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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019823
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】表示装置の製造方法及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/10 20060101AFI20240206BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20240206BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20240206BHJP
   H05B 33/22 20060101ALI20240206BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20240206BHJP
   H05B 33/04 20060101ALI20240206BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20240206BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
H05B33/10
H01L27/32
H05B33/12 B
H05B33/22 Z
H05B33/22 A
H05B33/22 C
H05B33/02
H05B33/04
G09F9/00 338
G09F9/30 365
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122532
(22)【出願日】2022-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】羽成 淳
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB08
3K107CC23
3K107CC29
3K107CC45
3K107DD71
3K107DD72
3K107DD74
3K107DD75
3K107DD89
3K107EE32
3K107EE48
3K107FF15
3K107GG04
3K107GG12
5C094AA31
5C094BA27
5C094GB01
5C094HA05
5C094HA08
5G435AA14
5G435BB05
5G435KK05
5G435LL04
5G435LL07
5G435LL08
5G435LL17
(57)【要約】
【課題】信頼性の低下を抑制する。
【解決手段】一実施形態によれば、表示装置の製造方法は、基板の上方に下電極を形成し、前記下電極と重なる開口を有するリブを形成し、前記リブの上に位置する下部及び前記下部の上に位置し前記下部の側面から突出した上部を含む隔壁を形成した処理基板を用意し、マスクを設置せずに前記処理基板を蒸着装置に搬入し、前記下電極の上に有機層を形成し、前記有機層の上に上電極を形成し、前記処理基板を前記蒸着装置から搬出し、前記有機層を形成する工程は、第1ブロック層を形成する工程と、前記第1ブロック層の上に第1発光層を形成する工程と、前記第1発光層の上に第2ブロック層を形成する工程と、を含み、前記第1発光層を形成する際の材料の広がり角度は、前記第1ブロック層を形成する際の材料の広がり角度より小さく、前記第2ブロック層を形成する際の材料の広がり角度は、前記第1発光層を形成する際の材料の広がり角度より大きい。
【選択図】図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上方に下電極を形成し、前記下電極と重なる開口を有するリブを形成し、前記リブの上に位置する下部及び前記下部の上に位置し前記下部の側面から突出した上部を含む隔壁を形成した処理基板を用意し、
マスクを設置せずに前記処理基板を蒸着装置に搬入し、前記下電極の上に有機層を形成し、前記有機層の上に上電極を形成し、前記処理基板を前記蒸着装置から搬出し、
前記有機層を形成する工程は、第1ブロック層を形成する工程と、前記第1ブロック層の上に第1発光層を形成する工程と、前記第1発光層の上に第2ブロック層を形成する工程と、を含み、
前記第1発光層を形成する際の材料の広がり角度は、前記第1ブロック層を形成する際の材料の広がり角度より小さく、
前記第2ブロック層を形成する際の材料の広がり角度は、前記第1発光層を形成する際の材料の広がり角度より大きい、表示装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1ブロック層は、電子ブロック層であり、
前記有機層を形成する工程は、前記第1ブロック層を形成する前に、前記下電極の上に正孔注入層を形成する工程と、前記正孔注入層の上に正孔輸送層を形成する工程と、を含み、
前記第1ブロック層を形成する際の材料の広がり角度は、前記正孔注入層及び前記正孔輸送層をそれぞれ形成する際の材料の広がり角度より大きい、請求項1に記載の表示装置の製造方法。
【請求項3】
前記第2ブロック層は、正孔ブロック層であり、
前記有機層を形成する工程は、前記第2ブロック層を形成した後に、前記第2ブロック層の上に電子輸送層を形成する工程と、前記電子輸送層の上に電子注入層を形成する工程と、を含み、
前記電子輸送層及び前記電子注入層をそれぞれ形成する際の材料の広がり角度は、前記第1発光層を形成する際の材料の広がり角度より大きい、請求項1に記載の表示装置の製造方法。
【請求項4】
前記上電極を形成する際の材料の広がり角度は、前記電子注入層を形成する際の材料の広がり角度より大きく、
前記上電極は、前記隔壁の前記下部に接している、請求項3に記載の表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記有機層を形成する工程は、前記第1発光層を形成した後であって前記第2ブロック層を形成する前に、前記第1発光層の上に第2発光層を形成する工程と、を含み、
前記第2発光層は、前記第1発光層とは異なる材料であり且つ前記第1発光層と同等色を発光する材料によって形成し、
前記第2発光層を形成する際の材料の広がり角度は、前記第1ブロック層を形成する際の材料の広がり角度より小さく、
前記第2ブロック層を形成する際の材料の広がり角度は、前記第2発光層を形成する際の材料の広がり角度より大きい、請求項1に記載の表示装置の製造方法。
【請求項6】
前記有機層を形成する工程は、前記第1発光層を形成した後であって前記第2ブロック層を形成する前に、前記第1発光層の上に電荷発生層を形成する工程と、前記電荷発生層の上に第2発光層を形成する工程と、を含み、
前記第2発光層は、前記第1発光層とは異なる材料であり且つ前記第1発光層と同等色を発光する材料によって形成し、
前記電荷発生層及び前記第2発光層をそれぞれ形成する際の材料の広がり角度は、前記第1ブロック層を形成する際の材料の広がり角度より小さく、
前記第2ブロック層を形成する際の材料の広がり角度は、前記電荷発生層及び前記第2発光層をそれぞれ形成する際の材料の広がり角度より大きい、請求項1に記載の表示装置の製造方法。
【請求項7】
さらに、前記上電極を形成した後に、透明なキャップ層を形成する工程を含む、請求項1に記載の表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記蒸着装置から搬出された前記処理基板において、前記隔壁の上に形成された前記有機層、前記上電極、及び、前記キャップ層は、前記開口において前記下電極の上に形成された前記有機層、前記上電極、及び、前記キャップ層から離間している、請求項7に記載の表示装置の製造方法。
【請求項9】
さらに、前記キャップ層を形成した後に、無機絶縁材料で封止層を形成し、
前記封止層は、前記隔壁の上の前記キャップ層を覆うとともに前記下電極の直上の前記キャップ層を覆い、且つ、前記隔壁の前記下部に接している、請求項8に記載の表示装置の製造方法。
【請求項10】
さらに、前記封止層を形成した後に、前記封止層の上にパターニングしたレジストを形成し、
前記レジストから露出した前記封止層を除去し、
前記レジストから露出した前記キャップ層を除去し、
前記レジストから露出した前記上電極を除去し、
前記レジストから除去した前記有機層を除去する、請求項9に記載の表示装置の製造方法。
【請求項11】
基板と、
前記基板の上方に配置された下電極と、
無機絶縁材料で形成され、前記下電極と重なる開口を有するリブと、
前記リブの上に配置され導電材料で形成された下部と、前記下部の上に配置され前記下部の側面から突出した上部と、を有する隔壁と、
前記開口において前記下電極の上に配置された有機層と、
前記有機層の上に配置され、前記隔壁の前記下部に接する上電極と、
前記上電極の上に配置されたキャップ層と、
前記キャップ層を覆い、前記隔壁の前記下部に接する封止層と、を備え、
前記有機層は、第1発光層と、前記下電極と前記第1発光層との間に位置する第1ブロック層と、前記上電極と前記第1発光層との間に位置する第2ブロック層と、を含み、
前記第1発光層は、前記隔壁から離間し、
前記第1ブロック層及び前記第2ブロック層は、前記隔壁と前記第1発光層との間で互いに接している、表示装置。
