(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019886
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】メモリデバイス
(51)【国際特許分類】
H10B 43/50 20230101AFI20240206BHJP
H10B 43/27 20230101ALI20240206BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240206BHJP
H10B 43/10 20230101ALI20240206BHJP
【FI】
H01L27/11575
H01L27/11582
H01L29/78 371
H01L27/11565
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122636
(22)【出願日】2022-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】永嶋 賢史
【テーマコード(参考)】
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP76
5F083ER23
5F083GA10
5F083GA27
5F083JA04
5F083JA19
5F083JA37
5F083JA39
5F083JA40
5F083KA01
5F083KA05
5F083KA11
5F083KA18
5F083LA12
5F083LA16
5F083LA20
5F083LA21
5F083MA06
5F083MA16
5F083MA20
5F083PR05
5F083PR06
5F101BA45
5F101BB02
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
5F101BH01
5F101BH15
(57)【要約】
【課題】メモリデバイスの歩留りを向上させる。
【解決手段】一実施形態のメモリデバイスは、第1方向に互いに離れて並ぶ第1導電体層及び第2導電体層と、第1方向に見て第2導電体層が第1導電体層と重なる領域において、第1方向に延び、第1導電体層と交差する第1部分が第1メモリセルとして機能し、第2導電体層と交差する第2部分が第2メモリセルとして機能するメモリピラーと、第1方向に見て第2導電体層が第1導電体層と重ならない領域において、第1導電体層と第2導電体層との間に設けられる第1絶縁部材と、第1方向に見て第1絶縁部材と重なる領域において、第1導電体層と交差するように第1方向に延びる第2絶縁部材と、を備える。第2絶縁部材の上端は、第1絶縁部材の下端と離れている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に互いに離れて並ぶ第1導電体層及び第2導電体層と、
前記第1方向に見て前記第2導電体層が前記第1導電体層と重なる領域において、前記第1方向に延び、前記第1導電体層と交差する第1部分が第1メモリセルとして機能し、前記第2導電体層と交差する第2部分が第2メモリセルとして機能するメモリピラーと、
前記第1方向に見て前記第2導電体層が前記第1導電体層と重ならない領域において、前記第1導電体層と前記第2導電体層との間に設けられる第1絶縁部材と、
前記第1方向に見て前記第1絶縁部材と重なる領域において、前記第1導電体層と交差するように前記第1方向に延びる第2絶縁部材と、
を備え、
前記第2絶縁部材の上端は、前記第1絶縁部材の下端と離れている、
メモリデバイス。
【請求項2】
前記第1方向に見て、前記第2導電体層が前記第1導電体層と重なる領域において、前記第1導電体層と前記第2導電体層との間に設けられる第3絶縁部材と、
前記第1方向に見て前記第3絶縁部材と重なる領域において、前記第1導電体層と交差するように前記第1方向に延びる第4絶縁部材と、
を更に備え、
前記第4絶縁部材の上端は、前記第3絶縁部材の下端と接続される、
請求項1記載のメモリデバイス。
【請求項3】
前記第1方向に見て前記第3絶縁部材と重なる領域において、前記第2導電体層と交差するように前記第1方向に延びる第5絶縁部材を更に備え、
前記第5絶縁部材の下端は、前記第3絶縁部材の上端と接続される、
請求項2記載のメモリデバイス。
【請求項4】
前記第1絶縁部材の前記第1方向と交差する第1面に沿った断面積は、前記第2絶縁部材の前記第1面に沿った断面積より大きい、
請求項1記載のメモリデバイス。
【請求項5】
前記第3絶縁部材の前記第1方向と交差する第1面に沿った断面積は、前記第4絶縁部材の前記第1面に沿った断面積より大きい、
請求項2記載のメモリデバイス。
【請求項6】
前記第3絶縁部材の前記第1方向と交差する第1面に沿った断面積は、前記第5絶縁部材の前記第1面に沿った断面積より大きい、
請求項3記載のメモリデバイス。
【請求項7】
前記第1絶縁部材は、内部に第1ボイドを有し、
前記第2絶縁部材は、内部に第2ボイドを有し、
前記第2ボイドは、前記第1ボイドと離れている、
請求項1記載のメモリデバイス。
【請求項8】
前記第3絶縁部材は、内部に第3ボイドを有し、
前記第4絶縁部材は、内部に第4ボイドを有し、
前記第4ボイドは、前記第3ボイドと離れている、
請求項2記載のメモリデバイス。
【請求項9】
前記第3絶縁部材は、内部に第3ボイドを有し、
前記第5絶縁部材は、内部に第5ボイドを有し、
前記第5ボイドは、前記第3ボイドと離れている、
請求項3記載のメモリデバイス。
【請求項10】
前記メモリピラーは、前記第1部分と前記第2部分とを接続する第3部分を更に含み、
前記第3部分の前記第1方向と交差する第1面に沿った断面積は、前記第1部分の前記第1面に沿った断面積より大きく、
前記第3部分の前記第1面に沿った断面積は、前記第2部分の前記第1面に沿った断面積より大きい、
請求項1記載のメモリデバイス。
【請求項11】
前記第1導電体層に対して前記第2導電体層と反対側において、前記第1方向に前記第1導電体層と互いに離れて並ぶ第3導電体層を更に備え、
前記メモリピラーは、前記第3導電体層と接しかつ前記第1部分に接続される第4部分を更に含み、
前記第4部分の前記第1方向と交差する第1面に沿った断面積は、前記第1部分の前記第1面に沿った断面積より大きい、
請求項1記載のメモリデバイス。
【請求項12】
前記第3導電体層と接しかつ前記第2絶縁部材に接続される第6絶縁部材を更に備え、
前記第6絶縁部材の前記第1面に沿った断面積は、前記第2絶縁部材の前記第1面に沿った断面積より大きい、
請求項11記載のメモリデバイス。
【請求項13】
前記第1絶縁部材の側面と、前記第2絶縁部材の側面の延長とは、互いにずれている、
請求項1記載のメモリデバイス。
【請求項14】
前記第3絶縁部材の側面と、前記第4絶縁部材の側面の延長とは、互いにずれている、
請求項2記載のメモリデバイス。
【請求項15】
前記第3絶縁部材の側面と、前記第5絶縁部材の側面の延長とは、互いにずれている、
請求項3記載のメモリデバイス。
【請求項16】
前記第3部分の側面と、前記第1部分の側面の延長とは、互いにずれており、
前記第3部分の側面と、前記第2部分の側面の延長とは、互いにずれている、
請求項10記載のメモリデバイス。
【請求項17】
前記第1方向に見て前記第2導電体層が前記第1導電体層と重ならない領域のうち、前記第2絶縁部材と重ならない領域において、前記第1導電体層と接し、前記第2導電体層と交差するように前記第1方向に延びるコンタクトを更に備える、
請求項1記載のメモリデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、メモリデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
