材料で構成される、または、Y、Al、Siの元素が含まれる材料でコーティングされている、請求項1に記載のウェハー温度計測センサー。
【請求項3】
前記第1のウェハー及び前記第2のウェハーはSi、Al、Ga、Inのいずれかの元素を含む材料で構成されている、請求項1に記載のウェハー温度計測センサー。
【請求項4】
前記第1のウェハー及び前記第2のウェハーは、25℃におけるヤング率が10MPa以下であり、且つ-150℃におけるヤング率が5000MPa以下である接合剤を用いて積層されている、請求項1に記載のウェハー温度計測センサー。
【請求項5】
前記第1のウェハー及び前記第2のウェハーは、表面粗さRaで5nm以下に研磨された接合面を常温接合によって積層されている、請求項1に記載のウェハー温度計測センサー。
【請求項6】
前記第1のウェハー及び前記第2のウェハーの少なくとも1つに、ウェハー同士が接合する面で渦巻形状の複数の溝が形成されており、
前記溝の数に対応する数の前記FBG式光ファイバーが、前記溝に埋め込まれている、請求項1に記載のウェハー温度計測センサー。
【請求項7】
第1のウェハーと、第2のウェハーと、FBG(Fiber Bragg Gratings)式光ファイバーと、発光部及び受光部を有する検出器と、前記FBG式光ファイバーと前記検出器の間で光を中継する光学系ケーブルと、前記受光部からの信号を処理するコンピュータとを備え、
前記第1のウェハー及び前記第2のウェハーは接合しており、
前記第1のウェハー及び前記第2のウェハーの少なくとも1つに、ウェハー同士が接合する面で溝が形成されており、
前記FBG式光ファイバーは、前記溝に埋め込まれており、
前記FBG式光ファイバーは、前記溝内で2点以上の温度計測点を有する、ウェハー温度計測センサーシステム。
【請求項8】
第1のウェハー及び第2のウェハーの少なくとも1つに、ウェハー同士が接合する面で渦巻形状の溝をサンドブラストにより形成し、
前記溝にFBG式光ファイバーを埋め込み、
前記第1のウェハーと前記第2のウェハーを接合する、ウェハー温度計測センサーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は光ファイバー式ウェハー温度センサー、ウェハー温度計測センサーシステム及びウェハー温度計測センサーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現状、半導体製造装置で処理されるシリコンウェハーの温度計測手法として、以下に示す3つの手法が主に用いられている。
【0003】
第1の手法は、2種の異なる金属線を接合した温度センサーをウェハー表面に貼り付け、温度差によって発生した微弱電圧を測定し温度換算する手法である。
【0004】
第2の手法は温度測定に必要な電子部品(センサー、CPU、バッテリー、レジスター、キャパシター)をシリコンウェハーに挟み込み作成した温度測定ツールを半導体製造装置内ウェハー処理時と同じ経路、近しいプロセス処理を行い、温度を計測する手法である。
【0005】
第3の手法は、ウェハー内温度測定個所へ励起発光体を設置、光ファイバー、反射鏡を用い励起発光体へレーザー光を出力、励起発光体からの反射光を検出器に集光、温度測定を行う手法である。
【0006】
例えば、特許文献1には、第1の手法について記載されている。
【0007】
また、第2の手法の例としてKLA TENCORのオン・ウェハーがある。オン・ウェハーは二枚のウェハーを積層し、ウェハー間に温度計測に必要な電子部品(Sensor, Crystal Oscillator、CPU、Battery、Resistor、Capacitor)を挟み込んだ構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10-9963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしそれぞれの手法には以下の問題がある。
第1の手法に関しては、チャンバーでエッチング、成膜を行う際低周波領域(主に3M[Hz]~13M[Hz])、高周波領域(主に60M[Hz]~100M[Hz])を利用しプラズマを発生させ処理を行う。しかしプラズマからの電磁波の影響で電圧を検出できず温度測定できない。
【0010】
