(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019833
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】機械学習アプリケーションの売買システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0601 20230101AFI20240206BHJP
【FI】
G06Q30/06 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122556
(22)【出願日】2022-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】519146053
【氏名又は名称】株式会社リョーワ
(74)【代理人】
【識別番号】100163267
【弁理士】
【氏名又は名称】今中 崇之
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕弓
(72)【発明者】
【氏名】津田 貴史
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB23
(57)【要約】
【課題】機械学習アプリケーションを構成するプログラム及び推論モデルの作成を分担し、作成された機械学習アプリケーションを売買できる売買システムを提供する。
【解決手段】機械学習アプリケーションの売買システム10は、推論モデル及び機械学習プログラムから少なくとも構成される機械学習アプリケーションを管理するアプリケーションサーバ12と、アプリケーションサーバ12に接続され、顧客に対して機械学習アプリケーションを販売するためのマーケットプレイスサーバ14と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
推論モデル及び機械学習プログラムから少なくとも構成される機械学習アプリケーションを管理するアプリケーションサーバと、
前記アプリケーションサーバに接続され、顧客に対して前記機械学習アプリケーションを販売するためのマーケットプレイスサーバと、を備えた機械学習アプリケーションの売買システム。
【請求項2】
請求項1記載の機械学習アプリケーションの売買システムにおいて、
前記マーケットプレイスサーバが、推論作成者が前記推論モデルを作成するための手段を提供する推論モデル作成ツール提供部と、
APIアクセスにより、作成された推論モデルに対応する前記機械学習プログラムを実行し、該推論モデルの妥当性を検証する推論モデル検証部と、を有する機械学習アプリケーションの売買システム。
【請求項3】
請求項2記載の機械学習アプリケーションの売買システムにおいて、
前記機械学習プログラムのクリエイター及び前記推論モデルの作成者に対する報酬を計算する課金コントロールサーバを更に備えた機械学習アプリケーションの売買システム。
【請求項4】
請求項3記載の機械学習アプリケーションの売買システムにおいて、
前記機械学習アプリケーションが前記アプリケーションサーバに保存される前に、当該機械学習アプリケーションがアップロードされるテストサーバを更に備え、
前記テストサーバにて、当該機械学習アプリケーションのセキュリティホールが確認される機械学習アプリケーションの売買システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械学習アプリケーションの売買システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、学習用データの作成作業を分散し効率化を図ることができる学習用データ作成装置が記載されている。
この学習用データ作成装置は、ネットワークを介して複数の端末に接続されており、所定のテーマに関連する処理前画像を、所定のテーマを示すテーマ情報とともに、端末に送信する送信手段と、端末において、処理前画像と、所定のテーマを表示させる画像表示手段と、端末を操作する作業者による、所定のテーマに応じた輪郭を、処理前画像に入力する操作を受け付ける輪郭受領手段と、処理前画像に輪郭が付された処理後画像を、端末から受信する受信手段と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
機械学習アプリケーションを構成するプログラム及び推論モデルの作成を分担し、作成された機械学習アプリケーションを売買できる売買システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、推論モデル及び機械学習プログラムから少なくとも構成される機械学習アプリケーションを管理するアプリケーションサーバと、前記アプリケーションサーバに接続され、顧客に対して前記機械学習アプリケーションを販売するためのマーケットプレイスサーバと、を備えた機械学習アプリケーションの売買システムである。