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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001983
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】光モジュール
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/08 20060101AFI20231228BHJP
   G02B 26/10 20060101ALI20231228BHJP
   H02K 33/16 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
G02B26/08 E
G02B26/10 104Z
H02K33/16 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100883
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100177910
【弁理士】
【氏名又は名称】木津 正晴
(72)【発明者】
【氏名】井出 智行
【テーマコード(参考)】
2H045
2H141
5H633
【Fターム(参考)】
2H045AB02
2H045AB72
2H045BA12
2H045DA02
2H045DA04
2H141MA12
2H141MC05
2H141MD13
2H141MD16
2H141MD20
2H141MD23
2H141MD24
2H141MZ06
2H141MZ16
5H633BB02
5H633GG03
5H633GG08
5H633GG17
5H633HH02
5H633HH05
5H633JA03
(57)【要約】
【課題】信頼性を高めることができる光モジュールを提供する。
【解決手段】光モジュール1は、ミラーユニット2と、磁石部3と、凹部40を有するパッケージ4と、を備える。磁石部3は、第1磁石31及び第2磁石32を含む。凹部40は、磁石部3の上面3aが固定されたベース壁部41と、磁石部3の側面3sと向かい合う側壁部42と、を有する。凹部40は、側壁部42により画定されて下側に開口した開口部40aを有している。ミラーユニット2は、ベース壁部41における磁石部3が固定された第1表面41aとは反対側の第2表面41b上に配置されている。第2磁石32の第2上面32aは、第1磁石31の第1上面31aよりも下側に位置している。磁石部3は、ベース壁部41の第1表面41aと第2磁石32の第2上面32aとの間に少なくとも配置された接着材53によりベース壁部41に固定されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルが設けられた可動ミラー部を含むミラーデバイスを有するミラーユニットと、
上面及び底面と前記上面から前記底面に延びる側面とを有し、前記可動ミラー部に作用する磁界を発生させる磁石部と、
前記磁石部を収容する凹部を有するパッケージと、を備え、
前記磁石部は、第1方向に沿って並べられた第1磁石及び第2磁石を含み、
前記凹部は、第1方向に沿って延在し、前記磁石部の前記上面が固定されたベース壁部と、前記第1方向と交差する第2方向に沿って延在し、前記磁石部の前記側面と向かい合う側壁部と、を有し、
前記第2方向において前記ベース壁部に対して前記磁石部が位置する側を下側とし、前記下側とは反対側を上側とすると、前記凹部は、前記側壁部により画定されて前記下側に開口した開口部を有しており、
前記ミラーユニットは、前記ベース壁部における前記磁石部が固定された第1表面とは反対側の第2表面上に配置されており、
前記第2磁石における前記上側の表面である第2上面は、前記第1磁石における前記上側の表面である第1上面よりも前記下側に位置しており、
前記磁石部は、前記ベース壁部の前記第1表面と前記第2磁石の前記第2上面との間に少なくとも配置された第1接着材により前記ベース壁部に固定されている、光モジュール。
【請求項2】
前記磁石部は、前記第1方向において前記第1磁石に対して前記第2磁石とは反対側に配置された第3磁石を更に含み、
前記第1磁石、前記第2磁石及び前記第3磁石は、ハルバッハ配列で並べられており、前記第1磁石は、前記第1方向に沿って並ぶ磁極を有し、前記第2磁石及び前記第3磁石の各々は、前記第2方向に沿って並ぶ磁極を有している、請求項1に記載の光モジュール。
【請求項3】
前記磁石部と前記側壁部との間には、隙間が形成されている、請求項1又は2に記載の光モジュール。
【請求項4】
前記隙間は、前記第2方向から見た場合に、一の方向に沿って延在する第1部分と、前記第1部分の延在方向と交差する方向に沿って延在する第2部分と、を有している、請求項3に記載の光モジュール。
【請求項5】
前記側壁部は、第1側壁部分と、前記第1側壁部分と向かい合う第2側壁部分と、を有し、
前記隙間は、前記磁石部と前記第1側壁部分との間に形成されており、
前記第2側壁部分の厚さは、前記第1側壁部分の厚さよりも厚い、請求項3に記載の光モジュール。
【請求項6】
前記磁石部と、前記磁石部と前記第1方向において向かい合う側壁部との間には、隙間が形成されている、請求項2に記載の光モジュール。
【請求項7】
前記磁石部は、前記第2方向から見た場合に、一の角部を形成する2つの辺部を有し、前記2つの辺部の少なくとも一方は、前記側壁部から離れている、請求項1又は2に記載の光モジュール。
【請求項8】
前記側壁部には、前記磁石部の角部に対応する位置に、前記第2方向に沿って延在する溝部が形成されている、請求項1又は2に記載の光モジュール。
【請求項9】
前記ミラーユニットは、第2接着材により前記ベース壁部の前記第2表面に固定されており、
前記ミラーユニットの側面と前記ベース壁部の前記第2表面との間の境界部には、前記第2接着材によりフィレットが形成されている、請求項1又は2に記載の光モジュール。
【請求項10】
前記ミラーユニットは、第2接着材により前記ベース壁部の前記第2表面に固定されており、
前記ミラーユニットと前記ベース壁部の前記第2表面との間における前記第2接着材の厚さは、10μm以上30μm以下である、請求項1又は2に記載の光モジュール。
【請求項11】
前記ミラーユニットを外部と電気的に接続するためのワイヤを更に備え、
前記ミラーユニットは、接着材により所定の接着領域において前記ベース壁部の前記第2表面に固定されており、
前記ワイヤは、前記第2方向から見た場合に前記接着領域と重なる位置において前記ミラーユニットに接続されている、請求項1又は2に記載の光モジュール。
【請求項12】
前記ベース壁部の前記第2表面における前記ミラーユニットが配置された領域は、平坦に形成されている、請求項1又は2に記載の光モジュール。
【請求項13】
前記第2方向から見た場合に、前記ミラーユニットの外縁は、前記磁石部の外縁に対して内側に位置している、請求項1又は2に記載の光モジュール。
【請求項14】
前記側壁部は、前記磁石部の前記底面に対して前記下側に突出している、請求項1又は2に記載の光モジュール。
【請求項15】
前記第1方向における前記第2磁石の幅は、前記第1方向における前記第1磁石の幅よりも広い、請求項1又は2に記載の光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、可動ミラー部を有するミラーデバイスが磁石部上に配置された光モジュールが記載されている。この光モジュールでは、磁石部が横方向に沿って並べられた3つの磁石を含んでいる。3つの磁石は、それぞれ異なる磁気方向を有している。ミラーデバイスは、それら3つの磁石上に跨がって配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2013-508785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような磁石部は3つの磁石を接合して一体化することにより形成されるが、磁石同士が反発するため、磁石部の位置が上下方向にずれてしまい、磁石部の上面及び底面に段差部が形成されてしまうことがある。段差部が形成された磁石部の上面にミラーデバイスを配置すると、ミラーデバイスの傾きが目標角度からずれてしまうおそれがある。光モジュールには、信頼性の観点から、そのようなミラーデバイスの傾きのずれを抑制することが求められる。
