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特開2024-19879処理装置、処理プログラム及び処理方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019879
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】処理装置、処理プログラム及び処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/04817 20220101AFI20240206BHJP
   H04M 1/24 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
G06F3/04817
H04M1/24 B
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122625
(22)【出願日】2022-08-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】312010652
【氏名又は名称】NEUSOFT Japan株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【復代理人】
【識別番号】100168055
【弁理士】
【氏名又は名称】柘植 聡人
(74)【代理人】
【識別番号】230121016
【弁護士】
【氏名又は名称】小笠原 匡隆
(72)【発明者】
【氏名】劉 杰
(72)【発明者】
【氏名】関根 健弘
(72)【発明者】
【氏名】蘇 キン
(72)【発明者】
【氏名】金 哲洙
【テーマコード(参考)】
5E555
5K127
【Fターム(参考)】
5E555AA16
5E555BA23
5E555BA24
5E555BB04
5E555BC01
5E555CA42
5E555CB33
5E555CB34
5E555CC03
5E555CC22
5E555DA01
5E555DB18
5E555DB20
5E555DC13
5E555DC61
5E555EA11
5E555EA14
5E555EA22
5E555FA00
5K127BA03
5K127NA02
5K127NA05
(57)【要約】
【課題】
検査者の負担を軽減し、簡単な操作によって電子機器の処理を遠隔で行う。
【解決手段】
電子機器の動作を制御するための処理を実行する少なくとも一つのプロセッサを具備し、前記少なくとも一つのプロセッサは、撮像装置から供給される前記電子機器の画面の撮像情報をディスプレイにリアルタイムで出力し、前記電子機器を制御するためのボタンを前記撮像情報に付加して前記ディスプレイにリアルタイムで出力し、前記ボタンの操作が検出された場合には、前記ボタンに対応した前記電子機器を制御するための制御信号を生成する、ための処理を実行する。
【選択図】 図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器を遠隔で動作させる処理装置であって、
前記電子機器の動作を制御するための処理を実行する少なくとも一つのプロセッサを具備し、
前記少なくとも一つのプロセッサは、
撮像装置から供給される前記電子機器の画面の撮像情報をディスプレイにリアルタイムで出力し、
前記電子機器を制御するためのボタンを前記撮像情報に付加して前記ディスプレイにリアルタイムで出力し、
前記ボタンの操作が検出された場合には、前記ボタンに対応した前記電子機器を制御するための制御信号を生成する、
ための処理を実行するように構成された処理装置。
【請求項2】
前記付加は、前記電子機器のハードウェアキーを模擬したハードキーボタンを前記撮像情報に併設することを含む、請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記付加は、前記電子機器と連動する他の装置のハードウェアキーを模擬したハードキーボタンを前記撮像情報に併設することを含む、請求項1に記載の処理装置。
【請求項4】
前記制御信号は、前記ハードキーボタンに対応した電源制御信号を含む、請求項2又は3に記載の処理装置。
【請求項5】
前記付加は、前記電子機器の画面上のソフトキーを模擬したソフトキーボタンを埋め込むことを含む、請求項1に記載の処理装置。
【請求項6】
前記少なくとも一つのプロセッサは、前記ソフトキーと前記ソフトキーボタンを同期させるための処理を実行するように構成された、請求項5に記載の処理装置。
【請求項7】
前記少なくとも一つのプロセッサは、前記処理者が前記撮像情報から前記電子機器の画面を選択した画面領域を、前記電子機器の画面サイズに転換するための処理を実行するように構成された、請求項6に記載の処理装置。
【請求項8】
前記制御信号は、前記ソフトキーボタンに対応したソフトウェア制御信号又は電源制御信号を含む、請求項5乃至7のいずれか1項に記載の処理装置。
【請求項9】
前記少なくとも一つのプロセッサは、前記電子機器を制御するための入力画面情報を前記撮像情報に付加して前記ディスプレイにリアルタイムで出力するための処理を実行するように構成された、請求項1に記載の処理装置。
【請求項10】
少なくとも一つのプロセッサを具備するコンピュータにおいて前記少なくとも一つのプロセッサを、
撮像装置から供給される電子機器の撮像情報をディスプレイにリアルタイムで出力し、
前記電子機器を制御するためのボタンを前記撮像情報に付加してディスプレイにリアルタイムで出力し、
前記ボタンの操作が検出された場合には、前記ボタンに対応した前記電子機器を制御するための制御信号を生成し、
前記電子機器の動作を前記制御信号に基づいて制御する、
ように機能させる処理プログラム。
【請求項11】
少なくとも一つのプロセッサを具備するコンピュータにおいて前記少なくとも一つのプロセッサにより実行される処理方法であって、
撮像装置から供給される電子機器の撮像情報をディスプレイにリアルタイムで出力する段階と、
前記電子機器を制御するためのボタンを前記撮像情報に付加してディスプレイにリアルタイムで出力する段階と、
前記ボタンの操作が検出された場合には、前記ボタンに対応した前記電子機器を制御するための制御信号を生成する段階と、
前記電子機器の動作を前記制御信号に基づいて制御する段階と、
を含む処理方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子機器を遠隔操作で処理可能な処理装置、処理プログラム及び処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯電話機、ゲーム機、及び車載装置等の各種の電子機器を検査する際に、手作業による確認作業を簡素化する検査装置が知られていた。例えば、特許文献1には、外部からの物品接触による入力、音声入力、有線入力、電磁波による無線信号入力、画像信号入力を含む外部入力に対応して内部状態が変化し、内部状況の変化に伴い、画像、音声、外部機器への信号を含む外部出力を送出する出力手段を備えた機器と、上記機器と接続され、外部からの指令信号に基づいて機器とのデータの同期、機器の設定、機器への指示、機器の監視を含む機器への連携処理を行う連携処理装置と、からなる機器システムを検査対象として、該システムの動作を検査する検査装置であって、前記機器の外部入力に対応する出力を上記機器に対して発生すると共に、検査対象機器の出力手段の出力を機器外部で検出する入出力機構部と、上記入出力機構部と前記連携処理装置とに接続され、入出力機構部を制御して入力機構部に配置された機器に所定の外部入力を入力させると共に機器の出力を受信する一方、前記連携処理装置への指令信号を発生して連携処理装置を遠隔操作すると共に連携処理装置の動作状態を受信し、前記機器と前記連携処理装置との連携処理を実行させる連携処理検査装置と、を備えたことを特徴とする機器システムの検査装置が記載されている。
【0003】
しかし、特許文献1に記載の検査装置においては、電子機器を検査するための処理と、電子機器の監視等をするための連携処理とを別々の装置に対して行うため、検査者の操作回数および検査処理自体が複雑となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-5391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、上述した背景からなされたものであり、処理者の負担を軽減し、簡単な操作によって電子機器の処理を遠隔で行える処理装置、処理プログラム及び処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、「電子機器を遠隔で動作させる処理装置であって、前記電子機器の動作を制御するための処理を実行する少なくとも一つのプロセッサを具備し、前記少なくとも一つのプロセッサは、撮像装置から供給される前記電子機器の画面の撮像情報をディスプレイにリアルタイムで出力し、前記電子機器を制御するためのボタンを前記撮像情報に付加して前記ディスプレイにリアルタイムで出力し、前記ボタンの操作が検出された場合には、前記ボタンに対応した前記電子機器を制御するための制御信号を生成する、ための処理を実行するように構成された処理装置。」が提供される。
【0007】
本開示の一態様によれば、「少なくとも一つのプロセッサを具備するコンピュータにおいて前記少なくとも一つのプロセッサを、撮像装置から供給される電子機器の撮像情報をディスプレイにリアルタイムで出力し、前記電子機器を制御するためのボタンを前記撮像情報に付加してディスプレイにリアルタイムで出力し、前記ボタンの操作が検出された場合には、前記ボタンに対応した前記電子機器を制御するための制御信号を生成し、前記電子機器の動作を前記制御信号に基づいて制御する、ように機能させる処理プログラム。」が提供される。
【0008】
本開示の一態様によれば、「少なくとも一つのプロセッサを具備するコンピュータにおいて前記少なくとも一つのプロセッサにより実行される処理方法であって、撮像装置から供給される電子機器の撮像情報をディスプレイにリアルタイムで出力する段階と、前記電子機器を制御するためのボタンを前記撮像情報に付加してディスプレイにリアルタイムで出力する段階と、前記ボタンの操作が検出された場合には、前記ボタンに対応した前記電子機器を制御するための制御信号を生成する段階と、前記電子機器の動作を前記制御信号に基づいて制御する段階と、を含む処理方法。」が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、処理者の負担を軽減し、簡単な操作によって電子機器の処理を遠隔で行える処理装置、処理プログラム及び処理方法を提供することができる。
【0010】
なお、上記効果は説明の便宜のための例示的なものであるにすぎず、限定的なものではない。上記効果に加えて、又は上記効果に代えて、本開示中に記載されたいかなる効果や当業者であれば明らかな効果を奏することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本開示の実施形態に係る検査システム1に係る検査処理の概要を概略的に示す図である。
図2図2は、本開示の実施形態に係る検査システム1の構成を概略的に示す概念図である。
図3図3は、本開示の実施形態に係る検査者端末装置100の構成の例を示すブロック図である。
図4図4は、本開示の実施形態に係る主制御端末装置202の構成の例を示すブロック図である。
図5図5は、本開示の実施形態に係る主制御端末装置202から検査者端末装置100に提供される表示情報500を概念的に示す図である。
