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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019977
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】集合継手、配管構造、及び接続部材
(51)【国際特許分類】
   F16L 1/00 20060101AFI20240206BHJP
   E03C 1/12 20060101ALI20240206BHJP
   F16L 5/00 20060101ALI20240206BHJP
   F16L 21/035 20060101ALI20240206BHJP
   F16L 55/033 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
F16L1/00 C
E03C1/12 E
F16L5/00 N
F16L21/035
F16L55/033
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122791
(22)【出願日】2022-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 駿也
(72)【発明者】
【氏名】福屋 博史
(72)【発明者】
【氏名】木村 英治
【テーマコード(参考)】
2D061
3H025
【Fターム(参考)】
2D061AA04
2D061AB10
2D061AD03
3H025CA01
3H025CB05
3H025CB39
(57)【要約】
【課題】下部立管の接続部分がスラブに埋もれてしまうことを防止できる。集合継手、配管構造、及び接続部材を提供する。
【解決手段】集合継手12は、継手本体21と、接続部材22と、を備える。継手本体は、上部立管14が接続可能な上部立管接続部25、横管16が接続可能な横管接続部26、下部立管18が接続可能な下部立管接続部27を備える。接続部材は、下部立管接続部に接続される。接続部材は、下部立管接続部が差し込まれる受口34と、下部立管に差し込まれる差口35と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部立管が接続可能な上部立管接続部、横管が接続可能な横管接続部、下部立管が接続可能な下部立管接続部を備える継手本体と、
前記下部立管接続部に接続される接続部材と、を備え、
前記接続部材は、前記下部立管接続部が差し込まれる受口と、前記下部立管に差し込まれる差口と、を備えている、集合継手。
【請求項2】
前記接続部材は、前記受口と前記差口とが一体で形成されている、請求項1に記載の集合継手。
【請求項3】
前記接続部材は、前記受口と前記差口とが別部材で形成されている、請求項1に記載の集合継手。
【請求項4】
上部立管が接続可能な上部立管接続部、横管が接続可能な横管接続部、下部立管が接続可能な下部立管接続部を備える継手本体と、
前記下部立管接続部に接続される接続部材と、を備え、
前記接続部材は、上端が前記下部立管接続部に差し込み可能で、下端が前記下部立管に差し込まれる本体管と、前記本体管の外周面に設けられたストッパーと、を備えている、集合継手。
【請求項5】
前記接続部材は、前記本体管と前記ストッパーとが一体で形成されている、請求項4に記載の集合継手。
【請求項6】
前記接続部材は、前記本体管と前記ストッパーとが別部材で形成されている、請求項4に記載の集合継手。
【請求項7】
前記接続部材を覆う遮音カバーを備える、請求項1又は請求項4に記載の集合継手。
【請求項8】
前記遮音カバーを径方向の内側から支持する支持部材を備える、請求項7に記載の集合継手。
【請求項9】
前記継手本体を覆う継手本体遮音カバーを更に備え、
前記支持部材は、前記継手本体遮音カバーの下端に設けられている、請求項8に記載の集合継手。
【請求項10】
請求項1又は請求項4に記載の集合継手を備える、配管構造。
【請求項11】
上部立管が接続可能な上部立管接続部、横管が接続可能な横管接続部、下部立管が接続可能な下部立管接続部を備える継手本体の前記下部立管接続部に接続される接続部材であって、
上端が前記下部立管接続部に差し込み可能で、下端が前記下部立管に差し込まれる本体管と、
前記本体管の外周面に設けられたストッパーと、を備えている、接続部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合継手、配管構造、及び接続部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、複数層を有する建物の配管構造において、集合継手をスラブの貫通孔に挿通させた状態で集合継手の下部立管接続部がスラブの下方に配置された下部立管に接続されるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この状態において、集合継手の横管接続部がスラブの上方に配置される。横管接続部に横管(横枝管)が接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-32661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば、特許文献1の集合継手のなかには、スラブ厚さが大きいものに施工するものや、横管接続部をスラブから上方に浮かして施工するものがある。この場合において、集合継手の下部立管接続部と下部立管との接続部分がスラブに埋もれてしまうことが考えられる。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、下部立管の接続部分がスラブに埋もれてしまうことを防止できる集合継手、配管構造、及び接続部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
「1」本発明に係る集合継手は、上部立管が接続可能な上部立管接続部、横管が接続可能な横管接続部、下部立管が接続可能な下部立管接続部を備える継手本体と、前記下部立管接続部に接続される接続部材と、を備え、前記接続部材は、前記下部立管接続部が差し込まれる受口と、前記下部立管に差し込まれる差口と、を備えている。
【0007】
