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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001996
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/17 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
B41J2/17 201
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100899
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】山田 陸生
(72)【発明者】
【氏名】西島 英昭
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA27
2C056JA13
2C056JC06
2C056JC13
2C056JC23
2C056JC29
(57)【要約】
【課題】筐体内に収納される本体の一部が筐体の外に露出する開位置において、ポンプ部が露出する虞がある。
【解決手段】記録装置11は、媒体にインクを吐出することで記録を行う記録部48と、記録部48のメンテナンスにおいて記録部48から排出される廃液を吸引するポンプ部72と、壁部66と、記録部48、ポンプ部72、および壁部66が設けられる本体21と、本体21を収容する筐体20と、を備え、本体21は、奥行方向に沿って閉位置と開位置との間で変位可能に筐体20に設けられ、閉位置は、本体21が筐体20に収容される位置であり、開位置は、本体21が筐体20から突出し、筐体20から本体21の一部が露出する位置であり、壁部66は、本体21が開位置にあるときに露出するポンプ部72の少なくとも一部を隠す位置に設けられる。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に液体を吐出することで記録を行う記録部と、
前記記録部のメンテナンスにおいて前記記録部から排出される廃液を収集するポンプ部と、
壁部と、
前記記録部、前記ポンプ部、および前記壁部が設けられる本体と、
前記本体を収容する筐体と、
を備え、
前記本体は、鉛直方向と交差する奥行方向に沿って閉位置と開位置との間で変位可能に前記筐体に設けられ、
前記閉位置は、前記本体が前記筐体に収容される位置であり、
前記開位置は、前記本体が前記筐体から突出し、前記筐体から前記本体の一部が露出する位置であり、
前記壁部は、前記奥行方向と交差する幅方向に沿う方向から見て、前記本体が前記開位置にあるときに露出する前記ポンプ部の少なくとも一部を隠す位置に設けられる、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記記録部を支持する記録部支持部であって、接地された金属部材を含む前記記録部支持部を前記本体に備え、
前記壁部は、前記記録部支持部の前記金属部材と接触する金属部材を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記本体は、前記開位置において露出する位置に、前記液体を収容する液体収容部を保持する液体収容部保持部を備え、
前記液体収容部保持部は、前記壁部の前記金属部材と接触する金属部材を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記ポンプ部は、前記廃液が流れるチューブを有し、
前記壁部は、前記奥行方向と交差する幅方向に沿う方向から見て前記ポンプ部の少なくとも一部と重なる位置に開口する開口部を有し、
前記開口部は、前記幅方向に沿う方向から見て前記チューブと重なる位置に配置される、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の記録装置。
【請求項5】
前記チューブは、
前記記録部の前記メンテナンスを行うときに前記廃液を受ける第1廃液受け部と接続される第1チューブと、
前記記録を行うときに前記廃液を受ける第2廃液受け部と接続される第2チューブと、
を含み、
前記第1チューブと前記第2チューブとは、接続部により接続され、
前記壁部は前記本体から上方に延びるように設けられ、前記壁部の上端は、前記接続部より上方に位置する、
ことを特徴とする請求項4に記載の記録装置。
【請求項6】
前記チューブは、
前記記録部の前記メンテナンスを行うときに前記廃液を受ける第1廃液受け部と接続される第1チューブと、
前記記録を行うときに前記廃液を受ける第2廃液受け部と接続される第2チューブと、
を含み、
前記幅方向に沿う方向から見て前記第2チューブのうち前記開口部の内側にある領域は、前記幅方向において前記壁部と隣り合う位置に設けられる、
ことを特徴とする請求項4に記載の記録装置。
【請求項7】
前記チューブは、
前記記録部の前記メンテナンスを行うときに前記廃液を受ける第1廃液受け部と接続される第1チューブと、
前記記録を行うときに前記廃液を受ける第2廃液受け部と接続される第2チューブと、
を含み、
前記開口部は、前記幅方向に沿う方向から見て前記壁部のうち前記第2チューブと重なる位置に、前記開口部の長手方向と前記第2チューブの延びる方向とが交差する向きに設けられる、
ことを特徴とする請求項4に記載の記録装置。
【請求項8】
前記本体は、前記奥行方向に沿った変位において、前記筐体に対して摺動可能な摺動部を有する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、インクジェット記録ヘッドを用いて記録シートに記録を行う記録装置の一例であるインクジェット記録装置が開示されている。記録シートは媒体の一例である。また、このインクジェット記録装置では、インクジェット記録ヘッドを保持する基台が筐体内に収納される位置と、筐体内に収納される基台の一部が筐体の外となる位置と、に移動可能であることが開示されている。基台は本体の一例である。また、基台には、インクジェット記録ヘッドからインクを吸引することでインクの吐出異常の回復処理を行うポンプが配置されていることが開示されている。ポンプはポンプ部の一例である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-305572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のインクジェット記録装置では、筐体内に収納される基台の一部が筐体の外となる位置において、ポンプが外部に露出する虞がある。その結果、ユーザーによるポンプへのアクセスが容易になり、インク漏れ等の不具合を発生してしまう虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
