(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001997
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】巻取装置及び印刷装置
(51)【国際特許分類】
B65H 18/10 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
B65H18/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100900
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】藤原 大佑
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 聡
【テーマコード(参考)】
3F055
【Fターム(参考)】
3F055AA01
3F055CA01
3F055DA01
3F055EA01
3F055EA13
(57)【要約】
【課題】押さえ部材による媒体に対する押さえ荷重の変化を抑制することが可能な巻取装置及び印刷装置を提供する。
【解決手段】巻取ユニットは、搬送される長尺の媒体Mを巻き取る巻取ローラー41と、巻取ローラー41の回転軸41Aに沿って延在し、媒体Mが巻取ローラー41に巻き取られる位置で、媒体Mを巻取ローラー41に向けて押さえ付ける円筒状の押さえ部材45と、巻取ローラー41の回転軸41Aに沿って延在し、巻取ローラー41に対する位置が固定され、巻取ローラー41に巻き取られる前の媒体Mを、巻取ローラー41に案内する円筒状の巻取ガイド部材44と、押さえ部材45の延在方向に交差する方向に延在し、押さえ部材45を支持するアーム46と、を備え、アーム46は、巻取ガイド部材44の中心軸44A回りに回動可能である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される長尺の媒体を巻き取る巻取ローラーと、
前記巻取ローラーの回転軸に沿って延在し、前記媒体が前記巻取ローラーに巻き取られる位置で、前記媒体を前記巻取ローラーに向けて押さえ付ける押さえ部材と、
前記巻取ローラーの回転軸に沿って延在し、前記巻取ローラーに対する位置が固定され、前記巻取ローラーに巻き取られる前の前記媒体を、前記巻取ローラーに案内する案内軸材と、
前記押さえ部材の延在方向に交差する方向に延在し、前記押さえ部材を支持するアームと、を備え、
前記アームは、前記案内軸材の軸と同軸の軸回りに回動可能であることを特徴とする巻取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の巻取装置であって、
前記媒体の両面のうち、前記押さえ部材が接触する面は、前記案内軸材が接触する面と同じであり、
前記押さえ部材の径は、前記案内軸材の径と同じであることを特徴とする巻取装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の巻取装置であって、
前記案内軸材は、前記案内軸材の軸回りに回転不能であり、
前記押さえ部材は、前記押さえ部材の軸回りに回転不能であり、
前記媒体と前記押さえ部材の外周面との間の摩擦係数は、前記媒体と前記案内軸材の外周面との間の摩擦係数よりも大きいことを特徴とする巻取装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の巻取装置であって、
前記押さえ部材の外周面には、前記押さえ部材の軸方向の略中央よりも一方側に、搬送方向の下流に向かうにつれて前記一方に延びる第1の凸条が形成され、前記軸方向の略中央よりも他方側に、前記下流に向かうにつれて前記他方に延びる第2の凸条が形成されていることを特徴とする巻取装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の巻取装置であって、
前記押さえ部材を回転させる回転駆動部を備え、
前記回転駆動部は、前記巻取ローラーが回転する方向と同じ方向に前記押さえ部材を回転させることを特徴とする巻取装置。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の巻取装置であって、
前記アームは、前記アームの延在方向に伸縮が可能であることを特徴とする巻取装置。
【請求項7】
長尺の媒体に印刷を行う印刷ヘッドと、
印刷後の前記媒体を巻き取る巻取ローラーと、
前記巻取ローラーの回転軸に沿って延在し、前記媒体が前記巻取ローラーに巻き取られる位置で、前記媒体を前記巻取ローラーに向けて押さえ付ける押さえ部材と、
前記巻取ローラーの回転軸に沿って延在し、前記巻取ローラーに対する位置が固定され、前記巻取ローラーに巻き取られる前の前記媒体を、前記巻取ローラーに案内する案内軸材と、
前記押さえ部材の延在方向に交差する方向に延在し、前記押さえ部材を支持するアームと、を備え、
