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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000199
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   H05B 6/12 20060101AFI20231225BHJP
【FI】
H05B6/12 312
H05B6/12 305
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098836
(22)【出願日】2022-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】松崎 浩二
(72)【発明者】
【氏名】関 真人
(72)【発明者】
【氏名】福岡 万由子
(72)【発明者】
【氏名】和田 直樹
【テーマコード(参考)】
3K151
【Fターム(参考)】
3K151BA56
3K151BA65
3K151CA72
3K151CA75
(57)【要約】
【課題】撮影画像の表示を適正に行うことができる加熱調理器を提供する。
【解決手段】被加熱物を加熱調理するグリルと、グリル内の被加熱物を撮像するカメラと、カメラの撮像タイミングを制御する表示制御装置と、カメラで撮像された画像を表示する第2操作部と、を備え、表示制御装置は、グリルで被加熱物の加熱調理が開始した後、所定の撮像タイミングにて、予め設定された時間に限定してカメラで撮像された画像を第2操作部に表示する。具体的には、例えば、グリル内での加熱調理が完了したときは(ステップS1のYes)、表示制御装置は、カメラでグリルの庫内を撮像し、その画像を第2操作部に表示する(ステップS2)。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物を加熱調理する第1加熱調理部と、
前記第1加熱調理部内の前記被加熱物を撮像する撮像素子と、
前記撮像素子の撮像タイミングを制御する制御部と、
前記撮像素子で撮像された画像を表示する表示装置と、を備え、
前記制御部は、前記第1加熱調理部で前記被加熱物の加熱調理が開始した後、所定の撮像タイミングにて、予め設定された時間に限定して前記撮像素子で撮像された画像を前記表示装置に表示すること、を特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記制御部は、前記撮像タイミングを前記表示装置に複数種類表示して複数種類の前記撮像タイミングの中から所望のものの選択を受け付けること、を特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記制御部は、複数種類の前記撮像タイミングとして、前記被加熱物の加熱調理の終了の際、任意に設定された時間、及び所定間隔のうち、少なくとも1つの選択を受け付けること、を特徴とする請求項2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記制御部は、前記任意に設定された時間として、前記被加熱物の加熱調理の終了前の任意の時間だけ前からの時間の選択を受け付けること、を特徴とする請求項3に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記制御部は、前記所定間隔として、前記被加熱物の加熱調理の時間の後半側の時間内における所定間隔の選択を受け付けること、を特徴とする請求項3に記載の加熱調理器。
【請求項6】
被加熱物を加熱調理する第2加熱調理部を更に備え、
前記制御部は、前記表示装置に対する前記第2加熱調理部に関する情報の表示も行うこと、を特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、特開2010-40441号公報(特許文献1)がある。この公報には、「天面に配置され、光透過性を備えた非磁性体からなるトッププレートと、トッププレートの下方に配設された複数の誘導加熱手段と、複数の加熱手段の下方に配置され、内部に被調理物を収納する調理庫と、調理庫内に離れて配置される2つの上部、下部加熱手段と、調理庫の前側開口に開閉自在に取り付けられたグリル扉体と、誘導加熱手段及び加熱手段を動作させるよう入力する操作手段と、誘導加熱手段及び加熱手段の出力を制御する制御手段とを備え、調理庫内の被調理物を撮影する撮影手段を備え、トッププレートに表示窓を設け、表示窓の直下に撮影手段が撮影した画像を表示する表示手段を設けるようにしたものである。」と記載されている(要約参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-40441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示の技術は、撮影画像の表示の適正化という観点からは改善の余地があった。