記録装置は、媒体に液体を吐出することで記録を行う記録部と、前記記録部のメンテナンスにおいて前記記録部から排出される廃液を収集するポンプ部と、壁部と、前記記録部、前記ポンプ部、および前記壁部が設けられる本体と、前記本体を収容する筐体と、を備え、前記本体は、鉛直方向と交差する奥行方向に沿って閉位置と開位置との間で変位可能に前記筐体に設けられ、前記閉位置は、前記本体が前記筐体に収容される位置であり、前記開位置は、前記本体が前記筐体から突出し、前記筐体から前記本体の一部が露出する位置であり、前記壁部は、前記奥行方向と交差する幅方向に沿う方向から見て、前記本体が前記開位置にあるときに露出する前記ポンプ部の少なくとも一部を隠す位置に設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本体が閉位置にある記録装置を示す斜視図。
図2】本体が開位置にある記録装置を示す斜視図。
図3】本体が開位置にある記録装置を示す斜視図。
図4】記録装置の内部構造を示す斜視図。
図5】記録装置の前面を示す側面図。
図6図5に示すVI-VI断面を示す模式断面図。
図7】記録装置の本体を示す斜視図。
図8】記録装置の本体を示す斜視図。
図9】記録装置の本体を示す斜視図。
図10】メンテナンス部を示す模式平面図。
図11】記録装置の本体を示す模式部分側面図。
図12】記録装置の本体を示す模式部分側面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本開示を実施形態に基づいて説明する。各図において同一部材には同一符号を付し、重複する説明は省略する。なお、本明細書において、「同じ」、「同一」、「同時」とは、完全に同じであることを指すのみならず、測定誤差を考慮して同じである場合、部材の製造ばらつきを考慮して同じである場合、および、機能を損なわない範囲で同じである場合を含むものとする。よって、例えば、「両者の寸法が同じである」とは、測定誤差、部材の製造ばらつきを考慮し、両者の寸法差が、一方の寸法の±10パーセント以内、さらに好ましくは±5パーセント以内、特に好ましくは±3パーセント以内であることを指す。
【0008】
また、各図においてX、Y、Zは、互いに直交する3つの空間軸を表している。本明細書では、これらの軸に沿った方向をX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向とする。向きを特定する場合には、正の方向を「+」、負の方向を「-」として、方向表記に正負の符合を併用し、各図の矢印が向かう向きを+方向、矢印の反対方向を-方向として説明する。
【0009】
また、Z軸方向は、鉛直方向を示し、+Z方向は鉛直上向き、-Z方向は鉛直下向きを示す。また、X軸,Y軸を含む平面をX-Y面、X軸,Z軸を含む平面をX-Z面、Y軸,Z軸を含む平面をY-Z面として説明する。また、X-Y面は水平面となる。さらに、正方向及び負方向を限定しない3つのX、Y、Zの空間軸については、X軸、Y軸、Z軸として説明する。
【0010】
尚、各図においてZ軸方向は記録装置11の高さ方向である。本実施形態において記録装置11の周囲を構成する側面のうち操作パネル33が設けられる側面が記録装置11の前面12となる。X軸方向は記録装置11の幅方向であり、媒体の幅方向である。X軸方向のうち-X方向は記録装置11の前面12をユーザーと対面させた際にユーザーから見て左方向となり、また+X方向は同右方向となる。
【0011】
Y軸方向は記録装置11の奥行方向である。Y軸方向のうち-Y方向は記録装置11の背面13から記録装置11の前面12に向かう方向である。また+Y方向は記録装置11の前面12から記録装置11の背面13に向かう方向である。
【0012】
1.実施形態1
記録装置11は、例えば、搬送方向に搬送される媒体に対して記録部48からインクを吐出することで記録を行うインクジェット方式のプリンターである。インクは液体の一例である。図1に示すように、記録装置11は、直方体状に構成される。記録装置11は、前面12を備える。前面12は、-Y方向に向かう平面である。記録装置11は、背面13を備える。背面13は、+Y方向に向かう平面である。記録装置11は、左側面14を備える。左側面14は、-X方向に向かう平面である。記録装置11は、右側面15を備える。右側面15は、+X方向に向かう平面である。記録装置11は、底面16を備える。底面16は、-Z方向に向かう平面である。記録装置11は、天面17を備える。天面17は、+Z方向に向かう平面である。
【0013】
記録装置11は、筐体20と、本体21とを備える。筐体20は、本体21を収容するように構成される。筐体20は、少なくとも記録装置11の左側面14の一部、右側面15の一部、底面16の一部及び天面17の一部を構成するが、記録装置11の左側面14の全部、右側面15の全部、底面16の全部及び天面17の全部を構成してもよい。このように、筐体20は、記録装置11の左側面14、右側面15、底面16及び天面17という複数の面を有する。記録装置11の左側面14、右側面15、底面16及び天面17は、それぞれ筐体20の左側面、右側面、底面及び天面であるともいえる。なお、筐体20に、記録装置11の前面12の少なくとも一部が含まれてもよい。また、筐体20に、記録装置11の背面13の少なくとも一部が含まれてもよい。
【0014】
本体21は、記録装置11の前面12の全部を構成するが、記録装置11の前面12の少なくとも一部を構成してもよい。このように、本体21は、記録装置11の前面12を有する。記録装置11の前面12は、本体21の前面であるともいえる。また、記録装置11の背面13は、筐体20の背面と、本体21の背面とで構成されてもよいが、筐体20の背面だけで構成されてもよく、本体21の背面だけで構成されてもよい。
【0015】
本体21は、筐体20に対してY軸方向に沿って変位可能に構成される。Y軸方向は変位方向の一例である。また、-Y方向は第1変位方向の一例であり、+Y方向は第2変位方向の一例である。
【0016】
本体21は、閉位置に配置可能である。閉位置は、本体21が筐体20に収容される位置である。本実施形態では、閉位置において、本体21の前面12は、記録装置11の左側面14の一部、右側面15の一部、底面16の一部及び天面17の一部を構成するが、記録装置11の左側面14、右側面15、底面16及び天面17を構成しなくてもよい。この場合、閉位置において、本体21の前面12は、筐体20内に位置してもよい。
【0017】
図2に示すように、本体21は、開位置に変位可能である。開位置は、-Y方向に向かって本体21が筐体20から突出する位置である。本体21が開位置に配置されるときに、本体21の内部の少なくとも一部が筐体20から露出する。このように、本体21は、筐体20に対して、Y軸方向に沿って閉位置と開位置との間で変位可能に構成される。
【0018】
図1から図3に示すように、筐体20は、筐体フレーム26を備える。筐体フレーム26は、記録装置11の左側面14、右側面15及び天面17を構成する部材である。つまり、筐体20は、記録装置11の左側面14、右側面15及び天面17というように複数の面を備える。
【0019】