上述の集合継手であれば、継手本体の下部立管接続部に接続する接続部材を備えた。さらに、接続部材に受口と差口とを備え、受口を下部立管接続部に差し込む(嵌め込む)ようにした。また、差口を下部立管に差し込むようにした。よって、受口は、差口に対して外径が大きく形成されている。これにより、受口と差口との境界において、受口の底面が差口の外周面に対して径方向に張り出される。
したがって、受口の底面と差口の外周面とにより段差が形成され、受口の底面に下部立管の上端を当接させることができる。すなわち、受口の底面は、下部立管を接続位置に位置決めするストッパーとして機能する。以下、受口の底面を「ストッパー底面」ということがある。
また、下部立管接続部に接続部材を接続することにより、例えば、スラブの厚さが大きい場合や、集合継手の横管接続部をスラブから上方に浮かして集合継手を使用する場合において、ストッパー底面をスラブの下方に配置できる。よって、下部立管の上端をストッパー底面に当接させることにより、下部立管の上端(すなわち、接続部材の差口との接続部)をスラブの下方に配置できる。これにより、接続部材の差口に接続される下部立管の接続部分がスラブに埋もれてしまうことを防止できる。
【0008】
「2」上記態様において、前記接続部材は、前記受口と前記差口とが一体で形成されていてもよい。
【0009】
「3」上記態様において、前記接続部材は、前記受口と前記差口とが別部材で形成されていてもよい。
【0010】
「4」本発明に係る集合継手は、上部立管が接続可能な上部立管接続部、横管が接続可能な横管接続部、下部立管が接続可能な下部立管接続部を備える継手本体と、前記下部立管接続部に接続される接続部材と、を備え、前記接続部材は、上端が前記下部立管接続部に差し込み可能で、下端が前記下部立管に差し込まれる本体管と、前記本体管の外周面に設けられたストッパーと、を備えている。
【0011】
上述の集合継手であれば、継手本体の下部立管接続部に接続する接続部材を備えた。さらに、接続部材に本体管とストッパーとを備え、本体管の上端を下部立管接続部に差し込み可能とした。さらに、本体管の下端を下部立管に差し込むようにした。また、ストッパーを本体管の外周面に設けた。
本体管の外周面にストッパーを設けることにより、ストッパーは、本体管の外周面に対して外径が大きく形成されている。これにより、ストッパーと本体管の外周面との境界において、ストッパーの底面が本体管の外周面に対して径方向に張り出される。
したがって、ストッパーの底面と本体管の外周面とにより段差が形成され、ストッパーの底面に下部立管の上端を当接させることができる。すなわち、ストッパーの底面は、下部立管を接続位置に位置決めするストッパーとして機能する。以下、ストッパーの底面を「ストッパー底面」ということがある。
また、下部立管接続部に接続部材を接続することにより、例えば、スラブの厚さが大きい場合や、集合継手の横管をスラブから浮かして集合継手を使用する場合において、ストッパー底面をスラブの下方に配置できる。よって、下部立管の上端をストッパー底面に当接させることにより、下部立管の上端(すなわち、接続部材の下端との接続部)をスラブの下方に配置できる。これにより、接続部材の下端に接続される下部立管の接続部分がスラブに埋もれてしまうことを防止できる。
【0012】
「5」上記態様において、前記接続部材は、前記本体管と前記ストッパーとが一体で形成されていてもよい。
【0013】
「6」上記態様において、前記接続部材は、前記本体管と前記ストッパーとが別部材で形成されていてもよい。
【0014】
「7」上記「1」から「6」のいずれか1つの態様において、前記接続部材を覆う遮音カバーを備えていてもよい。
【0015】
この場合には、接続部材を遮音カバーで覆うことにより、接続部材の内部に水が流れることにより発生する音を外部に伝播することを防ぐことができる。
【0016】
「8」上記態様において、前記遮音カバーを径方向の内側から支持する支持部材を備えていてもよい。
【0017】
この場合には、支持部材を設けることにより、遮音カバーを支持部材により安定的に支えることができる。
ここで、支持部材は、継手本体の下部に近い方に設けることが好ましい。これにより、遮音カバーを支持部材で一層安定的に支えることができる。また、支持部材は、外径が遮音カバーの内径より小さいものが好ましい。これにより、遮音カバーを支持部材で一層安定的に支えることができる。さらに、支持部材は、例えば、発泡体(発泡テープ)、ゴム等の弾性を備えた材料で形成することが好ましい。これにより、遮音カバーを支持部材で一層安定的に支えることができる。
【0018】
「9」上記態様において、前記継手本体を覆う継手本体遮音カバーを更に備え、前記支持部材は、前記継手本体遮音カバーの下端に設けられていてもよい。
【0019】
この場合には、継手本体の下部を覆う継手本体遮音カバーの下端に支持部材を設けることにより、支持部材で継手本体遮音カバーの下端を支えることができる。さらに、支持部材は、遮音カバーの上端を支えることができる。換言すれば、継手本体遮音カバーの下端を支える支持部材は、遮音カバーを支える支持部材の役割を兼ねることができる。これにより、集合継手の構成を簡素化できる。
【0020】
「10」本発明に係る配管構造は、「1」から「9」のいずれか1つに記載の集合継手を備えている。
【0021】
上述の配管構造であれば、接続部材のストッパー底面に下部立管の上端を当接させることができる。また、継手本体の下部立管接続部に接続部材を接続することにより、例えば、スラブの厚さが大きい場合や、集合継手の横管をスラブから浮かして集合継手を使用する場合において、ストッパー底面をスラブの下方に配置できる。よって、下部立管の上端をストッパー底面に当接させることにより、下部立管の上端(すなわち、接続部材の下端との接続部)をスラブの下方に配置できる。これにより、配管構造によれば、接続部材の下端に接続される下部立管の接続部分がスラブに埋もれてしまうことを防止できる。
【0022】
「11」本発明に係る接続部材は、上部立管が接続可能な上部立管接続部、横管が接続可能な横管接続部、下部立管が接続可能な下部立管接続部を備える継手本体の前記下部立管接続部に接続される接続部材であって、前記接続部材は、上端が前記下部立管接続部に差し込み可能で、下端が前記下部立管に差し込まれる本体管と、前記本体管の外周面に設けられたストッパーと、を備えている。
【0023】