【0005】
本発明は、信頼性を高めることができる光モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光モジュールは、[1]「コイルが設けられた可動ミラー部を含むミラーデバイスを有するミラーユニットと、上面及び底面と前記上面から前記底面に延びる側面とを有し、前記可動ミラー部に作用する磁界を発生させる磁石部と、前記磁石部を収容する凹部を有するパッケージと、を備え、前記磁石部は、第1方向に沿って並べられた第1磁石及び第2磁石を含み、前記凹部は、第1方向に沿って延在し、前記磁石部の前記上面が固定されたベース壁部と、前記第1方向と交差する第2方向に沿って延在し、前記磁石部の前記側面と向かい合う側壁部と、を有し、前記第2方向において前記ベース壁部に対して前記磁石部が位置する側を下側とし、前記下側とは反対側を上側とすると、前記凹部は、前記側壁部により画定されて前記下側に開口した開口部を有しており、前記ミラーユニットは、前記ベース壁部における前記磁石部が固定された第1表面とは反対側の第2表面上に配置されており、前記第2磁石における前記上側の表面である第2上面は、前記第1磁石における前記上側の表面である第1上面よりも前記下側に位置しており、前記磁石部は、前記ベース壁部の前記第1表面と前記第2磁石の前記第2上面との間に少なくとも配置された第1接着材により前記ベース壁部に固定されている、光モジュール」である。
【0007】
この光モジュールでは、パッケージの凹部内に磁石部が収容されており、凹部を画定するベース壁部の第1表面に磁石部が固定され、ベース壁部における第1表面とは反対側の第2表面上にミラーユニットが配置されている。これにより、磁石部の上面に段差部が形成されている場合でも、当該段差部の影響によりミラーユニットの傾きがずれてしまうことを抑制することができる。また、凹部が、側壁部により画定されて下側に開口した開口部を有している。これにより、磁石部を開口部から凹部内に配置することができ、磁石部の底面がパッケージと接触しない構造とすることができる。このことによっても、磁石部に形成された段差部の影響によりミラーユニットの傾きがずれてしまうことを抑制することができる。すなわち、例えばインサート成形により磁石部がパッケージ内に埋め込まれた構造の場合、磁石部の上面及び底面の段差部の影響によりパッケージの表面に凹凸が生じ、それに起因してミラーユニットの傾きがずれてしまうおそれがあるのに対し、この光モジュールでは、そのような事態の発生を抑制することができる。さらに、第2磁石の第2上面が第1磁石の第1上面よりも下側に位置しており、磁石部が、ベース壁部の第1表面と第2磁石の第2上面との間に少なくとも配置された第1接着材によりベース壁部に固定されている。これにより、例えば第1上面と第2上面とが同一平面上に位置している場合と比べて、磁石部とベース壁部との間により多くの第1接着材を配置することができ、磁石部をベース壁部に強固に固定することができる。よって、この光モジュールによれば、信頼性を高めることができる。
【0008】
本発明の光モジュールは、[2]「前記磁石部は、前記第1方向において前記第1磁石に対して前記第2磁石とは反対側に配置された第3磁石を更に含み、前記第1磁石、前記第2磁石及び前記第3磁石は、ハルバッハ配列で並べられており、前記第1磁石は、前記第1方向に沿って並ぶ磁極を有し、前記第2磁石及び前記第3磁石の各々は、前記第2方向に沿って並ぶ磁極を有している、[1]に記載の光モジュール」であってもよい。この場合、可動ミラー部の近傍における磁束密度を高めることができる。また、磁石においては磁極の並び方向における熱膨張量が磁極の並び方向に垂直な方向における熱膨張量よりも大きい。そのため、第2方向に沿って並ぶ磁極を有する第2磁石をベース壁部から離れさせる(第2磁石の第2上面を第1磁石の第1上面よりも下側に位置させる)ことにより、第2磁石の熱膨張に起因してパッケージが変形する事態の発生を抑制することができる。
【0009】
本発明の光モジュールは、[3]「前記磁石部と前記側壁部との間には、隙間が形成されている、[1]又は[2]に記載の光モジュール」であってもよい。この場合、磁石部をベース壁部に第1接着材により固定する際に、第1接着材を隙間に逃がすことができる。そのため、当該接着の際に磁石部をベース壁部に近づけることが可能となり、ひいては磁石部をミラーユニットに近づけることが可能となる。
【0010】
本発明の光モジュールは、[4]「前記隙間は、前記第2方向から見た場合に、一の方向に沿って延在する第1部分と、前記第1部分の延在方向と交差する方向に沿って延在する第2部分と、を有している、[3]に記載の光モジュール」であってもよい。この場合、上述した第1接着材を隙間に逃がすことができるとの作用効果が顕著に奏される。
【0011】
本発明の光モジュールは、[5]「前記側壁部は、第1側壁部分と、前記第1側壁部分と向かい合う第2側壁部分と、を有し、前記隙間は、前記磁石部と前記第1側壁部分との間に形成されており、前記第2側壁部分の厚さは、前記第1側壁部分の厚さよりも厚い、[3]又は「4」に記載の光モジュール」であってもよい。この場合、第1接着材を逃がすための隙間を形成しつつ、第2方向から見た場合に磁石部を中心に近い位置に配置することができる。また、本発明の光モジュールは、「前記側壁部は、第1側壁部分と交差するように延在する第3側壁部分と、前記第3側壁部分と向かい合う第4側壁部分と、を更に有し、前記隙間は、前記磁石部と前記第3側壁部分との間に形成されており、前記第4側壁部分の厚さは、前記第3側壁部分の厚さよりも厚い、[5]に記載の光モジュール」であってもよい。この場合にも、第1接着材を逃がすための隙間を形成しつつ、第2方向から見た場合に磁石部の中心をパッケージの中心に近い位置に配置することができる。
【0012】
本発明の光モジュールは、[6]「前記磁石部と、前記磁石部と前記第1方向において向かい合う側壁部との間には、隙間が形成されている、[2]に記載の光モジュール」であってもよい。上述したとおり第1磁石においては磁極の並び方向である第1方向における熱膨張量が大きくなるが、磁石部と、磁石部と第1方向において向かい合う側壁部との間に隙間が形成されていることで、磁石部の熱膨張に起因してパッケージに歪みが生じることを抑制することができる。
【0013】
本発明の光モジュールは、[7]「前記磁石部は、前記第2方向から見た場合に、一の角部を形成する2つの辺部を有し、前記2つの辺部の少なくとも一方は、前記側壁部から離れている、[1]~[6]のいずれかに記載の光モジュール」であってもよい。この場合、当該一の角部が破損することを抑制することができる。また、本発明の光モジュールは、「前記磁石部は、前記第2方向から見た場合に4つの角部を有し、前記4つの角部の各々について、前記角部を形成する2つの辺部の少なくとも一方は、前記側壁部から離れている、[1]~[7]のいずれかに記載の光モジュール」であってもよい。この場合、磁石部の角部が破損することを抑制することができる。
【0014】
本発明の光モジュールは、[8]「前記側壁部には、前記磁石部の角部に対応する位置に、前記第2方向に沿って延在する溝部が形成されている、[1]~[7]のいずれかに記載の光モジュール」であってもよい。この場合、磁石部の角部が破損することを抑制することができると共に、側壁部に対する磁石部の位置決めを容易化することができる。
【0015】