図6A図6Aは、本開示の実施形態に係る検査者端末装置100、検査装置200の各装置、及び車載器300の間で実行される処理シーケンスを示す図である。
図6B図6Bは、本開示の実施形態に係る主制御端末装置202から検査者端末装置100に提供される表示情報500を概念的に示す図である。
図7A図7Aは、本開示の実施形態に係る検査者端末装置100、及び検査装置200の各装置との間で実行される処理シーケンスを示す図である。
図7B図7Bは、本開示の実施形態に係る検査者端末装置100、検査装置200の各装置、及び車載器300の間で実行される処理シーケンスを示す図である。
図7C図7Cは、本開示の実施形態に係る主制御端末装置202から検査者端末装置100に提供される表示情報500を概念的に示す図である。
図8A図8Aは、本開示の実施形態に係る検査者端末装置100、検査装置200の各装置、及び車載器300の間で実行される処理シーケンスを示す図である。
図8B図8Bは、本開示の実施形態に係る主制御端末装置202から検査者端末装置100に提供される表示情報を概念的に示す図である。
図9A図9Aは、本開示の実施形態に係る検査者端末装置100、主制御端末装置202との間で実行される処理シーケンスを示す図である。
図9B図9Bは、本開示の実施形態に係る主制御端末装置202から検査者端末装置100に提供される表示情報500を概念的に示す図である。
図10A図10Aは、本開示の実施形態に係る検査者端末装置100、検査装置200の各装置、及び車載器300の間で実行される処理シーケンスを示す図である。
図10B図10Bは、本開示の実施形態に係る主制御端末装置202から検査者端末装置100に提供される表示情報500を概念的に示す図である。
図10C図10Cは、本開示の実施形態に係る主制御端末装置202から検査者端末装置100に提供される表示情報500を概念的に示す図である。
図11図11は、本開示の実施形態に係る検査者端末装置100、検査装置200の各装置、及び車載器300の間で実行される処理シーケンスを示す図である。
図12図12は、本開示の実施形態に係る主制御端末装置202において実行される処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付図面を参照して本開示の実施形態を説明する。なお、図面における共通する構成要素には同一の参照符号が付されている。
【0013】
1.本開示に係る検査システム1の概要
本開示に係る検査システム1は、一例としては、検査対象物である電子機器が設置された場所とは異なる場所において、当該電子機器を遠隔操作して所望の検査を実施するために用いられる。特に、当該検査システム1は、電子機器の画面及び外観を撮像し、撮像結果である撮像情報をリアルタイムで検査者に提供し、検査者が当該撮像情報を確認しつつ、電子機器の検査を進める場合などにおいて好適に用いられる。具体的には、検査システム1は、電子機器の実際の検査現場とは異なる場所にいる検査者に対して、電子機器を直接触れつつ手作業にて検査している感覚を持たせることが可能である。
【0014】
図1は、本開示の実施形態に係る検査システム1に係る検査処理の概要を概略的に示す図である。図1には、検査者が検査者端末装置100を利用して、検査装置200を構成する撮像装置201によって撮像された検査対象物である車載器300について、その動作を遠隔で確認しつつ検査する場合が示されている。特に、車載器300の全体が撮像装置201によって撮像され、検査者端末装置100において車載器300が全体的に表示されることになる。このため、検査者は検査者端末装置100に表示される車載器300の画面をリアルタイムで確認することが可能になり、遠隔操作にて車載器300の制御が行われた場合(すなわち、検査項目に対応した電子制御)、制御に対応した画面上の変化があるか否かが確認可能となる。本開示に係る検査システム1は、このような検査処理を簡単な操作によって実現し、検査者の負担を軽減するために用いられる。
【0015】
ここで、本開示の実施形態においては、本開示の処理装置、処理プラグラム、処理方法の一例として、検査装置、検査プログラム、及び検査方法を説明している。しかしながら、本開示の処理については、検査に限定されることなく、映像を確認しつつ行う他の実施行為も含めることができ、本開示の内容は汎用性のある内容となっている。
【0016】
また、本開示の実施形態において、検査システム1は、一例として、検査装置200に加えて、検査者が実際に使用する検査者端末装置100を含む。また、本開示において、自動車に取り付けられる車載器300を検査対象物として扱う場合を説明する。特に、本開示において、車載器300をカーナビゲーション装置としている。しかしながら、検査対象物である車載器300は、カーナビゲーション装置に限定されることはなく、何等かの情報を表示する画面を備える車載用の電子機器であればよく、例えば、スピードメータ、タコメータ、シフトインジケーター、時計、カーオーディオ等も検査対象物とすることができる。また、検査対象物は車載器300に限定されることはなく、何等かの情報を表示する画面を備える電子機器であればよく、例えば、ラップトップパソコン、デスクトップパソコン、スマートフォン、フィーチャーフォン、携帯情報端末、PDA、携帯型ゲーム機、据え置き型ゲーム機等も検査対象物とすることができる。
【0017】
また、本開示において、「撮像」とは検査対象物を動画にて撮影することを意味する。更に、「撮像情報」とは撮像により得られた結果の情報であり、映像のことを意味する。このような撮像情報には、動画情報が含まれることが前提であるものの、音の情報については必須ではない。しかしながら、撮像情報に音の情報を含めることにより、検査項目の拡充や検査精度の向上を図ることも可能である。
【0018】
なお、本開示においては、各装置につけられた呼称は、各装置を互いに区別するために用いられているに過ぎず、各装置の機能に応じては他の呼称がなされてもよい。
【0019】
2.検査システム1の構成
図2は、本開示の実施形態に係る検査システム1の構成を概略的に示す概念図である。図2に示すように、検査システム1は、ネットワーク400を通じて通信可能に接続された検査者端末装置100及び検査装置200によって構成されている。ネットワーク400は、例えばインターネットである。すなわち、検査者端末装置100及び検査装置200は、有線又は無線によってインターネット回線に接続され、各種の情報等の送受信が可能である。また、検査装置200は、有線又は無線によって車載器300と接続され、検査装置200から車載器300を直接的に制御することが可能である。
【0020】
図2に示すように、検査装置200は、撮像装置201、主制御端末装置202、ハードキー制御装置203から構成されている。なお、撮像装置201及びハードキー制御装置203は必須の構成とせずに、検査装置200の外部構成とて設けてもよい。
【0021】
撮像装置201は、例えば、一般的なウエブカメラやビデオカメラであり、車載器300の状態を常時撮影する。なお、本開示の実施形態においては、撮像した映像を単に外部送信するだけのウエブカメラを想定しているが、撮像した撮像情報を内部にて記憶するためのメモリ等を備えるビデオカメラを用いてもよい。
【0022】
主制御端末装置202は、撮像装置201及びハードキー制御装置203を制御し、検査装置200の制御を総合的に行う。また、主制御端末装置202は、車載器300と有線又は無線によって接続されており、車載器300に関するソフトウェア上の制御を行う。例えば、主制御端末装置202は、車載器300の画面上における表示制御、及びアプリケーションの制御等を行う。主制御端末装置202による制御については、追って詳細に説明する。
【0023】
ハードキー制御装置203は、車載器300と有線又は無線によって接続されており、車載器300のハードウェアキーを制御するための装置である。例えば、車載器300のハードウェアキーとしては、車載器300の筐体の外周部に設けられたホームボタン、音量ボタン、電源ボタン等が想定される。ハードキー制御装置203は、これらのボタンが動作するための駆動信号(電力)の供給および供給の停止を行う。また、ハードキー制御装置203は、車載器300と連動する他の車載器(例えば、ステアリング)のハードウェアキーによる操作に対応した制御を行う。例えば、ハードキー制御装置203は、車載器300の動作を制御するためのステアリング上の音量ボタン、モード切替ボタン等が操作(押下)された場合に生成される制御信号を生成し、車載器300に供給する。すなわち、ハードキー制御装置203は、車載器300と連動する他の車載器による操作を模擬することができる。
【0024】
ハードキー制御装置203の具体的な構成としては、例えば、車載器300と電源ケーブルによって接続された電源、並びに当該電源における電力生成及び電力供給を制御する電源制御モジュールとしてもよい。このような構成において、電源制御モジュールは入力された制御信号を電源制御信号に変換して電源に供給し、電源におけるスイッチングが実行され、電源から車載器300に対して所望の電力供給がなされる。これにより、車載器300の駆動や各種の動作が可能となる。なお、本開示の実施形態において、ハードキー制御装置203は、一般的なスイッチング回路電源を想定しているが、プロセッサ、メモリ、通信インターフェイス等を備える装置であってもよい。
【0025】
検査装置200において、主制御端末装置202は撮像装置201と有線によって接続されている。これにより、主制御端末装置202は、撮像装置201の駆動及び各種の動作の制御を行うことが可能である。例えば、主制御端末装置202は、撮像装置201に対して駆動電力を供給して撮像装置201を駆動させ、その後のフォーカス、又は撮像情報の記録等の動作のための制御信号を供給して撮像装置201の動作を制御する。また、撮像装置201における撮像情報が、当該有線を介して撮像装置201から主制御端末装置202に供給されることになる。なお、主制御端末装置202は、撮像装置201の制御及び情報の送受信が可能であれば無線によって接続されてもよい。
【0026】
また、検査装置200において、主制御端末装置202はハードキー制御装置203と有線によって接続されている。これにより、主制御端末装置202は、ハードキー制御装置203における電力の生成及び供給を制御することができる。例えば、主制御端末装置202から当該電源制御モジュールに対して制御信号が供給され、当該制御信号に応じて電源制御モジュールが駆動する。その後は、上述したように、電源制御モジュールが当該制御信号に対応した電源制御信号を生成し(すなわち、制御信号を電源制御信号に変換し)、当該電源制御信号が電源に供給されることにより、電源から車載器300への所望の電力の供給又は停止が行われる。なお、主制御端末装置202は、ハードキー制御装置203の制御が可能であれば無線によって接続されてもよい。
【0027】
なお、図2の例では、検査者端末装置100は1台しか記載されていないが、当然2台以上の各装置を含むことが可能である。すなわち、インターネットに接続された各端末装置から検査装置200を制御して車載器300の検査を実施することができる。また、検査装置200も1台に限られず、車載器300に対して、複数の検査装置200が設定されてもよい。この場合には、例えば、検査項目に対応させて複数の検査装置200から1つの検査装置200を選択し、検査項目に対応させて検査装置200を切り替えてもよい。
【0028】
3.検査者端末装置100の構成
図3は、本開示の実施形態に係る検査者端末装置100の構成の例を示すブロック図である。検査者端末装置100は、図3に示す構成要素の全てを備える必要はなく、一部を省略した構成をとることも可能であるし、他の構成要素を加えることも可能である。