【請求項12】
前記第1ブロック層は、電子ブロック層であり、
前記有機層は、さらに、前記下電極の上に配置された正孔注入層と、前記正孔注入層の上に配置された正孔輸送層と、を含み、
前記正孔注入層及び前記正孔輸送層は、前記隔壁から離間し、
前記第1ブロック層は、前記隔壁と前記正孔注入層との間、及び、前記隔壁と前記正孔輸送層との間で前記リブに接している、請求項11に記載の表示装置。
【請求項13】
前記第2ブロック層は、正孔ブロック層であり、
前記有機層は、さらに、前記第2ブロック層の上に配置された電子輸送層と、前記電子輸送層の上に配置された電子注入層と、を含み、
前記上電極は、前記電子注入層の上に配置されている、請求項12に記載の表示装置。
【請求項14】
前記有機層は、さらに、前記第1発光層の上に配置された第2発光層を含み、
前記第2発光層は、前記第1発光層とは異なる材料であり且つ前記第1発光層と同等色を発光する材料によって形成され、
前記第2発光層は、前記隔壁から離間し、
前記第1ブロック層及び前記第2ブロック層は、前記隔壁と前記第2発光層との間で互いに接している、請求項11に記載の表示装置。
【請求項15】
前記有機層は、さらに、前記第1発光層の上に配置された電荷発生層と、前記電荷発生層の上に配置された第2発光層と、を含み、
前記第2発光層は、前記第1発光層とは異なる材料であり且つ前記第1発光層と同等色を発光する材料によって形成され、
前記電荷発生層及び前記第2発光層は、前記隔壁から離間し、
前記第1ブロック層及び前記第2ブロック層は、前記隔壁と前記電荷発生層との間、及び、前記隔壁と前記第2発光層との間で互いに接している、請求項11に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置の製造方法及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を適用した表示装置が実用化されている。この表示素子は、薄膜トランジスタを含む画素回路と、画素回路に接続された下電極と、下電極を覆う有機層と、有機層を覆う上電極と、を備えている。有機層は、発光層の他に、正孔輸送層や電子輸送層などの機能層を含んでいる。
このような表示素子を製造する過程において、信頼性の低下を抑制する技術が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-195677号公報
【特許文献2】特開2004-207217号公報
【特許文献3】特開2008-135325号公報
【特許文献4】特開2009-32673号公報
【特許文献5】特開2010-118191号公報
【特許文献6】国際公開第2018/179308号
【特許文献7】米国特許出願公開第2022/0077251号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、信頼性の低下を抑制することが可能な表示装置の製造方法及び表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態によれば、表示装置の製造方法は、
基板の上方に下電極を形成し、前記下電極と重なる開口を有するリブを形成し、前記リブの上に位置する下部及び前記下部の上に位置し前記下部の側面から突出した上部を含む隔壁を形成した処理基板を用意し、マスクを設置せずに前記処理基板を蒸着装置に搬入し、前記下電極の上に有機層を形成し、前記有機層の上に上電極を形成し、前記処理基板を前記蒸着装置から搬出し、前記有機層を形成する工程は、第1ブロック層を形成する工程と、前記第1ブロック層の上に第1発光層を形成する工程と、前記第1発光層の上に第2ブロック層を形成する工程と、を含み、前記第1発光層を形成する際の材料の広がり角度は、前記第1ブロック層を形成する際の材料の広がり角度より小さく、前記第2ブロック層を形成する際の材料の広がり角度は、前記第1発光層を形成する際の材料の広がり角度より大きい。
【0006】
一実施形態によれば、表示装置は、
基板と、前記基板の上方に配置された下電極と、無機絶縁材料で形成され、前記下電極と重なる開口を有するリブと、前記リブの上に配置され導電材料で形成された下部と、前記下部の上に配置され前記下部の側面から突出した上部と、を有する隔壁と、前記開口において前記下電極の上に配置された有機層と、前記有機層の上に配置され、前記隔壁の前記下部に接する上電極と、前記上電極の上に配置されたキャップ層と、前記キャップ層を覆い、前記隔壁の前記下部に接する封止層と、を備え、前記有機層は、第1発光層と、前記下電極と前記第1発光層との間に位置する第1ブロック層と、前記上電極と前記第1発光層との間に位置する第2ブロック層と、を含み、前記第1発光層は、前記隔壁から離間し、前記第1ブロック層及び前記第2ブロック層は、前記隔壁と前記第1発光層との間で互いに接している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、表示装置DSPの構成例を示す図である。
図2図2は、副画素SP1,SP2,SP3のレイアウトの一例を示す図である。
図3図3は、図2中のA-B線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図である。
図4図4は、表示装置DSPの製造方法の一例を説明するためのフロー図である。
図5図5は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
図6図6は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
図7図7は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
図8図8は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
図9図9は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
図10図10は、表示素子201の一構成例を示す図である。
図11図11は、表示素子201の他の構成例を示す図である。
図12図12は、表示素子201の他の構成例を示す図である。
図13図13は、蒸着装置100に含まれる1つの蒸着チャンバーを説明するための図である。
図14図14は、蒸着源S0の他の断面図である。
図15図15は、図10に示した表示素子201を形成するための蒸着装置100の一構成例を示す図である。
図16図16は、図15の蒸着装置100によって形成された各層の断面を示す図である。
図17図17は、図11に示した表示素子201を形成するための蒸着装置100の一構成例を示す図である。
図18図18は、図17の蒸着装置100によって形成された各層の断面を示す図である。
図19図19は、図12に示した表示素子201を形成するための蒸着装置100の一構成例を示す図である。
図20図20は、図19の蒸着装置100によって形成された各層の断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
一実施形態について図面を参照しながら説明する。
開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一または類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
なお、図面には、必要に応じて理解を容易にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を記載する。X軸に沿った方向を第1方向と称し、Y軸に沿った方向を第2方向と称し、Z軸に沿った方向を第3方向と称する。第3方向Zと平行に各種要素を見ることを平面視という。
【0010】
本実施形態に係る表示装置は、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置であり、テレビ、パーソナルコンピュータ、車載機器、タブレット端末、スマートフォン、携帯電話端末等に搭載され得る。
【0011】
図1は、表示装置DSPの構成例を示す図である。
表示装置DSPは、絶縁性の基板10の上に、画像を表示する表示領域DAと、表示領域DAの周辺の周辺領域SAと、を有している。基板10は、ガラスであってもよいし、可撓性を有する樹脂フィルムであってもよい。
【0012】
本実施形態においては、平面視における基板10の形状が長方形である。ただし、基板10の平面視における形状は長方形に限らず、正方形、円形あるいは楕円形などの他の形状であってもよい。
【0013】
表示領域DAは、第1方向X及び第2方向Yにマトリクス状に配列された複数の画素PXを備えている。画素PXは、複数の副画素SPを含む。一例では、画素PXは、第1色の副画素SP1、第2色の副画素SP2、及び、第3色の副画素SP3を含む。第1色、第2色、及び、第3色は、互いに異なる色である。なお、画素PXは、副画素SP1,SP2,SP3とともに、あるいは副画素SP1,SP2,SP3のいずれかに代えて、白色などの他の色の副画素SPを含んでもよい。
【0014】
