(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019973
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】連結装置及び連結車両
(51)【国際特許分類】
B60D 1/32 20060101AFI20240206BHJP
B60D 1/34 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
B60D1/32
B60D1/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122785
(22)【出願日】2022-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【弁理士】
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【識別番号】100103229
【弁理士】
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】田中 佑弥
(72)【発明者】
【氏名】肥田 善弘
(72)【発明者】
【氏名】土屋 純司
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 貴章
(72)【発明者】
【氏名】高木 哲史
(57)【要約】
【課題】牽引動作をより安定させることを目的とする。
【解決手段】牽引車20と被牽引車30とを連結する連結装置40であって、牽引方向Aと交差する方向に延びるように牽引車に支持された第1リンク42と、牽引方向Aと交差する方向に延びるように被牽引車に支持された第2リンク44と、第1リンクに連結された第1防振固定端と第2リンクに連結された第2防振固定端とを含む防振装置50とを備え、第1リンクと第2リンクとが互いに姿勢変更可能に直接又は間接的に連結され、第1リンクと第2リンクとの少なくとも一方が牽引方向に対する延在方向を変更可能に支持されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
牽引車と前記牽引車によって牽引される被牽引車とを連結する連結装置であって、
牽引方向と交差する方向に延びるように前記牽引車に支持された第1リンクと、
前記牽引方向と交差する方向に延びるように前記被牽引車に支持された第2リンクと、
前記第1リンクに連結された第1防振固定端と前記第2リンクに連結された第2防振固定端とを含む防振装置と、
を備え、
前記第1リンクと前記第2リンクとが互いに姿勢変更可能に直接又は間接的に連結されている、連結装置。
【請求項2】
請求項1に記載の連結装置であって、
前記第1リンクに連結された第1減衰固定端と前記第2リンクに連結された第2減衰固定端とを含む減衰装置をさらに備える連結装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の連結装置であって、
前記第1リンクに連結された第1検出固定端と前記第2リンクに連結された第2検出固定端とを含む変位量検出センサをさらに備える連結装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の連結装置であって、
前記第1リンク及び前記第2リンクの少なくとも一方が、リンク本体と、前記リンク本体にその延在方向に沿って位置調整可能に支持された防振用位置可変支持部とを含み、前記防振用位置可変支持部が前記第1防振固定端又は前記第2防振固定端を揺動可能に支持している、連結装置。
【請求項5】
請求項2に記載の連結装置であって、
前記第1リンク及び前記第2リンクの少なくとも一方が、リンク本体と、前記リンク本体にその延在方向に沿って位置調整可能に支持された減衰用位置可変支持部とを含み、前記減衰装置が前記第1減衰固定端又は前記第2減衰固定端を揺動可能に支持している、連結装置。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載の連結装置であって、
第3リンクをさらに備え、
前記第1リンクと前記第2リンクとが、前記第3リンクの延在方向に沿って異なる位置で前記第3リンクに連結されている、連結装置。
【請求項7】
請求項6に記載の連結装置であって、
前記第1リンクと前記第2リンクとが、前記第3リンクに揺動可能に連結されている、連結装置。
【請求項8】
請求項7に記載の連結装置であって、
前記第1リンクと前記第2リンクとの一方が、前記牽引車又は前記被牽引車に対して一定姿勢で固定されている、連結装置。
【請求項9】
請求項1又は請求項2に記載の連結装置であって、
前記第1リンクと前記第2リンクとがV字状に連結されている、連結装置。
【請求項10】
請求項1又は請求項2に記載の連結装置と、
前記第1リンクが連結された牽引車と、
前記第2リンクが連結された被牽引車と、
を備える連結車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、連結装置及び連結車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、電動アシストリアカー付の移動体を開示している。電動アシストリアカーは、荷台の前方に設けられた牽引部を備えており、当該牽引部が移動体の後方に連結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、牽引車と被牽引車との組合せが変ることが考えられる。また、牽引速度が変ったり、被牽引車の重量が変ったりすることも考えられる。これらの場合において、牽引動作をより安定させることが望まれている。