そこで、本発明は、撮影画像の表示を適正に行うことができる加熱調理器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、被加熱物を加熱調理する第1加熱調理部と、前記第1加熱調理部内の前記被加熱物を撮像する撮像素子と、前記撮像素子の撮像タイミングを制御する制御部と、前記撮像素子で撮像された画像を表示する表示装置と、を備え、前記制御部は、前記第1加熱調理部で前記被加熱物の加熱調理が開始した後、所定の撮像タイミングにて、予め設定された時間に限定して前記撮像素子で撮像された画像を前記表示装置に表示すること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、撮影画像の表示を適正に行うことができる加熱調理器を提供することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施例である加熱調理器の平面図である。
図2】加熱調理器の制御系の概要を示すブロック図である。
図3】設定メニュー画面の平面図である。
図4】グリルカメラ画面の平面図である。
図5】任意時間設定画面の平面図である。
図6】通常時の加熱調理器の稼働時における第2操作部の表示画面の一例を示す平面図である。
図7】カメラの撮影画像を表示する第2操作部の画面の平面図である。
図8】カメラの撮影画像を表示する第2操作部の画面の別の例を示す平面図である。
図9】加熱調理器が実行する処理を説明するフローチャートである。
図10】加熱調理器が実行する処理を説明するフローチャートである。
図11図10の処理の一例を示すタイミングチャートである。
図12】加熱調理器が実行する処理を説明するフローチャートである。
図13図12の処理の一例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
図1は、加熱調理器1の平面図である。図1には、前後左右の方向を矢印で示している。加熱調理器1の本体11の筐体12の上部にはトッププレート2が設けられている。トッププレート2の上面には(トッププレート2には)、3口の加熱領域、すなわち、加熱領域3R、加熱領域3L、加熱領域3Mがそれぞれ設定されている。加熱領域3R、加熱領域3L、加熱領域3Mは、いずれも第2加熱調理部となるもので、加熱領域3R、加熱領域3L、加熱領域3Mは、それぞれの上に載置された被加熱物を加熱調理する。この第2加熱調理部は、例えばIH(Induction Heating)クッキングヒータであり、各加熱領域3R、加熱領域3L、加熱領域3Mの下に設けられた誘導加熱コイル4(図2)により加熱領域3R、加熱領域3L、加熱領域3M上に載置された鉄系鍋等の被加熱物を誘導加熱する。
【0009】
加熱領域3Rと加熱領域3Lはトッププレート2の上面の左右に並んで互いにある程度の間隔を空けて配置されている。加熱領域3Mは、加熱領域3Rと加熱領域3Lとの間の中間位置より後方に、加熱領域3R、加熱領域3Lとある程度の間隔を空けて設けられている。加熱領域3R、加熱領域3L、加熱領域3Mは例えば円形であるが、加熱領域3R、加熱領域3Lは例えばそれぞれ同じ大きさの比較的大きな円形であるのに対して、加熱領域3Mは、これらより小さな円形である。加熱領域3R、加熱領域3L、加熱領域3Mの範囲はそれぞれトッププレート2の上面のどこの位置になるのかは、トッププレート2の上面(上面から視てわかるように)に色別や線図等で表示されている。
【0010】
本体11の側部左前面の内部にはグリル14が設けられ、筐体12の側部左前面部がグリル14の開閉部14aとなっている。第1加熱調理部となるグリル14は電熱線48(図2)による加熱で魚等の被加熱物を加熱調理する。
