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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019993
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】収容システム
(51)【国際特許分類】
   B60R 5/04 20060101AFI20240206BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20240206BHJP
   E05B 83/18 20140101ALI20240206BHJP
   G08B 21/24 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
B60R5/04 Z
E05B49/00 J
E05B83/18
G08B21/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122826
(22)【出願日】2022-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154380
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100081972
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 豊
(72)【発明者】
【氏名】小野 富之
(72)【発明者】
【氏名】阿部 貴彦
(72)【発明者】
【氏名】古野 琢也
【テーマコード(参考)】
2E250
3D022
5C086
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250BB08
2E250DD06
2E250FF25
2E250FF27
2E250FF36
2E250HH01
2E250JJ03
2E250KK02
2E250LL14
3D022AE30
3D022BA12
3D022BB01
5C086AA05
5C086AA26
5C086AA34
5C086BA22
5C086DA15
(57)【要約】
【課題】第三者による車室へのアクセスを防止しつつ、車両を荷物の一時保管場所として利用可能にする。
【解決手段】収容システム1は、車室内空間と該車室内空間の床面に沿って延在する水平面より上方に形成された車両100のトランクルームとの双方から隔てられて水平面より下方に設けられた、車両100の外部から荷物の出し入れが可能な収容装置10の、解錠および施錠を検出するロック検出センサと、収容装置10内に空気の流れを形成する空調部と、空調部を制御する空調制御部と、を備える。空調制御部は、収容装置10に荷物が収容されている状態でロック検出センサにより収容装置10の施錠が検出されると、空調部を稼働する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内空間と該車室内空間の床面に沿って延在する水平面より上方に形成された第1荷室との双方から隔てられて前記水平面より下方に設けられた、車両の外部から荷物の出し入れが可能な第2荷室の、解錠および施錠を検出する施錠検出器と、
前記第2荷室内に空気の流れを形成する空調部と、
前記空調部を制御する空調制御部と、を備え、
前記空調制御部は、前記第2荷室に前記荷物が収容されている状態で前記施錠検出器により前記第2荷室の施錠が検出されると、前記空調部を稼働することを特徴とする収容システム。
【請求項2】
請求項1に記載の収容システムにおいて、
外部の装置との通信を行う通信部と、
前記通信部を介して前記車両のユーザに紐づけられたユーザ端末から前記第2荷室の解錠指令が受信されると、前記第2荷室を、前記荷物の出し入れが可能な解錠状態にし、前記通信部を介して前記ユーザ端末から前記第2荷室の施錠指令が受信されると、前記第2荷室を、前記荷物の出し入れが不可である施錠状態にする施錠制御部と、をさらに備えたことを特徴とする収容システム。
【請求項3】
請求項2に記載の収容システムにおいて、
前記施錠制御部は、前記第2荷室に前記荷物が収容されてから一定時間以上、前記施錠検出器により前記第2荷室の施錠状態が検出されないとき、前記通信部を介して、前記ユーザ端末に施錠忘れを報知することを特徴とする収容システム。
【請求項4】
請求項3に記載の収容システムにおいて、
前記第1荷室は、前記第2荷室よりも容量が大きく、
前記通信部を介して前記第2荷室に前記荷物を配達する配達員に紐づけられた配達員端末から前記荷物の形状および大きさを示す荷物情報が受信されると、該荷物情報により示される前記荷物の形状および大きさと前記第2荷室の形状および容量とに基づき、前記荷物が前記第2荷室に収容可能であるか否かを判断する判断部と、
前記判断部により前記荷物が前記第2荷室に収容不可能であると判断されると、前記第1荷室の解錠要求を前記ユーザ端末に送信する要求部と、をさらに備え、
前記施錠制御部は、前記解錠要求に応答して前記ユーザ端末から送信される前記第1荷室の解錠指令を受信すると、前記第1荷室を解錠することを特徴とする収容システム。
【請求項5】
請求項2に記載の収容システムにおいて、
前記第2荷室内の温度を検出する温度センサをさらに備え、
前記空調制御部は、前記温度センサの検出値が所定温度以上であるとき、前記空調部を稼働させ、前記温度センサの検出値が所定温度未満であるとき、前記空調部の稼働を停止することを特徴とする収容システム。
【請求項6】
請求項5に記載の収容システムにおいて、
前記空調制御部は、前記空調部を稼働した後、所定時間経過しても前記温度センサの検出値が所定温度以上であるとき、前記通信部を介して、前記ユーザ端末に前記第2荷室の温度異常を報知することを特徴とする収容システム。
【請求項7】
請求項2から4のうちのいずれか1項に記載の収容システムにおいて、
前記空調部の故障を検出する故障検出センサをさらに備え、
前記空調制御部は、前記故障検出センサにより前記空調部の故障が検出されると、前記通信部を介して、前記ユーザ端末に前記空調部の故障を報知することを特徴とする収容システム。
【請求項8】
請求項1に記載の収容システムにおいて、
前記第2荷室は、断熱材によって構成されることを特徴とする収容システム。
【請求項9】
車室内空間と該車室内空間の床面に沿って延在する水平面より上方に形成された第1荷室との双方から隔てられて前記水平面より下方に設けられ、車両の外部から荷物の出し入れが可能な第2荷室の、解錠および施錠を検出する施錠検出器と、
前記第2荷室内に空気の流れを形成する空調部と、
前記空調部を制御する空調制御部と、
前記第2荷室内の物体の有無を検出する物体検出センサと、を備え、
前記空調制御部は、前記物体検出センサにより前記第2荷室において前記物体が検出されていないとき、前記空調部の稼働を停止し、前記物体検出センサにより前記第2荷室において前記物体が検出されると、前記空調部を稼働することを特徴とする収容システム。
【請求項10】
請求項9に記載の収容システムにおいて、
前記第2荷室の温度を検出する温度センサをさらに備え、
前記空調制御部は、前記温度センサの検出値が所定温度以上であるとき、前記空調部を稼働させ、前記温度センサの検出値が所定温度未満であるとき、前記空調部の稼働を停止することを特徴とする収容システム。
【請求項11】
請求項10に記載の収容システムにおいて、
外部の装置との通信を行う通信部をさらに備え、
前記空調制御部は、前記空調部を稼働した後、所定時間経過しても前記温度センサの検出値が所定温度以上であるとき、前記通信部を介してユーザ端末に前記第2荷室の温度異常を報知することを特徴とする収容システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を荷物の収容先として利用可能な収容システムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、従来、荷物受取人であるユーザの車両の車室を配達先として指定可能なようにした装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-100049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の装置のように車室を荷物の配達先として指定可能にすると、第三者による車室へのアクセスが可能になり、防犯上好ましくなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様である収容システムは、車室内空間と該車室内空間の床面に沿って延在する水平面より上方に形成された第1荷室との双方から隔てられて水平面より下方に設けられた、車両の外部から荷物の出し入れが可能な第2荷室の、解錠および施錠を検出する施錠検出器と、第2荷室内に空気の流れを形成する空調部と、空調部を制御する空調制御部と、を備える。空調制御部は、第2荷室に荷物が収容されている状態で施錠検出器により第2荷室の施錠が検出されると、空調部を稼働する。
