(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019955
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】吐出製品
(51)【国際特許分類】
B65D 83/14 20060101AFI20240206BHJP
B05B 9/04 20060101ALI20240206BHJP
B05B 1/02 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
B65D83/14 200
B05B9/04
B05B1/02 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122758
(22)【出願日】2022-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】391021031
【氏名又は名称】株式会社ダイゾー
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】二宮 慎伍
【テーマコード(参考)】
3E014
4F033
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB04
3E014PC02
3E014PC14
3E014PD01
3E014PE17
3E014PF06
4F033BA01
4F033BA03
4F033DA01
4F033EA01
4F033KA02
4F033NA01
4F033RA02
4F033RC01
4F033RC03
4F033RC11
4F033RC16
(57)【要約】
【課題】表面積が大きく、内側に空洞が形成された、立体的で、保持性および有効成分の拡散性の優れた泡体を吐出することができ、かつ、得られる泡体を、飛び散らせることなく吐出部材上に形成し得る、吐出製品を提供する。
【解決手段】発泡性エアゾール組成物が充填された吐出容器と、吐出容器に装着され、発泡性エアゾール組成物を吐出するための吐出部材と、を備え、発泡性エアゾール組成物は、原液と、液化ガスとからなり、原液は、界面活性剤と水とを含み、液化ガスの含有量は、発泡性エアゾール組成物中、20~55容量%であり、吐出部材は、軸方向に延びる内部通路と、内部通路と連通し、かつ、吐出部材の側面において開口する開口部と、が形成されており、開口部は、開口部を構成するとともに、発泡性エアゾール組成物が吐出される際に、発泡性エアゾール組成物の吐出方向を制御するための一対の側面を有し、側面は、吐出部材の軸回りに沿って、ねじれた形状である、吐出製品。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡性エアゾール組成物が充填された吐出容器と、前記吐出容器に装着され、前記発泡性エアゾール組成物を吐出するための吐出部材と、を備え、
前記発泡性エアゾール組成物は、原液と、液化ガスとからなり、
前記原液は、界面活性剤と水とを含み、
前記液化ガスの含有量は、発泡性エアゾール組成物中、20~55容量%であり、
前記吐出部材は、
軸方向に延びる内部通路と、
前記内部通路と連通し、かつ、前記吐出部材の側面において開口する開口部と、が形成されており、
前記開口部は、前記開口部を構成するとともに、前記発泡性エアゾール組成物が吐出される際に、前記発泡性エアゾール組成物の吐出方向を制御するための一対の側面を有し、
前記側面は、前記吐出部材の軸回りに沿って、ねじれた形状である、吐出製品。
【請求項2】
前記液化ガスは、ハイドロフルオロオレフィンを含む、請求項1記載の吐出製品。
【請求項3】
前記界面活性剤は、陰イオン性界面活性剤を含む、請求項1または2記載の吐出製品。
【請求項4】
前記発泡性エアゾール組成物が吐出された泡体の硬度は、100~550mN(25℃)である、請求項1または2記載の吐出製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出製品に関する。より詳細には、本発明は、表面積が大きく、内側に空洞が形成された、立体的で、保持性および有効成分の拡散性の優れた泡体を吐出することができ、かつ、得られる泡体を、飛び散らせることなく吐出ノズル上に形成し得る、吐出製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内容物を泡状に吐出する吐出製品が知られている(たとえば特許文献1)。特許文献1には、発泡性内容物(発泡性エアゾール組成物)の吐出ノズルが開示されている。この吐出ノズルは、軸方向に延びる内部通路と内部通路の側面で開口する開口部とが形成されている。この吐出ノズルが用いられることにより、吐出された泡体は、吐出ノズルの側面を旋回してソフトクリームのような形状となり、美観が優れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の発明により得られる泡体は、時間が経過すると、形状が崩れて垂れ落ちやすく、泡体の保持性に関して改良の余地がある。また、特許文献1に記載の発明により得られる泡体は、表面積が充分に大きいとはいえず、有効成分の拡散性に改良の余地がある。なお、泡体の表面積を大きくするために、噴射剤の割合を増やすことが考えられる。しかしながら、噴射剤の割合を増やした場合、吐出の勢いが強くなり、吐出物は、飛び散りやすい。
【0005】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、表面積が大きく、内側に空洞が形成された、立体的で、保持性および有効成分の拡散性の優れた泡体を吐出することができ、かつ、得られる泡体を、飛び散らせることなく吐出部材上に形成し得る、吐出製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明には、以下の構成が主に含まれる。