図1から図4に示すように、筐体20は、底板22を備える。底板22は、平板形状をしている。底板22は、金属製であるが、樹脂製であってもよく、金属板と樹脂板との両方から構成されてもよい。図6に示すように、底板22は、上面22Aを備える。上面22Aは、+Z方向に向かう面である。底板22は、記録装置11の底面16を構成する。つまり、筐体20は、記録装置11の底面16を備える。
【0020】
図4に示すように、記録装置11は、電源部95を備える。電源部95は、供給される商用電源を変換し、記録装置11における本体21への電源供給を行う。電源部95は、筐体20に設けられる。電源部95は、底板22に設けられる。電源部95は、記録装置11の中央より+Y方向側となる背面13側に設けられる。電源部95は、電源ケーブルを背面13から接続可能である。電源部95は、記録装置11の右側面15に沿うように設けられる。尚、図4では、説明のため、筐体20の筐体フレーム26を取り除いた状態となっている。
【0021】
図5に示すように、記録装置11は、収容量視認部31を備える。収容量視認部31は、本体21に設けられる。収容量視認部31は、後述する液体収容部40におけるインクの収容量を視認可能である。収容量視認部31は、各色のインクにそれぞれ対応する複数の視認窓32A,32B,32C,32D,32E,32Fから構成される。収容量視認部31は、記録装置11の前面12に位置する。
【0022】
記録装置11は、操作パネル33を備える。操作パネル33は、本体21に設けられる。操作パネル33は、操作部34と、表示部35とを備える。つまり、操作部34及び表示部35は、本体21に設けられる。操作部34は、ユーザーによって操作可能である。操作部34は、複数の操作ボタンから構成される。表示部35は、記録装置11に関する情報を表示する。操作パネル33は、記録装置11の前面12に位置する。尚、操作部34と表示部35とは、タッチパネルのように、同一の構成によって兼ねられてもよい。
【0023】
記録装置11は、報知ランプ36を備える。報知ランプ36は、本体21に設けられる。報知ランプ36は、記録装置11に関する情報を報知するためのランプである。報知ランプ36は、記録装置11に関するエラー情報を報知するためのランプであってもよい。報知ランプ36は、記録装置11の前面12に位置する。報知ランプ36は、操作パネル33の-Z方向側に位置し、Z軸方向において操作パネル33と後述する開閉部37との間に位置する。報知ランプ36は、X軸方向に延びるように構成される。
【0024】
記録装置11は、開閉部37を備える。開閉部37は、本体21に設けられる。開閉部37は、記録装置11の前面12に位置する。開閉部37は、操作パネル33及び報知ランプ36よりも-Z方向側に位置する。図6に示すように、開閉部37は、下端部においてX軸方向に沿う回転軸37Aを中心として回転可能に構成される。これにより、開閉部37は、記録装置11の前面12に対して開閉可能に構成される。
【0025】
図2図6に示すように、記録装置11は、排出口38を備える。排出口38は、本体21に設けられる。排出口38は、後述する記録部48によって記録された媒体を排出する開口である。排出口38は、記録装置11の-Y方向に開口する。つまり、排出口38は、記録装置11の前面12において、-Y方向に開口するように設けられる。換言すると、排出口38は、本体21の前面12において、-Y方向に開口するように設けられる。
【0026】
排出口38は、開閉部37が開放しているときに記録装置11の-Y方向において露出する。排出口38は、開閉部37が閉鎖しているときに露出しないが、開閉部37が閉鎖しているときにも露出してもよい。排出口38は、後述する液体収容部40の-X方向側に位置する。
【0027】
記録装置11は、排紙トレイ37Bを備える。排紙トレイ37Bは、本体21に設けられる。排紙トレイ37Bは、開閉部37の内壁面に設けられる。排紙トレイ37Bは、開閉部37が開放されているときに露出し、記録後の媒体を載置可能である。排紙トレイ37Bは、Y軸方向に伸縮可能に構成されてもよい。
【0028】
記録装置11は、把持部39を備える。把持部39は、本体21に設けられる。把持部39は、排出口38の+Z方向側に設けられる。把持部39は、記録装置11の前面12において、-Y方向からユーザーにより把持可能な位置に設けられる。つまり、把持部39は、本体21の-Y方向に向かう面において、-Y方向からユーザーにより把持可能な位置に設けられる。このように、把持部39は、本体21をY軸方向に変位させる際にユーザーにより把持可能である。
【0029】
図2に示すように、記録装置11は、液体収容部40を備える。液体収容部40は、本体21に搭載される。液体収容部40は、媒体への記録に用いるインクを収容するように構成される。つまり、液体収容部40は、後述する記録部48へ供給するインクを収容するように構成される。本実施形態の液体収容部40は、インクが注入可能なタンク型の収容部である。液体収容部40は、X軸方向において排出口38及び把持部39と隣り合う位置に設けられる。液体収容部40は、X軸方向において後述する廃液収容体装着部45と隣り合う位置に設けられる。
【0030】
液体収容部40は、収容室41を備える。収容室41は、インクを収容するように構成される。液体収容部40は、各色のインクにそれぞれ対応する六つの収容室41を備える。
【0031】
液体収容部40は、液体注入口42を備える。液体注入口42は、収容室41にインクを注入可能に構成される開口である。液体収容部40は、各色のインクにそれぞれ対応する六つの液体注入口42を備える。
【0032】
液体収容部40は、キャップ43を備える。キャップ43は、液体注入口42を覆う。キャップ43は、収容室41を密封することにより、収容室41における乾燥を抑制することができる。液体収容部40は、各色のインクにそれぞれ対応する六つのキャップ43を備える。液体注入口42からキャップ43を取り外すことにより、液体注入口42から収容室41へのインクの注入が可能となる。
【0033】
液体収容部40は、第1カバー部44を備える。第1カバー部44は、開閉可能に構成される。収容室41及びキャップ43は、第1カバー部44が閉鎖しているときに、第1カバー部44により+Z方向から覆われる。キャップ43は、第1カバー部44が開放しているときに、ユーザーによる取り扱いが可能となる。このように、第1カバー部44が開放しているときに、液体注入口42からキャップ43を取り外すことができる。
【0034】
液体収容部40は、本体21が閉位置に配置されるときに筐体20から露出しない。換言すると、液体注入口42は、本体21が閉位置に配置されるときに筐体20から露出しない。
【0035】
一方、液体収容部40は、本体21が開位置に配置されるときに筐体20から露出する。このように、本体21が開位置に配置されるときに、第1カバー部44を開放した後にキャップ43を取り外すことにより、液体注入口42は、筐体20から露出する。これにより、液体注入口42から収容室41へのインクの注入が可能となる。
【0036】
