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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001992
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】分析支援装置、及び分析支援方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/0633 20230101AFI20231228BHJP
   G06Q 10/04 20230101ALI20231228BHJP
【FI】
G06Q10/06 324
G06Q10/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100893
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】505194686
【氏名又は名称】株式会社日立ソリューションズ西日本
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野口 明宏
(72)【発明者】
【氏名】宮地 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 和宏
(72)【発明者】
【氏名】片山 俊明
(72)【発明者】
【氏名】中谷 紳一
(72)【発明者】
【氏名】有川 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】先立 徹
(72)【発明者】
【氏名】松永 知巳
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA04
5L049AA07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】対象データに対して影響を与える、経時的要素を有するパラメータを精度良く特定する分析支援装置及び分析支援方法を提供する。
【解決手段】電子決裁阻害要因特定支援システムにおいて、分析支援装置である電子決裁阻害要因特定装置は、所定期間における複数のタイミングでの分析対象データの値と相関関係を有する複数種類のパラメータ及び各パラメータの値を記憶する記憶装置及び複数種類のパラメータから、上記データに対して所定基準以上の影響度を有するパラメータを抽出する処理と、上記所定期間を複数の期間に分割する処理と、抽出したパラメータから、分析対象データに対して所定基準以上の影響度を有するパラメータを、分割した各期間について特定する処理と、特定したパラメータの各期間における影響度の情報を出力する処理とを実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定期間における複数のタイミングでの分析対象データの値と相関関係を有する複数種類のパラメータ及び各前記パラメータの値を記憶する記憶装置、及び、
前記複数種類のパラメータから、前記分析対象データに対して所定基準以上の影響度を有するパラメータを抽出する処理と、
前記所定期間を複数の期間に分割する処理と、
前記抽出したパラメータから、前記分析対象データに関する所定基準を満たす影響度を有するパラメータを、前記分割した各期間について特定する処理と、
前記特定したパラメータの前記各期間における前記影響度の情報を出力する処理とを実行する処理装置を備える、分析支援装置。
【請求項2】
前記処理装置は、前記複数の期間のそれぞれに係る前記パラメータの個数が所定値以上になるように、前記所定期間を複数の期間に分割する、請求項1に記載の分析支援装置。
【請求項3】
前記処理装置は、前記特定したパラメータについて、前記期間における影響度の値、及び当該期間の前の期間からの影響度の値の変動傾向を算出し、算出した影響度の値及び変動傾向に基づき、当該特定したパラメータの、現在の前記分析対象データに対する影響を示す情報を出力する、請求項1に記載の分析支援装置。
【請求項4】
情報処理装置が、
所定期間における複数のタイミングでの分析対象データの値と相関関係を有する複数種類のパラメータ及び各前記パラメータの値を記憶し、
前記複数種類のパラメータから、前記分析対象データに対して所定基準以上の影響度を有するパラメータを抽出する処理と、
前記所定期間を複数の期間に分割する処理と、
前記抽出したパラメータから、前記分析対象データに関する所定基準を満たす影響度を有するパラメータを、前記分割した各期間について特定する処理と、
前記特定したパラメータの前記各期間における前記影響度の情報を出力する処理とを実行する、分析支援方法。
【請求項5】
前記情報処理装置は、前記複数の期間のそれぞれに係る前記パラメータの個数が所定値以上になるように、前記所定期間を複数の期間に分割する、請求項4に記載の分析支援方法。
【請求項6】
前記情報処理装置は、前記特定したパラメータについて、前記期間における影響度の値、及び当該期間の前の期間からの影響度の値の変動傾向を算出し、算出した影響度の値及び変動傾向に基づき、当該特定したパラメータの、現在の前記分析対象データに対する影響を示す情報を出力する、請求項4に記載の分析支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析支援装置、及び分析支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
業務の効率化や最適化を行うにあたっては、これらを妨げている要因を特定することが重要である。
【0003】
こうした要因解析の手法として、多変量解析が知られている。例えば、特許文献1には、異種類のデータを総合的に又は相補的に解析することを支援するべく、1以上の種類のサンプル(データ)の多変量解析結果を同一GUI上に表示する多変量解析装置であって、
ユーザが、GUI上で特定種類の特定サンプルを指定すると、指定サンプルと共通性のある
他種類のサンプルを抽出し強調表示し、それらサンプルに特異なマーカ変数を検出しハイライト表示し、ユーザがGUI上で特定種類の特定変数を指定すると、指定変数に特異なサ