【0005】
そこで、本開示は、牽引動作をより安定させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の連結装置は、牽引車と前記牽引車によって牽引される被牽引車とを連結する連結装置であって、牽引方向と交差する方向に延びるように前記牽引車に支持された第1リンクと、前記牽引方向と交差する方向に延びるように前記被牽引車に支持された第2リンクと、前記第1リンクに連結された第1防振固定端と前記第2リンクに連結された第2防振固定端とを含む防振装置と、を備え、前記第1リンクと前記第2リンクとが互いに姿勢変更可能に直接又は間接的に連結されている、連結装置である。
【0007】
また、本開示の連結車両は、上記連結装置と、前記第1リンクが連結された牽引車と、前記第2リンクが連結された被牽引車と、を備える連結車両である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、牽引動作をより安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は実施形態1に係る連結車両を示す概略図である。
【
図3】
図3は防振装置及び減衰装置の位置調整を示す概略図である。
【
図4】
図4は実施形態2に係る連結装置を示す概略図である。
【
図5】
図5は防振装置と第1リンクとの連結箇所を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0011】
本開示の連結装置は、次の通りである。
【0012】
(1)牽引車と前記牽引車によって牽引される被牽引車とを連結する連結装置であって、牽引方向と交差する方向に延びるように前記牽引車に支持された第1リンクと、前記牽引方向と交差する方向に延びるように前記被牽引車に支持された第2リンクと、前記第1リンクに連結された第1防振固定端と前記第2リンクに連結された第2防振固定端とを含む防振装置と、を備え、前記第1リンクと前記第2リンクとが互いに姿勢変更可能に直接又は間接的に連結されている、連結装置である。
【0013】
本開示によると、第1リンクと第2リンクとが互いに姿勢変更可能に直接又は間接的に連結され、第1リンクと第2リンクとの少なくとも一方が牽引方向に対する延在方向を変更可能に支持されている。このため、第1リンク及び第2リンクの少なくとも一方に対する防振装置の連結位置を調整することによって、防振装置による振動抑制性能を調整することができる。よって、例えば、牽引車と被牽引車との組合せ、牽引速度、被牽引車の重量(車両重量又は積載重量)等に応じて、第1リンク及び第2リンクの少なくとも一方に対する防振装置の連結位置を調整することによって、牽引動作をより安定させることができる。
【0014】
(2)(1)の連結装置であって、前記第1リンクに連結された第1減衰固定端と前記第2リンクに連結された第2減衰固定端とを含む減衰装置をさらに備えてもよい。
【0015】
この場合、第1リンク及び第2リンクの少なくとも一方に対する減衰装置の連結位置を調整することによって、減衰装置による減衰性能を調整することができる。よって、例えば、牽引車と被牽引車との組合せ、牽引速度、被牽引車の重量(車両重量又は積載重量)等に応じて、第1リンク及び第2リンクの少なくとも一方に対する減衰装置の連結位置を調整することによって、牽引動作をより安定させることができる。
【0016】
(3)(1)又は(2)の連結装置であって、前記第1リンクに連結された第1検出固定端と前記第2リンクに連結された第2検出固定端とを含む変位量検出センサをさらに備えてもよい。
【0017】
この場合、変位量検出センサが検出可能な変位量の範囲に合わせて、第1リンク及び第2リンクの少なくとも一方に対する防振装置50の連結位置を調整することができる。
【0018】
(4)(1)から(3)のいずれか1つの連結装置であって、前記第1リンク及び前記第2リンクの少なくとも一方が、リンク本体と、前記リンク本体にその延在方向に沿って位置調整可能に支持された防振用位置可変支持部とを含み、前記防振用位置可変支持部が前記第1防振固定端又は前記第2防振固定端を揺動可能に支持していてもよい。
【0019】
この場合、リンク本体に対する防振用位置可変支持部の位置を調整することで、第1リンク及び第2リンクの少なくとも一方に対する防振装置の連結位置を容易に調整できる。
【0020】
(5)(2)の連結装置であって、前記第1リンク及び前記第2リンクの少なくとも一方が、リンク本体と、前記リンク本体にその延在方向に沿って位置調整可能に支持された減衰用位置可変支持部とを含み、前記減衰装置が前記第1減衰固定端又は前記第2減衰固定端を揺動可能に支持していてもよい。
【0021】
この場合、リンク本体に対する減衰装置の位置を調整することで、第1リンク及び第2リンクの少なくとも一方に対する減衰装置の連結位置を容易に調整できる。
【0022】
(6)(1)から(5)のいずれか1つの連結装置であって、第3リンクをさらに備え、前記第1リンクと前記第2リンクとが、前記第3リンクの延在方向に沿って異なる位置で前記第3リンクに連結されていてもよい。
【0023】
これにより、第1リンクと第2リンクとの間に防振装置を配置可能なスペースを設けつつ、連結装置の小型化が可能となる。
【0024】
(7)(6)の連結装置であって、前記第1リンクと前記第2リンクとが、前記第3リンクに揺動可能に連結されていてもよい。これにより、第1リンク及び第2リンクの相対姿勢を大きく姿勢変更させ易い。
【0025】