【0029】
検査者端末装置100は、典型的には、ラップトップパソコン又はデスクトップパソコンに代表される無線通信可能な端末装置が挙げられるが、当該装置のみには当然限られない。例えば、検査者端末装置100としては、スマートフォン、フィーチャーフォン、携帯情報端末、PDA、携帯型ゲーム機、据え置き型ゲーム機など、本開示に係るプログラムを実行可能な装置であれば、いずれでも好適に適用することが可能である。また、上記のとおり、複数の検査者端末装置100が検査装置200と通信可能である場合に、検査者端末装置100のそれぞれは、常に同種又は同じ端末装置である必要はなく、互いに異なる種類の端末装置であってもよい。
【0030】
図3によると、検査者端末装置100は、出力インターフェイス111、プロセッサ112、RAM、ROM、又は不揮発性メモリ(場合によっては、HDD)等を含むメモリ113、通信処理回路及びアンテナを含む通信インターフェイス114、並びにマウス116a及びキーボード116bを含む入力インターフェイス116を含む。そして、これらの各構成要素が制御ライン及びデータラインを介して互いに電気的に接続される。
【0031】
出力インターフェイス111は、プロセッサ112の指示に応じて、別途設けられたカメラで撮影される画像や、本開示に係るプログラムを実行することによって検査装置200から受信する表示情報を、ディスプレイやプリンタ等の機器に出力する出力部として機能する。なお、このようなディスプレイは、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ又は電子ペーパー等から構成される。
【0032】
プロセッサ112は、CPU(マイクロコンピュータ:マイコン)から構成され、メモリ113に記憶された各種プログラムに基づいて、接続された他の構成要素を制御する制御部として機能する。具体的には、プロセッサ112は、各種のアプリケーションを実行するためのプログラムやOSを実行するためのプログラムをメモリ113から読み出して実行する。本開示においては、プロセッサ112は、特に、後述する処理シーケンスで記載された処理の一部を実行する。処理の詳細については、図5以降の説明の際において詳細に説明する。なお、プロセッサ112は、単一のCPUで構成されても良いが、複数のCPUやGPUを組み合わせて構成しても良い。
【0033】
メモリ113は、ROM、RAM、不揮発性メモリ、HDD等から構成され、記憶部として機能する。ROMは、本開示に係るアプリケーションやOSを実行するための指示命令をプログラムとして記憶する。RAMは、ROMに記憶されたプログラムがプロセッサ112により処理されている間、データの書き込み及び読み込みをするために用いられる。不揮発性メモリは、当該プログラムの実行によってデータの書き込み及び読み込みが実行されるメモリであって、ここに書き込まれたデータは、当該プログラムの実行が終了した後でも保存される。本開示においては、メモリ113は、特に、後述する処理シーケンスで記載された処理の一部を実行するプログラムを記憶する。処理の詳細については、図5以降の説明の際に詳細に説明する。
【0034】
通信インターフェイス114は、通信処理回路及びアンテナを介して、遠隔に設置された検査装置200の主制御端末装置202や他の端末装置との間で情報の送受信をする通信部として機能する。通信処理回路は、検査システム1において用いられるプログラムや各種情報等を処理の進行に応じて、主制御端末装置202や他の端末装置から情報を送受信するための処理をする。本開示においては、特に、検査者情報、検査に関する要求情報、及び検査に関する制御情報が主制御端末装置202に送信され、検査対象物である車載器300の撮影情報、及び検査に関する各種の情報(制御結果、診断結果)等が主制御端末装置202から受信される。
【0035】
通信処理回路は、LTE方式に代表されるような広帯域の無線通信方式に基づいて処理されるが、IEEE802.11に代表されるような無線LANやBluetooth(登録商標)のような狭帯域の無線通信に関する方式や非接触無線通信に関する方式に基づいて処理することも可能である。また、無線通信に代えて、又は加えて、有線通信を用いることも可能である。
【0036】
入力インターフェイス116は、マウス116a、及びキーボード116bから構成され、本開示に係るプログラムの実行に係る指示入力や、様々な情報を登録するための操作入力等を受け付ける入力部として機能する。マウス116a及びキーボード116bは、プロセッサ112等を備える本体に無線又は有線で接続される。なお、入力インターフェイス116の構成はこれに限られず、タッチパネルや他のハードキー等を用いてもよい。例えば、タッチパネルの用いる場合、出力インターフェイス111を被覆するように当該タッチパネルが配置され、出力インターフェイス111からディスプレイに出力される画像のデータに対応する位置座標の情報を、プロセッサ112に送信する。タッチパネル方式としては、抵抗膜方式、静電容量結合方式、超音波表面弾性波方式など、公知の方式を利用することができる。本開示においては、タッチパネルは、指示体により出力インターフェイス111に表示された各アイコン等に対するスワイプ操作やタップ操作を検出する。
【0037】
4.主制御端末装置202の構成
図4は、本開示の実施形態に係る主制御端末装置202の構成の例を示すブロック図である。主制御端末装置202は、図4に示す構成要素の全てを備える必要はなく、一部を省略した構成をとることも可能であるし、他の構成要素を加えることも可能である。また、主制御端末装置202は単一の筐体に図4に図示するものを備える必要はなく、主制御端末装置202の各構成要素及び処理を複数のサーバ装置やクラウドサーバ装置に分配することも可能である。
【0038】
図4によると、主制御端末装置202は、RAM、ROM、及び不揮発性メモリ、HDD等を含むメモリ211、CPU等から構成されるプロセッサ212、入出力インターフェイス213及び通信インターフェイス214を含む。そして、これらの各構成要素が制御ライン及びデータラインを介して互いに電気的に接続される。
【0039】
メモリ211は、RAM、ROM、不揮発性メモリ、HDDを含み、記憶部として機能する。ROMは、本開示に係るアプリケーションやOSを実行するための指示命令をプログラムとして記憶する。このようなプログラムは、プロセッサ212によってロードされ実行される。RAMは、ROMに記憶されたプログラムがプロセッサ212によって処理されている間、データの書き込み及び読み込みを実行するために用いられる。不揮発性メモリは、当該プログラムの実行によってデータの書き込み及び読み込みが実行されるメモリであって、ここに書き込まれたデータは、当該プログラムの実行が終了した後でも保存される。本開示において、メモリ211は、「撮像装置201から供給される車載器300の撮像情報をディスプレイにリアルタイムで出力する処理」、「車載器300の制御を要求するための画面上のボタンを当該撮像情報に付加してディスプレイにリアルタイムで出力する処理」、「当該ボタンの操作が検出された場合には、当該ボタンに対応した車載器300を制御するための制御信号を生成する処理」、「車載器300の動作を当該制御信号に基づいて制御する処理」等のためのプログラムを記憶する。また、メモリ211は、主制御端末装置202の使用が許可された検査者に関する情報、車載器300を含む種々の検査対象物の情報、並びに各検査対象物の検査状況及び検査結果に関する情報を記憶する。
【0040】
プロセッサ212は、CPU(マイクロコンピュータ:マイコン)から構成され、メモリ211に記憶された各種プログラムに基づいて、接続された他の構成要素を制御するための制御部として機能する。具体的には、プロセッサ212は、本開示に係るアプリケーションを実行するためのプログラムやOSを実行するためのプログラムをメモリ211から読み出して実行する。本開示においては、プロセッサ212は、特に、「撮像装置201から供給される撮像情報をディスプレイにリアルタイムで出力する処理」、「車載器300を制御するための画面上のボタンを当該撮像情報に付加してディスプレイにリアいるタイムで出力する処理」、「当該ボタンの操作が検出された場合には、当該ボタンの要求に対応した車載器300を制御するための制御信号を生成する処理」等を実行する。なお、プロセッサ212は、単一のCPUで構成されても良いが、複数のCPUで構成しても良い。
【0041】
入出力インターフェイス213は、検査装置200を構成する撮像装置201、ハードキー制御装置203及び車載器300と相互に情報のやり取り(データ通信)を可能にするための接続部として機能する。通信可能に各装置が接続されることにより、プロセッサ212によるプログラムの読み出し及び実行が行われると、撮像装置201、ハードキー制御装置203及び車載器300の制御処理に関する制御信号が各装置に送信され、各装置の制御処理が実行される。また、主制御端末装置202は、撮像装置201、ハードキー制御装置203及び車載器300から状態等の各種の情報を受信し、メモリ211への記憶や受信情報を検査者に更に送信して提供することが可能になる。例えば、本開示においては、入出力インターフェイス213は、USB(Universal Serial Bus)を想定するが、本開示において扱われる情報の相互通信が可能であればその他の有線又は無線の接続装置であってもよい。
【0042】
通信インターフェイス214は、通信処理回路及びアンテナを介して、遠隔に設置された検査者端末装置100や他のサーバ装置との間で情報の送受信をする通信部として機能する。通信処理回路は、検査システム1において用いられるプログラムや各種情報等を処理の進行に応じて、検査者端末装置100や他のサーバ装置から情報を送受信するための処理をする。本開示においては、特に、通信インターフェイス214を介して、主制御端末装置202の使用が許可された検査者に関する情報、車載器300を含む種々の検査対象物の情報、並びに各検査対象物の検査状況及び検査結果に関する情報(すなわち、表示情報)が、主制御端末装置202と検査者端末装置100との間で送受信される。
【0043】
通信処理回路は、LTE方式に代表されるような広帯域の無線通信方式に基づいて処理されるが、IEEE802.11に代表されるような無線LANやBluetooth(登録商標)のような狭帯域の無線通信に関する方式や非接触無線通信に関する方式に基づいて処理することも可能である。また、無線通信に代えて、又は加えて、有線通信を用いることも可能である。
【0044】
なお、入出力インターフェイス213及び通信インターフェイス214は、同一規格の装置を使用する場合には共通のインターフェイスとして構成してもよい。例えば、入出力インターフェイス213が無線通信を行う接続装置とする場合には、通信インターフェイス214に入出力インターフェイス213を含めるようにしてもよい。
【0045】
5.主制御端末装置202から検査者端末装置100に提供される情報
図5は、本開示の実施形態に係る主制御端末装置202から検査者端末装置100に提供される表示情報500を概念的に示す図である。ここで、「表示情報」とは、撮像装置201から得られる車載器300の撮像情報、及び車載器300の制御を要求するための各種のボタンを当該撮像情報に付加したものであり、検査者端末装置100のディスプレイに表示されるものである。すなわち、図5は、本開示の実施形態に係る検査者端末装置100に出力される画面の例を示す図でもある。
【0046】