ンプルを抽出しハイライト表示し、そのサンプルと共通性のある他種類のサンプルを抽出しハイライト表示し、それらサンプルに特異なマーカ変数を検出しハイライト表示するものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-066088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多変量解析の代表的な方法としては重回帰分析がある。しかしながら、分析対象のデータによっては、重回帰分析では、特定すべき要因が適確に特定できない場合がある。例えば、ある要因が過去には重要であったが現在では重要では無い場合、又は、要因としての強さの程度自体は弱いが、その状態が過去から現在まで継続しているため、無視できないことがある。
【0006】
このように、分析の対象となるデータについて、その要因としての強さの程度が時の経過によって変動するような場合には、正確な要因特定が難しいことがあった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、対象データに対して影響を与える、経時的要素を有するパラメータを精度良く特定することが可能な分析支援装置、及び分析支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明の一つは、所定期間における複数のタイミングでの分析対象データの値と相関関係を有する複数種類のパラメータ及び各前記パラメータの値を記憶する記憶装置、及び、前記複数種類のパラメータから、前記分析対象データに対して所定基準以上の影響度を有するパラメータを抽出する処理と、前記所定期間を複数の期間に分割する処理と、前記抽出したパラメータから、前記分析対象データに関する所定基準を満たす影響度を有するパラメータを、前記分割した各期間について特定する処理と、前記特定したパラメータの前記各期間における前記影響度の情報を出力する処理とを実行する処理装置を備える、分析支援装置、である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、対象データに対して影響を与える、経時的要素を有するパラメータを精度良く特定することができる。
上記した以外の構成及び効果等は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る電子決裁阻害要因特定支援システムの構成及び機能の一例を示す図である。
図2】電子決裁阻害要因特定装置が備える機能部の一例を説明する図である。
図3】ワークフロー情報テーブルの一例を示す図である。
図4】稟議書情報テーブルの一例を示す図である。
図5】部署別電子決裁率テーブルの一例を示す図である。
図6】影響度判定テーブルの一例を示す図である。
図7】電子決裁阻害要因テーブルの一例を示す図である。
図8】各情報処理装置が備えるハードウェアの一例を示す図である。
図9】阻害要因特定支援処理の一例を説明するフロー図である。
図10】説明変数設定処理の詳細を説明するフロー図である。
図11】説明変数設定処理の詳細を説明するフロー図である。
図12】部署別稟議書情報テーブルの一例を示す図である。
図13】部署別ワークフロー情報テーブルの一例を示す図である。
図14】説明候補テーブルの一例を示す図である。
図15】説明変数テーブルの一例を示す図である。
図16】期間設定処理の詳細を説明するフロー図である。
図17】月別稟議書情報テーブルの一例を示す図である。
図18】要因分析処理の詳細を説明するフロー図である。
図19】分析情報テーブルY11の一例を示す図である。
図20】影響度テーブルの一例を示す図である。
図21】影響度傾向テーブルの一例を示す図である。
図22】要因特定処理の詳細を説明するフロー図である。
図23】要因通知処理の詳細を説明するフロー図である。
図24】影響度推移画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
図1-2は、本実施形態に係る電子決裁阻害要因特定支援システム1の構成及び機能の一例を示す図である。
【0012】
図1に示すように、電子決裁阻害要因特定支援システム1は、電子決裁阻害要因特定装置100、データベース装置200、及び1又は複数の管理者端末300を含んで構成されている。
【0013】
管理者端末300は、各タイミングにおける各稟議書に対して、電子決裁又は紙媒体による決裁を行いつつ所定の業務を行う従業員の管理者が使用する情報処理装置である。各管理者は、決裁をなるべく電子決裁で行いたいと考えている。
【0014】
電子決裁阻害要因特定装置100(分析支援装置)は、各従業員により行われた業務を回帰分析等により分析し、電子決裁の妨げとなっている要因の分析を行う管理者を支援する情報処理装置である。
【0015】
データベース装置200は、電子決裁阻害要因特定装置100が行う分析に必要なデータ、及び分析結果のデータ等を記憶する情報処理装置である。
【0016】
電子決裁阻害要因特定装置100、データベース装置200、及び管理者端末300の間は、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、又は専用線等の有線又は無線の通信ネットワークにより通信可能となっている

次に、電子決裁阻害要因特定装置100の詳細を説明する。
【0017】
図2は、電子決裁阻害要因特定装置100が備える機能部の一例を説明する図である。電子決裁阻害要因特定装置100は、説明変数設定部110、期間設定部120、要因分析部130、要因特定部140、及び要因通知部150の各機能部を備える。
【0018】
説明変数設定部110は、データ取得部111、分析部112、選定部113、及び個数算出部114の各機能部を備える。
【0019】
データ取得部111は、データベース装置200からワークフロー情報テーブル1100及び稟議書情報テーブル1200等のデータベースを取得する。これらのデータベースの詳細は後述する。
【0020】
分析部112は、データ取得部111で取得したデータベースに基づき、分析対象データの値である稟議書の電子決裁率を目的変数、稟議書に関する複数種類のパラメータを説明変数(以下、説明変数候補という)とする単回帰分析を実行することで、有意水準(P-値)を算出する。