(8)(7)の連結装置であって、前記第1リンクと前記第2リンクとの一方が、前記牽引車又は前記被牽引車に対して一定姿勢で固定されていてもよい。
【0026】
これにより、第1リンク、第2リンク及び第3リンク全体としての動作を安定させ易い。
【0027】
(9)(1)から(5)のいずれか1つの連結装置であって、前記第1リンクと前記第2リンクとがV字状に連結されていてもよい。
【0028】
この場合、第1リンク及び第2リンクに対する防振装置の位置調整変位を広く設定し易い。これにより、多様な牽引状況において、牽引動作を安定させ易い。
【0029】
また、本開示の連結車両は次の通りである。
【0030】
(10)上記(1)から(9)のいずれか1つの連結装置と、前記第1リンクが連結された牽引車と、前記第2リンクが連結された被牽引車と、を備える連結車両である。
【0031】
これにより、牽引動作が安定した連結車両を提供できる。
【0032】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の連結装置及び連結車両の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0033】
[実施形態1]
以下、実施形態1に係る連結装置及び連結車両について説明する。
【0034】
<全体構成>
図1は連結車両10を示す概略図である。連結車両10は、牽引車20と、被牽引車30と、牽引車20と被牽引車30とを連結する連結装置40とを備える。
【0035】
牽引車20は、被牽引車30を牽引する車両である。本実施形態では、牽引車20が自転車である例が説明される。自転車は、電気モータによって走行力がアシストされる電動アシスト自転車であってもよい。牽引車20は、内燃機関又は電気モータ等の原動機の力によって走行する自動車であってもよい。自動車は、自動2輪車であってもよいし、3輪自動車や4輪自動車であってもよい。
【0036】
被牽引車30は、荷台部32と、車輪34とを備える。被牽引車30は、牽引車20の後方に設けられる。
【0037】
荷台部32に牽引対象が支持される。牽引対象は、物であってもよいし、人であってもよい。荷台部32は、牽引対象を囲む箱状に形成されていてもよいし、周囲(特に上方)が開放された構成であってもよい。
【0038】
荷台部32は、車輪34によって走行路上を走行可能に支持されている。被牽引車30は、少なくとも1つの車輪34を備えていればよい。被牽引車30が左右に車輪34を備えていれば、被牽引車30がロール軸周りに安定する。被牽引車30が前後に分散して複数の車輪34を備えていれば、被牽引車30がピッチ軸周りに安定する。
【0039】
本実施形態では、被牽引車30は、箱状の荷台部32を備えており、当該荷台部32が前後左右に分散する4つの車輪34で支持される例が想定されている。
【0040】
被牽引車30は、車輪34の走行力をアシストする原動機36を備えていてもよい。原動機36は、例えば、車輪34に組込まれるIWM(インホイールモーター)であってもよい。
【0041】
被牽引車30は、当該原動機36を制御する制御部38備えていてもよい。制御部38は、例えば、後述する変位量検出センサ70の出力に基づいて、原動機36を制御してもよい。
【0042】
連結装置40は、牽引車20と被牽引車30とを回転自由度を持たせた状態で連結する。例えば、連結装置40と牽引車20との一方に支持された球体28が他方に姿勢変更可能に支持されている。かかる構成は、いわゆるボールジョイントと呼ばれる構成であってもよい。
【0043】
牽引車20と被牽引車30とは、少なくとも重力方向に沿った垂直軸周りに回転自由度を持たせた状態で連結されている。これにより、連結車両10が円滑に左右に曲ることができる。
【0044】
牽引車20と被牽引車30とは、重力方向に対して直交する水平軸周りに回転自由度を持たせた状態で連結されていてもよい。これにより、傾斜が変化する走行路上を、連結車両10が円滑に走行することができる。
【0045】
また、連結装置40は、牽引方向Aに沿って伸縮可能に構成されている。牽引方向Aとは、牽引車20が被牽引車30を牽引する方向であり、つまり、牽引車20と被牽引車30とを結ぶ方向である。
【0046】
連結装置40の伸縮量を検出することによって、牽引車20が被牽引車30を牽引する牽引力を検出することができる。また、牽引車20と被牽引車30との間で連結装置40が伸縮することによって、牽引車20と被牽引車30との動きに違いが生じる際(例えば、走行開始時、停止時)に、互いに大きな影響を及し合うことが抑制される。
【0047】
上記制御部38は、連結装置40の伸縮量に応じて原動機36を制御してもよい。例えば、連結装置40の伸縮量に基づいて牽引車20による牽引力が求められ、当該牽引力に対して所定の比率のアシスト力となるように原動機36を制御してもよい。
【0048】
<連結装置>
連結装置40についてより具体的に説明する。
図2は連結装置40を示す概略図である。
【0049】
図1及び
図2に示すように、連結装置40は、第1リンク42と、第2リンク44とを備える。
【0050】
第1リンク42は、細長い棒状の部材である。第2リンク44は、細長い棒状の部材である。第1リンク42と第2リンク44とが互いに姿勢変更可能に直接又は間接的に連結されている。本実施形態では、第1リンク42の一端と第2リンク44の一端とは、軸部P1を介して直接姿勢変更可能に連結されている。本実施形態では、軸部P1の中心軸は、水平方向に沿っており、従って、第1リンク42と第2リンク44とは、水平方向に沿った軸周りに姿勢変更可能に連結される。
