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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001987
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】表示方法及び表示プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/22 20240101AFI20231228BHJP
【FI】
G06Q50/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100887
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】雨宮 智
(72)【発明者】
【氏名】溝内 剛
(72)【発明者】
【氏名】多田 厚子
(72)【発明者】
【氏名】猪又 明大
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA00
(57)【要約】
【課題】リソースの過不足の判断に資する情報を提供することを課題とする。
【解決手段】表示方法では、第1のワークフローの指定を受け付け、第1のワークフローに複数のオブジェクトを適用することにより、第1のワークフローに含まれる要素のうち末尾の要素ごとに第1のワークフローの条件分岐の要素により割り振られるオブジェクトの数を計数し、第1のワークフローとは異なる第2のワークフローに複数のオブジェクトを適用することにより、第2のワークフローに含まれる要素のうち末尾の要素ごとに第2のワークフローの条件分岐の要素により割り振られるオブジェクトの数を計数し、第1のワークフロー及び第2のワークフローごとに、末尾の要素に関連付けて末尾の要素に割り振られるオブジェクトの数を表示する、処理をコンピュータが実行する。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のワークフローの指定を受け付け、
前記第1のワークフローに複数のオブジェクトを適用することにより、前記第1のワークフローに含まれる要素のうち末尾の要素ごとに前記第1のワークフローの条件分岐の要素により割り振られるオブジェクトの数を計数し、
前記第1のワークフローとは異なる第2のワークフローに前記複数のオブジェクトを適用することにより、前記第2のワークフローに含まれる要素のうち末尾の要素ごとに前記第2のワークフローの条件分岐の要素により割り振られるオブジェクトの数を計数し、
前記第1のワークフロー及び前記第2のワークフローごとに、前記末尾の要素に関連付けて前記末尾の要素に割り振られるオブジェクトの数を表示する、
処理をコンピュータが実行する表示方法。
【請求項2】
前記複数のオブジェクトに含まれるオブジェクトごとに、前記オブジェクトが前記第1のワークフローの先頭から末尾へ流れる第1の経路に対応する第1の記号列と、前記オブジェクトが前記第2のワークフローの先頭から末尾へ流れる第2の経路に対応する第2の記号列との距離を算出し、
前記オブジェクトごとに算出された距離に基づいて前記第1のワークフローおよび前記第2のワークフローの相違度を算出する、
処理を前記コンピュータがさらに実行し、
前記表示する処理は、前記相違度が所定の条件を満たす第2のワークフローを表示対象に含める、
処理を含む請求項1に記載の表示方法。
【請求項3】
前記表示する処理は、前記第1のワークフロー及び前記相違度が最小である第2のワークフローごとに、前記末尾の要素に関連付けて前記末尾の要素に割り振られるオブジェクトの数を表示する、
処理を含む請求項2に記載の表示方法。
【請求項4】
前記表示する処理は、ノードの要素間を接続するエッジの要素の表示形態を前記エッジの要素に割り振られるオブジェクトの数に応じて変更する、
処理を含む請求項1に記載の表示方法。
【請求項5】
前記表示する処理は、前記オブジェクトの数が上限を超える末尾の要素を他の末尾の要素の表示形態と異なる表示形態で表示する、
処理を含む請求項1に記載の表示方法。
【請求項6】
第1のワークフローの指定を受け付け、
前記第1のワークフローに複数のオブジェクトを適用することにより、前記第1のワークフローに含まれる要素のうち末尾の要素ごとに前記第1のワークフローの条件分岐の要素により割り振られるオブジェクトの数を計数し、
前記第1のワークフローとは異なる第2のワークフローに前記複数のオブジェクトを適用することにより、前記第2のワークフローに含まれる要素のうち末尾の要素ごとに前記第2のワークフローの条件分岐の要素により割り振られるオブジェクトの数を計数し、
前記第1のワークフロー及び前記第2のワークフローごとに、前記末尾の要素に関連付けて前記末尾の要素に割り振られるオブジェクトの数を表示する、
処理をコンピュータに実行させる表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示方法及び表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ワークフローの1つとして、医療、介護、行政などの様々な分野における施策フローの立案を支援する技術がある。例えば、省エネルギー施策の選択に対し、対象となる建物と設備情報の入力から、建物に導入可能な施策を検索する省エネルギー評価支援装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-27536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の省エネルギー評価支援装置などに代表される従来技術は、立案対象とする施策と関連し得る関連施策を検索するものに過ぎないので、必ずしもリソースの過不足の判断に資する情報を提供できるとは限らない側面がある。
【0005】
例えば、施策フローは、施策対象とされるヒトを施策フローに定められた条件分岐を通じて施策の目的を達成するためのサービスなどに割り振る側面がある。ところが、上記の関連施策は、立案対象とする施策との間で建物などの設備の規模や種類が類似するに過ぎない。このため、上記の関連施策の施策フローは、立案対象とする施策フローのサービスにヒトが割り振られる人数にサービス提供者等のリソースを適切に割り当てることができるか否かを判断するための指標として適切であるかどうかかは不明である。このような関連施策の施策フローが提示されたとしても、リソースの過不足を判断することは困難である。
【0006】
なお、ここでは、ワークフローの例として、施策フローを挙げ、ワークフローにより割り振られるオブジェクトの例として、ヒトを挙げたが、ワークフロー全般でヒト以外のオブジェクトが割り振られる場合にも同様の課題が生じ得る。