前記アームは、前記案内軸材の軸と同軸の軸回りに回動可能であることを特徴とする印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻取装置及び印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送される長尺の媒体を巻取ローラーに巻き取る巻取装置が知られている。このような巻取装置では、巻取ローラーに媒体を巻き取る際に、媒体の層間に空気が入り込み、層間の摩擦力が低下することによって巻きずれが発生する恐れがある。特許文献1に記載の巻取装置は、巻き取られる媒体を巻取ローラーに押さえ付ける押さえ部を備えることにより、空気の入り込み、即ち巻きずれの発生を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、押さえ部が媒体を押さえ付ける押さえ荷重が強すぎると、媒体にしわが発生する恐れがあるため、押さえ荷重は、略一定に保たれることが望ましい。しかしながら、押さえ荷重は、媒体に作用するテンションの影響を受けるため、押さえ荷重を一定に保つことが困難であった。具体的には、媒体の巻き取りが進行してロール径が変化すると、巻取ローラーに向かう媒体の搬送方向が変化するため、媒体に作用するテンションのうち、押さえ荷重が働く方向の成分も変化する。つまり、従来の構成では、巻き取りの進行状況に応じて、押さえ荷重が変化してしまうという問題を有している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
巻取装置は、搬送される長尺の媒体を巻き取る巻取ローラーと、前記巻取ローラーの回転軸に沿って延在し、前記媒体が前記巻取ローラーに巻き取られる位置で、前記媒体を前記巻取ローラーに向けて押さえ付ける押さえ部材と、前記巻取ローラーの回転軸に沿って延在し、前記巻取ローラーに対する位置が固定され、前記巻取ローラーに巻き取られる前の前記媒体を、前記巻取ローラーに案内する案内軸材と、前記押さえ部材の延在方向に交差する方向に延在し、前記押さえ部材を支持するアームと、を備え、前記アームは、前記案内軸材の軸と同軸の軸回りに回動可能であることを特徴とする。
【0006】
印刷装置は、長尺の媒体に印刷を行う印刷ヘッドと、印刷後の前記媒体を巻き取る巻取ローラーと、前記巻取ローラーの回転軸に沿って延在し、前記媒体が前記巻取ローラーに巻き取られる位置で、前記媒体を前記巻取ローラーに向けて押さえ付ける押さえ部材と、前記巻取ローラーの回転軸に沿って延在し、前記巻取ローラーに対する位置が固定され、前記巻取ローラーに巻き取られる前の前記媒体を、前記巻取ローラーに案内する案内軸材と、前記押さえ部材の延在方向に交差する方向に延在し、前記押さえ部材を支持するアームと、を備え、前記アームは、前記案内軸材の軸と同軸の軸回りに回動可能であることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態のプリンターの構成を示す断面模式図。
【
図2】第1実施形態の巻取ユニットの一部を示す拡大側面図。
【
図3】第1実施形態の巻取ユニットの一部を示す拡大側面図。
【
図4】第2実施形態の巻取ユニットの一部を示す拡大側面図。
【
図5】第2実施形態の巻取ユニットの一部を示す拡大側面図。
【
図7】変形例2に係る巻取ユニットの一部を示す拡大側面図。
【
図8】変形例2に係る巻取ユニットの一部を示す拡大側面図。
【
図9】変形例3に係る巻取ユニットの一部を示す拡大側面図。
【
図10】変形例4に係る巻取ユニットの一部を示す拡大側面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1.第1実施形態
以下、第1実施形態のプリンター10について説明する。
図1は、第1実施形態のプリンター10の構成を示す断面模式図である。
図1に示すように、プリンター10は、液体であるインクを媒体Mに吐出して印刷を行うインクジェットプリンターである。プリンター10は、印刷ユニット20と、長尺の媒体Mを印刷ユニット20に送出する供給ユニット30と、印刷後の媒体Mを巻き取る巻取ユニット40とを備えている。プリンター10は、印刷装置に相当し、巻取ユニット40は、巻取装置に相当する。
【0009】
図1を含む各図には、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸が示されている。X軸は、プリンター10の設置面に対して平行であり、プリンター10の幅方向に対応する。Y軸は、プリンター10の設置面に対して平行であり、プリンター10の奥行き方向に対応する。Z軸は、プリンター10の設置面に対して垂直であり、プリンター10の高さ方向に対応する。
【0010】
以降、X軸に平行な+X方向は、供給ユニット30から巻取ユニット40へ向かう方向である。
図1の場合、+X方向は、図の左に向かう方向である。X軸に平行な-X方向は、+X方向の反対の方向である。Y軸に平行な+Y方向は、印刷ユニット20に対して巻取ユニット40を左に配置したときの、プリンター10の奥から手前に向かう方向である。
図1の場合、+Y方向は、図の手前に向かう方向である。Y軸に平行な-Y方向は、+Y方向の反対の方向である。Z軸に平行な+Z方向は、プリンター10の設置面から上方に向かう方向である。
図1の場合、+Z方向は、図の上に向かう方向である。Z軸に平行な-Z方向は、+Z方向の反対の方向である。
【0011】
印刷ユニット20は、供給ガイドフレーム21、搬送ローラー対24、プラテン25、印刷ヘッド26、キャリッジ27、排出ガイドフレーム29、及び制御ユニット50を備えている。
【0012】
供給ガイドフレーム21は、供給ユニット30から送出された媒体Mを搬送ローラー対24に案内する。供給ガイドフレーム21は、+X成分と+Z成分とを有する斜め方向に媒体Mに案内する。供給ガイドフレーム21は、1つの部材で構成されてもよいし、複数の部材で構成されてもよい。
【0013】