【0051】
第1リンク42の他端は、牽引車20に連結されている。例えば、第1リンク42の他端に、牽引車20側の球体28を姿勢変更可能に支持する球体支持部42aが設けられている。当該球体支持部42aが球体28を支持することによって、第1リンク42の他端が、牽引車20に連結される(
図1参照)。
【0052】
球体支持部42aが球体28を姿勢変更可能に支持する構成部分は、水平方向に沿った軸周りにおいて、第1リンク42の他端を牽引車20に対して姿勢変更可能に支持する構成部分であると把握できる。
図2では説明を簡易にするため、第1リンク42上に、当該第1リンク42の他端と牽引車20とを回動可能に連結する軸部P2が図示されている。
【0053】
第2リンク44の他端は、被牽引車30に連結されている。例えば、被牽引車30から牽引車20に向けて連結用支持部31が延出している。第2リンク44の他端が、軸部P3を介して連結用支持部31に姿勢変更可能に連結されている。軸部P3の中心軸は、水平方向に沿った軸であり、第2リンク44は、被牽引車30に対して水平方向に沿った軸周りに姿勢変更可能に連結される。
【0054】
上記第1リンク42と第2リンク44とは、牽引方向Aと交差する方向に延びている。本実施形態では、第1リンク42は、牽引車20に対する連結箇所から斜め上後方に向って延びており、第2リンク44は被牽引車30に対する連結箇所から斜め上前方に向って延びている。そして、第1リンク42と第2リンク44とが上下逆にV字をなすように軸部P1によって姿勢変更可能に連結されている。
【0055】
なお、上記第1リンク42と第2リンク44とは、牽引車20又は被牽引車30に対する連結箇所から斜め下方に向って延びて、V字をなすように連結されていてもよい。
【0056】
第1リンク42と第2リンク44との少なくとも一方が牽引方向Aに対する延在方向を変更可能に支持されている。本実施形態では、第1リンク42と第2リンク44とは互いに姿勢変更可能であり、第1リンク42が牽引車20に対して姿勢変更可能であり、第2リンク44が被牽引車30に対して姿勢変更可能である。このため、第1リンク42と第2リンク44との両方が牽引方向Aに対する延在方向を変更可能である。
【0057】
連結装置40は、防振装置50を備える。防振装置50は、牽引車20と被牽引車30との間での相対的な振動の伝達を抑制する装置であり、例えば、ねじりコイルバネである。防振装置50は、長尺状に形成されており、第1防振固定端51と、第2防振固定端52とを含む。防振装置50は、第1防振固定端51と第2防振固定端52との距離を変えるように、弾性的に伸縮することができる。防振装置は、V字型のばねであってもよい。
【0058】
第1防振固定端51は、第1リンク42に姿勢変更可能に連結されている。第2防振固定端52は、第2リンク44に姿勢変更可能に連結されている。このため、第1リンク42と第2リンク44とがなす角度に応じて、防振装置50が伸縮することができる。初期状態において、第1リンク42と第1防振固定端51との連結箇所と、第2リンク44と第2防振固定端52との連結箇所との距離は、防振装置50の自然長と同じ距離に設定される。このように、第1リンク42と第2リンク44とが開いた状態が、連結装置40の初期状態である。
【0059】
例えば、牽引車20が被牽引車30を急に引張った場合、又は、被牽引車30に急な停止力が加わった場合、防振装置50の弾性力に抗して第1リンク42と第2リンク44とが開き、連結装置40が弾性的に伸びる。また、例えば、牽引車20が急停車した場合、防振装置50の弾性力に抗して第1リンク42と第2リンク44とが閉じ、連結装置40が弾性的に縮む。このため、被牽引車30及び牽引車の一方に急な力が加わった場合に、他方に急な力が加わることが抑制される。
【0060】
牽引車20が被牽引車30を牽引すると、牽引力に応じて第1リンク42と第2リンク44とが初期状態よりも開く。また、牽引車20が被牽引車30を牽引している途中で速度を下げると、マイナス方向の牽引力に応じて第1リンク42と第2リンク44とが初期状態よりも閉じる。このため、牽引車20が被牽引車30を牽引する牽引力に応じて、第1リンク42と第2リンク44との開き度合が変る。よって、第1リンク42と第2リンク44との開き度合を検出することによって、牽引力が検出される。
【0061】
また、本実施形態では、連結装置40は、減衰装置60を備える。減衰装置60は、振動を減衰させる装置であり、例えば、流体抵抗を利用して振動を減衰させるダンパであってもよい。
【0062】
減衰装置60は、長尺状に形成されており、第1減衰固定端61と、第2減衰固定端62とを含む。第1減衰固定端61は、第1リンク42に対して姿勢変更可能に連結されている。第2減衰固定端62は、第2リンク44に対して姿勢変更可能に連結されている。
【0063】
減衰装置60は、第1リンク42と第2リンク44とが開く際及び閉じる際に、抵抗を付与する。これにより、第1リンク42と第2リンク44との周期的な開閉動作に抵抗が付与され、第1リンク42と第2リンク44との周期的な開閉振動が減衰される。
【0064】
また、本実施形態では、連結装置40は、変位量検出センサ70を備える(
図1参照)。変位量検出センサ70は、第1リンク42と第2リンク44との相対的な変位量を検出するセンサである。変位量検出センサ70は、例えば、変位量に応じた抵抗値変化を利用して変位量を検出するリニアポテンショメータである。変位量検出センサ70は、長尺状に形成されており、第1検出固定端71と、第2検出固定端72とを含む。第1検出固定端71は、第1リンク42に姿勢制御に連結されており、第2検出固定端72は、第2リンク44に姿勢変更可能に連結されている。第1リンク42と第2リンク44との開閉度合に応じて、変位量検出センサ70における可動子の位置が変る。これにより、変位量検出センサ70から、第1リンク42と第2リンク44との開閉度合に比例する変位量に応じた検出信号が出力される。