【0021】
選定部113は、分析部112による有意水準(P-値)の値に基づき、説明変数候補から、所定基準を満たすような、後述する重回帰分析において使用する説明変数を選定する。
【0022】
個数算出部114は、重回帰分析において同時に処理する説明変数の種類数Eを算出す
る。
【0023】
期間設定部120は、データ取得部121、及び期間算出部122を備える。
【0024】
データ取得部121は、データベース装置200から稟議書情報テーブル1200等のデータベースを取得すると共に、説明変数設定部110で作成したデータベースを取得する。各データベースの詳細は後述する。
【0025】
期間算出部122は、データ取得部121が取得し又は作成したデータベースに基づき、重回帰分析の対象となっている稟議書の全期間(以下、分析対象期間という)に対する分割時間単位(以下、分析期間単位Tという)を算出する。
【0026】
要因分析部130は、データ取得部131、分析実施部132、及び分析結果作成部133を備える。
【0027】
データ取得部131は、データベース装置200のワークフロー情報テーブル1100、稟議書情報テーブル1200、及び部署別電子決裁率テーブル1300等のデータベースを取得すると共に、期間設定部120で作成したデータベースを作成する。各データベースの詳細は後述する。
【0028】
分析実施部132は、目的変数たる電子決裁率、及び説明変数設定部110で決定した説明変数に基づき、重回帰分析を実施する。この際、分析実施部132は、期間設定部1
20で算出した分析期間単位Tごとに、重回帰分析を実行する。
【0029】
分析結果作成部133は、分析実施部132での分析結果に基づき、各説明変数の電子決裁率に対する影響度を算出する。
【0030】
要因特定部140は、データ取得部141、及び判定部142を備える。
データ取得部141は、データベース装置200の影響度傾向テーブル2800及び影響度判定テーブル1500等のデータベースを取得すると共に、要因分析部130で作成したデータベースを取得する。各データベースの詳細は後述する。
【0031】
判定部142は、データ取得部141で取得したデータベースと、要因分析部130で得られた重回帰分析の結果(影響度等)とに基づき、各説明変数の電子決裁率に対する影響についての判定を行う。
【0032】
要因通知部150は、データ取得部151及び送信部152を備える。
【0033】
データ取得部151は、データベース装置200から電子決裁阻害要因テーブル1600及び従業員情報1700等のデータベースを取得する。各データベースの詳細は後述する。
【0034】
送信部152は、要因特定部140で得られた判定結果の情報と、データ取得部151が取得したデータベースとに基づき生成された情報を、管理者端末300に送信する。
【0035】
次に、データベース装置200は、ワークフロー情報テーブル1100、稟議書情報テーブル1200、部署別電子決裁率テーブル1300、影響度傾向テーブル2800、影響度判定テーブル1500、電子決裁阻害要因テーブル1600、従業員情報1700の各データベースを記憶している。
【0036】
(ワークフロー情報テーブル)
図3は、ワークフロー情報テーブル1100の一例を示す図である。ワークフロー情報テーブル1100は、電子決裁率と相関関係がある業務ワークフローの属性の情報を記憶している。このワークフローは、稟議書の申請から承認に係るプロセスのフローであり、経時的要素を含んでいる。
【0037】
すなわち、ワークフロー情報テーブル1100は、レコード番号1101、稟議書に対応付けられたワークフローの特定情報(番号等)が設定されるワークフロー番号1102、そのワークフローに該当する部署が設定される部署1103、そのワークフローの申請者が設定される申請者1104、そのワークフローの承認者の人数が設定される承認者数1105、そのワークフローに係る添付ファイルの数が設定される添付ファイル数1106、そのワークフローの申請日時が設定される申請日時1107、そのワークフローの完了日時が設定される完了日時1108、及び、そのワークフロー(稟議書)の承認時間が設定される承認時間1109の各データ項目を有する。なお、本実施形態では、ワークフローと稟議書とは1対1で対応しているものとする。
【0038】
(稟議書情報テーブル)
図4は、稟議書情報テーブル1200の一例を示す図である。稟議書情報テーブル1200は、電子決裁率と相関関係がある稟議書の属性の情報を記憶している。
【0039】
すなわち、稟議書情報テーブル1200は、レコード番号1201、稟議書の特定情報(番号等)が設定される稟議書番号1202、その稟議書の種別が設定される稟議書種別
1203、その稟議書のジャンルが設定されるジャンル1204、その稟議書の作成日付が設定される日付1205、その稟議書の属する部署が設定される部署1206、その稟議書の作成者が設定される氏名1207、その稟議書の起案理由が設定される起案理由1208、その稟議書に基づき購入される物品等が設定される購入品1209、及びその物品等の価格が設定される金額1210の各データ項目を有する。
【0040】
(部署別電子決裁率テーブル)
図5は、部署別電子決裁率テーブル1300の一例を示す図である。部署別電子決裁率テーブル1300は、レコード番号1301、部署の情報が設定される部署1302、及び、その部署における電子決裁率が設定される電子決裁率1303の各データ項目を有する。
【0041】
次に、図1に示す影響度傾向テーブル2800は、要因特定部140により算出された、各説明変数の電子決裁率への影響度の変動傾向を示す情報を記憶している。影響度傾向テーブル2800の詳細は後述する。
【0042】
(影響度判定テーブル)
図6は、影響度判定テーブル1500の一例を示す図である。影響度判定テーブル1500は、影響度傾向テーブル2800で示されている、説明変数に係る影響度の変動が所定の各基準を満たしているか否かを判定するために用いられる。
【0043】
