(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020044
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】ドアパネル、及び、間仕切構造
(51)【国際特許分類】
E06B 7/215 20060101AFI20240206BHJP
E04B 2/74 20060101ALI20240206BHJP
E05D 15/00 20060101ALI20240206BHJP
E06B 7/18 20060101ALI20240206BHJP
E05C 1/16 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
E06B7/215
E04B2/74 561C
E05D15/00 A
E06B7/18 A
E05C1/16 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122915
(22)【出願日】2022-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100166958
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 喜代造
(72)【発明者】
【氏名】仲田 敬一
【テーマコード(参考)】
2E036
【Fターム(参考)】
2E036BA01
2E036EB02
2E036FA02
2E036GA02
2E036HA01
2E036HB02
(57)【要約】
【課題】側枠の幅寸法を抑制することにより扉体の幅寸法(開口幅寸法)を大きく確保することができる、ドアパネル及び間仕切構造を提供する。
【解決手段】ドアパネルDは、天井Cに設けられたレール2に吊支された状態でレール2に沿って移動可能とされ、枠体10と、枠体10に対して回動可能に組付けられる扉体20と、を備え、枠体10は、ドアパネルDの上辺を構成する上枠11と、ドアパネルDの一側辺を構成する側枠12と、を備え、扉体20は、ヒンジを介して側枠12に組付けられることにより、上枠11の下側領域を開閉可能とされ、側枠12の内部には、上下方向に沿って角筒部材13Sが収容され、角筒部材13Sの内部には、床面Fに対する側枠12の下端部の相対変位を規制するための規制機構14が収容される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井に設けられたレールに吊支された状態で前記レールに沿って移動可能とされるドアパネルであって、
枠体と、前記枠体に対して回動可能に組付けられる扉体と、を備え、
前記枠体は、前記ドアパネルの上辺を構成する上枠と、前記ドアパネルの一側辺を構成する側枠と、を備え、
前記扉体は、ヒンジを介して前記側枠に組付けられることにより、前記上枠の下側領域を開閉可能とされ、
前記側枠の内部には、上下方向に沿って角筒部材が収容され、
前記角筒部材の内部には、床面に対する前記側枠の下端部の相対変位を規制するための規制機構が収容される、ドアパネル。
【請求項2】
前記規制機構は、前記角筒部材における上下方向中途部に組付けられる操作部と、前記操作部の動作によって昇降する昇降ロッドと、前記昇降ロッドの下部に連結されて前記側枠と床面との隙間を閉塞可能とされる側枠シール部材と、を備え、
前記昇降ロッドが下降した際に前記側枠シール部材が床面に当接することにより、前記側枠の床面に対する相対変位が規制される、請求項1に記載のドアパネル。
【請求項3】
前記角筒部材の側面には、上下方向中途部に挿入孔が形成され、
前記操作部は、前記角筒部材の側方から前記挿入孔を介して挿入された状態で前記角筒部材に組付けられる、請求項2に記載のドアパネル。
【請求項4】
前記側枠は、上下方向に沿って延びて外部に露出する外枠体を有し、
前記操作部は、前記外枠体によって被覆されている、請求項3に記載のドアパネル。
【請求項5】
前記昇降ロッドの下部に挿入ピンが連結され、
前記昇降ロッドが下降した際に、前記挿入ピンが床面に開口された固定孔に挿入される、請求項2に記載のドアパネル。
【請求項6】
前記扉体の下部には、前記扉体と床面との隙間を閉塞する扉シール部材が上下に変位可能に設けられ、
前記扉体における戸尻面には、前記側枠の側に突出する押圧部材が設けられ、
前記扉シール部材は、前記押圧部材が前記扉体の側に押圧されることにより下方に変位して床面に当接するように構成され、
前記側枠の内部には、前記昇降ロッドの昇降と連動して昇降する受圧部材が収容され、
