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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019922
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】電池配線モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/298 20210101AFI20240206BHJP
   H01M 50/507 20210101ALI20240206BHJP
   H01M 50/569 20210101ALI20240206BHJP
【FI】
H01M50/298
H01M50/507
H01M50/569
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122700
(22)【出願日】2022-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 洋
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 政巳
【テーマコード(参考)】
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H040AA03
5H040AS07
5H040AT02
5H040AT06
5H040AY05
5H040DD04
5H040DD26
5H040NN03
5H043AA13
5H043AA20
5H043CA04
5H043CA05
5H043DA27
5H043FA04
5H043LA22F
(57)【要約】
【課題】ケースの組付性を向上可能にした電池配線モジュールを提供する。
【解決手段】ケース22は、X方向に沿って並設された第1分割ケース31及び第2分割ケース32を有する。第1分割ケース31は、第1連結部60を有する。第2分割ケース32は、第1連結部60に連結される第2連結部70を有する。そして、第1連結部60と第2連結部70との連結方向は、電池に対する第1分割ケース31及び第2分割ケース32の組付方向Dに沿った方向である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池に取り付けられる電池配線モジュールであって、
前記電池に電気的に接続される電線と、
前記電線を収容するケースと、を備え、
前記ケースは、並設された複数の分割ケースを有し、
前記複数の分割ケースのうち、隣接する一対の分割ケースの一方は第1連結部を有し、当該一対の分割ケースの他方は、前記第1連結部に連結される第2連結部を有し、
前記第1連結部と前記第2連結部との連結方向は、前記電池に対する前記ケースの組付方向に沿った方向である、
電池配線モジュール。
【請求項2】
前記連結方向は、前記複数の分割ケースの並設方向に対して交差する方向である、
請求項1に記載の電池配線モジュール。
【請求項3】
前記電池は、前記複数の分割ケースの並設方向に沿って並設された複数の電池セルを含む、
請求項1に記載の電池配線モジュール。
【請求項4】
前記第1連結部は、孔状をなし、
前記第2連結部は、前記第1連結部に対し前記連結方向に沿って挿入される延出部である、
請求項1に記載の電池配線モジュール。
【請求項5】
前記第1連結部と前記第2連結部との間には、前記複数の分割ケースの並設方向における前記第1連結部に対する前記第2連結部の相対変位を許容する変位許容部が設けられている、
請求項1に記載の電池配線モジュール。
【請求項6】
前記複数の分割ケースの各々は、前記電線と共に導電路を形成するバスバを保持するバスバ保持部を有し、
前記複数の分割ケースの並設方向において、前記第1連結部及び前記第2連結部の一方と前記バスバ保持部とは、互いに同じ位置に設けられている、
請求項1に記載の電池配線モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池配線モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されるように、電気自動車やハイブリッド自動車などの車両において、走行駆動用の電源として搭載される高電圧の電池には、電池配線モジュールが装着されている。電池配線モジュールは、電池に電気的に接続される電線と、その電線を収容するケースとを備えている。電池配線モジュールのケースは、電池を構成する複数の電池セルの並設方向に並ぶ複数の分割ケースを有している。このような構成によれば、各分割ケースを並設方向において変位可能とすることで、電池の熱膨張による変形や部品の製造公差を吸収することが可能となる。このため、電池と電池配線モジュールとの間の接続信頼性が向上される。