図5に示すように、表示情報(表示画面)500は、車載器300の撮像情報をリアルタイムで表示する映像表示部501を備える。また、表示情報500は、映像表示部501に併設して表示される制御用のボタンを備える。本開示の実施形態においては、当該制御用のボタンとして、電源信号系のボタン、キー操作用のボタン、ステアリングスイッチ用のボタン、及びその他のボタンが表示される。
【0047】
表示される電源信号用のボタンとして、本開示の実施形態においては電源ボタン511、イグニッションボタン512、走行ボタン513、及びカメラ接続ボタン514を表示している。電源ボタン511は、車載器300に対する電源の供給又は停止を検査装置200に要求するためのボタンであって、主電源制御として機能する。ここで、電源ボタン511がON状態においては車載器300に電源供給がされている状態となり、電源ボタン511がOFF状態においては車載器300への電源供給が停止されている状態となる。特に、電源ボタン511は、車載器300の検査をする際に車載器300を駆動状態にするために使用されるボタンとなる。
【0048】
イグニッションボタン512は、自動車に搭載されているイグニッションのスイッチであり、当該自動車の駆動状態の決定を検査装置200に要求するためのスイッチである。ここで、イグニッションボタン512がON状態の場合、当該自動車においてエンジン又はバッテリ等の駆動源がON状態であり、イグニッションボタン512がOFF状態の場合、当該自動車においてエンジン又はバッテリ等の駆動源がOFF状態である。特に、イグニッションボタン512は、車載器300の検査をする際の状態として、自動車自体を駆動させた状態を模擬するために使用されるボタンとなる。
【0049】
走行ボタン513は、車載器300を搭載する自動車が走行状態であるか否かの決定を検査装置200に要求するスイッチである。ここで、走行ボタン513がON状態の場合、当該自動車において駆動源から車輪に対して駆動が伝達された走行状態であり、走行ボタン513がOFF状態の場合、当該自動車において駆動源から車輪に対して駆動が伝達されていない停止状態である。特に、走行ボタン513は、車載器300の検査をする際の状態として、自動車自体が走行している状態を模擬するために使用されるボタンとなる。
【0050】
カメラ接続ボタン514は、自動車に搭載された車載カメラ(フロントカメラ及びリアカメラ)が車載器300と接続状態であるか否かの決定を検査装置200に要求するスイッチである。ここで、カメラ接続ボタン514がON状態の場合、車載カメラによって撮影された映像が車載器300に表示されている状態であり、カメラ接続ボタン514がOFF状態の場合、車載器300に車載カメラの映像が表示されない状態(すなわち、車載カメラがOFF状態)である。特に、カメラ接続ボタン514は、車載器300の検査をする際の状態として、車載カメラの映像が車載器300に表示されるか否かを検査するために使用されるボタンとなる。
【0051】
なお、電源信号用のボタンは上述したボタンに限定されることはなく、車載器300及び自動車の電源に関する他のボタンを表示し、検査者によって制御できるようにしてもよい。例えば、車載バッテリのON・OFFを示すボタン、車載カメラから入力信号がない状態を示すボタン、その他の車載器300に関する検査状態を示すボタンを表示し、車載器300の想定される他の状態を模擬できるようにしてもよい。
【0052】
表示されるキー操作用のボタンとして、本開示の実施形態においてはホームボタン521、バックボタン522、音量アップボタン523、音量ダウンボタン524、及び電源ボタン525を表示している。これらのボタンは、車載器300の表示画面の周囲に設けられたハードウェアキーに対応している。すなわち、映像表示部501に併設されるように、車載器300のハードウェアキーを模擬したハードキーボタンである各種ボタンが表示される。
【0053】
ホームボタン521は、車載器300の画面を最上位に位置するホーム画面(すなわち、トップ画面)への遷移を検査装置200に要求するためのボタンである。バックボタン522は、車載器300の画面を一つ前の画面に戻す遷移を検査装置200に要求するためのボタンである。音量アップボタン523は、車載器300の音量設定を段階的に上げることを検査装置200に要求するためのボタンである。音量ダウンボタン524は、車載器300の音量設定を段階的に下げることを検査装置200に要求するためのボタンである。電源ボタン525は、車載器300への電源供給の開始又は停止を検査装置200に要求するためのボタンであり、電源ボタン511とは異なり副電源用のボタンとして機能する。
【0054】
なお、キー操作用のボタンは上述したボタンに限定されることはなく、車載器300に設けられる一般的な他のハードウェアキーに対応したボタンを表示し、検査者によるハードウェアキーからの他の制御要求を表示情報500において模擬できるようにしてもよい。例えば、車載器300において表示された各種メニューや楽曲等を選択するための十字キーを表示し、車載器300における手動によるメニュー及び楽曲の選択等を表示情報500において模擬できるようにしてもよい。
【0055】
表示されるステアリングスイッチ用のボタンとして、本開示の実施形態においてはステアリングスイッチアップボタン531(以下、アップボタン531と称する)、ステアリングスイッチダウンボタン532(以下、ダウンボタン532と称する)、音量アップボタン533、音量ダウンボタン534、モードボタン535、及び通話ボタン536を表示している。すなわち、映像表示部501に併設されるように、自動車のステアリングに設けられたハードウェアキーを模擬したハードキーボタンである各種ボタンが表示される。
【0056】
アップボタン531及びダウンボタン532は、車載器300において表示された各種メニューや楽曲について変更を検査装置200に要求するためのボタンである。例えば、アップボタン531は、複数表示されたメニューや楽曲について、車載器300の画面に表示された1つ上のものを選択するために使用されるボタンである。また、ダウンボタン532は、複数表示されたメニューや楽曲について、車載器300の画面に表示された1つ下のものを選択するために使用されるボタンである。
【0057】
音量アップボタン533は、車載器300の音量設定を段階的に上げることを検査装置200に要求するためのボタンである。また、音量ダウンボタン534は、車載器300の音量設定を段階的に下げることを検査装置200に要求するためのボタンである。すなわち、当該2つのボタンは、上述したハードキーボタンとして表示された音量アップボタン523及び音量ダウンボタン524と同一の制御を検査装置200に要求する。
【0058】
モードボタン535は、例えば、車載器300に表示された地図モードとオーディオモードとの切り替えを検査装置200に要求するためのボタンである。なお、車載器300に他のモード機能が存在している場合には、多数のモードを切り替えの要求がモードボタン535によって行われる。また、通話ボタン536は、車載器300に携帯電話が接続されている場合に、当該携帯電話を利用して通話開始を検査装置200に要求するためのボタンである。
【0059】
なお、ステアリングスイッチ用のボタンは上述したボタンに限定されることはなく、ステアリングに設けられる一般的な他のハードウェアキーに対応したボタンを表示し、検査者によるステアリングスイッチからの他の制御要求を模擬できるようにしてもよい。例えば、上述した通話ボタン536に関連させ、オンフック及びオフフックの制御要求を表示情報500において模擬できるようにしてもよい。
【0060】
表示されるその他のボタンとして、本開示の実施形態においてはハードキー確認ボタン541、画面ロックボタン542、及び座標制御開始ボタン543を表示している。ハードキー確認ボタン541は、検査中の車載器300の状態と、表示情報500における車載器300の状態(すなわち、検査者端末装置100の画面に表示される車載器300の状態)の同期を検査装置200に要求するためのボタンである。例えば、車載器300の検査を一度停止した場合、検査を再開する際には表示情報500が初期状態(全ての電気信号がOFFとなる状態)に戻るため、ハードキー確認ボタン541が操作(押下)されることにより、検査中の車載器300の状態と、表示情報500における車載器300の状態とが同期され、車載器300の正しい状態が検査者によって把握可能になる。
【0061】
画面ロックボタン542及び座標制御開始ボタン543は、映像表示部501に表示された車載器300の画面と車載器300の実画面の座標を一致させる処理を行う際に使用されるスイッチである。すなわち、2つのボタンをON状態にすることにより、映像表示部501に表示された車載器300の画面の各位置が車載器300の実画面の各位置に対応する座標変換がなされ、両画面の同期が行われる。換言すると、映像表示部501に表示された車載器300の画面(車載器300の撮像情報)には、車載器300のソフトキーを模擬したソフトキーボタンが埋め込まれている状態となる。このため、映像表示部501に表示された車載器300の画面上のボタン(すなわち、模擬したソフトキーボタン)を選択すると、車載器300の実画面のボタンが選択されてことになる処理が実行可能になる。当該処理については、追って図9A以降を参照しつつ詳細に説明する。
【0062】
なお、表示されるその他のボタンは上述したボタンに限定されることはなく、車載器300の検査に必要な他のボタンを表示し、検査者による他の制御要求を実行できるようにしてもよい。
【0063】
6.検査システム1により実行される処理シーケンス
(A)検査開始に係る処理
図6Aは、本開示の実施形態に係る検査者端末装置100、検査装置200の各装置、及び車載器300の間で実行される処理シーケンスを示す図である。具体的には、図6Aは、車載器300に対する遠隔操作による検査開始状態にするまでに、検査者端末装置100と検査装置200との間で実行される処理シーケンスを示す図である。
【0064】
図6Aに示すように、検査者端末装置100は、検査を開始するための初期処理を実行する(S11)。先ず、検査者による検査者端末装置100の操作により、検査システムへのログイン処理が実行される。当該ログイン処理については、一般的な処理となるためその説明及び図示は省略する。その後、検査者端末装置100のプロセッサ112は、入力インターフェイス116を介した検査者の操作入力を受け、撮像装置201の選択情報を生成する。当該選択情報には、検査対象物である車載器300を撮像するために設置された撮像装置201に関する情報が含まれる。ここで、検査者の操作入力とは、検査者端末装置100のディスプレイに表示された撮像装置リストから、今回の検査で使用する撮像装置201をマウス116aを用いて選択する処理である。その後、プロセッサ112は、生成された選択情報を、通信インターフェイス114を介して主制御端末装置202に送信する(T11)。
【0065】
主制御端末装置202において、通信インターフェイス214を介して撮像装置201の選択情報が受信されると、主制御端末装置202のプロセッサ212は、選択対象となる撮像装置201に対して撮像開始を要求するための撮像制御信号を生成する(S12)。当該撮像制御信号とは、撮像装置201を駆動するための駆動信号であり、いわゆる電源供給に該当する。なお、当該撮像制御信号には、電源供給のみならず、撮像装置201における各種設定(例えば、フォーカス情報)が含まれてもよい。その後、主制御端末装置202のプロセッサ212は、生成した撮像制御信号を入出力インターフェイス213を介して対象となる撮像装置201に送信し、撮像制御要求の処理を実行する(T12)。