このように、液体収容部40は、本体21が開位置に配置されるときに筐体20から露出する。換言すると、液体注入口42は、本体21が開位置に配置されるときに筐体20から露出する。また、本体21が開位置に配置されるときに、液体収容部40が筐体20から露出し、液体収容部40の+Z方向にスペースを設けることができる。これにより、例えば、液体が収容されている容器を液体注入口42に挿入した状態で自立させるなど、作業性を向上させることができる。
【0037】
図2から図4に示すように、記録装置11は、廃液収容体装着部45を備える。廃液収容体装着部45は、廃液収容体46を装着可能に構成される。廃液収容体46は、後述する記録部48から廃液として排出されたインクを、後述するメンテナンス部70を介して収集可能に構成される。
【0038】
廃液収容体装着部45は、本体21に設けられる。廃液収容体装着部45は、排出口38の+Z方向側に設けられる。廃液収容体装着部45は、X軸方向において液体収容部40と隣り合う位置に設けられる。
【0039】
図2に示すように、廃液収容体装着部45は、収容体固定部47を備える。収容体固定部47は、廃液収容体装着部45に装着した廃液収容体46を固定するように構成される。収容体固定部47は、廃液収容体装着部45に装着した廃液収容体46を固定する位置と、廃液収容体46を廃液収容体装着部45から取り外すことができる位置との間で変位可能である。
【0040】
廃液収容体装着部45は、本体21が閉位置に配置されるときに筐体20から露出しない。一方、廃液収容体装着部45は、本体21が開位置に配置されるときに筐体20から露出する。これにより、廃液収容体装着部45における廃液収容体46の着脱が可能となる。
【0041】
図2から図4に示すように、記録装置11は、記録部48を備える。記録部48は、媒体にインクを吐出することにより媒体に記録を行うように構成される。記録部48は、本体21に搭載される。記録部48は、Y軸方向において液体収容部40と隣り合う位置に設けられる。記録部48は、液体収容部40よりも+Y方向側に設けられる。
【0042】
記録部48は、本体21が開位置に配置されるときに筐体20から露出する。特に、後述する記録部48のキャリッジ51は、本体21が開位置に配置されるときに筐体20から露出する。記録部48は、本体21が閉位置に配置されるときに筐体20から露出しない。尚、図2に示すように、キャリッジ51は、本体21が開位置に配置されるとき、後述する記録領域RAの+X方向側となる待機位置に位置する。
【0043】
記録装置11は、搬送経路49を備える。搬送経路49は、媒体を搬送する経路である。搬送経路49は、本体21に設けられる。搬送経路49の一部は、本体21が開位置に配置されるときに筐体20から露出する。特に、搬送経路49のうち、記録部48により媒体への記録が行われる記録領域RAは、本体21が開位置に配置されるときに筐体20から露出する。搬送経路49は、本体21が閉位置に配置されるときに筐体20から露出しない。
【0044】
記録装置11は、第2カバー部50を備える。第2カバー部50は、本体21に設けられる。第2カバー部50は、開閉可能に構成される。記録部48及び搬送経路49の一部は、第2カバー部50が閉鎖しているときに、第2カバー部50により+Z方向から覆われる。記録部48及び搬送経路49の一部は、第2カバー部50が開放しているときに、紙ジャムの除去など、ユーザーによる取り扱いが可能となる。
【0045】
図6に示すように、記録部48は、キャリッジ51と、液体吐出ヘッド52とを備える。キャリッジ51は、液体吐出ヘッド52を+Z方向から支持する。液体吐出ヘッド52は、キャリッジ51の-Z方向に設けられる。液体吐出ヘッド52は、キャリッジ51に搭載される。
【0046】
液体吐出ヘッド52は、-Z方向側の面であるノズル面に不図示の複数のノズルを備える。複数のノズルのそれぞれは、後述する媒体支持部53に支持された媒体に向けて開口する。複数のノズルのそれぞれは、インクを吐出する。液体吐出ヘッド52は、媒体支持部53に支持された媒体に向けて複数のノズルからインクを吐出する。このように、記録部48は、媒体へのインクの吐出により媒体に記録を行うように構成される。液体吐出ヘッド52は、キャリッジ51のX軸方向への移動に伴ってインクを吐出するシリアルヘッド型であるが、ラインヘッド型であってもよい。
【0047】
記録装置11は、媒体支持部53を備える。媒体支持部53は、本体21に設けられる。媒体支持部53は、媒体を支持するように構成される。媒体支持部53は、記録部48によって媒体に記録が行われる記録領域RAにおいて、媒体を支持する。
【0048】
記録装置11は、第2廃液受け部59を備える。第2廃液受け部59は、記録部48からのインクの吐出による媒体への記録において、記録領域RAのうち媒体の外側となる領域に、記録部48から吐出されるインクを、廃液として受ける。第2廃液受け部59は、本体21に設けられる。第2廃液受け部59は、記録領域RAにおいて、媒体支持部53に対して-Z方向となる位置に設けられる。
【0049】
図6図9に示すように、第2廃液受け部59は、媒体支持部53に対して-Z方向となる位置に、+Z方向に開口する凹部を有する。第2廃液受け部59の凹部は、記録部48による記録において、記録領域RAのうち媒体の外側となる領域に、記録部48から吐出されるインクを、廃液として受けて収集する。尚、図9では、説明のため、本体21から媒体支持部53、キャリッジ51、液体収容部40、後述する液体収容部保持部65、および壁部66を取り除いた状態を示している。
【0050】
図6に示すように、記録装置11は、給紙トレイ54を備える。給紙トレイ54は、媒体を載置可能なトレイである。給紙トレイ54は、本体21に搭載される。給紙トレイ54は、Y軸方向に沿って本体21から変位可能である。給紙トレイ54は、Y軸方向に沿って本体21から引き出されることにより、媒体の載置及び媒体の取り出しが可能な状態となる。
【0051】
記録装置11は、搬送部55を備える。搬送部55は、媒体を搬送するように構成される。搬送部55は、本体21に設けられる。搬送部55は、給紙トレイ54に載置される媒体を1枚ずつ給紙する。搬送部55は、給紙した媒体を搬送経路49に沿って搬送する。
【0052】
搬送部55は、複数のローラーと、駆動源となる複数のモーターとを備える。搬送部55は、搬送ローラー対56を備える。媒体が搬送される方向を搬送方向としたとき、搬送ローラー対56は、搬送経路49において、媒体支持部53に対して搬送方向の上流に位置する。搬送ローラー対56は、搬送経路49に沿って媒体を媒体支持部53に搬送する。また、搬送部55は、排出ローラー対57を備える。排出ローラー対57は、搬送経路49において、媒体支持部53に対して搬送方向の下流に位置する。排出ローラー対57は、搬送経路49に沿って記録後の媒体を排出する。
【0053】
搬送部55は、反転部58を備える。反転部58は、本体21に搭載される。反転部58は、本体21に対して+Y方向から着脱可能に構成される。反転部58は、複数のローラーを備える。反転部58は、搬送経路49に沿って媒体の搬送方向を反転させるように構成される。