トッププレート2を上から視て前側端縁近傍には、トッププレート2の上面側から操作可能な第1操作部13が配置されている。第1操作部13は、本体11の各種操作を受付ける操作ボタン群である。第1操作部13は、例えば静電誘導方式のガラスタッチのボタン群である。もちろん第1操作部13を機械接点式のスイッチとして構成してもよい。第1操作部13は、例えば複数のボタンが左右方向に一列に並んでいる。第1操作部13のうち、左右方向の右側に一列に並ぶ右ヒータ操作部13Rは、加熱領域3R(に対応している誘導加熱コイル4)の各種操作をユーザから受け付ける。第1操作部13のうち、左右方向の左側に一列に並ぶ左ヒータ操作部13Lは、加熱領域3L(に対応している誘導加熱コイル4)の各種操作をユーザから受け付ける。第1操作部13のうち、左右方向の中央部に一列に並ぶ中ヒータ及びグリル操作部13Mは、加熱領域3M(に対応している誘導加熱コイル4)の各種操作と、グリル14の各種操作とをユーザから受け付ける。
【0011】
トッププレート2の加熱領域3Rと加熱領域3Lとの中間よりも前方で第1操作部13よりも後方の位置には、第2操作部31が設けられている。第2操作部31は、例えば、トッププレート2をコンタクトガラスとするタッチパネル装置(表示装置)である。第2操作部31は、IHによる加熱領域3R、加熱領域3L、加熱領域3M(にそれぞれ対応している誘導加熱コイル4)、伝熱によるグリル14(の電熱線48)に関して、各種メッセージを表示し、また、各種操作を受け付ける。このように、加熱領域3R、加熱領域3L、加熱領域3M(にそれぞれ対応している誘導加熱コイル4)、グリル14(の電熱線48)の操作は、第1操作部13、第2操作部31の双方から行うことができる。
【0012】
図2は、加熱調理器1の制御系の概要を示すブロック図である。表示制御装置45(制御部)には、第2操作部31及び第1操作部13が所定のインターフィスを介して接続されている。メイン制御装置47には、所定のインターフェイスを介して、3つの誘導加熱コイル4(それぞれ加熱領域3R、加熱領域3L、加熱領域3Mに対応している)と、グリル14の電熱線48と、カメラ51(撮像素子)とが接続されている。
メイン制御装置47は、3つの誘導加熱コイル4と電熱線48とを制御することで、加熱領域3R、加熱領域3L、加熱領域3M、グリル14の火力制御を行う。カメラ51は、グリル14の庫内の上部等に設けられ、目視しにくいグリル14内の魚等の被加熱物の加熱状況を撮像する。第1操作部13や第2操作部31でユーザから受付けた操作の情報は、表示制御装置45を介してメイン制御装置47に伝達される。カメラ51で撮像された画像は、メイン制御装置47、表示制御装置45を介して、第2操作部31に表示される。
【0013】
ところで、前記した特許文献1では、調理庫内の被調理物を撮影する撮影手段を備え、トッププレートに表示窓を設け、表示窓の直下に撮影手段が撮影した画像を表示する表示手段を設けるようにしている。これにより調理庫内の被調理物の調理状況を撮像し、表示手段に表示して確認することができる。
しかし、表示手段が調理庫内の被調理物の調理状況のみでなく、他の画像の表示にも使用されている場合には、調理庫内の調理中は撮影手段による撮影を常時続けていると、表示手段の相当部分は当該画像の表示に使用されてしまう。そのため、これが表示手段に調理庫内の調理中の画像以外の情報を表示するための障害となってしまうという点で、改善の余地があった。
【0014】
特に、本実施例の加熱調理器1では、第2操作部31にグリル14のみならずIHの加熱領域3R、加熱領域3L、加熱領域3Mに関する情報も表示するようにしている。そのため、グリル14で加熱調理を行っている最中に常時、カメラ51による撮像画像を第2操作部31に表示すると、当該画像以外のグリル14に関する情報のみならず各加熱領域3R、加熱領域3L、加熱領域3Mに関する情報の表示も妨げられる。そのため、加熱調理器1では、カメラ51による撮影画像の表示を適正に行う必要がある。以下では、加熱調理器1でカメラ51による撮影画像の表示を適正に行うための技術手段について説明する。
【0015】
図3は、設定メニュー画面の平面図である。表示制御装置45(制御部)は、第2操作部31の所定操作を受け付けて、第2操作部31に設定メニュー画面61を表示する。設定メニュー画面61では、ペアリングボタン62、画面操作ボタン63、無線LANボタン64、グリルカメラボタン65等の各種ボタンを表示する。
【0016】
ペアリングボタン62は、ユーザの所持するスマートフォンと加熱調理器1との連動操作を行うための操作ボタンである。
画面操作ボタン63は、第2操作部31の画面表示の変更を行うための操作ボタンである。
無線LANボタン64は、無線LANを介して加熱調理器1をインターネットに接続するためのボタンである。
