(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019853
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】剥離装置、及び、剥離方法
(51)【国際特許分類】
B65H 41/00 20060101AFI20240206BHJP
【FI】
B65H41/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122590
(22)【出願日】2022-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】中村 明
【テーマコード(参考)】
3F108
【Fターム(参考)】
3F108JA02
3F108JA05
(57)【要約】
【課題】剥離装置及び剥離方法において、簡素な構成で、対象物に貼り付けられた剥離シートを剥離する。
【解決手段】対象物の一例である袋Bに貼り付けられた剥離シートBaを剥離する剥離装置40であって、少なくとも先端部分41aが剥離シートBaと袋Bとの間に挿入される挿入部材の一例である針状部材41と、この針状部材41を剥離シートBaと袋Bとの間に挿入するように針状部材41と袋Bとを相対的に移動させる移動機構の一例である針部水平移動用アクチュエータ45とを備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に貼り付けられた剥離シートを剥離する剥離装置であって、
少なくとも先端部分が前記剥離シートと前記対象物との間に挿入される挿入部材と、
前記挿入部材を前記剥離シートと前記対象物との間に挿入するように前記挿入部材と前記対象物とを相対的に移動させる移動機構と
を備えることを特徴とする剥離装置。
【請求項2】
前記挿入部材は、針状部材である
ことを特徴とする請求項1記載の剥離装置。
【請求項3】
前記挿入部材が固定された吊り下げ部と、
前記吊り下げ部の上部を支持し、当該吊り下げ部を、前記挿入部材と前記対象物との相対移動方向へ揺動可能に吊り下げる支持部と
を更に備えることを特徴とする請求項1記載の剥離装置。
【請求項4】
前記吊り下げ部に位置調整可能に固定される重りを更に備えることを特徴とする請求項3記載の剥離装置。
【請求項5】
前記挿入部材は、前記先端部分に向かって斜め下方に延びる
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の剥離装置。
【請求項6】
対象物に貼り付けられた剥離シートを剥離する剥離方法であって、
前記剥離シートの一部を前記対象物から剥離し、
前記対象物を吸引部と相対的に移動させながら、一部が前記対象物から剥離した前記剥離シートを前記吸引部によって吸引することによって、前記剥離シートの全体を前記対象物から剥離する
ことを特徴とする剥離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物に貼り付けられた剥離シートを剥離する、剥離装置及び剥離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パンフレット等の資料を配布する際に、内容物が見える透明なOPP(Oriented Polypropylene)袋を使用することが多い。このOPP袋の封入封緘を作業者が行う場合には、OPP袋に資料を挿入し、OPP袋の粘着部に貼り付けられた剥離シートを剥がし、封緘を行う。
【0003】
なお、剥離装置としては、例えば、以下のフィルム剥離装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このフィルム剥離装置は、保護フィルムを引っ張ることによりラミネートフィルムを搬送するフィルム送り手段、保護フィルムを被剥離フィルムの進行方向と異なる方向に引っ張ることにより保護フィルムを接着剤層から一部剥離する剥離手段、複数のブロックからなる剥離刃の間に保護フィルムを通すことによって保護フィルムの送り方向を移行する方向調整手段、フィルムを間にはさんだ剥離刃を横移動させることで保護フィルムの送りを停止させた状態でフィルムの進行方向とは異なる方向に送りを与える送り手段を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