【0054】
図4図6に示すように、記録装置11は、記録部支持部63を備える。記録部支持部63は、記録部48をX軸方向に移動可能に支持する。記録部支持部63は、本体21に設けられる。記録部支持部63は、本体21のX軸方向となる幅方向に亘って延びるように設けられる。記録部支持部63は、金属部材の一例である導電性を有する金属製の板状部材により形成される。記録部支持部63は、導電性を有する中継部材69、および可撓性を有する接地用接続線98を介して、電源部95と電気的に接続される。これにより、記録部支持部63は、電源部95を介して接地される。尚、記録部支持部63は、例えば、接地される金属製の部材と、樹脂製の部材と、により構成されてもよい。
【0055】
図4に示すように、記録装置11は、摺動部64R,64Lを備える。摺動部64R,64Lは、本体21のY軸方向に沿う変位において、筐体20に対して摺動可能に設けられる。摺動部64R,64Lは、本体21に設けられる。摺動部64R,64Lは、記録部支持部63のうち、本体21の閉位置および開位置において露出しない領域に設けられる。よって、摺動部64R,64Lは、本体21の閉位置と開位置との間の変位において、筐体20に対して摺動可能に設けられる。
【0056】
摺動部64R,64Lは、記録部支持部63の+Z方向の端となる位置に設けられる。摺動部64Rは、記録部支持部63の+X方向の端となる位置に、Y軸方向に沿って設けられる薄板状部材である。摺動部64Rの+X方向側の面は、筐体20の右側面15の-X方向の面である内面のうち中央より+Z方向側となる天面17に近い位置に対して接触可能に、右側面15の内面と僅少の間隔を置いて設けられる。すなわち、摺動部64Rは、本体21の閉位置と開位置との間の変位において、右側面15の内面に接触したとき、右側面15の内面に対して摺動可能に設けられる。
【0057】
摺動部64Lは、記録部支持部63の-X方向の端となる位置に、Y軸方向に沿って設けられる薄板状部材である。摺動部64Lの-X方向側の面は、筐体20の左側面14の+X方向の面である内面のうち中央より+Z方向側となる天面17に近い位置に対して接触可能に、左側面14の内面と僅少の間隔を置いて設けられる。すなわち、摺動部64Lは、本体21の閉位置と開位置との間の変位において、左側面14の内面に接触したとき、左側面14の内面に対して摺動可能に設けられる。
【0058】
図4に示すように、記録装置11は、壁部66を備える。図7に示すように、壁部66は、後述する本体フレーム60側から+Z方向に延びるように、本体21に設けられる。また、図3に示すように、壁部66は、壁部66の+Y方向の端が、本体21が開位置にあるときに露出しない位置に設けられる。換言すると、本体21のうち図4において壁部66の+Y方向の端より+Y方向側となる領域は、本体21が開位置にあるときに露出しない。また、壁部66は、摺動部64Rの+X方向側の面より-X方向側に設けられる。また、壁部66は、摺動部64Lの-X方向側の面より+X方向側に設けられる。
【0059】
図4に示すように、壁部66は、待機位置に位置するキャリッジ51の+X方向側となる位置に、Y軸方向に沿って設けられる。壁部66は、金属部材の一例である導電性を有する金属製の板状部材により形成される。壁部66は、記録部支持部63と接触する接触部において、締結ねじ97によって、記録部支持部63と接続される。これにより、壁部66は、記録部支持部63、および電源部95を介して接地される。
【0060】
締結ねじ97は、締結ねじ97自身のねじ山で、記録部支持部63に設けられる締結用の穴にめねじ山を塑性成形させながら、ねじ込み締結できる金属製のセルフタッピングねじである。また、記録部支持部63に設けられる締結用の穴は、バーリング加工により形成される。壁部66に設けられる貫通穴に締結ねじ97を挿入し、記録部支持部63に設けられる締結用の穴に締結ねじ97をねじ込むことで、記録部支持部63の締結用の穴と締結ねじ97のねじ山とが電気的に接続され、壁部66の+X方向側の面と締結ねじ97の頭部とが電気的に接続される。
【0061】
これにより、例えば、表面にメッキ加工が施された亜鉛めっき鋼板により壁部66および記録部支持部63が形成される場合も、壁部66と記録部支持部63とは電気的に接続される。尚、壁部66は、例えば、接地される金属部材と、樹脂製の部材と、により構成されてもよい。この場合、壁部66の金属部材は、記録部支持部63の接地される金属部材と接触することで接地される。
【0062】
壁部66には、開口部67が設けられる。開口部67は、壁部66のうち本体21が開位置にあるときに露出する位置に設けられる。開口部67は、壁部66において、中央より-Z方向となる位置に設けられる矩形の貫通穴である。図11に示すように、本実施形態において、開口部67は、長手方向がZ軸方向に沿い、短手方向がY軸方向に沿うように、壁部66に設けられる。
【0063】
図3図4に示すように、記録装置11は、液体収容部保持部65を備える。液体収容部保持部65は、液体収容部40を保持する。液体収容部保持部65は、本体21のうち開位置において露出する位置に設けられる。液体収容部保持部65は、金属部材の一例である導電性を有する金属製の板状部材により形成される。図4と、壁部66を取り除いた本体21を示す図8と、を比較するとわかるように、液体収容部保持部65は、Y軸方向に沿い、液体収容部40と隣り合う位置から+Y方向側となる壁部66と重なる位置まで延びる延設部分を有する。液体収容部保持部65の延設部分は、壁部66の最も+X方向側となる面より-X方向側に位置する。
【0064】
液体収容部保持部65は、延設部分のうち壁部66と接触する+Y方向側の端において、締結ねじ96によって、壁部66と接続される。これにより、液体収容部保持部65は、壁部66、記録部支持部63、および電源部95を介して接地される。
【0065】
締結ねじ96は、締結ねじ97と同様のセルフタッピングねじである。また、液体収容部保持部65に設けられる締結用の穴は、バーリング加工により形成される。壁部66に設けられる貫通穴に締結ねじ96を挿入し、液体収容部保持部65に設けられる締結用の穴に締結ねじ96をねじ込むことで、液体収容部保持部65の締結用の穴と締結ねじ96のねじ山とが電気的に接続され、壁部66の+X方向側の面と締結ねじ96の頭部とが電気的に接続される。
【0066】
これにより、例えば、表面にメッキ加工が施された亜鉛めっき鋼板により液体収容部保持部65および壁部66が形成される場合も、液体収容部保持部65と壁部66とは電気的に接続される。尚、液体収容部保持部65は、例えば、接地される金属部材と、樹脂製の部材と、により構成されてもよい。この場合、液体収容部保持部65の金属部材は、壁部66の接地される金属部材と接触することで接地される。
【0067】
図7に示すように、本体21は、本体フレーム60と、スライドレール61とを備える。本体フレーム60と、スライドレール61とは、別体に形成される。本体フレーム60は、スライドレール61に搭載される。本体フレーム60は、筐体20の底板22の上面22Aと当接しない。