データを不揮発に記憶することが可能なメモリデバイスとして、NANDフラッシュメモリが知られている。このNANDフラッシュメモリのようなメモリデバイスにおいては、高集積化、大容量化のために3次元のメモリ構造が採用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第9780341号明細書
【特許文献2】米国特許第9978766号明細書
【特許文献3】特開2020-145311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
メモリデバイスの歩留りを向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のメモリデバイスは、第1導電体層及び第2導電体層と、メモリピラーと、第1絶縁部材と、第2絶縁部材と、を備える。上記第1導電体層及び上記第2導電体層は、第1方向に互いに離れて並ぶ。上記メモリピラーは、上記第1方向に見て上記第2導電体層が上記f第1導電体層と重なる領域において、上記第1方向に延び、上記第1導電体層と交差する第1部分が第1メモリセルとして機能し、上記第2導電体層と交差する第2部分が第2メモリセルとして機能する。上記第1絶縁部材は、上記第1方向に見て上記第2導電体層が上記第1導電体層と重ならない領域において、上記第1導電体層と上記第2導電体層との間に設けられる。上記第2絶縁部材は、上記第1方向に見て上記第1絶縁部材と重なる領域において、上記第1導電体層と交差するように上記第1方向に延びる。上記第2絶縁部材の上端は、上記第1絶縁部材の下端と離れている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態に係るメモリデバイスを含むメモリシステムの構成を示すブロック図。
【
図2】実施形態に係るメモリデバイスが備えるメモリセルアレイの回路構成の一例を示す回路図。
【
図3】実施形態に係るメモリデバイスが備えるメモリセルアレイを含む領域の平面レイアウトの一例を示す平面図。
【
図4】実施形態に係るメモリデバイスのメモリ領域における詳細な平面レイアウトの一例を示す平面図。
【
図5】実施形態に係るメモリデバイスのメモリ領域における断面構造の一例を示す、
図4のV-V線に沿った断面図。
【
図6】実施形態に係るメモリデバイスにおけるメモリピラーの断面構造の一例を示す、
図5のVI-VI線に沿った断面図。
【
図7】実施形態に係るメモリデバイスの引出領域における詳細な平面レイアウトの一例を示す平面図。
【
図8】実施形態に係るメモリデバイスの引出領域における断面構造の一例を示す、
図7のVIII-VIII線に沿った断面図。
【
図9】実施形態に係るメモリデバイスの製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
【
図10】実施形態に係るメモリデバイスの製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
【
図11】実施形態に係るメモリデバイスの製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
【
図12】実施形態に係るメモリデバイスの製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
【
図13】実施形態に係るメモリデバイスの製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
【
図14】実施形態に係るメモリデバイスの製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
【
図15】実施形態に係るメモリデバイスの製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
【
図16】実施形態に係るメモリデバイスの製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
【
図17】実施形態に係るメモリデバイスの製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
【
図18】実施形態に係るメモリデバイスの製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
【
図19】実施形態に係るメモリデバイスの製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
【
図20】実施形態に係るメモリデバイスの製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
【
図21】実施形態に係るメモリデバイスの製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
【
図22】実施形態に係るメモリデバイスの製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
【
図23】実施形態に係るメモリデバイスの製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
【
図24】実施形態に係るメモリデバイスの製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
【
図25】実施形態に係るメモリデバイスのテラス領域におけるコンタクトのマージンの例を示す平面図。
【
図26】比較例に係るメモリデバイスのテラス領域におけるコンタクトのマージンの例を示す平面図。
【
図27】実施形態に係るメモリデバイスの引出領域における断面構造の一例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、実施形態について図面を参照して説明する。図面の寸法及び比率は、必ずしも現実のものと同一とは限らない。
【0008】
なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付す。同様の構成を有する要素同士を特に区別する場合、同一符号の末尾に、互いに異なる文字又は数字を付加する場合がある。
【0009】
1. 構成
1.1 メモリシステム
図1は、実施形態に係るメモリシステムの構成を説明するためのブロック図である。メモリシステムは、外部のホスト(図示せず)に接続されるように構成された記憶装置である。メモリシステムは、例えば、SD
TMカードのようなメモリカード、UFS(universal flash storage)、SSD(solid state drive)である。メモリシステム1は、メモリコントローラ2及びメモリデバイス3を含む。
【0010】
メモリコントローラ2は、例えば、SoC(system-on-a-chip)のような集積回路で構成される。メモリコントローラ2は、ホストからの要求に基づいて、メモリデバイス3を制御する。具体的には、例えば、メモリコントローラ2は、ホストから書込みを要求されたデータをメモリデバイス3に書き込む。また、メモリコントローラ2は、ホストから読出しを要求されたデータをメモリデバイス3から読み出してホストに送信する。
【0011】
メモリデバイス3は、不揮発にデータを記憶するメモリである。メモリデバイス3は、例えば、NANDフラッシュメモリである。
【0012】
メモリコントローラ2とメモリデバイス3との通信は、例えば、SDR(single data rate)インタフェース、トグルDDR(double data rate)インタフェース、又はONFI(Open NAND flash interface)に準拠する。
【0013】
1.2 メモリデバイス