上述の接続部材であれば、ストッパー底面に下部立管の上端を当接させることができる。また、継手本体の下部立管接続部に接続部材を接続することにより、例えば、スラブの厚さが大きい場合や、集合継手の横管をスラブから浮かして集合継手を使用する場合において、ストッパー底面をスラブの下方に配置できる。よって、下部立管の上端をストッパー底面に当接させることにより、下部立管の上端(すなわち、接続部材の下端との接続部)をスラブの下方に配置できる。これにより、接続部材によれば、接続部材の下端に接続される下部立管の接続部分がスラブに埋もれてしまうことを防止できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、継手本体の下部立管接続部に接続する接続部材を備えた。これにより、下部立管の接続部分がスラブに埋もれてしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第1実施形態に係る配管構造を示す断面図である。
図2】第1実施形態に係る集合継手の下部立管接続部に接続部材を接続した状態を示す側面図である。
図3】第1実施形態に係る接続部材の変形例を示す側面図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る配管構造を示す側面図である。
図5】第2実施形態に係る接続部材の変形例1を示す側面図である。
図6】第2実施形態に係る接続部材の変形例2を示す側面図である。
図7】第2実施形態に係る接続部材の変形例3を示す側面図である。
図8】第2実施形態に係る接続部材の変形例4を示す側面図である。
図9】第2実施形態に係る接続部材の変形例5を示す側面図である。
図10】本発明の第3実施形態に係る配管構造を示す側面図である。
図11】第3実施形態に係る集合継手の変形例1を示す側面図である。
図12】第3実施形態に係る集合継手の変形例2を示す側面図である。
図13】実施形態の配管構造において100A(+150)の集合継手が対応可能なスラブ厚さを説明する側面図である。
図14】実施形態の配管構造において100A(+250)の集合継手が対応可能なスラブ厚さを説明する側面図である。
図15】実施形態の配管構造において75A(+150)の集合継手が対応可能なスラブ厚さを説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る集合継手、配管構造、及び接続部材を説明する。
【0027】
[第1実施形態]
図1に示すように、配管構造10は、集合継手12と、上部立管14と、横管(横枝管)16と、下部立管18と、を備えている。集合継手12は、例えば、建物のスラブ(床スラブ)Fに設けられた貫通孔Hに配置される。この状態において、集合継手12は中心軸線Oが上下方向に向けて配置される。以下、集合継手12の中心軸線Oを単に「中心軸線O」ということがある。また、中心軸線Oに沿う方向において上部立管14側を上方、下部立管18側を下方として説明する。
【0028】
集合継手12は、継手本体21と、接続部材22と、を備える。継手本体21は、不図示の本体部と、上部立管接続部25と、横管接続部26と、下部立管接続部27と、継手本体遮音カバー28と、を備える。不図示の本体部、上部立管接続部25、横管接続部26、下部立管接続部27の成形には、例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂を用いた射出成型が好適に用いられる。
【0029】
不図示の本体部は、継手本体21の中央に位置している。本体部の内側には偏流板(図示せず)が接続されている。不図示の偏流板は、例えば、本体部とは別部材で形成され、本体部の内側に接続されている。
【0030】
上部立管接続部25は、不図示の本体部の上部に設けられて上部立管14の下端が接続可能な開口部である。上部立管14は、上部立管接続部25から上方に配置されている。横管接続部26は、不図示の本体部の側部に設けられて横管16の端部が接続可能な開口部である。横管16は、横管接続部26から側方に配置されている。なお、第1実施形態では、複数の横管16を例に説明するが、横管16は複数に限らない。横管接続部26が複数設けられている場合、1つ以上の横管接続部26が閉塞されていてもよい。
【0031】
下部立管接続部27は、不図示の本体部の下部に設けられ、接続部材22の上端に差し込まれるように差口に形成されている。また、下部立管接続部27は、下部立管18の上端に備えた受口32にも差し込み可能な差口に形成されている。下部立管接続部27を差口にすることは、成形性の観点から、前記偏流板が本体部と別部材で形成されている場合に好ましい。以下、下部立管18の受口32を「立管受口32」ということがある。
【0032】
継手本体遮音カバー28は、例えば、集合継手12の内部を排水が流れることによって生じる音が、外部に伝播することを防ぐ役割を有する。継手本体遮音カバー28は、例えば、継手本体21の本体部(図示せず)等を覆うように構成されている。継手本体遮音カバー28は、後述する遮音カバー93と同様の材料により形成される。なお、継手本体遮音カバー28と接続部遮音カバー93は異なる材料により形成されていてもよい。
【0033】
図2に示すように、下部立管接続部27には接続部材22が接続されている。接続部材22は、下部立管接続部27を下方に延長する部材として機能する。接続部材22は、受口(接続部材22の上端)34と、差口35と、を備えている。受口34には下部立管接続部27が差し込まれる。これにより、受口34は、下部立管接続部27に接続されている。受口34の内径は、下部立管接続部27の外径と同等に形成されている。例えば、受口34と下部立管接続部27との接続には接着が好適に用いられる。
【0034】
差口35は、下部立管18の立管受口32(図1参照)に差し込まれることにより、立管受口32に接続されている。差口35の外径は、下部立管18の立管受口32の内径と同等に形成されている。例えば、差口35と立管受口32との接続には接着が好適に用いられる。下部立管18については後で詳しく説明する。
【0035】
ここで、接続部材22は、例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂で受口34と差口35とが一体で形成(成形、成型)されている。
また、接続部材22は、例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂と熱膨張性黒鉛とを含有する樹脂組成物を含有するものが好ましい。すなわち、接続部材22は、耐火性を備えた部材であることが好ましい。接続部材22は、樹脂組成物を成形(成型)することによって形成される。例えば、接続部材22は、樹脂組成物を管状に押出成形した後加工する方法や、射出成型、ブロー成型による方法により形成される。