【0006】
本発明の他の態様である収容システムは、車室内空間と該車室内空間の床面に沿って延在する水平面より上方に形成された第1荷室との双方から隔てられて水平面より下方に設けられ、車両の外部から荷物の出し入れが可能な第2荷室の、解錠および施錠を検出する施錠検出器と、第2荷室内に空気の流れを形成する空調部と、空調部を制御する空調制御部と、第2荷室内の物体の有無を検出する物体検出センサと、を備える。空調制御部は、物体検出センサにより第2荷室において物体が検出されていないとき、空調部の稼働を停止し、物体検出センサにより第2荷室において物体が検出されると、空調部を稼働する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第三者による車室へのアクセスを防止しつつ、車両を荷物の一時保管場所として利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る収容装置が設けられた車両の一例を示す図。
図2図1の収容装置の外観形状を示す図。
図3A図1の収容装置が車両に搭載された状態を示す図。
図3B図1の収容装置が車両に搭載された状態を示す図。
図4A図1の収容装置が搭載された車両の右側面図。
図4B図1の収容装置が搭載された車両の右側面図。
図5図1の収容装置のケース部内の空気の流れを説明するための図。
図6】本発明の実施形態に係る収容装置10の適用例である収容システムの全体構成を概略的に示す図。
図7図6の車載端末の概略構成を示す図。
図8図6のサーバ装置の概略構成を示す図。
図9図6のサーバ装置のCPUで実行される処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図1図9を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る収容装置が設けられた車両の一例を示す図である。図1に示すように、収容装置10は、車両100の後部に設けられ、車両後端部から後方に引き出し可能なトレイ式の荷物入れである。収容装置10は、車両100の車室内空間と隔てられて設けられ、図1に示す例では、車両100のリアバンパRBに設けられている。
【0010】
図2は、図1の収容装置10の外観形状を示す図である。図2に示すように、収容装置10は、ケース支持部11とケース部12とを有する。ケース支持部11は、荷室を形成するケース部12を、車両100に収納された収納位置と、車両100から引き出された引き出し位置との間を前後方向(白抜き両矢印で示す方向)に移動可能に支持する。ケース支持部11は、ケース部12が収納位置に位置するとき、ケース部12を包囲するようにケース状に形成された外側ケース部を有する。外側ケース部、より具体的には、外側ケース部の側壁112R,112L,112Fと上壁112Uと下壁112Dとは、断熱材により構成される。
【0011】
収容装置10は、ケース部12内に空気の流れを形成する空調部13(13L,13R)を有する。空調部13Lは、空気流入口111Lと、空気孔121Lとを有する。空調部13Rは、空気流出口111Rと、空気孔121Rとを有する。図2に示すように、空気流入口111Lは、空気流出口111Rよりも下方に設けられる。ケース部12は、引き出し方向に延在するとともに互いに対向する側壁123L,123Rと、ケース部12が収納位置に位置するときに車体表面の一部を形成する端壁122と、を有する。側壁123Lには、ケース支持部11に設けられた空気流入口111Lに対向するように空気孔121Lが設けられる。側壁123Rには、ケース支持部11に設けられた空気流出口111Rに対向するように空気孔121Rが設けられる。
【0012】
空気流入口111Lは、ケース部12が収納位置に位置するとき、側壁123L(空気孔121L)に対向するようにケース支持部11の側壁112Lに設けられ、空気孔121Lを介して外部の空気をケース部12の荷室内に略水平方向に導く。空気流入口111Lは、ファン(送風機)を有し、ファンが稼働すると、外部の空気がケース部12の荷室内に強制的に導かれる。空気流出口111Rは、ケース部12が収納位置に位置するときに、側壁123R(空気孔121R)に対向するようにケース支持部11の側壁112Rに設けられ、空気流出口111Rを介してケース部12の荷室内の空気を略水平方向に外部に吐き出す。空気流出口111Rは、ファンを有し、ファンが稼働すると、ケース部12の荷室内の空気が外部へ強制的に吐き出される。
【0013】
空気孔121Lは、ケース部12が収納位置に位置するとき、ケース支持部11に設けられた空気流入口111Lに対向するように側壁123Lに設けられる。空気孔121Rは、ケース部12が収納位置に位置するとき、ケース支持部11に設けられた空気流出口111Rに対向するように側壁123Rに設けられる。
【0014】
収容装置10はさらに、ケース部12の収納位置から引き出し位置への移動を許可または禁止する開閉ロック部14を有する。開閉ロック部14は、ケース支持部11内の所定箇所に設けられる。図2に示す例では、開閉ロック部14は、ケース支持部11の上壁112Uの後端の左右方向中央部に設けられている。なお、開閉ロック部14は、図2に示す位置に限らず、その他の位置に設置されてもよい。また、開閉ロック部14は、ケース部12をケース支持部11に固定するラッチ機構であってもよいし、後述するスライドレールの移動を禁止するロック機構であってもよい。
【0015】
開閉ロック部14は、予め認証されたユーザ端末30と通信(近距離無線通信)することによって解錠可能な電子ロック(いわゆるスマートロック)である。開閉ロック部14は、ケース部12が引き出し位置から収納位置に戻されたときに自動的にロックする(作動状態にする)オートロック機構を有する。なお、開閉ロック部14は、手動で施錠および解錠が行われてもよい。例えば、ケース部12の端壁122の上端の左右中央部付近に設けられたシリンダ錠(不図示)により施錠および解錠が可能に構成されてもよい。
【0016】
図3Aおよび図3Bは、図1の収容装置10が車両100に搭載された状態を示す図である。図3Aには、ケース部12が引き出し位置に位置するときの状態が示され、図3Bには、ケース部12が収納位置に位置するときの状態が示されている。収容装置10のケース支持部11は、車両100の後部に略水平に設けられる。なお、ケース支持部11は、車体フレームの一部を形成するように車体フレームと一体に設けられてもよいし、車体フレームに取り付け可能に設けられてもよい。収容装置10は、スライドレール15(15L,15R)を有し、ケース支持部11は、スライドレール15を介して、ケース部12を略水平方向に引き出し可能に支持する。スライドレール15は、ケース支持部11に固定されるアウタレール113(113L,113R)と、ケース部12に固定されるインナレール124(124L,124R)とを有する。
【0017】
車両100の車体表面には、ケース部12の引き出し指令を入力するスイッチSWが設けられる。スイッチSWは、図3Bに示すように、端壁122の側方に設けられる。これにより、車両100の外部からケース部12を引き出すことが可能となり、収容装置10への荷物の出し入れを容易に行うことができる。スライドレール15は、リニアガイドアクチュエータ(不図示)を有し、ケース部12が収納位置に位置する状態でスイッチSWが押下されると、開閉ロック部14が非作動状態になるとともに、ケース部12が、リニアガイドアクチュエータにより所定長さ後方に引き出される。これにより、端壁122と車体との間に隙間ができるので、ユーザは端壁122の上端部に手を掛けてケース部12を容易に引き出すことが可能となる。また、ケース部12が引き出し位置に位置する状態で端壁122が前方に押し込まれると、ケース部12は、リニアガイドアクチュエータにより収納位置へゆっくりと(所定の移動速度で)引き込まれる。ケース部12が収納位置に達すると、開閉ロック部14がオートロック機構により作動状態になり、ケース部12の収納位置から引き出し位置への移動が禁止される。端壁122は、ケース部12が収納位置に位置するときに端壁122と連続する車体表面の形状と同じ形状を有するように形成される。図3Bに示す例では、端壁122は、車両100のリアバンパRBの表面形状(高剛性化のための凹凸形状)と同様の形状を有するように形成されている。これにより、リアバンパの剛性を低下させることなく、かつ、車両100の外観を損なうことなく、収容装置10を車両100に設けることができる。