すなわち、影響度判定テーブル1500は、レコード番号1501、影響度の変動内容を示す情報が設定される影響度1502、及び、その影響度の変動内容に対応する判定の内容が設定される判定結果1503の各データ項目を有する。影響度1502は、現在の期間に対する直前の期間の影響度の大きさを示す情報が設定される最新区間1504、及び直前の期間から現在の期間への影響度の変化の傾向を示す情報が設定される傾向1505の各データ項目を有する。また、判定結果1503は、影響の有無を示す情報が設定される影響有無1506、及び影響の大きさを示す情報が設定されるレベル1507の各データ項目を有する。
【0044】
本実施形態では、最新区間1504には、影響度が大きいことを示す「〇」、影響度が中程度であることを示す「△」、影響度が小さいことを示す「×」が設定されるものとする。また、傾向1505には、影響度が増加傾向であるか、影響度がほぼ同じであるか、又は影響度が減少傾向であるかのいずれかを示す情報が設定される。また、影響有無1506には、電子決裁率の阻害要因として影響があることを示す「有り」、又は電子決裁率の阻害要因として影響が無いことを示す「無し」が設定されるものとする。また、レベル1507には、電子決裁率の阻害要因としての影響が現在時点で大きいことを示す「高」、電子決裁率の阻害要因としての影響が現在時点で中程度であることを示す「中」、電子決裁率の阻害要因としての影響が現在時点で低いことを示す「低」が設定されるものとする。
【0045】
(電子決裁阻害要因テーブル)
図7は、電子決裁阻害要因テーブル1600の一例を示す図である。電子決裁阻害要因テーブル1600は、説明変数が設定される説明変数1601、その説明変数の影響の有無を示す情報が設定される影響1602(影響度判定テーブル1500の判定結果1503に対応)、その説明変数の影響度の大きさを示す情報が設定される影響度1603(影響度判定テーブル1500のレベル1507に対応)、及びその説明変数を決定する要因を示す情報が設定される要因1604の各データ項目を有する。
【0046】
次に、図1に示す従業員情報1700は、管理者端末300と、これを管理する従業員
とを対応づけたテーブルである。
【0047】
次に、図8は、電子決裁阻害要因特定装置100、データベース装置200、及び管理者端末300の各情報処理装置が備えるハードウェアの一例を示す図である。各情報処理装置は、CPU (Central Processing Unit)、DSP (Digital Signal Processor)、GPU (Graphics Processing Unit)、FPGA (Field-Programmable Gate Array)等の処理装置91(プ
ロセッサ)と、ROM (Read Only Memory)、RAM (Random Access Memory)等の主記憶装置92(メモリ)と、HDD (Hard Disk Drive)、SSD (Solid State Drive)などの補助記憶装置93と、NIC(Network Interface Card)、無線通信モジュール、USB (Universal Serial Interface)モジュール、又はシリアル通信モジュール等で構成される通信装置94と、マウスやキーボード等で構成される入力装置95と、液晶ディスプレイまたは有機EL (Electro-Luminescence)ディスプレイ等で構成される出力装置96とを備える。
【0048】
以上に説明した各情報処理装置の各機能部の機能は、処理装置91が、主記憶装置92又は補助記憶装置93に格納されている各プログラムを読み出して実行することにより実現される。また各プログラムは、例えば、記録媒体に記録して配布することができる。なお、各情報処理装置は、その全部または一部が、例えば、クラウドシステムによって提供される仮想サーバのように、仮想化技術やプロセス空間分離技術等を用いて提供される仮想的な情報処理資源を用いて実現されるものであってもよい。また、各情報処理装置によって提供される機能の全部または一部は、例えば、クラウドシステムがAPI (Application Programming Interface)等を介して提供するサービスによって実現してもよい。
次に、電子決裁阻害要因特定支援システム1で行われる処理について説明する。
【0049】
<阻害要因特定支援処理>
図9は、電子決裁率の阻害要因の特定を支援する処理(以下、阻害要因特定支援処理という)の一例を説明するフロー図である。要因特定支援処理は、例えば、電子決裁阻害要因特定装置100に所定の入力がなされた場合に開始される。
【0050】
まず、電子決裁阻害要因特定装置100の説明変数設定部110は、電子決裁率に影響を与える要因を推定するための重回帰分析に適用する説明変数を設定する説明変数設定処理s10を実行する。
【0051】
また、期間設定部120は、重回帰分析の対象となる期間(分析対象期間)を設定する期間設定処理s20を実行する。
【0052】
要因分析部130は、期間設定処理s20で設定した分析対象期間における、説明変数設定処理s10で設定した説明変数に対する重回帰分析を行う、要因分析処理s30を実行する。
【0053】
要因特定部140は、要因分析処理s30の実行結果に基づき、現在の電子決裁率に大きく影響を与える説明変数(要因)を特定する要因特定処理s40を実行する。
【0054】
要因通知部150は、要因特定処理s40で特定した説明変数(要因)に関する情報を管理者端末300に通知する要因通知処理s50を実行する。
以下、各処理の詳細を説明する。
【0055】
<説明変数設定処理>
図10-11は、説明変数設定処理s10の詳細を説明するフロー図である(紙面の都合上、2図に分けている)。
【0056】
まず、データ取得部111は、稟議書情報テーブル1200を取得する(s111)。また、データ取得部111は、ワークフロー情報テーブル1100を取得する(s112)。また、データ取得部111は、部署別電子決裁率テーブル1300を取得する(s113)。
【0057】