本発明の光モジュールは、[9]「前記ミラーユニットは、第2接着材により前記ベース壁部の前記第2表面に固定されており、前記ミラーユニットの側面と前記ベース壁部の前記第2表面との間の境界部には、前記第2接着材によりフィレットが形成されている、[1]~[8]のいずれかに記載の光モジュール」であってもよい。この場合、ミラーユニットをベース壁部に強固に固定することができる。
【0016】
本発明の光モジュールは、[10]「前記ミラーユニットは、第2接着材により前記ベース壁部の前記第2表面に固定されており、前記ミラーユニットと前記ベース壁部の前記第2表面との間における前記第2接着材の厚さは、10μm以上30μm以下である、[1]~[9]のいずれかに記載の光モジュール」であってもよい。例えば粘度が低い第2接着材を用いることで、第2接着材がこのような厚さに形成され得る。粘度が低い第2接着材を用いることで、ミラーデユニットの傾きのずれを一層抑制することができる。
【0017】
本発明の光モジュールは、[11]「前記ミラーユニットを外部と電気的に接続するためのワイヤを更に備え、前記ミラーユニットは、接着材により所定の接着領域において前記ベース壁部の前記第2表面に固定されており、前記ワイヤは、前記第2方向から見た場合に前記接着領域と重なる位置において前記ミラーユニットに接続されている、[1]~[10]のいずれかに記載の光モジュール」であってもよい。この場合、ワイヤを接続する際にミラーユニットが破損してしまうことを抑制することができる。また、ワイヤをミラーユニットに良好に接続することができる。
【0018】
本発明の光モジュールは、[12]「前記ベース壁部の前記第2表面における前記ミラーユニットが配置された領域は、平坦に形成されている、[1]~[11]のいずれかに記載の光モジュール」であってもよい。この場合、パッケージの強度を確保することができると共に、パッケージの変形を抑制することができる。また、平坦な領域にミラーユニットが配置されるため、ミラーユニットの傾きのずれを一層抑制することができる。
【0019】
本発明の光モジュールは、[13]「前記第2方向から見た場合に、前記ミラーユニットの外縁は、前記磁石部の外縁に対して内側に位置している、[1]~[12]のいずれかに記載の光モジュール」であってもよい。この場合、可動ミラー部に均一な磁力を作用させることができる。また、この場合、磁力が均一となる領域が広くなるため、ミラーユニットの実装位置が目標位置からずれたとしてもミラーユニットの特性に影響が及びにくくなる。
【0020】
本発明の光モジュールは、[14]「前記側壁部は、前記磁石部の前記底面に対して前記下側に突出している、[1]~[13]のいずれかに記載の光モジュール」であってもよい。この場合、磁石部をパッケージ内に確実に収容することができ、磁石部の破損等を抑制することができる。また、例えば光モジュールを搭載面上に配置する際に、段差部が形成され得る磁石部の底面ではなく、側壁部を搭載面に当接させることで、光モジュールを精度良く配置することができる。
【0021】
本発明の光モジュールは、[15]「前記第1方向における前記第2磁石の幅は、前記第1方向における前記第1磁石の幅よりも広い、[1]~[14]のいずれかに記載の光モジュール」であってもよい。この場合、第2磁石の第2上面とベース壁部との間により多くの第1接着材を配置することができ、磁石部をベース壁部に強固に固定することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、信頼性を高めることができる光モジュールを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施形態に係る光モジュールの斜視図である。
図2】ミラーデバイスの平面図である。
図3図1のIII-III線に沿っての断面図である。
図4図1のIV-IV線に沿っての断面図である。
図5】光モジュールの横断面図である。
図6】第1変形例に係る光モジュールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
[光モジュール]
【0025】
図1図4に示されるように、光モジュール1は、ミラーユニット2と、磁石部3と、パッケージ4と、を備えている。ミラーユニット2及び磁石部3はパッケージ4に固定されている。まず、図2を参照しつつ、ミラーユニット2について説明する。ミラーユニット2は、この例ではミラーデバイス10のみにより構成されているが、後述するようにミラーデバイス10が固定されるベース部材を更に備えていてもよい。以下、各図に示されるようにX方向(第1方向)、Y方向(第3方向)、Z方向(第2方向)を設定して説明する。X方向、Y方向、Z方向は互いに垂直な方向である。図1ではミラーデバイス10が簡略化して示されている。
[ミラーデバイス(ミラーユニット)]
【0026】
ミラーデバイス10は、支持部11と、支持部11に対して揺動可能な可動ミラー部12と、を有している。可動ミラー部12は、可動部13と、一対の連結部14と、ミラー15と、を有している。支持部11、可動部13及び一対の連結部14は、例えばSOI(Silicon on Insulator)基板により一体的に形成されている。つまり、ミラーデバイス10は、半導体材料を用いて形成されたMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイスである。
【0027】
支持部11は、例えば矩形枠状に形成されている。可動部13は、例えば矩形板状に形成されており、光軸方向から見た場合に支持部11の内側に配置されている(支持部11により囲まれている)。光軸方向は、支持部11及び可動ミラー部12が配置される平面に垂直な方向であり、この例ではミラー15に垂直な方向である。この例では光軸方向はZ方向と平行である。可動部13は、軸線A周りに揺動可能となるように、一対の連結部14により支持部11に連結されている。軸線Aは、この例ではY方向と平行である。
【0028】
可動部13は、第1部分131と、第2部分132と、を含んでいる。第1部分131は、光軸方向から見た場合に、例えば円形状に形成されている。第2部分132は、光軸方向から見た場合に、例えば矩形環状に形成されている。第1部分131は、光軸方向から見た場合に第2部分132の内側に配置されており(第2部分132により囲まれており)、複数(この例では2つ)の接続部分133を介して第2部分132と接続されている。第1部分131と第2部分132との間には、複数の接続部分133を除いて隙間が形成されている。接続部分133は、例えば、第2部分132の矩形状の内縁のうち軸線Aと平行な2辺の中央部に位置している。
【0029】
一対の連結部14は、支持部11と可動部13との間の隙間において、可動部13を挟むように軸線A上に配置されている。各連結部14は、この例では長方形板状に形成されて軸線Aに沿って延在している。各連結部14は、トーションバーとして機能する。
【0030】
ミラー15は、可動部13の第1部分131に設けられている。ミラー15は、光軸方向における第1部分131の一方側の表面に形成されている。ミラー15は、例えば、アルミニウム、アルミニウム系合金、金又は銀等の金属材料により、円形、楕円形又は矩形の膜状に形成されている。ミラー15における可動部13とは反対側の表面は、光軸方向と垂直に延在するミラー面15aを構成している。ミラー15の中心は、光軸方向から見た場合に、第1部分131の中心(ミラーデバイス10の中心)に一致している。ミラーデバイス10では、複数の接続部分133を介して第2部分132と接続された第1部分131にミラー15が設けられているため、可動部13が共振周波数レベルで軸線A周りに揺動する場合でも、ミラー15に撓み等の変形が生じることを抑制することができる。
【0031】