第2の手法に関しては、構成部品が低温環境になると性能が著しく低下、もしくは正常に動作せず温度測定できない。例えばウェハーが12℃以下の温度状態で大気圧、湿度60%で20℃以上の環境に暴露されると測定器に結露が発生、水分により内部CPUに動作不良が発生する。もしくは0℃以下の低温環境下ではバッテリー容量が小さくなり可動電圧が取れず正常に動作しない。
【0011】
第3の手法では光ファイバー1本に対して発光体1点の温度測定しかできず、大面積の基板内で多くの点を温度測定する際には、測定点分のファイバーが必要となり、全体の構成が複雑化してしまう。また、ファイバー本数の増加につれて溝本数も増加してしまう為に、基板強度に影響を与えてしまい、取り扱い時に破損しやすいなどが生じる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一実施形態のウェハー温度計測センサーは、第1のウェハーと、第2のウェハーと、FBG(Fiber Bragg Gratings)式光ファイバーとを備え、前記第1のウェハー及び前記第2のウェハーは接合しており、前記第1のウェハー及び前記第2のウェハーの少なくとも1つに、ウェハー同士が接合する面で渦巻形状の溝が形成されており、前記FBG式光ファイバーは、前記溝に埋め込まれており、前記FBG式光ファイバーは、前記溝内で2点以上の温度計測点を有するようにした。
【0013】
一実施形態のウェハー温度計測センサーによれば、FBG式光ファイバーをウェハーの渦巻形状の溝に埋め込むことにより、少ない本数の光ファイバーで多数の測定点で温度を測定できる。
【0014】
一実施形態のウェハー温度計測センサーは、前記第1のウェハー及び前記第2のウェハーの少なくとも1つに、前記接合面以外の面が、Y、Al、Siの元素のいずれかが含まれる材料で構成される、または、Y、Al、Siの元素が含まれる材料でコーティングされるようにした。
【0015】
一実施形態のウェハー温度計測センサーによれば、プラズマ環境によるダメージを軽減できる。
【0016】
一実施形態のウェハー温度計測センサーは、前記第1のウェハー及び前記第2のウェハーはSi、Al、Ga、Inのいずれかの元素を含む材料で構成した。
【0017】
一実施形態のウェハー温度計測センサーによれば、通常使用されている基板材料をセンサーに用いることで、センサーによる温度測定においてもプロセス中の温度プロファイルとの整合性を担保することができる。
【0018】
一実施形態のウェハー温度計測センサーは、前記第1のウェハー及び前記第2のウェハーは、25℃におけるヤング率が10MPa以下であり、且つ-150℃におけるヤング率が5000MPa以下である接合剤を用いて積層した。
【0019】
一実施形態のウェハー温度計測センサーによれば、温度変化でウェハーが剥離したり損傷したりしにくくなる。
【0020】
一実施形態のウェハー温度計測センサーは、前記第1のウェハー及び前記第2のウェハーは、表面粗さRaで5nm以下に研磨された接合面を常温接合によって積層した。
【0021】
一実施形態のウェハー温度計測センサーによれば、常温接合を用いることで、熱伝導の悪い接着剤を介さずにウェハーが接合されるので、より温度変化に敏感となり、精度が向上できる。
【0022】
一実施形態のウェハー温度計測センサーは、前記第1のウェハー及び前記第2のウェハーの少なくとも1つに、ウェハー同士が接合する面で渦巻形状の複数の溝が形成されており、前記溝の数に対応する数の前記FBG式光ファイバーが、前記溝に埋め込まれているようにした。
【0023】
一実施形態のウェハー温度計測センサーによれば、より多くの測定点で温度を測定できる。
【0024】
一実施形態のウェハー温度計測センサーシステムは、第1のウェハーと、第2のウェハーと、FBG(Fiber Bragg Gratings)式光ファイバーと、発光部及び受光部を有する検出器と、前記FBG式光ファイバーと前記検出器の間で光を中継する光学系ケーブルと、前記受光部からの信号を処理するコンピュータとを備え、前記第1のウェハー及び前記第2のウェハーは接合しており、前記第1のウェハー及び前記第2のウェハーの少なくとも1つに、ウェハー同士が接合する面で溝が形成されており、前記FBG式光ファイバーは、前記溝に埋め込まれており、前記FBG式光ファイバーは、前記溝内で2点以上の温度計測点を有するようにした。
【0025】
一実施形態のウェハー温度計測センサーシステムによれば、FBG式光ファイバーをウェハーの渦巻形状の溝に埋め込むことにより、少ない本数の光ファイバーで多数の測定点で温度を測定できる。
【0026】