OPP袋等の対象物に貼り付けられた剥離シートを剥離する場合、上述のように作業者が手作業で剥離シートを剥がすと手間がかかる。また、上述のフィルム剥離装置などの剥離装置を用いて剥離シートを剥離する場合、装置構成が大がかりとなる。
【0006】
本発明の目的は、簡素な構成で、対象物に貼り付けられた剥離シートを剥離することができる剥離装置及び剥離方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの態様では、剥離装置は、対象物に貼り付けられた剥離シートを剥離する剥離装置であって、少なくとも先端部分が前記剥離シートと前記対象物との間に挿入される挿入部材と、前記挿入部材を前記剥離シートと前記対象物との間に挿入するように前記挿入部材と前記対象物とを相対的に移動させる移動機構とを備える。
【発明の効果】
【0008】
前記態様によれば、簡素な構成で、対象物に貼り付けられた剥離シートを剥離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施の形態における封入封緘システムを示す斜視図である。
【
図2】一実施の形態における封入封緘装置を示す平面図である。
【
図3】一実施の形態における袋開放部、挿入部等を示す斜視図である。
【
図4】一実施の形態における剥離装置を示す斜視図である。
【
図5】一実施の形態における剥離装置の針状部材等を示す斜視図である。
【
図7】一実施の形態における針状部材、吊り下げ部、重り、及び支持部を示す右側面図である。
【
図8】一実施の形態における剥離台の段差用プレート等を示す背面図である。
【
図9】一実施の形態における剥離装置を示す斜視図である。
【
図10】一実施の形態における折り込み板、変形補助板等を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態に係る、剥離装置及び剥離方法について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、封入封緘システム100を示す斜視図である。
【0012】
【0013】
なお、
図1及び
図2並びに後述する
図3~
図10に示す前後、左右、上下の各方向は、封入封緘システム100の印刷装置101に対してユーザ側を前方とし、その反対側を後方とし、印刷装置101の前に立つユーザから見て左側を左方向、右側を右方向とした場合の一例である。また、例えば、前後方向及び左右方向は水平方向であり、上下方向は鉛直方向である。
【0014】
図1に示す封入封緘システム100は、封入封緘装置1及び印刷装置101を備える。印刷装置101は、右側面に設けられた排出口102から挿入物の一例である用紙Pを排出する。対象物の一例である袋Bは、例えばOPP袋であり、封入封緘装置1によって、複数枚又は1枚の用紙Pの封入、袋Bに貼り付けられた剥離シートBaの剥離、袋Bの封緘などが行われる。なお、対象物としては、用紙P等の挿入物が挿入される物に限られない。また、挿入物が用紙Pである場合でも、袋Bは、印刷装置101から排出される用紙Pに限らず、予め容易された用紙Pが挿入されるものであってもよい。
【0015】
封入封緘装置1は、用紙積載部10と、袋開放部20と、挿入部30と、剥離装置40と、封緘部60と、制御部70と、操作部80とを備える。
【0016】
用紙積載部10は、用紙積載プレート11と、1対のサイドフェンス12と、プレート用アクチュエータ13と、スライダ14と、ガイド15とを有する。
【0017】
用紙積載プレート11には、封入封緘システム100の排出口102から排出される用紙Pが積載される。
【0018】
1対のサイドフェンス12は、用紙積載プレート11の前方及び後方に配置されている。なお、用紙積載プレート11の右側において鉛直方向に延びるフレームが、エンドフェンスとして機能するとよい。