【0036】
また、接続部材22は、接続部材22の全体が樹脂組成物からなる単層構造でもよいし、複数の層からなる複層構造でもよい。複層構造の場合、いずれかの層が樹脂組成物から形成されていればよい。例えば、接続部材22が、表層と中間層と内層とからなる3層構造である場合には、中間層が樹脂組成物から形成されたものが挙げられ、表層、中間層、内層は吸熱剤を含有していてもよい。
【0037】
図1に示すように、集合継手12によれば、例えば、上部立管14や横管16から本体部(図示せず)に排水が流入し、本体部に流入した排水が下部立管接続部27へ流れる。下部立管接続部27へ流れた排水は、接続部材22を経て下部立管18に流れる。
ここで、本体部の内側には偏流板(図示せず)が接続されている。よって、本体部の内部に流入した排水が偏流板に接触して偏流する。これにより、本体部の内部(すなわち、集合継手12の内部)において通気を取りやすくでき、集合継手12の内部における圧力変動を減らすことができる。
【0038】
上部立管14、横管16および下部立管18は、例えば、硬質ポリ塩化ビニル系樹脂組成物からなる。上部立管14、横管16および下部立管18は、例えば、押出成形により成形される。ただし、下部立管18については、押出成形の後、後述する立管受口32を追加工にて拡径する。
【0039】
接続部材22の差口35が下部立管18の立管受口32に差し込まれている。下部立管18は、管本体31とその上端部に形成されている立管受口32とを有する。立管受口32は拡径部であり、この拡径部に接続部材22の差口35が差し込まれている。下部立管18において、中心軸線Oに沿う方向の立管受口32の長さより、接続部材22の差口35において、中心軸線Oに沿う方向の突出長さが若干短く形成されている。差口35の突出長さとは、中心軸線Oに沿う方向において接続部材22の受口34の底面34aから差口35の下端(先端)35aまでの距離をいう。
【0040】
このため、立管受口32の開口部(上端)32aに受口34の底面34aを接触させる位置まで立管受口32に接続部材22の差口35を差し込むことができる。そして、その状態で差口35の先端35aは立管受口32の底部32bと立管受口32の内側において所定の間隔をあけて対峙することができる。
すなわち、受口34の底面34aは、立管受口32の開口部32aを位置決めするストッパーとしての役割を果たす。以下、受口34の底面34aを「ストッパー底面34a」ということがある。
【0041】
立管受口32において、その上端より若干低い位置に拡径部の外周壁を外側に凸型に膨出させた周突部37が形成され、この周突部37の内側に周溝37aが形成されている。そして、周溝37aの内側にゴム製リングからなるパッキン部材38が配置されている。このため、パッキン部材38は、立管受口32に対して差口35を差し込んだ場合に差口35の外周面に密着して密着部分を水密に覆うことができる。
また、立管受口32の開口部32aは、周突部37の周溝37aよりも内径が小さく形成されている。これにより、立管受口32の開口部32aをストッパー底面34aに当接させて立管受口32を位置決めできる。
【0042】
このように、配管構造10は、継手本体21の下部立管接続部27に接続部材22を介して下部立管18が接続されている。よって、配管構造10は、中心軸線Oに沿う方向において、X>Y+Z+Aの関係が満たされるように構成されている。X、Y、Z、Aは、次のように定義される。
X:複数の横管接続部26のうち外端部の管底26aが最も低い横管接続部26において管底26aからストッパー底面34aまでの距離
Y:スラブFの厚さ
Z:複数の横管接続部26のうち外端部の管底26aが最も低い横管接続部26をスラブFから上方に浮かした高さ(以下、「浮かし高さ」ということがある)
A:余裕代(余裕代Aは、例えば10mmを確保することが好ましい)
【0043】
これにより、配管構造10は、立管受口32の開口部32aがスラブFの内部に埋まらないように構成されている。さらに、配管構造10は、接続部材22の受口34がスラブFの内部に埋まらないように構成されることが好ましい。
【0044】
以上説明したように、第1実施形態の配管構造10、集合継手12、及び接続部材22によれば、継手本体21の下部立管接続部27に接続する接続部材22を備えた。さらに、接続部材22に受口34と差口35とを備え、受口34に下部立管接続部27を差し込むようにした。また、差口35を下部立管18の立管受口32に差し込むようにした。よって、受口34は、差口35に対して外径が大きく形成されている。これにより、受口34と差口35との境界において、ストッパー底面34aが差口35の外周面35bに対して径方向に張り出される。
【0045】
したがって、ストッパー底面34aと差口35の外周面35bとにより段差が形成され、ストッパー底面34aに下部立管18の開口部(具体的には、立管受口32の開口部)32aを当接させることができる。すなわち、ストッパー底面34aは、下部立管18を接続位置に位置決めするストッパーとして機能する。
【0046】
また、下部立管接続部27に接続部材22を接続することにより、例えば、スラブFの厚さが大きい場合や、集合継手12の横管接続部26をスラブFから上方に浮かして集合継手12を使用する場合において、ストッパー底面34aをスラブFの下方に配置できる。よって、下部立管18の開口部32aをストッパー底面34aに当接させることにより、下部立管18の開口部32a(すなわち、接続部材22の差口35との接続部分)をスラブFの下方に配置できる。これにより、接続部材22の差口35に接続される下部立管18の接続部分がスラブFに埋もれてしまうことを防止できる。
【0047】
(変形例)
第1実施形態に係る接続部材22の変形例を図3に基づいて説明する。
図3に示すように、変形例の接続部材40は、受口(接続部材の上端)41と差口42とが別部材で形成されている。接続部材40は、受口41及び差口42が接着接合されている。
変形例の接続部材40によれば、差口42は、例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂で構成され、ポリ塩化ビニル系樹脂と熱膨張性黒鉛とを含有する樹脂組成物を含有するものが好ましい。すなわち、差口42は、耐火性を備えた管(パイプ)であることが好ましい。差口42は、樹脂組成物を成形(成型)することによって形成される。例えば、差口42は、樹脂組成物を押出成形、射出成型、ブロー成型により管状に形成される。