データ取得部111は、稟議書情報テーブル1200及びワークフロー情報テーブル1100に基づき、稟議書情報テーブル1200の内容を部署ごとの情報に再構成した部署別稟議書情報テーブル2100と、ワークフロー情報テーブル1100の内容を部署ごとの情報に再構成したテーブル部署別ワークフロー情報テーブル220とを作成する(s114)。
【0058】
例えば、データ取得部111は、SQLのGROUP BYを用いることで、稟議書情報テーブル
1200の各レコードを部署毎にグループ化する。また、データ取得部111は、各部署ごとの金額の平均値を算出する。なお、データ取得部111は、非数値データがある場合には、それらを数値化した上で平均値又は案分値とした結果を設定してもよい。
【0059】
(部署別稟議書情報テーブル)
図12は、部署別稟議書情報テーブル2100の一例を示す図である。部署別稟議書情報テーブル2100は、レコード番号2101、稟議書の属する部署が設定される部署2102、その稟議書の種別のうち購買に係る稟議書の件数が設定される稟議書種別(購買)2103、その稟議書の種別のうち採用に係る稟議書の件数が設定される稟議書種別(採用)2104、その稟議書の種別のうち契約に係る稟議書の件数が設定される稟議書種別(契約)2105、及びその稟議書が示す金額(平均金額等)が設定される金額2106の各データ項目を有する。
【0060】
(部署別ワークフロー情報テーブル)
また、図13は、部署別ワークフロー情報テーブル2200の一例を示す図である。部署別ワークフロー情報テーブル2200は、レコード番号2201、ワークフローに該当する部署が設定される部署2202、そのワークフローの申請者のリストが設定される氏名2203、そのワークフローの承認者の人数(平均人数等)が設定される承認者数2204、そのワークフローに係る添付ファイルの数(平均値等)が設定される添付ファイル数2206、及び、そのワークフローの承認時間が設定される承認時間2207の各データ項目を有する。
【0061】
次に、図10に示すように、データ取得部111は、s114で作成した部署別稟議書情報テーブル2100及び部署別ワークフロー情報テーブル2200の全データに基づき、電子決裁の阻害要因となりうる説明変数(説明変数候補)のリストの情報である説明変数候補テーブル2300を作成する(s115)。
【0062】
そして、選定部113は、s115で作成した説明変数候補テーブル2300に基づき、各説明変数候補の、電子決裁率に対する影響度(全般的な影響度)を算出し、算出した影響度の情報を説明変数テーブル2400に設定する(s116)。
【0063】
例えば、選定部113は、各説明変数候補について、目的変数を電子決裁率、説明変数を説明変数候補とする単回帰分析を行うことで有意水準(P-値)を算出する。
【0064】
(説明変数候補テーブル)
ここで図14は、説明候補テーブルの一例を示す図である。説明変数候補テーブル2300は、レコード番号2301、説明変数候補の特定情報(ここでは、稟議書の種別)が設定される説明変数候補2302、及び、その説明変数の候補の有意水準が設定される有
意水準2303の各データ項目を有する。なお、本実施形態では、有意水準2303には、P-値が設定されるものとする。
【0065】
次に、図11に示すように、選定部113は、説明変数候補を一つ選択する(s117)。
【0066】
選定部113は、選択した説明変数候補が電子決裁率に対して所定の基準以上の影響度を有するか否かを判定する(s118)。
【0067】
例えば、選定部113は、選択した説明変数候補の有意水準の値が所定の基準値以下であるか否かを判定する。なお、この基準は、一般的には0.05未満を設定するが、本実施形態では、電子決裁率への影響がやや弱い説明変数候補も抽出すべく、0.05よりも大きい値未満(例えば、0.1未満)とする。
【0068】
選択した説明変数候補の有意水準の値が所定の基準値以上である場合は(s118:YES)、選定部113はs119の処理を実行し、選択した説明変数候補の有意水準の値が所定の基準値未満である場合は(s118:NO)、選定部113は、s120の処理を実行する。
【0069】
s119において選定部113は、選択中の説明変数候補を、(正式な)説明変数とし、これを説明変数テーブル2400に設定する。その後はs120の処理が行われる。
【0070】
s120において選定部113は、未選択の説明変数候補があるか否か確認する。未選択の説明変数候補がある場合は、選定部113は、その説明変数候補を選択すべくs117の処理を実行し、未選択の説明変数候補がない場合は、選定部113は、s121の処理を実行する。
【0071】
s121において個数算出部114は、1回分の重回帰分析の対象とする、説明変数の個数の最適値Eを算出する(s121)。例えば、個数算出部114は、説明変数の個数
の最適値をE、部署数をBとした場合に、B≧E×10を満たすE(例えば、当該式を満たす最
大値)を算出する。以上で説明変数設定処理s10は終了する。
【0072】
なお、前記式の「10」は、重回帰分析に必要なデータ数は一般的に説明変数の数の10倍とされていることによるが、その他の値を採用してもよい。さらに、前記「B≧E×x」以
外の式を採用してもよい。また、重回帰分析では、説明変数の数が10を超えると精度が落ちることが一般的に知られているため、E>10となった場合はE=10としてもよい。
【0073】
(説明変数テーブル)
ここで、図15は、説明変数テーブル2400の一例を示す図である。説明変数テーブル2400は、レコード番号2401、及び、説明変数の特定情報(ここでは、稟議書の種別)が設定される説明変数2402の各データ項目を有する。
【0074】
<期間設定処理>
次に、図16は、期間設定処理s20の詳細を説明するフロー図である。
【0075】
まず、データ取得部121は、稟議書情報テーブル1200を取得する(s211)。また、データ取得部121は、説明変数テーブル2400を取得する(s212)。
【0076】
なお、データ取得部121は、説明変数設定処理s10で算出した最適値Eに基づき、
重回帰分析に必要なサンプルデータ数(以下、D値という)を算出する。例えば、データ
取得部121は、E値を所定倍(例えば、上記式における"10"倍)することで、D値を得る。
【0077】