前記押圧部材は、前記受圧部材が上昇位置の際に前記扉体が閉塞された場合は前記側枠の内部に挿入され、前記受圧部材が下降位置の際に前記扉体が閉塞された場合は前記受圧部材により前記扉体の側に押圧される、請求項1に記載のドアパネル。
【請求項7】
前記上枠の上部には、前記上枠と天井との隙間を閉塞する上枠シール部材が上下に変位可能に前記ドアパネルの側方に突出して設けられ、
前記上枠シール部材は、前記上枠の側に押圧されることにより上方に変位して前記レールに当接するように構成される、請求項1に記載のドアパネル。
【請求項8】
請求項1から請求項7の何れか一項に記載のドアパネルと、
前記レールに沿って移動可能とされる少なくとも一枚の他のパネルと、を備え、
前記ドアパネルと前記他のパネルとが連続して配置される、間仕切構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、レールに沿って移動可能なドアパネル、及び、当該ドアパネルを備える間仕切構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パネル部材を天井に吊支する構成の間仕切構造が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の間仕切構造において、パネル部材の一つに、枠体と扉体とを備えるドアパネルを採用することがある。この場合、ドアパネルを支持する枠体の幅寸法を抑制して、ドアパネルにおける扉体の幅寸法(開口幅寸法)を大きく確保することが求められていた。そこで、本開示は、上記に関する課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係るドアパネルは、天井に設けられたレールに吊支された状態で前記レールに沿って移動可能とされるドアパネルであって、枠体と、前記枠体に対して回動可能に組付けられる扉体と、を備え、前記枠体は、前記ドアパネルの上辺を構成する上枠と、前記ドアパネルの一側辺を構成する側枠と、を備え、前記扉体は、ヒンジを介して前記側枠に組付けられることにより、前記上枠の下側領域を開閉可能とされ、前記側枠の内部には、上下方向に沿って角筒部材が収容され、前記角筒部材の内部には、床面に対する前記側枠の下端部の相対変位を規制するための規制機構が収容される。
【0006】
上記第1観点に係るドアパネルによれば、角筒部材の内部に規制機構を収容することにより、側枠の幅寸法を抑制することができる。このため、ドアパネルにおける扉体の幅寸法(開口幅寸法)を大きく確保することができる。
【0007】
上記第1観点に係るドアパネルにおける角筒部材については、一方の側面が開口するC型チャンネル形状とすることも可能である。
【0008】
本発明の第2観点に係るドアパネルは、第1観点に係るドアパネルであって、前記規制機構は、前記角筒部材における上下方向中途部に組付けられる操作部と、前記操作部の動作によって昇降する昇降ロッドと、前記昇降ロッドの下部に連結されて前記側枠と床面との隙間を閉塞可能とされる側枠シール部材と、を備え、前記昇降ロッドが下降した際に前記側枠シール部材が床面に当接することにより、前記側枠の床面に対する相対変位が規制される。
【0009】
上記第2観点に係るドアパネルによれば、角筒部材の内部に昇降ロッドの昇降スペースを確保することにより、側枠の幅寸法を抑制することができる。
【0010】
本発明の第3観点に係るドアパネルは、第2観点に係るドアパネルであって、前記角筒部材の側面には、上下方向中途部に挿入孔が形成され、前記操作部は、前記角筒部材の側方から前記挿入孔を介して挿入された状態で前記角筒部材に組付けられる。
【0011】
上記第3観点に係ドアパネルによれば、角筒部材に対して側方から操作部を着脱可能とすることにより、メンテナンスを容易に行うことができる。
【0012】
本発明の第4観点に係るドアパネルは、第3観点に係るドアパネルであって、前記側枠は、上下方向に沿って延びて外部に露出する外枠体を有し、前記操作部は、前記外枠体によって被覆されている。
【0013】
本発明の第5観点に係るドアパネルは、第2観点に係るドアパネルであって、前記昇降ロッドの下部に挿入ピンが連結され、前記昇降ロッドが下降した際に、前記挿入ピンが床面に開口された固定孔に挿入される。
【0014】
上記第5観点に係るドアパネルによれば、側枠の下方の隙間の閉塞と挿入ピンの下降とを同時に行うことができる。
【0015】