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の機械学習アプリケーションの売買システムにおいて、前記マーケットプレイスサーバが、推論作成者が前記推論モデルを作成するための手段を提供する推論モデル作成ツール提供部と、APIアクセスにより、作成された推論モデルに対応する前記機械学習プログラムを実行し、該推論モデルの妥当性を検証する推論モデル検証部と、を有する。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項2記載の機械学習アプリケーションの売買システムにおいて、前記機械学習プログラムのクリエイター及び前記推論モデルの作成者に対する報酬を計算する課金コントロールサーバを更に備える。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項3記載の機械学習アプリケーションの売買システムにおいて、前記機械学習アプリケーションが前記アプリケーションサーバに保存される前に、当該機械学習アプリケーションがアップロードされるテストサーバを更に備え、前記テストサーバにて、当該機械学習アプリケーションのセキュリティホールが確認される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、機械学習アプリケーションを構成するプログラム及び推論モデルの作成を分担し、作成された機械学習アプリケーションを売買できる売買システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る機械学習アプリケーションの売買システムの構成図である。
【
図2】同売買システムが備えるマーケットプレイスサーバの説明図である。
【
図3】同売買システムの動作を示すフロー図(その1)である。
【
図4】同売買システムの動作を示すフロー図(その2)である。
【
図5】同売買システムの動作を示すフロー図(その3)である。
【
図6】同売買システムの動作を示すフロー図(その4)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。なお、図において、説明に関連しない部分は図示を省略する場合がある。
【0012】
本発明の一実施の形態に係る機械学習アプリケーションの売買システム(以下、「売買システム」という。)10は、所定の機能を実現する機械学習アプリケーションを売買することができ、
図1に示すように、システム運営者、複数のクリエイター、複数の推論作成者及び複数の顧客によって利用される。
ここで、機械学習アプリケーションは、少なくとも推論モデル及び機械学習プログラムから少なくとも構成され、推論モデルは、例えばディープラーニングによる学習モデルであり、機械学習プログラムは例えば、学習モデルを使用して欠陥を検出するためのプログラムである。
【0013】
システム提供事業者は、売買システム10を提供する事業者である。
【0014】
クリエイターは、機械学習プログラムを開発する開発者であり、売買システム10を利用して開発した機械学習プログラムを販売できる。クリエイターは、個人であっても法人であってもよい。
【0015】
推論作成者は、推論モデルを作成する作成者であり、売買システム10を利用して作成した推論モデルを販売できる。推論作成者は、個人であっても法人であってもよい。
【0016】
顧客は、売買システム10を利用して機械学習アプリケーションを購入できる。顧客は、クリエイターや推論作成者に対し、所望の機能を満たす機械学習アプリケーションの開発要求を提示することができる。顧客は、個人であっても法人であってもよい。
顧客は、売買システム10を利用するために、事前の会員登録が必要となる。
【0017】
売買システム10は、アプリケーションサーバ12、マーケットプレイスサーバ14、課金コントロールサーバ16及びテストサーバ18を備えており、それぞれシステム提供事業者によって管理され、互いにインターネット又は5Gを介して接続されている。
【0018】
アプリケーションサーバ12は、機械学習アプリケーションを構成する機械学習プログラムが保存され、保存された機械学習プログラムを管理するサーバである。
また、アプリケーションサーバ12は、マーケットプレイスサーバ14と比較して、演算処理能力が高いサーバであり、機械学習アプリケーションが実行される。
【0019】
マーケットプレイスサーバ14は、販売される機械学習アプリケーションの情報が掲載されたポータルサイトを表示するWebサーバとして機能し、顧客に対して機械学習アプリケーションを販売できる。
また、マーケットプレイスサーバ14は、推論モデル作成ツール提供部142及び推論モデル検証部144を有している。
推論モデル作成ツール提供部142は、推論作成者が推論モデルを作成するためのツールを提供できる。
推論モデル検証部144は、APIアクセスによりアプリケーションサーバ12が管理する機械学習プログラムを実行し、アップロードされた推論モデルの妥当性を検証することができる。
【0020】
課金コントロールサーバ16は、機械学習プログラムのクリエイター及び推論モデルの作成者に対する報酬を計算するサーバである。
【0021】
テストサーバ18は、機械学習アプリケーションがアプリケーションサーバ12に保存される前に、クリエイターによって機械学習アプリケーションがアップロードされるサーバである。