そして、データ取得部121はs211で取得した稟議書情報テーブル1200に基づき、稟議書の期間ごとに情報を再構成した月別稟議書情報テーブル2500を作成する(s213)。
【0078】
(月別稟議書情報テーブル)
図17は、月別稟議書情報テーブル2500の一例を示す図である。月別稟議書情報テーブル2500は、レコード番号2501、稟議書が発行された期間の情報が設定される期間2502、及び、その期間に発行された稟議書の数が設定される稟議書数2503の各データ項目を有する。
【0079】
次に、図16に示すように、期間算出部122は、月別稟議書情報テーブル2500に基づき、D値に関する条件を満たす分析期間を算出する(s214-s216)。
【0080】
すなわち、まず最初に、期間算出部122は、分析対象期間の分割単位(分析期間単位T)の初期値を設定しておく。なお、初期値は特に限定されないが、例えば、決裁が月単
位で処理されることに鑑みて、1ヶ月とする。
【0081】
そして、期間算出部122は、月別稟議書情報テーブル2500に基づき、分析対象期間における、分析期間単位Tで分割した各期間(以下、分割期間という)グループを作成
する(s214)。
【0082】
例えば、期間算出部122は、分析期間単位Tごとにグループ化した各分割期間Ti(T1,
T2, T3, ...TN)(例えば、2005年1月、2005年2月、・・・、2010年12月)を設定する。そして、期間算出部122は、各分割期間Tiにおける稟議書の合計個数をA1~ANとする(例えば、N=72)。
【0083】
そして、期間算出部122は、D値と、グループ化して得られた各分割期間の稟議書の
合計数(A1, A2,..., AN)とをそれぞれ比較する(s215)。全ての分割期間の稟議書の合計個数がD値以上である場合は(s215:YES)、期間算出部122はs217
の処理を実行する。稟議書の合計個数がD値未満であるグループ(分割期間)がある場合
は(s215:NO)、期間算出部122はs216の処理を実行する。
【0084】
例えば、図17に示す月別稟議書情報テーブル2500を用いた場合、分析期間単位T
が1か月であれば、A1=5<Dとなるため、条件を満たさない。一方、例えば、分析期間単位Tが6か月であれば、T1=2005/1~2005/6、A1=63≧Dとなり、条件を満たす(A2~ANについてもD以上であることを確認する)。
【0085】
s216において期間算出部122は、分析期間単位Tを変更する。分析期間単位Tをどのように変更するかは特に限定されないが、例えば、期間算出部122は、各分割期間が年度を跨がないように分析期間単位Tを変更する(例えば、1、2、3、4、6、12、24、・・・の順に変更する)。その後は、s214の処理が繰り返される。
【0086】
s217において期間算出部122は、現在の分析期間単位Tを、要因分析処理s30
で用いる分析期間単位Tとして確定する。以上で分析期間設定処理s20は終了する。
【0087】
<要因分析処理>
次に、図18は、要因分析処理s30の詳細を説明するフロー図である。
【0088】
データ取得部131は、稟議書情報テーブル1200を取得する(s311)。また、データ取得部131は、ワークフロー情報テーブル1100を取得する(s312)。また、データ取得部131は、部署別電子決裁率テーブル1300を取得する(s313)。また、データ取得部131は、説明変数テーブル240を取得する(s314)。また、データ取得部131は、分析期間設定処理s30で確定した分析期間単位T、及び各分
割期間Tiを取得する(s315)。
【0089】
次に、データ取得部131は、以下に説明する処理により全ての説明変数について分析情報テーブル2600を作成したか否かを判定する(s316)。分析情報テーブル2600は、重回帰分析の対象となる説明変数及び目的変数の情報であり、各分割期間ごとに作成される。
【0090】
全ての説明変数について分析情報テーブル2600を作成した場合は(s316:YES)、データ取得部131は、s318の処理を実行し、分析情報テーブル2600を作成していない説明変数がある場合には(s316:NO)、データ取得部131は、s317の処理を実行する。
【0091】
s317において、分析対象期間全体にわたる、選択中の説明変数についての分析情報テーブル2600を作成する。
【0092】
すなわち、まず、データ取得部131は、稟議書情報テーブル1200及びワークフロー情報テーブル1100の情報を、分割期間Ti(T1,T2,...,TN)ごとにクラスタリングした情報を作成する。
【0093】
本実施形態では、データ取得部131は、稟議書情報テーブル1200及びワークフロー情報テーブル1100の情報を、各分割期間Tiに対応づけられた情報を有する中間分析情報テーブルPi(P1~PN)に、再構成するものとする(Nは分析対象期間を分析期間単位Tでクラスタリングしたグループの数を表す。すなわち、N=(分析対象期間の長さ) / T。)
。例えば、分析期間単位Tが6か月、分析対象期間が2005/1/1~2009/12/31であるとする
と、N=(5×12) / 6=10、T1=2005/1/1~2005/6/30、T2=2005/7/1~2005/12/31、・・
・、T10=2009/7/1~2009/12/31となる。
【0094】
そして、データ取得部131は、クラスタリングした情報を、部署ごとの情報とする。本実施形態では、データ取得部131は、説明変数設定処理s10のs114と同様に、中間分析情報テーブルPiのそれぞれについて、クラスタリングした情報を、部署ごとの情報に構成した中間テーブルQ1~QNに、再構成する。
【0095】
データ取得部131は、説明変数テーブル2400から説明変数をE個選択する(以下
、説明変数グループという)。そして、データ取得部131は、中間テーブルQ1~QNから、選択した各説明変数のレコードを取得し(射影演算)、取得したレコードの内容に基づき、各分割期間Ti(T1,T2,...TN)における、説明変数グループm(m=1,2,...,M((説明変
数の総数/E)の切り上げ))に関する分析情報テーブルYm,Tiを作成する。
【0096】