副画素SPは、画素回路1と、画素回路1によって駆動される表示素子20と、を備えている。画素回路1は、画素スイッチ2と、駆動トランジスタ3と、キャパシタ4と、を備えている。画素スイッチ2及び駆動トランジスタ3は、例えば薄膜トランジスタにより構成されたスイッチング素子である。
【0015】
画素スイッチ2のゲート電極は、走査線GLに接続されている。画素スイッチ2のソース電極及びドレイン電極の一方は信号線SLに接続され、他方は駆動トランジスタ3のゲート電極及びキャパシタ4に接続されている。駆動トランジスタ3において、ソース電極及びドレイン電極の一方は電源線PL及びキャパシタ4に接続され、他方は表示素子20のアノードに接続されている。
【0016】
なお、画素回路1の構成は図示した例に限らない。例えば、画素回路1は、より多くの薄膜トランジスタ及びキャパシタを備えてもよい。
【0017】
表示素子20は、発光素子としての有機発光ダイオード(OLED)であり、有機EL素子と称する場合がある。
【0018】
図2は、副画素SP1,SP2,SP3のレイアウトの一例を示す図である。
図2の例においては、副画素SP2及び副画素SP3が第2方向Yに並んでいる。さらに、副画素SP2及び副画素SP3がそれぞれ副画素SP1と第1方向Xに並んでいる。
【0019】
副画素SP1,SP2,SP3がこのようなレイアウトである場合、表示領域DAには、副画素SP2及び副画素SP3が第2方向Yに交互に配置された列と、複数の副画素SP1が第2方向Yに繰り返し配置された列とが形成される。これらの列は、第1方向Xに交互に並ぶ。
【0020】
なお、副画素SP1,SP2,SP3のレイアウトは図2の例に限られない。他の一例として、各画素PXにおける副画素SP1,SP2,SP3が第1方向Xに順に並んでいてもよい。
【0021】
表示領域DAには、リブ5及び隔壁6が配置されている。リブ5は、副画素SP1,SP2,SP3においてそれぞれ開口AP1,AP2,AP3を有している。
【0022】
隔壁6は、平面視においてリブ5と重なっている。隔壁6は、第1方向Xに延びる複数の第1隔壁6xと、第2方向Yに延びる複数の第2隔壁6yと、を有している。複数の第1隔壁6xは、第2方向Yに隣り合う開口AP2,AP3の間、及び、第2方向Yに隣り合う2つの開口AP1の間にそれぞれ配置されている。第2隔壁6yは、第1方向Xに隣り合う開口AP1,AP2の間、及び、第1方向Xに隣り合う開口AP1,AP3の間にそれぞれ配置されている。
【0023】
図2の例においては、第1隔壁6x及び第2隔壁6yは、互いに接続されている。これにより、隔壁6は、全体として開口AP1,AP2,AP3を囲う格子状に形成されている。隔壁6は、リブ5と同様に副画素SP1,SP2,SP3において開口を有するということもできる。
【0024】
副画素SP1,SP2,SP3は、表示素子20として、それぞれ表示素子201,202,203を備えている。
副画素SP1は、開口AP1とそれぞれ重なる下電極LE1、上電極UE1及び有機層OR1を備えている。副画素SP2は、開口AP2とそれぞれ重なる下電極LE2、上電極UE2及び有機層OR2を備えている。副画素SP3は、開口AP3とそれぞれ重なる下電極LE3、上電極UE3及び有機層OR3を備えている。
【0025】
図2の例においては、下電極LE1、LE2、LE3の外形は点線で示し、有機層OR1、OR2、OR3、及び、上電極UE1、UE2、UE3の外形は一点鎖線で示している。下電極LE1、LE2、LE3のそれぞれの周縁部は、リブ5に重なっている。なお、図示した下電極、有機層、上電極のそれぞれの外形は、正確な形状を反映したものとは限らない。
【0026】
下電極LE1、上電極UE1、及び、有機層OR1は、副画素SP1の表示素子201を構成する。下電極LE2、上電極UE2、及び、有機層OR2は、副画素SP2の表示素子202を構成する。下電極LE3、上電極UE3、及び、有機層OR3は、副画素SP3の表示素子203を構成する。
【0027】
下電極LE1、LE2、LE3は、例えば、表示素子のアノードに相当する。上電極UE1、UE2、UE3は、表示素子のカソード、あるいは、共通電極に相当する。
【0028】
下電極LE1は、コンタクトホールCH1を通じて副画素SP1の画素回路1(図1参照)に接続されている。下電極LE2は、コンタクトホールCH2を通じて副画素SP2の画素回路1に接続されている。下電極LE3は、コンタクトホールCH3を通じて副画素SP3の画素回路1に接続されている。
【0029】
図2の例においては、開口AP1の面積が開口AP2の面積よりも大きく、開口AP2の面積が開口AP3の面積よりも大きい。換言すると、開口AP1から露出した下電極LE1の面積は開口AP2から露出した下電極LE2の面積よりも大きく、開口AP2から露出した下電極LE2の面積は開口AP3から露出した下電極LE3の面積よりも大きい。
【0030】
例えば、副画素SP1の表示素子201は、青波長域の光を放つように構成される。また、副画素SP2の表示素子202は、緑波長域の光を放つように構成され、また、副画素SP3の表示素子203は、赤波長域の光を放つように構成される。
【0031】
図3は、図2中のA-B線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図である。
上述の基板10の上に回路層11が配置されている。回路層11は、図1に示した画素回路1、走査線GL、信号線SL、及び、電源線PLなどの各種回路や配線を含む。回路層11は、絶縁層12により覆われている。絶縁層12は、回路層11により生じる凹凸を平坦化する平坦化膜として機能する。
【0032】
下電極LE1,LE2,LE3は、絶縁層12の上に配置されている。リブ5は、絶縁層12及び下電極LE1,LE2,LE3の上に配置されている。下電極LE1,LE2,LE3の端部は、リブ5により覆われている。つまり、下電極LE1,LE2,LE3の端部は、絶縁層12とリブ5との間に配置されている。下電極LE1,LE2,LE3のうち、互いに隣接する下電極の間では、絶縁層12がリブ5により覆われている。
【0033】
隔壁6は、リブ5の上に配置された下部(茎)61と、下部61の上に配置された上部(笠)62と、を含む。図の左側に示した隔壁6の下部61は、開口AP1と開口AP2との間に位置している。図の右側に示した隔壁6の下部61は、開口AP2と開口AP3との間に位置している。上部62は、下部61よりも大きい幅を有している。これにより、上部62の両端部が下部61の側面よりも突出している。このような隔壁6の形状は、オーバーハング状ということもできる。上部62のうち、下部61よりも開口AP1に向かって突出した部分は突出部621と称し、下部61よりも開口AP2に向かって突出した部分は突出部622と称し、下部61よりも開口AP3に向かって突出した部分は突出部623と称する。
【0034】
有機層OR1は、開口AP1を通じて下電極LE1に接触し、下電極LE1を覆うとともに、リブ5の一部に重なっている。上電極UE1は、下電極LE1と対向するとともに、有機層OR1の上に配置されている。さらに、上電極UE1は、下部61の側面に接触している。有機層OR1及び上電極UE1は、上部62よりも下方に位置している。
【0035】
有機層OR2は、開口AP2を通じて下電極LE2に接触し、下電極LE2を覆うとともに、リブ5の一部に重なっている。上電極UE2は、下電極LE2と対向するとともに、有機層OR2の上に配置されている。さらに、上電極UE2は、下部61の側面に接触している。有機層OR2及び上電極UE2は、上部62よりも下方に位置している。
【0036】
有機層OR3は、開口AP3を通じて下電極LE3に接触し、下電極LE3を覆うとともに、リブ5の一部に重なっている。上電極UE3は、下電極LE3と対向するとともに、有機層OR3の上に配置されている。さらに、上電極UE3は、下部61の側面に接触している。有機層OR3及び上電極UE3は、上部62よりも下方に位置している。
【0037】
図示した例では、副画素SP1,SP2,SP3は、有機層OR1,OR2,OR3の発光層が発する光の光学特性を調整するためのキャップ層(光学調整層)CP1、CP2、CP3を含む。
キャップ層CP1は、開口AP1に位置し、上部62よりも下方に位置し、上電極UE1の上に配置されている。キャップ層CP2は、開口AP2に位置し、上部62よりも下方に位置し、上電極UE2の上に配置されている。キャップ層CP3は、開口AP3に位置し、上部62よりも下方に位置し、上電極UE3の上に配置されている。
【0038】
副画素SP1,SP2,SP3には、封止層SE1,SE2,SE3がそれぞれ配置されている。
封止層SE1は、キャップ層CP1、及び、隔壁6の下部61及び上部62に接し、副画素SP1の各部材を連続的に覆っている。
封止層SE2は、キャップ層CP2、及び、隔壁6の下部61及び上部62に接し、副画素SP2の各部材を連続的に覆っている。
封止層SE3は、キャップ層CP3、及び、隔壁6の下部61及び上部62に接し、副画素SP3の各部材を連続的に覆っている。
封止層SE1,SE2,SE3は、保護層13により覆われている。
【0039】
図示した例では、有機層OR1の一部、上電極UE1の一部、及び、キャップ層CP1の一部は、隔壁6と封止層SE1との間に位置し、上部62の上に配置され、上部62よりも下方に位置する部分とは離間している。
また、有機層OR2の一部、上電極UE2の一部、及び、キャップ層CP2の一部は、隔壁6と封止層SE2との間に位置し、上部62の上に配置され、上部62よりも下方に位置する部分とは離間している。
また、有機層OR3の一部、上電極UE3の一部、及び、キャップ層CP3の一部は、隔壁6と封止層SE3との間に位置し、上部62の上に配置され、上部62よりも下方に位置する部分とは離間している。
【0040】
絶縁層12は、有機絶縁層である。リブ5、及び、封止層SE1,SE2,SE3は、無機絶縁層である。
【0041】
リブ5は、無機絶縁材料の一例であるシリコン窒化物(SiNx)で形成されている。なお、リブ5は、他の無機絶縁材料として、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン酸窒化物(SiON)、または、酸化アルミニウム(Al)のいずれかの単層体として形成されてもよい。また、リブ5は、シリコン窒化物層、シリコン酸化物層、シリコン酸窒化物層、及び、酸化アルミニウム層のうちの少なくとも2つの組合せによる積層体として形成されてもよい。
封止層SE1,SE2,SE3は、例えば、同一の無機絶縁材料で形成されている。
封止層SE1,SE2,SE3は、無機絶縁材料の一例であるシリコン窒化物(SiNx)で形成されている。なお、封止層SE1,SE2,SE3は、他の無機絶縁材料として、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン酸窒化物(SiON)、または、酸化アルミニウム(Al)のいずれかの単層体として形成されてもよい。また、封止層SE1,SE2,SE3は、シリコン窒化物層、シリコン酸化物層、シリコン酸窒化物層、及び、酸化アルミニウム層のうちの少なくとも2つの組合せによる積層体として形成されてもよい。このため、封止層SE1,SE2,SE3は、リブ5と同一材料で形成される場合があり得る。
【0042】
隔壁6の下部61は、導電材料によって形成され、各上電極UE1,UE2,UE3と電気的に接続されている。隔壁6の下部61及び上部62がいずれも導電材料によって形成されてもよい。
【0043】
リブ5の厚さは、隔壁6や絶縁層12の厚さに比べて十分に小さい。一例では、リブ5の厚さは、200nm以上かつ400nm以下である。
隔壁6の下部61の厚さ(リブ5の上面から上部62の下面までの厚さ)は、リブ5の厚さより大きい。
封止層SE1の厚さ、封止層SE2の厚さ、及び、封止層SE3の厚さは、ほぼ同等であり、例えば、1μm程度である。
【0044】
下電極LE1,LE2,LE3は、ITOなどの透明導電材料で形成されてもよいし、銀(Ag)などの金属材料と透明導電材料との積層構造を有してもよい。上電極UE1,UE2,UE3は、例えばマグネシウム及び銀の合金(MgAg)などの金属材料で形成されている。上電極UE1,UE2,UE3は、ITOなどの透明導電材料で形成されてもよい。
【0045】
有機層OR1,OR2,OR3の各々は、後述するように、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層などの複数の機能層を含む。また、有機層OR1は、発光層EM1を含む。有機層OR2は、発光層EM2を含む。発光層EM2は、発光層EM1とは異なる材料で形成されている。有機層OR3は、発光層EM3を含む。発光層EM3は、発光層EM1及びEM2とは異なる材料で形成されている。
【0046】
発光層EM1を形成する材料、発光層EM2を形成する材料、及び、発光層EM3を形成する材料は、互いに異なる波長域の光を放つ材料である。
一例では、発光層EM1は、青波長域の光を放つ材料によって形成され、発光層EM2は、緑波長域の光を放つ材料によって形成され、発光層EM3は、赤波長域の光を放つ材料によって形成されている。
【0047】
キャップ層CP1、CP2、CP3は、例えば、透明な薄膜の多層体によって形成されている。多層体は、薄膜として、無機材料によって形成された薄膜及び有機材料によって形成された薄膜を含んでいてもよい。また、これらの複数の薄膜は、互いに異なる屈折率を有している。多層体を構成する薄膜の材料は、上電極UE1、UE2、UE3の材料とは異なり、また、封止層SE1、SE2、SE3の材料とも異なる。なお、キャップ層CP1、CP2、CP3は、省略してもよい。
【0048】
保護層13は、透明な薄膜の多層体によって形成され、例えば、薄膜として、無機材料によって形成された薄膜及び有機材料によって形成された薄膜を含んでいる。
【0049】
隔壁6には、共通電圧が供給されている。この共通電圧は、下部61の側面に接触した各上電極UE1,UE2,UE3にそれぞれ供給される。下電極LE1,LE2,LE3には、副画素SP1,SP2,SP3がそれぞれ有する画素回路1を通じて画素電圧が供給される。
【0050】
下電極LE1と上電極UE1の間に電位差が形成されると、有機層OR1のうちの発光層EM1が青波長域の光を放つ。下電極LE2と上電極UE2の間に電位差が形成されると、有機層OR2のうちの発光層EM2が緑波長域の光を放つ。下電極LE3と上電極UE3の間に電位差が形成されると、有機層OR3のうちの発光層EM3が青波長域の光を放つ。
【0051】
次に、表示装置DSPの製造方法の一例について説明する。
【0052】
図4は、表示装置DSPの製造方法の一例を説明するためのフロー図である。
ここに示す製造方法は、大別して、副画素SP1、副画素SP2、及び、副画素SP3を有する処理基板SUBを用意する工程(ステップST1)と、副画素SP1の表示素子201を形成する工程(ステップST2)と、副画素SP2の表示素子202を形成する工程(ステップST3)と、副画素SP3の表示素子203を形成する工程(ステップST4)と、を含む。
【0053】
ステップST1においては、まず、基板10の上に、副画素SP1の下電極LE1、副画素SP2の下電極LE2、副画素SP3の下電極LE3、リブ5、及び、隔壁6を形成した処理基板SUBを用意する。図3に示したように、基板10と下電極LE1、LE2、LE3との間には、回路層11及び絶縁層12も形成される。
【0054】
ステップST2においては、まず、副画素SP1、副画素SP2、及び、副画素SP3に亘って、発光層EM1を含む第1薄膜31を形成する(ステップST21)。第1薄膜31は、図3に示した有機層OR1、上電極UE1、キャップ層CP1、及び、封止層SE1の積層体である。その後、第1薄膜31の上に所定の形状にパターニングされた第1レジスト41を形成する(ステップST22)。その後、第1レジスト41をマスクとしたエッチングにより第1薄膜31の一部を除去する(ステップST23)。このとき、例えば、副画素SP2及び副画素SP3に配置された第1薄膜31が除去される。その後、第1レジスト41を除去する(ステップST24)。これにより、副画素SP1が形成される。副画素SP1は、所定の形状の第1薄膜31を有する表示素子201を備える。
【0055】
ステップST3においては、まず、副画素SP1、副画素SP2、及び、副画素SP3に亘って、発光層EM2を含む第2薄膜32を形成する(ステップST31)。第2薄膜32は、図3に示した有機層OR2、上電極UE2、キャップ層CP2、及び、封止層SE2の積層体である。その後、第2薄膜32の上に所定の形状にパターニングされた第2レジスト42を形成する(ステップST32)。その後、第2レジスト42をマスクとしたエッチングにより第2薄膜32の一部を除去する(ステップST33)。このとき、例えば、副画素SP1及び副画素SP3に配置された第2薄膜32が除去される。その後、第2レジスト42を除去する(ステップST34)。これにより、副画素SP2が形成される。副画素SP2は、所定の形状の第2薄膜32を有する表示素子202を備える。
【0056】
ステップST4においては、まず、副画素SP1、副画素SP2、及び、副画素SP3に亘って、発光層EM3を含む第3薄膜33を形成する(ステップST41)。第3薄膜33は、図3に示した有機層OR3、上電極UE3、キャップ層CP3、及び、封止層SE3の積層体である。その後、第3薄膜33の上に所定の形状にパターニングされた第3レジスト43を形成する(ステップST42)。その後、第3レジスト43をマスクとしたエッチングにより第3薄膜33の一部を除去する(ステップST43)。このとき、例えば、副画素SP1及び副画素SP2に配置された第3薄膜33が除去される。その後、第3レジスト43を除去する(ステップST44)。これにより、副画素SP3が形成される。副画素SP3は、所定の形状の第3薄膜33を有する表示素子203を備える。
【0057】
なお、第2薄膜32、第2レジスト42、第3薄膜33、及び、第3レジスト43の詳細な図示は省略する。
【0058】
以下、ステップST1及びステップST2について図5乃至図9を参照しながら説明する。なお、図5乃至図9に示す各断面は、例えば図2中のA-B線に沿う断面に相当する。
【0059】