本発明の第6観点に係るドアパネルは、第1観点に係るドアパネルであって、前記扉体の下部には、前記扉体と床面との隙間を閉塞する扉シール部材が上下に変位可能に設けられ、前記扉体における戸尻面には、前記側枠の側に突出する押圧部材が設けられ、前記扉シール部材は、前記押圧部材が前記扉体の側に押圧されることにより下方に変位して床面に当接するように構成され、前記側枠の内部には、前記昇降ロッドの昇降と連動して昇降する受圧部材が収容され、前記押圧部材は、前記受圧部材が上昇位置の際に前記扉体が閉塞された場合は前記側枠の内部に挿入され、前記受圧部材が下降位置の際に前記扉体が閉塞された場合は前記受圧部材により前記扉体の側に押圧される。
【0016】
上記第6観点に係るドアパネルによれば、昇降ロッドが上昇位置の際に扉シール部材が下方に変位しないため、ドアパネルを移動する際に扉シール部材が床面と当接してドアパネルの移動を阻害することを防止できる。
【0017】
本発明の第7観点に係るドアパネルは、第1観点に係るドアパネルであって、前記上枠の上部には、前記上枠と天井との隙間を閉塞する上枠シール部材が上下に変位可能に前記ドアパネルの側方に突出して設けられ、前記上枠シール部材は、前記上枠の側に押圧されることにより上方に変位して前記レールに当接するように構成される。
【0018】
上記第7観点に係るドアパネルによれば、ドアパネルの上側の隙間を閉塞することができる。
【0019】
本発明の第8観点に係る間仕切構造は、第1観点から第7観点の何れか一に記載のドアパネルと、前記レールに沿って移動可能とされる少なくとも一枚の他のパネルと、を備え、前記ドアパネルと前記他のパネルとが連続して配置される。
【0020】
上記第8観点に係る間仕切構造によれば、間仕切構造が備えるドアパネルにおける側枠の幅寸法を抑制することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上における本発明に係るドアパネル及び間仕切構造は、以下に示す効果を奏する。
【0022】
第1観点に係るドアパネルによれば、扉体の幅寸法(開口幅寸法)を大きく確保することができる。
【0023】
第2観点に係るドアパネルによれば、側枠の幅寸法を抑制することができる。
【0024】
第3観点に係るドアパネルによれば、メンテナンスを容易に行うことができる。
【0025】
第4観点に係るドアパネルによれば、外枠体を取り外すことにより操作部を着脱することが可能となる。
【0026】
第5観点に係るドアパネルによれば、側枠の下方の隙間の閉塞と挿入ピンの下降とを同時に行うことができる。
【0027】
第6観点に係るドアパネルによれば、ドアパネルを移動する際に扉シール部材が床面と当接してドアパネルの移動を阻害することを防止できる。
【0028】
第7観点に係るドアパネルによれば、ドアパネルの上側の隙間を閉塞することができる。
【0029】
第8観点に係る間仕切構造によれば、間仕切構造が備えるドアパネルにおける側枠の幅寸法を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】一実施形態に係る間仕切構造を示した正面図。
【
図2】間仕切構造におけるドアパネルを示した正面図。
【
図5】初期状態における規制機構を示した拡大断面図。
【
図6】規制状態における規制機構を示した拡大断面図。
【
図7】扉開放状態における規制機構を示した拡大断面図。
【
図8】扉閉塞状態における規制機構を示した拡大断面図。
【
図10】操作部を角筒部材に組付ける第一手順を示した拡大断面図。
【
図11】操作部を角筒部材に組付ける第二手順を示した拡大断面図。
【
図12】ドアパネルの移動時におけるロック機構を示した正面断面図。
【
図13】ドアパネルの固定時におけるロック機構を示した正面断面図。
【
図16】(a)から(c)はそれぞれ、ロック機構が規制姿勢の際に扉体が閉塞する順序を示した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
[間仕切構造1]
以下では
図1から
図3を用いて、本発明の一実施形態に係る間仕切構造1の概略構成について説明する。本実施形態に係る間仕切構造1は
図1に示す如く、天井C、床面F、第一壁体W1、及び第二壁体W2によって形成された開口を閉塞可能に構成される。間仕切構造1は、例えば、オフィス、学校、病院、店舗等の空間を区切るために用いられる。本明細書においては、
図1における紙面手前側を間仕切構造1の前方とし、
図1における左側を間仕切構造1の左側方として説明する。
【0032】
本実施形態に係る間仕切構造1は、天井Cに設けられるレール2と、レール2に吊支されるとともにレール2に沿って移動可能とされる複数のパネル部材P・P・・・及びドアパネルDと、レール2に吊支されて開口の右側端部を閉塞する端部パネル4と、を備える。