【0018】
なお、スライドレール15の構造は、ボールリテナタイプであってもよいし、ローラタイプであってもよいし、その他のタイプであってもよい。また、スライドレール15の形式は、シングルスライドに限らず、アウタレール113Lとインナレール124Lとに加えて中間レール(不図示)を有するスリーメンバースライドであってもよい。
【0019】
図4Aおよび図4Bは、収容装置10が搭載された車両100の右側面図である。図4Aには、ケース部12が引き出し位置に位置するときの状態が示され、図4Bは、ケース部12が収納位置に位置するときの状態が示されている。図4Aおよび図4Bに示すように、ケース支持部11は、車室内空間から隔てられるように、車両100の車室内空間の床面FLに沿って延在する水平面より下方に設けられる。また、ケース支持部11は、ケース部12を略水平方向に引き出し可能に支持する。図4Aおよび図4Bの空間TRは、床面FLに沿って延在する水平面より上方に形成された、車両100のトランクルームである。
【0020】
図5は、空調部13により形成されるケース部12内の空気の流れを説明するための図である。図5には、収容装置10が搭載された車両100の背面図が示されている。なお、図5では、図面の簡略化のため、ケース部12の端壁122が省略されている。図中の矢印は、ケース部12に流入しケース部12から流出する空気の流れを模式的に表す。空気流入口111Lから流入した空気は、ケース部12内において温められると上昇し、空気流出口111Rから流出する。これにより、空気流入口111Lおよび空気流出口111Rのファンが稼働していないときでも、ケース部12内の温度が過度に上昇することを防止できる。また、空気流入口111Lおよび空気流出口111Rのファンを稼働させることで、図中の白抜き矢印で示すような空気の対流を強制的に発生させることができ、ケース部12内の温度を調整できる。
【0021】
収容装置10が設けられた車両100の後部にマフラなど、車両100の使用(エンジン始動や走行など)が開始されると温度が所定閾値以上に上昇する発熱部HTが配置されているとき、該発熱部HTの近傍に空気流入口111Lが設けられると、発熱部HTにより暖められた空気が空気流入口111Lからケース部12内に流入する可能性がある。このような場合、ケース部12内の温度が過度に上昇し、収容装置10の利用が妨げられるおそれがある。そこで、このような状況を回避するように、空気流入口111Lは、図5に示すように、空気流出口111Rよりも発熱部HTの遠方に設けられる。なお、所定閾値には、少なくとも外気温より高い温度が設定される。
【0022】
図6は、本発明の実施形態に係る収容装置10の適用例である収容システムの全体構成を概略的に示す図である。図6には、車両100に設けられた収容装置10を荷物の配達場所として指定可能な収容システム(以下、配達システムとも呼ぶ。)1が示されている。
【0023】
図6に示すように、配達システム1は、配達システム1を利用するユーザ3が有する、収容装置10が設けられた車両100と、車両100の車載端末20と、ユーザ3が有するユーザ端末30と、配達事業を行う事業所(以下、配達事業所と呼ぶ。)の配達員4が有する配達員端末40と、サーバ装置50と、を有する。
【0024】
車載端末20と、ユーザ端末30と、配達員端末40と、サーバ装置50とは、インターネット網や携帯電話網等に代表される公衆無線通信網を含むネットワーク6に接続され、ネットワーク6を介して互いに通信可能である。なお、ネットワーク6には、所定の管理地域ごとに設けられた閉鎖的な通信網、例えば無線LAN、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等も含まれる。
【0025】
図7は、図6の車載端末20の概略構成を示す図である。図7に示すように、車載端末20は、CPU等の演算部21と、ROM、RAM等の記憶部22と、I/Oインターフェース等の図示しないその他の周辺回路とを有するコンピュータを含んで構成される。また、車載端末20は、通信部23と、ファン241と、入出力部242と、引き出しロックアクチュエータ243と、トランクロックアクチュエータ244と、ロック検出センサ245と、温度センサ246と、故障検出センサ247と、物体検出センサ248と、を有する。
【0026】
通信部23は、ネットワーク6を介してユーザ端末30、配達員端末40、および、サーバ装置50と無線通信可能に構成される。ファン241は、空気流入口111Lおよび空気流出口111Rが有するファンであり、空調部13の一部を構成する。空気流入口111Lが有するファン241は、ケース部12の荷室内に空気を強制的に導く。また、空気流出口111Rが有するファン241は、ケース部12の荷室内の空気を強制的に吐き出す。なお、ファン241は、軸流式ファンであってもよいし、遠心式ファンであってもよいし、その他の形式のファンであってもよい。
【0027】
入出力部242は、各種指令を入力する。入出力部242には、ケース部12の引き出し指令を入力するスイッチSW(図3A,3B)が含まれる。また、入出力部242は、スピーカやディスプレイなどの出力装置を含み、各種情報を出力する。引き出しロックアクチュエータ243は、開閉ロック部14の一部を構成し、収容装置10を施錠または解錠する。より詳細には、引き出しロックアクチュエータ243は、ケース部12の開閉(引き出し位置と収納位置間の移動)を許可または禁止する。トランクロックアクチュエータ244は、車両100の車室内空間の床面に沿って延在する水平面より上方に形成されたトランクルームを解錠または施錠する。より詳細には、車両100のトランクルームが車室内空間と隔てられて設けられた密閉型のトランクルームであるとき、トランクロックアクチュエータ244は、トランクルームのトランクリッドの開閉を許可または禁止する。また、車両100のトランクルームが図4A,4BのトランクルームTRのように車室内空間の延長上に設けられた開放型のトランクルームであるとき、トランクロックアクチュエータ244は、トランクルームのリアゲートの開閉を許可または禁止する。
【0028】
ロック検出センサ245は、収容装置10の施錠状態または解錠状態を検出する。温度センサ246は、収容装置10の所定箇所に設けられ、ケース部12の内部温度を検出する。故障検出センサ247は、空調部13の故障を検出する。例えば、故障検出センサ247は、ファン241から出力される故障を示す信号の有無に基づき空調部13の故障を検出する。物体検出センサ248は、収容装置10のケース部12内の物体の有無を検出する。物体検出センサ248は、重量センサであってもよいし光電センサであってもよいし、その他のセンサであってもよい。
【0029】
演算部21は、機能的構成として、ファン241を制御する空調制御部211と、ロック制御部212と、を有する。
【0030】
空調制御部211は、物体検出センサ248により収容装置10において物体が検出されると、ファン241を稼働する。なお、空調制御部211は、物体検出センサ248により収容装置10において物体が検出されている状態で、ロック検出センサ245により収容装置10の施錠が検出されると、ファン241を稼働するようにしてもよい。その後、空調制御部211は、温度センサ246の検出値に基づき、ファン241の稼働および停止を制御する。具体的には、空調制御部211は、温度センサ246の検出値が所定温度以上であるとき、ファン241を稼働させ、温度センサ246の検出値が所定温度未満であるとき、ファン241の稼働を停止する。また、空調制御部211は、物体検出センサ248により収容装置10において物体が検出されないとき、ファン241の稼働を停止する。
【0031】
空調制御部211は、ファン241を稼働させたとき、ユーザ3に、ケース部12の内部温度とともに、ファン241が稼働したことを報知する。具体的には、ユーザ端末30に、温度センサ246の検出値とともに、ファン241が稼働したことを示す情報(表示情報等)を送信する。ファン241が稼働している間、空調制御部211は、ユーザ3に、ケース部12の内部温度とともに、ファン241が正常に動作していることを報知する。具体的には、ユーザ端末30に、温度センサ246の検出値とともに、ファン241が正常に動作していることを示す情報(表示情報等)を送信する。空調制御部211は、ファン241を停止したとき、ユーザ3に、ケース部12の内部温度とともに、ファン241が停止したことを報知する。具体的には、ユーザ端末30に、温度センサ246の検出値とともに、ファン241が停止したことを示す情報(表示情報等)を送信する。