さらに、ミラーデバイス10は、コイル16と、複数(この例では3つ)の電極パッド17と、を有している。コイル16は、可動部13の第2部分132に設けられている。コイル16は、光軸方向から見た場合に、ミラー15の外側の領域(すなわち、第2部分132)においてスパイラル状(渦巻き状)に複数回巻かれている。コイル16には、磁石部3により発生させられる磁界が作用する。
【0032】
コイル16は、例えば、銅等の金属材料からなり、可動部13の表面に形成された溝内に配置されている。つまり、コイル16は、可動部13に埋め込まれている。コイル16の一端は、配線(図示省略)を介して一の電極パッド17に接続されており、コイル16の他端は、配線(図示省略)を介して他の電極パッド17に接続されている。各電極パッド17には、ミラーデバイス10を外部と電気的に接続するためのワイヤ18が接続されている。ワイヤ18の一端は電極パッド17に接続されており、ワイヤ18の他端は外部機器(例えば電源装置等)に接続されている。残りの電極パッド17はミラーデバイス10が備える他の電気要素に電気的に接続されている。
【0033】
ミラーデバイス10の駆動方法の例を説明する。一例として、コイル16に高周波数の駆動電流が印加される。このとき、コイル16には、磁石部3により発生させられた磁界が作用しているため、コイル16にローレンツ力が発生する。これにより、可動部13が、例えば、共振周波数レベルで軸線A周りに揺動させられる。このようにミラーデバイス10を駆動することにより、所定の光源からの光をミラー15(ミラー面15a)により反射させて走査することができる。別例として、コイル16に一定の大きさの駆動電流が印加されてもよい。この場合、可動部13は、駆動電流の大きさに応じて軸線A周りに回転し、所定の回転角度で停止する。このように、可動部13は静的に駆動されてもよい(リニア駆動)。
[磁石部]
【0034】
図1,3,4を参照しつつ、磁石部3について説明する。磁石部3は、可動ミラー部12(コイル16)に作用する磁界を発生させる。磁石部3は、パッケージ4内に形成された凹部40内に配置されている。以下、後述するパッケージ4のベース壁部41に対して磁石部3が位置する側を「下側」とし、下側とは反対側(磁石部3に対してベース壁部41が位置する側)を「上側」として説明する。これらの「上側」及び「下側」は図1,3,4における下側及び上側と一致している。これらの「上側」及び「下側」は説明の便宜上設定されたものであり、光モジュール1の使用態様を限定するものではない。例えば、光モジュール1は、設定された「上側」が鉛直下側を向いた状態で用いられてもよいし、或いは設定された「上側」が水平方向を向いた状態で用いられてもよい。
【0035】
磁石部3は、上面3aと、上面3aとは反対側の底面3bと、上面3aから底面3bに延びて上面3a及び底面3bに接続された側面3sと、を有している。磁石部3は、例えば略直方体状に形成されている。したがって、この例では、上面3a及び底面3bは互いに略平行に延在しており、側面3sは四角形環状に配置された4つの表面を含んでいる。
【0036】
磁石部3は、X方向(第1方向)に沿って並べられた複数の磁石を含んでいる。この例では、磁石部3は、第1磁石31(中央磁石)と、第1磁石31を挟むように配置された第2磁石32及び第3磁石33と、を含んでいる。すなわち、第3磁石33は、X方向において第1磁石31に対して第2磁石32とは反対側に配置されている。第1磁石31は第2磁石32及び第3磁石33に接着されており、第1磁石31、第2磁石32及び第3磁石33は一体化されている。第1磁石31、第2磁石32及び第3磁石33は、接着に限らず、プラズマ接合や熱接合等により一体化されていてもよいし、樹脂材料を用いたインサート成形により一体化されていてもよい。磁石部3は、上述したとおりパッケージ4の凹部40内に配置される。第1磁石31、第2磁石32及び第3磁石33は、一体化された後に凹部40内に配置されてもよい。あるいは、一体化される前の第1磁石31、第2磁石32及び第3磁石33が順に凹部40内に配置され、凹部40内において第1磁石31、第2磁石32及び第3磁石33が一体化されてもよい。
【0037】
第1磁石31、第2磁石32及び第3磁石33の各々は、直方体状に形成された永久磁石である。X方向における第1磁石31の幅W1は、X方向における第2磁石32の幅W2及びX方向における第3磁石33の幅W3よりも広い。この例では幅W2は幅W3と等しい。この例では、Z方向(第2方向)における第1磁石31の長さは、Z方向における第2磁石32の長さ及び第3磁石33の長さよりも長い。Z方向(第2方向)はX方向(第1方向)に垂直な方向である。上述した「上側」及び「下側」はZ方向における一方側及び他方側である。なお、本明細書において、或る方向Aにおける或る要素Bの長さ(幅、厚さ)とは、方向Aにおける要素Bの最大長さ(最大幅、最大厚さ)を意味する。
【0038】
第1磁石31は、第1上面31a及び第1底面31bを有し、第2磁石32は、第2上面32a及び第2底面32bを有し、第3磁石33は、第3上面33a及び第3底面33bを有している。第1上面31a、第2上面32a及び第3上面33aは、それぞれ、第1磁石31、第2磁石32及び第3磁石33における上側の表面であり、第1底面31b、第2底面32b及び第3底面33bは、それぞれ、第1磁石31、第2磁石32及び第3磁石33における下側の表面である。第1上面31a、第2上面32a及び第3上面33aは、磁石部3における上側の表面である上面3aを形成しており、第1底面31b、第2底面32b及び第3底面33bは、磁石部3における下側の表面である底面3bを形成している。この例では、第1上面31a、第2上面32a、第3上面33a、第1底面31b、第2底面32b及び第3底面33bの各々は、Z方向と垂直な平坦面である。
【0039】
磁石部3の上面3aには段差部35が形成されている。具体的には、第1磁石31の第1上面31aは、第2磁石32の第2上面32a及び第3磁石33の第3上面33aよりも上側に位置している(第2上面32a及び第3上面33aに対して上側に突出している)。すなわち、第2上面32a及び第3上面33aは、第1上面31aよりも下側に位置している。これにより、第1上面31aと第2上面32aとの間、及び第1上面31aと第3上面33aとの間に段差部35が形成されている。すなわち、段差部35は、第1上面31aと第2上面32a,第3上面33aとの間のZ方向における位置の違いにより形成されている。この例では、第2上面32a及び第3上面33aは同一平面上に位置している。
【0040】
磁石部3の底面3bには段差部36が形成されている。具体的には、第1磁石31の第1底面31bは、第2磁石32の第2底面32b及び第3磁石33の第3底面33bよりも下側に位置している(第2底面32b及び第3底面33bに対して下側に突出している)。すなわち、第2底面32b及び第3底面33bは、第1底面31bよりも上側に位置している。これにより、第1底面31bと第2底面32bとの間、及び第1底面31bと第3底面33bとの間に段差部36が形成されている。すなわち、段差部36は、第1底面31bと第2底面32b,第3底面33bとの間のZ方向における位置の違いにより形成されている。この例では、第2底面32b及び第3底面33bは同一平面下に位置している。
【0041】
第1磁石31、第2磁石32及び第3磁石33は、ハルバッハ配列で並べられている。すなわち、第1磁石31、第2磁石32及び第3磁石33は、各々が有する2つの磁極がハルバッハ配列で配列されるように並べられている。より具体的には、例えば、第2磁石32は、その第1磁極(例えばN極)が底面3b側(第2底面32b側)に位置し、且つ、その第2磁極(例えばS極)が上面3a側(第2上面32a側)に位置するように配置されている。第3磁石33は、第2磁石32とは逆向きに磁極が並ぶように配置されている。すなわち、第3磁石33は、その第1磁極が上面3a側(第3上面33a側)に位置し、且つ、その第2磁極が底面3b側(第3底面33b側)に位置するように配置されている。一方、第1磁石31は、第3磁石33側に第1磁極が位置し、且つ、第2磁石32側に第2磁極が位置するように配置されている。このように、第1磁石31は、X方向に沿って並ぶ磁極を有し、第2磁石32及び第3磁石33は、Z方向に沿って並ぶ磁極を有している。換言すれば、第1磁石31はX方向に磁化されており、第2磁石32及び第3磁石33は、Z方向に磁化されている。図3及び図4には、第1磁石31、第2磁石32及び第3磁石33において第1磁極から第2磁極に向かう方向が矢印で示されている。