図1に示す如く、本実施形態に係る間仕切構造1において、三枚のパネル部材P、ドアパネルD、及び、端部パネル4は、吊支部材7を介して吊支され、互いの側端部が当接された状態で連続して配置される。端部パネル4の右側には、押圧部4aが延出される。押圧部4aが第二壁体W2を押圧することにより、間仕切構造1の右側端部が閉塞される。
【0033】
本実施形態に係る間仕切構造1においては、開放状態において右側に集められた状態の三枚のパネル部材P及びドアパネルDをレール2に沿って左側方に順次移動させて、
図1に示す如く一列に連結させる。最も左側のパネル部材Pが第一壁体W1に当接し、ドアパネルDの右側と第二壁体W2との間を端部パネル4が閉塞することにより、天井Cから床面Fに亘って空間を区切ることが可能となる。
【0034】
図1に示す如く、それぞれのパネル部材Pは、パネル本体部3、上側閉塞部5、下側閉塞部6、及び、吊支部材7を備える。
図1に示す如く、間仕切構造1により開口を閉塞した際は、それぞれのパネル部材Pとレール2との隙間は上側閉塞部5により閉塞される。また、間仕切構造1により開口を閉塞した際は、それぞれのパネル部材Pと床面Fとの隙間は下側閉塞部6により閉塞される。
【0035】
上記の如く、間仕切構造1においては、パネル部材Pとレール2との隙間を上側閉塞部5で閉塞し、パネル部材Pと床面Fとの隙間を下側閉塞部6で閉塞することにより、区切られた空間における互いの音漏れや光漏れを防止する構成としている。
【0036】
吊支部材7はパネル本体部3とレール2とを変位可能に連結する部材であり、ローラが支持軸に回転可能に支持されている。吊支部材7のローラはレール2の内部に水平に回転可能に収容される。吊支部材7のローラがレール2の内部で回転することにより、それぞれのパネル部材Pはレール2に沿って変位可能とされる(ドアパネルD及び端部パネル4についても同様)。
【0037】
本実施形態に係る間仕切構造1においては
図2に示す如く、ドアパネルDは枠体10と扉体20とを備えて構成される。扉体20は枠体10に対して回動可能に組付けられる。扉体20にはドアノブ21が設けられる。また、扉体20の下端部には、扉体20と床面Fとの隙間を閉塞するための扉シール部26が設けられる。
【0038】
ドアパネルDにおいて、枠体10は吊支部材7を介してレール2と連結される。枠体10は、ドアパネルDの上辺を構成する上枠11と、ドアパネルDの右側辺を構成する側枠12と、を備える。ドアパネルDにおいて、扉体20は図示しないヒンジを介して側枠12に組付けられることにより、上枠11の下側領域を開閉可能とされる。
【0039】
本実施形態に係るドアパネルDにおいては
図2に示す如く、上枠11の内部には左右方向に沿って、上枠11を支持する角筒部材13Uが収容される。また、側枠12の内部には上下方向に沿って、側枠12を支持する角筒部材13Sが収容される。ドアパネルDにおいては、角筒部材13Uの右端部と角筒部材13Sの上端部とが溶接等で強固に連結されることにより、枠体10の剛性が確保される。
【0040】
ドアパネルDにおいては
図3及び
図4に示す如く、角筒部材13Sの右側面には、右側方が開放された断面コ字状の角筒である第一支持枠体18aが設けられている。第一支持枠体18aの右側方は、上下方向に沿って延びて外部に露出する第一外枠体19aで閉塞されている。また、角筒部材13Sの左側面には、左側方が開放された断面コ字状の角筒である第二支持枠体18bが設けられている。第二支持枠体18bの左側方は、シール部材Sが一体的に固定された第二外枠体19bで閉塞されている。
【0041】
ドアパネルDにおける上枠11の上端部には、上枠11とレール2との隙間を閉塞するための上枠シール部15が設けられる。
図12及び
図13に示す如く、上枠シール部15は、支持フレーム15a、付勢リンク15b、上枠シール部材15c、押圧部15d、及び、当接部材15eを備えて構成される。
【0042】
支持フレーム15aは上枠11の内部における上側に固定される。支持フレーム15aには、付勢リンク15bを介して上枠シール部材15cが連結される。
図12に示す如く、上枠シール部材15cは付勢リンク15bによってドアパネルDの左側方に突出するように付勢される。上枠シール部材15cの左側端部には押圧部15dが形成され、上枠シール部材15cの上面には当接部材15eが固定されている。
【0043】
ドアパネルDが左側のパネル部材Pに当接した際には、