【0032】
空調制御部211は、ファン241を稼働した後、所定時間経過しても温度センサ246の検出値が所定温度以上であるとき、通信部23を介して、ユーザ端末30に収容装置10の温度異常を報知する。より詳細には、空調制御部211は、収容装置10の温度異常を報知するための情報(以下、温度異常情報と呼ぶ。)をユーザ端末30に送信する。温度異常情報は、表示情報であってもよいし、音声情報であってもよい。これにより、温度異常を報知する映像をユーザ端末30のディスプレイ(不図示)に表示したり、温度異常を報知する音声をユーザ端末30のスピーカ(不図示)から出力したりできる。この結果、ユーザ3は、収容装置10の温度異常を認識できる。なお、空調制御部211は、配達員4が収容装置10の温度異常を認識可能なように、収容装置10の温度異常情報を配達員端末40に送信してもよい。また、空調制御部211は、車両100の乗員が収容装置10の温度異常を認識可能なように、収容装置10の温度異常情報を入出力部242に含まれる出力装置に出力してもよい。
【0033】
また、空調制御部211は、故障検出センサ247によりファン241の故障が検出されると、通信部23を介して、ユーザ端末30にファン241の故障を報知する。より詳細には、空調制御部211は、ファン241の故障を報知するための情報(以下、空調故障情報と呼ぶ。)をユーザ端末30に送信する。なお、空調制御部211は、温度異常情報と同様に空調故障情報を、配達員端末40や入出力部242(出力装置)に出力してもよい。
【0034】
ロック制御部212は、ユーザ3に紐づけられた端末(ユーザ端末30)からユーザ3の入力操作に応じて送信される収容装置10の解錠指令を、通信部23を介して受信する。ロック制御部212は、収容装置10の解錠指令を受信すると、引き出しロックアクチュエータ243に解錠信号を送信して、収容装置10を、ケース部12への荷物の出し入れが可能な解錠状態にする。一方、ロック制御部212は、ケース部12が収納位置に位置するときに、通信部23を介してユーザ端末30から収容装置10の施錠指令を受信すると、引き出しロックアクチュエータ243に施錠信号を送信して、ケース部12への荷物の出し入れが不可である施錠状態にする。ロック制御部212は、収容装置10が解錠状態であるとき、スイッチSWの操作に応じて開閉ロック部14を非作動状態にする一方、収容装置10が施錠状態であるとき、スイッチSWの操作に拘わらず開閉ロック部14を作動状態にする。なお、ロック制御部212は、不図示の車速センサの検出値に基づき車両100が走行中であると判定すると、収容装置10が解錠状態であっても、スイッチSWの操作に拘わらず開閉ロック部14を作動状態にする。すなわち、ロック制御部212は、車両100が停止していて、かつ、収容装置10が解錠状態であるとき、スイッチSWの操作に応じて開閉ロック部14を非作動状態にする。これにより、車両走行時に意図せずにケース部12が引き出されることを防止できる。なお、収容装置10の解錠指令および施錠指令は、車両100の車室内に設けられたスイッチ(不図示)を乗員が操作することでロック制御部212に入力されてもよい。また、収容装置10の解錠指令および施錠指令は、配達員端末40に対する配達員4の入力操作に応じて配達員端末40から送信されてもよい。
【0035】
ロック制御部212は、収容装置10を解錠状態または施錠状態にしたとき、通信部23を介して、ユーザ端末30に収容装置10の解錠または施錠を報知する。より詳細には、ロック制御部212は、通信部23を介して、収容装置10の解錠または施錠を報知するための情報(表示情報等)をユーザ端末30に送信する。
【0036】
また、ロック制御部212は、ユーザ端末30からユーザ3の入力操作に応じて送信される車両100のトランクルームの解錠指令を、通信部23を介して受信する。ロック制御部212は、トランクルームの解錠指令を受信すると、トランクロックアクチュエータ244に解錠信号を送信して、車両100のトランクルームを、荷物の出し入れが可能な解錠状態にする。一方、ロック制御部212は、通信部23を介してユーザ端末30からトランクルームの施錠指令を受信すると、トランクロックアクチュエータ244に施錠信号を送信して、車両100のトランクルームを、荷物の出し入れが不可である施錠状態にする。ロック制御部212は、車両100のトランクルームを解錠状態または施錠状態にしたとき、通信部23を介して、ユーザ端末30にトランクルームの解錠または施錠を報知する。より詳細には、ロック制御部212は、通信部23を介して、トランクルームの解錠または施錠を報知するための情報(表示情報等)をユーザ端末30に送信する。
【0037】
ロック制御部212は、ケース部12に荷物が収容されてから一定時間以上、ロック検出センサ245により収容装置10の施錠状態が検出されないとき、通信部23を介して、ユーザ端末30に施錠忘れを報知する。より詳細には、ロック制御部212は、通信部23を介して、収容装置10の施錠忘れを報知するための情報(以下、施錠忘れ情報と呼ぶ。)をユーザ端末30に送信する。施錠忘れ情報は、表示情報であってもよいし、音声情報であってもよい。これにより、施錠忘れを報知する映像をユーザ端末30のディスプレイ(不図示)に表示したり、施錠忘れを報知する音声をユーザ端末30のスピーカ(不図示)から出力したりできる。この結果、ユーザ3は、収容装置10の施錠し忘れを認識できる。なお、ロック制御部212は、車両100の乗員が収容装置10の施錠忘れを認識可能なように、施錠忘れ情報を入出力部242(出力装置)に出力してもよい。
【0038】
図6に示す配達システム1において、ユーザ端末30は、例えばユーザ3により携帯されて使用されるスマートフォンやタブレット端末、携帯電話、さらには各種ウェアラブル端末等の携帯端末により構成される。ユーザ端末30は、機能的構成として、ユーザ3が各種指令を入力するタッチパネルなどの入力部と、情報を出力するディスプレイなどの出力部と、ネットワーク6を介してサーバ装置50などと通信する通信部とを有する。
【0039】
配達システム1を利用するユーザ3は、予めユーザ端末30(入力部)を介して、ユーザ3の住所、電話番号、メールアドレス等のユーザ情報、および収容装置10を搭載する車両100の情報(以下、車両情報と呼ぶ。)を入力する。ユーザ情報には、ユーザ3が有するユーザ端末の識別情報(例えば、IPアドレス)や、ユーザ宛ての荷物を指定された場所(車両100の収容装置10)に置いて配達することの要求指令、すなわち置き配の要求指令も含まれる。車両情報には、車両100の識別ID(例えば、自動車登録番号)や、車両100の車載端末20の識別情報(例えば、IPアドレス)、車両100に設けられた収容装置10の形状やサイズ(容量)を特定可能な情報(以下、収容装置情報と呼ぶ。)等が含まれる。また、車両情報には、車両100の車体の所定箇所(例えば後部)に形成されたトランクルームの形状やサイズ(容量)を特定可能な情報(以下、トランクルーム情報と呼ぶ。)が含まれる。
【0040】
ユーザ3により入力されたユーザ情報および車両情報は、ユーザ3の識別ID(ユーザID)とともに通信部を介してサーバ装置50に送信される。これにより、ユーザ3に紐づけられたユーザ情報および車両情報がサーバ装置50の記憶部52に記憶され、ユーザ3が配達システム1に登録される。配達システム1に登録されたユーザ3は、収容装置10を施錠または解錠するためのアプリケーションソフトをユーザ端末30にインストールすることで、ユーザ端末30を介して収容装置10を施錠または解錠できる。
【0041】
配達員端末40は、例えば配送車両5を運転する配達員4により携帯されて使用されるスマートフォンやタブレット端末、携帯電話、さらには各種ウェアラブル端末等の携帯端末により構成される。配達員端末40は、機能的構成として、配達員4が各種指令を入力するタッチパネルなどの入力部と、情報を出力するディスプレイなどの出力部と、ネットワーク6を介してサーバ装置50などと通信する通信部とを有する。
【0042】
配達員端末40には、配達員端末40を、収容装置10の開閉ロック部14を解錠する電子キーとして機能させるためのアプリケーションソフトが予めインストールされている。この電子キーとしての機能は、サーバ装置50(より詳細には、後述する出力部514)から出力された解錠信号を受信したときに有効となる。配達員端末40が受信する解錠信号は、収容装置10の開閉ロック部14に対応した電子キーとしての機能が1回のみ有効となるワンタイムパスワードを含む。これにより、配達員端末40を一時的に、開閉ロック部14に対応した電子キーとすることができる。
【0043】