引き続き、
図1に示すブロック図を参照して、実施形態に係るメモリデバイスの内部構成について説明する。メモリデバイス3は、例えばメモリセルアレイ10、コマンドレジスタ11、アドレスレジスタ12、シーケンサ13、ドライバモジュール14、ロウデコーダモジュール15、並びにセンスアンプモジュール16を備える。
【0014】
メモリセルアレイ10は、複数のブロックBLK0~BLKn(nは1以上の整数)を含む。ブロックBLKは、データを不揮発に記憶することが可能な複数のメモリセルの集合であり、例えばデータの消去単位として使用される。また、メモリセルアレイ10には、複数のビット線及び複数のワード線が設けられる。各メモリセルは、例えば1本のビット線と1本のワード線とに関連付けられる。メモリセルアレイ10の詳細な構成については後述する。
【0015】
コマンドレジスタ11は、メモリデバイス3がメモリコントローラ2から受信したコマンドCMDを記憶する。コマンドCMDは、例えばシーケンサ13に読出し動作、書込み動作、消去動作等を実行させる命令を含む。
【0016】
アドレスレジスタ12は、メモリデバイス3がメモリコントローラ2から受信したアドレス情報ADDを記憶する。アドレス情報ADDは、例えばブロックアドレスBAd、ページアドレスPAd、及びカラムアドレスCAdを含む。例えば、ブロックアドレスBAd、ページアドレスPAd、及びカラムアドレスCAdは、それぞれブロックBLK、ワード線、及びビット線の選択に使用される。
【0017】
シーケンサ13は、メモリデバイス3全体の動作を制御する。例えば、シーケンサ13は、コマンドレジスタ11に記憶されたコマンドCMDに基づいてドライバモジュール14、ロウデコーダモジュール15、及びセンスアンプモジュール16等を制御して、読出し動作、書込み動作、消去動作等を実行する。
【0018】
ドライバモジュール14は、読出し動作、書込み動作、消去動作等で使用される電圧を生成する。そして、ドライバモジュール14は、例えばアドレスレジスタ12に記憶されたページアドレスPAdに基づいて、選択されたワード線に対応する信号線に生成した電圧を印加する。
【0019】
ロウデコーダモジュール15は、アドレスレジスタ12に記憶されたブロックアドレスBAdに基づいて、対応するメモリセルアレイ10内の1個のブロックBLKを選択する。そして、ロウデコーダモジュール15は、例えば選択されたワード線に対応する信号線に印加された電圧を、選択されたブロックBLK内の選択されたワード線に転送する。
【0020】
センスアンプモジュール16は、書込み動作において、メモリコントローラ2から受信した書込みデータDATに応じて、各ビット線に所望の電圧を印加する。また、センスアンプモジュール16は、読出し動作において、ビット線の電圧に基づいてメモリセルに記憶されたデータを判定し、判定結果を読出しデータDATとしてメモリコントローラ2に転送する。
【0021】
1.3 メモリセルアレイの回路構成
図2は、実施形態に係るメモリデバイスが備えるメモリセルアレイの回路構成の一例を示す回路図である。
図2では、メモリセルアレイ10に含まれる複数のブロックBLKのうちの1個のブロックBLKが示される。
図2に示すように、ブロックBLKは、例えば5つのストリングユニットSU0~SU4を含む。
【0022】
各ストリングユニットSUは、ビット線BL0~BLm(mは1以上の整数)にそれぞれ関連付けられた複数のNANDストリングNSを含む。各NANDストリングNSは、例えばメモリセルトランジスタMT0~MT7、並びに選択トランジスタST1及びST2を含む。各メモリセルトランジスタMTは、制御ゲート及び電荷蓄積膜を含み、データを不揮発に記憶する。選択トランジスタST1及びST2のそれぞれは、各種動作時におけるストリングユニットSUの選択に使用される。
【0023】
各NANDストリングNSにおいて、メモリセルトランジスタMT0~MT7は、直列接続される。選択トランジスタST1のドレインは、関連付けられたビット線BLに接続され、選択トランジスタST1のソースは、直列接続されたメモリセルトランジスタMT0~MT7の一端に接続される。選択トランジスタST2のドレインは、直列接続されたメモリセルトランジスタMT0~MT7の他端に接続される。選択トランジスタST2のソースは、ソース線SLに接続される。
【0024】
同一のブロックBLKにおいて、メモリセルトランジスタMT0~MT7の制御ゲートは、それぞれワード線WL0~WL7に接続される。ストリングユニットSU0~SU4内の選択トランジスタST1のゲートは、それぞれ選択ゲート線SGD0~SGD4に接続される。複数の選択トランジスタST2のゲートは、選択ゲート線SGSに接続される。
【0025】
ビット線BL0~BLmには、それぞれ異なるカラムアドレスが割り当てられる。各ビット線BLは、複数のブロックBLK間で同一のカラムアドレスが割り当てられたNANDストリングNSによって共有される。ワード線WL0~WL7のそれぞれは、ブロックBLK毎に設けられる。ソース線SLは、例えば複数のブロックBLK間で共有される。
【0026】
1個のストリングユニットSU内で共通のワード線WLに接続された複数のメモリセルトランジスタMTの集合は、例えばセルユニットCUと呼ばれる。例えば、それぞれが1ビットデータを記憶するメモリセルトランジスタMTを含むセルユニットCUの記憶容量が、「1ページデータ」として定義される。セルユニットCUは、メモリセルトランジスタMTが記憶するデータのビット数に応じて、2ページデータ以上の記憶容量を有し得る。
【0027】
なお、実施形態に係るメモリデバイス3が備えるメモリセルアレイ10の回路構成は、以上で説明した構成に限定されない。例えば、各ブロックBLKが含むストリングユニットSUの個数は、任意の個数に設計され得る。各NANDストリングNSが含むメモリセルトランジスタMT並びに選択トランジスタST1及びST2の個数は、それぞれ任意の個数に設計され得る。
【0028】
1.4 メモリセルアレイの構造
以下に、実施形態に係るメモリデバイスが備えるメモリセルアレイの構造の一例について説明する。なお、以下で参照される図面において、X方向は、ワード線WLの延伸方向に対応する。Y方向は、ビット線BLの延伸方向に対応する。XY平面は、メモリデバイス3の形成に使用される半導体基板20の表面に対応する。Z方向は、XY平面に対する鉛直方向に対応する。平面図において、図を見易くするために、ハッチングが適宜付加される。平面図に付加されたハッチングは、ハッチングが付加された構成要素の素材や特性とは必ずしも関連していない。断面図において、図を見易くするために、構成の図示が適宜省略される。
【0029】
1.4.1 平面レイアウトの概要
図3は、実施形態に係るメモリデバイスが備えるメモリセルアレイの平面レイアウトの一例を示す平面図である。
図3では、4個のブロックBLK0~BLK3に対応する領域が示される。
図3に示すように、メモリセルアレイ10の平面レイアウトは、例えば、X方向において、メモリ領域MA、並びに引出領域HA1及びHA2に分割される。また、メモリセルアレイ10は、複数の部材SLT及びSHEを含む。
【0030】
メモリ領域MAは、引出領域HA1と引出領域HA2との間に配置される。メモリ領域MAは、複数のNANDストリングNSを含む領域である。引出領域HA1及びHA2のそれぞれは、積層配線(例えば、ワード線WL0~WL7、並びに選択ゲート線SGD及びSGS)と、ロウデコーダモジュール15との間の接続に使用される領域である。
【0031】
複数の部材SLTは、各々がX方向に延び、Y方向に並ぶ。各部材SLTは、隣り合うブロックBLKの間の境界領域において、X方向にメモリ領域MA並びに引出領域HA1及びHA2を横切る。また、各部材SLTは、例えば、絶縁体や板状のコンタクトが埋め込まれた構造を有する。そして、各部材SLTは、当該部材SLTを介して隣り合う積層配線を分断する。