【0065】
<牽引条件の変更に対する対応について>
連結装置40において、防振装置50及び減衰装置60としては、所定の牽引条件に見合ったばね定数を有するものが選定されることが想定される。牽引条件は、例えば、牽引車20による牽引速度、被牽引車30の重量(車両重量又は積載重量)等である。
【0066】
また、変位量検出センサ70としては、選定された防振装置50の条件下で、第1リンク42と第2リンク44との開度に見合った変位量の範囲を検出できるものが選定されることが想定される。
【0067】
ここで、牽引条件が変更されると考えられる。例えば、牽引速度が変ったり、被牽引車30の重量が変更されたりすることが考えられる。かかる条件の変更は、運用ルールの変更、牽引車20及び被牽引車30の変更、積載量の変動等によってもたらされ得る。
【0068】
防振装置50及び減衰装置60が、牽引条件に見合った性質を有していなければ、振動が大きくなりすぎたり、共振を生じさせたり、防振装置50及び減衰装置60の一方の動作がダイレクトに他方に伝わり易くなったりする。このため、牽引車20が被牽引車30を安定して牽引できなくなる可能性がある。
【0069】
本実施形態では、第2リンク44及び第2リンク44の少なくとも一方に対する、防振装置50及び減衰装置60の少なくとも1つの取付位置を調整することによって、上記のような変更に容易に対応することができる。
【0070】
この点についてより具体的に説明する。
【0071】
すなわち、初期状態において、第1リンク42と牽引車20との連結位置(軸部P2参照)と第2リンク44と被牽引車30との連結位置(軸部P3参照)とが上下方向に同じ位置に存在するとする。第1リンク42と第2リンク44とが軸部P1によって上下逆のV字をなすように連結されているとする。軸部P1と軸部P2との距離、軸部P1と軸部P2との距離は同じであるとする。
【0072】
上下方向に沿う方向において、軸部P2、P3と軸部P1との距離をL1、軸部P1と減衰装置60との距離をL2、軸部P1と防振装置50との距離をL3とする。
【0073】
初期状態を基準として、牽引車20が被牽引車30に対して相対的にX1移動すると考える。
【0074】
この場合、幾何学的相似関係から、減衰装置60の伸縮量(第1減衰固定端61と第2減衰固定端62との相対的な移動量)X2について、X2=(L2/L1)×X1、となる。
【0075】
また、同様に幾何学的相似関係から、防振装置50の伸縮量(第1防振固定端51と第2防振固定端52との相対的な移動量)X3について、X3=(L3/L1)×X1、となる。
【0076】
また、被牽引車30の質量m、防振装置50のばね定数k、減衰装置60の減衰係数cとして、牽引車20が被牽引車30を力Fで引張ったとの運動方程式は下記数1のようになる。
【0077】
【0078】
上記X2=(L2/L1)×X1、X3=(L3/L1)×X1を数1に代入すると、下記数2のようになる。
【0079】
【0080】
被牽引車30に対する牽引車20の相対的な移動量X1に関して、連結装置40の見かけのばね定数k´、見かけの減衰係数c´とすると、牽引車20が被牽引車30を力Fで引張ったとの運動方程式は下記数3のように表現できる。
【0081】
【0082】
数2と数3との比較から、c´=(L2/L1)×c、k´=(L3/L1)×kと表すことができる。
【0083】
よって、同じ性能の防振装置50及び減衰装置60を用いたとしても、上記L2、L3を調整すること、即ち、防振装置50及び減衰装置60の取付位置を調整することで、連結装置40の見かけのばね定数k´、見かけの減衰係数c´を調整できることができる。
【0084】
例えば、
図3に示すように、当初想定条件における、防振装置50及び減衰装置60の初期位置が実線で示される位置とする。例えば、当初想定条件に対して、牽引速度が速くなった場合、又は、被牽引車30の重量mが大きくなった場合には、防振装置50及び減衰装置60の位置を、軸部P1から遠いに設定してもよい(2点鎖線で示す位置参照)。また、例えば、当初想定条件に対して、牽引速度が遅くなった場合、又は、被牽引車30の重量mが小さくなった場合には、防振装置50及び減衰装置60の位置を、軸部P1に近いに設定してもよい(点線で示す位置参照)。
【0085】
第1リンク42及び第2リンク44に対する防振装置50及び減衰装置60の取付位置の調整は、設計段階、製造段階においてなされてもよい。この場合、同種の第1リンク42、第2リンク44、防振装置50及び減衰装置60を、異なる牽引条件の連結装置40に適用し易い。
【0086】
第1リンク42及び第2リンク44に対する防振装置50及び減衰装置60の取付位置の調整は、製造後になされてもよい。例えば、第2実施形態において説明するように、第1リンク42及び第2リンク44に対する防振装置50及び減衰装置60の取付構造がスライド可能な調整機構であってもよい。また、第1リンク42及び第2リンク44に対する防振装置50及び減衰装置60の取付箇所が複数設定されており、防振装置50及び減衰装置60が当該複数の取付箇所から選択されて第1リンク42及び第2リンク44に着脱可能に取付けられてもよい。
【0087】
この場合、製造後においても、牽引条件の変更に容易に対応できる。
【0088】