サーバ装置50は、例えば単一のサーバとして、あるいは機能ごとに別々のサーバから構成される分散サーバとして構成される。クラウドサーバと呼ばれるクラウド環境に作られた分散型の仮想サーバとしてサーバ装置50を構成することもできる。
【0044】
図8は、図6のサーバ装置50の概略構成を示す図である。図8に示すように、サーバ装置50は、CPU等の演算部51と、ROM、RAM等の記憶部52と、I/Oインターフェース等の図示しないその他の周辺回路とを有するコンピュータを含んで構成される。また、サーバ装置50は、ネットワーク6を介して車載端末20、ユーザ端末30、および、配達員端末40と無線通信可能に構成された通信部53を有する。記憶部52には、ユーザ端末30から通信部53を介してユーザIDとともに受信したユーザ情報および車両情報が、該ユーザIDとともに記憶される。また、記憶部52には、配達員4の情報(以下、配達員情報と呼ぶ。)が配達員4の識別IDとともに記憶される。配達員情報には、配達員4が担当する配達エリアを示す情報や、配達員4が有する配達員端末40の識別情報(例えば、電話番号やIPアドレス)が含まれる。配達員情報は、配達事業所によってサーバ装置50に予め登録される。より詳細には、配達事業所の従業員等が、配達事業所の通信端末(不図示)を介してサーバ装置50に配達員情報を送信することで、配達員情報が記憶部52に記憶される。
【0045】
演算部51は、機能的構成として、配達管理部511と、取得部512と、判断部513と、出力部514とを有する。
【0046】
配達管理部511は、通信部53を介して荷物の配達依頼に関する情報(以下、配達情報と呼ぶ。)を受信すると、該配達情報を管理する。配達情報は、記憶部52に記憶される。配達情報には、荷物の種別、形状、大きさなどの荷物情報、配達先が配達システム1に登録されているか否かの情報、配達予定日時の情報などが含まれる。配達先が配達システム1に登録されている場合とは、ユーザ3が非対面での荷物の受け取りを希望する場合、すなわちユーザ情報に置き配の要求指令が含まれる場合である。配達管理部511は、配達員4の識別IDに対応付けて記憶部52に記憶された配達員情報から、配達員4が有する配達員端末40の識別情報(IPアドレス)を取得する。配達管理部511は、取得した配達員端末40の識別情報に基づき、通信部53を介して配達員端末40との通信を確立し、通信部53を介して配達員端末40に配達情報を送信する。配達員4は、この配達情報に基づいて荷物の配送を行う。また、配達管理部511は、配達依頼の宛先であるユーザ3のユーザIDに対応付けて記憶部52に記憶されたユーザ情報に基づき、ユーザ3が有するユーザ端末30との通信を確立し、通信部53を介してユーザ端末30に配達情報を送信する。これによりユーザ3は、荷物の配達の予定を知ることができる。
【0047】
取得部512は、配達管理部511により受信された配達依頼の宛先がユーザ3であるとき、ユーザ3のユーザIDに対応付けて記憶部52に記憶された車両情報から、ユーザ3の車両100に搭載された車載端末20の識別情報(IPアドレス)を取得する。取得部512は、取得した車載端末20の識別情報に基づき、通信部53を介して車載端末20との通信を確立する。取得部512は、車載端末20から物体検出センサ248の検出値を取得する。具体的には、取得部512は、車載端末20に対して物体検出センサ248の検出値の送信指令を送信し、該送信指令に応じて車載端末20から送信される検出値を受信する。また、取得部512は、ユーザ3のユーザIDに対応付けて記憶部52に記憶された車両情報を取得する。さらに、取得部512は、記憶部52に記憶された配達情報を取得する。
【0048】
判断部513は、取得部512により取得された物体検出センサ248の検出値に基づき、ケース部12内に物体(荷物)が存在するか否か、すなわち、収容装置10が利用中であるか否かを判定する。
【0049】
判断部513は、収容装置10が利用中であるか否かの判定結果と、取得部512により取得された車両情報(収容装置情報)および配達情報(荷物情報)とに基づき、ケース部12に荷物を収容可能であるか否かを判断する。具体的には、判断部513は、収容装置10が利用中であるとの判定結果が得られるとき、ケース部12に荷物を収容不可能であると判断する。一方、収容装置10が利用中でないとの判定結果が得られるとき、判断部513は、収容装置情報と荷物情報とに基づき、配達対象の荷物がケース部12に収容可能な大きさであるか否か、すなわち荷物が所定条件を満たすか否かを判定する。例えば、判断部513は、荷物の縦、横および高さのいずれかのサイズが、ケース部12の縦、横、および高さのいずれのサイズよりも大きいとき、荷物が収容可能な大きさでないと判定する。荷物が所定条件を満たさないとき、判断部513は、ケース部12に荷物を収容不可能であると判断する。一方、荷物が所定条件を満たすとき、判断部513は、ケース部12に荷物を収容可能であると判断する。
【0050】
判断部513は、ケース部12に荷物を収容不可能であると判断すると、取得部512により取得された車両情報(トランクルーム情報)と配達情報(荷物情報)とに基づき、荷物が車両100のトランクルームに収容可能な大きさであるか否かを判定する。荷物が車両100のトランクルームに収容可能な大きさであるとき、判断部513は、車両100のトランクルームに荷物を収容可能であると判断する。一方、荷物が車両100のトランクルームに収容可能な大きさでないとき、ケース部12にも車両100のトランクルームにも荷物を収容不可能であると判断する。
【0051】
出力部514は、判断部513によりケース部12に荷物を収容可能であると判断されると、ワンタイムパスワードを含む、収容装置10の解錠信号を出力する。この解錠信号は、通信部53を介して配達員端末40に送信される。これにより配達員端末40の電子キーとしての機能が有効化され、開閉ロック部14の解錠が可能となる。このとき、出力部514は、収容装置10の解錠信号の送信を示す情報、すなわち置き配が可能であるとの情報(置き配可能情報)を、併せて配達員端末40に送信する。これにより配達員4は、収容装置10に荷物を配達可能であることを認識することができる。これに加え、出力部514が、解錠信号が配達員端末40に送信されたことを示す情報を、通信部53を介してユーザ端末30に送信するようにしてもよい。これによりユーザ3は、収容装置10に荷物が配達される予定であることを認識することができる。
【0052】
出力部514は、判断部513により車両100のトランクルームに荷物を収容可能であると判断されると、車両100のトランクルームの解錠をユーザ3に要求する。具体的には、通信部53を介してトランクルームの解錠要求をユーザ端末30に送信する。ユーザ端末30は、サーバ装置50からのトランクルームの解錠要求を受信すると、トランクルームの解錠要求があったことを報知するための画面と該解錠要求に応答するための画面とをディスプレイ(不図示)に表示する。ユーザ3は、ユーザ端末30を操作して、トランクルームの解錠要求に応答する。出力部514は、ユーザ端末30からトランクルームの解錠の承認を示す応答を受け付けると、トランクルームの解錠指令を車載端末20に対して送信する。このとき、出力部514は、トランクルームに置き配が可能であることを示す置き配可能情報を、併せて配達員端末40に送信する。車載端末20(ロック制御部212)は、トランクルームの解錠指令を受信すると、トランクロックアクチュエータ244に解錠信号を送信して、車両100のトランクルームを解錠状態にする。
【0053】
一方、ユーザ端末30からトランクルームの解錠の拒否を示す応答を受け付けると、出力部514は、置き配が不可能であるとの情報(置き配不可能情報)を、配達員端末40に送信する。これにより配達員は、収容装置10にも車両100のトランクルームにも荷物を配達できないことを認識することができる。このとき、出力部514は、置き配不可能情報を、同時にユーザ端末30に送信してもよい。また、既に荷物が収容されていて収容装置10が利用中であるときには、置き配不可能情報に、荷物の取り出しを指示する通知を含ませてもよい。さらに、ユーザ3がこの通知の後に収容装置10から荷物を取り出したことで、物体検出センサ248により収容装置10において物体が検知されなくなったとき、出力部514は、置き配可能情報を配達員端末40に送信してもよい。
【0054】
なお、取得部512は、車載端末20から物体検出センサ248の検出値を取得するとともに、車両100の位置情報(例えば車両100に搭載されたGPSセンサからの情報)を取得するようにしてもよい。この場合、判断部513は、収容装置10が利用中でなく、荷物が所定条件を満たし、かつ、車両100の位置が配達員4の配達エリア内にあるとき、ケース部12に荷物を収容可能であると判断する。一方、車両100の位置が配達員4の配達エリア外にあるときには、収容装置10が利用中でなく、かつ、荷物が所定条件を満たすときでも、ケース部12に荷物を収容不可能であると判断する。