【0032】
複数の部材SHEは、各々がX方向に沿って延び、Y方向に並ぶ。本例では、4つの部材SHEが、隣り合う部材SLTの間のそれぞれに配置されている。各部材SHEは、X方向にメモリ領域MAを横切る。各部材SHEの両端はそれぞれ、引出領域HA1及びHA2に含まれる。また、各部材SHEは、例えば、絶縁体が埋め込まれた構造を有する。そして、各部材SHEは、当該部材SHEを介して隣り合う選択ゲート線SGDを分断する。
【0033】
以上で説明されたメモリセルアレイ10の平面レイアウトでは、部材SLTによって区切られた領域のそれぞれが、1個のブロックBLKに対応する。また、部材SLT及びSHEによって区切られた領域のそれぞれが、1個のストリングユニットSUに対応する。そして、メモリセルアレイ10には、例えば
図3に示されたレイアウトが、Y方向に繰り返し配置される。
【0034】
尚、実施形態に係るメモリデバイス3が備えるメモリセルアレイ10の平面レイアウトは、以上で説明されたレイアウトに限定されない。例えば、隣り合う部材SLTの間に配置される部材SHEの数は、任意の数に設計され得る。隣り合う部材SLTの間に形成されるストリングユニットSUの個数は、隣り合う部材SLTの間に配置された部材SHEの数に基づいて変更され得る。
【0035】
1.4.2 メモリ領域
(平面レイアウト)
図4は、実施形態に係るメモリデバイスのメモリ領域MAにおける詳細な平面レイアウトの一例を示す平面図である。
図4では、1個のブロックBLK(すなわち、ストリングユニットSU0~SU4)を含む領域と、当該ブロックを挟む2個の部材SLTが示される。
図4に示すように、メモリ領域MAにおいてメモリセルアレイ10は、複数のメモリピラーMP、複数のコンタクトCV、及び複数のビット線BLを含む。また、各部材SLTは、コンタクトLI及びスペーサSPを含む。
【0036】
メモリピラーMPの各々は、例えば1個のNANDストリングNSとして機能する。複数のメモリピラーMPは、隣り合う2個の部材SLTの間の領域において、例えば24列の千鳥状に配置される。そして、例えば、紙面の上側から数えて、5列目のメモリピラーMPと、10列目のメモリピラーMPと、15列目のメモリピラーMPと、20列目のメモリピラーMPとのそれぞれに、1個の部材SHEが重なっている。
【0037】
複数のビット線BLは、それぞれがY方向に延び、X方向に並ぶ。各ビット線BLは、ストリングユニットSU毎に、少なくとも1個のメモリピラーMPと重なるように配置される。
図4の例では、2本のビット線BLが、1個のメモリピラーMPと重なるように配置される場合が示される。メモリピラーMPと重なる複数のビット線BLのうち1本のビット線BLと、対応する1個のメモリピラーMPとの間は、コンタクトCVを介して電気的に接続される。
【0038】
例えば、部材SHEと接触しているメモリピラーMPと、ビット線BLとの間のコンタクトCVは、省略される。言い換えると、異なる2本の選択ゲート線SGDに接したメモリピラーMPとビット線BLとの間のコンタクトCVは、省略される。隣り合う部材SLT間におけるメモリピラーMPや部材SHE等の個数及び配置は、
図4を用いて説明された構成に限定されず、適宜変更され得る。各メモリピラーMPと重なるビット線BLの数は、任意の数に設計され得る。
【0039】
コンタクトLIは、XZ平面内に広がる導電体である。スペーサSPは、コンタクトLIの側面に設けられた絶縁体である。言い換えると、コンタクトLIは、平面視においてスペーサSPに囲まれる。
【0040】
(断面構造)
図5は、実施形態に係るメモリデバイスのメモリ領域MAにおける断面構造の一例を示す、
図4のV-V線に沿った断面図である。
図5に示すように、メモリセルアレイ10は、半導体基板20、導電体層21~26、及び絶縁体層30~37を更に含む。
【0041】
半導体基板20は、例えばP型の半導体である。半導体基板20の上面上に、絶縁体層30が設けられる。半導体基板20及び絶縁体層30は、図示せぬ回路を含む。半導体基板20及び絶縁体層30に含まれる回路は、ロウデコーダモジュール15やセンスアンプモジュール16等に対応する。絶縁体層30の上面上には、導電体層21が設けられる。
【0042】
導電体層21は、例えばXY平面に沿って広がる板状の導電体である。導電体層21は、ソース線SLとして使用される。導電体層21は、例えばリンがドープされたシリコンを含む。
【0043】
導電体層21の上面上には、絶縁体層31及び導電体層22がこの順に積層される。導電体層22は、例えばXY平面に沿って広がった板状に形成される。導電体層22は、選択ゲート線SGSとして使用される。導電体層22は、例えばタングステンを含む。絶縁体層31は、例えば酸化シリコンを含む。
【0044】
導電体層22の上面上には、絶縁体層32及び導電体層23がこの順に交互に積層される。導電体層23は、例えばXY平面に沿って広がった板状に形成される。積層された複数の導電体層23は、半導体基板20側から順に、それぞれワード線WL0~WL3として使用される。導電体層23は、例えばタングステンを含む。絶縁体層32は、例えば酸化シリコンを含む。
【0045】
最上層の導電体層23の上面上には、絶縁体層33が設けられる。絶縁体層33の膜厚は、絶縁体層32よりも厚い。絶縁体層33は、例えば、酸化シリコンを含む。
【0046】
絶縁体層33の上面上には、絶縁体層34と導電体層24とがこの順に交互に積層される。導電体層24は、例えばXY平面に沿って広がった板状に形成される。積層された複数の導電体層24は、半導体基板20側から順に、それぞれワード線WL4~WL7として使用される。導電体層24は、例えばタングステンを含む。絶縁体層34は、例えば酸化シリコンを含む。
【0047】
最上層の導電体層24の上面上には、絶縁体層35、導電体層25、及び絶縁体層36がこの順に積層される。導電体層25は、例えばXY平面に沿って広がった板状に形成される。導電体層25は、選択ゲート線SGDとして使用される。導電体層25は、例えばタングステンを含む。絶縁体層35及び36は、例えば酸化シリコンを含む。
【0048】
絶縁体層36の上面上には、絶縁体層37を介して導電体層26が設けられる。導電体層26は、例えばY方向に延びるライン状に形成され、ビット線BLとして使用される。つまり、図示せぬ領域において、複数の導電体層26が、X方向に並ぶ。導電体層26は、例えば銅を含む。絶縁体層37は、導電体層26の上方を覆う。絶縁体層37は、例えば酸化シリコンを含む。
【0049】
各メモリピラーMPは、底部BMP、下部LMP、結合部JMP、及び上部UMPを含む。底部BMPは、導電体層21内に設けられる。下部LMPは、底部BMPの上端に接続され、導電体層22及び23と交差するようにZ方向に延びる。結合部JMPは、下部LMPの上端に接続され、絶縁体層33内に設けられる。上部UMPは、結合部JMPの上端に接続され、導電体層24及び25と交差するようにZ方向に延びる。上部UMPの上端は、絶縁体層36の上面と揃う。
【0050】
底部BMPをXY平面で切った断面積(XY断面積)は、下部LMPの下端のXY断面積より大きい。結合部JMPのXY断面積は、下部LMPの上端のXY断面積、及び上部UMPの下端のXY断面積より大きい。
【0051】
底部BMPの側面は、下部LMPの側面の延長とは、互いにずれており、一致しない。結合部JMPの側面は、下部LMPの側面の延長、及び上部UMPの側面の延長とは、互いにずれており、一致しない。このような側面のずれは、
図5に示したYZ断面内に限らず、Z方向を含む任意の断面において生じる。
【0052】