なお、防振装置50及び減衰装置60の一方の取付位置のみが調整されてもよい。第1リンク42と第2リンク44とに対して一方の取付位置のみが調整されてもよい。
【0089】
また、第1リンク42と第2リンク44とが同じ開閉範囲で開閉するように、上記防振装置50等の取付位置を調整することが好ましい。これにより、同じ種類かつ同じ位置に取付けられた変位量検出センサ70によって、第1リンク42と第2リンク44の変位量を検出し易い。
【0090】
もっとも、第1リンク42と第2リンク44とに対する変位量検出センサ70の取付位置が変更されてもよい。
【0091】
<効果等>
このように構成された連結装置40及び連結車両10によると、第1リンク42と第2リンク44とが互いに姿勢変更可能に直接又は間接的に連結され、第1リンク42と第2リンク44との少なくとも一方が牽引方向Aに対する延在方向を変更可能に支持されている。このため、第1リンク42及び第2リンク44の少なくとも一方に対する防振装置50の連結位置を調整することによって、牽引車20と被牽引車30との間で伝わる振動を抑制する振動抑制性能を調整することができる。よって、例えば、牽引車20と被牽引車30との組合せ、牽引速度、被牽引車30の搭載重量等に応じて、第1リンク42及び第2リンク44の少なくとも一方に対する防振装置50の連結位置を調整することによって、牽引動作をより安定させることができる。
【0092】
また、本実施形態に係る連結装置40によると、第1リンク42と第2リンク44とは、牽引車20又は被牽引車30に対して姿勢変更可能に連結されていることから、自由度2のリンク機構を構成している。つまり、連結装置40は、被牽引車30の取付対象箇所(連結用支持部31)への取付箇所と牽引車20の取付対象箇所(球体28)への取付箇所との間で、接近離隔方向及び上下方向に自由度を有する。接近方向の自由度によって、牽引力に応じて連結装置40を伸縮させることができる。上下方向の自由度によって、牽引車20への取付箇所と被牽引車30への取付箇所との上下位置の相違に対応できる。例えば、被牽引車30を牽引する牽引車20を変更した結果、牽引車20における取付対象箇所(球体28)の上下位置が変った場合にも容易に対応できる。つまり、被牽引車30を、取付箇所(球体28)の高さが異なる牽引車20に連結することができる。
【0093】
また、第1リンク42と第2リンク44とに減衰装置60が連結されているため、第1リンク42及び第2リンク44の少なくとも一方に対する減衰装置60の連結位置を調整することによって、減衰装置60による減衰性能を調整することができる。よって、例えば、牽引車20と被牽引車30との組合せ、牽引速度、被牽引車30の搭載重量等に応じて、第1リンク42及び第2リンク44の少なくとも一方に対する減衰装置の連結位置を調整することによって、牽引動作をより安定させることができる。
【0094】
また、第1リンク42と第2リンク44との相対変位量が、変位量検出センサ70による検出可能範囲に応じたものとなるように、防振装置50の取付位置を調整して、第1リンク42と第2リンク44との開閉度合を調整することができる。これにより、様々な牽引条件に対して、同じ種類の変位量検出センサ70を利用し易い。
【0095】
また、第1リンク42と第2リンク44との相対変位量が、所定の変位範囲となるように、防振装置50の取付位置を調整すれば、変位量検出センサ70の検出結果に基づいて、被牽引車30の動作を制御する場合において、牽引条件が変っても、制御方法の調整を不要又は少なくすることができる。
【0096】
また、第1リンク42と第2リンク44とがV字状に連結されているため、第1リンク42と第2リンク44と対する防振装置50の位置調整変位を広く設定し易い。これにより、多様な牽引状況において、牽引動作を安定させ易い。
【0097】
本連結装置40が牽引車20と被牽引車30との間に適用されることによって、牽引動作が安定した連結車両10を提供できる。
【0098】
[実施形態2]
実施形態2に係る連結装置について説明する。
図4は実施形態2に係る連結装置140を示す概略図である。なお、本実施形態2の説明において、実施形態1で説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0099】
実施形態2に係る連結装置140が、上記連結装置40と異なるのは次の点である。
【0100】
まず、連結装置140は、第1リンク42に対応する第1リンク142と、第2リンク44に対応する第2リンク144と、第3リンク146を備える。
【0101】
第3リンク146は長尺状に形成されている。第1リンク142と第2リンク144とが、第3リンク146の延在方向に沿って異なる位置で当該第3リンク146に連結されている。ここでは、第1リンク142の一端が第3リンク146の一端に軸部P4を介して姿勢変更可能に連結されている。第2リンク144の一端が第3リンク146の他端に軸部P5を介して姿勢変更可能に連結されている。つまり、第1リンク142と第2リンク144とが、第3リンク146を介して間接的に連結され、全体として台形状をなしている。ここでは、第3リンク146は、牽引方向Aに沿っているがこれは必須ではない。
【0102】
また、本実施形態において、第2リンク144は、被牽引車30に対して一定姿勢で固定されている。より具体的には、第2リンク144の他端部が連結用支持部31に対してねじ止又は溶接で固定されており、第2リンク144が連結用支持部31に対して一定姿勢、ここでは、連結用支持部31から斜め前上方に向う一定姿勢で支持されている。
【0103】