【0066】
撮像装置201は、有線の接続配線を介して撮像制御信号を受信する(すなわち、電力供給がある)と撮像装置201の駆動を開始し、撮像処理を実行する。すなわち、撮像装置201において、検査対象物として設置された車載器300の撮像が開始される(S13)。当該撮像については、主制御端末装置202から撮像停止を要求する撮像制御信号を受信しなければ(すなわち、電力供給停止がなければ)、継続して実施されることになる。撮像装置201は、撮像が開始されると、有線の接続配線を介して主制御端末装置202に撮像情報を送信する(T13)。当該撮像情報の送信についても、撮像が継続する限り実施されることになり、車載器300の撮像情報が逐次送信される。なお、図6Aにおいては、便宜上のため、撮像情報に関する1つの送信のみを図示している。
【0067】
主制御端末装置202のプロセッサ212は、車載器300の撮像情報を入出力インターフェイス213を介して受信すると、メモリ211に記憶するとともに、検査者端末装置100において表示される制御要求のボタンに関する情報を当該撮像情報に付加する(S14)。すなわち、主制御端末装置202のプロセッサ212は、当該撮像情報と制御要求のボタンを組み合わせて表示情報を生成することになる。ここで、撮像装置201からの撮像情報の送信は継続して実施されるため、主制御端末装置202のプロセッサ212も、受信情報を継続してメモリ211に記憶する。なお、主制御端末装置202のメモリ211における撮像情報の記憶は必須ではなく、他の外部メモリや検査者端末装置100のメモリ113において実施されてもよい。
【0068】
その後、主制御端末装置202のプロセッサ212は、通信インターフェイス214を介して検査者端末装置100に当該表示情報を送信する(T14)。ここで、撮像装置201からの表示情報の送信は継続して実施されるため、主制御端末装置202のプロセッサ212も、表示情報を継続して検査者端末装置100に送信する。すなわち、車載器300のリアルタイムの撮像情報と制御要求に関するボタン情報が検査者端末装置100に提供されることになる。
【0069】
検査者端末装置100のプロセッサ112は、入力インターフェイス116を介して受信した表示情報を、車載器300の状態として出力インターフェイス111を介してディスプレイ等の表示装置に表示する(S15)。具体的には、図5に示した表示情報500の映像表示部501に車載器300の撮像情報(映像)が含まれることなる。例えば、映像表示部501には、車載器300の筐体(図示せず)に加えて、車載器300の画面600が表示される(図6B参照)。これにより、検査者は、車載器300の状態をリアルタイムにて確認することが可能になる。
【0070】
(B)車載器300に対するハードキーの制御状態確認に係る処理
図7Aは、本開示の実施形態に係る検査者端末装置100、及び検査装置200の各装置との間で実行される処理シーケンスを示す図である。具体的には、図7Aは、車載器300への電源供給に関し、検査開始時点における状態(すなわち、車載器300に対するハードキーの状態)を確認するために、検査者端末装置100と検査装置200との間で実行される処理シーケンスを示す図である。
【0071】
図7Aに示すように、検査者端末装置100は、作業者による画面の操作(押下)に対応したキー操作信号の生成処理を実行する(S21)。具体的には、検査者端末装置100のプロセッサ112は、マウス116aを介した検査者の操作入力を受けてキー操作信号を生成する。ここで、検査者の操作入力とは、検査者端末装置100のディスプレイに表示された表示情報500のハードキー確認ボタン541に対して、マウス116aを用いた操作(クリック)である。このため、生成されるキー操作信号は、ハードキー確認ボタン541の操作に関する情報を含む。そして、プロセッサ112は、生成されたキー操作信号を、通信インターフェイス114を介して主制御端末装置202に送信し、検査者端末装置100から主制御端末装置202に対する状態取得要求が実行される(T21)。
【0072】
キー操作信号が主制御端末装置202において通信インターフェイス214を介して受信されると、主制御端末装置202のプロセッサ212は、ハードキー制御装置203に対してハードキーの状態の確認を要求するための状態確認信号を生成する(S23)。当該状態確認信号とは、ハードキー制御装置203から車載器300に対してどのような電力供給が実行され、車載器300に関連するハードキーの状態がどのように制御されているかを確認するための制御信号である。その後、主制御端末装置202のプロセッサ212は、入出力インターフェイス213を介してハードキー制御装置203に対して生成した状態確認信号を送信し、状態確認要求の処理を実行する(T22)。
【0073】
ハードキー制御装置203は、接続配線を介して状態確認信号を受信すると、ハードキー制御装置203のハードキー制御モジュールによる電力供給の制御に係る状態情報を生成する(S23)。具体的には、ハードキー制御装置203は、当該ハードキー制御モジュールの制御状態を、車載器300に接続された電源における電力供給状態として、現時点における車載器300への電力制御に関する状態情報を生成する。その後、ハードキー制御装置203は、接続配線を介して主制御端末装置202に対して生成した状態情報を送信し、状態確認要求に対する応答処理を実行する(T23)。
【0074】
なお、上述した主制御端末装置202に対する状態取得要求及びその後の処理については、主制御端末装置202のプロセッサ212がハードキー制御装置203からハードキー状態を読み出すような処理としてもよい。すなわち、ハードキー制御装置203において、状態情報生成処理などが実行されず、ハードキー制御モジュールの制御状態のみが主制御端末装置202のプロセッサ212によって読み出されてもよい。
【0075】
主制御端末装置202のプロセッサ212は、入出力インターフェイス213を介して電力供給の制御に係る状態情報を受信すると、メモリ211に状態情報を記憶する(S24)。また、主制御端末装置202のプロセッサ212は、メモリ211に状態情報を記憶させながら、通信インターフェイス214を介して検査者端末装置100に当該状態情報を送信する(T24)。なお、主制御端末装置202のメモリ211における状態情報の記憶は必須ではなく、他の外部メモリや検査者端末装置100のメモリ113において実施されてもよい。
【0076】
検査者端末装置100のプロセッサ112は、入力インターフェイス116を介して受信した状態情報を、車載器300に関連するハードキーの状態として出力インターフェイス111を介してディスプレイに表示する(S25)。具体的には、図5に示した電源信号用のボタンである電源ボタン511、イグニッションボタン512、走行ボタン513においてON状態又はOFF状態であるか、及びカメラ接続ボタン514においてカメラ接続状態であるか否かが表示される。なお、本開示の実施形態においては、車載器300には電力供給等が実施されていない状態がS25において想定され、4つの各ボタンは図5に示すようにOFF又は未接続となっている。これにより、検査者は、検査開始時における車載器300に関連するハードキー状態を、ボタンの表示から容易に確認することが可能になる。
【0077】
(C)車載器300の電源駆動開始に係る処理
図7Bは、本開示の実施形態に係る検査者端末装置100、検査装置200の各装置、及び車載器300の間で実行される処理シーケンスを示す図である。具体的には、図7Bは、車載器300に対する遠隔操作によって電源供給を開始し、車載器300の電源駆動開始が確認されるまでに、検査者端末装置100、検査装置200、及び車載器300の間で実行される処理シーケンスを示す図である。
【0078】
図7Bに示すように、検査者端末装置100は、作業者による電源ボタン511の操作に対応した電源ON信号の生成処理を実行する(S31)。具体的には、検査者端末装置100のプロセッサ112は、マウス116aを介した検査者の操作入力を受けて電源ON信号を生成する。ここで、検査者の操作入力とは、検査者端末装置100のディスプレイに表示された表示情報500の電源ボタン511に対して、マウス116aを用いた操作(クリック)又はスライドである。このため、生成される電源ON信号は、電源ボタン511の操作に関する情報を含む。本開示の実施形態においては、図7Cの破線で囲まれた領域に示すように、電源ボタン511がON状態に移行することになる。そして、プロセッサ112は、生成された電源ON信号を、通信インターフェイス114を介して主制御端末装置202に送信し、検査者端末装置100から主制御端末装置202に対する車載器300の駆動要求が実行される(T31)。
【0079】
主制御端末装置202において、通信インターフェイス214を介して当該電源ON信号が受信されると、主制御端末装置202のプロセッサ212は、ハードキー制御装置203に対して、車載器300の駆動を開始するための電源制御信号を生成する(S32)。その後、主制御端末装置202のプロセッサ212は、生成した電源制御信号を入出力インターフェイス213を介してハードキー制御装置203に対して送信し、電源制御要求の処理を実行する(T32)。
【0080】
ハードキー制御装置203は、有線通信又は無線通信を介して主制御端末装置202から電源ON信号を受信すると、車載器300への電力供給に関する電源制御の処理を実行する(S33)。具体的には、上述したハードキー制御装置203のハードキー制御モジュールは、受信した電源制御信号に基づいて上述した電源のスイッチング処理を実行する。これにより、ハードキー制御装置203から車載器300に対して電力供給が開始される(T33)。その後、車載器300の駆動が開始され(S34)、車載器300の更なる動作制御が可能になる。
【0081】
上述したように、撮像装置201による車載器300の撮像、撮像情報に関する処理、表示情報の表示については、継続して実行されている。このため、車載器300の駆動開始後においても、撮像装置201による撮像(S35)、撮像情報の送信(T34)、撮像情報の記憶と付加(S36)、表示情報の送信(T35)、状態表示(S37)に関する処理が各装置によって実行される。なお、S45~47、T44、T45に係る処理については、S13~S15、T13、T14に係る処理と同一であるため、詳細な説明は省略する。
【0082】
T34において送信される撮像情報は、車載器300の駆動が開始され、画面がON状態の情報を含む。このため、検査者端末装置100において表示される表示情報500は、図7Cに示すように、車載器300の画面600に主画像700、アイコン701、702、703,704が含まれている。ここで、主画像700はいわゆるホーム画面の画像であり、アイコン701~704は車載器300にインストールされたアプリケーションソフトのアイコン画像である。電源ボタン511の操作後に、車載器300の画面600に各画像が表示されることにより、車載器300の電源駆動が検査者によってリアルタイムで確認されることになる。
【0083】
なお、車載器300の画面600に表示される画像の数量及び配置構成は、図7Cの状態に限定されることはない。当然のことながら、車載器300の種類によって当該数量及び配置構成は異なっている。また、上記シーケンスは電源ON駆動に関する説明であったが、電源OFFの場合についても同様のシーケンスとなるが、生成される制御信号が電源OFF信号であり、電源供給を停止する要求及び制御が実行されることになる。そして、画面600に何も表示されないことにより、車載器300の電源停止が検査者によってリアルタイムで確認されることになる。