【0055】
図9は、予めメモリに記憶されたプログラムにしたがって、サーバ装置50のCPUで実行される処理の一例を示すフローチャートである。配達員4が属する配達事業所が、予め配達システム1に登録されたユーザ3を宛先とする配達依頼を受け付けると、この配達依頼に関する配達情報が配達事業所の通信端末(不図示)を介してサーバ装置50に送信される。図9のフローチャートに示す処理は、例えば、サーバ装置50が通信部53を介して受信した配達情報を記憶部52に記憶すると開始される。
【0056】
まず、ステップS1で、予め記憶部52に記憶されたユーザIDに対応する車両情報を取得するとともに、予め記憶部52に記憶された配達情報を取得する。ステップS2で、ユーザ3の車両100との通信を確立する。より詳細には、ステップS1で取得した車両情報からユーザ3の車両100に搭載された車載端末20の識別情報を取得し、該識別情報に基づいて、通信部53を介した車載端末20との通信を確立する。ステップS3で、通信部53を介して車載端末20から、物体検出センサ248の検出値を取得し、該検出値に基づいて、収容装置10が利用中であるか否か、具体的には、ケース部12内に物体(荷物)が存在するか否かを判定する。
【0057】
ステップS3で否定されると、ステップS4で、ステップS1で取得された車両情報(収容装置情報)と配達情報(荷物情報)とに基づいて、配達予定の荷物が所定条件を満たすか否か、すなわち、荷物が収容装置10のケース部12に収容可能な大きさであるか否かを判定する。ステップS4で肯定されるとステップS5に進み、通信部53を介して配達員端末40に収容装置10の解錠信号を送信する。なお、ステップS1で取得された配達情報に含まれる配達予定日時の情報に基づいて、解錠信号を、荷物の配達予定時間になったときに送信してもよい。あるいは、配達員端末40に内蔵されたGPSセンサにより配達員端末40の位置を検出し、配達員端末40の位置が車両100から所定範囲内になったときに、解錠信号を送信してもよい。次いで、ステップS6で、収容装置10への荷物の置き配が可能であることを示す置き配可能情報を、ユーザ端末30と配達員端末40とに送信し、処理を終了する。
【0058】
一方、ステップS3で肯定、またはステップS4で否定されると、ステップS7に進む。ステップS7で、配達予定の荷物が車両100のトランクルームに収容可能であるか否かを判定する。このとき、ステップS1で取得された車両情報(トランクルーム情報)と配達情報(荷物情報)とに基づいて、荷物がトランクルームに収容可能な大きさであるか否かを判定し、荷物がトランクルームに収容可能な大きさであるとき、荷物がトランクルームに収容可能であると判断する。
【0059】
ステップS7で肯定されると、ステップS8で、トランクルームの解錠をユーザ3に要求する。具体的には、トランクルームの解錠要求をユーザ端末30に送信する。ステップS9で、ユーザ3からトランクルームの解錠要求に対する承認が得られたか否かを判定する。具体的には、ユーザ端末30からトランクルームの解錠の承認を示す応答を受け付けたか否かを判定する。ステップS9で肯定されると、ステップS10に進み、通信部53を介して車載端末20にトランクルームの解錠指令を送信する。なお、収容装置10の解錠信号と同様に、荷物の配達予定時間になったとき、あるいは、配達員端末40の位置が車両100から所定範囲内になったときに、トランクルームの解錠指令を送信してもよい。ステップS11で、車両100のトランクルームへの荷物の置き配が可能であることを示す置き配可能情報をユーザ端末30と配達員端末40とに送信し、処理を終了する。
【0060】
一方、ステップS7またはステップS9で否定されると、ステップS12で、収容装置10および車両100のトランクルームへの荷物の置き配が不可能であることを示す置き配不可能情報をユーザ端末30と配達員端末40とに送信し、処理を終了する。
【0061】
本実施形態の動作をまとめると以下のようになる。なお、ユーザ3は、車両100で自身の会社(職場)に出勤していて、車両100は、ユーザ3の職場の駐車場に駐車されているものとする。このような状況において、ユーザ3を宛先として配達事業所に荷物の配達依頼がなされると、配達事業所から、より詳細には配達事業所の通信端末(不図示)からサーバ装置50へ配達情報が送信される(ステップS1)。収容装置10が利用中でなく、かつ、荷物が収容装置10に収容可能な大きさであるとき、サーバ装置50は、収容装置10に荷物を収容可能であると判断し、配達員端末40に解錠信号を送信するとともに(ステップS3,S4,S5)、ユーザ端末30と配達員端末40とに置き配可能情報を送信する(ステップS6)。
【0062】
配達員端末40が解錠信号と置き配可能情報とを受信すると、配達員4は、配達員端末40を用いて収容装置10の開閉ロック部14を解錠する。この場合の解錠信号にはワンタイムパスワードが含まれ、配達員端末40により開閉ロック部14を1回のみ解錠可能となる。さらに、配達員4は、ケース部12をケース支持部11から引き出して、ケース部12に荷物を収容した後、ケース部12を収納位置に戻す。
【0063】
車載端末20は、物体検出センサ248の検出値とロック検出センサ245の検出値とに基づき、収容装置10に荷物が収容されるとともに収容装置10が施錠されたか否かを判定し、すなわち、収容装置10に荷物が配達されたか否かを判定し、荷物が配達されたと判定すると、配達完了情報をサーバ装置50に送信する。サーバ装置50は、配達完了情報をユーザ端末30に送信する。なお、サーバ装置50からではなく車載端末20から、配達完了情報をユーザ端末30に送信してもよい。
【0064】
その後、ユーザ3が、収容装置10に荷物が配達された車両100のところへ行き、ユーザ端末30を操作して収容装置10の開閉ロック部14を解錠し、ケース部12を引き出して、ケース部12から荷物を取り出す。
【0065】
なお、荷物のサイズが大きく収容装置10にも車両100のトランクルームにも荷物を収容できないときは、ユーザ端末30と配達員端末40とに置き配不可能情報が送信される(ステップS3,S4,S7,S12)。また、収容装置10が利用中であるときも同様に、ユーザ端末30と配達員端末40とに置き配不可能情報が送信される(ステップS3,S7,S12)。この場合、配達員4は、ユーザ3の住宅を訪問し、ユーザ3に対面で荷物を渡すようにしてもよい。なお、収容装置10にも車両100のトランクルームにも荷物を収容不可能であり、配達員4が荷物を持ち帰った場合に、そのことを示す通知を、ユーザ端末30に送信するようにしてもよい。
【0066】
本実施形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)収容装置10は、車両100に設けられる。収容装置10は、車室内空間から隔てられた荷室を形成するケース部12と、ケース部12を、車両100に収納された収納位置と、車両100から引き出された引き出し位置との間を移動可能に支持するケース支持部11と、ケース部12内に空気の流れを形成する空調部13と、を備える。空調部13は、ケース部12が収納位置に位置するときに、荷室内に略水平方向に空気を導く空気流入口111Lと、荷室内から略水平方向に空気を吐き出す空気流出口111Rを、有し、空気流入口111Lは空気流出口111Rよりも下方に設けられる。これにより、収容装置10の内部温度が荷物の保管に適した温度に維持されるようになり、収容装置10を荷物の保管場所として利用しやすくなる。その結果、収容装置10を置き配の指定場所として使用したり、車両100で買い物に出かけたときに、購入した商品の一時保管場所して使用したりでき、収容装置10の利便性が向上する。また、収容装置10の荷室が車室内空間と隔てられているため、該荷室を介した車室内空間への第三者のアクセスを防止できる。
【0067】
(2)車両100は、車両100の使用が開始されると、温度が所定閾値以上に上昇する発熱部HTを有する。空気流入口111Lは、ケース部12が収納位置に位置するとき、空気流出口111Rよりも発熱部HTの遠方に設けられる。これにより、発熱部HTにより温められた空気が空気流入口111Lから流入することを回避でき、収容装置10の内部温度の上昇を防ぐことができる。
【0068】