【0007】
1つの側面では、本発明は、リソースの過不足の判断に資する情報を提供できる表示方法及び表示プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一側面にかかる表示方法では、第1のワークフローの指定を受け付け、前記第1のワークフローに複数のオブジェクトを適用することにより、前記第1のワークフローに含まれる要素のうち末尾の要素ごとに前記第1のワークフローの条件分岐の要素により割り振られるオブジェクトの数を計数し、前記第1のワークフローとは異なる第2のワークフローに前記複数のオブジェクトを適用することにより、前記第2のワークフローに含まれる要素のうち末尾の要素ごとに前記第2のワークフローの条件分岐の要素により割り振られるオブジェクトの数を計数し、前記第1のワークフロー及び前記第2のワークフローごとに、前記末尾の要素に関連付けて前記末尾の要素に割り振られるオブジェクトの数を表示する、処理をコンピュータが実行する。
【発明の効果】
【0009】
リソースの過不足の判断に資する情報を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、サーバ装置の機能構成例を示すブロック図である。
図2図2は、原案フロー及び比較フローの表示例を示す図である。
図3図3は、原案フローの一例を示す図である。
図4図4は、住民データの一例を示す図である。
図5図5は、経路特定の一例を示す模式図である。
図6図6は、相違度の算出例を示す模式図である。
図7図7は、相違度の算出例を示す模式図である。
図8図8は、比較フローの一例を示す図である。
図9図9は、経路と頻度の関係の一例を示す図である。
図10図10は、比較フローの一例を示す図である。
図11図11は、経路と頻度の関係の一例を示す図である。
図12図12は、原案フロー及び比較フローの一例を示す図である。
図13図13は、原案フローの表示例を示す図である。
図14図14は、比較フローの表示例を示す図である。
図15図15は、表示処理の手順を示すフローチャートである。
図16図16は、ハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本願に係る表示方法及び表示プログラムの実施例について説明する。各実施例には、あくまで1つの例や側面を示すに過ぎず、このような例示により数値や機能の範囲、利用シーンなどは限定されない。そして、各実施例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【実施例0012】
<システム構成>
図1は、サーバ装置10の機能構成例を示すブロック図である。図1に示すサーバ装置10は、ワークフローの作成を支援する作成支援機能を提供するものである。
【0013】
サーバ装置10は、上記の作成支援機能を提供するコンピュータの一例である。例えば、サーバ装置10は、上記の作成支援機能をオンプレミスに提供するサーバとして実現できる。この他、サーバ装置10は、PaaS(Platform as a Service)型、あるいはSaaS(Software as a Service)型のアプリケーションとして実現することで、上記の作成支援機能をクラウドサービスとして提供できる。
【0014】
サーバ装置10は、図1に示すように、ネットワークNWを介して、クライアント端末30と通信可能に接続され得る。例えば、ネットワークNWは、有線または無線を問わず、インターネットやLAN(Local Area Network)などの任意の種類の通信網であってよい。なお、図1には、1つのサーバ装置10につき1つのクライアント端末30が接続される例を挙げたが、任意の台数のクライアント端末30が接続されることを妨げない。
【0015】
クライアント端末30は、上記の作成支援機能の提供を受けるコンピュータの一例に対応する。例えば、クライアント端末30は、パーソナルコンピュータを始め、スマートフォンやタブレット端末、ウェアラブル端末などの携帯端末装置により実現されてよい。
【0016】
なお、図1には、サーバ装置10が上記の作成支援機能をクライアント端末30に提供するサービスとしての利用シーンを例に挙げるが、これはあくまで一例に過ぎない。例えば、クライアント端末30上で動作するアプリケーションが上記の作成支援機能に対応する処理をクライアント端末30に実行させることにより、上記の作成支援機能がスタンドアロンで提供されてもよい。
【0017】
<施策フロー>
以下、ワークフローのあくまで一例として、施策フローを挙げ、ワークフローにより割り振られるオブジェクトのあくまで一例として、ヒトを挙げる。
【0018】
ここで、「施策フロー」とは、医療、介護、行政などの様々な分野で施策対象となるヒトを施策の目的を達成するためのサービスなどに割り振るものである。例えば、施策フローには、「条件分岐」や「介入」などの要素が含まれ得る。
【0019】
このうち、「条件分岐」は、施策対象となるヒトを条件により振り分ける要素に対応する。また、「介入」は、施策の目的を達成するためのサービスや対応策などが定められた要素に対応する。
【0020】
このように施策フローで割り振られるサービスは、医療サービス提供者により提供され得る。例えば、医療サービス提供者には、医師や看護師などの医療従事者を始め、保健師や健康推進課などの行政サービスの提供者が含まれてよい。
【0021】
このことから、施策フローを立案する場合、施策フローによりヒトが割り振られるサービスに医療サービス提供者などの人的リソースを適切に割り当てることができるか否かなどの視点が重要視される。
【0022】
<比較の重要性>
施策立案プロセスには、(A)課題の発見・整理、(B)政策立案・実施、(C)効果の検証・評価などが含まれる。このうち、施策立案は、(B)政策立案・実施に該当する。さらに、(B)政策立案・実施には、施策候補の策定、施策分析・比較、決定などのプロセスが含まれる。
【0023】
このような施策候補の策定では、4つの要件が挙げられる。例えば、1つ目として、既存の政策代替案をそのまま用いることが挙げられる。2つ目として、他の地域で実施された施策を流用し政策代替案とすることが挙げられる。3つ目として、一般的政策措置一覧を参考に考案することが挙げられる。4つ目として、全く新しい政策代替案を考案することが挙げられる。
【0024】
これら4つの要件に加え、行政的実行容易性の側面から、施策立案には、過去に類似した施策が行われているか否かが重要視されることが明らかであるので、原案の施策フローと既存施策の施策フローとを比較する重要性が増している。
【0025】
以下、原案の施策フローのことを「原案フロー」と記載すると共に、既存施策の施策フローのことを「比較フロー」と記載する場合がある。
【0026】
<課題の一側面>