【0019】
プレート用アクチュエータ13は、袋Bに挿入される規定枚数(例えば100枚)の用紙Pが用紙積載プレート11上に積載されると、用紙積載プレート11に固定されたスライダ14をガイド15に沿って右方向に移動させることにより用紙積載プレート11を右方向に移動させ、用紙積載プレート11上の用紙Pを下方に落とす。また、プレート用アクチュエータ13は、用紙Pを落とした後、用紙積載プレート11を再び用紙Pが積載される元の積載位置に戻すように左方向に移動させる。
【0020】
袋開放部20は、袋積載プレート21と、上部吸引部22と、吸引部昇降用アクチュエータ23と、吸引部搬送用アクチュエータ24と、スライダ25と、ガイド26と、下部吸引部27(
図2参照)とを有する。
【0021】
袋積載プレート21には、予め用意された複数枚の袋Bが積載される。なお、袋Bの袋積載プレート21への積載を容易にするために、袋積載プレート21は、例えば、手動で上部吸引部22の下方から右方向に退避した位置に移動可能であるとよい。
【0022】
上部吸引部22は、袋積載プレート21の上方において、袋積載プレート21に積載された最上位の袋Bの上面を吸引する。
図3に示すように、上部吸引部22は、袋Bの上面に接触する吸引プレート22aと、この吸引プレート22aの底面からエアを吸引するファン22bとを有する。なお、
図3では、上部吸引部22が
図1及び
図2に示す位置から、吸引した袋Bを後述する剥離装置40の搬送ベルト47上へ後方に搬送した後の状態を示す。
【0023】
吸引部昇降用アクチュエータ23は、上部吸引部22を、袋積載プレート21上の袋Bを吸引によりピッキングする下方の位置と、袋Bの搬送時の上方の位置とに昇降させる。
【0024】
吸引部搬送用アクチュエータ24は、上部吸引部22に固定されたスライダ25をガイド26に沿って前後方向に移動させることによって、上部吸引部22を、袋積載プレート21の上方と、剥離装置40の搬送ベルト47の上方との位置に移動させ、袋Bを袋積載プレート21から搬送ベルト47上に搬送する。
【0025】
図2及び
図3に示すように、下部吸引部27は、搬送ベルト47の後方に配置され、袋Bの挿入口となる後端(フラップ)の近傍を下方に吸引する。下部吸引部27は、上述の上部吸引部22が搬送ベルト47上に袋Bを搬送した後、吸引部昇降用アクチュエータ23の駆動によって上部吸引部22がわずかに上昇することによって、上部吸引部22及び吸引部昇降用アクチュエータ23の上下からの吸引によって袋Bの挿入口を開放させる。
【0026】
挿入部30は、押圧部31と、押圧部用アクチュエータ32と、ガイド33と、1対の挿入補助板34(
図3参照)とを有する。
【0027】
押圧部31は、用紙積載プレート11から下方に落とされた用紙Pを、上述のように搬送ベルト47上で挿入口が開放した袋Bに挿入するように前方に押圧する。押圧部用アクチュエータ32は、押圧部31をガイド33に沿って前後方向に移動させる。
【0028】
図3に示す1対の挿入補助板34は、押圧部31によって押圧されて袋Bに挿入される際の用紙Pに押されることによって、上下左右に平面状に拡がる状態から、前方側に湾曲しながら用紙Pの袋Bへの挿入を補助する。
【0029】
図4及び
図9に示すように、剥離装置40は、挿入部材の一例である針状部材41と、吊り下げ部42と、重り43と、支持部44と、針部水平移動用アクチュエータ45と、針部昇降用アクチュエータ46と、搬送ベルト47と、剥離台48と、アクチュエータプレート49と、吸引部D(
図9参照)とを有する。なお、剥離装置40は、封入封緘装置1に配置される装置でなくともよく、袋B(対象物)に貼り付けられた剥離シートBaを剥離するものであればよい。
【0030】
図6及び
図7に示すように、針状部材41は、吊り下げ部42に固定され、吊り下げ部42から後方で且つ下方に、先端部分41aに向かって斜めに延びる。