搬送ローラー対24は、第1搬送ローラー22及び第2搬送ローラー23を有し、媒体Mを搬送する。第1搬送ローラー22は、媒体Mに対して+Z側に配置され、第2搬送ローラー23は、媒体Mに対して-Z側に配置される。第1搬送ローラー22または第2搬送ローラー23は、図示しない駆動装置からの駆動力により回転駆動される。第1搬送ローラー22及び第2搬送ローラー23は、互いに押圧されることにより媒体Mを挟持し、一方のローラーの回転駆動により媒体Mを印刷ヘッド26が位置する+X方向に搬送する。
【0014】
プラテン25は、印刷ヘッド26に対して-Z方向の位置に設けられる。プラテン25は、搬送ローラー対24によって搬送された媒体Mを支持する平板状の部材である。なお、プラテン25に対して-Z方向の位置に吸引ファンが設けられてもよい。この場合、プラテン25には、気流を流通させる貫通孔が設けられ、吸引ファンの気流により、媒体Mはプラテン25に引き付けられる。
【0015】
印刷ヘッド26は、プラテン25に支持された媒体Mに画像の形成、即ち印刷を行う。本実施形態では、印刷ヘッド26は、インクジェットヘッドであり、媒体Mにインクを吐出することによって画像を形成する。
【0016】
キャリッジ27は、印刷ヘッド26を支持する。キャリッジ27は、Y軸に沿って往復移動が可能である。キャリッジ27がY軸に沿って媒体M上を移動しているときに、印刷ヘッド26が媒体Mにインクを吐出することにより、Y軸に沿って画像が形成される。そして、この動作と、媒体Mを所定量だけ+X方向に搬送する動作とを交互に繰り返すことにより、媒体Mの広い範囲に画像が形成される。
【0017】
排出ガイドフレーム29は、印刷ヘッド26により印刷された媒体Mを巻取ユニット40に案内する。排出ガイドフレーム29は、媒体Mを+X成分と-Z成分とを有する斜め方向に案内する。排出ガイドフレーム29は、1つの部材で構成されてもよいし、複数の部材で構成されてもよい。
【0018】
なお、媒体Mを挟んで排出ガイドフレーム29と対向する位置に、乾燥ユニットが設けられてもよい。乾燥ユニットは、例えば、加熱源としてヒーターを備える。乾燥ユニットは、排出ガイドフレーム29上の媒体Mを加熱し、吐出されたインクの媒体Mへの定着を促す。
【0019】
制御ユニット50は、媒体Mの搬送制御、媒体Mへの印刷制御等の各種制御を行う。制御ユニット50は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及びストレージ等を含む。制御ユニット50は、図示しない外部のコンピューター等から印刷データを取得し、取得した印刷データに基づいて各種制御を行う。制御ユニット50は、1または複数のユニットで構成されてもよい。
【0020】
供給ユニット30は、供給ローラー31、供給駆動部32、供給ガイド部材33、及び供給バー部材34を備えている。供給ユニット30には、長尺の媒体Mをロール状に巻きかけた媒体ロール60が装着される。
【0021】
供給ローラー31は、Y軸に沿って延在し、媒体ロール60を支持する。供給ローラー31は、供給ユニット30の+Y方向の端部、及び-Y方向の端部に配置された図示しないフレーム等によって回転可能に支持される。媒体ロール60は、供給ローラー31が回転することによって回転する。媒体ロール60が、
図1の側面視で反時計回りに回転することにより、媒体Mは、外部に繰り出される。
【0022】
供給駆動部32は、制御ユニット50の制御に基づいて供給ローラー31を回転させる。供給駆動部32は、図示しないモーター等の駆動源、駆動源からの駆動力を伝達する伝達機構、及び制御ユニット50からの信号に基づいて駆動源を動作させる制御回路等を備える。
【0023】
供給ガイド部材33及び供給バー部材34は、供給ローラー31と同様、Y軸に沿って延在する。つまり、供給ガイド部材33及び供給バー部材34は、供給ローラー31の回転軸に沿って延在する。具体的には、供給ガイド部材33及び供給バー部材34は、供給ローラー31の回転軸と平行である。
【0024】
供給ガイド部材33には、媒体ロール60から繰り出された媒体Mが巻き掛けられる。供給ガイド部材33は、巻き掛けられた媒体Mを略-Z方向に案内する。供給ガイド部材33は、例えば、円筒状の部材である。供給ガイド部材33は、図示しないフレーム等に回転可能に支持されてもよいし、回転不能に支持されてもよい。
【0025】
供給バー部材34には、供給ガイド部材33に案内されて搬送される媒体Mが巻き掛けられ、媒体Mにテンションを付与する。供給バー部材34は、媒体Mが搬送される搬送経路内の供給ローラー31と搬送ローラー対24との間に配置される。供給バー部材34は、巻き掛けられた媒体Mが供給ガイドフレーム21を介して搬送ローラー対24に搬送されるよう、媒体Mを略+Z方向に案内する。供給バー部材34は、直接、または図示しないカバー部材を介して媒体Mと接触する。つまり、供給バー部材34は、直接的又は間接的に媒体Mに接触する。供給バー部材34は、自重により、または図示しないテンション付与機構の作用により、媒体Mにテンションを付与する。供給バー部材34は、媒体Mにテンションを付与することが可能であれば形状を問わないが、その形状は、円筒状であることが望ましい。
【0026】
巻取ユニット40は、巻取ローラー41、巻取駆動部42、巻取バー部材43、巻取ガイド部材44、押さえ部材45、及びアーム46を備えている。巻取ユニット40は、印刷ユニット20から搬送される媒体M、即ち印刷ユニット20で印刷された媒体Mを巻き取る。
【0027】
図2及び
図3は、第1実施形態の巻取ユニット40の一部を示す拡大側面図であり、
図3は、
図2に示す状態よりも、巻き取りが進行した状態を示している。これ以降、