【0084】
(D)車載器300のハードキーの状態の変更に係る処理
図8Aは、本開示の実施形態に係る検査者端末装置100、検査装置200の各装置、及び車載器300の間で実行される処理シーケンスを示す図である。具体的には、図8Aは、車載器300に対する遠隔操作によるハードキーに関する制御の開始から制御結果が確認されるまでに、検査者端末装置100、検査装置200、及び車載器300の間で実行される処理シーケンスを示す図である。
【0085】
図8Aに示すように、検査者端末装置100は、車載器300に関連するハードキー(車載器300上のハードキー及びステアリングスイッチ)に対応した各種ボタンのいずれかの操作に対応したキー操作信号の生成処理を実行する(S41)。具体的には、検査者端末装置100のプロセッサ112は、マウス116aを介した検査者の操作入力を受けてキー操作信号を生成する。ここで、検査者の操作入力とは、検査者端末装置100のディスプレイに表示された表示情報500のキー操作用のボタン又はステアリングスイッチ用のボタンのいずれかに対して、マウス116aを用いた操作(クリック)である。このため、生成されるキー操作信号は、キー操作用のボタン又はステアリングスイッチ用のボタンのいずれかの操作に関する情報を含む。
【0086】
以下においては、図8Bの破線で囲むように、音量アップボタン523が操作された場合について説明する。そして、プロセッサ112は、生成されたキー操作信号を、通信インターフェイス114を介して主制御端末装置202に送信し、検査者端末装置100から主制御端末装置202に対して、車載器300のハードキーに関する制御要求が実行される(T41)。
【0087】
主制御端末装置202において、通信インターフェイス214を介してキー操作信号が受信されると、主制御端末装置202のプロセッサ212は、車載器300に対して、ハードキーによる車載器300の制御を開始するためのハードキー制御信号を生成する(S42)。ここで、ハードキー制御信号とはハード制御信号の一種であり、音量アップボタン523が操作された場合には、ハードキー制御信号とは音量アップに関するハード制御情報を含む。その後、主制御端末装置202のプロセッサ212は、生成したハードキー制御信号を入出力インターフェイス213を介して車載器300に対して送信し、キー制御要求の処理を実行する(T42)。
【0088】
車載器300は、有線通信又は無線通信を介して主制御端末装置202からハードキー制御信号を受信すると、当該ハードキー制御信号に対応した制御を実行する。すなわち、車載器300においては音量アップボタン523に対応する制御処理が実行され、車載器300の出力ボリュームが一段階増加するような駆動処理が実行される(S43)。
【0089】
上述したように、撮像装置201による車載器300の撮像、撮像情報に関する処理、表示情報の表示については、継続して実行されている。このため、車載器300の出力ボリュームの変更後においても、撮像装置201による撮像(S44)、撮像情報の送信(T43)、撮像情報の記憶と付加(S45)、表示情報の送信(T44)、状態表示(S46)に関する処理が各装置によって実行される。なお、S44~46、T43、T44に係る処理については、S13~S15、T13、T14に係る処理と同一であるため、詳細な説明は省略する。
【0090】
T43において送信される撮像情報は、車載器300の出力ボリュームの変更に関する情報を含む。このため、検査者端末装置100において表示される表示情報500において、図8Bに示すように、主画像700に音量ゲージ(音量メータ)710が表示され、かつ音量ゲージが一段階上がった状態が表示される。音量アップボタン523の操作後に、車載器300の画面600に音量ゲージが一段階上がった状態の画像が表示されることにより、車載器300における音量変更がリアルタイムで確認されることになる。当然のことながら、音量アップボタン523が連続して操作された場合や、音量アップボタン523及び音量ダウンボタン524が交互に操作された場合には、音量ゲージ710における表示が段階的に変化することになり、車載器300における音量変更が適格にできていることが確認されることになる。
【0091】
なお、車載器300の主画像700に表示される音量ゲージ710の画像は、図8Bの状態に限定されることはない。当然のことながら、車載器300の種類によって表示方式が異なる。
【0092】
上記説明においては、音量アップボタン523の操作を検出した場合が前提となっていたが、他のハードキーに対応したボタン(キー操作用のボタン又はステアリングスイッチ用のボタン)の操作を検出した場合にも、主制御端末装置202のプロセッサ212は、各ボタンに対応した駆動要求を実行し、車載器300が当該駆動要求に対応した駆動を行い、当該駆動結果が表示情報500において含まれることになる。
【0093】
(E)検査者端末装置100に表示される車載器300の画面と車載器300の実際の画面との同期に係る処理
図9Aは、本開示の実施形態に係る検査者端末装置100、主制御端末装置202との間で実行される処理シーケンスを示す図である。具体的には、図9Aは、検査者端末装置100に表示される車載器300の画面と車載器300の実際の画面とが同期されるまでに、検査者端末装置100と主制御端末装置202との間で実行される処理シーケンスを示す図である。
【0094】
先ず、検査者端末装置100に表示される車載器300の画面と車載器300の実際の画面との同期を実行するためには、車載器300の画面サイズに関する情報が必須となる。このため、図9Aに示すように、検査者端末装置100は、車載器300の画面サイズに関する画面サイズ選択信号を生成する(S51)。具体的には、検査者端末装置100のプロセッサ112は、入力インターフェイス116を介した検査者の操作入力を受け、車載器300の画面サイズ選択信号を生成する。ここで、検査者の操作入力とは、マウス116a及びキーボード116bを用いて、検査者端末装置100のディスプレイに表示された車載器300の種別の選択若しくは入力、又は画面サイズの直接入力等である。また、当該画面サイズ選択信号には、検査対象物である車載器300の画面の縦寸法及び横寸法に関する情報が含まれる。そして、プロセッサ112は、生成された画面サイズ選択信号を、通信インターフェイス114を介して主制御端末装置202に送信し、検査対象物となる車載器300の画面サイズの登録要求の処理を実行する(T51)。
【0095】
主制御端末装置202において通信インターフェイス214を介して画面サイズ選択信号が受信されると、主制御端末装置202のプロセッサ212は、画面サイズ選択信号をメモリ211に記憶する。すなわち、主制御端末装置202において、検査対象物となる車載器300の画面サイズが設定登録される(S52)。当該設定登録が完了すると、主制御端末装置202のプロセッサ212は、メモリ211からプログラムを読み出して実行する際に、車載器300の画面サイズを利用することが可能になる。
【0096】
なお、主制御端末装置202のメモリ211に、車載器300とその画面サイズの情報が結びついて記憶されている場合には、車載器300の情報のみが選択信号として送信されてもよい。そして、主制御端末装置202のプロセッサ212は、受信した車載器300の情報に紐づいた画面サイズの情報をメモリ211から読み出してもよい。
【0097】
その後、検査者端末装置100に表示される車載器300の画面と車載器300の実際の画面との同期が検査者から要求されると、検査者端末装置100は、表示情報500における同期対象である画面領域を決定するための画面領域選択信号を生成する(S53)。具体的には、検査者端末装置100のプロセッサ112は、マウス116aを介した検査者の操作入力を受けて画面領域選択信号を生成する。ここで、画面領域選択信号は、単なる領域の選択信号だけでなく、以下に説明する検査者の操作入力に関する3つ目の処理(制御要求処理)に対応した信号を含む。
【0098】
ここで、検査者の操作入力とは、以下の3つの処理となる。1つ目の処理は、図9Bの画面600に示された矢印のように、検査者端末装置100のディスプレイに表示された表示情報500において、画面600を選択する操作である。より具体的には、画面600の任意の頂点におけるマウスのクリックによって始点が決定され、当該始点から対角線を描くようにマウスポインター(カーソル)が移動され、当該対角線上の他の頂点におけるマウスのクリックによって終点が決定され、画面600が選択されることになる。すなわち、一般的な矩形の描画処理によって画面600の選択処理が実行される。
【0099】
2つ目の処理は、図9Bの破線で囲まれている部分において、画面ロックボタン542を操作して選択した範囲を確定する操作である。3つ目の処理は、図9Bの破線で囲まれている部分において、座標制御開始ボタン543を操作して後述する座標転換処理及び同期後の画面からの制御要求処理を可能にする操作である。これらの処理後に当該座標転換処理が実行されるため、画面600の範囲選択後において、再度のマウスの使用により、意図しない範囲の変更が生じることを防止し、本シーケンスに係る画面の同期に関する処理の要求を明確にすることが可能になる。
【0100】
その後、検査者端末装置100のプロセッサ112は、生成された画面領域選択信号を、通信インターフェイス114を介して主制御端末装置202に送信する(T52)。当該画面領域選択信号が主制御端末装置202において通信インターフェイス214を介して受信されると、主制御端末装置202のプロセッサ212は、メモリ211に記憶された座標転換処理のプログラムを読み出して実行し、検査者端末装置100に表示される車載器300の画面と車載器300の実際の画面との同期を実行する。換言すると、検査者によって選択された画面領域が、車載器300の実際の画面サイズに転換されることになる。これにより、車載器300の実際の画面上のソフトキーと表示情報500におけるソフトキーボタンとが同期し、検査者端末装置100に表示される車載器300の画面上のソフトキーボタンを操作することで、車載器300の実際のソフトキーが操作されたこととなり、ソフトキーの遠隔操作による検査が実施可能になる。なお、座標転換処理の詳細説明については、主制御端末装置の処理フローの説明の際に行う。
【0101】
なお、本開示の実施形態においては、画面600が矩形であることが前提となっていたが、マウス116aによる画面領域選択が可能であれば、画面形状は円形、楕円、四角形以外の多角形であってもよい。ただし、複雑な形状については座標転換処理が煩雑となり、同期の精度が低下するため、矩形や円形等の単純な形状が好ましい。
【0102】
(F)同期後の車載器300のソフトキーの状態の変更に係る処理
図10Aは、本開示の実施形態に係る検査者端末装置100、検査装置200の各装置、及び車載器300の間で実行される処理シーケンスを示す図である。具体的には、図10Aは、遠隔操作による車載器300のソフトキーに関する制御の開始から制御結果が確認されるまでに、検査者端末装置100、検査装置200、及び車載器300の間で実行される処理シーケンスを示す図である。
【0103】
図10Aに示すように、検査者端末装置100は、車載器300に関連するソフトキーボタンに対応した各種ボタンのいずれかの操作に対応したボタン操作信号の生成処理を実行する(S61)。具体的には、検査者端末装置100のプロセッサ112は、マウス116aを介した検査者の操作入力を受けてボタン操作信号を生成する。ここで、検査者の操作入力とは、検査者端末装置100のディスプレイに表示された映像表示部501内の画面600に含まれる主画像700、又はアイコン701~704のいずれかに対して、マウス116aを用いた操作(クリック)である。このため、生成されるボタン操作信号は、主画像700、又はアイコン701~704のボタンのいずれかの操作に関する情報を含む。