図7に示すように、針状部材41は、水平に対する角度θが例えば15~40度となるように配置されているとよい。針状部材41は、後述する針部水平移動用アクチュエータ45の駆動によって後方に移動し、先端部分41aが剥離シートBaと袋Bとの間に挿入され、剥離シートBaの一部を剥離する。針状部材41は、全体が剥離シートBaと袋Bとの間に挿入されてもよい。なお、剥離シートBaと袋Bとの間に挿入される挿入部材としては、剥離シートBaと袋Bとの間への挿入の容易さなどの観点から、例えば点状の先端部分41aを有する針状部材41が用いられることが望ましいが、剥離シートBaに平行な面内で挿入方向(後方)に直交する方向(左右方向)に延びる線状の先端部分を有する薄板状のヘラや、上記の左右方向に細長い面状の先端部分を有する部材や、上記の左右方向に張られた糸などの線状部材などが用いられてもよい。但し、剥離シートBaが貼り付けられる対象物としてOPP袋などの薄い袋Bが用いられる場合には、剥離シートBaが上下方向に波打ちやすく、ヘラなどの挿入部材を用いると、剥離シートBaと袋Bとの間への挿入が困難になる場合がある。
【0031】
ここで、剥離シートBaは、袋Bの粘着部Bb(
図6に網点で図示し、輪郭を破線で図示)を剥離可能に覆う部材であるが、袋B(対象物)に貼り付けられるものであればよい。また、対象物が袋B以外である場合などには、剥離シートBa側に粘着部が設けられていてもよいし、或いは、粘着部Bbに代えて熱圧着部が設けられていてもよい。
【0032】
吊り下げ部42は、上下方向に長手方向を有する直方体形状を呈し、針状部材41側(後方側)に重心が偏って針状部材41が水平に対して傾くように、底面の位置が前部に行くほど高くなるように、前部側の下端が斜めにカットされている。
【0033】
重り43は、針状部材41の上方において、吊り下げ部42の後部に固定されている。重り43は、例えば吊り下げ部42にねじ込まれるボルトであり、ねじ込む量によって位置調整可能に吊り下げ部42に固定される。重り43は、針状部材41の先端部分41aに規定の荷重(例えば、1~50グラム)が加わるように、位置調整されるとよい。例えば、先端部分41aへの荷重を強くするには、吊り下げ部42へのねじ込み量を少なくし、先端部分41aへの荷重を弱くするには、吊り下げ部42へのねじ込み量を大きくするとよい。なお、重り43の位置調整は、例えば、吊り下げ部42への取り付け位置の調整などであってもよい。
【0034】
図7に示すように、支持部44は、例えば、左右方向に延びる支持ピン44aによって吊り下げ部42の上部を支持し、この吊り下げ部42を、針状部材41の移動方向である前後方向(針状部材41と袋Bとの相対移動方向の一例)へ揺動(旋回)可能に吊り下げる。支持ピン44aは、例えば、支持部44の下部の左右両端から後方に突出する1対のフランジ部分と、吊り下げ部42とに設けられた貫通孔に挿入される軸部材の一例である。但し、支持ピン44aは、支持部44又は吊り下げ部42と一体に設けられていてもよい。ここで、支持ピン44aは、吊り下げ部42の前後方向の中心よりも前方にシフトした位置において吊り下げ部42を貫通する。これによっても、吊り下げ部42の重心が針状部材41側(後方側)に偏り、針状部材41が水平に対して傾く。なお、支持部44は、上記の1対のフランジ部分を除いて、上下左右方向に拡がる平板状を呈する。
【0035】
図5に示す針部水平移動用アクチュエータ45は、支持部44を前後方向に移動させることによって、吊り下げ部42を介して支持部44に連結された針状部材41を前後方向に移動させる。針部水平移動用アクチュエータ45は、針状部材41を剥離シートBaと袋Bとの間に挿入するように針状部材41と袋Bとを相対的に移動させる移動機構の一例である。この移動機構としては、針状部材41のみを移動させるものに限らず、袋B(対象物)のみを移動させるものであってもよいし、或いは、針状部材41及び袋Bの両方を移動させるものであってもよい。
【0036】