図1~
図3を参照しつつ、巻取ユニット40について説明する。
【0028】
巻取ローラー41は、Y軸に沿って延在する円筒状のローラーであり、搬送される印刷後の媒体Mを、巻取ローラー41に装着されたロール芯71に巻き取る。巻取ローラー41は、媒体Mの搬送方向において搬送ローラー対24の下流に設けられる。巻取ローラー41は、Y軸に沿った回転軸41A回りに回転可能であり、
図1~
図3の側面視で時計回りに回転することにより、印刷ユニット20で印刷された媒体Mをロール芯71に巻き取る。ロール芯71に巻き取られた媒体Mは、ロール状の印刷媒体ロール70となり、巻き取りが進行するにつれて、印刷媒体ロール70のロール径、即ち直径が増加する。
図1に破線で示した印刷媒体ロール70は、媒体Mの全体が巻き取られた場合の状態を示している。巻取ローラー41は、巻取ユニット40の+Y方向の端部、及び-Y方向の端部に配置された図示しないフレーム等によって回転可能に支持される。なお、媒体Mがロール芯71に巻き取られる構成に限定されず、媒体Mが巻取ローラー41に直接巻き取られる構成であってもよい。
【0029】
巻取駆動部42は、制御ユニット50の制御に基づいて、巻取ローラー41を回転させる。巻取駆動部42は、図示しないモーター等の駆動源、駆動源からの駆動力を伝達する伝達機構、及び制御ユニット50からの信号に基づいて駆動源を動作させる制御回路を備える。巻取駆動部42は、巻取ローラー41を回転させることによって、巻取ローラー41に媒体Mを巻き取らせる。
【0030】
巻取バー部材43、巻取ガイド部材44、及び押さえ部材45は、巻取ローラー41と同様、Y軸に沿って延在する。つまり、巻取バー部材43、巻取ガイド部材44、及び押さえ部材45は、巻取ローラー41の回転軸41Aに沿って延在する。具体的には、巻取バー部材43、巻取ガイド部材44、及び押さえ部材45は、巻取ローラー41の回転軸41Aと平行である。なお、巻取バー部材43、巻取ガイド部材44、及び押さえ部材45は、例えば、アルミニウム、SUS等の金属材料を用いて形成される押出成形部材、またはパイプ加工部材によって構成され得るが、媒体Mと隙間なく接触できるように、弾性部材によって構成されてもよい。
【0031】
巻取バー部材43には、印刷ヘッド26で印刷された媒体Mが巻き掛けられる。巻取バー部材43は、媒体Mが搬送される搬送経路内の搬送ローラー対24と巻取ローラー41との間に配置され、媒体Mを略+Z方向に案内する。巻取バー部材43は、直接、または図示しないカバー部材を介して印刷面と接触する。つまり、巻取バー部材43は、印刷面に直接的又は間接的に接触する。巻取バー部材43は、自重により、または図示しないテンション付与機構の作用により、媒体Mにテンションを付与する。巻取バー部材43は、媒体Mにテンションを付与することが可能であれば形状を問わないが、その形状は、円筒状であることが望ましい。
【0032】
巻取ガイド部材44には、巻取バー部材43を通過して、巻取ローラー41に巻き取られる前の媒体Mが巻き掛けられる。巻取ガイド部材44は、巻取ローラー41に対して位置が固定されており、巻き掛けられた媒体Mを、押さえ部材45を介して巻取ローラー41に案内する。巻取ガイド部材44は、直接、もしくは図示しないカバー部材を介して、媒体Mの裏面、即ち印刷面の反対側の面と接触する。つまり、巻取ガイド部材44は、直接的または間接的に媒体Mの裏面に接触する。巻取ガイド部材44は、例えば、円筒状の部材である。巻取ガイド部材44は、図示しないフレーム等に回転可能に支持されてもよいし、回転不能に支持されてもよい。巻取ガイド部材44は、案内軸材に相当する。
【0033】
押さえ部材45には、巻取ガイド部材44を通過した媒体Mが巻き掛けられる。押さえ部材45は、印刷媒体ロール70の+Z側に配置され、直接、もしくは図示しないカバー部材を介して、媒体Mの裏面と接触する。つまり、押さえ部材45は、直接的または間接的に媒体Mの裏面に接触する。押さえ部材45は、例えば、円筒状の部材である。
【0034】
押さえ部材45に巻き掛けられた媒体Mは、押さえ部材45と印刷媒体ロール70と間を通過して印刷媒体ロール70に巻き取られる。このとき、媒体Mは、印刷面が内向きになるように巻き取られる。押さえ部材45は、押さえ部材45と印刷媒体ロール70と間を通過する媒体Mを、印刷媒体ロール70に押さえ付ける。つまり、押さえ部材45は、媒体Mが巻取ローラー41に巻き取られる位置で、媒体Mを巻取ローラー41に向けて押さえ付ける。言い換えれば、媒体Mは、押さえ部材45によって押さえ付けられつつ印刷媒体ロール70に巻き取られる。このため、巻き取り時に媒体Mの層間に空気が入り込むことが抑制される。なお、押さえ部材45は、自重のみによって媒体Mを押さえ付けてもよいし、図示しない付勢機構によって与えられる一定の大きさの付勢力を利用して押さえ付けてもよい。
【0035】
押さえ部材45は、アーム46によって、中心軸45A回りに回転可能または回転不能に支持されている。アーム46は、押さえ部材45の±Y方向の両側、即ち押さえ部材45の+Y側及び-Y側に配置されており、押さえ部材45の延在方向に交差する方向、具体的には、押さえ部材45の延在方向と垂直な方向に延在する。アーム46の一端は、押さえ部材45の中心軸45Aに接続され、アーム46の他端は、巻取ガイド部材44の中心軸44Aに接続されている。そして、アーム46は、巻取ガイド部材44の中心軸44A回りに回動可能になっている。言い換えれば、アーム46は、中心軸44Aを回転軸として回動可能になっている。このため、アーム46と、その一端に接続された押さえ部材45とは、媒体Mの巻き取りが進行して印刷媒体ロール70のロール径が大きくなるにつれて、