【0068】
本体フレーム60は、本体21を構成する各種部材を支持する。つまり、本体フレーム60には、本体21を構成する各種部材が搭載される。具体的な一例としては、液体収容部40、廃液収容体装着部45、記録部48、給紙トレイ54、搬送部55、第2廃液受け部59、記録部支持部63、液体収容部保持部65、壁部66、およびメンテナンス部70は、本体フレーム60に搭載される。
【0069】
スライドレール61は、本体フレーム60を搭載する。スライドレール61は、樹脂製である。図6に示すように、スライドレール61は、筐体20の底板22の上面22Aに対して摺動可能である。スライドレール61は、本体フレーム60を底板22の上面22Aに接触させずに、底板22の上面22Aに対して摺動可能である。
【0070】
詳しくは、スライドレール61は、スライドレール61の底面62が筐体20の底板22の上面22Aと接触した状態で、筐体20の底板22の上面22Aに対して摺動可能である。つまり、本体21は、筐体20の底板22の上面22Aに支持された状態でY軸方向に変位可能である。
【0071】
図7に示すように、スライドレール61は、複数のスライドレール61A,61B,61Cを含む。複数のスライドレール61A,61B,61Cのそれぞれは、Y軸方向に延びる。スライドレール61Bとスライドレール61Cとは、一体に形成されているが、別体に形成されてもよい。スライドレール61Aと、スライドレール61B及びスライドレール61Cとは、別体に形成されているが、一体に形成されてもよい。
【0072】
スライドレール61A、スライドレール61B及びスライドレール61Cは、X軸方向に並ぶように配置される。複数のスライドレール61A,61B,61Cは、+X方向に向かって、スライドレール61A、スライドレール61B及びスライドレール61Cの順番で位置する。
【0073】
スライドレール61Aは、記録装置11の右側面15よりも、記録装置11の左側面14に近い位置に配置される。スライドレール61B及びスライドレール61Cは、記録装置11の左側面14よりも、記録装置11の右側面15に近い位置に配置される。
【0074】
スライドレール61Aは、スライドレール61Aの底面62Aが筐体20の底板22の上面22Aと接触した状態で、筐体20の底板22の上面22Aに対して摺動可能である。スライドレール61Bは、スライドレール61Bの底面62Bが筐体20の底板22の上面22Aと接触した状態で、筐体20の底板22の上面22Aに対して摺動可能である。スライドレール61Cは、スライドレール61Cの底面62Cが筐体20の底板22の上面22Aと接触した状態で、筐体20の底板22の上面22Aに対して摺動可能である。
【0075】
図4図8から図12に示すように、記録装置11は、メンテナンス部70を備える。尚、図12では、本体21から壁部66を取り除き、壁部66の輪郭を二点鎖線で表している。また、図12では、本体21が開位置にあるときの筐体20の位置を、一点鎖線で示す筐体フレーム26の輪郭で表している。
【0076】
メンテナンス部70は、記録部48の液体吐出ヘッド52のメンテナンスを行う。メンテナンス部70は、本体21に設けられる。メンテナンス部70は、X軸方向において、記録領域RAと壁部66との間となる位置に設けられる。メンテナンス部70は、Y軸方向において、液体収容部40と筐体20の電源部95との間となる位置に設けられる。メンテナンス部70は、キャップ71、およびポンプ部72を備える。
【0077】
図12に示すように、本体21が壁部66を備えず、本体21が開位置にあるとき、メンテナンス部70は露出し、例えば、ユーザーが+X方向からメンテナンス部70にアクセス可能となる。換言すると、壁部66は、X軸方向に沿う方向から見て、ポンプ部72を含むメンテナンス部70の少なくとも一部を隠す位置に設けられる。尚、本体21が開位置にあるとき、メンテナンス部70の上方となる+Z方向側は、待機位置にあるキャリッジ51、および記録部支持部63により覆われる。
【0078】
キャップ71は、不図示のキャップ移動機構を駆動することで、液体吐出ヘッド52のノズル面に接触してノズルが開口するキャッピング空間を形成するキャッピング位置と、キャッピング位置に対して-Z方向側となる離隔位置と、の間を移動可能に設けられる。図9図10に示すように、キャップ71は、+Z方向に開口し、キャッピング位置においてキャッピング空間を形成する凹部を有する。キャップ71の凹部には、インクを保持可能な多孔質部材が設けられる。図12に示すように、キャップ71は、X軸方向に沿う方向から見て、壁部66に隠される位置に設けられる。
【0079】
記録部48による記録が行われないとき、メンテナンス部70は、キャップ71がキャッピング位置に移動することで、キャッピングを行う。メンテナンス部70は、キャッピングを行うことにより、液体吐出ヘッド52のノズルからインクの溶媒成分が蒸発すること、ノズル面に異物が付着すること等を抑制することで、液体吐出ヘッド52のメンテナンスを行う。
【0080】
また、液体吐出ヘッド52のメンテナンスを目的として、液体吐出ヘッド52のノズルからインクを吐出するフラッシングを行うとき、メンテナンス部70は、キャッピング位置と離隔位置との間となる位置にキャップ71を移動することで、フラッシングにより廃液として排出されたインクをキャップ71に収集する。フラッシングとは、記録のためのインクの吐出とは異なるタイミングで、液体吐出ヘッド52のノズルからインクを吐出することで、吐出不良の原因となる液体吐出ヘッド52内の異物、気泡、および増粘したインクのいずれかを排出するものである。
【0081】
また、メンテナンス部70は、キャップ71がキャッピング位置にある状態で、ポンプ部72を介して、ノズルに負圧を作用させてノズルからインクを排出させる吸引クリーニングを行う。メンテナンス部70は、吸引クリーニングを行うことにより、液体吐出ヘッド52内および液体吐出ヘッド52と液体収容部40とを接続する供給流路内の異物、気泡、および増粘したインクのいずれかを排出することで、液体吐出ヘッド52および供給流路のメンテナンスを行う。
【0082】
ポンプ部72は、記録部48のメンテナンスにおいて記録部48から排出される廃液を収集する。ポンプ部72は、吸引ポンプ73と、チューブTと、を含む。図12に示すように、吸引ポンプ73は、X軸方向に沿う方向から見て、その一部が壁部66に隠される位置に設けられる。本実施形態の吸引ポンプ73は、ローラーがチューブTを圧縮した状態で軸中心に回転することで、チューブT内にインクを吸引し、チューブTからインクを排出する所謂チューブポンプである。尚、チューブTは、図10に示す第1チューブ74、および第2チューブ75を含む。また、図10に示すように、ポンプ部72は、廃液チューブ76、および管継手77を含む。
【0083】