針部昇降用アクチュエータ46は、針部水平移動用アクチュエータ45を昇降させることによって、支持部44及び吊り下げ部42を介して針部水平移動用アクチュエータ45に連結された針状部材41を昇降させる。なお、針部水平移動用アクチュエータ45は、水平に拡がる平板状を呈するアクチュエータプレート49上に設置され、針部昇降用アクチュエータ46は、アクチュエータプレート49を昇降させることによって針部水平移動用アクチュエータ45(針状部材41)を昇降させる。針部水平移動用アクチュエータ45が針状部材41を後方に移動させて袋Bと剥離シートBaとの間に挿入させる際には、アクチュエータプレート49の底面に設けられた図示しない押さえ部によって、袋Bを押さえておくとよい。
【0037】
図1及び
図2に示すように、搬送ベルト47は、袋Bに用紙Pが挿入される領域から、剥離シートBaの剥離が行われる領域と、後述する封緘部60により封緘が行われる領域とにかけて右方向に延び、袋Bを右方向に搬送する。なお、搬送ベルト47は、袋Bと吸引部Dとを相対的に搬送する相対搬送部の一例である。この相対搬送部としては、袋B(対象物)のみを移動させるものに限らず、吸引部Dのみを移動させるものであってもよいし、或いは、袋B及び吸引部Dの両方を移動させるものであってもよい。
【0038】
図4及び
図5に示すように、剥離台48は、搬送ベルト47の後方において、上面が搬送ベルト47の上面とほぼ同一となるように水平に配置された平板状を呈する。剥離台48上において、上述のように針状部材41が袋Bと剥離シートBaとの間に挿入される。
【0039】
図4に示すように、剥離台48上には、左右方向に間隔を隔てて1対の段差用プレート48aが配置されている。これらの段差用プレート48aは、針状部材41の下方に位置し袋B(対象物)に下方の撓みを形成する段差形成部の一例として機能する。1対の段差用プレート48aは、前後方向に長手方向を有し、水平に配置された平板状を呈する。
図8に示すように、1対の段差用プレート48aの間には針状部材41の先端部分41aが進入する。これにより、袋Bが1対の段差用プレート48aの間で下方に撓むため、先端部分41aが袋Bと剥離シートBaとの間に挿入されやすくなる。また、先端部分41aが袋Bを介して剥離台48に接触することにより袋Bや剥離台48や先端部分41aが破損するのを抑制することができる。
【0040】
図9に示すように、吸引部Dは、剥離台48の右側において搬送ベルト47の後方に配置され、針状部材41が袋Bと剥離シートBaとの間に挿入されることによって一部が袋Bから剥離した剥離シートBaを吸引する。なお、吸引部Dは、図示しない吸引源に接続され、エアを吸引する。
【0041】
図1及び
図2に示すように、封緘部60は、折り込み板61と、1対のヒンジ62と、折り込み板用アクチュエータ63と、アーム64と、スライダ65と、ガイド66と、変形補助板67とを有する。
【0042】
図10に示すように、折り込み板61は、左右方向に長手方向を有する平板状を呈し、上述の
図6に示す粘着部Bbを有する袋Bの後端を折り込んで、袋Bを封緘する。
【0043】
1対のヒンジ62は、折り込み板61を、左右方向を回転中心として回転させる。
【0044】
折り込み板用アクチュエータ63は、アーム64に固定されたスライダ65をガイド66に沿って前後方向に移動させる。折り込み板用アクチュエータ63がスライダ65を前方に移動させると、アーム64に固定された折り込み板61が袋Bの後端を折り込むように1対のヒンジ62を回転中心として回転する。また、折り込み板用アクチュエータ63がスライダ65を後方に移動させると、折り込み板61が袋Bの後端を折り込む位置から退避するように回転する。
【0045】
図10に示すように、変形補助板67は、剥離台48の右側において搬送ベルト47の後方に配置されている。変形補助板67は、剥離台48側で水平に設けられているが、右方向に向かって徐々に立ち上がり、搬送ベルト47上を搬送される袋Bの後端を立ち上がらせる。このように後端が立ち上がった袋Bは、上述の折り込み板61によって折り込まれる。
【0046】