グリルカメラボタン65は、グリル14を使用する際にカメラ51でグリル14の庫内を撮像する時間(所定の撮像タイミング(所定の表示タイミング))を設定するためのボタンであり、詳細は以下に記載する。
なお、符号の69は前の画面に戻るボタンである。
【0017】
図4は、グリルカメラ画面の平面図である。グリルカメラボタン65を操作すると、表示制御装置45は、第2操作部31の画面表示をグリルカメラ画面71に遷移する。グリルカメラ画面71は、表示制御装置45が、グリル14を使用する際にカメラ51でグリル14の庫内を撮像する時間について様々な設定を受け付ける画面である。
ボタン72は、グリル14での加熱調理が開始して後、少なくとも当該加熱調理が終了するまでの間は、カメラ51で撮像する画像を第2操作部31に表示し続けるように設定することを受け付けるボタンであり、ボタン73は当該設定を解除するボタンである。
【0018】
ボタン74~79(各ONボタン・OFFボタン)は、表示制御装置45により、グリル14での加熱調理が開始した後、所定の撮像タイミングにて、予め設定された時間に限定してカメラ51で撮像された画像を第2操作部31に表示する設定に関わるボタンである。このように、表示制御装置45は、グリルカメラ画面71を、カメラ51の撮像タイミングを第2操作部31に複数種類表示して複数種類の当該撮像タイミングの中から所望のものの選択を受け付ける画面としている。
ボタン74は、グリル14での加熱調理の終了時の所定時間だけカメラ51で撮像された画像を第2操作部31に表示する設定に関わるボタンであり、ボタン75は当該設定を解除するボタンである。
【0019】
ボタン76は、グリル14での加熱調理の際の任意の時間だけカメラ51で撮像された画像を第2操作部31に表示する設定に関わるボタンであり、ボタン77は当該設定を解除するボタンである。
ボタン78は、グリル14での加熱調理の際に所定間隔の所定時間だけカメラ51で撮像された画像を第2操作部31に表示する設定に関わるボタンであり、ボタン79は当該設定を解除するボタンである。さらに具体的には所定間隔として、グリル14の被加熱物の加熱調理の時間の後半側の時間内における所定間隔の選択を受け付ける。
【0020】
図5は、任意時間設定画面の平面図である。前記ボタン76を操作したときは、第2操作部31は任意時間設定画面81に遷移する。任意時間設定画面81では、表示制御装置45が、グリル14の加熱調理の終了予定の何分前からカメラ51の撮像画像を第2操作部31に表示するかの設定を受け付けることができる。具体的には終了予定の何分前かの「分数」を可変する可変ボタン82,83を操作することにより、分数表示窓84に表示される当該分数の値を様々に可変し、確定ボタン85の押下により当該分数(所定の撮像タイミング)を確定させて設定することができる。
【0021】
次に、図4図5の設定画面による設定後にグリル14を稼働させた際に実行される処理の内容について説明する。
まず、図4のグリルカメラ画面71でボタン72がONとされたときは、グリル14の加熱調理開始から終了まで常時、カメラ51の撮像画像が第2操作部31に表示される。
【0022】
図6は、通常時の加熱調理器1の稼働時の第2操作部31の表示画面の一例を示す平面図である。この画面101では、加熱調理器1の外観イメージの絵が表示される(遠近法的な表示)。すなわち、トッププレート2を斜め前方から視た絵の図形102には、そのトッププレート2上での加熱領域3R、加熱領域3M、加熱領域Lを想起させる表示ボタン103~105(アイコン)が配置されている。表示ボタン103,105は、それぞれ加熱領域3R、加熱領域Lを想起させるように図形102の前方側に左右並んで配置されている。また、表示ボタン104は加熱領域3Mを想起させるように図形102の表示ボタン103と表示ボタン105との中間地点の後方に表示されている。表示ボタン103~105は、それぞれ加熱領域3R、加熱領域3M、加熱領域Lに対応し、それぞれ加熱領域3R、加熱領域3M、加熱領域Lの操作を可能にするボタンであり、またそれらの「加熱状況」を表示する表示部ともなる。図形102の前方には加熱調理器1の筐体12(図1)の側部前面部分を想起させる図形106が表示されている。そして、図形106の左側部分には筐体12の側部前面部分左側に配置されたグリル14を想起させるように表示ボタン107が表示されている。表示ボタン107は、グリル14に対応し、グリル14の操作を可能にするボタンであり、またそれらの「加熱状況」を表示する表示部ともなる。このように、第2操作部31には、1画面内に複数の加熱領域及びグリル14のそれぞれの操作に関する各表示ボタンがトッププレート2上及び筐体12における複数の加熱領域間及びグリル14の配置関係に対応して配置されている。