【0003】
ところで、各分割ケースは、隣接する分割ケース同士を連結するための連結部を有している。特許文献1の電池配線モジュールにおいて、連結部同士の連結方向は、分割ケースの並設方向に沿っている。すなわち、一方の連結部が他方の連結部に対して分割ケースの並設方向に沿って嵌合されることにより、分割ケース同士が連結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-2164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、上記のような電池配線モジュールにおいて、複数の分割ケースを含むケースにおける電池に対する組付性を如何に向上させるかを検討していた。
本開示の目的は、ケースの組付性を向上可能にした電池配線モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の電池配線モジュールは、電池に取り付けられる電池配線モジュールであって、前記電池に電気的に接続される電線と、前記電線を収容するケースと、を備え、前記ケースは、並設された複数の分割ケースを有し、隣接する一対の前記分割ケースの一方は第1連結部を有し、当該一対の分割ケースの他方は、前記第1連結部に連結される第2連結部を有し、前記第1連結部と前記第2連結部との連結方向は、前記電池に対する前記分割ケースの組付方向に沿った方向である。
【発明の効果】
【0007】
本開示の電池配線モジュールは、ケースの組付性を向上させる効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態の電池配線モジュールの模式平面図である。
図2図2は、同形態の電池配線モジュールの模式側面図である。
図3図3は、同形態の電池配線モジュールにおけるケースの一部を示す斜視図である。
図4図4は、同形態の電池配線モジュールにおけるケースの一部を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の電池配線モジュールは、
[1]電池に取り付けられる電池配線モジュールであって、前記電池に電気的に接続される電線と、前記電線を収容するケースと、を備え、前記ケースは、並設された複数の分割ケースを有し、前記複数の分割ケースのうち、隣接する一対の分割ケースの一方は第1連結部を有し、当該一対の分割ケースの他方は、前記第1連結部に連結される第2連結部を有し、前記第1連結部と前記第2連結部との連結方向は、前記電池に対する前記ケースの組付方向に沿った方向である。
【0010】
この構成によれば、第1連結部と第2連結部とを連結させる作業と同時に、ケースのうちの対象となる分割ケースを電池に組み付ける作業を完了させることが可能となる。したがって、電池に対するケースの組付性を向上させることが可能となる。
【0011】
[2]上記[1]において、前記連結方向は、前記複数の分割ケースの並設方向に対して交差する方向であってもよい。
この構成によれば、複数の分割ケースの並設方向に対して交差する方向に沿って第1連結部と第2連結部とを連結させる作業と同時に、ケースのうちの対象となる分割ケースを電池に組み付ける作業を完了させることが可能となる。
【0012】
[3]上記[1]または[2]において、前記電池は、前記複数の分割ケースの並設方向に沿って並設された複数の電池セルを含んでいてもよい。
この構成によれば、電池を電池セルの並設方向に長尺化させることが可能である。そして、電池の熱膨張による寸法変化は、長尺化した電池セルの並設方向において大きくなる傾向がある。したがって、複数の分割ケースが電池セルの並設方向に沿って並設される構成によれば、各分割ケースが並設方向に沿って、互いの隙間を埋めるように、いわば積極的に変位する。これにより、電池の熱膨張による変形をより効果的に吸収することが可能となる。
【0013】
[4]上記[1]から[3]のいずれかにおいて、前記第1連結部は、孔状をなし、前記第2連結部は、前記第1連結部に対し前記連結方向に沿って挿入される延出部であってもよい。
【0014】
この構成によれば、孔状をなす第1連結部に第2連結部を挿入してそれらを連結させる作業と同時に、ケースのうちの対象となる分割ケースを電池に組み付ける作業を完了させることが可能となる。その結果、分割ケースの組付性を好適に向上させることが可能となる。
【0015】