図1に示す制御部70は、例えば、プロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit)と、メモリとを有する。プロセッサは、封入封緘装置1全体の動作を制御する演算処理装置(コントローラ)として機能する。メモリは、例えば、所定の制御プログラムが予め記録されている読み出し専用半導体メモリであるROM(Read Only Memory)、プロセッサが各種の制御プログラムを実行する際に必要に応じて作業用記憶領域として使用される随時書き込み読み出し可能な半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)などのメモリを有する。なお、制御部70は、印刷装置101の印刷開始などの信号を印刷装置101に送信可能なものであってもよい。或いは、制御部70が省略され、印刷装置101、封入封緘システム100などの他の装置の制御部が封入封緘装置1の制御部として機能してもよい。
【0047】
操作部80は、例えば、袋Bに挿入される用紙Pの枚数設定などの操作を行うための操作ボタンを有する操作パネルである。操作ボタンは、印刷装置101の印刷開始や印刷停止などの印刷装置101の操作を行うものも含まれているとよい。また、操作部80が省略され、印刷装置101などの他の装置の操作部が封入封緘装置1の操作部として機能してもよい。
【0048】
以下、上述の説明と重複する事項については適宜省略しながら、用紙Pの袋Bへの封入、剥離シートBaの剥離、袋Bの封緘などの処理の流れを説明する。
【0049】
まず、
図1に示す操作部80において、ユーザによって、袋Bに挿入される規定枚数が設定された状態で、印刷装置101の印刷開始又は封入封緘装置1の封入封緘開始などの操作が行われる。
【0050】
用紙積載部10の用紙積載プレート11上に、印刷装置101の排出口102から、袋Bに挿入される規定枚数の用紙Pが排出されると、プレート用アクチュエータ13が、用紙積載プレート11に固定されたスライダ14をガイド15に沿って右方向に移動させることにより用紙積載プレート11を右方向に移動させ、用紙積載プレート11上の用紙Pを下方に落とす。なお、プレート用アクチュエータ13は、次に袋Bに挿入される規定枚数の用紙Pを用紙積載プレート11に積載させるために、用紙積載プレート11を左方向に元の積載位置に戻す。
【0051】
袋開放部20においては、吸引部昇降用アクチュエータ23が上部吸引部22を下降させ、袋積載プレート21上に積載された最上位の袋Bの上面を上部吸引部22によって吸引する。上部吸引部22が袋Bを吸引した後、吸引部昇降用アクチュエータ23は、上部吸引部22を上昇させる。吸引部搬送用アクチュエータ24は、上部吸引部22に固定されたスライダ25をガイド26に沿って後方に移動させることによって、上部吸引部22を、袋積載プレート21の上方から、剥離装置40の搬送ベルト47の上方へ後方に移動させる。そして、
図3に示すように、吸引部昇降用アクチュエータ23が袋積載プレート21を下降させ、袋積載プレート21に吸引された袋Bの底面が搬送ベルト47に接した後、袋積載プレート21をわずかに上昇させる。これにより、上部吸引部22及び下部吸引部27の吸引によって袋Bの挿入口が開放する。
【0052】
次に、
図1及び
図2に示す押圧部用アクチュエータ32がガイド33に沿って押圧部31を前方に移動させる。これにより、
図3に示すように、押圧部31が用紙積載プレート11の下方に落とされた用紙Pを、袋Bの挿入口に向けて前方に押圧する。なお、
図3において、押圧部31を用紙Pから遠ざけて図示しているが、押圧部31は用紙Pから遠ざからなくてよい。
【0053】
押圧部31が用紙Pを袋Bの内部に挿入するときには、挿入補助板34が用紙Pによって押圧されて変形(湾曲)し、挿入補助板34の先端が袋Bの内部に進入する。これにより、用紙Pが袋Bの内部に確実に挿入される。
【0054】
その後、搬送ベルト47によって、用紙Pが挿入された袋Bが
図5に示すように剥離台48まで搬送される。そして、針部昇降用アクチュエータ46が、アクチュエータプレート49、針部水平移動用アクチュエータ45、支持部44、及び吊り下げ部42を介して連結された針状部材41を下降させる。次に、針部水平移動用アクチュエータ45が針状部材41を後方に移動させ、針状部材41の先端部分41aを、