上記の課題の欄で説明した通り、上記の省エネルギー評価支援装置などに代表される従来技術は、立案対象とする施策と関連し得る関連施策を検索するものに過ぎないので、必ずしもリソースの過不足の判断に資する情報を提供できるとは限らない側面がある。
【0027】
例えば、施策フローは、施策対象とされるヒトを施策フローに定められた条件分岐を通じて施策の目的を達成するためのサービスなどに割り振る側面がある。ところが、上記の関連施策は、立案対象とする施策との間で建物などの設備の規模や種類が類似するに過ぎない。このため、上記の関連施策の施策フローは、立案対象とする施策フローのサービスにヒトが割り振られる人数にサービス提供者等のリソースを適切に割り当てることができるか否かを判断するための指標として適切であるかどうかかは不明である。このような関連施策の施策フローが提示されたとしても、リソースの過不足を判断することは困難である。
【0028】
<課題解決アプローチの一側面>
そこで、本実施例に係る作成支援機能一環として、原案フローおよび比較フローで各々のサービスに割り振られるヒトの割り振り状況を可視化して表示する表示機能を提供する。
【0029】
図2は、原案フロー及び比較フローの表示例を示す図である。図2には、比較フローのあくまで一例として、原案フローf1の構造と類似する比較フローm1が例示されている。図2に示すように、上記の表示機能によれば、原案フローf1および比較フローm1が表示される。例えば、原案フローf1には、サービスZ1、Z2およびZ3ごとに条件分岐L1、L2およびL3によりヒトが割り振られる人数が表示されている。一方、比較フローm1には、サービスZ1、Z2、Z3およびZ4ごとに条件分岐L1、L2およびL3によりヒトが割り振られる人数が表示されている。
【0030】
これら原案フローf1および比較フローm1の間では、サービスZ1、Z2およびZ4が共通することが明らかである。さらに、サービスZ1およびZ4の各々に割り振られる人数が共通し、サービスZ2に割り振られる人数も10人分は共通する。このように、原案フローf1および比較フローm1の差が影響する人数は、全100人のうち10人であるので、比較フローm1が原案フローf1に近い施策フローであることが明らかである。
【0031】
このような比較フローm1は、原案フローf1のサービスZ1、Z2およびZ4に割り振られる人数に人的リソースを適切に割り当てることができるか否かを判断するための指標として適切であると言える。
【0032】
これら原案フローf1および比較フローm1を比較することにより、あくまで一例として、同一のサービスに割り振られる人数差からサービスに割り当てられる人的リソースの過不足を把握できる。
【0033】
例えば、原案フローf1により割り振られる人数が比較フローm1により割り振られる人数よりも多すぎるサービスでは、当該サービスに割り当てられる医療サービス提供者の負荷が増大したり、キャパシティを超えたりする可能性があることを把握できる。また、原案フローf1により割り振られる人数が比較フローm1により割り振られる人数よりも少なすぎるサービスでは、当該サービスに割り当てられる人的リソースに余剰があることを把握できる。
【0034】
したがって、本実施例に係る表示機能によれば、リソースの過不足の判断に資する情報を提供できる。
【0035】
<サーバ装置10の構成>
次に、本実施例に係るサーバ装置10の機能構成例について説明する。図1には、サーバ装置10が有する表示機能に関連するブロックが模式化されている。図1に示すように、サーバ装置10は、通信制御部11と、記憶部13と、制御部15とを有する。なお、図1には、上記の表示機能に関連する機能部が抜粋して示されているに過ぎず、図示以外の機能部がサーバ装置10に備わることとしてもよい。
【0036】
通信制御部11は、クライアント端末30などの他の装置との間の通信を制御する機能部である。あくまで一例として、通信制御部11は、LANカードなどのネットワークインタフェイスカードにより実現され得る。1つの側面として、通信制御部11は、クライアント端末30から比較フローの探索リクエストを受け付けたり、あるいは原案フローおよび比較フローにおけるサービスへのヒトの割り振り状況が可視化された表示データなどをクライアント端末30へ出力したりする。
【0037】
記憶部13は、各種のデータを記憶する機能部である。あくまで一例として、記憶部13は、サーバ装置10の内部、外部または補助のストレージにより実現される。例えば、記憶部13は、住民データ13Aと、フローデータ13Bとを記憶する。なお、住民データ13Aおよびフローデータ13Bの説明は、参照、生成または登録が実行される場面で併せて説明することとする。
【0038】
制御部15は、サーバ装置10の全体制御を行う機能部である。例えば、制御部15は、ハードウェアプロセッサにより実現され得る。この他、制御部15は、ハードワイヤードロジックにより実現されてもよい。図1に示すように、制御部15は、受付部16と、探索部17と、表示部18とを有する。
【0039】
受付部16は、クライアント端末30から各種のリクエストを受け付ける処理部である。あくまで一例として、受付部16は、クライアント端末30から比較フローの探索リクエストを受け付けることができる。
【0040】
このようなリクエストを受け付ける場合、受付部16は、比較フローの検索に用いる原案フローの指定なども受け付けることができる。1つの側面として、受付部16は、クライアント端末30から原案フローをネットワークNWを介して受け付けることができる。他の側面として、受付部16は、記憶部13に記憶されたフローデータ13Bに含まれる施策フローの中から原案フローの指定を受け付けることもできる。更なる側面として、受付部16は、図示しないデータベースサーバやファイルシステムなどに記憶された施策フローの中から指定を受け付けることもできる。
【0041】
図3は、原案フローの一例を示す図である。図3には、原案フローの一例として、慢性腎臓病CKD(Chronic Kidney Disease)の診療フォローに関する施策フローが例示されている。
【0042】
このような施策フローは、腎症重症化予防事業に基づいて専門部会により作成され得る。例えば、専門部会には、腎臓専門医、糖尿専門医、保健師、市の健康推進課/健康政策課などの人員が含まれてよい。
【0043】
図3に示すように、施策フローf11は、条件分岐L1、L2、L3およびL4を通じて住民をサービス「腎臓専門医」、「糖尿専門医」、「保険指導」または「介入なし」へ割り振る。
【0044】