図1~
図3の側面視で時計回りに回動する。
【0036】
ここで、押さえ部材45が媒体Mを押さえ付ける力を押さえ荷重Pとし、押さえ方向、即ち押さえ荷重Pが働く方向を、
図1~
図3の側面視におけるアーム46の延在方向と垂直な方向、即ち巻取ガイド部材44の中心軸44Aと押さえ部材45の中心軸45Aとを通る仮想直線と垂直な方向とする。また、巻取ガイド部材44から押さえ部材45に向かう媒体Mに作用するテンションをTとし、アーム46の延在方向と、巻取ガイド部材44から押さえ部材45に向かう媒体Mの搬送方向とのなす角度をθとすると、媒体Mに作用するテンションのうち、押さえ方向の成分は、Tsinθとなる。
【0037】
そして、上述したように、本実施形態では、押さえ部材45を支持するアーム46が、巻取ガイド部材44の中心軸44A回りに回動可能であるため、巻き取りが進行して、印刷媒体ロール70のロール径が変化しても、アーム46の延在方向と、巻取ガイド部材44から押さえ部材45に向かう媒体Mの搬送方向とのなす角度θが略一定となる。このため、媒体Mに作用するテンションのうち、押さえ方向の成分、即ち押さえ荷重Pに影響を及ぼす成分は、印刷媒体ロール70のロール径に関わらず、略一定となる。この結果、押さえ荷重Pが略一定となり、ロール径の変化に起因する押さえ荷重Pの変化が抑制される。
【0038】
2.第2実施形態
次に、第2実施形態のプリンター10について説明する。
第2実施形態のプリンター10は、巻取ユニット40の構成の一部が第1実施形態と異なるが、それ以外の構成については、第1実施形態と共通であるため、その説明を省略する。
図4及び
図5は、第2実施形態の巻取ユニット40の一部を示す拡大側面図であり、
図5は、
図4に示す状態よりも、巻き取りが進行した状態を示している。
【0039】
図4及び
図5に示すように、本実施形態では、巻取ガイド部材44を通過した媒体Mは、押さえ部材45に巻き掛けられることなく、巻取ローラー41に巻き取られる。このため、本実施形態において、媒体Mは、巻取ローラー41が
図4及び
図5の側面視で反時計回りに回転することにより、印刷面が外向きになるようにロール芯71に巻き取られる。押さえ部材45は、印刷媒体ロール70の+Z側に配置され、直接、もしくは図示しないカバー部材を介して、媒体Mの印刷面と接触する。押さえ部材45は、例えば、円筒状の部材である。
【0040】
押さえ部材45は、押さえ部材45と印刷媒体ロール70と間を通過する媒体Mを、印刷媒体ロール70に押さえ付ける。つまり、押さえ部材45は、媒体Mが巻取ローラー41に巻き取られる位置で、媒体Mを巻取ローラー41に向けて押さえ付ける。言い換えれば、媒体Mは、押さえ部材45によって押さえ付けられつつ印刷媒体ロール70に巻き取られる。このため、巻き取り時に媒体Mの層間に空気が入り込むことが抑制される。なお、押さえ部材45は、自重のみによって媒体Mを押さえ付けてもよいし、図示しない付勢機構によって与えられる一定の大きさの付勢力を利用して押さえ付けてもよい。
【0041】
第1実施形態と同様、押さえ部材45は、アーム46によって、中心軸45A回りに回転可能または回転不能に支持されており、アーム46の一端は、押さえ部材45の中心軸45Aに接続され、アーム46の他端は、巻取ガイド部材44の中心軸44Aに接続されている。そして、アーム46は、巻取ガイド部材44の中心軸44A回りに回動可能になっている。このため、アーム46と、その一端に接続された押さえ部材45とは、媒体Mの巻き取りが進行して印刷媒体ロール70のロール径が大きくなるにつれて、
図4及び
図5の側面視で時計回りに回動する。
【0042】
本実施形態においても、押さえ部材45を支持するアーム46が、巻取ガイド部材44の中心軸44A回りに回動可能であるため、巻き取りが進行して、印刷媒体ロール70のロール径が変化しても、アーム46の延在方向と、巻取ガイド部材44から巻取ローラー41に向かう媒体Mの搬送方向とのなす角度θが略一定となる。このため、媒体Mに作用するテンションのうち、押さえ方向の成分であるTsinθは、略一定となる。この結果、印刷媒体ロール70のロール径に関わらず、押さえ荷重Pが略一定となり、ロール径の変化に起因する押さえ荷重Pの変化を抑制することが可能となる。
【0043】
3.変形例1
変形例1に係る巻取ユニット40は、第2実施形態と同様の構成であるが、押さえ部材45の形態が第2実施形態と異なっている。
図6は、変形例1に係る押さえ部材45を示す平面図であり、押さえ部材45を+Z方向に透視した図である。
図6には、押さえ部材45によって押さえ付けられている媒体Mの搬送方向が矢印によって示されている。変形例1において、押さえ部材45は、その中心軸45A回りに回転不能であり、媒体Mは、回転しない押さえ部材45の外周面を滑るように搬送される。
【0044】
図6に示すように、押さえ部材45は、円筒状であり、その外周面には、線状に突出する凸条47が螺旋状に形成されている。具体的には、押さえ部材45の外周面には、押さえ部材45の軸方向である±Y方向の略中央よりも+Y側に第1の凸条47Aが形成され、略中央よりも-Y側に第2の凸条47Bが形成されている。押さえ部材45の外周面のうち、媒体Mと接する側の面において、第1の凸条47Aは、媒体Mの搬送方向の下流に向かうにつれて+Y方向に延び、第2の凸条47Bは、媒体Mの搬送方向の下流に向かうにつれて-Y方向に延びる。なお、+Y側は、軸方向の一方側に相当し、-Y側は、軸方向の他方側に相当する。