【0007】
(1)発泡性エアゾール組成物が充填された吐出容器と、前記吐出容器に装着され、前記発泡性エアゾール組成物を吐出するための吐出部材と、を備え、前記発泡性エアゾール組成物は、原液と、液化ガスとからなり、前記原液は、界面活性剤と水とを含み、前記液化ガスの含有量は、発泡性エアゾール組成物中、20~55容量%であり、前記吐出部材は、軸方向に延びる内部通路と、前記内部通路と連通し、かつ、前記吐出部材の側面において開口する開口部と、が形成されており、前記開口部は、前記開口部を構成するとともに、前記発泡性エアゾール組成物が吐出される際に、前記発泡性エアゾール組成物の吐出方向を制御するための一対の側面を有し、前記側面は、前記吐出部材の軸回りに沿って、ねじれた形状である、吐出製品。
【0008】
このような構成によれば、吐出製品は、飛び散らせることなく吐出部材上に泡体を形成することができる。また、吐出製品は、内側に空洞が形成されており、表面積が大きく、立体的で保持性および有効成分の拡散性が優れた泡体を吐出することができる。
【0009】
(2)前記液化ガスは、ハイドロフルオロオレフィンを含む、(1)記載の吐出製品。
【0010】
このような構成によれば、得られる泡体は、適度な硬度を有し、より表面積が大きくなる。そのため、吐出製品は、立体的で保持性および有効成分の拡散性がより優れた泡体が得られやすい。
【0011】
(3)前記界面活性剤は、陰イオン性界面活性剤を含む、(1)または(2)記載の吐出製品。
【0012】
このような構成によれば、吐出製品の泡体は、適度な硬度を有し、飛び散らせることなく吐出部材上に泡体を形成することができる。
【0013】
(4)前記発泡性エアゾール組成物が吐出された泡体の硬度は、100~550mN(25℃)である、(1)または(2)記載の吐出製品。
【0014】
このような構成によれば、吐出製品は、立体的で充分に硬さのある保持性が優れた泡体が得られやすい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、表面積が大きく、内側に空洞が形成された、立体的で、保持性および有効成分の拡散性の優れた泡体を吐出することができ、かつ、得られる泡体を、飛び散らせることなく吐出部材上に形成し得る、吐出製品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態の吐出製品の模式的な断面図である。
【
図2】
図2は、吐出ノズルの模式的な正面図である。
【
図3】
図3は、吐出ノズルの模式的な平面図である。
【
図4】
図4は、吐出された実施例1の泡体の外観写真である。
【
図5】
図5は、吐出された比較例2の泡体の外観写真である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<吐出製品>
本発明の一実施形態の吐出製品は、発泡性エアゾール組成物が充填された吐出容器と、吐出容器に装着され、発泡性エアゾール組成物を吐出するための吐出部材とを備える。発泡性エアゾール組成物は、原液と、液化ガスとからなる。原液は、界面活性剤と水とを含む。液化ガスの含有量は、発泡性エアゾール組成物中、20~55容量%である。吐出部材は、軸方向に延びる内部通路と、内部通路と連通し、かつ、吐出部材の側面において開口する開口部とが形成されている。開口部は、開口部を構成するとともに、発泡性エアゾール組成物が吐出される際に、発泡性エアゾール組成物の吐出方向を制御するための一対の側面を有する。側面は、吐出部材の軸回りに沿って、ねじれた形状である。以下、それぞれについて説明する。
【0018】
(発泡性エアゾール組成物)
発泡性エアゾール組成物(以下、エアゾール組成物ともいう。)は、原液と、液化ガスとからなる。原液と液化ガスとは、乳化している。
【0019】
・原液
原液は、界面活性剤と水とを含む。
【0020】
界面活性剤は、エアゾール容器内では原液と液化ガスとを乳化するために配合される。また、界面活性剤は、外部に吐出されたときに発泡して吐出部材の周囲で泡体を形成するために用いられる。界面活性剤は特に限定されない。一例を挙げると、界面活性剤は、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、天然系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等である。界面活性剤は、吐出部材上で特徴のある形状の泡体を形成しやすい点から陰イオン性界面活性を含むことが好ましい。また、界面活性剤は併用されてもよい。
【0021】
陰イオン性界面活性剤は、吐出部材上で特徴のある形状の泡体を形成しやすい硬度や泡比重に調整するための好適である。
【0022】
陰イオン性界面活性剤は特に限定されない。一例を挙げると、陰イオン性界面活性剤は、脂肪酸のケン化物、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、N-アシルアミノ酸塩、N-アシルメチルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウムなどの高級アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンラウリル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキルエーテル硫酸エステル塩、ラウロイルサルコシンナトリウムなどのN-アシルサルコシン酸、N-ミリストイル-N-メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリッドナトリウム、ラウリルメチルタウリッドナトリウムなどの高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸などのリン酸エステル塩、ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウムなどのスルホコハク酸塩、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩、N-ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N-ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸モノナトリウムなどのN-アシルグルタミン酸塩、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウムなどの高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩、ロート油などの硫酸化油、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルカルボン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、二級アルコール硫酸エステル塩、高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム、N-パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン、カゼインナトリウム等である。これらの中でも、陰イオン界面活性剤は、軽く、長時間にわたって安定な泡体が得られやすい点から、脂肪酸のケン化物を含むことが好ましい。
【0023】
脂肪酸のケン化物は特に限定されない。一例を挙げると、脂肪酸のケン化物は、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸などの脂肪酸類と、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアルカリ類との反応物等である。
【0024】
非イオン性界面活性剤は、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンラノリン・ラノリンアルコール・ミツロウ誘導体、脂肪酸アルキロールアミド等である。
【0025】
陽イオン性界面活性剤は、アルキルアンモニウム塩、アルキルベンジルアンモニウム塩等である。
【0026】
両性界面活性剤は、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン(ラウリルベタイン)、ステアリルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン(コカミドプロピルベタイン)等である。
【0027】
天然系界面活性剤は、サーファクチンナトリウム、シクロデキストリン、水添酵素大豆レシチン等である。
【0028】
シリコーン系界面活性剤は、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・メチルポリシロキサン共重合体等である。
【0029】
界面活性剤の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、界面活性剤の含有量は、原液と液化ガスとを乳化させて、後述する液化ガスの含有量で泡体を形成しやすい点から、原液中、0.1質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましい。また、使用後に吐出部材に付着する残留物が少ない点から、界面活性剤の含有量は、原液中、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましい。
【0030】
水は、溶媒として用いられ、原液やエアゾール組成物の粘度を調節するために配合される。
【0031】
水は特に限定されない。一例を挙げると、水は、精製水、イオン交換水、生理食塩水、海洋深層水等である。
【0032】
水の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、水の含有量は、原液中、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましい。また、水の含有量は、原液中、99.5質量%以下であることが好ましく、99.0質量%以下であることがより好ましい。水の含有量が上記範囲内であることにより、原液およびエアゾール組成物は、粘度が適切に調整されやすい。
【0033】
原液は、上記界面活性剤および水のほかにも、たとえば、有効成分、低級アルコール、多価アルコール、油成分、水溶性高分子、粉体などが適宜配合されてもよい。これらはいずれも併用されてもよい。
【0034】