図10に示すように、第1チューブ74は、キャップ71と管継手77とを接続する。第1チューブ74は、吸引ポンプ73が駆動されることで、キャップ71が受けたインクが吸引ポンプ73に向かって流動する第1流入部74hと、インクが吸引ポンプ73から管継手77に向かって流動する第1流出部74dと、を含む。キャップ71は第1廃液受け部の一例である。
【0084】
第2チューブ75は、第2廃液受け部59と管継手77とを接続する。第2チューブ75は、吸引ポンプ73が駆動されることで、第2廃液受け部59が受けたインクが吸引ポンプ73に向かって流動する第2流入部75hと、インクが吸引ポンプ73から管継手77に向かって流動する第2流出部75dと、を含む。
【0085】
図10では、Y軸方向における開口部67の+Y方向側の縁の位置と-Y方向側の縁の位置とをそれぞれ二点鎖線で示している。このとき、2本の二点鎖線の間では、第2チューブ75は、X軸方向において、壁部66と第1チューブ74との間に位置する。また、2本の二点鎖線の間では、第1流入部74h、第1流出部74d、第2流入部75h、および第2流出部75dは、Y軸方向に沿うように設けられる。
【0086】
また、2本の二点鎖線の間では、第1流入部74h、第1流出部74d、第2流入部75h、および第2流出部75dは、壁部66から-X方向に向かって、第2流入部75h、第2流出部75d、第1流入部74h、第1流出部74dの順に配置される。この場合、第2チューブ75の第2流入部75hは、X軸方向において、壁部66と隣り合う位置に設けられる。また、図12に示すように、壁部66は、X軸に沿う方向から見て、ポンプ部72を構成する第1チューブ74および第2チューブ75の少なくとも一部を隠す位置に設けられる。
【0087】
また、図11に示すように、壁部66の+X方向側からX軸方向に沿う方向に見たとき、第2チューブ75の第2流入部75hが開口部67から視認可能に設けられる。換言すると、X軸方向に沿う方向から見て第2チューブ75のうち開口部67の内側にある領域は、X軸方向において壁部66と隣り合う位置に設けられる。また、X軸方向に沿う方向から見て第2チューブ75の第2流入部75hのうち開口部67の内側にある領域は、実質Y軸方向に沿うように延びている。
【0088】
尚、開口部67には、例えば、記録装置11の製造工程やメンテナンス部70のメンテナンス時に、第2チューブ75を挟んで閉塞する治具、所謂チューブ鉗子が挿入される。このため、チューブ鉗子の挿入し易さ、チューブ鉗子による第2チューブ75の挟み易さ、ポンプ部72を含むメンテナンス部70へのユーザーのアクセスし難さ等を考慮して、開口部67は、長手方向がZ軸方向に沿い、短手方向がY軸方向に沿うように、壁部66に設けられる。すなわち、開口部67は、X軸方向に沿う方向から見て壁部66のうち第2チューブ75と重なる位置に、開口部67の長手方向と第2チューブ75の延びる方向とが交差する向きに設けられる。尚、本実施形態における開口部67は、例えば、長手方向の寸法Dnが25mm、短手方向の寸法Dmが10mmに設定される。
【0089】
図10図12に示すように、管継手77は、三つの管を接続可能な所謂三又継手である。第1チューブ74の第1流出部74d、第2チューブ75の第2流出部75d、および廃液チューブ76が管継手77に接続されることで、キャップ71が受けたインクおよび第2廃液受け部59が受けたインクが、廃液チューブ76を介して、廃液収容体装着部45に装着される廃液収容体46に収集可能となる。
【0090】
例えば、本体21が壁部66を備えず、本体21が開位置にあるとき、管継手77は露出し、例えば、ユーザーが+X方向から管継手77にアクセス可能となる。本実施形態では、図12に示すように、壁部66の+Z方向の端である上端66tは、管継手77より上方となる+Z方向に位置する。換言すると、壁部66は、X軸に沿う方向から見て、ポンプ部72を構成する管継手77を隠す位置に設けられる。これにより、本体21が開位置にあるとき、管継手77は露出しないので、例えば、ユーザーが+X方向から管継手77にアクセスすることを抑制できる。管継手77は接続部の一例である。
【0091】
図9図10図12に示すように、廃液チューブ76は、管継手77と、廃液収容体装着部45に設けられる導入部と、を接続する。導入部は、廃液収容体装着部45に装着される廃液収容体46にインクを導入する。これにより、キャップ71が受けたインクは、吸引ポンプ73が駆動されることで、第1チューブ74、管継手77、廃液チューブ76、および導入部を介して、廃液収容体46に廃液として収集される。また、第2廃液受け部59が受けたインクは、吸引ポンプ73が駆動されることで、第2チューブ75、管継手77、廃液チューブ76、および導入部を介して、廃液収容体46に廃液として収集される。尚、図12に示すように、廃液チューブ76は、X軸方向に沿う方向から見て、その一部が壁部66に隠される位置に設けられる。
【0092】
図7に示すように、記録装置11は、回路基板90を備える。回路基板90は、本体21に設けられる。回路基板90には、制御部91が設けられる。制御部91は、不図示のCPU(Central Processing Unit)と、不図示のメモリーとを有する。CPUは、メモリーに記憶される各種プログラムを実行することができ、例えば、各種の判断や各種の命令等を行なうことができる。メモリーには、例えば、媒体を搬送するプログラム、操作パネル33の表示部35に記録装置11の状態を表示するための表示方法に関するプログラム等の各種プログラムが記憶されている。また、メモリーには、廃液収容体46内の廃液量の算出に使用する設定値等の各種テーブル、各種カウンター値等が記憶されている。
【0093】
制御部91は、記録装置11の全体を制御する。例えば、媒体に記録を行う場合、制御部91は、記録部48、および搬送部55を制御することで、媒体支持部53に搬送される媒体に対して、液体吐出ヘッド52のノズルからインクを吐出させて記録を行う。また、例えば、制御部91は、メンテナンス部70のキャップ移動機構および吸引ポンプ73のいずれかを制御することで、記録部48の液体吐出ヘッド52のメンテナンスを行う。また、例えば、制御部91は、操作パネル33の表示部35に、記録装置11の状態に関する情報を表示させる報知を行う。
【0094】
以上述べたように、実施形態1に係る記録装置11によれば、以下の効果を得ることができる。
【0095】
記録装置11は、媒体にインクを吐出することで記録を行う記録部48と、記録部48のメンテナンスにおいて記録部48から排出される廃液を収集するポンプ部72と、壁部66と、記録部48、ポンプ部72、および壁部66が設けられる本体21と、本体21を収容する筐体20と、を備える。そして、本体21は、Z軸方向と交差するY軸方向に沿って閉位置と開位置との間で変位可能に筐体20に設けられ、閉位置は、本体21が筐体20に収容される位置であり、開位置は、本体21が筐体20から突出し、筐体20から本体21の一部が露出する位置であり、壁部66は、X軸方向に沿う方向から見て、本体21が開位置にあるときに露出するポンプ部72の少なくとも一部を隠す位置に設けられる。これによれば、ユーザーがポンプ部72に触れることを抑制できる。よって、廃液漏れ等の不具合が発生することを抑制できる。