[5]上記[1]から[4]のいずれかにおいて、前記第1連結部と前記第2連結部との間には、前記複数の分割ケースの並設方向における前記第1連結部に対する前記第2連結部の相対変位を許容する変位許容部が設けられていてもよい。
【0016】
この構成によれば、変位許容部によって、分割ケースの並設方向における第1連結部に対する第2連結部の相対変位が許容される。したがって、各分割ケースを並設方向に沿って積極的に変位させることが可能となる。
【0017】
[6]上記[1]から[5]のいずれかにおいて、前記複数の分割ケースの各々は、前記電線と共に導電路を形成するバスバを保持するバスバ保持部を有し、前記複数の分割ケースの並設方向において、前記第1連結部及び前記第2連結部の一方と前記バスバ保持部とは、互いに同じ位置に設けられていてもよい。
【0018】
この構成によれば、第1連結部または第2連結部とバスバ保持部とが分割ケースの並設方向において別の位置とならない。このため、分割ケースの並設方向におけるケースの小型化に寄与できる。
【0019】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の電池配線モジュールの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。なお、本明細書における「対向」とは、面同士又は部材同士が互いに正面の位置にあることを指し、互いが完全に正面の位置にある場合だけでなく、互いが部分的に正面の位置にある場合を含む。また、本明細書における「対向」とは、2つの部分の間に、2つの部分とは別の部材が介在している場合と、2つの部分の間に何も介在していない場合の両方を含む。
【0020】
図1に示すように、本実施形態の電池配線モジュール10は、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車等に搭載される電池11に装着されるものである。電池11は例えば二次電池である。電池11は、図示しない車両の走行用モータに電力を供給する。また、電池11は、充電状態や車両の運転状態に応じて走行用モータや発電用モータからの電力の供給を受ける。
【0021】
電池11は、複数の電池セル12を備える。電池11は、複数の電池セル12が一方向に複数並んで配置されることにより、例えば略直方体状をなしている。以降の説明では、電池セル12の並ぶ方向をX方向、X方向に直交する方向をY方向として説明する。また、X方向及びY方向に直交するZ方向を上下方向とし、電池11に対して電池配線モジュール10が装着される側を上方とする。すなわち、電池11は、上方側の側面において、電池配線モジュール10が装着されるモジュール装着面13を有している。
【0022】
各電池セル12は、2つの電池端子14を有している。2つの電池端子14は、一方が正極側で、他方が負極側の端子である。各電池セル12がX方向に並べられたとき、2つの電池端子14は、電池セル12の上面にY方向に沿って並ぶ。
【0023】
(電池配線モジュール10の構成)
電池配線モジュール10は、電池11に電気的に接続される複数の電線21と、各電線21を収容するケース22と、を備えている。また、電池配線モジュール10は、例えば、ケース22に支持された複数のバスバ23を備える。各バスバ23は、例えば、ケース22のY方向の両側において、X方向に沿って複数並んで配置されている。各バスバ23は、X方向に隣り合う電池端子14同士を接続する。バスバ23は、電池端子14と例えば溶接によって接続される。各バスバ23は、それぞれ対応する電線21に電気的に接続されている。バスバ23は、電線21と共に導電路を形成する。電線21は、例えばバスバ23の電圧を検出するための検圧用の電線である。各電線21は、図示しない検圧用装置に接続するためのコネクタ24に接続されている。
【0024】
(ケース22の構成)
ケース22は、第1分割ケース31と、第2分割ケース32と、第3分割ケース33と、カバー34とを備えている。第1分割ケース31、第2分割ケース32、第3分割ケース33及びカバー34は、合成樹脂などの絶縁体にて形成されている。第1分割ケース31、第2分割ケース32及び第3分割ケース33は、X方向に並設されている。第2分割ケース32は、X方向において第1分割ケース31と第3分割ケース33との間に配置されている。なお、カバー34は、第1分割ケース31、第2分割ケース32及び第3分割ケース33の各々に対応して分割されている。図2に示すように、第1分割ケース31、第2分割ケース32及び第3分割ケース33の各々は、電池11のモジュール装着面13に対し、上方からZ方向に沿った組付方向Dに組み付けられる。
【0025】