【0048】
また、差口42は、差口42の全体が樹脂組成物からなる単層構造でもよいし、複数の層からなる複層構造でもよい。複層構造の場合、いずれかの層が樹脂組成物から形成されていればよい。例えば、差口42が、表層と中間層と内層とからなる3層構造である場合には、中間層が樹脂組成物から形成されたものが挙げられ、表層、中間層、内層は吸熱剤を含有していてもよい。
【0049】
受口41は、例えば、ソケット継手(DS継手)が挙げられる。受口41は、例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂で構成され、ポリ塩化ビニル系樹脂と熱膨張性黒鉛とを含有する樹脂組成物を含有するものが好ましい。すなわち、受口41は、耐火性を備えた部材であることが好ましい。受口41は、樹脂組成物を成形(成型)することによって形成される。例えば、受口は、樹脂組成物を管状に押出成形した後加工する方法や、射出成型、ブロー成型による方法により形成される。
接続部材40は、受口41に差口42の上端42aが差し込まれた状態において、受口41と上端42aとが接着により接合(すなわち、接着接合)されることにより形成されている。
【0050】
以下、第2実施形態から第3実施形態を図4から図12に基づいて説明する。なお、第2実施形態から第3実施形態において第1実施形態の構成部材と同一類似部材については同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0051】
[第2実施形態]
図4に示すように、配管構造50は、第1実施形態の集合継手12を集合継手51に代えたものである。集合継手51は、第1実施形態の集合継手12に備える下部立管接続部27及び接続部材22を下部立管接続部54及び接続部材55に代えたものである。
【0052】
下部立管接続部54は、接続部材55の上端が差し込まれるように受口に形成されている。下部立管接続部54は、一般的な下部立管の上端(差口)が差し込まれる受口の形状に形成されている。ここで、一般的な下部立管とは、本実施形態のような下部立管18とは異なる。すなわち、一般的な下部立管とは、立管受口32を備えていない。一般的な下部立管の上端は、上端よりも下方に位置する部分と同径である。一般的な下部立管は、上端を含む全長にわたって実質的に同径である。下部立管接続部54を受口にすることは、集合継手51の内部に偏流板(図示せず)が一体に形成されている場合に好ましい。
【0053】
下部立管接続部54には接続部材55が接続されている。接続部材55は、本体管56と、ストッパー57と、を備えている。本体管56は、ストッパー57の上方に形成された第1差口(接続部材55の上端)56aと、ストッパー57の下方に形成された第2差口(接続部材55の下端)56bと、を備えている。第1差口56aは、下部立管接続部54に差し込み可能に形成されている。第2差口56bは、下部立管18の立管受口32に差し込み可能に形成されている。
【0054】
ストッパー57は、例えば、中心軸線Oに沿う方向で本体管56の中央において、本体管56の外周面56cに設けられている。本体管56の外周面56cにストッパー57を設けることにより、ストッパー57が外周面56cに対して外径が大きく形成されている。これにより、ストッパー57と外周面56cとの境界において、ストッパー57の底面57aが本体管56の外周面56cに対して径方向に張り出される。以下、ストッパー57の底面57aを「ストッパー底面57a」ということがある。
【0055】
ここで、接続部材55は、例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂で本体管56とストッパー57とが一体に形成(成形、成型)されている。
また、接続部材55は、例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂と熱膨張性黒鉛とを含有する樹脂組成物を含有するものが好ましい。すなわち、接続部材55は、耐火性を備えたソケット継手(DS継手)であることが好ましい。接続部材55は、樹脂組成物を成形(成型)することによって形成される。例えば、接続部材55は、樹脂組成物を管状に押出成形した後加工する方法や、射出成型、ブロー成型による方法により形成される。
【0056】
また、接続部材55は、接続部材55の全体が樹脂組成物からなる単層構造でもよいし、複数の層からなる複層構造でもよい。複層構造の場合、いずれかの層が樹脂組成物から形成されていればよい。例えば、接続部材55が、表層と中間層と内層とからなる3層構造である場合には、中間層が樹脂組成物から形成されたものが挙げられ、表層、中間層、内層は吸熱剤を含有していてもよい。
【0057】
このように、配管構造50は、集合継手51の下部立管接続部54に接続部材55を介して下部立管18が接続されている。よって、配管構造50は、第1実施形態の配管構造10と同様に、中心軸線Oに沿う方向において、X>Y+Z+A(図1参照)の関係が満たされるように構成されている。
なお、接続部材55は、例えば、スラブF(図1参照)の厚さ、横管接続部26(図1参照)の浮かし高さ等に対応させて設計することで、第1差口56a、第2差口56bの長さを選択可能である。
【0058】
以上説明したように、第2実施形態の配管構造50、集合継手51、及び接続部材55によれば、ストッパー57と本体管56の外周面56cとの境界において、ストッパー底面57aが外周面56cに対して径方向に張り出されている。これにより、ストッパー底面57aと外周面56cとにより段差が形成され、ストッパー底面57aに下部立管18の開口部(立管受口32の開口部)32aを当接させることができる。すなわち、ストッパー底面57aは、下部立管18を接続位置に位置決めするストッパーとして機能する。
【0059】
また、下部立管接続部54に接続部材55を接続した。よって、例えば、スラブF(図1参照)の厚さが大きい場合や、集合継手51の横管接続部26(図1参照)をスラブFから上方に浮かして集合継手を使用する場合において、ストッパー底面57aをスラブFの下方に配置できる。これにより、下部立管18の開口部32aをストッパー底面57aに当接させることにより、下部立管18の開口部32a(すなわち、接続部材55の第2差口56bとの接続部)をスラブFの下方に配置できる。したがって、接続部材55の第2差口56bに接続される下部立管18の接続部分がスラブFに埋もれてしまうことを防止できる。