図6に示すように袋Bの右端近傍において剥離シートBaと袋Bとの間に挿入させる。この針状部材41の挿入時には、上述のとおり、アクチュエータプレート49の底面に設けられた図示しない押さえ部によって袋Bを下方に押さえておくとよい。なお、針部昇降用アクチュエータ46は、針状部材41が剥離シートBaと袋Bとの間に挿入された状態で、且つ、粘着部Bbへの進入直前又は進入中に、針状部材41をわずかに上方に移動させるとよい。これにより、針状部材41の袋Bへの突き刺さりを回避することができる。
【0055】
次に、針部水平移動用アクチュエータ45が針状部材41の先端部分41aを剥離シートBaよりも後方まで移動させることによって、剥離シートBaの右端側の一部を袋Bから剥離する。その後、針部昇降用アクチュエータ46が針状部材41を上方へ袋Bから遠ざけ、針部水平移動用アクチュエータ45が針状部材41を前方の剥離前の位置に戻す。
【0056】
次に、
図9に示すように、搬送ベルト47が、剥離シートBaの一部が剥離した袋Bを右方向に搬送しながら、吸引部Dが、剥離シートBaを吸引する。これにより、剥離シートBaの全体が袋Bから剥離する。
【0057】
次に、剥離シートBaの全体が剥離して粘着部Bb(
図6参照)が露出した袋Bは、搬送ベルト47によって搬送されながら
図10に示す変形補助板67によって後端が徐々に立ち上がり、折り込み板61の前方まで搬送される。そして、
図1及び
図2に示す折り込み板用アクチュエータ63が、アーム64に固定されたスライダ65をガイド66に沿って前方に移動させる。折り込み板用アクチュエータ63がスライダ65を前方に移動させると、アーム64に固定された折り込み板61が袋Bの後端を折り込むように回転し、袋Bの後端が粘着部Bbによって封緘される。このように封緘が完了した袋Bは、例えば、搬送ベルト47の右方向に位置する図示しない排出台等に積載されるとよい。
【0058】
以上説明した本実施の形態では、剥離装置40は、対象物の一例である袋Bに貼り付けられた剥離シートBaを剥離する剥離装置40であって、少なくとも先端部分41aが剥離シートBaと袋Bとの間に挿入される挿入部材の一例である針状部材41と、この針状部材41を剥離シートBaと袋Bとの間に挿入するように針状部材41と袋Bとを相対的に移動させる移動機構の一例である針部水平移動用アクチュエータ45とを備える。
【0059】
そのため、針状部材41を一例とする挿入部材の少なくとも先端部分41aを剥離シートBaと袋Bとの間に挿入させることによって、剥離シートBaを剥離することができる。また、針状部材41と袋Bとを相対的に移動させることで、針状部材41を剥離シートBaと袋Bとの間に挿入することができるため、剥離装置40の構成を簡素にすることができる。よって、本実施の形態によれば、簡素な構成で、袋B(対象物)に貼り付けられた剥離シートBaを剥離することができる。
【0060】
また、本実施の形態では、少なくとも先端部分41aが剥離シートBaと袋Bとの間に挿入される挿入部材が、針状部材41である。
【0061】
そのため、剥離シートBa(袋B)が上下方向に波打つように変形し、剥離シートBaにおいて水平に対して傾きを有する部分が存在していても、針状部材41が剥離シートBaと袋Bとの間に挿入されやすくなる。したがって、より確実に、剥離シートBaを剥離することができる。
【0062】
また、本実施の形態では、剥離装置40は、針状部材41が固定された吊り下げ部42と、この吊り下げ部42の上部を支持し、この吊り下げ部42を、針状部材41と袋Bとの相対移動方向(例えば前後方向)へ揺動可能に吊り下げる支持部44とを更に備える。
【0063】
これにより、針状部材41が剥離シートBaと袋Bとの間に挿入される際に、袋B(剥離シートBa)の厚さや形状の変化に追従することができる。したがって、より確実に、剥離シートBaを剥離することができる。
【0064】
また、本実施の形態では、剥離装置40は、吊り下げ部42に位置調整可能に固定される重り43を更に備える。
【0065】
そのため、重り43の位置を調整することで、揺動可能に吊り下げられる吊り下げ部42の重心の位置を変化させることができる。これにより、袋Bの厚さや材質などに応じて、針状部材41に加わる荷重を調整することができる。したがって、より確実に、剥離シートBaを剥離することができる。