[パッケージ]
【0042】
図1,3~5を参照しつつ、パッケージ4について説明する。パッケージ4は、例えば樹脂材料により形成されており、磁石部3を収容する凹部40を有している。凹部40は、ベース壁部41及び側壁部42により画定され、略直方体状に形成されている。ベース壁部41の第1表面41aには磁石部3が固定されており、ベース壁部41の第2表面41bにはミラーデバイス10が固定されている。Z方向において磁石部3はベース壁部41に対して下側に位置しており、Z方向においてミラーデバイス10はベース壁部41に対して上側に位置している。
【0043】
ベース壁部41は、例えば長方形板状に形成されており、X方向に沿って(Z方向と交差するように)延在している。ベース壁部41は、第1表面41aと、第1表面41aとは反対側の第2表面41bと、を有している。第1表面41aは、下側を向いた表面であり、パッケージ4の内部において凹部40を画定している。第2表面41bは、上側を向いた表面であり、パッケージ4の外部に露出している。第1表面41a及び第2表面41bは、この例では互いに平行な長方形状の平坦面である。
【0044】
ベース壁部41の第2表面41bには、ミラーデバイス10が固定されている。この例では、ミラーデバイス10は、支持部11において接着材51(第2接着材)により第2表面41bに固定されている。より具体的には、ミラーデバイス10は所定の接着領域Rにおいて第2表面41bに固定されている。接着領域Rは、この例では、Z方向から見た場合に支持部11(ミラーデバイス10)の4つの隅部11aと重なるように設定されている。すなわち、この例では、ミラーデバイス10は、支持部11の4つの隅部11aにおいて第2表面41bに接着されており、4つの隅部11a以外の部分においては第2表面41bに接着されていない。上述したとおり、この例では、第2表面41bの全体が平坦に形成されている。したがって、第2表面41bにおけるミラーデバイス10が配置された領域(Z方向においてミラーデバイス10と重なる領域)は、平坦に形成されている。接着領域Rの位置は、Z方向から見た場合に支持部11の4つの隅部11aと重なる位置に限られず、任意の位置に設定されてよい。
【0045】
上述したようにミラーデバイス10には複数(この例では3本)のワイヤ18が接続されている。各ワイヤ18は、Z方向から見た場合に接着領域Rと重なる位置においてミラーデバイス10(電極パッド17)に接続されている。換言すれば、電極パッド17は、ミラーデバイス10においてZ方向から見た場合に接着領域Rと重なる位置に設けられている。
【0046】
図3に示されるように、ミラーデバイス10の側面10a(支持部11の側面)と第2表面41bとの間の境界部には、接着材51によりフィレット52(第2フィレット)が形成されている。フィレット52は、ミラーデバイス10の接着時に接着材51がミラーデバイス10と第2表面41bとの間から外側にはみ出すことにより形成されている。ミラーデバイス10と第2表面41bとの間における接着材51の厚さは、10μm以上30μm以下である。例えば粘度が低い接着材51を用いることで、接着材51をこのような厚さに形成することができる。このような接着材51としては、例えばAgペースト、又はシリコーン系、エポキシ系、アクリレート系の材料からなる接着材等が挙げられる。フィレット52は、少なくともミラーデバイス10の側面10aと第2表面41bとの間の境界部に形成されていればよく、例えばZ方向において側面10aの全体と接触するように形成されていてもよい。
【0047】
ベース壁部41の第1表面41aには、凹部40内に収容された磁石部3が固定されている。この例では、磁石部3は、上面3aにおいて接着材53(第1接着材)により第1表面41aに固定されている。接着材53は、この例では、上面3aの全体と第1表面41aとの間に配置されている。すなわち、接着材53は、第1磁石31の第1上面31a、第2磁石32の第2上面32a、及び第3磁石33の第3上面33aの各々と第1表面41aとの間に配置されている。上述したとおり、この例では、第1上面31aは、第2上面32a及び第3上面33aよりも上側に位置している。換言すれば、第2上面32a及び第3上面33aは、第1上面31aよりも下側に位置している。したがって、第2上面32a及び第3上面33aと第1表面41aとの間には、第1上面31aと第1表面41aとの間と比べて、Z方向における厚さが大きな隙間が形成されている。この例では、当該隙間の全体に接着材53が配置(充填)されている。その結果、第2上面32a及び第3上面33aと第1表面41aとの間には、第1上面31aと第1表面41aとの間と比べて、より多くの接着材53が配置されている。
【0048】
図3及び図4に示されるように、第2磁石32の側面32c(磁石部3の側面)と第1表面41aとの間の境界部には、接着材53によりフィレット54(第1フィレット)が形成されている。フィレット54は、磁石部3の接着時に接着材53が磁石部3と第1表面41aとの間から外側にはみ出すことにより形成されている。接着材53としては、例えば接着材51と同一の接着材を用いることができる。
【0049】
図3及び図4に示されるように、X方向におけるミラーデバイス10の幅W5は、X方向における磁石部3の幅W4よりも狭い。同様に、Y方向におけるミラーデバイス10の幅は、Y方向における磁石部3の幅よりも狭い。Y方向(第3方向)は、X方向(第1方向)及びZ方向(第2方向)の両方に垂直な方向である。そして、ミラーデバイス10及び磁石部3は、Z方向から見た場合にミラーデバイス10の外縁が磁石部3の外縁に対して内側に位置するように、配置されている。この例では、X方向における第1磁石31の幅W1は、X方向における可動ミラー部12の幅W6よりも広い(図4)。Z方向から見た場合に、可動ミラー部12の外縁は、第1磁石31の外縁に対して内側に位置している。
【0050】
側壁部42は、例えば長方形枠状に形成されており、Z方向に沿ってベース壁部41と垂直に延在している。側壁部42は、第1側壁部分421、第2側壁部分422、第3側壁部分423及び第4側壁部分424を有している。第1側壁部分421はX方向において磁石部3を介して第2側壁部分422と向かい合っており、第3側壁部分423はY方向において磁石部3を介して第4側壁部分424と向かい合っている。第3側壁部分423及び第4側壁部分424は、第1側壁部分421及び第2側壁部分422と交差するように(この例では第1側壁部分421及び第2側壁部分422と垂直に)延在している。各側壁部分421~424は、長方形状に形成されている。側壁部分421~424は、磁石部3の側面3sと向かい合っており、Z方向から見た場合に磁石部3を囲んでいる。
【0051】
図5に示されるように、第2側壁部分422の厚さT2は、第1側壁部分421の厚さT1よりも厚く、第4側壁部分424の厚さT4は、第3側壁部分423の厚さT3よりも厚い。この例では、厚さT2は厚さT4と等しく、厚さT1は厚さT3と等しい。側壁部分421~424に関して、側壁部分の厚さとは、側壁部分の延在方向(Z方向)に垂直な方向における厚さである。この例では、厚さT1,T4は、X方向における厚さであり、厚さT2,T3は、Y方向における厚さである。この例では各側壁部分421~424の厚さはZ方向に関して一定であるが、側壁部分の厚さはZ方向に関して一定でなくてもよい(変化していてもよい)。この場合、側壁部分の厚さとは、厚さが最大になる位置での厚さ(最大厚さ)である。