一実施形態のウェハー温度計測センサーの製造方法は、第1のウェハー及び第2のウェハーの少なくとも1つに、ウェハー同士が接合する面で渦巻形状の溝をサンドブラストにより形成し、前記溝にFBG式光ファイバーを埋め込み、前記第1のウェハーと前記第2のウェハーを接合するようにした。
【0027】
一実施形態のウェハー温度計測センサーの製造方法によれば、FBG式光ファイバーをウェハーの渦巻形状の溝に埋め込むことにより、少ない本数の光ファイバーで多数の測定点で温度を測定するウェハー温度計測センサーを製造できる。
【発明の効果】
【0028】
本開示の光ファイバー式ウェハー温度センサー、ウェハー温度計測センサーシステム及びウェハー温度計測センサーの製造方法は、FBG式光ファイバーをウェハーの渦巻形状の溝に埋め込むことにより、少ない本数の光ファイバーで多数の測定点で温度を測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】実施の形態1にかかるウェハー温度計測センサーの一例を示す断面図である。
図2】実施の形態1にかかるウェハー温度計測センサーの第1のウェハー及び第2のウェハーを示す概略図である。
図3】実施の形態1にかかるウェハー温度計測センサーの断面の一部分を拡大した図である。
図4】実施の形態1にかかるウェハー温度計測センサーの一例を示す上面図である。
図5】実施の形態1にかかるウェハー温度計測センサーシステムの一例を示すブロック図である。
図6】実施の形態1にかかるウェハー温度計測センサーの検量線作成例を示す略図である。
図7】実施の形態1にかかるウェハー温度計測センサーの検量線の一例を示すグラフである。
図8】実施の形態1にかかるウェハー温度計測センサーのスペクトルの一例を示すグラフである。
図9】実施の形態1にかかるウェハー温度計測センサーの検量線の一例を示すグラフである。
図10】実施の形態1にかかるウェハー温度計測センサーのスペクトルの一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(実施の形態1)
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。図1は、実施の形態1にかかるウェハー温度計測センサーの一例を示す断面図である。また、図2は、実施の形態1にかかるウェハー温度計測センサーの第1のウェハー及び第2のウェハーを示す概略図である。
【0031】
図1において、ウェハー温度計測センサー100は、第1のウェハー101と、第2のウェハー102と、FBG(Fiber Bragg Gratings)式光ファイバー103とを備える。そして第1のウェハー101と第2のウェハー102は、接合されている。
【0032】
第1のウェハー101と第2のウェハー102は、25℃におけるヤング率が10MPa以下であり、且つ-150℃におけるヤング率が5000MPa以下である接合剤を用いて積層されているのが好適である。例えば、シリコーン接着剤を第1のウェハー101と第2のウェハー102の接合面に塗布し、第1のウェハー101と第2のウェハー102とを重ねた状態でシリコーン接着剤の硬化処理を実施することにより、硬化処理を実施して第1のウェハー101と第2のウェハー102が接合される。
【0033】
第1のウェハー101は、Si、Al、Ga、Inのいずれかの元素を含む材料で構成されている。例えば、第1のウェハー101は、高純度ケイ素製が好適である。
【0034】
第2のウェハー102は、Si、Al、Ga、Inのいずれかの元素を含む材料で構成されている。例えば、第2のウェハー102も、高純度ケイ素製が好適である。
【0035】
第1のウェハー101と第2のウェハー102の少なくとも1つに、接合面以外の面が、Y、Al、Siの元素のいずれかが含まれる材料で構成されるようにしてもよい。また、第1のウェハー101と第2のウェハー102の少なくとも1つに、接合面以外の面が、Y、Al、Siの元素が含まれる材料でコーティングされているようにしてもよい。
【0036】
第1のウェハー101には、ウェハー同士が接合する面で渦巻形状の溝111が形成されている。渦巻形状の溝111の数は、1つでもよいし、複数であってもよい。
【0037】
溝111は、溝のサイズからサンドブラトにより形成されることが好適である。サンドブラストで形成することにより、エッチングにより形成するより安価な設備で製造できる。なお、費用をかけてもよい場合、エッチングにより溝111を形成してもよい。
【0038】
なお、溝は、第1のウェハー101及び第2のウェハー102の少なくとも1つに、ウェハー同士が接合する面で形成されていればよい。したがって、第1のウェハー101及び第2のウェハー102の両方に、ウェハー同士が接合する面で形成されていてもよい。
【0039】
FBG式光ファイバー103は、複数の反射縞が格子状に並んだグレーティングを有する光ファイバーである。このグレーティングに広帯域のスペクトルをもった光が入射すると、ある特別な波長だけを反射する。温度変化によりFBG式光ファイバー103は長さが変化する。すなわち、格子状に並んだ反射縞の間隔も変化する。したがって、反射する光の波長は温度に依存する。
【0040】
FBG式光ファイバー103は、溝111に埋め込まれている。また、FBG式光ファイバー103は、溝111内で2点以上の温度計測点131を有する。図2において、温度計測点131は、FBG式光ファイバー103と識別するために、黒丸で表現しているが、実際には、FBG式光ファイバー103内で、特定の波長の光が反射する構造となっている。
【0041】
次に、FBG式光ファイバー103を溝111に埋め込む方法について説明する。図3は、実施の形態1にかかるウェハー温度計測センサーの断面の一部分を拡大した図である。
【0042】
FBG式光ファイバー103と溝111の隙間に接着剤で固定することが望ましい。具体的には、エポキシ接着剤で固定することが望ましい。
【0043】
次に、FBG式光ファイバー103の配置について説明する。図4は、実施の形態1にかかるウェハー温度計測センサーの一例を示す上面図である。図4の例では、3本のFBG式光ファイバー103が第1のウェハー101に形成された溝111に沿って渦巻き形状に配置されている。図4において、丸に数字が記載された表現は、計測点を示すものであるが、実際の形状ではない。実際のFBG式光ファイバー103では、計測点は特定の波長の光が反射する構造となっている。
【0044】
図4において、計測点1-14を有するFBG式光ファイバー103と、計測点15-29を有するFBG式光ファイバー103と、計測点30-41を有するFBG式光ファイバー103が配置されている。
【0045】
この3本のFBG式光ファイバー103は、渦巻き形状に配置されているので、互いに交わらずに配置できる。この結果、溝111は、FBG式光ファイバー103の交差のために複雑な立体的形状とする必要がない。したがって溝111の加工が容易になる。
【0046】
そして、3本のFBG式光ファイバー103により41点の計測点で温度を測定できる。すなわち、少ない光ファイバーの数で、多数の計測点の温度を測定できる。
【0047】
次に、ウェハー温度計測センサーシステムの構成について説明する。図5は、実施の形態1にかかるウェハー温度計測センサーシステムの一例を示すブロック図である。図5において、図1と同一の構成は、同じ番号を付し、説明を省略する。
【0048】
図5において、ウェハー温度計測センサーシステム500は、ウェハー温度計測センサー100と、光学系ケーブル501と、検出器502と、コンピュータ503とを備える。検出器502は、発光部521と、受光部522を備える。
【0049】
光学系ケーブル501は、FBG式光ファイバー103と検出器502の間で光を中継する光学系ケーブルである。
【0050】
発光部521は、光学系ケーブル501を経由してFBG式光ファイバー103の内部に光を発する。
【0051】
受光部522は、光学系ケーブル501を経由して、FBG式光ファイバー103の各測定点において反射した光を受光する。そして、受光部522は、受光した光を電気信号に変換する。そして受光部522は、電気信号をコンピュータ503に出力する。
【0052】
コンピュータ503は、受光部522からの電気信号を処理する。具体的には、コンピュータ503は、受光部522が受光した光のピーク波長から温度を算出する。温度を正確に算出するには、予めピーク波長と温度との関係について検量線を作成することが望ましい。
【0053】
図6は、実施の形態1にかかるウェハー温度計測センサーの検量線作成例を示す略図である。図6に示すように、ウェハー温度計測センサー100をヒーター601で加熱するとともに、熱電対602で測定した温度をデータロガー603で記録する。そして、ウェハー温度計測センサー100の受光部522が検出した光のピークの波長と、熱電対602で測定された温度とを対応づけることにより、検量線が作成される。