有効成分は、吐出製品の使用目的や用途に応じて適宜選択される。一例を挙げると、有効成分は、リモネン、α-ピネン、β-ピネン、δ-ピネン、カンフェン、サビネン、α-テルピネン、β-テルピネン、γ-テルピネン等の炭化水素系香料;n-ヘプチルアルコール、n-オクチルアルコール、n-ノニルアルコール、ベンジルアルコール、2-メチル-1-ヘキサノール、3-メチル-1-ヘキサノール、シトロネロール、ゲラニオール、リナロール、L-メントール、メチル-n-ブチルカルビノール、メチルエチルイソプロピルカルビノール、メチルヘキシルカルビノール、メチルフェニルカルビノール、エチルフェニルカルビノール、メチルベンジルカルビノール、フェニルエチルアルコール、γ-フェニルプロピルアルコール、α-テレピネオール、ジヒドロミルセノール等のアルコール系香料;イソブチルアセテート、n-アミルアセテート、イソアミルアセテート、n-ヘキシルアセテート、n-オクチルアセテート、n-デシルアセテート、ベンジルアセテート、β-フェニルエチルアセテート、ゲラニルアセテート、ボルニルアセテート、l-メンチルアセテート、リナリルアセテート、n-アミルプロピネート、イソアミルプロピネート、リナリルプロピネート、ベンジルプロピネート、エチルブチレート、イソプロピルブチレート、n-ヘキシルブチレート、ベンジルブチレート、エチルイソブチレート、イソプロピルイソブチレート、n-ブチルイソブチレート、イソアミルイソブチレート、ベンジルイソブチレート、エチルバレレート、n-ブチルバレレート、イソアミルバレレート、n-ヘプチルバレレート、ベンジルバレレート、エチルイソバレレート、n-プロピルバレレート、イソアミルイソバレレート、メチルベンゾエート、エチルベンゾエート、イソブチルフェニルアセテート、メチルサリシレート等のエステル系香料;n-オクチルアルデヒド、n-ノニルアルデヒド、n-デシルアルデヒド、シトロネラール、シトラール、フェニルアセトアルデヒド、サリシリックアルデヒド等のアルデヒド系香料;エチルイソアミルケトン、メチルヘプテノン、アセトフェノン、ベンザルアセトン、o-アミノアセトフェノン、カンフル、メントン、メチル-n-アミルケトンカルボン等のケトン系香料;ゲラニルメチルエーテル、1,8-シネオール、1,4-シネオール、エチルベンジルエーテル、エストラゴール等のエーテル系香料;p-クレジルエチルエーテル、アネトール、オイゲノール等のフェノール系香料;単体香料および該単体香料を用いて調合した調合香料等の合成香料、オレンジ油、グレープフルーツ油、ペパーミント油、スペアミント油、ローズ油、ラベンダー油、レモン油、レモンユーカリ、カユプテ、クラリセージ、コリアンダー等の天然植物性香料等の各種香料、メチルベンゾエート、ベンジルアセテート、ラウリル酸メタクリレート、安息香酸メチル、フェニル酢酸メチル、ゲラニルクロトレート、ミリスチン酸アセトフェノン、酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジル等の消臭剤、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化クロルヘキシジン、感光素、パラクロルメタクレゾール、チモール、カルバクロール、フェノキシエタノール等の殺菌・消毒剤、1-メントール、カンフル等の清涼剤、N,N-ジエチル-m-トルアミド(ディート)、力プリル酸ジエチルアミド、ナフタレン、カンフル等の害虫忌避剤、トランスフルトリン、メトフルトリン、フタルスリン、アレスリン、ペルメトリン、テフルスリン、ベンフルスリン等の殺虫剤、等である。
【0035】
有効成分が配合される場合、有効成分の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、有効成分の含有量は、有効成分を配合することによる効果を充分に発揮させる点から、原液中、0.05質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましい。また、有効成分の含有量は、適切な効果が得られやすい点から、原液中、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。
【0036】
低級アルコールは、有効成分の溶解剤(溶媒)、乾燥性の向上など、泡体の保持時間や、発泡の大きさ(泡比重)、泡質、硬度など、発泡性を調整させたりするために好適に配合される。
【0037】
低級アルコールは特に限定されない。一例を挙げると、低級アルコールは、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなど、炭素数が2~3の1価アルコール等である。
【0038】
低級アルコールが配合される場合、低級アルコールの含有量は特に限定されない。一例を挙げると、低級アルコールの含有量は、原液中、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましい。また、低級アルコールの含有量は、原液中、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましい。低級アルコールの含有量が上記範囲内であることにより、エアゾール組成物は、原液と液化ガスとの乳化が阻害されにくく、かつ、低級アルコールを配合する効果が奏されやすい。
【0039】
多価アルコールは、有効成分の溶解剤(溶媒)、乾燥性の調整、泡比重、硬度を調整するために好適に配合される。
【0040】
多価アルコールは特に限定されない。一例を挙げると、多価アルコールは、グリセリン、ジグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール等である。
【0041】
多価アルコールが配合される場合、多価アルコールの含有量は特に限定されない。一例を挙げると、多価アルコールの含有量は、原液中、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましい。また、多価アルコールの含有量は、原液中、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。多価アルコールの含有量が上記範囲内であることにより、エアゾール組成物は、多価アルコールを配合する効果が奏されやすい。
【0042】
油成分は、原液の粘度や泡体の安定性を調整するために好適に配合される。なお、泡体の安定性を向上させるためには、油成分は、常温でペースト状または固形状の油成分が好適に配合される。
【0043】