図13に示す如く上枠シール部材15cの押圧部15dがパネル部材Pの上側閉塞部5により押圧される。そして、上枠シール部材15cは、付勢リンク15bの付勢力に抗して上枠11の側である右側に押圧されることにより上方に変位する。これにより、当接部材15eがレール2に当接し、上枠11とレール2との隙間が閉塞される。
【0044】
[規制機構14]
本実施形態に係るドアパネルDにおいては
図2から
図4に示す如く、側枠12の内部には上下方向に沿って、側枠12のフレーム体である角筒部材13Sが収容される。そして、角筒部材13Sの内部には、床面Fに対する側枠12の下端部の相対変位を規制するための規制機構14が収容される。
【0045】
ドアパネルDにおいて、規制機構14は
図3に示す如く、操作部30、昇降ロッド40、及び、側枠シール部材44を主な構成要素として備える。操作部30は、角筒部材13Sにおける上下方向中途部に組付けられる。昇降ロッド40は操作部30の動作によって上下方向に昇降可能に構成される。側枠シール部材44は、昇降ロッド40の下部に連結されている。側枠シール部材44は、昇降ロッド40が下降した際に床面Fに当接し、側枠12と床面Fとの隙間を閉塞可能とされる。このように、側枠シール部材44が床面Fに当接するため、側枠12の床面Fに対する相対変位が規制される。
【0046】
図5から
図9に示す如く、操作部30は、ブラケット31、ガイド部材32・32、回動部材33、リンク部材34、第一ピン35、及び、第二ピン36を備える。ブラケット31は固定板31aと、固定板31aに直交して組付けられる二枚の支持板31b・31bとで形成される。
【0047】
固定板31aには複数のねじ挿入孔31cが形成される。ねじ挿入孔31cにねじが挿入されて角筒部材13Sの雌ねじ孔に螺入されることにより、固定板31aは角筒部材13Sの右側面に固定される。
図10に示す如く、角筒部材13Sの右側面には挿入孔13aが形成されている。角筒部材13Sの側方から挿入孔13aを介してブラケット31の支持板31b・31b等が挿入された状態で、固定板31aが角筒部材13Sに固定されることにより、操作部30が角筒部材13Sに組付けられる。本実施形態において、ブラケット31の固定板31aには挿通孔31dが形成されている。また、支持板31bには貫通孔31eが形成されている。
【0048】
図4及び
図5に示す如く、角筒部材13Sの右側面に設けられる第一支持枠体18aには、固定板31aよりも一回り大きい角孔18hが開口されている。固定板31aを角孔18hに挿入して角筒部材13Sに当接させることにより、固定板31aを角筒部材13Sに固定することが可能となる。
【0049】
上記の如く、操作部30を角筒部材13Sに固定した後で、第一支持枠体18aの右側方が第一外枠体19aで閉塞される。即ち、角筒部材13Sに固定された操作部30は、第一外枠体19aによって被覆されている。
【0050】
本実施形態に係るドアパネルDにおいて、第一外枠体19aは押出成形されたアルミニウム合金で形成されている。また、
図4に示す如く第一外枠体19aの右側表面には開口溝19hが形成されている。ドアパネルDの使用者は、第一外枠体19aに形成された開口溝19hを取手として把持することにより、ドアパネルDを移動させることができる。
【0051】
また、第一外枠体19aは、隣接するパネル体に設けた突起部を開口溝19hに受け入れて嵌合可能とされている。具体的には、ドアパネルDの右側に隣接するパネル体における第一外枠体19aと対向する面には、第一外枠体19aと同じ外枠体が設けれられる。また、当該外枠体の開口溝にはシール部材Sと同様のシール部材が挿入される。そして、このシール部材が突起部となって、第一外枠体19aの開口溝19hに嵌入されるのである。
【0052】
支持板31b・31bの間には、二枚のガイド部材32・32が支持板31b・31bに対して相対変位不能に配置される。ガイド部材32には、弧状ガイド溝32a及び上下ガイド溝32bがガイド部材32を貫通して形成されている。
【0053】
ガイド部材32・32の間には回動部材33がガイド部材32・32に対して回動可能に配置される。回動部材33には前後方向に突出する円柱状の軸部33aが形成され、この軸部33aがガイド部材32・32に形成された円孔に挿入されることにより、回動部材33がガイド部材32・32に対して回動可能とされる。回動部材33には四角形の角孔33bが形成されている。また、
図2に示す如く、側枠12における角孔33bと同じ位置にはハンドル挿入孔12aが形成されている。
【0054】
回動部材33の先端部(半径方向の外側端部)には第一ピン35が固定されており、第一ピン35はガイド部材32の弧状ガイド溝32aに挿入されている。第一ピン35にはリンク部材34の上端部が連結されている。また、リンク部材34の下端部には第二ピン36が連結され、第二ピン36はガイド部材32の上下ガイド溝32bに挿入されている。