本実施形態とは異なり、第1リンクが牽引車20に対して一定姿勢で固定され、第2リンクが被牽引車30に対して姿勢変更可能であってもよい。
【0104】
本実施形態2によっても、上記実施形態1と同様の作用効果を得ることができる。即ち、第1リンク142の延長線と第2リンク144の延長線との交点に上記軸部P1が位置すると考えると、第1リンク142と第2リンク144との少なくとも一方に対する防振装置50の連結位置を調整することによって、振動抑制性能を調整することができる。よって、例えば、牽引車20と被牽引車30との組合せ、牽引速度、被牽引車30の重量(車両重量又は積載重量)等に応じて、第1リンク142及び第2リンク144の少なくとも一方に対する防振装置50の連結位置を調整することによって、牽引動作をより安定させることができる。
【0105】
また、第1リンク142及び第2リンク144の少なくとも一方に対する減衰装置60の連結位置を調整することによって、減衰装置60による減衰性能を調整することができる。よって、例えば、牽引車20と被牽引車30との組合せ、牽引速度、被牽引車30の重量(車両重量又は積載重量)等に応じて、第1リンク142及び第2リンク144の少なくとも一方に対する減衰装置の連結位置を調整することによって、牽引動作をより安定させることができる。
【0106】
また、本実施形態2によると、第1リンク142と第2リンク144とが、第3リンク146を介して全体として台形状をなすように連結されているため、実施形態1と比較して連結装置140全体の高さを小さくできる。これにより、第1リンク142と第2リンク144との間に防振装置50を配置可能なスペースを設けつつ、連結装置140の小型化が可能となる。
【0107】
また、第3リンク146に対して第1リンク142と第2リンク144とが姿勢変更可能であるため、第1リンク142及び第2リンク144を大きく姿勢変更させ易い。つまり、本連結装置140は、自由度2のリンク機構を構成している。このため、上記実施形態1と同様に、上下方向の自由度によって、牽引車20の取付対象箇所(球体28)と被牽引車30の取付対象箇所(連結用支持部31)との上下位置の相違に対応できる。
【0108】
また、第2リンク144は、被牽引車30に対して一定姿勢で固定されているため、第1リンク142、第2リンク144及び第3リンク146全体としての動作を安定させ易い。
【0109】
実施形態2において、防振装置50は、第1リンク142及び第2リンク144の少なくとも一方に対して位置調整可能に支持されている。
図4において、防振装置50の第1防振固定端51は、防振用位置可変支持部153によって第1リンク142に位置調整可能に支持されている。防振装置50の第2防振固定端52は、防振用位置可変支持部153によって第2リンク144に位置調整可能に支持されている。防振装置50を位置調整可能に支持する構成例について説明する。
【0110】
図5は防振装置50の第1防振固定端51と第1リンク142との連結箇所を示す拡大図である。
図6は
図5のVI-VI線断面図である。
【0111】
第1リンク142は、リンク本体142aと、防振用位置可変支持部153とを含む。
【0112】
リンク本体142aは、アルミニウム合金等で形成された棒状部材である。リンク本体142aにその長手方向に沿って延びるガイド溝142agが形成されている。ガイド溝142agは、リンク本体142aのうち車幅方向外向き側面において、スリット状に開口している。スリット状の開口の幅は、その奥側部分の幅よりも狭くなっている。
【0113】
防振用位置可変支持部153は、台座部153aと、ネジ部153bと、外部延出部153cとを含む。
【0114】
台座部153aは、リンク本体142aのうち車幅方向外向き側面に接触可能に形成されている。台座部153aは、ガイド溝142agのスリット状の開口の幅よりも大きい。このため、台座部153aは、ガイド溝142ag内に入り込まないで、リンク本体142aのうち車幅方向外向き側面に接触してスライド移動することができる。
【0115】
台座部153aからガイド溝142ag内に向ってネジ部153bが延出している。ガイド溝142ag内にナット、例えば、四角ナットNが配置されている。四角ナットNは、ガイド溝142ag内においてガイド溝142agの側面に接触して回転規制されている。ネジ部153bが四角ナットNのネジ溝に嵌った状態で、防振用位置可変支持部153が回転されることで、四角ナットNがネジ部153bに螺合締結される。そして、四角ナットNと台座部153aとの間に、リンク本体142aのうちガイド溝142agのスリット状の開口両側縁が挟込まれることで、防振用位置可変支持部153がリンク本体142aに対して一定位置に固定される。また、防振用位置可変支持部153が逆回転され、四角ナットNがネジ部153bから緩められると、台座部153aと四角ナットNとのガイド下、防振用位置可変支持部153がガイド溝142agに沿って移動することができる。再度、四角ナットNを締結することで、防振用位置可変支持部153が位置調整後の位置に固定される。
【0116】
防振装置50の第1防振固定端51が環状部51aを有しており、外部延出部153cの先端部が当該環状部に嵌っている。これにより、防振装置50の第1防振固定端51が、防振用位置可変支持部153に対して姿勢変更可能に支持される。外部延出部153cの先端部にネジS等がネジ締結され、当該ネジSの頭部Saによって、外部延出部153cからの環状部51aの脱落が抑制されるとよい。
【0117】
防振装置50の第2防振固定端52と第2リンク144との連結箇所についても、上記と同様構成によって支持されるとよい。