例えば、条件分岐L1の判断がYESであり、条件分岐L2の判断がNO(非糖尿性)である場合、住民が腎臓専門医によるサービスへ割り振られる。また、条件分岐L1の判断がYESであり、条件分岐L2の判断がYES(糖尿性)であり、かつ条件分岐L3の判断がNOである場合、住民が糖尿専門医によるサービスへ割り振られる。また、条件分岐L1の判断がYESであり、条件分岐L2の判断がYES(糖尿性)であり、条件分岐L3の判断がYESである場合、かつ条件分岐L4の判断がYESである場合、住民が保険指導のサービスへ割り振られる。また、条件分岐L1の判断がYESであり、条件分岐L2の判断がYES(糖尿性)であり、条件分岐L3の判断がYESである場合、かつ条件分岐L4の判断がNOである場合、介入なしとし、特定のサービスには割り振られない。
【0045】
このような施策フローf11には、腎臓専門医の負担増加、保険指導をしても住民が来てくれないなどといった課題がある。その一方で、施策フローf11の立案には、実行容易性の側面から、なるべく既存施策に近い施策で、手間のかからない方法で実現する必要もある。
【0046】
探索部17は、原案フローと類似する比較フローを探索する処理部である。あくまで一例として、探索部17は、受付部16により上記の探索リクエストが受け付けられた場合、住民データ、原案フローおよびM個の比較フローを取得する。
【0047】
より詳細には、探索部17は、記憶部13に記憶された住民データ13Aを取得する。ここで、住民データ13Aは、住民ごとに当該住民に関する個人情報が対応付けられたデータである。図4は、住民データ13Aの一例を示す図である。図4には、住民の個人情報として、健康診断の結果が例示されている。図4に示すように、住民データ13Aには、利用者番号、検診実施年月日、血糖値、尿たんぱく、eGFR、喫煙有無および30分運動習慣などの項目が含まれ得る。ここで言う「利用者番号」は、利用者に対応する住民の識別情報の一例に対応する。また、「検診実施年月日」は、住民の健康診断が実施された年月日である。また、「血糖値」、「eGFR」、「喫煙有無」および「30分運動習慣」は、健康診断で実施される検査項目に対応し、例えば、「血糖値」、「eGFR」および「喫煙有無」の結果は数値で格納される一方で、「喫煙有無」および「30分運動習慣」は、有無に対応する2値のフラグが格納される。このような健康診断の結果に基づいて施策フローや比較フローの条件分岐の判定が実行されることにより、施策フローや比較フローの各フローのサービスへ住民を割り振ることができる。
【0048】
さらに、探索部17は、上記の探索リクエストで指定された原案フローを取得する。さらに、探索部17は、記憶部13に記憶されたフローデータ13Bに含まれる施策フローの中からM(自然数)個の比較フローを取得する。ここで、フローデータ13Bは、施策フローが収集されたデータベースであってよい。このようなフローデータ13Bには、過去に立案された施策フローが収集されてよい。例えば、フローデータ13Bには、クライアント端末30のユーザ、すなわち上記の表示機能のユーザの一例である施策立案者が属する部署以外の部署で作成された施策フロー、施策立案者が属する地域以外の他の地域で作成された施策フローなどが含まれてよい。このようなフローデータ13Bから比較フローが取得される場合、フローデータ13Bに含まれる全ての施策フローを取得することもできれば、既存技術を用いて原案フローの施策と類似する類似施策の施策フローに絞り込んで比較フローを取得することもできる。
【0049】
これら住民データ、原案フローおよびM個の比較フローが取得された後、探索部17は、M個の比較フローごとにK名の住民に対応する回数の分、次のような処理を実行する。すなわち、探索部17は、住民データ13Aのうち住民kのエントリと、原案フローfおよび比較フローmの条件分岐とを照合することにより、住民kが条件分岐により割り振られるフロー上の経路を原案フローfおよび比較フローmごとに特定する。
【0050】
図5は、経路特定の一例を示す図である。図5には、施策フローの例として、原案フローfが示されると共に、住民の例として、Aさん、Bさん、・・・、Kさんが示されている。
【0051】
図5に示すように、原案フローfの要素、例えば条件分岐やサービスなどは、記号に変換される。あくまで一例として、原案フローfの要素に含まれるテキストをハッシュ変換することにより、原案フローfの要素を記号へ変換することができる。
【0052】
このように原案フローfの要素が記号に変換された後、原案フローfの上流から順に原案フローfの要素を探索する。このとき、要素が条件分岐である場合、住民kの健康診断の結果のうち条件分岐に設定された条件に関連する情報、例えば数値やフラグが条件分岐の条件を満たすか否かにより、分岐先の進路を識別する。このような探索が原案フローfのエンドポイントまで繰り返されることにより、住民kが原案フローf上で流れる要素の連なりが記号列として得られる。
【0053】
例えば、住民のAさんの例で言えば、記号列「L1L2L3Z1」が得られる。さらに、住民のBさんの例で言えば、記号列「L1L2Z3」が得られる。さらに、住民のKさんの例で言えば、記号列「L1L2L3Z1」が得られる。
【0054】
なお、図5には、原案フローfにより住民kが条件分岐により割り振られるフロー上の経路を特定する例を挙げたが、比較フローmにより住民kが条件分岐により割り振られるフロー上の経路も同様にして特定できる。
【0055】
図1の説明に戻り、探索部17は、計数部17Aと、算出部17Bとを有する。
【0056】
計数部17Aは、原案フローおよび比較フローで各々の経路に割り振られる住民の人数を計数する処理部である。例えば、図5に示す例で言えば、記号列「L1L2L3Z1」、記号列「L1L2L3Z2」および記号列「L1L2Z3」の3つの経路のうち、住民が割り振られた経路における住民の人数を計数するカウンタをインクリメントする。住民「Aさん」の例で言えば、記号列「L1L2L3Z1」に対応する経路のカウンタがインクリメントされる。さらに、住民「Bさん」の例で言えば、記号列「L1L2Z3」に対応する経路のカウンタがインクリメントされる。さらに、住民「Kさん」の例で言えば、記号列「L1L2L3Z1」に対応する経路のカウンタがインクリメントされる。
【0057】
算出部17Bは、原案フローfおよび比較フローmの間で相違度を算出する処理部である。あくまで一例として、算出部17Bは、原案フローfおよび比較フローmの間で住民kが割り振られた経路に対応する記号列の距離を算出する。このようにK名の住民ごとに算出された距離の統計値、例えば平均値や合計値などを計算することにより、原案フローfおよび比較フローmの間の相違度を算出できる。
【0058】
図6は、相違度の算出例を示す模式図である。図6には、施策フローの例として、図5に示す原案フローfが示されると共に、比較フローm1が示されている。さらに、図6には、住民の例として、Aさん、Bさん、・・・、Kさんが示されている。
【0059】