まず、ステップST1においては、図5に示すように、処理基板SUBを用意する。処理基板SUBを用意する工程は、基板10の上に回路層11を形成する工程と、回路層11の上に絶縁層12を形成する工程と、絶縁層12の上に、副画素SP1の下電極LE1、副画素SP2の下電極LE2、副画素SP3の下電極LE3を形成する工程と、下電極LE1、LE2、LE3の各々と重なる開口AP1、AP2、AP3を有するリブ5を形成する工程と、リブ5の上に配置された下部61及び下部61の上に配置され下部61の側面から突出した上部62を含む隔壁6を形成する工程と、を含む。リブ5は、例えばシリコン窒化物で形成する。隔壁6のうち、少なくとも下部61は、導電材料で形成する。なお、図6乃至図9の各図においては、絶縁層12よりも下層の基板10及び回路層11の図示を省略する。
【0060】
続いて、ステップST21においては、図6に示すように、副画素SP1、副画素SP2、及び、副画素SP3に亘って、第1薄膜31を形成する。第1薄膜31を形成する工程は、処理基板SUBの上に、発光層EM1を含む有機層OR1を形成する工程と、有機層OR1の上に上電極UE1を形成する工程と、上電極UE1の上にキャップ層CP1を形成する工程と、キャップ層CP1の上に無機絶縁材料で封止層SE1を形成する工程と、を含む。つまり、図示した例では、第1薄膜31は、有機層OR1、上電極UE1、キャップ層CP1、及び、封止層SE1を含む。
【0061】
有機層OR1は、下電極LE1、下電極LE2、及び、下電極LE3の上にそれぞれ形成されるとともに、隔壁6の上にも形成されている。有機層OR1のうち、上部62の上に形成された部分は、各下電極の上に形成された部分から離間している。有機層OR1の各種機能層及び発光層EM1は、蒸着法により形成される。
【0062】
上電極UE1は、下電極LE1、下電極LE2、及び、下電極LE3の直上において、有機層OR1の上にそれぞれ形成され、リブ5を覆い、隔壁6の下部61に接している。また、上電極UE1は、上部62の直上において、有機層OR1の上にも形成されている。上電極UE1のうち、上部62の直上に形成された部分は、各下電極の直上に形成された部分から離間している。上電極UE1は、蒸着法により形成される。
【0063】
キャップ層CP1は、下電極LE1、下電極LE2、及び、下電極LE3の直上において、上電極UE1の上にそれぞれ形成されるとともに、上部62の直上において、上電極UE1の上にも形成されている。キャップ層CP1のうち、上部62の直上に形成された部分は、各下電極の直上に形成された部分から離間している。キャップ層CP1に含まれる第1透明層及び第2透明層は、蒸着法により形成される。
【0064】
封止層SE1は、キャップ層CP1、及び、隔壁6を覆うように形成されている。つまり、封止層SE1は、下電極LE1、下電極LE2、及び、下電極LE3の直上において、キャップ層CP1の上にそれぞれ形成されるとともに、上部62の直上において、キャップ層CP1の上にも形成されている。また、封止層SE1は、隔壁6の下部61に接している。封止層SE1において、上部62の直上に形成された部分は、各下電極の直上に形成された部分と繋がっている。封止層SE1は、CVD法により形成される。上電極UE1はリブ5と封止層SE1との間に介在し、封止層SE1はリブ5から離間している。
【0065】
続いて、ステップST22においては、図7に示すように、封止層SE1の上のパターニングした第1レジスト41を形成する。第1レジスト41は、副画素SP1の第1薄膜31を覆い、副画素SP2及び副画素SP3の第1薄膜31を露出する。つまり、第1レジスト41は、下電極LE1の直上に位置する封止層SE1に重なっている。また、第1レジスト41は、副画素SP1から隔壁6の上方に延出している。副画素SP1と副画素SP2との間の隔壁6上において、第1レジスト41は、副画素SP1側(図の左側)に配置され、副画素SP2側(図の右側)では封止層SE1を露出している。また、第1レジスト41は、副画素SP2及び副画素SP3において、封止層SE1を露出している。
【0066】
その後、ステップST23においては、図8に示すように、第1レジスト41をマスクとしてエッチングを行い、第1レジスト41から露出した副画素SP2及び副画素SP3の第1薄膜31を除去し、副画素SP1に第1薄膜31が残留する。
【0067】
第1薄膜31を除去する工程は、例えば、以下の通りである。
まず、第1レジスト41をマスクとして利用し、ドライエッチングを行い、第1レジスト41から露出した封止層SE1を除去する。
その後、第1レジスト41をマスクとして利用し、ウエットエッチング及びドライエッチングの少なくとも一方を行い、第1レジスト41及び封止層SE1から露出したキャップ層CP1を除去する。
その後、第1レジスト41をマスクとして利用し、ウエットエッチングを行い、第1レジスト41及びキャップ層CP1から露出した上電極UE1を除去する。
その後、第1レジスト41をマスクとして利用し、ドライエッチング(アッシング)を行い、第1レジスト41及び上電極UE1から露出した有機層OR1を除去する。
【0068】
これにより、副画素SP2において下電極LE2が露出し、また、下電極LE2を囲むリブ5が露出する。また、副画素SP3において下電極LE3が露出し、また、下電極LE3を囲むリブ5が露出する。また、副画素SP1と副画素SP2との間の隔壁6において、副画素SP2側が露出する。また、副画素SP2と副画素SP3との間の隔壁6が露出する。
【0069】
その後、ステップST24においては、図9に示すように、第1レジスト41を除去する。これにより、副画素SP1の封止層SE1が露出する。これらのステップST21乃至ST24を経て、副画素SP1において、表示素子201が形成される。表示素子201は、下電極LE1、発光層EM1を含む有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1によって構成される。また、表示素子201は、封止層SE1によって覆われている。
【0070】
副画素SP1と副画素SP2との間の隔壁6上には、発光層EM1を含む有機層OR1、上電極UE1、キャップ層CP1、及び、封止層SE1の積層体が形成される。また、隔壁6のうち、副画素SP1の側の部分は、封止層SE1で覆われる。なお、図9に示した隔壁6上の積層体は、完全に除去される場合があり得る。
【0071】
図4に示したステップST31乃至ST34は、上記のステップST21乃至ST24と同様である。これらのステップST31乃至ST34を経て、図3に示した副画素SP2において、表示素子202が形成される。表示素子202は、下電極LE2、発光層EM2を含む有機層OR2、上電極UE2、及び、キャップ層CP2によって構成される。また、表示素子202は、封止層SE2によって覆われている。
【0072】
図4に示したステップST41乃至ST44も、上記のステップST21乃至ST24と同様である。これらのステップST41乃至ST44を経て、図3に示した副画素SP3において、表示素子203が形成される。表示素子203は、下電極LE3、発光層EM3を含む有機層OR3、上電極UE3、及び、キャップ層CP3によって構成される。また、表示素子203は、封止層SE3によって覆われている。
【0073】
上記の表示素子201乃至203は、概ね同様の積層構造を有している。以下、表示素子201について、いくつかの構成例について説明し、表示素子202及び203の積層構造についての説明を省略する。
【0074】
図10は、表示素子201の一構成例を示す図である。
なお、ここでは、下電極LE1がアノードに相当し、上電極UE1がカソードに相当する場合の例について説明する。
【0075】
表示素子201は、下電極LE1と上電極UE1との間に、有機層OR1を含んでいる。有機層OR1は、第1機能層FL1と、第1ブロック層BL1と、発光層EM1と、第2ブロック層BL2と、第2機能層FL2と、を含んでいる。
【0076】
発光層EM1は、第1ブロック層BL1と第2ブロック層BL2との間に位置している。第1機能層FL1は、下電極LE1と第1ブロック層BL1との間に位置し、正孔注入層HIL1及び正孔輸送層HTL1を含んでいる。第2機能層FL2は、第2ブロック層BL2と上電極UE1との間に位置し、電子輸送層ETL1及び電子注入層EIL1を含んでいる。
【0077】
第1ブロック層BL1は、例えば電子ブロック層EBL1であり、上電極UE1から供給された電子を発光層EM1に留め、下電極LE1への移動を抑制する機能層である。
第2ブロック層BL2は、例えば正孔ブロック層HBL1であり、下電極LE1から供給された正孔を発光層EM1に留め、上電極UE1への移動を抑制する機能層である。
【0078】
有機層OR1において、正孔注入層HIL1、正孔輸送層HTL1、電子ブロック層EBL1、発光層EM1、正孔ブロック層HBL1、電子輸送層ETL1、及び、電子注入層EIL1は、この順に積層されている。
【0079】
キャップ層CP1は、第1透明層TL11及び第2透明層TL12を含んでいる。第1透明層TL11は、上電極UE1の上に配置されている。第1透明層TL11は、例えば有機材料によって形成された有機層であり、また、上電極UE1よりも大きい屈折率を有する高屈折率層である。第2透明層TL12は、第1透明層TL11の上に配置されている。第2透明層TL12は、例えばフッ化リチウム(LiF)などの無機材料によって形成された無機層であり、第1透明層TL11よりも小さい屈折率を有する低屈折率層である。なお、キャップ層CP1は、3層以上の積層体であってもよい。