(3)ケース部12は、引き出し方向に延在するとともに互いに対向する側壁(第1側壁)123Lと側壁(第2側壁)123Rを有する。空気流入口111Lは、ケース部12が収納位置に位置するとき、側壁123Lに対向するようにケース支持部11に設けられる。空気流出口111Rは、ケース部12が収納位置に位置するとき、側壁123Rに対向するようにケース支持部11に設けられる。ケース部12は、ケース支持部11に設けられた空気流入口111Lに対向するように側壁123Lに設けられた空気孔(第1空気孔)121Lと、ケース支持部11に設けられた空気流出口111Rに対向するように側壁123Rに設けられた空気孔(第2空気孔)121Rと、を有する。これにより、ケース部12が収納位置に位置するときにも、ケース部12に流入しケース部12から流出する空気の流れを形成しやすくなる。
【0069】
(4)ケース支持部11は、ケース部12が収納位置に位置するとき、ケース部12を包囲するようにケース状に形成された外側ケース部(図2)を有し、外側ケース部は、断熱材により構成される。これにより、ケース部12内の温度が過渡に上昇または下降することを抑制できる。
【0070】
(5)ケース支持部11は、車室内空間の床面に沿って延在する水平面より下方に設けられる。これにより、収容装置10に直射日光に照らされることを回避でき、ケース部12内の温度が過渡に上昇することを抑制できる。
【0071】
本実施形態によれば、さらに以下のような作用効果を奏することができる。
【0072】
(1)配達システム1は、主に、車両100の車載端末20と、サーバ装置50とにより構成され、車室内空間と該車室内空間の床面に沿って延在する水平面より上方に形成された第1荷室(車両100のトランクルームTR)との双方から隔てられて水平面より下方に設けられた、車両100の外部から荷物の出し入れが可能な第2荷室(収容装置10)の、解錠および施錠を検出するロック検出センサ(施錠検出器)245と、収容装置10(ケース部12)内に空気の流れを形成する空調部13と、空調部13を制御する空調制御部211と、を備える。空調制御部211は、収容装置10に荷物が収容されている状態でロック検出センサ245により収容装置10の施錠が検出されると、空調部13を稼働する。これにより、ユーザ3以外の第三者による車室内空間へのアクセスを防止しつつ、車両100の収容装置10を荷物の配達先など、荷物の一時保管場所として利用できる。また、車両100の外部から収容装置10へ荷物の出し入れが可能であるので、収容装置10への荷物の出し入れを容易に行うことができる。
【0073】
(2)配達システム1は、外部の装置(ユーザ端末30、配達員端末40)との通信を行う通信部23,53と、通信部23を介して車両100のユーザに紐づけられたユーザ端末30から収容装置10の解錠指令が受信されると、収容装置10を、荷物の出し入れが可能な解錠状態にし、通信部23を介してユーザ端末30から収容装置10の施錠指令が受信されると、収容装置10を、荷物の出し入れが不可である施錠状態にするロック制御部212とをさらに備える。
【0074】
(3)ロック制御部212は、収容装置10に荷物が収容されてから一定時間以上、ロック検出センサ245により収容装置10の施錠状態が検出されないとき、通信部23を介して、ユーザ端末30に施錠忘れを報知する。これにより、配達員4やユーザ3が収容装置10の施錠を忘れたときでも、ケース部12内の荷物が第三者によって取り出されることを防止できる。
【0075】
(4)配達システム1は、通信部53を介して収容装置10に荷物を配達する配達員4に紐づけられた配達員端末40から荷物の形状および大きさを含む荷物情報が受信されると、該荷物情報により示される荷物の形状および大きさと収容装置10の形状および容量とに基づき、荷物が収容装置10に収容可能であるか否かを判定する判断部513と、判断部513により荷物が収容装置10に収容不可能であると判定されると、車両100のトランクルームの解錠要求をユーザ端末30に送信する出力部514と、をさらに備える。ロック制御部212は、解錠要求に応答してユーザ端末30から送信されるトランクルームの解錠指令を受信すると、車両100のトランクルームを解錠する。これにより、荷物が収容装置10に収まらないような大きさであるときでも車両100のトランクルームに荷物を配達することができ、再配達等の配達員の手間を低減できる。また、ユーザが再配達依頼する必要がなくなるため、ユーザの利便性を向上できる。
【0076】
(5)車載端末20は、収容装置10内の温度を検出する温度センサ246をさらに備える。空調制御部211は、温度センサ246の検出値が所定温度以上であるとき、空調部13を稼働させ、温度センサ246の検出値が所定温度未満であるとき、空調部13の稼働を停止する。これにより、ケース部12内の温度が過度に上昇することを回避できる。
【0077】
(6)空調制御部211は、空調部13を稼働した後、所定時間経過しても温度センサ246の検出値が所定温度以上であるとき、通信部23を介して、ユーザ端末30に収容装置の温度異常を報知する。これにより、温度が過度に上昇したケース部12内に、荷物が長時間収容されることを防止できる。
【0078】
(7)車載端末20は、空調部13の故障を検出する故障検出センサ247をさらに備える。空調制御部211は、故障検出センサ247により空調部13の故障が検出されると、通信部を介して、ユーザ端末30に空調部13の故障を報知する。これにより、空調部13の故障によりケース部12内の温度が過渡に上昇することを抑制できる。
【0079】
(8)収容装置10は、断熱材によって構成される。これにより、ケース部12内の温度が過渡に上昇または下降することをさらに抑制できる。
【0080】
(9)配達システム1は、主に、車両100の車載端末20と、サーバ装置50とにより構成され、車室内空間と該車室内空間の床面に沿って延在する水平面より上方に形成された第1荷室(車両100のトランクルーム)との双方から隔てられて水平面より下方に設けられた、車両100の外部から荷物の出し入れが可能な第2荷室(収容装置10)の、解錠および施錠を検出するロック検出センサ245と、収容装置10(ケース部12)内に空気の流れを形成する空調部13と、空調部13を制御する空調制御部211と、収容装置10内の物体の有無を検出する物体検出センサ248と、を備える。空調制御部211は、物体検出センサ248により収容装置10において物体が検出されていないとき、空調部13の稼働を停止し、物体検出センサ248により収容装置10において物体が検出されると、空調部13を稼働する。さらに、車載端末20は、収容装置10の温度を検出する温度センサ246を備え、空調制御部211は、温度センサ246の検出値が所定温度以上であるとき、空調部13を稼働させ、温度センサ246の検出値が所定温度未満であるとき、空調部13の稼働を停止する。これにより、空調部13を必要以上に稼働させることなく、ケース部12内の温度を所望の温度以下に維持できる。また、空調部13の消費電力を低減できるので、車両のエンジン停止時など、空調部13を車載バッテリからの電力により稼働させる場合に、バッテリ残量を必要以上に低下させることを防止できる。
【0081】
(10)空調制御部211は、空調部13を稼働した後、所定時間経過しても温度センサ246の検出値が所定温度以上であるとき、通信部23を介してユーザ端末30に収容装置10の温度異常を報知する。これにより、温度が過度に上昇したケース部12内に、荷物が長時間収容されることを防止できる。
【0082】
上記実施形態は種々の形態に変更することができる。以下、いくつかの変形例について説明する。上記実施形態では、判断部513が、収容装置10が利用中であるか否かを判定し、その判定結果と、配達情報と、収容装置情報とに基づき、ケース部12に荷物を収容可能であるか否かを判断するようにした。しかしながら、ケース部12に荷物を収容可能であるか否かの上記判断を、車載端末20が行うようにしてもよい。すなわち、車載端末20が判断部を備えていてもよい。この場合、車載端末20の判断部は、物体検出センサ248の検出値に基づき、収容装置10が利用中であるか否かを判定する。また、判断部は、ユーザ3に対応する車両情報(収容装置情報)および配達情報(荷物情報)をサーバ装置50から取得する。さらに、判断部は、収容装置10が利用中であるか否かの判定結果と、取得した収容装置情報および荷物情報とに基づき、ケース部12に荷物を収容可能であるか否かを判断する。
【0083】