【0060】
つぎに、第2実施形態に係る接続部材55を複数部材の接着結合により構成する変形例1から変形例5を図5から図9に基づいて説明する。
(変形例1)
第2実施形態に係る接続部材55の変形例1を図5に基づいて説明する。
図5に示すように、変形例1の接続部材60は、本体管61とストッパー64とが別部材で形成されている。さらに、本体管61は、第1差口62と第2差口63とが別部材で形成されている。
第1差口62は、下端62aがストッパー64の第1受口64aに差し込まれて接着接合されている。第2差口63は、上端63aがストッパー64の第2受口64bに差し込まれて接着接合されている。
【0061】
第1差口62及び第2差口63は、例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂で構成され、ポリ塩化ビニル系樹脂と熱膨張性黒鉛とを含有する樹脂組成物を含有するものが好ましい。すなわち、第1差口62及び第2差口63は、耐火性を備えた管(パイプ)であることが好ましい。第1差口62及び第2差口63は、樹脂組成物を成形(成型)することによって形成される。例えば、第1差口62及び第2差口63は、樹脂組成物を押出成形、射出成型、ブロー成型により管状に形成される。
【0062】
また、第1差口62及び第2差口63は、全体が樹脂組成物からなる単層構造でもよいし、複数の層からなる複層構造でもよい。複層構造の場合、いずれかの層が樹脂組成物から形成されていればよい。例えば、第1差口62及び第2差口63が、表層と中間層と内層とからなる3層構造である場合には、中間層が樹脂組成物から形成されたものが挙げられ、表層、中間層、内層は吸熱剤を含有していてもよい。
【0063】
ストッパー64としては、例えば、ソケット継手(DS継手)が挙げられる。ストッパー64は、例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂で構成され、ポリ塩化ビニル系樹脂と熱膨張性黒鉛とを含有する樹脂組成物を含有するものが好ましい。すなわち、ストッパー64は、耐火性を備えた部材であることが好ましい。ストッパー64は、樹脂組成物を成形(成型)することによって形成される。例えば、ストッパー64は、樹脂組成物を管状に押出成形した後加工する方法や、射出成型、ブロー成型による方法により形成される。
【0064】
接続部材60は、ストッパー64の第1受口64aに第1差口62の下端62aが差し込まれて接着接合され、ストッパー64の第2受口64bに第2差口63の上端63aが差し込まれて接着接合されることにより形成されている。
接続部材60は、第1差口62の上端(接続部材の上端)62bが集合継手51において下部立管接続部54(図4参照)に差し込まれる。また、接続部材60は、第2差口63の下端(接続部材の下端)63bが下部立管18の立管受口32(図4参照)に差し込まれる。
【0065】
(変形例2)
第2実施形態に係る接続部材55の変形例2を図6に基づいて説明する。
図6に示すように、変形例2の接続部材70は、変形例1の第2差口63とストッパー64とが一体の連結部材71に形成されたもので、その他の構成は変形例1の接続部材60と同様である。すなわち、変形例2の接続部材70は、第1差口(本体管)62と連結部材71との2部材が別部材で形成されている。連結部材71は、第2差口72とストッパー73とが一体に形成されている。
接続部材70は、ストッパー73の受口73aに第1差口62の下端62aが差し込まれて接着接合されることにより形成されている。
【0066】
(変形例3)
第2実施形態に係る接続部材55の変形例3を図7に基づいて説明する。
図7に示すように、変形例3の接続部材75は、変形例1の第1差口62とストッパー64とが一体の連結部材76に形成されたもので、その他の構成は変形例1の接続部材60と同様である。すなわち、変形例3の接続部材75は、第2差口(本体管)63と連結部材76との2部材が別部材で形成されている。連結部材76は、第1差口77とストッパー78とが一体に形成されている。
接続部材75は、ストッパー78の受口78aに第2差口63の上端63aが差し込まれて接着接合されることにより形成されている。
【0067】
(変形例4)
第2実施形態に係る接続部材55の変形例4を図8に基づいて説明する。
図8に示すように、変形例4の接続部材80は、変形例1の第1差口62に代えて本体管81の第1差口82を備えたもので、その他の構成は変形例1の接続部材60と同様である。第1差口82は、中心軸線Oに沿う方向において、変形例1の第1差口62に対して短く形成されたもので、その他の構成は変形例1の第1差口62と同様である。
第2差口63は、中心軸線Oに沿う方向において、下部立管18の立管受口32(図4参照)に適用させるために、変形例1と同じ長さに形成されている。第1差口82は、第2差口63よりも短い。
【0068】
接続部材80は、ストッパー64の受口64aに第1差口82の下端82aが差し込まれて接着接合され、ストッパー64の第2受口64bに第2差口63の上端63aが差し込まれて接着接合されることにより形成されている。
接続部材80に短い第1差口82を用意することにより、スラブFの厚さY(図1参照)の異なる複数のスラブFに対応させることができる。これにより、接続部材80の用途を広げることができる。
【0069】
(変形例5)
第2実施形態に係る接続部材55の変形例5を図9に基づいて説明する。
図9に示すように、変形例5の接続部材85は、変形例1の第1差口62に代えて本体管86の第1差口87を備えたもので、その他の構成は変形例1の接続部材60と同様である。第1差口87は、中心軸線Oに沿う方向において、変形例1の第1差口62に対して長く形成されたもので、その他の構成は変形例1の第1差口62と同様である。
第2差口63は、中心軸線Oに沿う方向において、下部立管18の立管受口32(図4参照)に適用させるために、変形例1と同じ長さに形成されている。第1差口87は、第2差口63よりも長い。
【0070】
接続部材85は、ストッパー64の受口64aに第1差口87の下端87aが差し込まれて接着接合され、ストッパー64の第2受口64bに第2差口63の上端63aが差し込まれて接着接合されることにより形成されている。
接続部材85に長い第1差口87を用意することにより、スラブFの厚さY(図1参照)の異なる複数のスラブFに対応させることができる。これにより、接続部材85の用途を広げることができる。