油成分は特に限定されない。一例を挙げると、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、ラノリンアルコールなどの高級アルコール;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの炭化水素;ミツロウ、ラノリン、酢酸ラノリン、カンデリラロウなどのロウ類等の常温でペースト状または固形状の油成分、メチルポリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンなどのシリコーンオイル;ノルマルペンタン、イソペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、流動パラフィン、イソパラフィン、ケロシン、スクワラン、スクワレンなどの炭化水素油;ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、酢酸エチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジエトキシエチル、コハク酸ジエトキシエチルなどのエステル油;ラウリルアルコール、オレイルアルコールなどの高級アルコール;ツバキ油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、アマ二油、サフラワー油、ホホバ油、ヤシ油などの油脂類等の常温で液状の油成分である。なお、常温で液状の油成分のうち、ノルマルペンタン、イソペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサンなどの炭素数が5~6の炭化水素は、発泡倍率や発泡時間などを調整するために、後述する液化ガスに配合されてもよい。
【0044】
油成分が配合される場合、油成分の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、油成分の含有量は、原液中、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。また、油成分の含有量は、原液中、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。油成分の含有量が上記範囲内であることにより、泡体は、吐出部材上で保持されやすい。
【0045】
水溶性高分子は、泡体の保持時間、硬度、乾燥性など、泡質を調整するために好適に配合される。
【0046】
水溶性高分子は特に限定されない。一例を挙げると、水溶性高分子は、セルロースナノファイバー、カラギーナン、ペクチン、デンプン、ゼラチン、コラーゲン、カルボキシメチルデンプン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム等である。これらの中でも、水溶性高分子は、液化ガスが気化することにより泡体が大きく膨張した際の保形性を高めて、軽い泡体が形成しやすくする、乾燥性にすぐれた泡が得られる点から、セルロースナノファイバー、ゼラチンであることが好ましい。特に、セルロースナノファイバーは、原液と液化ガスとの乳化を容易にしたり、乳化物を安定化させたりするために好適に配合される。
【0047】
水溶性高分子が配合される場合、水溶性高分子の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、水溶性高分子の含有量は、原液中、0.001質量%以上であることが好ましく、0.003質量%以上であることがより好ましい。また、水溶性高分子の含有量は、原液中、10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましい。水溶性高分子の含有量が上記範囲内であることにより、エアゾール組成物は、軽く、立体的な泡体が得られやすい。
【0048】
粉体は、粉体自体が有効成分として作用したり、他の有効成分を担持する担体、乳化補助剤、付着剤、潤滑剤などとして作用する。
【0049】
粉体は特に限定されない。一例を挙げると、粉体は、シリカ、タルク、酸化亜鉛、力オリン、雲母、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸亜鉛、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ゼオライト、セラミックパウダー、チッ化ホウ素等である。
【0050】
粉体が配合される場合、粉体の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、粉体の含有量は、原液中、0.05質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましい。また、粉体の含有量は、原液中、15質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。粉体の含有量が上記範囲内であることにより、上記効果が得られやすい。
【0051】
原液全体の説明に戻り、原液の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、原液の含有量は、エアゾール組成物中、45容量%以上であればよく、50容量%以上であることが好ましい。また、原液の含有量は、エアゾール組成物中、80容量%以下であればよく、75容量%以下であることが好ましい。原液の含有量が上記範囲内であることにより、エアゾール組成物は、原液と液化ガスとが乳化しやすい。また、得られるエアゾール組成物の吐出物は、軽く、立体的な泡体を形成しやすい。
【0052】
原液の調製方法は特に限定されない。原液は、従来公知の方法により調製することができる。たとえば、原液は、水に界面活性剤等を添加し、混合することにより調製し得る。
【0053】
・液化ガス