また、各メモリピラーMPは、例えばコア膜40、半導体膜41、及び積層膜42を含む。コア膜40は、Z方向に延びる。例えば、コア膜40の上端は、導電体層25よりも上層に位置し、コア膜40の下端は、導電体層21と同層に位置する。半導体膜41は、コア膜40の周囲を覆う。底部BMPにおいて、半導体膜41の側面が、導電体層21に接する。積層膜42は、半導体膜41と導電体層21とが接触した部分を除いて、半導体膜41の側面及び底面を覆う。コア膜40は、例えば酸化シリコン等の絶縁体を含む。半導体膜41は、例えばシリコンを含む。
【0053】
メモリピラーMPと導電体層22とが交差した部分が、選択トランジスタST2として機能する。メモリピラーMPと1個の導電体層23又は1個の導電体層24とが交差した部分が、1個のメモリセルトランジスタMTとして機能する。メモリピラーMPと導電体層25とが交差した部分が、選択トランジスタST1として機能する。
【0054】
メモリピラーMP内の半導体膜41の上面には、柱状のコンタクトCVが設けられる。図示された領域には、部材SLT及びSHEによって区切られた断面領域のそれぞれにおいて2個のメモリピラーMPのうち、1個のメモリピラーMPにそれぞれ対応する1個のコンタクトCVが表示される。メモリ領域MAにおいて、部材SHEと重ならず、かつコンタクトCVが接続されていないメモリピラーMPには、図示されない領域において、対応するコンタクトCVが接続される。
【0055】
コンタクトCVの上面には、1個の導電体層26、すなわち1本のビット線BLが接する。1個の導電体層26は、部材SLT及びSHEによって区切られた空間のそれぞれにおいて、1個のコンタクトCVと接する。つまり、導電体層26の各々には、隣り合う部材SLT及びSHEの間に設けられたメモリピラーMPと、隣り合う2個の部材SHEの間に設けられたメモリピラーMPとが電気的に接続される。
【0056】
部材SLTは、導電体層22~25を分離する。部材SLT内のコンタクトLIは、スペーサSPに沿って設けられる。コンタクトLIの上端は、導電体層25と導電体層26との間の層に位置する。コンタクトLIの下端は、導電体層21と接する。スペーサSPは、コンタクトLIと導電体層22~25との間に設けられる。コンタクトLIと、導電体層22~25との間は、スペーサSPによって離隔及び絶縁される。
【0057】
部材SHEは、導電体層25を分離する。部材SHEの上端は、導電体層25と導電体層26との間の層に位置する。部材SHEの下端は、最上層の導電体層24と導電体層25との間の層に位置する。部材SHEは、例えば酸化シリコン等の絶縁体を含む。部材SHEの上端と部材SLTの上端とは、揃っていても良いし、揃っていなくても良い。また、部材SHEの上端とメモリピラーMPの上端とは、揃っていても良いし、揃っていなくても良い。また、各導電体層22~25は、任意の数を取り得る。例えば、導電体層25が複数設けられる場合、部材SHEの下端は、最上層の導電体層24と最下層の導電体層25との間に位置する。すなわち、部材SHEの下端は、導電体層25の数に応じて深くなる。
【0058】
図6は、実施形態に係るメモリデバイスにおけるメモリピラーの断面構造の一例を示す、
図5のVI-VI線に沿った断面図である。より具体的には、
図6は、XY平面に平行且つ導電体層23を含む層におけるメモリピラーMPの断面構造を示す。
図6に示すように、積層膜42は、例えばトンネル絶縁膜43、電荷蓄積膜44、及びブロック絶縁膜45を含む。
【0059】
導電体層23を含む断面において、コア膜40は、例えばメモリピラーMPの中央部に設けられる。半導体膜41は、コア膜40の側面を囲む。トンネル絶縁膜43は、半導体膜41の側面を囲む。電荷蓄積膜44は、トンネル絶縁膜43の側面を囲む。ブロック絶縁膜45は、電荷蓄積膜44の側面を囲む。導電体層23は、ブロック絶縁膜45の側面を囲む。
【0060】
半導体膜41は、メモリセルトランジスタMT0~MT7並びに選択トランジスタST1及びST2のチャネル(電流経路)として使用される。トンネル絶縁膜43及びブロック絶縁膜45のそれぞれは、例えば酸化シリコンを含む。電荷蓄積膜44は、電荷を蓄積する機能を有し、例えば窒化シリコンを含む。これにより、各メモリピラーMPは、1個のNANDストリングNSとして機能し得る。
【0061】
1.4.3 引出領域
(平面レイアウト)
実施形態に係るメモリデバイス3では、引出領域HA1における偶数番号のブロックBLKの構造が、引出領域HA2における奇数番号のブロックBLKの構造と類似している。また、引出領域HA2における偶数番号のブロックBLKの構造が、引出領域HA1における奇数番号のブロックBLKの構造と類似している。
【0062】
具体的には、例えば、引出領域HA2におけるブロックBLK0の平面レイアウトは、引出領域HA1におけるブロックBLK1の構造をX方向及びY方向のそれぞれに反転させたレイアウトと同様である。引出領域HA2におけるブロックBLK1の平面レイアウトは、引出領域HA1におけるブロックBLK0の構造をX方向及びY方向のそれぞれに反転させたレイアウトと同様である。以下では、偶数番号のブロックBLKのことを“BLKe”と呼び、奇数番号のブロックBLKのことを“BLKo”と呼ぶ。
【0063】
図7は、実施形態に係るメモリデバイスの引出領域における詳細な平面レイアウトの一例を示す平面図である。
図7では、引出領域HA1における隣り合うブロックBLKe及びBLKoに対応する領域に加え、近傍のメモリ領域MAの一部も示される。以下に、
図7に示された引出領域HA1におけるブロックBLKe及びBLKoの平面レイアウトに基づいて、引出領域HA1及びHA2におけるブロックBLKの平面レイアウトについて説明する。
【0064】
図7に示すように、引出領域HA1において、選択ゲート線SGS、ワード線WL0~WL7、及び選択ゲート線SGDのそれぞれは、積層配線のうち上層の配線層(導電体層)と重ならない部分(テラス部分)を有する。また、引出領域HA1においてメモリセルアレイ10は、複数のコンタクトCC、及び複数の支持ピラーHRを含む。
【0065】
引出領域HA1において上層の配線層と重ならない部分の形状は、階段(step)、段丘(terrace)、畦石(rimstone)等と類似している。具体的には、選択ゲート線SGSとワード線WL0との間、ワード線WL0とワード線WL1との間、・・・、ワード線WL6とワード線WL7との間、ワード線WL7と選択ゲート線SGDとの間に、それぞれ段差が設けられる。
図7の例では、ワード線WL0~WL7の端部が、Y方向に1段の段差を有し、かつX方向に複数の段差が形成された2列の階段状に設けられる場合が示される。
【0066】
引出領域HA1とブロックBLKeとが重なる領域では、複数のコンタクトCCが、選択ゲート線SGS、ワード線WL0~WL7、及び選択ゲート線SGD0~SGD4のそれぞれのテラス部分の上にそれぞれ設けられる。また、引出領域HA1とブロックBLKoとが重なる領域では、積層配線に対する複数のコンタクトCCが省略される。
【0067】
一方で、図示が省略されているが、引出領域HA2とブロックBLKoとが重なる領域では、複数のコンタクトCCが、選択ゲート線SGS、ワード線WL0~WL7、及び選択ゲート線SGD0~SGD4のそれぞれのテラス部分の上にそれぞれ設けられる。また、引出領域HA2とブロックBLKeとが重なる領域では、積層配線に対する複数のコンタクトCCが省略される。
【0068】
選択ゲート線SGS、ワード線WL0~WL7、及び選択ゲート線SGD0~SGD4のそれぞれは、対応するコンタクトCCを介してロウデコーダモジュール15に電気的に接続される。つまり、選択ゲート線SGS、ワード線WL0~WL7、及び選択ゲート線SGD0~SGD4のそれぞれには、例えば引出領域HA1及びHA2のいずれか一方に配置されたコンタクトCCから電圧が印加される。尚、各配線層には、引出領域HA1と、引出領域HA2とのそれぞれにコンタクトCCが接続されても良い。この場合、例えばワード線WLは、引出領域HA1内のコンタクトCCと引出領域HA2内のコンタクトCCとの両側から電圧が印加される。