【0055】
回動部材33が回動すると、第一ピン35は弧状ガイド溝32aに沿って円弧状に変位する。第一ピン35の上下動はリンク部材34を介して第二ピン36に伝えられ、第二ピン36が上下に変位する。
【0056】
操作部30には昇降ロッド40が連結される。具体的には
図5及び
図9に示す如く、昇降ロッド40の上部には溝部40aが形成され、溝部40aに第二ピン36が挿入される。溝部40aの上端部に抜け止めねじ41が固定されることにより、第二ピン36の溝部40aからの離脱が規制される。これにより、第二ピン36の上下動に伴って、昇降ロッド40が上下方向に変位する。
【0057】
操作部30を角筒部材13Sに組付ける際には、ブラケット31、ガイド部材32・32、回動部材33、リンク部材34、第一ピン35、及び、第二ピン36を組み合わせた状態で、
図10に示す如く、角筒部材13Sの側方から挿入孔13aを介してブラケット31を回転させながら支持板31b・31b等を挿入する。この際、昇降ロッド40の溝部40aに第二ピン36を挿入する。
【0058】
そして、
図11に示す如く、挿通孔31dを介して抜け止めねじ41を挿入し、抜け止めねじ41を溝部40aの上端部に固定する。このように、本実施形態に係るドアパネルDは、操作部30を角筒部材13Sの側方から挿入孔13aを介して着脱可能としている。このため、ドアパネルDにおいて操作部30のメンテナンスを容易に行うことが可能となる。
【0059】
具体的には、第一支持枠体18aから第一外枠体19aを取り外すことにより、操作部30の固定板31aを外側に露出させることができる。このため、側枠12を分解することなく、操作部30を角筒部材13Sからの取り外し/取付けを行うことが可能となる。
【0060】
図5から
図8に示す如く、昇降ロッド40の下部には、連結部材42及び昇降部材43を介して側枠シール部材44が連結されている。昇降ロッド40の上下方向の変位により、連結部材42及び昇降部材43は上下方向に変位する。角筒部材13Sの下端部には支持部材16が固定されており、支持部材16により昇降部材43の上下動がガイドされる。連結部材42と支持部材16の下端部との間には第一ばねS1が介挿される。第一ばねS1により、連結部材42及び昇降ロッド40には常に上方への付勢力が加えられる。
【0061】
昇降部材43の下端部には、昇降部材43に対して上下方向に相対変位可能に側枠シール部材44が組付けられている。昇降部材43と側枠シール部材44との間には第二ばねS2が介挿されており、第二ばねS2により昇降部材43と側枠シール部材44とは互いに離間する方向に付勢されている。側枠シール部材44の下面には当接部材44aが固定されている。
【0062】
そして、
図6に示す如く昇降ロッド40が下降した際には、側枠シール部材44の当接部材44aは、昇降ロッド40が下降した際に床面Fに当接する。これにより、側枠シール部材44が側枠12と床面Fとの隙間を閉塞するため、側枠12の床面Fに対する相対変位が規制される。
【0063】
本実施形態に係るドアパネルDにおいて、昇降ロッド40の下部には、連結部材42を介して挿入ピン45が連結される。そして、
図6に示す如く昇降ロッド40が下降した際には、挿入ピン45が床面Fに開口された固定孔Fhに挿入される。本実施形態に係るドアパネルDにおいては、挿入ピン45が固定孔Fhに挿入されることによっても、側枠12の床面Fに対する相対変位を規制している。
【0064】
本実施形態に係るドアパネルDは、初期状態においては
図5に示す如く、第一ばねS1の付勢力により、昇降ロッド40、連結部材42、側枠シール部材44、挿入ピン45等は上方に付勢されている。そして、使用者が規制機構14を操作する際は、回動部材33の角孔33bに、側枠12のハンドル挿入孔12a、及び、支持板31bの貫通孔31eを介して図示しないハンドルを挿入する。
【0065】
さらに、使用者がハンドルを反時計回りに回動すると、
図6に示す如く回動部材33が回動し、昇降ロッド40を下方に変位させる。これにより、側枠シール部材44の当接部材44aが床面Fに当接し、同時に挿入ピン45が床面Fに開口された固定孔Fhに挿入されることにより、側枠12の床面Fに対する相対変位が規制される(規制状態)。
【0066】