【0052】
図3及び図4に示されるように、側壁部42における下側の端部42aは、下側に開口した凹部40の開口部40aを画定している。より具体的には、端部42aの内縁により開口部40aが画定されている。この例では、側壁部分421~424により長方形状の開口部40aが画定されている。これにより、磁石部3をベース壁部41に固定する際に、磁石部3を開口部40aから凹部40内に配置することができる。また、光モジュール1では、磁石部3の下側が開放されており、磁石部3の底面3bがパッケージ4と接触しない構造となっている。すなわち、Z方向から見た場合に、側壁部42は磁石部3に対して外側に位置しており、磁石部3と重なっていない。
【0053】
光モジュール1では、側壁部42が磁石部3の底面3bに対して下側に突出している。すなわち、側壁部42における下側(ベース壁部41とは反対側)の端面42bが、磁石部3の底面3bよりも下側に位置している。この例では、端面42bはZ方向と垂直な平坦面である。図4に示されるように、光モジュール1では、Z方向における側壁部42の長さL1がZ方向における磁石部3の長さL2(最大長さ)よりも長く、その結果、側壁部42が磁石部3の底面3bに対して下側に突出している。この例では、長さL2は第1磁石31の第1上面31aと第1底面31bとの間の距離である。
【0054】
図5に示されるように、この例では、磁石部3の側面3sは、第2側壁部分422及び第4側壁部分424に接触しており、第1側壁部分421及び第3側壁部分423には接触していない(第1側壁部分421及び第3側壁部分423から離れている)。これにより、磁石部3と第1側壁部分421及び第3側壁部分423との間には隙間60が形成されている。隙間60は、磁石部3をベース壁部41に接着材53により固定する際に、磁石部3とベース壁部41との間からはみ出した接着材53を逃がすための空間として用いられ得る。すなわち、隙間60の一部又は全部に接着材53が充填されていてもよい。
【0055】
隙間60は、磁石部3と第1側壁部分421との間に形成された第1部分61と、磁石部3と第3側壁部分423との間に形成された第2部分62と、を有している。第1部分61は、Z方向から見た場合にY方向に沿って延在する部分であり、第2部分62は、Z方向から見た場合にX方向(第1部分61の延在方向と交差する方向)に沿って延在する部分である。この例では、第1部分61の幅(X方向における幅)は、第2部分62の幅(Y方向における幅)よりも広い。隙間60は、Z方向から見た場合に、全体としてL字状に形成されている。
【0056】
この例では、磁石部3は、Z方向から見た場合に磁石部3の中心C1がパッケージ4の中心C2と一致するように、凹部40内に配置されている。上述したとおり、第2側壁部分422の厚さT2は、第1側壁部分421の厚さT1よりも厚く、第4側壁部分424の厚さT4は、第3側壁部分423の厚さT3よりも厚い。例えば、厚さT2,T1の差は隙間60の第1部分61の幅と等しく、厚さT4,T3の差は隙間60の第2部分62の幅と等しい。これにより、磁石部3と第1側壁部分421及び第3側壁部分423との間に隙間60を形成しつつ、Z方向から見た場合に磁石部3の中心C1をパッケージ4の中心C2と一致させることが可能となっている。
【0057】
磁石部3は、Z方向から見た場合に4つの角部P1,P2,P3,P4を有している。側壁部42には、角部P3に対応する位置に、Z方向に沿って延在する溝部45が形成されている。溝部45は、この例では第2側壁部分422と第4側壁部分424との間の境界部分に形成されている。溝部45は、例えば、Z方向に垂直な断面において中心角が270°の扇形状に形成されており、Z方向において側壁部42の全体にわたって延在している。溝部45が形成されていることにより、角部P3は側壁部42に接触していない(側壁部42から離れている)。
【0058】
この例では、4つの角部P1~P4の各々について、角部を形成する2つの辺部の少なくとも一方が側壁部42から離れている。すなわち、角部P3については、上述したとおり、溝部45が形成されていることにより、角部P3を構成する2つの辺部P3a,P3bの両方が側壁部42から離れている。角部P1については、隙間60が形成されていることにより、角部P1を構成する2つの辺部P1a,P1bの両方が側壁部42(第1側壁部分421及び第3側壁部分423)から離れている。角部P2については、隙間60の第2部分62が形成されていることにより、角部P2を構成する2つの辺部P2a,P2bの一方である辺部P2aが側壁部42(第3側壁部分423)から離れている。角部P4については、隙間60の第1部分61が形成されていることにより、角部P4を構成する2つの辺部P4a,P4bの一方である辺部P4bが側壁部42(第1側壁部分421)から離れている。
[作用及び効果]
【0059】
光モジュール1では、パッケージ4の凹部40内に磁石部3が収容されており、凹部40を画定するベース壁部41の第1表面41aに磁石部3が固定され、ベース壁部41における第1表面41aとは反対側の第2表面41b上にミラーデバイス10(ミラーユニット2)が配置されている。すなわち、ベース壁部41において磁石部3の実装面とミラーデバイス10の実装面とが裏表の関係を有している。これにより、磁石部3の上面3aに段差部35が形成されている場合でも、当該段差部35の影響によりミラーデバイス10の傾きがずれてしまうことを抑制することができる。また、凹部40が、側壁部42により画定されて下側に開口した開口部40aを有している。これにより、磁石部3を開口部40aから凹部40内に配置することができ、磁石部3の底面3bがパッケージ4と接触しない構造とすることができる。このことによっても、磁石部3に形成された段差部35,36の影響によりミラーデバイス10の傾きがずれてしまうことを抑制することができる。すなわち、例えばインサート成形により磁石部3がパッケージ4内に埋め込まれた構造の場合、磁石部3の上面3aの段差部35及び底面3bの段差部36の影響によりパッケージ4の表面に凹凸が生じ、それに起因してミラーデバイス10の傾きがずれてしまうおそれがあるのに対し、光モジュール1では、そのような事態の発生を抑制することができる。さらに、第2磁石32の第2上面32aが第1磁石31の第1上面31aよりも下側に位置しており、磁石部3が、ベース壁部41の第1表面41aと第2磁石32の第2上面32aとの間に配置された接着材53(第1接着材)によりベース壁部41に固定されている。これにより、例えば第1上面31aと第2上面32aとが同一平面上に位置している場合と比べて、磁石部3とベース壁部41との間により多くの接着材53を配置することができ、磁石部3をベース壁部41に強固に固定することができる。よって、光モジュール1によれば、信頼性を高めることができる。
【0060】
第1磁石31、第2磁石32及び第3磁石33が、ハルバッハ配列で並べられており、第1磁石31が、X方向(第1方向)に沿って並ぶ磁極を有し、第2磁石32及び第3磁石33の各々が、Z方向(第2方向)に沿って並ぶ磁極を有している。これにより、可動ミラー部12の近傍における磁束密度を高めることができる。また、磁石においては磁極の並び方向(磁化方向)における熱膨張量が磁極の並び方向に垂直な方向における熱膨張量よりも大きい。そのため、Z方向に沿って並ぶ磁極を有する第2磁石32をベース壁部41から離れさせる(第2磁石32の第2上面32aを第1磁石31の第1上面31aよりも下側に位置させる)ことにより、第2磁石32の熱膨張に起因してパッケージ4が変形する事態の発生を抑制することができる。
【0061】
磁石部3と側壁部42との間に隙間60が形成されている。これにより、磁石部3をベース壁部41に接着材53により固定する際に、接着材53を隙間60に逃がすことができる。そのため、当該接着の際に磁石部3をベース壁部41に近づけることが可能となり、ひいては磁石部3をミラーデバイス10に近づけることが可能となる。