【0069】
引出領域HA1及びHA2において、複数の支持ピラーHRは、部材SLT及びコンタクトCCが形成される部分を除いた領域に適宜配置される。
【0070】
(断面構造)
図8は、実施形態に係るメモリデバイスの備えるメモリセルアレイの引出領域及びメモリ領域における断面構造の一例を示す、
図8のVIII-VIII線に沿った断面図である。なお、
図8では、説明の便宜上、導電体層21より下方の構造については省略されて図示される。
【0071】
図8に示すように、引出領域HA1には、複数の導電体層27が設けられる。そして、選択ゲート線SGSに対応する導電体層22の端部と、ワード線WLに対応する複数の導電体層23及び24の端部と、選択ゲート線SGDに対応する導電体層25の端部とが、階段状に設けられる。導電体層22及び23のテラス領域の上面上には、絶縁体層38が設けられる。導電体層24のテラス領域の上面上には、絶縁体層39が設けられる。
【0072】
複数のコンタクトCCは、選択ゲート線SGS、ワード線WL0~WL7、及び選択ゲート線SGDのそれぞれのテラス部分の上に、それぞれ設けられる。各コンタクトCCの上には、1個の導電体層27が設けられる。各導電体層27は、ロウデコーダモジュール15と電気的に接続され、例えば導電体層26と同じ層に含まれている。これにより、導電体層22~25のそれぞれと、ロウデコーダモジュール15との間が、コンタクトCC及び導電体層27を介して電気的に接続される。導電体層22~25のそれぞれと、ロウデコーダモジュール15とは、導電体層27よりも上層の配線層(図示せず)を更に介して電気的に接続されてもよい。
【0073】
各支持ピラーHRは、絶縁体が埋め込まれた構造を有する。支持ピラーHRは、底部BHR、下部LHR、結合部JHR、及び上部UHRを含む。底部BHRは、導電体層21内に設けられる。下部LHRは、底部BHRの上端に接続され、絶縁体層31から絶縁体層33までの間でZ方向に延びる。結合部JHRは、絶縁体層33内に設けられる。上部UHRは、結合部JHRの上端に接続され、絶縁体層33から絶縁体層36までの間でZ方向に延びる。各支持ピラーHRは、底部BHR、下部LHR、結合部JHR、及び上部UHRの各々において、互いに離間したボイドVOを有し得る。
【0074】
底部BHRのXY断面積は、下部LHRの下端のXY断面積より大きい。結合部JHRのXY断面積は、下部LHRの上端のXY断面積、及び上部UHRの下端のXY断面積より大きい。
【0075】
底部BHRの側面は、下部LHRの側面の延長とは、互いにずれており、一致しない。結合部JHRの側面は、下部LHRの側面の延長、及び上部UHRの側面の延長とは、互いにずれており、一致しない。このような側面のずれは、
図8に示したXZ断面内に限らず、Z方向を含む任意の断面において生じる。
【0076】
支持ピラーHRは、設けられる位置に応じて、3種類の支持ピラーHRa、HRb、及びHRcに分類される。支持ピラーHRaは、Z方向に見て導電体層25と重複する位置に設けられる支持ピラーHRである。支持ピラーHRbは、Z方向に見て導電体層24のテラス領域又は最上層の導電体層23のテラス領域と重複する位置に設けられる支持ピラーHRである。支持ピラーHRcは、Z方向に見て最上層の導電体層24を除く導電体層24のテラス領域と重複する位置に設けられる支持ピラーHRである。以下、支持ピラーHRa、HRb、及びHRcを互いに区別しない場合には、単に「支持ピラーHR」と記載するものとする。
【0077】
支持ピラーHRaの下部LHRは、導電体層22及び23と交差するようにZ方向に延びる。支持ピラーHRaの結合部JHRは、支持ピラーHRaの下部LHRの上端に接続される。支持ピラーHRaの上部UHRは、導電体層24及び25と交差するようにZ方向に延びる。支持ピラーHRaの上部UHRの上端は、絶縁体層36の上面と揃う。
【0078】
支持ピラーHRbの下部LHRは、導電体層22及び23と交差するようにZ方向に延びる。支持ピラーHRbの結合部JHRは、支持ピラーHRbの下部LHRの上端に接続される。支持ピラーHRbの上部UHRは、対応するテラス領域の1層上方の導電体層24又は25の下面までZ方向に延びる。すなわち、支持ピラーHRbの上部UHRは、対応するテラス領域より上方の導電体層24及び25とは交差しない。
【0079】
支持ピラーHRcの下部LHRは、対応するテラス領域の1層上方の導電体層23の下面までZ方向に延びる。すなわち、支持ピラーHRcの下部LHRは、対応するテラス領域より上方の導電体層23とは交差しない。支持ピラーHRcの結合部JHRは、支持ピラーHRcの下部LHRの上端とは離間する。支持ピラーHRcの上部UHRは、最下層の導電体層25の下面までZ方向に延びる。すなわち、支持ピラーHRcの上部UHRは、導電体層24及び25とは交差しない。
【0080】
2. メモリデバイスの製造方法
図9~
図24の各々は、実施形態に係るメモリデバイスの製造途中の平面レイアウト又は断面構造の一例を示す。図示された断面構造は、
図8に対応する。以下に、メモリデバイス3における、メモリセルアレイ10の製造工程の一例について説明する。
【0081】
まず、
図9に示すように、半導体基板20の上面上に、絶縁体層30が形成される。絶縁体層30の上面上に、半導体層51、絶縁体層52、犠牲層53、絶縁体層54、及び半導体層55がこの順に積層される。半導体層51及び55は、例えば、ポリシリコンを含む。絶縁体層52及び54は、例えば、酸化シリコンを含む。犠牲層53は、例えば、アモルファスシリコンを含む。続いて、フォトリソグラフィ等によって、メモリピラーMPの底部BMP及び支持ピラーHRの底部BHRに対応する領域が開口したマスクが形成される。そして、当該マスクを用いた異方性エッチングによって、例えば半導体層55、絶縁体層54、犠牲層53、及び絶縁体層52を貫通する複数のホールH0及びH1が形成される。ホールH0及びH1はそれぞれ、メモリピラーMPの底部BMP及び支持ピラーHRの底部BHRに対応する。複数のホールH0及びH1の各々の底部において、半導体層51の一部が露出する。当該異方性エッチング工程には、例えば、RIE(Reactive Ion Etching)が使用される。
【0082】
次に、
図10に示すように、複数のホールH0及びH1の内部に犠牲層56が埋め込まれる。犠牲層56は、例えば、カーボンを含む。積層構造の上面は、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)によって平坦化される。その後、半導体層55及び犠牲層56の上面上に、絶縁体層31及び犠牲層57がこの順に積層される。犠牲層57の上面上に、絶縁体層32及び犠牲層58がこの順に繰り返し積層される。最上層の犠牲層58の上面上に、絶縁体層33が形成される。犠牲層57及び58は、例えば、窒化シリコンを含む。
【0083】
次に、
図11に示すように、フォトリソグラフィ等によって、メモリピラーMPの下部LMP及び支持ピラーHRの下部LHRに対応する領域が開口したマスクが形成される。そして、当該マスクを用いた異方性エッチングによって、例えば絶縁体層31、32、及び33、並びに犠牲層57及び58のそれぞれを貫通する複数のホールH2及びH3が形成される。ホールH2及びH3はそれぞれ、メモリピラーMPの下部LMP及び支持ピラーHRの下部LHRに対応する。複数のホールH2及びH3の各々の底部において、犠牲層56の一部が露出する。なお、当該異方性エッチング工程において、犠牲層56は、絶縁体層31、32、及び33、並びに犠牲層57及び58よりもエッチングレートの低いストップ材として機能する。当該異方性エッチング工程には、例えば、RIEが使用される。