例えば、住民のAさんの場合、原案フローfによりAさんが割り振られた経路に対応する記号列「L1L2L3Z1」と、比較フローm1によりAさんが割り振られた経路に対応する記号列「L1L2L4Z5」との距離が算出される。
【0060】
これら記号列の距離の算出には、あくまで一例として、2つの文字列の距離を定義するレーベンシュタイン距離を用いることができる。すなわち、一方の文字列に「挿入」、「削除」、「置換」などの編集処理を繰り返すことにより、他方の文字列へ変換されるまでの最小回数がレーベンシュタイン距離となる。
【0061】
あくまで一例として、編集処理のうち「挿入」および「削除」を許可する一方で「置換」を禁止するとしたとき、住民のAさんの原案フローfおよび比較フローm間の記号列の距離は次のように求まる。
【0062】
すなわち、1回目の編集処理として、記号列「L1L2L3Z1」に記号「L4」を挿入する。これにより、記号列「L1L2L3Z1L4」へ編集される。次に、2回目の編集処理として、記号列「L1L2L3Z1L4」から記号「Z1」を削除する。これにより、記号列「L1L2L3L4」へ編集される。次に、3回目の編集処理として、記号列「L1L2L3L4」から記号「L3」を削除する。これにより、記号列「L1L2L4」へ編集される。最後に、4回目の編集処理として、記号列「L1L2L4」に記号「Z5」を挿入する。これにより、記号列「L1L2L4Z5」へ編集される。以上の4回の編集処理により、記号列「L1L2L3Z1」が記号列「L1L2L4Z5」へ編集されるので、レーベンシュタイン距離は「4.0」と算出される。なお、編集処理の「置換」が許可される場合、最小編集距離は「2」となる。
【0063】
このようにK名の住民ごとに原案フローfにより割り振られる経路の記号列および比較フローm1により割り振られる経路の記号列の間の距離が算出される。その上で、K名の住民ごとに算出された記号列の距離の統計値、例えば平均値を計算することにより、相違度「2.34」が算出される。
【0064】
このような相違度によれば、原案フローfおよび比較フローmにおけるヒトの流れを記号列化し、記号列の距離から相違度が算出される。このため、原案フローfおよび比較フローmの間のグラフ構造の類似性のみならず、原案フローfおよび比較フローmの間のヒトの流れの類似性を相違度の値に反映できる。
【0065】
図7は、相違度の算出例を示す模式図である。図7には、施策フローの例として、図5に示す原案フローfが示されると共に、比較フローm2および比較フローm3が示されている。
【0066】
図7に示すように、原案フローfおよび比較フローm2の間で全住民100名の経路を比較する。この場合、原案フローfおよび比較フローm2の間では、住民の80名が記号列「L1L2L3Z1」および記号列「L1L2Z4」を経路とし、住民の10名が記号列「L1L2L3Z2」を経路とする点が重複する。これら90名の距離はゼロとなるので、残りの10名の距離が相違度に影響する。すなわち、原案フローfの記号列「L1L2L3Z2」と、比較フローm2の記号列「L1L2L3Z3」との距離「1」の10名合計値「10」が全100名分で除算されることにより、相違度「0.1」が算出される。
【0067】
一方、原案フローfおよび比較フローm3の間で全住民100名の経路を比較する。この場合、原案フローfおよび比較フローm3の間では、住民の50名が記号列「L1L2L3Z1」および記号列「L1L2L3Z2」を経路とする点が重複する。これら50名の距離はゼロとなるので、残りの50名の距離が相違度に影響する。すなわち、原案フローfの記号列「L1L2Z4」と、比較フローm3の記号列「L1L2L4Z3」との距離「1.0」の10名分の合計値「10」が得られる。さらに、原案フローfの記号列「L1L2Z4」と、比較フローm3の記号列「L1L2L4L5Z4」との距離「2.0」の20名分の合計値「40」が得られる。さらに、原案フローfの記号列「L1L2Z4」と、比較フローm3の記号列「L1L2L4L5Z5」との距離「2.0」の20名分の合計値「40」が得られる。これら50名分の距離の合計値「90」が全100名分で除算されることにより、相違度「0.9」が算出される。
【0068】
このように、原案フローfおよび比較フローm2の間では、ヒトの流れの大部分、すなわち9割が共通するので、相違度を低く算出できる。その一方で、原案フローfおよび比較フローm3の間では、半数の50名のヒトの流れが異なるので、相違度を高く算出できる。
【0069】
さらに、比較フローmに含まれる経路のうちヒトの流れの頻度が閾値以下である経路、あるいはヒトの流れの頻度がサービスに設定されたキャパシティを超える経路が存在する場合、当該比較フローmを表示対象から除外できる。
【0070】
図8は、比較フローの一例を示す図である。図9は、経路と頻度の関係の一例を示す図である。図8に示す比較フローm2には、記号列「L1L2L3Z1」、記号列「L1L2L3Z2」、記号列「L1L2L3Z3」および記号列「L1L2Z4」の4つの経路が含まれる。これら4つの経路で住民が振り分けられる頻度は、図9に示す通りとなる。図9には、サービスZ1、Z2、Z3およびZ4の4つのサービスごとに当該サービスのキャパシティが破線で示されている。図9に示す例で言えば、住民が振り分けられる頻度がゼロ付近の経路が存在せず、かつ住民が振り分けられる頻度がキャパシティを超える経路も存在しない。このため、比較フローm2は表示対象から除外されない。
【0071】
図10は、比較フローの一例を示す図である。図11は、経路と頻度の関係の一例を示す図である。図10に示す比較フローm3には、記号列「L1L2L3Z1」、記号列「L1L2L3Z2」、記号列「L1L2L3Z3」、記号列「L1L2L4L5Z4」および記号列「L1L2L4L5Z5」の5つの経路が含まれる。これら5つの経路で住民が振り分けられる頻度は、図11に示す通りとなる。図11には、サービスZ1、Z2、Z3、Z4およびZ5の5つのサービスごとに当該サービスのキャパシティが破線で示されている。図11に示す例で言えば、記号列「L1L2L3Z1」の経路は、キャパシティを超える。さらに、記号列「L1L2L4L5Z4」および記号列「L1L2L4L5Z5」の経路に住民が振り分けられる頻度がゼロ付近である。このため、比較フローm3は表示対象から除外できる。
【0072】
さらに、原案フローfおよび比較フローmにおけるヒトの流れを記号列化し、記号列の距離から相違度を算出する。このため、原案フローfおよび比較フローmの間で構造が異なる度合いが大きくなるに従って大きい相違度が算出される結果、構造が異なる度合いが大きい比較フローmが表示対象として選択される可能性を低減できる。
【0073】