液化ガスは、エアゾール容器内では蒸気圧を有する液体であり、エアゾール容器から外部に吐出されると気化し、容積の膨張により原液を発泡させて、軽い泡体を形成する。
【0054】
液化ガスは特に限定されない。一例を挙げると、液化ガスは、プロパン、ノルマルブタン、イソブタンおよびこれらの混合物である液化石油ガス、ジメチルエーテル、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンなどのハイドロフルオロオレフィン、およびこれらの混合物等である。液化ガスは、泡体の表面積がより大きくなりやすく、立体的で保持性および有効成分の拡散性がより優れた泡体が得られやすい点から、ハイドロフルオロオレフィンを含むことが好ましい。
【0055】
液化ガスの含有量は、エアゾール組成物中、20容量%以上であればよく、25容量%以上であることが好ましい。また、液化ガスの含有量は、エアゾール組成物中、55容量%以下であればよく、50容量%以下であることが好ましい。液化ガスの含有量が上記範囲内であることにより、エアゾール組成物は、原液と乳化しやすい。また、得られるエアゾール組成物の吐出物は、軽く、立体的な泡体を形成しやすい。
【0056】
エアゾール組成物全体の説明に戻り、エアゾール組成物の調製方法は特に限定されない。一例を挙げると、エアゾール組成物は、耐圧性の容器本体に原液を充填し、バルブを容器本体の開口部上に保持して開口部とバルブの隙間から液化ガスをアンダーカップ充填し、容器本体にバルブを固着することにより調製し得る。なお、液化ガスは、原液を容器本体に充填した後にバルブを固着し、バルブから充填してもよい。
【0057】
以上、本実施形態の吐出製品に使用されるエアゾール組成物は、原液が界面活性剤および水を含んでおり、原液と液化ガスとが乳化している。発泡性エアゾール組成物は、均一な組成で吐出することができ、得られる泡体は、軽く、立体的である。
【0058】
具体的には、吐出製品を25℃に調整し、吐出したときの泡体の泡比重(g/mL)は、0.001以上であることが好ましく、0.002以上であることがより好ましい。また、泡体の泡比重は、0.05以下であることが好ましく、0.04以下であることがより好ましい。このように、本実施形態によれば、泡比重の小さな、軽くて立体的な泡体が形成され得る。
【0059】
また、吐出した泡体の硬度(25℃)は、100mN以上であることが好ましく、200mN以上であることがより好ましい。また、泡体の硬度は、550mN以下であることが好ましく、500mN以下であることがより好ましい。泡の硬度が上記範囲内であることにより、吐出製品は、表面積が大きく、内側に空洞が形成された、立体的で、保持性および有効成分の拡散性の優れた泡体を吐出することができる。本実施形態において、泡体の硬度(mN)は、25℃に調整したエアゾール組成物を有底筒状のカップに吐出してカップ内を泡体で満たし、この泡体に荷重をかけて圧縮したときに、泡体が破断して圧縮量に対して荷重が大きく変化したときの値(破断点)を、EZ-Test((株)島津製作所製)を用いて測定することができる。
【0060】
(吐出容器)
図1は、本実施形態の吐出製品1の模式的な断面図である。吐出製品1は、発泡性エアゾール組成物が充填された吐出容器2と、吐出容器2に装着され、発泡性エアゾール組成物を吐出するための吐出部材3とを備える。
【0061】
吐出容器2は、容器本体4と、容器本体4に取り付けられたバルブ5とを備える。
【0062】
容器本体4は、たとえばアルミニウム等の金属製であり、底部4aと、底部4aの外周端から立ち上がる胴部4bと、胴部4bの上端から徐々に縮径しながら上方に延びる肩部4cとを有する。肩部4cの上端には、開口4dが設けられている。開口の周りにはビード部4eが形成されている。
【0063】
バルブ5は、側面にステム孔6aが形成された有底筒状のステム6と、ステム6を上下動可能に収容するハウジング7と、ステム6を常時上方に付勢する弾性体(バネ)8と、略ドーナツ状のステムラバー9と、ハウジング7を容器本体4に固定するマウンティングカップ10と、ハウジング7に装着されたチューブ11とを備える。ハウジング7の底面には、発泡性エアゾール組成物Cをハウジング7内に導入するための導入孔7aが形成されている。ステムラバー9は、ステム6が上方に付勢されているときは内周面でステム孔6aを塞ぎ、ステム6が下方に押し下げられたときに内周側が撓んでステム孔6aを開放する。バルブ5は、マウンティングカップ10の筒状部分を容器本体4のビード部4eにかしめることで、容器本体4の開口4dを塞いでいる。
【0064】
(吐出部材)
吐出部材3は、吐出容器2に装着される略円筒状の肩カバー31と、肩カバー31にヒンジ部32を介して連結された操作部33と、操作部33に装着された吐出ノズル34とを備えている。
【0065】
操作部33は、ステム6に装着される装着部33aと、装着部33aから見てヒンジ部32の反対側に位置する操作面33bと、吐出ノズル34を取り付けるためのノズル基部33cとを備えている。装着部33aとノズル基部33cとは連通しているため、吐出容器2から吐出される発泡性エアゾール組成物Cは、吐出ノズル34内に供給され得る。
【0066】
吐出ノズル34は、先端に向かって尖る略砲弾状の砲弾部を備えている。吐出ノズル34は、軸方向に延びる内部通路34aと、開口部34bとが形成されている。開口部34bは、内部通路34aと連通し、かつ、吐出ノズル34の砲弾部の側面において開口する。内部通路34aの下端は、ノズル基部33cと連通している。一方、内部通路34aの上端は、閉止されている。
【0067】
開口部34bは、吐出ノズル34の軸方向(上下方向)に沿って形成されたスリットである。
図2は、吐出ノズルの模式的な正面図である。
図3は、吐出ノズルの模式的な平面図である。
図2~