【0080】
封止層SE1は、第2透明層TL12の上に配置されている。
【0081】
図11は、表示素子201の他の構成例を示す図である。
図11に示す構成例は、図10に示した構成例と比較して、有機層OR1が、さらに、発光層EM11及び発光層EM12を含む点で相違している。発光層EM11及び発光層EM12は、第1ブロック層BL1と第2ブロック層BL2との間に位置している。発光層EM11は、第1ブロック層BL1と発光層EM12との間に位置している。発光層EM12は、発光層EM11と第2ブロック層BL2との間に位置している。
【0082】
発光層EM11は、発光層EM12とは異なる材料で形成されている。但し、発光層EM11及び発光層EM12は、ともに同等色(例えば青色)を発光する材料によって形成されている。一例では、発光層EM11は正孔が供給されることで比較的高い発光効率が得られる材料によって形成され、発光層EM12は電子が供給されることで比較的高い発光効率が得られる材料によって形成されている。
【0083】
図12は、表示素子201の他の構成例を示す図である。
図12に示す構成例は、図11に示した構成例と比較して、有機層OR1が、さらに、電荷発生層CGL1を含む点で相違している。電荷発生層CGL1は、発光層EM11と発光層EM12との間に位置している。
電荷発生層CGL1は、例えば、n型電荷発生層及びp型電荷発生層である。n型電荷発生層は、発光層EM11に電子を供給する機能層である。p型電荷発生層は、発光層EM12に正孔を供給する機能層である。
【0084】
図10乃至図12に示した例において、発光層EM1及び発光層EM11は第1発光層に相当し、発光層EM12は第2発光層に相当する。なお、図10乃至図12に示した例において、第1機能層FL1及び第2機能層FL2は、図示した層とは異なる層をさらに含んでいてもよいし、図示した層の少なくとも1つが省略されてもよい。また、ここでは、表示素子201の構成例について説明したが、表示素子202及び203については、表示素子201と同様の積層構造であってもよいし、表示素子201とは異なる積層構造であってもよい。
【0085】
図13は、蒸着装置100に含まれる1つの蒸着チャンバーを説明するための図である。ここで説明する蒸着装置100は、図4及び図6を参照して説明した第1薄膜31を形成する工程のうち、有機層OR1、上電極UE1、キャップ層CP1を形成するのに適用可能である。
【0086】
図示した1つの蒸着チャンバーにおいては、処理基板SUBは、図中の矢印で示した搬送方向Tに沿って搬送される。蒸着源S0は、処理基板SUBに対向するように配置されている。蒸着源S0は、材料Mを加熱し、気化した材料(蒸気)Mを処理基板SUBに向けて放射するように構成されている。材料Mとしては、有機層OR1の各層を形成するための材料、上電極UE1を形成するための材料、キャップ層CP1を形成するための材料である。
【0087】
蒸着源S0は、ノズル120を備えている。図示した例では、ノズル120の延出方向120Eは、処理基板SUBの法線Nとほぼ平行である。蒸着源S0から放射された材料Mの広がり角度は、例えば、ノズル120の延出方向120Eに沿った長さによって調整可能である。蒸着源S0から処理基板SUBに向けて放射される材料Mの広がり角度は、蒸着角度と称する場合がある。
【0088】
ここでは、長さLAのノズル120A、長さLBのノズル120B、及び、長さLCのノズル120Cがそれぞれ適用された場合の広がり角度について説明する。長さLBは長さLAより長く(LA<LB)、長さLCは長さLBより長い(LB<LC)。
【0089】
比較的短いノズル120Aが適用された場合の広がり角度θAは、ノズル120Aより長いノズル120Bが適用された場合の広がり角度θBより大きい(θA>θB)。ノズル120Bが適用された場合の広がり角度θBは、ノズル120Bより長いノズル120Cが適用された場合の広がり角度θCより大きい(θB>θC)。
【0090】
このように、ノズルの長さが長くなるほど放射される材料Mがノズルによって規制され、材料Mの直進性が向上し、広がり角度が小さくなる。一方で、ノズルが短くなるほど放射される材料Mがノズルによって規制されにくくなり、材料Mの発散性が向上し、広がり角度が大きくなる。このように、ノズル120の長さLを調整することにより、蒸着源S0から処理基板SUBに向けて放射される材料Mの広がり角度を自在に制御することができる。
【0091】
図13では、簡易的に3種類のノズル120A、120B、120Cの適用例について説明したが、長さの異なる4種類以上のノズルが適用されてもよい。
【0092】
図14は、蒸着源S0の他の断面図である。
蒸着源S0は、回転軸AXを中心に回転可能に構成されている。この蒸着源S0は、回転軸AXに沿って延出している。
【0093】
図示した例では、ノズル120の延出方向120Eは、処理基板SUBの法線Nに対して傾斜している。蒸着源S0から処理基板SUBに向けて放射される材料Mの広がり角度θDは、蒸着源S0の傾きによらずほぼ一定である。
【0094】
図13及び図14に示したように、上記の広がり角度及び蒸着源S0の傾きを調整することにより、材料Mが蒸着される領域を自在に設定することができる。
【0095】
図15は、図10に示した表示素子201を形成するための蒸着装置100の一構成例を示す図である。
蒸着装置100は、複数の蒸着チャンバー151乃至159を有している。これらの蒸着チャンバー151乃至159は、互いに連結されている。
【0096】
蒸着チャンバー151は、正孔注入層HIL1を形成するように構成されている。
蒸着チャンバー152は、正孔輸送層HTL1を形成するように構成されている。
蒸着チャンバー153は、電子ブロック層EBL1を形成するように構成されている。
蒸着チャンバー154は、発光層EM1を形成するように構成されている。
蒸着チャンバー155は、正孔ブロック層HBL1を形成するように構成されている。
【0097】
蒸着チャンバー156は、電子輸送層ETL1を形成するように構成されている。
蒸着チャンバー157は、電子注入層EIL1を形成するように構成されている。
蒸着チャンバー158は、上電極UE1を形成するように構成されている。
蒸着チャンバー159は、キャップ層CP1を形成するように構成されている。なお、ここでは、キャップ層CP1を形成するための蒸着チャンバー159のみしか図示していないが、キャップ層CP1が上記の通り第1透明層TL11及び第2透明層TL12との積層体である場合、第1透明層TL11を形成するための蒸着チャンバーと、第2透明層TL12を形成するための蒸着チャンバーとが連結されている。
【0098】
搬送レールRLは、蒸着チャンバー151から蒸着チャンバー159に亘って延出している。処理基板SUBが装着されたキャリアCRは、搬送レールRLに沿ってほぼ一定の速度で搬送される。
【0099】
蒸着チャンバー151乃至159の各々は、蒸着源と、仕切り板と、を備えている。
【0100】
具体的には、蒸着チャンバー151は、蒸着源S1と、仕切り板P1と、を備えている。仕切り板P1は、蒸着チャンバー151の第1空間151Aと第2空間151Bとを仕切っている。蒸着源S1は、第1空間151Aに収容されている。第2空間151Bは、キャリアCRとともに処理基板SUBが搬送される空間であり、搬送レールRLが設けられている。蒸着源S1は、正孔注入層HIL1を形成するための材料を、第2空間151Bにおいて広がり角度θ1で放射するように構成されている。
【0101】
蒸着チャンバー152は、蒸着源S2と、仕切り板P2と、を備えている。蒸着源S2は、正孔輸送層HTL1を形成するための材料を、広がり角度θ2で放射するように構成されている。広がり角度θ2は、広がり角度θ1とほぼ同等となるように設定されている。
【0102】
蒸着チャンバー153は、蒸着源S3と、仕切り板P3と、を備えている。蒸着源S3は、電子ブロック層EBL1を形成するための材料を、広がり角度θ3で放射するように構成されている。広がり角度θ3は、広がり角度θ1及びθ2より大きくなるように設定されている(θ1<θ3、θ2<θ3)。
【0103】
蒸着チャンバー154は、蒸着源S4と、仕切り板P4と、を備えている。蒸着源S4は、発光層EM1を形成するための材料を、広がり角度θ4で放射するように構成されている。広がり角度θ4は、広がり角度θ3より小さくなるように設定されている(θ4<θ3)。
【0104】
蒸着チャンバー155は、蒸着源S5と、仕切り板P5と、を備えている。蒸着源S5は、正孔ブロック層HBL1を形成するための材料を、広がり角度θ5で放射するように構成されている。広がり角度θ5は、広がり角度θ4より大きくなるように設定されている(θ4<θ5)。
【0105】
蒸着チャンバー156は、蒸着源S6と、仕切り板P6と、を備えている。蒸着源S6は、電子輸送層ETL1を形成するための材料を、広がり角度θ6で放射するように構成されている。広がり角度θ6は、広がり角度θ5とほぼ同等となるように設定されている。
【0106】
蒸着チャンバー157は、蒸着源S7と、仕切り板P7と、を備えている。蒸着源S7は、電子注入層EIL1を形成するための材料を、広がり角度θ7で放射するように構成されている。広がり角度θ7は、広がり角度θ6とほぼ同等となるように設定されている。また、広がり角度θ6及びθ7は、広がり角度θ4より大きくなるように設定されている(θ4<θ6、θ4<θ7)。