【0045】
このような押さえ部材45を備える巻取ユニット40によれば、媒体Mが押さえ部材45に押さえ付けられつつ下流に搬送される過程で、媒体Mには、凸条47との摩擦により、凸条47が伸びる方向にテンションが発生する。そして、+Y側に形成された第1の凸条47Aは、下流に向かうにつれて+Y方向に延び、-Y側に形成された第2の凸条47Bは、下流に向かうにつれて-Y方向に延びるため、媒体Mには、押さえ部材45に押さえられながら搬送されることにより、±Y方向の略中央から両側に向かうテンションが発生する。このため、媒体Mにしわが生じることを抑制できるとともに、しわが生じた場合に、そのしわを矯正することが可能となる。
【0046】
なお、上記では、押さえ部材45が中心軸45A回りに回転不能な構成について説明したが、媒体Mの搬送に従動して回転する構成であってもよい。また、変形例1に係る押さえ部材45を第1実施形態の巻取ユニット40に適用することも可能である。第1実施形態では、第2実施形態よりも、媒体Mと押さえ部材45とが接する面積が大きいため、より大きな効果を得ることが可能となる。
【0047】
4.変形例2
変形例2に係る巻取ユニット40は、第1実施形態と同様の構成であるが、巻取ガイド部材44の径と、押さえ部材45の径との比率に限定が加えられている。
図7及び
図8は、変形例2に係る巻取ユニット40の一部を示す拡大側面図であり、
図8は、
図7に示す状態よりも、巻き取りが進行した状態を示している。
【0048】
図7及び
図8に示すように、第1実施形態と同様、媒体Mの両面のうち、押さえ部材45が接する面は、巻取ガイド部材44が接する面と同じであり、具体的には、押さえ部材45及び巻取ガイド部材44は、媒体Mの裏面に直接的または間接的に接触する。また、変形例2において、押さえ部材45の径は、巻取ガイド部材44の径と同じである。
【0049】
このため、
図7及び
図8の側面視におけるアーム46の延在方向、即ち巻取ガイド部材44の中心軸44Aから押さえ部材45の中心軸45Aに向かう方向と、巻取ガイド部材44から押さえ部材45に向かう媒体Mの搬送方向とは、略平行となる。つまり、アーム46の延在方向と、媒体Mの搬送方向とのなす角度θは、0となる。この結果、媒体Mに作用するテンションの押さえ方向の成分、即ちアーム46の延在方向と垂直な方向の成分が略0となるため、押さえ部材45による媒体Mに対する押さえ荷重Pの変化をさらに抑制することが可能となる。
【0050】
5.変形例3
図9は、変形例3に係る巻取ユニット40の一部を示す拡大側面図である。
図9に示すように、アーム46には、延在方向の略中央に、バネ、またはダンパー等によって構成される伸縮機構48が設けられている。このため、アーム46は、延在方向に伸縮が可能である。このような構成では、媒体Mに作用するテンションが突発的に変動しても、アーム46の伸縮により、媒体Mに対するダメージを抑制することが可能となる。なお、変形例3に係るアーム46は、第1実施形態及び第2実施形態のいずれにも適用可能である。
【0051】
6.変形例4
変形例4に係る巻取ユニット40は、第2実施形態と同様の構成であるが、押さえ部材45が回転駆動される点で第2実施形態と異なっている。
図10は、変形例4に係る巻取ユニット40の一部を示す拡大側面図である。
図10に示すように、巻取ユニット40は、押さえ部材45を回転させる回転駆動部49を備えている。回転駆動部49は、制御ユニット50の制御に基づいて、押さえ部材45が中心軸45A回りに回転するように回転駆動する。回転駆動部49は、図示しないモーター等の駆動源、駆動源からの駆動力を伝達する伝達機構、及び制御ユニット50からの信号に基づいて駆動源を動作させる制御回路等を備える。回転駆動部49は、押さえ部材45を、巻取ローラー41の回転方向と同じ方向、即ち
図10の側面視における反時計回りに回転させる。このため、押さえ部材45が媒体Mの搬送に従動して時計回りに回転する場合や、押さえ部材45が回転不能の場合に比べて、媒体Mには、巻取ローラー41に巻き取られる位置で、搬送方向の反対方向に大きな摩擦力が働く。この結果、巻き取られる媒体Mに作用するテンションが増大するため、媒体Mの層間への空気の入り込みを抑制することが可能となる。
【0052】
7.変形例5
変形例5に係る巻取ユニット40は、第2実施形態(
図4及び
図5参照)と同様の構成であるが、巻取ガイド部材44及び押さえ部材45の構成に限定が加えられている。具体的には、変形例5において、巻取ガイド部材44は、その中心軸44A回りに回転不能であり、押さえ部材45は、その中心軸45A回りに回転不能である。つまり、媒体Mは、巻取ガイド部材44及び押さえ部材45の外周面を滑るように搬送される。
【0053】
また、変形例5では、媒体Mと押さえ部材45の外周面との間の摩擦係数を、媒体Mと巻取ガイド部材44の外周面との間の摩擦係数よりも大きくしている。このため、前者の摩擦係数と後者の摩擦係数とが同じ場合、または前者の摩擦係数が後者の摩擦係数よりも小さい場合に比べて、巻取ローラー41に巻き取られる位置において媒体Mに作用するテンションを増大させることが可能となる。これにより、媒体Mの層間への空気の入り込みが抑制される。通常、テンションを大きくするためには、テンションを付与する機構を追加したり、巻取ガイド部材44のような、媒体Mが巻き掛けられる軸材の数を増やしたりする必要があるが、この構成によれば、機構の追加や軸材の数の増加を抑制でき、巻取ユニット40の構成を簡素化することが可能となる。さらに、軸材の数が増加しないことにより、軸材の平行度の調整等が容易になる。