【0118】
第1リンク142と第2リンク144とは、それぞれ台形の斜辺に沿って配置されており、互いに平行ではない。このため、防振装置50の固定位置を調整すると、第1リンク142と第2リンク144との間で、防振装置50を初期状態において伸縮させてしまう力が作用する可能性がある。そこで、第1リンク142に固定される第1防振固定端51と第2リンク144に固定される第2防振固定端52との距離を、第1リンク142と第2リンク144との間隔に合わせて調整してもよい。
【0119】
上記調整は、例えば、次の構成によって実現されてもよい。すなわち、弾性的に伸縮するバネ本体50Bの一端にネジ部156が支持される。例えば、筒部155の一端側開口にネジ部156が取付けられ、筒部155の他端にバネ本体50Bが連結される。防振装置50の第1防振固定端51がネジ軸部51bを有する。当該ネジ軸部51bがネジ部156のネジ孔156hに螺合される。第1防振固定端51のネジ軸部51bをネジ部156のネジ孔156hに対して回転させることで、ネジ軸部51bがネジ部156に対して突出する方向又は入り込む方向に位置調整される。これにより、防振装置50の調整位置に応じた第1リンク142と第2リンク144との間隔に合わせて、第1防振固定端51と第2防振固定端52との距離が調整される。これにより、第1リンク142に対する第2リンク144の角度を一定にしつつ、防振装置50が自然長を維持できる。なお、第1防振固定端51と第2防振固定端52との距離を一定にし、第1リンク142に対する第2リンク144の角度を調整してもよい。
【0120】
第1防振固定端51と第2防振固定端52との距離を調整する構成は上記例に限られない。例えば、第1リンク142に対して第1防振固定端51の位置を調整するのと同様構成によって、バネ本体50Bの端部に対する第1防振固定端51の位置が調整されてもよい。
【0121】
実施形態2において、減衰装置60が、第1リンク142及び第2リンク144の少なくとも一方に対して位置調整可能に支持されていてもよい。そのための構成としては、防振装置50が第1リンク142及び第2リンク144の少なくとも一方に対して位置調整可能に支持される構成と同じであってもよい。
図4において、減衰装置60の第1減衰固定端61と第2減衰固定端62とが、上記防振用位置可変支持部153と同様構成の減衰用位置可変支持部163によって支持される例が示されている。
【0122】
減衰装置60の第1減衰固定端61と第2減衰固定端62との距離が、上記した第1防振固定端51と第2防振固定端52との距離を調整する構成と同様構成によって調整されてもよい。
【0123】
防振装置50及び減衰装置60を位置調整可能に支持する例は上記例に限られない。例えば、第1リンク又は第2リンクに、その延在方向において間隔をあけて複数のネジ孔が形成されていてもよい。この場合、取付位置に応じて複数のネジ孔から一部が選択されて、防振用位置可変支持部又は減衰用位置可変支持部がねじ止固定されてもよい。
【0124】
この場合、リンク本体142aに対する防振用位置可変支持部153又は減衰用位置可変支持部163の位置を調整することで、第1リンク142及び第2リンク144の少なくとも一方に対する防振装置50又は減衰装置60の連結位置を容易に調整できる。
【0125】
変位量検出センサ70についても、上記と同様に、位置調整に支持されていてもよい。
【0126】
[変形例]
本実施形態では、主に被牽引車30に固定された連結装置40、140が牽引車20に姿勢変更可能に連結される例を想定した説明がなされた。しかしながら、牽引車に固定された連結装置が、被牽引車に姿勢変更可能に連結されてもよい。
【0127】
上記実施形態1及び2において、減衰装置60が省略されてもよい。この場合でも、牽引車20と被牽引車30との間で、防振装置50が介在することによって振動が伝わりにくくなる。また、上記実施形態1及び2において、変位量検出センサ70が省略されてもよい。
【0128】
第1リンクと第2リンクとの連結構成は、上記実施形態1及び2に示された例に限られず、例えば、第1リンクと第2リンクとの間に、より多数のリンクが介在してもよい。
【0129】
第1リンクと第2リンクとは、重力方向に沿った垂直軸周りに姿勢変更可能に連結されていてもよい。
【0130】
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。例えば、実施形態2において防振装置50又は減衰装置60を位置調整可能に支持する構成が、実施形態1に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0131】
10 連結車両
20 牽引車
28 球体
30 被牽引車
31 連結用支持部
32 荷台部
34 車輪
36 原動機
38 制御部
40 連結装置
42 第1リンク
42a 球体支持部
44 第2リンク
50 防振装置
50B バネ本体
51 第1防振固定端
51a 環状部
51b ネジ軸部
52 第2防振固定端
60 減衰装置
61 第1減衰固定端
62 第2減衰固定端
70 変位量検出センサ
71 第1検出固定端
72 第2検出固定端
140 連結装置
142 第1リンク
142a リンク本体
142ag ガイド溝
144 第2リンク
146 第3リンク
153 防振用位置可変支持部
153a 台座部
153b ネジ部
153c 外部延出部
155 筒部
156 ネジ部
156h ネジ孔
163 減衰用位置可変支持部
A 牽引方向
N 四角ナット
P1、P2、P3、P4、P5 軸部
S ネジ
Sa 頭部