【0066】
また、本実施の形態では、針状部材41は、先端部分41aに向かって斜め下方に延びる。
【0067】
これにより、針状部材41が鉛直下方又は水平に延びる場合と比較して、針状部材41を剥離シートBaと袋Bとの間に挿入させやすくすることができるとともに、針状部材41が袋Bを傷つけるのを回避することができる。
【0068】
また、本実施の形態に係る剥離方法は、対象物の一例である袋Bに貼り付けられた剥離シートBaを剥離する剥離方法であって、剥離シートBaの一部を袋Bから剥離すること(部分剥離工程)と、袋Bを吸引部Dと相対的に移動させながら、一部が袋Bから剥離した剥離シートBaを吸引部Dによって吸引することによって、剥離シートBaの全体を袋Bから剥離すること(全体剥離工程)とを含む。
【0069】
これにより、剥離シートBaの一部を袋Bから剥離させ、袋Bと吸引部Dとを相対的に移動させる簡素な構成で、剥離シートBaを剥離することができる。よって、簡素な構成で、袋B(対象物)に貼り付けられた剥離シートBaを剥離することができる。
【0070】
なお、本発明は、上述の実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上述の実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0071】
[付記1]
対象物に貼り付けられた剥離シートを剥離する剥離装置であって、
少なくとも先端部分が前記剥離シートと前記対象物との間に挿入される挿入部材と、
前記挿入部材を前記剥離シートと前記対象物との間に挿入するように前記挿入部材と前記対象物とを相対的に移動させる移動機構と
を備えることを特徴とする剥離装置。
【0072】
[付記2]
前記挿入部材は、針状部材である
ことを特徴とする付記1記載の剥離装置。
【0073】
[付記3]
前記挿入部材が固定された吊り下げ部と、
前記吊り下げ部の上部を支持し、当該吊り下げ部を、前記挿入部材と前記対象物との相対移動方向へ揺動可能に吊り下げる支持部と
を更に備えることを特徴とする付記1記載の剥離装置。
【0074】
[付記4]
前記吊り下げ部に位置調整可能に固定される重りを更に備えることを特徴とする付記3記載の剥離装置。
【0075】
[付記5]
前記挿入部材は、前記先端部分に向かって斜め下方に延びる
ことを特徴とする付記1から4のいずれか記載の剥離装置。
【0076】
[付記6]
対象物に貼り付けられた剥離シートを剥離する剥離方法であって、
前記剥離シートの一部を前記対象物から剥離し、
前記対象物を吸引部と相対的に移動させながら、一部が前記対象物から剥離した前記剥離シートを前記吸引部によって吸引することによって、前記剥離シートの全体を前記対象物から剥離する
ことを特徴とする剥離方法。
【符号の説明】
【0077】
1 封入封緘装置
10 用紙積載部
11 用紙積載プレート
12 サイドフェンス
13 プレート用アクチュエータ
14 スライダ
15 ガイド
20 袋開放部
21 袋積載プレート
22 上部吸引部
22a 吸引プレート
22b ファン
23 吸引部昇降用アクチュエータ
24 吸引部搬送用アクチュエータ
25 スライダ
26 ガイド
27 下部吸引部
30 挿入部
31 押圧部
32 押圧部用アクチュエータ
33 ガイド
34 挿入補助板
40 剥離装置
41 針状部材
41a 先端部分
42 吊り下げ部
43 重り
44 支持部
44a 支持ピン
45 針部水平移動用アクチュエータ
46 針部昇降用アクチュエータ
47 搬送ベルト
48 剥離台
48a 段差用プレート
49 アクチュエータプレート
60 封緘部
61 折り込み板
62 ヒンジ
63 折り込み板用アクチュエータ
64 アーム
65 スライダ
66 ガイド
67 変形補助板
70 制御部
80 操作部
100 封入封緘システム
101 印刷装置
102 排出口
B 袋
Ba 剥離シート
Bb 粘着部
D 吸引部
P 用紙