【0062】
隙間60が、Z方向から見た場合に、一の方向(Y方向)に沿って延在する第1部分61と、第1部分61の延在方向と交差(直交)する方向(X方向)に沿って延在する第2部分62と、を有している。これにより、上述した接着材53を隙間60に逃がすことができるとの作用効果が顕著に奏される。また、上述したとおり、第1磁石31においては磁極の並び方向であるX方向(第1方向)における熱膨張量が大きくなるが、磁石部3と、X方向において磁石部3と向かい合う側壁部42(第1側壁部分421)との間に隙間60(第1部分61)が形成されていることで、磁石部3の熱膨張に起因してパッケージ4に歪みが生じることを抑制することができる。
【0063】
側壁部42が、第1側壁部分421と、第1側壁部分421と向かい合う第2側壁部分422と、を有し、隙間60が、磁石部3と第1側壁部分421との間に形成された第1部分61を有し、第2側壁部分422の厚さT2が第1側壁部分421の厚さT1よりも厚い。これにより、接着材53を逃がすための隙間60を形成しつつ、Z方向から見た場合に磁石部3の中心C1をパッケージ4の中心C2に近い位置に配置することができる。また、側壁部42が、第1側壁部分421と交差するように延在する第3側壁部分423と、第3側壁部分423と向かい合う第4側壁部分424と、を有し、隙間60が、磁石部3と第3側壁部分423との間に形成された第2部分62を有し、第4側壁部分424の厚さT4が、第3側壁部分423の厚さT3よりも厚い。このことによっても、接着材53を逃がすための隙間60を形成しつつ、Z方向から見た場合に磁石部3の中心C1をパッケージ4の中心C2に近い位置に配置することができる。
【0064】
磁石部3と、磁石部3とX方向において向かい合う側壁部42(第1側壁部分421)との間に、隙間60(第1部分61)が形成されている。上述したとおり第1磁石31においては磁極の並び方向であるX方向における熱膨張量が大きくなるが、磁石部3と、磁石部3とX方向において向かい合う側壁部42との間に隙間60が形成されていることで、磁石部3の熱膨張に起因してパッケージ4に歪みが生じることを抑制することができる。
【0065】
磁石部3の一の角部(角部P1,P2,P3又はP4)を形成する2つの辺部(辺部P1a,P1b、辺部P2a,P2b、辺部P3a,P3b、又は辺部P4a,P4b)の少なくとも一方が、側壁部42から離れている。これにより、当該一の角部が破損することを抑制することができる。また、光モジュール1では、4つの角部P1~P4の各々について、角部を形成する2つの辺部の少なくとも一方が、側壁部42から離れている。これにより、磁石部3の角部P1~P4が破損することを抑制することができる。
【0066】
側壁部42には、磁石部3の角部P3に対応する位置に、Z方向に沿って延在する溝部45が形成されている。これにより、磁石部3の角部P3が破損することを抑制することができると共に、側壁部42に対する磁石部3の位置決めを容易化することができる。
【0067】
ミラーデバイス10が接着材51(第2接着材)によりベース壁部41の第2表面41bに固定されており、ミラーデバイス10の側面10aとベース壁部41の第2表面41bとの間の境界部には、接着材51によりフィレット52が形成されている。これにより、ミラーデバイス10をベース壁部41に強固に固定することができる。
【0068】
ミラーデバイス10とベース壁部41の第2表面41bとの間における接着材51の厚さが、10μm以上30μm以下である。例えば粘度が低い接着材51を用いることで、接着材51がこのような厚さに形成され得る。粘度が低い接着材51を用いることで、ミラーデバイス10の傾きのずれを一層抑制することができる。
【0069】
光モジュール1が、ミラーデバイス10を外部と電気的に接続するためのワイヤ18を備え、ミラーデバイス10が、接着材51により所定の接着領域Rにおいてベース壁部41の第2表面41bに固定されており、ワイヤ18が、Z方向から見た場合に接着領域Rと重なる位置においてミラーデバイス10に接続されている。この場合、ワイヤ18を接続する際にミラーデバイス10が破損してしまうことを抑制することができる。また、ワイヤ18をミラーデバイス10に良好に接続することができる。すなわち、接着領域Rと重ならない位置においてワイヤ18をミラーデバイス10に接続すると、ミラーデバイス10と第2表面41bとの間に空洞が存在することで、ワイヤ18をミラーデバイス10に接続させにくく、ワイヤ18とミラーデバイス10との間の接続強度が低下するおそれがある。対して、実施形態の光モジュール1では、ワイヤ18を接着領域Rと重なる位置においてミラーデバイス10に接続するため、そのような事態を抑制することができ、ワイヤ18をミラーデバイス10に良好に接続することができる。
【0070】
ベース壁部41の第2表面41bにおけるミラーデバイス10が配置された領域が、平坦に形成されている。これにより、例えば当該領域に凹部が形成されている場合と比べて、パッケージ4の強度を確保することができると共に、パッケージ4の変形を抑制することができる。また、平坦な領域にミラーデバイス10が配置されるため、ミラーデバイス10の傾きのずれを一層抑制することができる。
【0071】
Z方向から見た場合に、ミラーデバイス10の外縁が、磁石部3の外縁に対して内側に位置している。これにより、可動ミラー部12に均一な磁力を作用させることができる。
【0072】
側壁部42が、磁石部3の底面3bに対して下側に突出している。これにより、磁石部3をパッケージ4内に確実に収容することができ、磁石部3の破損等を抑制することができる。また、例えば光モジュール1をステージの搭載面上に配置する際に、段差部35が形成され得る磁石部3の底面3bではなく、側壁部42を搭載面に当接させることで、光モジュール1をステージ上に精度良く配置することができる。
[変形例]
【0073】
図6に示される第1変形例では、第1磁石31の第1上面31aが、第2磁石32の第2上面32a及び第3磁石33の第3上面33aよりも下側に位置している。すなわち、第2上面32a及び第3上面33aが、第1上面31aよりも上側に位置している。これにより、第1変形例においても、第1上面31aと第2上面32aとの間、及び第1上面31aと第3上面33aとの間に段差部35が形成されている。第1変形例においても、上記実施形態と同様に、接着材53は、磁石部3の上面3aの全体とベース壁部41の第1表面41aとの間に配置されている。すなわち、接着材53は、第1上面31a、第2上面32a及び第3上面33aの各々と第1表面41aとの間に配置されている。第1変形例では、第1上面31aと第1表面41aとの間に、第2上面32a及び第3上面33aと第1表面41aとの間と比べて、Z方向における厚さが大きな隙間が形成されており、当該隙間の全体に接着材53が配置(充填)されている。その結果、第1上面31aと第1表面41aとの間には、第2上面32a及び第3上面33aと第1表面41aとの間と比べて、より多くの接着材53が配置されている。このような第1変形例によっても、上記実施形態と同様に、信頼性を高めることができる。また、第1変形例では、上記実施形態と同様に、X方向における第1磁石31の幅W1が、X方向における第2磁石32の幅W2及びX方向における第3磁石33の幅W3よりも広い。そして、幅広に形成された第1磁石31の第1上面31aとベース壁部41の第1表面41aとの間に接着材53が配置されている。これにより、第1磁石31の第1上面31aとベース壁部41との間により多くの接着材53を配置することができ、磁石部3をベース壁部41に強固に固定することができる。
【0074】
本発明は、上記実施形態及び変形例に限られない。例えば、各構成の材料及び形状には、上述した材料及び形状に限らず、様々な材料及び形状を採用することができる。例えば、可動部13の外形状は、矩形状に限られず、円形状、楕円形状、多角形状等の任意の形状であってよい。上記実施形態においてミラー15は光を回折及び反射させる回折格子として構成されていてもよい。この場合、例えばミラー15は所定の回折格子パターンに沿って形成されていてもよい。