【0023】
この画面101では、各加熱領域、グリル14のうち稼働中のものの「加熱状況」が表示ボタン103~105,107に表示される。この例では、加熱領域3R、加熱領域3L、グリル14が稼働中である。そのため、本例では、加熱領域3Rに対応する表示ボタン103には設定温度が140℃という表示と、吹き出しにより、現在、「揚げ物」が選択されていること、適温であること、残り時間が1分であることが表示されている。また、加熱領域3Lに対応する表示ボタン105には、本例では、火力レベルが6であることと、吹き出しにより残り時間が2分であることが表示されている。さらに、グリル14に対応する表示ボタン107には、本例で、火力が中火であることと、吹き出しにより「切身 干物」という運転メニューが選択されていることが表示されている。また、各加熱領域3、グリル14のうち稼働中のものの設定火力レベルが視覚的にわかりやすく表示ボタン103~105,107の色で示される。例えば設定火力が低いほど淡いオレンジ色が表示され、高いほど濃い赤色が表示される等する。
【0024】
このように画面101では、各加熱領域3、グリル14のうち稼働中のものの「加熱状況」が第2操作部31の1画面に集約して表示される。
図7は、カメラ51の撮影画像を表示する第2操作部31の画面の平面図である。前記の画面101に重ねてカメラ51の撮影画像91を表示する撮影画面92が表示されている。このとき、画面101にはカメラ51が稼働中であることを示すアイコン93が表示される。また、所定の操作により撮影画面92だけの全画面表示も可能である(図8)。
【0025】
しかしながら、図8はもちろん図7の画面表示でも、撮影画面92の表示が障害になって、稼働中の加熱領域3R、加熱領域3Mまたは加熱領域3Lの加熱状況(温度や火力レベル)が確認しにくい。そこで、図4のグリルカメラ画面71でボタン74,76または78を押下したときは、以下のような処理が実行されて、グリル14の加熱開始後、撮影画面92の表示が所定時間内に制限される(制限されている間は図6の例のような画像が表示される)。
【0026】
まず、ボタン74(クリルカメラ調理終了時のみON)が押下されて設定がなされたときは、グリル14の稼働中に図9の処理が実行される。すなわち、表示制御装置45は、グリル14が稼働を開始したときに図9の処理を開始する。ここでは、表示制御装置45は、グリル14による加熱調理が終了したか否かを判断する(ステップS1)。表示制御装置45は、加熱調理が終了していないときはステップS1に戻る。加熱調理が終了したときは(ステップS1のYes)、所定の撮像タイミング(所定の表示タイミング)であるので、表示制御装置45は、カメラ51でグリル14の庫内を撮像し、その画像を第2操作部31に表示する(ステップS2)。そして、表示制御装置45は、予め設定された時間に限定して表示する所定時間(例えば、1分とか2分)が経過したか否かを判断して(ステップS3)、経過していないときはステップS2に戻り(ステップS3のNo)、経過したときは(ステップS3のYes)、一連の処理を終了する(庫内の撮像画像91の表示が消える)。このように加熱調理終了後(終了時)の画像を表示することで、ユーザは、手間をかけずに焼き上がり具合を確認でき、焼きが足りないなどのときには、追加の加熱を迅速に行うことができる。また、決められたときに決められた時間だけ画像を画面に表示するので、IHによる加熱領域3Rなどの設定画面への支障を押さえ、撮影画像の表示を適正に行うことができる。
【0027】
なお、図9の処理の実行中に所定の操作を行うことにより、ステップS3における所定時間経過前でも処理を終了する。また、加熱調理終了の前(ステップS1のNoの際)でも、処理を終了することができる。
予め設定された時間に限定して表示する所定時間について、1分や2分よりも短くてもよいし、グリル14の扉が開けられたときに画像表示を終了するようにしてもよい。グリル14の扉が開けられると、ユーザが直接目視で加熱対象物の焼き上がり具合を確認している(確認しようとしている)と考えられるので。
【0028】