【0104】
以下においては、図10Bの破線で囲むように、アイコン701が操作された場合について説明する。そして、プロセッサ112は、生成されたボタン操作信号を、通信インターフェイス114を介して主制御端末装置202に送信し、検査者端末装置100から主制御端末装置202に対する車載器300のソフトキーに関する制御要求が実行される(T61)。
【0105】
主制御端末装置202において、通信インターフェイス214を介してボタン操作信号が受信されると、主制御端末装置202のプロセッサ212は、車載器300に対して、ソフトキーによる車載器300の制御を開始するためのソフトウェア制御信号を生成する(S62)。ここで、アイコン701が操作された場合を想定するため、ソフトウェア制御信号とは、アイコン701に関連するアプリケーションソフトの起動に関する制御情報を含む。その後、主制御端末装置202のプロセッサ212は、生成したソフトウェア制御信号を入出力インターフェイス213を介して車載器300に対して送信し、キー制御要求の処理を実行する(T62)。
【0106】
車載器300は、有線通信又は無線通信を介して主制御端末装置202からソフトウェア制御信号を受信すると、車載器300のプロセッサがメモリに記憶されたプログラムを読み出して実行する。すなわち、車載器300においてはアイコン701に対応するアプリケーションソフト起動に関する駆動処理が実行され、車載器300の画面上にその操作画面等が表示される。
【0107】
上述したように、撮像装置201による車載器300の撮像、撮像情報に関する処理、表示情報の表示については、継続して実行されている。このため、車載器300におけるアプリケーションソフト起動後においても、撮像装置201による撮像(S64)、撮像情報の送信(T63)、撮像情報の記憶と付加(S65)、表示情報の送信(T64)、状態表示(S66)に関する処理が各装置によって実行される。なお、S64~66、T63、T64に係る処理については、S13~S15、T13、T14に係る処理と同一であるため、詳細な説明は省略する。
【0108】
T63において送信される撮像情報は、車載器300におけるアプリケーションソフト起動後の状態に関する情報を含む。このため、検査者端末装置100において表示される表示情報500において、図10Cに示すように、画面600にアイコン701に対応するアプリケーションソフトの起動画面800が表示される。これにより、車載器300のアプリケーションソフトの起動に関する検査が遠隔にて実施され、検査者によってその結果が確認される。当然のことながら、起動画面800上の操作可能なボタンが、表示情報500において操作されて検査が進む場合にも、図10Aに示すシーケンスと同様の流れにより、遠隔による検査が継続して実行されることになる。
【0109】
(G)同期後の車載器300のソフトキーによる電源制御に係る処理
図11は、本開示の実施形態に係る検査者端末装置100、検査装置200の各装置、及び車載器300の間で実行される処理シーケンスを示す図である。具体的には、図11は、車載器300に対する遠隔操作によるソフトキーに関する制御(電源停止制御)の開始から制御結果が確認されるまでに、検査者端末装置100、検査装置200、及び車載器300の間で実行される処理シーケンスを示す図である。
【0110】
図11に示すように、検査者端末装置100は、作業者によるソフトキーボタンの操作に対応した電源OFF信号の生成処理を実行する。具体的には、検査者端末装置100のプロセッサ112は、マウス116aを介した検査者の操作入力を受けて電源OFF信号を生成する(S71)。ここで、検査者の操作入力とは、検査者端末装置100のディスプレイに表示された映像表示部501内の画面600に含まれるソフトキーボタンの1つである電源ボタン(図示せず)に対して、マウス116aを用いた操作(クリック)である。このため、生成される電源OFF信号は、車載器300への電源供給に関する情報を含む。
【0111】
その後、プロセッサ112は、生成された電源OFF信号を、通信インターフェイス114を介して主制御端末装置202に送信し、検査者端末装置100から主制御端末装置202に対する車載器300の駆動停止要求が実行される(T71)。
【0112】
当該電源OFF信号が主制御端末装置202において通信インターフェイス214を介して受信されると、主制御端末装置202のプロセッサ212は、ハードキー制御装置203に対して、車載器300の駆動を停止するための電源制御信号を生成する(S72)。その後、主制御端末装置202のプロセッサ212は、入出力インターフェイス213を介してハードキー制御装置203に対して生成した電源制御信号を送信し、電源制御要求の処理を実行する(T72)。
【0113】
ハードキー制御装置203は、有線通信又は無線通信を介して主制御端末装置202から電源OFF信号を受信すると、車載器300への電力供給に関する電源制御の処理を実行する(S73)。具体的には、上述したハードキー制御装置203のハードキー制御モジュールは、受信した電源制御信号に基づいて上述した電源のスイッチング処理を実行する。これにより、ハードキー制御装置203から車載器300に対して電力供給が停止される(T73)。その後、車載器300の駆動が停止され(S74)、車載器300の電源がOFF状態となる。
【0114】
上述したように、撮像装置201による車載器300の撮像、撮像情報に関する処理、表示情報の表示については、継続して実行されている。このため、車載器300の駆動開始後においても、撮像装置201による撮像(S75)、撮像情報の送信(T74)、撮像情報の記憶と付加(S76)、表示情報の送信(T75)、状態表示(S77)に関する処理が各装置によって実行される。なお、S75~77、T74、T75に係る処理については、S13~S15、T13、T14に係る処理と同一であるため、詳細な説明は省略する。
【0115】
T34において送信される撮像情報は、車載器300の駆動が停止され、画面がOFF状態の情報を含む。このため、検査者端末装置100において表示される表示情報500において、図6Bに示すように、車載器300の画面600には何も表示されていない状態となる。これにより、車載器300のソフトキーである電源ボタンに対応した、表示情報500に埋め込まれたソフトキーボタンの操作後に、車載器300の画面600には何も表示されなくなり、車載器300の駆動停止が検査者によってリアルタイムで確認されることになる。
【0116】
7.主制御端末装置202において実行される処理フロー
以下、図9Aに記載された画面の同期に係る処理おいて、主制御端末装置202において実行される処理フローを具体的に説明する。
【0117】
図12は、本開示の実施形態に係る主制御端末装置202において実行される処理フローを示す図である。当該処理フローは、主に主制御端末装置202のプロセッサ212がメモリ211に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより行われる。
【0118】
図12に示すように、プロセッサ212は、通信インターフェイス214を介して、検査者端末装置100から画面領域選択信号を受信したか否かを判断する(S111)。ここで、画面領域選択信号は、S53で説明した通り、単なる領域の選択信号だけでなく、検査者の操作入力に関する3つ目の処理(制御要求処理)に対応した信号を含んでいる。画面領域選択信号を受信しない場合(S111:No)、本処理フローは終了する。一方、画面領域選択信号を受信した場合(S111:Yes)、プロセッサ212は、現在の検査実施中の車載器に関する情報(車載器情報)がメモリ211に設定済みか否かを判定する(S112)。ここで、車載器情報は、検査対象物として選択した車載器300の型番、仕様、及び画面サイズの情報を含んでいる。
【0119】
車載器情報が設定されていない場合(S112:No)、プロセッサ212は、通信インターフェイス214を介して、検査者端末装置100に車載器情報の入力要求を行う(S113)。具体的には、プロセッサ212は入力供給信号を通信インターフェイス214を介して検査者端末装置100に送信し、検査者端末装置100のディスプレイに車載器情報の未入力である旨を表示される。その後、検査者によって車載器情報が入力されれば、プロセッサ212は、通信インターフェイス214を介してS51における画面選択サイズ信号を車載器情報として受信する(S114)。また、主制御端末装置202のプロセッサ212は、車載器情報をメモリ211に記憶し、いつでも読出し可能な状態にする。なお、車載器情報が設定されている場合(S112:Yes)、S113及びS114を省略してS115に進む。
【0120】
次に、プロセッサ212は、メモリ211に記憶された車載器情報から画面サイズに関する情報を読み出す(S116)。そして、プロセッサ212は、メモリ211に記憶された座標転換処理のプログラムを読み出して実行し、検査者によって選択された画面領域を車載器300の実際の画面サイズに転換する(S115)。本処理によって、検査者端末装置100に表示される車載器300の画面と車載器300の実際の画面とが同期することになる。ここで、車載器300の実際の画面サイズが例えば8インチ(幅163mm×高さ122mm)である場合に、選択された画面領域の寸法が幅81.5mm×高さ61であって実際の画面サイズの半分とすると、具体的な転換処理として、プロセッサ212は幅及び高さを2倍とし、選択された画面領域内のX座標及びY座標上を実際の画面サイズにおけるX座標及びY座標に座標転換を行う。これにより、選択された画面領域上の各点は、車載器300の実際の画面上の点と対応するため、表示情報500におけるソフトキーボタンの範囲が、車載器300の実際の画面上におけるソフトキーの範囲と一致し、ソフトキーボタンとソフトキーとの同期が可能となる。したがって、操作者が検査者端末装置100のディスプレイに表示された表示情報500内のソフトキーボタンを操作すると、車載器300の実際の画面上のソフトキーが操作されたことと同様の処理の実行が可能になる。
【0121】
その後、通信インターフェイス214を介してボタン操作信号が受信されると、主制御端末装置202のプロセッサ212は、車載器300の実際の画面上のソフトキーに対応したソフトキーボタンの操作があったと判断する。すなわち、プロセッサ212は、検査者端末装置100のディスプレイの画面上の操作を確認する(S117)。そして、主制御端末装置202のプロセッサ212は、ソフトキー操作による車載器300の制御を開始するためのソフトウェア制御信号を生成し、車載器300に対して当該ソフトウェア制御信号を送信する(S118)。
【0122】
8.本開示の実施形態のまとめ
本開示の実施形態に係る検査装置200は、車載器300の動作を遠隔で動作させる装置であって、車載器300の動作を制御するための処理を実行する少なくとも一つのプロセッサ212を具備する。ここで、プロセッサ212は、撮像装置201から供給される車載器300の撮像情報をディスプレイにリアルタイムで出力し、車載器300を制御するためのボタンを撮像情報に付加してディスプレイに出力し、当該ボタンの操作が検出された場合には、当該ボタンに対応した車載器300を制御するための制御信号を生成するための処理を実行するように構成されている。このような構成により、操作者は、車載器300の状態をリアルタイムで確認しつつ、検査を実施することが可能となる。特に、検査者は、検査装置200に接続された端末装置のみを操作するだけ、検査を円滑に行うことが可能になる。すなわち、検査者の負担が軽減され、簡単な操作によって車載器300の検査を遠隔で高精度に行うことが可能になる。