図1に示すように、ケース22は、第1バスバ保持部35と、第2バスバ保持部36とを有している。第1バスバ保持部35と第2バスバ保持部36とは、互いに形状が異なる。第1バスバ保持部35と第2バスバ保持部36とは、X方向において交互に複数並んでいる。第1バスバ保持部35と第2バスバ保持部36とがなす列は、X方向に並ぶバスバ23の2列にそれぞれ対応して2列設けられている。X方向に隣り合う一対の第1バスバ保持部35と第2バスバ保持部36とは、1つのバスバ23を保持する。各バスバ23は、X方向に隣り合う第1バスバ保持部35と第2バスバ保持部36とに跨がる態様で設けられている。
【0026】
図3及び図4は、ケース22において、第1分割ケース31と第2分割ケース32との連結部分を含む箇所を示している。図3及び図4に示すように、第1分割ケース31は、X方向に延在する一対の第1電線収容部41を有している。一対の第1電線収容部41は、Y方向において互いに間隔を空けて並んでいる。また、第1分割ケース31は、Y方向に並ぶ一対の第1電線収容部41を連結する第1架橋部42を有している。
【0027】
各第1電線収容部41は、底壁43と、Y方向に対向する一対の側壁44とを有している。底壁43の下面は、前記モジュール装着面13にZ方向に対向する。各側壁44は、底壁43から上方に延びている。電線21は、一対の側壁44のY方向の間に収容される。
【0028】
第2分割ケース32は、X方向に延在する一対の第2電線収容部51を有している。一対の第2電線収容部51は、Y方向において互いに間隔を空けて並んでいる。第1分割ケース31と第2分割ケース32とが互いに組み付けられた状態において、第1電線収容部41と第2電線収容部51とは、X方向に沿って直線状に並んでいる。第2分割ケース32は、Y方向に並ぶ一対の第2電線収容部51を連結する第2架橋部52を有している。
【0029】
各第2電線収容部51は、底壁53と、Y方向に対向する一対の側壁54とを有している。底壁53の下面は、前記モジュール装着面13にZ方向に対向する。各側壁54は、底壁53から上方に延びている。前記電線21は、一対の側壁54のY方向の間に収容される。
【0030】
第1バスバ保持部35及び第2バスバ保持部36は、第1電線収容部41及び第2電線収容部51の各々からY方向の外側に延出している。第1電線収容部41の側壁44において、第2バスバ保持部36に対応する位置には、開口部45が設けられている。電線21は、第1電線収容部41の内部から開口部45を通じてY方向の外側に引き出される。
【0031】
また、第2電線収容部51の側壁54において、第2バスバ保持部36に対応する位置には、開口部55が設けられている。電線21は、第2電線収容部51の内部から開口部55を通じてY方向の外側に引き出される。第1電線収容部41及び第2電線収容部51は、開口する上方側が前記カバー34にて覆われる。
【0032】
なお、一対の第1電線収容部41及び一対の第2電線収容部51がY方向に離間して設けられるのは、例えば、Y方向における電池11の中央部に別部材を設けたり、別部材との間にクリアランスを設けたりするための空間を設けるためである。別部材の一例は、防爆弁である。
【0033】
(第1連結部60及び第2連結部70の構成)
第1分割ケース31は、第1連結部60を有している。第2分割ケース32は、第1連結部60に連結される第2連結部70を有している。例えば、図4に示すように、第1連結部60は孔状をなし、第2連結部70は、第1連結部60に挿入される延出部である。
【0034】
第1連結部60は、例えば、第1電線収容部41のX方向の端部41aに設けられている。第1電線収容部41は、端部41aにおいては各側壁44を有していない。第1連結部60は、端部41aにおける底壁43に繋がっている。また、第1連結部60は、端部41aにおける底壁43と第1バスバ保持部35との間に設けられている。
【0035】
第1連結部60は、Y方向に互いに対向する一対の第1壁部61と、一対の第1壁部61を連結する一対の第2壁部62とを有している。一対の第2壁部62は、X方向に互いに対向する。第2連結部70は、各第1壁部61と各第2壁部62とによって囲まれた部分に挿入される。第1バスバ保持部35は、一対の第1壁部61のうち、Y方向外側の第1壁部61から延出している。すなわち、第1連結部60と第1バスバ保持部35とは、X方向において互いに同じ位置に設けられる。
【0036】