【0071】
変形例1から変形例5において説明したように、接続部材60,70,75,80,85を複数部材の接着結合により形成する場合、接続部材60,70,75,80,85を2部材から3部材で構成することが好ましい。
また、接続部材85を複数部材の接着結合により形成することにより、第1差口87を中心軸線Oに沿う方向において長く形成することが可能である。第1差口87は、上端87bが集合継手51の下部立管接続部54(図4参照)に差し込まれる。よって、第1差口87の上端87bを下部立管接続部54に差し込むために、第1差口87を長くする必要がある場合に対応が可能である。これにより、接続部材85の用途を広げることができる。
【0072】
さらに、接続部材60,70,75,80,85において、第2差口63,72は、下部立管18の立管受口32(図4参照)に適用させるために同じ長さ(例えば、90mm)に形成されている。なお、第2差口63,72の長さは90mmに限らない。
加えて、接続部材60,70,75,85において、第1差口62,77,82,87は、スラブF(図1参照)の厚さに対応させて調整可能なように、少なくとも第2差口63,72の長さ以上に形成することが好ましい。これにより、万が一、施工の際に第1差口62,77,82,87と第2差口63,72とを間違えて取り付けた場合でも対応を可能にできる。
なお、第1差口62,77,82,87は、施工現場で切断して調節してもよいし、工場で切断して集合継手と一体にしてから出荷してもよい。
【0073】
[第3実施形態]
図10に示すように、配管構造90は、第2実施形態の集合継手51を集合継手91に代えたものである。集合継手91は、第2実施形態の集合継手51に接続部材55を覆う接続部遮音カバー(遮音カバー)93を備えたもので、その他の構成は第2実施形態の集合継手51と同様である。
【0074】
接続部遮音カバー93は、接続部材55において本体管56の第1差口56aとストッパー57とを径方向外側から覆うように形成されている。本体管56の第1差口56a及びストッパー57を遮音カバーで覆うことにより、接続部材55の内部に水が流れることにより発生する音を外部に伝播することを防ぐことができる。
【0075】
接続部遮音カバー93として、接続部材55に径方向の外側から巻きつける可撓性の遮音カバーと、接続部材55が挿通される管状の遮音カバーと、が考えられる。
可撓性の遮音カバーは、例えば、改質アスファルトやエラストマー、ゴム、ポリオレフィン樹脂、軟質塩化ビニル樹脂等といった弾性を備えた材料をシート状に形成したものである。可撓性の遮音カバーは、炭酸カルシウムや硫酸バリウム等の無機材料、鉄や鉛などの金属シート、金属粉などを含有していてもよい。また、可撓性の遮音カバーの厚さは1.0mm以上5.0mm以下が好ましく、1.5mm以上4.0mm以下がより好ましい。さらに、可撓性の遮音カバーの片面または両面に、合成繊維不織布やガラス繊維不織布等の吸音材を積層してもよい。
【0076】
また、管状の遮音カバーは、管体と、管状に変形させられた状態で管体の内周面に装着されたシート体と、を備えている。管体の軸線は、接続部材の中心軸線上に位置し、管体の軸線方向は、接続部材の軸方向と平行である。管体の肉厚は、例えば1~5mm程度であることが好ましい。また管体の面密度は、1~8kg/mであることが好ましい。
【0077】
接続部材55と接続部遮音カバー93との間には吸音材を設けてもよい。吸音材は無機繊維または有機繊維をシート状に成形したシート体であり、無機繊維としてはガラスウールやロックウールが挙げられ、有機繊維としてはPETフェルトが挙げられる。
吸音材は、接続部材55の外面に巻き付けられるか、接続部遮音カバー93と積層した状態で接続部材55の外面に巻き付けられる。
【0078】
ここで、接続部遮音カバー93は、本体管56の第1差口56a及びストッパー57を覆うように形成され、中心軸線Oに沿う方向における長さが次のように設定される。
すなわち、接続部遮音カバー93は、中心軸線Oに沿う方向において、下端93aがストッパー底面57aと同じ位置、又はストッパー57においてストッパー底面57aの上方に位置している。すなわち、接続部遮音カバー93は、下端93aがストッパー57と同じ場所にあることが好ましい。これにより、接続部遮音カバー93が下部立管18の立管受口32と接触することを避けることができる。
【0079】
また、接続部遮音カバー93は、中心軸線Oに沿う方向において、X1>Y+Zの関係が満たされるように形成されている。X1、Y、Z(Y、Zは図1参照)は、次のように定義される。
X1:複数の横管接続部26のうち外端部の管底26a(図1参照)が最も低い横管接続部26において管底26aから接続部遮音カバー93の下端93aまでの距離
Y:スラブF(図1参照)の厚さ
Z:複数の横管接続部26のうち外端部の管底26aが最も低い横管接続部26の浮かし高さ
このように、接続部遮音カバー93をX1>Y+Zの関係を満たすように形成することにより、接続部遮音カバー93の下端93aをスラブFの下方に配置できる。
【0080】
なお、第3実施形態では、第2実施形態の集合継手51に接続部遮音カバー93を備える例について説明したが、第1実施形態の集合継手12に接続部遮音カバー93を備えることも可能である。
【0081】
つぎに、第3実施形態に係る集合継手91の変形例1、変形例2を図11図12に基づいて説明する。
(変形例1)
第3実施形態に係る集合継手91の変形例1を図11に基づいて説明する。
図11に示すように、変形例1の集合継手95は、第3実施形態の集合継手91に支持部材96を備えたもので、その他の構成は第3実施形態の集合継手91と同様である。支持部材96は、接続部遮音カバー93を径方向の内側から支持する。支持部材96は、接続部遮音カバー93の下端93aよりも上方で、かつ、集合継手95における下部立管接続部(継手本体の下部)54よりも下方に設けられている。詳しくは、支持部材96は、ストッパー57の上端57bよりも上方で、かつ、下部立管接続部54よりも下方に設けられている。
また、接続部遮音カバー93は、下端93aがストッパー底面57aと同じ位置、又はストッパー57においてストッパー底面57aの上方に位置している。これにより、接続部遮音カバー93をストッパー57及び支持部材96により安定的に支えることができる。
【0082】