図3に示されるように、本実施形態の開口部34bは、吐出ノズル34の砲弾部の軸回りに沿って、ねじれた形状である。開口部34bの数は特に限定されない。本実施形態では、4箇所の開口部34bが形成された態様が例示されている。
【0068】
それぞれの開口部34bは、一対の側面(側面34cおよび側面34d)を有する。側面34cおよび側面34dは、一方の端部(吐出ノズル34の上端方向の端部)において繋がっており、他方の端部(吐出ノズル34の下端方向の端部)において、下面34eを介して繋がっている。一対の側面は、下面34eとともに、開口部34bの内周面を構成する。また、一対の側面は、発泡性エアゾール組成物が吐出される際に、発泡性エアゾール組成物の吐出方向を制御する。
【0069】
一対の側面(側面34cおよび側面34d)は、水平方向において、内部通路34aから外部に向かって弧を描いている。すなわち、側面34cおよび側面34dは、吐出ノズル34の砲弾部の軸回りに湾曲している。また、側面34cおよび側面34dによって構成された弧は、互いに同方向に湾曲している。他の開口部を構成する側面に関しても同様である。一対の側面(側面34cおよび側面34d)は、開口部34bが外方に向かってより広く開口するように、外方に向かって傾斜している。また、一対の側面は上下方向において幅が下端から上端にかけて狭くなっており上端でつながっている。一対の側面の表面側の端部は、下端から上端にかけてノズル部の中心軸から近くなっている。
【0070】
下面34eは、
図1に示されるように、外側に向かって立ち上がる傾斜面である。傾斜面の角度は、水平面に対して60~85°である。
【0071】
吐出部材3の材質は特に限定されない。一例を挙げると、吐出部材3の材質は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ナイロン(NY)あるいはポリアセタール(POM)などの合成樹脂等である。吐出部材3は、合成ゴム、シリコーンゴムなどのゴムであってもよい。
【0072】
本実施形態の吐出製品1は、吐出部材3の操作面33bが押し下げられることにより、発泡性エアゾール組成物を外部に吐出させることができる。具体的には、操作面33bが押し下げられると、ステム6が押し下げられて、ステムラバー9が撓む。これにより、ステムラバー9によるステム孔6aの閉塞が解かれる。その結果、液化ガスの圧力により、発泡性エアゾール組成物は、チューブ11の導入孔11aからチューブ11内に取り込まれ、ハウジング7の導入孔7a、ハウジング7内、ステム孔6a、ステム6内を通って吐出部材3に流れ、吐出ノズル34の開口部34bから外部に吐出される。発泡性エアゾール組成物は、吐出部材3の内部通路34aや開口部34bにおいて発泡し、硬度のある泡体に変化する。吐出ノズル34の開口部34bを構成する一対の側面(側面34cおよび側面34d)は、吐出ノズル34の砲弾部の軸回りに沿ってねじれた形状である。そのため、開口部34bから吐出されるエアゾール組成物の泡体は、一対の側面によって
図3の矢印で示すように吐出ノズルの砲弾部に外面に沿って吐出するよう流路が調整される。その結果、エアゾール組成物の泡体は、開口部の開口形状に沿った薄板形状をしつつ、斜め上方向に吐出される。吐出された泡体は、連続的に泡体が吐出されることにより、上端にかけて狭くなっている一対の側面により先に吐出された薄板状の泡体の流れが遅くなり、後から吐出した薄板状の泡体と積み重なり、折れ曲がった薄板状の泡体になる。さらに、開口部は複数個(この実施形態では4個)あることから、この折れ曲がった薄板状の泡体が積み重なり、
図4に示すような表面積が大きく立体的な泡体となる。吐出された泡体は、泡比重が小さく、好適な硬度を有するため、吐出ノズル34上での保持性が高い。
【0073】
また、泡体は、後から吐出される泡体が、先に吐出された泡体を押し上げることで小さな折れ曲がりが形成され、それらの折れ曲がりが積み重なり、内側の泡は砲弾部から離れて、内部に空洞が形成された泡体を形成する。本実施形態の吐出製品は、発泡性エアゾール組成物の液化ガスの含有量が20~55容量%である。そのため、泡体は、発泡倍率が適度となり、飛び散りを生じにくく、かつ、適度な重さ(泡比重)および硬さを有する。その結果、得られる泡体は、立体的であり、保持性が高い。
【0074】
また、得られる泡体は、表面積が大きく、有効成分の拡散性が優れる。そのため、本実施形態の吐出製品は、室内やトイレの消臭剤、芳香剤、除菌剤、虫よけ剤等として好適である。
【実施例0075】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。本発明は、これら実施例に何ら限定されない。
【0076】
(実施例1)
以下の表1に記載の処方(単位:質量%)に従って原液Aを調製し、表2に記載の処方にしたがって、
図1に示されるアルミニウム製の耐圧容器に原液Aを60g充填した。次いで、バルブを耐圧容器の開口部に固着して密閉した。さらに、ステムからトランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze(E))を40g充填し、原液と液化ガスとを乳化させて、エアゾール組成物を含む吐出製品を作製した。なお、原液/液化ガスの容積比は64.1/35.9であった。実施例1の吐出製品は、
図4に示されるように吐出され、泡体が形成された。
【0077】
【0078】
【0079】
(実施例2)
表2に示されるように、原液Aを70g充填し、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze(E))を30g充填したこと以外は実施例1と同様の方法により、エアゾール組成物を含む吐出製品を作製した。なお、原液/液化ガスの容積比は73.5/26.5であった。