図12は、原案フロー及び比較フローの一例を示す図である。図12に示すように、原案フローfには、記号列「L1L2L3Z1」、記号列「L1L2L3Z2」および記号列「L1L2L3Z3」の経路が含まれる。一方、比較フローm4には、記号列「L1L2・・・Z1」、記号列「L1L2・・・Z2」、記号列「L1L2・・・Z3」、記号列「L1L2・・・Z4」などの経路が含まれる。これら原案フローfおよび比較フローm4を比較すると、比較フローm4に含まれる経路の記号列は、原案フローfに含まれる経路の記号列に比べて長くなる。このため、原案フローfおよび比較フローm4の相違度も増大する。このため、比較フローm4が表示対象として選択される可能性を低減できる。
【0074】
このようにM個の比較フローごとに原案フローfおよび比較フローmの間の相違度が算出された後、探索部17は、あくまで一例として、M個の比較フローのうち相違度が最小である比較フローを表示対象として抽出する。
【0075】
なお、ここでは、あくまで一例として、相違度が最小である比較フローを表示対象として抽出する例を挙げるが、これに限定されない。例えば、相違度が小さいものから順に所定数の比較フローを表示対象として抽出することができる。この他、比較フローを相違度の昇順にソートし、ソートされた比較フローのリストから表示対象とする比較フローの指定を受け付けることもできる。
【0076】
表示部18は、クライアント端末30に対する各種の表示を実行する処理部である。あくまで一例として、表示部18は、上記の探索リクエストで指定された原案フローf及び探索部17により抽出された比較フローmごとに各サービスに割り振られる住民の割り振り状況が可視化された表示用データを生成してクライアント端末30に表示させる。
【0077】
図13は、原案フローの表示例を示す図である。図14は、比較フローの表示例を示す図である。ここで、図13の条件分岐について補足しておく。図13に示す条件分岐L1には、eGFRが50未満であるか、あるいは尿蛋白2++以上であるか?という条件が設定される。また、図13に示す条件分岐L2には、糖尿病性であるか?という条件が設定される。また、図13に示す条件分岐L3には、すでに通院中であるか?という条件が設定される。また、図13に示す条件分岐L4には、保険指導を希望するか?という条件が設定される。
【0078】
図13及び図14に示すように、原案フローfおよび比較フローm5では、各サービスに割り振られる住民の人数が棒グラフで表示されている。ここでは、住民の人数が棒グラフで表示される例を挙げるが、住民の人数は数値で表示されてもよいし、レベルで表示されてもよいし、アイコンなどの記号で表示されてもよく、特定の表示形態に限定されない。このようなサービス別の人数表示により、原案フローfおよび比較フローm5の間で同一のサービスに割り振られる住民の人数差を視認させることができるので、医療サービス提供者等の人的リソースの過不足の判断に資する情報を提供できる。
【0079】
さらに、図13及び図14に示すように、原案フローfおよび比較フローm5では、ノードの要素間を接続するエッジの表示形態が当該エッジに振り分けられる住民の人数に応じて変更してされている。例えば、エッジに振り分けられる住民の人数が多くなるに従ってエッジの幅が太く表示される一方で、エッジに振り分けられる住民の人数が少なくなるに従ってエッジの幅が細く表示されている。このようなエッジの区別表示により、過剰な人流および過少な人流をエッジ単位で把握できるので、人的リソースの過不足の判断に加え、条件分岐の妥当性の判断に資する情報を提供できる。
【0080】
さらに、図13に示すように、原案フローfでは、原案フローfおよび比較フローm5の間で住民の人数差が閾値以上であるサービス、もしくは住民の人数がキャパシティを超えるサービスが他のサービスの表示形態と異なる表示形態で表示される。例えば、図13に示す糖尿専門医によるサービスのように、棒グラフの輪郭の強調表示40を実行したり、さらには、警告を促すアラート表示41を実行したりする。このような原案フローfの強調表示40やアラート表示41の一方で、比較フローm5で同一のサービスがキャパシティを超えない場合、当該サービスには、住民の割り振りが専門医リソースを満たすOKマーク60が表示される。
【0081】
さらに、図14に示すように、比較フローm5では、原案フローfおよび比較フローm5の間で互いに対応する要素のうち要素が定義されるテキストが完全一致でなく、当該テキストの類似度が閾値以上である要素が他の要素と異なる表示形態で表示される。例えば、原案フローfの条件分岐L1に対応する要素および保険指導に対応する要素がハッチングで表示される。このような比較フローm5のハッチング表示により、原案フローfに対する比較フローm5の部分的な差分が提示されるので、原案フローfに対する改善点を示唆できる場合がある。例えば、原案フローfの条件分岐L1からの差分が提示されることで、専門医に診療してもらえる住民を抑えることの重要性に気付くモチベーションを与えることができる。また、原案フローfのサービス「保険指導」と、比較フローm5のサービス「オンライン保険指導」とが比較されることで、より多人数の保険指導を実現する側面から保険指導のオンライン化の重要性に気付くモチベーションを与えることができる。
【0082】
<処理の流れ>
図15は、表示処理の手順を示すフローチャートである。あくまで一例として、図15に示すように、クライアント端末30から比較フローの探索リクエストを受け付けた場合(ステップS101)、開始され得る。
【0083】
続いて、探索部17は、記憶部13に記憶された住民データ13Aを取得する(ステップS102)。さらに、探索部17は、上記の探索リクエストで指定された原案フローを取得する(ステップS103)。さらに、探索部17は、記憶部13に記憶されたフローデータ13Bに含まれる施策フローの中からM個の比較フローを取得する(ステップS104)。
【0084】
これらステップS102~ステップS104の処理は、必ずしもステップ番号の順に実行されずともよく、順不同、あるいは並列に実行できる。
【0085】
そして、探索部17は、M個の比較フローごとにK名の住民に対応する回数の分、下記のステップS105から下記のステップS108までの処理を反復するループ処理1およびループ処理2を実行する。なお、ステップS105から下記のステップS108までの処理は、必ずしも反復して実行されずともよく、並列に実行できる。
【0086】
すなわち、探索部17は、ステップS102で取得された住民データ13Aのうち住民kのエントリと、原案フローfおよび比較フローmの条件分岐とを照合する。これにより、探索部17は、住民kが条件分岐により割り振られるフロー上の経路を原案フローfおよび比較フローmごとに特定する(ステップS105)。
【0087】
続いて、計数部17Aは、ステップS105で住民kが割り振られるフロー上の経路に対応する住民の人数のカウンタを原案フローfおよび比較フローmごとにインクリメントする(ステップS106)。