図6に示す如く、ドアパネルDが規制状態において、操作部30の第一ピン35は、回動部材33の回動中心と第二ピン36とを結んだ線よりも右側に位置している。回動部材33には、第一ばねS1の付勢力が昇降ロッド40及びリンク部材34を介して常に上方に加わっているため、回動部材33には反時計回りの力が加わり続ける。このため、ドアパネルDは
図6に示す規制状態を維持する。
【0067】
使用者が規制機構14を操作して規制を解除する際は、回動部材33の角孔33bに、ハンドル挿入孔12a及び貫通孔31eを介してハンドルを挿入し、時計回りに回動する。これにより、回動部材33が第一ばねS1の付勢力に抗して時計回りに回動し、昇降ロッド40を上方に変位させる。これにより、側枠シール部材44の当接部材44aが床面Fから離間し、同時に挿入ピン45が固定孔Fhから抜き出され、側枠12の床面Fに対する相対変位の規制が解除される。
【0068】
本実施形態に係るドアパネルDにおいて、側枠シール部材44にはガイド部46が相対変位可能に載置される。ガイド部46の上端部にはローラ46aが設けられ、上下方向中途部には受圧部材47が固定される。ガイド部46における受圧部材47の下側には挿入溝46bが形成されている。
【0069】
[扉シール部26]
図5から
図8に示す如く、本実施形態に係るドアパネルDにおいて、扉体20の下端部には、扉体20と床面Fとの隙間を閉塞するための扉シール部26が設けられる。扉シール部26は、押圧部材である押圧ロッド51、シール支持部材52、スライド部材53、第一リンク部材54、第二リンク部材55、扉シール部材56、及び、第三ばねS3を備えて構成される。
【0070】
押圧ロッド51とスライド部材53は、シール支持部材52を介して、左右方向にスライド変位可能に扉体20に組付けられる。押圧ロッド51は扉体20の回動中心方向(戸尻側)に向かって延出されている。スライド部材53には、二本の第一リンク部材54・54の基端部が回動可能に連結される。また、シール支持部材52には、二本の第二リンク部材55・55の基端部が回動可能に連結される。
【0071】
第二リンク部材55の先端部は第一リンク部材54の中途部に連結される。第一リンク部材54・54の基端部と第二リンク部材55・55の基端部との間には第三ばねS3が介挿されている。第一リンク部材54・54の先端部には扉シール部材56が連結されている。扉シール部材56の下面には当接部材56aが固定されている。
【0072】
扉シール部26において、押圧ロッド51が扉体20の側に押圧されると、スライド部材53が第三ばねS3の付勢力に抗して左側にスライド変位する。これにより、第一リンク部材54・54の基端部と第二リンク部材55・55の基端部とが近接し、第一リンク部材54が下方に回動変位する。そして、扉シール部材56が下方に変位し、当接部材56aが床面Fに当接する。
【0073】
上記の如く、扉体20の下部には、扉体20と床面Fとの隙間を閉塞する扉シール部材56が上下に変位可能に設けられる。そして、扉体20における戸尻面には、側枠12の側に突出する押圧ロッド51が設けられる。さらに、扉シール部材56は、押圧ロッド51が扉体20の側に押圧されることにより下方に変位して床面Fに当接するように構成されている。
【0074】
本実施形態に係るドアパネルDにおいて、
図5に示す如く昇降ロッド40、側枠シール部材44等が上方に位置する初期状態においては、側枠シール部材44に載置されているガイド部46も上方に位置する。この際、ガイド部46の挿入溝46bは押圧ロッド51と同じ高さに位置する。このため、押圧ロッド51の先端部は挿入溝46bに挿入され、押圧ロッド51が扉体20の回動中心方向に向かって延出する状態が維持される。
【0075】
そして、使用者が規制機構14を操作して
図6に示す如く昇降ロッド40、側枠シール部材44等を下方に変位させて規制状態とすると、ガイド部46も自重により下方に変位しようとする。この際、
図6に示す如く受圧部材47が押圧ロッド51に係合することにより、ガイド部46の下方への変位が規制される。
【0076】
図6に示す規制状態から、使用者が扉体20を開放すると、
図7に示す如く扉体20が側枠12から離間する。これにより、押圧ロッド51も側枠12から離間し、挿入溝46bから抜け出る。このため、ガイド部46及び受圧部材47は押圧ロッド51による変位規制が解除され、自重により側枠シール部材44の高さ位置まで下方に変位する。この際、受圧部材47は押圧ロッド51と同じ高さに位置する。
【0077】
図7に示す扉開放状態から、使用者が扉体20を閉塞すると、
図8に示す如く扉体20が側枠12に近接する。これにより、押圧ロッド51も側枠12に近接し、受圧部材47により扉体20の側に押圧される。これにより、扉シール部材56が下方に変位し、当接部材56aが床面Fに当接する。