ボタン76(グリルカメラ任意時間設定ON)が押下されて設定がなされたときは、グリル14の稼働中に図10の処理が実行される。すなわち、表示制御装置45は、グリル14が稼働を開始したときに図10の処理を開始する。ここでは、表示制御装置45は、グリル14の加熱調理が終了予定の設定分前になったか否かを判断する(ステップS11)。「設定分」とは、前記した図5の設定画面で設定した時間(何分か)である。グリル14の加熱調理が終了予定の設定分前になっていないときは(ステップS11のNo)、表示制御装置45は、ステップS11に戻る。グリル14の加熱調理が終了予定の設定分前になったときは(ステップS11のYes)、表示制御装置45は、カメラ51でグリル14の庫内を撮像し、その画像を第2操作部31に表示する(ステップS12)。そして、表示制御装置45は、所定時間が経過したか否かを判断して(ステップS13)、経過していないときはステップS12に戻り(ステップS13のNo)、経過したときは(ステップS13のYes)、一連の処理を終了する。「所定時間」の終了時点としては、グリル14の加熱調理の終了時としてもよいし、当該終了時から一定時間(1分とか2分)経過時点としてもよい。なお、図10の処理の実行中に所定の操作を行うことにより、ステップS13における設定分前でも処理を終了する。また、設定分前(ステップS11のNoの際)でも、処理を終了することができる。
ちなみに、ボタン74とボタン76を両方ともONにして、加熱調理中に庫内の画像を表示させるとともに加熱調理終了後にも庫内の画像を表示させることも可能である。
【0029】
図11は、図10の処理の一例を示すタイミングチャートである。ここでは設定分が5分である場合を例としている。すなわち、グリル14の加熱調理が開始して当該加熱調理の残り時間が5分となった時点でカメラ51の撮像画像の表示を開始して、グリル14の加熱調理の終了時点で当該画像の表示も終了している。なお、画像表示(カメラ画像の表示)について、図11では、調理終了まで表示する図となっているが、表示を1分とか2分とか、又は、それよりも短い5秒とかで、表示を終了したり、ユーザがグリル14の扉を開けたときに表示を終了するようにしてもよい。長く表示すると、他の表示の支障になるとも考えられるので。
【0030】
ボタン78(一定間隔で画像を表示ON)が押下されて設定がなされたときは、グリル14の稼働中に図12の処理が実行される。すなわち、表示制御装置45は、グリル14が稼働を開始したときに図12の処理を開始する。ここでは、表示制御装置45は、グリル14の加熱調理が終了予定の第1時間前になったか否かを判断する(ステップS21)。グリル14の加熱調理が終了予定の第1時間前(1回目の表示タイミング)になっていないときは(ステップS21のNo)、表示制御装置45は、ステップS21に戻る。グリル14の加熱調理が終了予定の第1時間前になったときは(ステップS21のYes)、表示制御装置45は、カメラ51でグリル14の庫内を撮像し、その画像を第2操作部31に表示する(ステップS22)。この画像表示が所定時間継続したときは(ステップS23のYes)、表示制御装置45は、画像表示を終了して、グリル14の加熱調理が終了予定の第2時間(<第1時間)前になったか否かを判断する(ステップS24)。グリル14の加熱調理が終了予定の第2時間(2回目の表示タイミング)前になっていないときは(ステップS24のNo)、表示制御装置45は、ステップS24に戻る。グリル14の加熱調理が終了予定の第2時間前になったときは(ステップS24のYes)、表示制御装置45は、カメラ51でグリル14の庫内を撮像し、その画像を第2操作部31に表示する(ステップS25)。この画像表示が所定時間継続したときは(ステップS26のYes)、表示制御装置45は、画像表示を終了して、グリル14の加熱調理が終了予定の第3時間(<第2時間)前になったか否かを判断する(ステップS27)。グリル14の加熱調理が終了予定の第3時間前(3回目の表示タイミング)になっていないときは(ステップS27のNo)、表示制御装置45は、ステップS27に戻る。グリル14の加熱調理が終了予定の第3時間前になったときは(ステップS27のYes)、表示制御装置45は、カメラ51でグリル14の庫内を撮像し、その画像を第2操作部31に表示する(ステップS28)。この画像表示が所定時間継続したときは(ステップS29のYes)、表示制御装置45は、画像表示を終了し、一連の処理を終了する。このステップS29の所定時間継続時点は、グリル14の加熱調理終了時点としてもよいし、当該終了時点よりも一定時間経過後(1分後とか2分後)の時点としてもよい。なお、所定の操作をすることで、処理を終了することができる。また、ボタン74とボタン78を両方ともONにして、加熱調理中に一定間隔で庫内の画像を表示させるとともに加熱調理終了後にも庫内の画像を表示させることも可能である。