【0080】
(実施例3)
表2に示されるように、原液Aを50g充填し、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze(E))を50g充填したこと以外は実施例1と同様の方法により、エアゾール組成物を含む吐出製品を作製した。なお、原液/液化ガスの容積比は54.3/45.7であった。
【0081】
(実施例4)
表2に示されるように、原液Aを75.8g充填し、液化石油ガス(LPG)を24.2g充填したこと以外は実施例1と同様の方法により、エアゾール組成物を含む吐出製品を作製した。なお、原液/液化ガスの容積比は64.1/35.9であった。
【0082】
(実施例5)
以下の表3に記載の処方(単位:質量%)に従って原液Bを調製し、表2に記載の処方にしたがって、原液Bを60g充填し、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze(E))を40g充填したこと以外は実施例1と同様の方法により、エアゾール組成物を含む吐出製品を作製した。なお、原液/液化ガスの容積比は64.1/35.9であった。
【0083】
【0084】
(実施例6)
表2に示されるように、原液Bを75.8g充填し、液化石油ガス(LPG)を24.2g充填したこと以外は実施例1と同様の方法により、エアゾール組成物を含む吐出製品を作製した。なお、原液/液化ガスの容積比は64.1/35.9であった。
【0085】
(比較例1)
表2に示されるように、原液Aを40g充填し、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze(E))を60g充填したこと以外は実施例1と同様の方法により、エアゾール組成物を含む吐出製品を作製した。なお、原液/液化ガスの容積比は44.2/55.8であった。
【0086】
(比較例2)
表2に示されるように、原液Aを80g充填し、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze(E))を20g充填したこと以外は実施例1と同様の方法により、エアゾール組成物を含む吐出製品を作製した。なお、原液/液化ガスの容積比は82.6/17.4であった。比較例2の吐出製品は、
図5に示されるように吐出され、泡体が形成された。
【0087】
実施例1~6、比較例1~2で作製したエアゾール組成物について、以下の評価方法により、泡体の吐出状態、飛び散りの有無、泡体の垂れ、泡体の保持性および泡体の硬度を評価した。結果を表3に示す。
【0088】
<泡体の吐出状態>
25℃に調温した吐出製品を、上向きに1秒間吐出して、泡体を形成した。その際の泡体の吐出状態を、以下の評価基準に従って評価した。
(評価基準)
○:外面は折れ曲がりが積み重なり、内側に空洞がある泡体が形成された。
×:外面は折れ曲がりがなくソフトクリーム状となり、内側に空洞のない泡体が形成された。
-:泡体が形成されなかった。
【0089】
<飛び散りの有無>
25℃に調温した吐出製品を、上向きに1秒間吐出して、泡体を形成した。その際の飛び散りの有無を、以下の評価基準に従って評価した。
(評価基準)
○:泡体は、飛び散ることなく形成された。
×:泡体は、飛び散った。
【0090】
<泡体の垂れ>
25℃に調温した吐出製品を、上向きに1秒間吐出して、泡体を形成した。その後、1分経過後の泡体の状態を、以下の評価基準に従って評価した。
(評価基準)
○:泡体は、ノズル上に保持され、垂れなかった。
×:泡体は、ノズル上に保持されず、垂れた。
-:泡体は、形成されなかった。
【0091】
<泡体の保持性>
25℃に調温した吐出製品を、上向きに1秒間吐出して、泡体を形成した。その後、30分経過後の泡体の状態を、以下の評価基準に従って評価した。
(評価基準)
○:泡体は、立体的で、内部に空洞が形成されるよう吐出され、その状態が30分以上保持された。
△:泡体は、立体的で、内部に空洞が形成されるよう吐出され、その状態が10~29分保持された。
×:泡体は、形成されなかった。
【0092】
<泡体の硬度>
25℃に調温した吐出製品を、吐出孔が3mmであるノズルを有するスパウトを取り付けた。ノズルから有底円筒状のカップ(内径32mm、深さ27mm)に吐出してカップ内を泡体で満たし、カップの開口をプレートですり切って泡体の表面を平らにした。この泡体に直径30mmの円板状のプランジャーで荷重をかけて圧縮することにより、泡体の硬度(mN)を測定した。なお硬度の測定はEZ-test((株)島津製作所製)を使用した。
【0093】
表2に示されるように、実施例1、2、5の吐出製品は、飛び散りを生じることなく、内側に空洞が形成された、立体的で、保持性の優れた充分に硬さのある泡体を吐出することができた。原液/液化ガスを54.3/45.7(容量比)にした実施例3の吐出製品は、飛び散りを生じることなく、内側に空洞が形成された、立体的で充分に硬さのある泡体を吐出することができ、10~29分は泡体が保持された。実施例1の液化ガスをLPGに変更した実施例4の吐出製品および実施例5の液化ガスをLPGに変更した実施例6の吐出製品は、飛び散りを生じることなく、内側に空洞が形成された、立体的で、保持できる程度の硬さのある泡体を吐出することができた。原液/液化ガスを44.2/55.8(容量比)にした比較例1の吐出製品は、飛び散りが生じ、泡体を形成できなかった。原液/液化ガスを82.6/17.4(容量比)にした比較例2の吐出製品は、飛び散りは生じなかったが、
図5のような外面は折れ曲がりがなくソフトクリーム状となり、内側に空洞のない泡体が形成され、ノズル上に保持されず垂れてしまった。実施例の泡体は、有効成分を配合する場合に、表面積が大きいことから、有効成分を拡散しやすいと考えられた。