そして、データ取得部131は、作成した各分析情報テーブルYm,Tiに対して、部署別
電子決裁率テーブル1300を、部署をキーにして結合する。
【0097】
データ取得部131は、説明変数テーブル2400から、これまでに選択されていない説明変数をE個選択し、その後はs316の処理を実行する。
【0098】
(分析情報テーブル)
ここで、図19は、分析情報テーブル2600の一つである分析情報テーブルY11の一
例を示す図である。この分析情報テーブルY11は、説明変数グループ”1”、分割期間”
T1”に係る分析情報テーブルである。この分析情報テーブルY11は、レコード番号26
01、部署の情報が設定される部署2602、その部署における稟議書の種別が設定される稟議書種別(購買)2603、その稟議書に係る金額が設定される金額2604、その添付ファイルの数が設定される添付ファイル2605、稟議書の商品者数が設定される承認者数2606、及び、その稟議書の電子決裁率が設定される電子決裁率2607の各データ項目を有する。なお、稟議書種別(購買)2603、金額2604、添付ファイル2605、及び承認者数2606が説明変数、電子決裁率2607が目的変数のデータ項目である。
【0099】
次に、図18のs318において分析実施部132は、各分析情報テーブル2600(各分析情報テーブルYm,Ti)の各レコードの電子決裁率のデータ項目を目的変数、その他
のデータ項目(部署を除く)を説明変数とする重回帰分析を実施する。そして、分析実施部132は、重回帰分析の実行結果(P-値)を、重回帰分析の結果を記憶するテーブルである影響度テーブル2700に登録する。
【0100】
なお、本重回帰分析において、1回目の重回帰分析で使用する分析情報テーブル2600はY11~Y1N、2回目の重回帰分析に使用する分析情報テーブル2600はY21~Y2N、・・・であるから、分析実施部132は、合計でM×N回、重回帰分析を実施することになる。
【0101】
さらに、分析結果作成部133は、影響度テーブル2700に基づき、影響度傾向テーブル2800を作成する。以上で要因分析処理s30は終了する。
【0102】
(影響度テーブル)
図20は、影響度テーブル2700の一例を示す図である。影響度テーブル2700は、説明変数が設定される説明変数2701、その説明変数に係る、各分割期間ごとの有意水準が設定される有意水準2702の各データ項目を有する。本実施形態では、有意水準2702には、P-値が設定されるものとする。
【0103】
(影響度傾向テーブル)
また、図21は、影響度傾向テーブル2800の一例を示す図である。影響度傾向テーブル2800は、説明変数が設定される説明変数2801、その説明変数に係る影響度に関する情報が、分割期間ごとに設定される期間データ2802の各データ項目を有する。そして、各期間データ2802は、本分割期間の影響度が設定される影響度2803、直前の分割期間の影響度に対する本分割期間の影響度の差分の情報が設定される前比較2804、及び、直前の分割期間の影響度に対する本分割期間の影響度の傾向の情報が設定される傾向2805の各データ小項目を有する。影響度2803、前比較2804、及び傾向2805のデータ内容によって、各説明変数の電子決裁率への影響の大きさの変動傾向が特定される。
【0104】
本実施形態では、影響度2803には、影響度が小さい場合(P-値が0.1以上)に「×
」、影響度が中程度の場合(P-値が0.05~0.1)に「△」、影響度が高い場合(P-値が0~0.05)に「〇」が設定されるものとする。また、傾向2805には、影響度が直前の分割期間に比べて増加傾向にあるか(あるグループAと、Aの前グループBについて、A-Bが-0.01以下)、影響度が直前の分割期間とほぼ同じであるか(あるグループAと、Aの前グルー
プBについて、A-Bの絶対値が0.01未満)、又は影響度が直前の分割期間に比べて減少傾向にあるか(あるグループAと、Aの前グループBについて、A-Bが0.01以上)、のいずれかの
情報が設定されるものとする。なお、このような影響度の設定方法は一例であり、他の任意のカテゴリ化、数値化が可能である。
【0105】
<要因特定処理>
次に、図22は、要因特定処理s40の詳細を説明するフロー図である。
【0106】
データ取得部141は、影響度判定テーブル1500を取得する(s411)。また、データ取得部141は、要因分析処理s30で作成した影響度傾向テーブル2800を取得する(s412)。
【0107】
判定部142は、説明変数を一つ選択する。
【0108】
判定部142は、全ての説明変数について、下記のs414の処理を実行したか否かを判定する(s413)。全ての説明変数についてs414の処理を実行した場合は(s413:YES)、要因特定処理s40を終了し、s414の処理を実行していない説明変数がある場合は(s413:NO)、判定部142はs414の処理を実行する。
【0109】
s414において判定部142は、影響度傾向テーブル2800に登録されている、選択中の説明変数に係る影響度の変動を特定し、その変動傾向に対応する判定結果の情報を影響度判定テーブル1500から取得することで、選択中の説明変数の電子決裁率への影響を判定する。そして、判定部142は、判定結果を電子決裁阻害要因テーブル1600に登録する。
【0110】
例えば、説明変数が「金額」であり、図21、6に示す影響度傾向テーブル2800及び影響度判定テーブル1500の場合、3つの分割期間(2008/7~2009/12)における影響
度は、連続する分割期間での影響度の値が高い状態(○)で、その変動傾向は最近の期間で横ばいである。そこで、判定部142は、影響度判定テーブル1500の各レコードを参照し、このような影響度の値及び変動傾向に対応するレコード1511における判定結果1503の内容(影響有無1506が「有り」、レベル1507が「高」)を取得する。
【0111】
また、例えば、説明変数が「承認時間」であり、3つの分割期間(2008/7~2009/12)に
おける影響度は、直近2つの分割期間での値が低い状態(×)である(なお、変動傾向は、最近の分割期間で低下又は増加である)。そこで、判定部142は、影響度判定テーブル1500の各レコードを参照し、このような影響度の値及び変動傾向に対応するレコード1512における判定結果1503の内容(影響有無1506が「無し」)を取得する。