【0084】
次に、
図12に示すように、複数のホールH2及びH3を介して、犠牲層56が除去される。複数のホールH2は、レジスト層59によって覆われる。そして、複数のホールH3が、絶縁体層60によって埋め込まれる。絶縁体層60は、例えば、酸化シリコンを含む。絶縁体層60の内部には、例えば、底部BHRに対応する領域、及び下部LHRに対応する領域にそれぞれ離間したボイドVOが形成される。複数のホールH3が絶縁体層60によって埋め込まれた後、レジスト層59は除去される。
【0085】
次に、
図13に示すように、複数のホールH2が、犠牲層61によって埋め込まれる。犠牲層61は、例えば、カーボンを含む。積層構造の上面は、例えばCMPによって平坦化される。その後、絶縁体層33及び60、並びに犠牲層61の上面上に、絶縁体層62が形成される。絶縁体層62は、例えば、酸化シリコンを含む。
【0086】
次に、
図14に示すように、積層された犠牲層57及び58の端部が、引出領域HA1及びHA2内で階段状に加工される。当該工程によって、支持ピラーHRcに対応する絶縁体層60のうち、テラス領域の上方の部分が除去される。その後、引出領域HA1及びHA2内の階段部分が絶縁体層38によって埋め込まれる。積層構造の上面は、例えばCMPによって平坦化される。
【0087】
次に、
図15に示すように、フォトリソグラフィ等によって、支持ピラーHRの結合部JHRに対応する領域が開口したマスクが形成される。そして、当該マスクを用いた異方性エッチングによって、例えば絶縁体層62を貫通する複数のホールH4が形成される。ホールH4は、支持ピラーHRの結合部JHRに対応する。支持ピラーHRa及びHRbに対応する複数のホールH4の各々の底部において、絶縁体層60の一部が露出する。支持ピラーHRcに対応する複数のホールH4の各々の底部において、絶縁体層38の一部が露出する。当該異方性エッチング工程には、例えば、RIEが使用される。
【0088】
次に、
図16に示すように、絶縁体層62がエッチバックされることにより、犠牲層61が露出する。続いて、露出した犠牲層61の一部がエッチバックされることにより、複数のホールH5が形成される。ホールH5は、メモリピラーMPの結合部JMPに対応する。その後、複数のホールH4及びH5が、例えば、ウェットエッチングによって、拡張される。これにより、複数のホールH4及びH5の各々の径が拡大する。なお、当該ウェットエッチング工程の後におけるホールH5の底部は、例えば、ホールH4の底部と同様に、犠牲層58の上方に位置する。
【0089】
次に、
図17に示すように、複数のホールH4及びH5が、犠牲層63によって埋め込まれる。犠牲層63は、例えば、カーボンを含む。積層構造の上面は、例えばCMPによって平坦化される。
【0090】
次に、
図18に示すように、絶縁体層33及び38、並びに犠牲層63の上面上に、絶縁体層34及び犠牲層64がこの順に積層される。犠牲層64の上面上に、絶縁体層35及び犠牲層65がこの順に繰り返し積層される。最上層の犠牲層65の上面上に、絶縁体層36が形成される。犠牲層64及び65は、例えば、窒化シリコンを含む。
【0091】
次に、
図19に示すように、フォトリソグラフィ等によって、メモリピラーMPの上部UMP及び支持ピラーHRの上部UHRに対応する領域が開口したマスクが形成される。そして、当該マスクを用いた異方性エッチングによって、例えば絶縁体層34、35、及び36、並びに犠牲層64及び65のそれぞれを貫通する複数のホールH6及びH7が形成される。ホールH6及びH7はそれぞれ、メモリピラーMPの上部UMP及び支持ピラーHRの上部UHRに対応する。複数のホールH6及びH7の各々の底部において、犠牲層63の一部が露出する。なお、当該異方性エッチング工程において、犠牲層63は、絶縁体層34、35、及び36、並びに犠牲層64及び65よりもエッチングレートの低いストップ材として機能する。当該異方性エッチング工程には、例えば、RIEが使用される。
【0092】
次に、
図20に示すように、複数のホールH6を介して犠牲層61及び63が除去されると同時に、複数のホールH7を介して犠牲層63が除去される。複数のホールH6は、レジスト層66によって覆われる。そして、複数のホールH7が、絶縁体層67によって埋め込まれる。絶縁体層67は、例えば、酸化シリコンを含む。絶縁体層67の内部には、例えば、結合部JHRに対応する領域、及び上部UHRに対応する領域にそれぞれ離間したボイドVOが形成される。複数のホールH7が絶縁体層67によって埋め込まれた後、レジスト層66は除去される。
【0093】
次に、
図21に示すように、複数のホールH6内に、ブロック絶縁膜45、電荷蓄積膜44、トンネル絶縁膜43、半導体膜41、及びコア膜40がこの順に形成される。複数のホールH6は、コア膜40によって埋め込まれる。それから、ホールH6の上部に設けられたコア膜40の一部が除去され、当該部分に半導体膜41が形成される。積層構造の上面は、例えばCMPによって平坦化される。
【0094】
次に、
図22に示すように、積層された犠牲層64及び65の端部が、引出領域HA1及びHA2内で階段状に加工される。当該工程によって、支持ピラーHRb及びHRcに対応する絶縁体層67のうち、テラス領域の上方の部分が除去される。その後、引出領域HA1及びHA2内の階段部分が絶縁体層39によって埋め込まれる。積層構造の上面は、例えばCMPによって平坦化された後、絶縁体層37が形成される。これにより、支持ピラーHRa、HRb、及びHRcが形成される。
【0095】
次に、
図23に示すように、置換処理が実行される。置換処理では、ソース線SLへの置換処理と、選択ゲート線SGS及びSGD、並びにワード線WL0~WL7への置換処理とが順に実行される。
【0096】
ソース線SLへの置換処理では、まず、フォトリソグラフィ等によって、部材SLTに対応する領域が開口したマスクが形成される。そして、当該マスクを用いた異方性エッチングによって、例えば絶縁体層31~37、並びに犠牲層57、58、64及び65のそれぞれを貫通する複数のスリット(図示せず)が形成される。犠牲層53が当該スリットを介して、例えば、ウェットエッチングによって選択的に除去される。続けて、例えばウェットエッチングによって、絶縁体層52及び54と、積層膜42の一部とが、スリットを介して選択的に除去される。そして、半導体層(例えば、シリコン)が、犠牲層53、並びに絶縁体層52及び54に形成された空間に埋め込まれる。当該半導体層と、半導体層51及び55とによって、ソース線SLとして機能する導電体層21が形成される。導電体層21は、半導体膜41の側面と接することにより、半導体膜41と電気的に接続される。これにより、メモリピラーMPが形成される。
【0097】
ワード線WL0~WL7への置換処理では、熱リン酸等によるウェットエッチングによって、犠牲層57、58、64、及び65が、スリットを介して選択的に除去される。そして、導電体が、スリットを介して、犠牲層57、58、64、及び65が除去された空間に埋め込まれる。本工程における導電体の形成には、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)が使用される。その後、スリット内部に形成された導電体がエッチバック処理によって除去される。これにより、スリット内部に形成された導電体が、複数の導電体層に分離される。これにより、選択ゲート線SGSとして機能する導電体層22と、それぞれがワード線WL0~WL3として機能する複数の導電体層23と、それぞれがワード線WL4~WL7として機能する複数の導電体層24と、選択ゲート線SGDとして機能する導電体層25とが形成される。本工程において形成される導電体層22、23、24、及び25は、バリアメタルを含んでいてもよい。この場合、犠牲層57、58、64、及び65の除去後の導電体の形成では、例えば、バリアメタルとして窒化チタンが成膜された後に、タングステンが形成される。