第2連結部70は、第2電線収容部51のX方向の一端部に設けられている。第2連結部70は、例えば、第2電線収容部51におけるY方向外側の側壁54からZ方向の下方に延出している。第2連結部70の下端部には、係止部71が設けられている。第2連結部70は、第1連結部60に対しZ方向に沿って挿入される。係止部71は、第1連結部60の一方の第1壁部61に対して、Z方向において引っ掛かる。すなわち、第1連結部60と第2連結部70との連結方向は、電池11に対する第2分割ケース32の組付方向Dに沿ったZ方向である。そして、第2連結部70の係止部71が第1連結部60の第1壁部61に係止されることにより、第2分割ケース32が第1分割ケース31に組み付けられる。なお、第1連結部60と第2連結部70とが連結された状態において、第1電線収容部41の端部41aにおける底壁43と第2電線収容部51の底壁53とは、Z方向に重なっている。
【0037】
第2連結部70のX方向の寸法は、第1連結部60のX方向における孔寸法よりも小さく設定されている。これにより、図3に示すように、第1連結部60と第2連結部70とが連結された状態で、X方向における第1連結部60と第2連結部70との間には隙間が設けられる。すなわち、第1連結部60と第2連結部70との間には、X方向における第1連結部60に対する第2連結部70の相対変位を許容する変位許容部Sが設けられている。
【0038】
なお、第3分割ケース33は、第1分割ケース31や第2分割ケース32と略同様の構成を有している。詳しくは、第3分割ケース33は、第1電線収容部41や第2電線収容部51と同様の一対の電線収容部(図示略)を有する。そして、当該電線収容部は、第1電線収容部41及び第2電線収容部51とX方向に沿って直線状に並んでいる。
【0039】
また、第2分割ケース32と第3分割ケース33との連結構造は、上記した第1分割ケース31と第2分割ケース32との連結構造と同様である。すなわち、図2に示すように、第2分割ケース32において、上記第2連結部70が設けられた端部とは反対側の端部には、第1連結部60が設けられている。そして、第2分割ケース32の第1連結部60には、第3分割ケース33のX方向の端部に設けられた第2連結部70がZ方向に連結される。
【0040】
本実施形態の作用について説明する。
第1分割ケース31、第2分割ケース32及び第3分割ケース33は、それらの並設方向、すなわちX方向において変位可能に構成されている。これにより、各分割ケース31,32,33のX方向の変位によって、電池11の熱膨張による変形や部品の製造公差を吸収することが可能となっている。その結果、例えば電線21とバスバ23との間における接続信頼性が向上可能となる。
【0041】
図2に示すように、電池11のモジュール装着面13にケース22を組み付ける際には、まず、第1分割ケース31をモジュール装着面13に組み付ける。その後、第2分割ケース32をモジュール装着面13に対して上方からZ方向に沿った組付方向Dに組み付ける。第1分割ケース31の第1連結部60と第2分割ケース32の第2連結部70との連結方向は、Z方向に沿った方向である。このため、第2分割ケース32をモジュール装着面13に組み付ける作業と併せて、第2分割ケース32の第2連結部70を第1分割ケース31の第1連結部60に挿入して連結させることが可能である。
【0042】
その後、第3分割ケース33をモジュール装着面13に対して上方からZ方向に沿った組付方向Dに組み付ける。第2分割ケース32の第1連結部60と第3分割ケース33の第2連結部70との連結方向は、Z方向に沿った方向である。このため、第3分割ケース33をモジュール装着面13に組み付ける作業と併せて、第3分割ケース33の第2連結部70を第2分割ケース32の第1連結部60に挿入して連結させることが可能である。
【0043】
本実施形態の効果について説明する。
(1)第1連結部60と第2連結部70との連結方向は、電池11に対する各分割ケース31,32,33の組付方向Dに沿った方向である。この構成によれば、第1連結部60と第2連結部70とを連結させる作業と同時に、第2分割ケース32及び第3分割ケース33を電池11に組み付ける作業を完了させることが可能となる。したがって、電池11に対するケース22の組付性を向上させることが可能となる。
【0044】
(2)第1連結部60と第2連結部70との連結方向は、複数の分割ケース31,32,33の並設方向に対して交差するZ方向に沿っている。この構成によれば、各分割ケース31,32,33の並設方向に対して交差するZ方向に第1連結部60と第2連結部70とを連結させる作業と同時に、第2分割ケース32及び第3分割ケース33を電池11に組み付ける作業を完了させることが可能となる。
【0045】