【0112】
なお、ここでは判定部142は、直近の3分割期間における影響度を基準として判定を行っているが、必要に応じて3つを超える又はそれ未満の分割期間における影響度を基準として判定を行ってもよい。
【0113】
<要因通知処理>
図23は、要因通知処理s50の詳細を説明するフロー図である。
データ取得部151は、要因特定処理s40で作成した電子決裁阻害要因テーブル1600を取得する(s511)。また、データ取得部151は、従業員情報1700を取得する(s512)。
【0114】
送信部152は、電子決裁阻害要因テーブル1600を参照し、影響度が一定以上(例えば、影響度1603が「高」又は「中」)の説明変数に係るレコードを取得し、取得し
たレコードの内容を、従業員情報が示す管理者端末300に送信する(s513)。また、送信部152は、影響度傾向テーブル2800の当該説明変数に係る情報を、当該管理者端末300に送信する。
【0115】
管理者端末300は、受信した情報を画面に表示する。以上で要因通知処理s50は終了する。
【0116】
(影響度推移画面)
図24は、要因通知処理s50に基づき管理者端末300に表示される影響度の推移を示す画面(影響度推移画面)の一例を示す図である。影響度推移画面3000は、分析対象期間における各説明変数に係る影響度の推移を過去の所定月から分割期間ごとに現在まで示したグラフ3100を表示している。
【0117】
同図の例では、説明変数「稟議書種別(購買)」の影響度のレベルは中程度である(符号3101)。すなわち、2005年は影響なし(影響度0.1以上)であったが、近年になって
影響が中程度(0.05~0.1)となっている。
【0118】
また、説明変数「金額」の影響度のレベルは高い(符号3102)。すなわち、高い影響度(0.05以下)が直近の5年間続いている。
【0119】
また、説明変数「添付ファイル数」の影響度のレベルは高い(符号3103)。すなわち、中程度の影響度(0.05~0.1)が過去5年間、現在まで続いている。
【0120】
また、説明変数「承認時間」の影響度は無しである(符号3104)。すなわち、2005年は影響度が高い(影響度0.05以下)であったが、近年になって影響が影響なし(0.1以
上)となっている。
【0121】
従業員は、このような影響度推移画面3000を確認することで、現在、電子決裁の阻害となっている要因が何であるか、特に最近の業務状況において大きな阻害要因が何であるか、を容易に判定することができる。
【0122】
以上のように、本実施形態の電子決裁阻害要因特定装置100(分析支援装置)は、分析対象期間における複数のタイミングでの電子決裁率と相関関係を有する複数種類のパラメータ(稟議書の種別又は金額等の説明変数候補)から、電子決裁率に対して所定基準以上の影響度を有するパラメータ(単回帰分析におけるP-値が0.1以下の説明変数)を抽出し、また、分析対象期間を複数の期間(分割期間)に分割し、その後、説明変数から、電子決裁率に関する所定基準を満たす影響度を有する説明変数を、各分割期間について特定し、特定した説明変数及び各分割期間における影響度の情報を出力する。
【0123】
すなわち、電子決裁阻害要因特定装置100は、電子決裁率と相関関係を有する説明変数を抽出すると共に、分析を行う期間を複数に分割し、各分割期間について各説明変数の影響度を算出して、その結果を出力する。これにより、電子決裁率と強い因果関係を有する説明変数を、その値の時間変化を加味しつつ特定することができる。
【0124】
このように、本実施形態の電子決裁阻害要因特定装置100によれば、対象データに対して影響を与える、経時的要素を有するパラメータを精度良く特定することができる。
【0125】
また、本実施形態の電子決裁阻害要因特定装置100は、各分割期間に係る説明変数のデータ数がD値以上になるように、分析対象期間を複数の分割期間に分割する。
【0126】
これにより、各分割期間における分析(影響度の算出)の分析精度を一定以上に保つことができる。
【0127】
また、本実施形態の電子決裁阻害要因特定装置100は、各説明変数について、分割期間における影響度の値、及びその分割期間の前の期間(直近3期間)からの影響度の値の変動傾向を算出し、算出した影響度の値及び変動傾向に基づき、各説明変数の、現在の電子決裁率に対する影響を示す情報を出力する。
【0128】
このように、説明変数に係る影響度の最近の値の変動に基づいた情報を、現在の電子決裁率に対する影響として出力することで、管理者は、説明変数が電子決裁率に与える影響を、時間的要素を加味して総合的に判断することができる。
【0129】
以上、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で、任意の構成要素を用いて実施可能である。以上説明した実施形態や変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。また、上記では種々の実施形態や変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【0130】
例えば、本実施形態の各装置が備える各機能部の一部は他の装置に設けてもよいし、別装置が備える機能部を同一の装置に設けてもよい。
【0131】
また、本実施形態では、電子決裁率に影響を与えるパラメータ(説明変数)として稟議書及びワークフローに関するパラメータを設定したが、その他の種類のパラメータを設定してもよい。
【0132】
また、本実施形態では、分析対象として、電子決裁率の阻害要因を分析する場合を説明したが、電子決裁阻害要因特定装置100の分析対象はこれに限らず、時間に応じて変動する分析対象一般について適用することができる。
【符号の説明】
【0133】
1 電子決裁阻害要因特定支援システム
100 電子決裁阻害要因特定装置
200 データベース装置
300 管理者端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24