【0098】
次に、
図24に示すように、フォトリソグラフィ等によって、複数のコンタクトCCに対応する領域が開口したマスクが形成される。そして、当該マスクを用いた異方性エッチングによって、例えば絶縁体層32~39のそれぞれを貫通する複数のホールH8が形成される。ホールH8は、コンタクトCCに対応する。複数のホールH8の各々の底部において、導電体層22~25の一部が露出する。当該異方性エッチング工程には、例えば、RIEが使用される。その後、ホールH8が、導電体によって埋め込まれることにより、コンタクトCCが形成される。
【0099】
以上で説明した製造工程によって、メモリセルアレイ10が形成される。なお、以上で説明した製造工程はあくまで一例であり、これに限定されない。例えば、各製造工程の間にはその他の処理が挿入されても良いし、一部の工程が省略又は統合されても良い。また、各製造工程は、可能な範囲で入れ替えられても良い。
【0100】
3. 本実施形態に係る効果
実施形態によれば、支持ピラーHRcは、上部UHRよりもXY断面積の大きい結合部JHRを有する。結合部JHRに対応するホールH4には、犠牲層63が埋め込まれる。犠牲層63の材料には、上部UHRに対応するホールH7を形成する際の絶縁体層34、35、及び36、並びに犠牲層64及び65に対してエッチングレートが低くなるカーボンが選択される。これにより、ホールH7を形成する際に、ホールH7が犠牲層63の下方に達することを抑制できる。このため、導電体層21及び22のテラス領域において、支持ピラーHRcの結合部JHRと下部LHRとが接続されることを抑制できる。したがって、導電体層21及び22のテラス領域におけるコンタクトCCの支持ピラーHRに対するマージンを確保することができる。以下に、
図25及び
図26を用いて、本効果について説明する。
【0101】
図25は、実施形態に係るメモリデバイスのコンタクトのマージンの例を示す平面図である。
図26は、比較例に係るメモリデバイスのコンタクトのマージンの例を示す平面図である。
図25の例が、支持ピラーHRの上部UHRと下部LHRとの間に結合部JHRが形成される場合に対応するのに対し、
図26の例は、支持ピラーHRの上部UHRと下部LHRとの間に結合部JHRが形成されない場合に対応する。
図25及び
図26では、導電体層21及び22のテラス領域における、支持ピラーHRの下部LHRと、上部UHRと、コンタクトCCに対応するホールH9との位置関係の例が示される。
図25(A)及び
図26(A)では、支持ピラーHRの下部LHRと上部UHRとの間の位置ずれが小さい場合が示される。
図25(B)及び
図26(B)では、支持ピラーHRの下部LHRと上部UHRとの間の位置ずれが大きい場合が示される。
【0102】
図26(A)及び
図26(B)に示されるように、比較例では、導電体層21及び22のテラス領域までホールH7が達する。これにより、支持ピラーHRの下部LHRと上部UHRとの間に大きな位置ずれがある場合、コンタクトCCの支持ピラーHRに対するマージンCM’は、マージンCMよりも小さくなる。また、仮にコンタクトCCに対応するホールH7が導電体層21及び22のテラス領域の上面上で支持ピラーHRと接触してしまった場合、ホールH7が支持ピラーHRを介して導電体層21及び22の下方の導電体層に達し得る。このように、比較例では、コンタクトCCを介して複数のワード線WLがショートしてしまう可能性が高まり、好ましくない。
【0103】
これに対して、
図25(A)及び
図25(B)に示されるように、実施形態では、犠牲層63によって、導電体層21及び22のテラス領域までホールH7が達することが抑制される。これにより、支持ピラーHRの下部LHRと上部UHRとの間の位置ずれの有無に関わらず、コンタクトCCの支持ピラーHRに対するマージンCMは変化しない。このため、コンタクトCCに対応するホールH7が導電体層21及び22のテラス領域の上面上で支持ピラーHRと接触してしまう可能性の増加を抑制できる。したがって、実施形態では、コンタクトCCを介して複数のワード線WLがショートしてしまう可能性が低くすることができ、メモリデバイス3の歩留まりを向上させることができる。
【0104】
4. 変形例等
上述の実施形態では、支持ピラーHRcの結合部JHR及び上部UHRが残存する場合について説明したが、これに限られない。例えば、支持ピラーHRcの結合部JHR及び上部UHRは、製造されなくてもよい。
【0105】
図27は、変形例に係るメモリデバイスの引出領域における断面構造の一例を示す断面図である。
図27は、実施形態における
図8に対応する。
【0106】
図27に示すように、X方向に並ぶ支持ピラーHRのうち、導電体層24と貫通する上部UHRを有する支持ピラーHRbから複数個(例えば、2個)離れた支持ピラーHRc’は、結合部JHR及び上部UHRを有していなくてもよい。これは、当該支持ピラーHRc’が仮に結合部JHR及び上部UHRを有していたとしても、当該結合部JHR及び上部UHRが導電体層22~25の置換処理の際に積層構造を支持する機能を有していないためである。
【0107】
なお、X方向に並ぶ支持ピラーHRのうち、導電体層24と貫通する上部UHRを有する支持ピラーHRbと隣り合う複数個(例えば、2個)の支持ピラーHRcは、結合部JHR及び上部UHRを有した形で残存させる。これは、同時加工される複数の支持ピラーHRのうち端部に位置する支持ピラーHRは、加工性が悪化することによって寸法及び形状の要求を満たせなくなる可能性があるためである。このように、導電体層24と貫通する上部UHRを有する支持ピラーHRbと隣り合う複数個(例えば、2個)の支持ピラーHRcを複数の支持ピラーHRの端部として残存させることにより、置換処理の際に積層構造を支持する機能を有する支持ピラーHRbの上部UHRの加工性が悪化することを抑制できる。
【0108】
また、上述の実施形態では、支持ピラーHR内にボイドVOが形成される場合を例に説明したが、これに限られない。例えば、支持ピラーHRは、内部にボイドVOが形成されないように設けられてもよい。
【0109】
また、上述の実施形態では、部材SLTがコンタクトLIを含む構造を有する場合を例に説明したが、これに限られない。例えば、部材SLTは、コンタクトLIを含まずに絶縁体で埋め込まれる構造を有していてもよい。
【0110】
また、上記各実施形態では、メモリデバイス3が1個のチップ上に構成される構造を有する場合を例に説明したが、これに限られない。例えば、メモリデバイス3は、センスアンプモジュール16等が設けられたチップと、メモリセルアレイ10が設けられたチップとが貼り合わされた構造であっても良い。
【0111】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0112】
1…メモリシステム
2…メモリコントローラ
3…メモリデバイス
10…メモリセルアレイ
11…コマンドレジスタ
12…アドレスレジスタ
13…シーケンサ
14…ドライバモジュール
15…ロウデコーダモジュール
16…センスアンプモジュール
20…半導体基板
21~27…導電体層
30~39,52,54,60,62,67…絶縁体層
40…コア膜
41…半導体膜
42…積層膜
43…トンネル絶縁膜
44…電荷蓄積膜
45…ブロック絶縁膜
51,55…半導体層
53,56~58,61,63~65…犠牲層
59,66…レジスト層