【0022】
なお、システム提供事業者は、事業者端末30を介して、アプリケーションサーバ12、マーケットプレイスサーバ14、課金コントロールサーバ16及びテストサーバ18にアクセスできる。
クリエイターは、開発者端末32を介して、マーケットプレイスサーバ14及びテストサーバ18にアクセスできる。
推論作成者は、推論作成者端末34を介して、マーケットプレイスサーバ14にアクセスできる。
顧客は、顧客端末36を介して、マーケットプレイスサーバ14にアクセスできる。
【0023】
次に、売買システム10の動作について、(1)機械学習アプリケーションの販売準備の段階、(2)顧客が機械学習アプリケーションを購入した段階、(3)顧客から推論モデルの開発ニーズが提示された段階及び(4)顧客から機械学習プログラムの開発ニーズが提示された段階に分けてそれぞれ説明する。
なお、以下に示すステップは、可能な場合には順番を入れ替えて実施されてもよいし、並行して実施されてもよい。
【0024】
(1)機械学習アプリケーションの販売前の段階においては、
図3に示すように、以下のステップが実行される。
(ステップS1-1)
クリエイターが、機械学習プログラムを作成し、クリエイターが操作する開発者端末32からテストサーバ18にアップロードする。
【0025】
(ステップS1-2)
クリエイターが、アップロードした機械学習プログラムの承認を申請する。
テストサーバ18からシステム提供事業者に対し、承認要求があった旨の通知メールが送信される。システム提供事業者は、テストサーバ18にアップロードされた機械学習プログラムの例えばセキュリティホールを確認する。
システム提供事業者は、機械学習プログラムを承認しない場合には、その旨の非承認通知メールを開発者端末32に送信する。
【0026】
(ステップS1-3)
システム提供事業者が機械学習プログラムを承認した場合には、本番化処理が実行される。事業者端末30から本番化信号がテストサーバ18に対して送信され、テストサーバ18は、本番化信号をアプリケーションサーバ12に送信する。
【0027】
(ステップS1-4)
アプリケーションサーバ12が本番化信号を受信すると、機械学習プログラムは、テストサーバ18からアプリケーションサーバ12に移動され本番化が実行される。
アプリケーションサーバ12は、事業者端末30に対して本番化完了信号を送信し、クリエイターに対して本番化が完了した旨の本番化完了通知メールを送信する。
アプリケーションサーバ12が、課金コントロールサーバ16に対し、新規課金登録情報Aを送信する。この新規課金登録情報Aには、機械学習プログラムの名称、機能及び販売価格が含まれる。
また、アプリケーションサーバ12は、推論作成者に対し、新規機械学習プログラムの追加があった旨の新規プログラム追加通知メールを送信する。
【0028】
(ステップS1-5)
新規課金登録情報Aを受信した課金コントロールサーバ16は、本番化された機械学習プログラムの情報をデータベースに登録する。
【0029】
(ステップS1-6)
推論作成者は、新規プログラム追加通知メールを受信すると、ノウハウが有ると判断した場合には、機械学習プログラムに対応する推論モデルを作成する。推論モデルを作成する手段は、マーケットプレイスサーバ14の推論モデル作成ツール提供部142(
図2参照)によって提供される。
推論モデルが完成した後、推論作成者端末34は、アプリケーションサーバ12に対し、推論登録情報を送信する。この推論登録情報には、推論モデル、推論作成者が決定した推論モデルの販売価格、機械学習アプリケーションの名称、機械学習アプリケーションの機能及び推論作成者を特定するための推論作成者IDが含まれる。
【0030】
(ステップS1-7)
アプリケーションサーバ12にて、推論作成者が作成した推論モデルが登録される。
その後、アプリケーションサーバ12は、課金コントロールサーバ16に対し、新規課金登録情報Bを送信する。この新規課金登録情報Bには、推論作成者が決定した推論モデルの販売価格、機械学習アプリケーションの名称及び推論作成者を特定するためのIDが含まれる。
【0031】
(ステップS1-8)
新規課金登録情報Bを受信した課金コントロールサーバ16は、アプリケーションサーバ12に登録された推論モデルの情報をデータベースに登録する。
その後、課金コントロールサーバ16は、マーケットプレイスサーバ14に対し、アプリ登録情報を送信する。
【0032】
(ステップS1-9)
アプリ登録情報を受信したマーケットプレイスサーバ14は、登録された推論に関する情報をポータルサイトに表示する。
マーケットプレイスサーバ14は、会員である顧客に対し、新規な機械学習アプリケーションが登録された旨の新規アプリ登録通知メールを送信する。
【0033】
(2)顧客が機械学習アプリケーションを購入した段階においては、
図4に示すように、以下のステップが実行される。
(ステップS2-1)
顧客が、顧客端末36を介してマーケットプレイスサーバ14が提供するポータルサイトにアクセスし、必要な機械学習アプリケーションを購入する。顧客端末から購入情報がマーケットプレイスサーバ14に送信される。この購入情報は、購入に必要な個人情報及び購入した機械学習アプリケーションに関連付けられた購入アプリIDを含む。