【0123】
また、本開示の実施形態に係る検査装置200において、車載器300を制御するためのボタンを撮像情報に付加することは、車載器300のハードウェアキーを模擬したハードキーボタンを当該撮像情報に併設すること、又は車載器300と連動する他の装置のハードウェアキーを模擬したハードキーボタンを当該撮像情報に併設することを含んでいる。更に、当該制御信号は、当該ハードキーボタンに対応した電源制御信号を含んでいる。これにより、検査者は、車載器300又はこれに連動する他の装置を操作している感覚で、車載器300の検査を遠隔によって行うことができる。特に、検査者は、車載器300の検査項目のうち、特に重要となる電源に関連した動作の検査項目を遠隔で高精度に行うことができる。
【0124】
また、本開示の実施形態に係る検査装置200において、車載器300を制御するためのボタンを撮像情報に付加することは、車載器300の画面上のソフトキーを模擬したソフトキーボタンを埋め込むことを含んでいる。これにより、検査者は、車載器300のソフトウェアを実際に操作している感覚で、車載器300の検査を遠隔によって行うことができる。
【0125】
更に、本開示の実施形態に係る検査装置200において、プロセッサ212は、当該ソフトキーと当該ソフトキーボタンを同期させるための処理を実行する。特に、プロセッサ212は、検査者が当該撮像情報から車載器300の画面を選択した画面領域を、車載器300の画面サイズに転換するための処理を実行するように構成されている。これにより、これにより、選択された画面領域上の各点は、車載器300の実際の画面上の点と対応するため、表示情報500におけるソフトキーボタンの範囲が、車載器300の実際の画面上におけるソフトキーの範囲と一致する。そして、操作者が検査者端末装置100のディスプレイに表示された表示情報500内のソフトキーボタンを操作すると、車載器300の実際の画面上のソフトキーが操作されたことと同様の処理の実行が可能になる。
【0126】
更に、当該制御信号は、当該ソフトキーボタンに対応したソフトウェア制御信号又は電源制御信号を含んでいる。これにより、検査者は、車載器300の検査項目のうち、特に重要となるソフトウェア関連検査、及び電源に関連した動作の検査項目を遠隔で高精度に行うことができる。
【0127】
本開示の実施形態に係る検査装置200のおける検査プログラムは、プロセッサ212を、撮像装置201から供給される車載器300の撮像情報をディスプレイにリアルタイムで出力し、車載器300を制御するためのボタンを撮像情報に付加してディスプレイにリアルタイムで出力し、当該ボタンの操作が検出された場合には、当該ボタンに対応した車載器300を制御するための制御信号を生成し、車載器300の動作を当該制御信号に基づいて制御するように機能させる。このような検査プログラムにより、操作者は、車載器300の状態をリアルタイムで確認しつつ、検査を実施することが可能となる。特に、検査者は、検査装置200に接続された端末装置のみを操作するだけ、検査を円滑に行うことが可能になる。すなわち、検査者の負担が軽減され、簡単な操作によって車載器300の検査を遠隔で高精度に行うことが可能になる。
【0128】
本開示の実施形態に係る検査装置200による検査方法は、プロセッサ212によって実行され、撮像装置201から供給される車載器300の撮像情報をディスプレイにリアルタイムで出力する段階と、車載器300を制御するためのボタンを当該撮像情報に付加してディスプレイに出力する段階と、当該ボタンの操作が検出された場合には、当該ボタンに対応した車載器300を制御するための制御信号を生成する段階と、車載器300の動作を当該制御信号に基づいて制御する段階とを含んでいる。このような検査方法により、操作者は、車載器300の状態をリアルタイムで確認しつつ、検査を実施することが可能となる。特に、検査者は、検査装置200に接続された端末装置のみを操作するだけ、検査を円滑に行うことが可能になる。すなわち、検査者の負担が軽減され、簡単な操作によって車載器300の検査を遠隔で高精度に行うことが可能になる。
【0129】
9.変形例
上記において、検査装置200は、キーに関わる制御装置だけでなく、インジケータ等の状態(スピード、回転数、車両の揺れ、空調温度等の表示)を制御するためのCAN制御装置を備えてもよい。例えば、検査対象である検査装置200がスピードメータの場合には、当該CAN制御装置から所定のスピードを示す制御信号を当該スピードメータに供給し、当該スピードメータが所定のスピードを表示しているか否かを確認することができる。ここで、スピード表示の確認は、撮像装置201から供給される映像を利用することになる。また、主制御端末装置202のプロセッサ212は、検査者端末装置100から当該CAN制御装置を制御可能とするために、撮像情報にCNA制御のための入力画面表示情報を付加することになる。すなわち、表示情報にCAN制御のための入力画面情報が含まれることになり、当該入力画面情報によって表示される入力画面にCAN制御装置への制御要求が検査者によって入力されることにより、インジケータの制御が可能になる。
【0130】
上記において、表示情報500に音声を含まない映像が付加されている場合を説明したが、車載器300の映像に音の情報が更に含まれていてもよい。この場合に、検査者端末装置100の出力インターフェイス111の一例としてスピーカーが接続され、当該スピーカーから車載器300から出力される音が確認されてもよい。例えば、車載器300の音量制御に関する検査に対して好適であり、車載器300の音量の変化を遠隔にて容易に確認でき、検査の精度及びスピードを向上させることができる。
【0131】
上記において、検査者によるボタンの操作はマウス116aによるクリックを前提としていが、検査者端末装置100の入力インターフェイス116としてタッチパネルが使用される場合には、当該タッチパネルのタッチ操作がボタンの操作となる。すなわち、検査者端末装置100におけるボタンの操作を認識することができれば、操作方法は入力インターフェイス116に対応させて適宜異なることになる。
【0132】
本明細書で説明される処理及び手順は、本開示において明示的に説明されたものによってのみならず、ソフトウェア、ハードウェア又はこれらの組み合わせによっても実現可能である。具体的には、本明細書で説明された処理及び手順は、集積回路、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、磁気ディスク、光ストレージ等の媒体に、当該処理に相当するロジックを実装することによって実現される。また、本明細書で説明される処理及び手順は、それらの処理・手順をコンピュータプログラムとして実装し、端末装置やサーバ装置を含む各種のコンピュータに実行させることが可能である。
【0133】
本明細書中で説明される処理及び手順が単一の装置、ソフトウェア、コンポーネント、モジュールによって実行される旨が説明されたとしても、そのような処理又は手順は、複数の装置、複数のソフトウェア、複数のコンポーネント、及び/又は、複数のモジュールによって実行されるものとすることができる。また、本明細書中で説明される各種情報が単一のメモリや記憶部に格納される旨が説明されたとしても、そのような情報は、単一の装置に備えられた複数のメモリ又は複数の装置に分散して配置された複数のメモリに分散して格納されるものとすることができる。さらに、本明細書において説明されるソフトウェア及びハードウェアの要素は、それらをより少ない構成要素に統合して、又は、より多い構成要素に分解することによって実現されるものとすることができる。
【符号の説明】
【0134】
100 検査者端末装置
200 検査装置
202 主制御端末装置
300 車載器
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2022-11-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器を遠隔で動作させる処理装置であって、
前記電子機器の動作を制御するための処理を実行する少なくとも一つのプロセッサを具備し、
前記少なくとも一つのプロセッサは、
撮像装置から供給される前記電子機器の画面の撮像情報をディスプレイにリアルタイムで出力し、
前記電子機器を制御するためのボタンを前記撮像情報に付加して前記ディスプレイにリアルタイムで出力し、
前記ボタンの操作が検出された場合には、前記ボタンに対応した前記電子機器を制御するための制御信号を生成する、
ための処理を実行するように構成され
前記付加は、前記電子機器の画面上のソフトキーを模擬したソフトキーボタンを埋め込むことを含む、
処理装置。
【請求項2】
前記付加は、前記電子機器のハードウェアキーを模擬したハードキーボタンを前記撮像情報に併設することを含む、請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記付加は、前記電子機器と連動する他の装置のハードウェアキーを模擬したハードキーボタンを前記撮像情報に併設することを含む、請求項1に記載の処理装置。
【請求項4】
前記制御信号は、前記ハードキーボタンに対応した電源制御信号を含む、請求項2又は3に記載の処理装置。
【請求項5】
前記少なくとも一つのプロセッサは、前記ソフトキーと前記ソフトキーボタンを同期させるための処理を実行するように構成された、請求項に記載の処理装置。
【請求項6】
前記少なくとも一つのプロセッサは、処理者が前記撮像情報から前記電子機器の画面を選択した画面領域を、前記電子機器の画面サイズに転換するための処理を実行するように構成された、請求項に記載の処理装置。
【請求項7】
前記制御信号は、前記ソフトキーボタンに対応したソフトウェア制御信号又は電源制御信号を含む、請求項1、5及び6のいずれか1項に記載の処理装置。
【請求項8】
前記少なくとも一つのプロセッサは、前記電子機器を制御するための入力画面情報を前記撮像情報に付加して前記ディスプレイにリアルタイムで出力するための処理を実行するように構成された、請求項1に記載の処理装置。
【請求項9】
少なくとも一つのプロセッサを具備するコンピュータにおいて前記少なくとも一つのプロセッサを、
撮像装置から供給される電子機器の撮像情報をディスプレイにリアルタイムで出力し、
前記電子機器を制御するためのボタンを前記撮像情報に付加してディスプレイにリアルタイムで出力し、
前記ボタンの操作が検出された場合には、前記ボタンに対応した前記電子機器を制御するための制御信号を生成し、
前記電子機器の動作を前記制御信号に基づいて制御する、
ように機能させ
前記付加は、前記電子機器の画面上のソフトキーを模擬したソフトキーボタンを埋め込むことを含む、
処理プログラム。
【請求項10】
少なくとも一つのプロセッサを具備するコンピュータにおいて前記少なくとも一つのプロセッサにより実行される処理方法であって、
撮像装置から供給される電子機器の撮像情報をディスプレイにリアルタイムで出力する段階と、
前記電子機器を制御するためのボタンを前記撮像情報に付加してディスプレイにリアルタイムで出力する段階と、
前記ボタンの操作が検出された場合には、前記ボタンに対応した前記電子機器を制御するための制御信号を生成する段階と、
前記電子機器の動作を前記制御信号に基づいて制御する段階と、
を含み、
前記付加は、前記電子機器の画面上のソフトキーを模擬したソフトキーボタンを埋め込むことを含む、
処理方法。