【0107】
蒸着チャンバー158は、蒸着源S8と、仕切り板P8と、を備えている。蒸着源S8は、上電極UE1を形成するための材料を、広がり角度θ8で放射するように構成されている。広がり角度θ8は、広がり角度θ7より大きくなるように設定されている(θ7<θ8)。
【0108】
蒸着チャンバー159は、蒸着源S9と、仕切り板P9と、を備えている。蒸着源S9は、キャップ層CP1を形成するための材料を、広がり角度θ9で放射するように構成されている。
【0109】
蒸着源S1乃至S9の各々について、材料の広がり角度は、図13を参照して説明した蒸着源S0のように、ノズルの長さを調整することで制御される。また、蒸着源S1乃至S9の各々は、必要に応じて、図14を参照して説明した蒸着源S0のように、処理基板SUBの法線に対して傾斜していてもよい。
【0110】
蒸着源S1乃至S9の各々は、蒸着装置100が稼働している間、材料を加熱し、材料を気化させ、連続的に材料を放射するように構成されている。蒸着源S1乃至S9の各々から放射される材料は、互いに異なるものである。蒸着源S1乃至S9から放射されたそれぞれの材料は、キャリアCRとともに搬送された処理基板SUBに蒸着される。
【0111】
次に、図10に示した表示素子201の有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1を形成する工程について説明する。
【0112】
まず、図5を参照して説明した処理基板SUBを用意した後、ファインマスクを設置することなく処理基板SUBを蒸着装置100に搬入する。
【0113】
そして、処理基板SUBが蒸着チャンバー151を通過する際、下電極LE1の上に正孔注入層HIL1が形成される。
そして、処理基板SUBが蒸着チャンバー152を通過する際に、正孔注入層HIL1の上に正孔輸送層HTL1が形成される。
【0114】
そして、処理基板SUBが蒸着チャンバー153を通過する際に、正孔輸送層HTL1の上に、第1ブロック層BL1として電子ブロック層EBL1が形成される。電子ブロック層EBL1は、上記の通り、広がり角度θ3で放射された材料によって形成されるため、正孔注入層HIL1及び正孔輸送層HTL1よりも広い範囲にわたって形成される。
【0115】
そして、処理基板SUBが蒸着チャンバー154を通過する際に、電子ブロック層EBL1の上に発光層EM1が形成される。発光層EM1は、上記の通り、広がり角度θ4で放射された材料によって形成されるため、電子ブロック層EBL1よりも狭い範囲にわたって形成される。
【0116】
そして、処理基板SUBが蒸着チャンバー155を通過する際に、発光層EM1の上に正孔ブロック層HBL1が形成される。正孔ブロック層HBL1は、上記の通り、広がり角度θ5で放射された材料によって形成されるため、発光層EM1よりも広い範囲にわたって形成される。
【0117】
そして、処理基板SUBが蒸着チャンバー156を通過する際に、正孔ブロック層HBL1の上に電子輸送層ETL1が形成される。
そして、処理基板SUBが蒸着チャンバー157を通過する際に、電子輸送層ETL1の上に電子注入層EIL1が形成される。
【0118】
そして、処理基板SUBが蒸着チャンバー158を通過する際に、電子注入層EIL1の上に上電極UE1が形成される。上電極UE1は、上記の通り、広がり角度θ8で放射された材料によって形成されるため、電子注入層EIL1などよりも広い範囲にわたって形成される。
【0119】
そして、処理基板SUBが蒸着チャンバー159を通過する際に、上電極UE1の上にキャップ層CP1が形成される。
【0120】
その後、処理基板SUBは、蒸着装置100から搬出される。
【0121】
蒸着装置100から搬出された処理基板SUBにおいては、図6を参照して説明したように、隔壁6の上に形成された有機層OR1は、開口AP1において下電極LE1の上に形成された有機層OR1から離間している。隔壁6の上に形成された上電極UE1は、下電極LE1の直上に形成された上電極UE1から離間している。隔壁6の上に形成されたキャップ層CP1は、下電極LE1の直上に形成されたキャップ層CP1から離間している。
【0122】
図16は、図15の蒸着装置100によって形成された各層の断面を示す図である。
ここでは、隔壁6と開口との間のリブ5上に位置する各層の断面を拡大して示している。
【0123】
正孔注入層HIL1は、リブ5の上に配置され、図3に示したように、開口AP1において下電極LE1の上に配置されている。正孔輸送層HTL1は、正孔注入層HIL1の上に配置されている。正孔注入層HIL1及び正孔輸送層HTL1は、隔壁6から離間している。
【0124】
電子ブロック層EBL1は、正孔注入層HIL1及び正孔輸送層HTL1を覆い、隔壁6と正孔注入層HIL1との間、及び、隔壁6と正孔輸送層HTL1との間でリブ5に接している。
発光層EM1は、電子ブロック層EBL1の上に配置され、隔壁6から離間している。発光層EM1の端部EMEは、電子ブロック層EBL1の上に位置している。発光層EM1は、正孔注入層HIL1及び正孔輸送層HTL1に接していない。
正孔ブロック層HBL1は、発光層EM1を覆い、発光層EM1の端部EMEと隔壁6との間で電子ブロック層EBL1に接している。つまり、発光層EM1は、電子ブロック層EBL1と正孔ブロック層HBL1とで封止されている。
【0125】
電子輸送層ETL1は、正孔ブロック層HBL1の上に配置されている。電子注入層EIL1は、電子輸送層ETL1の上に配置されている。上電極UE1は、電子注入層EIL1の上に配置され、隔壁6の下部61Bに接している。
【0126】
このような構成例によれば、電子ブロック層EBL1及び正孔ブロック層HBL1は、発光層EM1よりも広範囲にわたって形成されている。しかも、発光層EM1と正孔注入層HIL1との接触、発光層EM1と正孔輸送層HTL1との接触、発光層EM1と電子注入層EIL1との接触、発光層EM1と電子輸送層ETL1との接触が回避される。
【0127】
このため、発光層EM1に正孔及び電子を意図した通りに留めることができ、発光特性の劣化が抑制されるとともに、不所望な電流リークが抑制される。したがって、信頼性の低下を抑制することができる。
【0128】
特に、各層がそれぞれ別々の蒸着チャンバーで形成される場合、蒸着すべき材料の相違、蒸着条件の相違などにより、形成される層の端部の位置にばらつきが生ずるおそれがある。例えば、発光層EM1が正孔注入層HIL1や正孔輸送層HTL1に接触すると、発光層EM1に留めておくべき電子が正孔注入層HIL1や正孔輸送層HTL1に流れてしまい、不具合をもたらすおそれがある。
【0129】
そこで、上記の通り、発光層EM1が電子ブロック層EBL1及び正孔ブロック層HBL1によって封止されることにより、上記の課題を解決することができ、信頼性の低下が抑制されるものである。
【0130】
図17は、図11に示した表示素子201を形成するための蒸着装置100の一構成例を示す図である。
図17に示す構成例は、図15に示した構成例と比較して、蒸着装置100が蒸着チャンバー153と蒸着チャンバー155との間に蒸着チャンバー1541及び1542を有する点で相違している。なお、図17では、図15に示した蒸着チャンバー151乃至152、156乃至159の図示を省略している。蒸着チャンバー153、蒸着チャンバー1541、蒸着チャンバー1542、及び、蒸着チャンバー155は、互いに連結されている。
【0131】
蒸着チャンバー1541は、蒸着源S41を備えている。蒸着源S41は、発光層EM11を形成するための材料を、広がり角度θ41で放射するように構成されている。広がり角度θ41は、広がり角度θ3より小さくなるように設定されている(θ41<θ3)。
【0132】
蒸着チャンバー1542は、蒸着源S42を備えている。蒸着源S42は、発光層EM12を形成するための材料を、広がり角度θ42で放射するように構成されている。広がり角度θ42は、広がり角度θ3より小さくなるように設定されている(θ42<θ3)。発光層EM12を形成するための材料は、発光層EM11を形成するための材料とは異なる。
【0133】
蒸着チャンバー155において、蒸着源S5は、正孔ブロック層HBL1を形成するための材料を、広がり角度θ5で放射するように構成されている。広がり角度θ5は、広がり角度θ41及びθ42より大きくなるように設定されている(θ41<θ5、θ42<θ5)。
【0134】
このような蒸着装置100において、正孔輸送層HTL1が形成された処理基板SUBは、蒸着チャンバー153に搬入される。処理基板SUBが蒸着チャンバー153を通過する際に、正孔輸送層HTL1の上に、第1ブロック層BL1として電子ブロック層EBL1が形成される。電子ブロック層EBL1は、上記の通り、広がり角度θ3で放射された材料によって形成されるため、正孔注入層HIL1及び正孔輸送層HTL1よりも広い範囲にわたって形成される。
【0135】
そして、処理基板SUBが蒸着チャンバー1541を通過する際に、電子ブロック層EBL1の上に発光層EM11が形成される。発光層EM11は、上記の通り、広がり角度θ41で放射された材料によって形成されるため、電子ブロック層EBL1よりも狭い範囲にわたって形成される。