その後、マーケットプレイスサーバ14は、購入情報を登録し、課金コントロールサーバ16に対し、購入登録情報を送信する。この購入登録情報には、購入アプリIDが含まれる。
【0034】
購入登録情報を受信すると、課金コントロールサーバ16は、推論作成者、クリエイター及びシステム提供事業者に対し、それぞれ購入に関する情報を通知する購入情報通知メールを送信する。
【0035】
(ステップS2-2)
課金コントロールサーバ16にて請求処理がなされ、顧客に対して、請求書をメール送付する。
【0036】
(ステップS2-3)
請求書を受信した顧客は、所定の支払い処理を行い、請求額を支払う。
【0037】
(ステップS2-4)
所定の期限までに入金が確認できない場合には、課金コントロールサーバ16は、顧客に対して、督促メールを送信する。
【0038】
(ステップS2-5)
課金コントロールサーバ16は、所定のアルゴリズムに従って、報酬の分配計算を実行する。
【0039】
(ステップS2-6)
推論作成者、クリエイター及びシステム提供事業者に対し、報酬の支払いがなされる。
【0040】
(ステップS2-7)
課金コントロールサーバ16は、入金が確認された後、所定の価格算定アルゴリズムに従って、販売価格を修正する。
【0041】
(3)顧客から推論モデルの開発ニーズが提示された段階においては、
図5に示すように、以下のステップが実行される。
(ステップS3-1)
顧客が、マーケットプレイスサーバ14が提供するポータルサイトにて、所望の機能を満たす機械学習アプリケーションの開発要求を提示すると、マーケットプレイスサーバ14にて、推論ニーズ情報として登録される。
その後、推論作成者に対し、新規なニーズ情報を通知するニーズ情報通知メールが送信される。
【0042】
(ステップS3-2)
推論作成者は、ニーズ情報通知メールを受信すると、作成を請け負う意思がある場合には、ニーズ情報に対応する推論モデルを作成する。推論モデルを作成する手段は、マーケットプレイスサーバ14の推論モデル作成ツール提供部142によって提供される。
推論モデルが完成した後、推論作成者端末34は、アプリケーションサーバ12に対し、推論登録情報を送信する。この推論登録情報には、推論作成者ID及び推論モデルの販売価格が含まれる。
【0043】
(ステップS3-3)
アプリケーションサーバ12にて、推論作成者が作成した推論モデルが登録される。
その後、アプリケーションサーバ12は、課金コントロールサーバ16に対し、新規課金登録情報Cを送信する。この新規課金登録情報Cには、推論作成者ID及び推論モデルの販売価格が含まれる。
【0044】
(ステップS3-4)
課金コントロールサーバ16は、受信した新規課金登録情報Cをデータベースに登録する。
その後、課金コントロールサーバ16は、マーケットプレイスサーバ14に対し、アプリ登録信号を送信する。
【0045】
(ステップS3-5)
アプリ登録信号を受信したマーケットプレイスサーバ14は、登録された推論モデルに関する情報をポータルサイトに表示する。
マーケットプレイスサーバ14は、ステップS1ー1にて機械学習アプリケーションの開発要求を提示した顧客に対し、新規な機械学習アプリケーションが登録された旨の新規アプリ登録通知メールを送信する。
【0046】
(4)顧客から機械学習プログラムの開発ニーズが提示された段階においては、
図6に示すように、以下のステップが実行される。
(ステップS4-1)
顧客が、マーケットプレイスサーバ14が提供するポータルサイトにて、所望の機能を満たす機械学習プログラムの開発要求を提示すると、マーケットプレイスサーバ14にて、プログラムニーズ情報として登録される。
その後、クリエイターに対し、新規なプログラムニーズ情報を通知するニーズ情報通知メールが送信される。
【0047】
(ステップS4-2)
クリエイターは、ニーズ情報通知メールを受信すると、作成を請け負う意思がある場合には、プログラムニーズ情報に対応する機械学習プログラムを作成する。
【0048】
作成された機械学習プログラムは、クリエイターが操作する開発者端末32からテストサーバ18にアップロードする。
その後は、前述の
図3に示すステップS1ー2以降のフローに従うため、詳細な説明は割愛する。
【0049】
このように、本実施の形態に係る売買システム10によれば、機械学習アプリケーションを構成する機械学習プログラム及び推論モデルの作成を分担し、作成された機械学習アプリケーションを売買できる。
【0050】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、前述の形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
【符号の説明】
【0051】
10 売買システム
12 アプリケーションサーバ
14 マーケットプレイスサーバ
16 課金コントロールサーバ
18 テストサーバ
30 事業者端末
32 開発者端末
34 推論作成者端末
36 顧客端末
142 推論モデル作成ツール提供部
144 推論モデル検証部