(3)電池11は、複数の分割ケース31,32,33の並設方向に沿って並設された複数の電池セル12を含んでいる。この構成によれば、電池11を電池セル12の並設方向に長尺化させることが可能である。そして、電池11の熱膨張による寸法変化は、長尺化した電池セル12の並設方向において大きくなる傾向がある。したがって、複数の分割ケース31,32,33が電池セル12の並設方向に沿って並設される構成によれば、各分割ケース31,32,33の並設方向の変位によって、電池11の熱膨張による変形をより効果的に吸収することが可能となる。
【0046】
(4)第1連結部60は孔状をなし、第2連結部70は、第1連結部60に対し前記連結方向であるZ方向に沿って挿入される延出部である。この構成によれば、孔状をなす第1連結部60に第2連結部70を挿入して連結させる作業と同時に、第2分割ケース32及び第3分割ケース33を電池11に組み付ける作業を完了させることが可能となる。その結果、ケース22の組付性を好適に向上させることが可能となる。
【0047】
(5)第1連結部60と第2連結部70との間には、各分割ケース31,32,33の並設方向における第1連結部60に対する第2連結部70の相対変位を許容する変位許容部Sが設けられている。この構成によれば、変位許容部Sによって、各分割ケース31,32,33の並設方向における第1連結部60に対する第2連結部70の相対変位が許容される。したがって、変位許容部Sによって、各分割ケース31,32,33の並設方向における変位を許容させることが可能となる。
【0048】
(6)各分割ケース31,32,33は、電線21と共に導電路を形成するバスバ23を保持する第1バスバ保持部35及び第2バスバ保持部36を有する。そして、第1連結部60と第1バスバ保持部35とは、各分割ケース31,32,33の並設方向において互いに同じ位置に設けられる。この構成によれば、第1連結部60と第1バスバ保持部35とが各分割ケース31,32,33の並設方向において別の位置とならない。このため、各分割ケース31,32,33の並設方向におけるケース22の小型化に寄与できる。
【0049】
(変更例)
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0050】
・上記実施形態では、第1連結部60と第1バスバ保持部35とがX方向において互いに同じ位置に設けられるが、これに特に限定されるものではない。例えば、第2分割ケース32または第3分割ケース33において、第2連結部70と第1バスバ保持部35とが、X方向において互いに同じ位置に設けられてもよい。この場合、第1分割ケース31または第2分割ケース32において、第1連結部60とX方向において同位置に設けられる第1バスバ保持部35を省略可能である。
【0051】
・第1連結部60と第2連結部70との連結構造における凹凸関係を、上記実施形態とは反対にしてもよい。すなわち、第2連結部70を孔状とし、第1連結部60を上方に延びる延出部としてもよい。この構成によっても、各分割ケース31,32,33を電池11に組み付ける作業と併せて、第1連結部60を第2連結部70に挿入させて連結することが可能となる。
【0052】
・分割ケース31,32,33の並設方向と電池セル12の並設方向とは、必ずしも一致していなくてもよい。
・分割ケース31,32,33の組付方向Dは、上記実施形態の方向に限定されるものではなく、Z方向に対して傾いた方向やX方向に沿った方向であってもよい。この場合、分割ケース31,32,33の組付方向Dに合わせて、第1連結部60と第2連結部70との連結方向は適宜変更される。
【0053】
・今回開示された実施形態及び変更例はすべての点で例示であって、本発明はこれらの例示に限定されるものではない。すなわち、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0054】
10 電池配線モジュール
11 電池
12 電池セル
13 モジュール装着面
14 電池端子
21 電線
22 ケース
23 バスバ
24 コネクタ
31 第1分割ケース(分割ケース)
32 第2分割ケース(分割ケース)
33 第3分割ケース(分割ケース)
34 カバー
35 第1バスバ保持部(バスバ保持部)
36 第2バスバ保持部(バスバ保持部)
41 第1電線収容部
41a 端部
42 第1架橋部
43 底壁
44 側壁
45 開口部
51 第2電線収容部
52 第2架橋部
53 底壁
54 側壁
55 開口部
60 第1連結部
61 第1壁部
62 第2壁部
70 第2連結部(延出部)
71 係止部
D 組付方向
S 変位許容部
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-06-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正の内容】
図2