ここで、支持部材96は、下部立管接続部54に近い位置に設けることが好ましい。この場合、接続部遮音カバー93の上端93bを支持部材96で支えることができる。一方、接続部遮音カバー93の下端93aをストッパー57で支えることができる。これにより、接続部遮音カバー93をストッパー57及び支持部材96で一層安定的に支えることができる。
【0083】
また、支持部材96は、外径が接続部遮音カバー93の内径より小さいものが好ましい。これにより、接続部遮音カバー93を支持部材96で一層安定的に支えることができる。さらに、支持部材96は、例えば、発泡体(発泡テープ)、ゴム等の弾性を備えた材料で形成することが好ましい。これにより、接続部遮音カバー93を支持部材96で一層安定的に支えることができる。
【0084】
(変形例2)
第2実施形態に係る集合継手91の変形例2を図12に基づいて説明する。
図12に示すように、変形例2の集合継手100は、第3実施形態の変形例1の支持部材96を支持部材101に代えたもので、その他の構成は変形例1の集合継手95と同様である。
支持部材101は、集合継手100の下部立管接続部54を覆う継手本体遮音カバー28の下端28aに設けられている。
【0085】
接続部遮音カバー93は、上端93bが継手本体遮音カバー28の下端28aに径方向外側から重なる位置に配置されている。よって、集合継手100の下部立管接続部54を覆う継手本体遮音カバー28の下端28aにおいて、下端28aの内側に支持部材101を設けることにより、支持部材101で継手本体遮音カバー28の下端28aを支えることができる。さらに、支持部材101は、継手本体遮音カバー28だけでなく、接続部遮音カバー93の上端93bを支えることができる。
換言すれば、継手本体遮音カバー28の下端28aを支える支持部材101は、接続部遮音カバー93の上端93bを支える支持部材の役割を兼ねることができる。これにより、集合継手100の構成を簡素化できる。
【0086】
なお、変形例2においては、継手本体遮音カバー28において下端28aの内側に支持部材101を設ける例について説明したが、下端28aの外側に支持部材101を設けてもよい。
【0087】
ここで、接続部遮音カバー93は、下端93aがストッパー底面57aと同じ位置、又はストッパー57においてストッパー底面57aの上方に位置している。すなわち、接続部遮音カバー93は、下端93aがストッパー57により支えられている。さらに、接続部遮音カバー93は、上端93bが支持部材101で支えられている。これにより、接続部遮音カバー93をストッパー57及び支持部材101で安定的に支えることができる。
【0088】
なお、変形例1、変形例2では、第2実施形態の集合継手51に支持部材96,101を備える例について説明したが、第1実施形態の集合継手12に支持部材を備えることも可能である。
【0089】
つぎに、配管構造をスラブFに適用する具体例を図13から図15及び表1に基づいて説明する。図13から図15で説明する配管構造としては、第3実施形態における変形例1の集合継手95(図11参照)を備えたものを例に説明する。
【0090】
【表1】
【0091】
図13、表1に示すように、配管構造120は、サイズ100A(全高784mm)の集合継手121を備えている。集合継手121は、全高L0が784mm、横管接続部下長さL1が318mm、差口長さL2が234mm、下部立管の差し込み代L3が90mmである。また、集合継手121の接続部遮音カバー93は長さL4が144mmである。さらに、パイプ長さはともに140mmである。
この配管構造120は、集合継手121の浮かし高さZを130mmに設定して施工する場合、余裕代Aを10mm確保した状態において、対応可能なスラブ厚さYが322mmである。
【0092】
図14、表1に示すように、配管構造130は、サイズ100A(全高884mm)の集合継手131を備えている。集合継手131は、全高L0が884mm、横管接続部下長さL1が318mm、差口長さL2が334mm、下部立管の差し込み代L3が90mmである。また、集合継手121の接続部遮音カバー93は長さL4が244mmである。さらに、パイプ長さは、240、140mmである。
この配管構造130は、集合継手131の浮かし高さZを130mmに設定して施工する場合、余裕代Aを10mm確保した状態において、対応可能なスラブ厚さYが422mmである。
【0093】
図15、表1に示すように、配管構造140は、サイズ75A(全高744mm)の集合継手141を備えている。集合継手141は、全高L0が744mm、横管接続部下長さL1が308mm、差口長さL2が204mm、下部立管の差し込み代L3が90mmである。また、集合継手121の接続部遮音カバー93は長さL4が124mmである。さらに、パイプ長さは、ともに120mmである。
この配管構造140は、集合継手141の浮かし高さZを100mmに設定して施工する場合、余裕代Aを10mm確保した状態において、対応可能なスラブ厚さYが326mmである。
【0094】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0095】
下部立管18は、立管受口32がなくてもよい。前述した一般的な下部立管のように、上端が、上端よりも下方に位置する部分と同径である配管であってもよい。
【0096】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0097】
10,50,90,120,130,140…配管構造、12,51,91,95,100,121,131,141…集合継手、14…上部立管、16…横管、18…下部立管、21…継手本体、22,40,55,60,70,75,80,85,…接続部材、25…上部立管接続部、26…横管接続部、27,54…下部立管接続部、28…継手本体遮音カバー、28a…継手本体遮音カバーの下端、34,41…受口(接続部材の上端)、35,42…差口、56,61,81,86…本体管、56a…第1差口(接続部材の上端)、56b…第2差口(接続部材の下端)、56c…本体管の外周面、57,64,73,78,…ストッパー、62,77,82,87…第1差口、62b…第1差口の上端(接続部材の上端)、63,72…第2差口、63b…第2差口の下端(接続部材の下端)、93…接続部遮音カバー(遮音カバー)、93a…接続部遮音カバーの下端(遮音カバーの下端)、96,101…支持部材。
図1
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図15