また、上記実施形態では、判断部513によりケース部12に荷物を収容不可能であると判断されると、要求部としての出力部514が、車両100のトランクルームの解錠をユーザ3に要求するようにした。しかしながら、判断部513が、ケース部12に荷物を収容不可能であると判断したときに、車両100のトランクルームの解錠要求をユーザ端末30に送信するようにしてもよい。すなわち、判断部513が要求部として機能してもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、ケース部12が、ケース部12が収納位置に位置するとき、車体表面を形成する端壁122を有し、端壁122の側方の車体表面に、車載端末20の入出力部242の一部であるスイッチSWが設けられる例を説明した。しかしながら、ケース部12の引き出し指令を入力するスイッチは、収容装置10の一部に含まれていてもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、車載端末20の演算部21が、機能的構成として、施錠制御部としてロック制御部212を備える構成を例にした。しかしながら、収容装置10がCPU等の演算部等と、ROM、RAM等の記憶部と、I/Oインターフェース等のその他の周辺回路とを有するコンピュータを含むとき、収容装置10の演算部が機能的構成として施錠制御部を備えていてもよい。すなわち、収容装置10の施錠制御部が、車両停止時にはスイッチSWの操作に応じて開閉ロック部14を非作動状態にする一方、車両走行時にはスイッチSWの操作に拘わらず開閉ロック部14を作動状態にしてもよい。また、上記実施形態では、車載端末20の演算部21が、機能的構成として、空調制御部211を備える構成を例にしたが、収容装置10の演算部が機能的構成として空調制御部を備えていてもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、施錠制御部としてのロック制御部212が、収容装置10の解錠または施錠を報知するための情報をユーザ端末30に送信するようにした。しかしながら、施錠制御部は、収容装置10の解錠または施錠を報知するための情報とともに、収容装置10内を撮像して得られた画像情報(以下、撮像画像と呼ぶ。)をユーザ端末30に送信してもよい。この場合、収容装置10内の所定箇所、例えば、ケース支持部11の上壁112Uの下面に、収容装置10の内部全体が撮像範囲に含まれるようにカメラ(不図示)を設置する。そして、施錠制御部が、該カメラを制御して収容装置10内を撮像する。施錠制御部は、収容装置10の解錠時または施錠時だけでなく、車載端末20に電源が投入されている間、所定時間ごとに収容装置10内の撮像画像をユーザ端末30に送信してもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、ユーザ3が、ユーザ端末30を操作してトランクルームの解錠要求に応答し、出力部514が、ユーザ端末30からの解錠の承認を示す応答を受け付けると、トランクルームの解錠指令を車載端末20に送信するようにした。しかしながら、サーバ装置50からのトランクルームの解錠要求を受け付けたユーザ端末30が、ユーザ3の入力操作に応じて、トランクルームの解錠指令を車載端末20に送信してもよい。
【0088】
また、上記実施形態では、判断部513が、配達予定の荷物がトランクルームに収容可能な大きさであるときに、配達予定の荷物がトランクルームに収容可能であると判断するようにした。しなしながら、判断部は、車両100のトランクルームから車室内空間へのアクセスが可能であるとき、配達予定の荷物がトランクルームに収容可能な大きさであっても、配達予定の荷物がトランクルームに収容不可能であると判断してもよい。この場合、トランクルーム情報には、車両100のトランクルームが車室内空間へのアクセスが可能なトランクルームであるか否かを示す情報が記憶されている。車室内空間へのアクセスが不可能なトランクルームは、例えば、密閉型のトランクルームである。一方、車室内空間へのアクセスが可能なトランクルームは、例えば、図4A,4BのトランクルームTRのような開放型のトランクルームである。これにより、車両100の所有者であるユーザ3以外の第三者による、トランクルームから車室内空間へのアクセスを防止できる。
【0089】
また、上記実施形態では、出力部514が、判断部513によりケース部12に荷物を収容不可能であると判断されると、車両100のトランクルームの解錠をユーザ3に要求するようにした。しかしながら、配達員4が配達員端末40を操作して、車両100のトランクルームの解錠をサーバ装置50に要求してもよい。この要求を受け付けたサーバ装置50(出力部514)は、通信部53を介してトランクルームの解錠要求をユーザ端末30に送信する。これにより、例えば配達員4がケース部12に荷物を収容しようしたときに収容が困難または不可能である場合に、配達員4自らトランクルームの解錠をユーザ3に要求できる。したがって、再配達等の配達員の手間をさらに低減できる。
【0090】
また、上記実施形態では、空調制御部211が、ファン241を稼働および停止する例を示したが、ファン241はユーザ操作により稼働および停止可能であってもよい。例えば、ファン241を稼働および停止するためのスイッチを車両100(例えば、車体表面や車室内)に設けて、該スイッチの操作に応じてファン241が稼働および停止してもよい。また、ユーザ3の入力操作に応じて、ファン241の稼働指令および停止指令がユーザ端末30から車載端末20へ送信されてもよい。この場合、空調制御部は、通信部23を介してユーザ端末30からの稼働指令または停止指令を受信すると、ファン241を稼働または停止する。空調制御部は、ユーザ端末30からの稼働指令に応じてファン241を稼働させると、ファン241が稼働している間、ユーザ3に、ケース部12の内部温度とともに、ファン241が正常に動作していることを報知する。また、空調制御部は、ユーザ端末30から停止指令に応じてファン241を停止させると、ユーザ3に、ケース部12の内部温度とともに、ファン241が停止したことを報知する。
【0091】
また、上記実施形態では、空調制御部211が、収容装置10のケース部12に荷物が収容されている状態で収容装置10の施錠が検出されると、ファン241を稼働するようにした。しかしながら、荷物の配達予定日時の所定時間手前の時刻になったときに、サーバ装置50の出力部が、ファン241を稼働させるための指令を車載端末20に送信してもよい。この場合、車載端末20の空調制御部は、この指令を受信するとファン241を稼働する。
【0092】
また、上記実施形態では、車両100に設けられた収容装置10が、収容装置10を荷物の配達場所として指定可能な収容システム(配達システム)1に適用される例を示したが、収容装置10は、荷物の配達場所以外にも、貸しロッカー等、その他の用途に利用されてもよい。例えば、貸しロッカー事業を行う事業所を介してユーザ3以外のユーザに収容装置10が貸し出されてもよい。
【0093】
また、上記実施形態では、空調制御部211が、温度センサ246の検出値が所定温度以上であるか否かに基づき、ファン241を稼働または停止するようにした。しかしながら、空調制御部は、温度センサ246の検出値がユーザ3により予め設定された温度閾値以上であるか否かに基づき、ファン241を稼働または停止してもよい。この場合、ユーザ3は、ユーザ端末30を操作して温度閾値を車載端末20に予め送信する。車載端末20は、受信した温度閾値を記憶部22に記憶する。
【0094】
さらに、上記実施形態では、ケース支持部11が、スライドレール15を介して、ケース部12を略水平方向に引き出し可能に支持する収容装置10を例にした。しかしながら、収容装置は、スライドレール以外の引き出し機構を有していてもよい。また、上記実施形態では、車両100の後部に設けられ、車両後端部から後方に引き出し可能なケース部12を有する収容装置10を例にした。しかしながら、収容装置は、車両100の設置場所は、車両100の後部に限定されない。例えば、車両100の前部に設けられ、車両前端部から前方に引き出し可能なケース部を有していてもよい。
【0095】
以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上述した実施形態および変形例により本発明が限定されるものではない。上記実施形態と変形例の一つまたは複数を任意に組み合わせることも可能であり、変形例同士を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0096】
1 収容システム(配達システム)、10 収容装置、11 ケース支持部、12 ケース部、20 車載端末、30 ユーザ端末、40 配達員端末、50 サーバ装置、211 空調制御部、212 ロック制御部、241 ファン、242 入出力部、243 引き出しロックアクチュエータ、244 トランクロックアクチュエータ、245 ロック検出センサ、246 温度センサ、247 故障検出センサ、248 物体検出センサ、511 配達管理部、512 取得部、513 判断部、514 出力部
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9