【0054】
上記の各実施形態は、以下のように変更してもよい。
【0055】
上記実施形態では、巻取ガイド部材44及び押さえ部材45が円筒状の場合を例示したが、ロール径の変化に起因する押さえ荷重Pの変化をユーザーが所望する範囲内に抑えることができれば、その断面形状は円形でなくともよい。ただし、断面形状が円形でない場合は、その軸は、断面の重心と一致することが好ましい。また、巻取ガイド部材44及び押さえ部材45が、それぞれの中心軸44A,45A回りに回転不能である場合には、媒体Mに接する部位を円筒状とすることが好ましい。この場合、全周に亘って円筒状でなくてもよい。このような形状により、媒体Mに接する部位が円筒状でない場合に比べ、巻取ガイド部材44及び押さえ部材45が媒体Mに接したときのダメージを抑制することができる。また、巻取ガイド部材44の全周を円筒状とすることがさらに好ましい。このような形状により、巻取ガイド部材44の中心軸44Aを簡単に設定することができ、装置構成を簡易なものとすることができる。この場合、巻取ガイド部材44の中心軸44Aが案内軸材の軸に相当し、巻取ガイド部材44の直径が案内軸材の径に相当する。また、媒体Mに接する部位が円筒状であり、媒体Mに接しない部位が円筒状でない場合には、円筒状の部位の中心軸が案内軸材の軸に相当し、円筒状の部位の直径が案内軸材の径に相当する。押さえ部材45の軸及び径についても同様である。
【0056】
上記実施形態では、巻取ローラー41が円筒状の場合を例示したが、ロール芯71を支持して回転させることが可能であれば、円筒状でなくてもよい。
【0057】
上記実施形態では、アーム46は、直線状に図示されているが、アーム46の形状は直線状に限定されない。ただし、アーム46は、巻取ガイド部材44の中心軸44Aと、押さえ部材45の中心軸45Aとを接続する部材であるため、アーム46の形状に関わらず、巻取ガイド部材44の中心軸44Aと、押さえ部材45の中心軸45Aとを結ぶ仮想直線に沿った方向がアーム46の延在方向に相当する。
【0058】
上記実施形態では、アーム46は、巻取ガイド部材44の中心軸44Aに接続され、この中心軸44A回りに回動可能になっているが、アーム46は、巻取ガイド部材44の中心軸44Aと同軸の軸回りに回動可能、即ち中心軸44Aと同軸の軸を回転軸として回動可能であればよく、巻取ガイド部材44の中心軸44Aに直接接続されていなくてもよい。
【0059】
上記実施形態では、巻取バー部材43は、巻き掛けられた媒体Mにテンションを付与させているが、この構成に限定されない。例えば、線接触または点接触する部材で媒体Mを押圧して媒体Mにテンションを付与する構成であってもよい。
【0060】
上記実施形態において、プリンター10は、媒体Mに印刷を行う装置であって、シリアルプリンター、ラテラル式プリンター、ラインプリンター、ページプリンター等であってもよい。また、印刷方式は、インクジェット式に限定されず、サーマル式、ドットインパクト式、レーザー式等であってもよい。
【0061】
上記実施形態では、印刷ユニット20の下流側に配置された巻取ユニット40が、印刷ユニット20によって印刷がなされた媒体Mを巻き取る構成を示したが、巻取ユニット40の用途はこれに限定されない。例えば、供給ユニット30に装着される媒体ロール60、即ち印刷前の媒体Mが巻き取られている媒体ロール60を形成する用途に用いられてもよい。
【0062】
以下に、実施形態から導き出される内容を記載する。
【0063】
巻取装置は、搬送される長尺の媒体を巻き取る巻取ローラーと、前記巻取ローラーの回転軸に沿って延在し、前記媒体が前記巻取ローラーに巻き取られる位置で、前記媒体を前記巻取ローラーに向けて押さえ付ける押さえ部材と、前記巻取ローラーの回転軸に沿って延在し、前記巻取ローラーに対する位置が固定され、前記巻取ローラーに巻き取られる前の前記媒体を、前記巻取ローラーに案内する案内軸材と、前記押さえ部材の延在方向に交差する方向に延在し、前記押さえ部材を支持するアームと、を備え、前記アームは、前記案内軸材の軸と同軸の軸回りに回動可能であることを特徴とする。
【0064】
この構成によれば、媒体を巻取ローラーに押さえ付ける押さえ部材を支持するアームが、媒体を巻取ローラーに案内する案内軸材の軸と同軸の軸回りに回動可能であるため、巻き取りが進行し、巻き取った媒体のロール径が変化しても、アームの延在方向と、案内軸材から巻取ローラーに向かう媒体の搬送方向とのなす角度が略一定となる。このため、媒体に作用するテンションのうち、押さえ方向の成分、即ちアームの延在方向と垂直な方向の成分は、巻き取った媒体のロール径に関わらず、略一定となる。この結果、押さえ部材による媒体に対する押さえ荷重が略一定となり、ロール径の変化に起因する押さえ荷重の変化が抑制される。
【0065】
上記の巻取装置において、前記媒体の両面のうち、前記押さえ部材が接触する面は、前記案内軸材が接触する面と同じであり、前記押さえ部材の径は、前記案内軸材の径と同じであることが望ましい。
【0066】
この構成によれば、押さえ部材が接触する媒体の面が、案内軸材が接触する面と同じである。つまり、案内軸材から案内された媒体は、押さえ部材に巻き掛けられつつ押さえ部材によって巻取ローラーに押さえ付けられる。さらに、押さえ部材の径が案内軸材の径と同じであるため、アームの延在方向と、案内軸材から押さえ部材に向かう媒体の搬送方向とが略平行となる。このため、媒体に作用するテンションの押さえ方向の成分、即ちアームの延在方向と垂直な方向の成分が略0となるため、押さえ部材による媒体に対する押さえ荷重の変化をさらに抑制することが可能となる。