【0031】
図13は、図12の処理の一例を示すタイミングチャートである。ここでは、第1時間を5分、第2時間を3分、第3時間を1分とし、所定時間を1分とする例を示している。この例は、加熱調理終了前5分から2分間隔で各1分間のカメラ51による画像表示が行われていることが示している。そして、カメラ51による画像表示が行われるのは、グリル14の運転中の加熱調理時間の後半側の時間帯となることがわかる。表示している時間について(予め設定された時間に限定して表示について)、調理終了予定5分前の撮像タイミングに行う表示についいては、調理終了予定3分前の撮像タイミングにも表示が行われるので(2分後にも表示が行われるので)、例えば、表示を1分に限定して表示したり、それよりも短い5秒に限定して表示したりすることができる。長く表示すると、他の表示の支障になる場合もあるので。調理終了予定3分前や調理終了予定1分前における表示時間についても、適宜、設定することができる。
【0032】
以上説明した加熱調理器1によれば、図4のボタン74,76または78を操作して設定することにより、グリル14で被加熱物の加熱調理が開始した後、予め設定された時間に限定してカメラ51で撮像された画像を第2操作部31に表示することができる。そのため、第2操作部31には、図7図8のように加熱領域3R、加熱領域3M、加熱領域Lの加熱状況の情報が撮影画面92で長時間遮られることがなく、加熱調理器1でカメラ51による撮影画像の表示を適正に行うことができる。
【0033】
図4のボタン74,76または78を第2操作部31に表示させて、ボタンの選択を受け付けることで、カメラ51の撮像タイミングを第2操作部31に複数種類表示し、当該複数種類の撮像タイミングの中から所望のものの選択を受け付けることが可能となる。よって、ユーザの所望のタイミングでカメラ51の撮像画像の表示が可能となる。
【0034】
図4のボタン74を押下して設定したときは、被加熱物の加熱調理の終了の際にグリル14の庫内の様子を確認できるので、加熱調理終了時の被加熱物の調理状況を確認することができる。
【0035】
図4のボタン76を押下して設定したときは、任意に設定された時間だけ、被加熱物の調理状況を確認することができるので、確認したい時間帯だけに被加熱物の調理状況を確認することができる。
具体的には、被加熱物の加熱調理の終了前の所定分だけ前からの時間、カメラ51の撮像画像の表示が可能となる。そのため、加熱調理が進行した時間帯に所望の時間だけカメラ51の撮像画像の表示を行うので、加熱調理の進んだ段階での調理状況を所望の時間だけ確認することができる。
【0036】
図4のボタン78を押下して設定したときは、所定時間間隔で複数回、被加熱物の調理状況を確認できるので、加熱調理の進行状況を時々確認することができる。
また、この確認は加熱調理の時間の後半側の時間帯に行われるので、加熱調理の進んだ段階での調理状況を時々確認することが可能となる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。例えば前記の例では、第1加熱調理部としてのグリル14と第2加熱調理部としてのIHクッキングヒータとを備えた加熱調理器の例を説明したが、グリル14のみを備えた魚焼き器等の機器に本発明を適用することもできる。
【0037】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれ機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又はICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0038】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてよい。なお、実施形態での、所定の撮像タイミングやあらかじめ設定された時間に限定してのタイミングや時間について、ユーザの利便や他の表示との兼ね合いで、適宜な値とすることができる。
【符号の説明】
【0039】
1 加熱調理器
3R,3L,3M 加熱領域(第2加熱調理部)
14 グリル(第1加熱調理部)
31 第2操作部(表示装置)
45 表示制御装置(制御部)
51 カメラ(撮像素子)
図1
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図11
図12
図13