【0088】
その後、算出部17Bは、原案フローfおよび比較フローmごとに住民kが割り振られた経路に対応する記号列の距離を算出する(ステップS107)。その上で、算出部17Bは、ステップS107で算出された住民kの記号列の距離をこれまでの合計値に累積加算する(ステップS108)。
【0089】
このようなループ処理2が反復されることにより、住民kごとに当該住民kが割り振られるフロー上の経路が原案フローfおよび比較フローmごとに得られると共に、全K名の住人の記号列の距離の合計値が得られる。例えば、合計値をK名で除算することにより、原案フローfおよび比較フローmの相違度が算出される。
【0090】
さらに、ループ処理1が反復されることにより、M個の比較フローごとに原案フローfおよび比較フローmの相違度が算出される。
【0091】
その後、探索部17は、M個の比較フローのうち相違度が最小である比較フローを抽出する(ステップS109)。そして、表示部18は、上記の探索リクエストで指定された原案フローf及びステップS109で抽出された比較フローmごとに各サービスに割り振られる住民の割り振り状況が可視化された表示用データをクライアント端末30に表示させ(ステップS110)、処理を終了する。
【0092】
<効果の一側面>
上述してきたように、本実施例に係るサーバ装置10は、原案フローおよび比較フローで各々のサービスに割り振られるヒトの割り振り状況を可視化して表示する。したがって、本実施例に係るサーバ装置10によれば、原案フローfおよび比較フローm5の間で同一のサービスに割り振られるヒトの人数差を視認させることができるので、リソースの過不足の判断に資する情報を提供できる。
【実施例0093】
さて、これまで開示の装置に関する実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下では、本発明に含まれる他の実施例を説明する。
【0094】
<施策フロー以外への適用>
上記の実施例1では、ワークフローの例として、施策フローを例に挙げたが、これはあくまで一例であって、施策フロー以外のワークフロー全般に図15に示す処理を同様に適用できる。さらに、ワークフローに適用されるオブジェクトとして、ヒトを例に挙げたが、オブジェクトはヒト以外のモノ、例えば製品などであってもよい。
【0095】
<分散および統合>
また、図示した各装置の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されておらずともよい。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、受付部16、探索部17または表示部18をサーバ装置10の外部装置としてネットワーク経由で接続するようにしてもよい。また、受付部16、探索部17または表示部18を別の装置がそれぞれ有し、ネットワーク接続されて協働することで、サーバ装置10の機能を実現するようにしてもよい。また、記憶部13に記憶される住民データ13Aまたはフローデータ13Bの全部または一部を別の装置がそれぞれ有し、ネットワーク接続されて協働することで、サーバ装置10の機能を実現するようにしてもかまわない。
【0096】
<ハードウェア構成>
また、上記の実施例で説明した各種の処理は、予め用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することによって実現することができる。そこで、以下では、図16を用いて、実施例1及び実施例2と同様の機能を有する表示プログラムを実行するコンピュータの一例について説明する。
【0097】
図16は、ハードウェア構成例を示す図である。図16に示すように、コンピュータ100は、操作部110aと、スピーカ110bと、カメラ110cと、ディスプレイ120と、通信部130とを有する。さらに、このコンピュータ100は、CPU150と、ROM160と、HDD170と、RAM180とを有する。これら110~180の各部はバス140を介して接続される。
【0098】
HDD170には、図16に示すように、上記の実施例1で示された受付部16、探索部17および表示部18と同様の機能を発揮する表示プログラム170aが記憶される。この表示プログラム170aは、図1に示す受付部16、探索部17および表示部18の各構成要素と同様、統合又は分離してもよい。すなわち、HDD170には、必ずしも上記の実施例1で示した全てのデータが格納されずともよく、処理に用いるデータがHDD170に格納されればよい。
【0099】
このような環境の下、CPU150は、HDD170から表示プログラム170aを読み出した上でRAM180へ展開する。この結果、表示プログラム170aは、図16に示すように、表示プロセス180aとして機能する。この表示プロセス180aは、RAM180が有する記憶領域のうち表示プロセス180aに割り当てられた領域にHDD170から読み出した各種データを展開し、展開された各種データを用いて各種の処理を実行する。例えば、表示プロセス180aが実行する処理の一例として、図15に示す処理などが含まれ得る。なお、CPU150では、必ずしも上記の実施例1で示した全ての処理部が動作せずともよく、実行対象とする処理に対応する処理部が仮想的に実現されればよい。
【0100】
なお、上記の表示プログラム170aは、必ずしも最初からHDD170やROM160に記憶されておらずともかまわない。例えば、コンピュータ100に挿入されるフレキシブルディスク、いわゆるFD、CD-ROM、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」に表示プログラム170aを記憶させる。そして、コンピュータ100がこれらの可搬用の物理媒体から表示プログラム170aを取得して実行するようにしてもよい。また、公衆回線、インターネット、LAN、WANなどを介してコンピュータ100に接続される他のコンピュータまたはサーバ装置などに表示プログラム170aを記憶させておく。このように記憶された表示プログラム170aをコンピュータ100にダウンロードさせた上で実行させるようにしてもよい。
【0101】
以上の実施例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0102】
(付記1)第1のワークフローの指定を受け付け、
前記第1のワークフローに複数のオブジェクトを適用することにより、前記第1のワークフローに含まれる要素のうち末尾の要素ごとに前記第1のワークフローの条件分岐の要素により割り振られるオブジェクトの数を計数し、