【0067】
上記の巻取装置において、前記案内軸材は、前記案内軸材の軸回りに回転不能であり、前記押さえ部材は、前記押さえ部材の軸回りに回転不能であり、前記媒体と前記押さえ部材の外周面との間の摩擦係数は、前記媒体と前記案内軸材の外周面との間の摩擦係数よりも大きいことが望ましい。
【0068】
この構成によれば、案内軸材及び押さえ部材が回転不能であり、さらに、媒体と押さえ部材の外周面との間の摩擦係数が、媒体と案内軸材の外周面との間の摩擦係数よりも大きいため、両者が同じ場合、または前者の摩擦係数が後者の摩擦係数よりも小さい場合に比べて、巻取ローラーに巻き取られる位置における媒体のテンションを増大させることが可能となる。これにより、媒体の層間への空気の入り込みが抑制される。通常、テンションを大きくするためには、テンションを付与する機構を追加したり、案内軸材のような、媒体が巻き掛けられる軸材の数を増やしたりする必要があるが、この構成によれば、機構の追加や軸材の数の増加を抑制でき、巻取装置の構成を簡素化することが可能となる。さらに、軸材の数が増加しないことにより、軸材の平行度の調整等が容易になる。
【0069】
上記の巻取装置において、前記押さえ部材の外周面には、前記押さえ部材の軸方向の略中央よりも一方側に、搬送方向の下流に向かうにつれて前記一方に延びる第1の凸条が形成され、前記軸方向の略中央よりも他方側に、前記下流に向かうにつれて前記他方に延びる第2の凸条が形成されていることが望ましい。
【0070】
この構成によれば、押さえ部材の外周面には、軸方向の略中央よりも一方側に第1の凸条が形成され、軸方向の略中央よりも他方側に第2の凸条が形成されているため、媒体が押さえ部材に沿って下流に搬送される過程で、媒体には、凸条との摩擦により、凸条が延びる方向にテンションが発生する。そして、第1の凸条は、下流に向かうにつれて軸方向の一方に延び、第2の凸条は、下流に向かうにつれて軸方向の他方に延びるため、媒体には、押さえ部材に押さえられながら搬送されることにより、軸方向の略中央から両側に向かうテンションが発生する。このため、媒体にしわが生じることを抑制できるとともに、しわが生じた場合に、そのしわを矯正することが可能となる。
【0071】
上記の巻取装置において、前記押さえ部材を回転させる回転駆動部を備え、前記回転駆動部は、前記巻取ローラーが回転する方向と同じ方向に前記押さえ部材を回転させることが望ましい。
【0072】
この構成によれば、巻取ローラーの回転方向と、押さえ部材の回転方向とが同じであるため、押さえ部材が媒体の搬送に従動して巻取ローラーと反対方向に回転する場合や、押さえ部材が回転不能の場合に比べて、媒体には、巻取ローラーに巻き取られる位置で、搬送方向の反対方向に大きな摩擦力が働く。この結果、巻き取られる媒体に作用するテンションが増大するため、媒体の層間への空気の入り込みを抑制することが可能となる。
【0073】
上記の巻取装置において、前記アームは、前記アームの延在方向に伸縮が可能であることが望ましい。
【0074】
この構成によれば、アームが延在方向に伸縮可能であるため、媒体に作用するテンションが突発的に変動しても、アームの伸縮により、媒体に対するダメージを抑制することが可能となる。
【0075】
印刷装置は、長尺の媒体に印刷を行う印刷ヘッドと、印刷後の前記媒体を巻き取る巻取ローラーと、前記巻取ローラーの回転軸に沿って延在し、前記媒体が前記巻取ローラーに巻き取られる位置で、前記媒体を前記巻取ローラーに向けて押さえ付ける押さえ部材と、前記巻取ローラーの回転軸に沿って延在し、前記巻取ローラーに対する位置が固定され、前記巻取ローラーに巻き取られる前の前記媒体を、前記巻取ローラーに案内する案内軸材と、前記押さえ部材の延在方向に交差する方向に延在し、前記押さえ部材を支持するアームと、を備え、前記アームは、前記案内軸材の軸と同軸の軸回りに回動可能であることを特徴とする。
【0076】
この構成によれば、媒体を巻取ローラーに押さえ付ける押さえ部材を支持するアームが、媒体を巻取ローラーに案内する案内軸材の軸と同軸の軸回りに回動可能であるため、巻き取りが進行し、巻き取った媒体のロール径が変化しても、アームの延在方向と、案内軸材から巻取ローラーに向かう媒体の搬送方向とのなす角度が略一定となる。このため、媒体に作用するテンションのうち、押さえ方向の成分、即ちアームの延在方向と垂直な方向の成分は、巻き取った媒体のロール径に関わらず、略一定となる。この結果、押さえ部材による媒体に対する押さえ荷重が略一定となり、ロール径の変化に起因する押さえ荷重の変化が抑制される。
【符号の説明】
【0077】
10…プリンター、20…印刷ユニット、21…供給ガイドフレーム、22…第1搬送ローラー、23…第2搬送ローラー、24…搬送ローラー対、25…プラテン、26…印刷ヘッド、27…キャリッジ、29…排出ガイドフレーム、30…供給ユニット、31…供給ローラー、32…供給駆動部、33…供給ガイド部材、34…供給バー部材、40…巻取ユニット、41…巻取ローラー、41A…回転軸、42…巻取駆動部、43…巻取バー部材、44…巻取ガイド部材、44A…中心軸、45…押さえ部材、45A…中心軸、46…アーム、47…凸条、47A…第1の凸条、47B…第2の凸条、48…伸縮機構、49…回転駆動部、50…制御ユニット、60…媒体ロール、70…印刷媒体ロール、71…ロール芯、M…媒体、P…押さえ荷重。