【0096】
記録装置11は、記録部48を支持する記録部支持部63であって、接地された金属部材を含む記録部支持部63を本体21に備え、壁部66は、記録部支持部63の金属部材と接触する金属部材を含む。これによれば、本体21の移動により露出する壁部66が帯電することを抑制できる。
【0097】
本体21は、開位置において露出する位置に、インクを収容する液体収容部40を保持する液体収容部保持部65を備え、液体収容部保持部65は、壁部66の金属部材と接触する金属部材を含む。これによれば、本体21の移動により露出する液体収容部保持部65が帯電することを抑制できる。
【0098】
ポンプ部72は、廃液が流れるチューブTを有し、壁部66は、Y軸方向と交差するX軸方向に沿う方向から見てポンプ部72の少なくとも一部と重なる位置に開口する開口部67を有し、開口部67は、X軸方向に沿う方向から見てチューブTと重なる位置に配置される。これによれば、開口部67を介してチューブTへのアクセスを容易とすることで、ポンプ部72のメンテナンスを可能にしつつ、ユーザーがポンプ部72に触れることを抑制できる。
【0099】
チューブTは、記録部48のメンテナンスを行うときに廃液を受けるキャップ71と接続される第1チューブ74と、記録を行うときに廃液を受ける第2廃液受け部59と接続される第2チューブ75と、を含み、第1チューブ74と第2チューブ75とは、管継手77により接続され、壁部66は本体21から+Z方向に延びるように設けられ、壁部66の上端66tは、管継手77より+Z方向に位置する。これによれば、ユーザーが管継手77に触れることを抑制できる。よって、廃液漏れ等の不具合が発生することを抑制できる。
【0100】
チューブTは、記録部48のメンテナンスを行うときに廃液を受けるキャップ71と接続される第1チューブ74と、記録を行うときに廃液を受ける第2廃液受け部59と接続される第2チューブ75と、を含み、X軸方向に沿う方向から見て第2チューブ75のうち開口部67の内側にある領域は、X軸方向において壁部66と隣り合う位置に設けられる。これによれば、開口部67を介して第2チューブ75へのアクセスを容易とすることで、第2チューブ75を治具等で閉塞した状態でのポンプ部72からの廃液の排出等を可能としつつ、ユーザーがメンテナンス部70に触れることを抑制できる。
【0101】
チューブTは、記録部48のメンテナンスを行うときに廃液を受けるキャップ71と接続される第1チューブ74と、記録を行うときに廃液を受ける第2廃液受け部59と接続される第2チューブ75と、を含み、開口部67は、X軸方向に沿う方向から見て壁部66のうち第2チューブ75と重なる位置に、開口部67の長手方向と第2チューブ75の延びる方向とが交差する向きに設けられる。これによれば、治具等による第2チューブ75の閉塞を容易にしつつ、ユーザーがメンテナンス部70に触れることを抑制できる。
【0102】
本体21は、Y軸方向に沿った変位において、筐体20に対して摺動可能な摺動部64R,64Lを有する。これによれば、本体21のY軸方向に沿った変位を行いやすい。
【0103】
本開示の上記実施形態に係る記録装置11は、以上述べたような構成を有することを基本とするものであるが、本開示の要旨を逸脱しない範囲内での部分的構成の変更や省略等を行うことも勿論可能である。また、上記実施形態および以下に説明する他の実施形態は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。以下、他の実施形態について説明する。
【0104】
上記実施形態において、壁部66の開口部67は、第2チューブ75を閉塞状態にする治具等が挿入可能であれば、矩形の貫通穴でなくてもよい。例えば、開口部67は、円形の貫通穴、楕円形の貫通穴、三角形等の多角形の貫通穴であってもよい。
【0105】
上記実施形態において、X軸方向に沿う方向から見て第2チューブ75の第2流入部75hのうち開口部67の内側にある領域は、Y軸方向に沿うように延びていなくてもよく、例えばZ軸方向に沿うように延びていてもよいし、Y軸方向およびZ軸方向と交差する方向に斜め方向に延びていてもよい。
【0106】
上記実施形態において、メンテナンス部70は、第2チューブ75の第2流入部75hを閉塞状態と開放状態とに切り替え可能な開閉弁であって、例えば、ねじ回しで閉塞状態と開放状態との切り替えを可能な開閉弁を備えてもよい。この場合、壁部66の開口部67はねじ回しを挿入可能な大きさでよく、例えば直径5mmの円形の貫通穴であってもよい。
【0107】
上記実施形態において、壁部66は、開口部67を備えなくてもよい。この場合、例えば、本体21の本体フレーム60において、第2チューブ75の第2流入部75hの-Z方向となる位置に、第2チューブ75を閉塞状態にする治具等が挿入可能な貫通穴を設けてもよい。
【0108】
上記実施形態において、壁部66は、記録部支持部63を介して接地されなくてもよい。例えば、記録部支持部63と同様に、接地用の別部材を用いて、壁部66と電源部95とを接続することで、壁部66を接地してもよい。
【0109】
上記実施形態において、液体収容部保持部65は、壁部66を介して接地されなくてもよい。例えば、記録部支持部63と同様に、接地用の別部材を用いて、液体収容部保持部65と電源部95とを接続することで、液体収容部保持部65を接地してもよい。
【符号の説明】
【0110】
11…記録装置、12…前面、13…背面、14…左側面、15…右側面、16…底面、17…天面、20…筐体、21…本体、22…底板、22A…上面、26…筐体フレーム、31…収容量視認部、32A,32B,32C,32D,32E,32F…視認窓、33…操作パネル、34…操作部、35…表示部、36…報知ランプ、37…開閉部、37A…回転軸、37B…排紙トレイ、38…排出口、39…把持部、40…液体収容部、41…収容室、42…液体注入口、43…キャップ、44…第1カバー部、45…廃液収容体装着部、46…廃液収容体、47…収容体固定部、48…記録部、49…搬送経路、50…第2カバー部、51…キャリッジ、52…液体吐出ヘッド、53…媒体支持部、54…給紙トレイ、55…搬送部、56…搬送ローラー対、57…排出ローラー対、58…反転部、59…第2廃液受け部、60…本体フレーム、61,61A,61B,61C…スライドレール、62,62A,62B,62C…底面、63…記録部支持部、64L,64R…摺動部、65…液体収容部保持部、66…壁部、66t…上端、67…開口部、69…中継部材、70…メンテナンス部、71…キャップ、72…ポンプ部、73…吸引ポンプ、74…第1チューブ、74d…第1流出部、74h…第1流入部、75…第2チューブ、75d…第2流出部、75h…第2流入部、76…廃液チューブ、77…管継手、90…回路基板、91…制御部、95…電源部、96,97…締結ねじ、98…接地用接続線、RA…記録領域、T…チューブ。
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