前記第1のワークフローとは異なる第2のワークフローに前記複数のオブジェクトを適用することにより、前記第2のワークフローに含まれる要素のうち末尾の要素ごとに前記第2のワークフローの条件分岐の要素により割り振られるオブジェクトの数を計数し、
前記第1のワークフロー及び前記第2のワークフローごとに、前記末尾の要素に関連付けて前記末尾の要素に割り振られるオブジェクトの数を表示する、
処理をコンピュータが実行する表示方法。
【0103】
(付記2)前記複数のオブジェクトに含まれるオブジェクトごとに、前記オブジェクトが前記第1のワークフローの先頭から末尾へ流れる第1の経路に対応する第1の記号列と、前記オブジェクトが前記第2のワークフローの先頭から末尾へ流れる第2の経路に対応する第2の記号列との距離を算出し、
前記オブジェクトごとに算出された距離に基づいて前記第1のワークフローおよび前記第2のワークフローの相違度を算出する、
処理を前記コンピュータがさらに実行し、
前記表示する処理は、前記相違度が所定の条件を満たす第2のワークフローを表示対象に含める、
処理を含む付記1に記載の表示方法。
【0104】
(付記3)前記表示する処理は、前記第1のワークフロー及び前記相違度が最小である第2のワークフローごとに、前記末尾の要素に関連付けて前記末尾の要素に割り振られるオブジェクトの数を表示する、
処理を含む付記2に記載の表示方法。
【0105】
(付記4)前記距離は、レーベンシュタイン距離である、
ことを特徴とする付記2に記載の表示方法。
【0106】
(付記5)前記表示する処理は、ノードの要素間を接続するエッジの要素の表示形態を前記エッジの要素に割り振られるオブジェクトの数に応じて変更する、
処理を含む付記1に記載の表示方法。
【0107】
(付記6)前記表示する処理は、前記オブジェクトの数が上限を超える末尾の要素を他の末尾の要素の表示形態と異なる表示形態で表示する、
処理を含む付記1に記載の表示方法。
【0108】
(付記7)第1のワークフローの指定を受け付け、
前記第1のワークフローに複数のオブジェクトを適用することにより、前記第1のワークフローに含まれる要素のうち末尾の要素ごとに前記第1のワークフローの条件分岐の要素により割り振られるオブジェクトの数を計数し、
前記第1のワークフローとは異なる第2のワークフローに前記複数のオブジェクトを適用することにより、前記第2のワークフローに含まれる要素のうち末尾の要素ごとに前記第2のワークフローの条件分岐の要素により割り振られるオブジェクトの数を計数し、
前記第1のワークフロー及び前記第2のワークフローごとに、前記末尾の要素に関連付けて前記末尾の要素に割り振られるオブジェクトの数を表示する、
処理をコンピュータに実行させる表示プログラム。
【0109】
(付記8)前記複数のオブジェクトに含まれるオブジェクトごとに、前記オブジェクトが前記第1のワークフローの先頭から末尾へ流れる第1の経路に対応する第1の記号列と、前記オブジェクトが前記第2のワークフローの先頭から末尾へ流れる第2の経路に対応する第2の記号列との距離を算出し、
前記オブジェクトごとに算出された距離に基づいて前記第1のワークフローおよび前記第2のワークフローの相違度を算出する、
処理を前記コンピュータにさらに実行させ、
前記表示する処理は、前記相違度が所定の条件を満たす第2のワークフローを表示対象に含める、
処理を含む付記7に記載の表示プログラム。
【0110】
(付記9)前記表示する処理は、前記第1のワークフロー及び前記相違度が最小である第2のワークフローごとに、前記末尾の要素に関連付けて前記末尾の要素に割り振られるオブジェクトの数を表示する、
処理を含む付記8に記載の表示プログラム。
【0111】
(付記10)前記距離は、レーベンシュタイン距離である、
ことを特徴とする付記8に記載の表示プログラム。
【0112】
(付記11)前記表示する処理は、ノードの要素間を接続するエッジの要素の表示形態を前記エッジの要素に割り振られるオブジェクトの数に応じて変更する、
処理を含む付記7に記載の表示プログラム。
【0113】
(付記12)前記表示する処理は、前記オブジェクトの数が上限を超える末尾の要素を他の末尾の要素の表示形態と異なる表示形態で表示する、
処理を含む付記7に記載の表示プログラム。
【0114】
(付記13)第1のワークフローの指定を受け付け、
前記第1のワークフローに複数のオブジェクトを適用することにより、前記第1のワークフローに含まれる要素のうち末尾の要素ごとに前記第1のワークフローの条件分岐の要素により割り振られるオブジェクトの数を計数し、
前記第1のワークフローとは異なる第2のワークフローに前記複数のオブジェクトを適用することにより、前記第2のワークフローに含まれる要素のうち末尾の要素ごとに前記第2のワークフローの条件分岐の要素により割り振られるオブジェクトの数を計数し、
前記第1のワークフロー及び前記第2のワークフローごとに、前記末尾の要素に関連付けて前記末尾の要素に割り振られるオブジェクトの数を表示する、
処理を実行する制御部を含む情報処理装置。
【0115】
(付記14)前記複数のオブジェクトに含まれるオブジェクトごとに、前記オブジェクトが前記第1のワークフローの先頭から末尾へ流れる第1の経路に対応する第1の記号列と、前記オブジェクトが前記第2のワークフローの先頭から末尾へ流れる第2の経路に対応する第2の記号列との距離を算出し、
前記オブジェクトごとに算出された距離に基づいて前記第1のワークフローおよび前記第2のワークフローの相違度を算出する、
処理を前記制御部がさらに実行し、
前記表示する処理は、前記相違度が所定の条件を満たす第2のワークフローを表示対象に含める、
処理を含む付記13に記載の情報処理装置。
【0116】
(付記15)前記表示する処理は、前記第1のワークフロー及び前記相違度が最小である第2のワークフローごとに、前記末尾の要素に関連付けて前記末尾の要素に割り振られるオブジェクトの数を表示する、
処理を含む付記14に記載の情報処理装置。
【0117】
(付記16)前記距離は、レーベンシュタイン距離である、
ことを特徴とする付記14に記載の情報処理装置。
【0118】
(付記17)前記表示する処理は、ノードの要素間を接続するエッジの要素の表示形態を前記エッジの要素に割り振られるオブジェクトの数に応じて変更する、
処理を含む付記13に記載の情報処理装置。
【0119】
(付記18)前記表示する処理は、前記オブジェクトの数が上限を超える末尾の要素を他の末尾の要素の表示形態と異なる表示形態で表示する、
処理を含む付記13に記載の情報処理装置。
【符号の説明】
【0120】
10 サーバ装置
11 通信制御部
13 記憶部
13A 住民データ
13B フローデータ
15 制御部
16 受付部
17 探索部
17A 計数部
17B 算出部
18 表示部
30 クライアント端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16