【0136】
そして、処理基板SUBが蒸着チャンバー1542を通過する際に、発光層EM11の上に発光層EM12が形成される。発光層EM12は、上記の通り、広がり角度θ42で放射された材料によって形成されるため、電子ブロック層EBL1よりも狭い範囲にわたって形成される。
【0137】
そして、処理基板SUBが蒸着チャンバー155を通過する際に、発光層EM12の上に正孔ブロック層HBL1が形成される。正孔ブロック層HBL1は、上記の通り、広がり角度θ5で放射された材料によって形成されるため、発光層EM11及びEM12よりも広い範囲にわたって形成される。
【0138】
図18は、図17の蒸着装置100によって形成された各層の断面を示す図である。
ここでは、隔壁6と開口との間のリブ5上に位置する各層の断面を拡大して示している。
【0139】
正孔注入層HIL1及び正孔輸送層HTL1は、隔壁6から離間している。電子ブロック層EBL1は、正孔注入層HIL1及び正孔輸送層HTL1を覆い、隔壁6と正孔注入層HIL1との間、及び、隔壁6と正孔輸送層HTL1との間でリブ5に接している。
発光層EM11は、電子ブロック層EBL1の上に配置され、隔壁6から離間している。発光層EM12は、発光層EM11の上に配置され、隔壁6から離間している。発光層EM11及びEM12の端部EMEは、電子ブロック層EBL1の上に位置している。発光層EM11及びEM12は、正孔注入層HIL1及び正孔輸送層HTL1に接していない。
正孔ブロック層HBL1は、発光層EM11及びEM12を覆い、端部EMEと隔壁6との間で電子ブロック層EBL1に接している。つまり、発光層EM11及びEM12は、電子ブロック層EBL1と正孔ブロック層HBL1とで封止されている。
【0140】
このような構成例においても、電子ブロック層EBL1及び正孔ブロック層HBL1が発光層EM11及びEM12よりも広範囲にわたって形成されている。このため、上記の構成例と同様の効果が得られる。
【0141】
図19は、図12に示した表示素子201を形成するための蒸着装置100の一構成例を示す図である。
図19に示す構成例は、図15に示した構成例と比較して、蒸着装置100が蒸着チャンバー153と蒸着チャンバー155との間に蒸着チャンバー1541乃至1543を有する点で相違している。なお、図19では、図15に示した蒸着チャンバー151乃至152、156乃至159の図示を省略している。蒸着チャンバー153、蒸着チャンバー1541、蒸着チャンバー1542、蒸着チャンバー1543、及び、蒸着チャンバー155は、互いに連結されている。
【0142】
蒸着チャンバー1541は、蒸着源S41を備えている。蒸着源S41は、発光層EM11を形成するための材料を、広がり角度θ41で放射するように構成されている。広がり角度θ41は、広がり角度θ3より小さくなるように設定されている(θ41<θ3)。
【0143】
蒸着チャンバー1542は、蒸着源S42を備えている。蒸着源S42は、電荷発生層CGL1を形成するための材料を、広がり角度θ42で放射するように構成されている。広がり角度θ42は、広がり角度θ3より小さくなるように設定されている(θ42<θ3)。
【0144】
蒸着チャンバー1543は、蒸着源S43を備えている。蒸着源S43は、発光層EM12を形成するための材料を、広がり角度θ43で放射するように構成されている。広がり角度θ43は、広がり角度θ3より小さくなるように設定されている(θ43<θ3)。発光層EM12を形成するための材料は、発光層EM11を形成するための材料とは異なる。
【0145】
蒸着チャンバー155において、蒸着源S5は、正孔ブロック層HBL1を形成するための材料を、広がり角度θ5で放射するように構成されている。広がり角度θ5は、広がり角度θ41乃至θ43より大きくなるように設定されている(θ41<θ5、θ42<θ5、θ43<θ5)。
【0146】
このような蒸着装置100において、正孔輸送層HTL1が形成された処理基板SUBは、蒸着チャンバー153に搬入される。処理基板SUBが蒸着チャンバー153を通過する際に、正孔輸送層HTL1の上に、第1ブロック層BL1として電子ブロック層EBL1が形成される。電子ブロック層EBL1は、上記の通り、広がり角度θ3で放射された材料によって形成されるため、正孔注入層HIL1及び正孔輸送層HTL1よりも広い範囲にわたって形成される。
【0147】
そして、処理基板SUBが蒸着チャンバー1541を通過する際に、電子ブロック層EBL1の上に発光層EM11が形成される。発光層EM11は、上記の通り、広がり角度θ41で放射された材料によって形成されるため、電子ブロック層EBL1よりも狭い範囲にわたって形成される。
【0148】
そして、処理基板SUBが蒸着チャンバー1542を通過する際に、発光層EM11の上に電荷発生層CGL1が形成される。電荷発生層CGL1は、上記の通り、広がり角度θ42で放射された材料によって形成されるため、電子ブロック層EBL1よりも狭い範囲にわたって形成される。
【0149】
そして、処理基板SUBが蒸着チャンバー1543を通過する際に、電荷発生層CGL1の上に発光層EM12が形成される。発光層EM12は、上記の通り、広がり角度θ43で放射された材料によって形成されるため、電子ブロック層EBL1よりも狭い範囲にわたって形成される。
【0150】
そして、処理基板SUBが蒸着チャンバー155を通過する際に、発光層EM12の上に正孔ブロック層HBL1が形成される。正孔ブロック層HBL1は、上記の通り、広がり角度θ5で放射された材料によって形成されるため、発光層EM11、電荷発生層CGL1、及び、発光層EM12よりも広い範囲にわたって形成される。
【0151】
図20は、図19の蒸着装置100によって形成された各層の断面を示す図である。
ここでは、隔壁6と開口との間のリブ5上に位置する各層の断面を拡大して示している。
【0152】
正孔注入層HIL1及び正孔輸送層HTL1は、隔壁6から離間している。電子ブロック層EBL1は、正孔注入層HIL1及び正孔輸送層HTL1を覆い、隔壁6と正孔注入層HIL1との間、及び、隔壁6と正孔輸送層HTL1との間でリブ5に接している。
発光層EM11は、電子ブロック層EBL1の上に配置され、隔壁6から離間している。電荷発生層CGL1は、発光層EM11の上に配置され、隔壁6から離間している。発光層EM12は、電荷発生層CGL1の上に配置され、隔壁6から離間している。発光層EM11、電荷発生層CGL1、及び、発光層EM12の端部EMEは、電子ブロック層EBL1の上に位置している。発光層EM11、電荷発生層CGL1、及び、発光層EM12は、正孔注入層HIL1及び正孔輸送層HTL1に接していない。
正孔ブロック層HBL1は、発光層EM11、電荷発生層CGL1、及び、発光層EM12を覆い、端部EMEと隔壁6との間で電子ブロック層EBL1に接している。つまり、発光層EM11、電荷発生層CGL1、及び、発光層EM12は、電子ブロック層EBL1と正孔ブロック層HBL1とで封止されている。
【0153】
このような構成例においても、電子ブロック層EBL1及び正孔ブロック層HBL1が発光層EM11、電荷発生層CGL1、及び、発光層EM12よりも広範囲にわたって形成されている。このため、上記の構成例と同様の効果が得られる。
【0154】
以上説明したように、本実施形態によれば、信頼性の低下を抑制することが可能な表示装置の製造方法及び表示装置を提供することができる。
【0155】
以上、本発明の実施形態として説明した表示装置の製造方法及び表示装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての表示装置の製造方法及び表示装置も、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に属する。
【0156】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形例に想到し得るものであり、それら変形例についても本発明の範囲に属するものと解される。例えば、上述の実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0157】
また、上述の実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について、本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0158】
DSP…表示装置
10…基板 5…リブ AP1,AP2,AP3…開口
6…隔壁 61…下部 62…上部
SP1,SP2,SP3…副画素
20,201,202,203…表示素子(有機EL素子)
LE1,LE2,LE3…下電極(アノード)
UE1,UE2,UE3…上電極(カソード)
OR1,OR2,OR3…有機層
CP1,CP2,CP3…キャップ層
SE1,SE2,SE3…封止層
100…蒸着装置 151~159…蒸着チャンバー RL…搬送レール
SUB…処理基板 CR…キャリア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20