【0054】
図7は、実施の形態1にかかるウェハー温度計測センサーの検量線の一例を示すグラフである。図7において、縦軸は測定された温度であり、横軸は受光した光のピーク波長である。図7のグラフでは、50~220℃で検量線を作成している。
【0055】
次に、温度未知のステージ上にウェハー温度計測センサー100を搭載して、真空チャンバー内でプラズマを照射しながら波長を計測した。図8は、実施の形態1にかかるウェハー温度計測センサーのスペクトルの一例を示すグラフである。
【0056】
得られた波長と検量線からプロセス温度の計測をしたところ、プラズマ照射時にウェハー温度が70~74℃であった。
【0057】
次に、0℃以下の低温域で、検量線を作成し、温度を測定した。
検量線は想定される温度領域(-55~25℃)で同様に実施した。図9は、実施の形態1にかかるウェハー温度計測センサーの検量線の一例を示すグラフである。縦軸は測定された温度であり、横軸は受光した光のピーク波長である。図7のグラフでは、-55~25℃で検量線を作成している。
【0058】
次に、温度未知のステージ上に温度センサーを搭載して、真空チャンバー内でステージを冷やしながら波長を計測した。図10は、実施の形態1にかかるウェハー温度計測センサーのスペクトルの一例を示すグラフである。
【0059】
得られた波長と検量線から、温度を計測したところ、ウェハー温度が-42~-39℃であった。
【0060】
このように、実施の形態1のウェハー温度計測センサー及びウェハー温度計測センサーシステムによれば、外部環境の影響を受けにくい光の波長と、ファイバー内部に作製されたグレーティング(反射板)幅の物理的な変化により温度計測をすることから、Plasma照射時の高周波や0℃以下の低温でもウェハーの温度を測定できる。
【0061】
また、実施の形態1のウェハー温度計測センサー及びウェハー温度計測センサーシステムによれば、ウェハーを積層してファイバーを覆うことで使用する光ファイバーをプラズマ、反応性ガスから保護すると共に、ウェハー表面の温度測定がより正確にできる。
【0062】
また、実施の形態1のウェハー温度計測センサー及びウェハー温度計測センサーシステムによれば、FBG式光ファイバーをウェハーの渦巻形状の溝に埋め込むことにより、少ない本数の光ファイバーで多数の測定点で温度を測定できる。
【0063】
(実施の形態2)
実施の形態2では、第1のウェハー101と第2のウェハー102は、表面粗さRaで5nm以下に研磨された接合面を常温接合によって積層されている。
【0064】
その他の構成及び製造方法は、実施の形態1と同様である。
【0065】
そして、実施の形態1と同様に、プラズマ照射時と冷却時の温度を測定したところ、70~72℃及び-42~-40℃であることを確認した。
【0066】
このように、常温接合を用いることで、熱伝導の悪い接着剤を介さずにウェハーが接合されるので、より温度変化に敏感となり、精度が向上できる。
【0067】
なお、本開示は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0068】
例えば、様々な処理を行う機能ブロックとして図面に記載される各要素は、ハードウェア的には、CPU、メモリ、その他の回路で構成することができ、ソフトウェア的には、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。
【0069】
また、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体を用いて格納され、コンピュータに供給できる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバー等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【符号の説明】
【0070】
100 ウェハー温度計測センサー
101 第1のウェハー
102 第2のウェハー
103 FBG式光ファイバー
111 溝
131 温度計測点
500 ウェハー温度計測センサーシステム
501 光学系ケーブル
502 検出器
503 コンピュータ
521 発光部
522 受光部
601 ヒーター
602 熱電対
603 データロガー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10