【0075】
上記実施形態のミラーデバイス10では可動部13が1つの軸線(軸線A)周りに揺動可能に構成されていたが、可動部13が2つの軸線周りに揺動可能に構成されていてもよい。この場合、例えば、可動部13が、第1可動部と、第1可動部を囲む枠状の第2可動部と、を有する。ミラー15は第1可動部に設けられる。軸線Aに沿って延在する一対の連結部14により第2可動部が支持部11に連結され、軸線Aと垂直な軸線に沿って延在する他の一対の連結部により第1可動部が第2可動部に連結される。これにより、第2可動部が軸線A周りに回転可能となり、第1可動部が軸線Aに垂直な軸線周りに回転可能となる。その結果、ミラー15(第1可動部)を2つの軸線周りに揺動させることが可能となる。この場合、第1可動部及び第2可動部の両方が静的に揺動させられてもよいし、又は、第1可動部は共振周波数レベルで揺動させられ、第2可動部は静的に揺動させられてもよい。或いは、上記実施形態のミラーデバイス10では可動ミラー部12が軸線周りに揺動可能となっていたが、可動ミラー部12は光軸方向(ミラー15と交差する方向)に沿って往復移動可能となるように構成されていてもよい。
【0076】
上記実施形態ではミラーユニット2がミラーデバイス10のみにより構成されていたが、ミラーユニット2は、ミラーデバイス10が固定されるベース部材を更に備えていてもよい。ベース部材は例えば配線基板であり、ミラーデバイス10を支持する支持部材としても機能する。この場合、ベース部材はミラーデバイス10とパッケージ4のベース壁部41との間に配置され、ミラーユニット2はベース部材においてベース壁部41の第2表面41bに固定される。ミラーユニット2がベース部材を備える場合、ワイヤ18はベース部材に接続されてもよい。この場合にも、上記実施形態と同様に、ベース部材が接着材によりベース壁部41の第2表面41bに固定された領域を接着領域とすると、ワイヤ18は、Z方向から見た場合に接着領域と重なる位置においてベース部材に接続されていてもよい。この場合、ワイヤ18を接続する際にミラーユニット2(ベース部材)が破損してしまうことを抑制することができると共に、ワイヤ18をミラーユニット2(ベース部材)に良好に接続することができる。
【0077】
上記実施形態において、接着材53は、第2磁石32の第2上面32a及び第3磁石33の第3上面33aの少なくとも一方とベース壁部41の第1表面41aとの間に配置されていればよく、第1磁石31の第1上面31aと第1表面41aとの間には配置されていなくてもよい。上記第1変形例において、接着材53は、第1上面31aと第1表面41aとの間に配置されていればよく、第2上面32a及び第3上面33aと第1表面41aとの間には配置されていなくてもよい。
【0078】
磁石部3の側面3sは、全周にわたって側壁部42から離れていてもよい。この場合、磁石部3と側壁部42との間に全周にわたって隙間60が形成される。この場合、磁石部3の4つの角部P1~P4の各々について、角部を形成する2つの辺部の両方が側壁部42から離れる。上記実施形態において、隙間60は、第1部分61及び第2部分62の少なくとも一方を有していなくてもよい。隙間60は形成されていなくてもよく、磁石部3の側面3sが全周にわたって側壁部42に接触していてもよい。溝部45は形成されていなくてもよい。フィレット52,54のいずれか又は両方は形成されていなくてもよい。ミラーデバイス10とベース壁部41の第2表面41bとの間における接着材51の厚さは、10μm以上30μm以下に限られない。磁石部3の4つの角部P1~P4のいずれか又はすべてにおいて、角部を構成する2つの辺部の両方が側壁部42に接触していてもよい。上記実施形態では隙間60の第1部分61と第2部分62とが繋がっていたが、第1部分61と第2部分62とは互いに分離されていてもよい。例えば、側壁部42から突出した突出部、又は第1磁石31、第2磁石32若しくは第3磁石33により、第1部分61と第2部分62とが互いに隔てられていてもよい。ただし、上記実施形態のように第1部分61と第2部分62とが繋がっている場合、接着材53を均等に逃がすことが可能となる。
【0079】
第1磁石31の幅W1は、第2磁石32の幅W2及び第3磁石33の幅W3よりも狭くてもよい。すなわち、第2磁石32の幅W2及び第3磁石33の幅W3は、第1磁石31の幅W1よりも広くてもよい。側壁部分421~424の厚さT1~T4は互いに等しくてもよい。上記実施形態では磁石部3がX方向(第1方向)に沿って並べられた複数の磁石(第1磁石31、第2磁石32及び第3磁石33)を含んでいたが、第1磁石31、第2磁石32及び第3磁石33の並び方向は任意の方向であってよく、例えばY方向であってもよい。側壁部42は、端部42aからXY平面に沿って(Z方向と交差する方向に沿って)延在する部分を含んでいてもよい。この部分は、Z方向から見た場合に磁石部3と重ならないように(磁石部3に対して外側に位置するように)設けられる。
【0080】
ミラーデバイス10はワイヤ18以外の手段により外部と電気的に接続されていてもよく、ワイヤ18は省略されてもよい。ワイヤ18は、Z方向から見た場合に接着領域Rと重ならない位置においてミラーデバイス10(電極パッド17)に接続されていてもよい。換言すれば、電極パッド17は、ミラーデバイス10においてZ方向から見た場合に接着領域Rと重ならない位置に設けられていてもよい。ベース壁部41の第2表面41bにおけるミラーデバイス10が配置された領域は、平坦に形成されていなくてもよく、例えば当該領域に凸部又は凹部が形成されていてもよい。Z方向から見た場合に、ミラーデバイス10の外縁は磁石部3の外縁に対して外側に位置していてもよい。Z方向から見た場合に、可動ミラー部12の外縁は第1磁石31の外縁に対して外側に位置していてもよい。ミラーユニット2及び磁石部3のベース壁部41への固定方法は接着に限られず、任意の方法であってよい。
【0081】
上記実施形態では、側壁部42の延在方向である第2方向(Z方向)が、第1磁石31、第2磁石32及び第3磁石33の並び方向である第1方向(X方向)と垂直であったが、第2方向は第1方向と交差していればよく、直角以外の角度で第1方向と交差していてもよい。磁石部3の底面3bに段差部36が形成されていなくてもよく、底面3bの全体が平坦であってもよい。第2上面32aと第3上面33aは同一平面上に位置していなくてもよい。第2底面32bと第3底面33bとは同一平面上に位置していなくてもよい。上記実施形態及び変形例において、第1磁石31、第2磁石32及び第3磁石33の名称は説明の便宜上設定されたものであり、第1磁石31、第2磁石32及び第3磁石33の名称は交換可能である。例えば、第1磁石31が第2磁石とみなされると共に第2磁石32が第1磁石とみなされてもよい。また、第1磁石31、第2磁石32及び第3磁石33が並ぶ順序は上述した例に限られない。磁石部3は、2つの磁石のみを備えていてもよいし、4つ以上の磁石を備えていてもよい。
【符号の説明】
【0082】
1…光モジュール、2…ミラーユニット、3…磁石部、3a…上面、3b…底面、3s…側面、4…パッケージ、10…ミラーデバイス、10a…側面、12…可動ミラー部、16…コイル、18…ワイヤ、31…第1磁石、32…第2磁石、33…第3磁石、40…凹部、40a…開口部、41…ベース壁部、41a…第1表面、41b…第2表面、42…側壁部、421…第1側壁部分、422…第2側壁部分、45…溝部、51…接着材(第2接着材)53…接着材(第1接着材)、54…フィレット、60…隙間、61…第1部分、62…第2部分、P1,P2,P3,P4…角部、P1a,P1b,P2a,P2b,P3a,P3b,P4a,P4b…辺部、R…接着領域。
図1
図2
図3
図4
図5
図6