【0078】
上記の如く、本実施形態に係るドアパネルDにおいて、側枠12の内部には、昇降ロッド40の昇降と連動して昇降する受圧部材47が収容されている。また、押圧ロッド51は、受圧部材47が上昇位置の際に扉体20が閉塞された場合は側枠12の内部(挿入溝46b)に挿入される。そして、押圧ロッド51は、受圧部材47が下降位置の際に扉体20が閉塞された場合は受圧部材47により扉体20の側に押圧される。
【0079】
本実施形態に係るドアパネルDによれば、昇降ロッド40が下降位置の場合のみ、押圧ロッド51が受圧部材47に押圧される構成としている。換言すれば、昇降ロッド40が上昇位置の際は、押圧ロッド51は挿入溝46bに挿入されるため、扉シール部材56が下方に変位することがない。このため、ドアパネルDを移動する際(昇降ロッド40が上昇位置の際)に扉シール部材56が床面Fと当接してドアパネルDの移動を阻害することを防止できる。
【0080】
上記の如く、本実施形態に係るドアパネルDにおいて、側枠12の内部には、上下方向に沿って角筒部材13Sが収容されている。そして、角筒部材13Sの内部には、床面Fに対する側枠12の下端部の相対変位を規制するための規制機構14が収容される。これにより、側枠12の内部に角筒部材13Sと規制機構14とを隣接して設ける構成と比較して、側枠12の幅寸法を抑制することができる。このため、ドアパネルDにおける扉体20の幅寸法(開口幅寸法)を大きく確保することが可能となる。
【0081】
また、ドアパネルDにおいて規制機構14は、操作部30と、昇降ロッド40と、側枠シール部材44と、を備えて構成される。そして、昇降ロッド40が下降した際に側枠シール部材44が床面に当接することにより、側枠12の床面Fに対する相対変位が規制される。本実施形態においては、角筒部材13Sの内部に昇降ロッド40の昇降スペースを確保することにより、側枠12の幅寸法を抑制することが可能となる。
【0082】
また、本実施形態に係るドアパネルDは、昇降ロッド40の下部に挿入ピン45が連結され、昇降ロッド40が下降した際に、挿入ピン45が床面Fに開口された固定孔Fhに挿入される。これにより、側枠シール部材44による側枠12の下方の隙間の閉塞と、挿入ピン45の下降と、を同時に行うことが可能となる。
【0083】
[ロック機構17]
本実施形態に係るドアパネルDにおける上枠11には、ドアパネルDが移動可能な状態(
図12に示す如く左側のパネル部材Pに当接していない状態)において閉状態の扉体20の回動変位を規制可能なロック機構17が設けられている。ロック機構17は
図12から
図15に示す如く、ブラケット61、固定ピン62、昇降部材63、可動ピン64、圧縮ばね65、ロックピン66、追従部材67、及び、ガイド部材68等を構成要素として構成される。
【0084】
図12及び
図13に示す如く、ブラケット61は角筒部材13Uの左側端部に固定される。ブラケット61には前後方向に平行に設けられる二枚の板状部が形成され、板状部には上下方向に沿って第一長孔61aが形成される。ブラケット61における第一長孔61aの下方には固定ピン62が固定される。
【0085】
ブラケット61の板状部の間には筒状の昇降部材63が上下方向に変位可能に設けられる。昇降部材63の上端部には断面視U字形状の追従部材67が固定される。昇降部材63の上部には可動ピン64が固定され、昇降部材63における可動ピン64の下方には上下方向に沿って第二長孔63aが形成される。
【0086】
図14及び
図15に示す如く、固定ピン62は昇降部材63の第二長孔63aに挿通され、可動ピン64はブラケット61の第一長孔61aに挿通される。また、固定ピン62と可動ピン64との間には圧縮ばね65が介挿される。これにより、昇降部材63はブラケット61の板状部の間で上下方向に昇降可能に設けられ、圧縮ばね65の付勢力により上方に付勢される。可動ピン64が固定ピン62に対して近接離間する際には、可動ピン64と固定ピン62とのそれぞれに連結されたガイド部材68により上下動がガイドされる。
【0087】
図12から
図15に示す如く、昇降部材63の下端部には下方に向けて延出された円柱形状のロックピン66が固定される。ロックピン66の下端部には円錐形状のテーパ部66aが形成される。ドアパネルDにおいて、上枠11の下面には下板11aが設けられる。そして、下板11aにおけるロックピン66の下方には孔11bが開口される。
【0088】
一方、
図12から
図15に示す如く、扉体20の上面には上板22が設けられる。そして、扉体20が閉塞した状態において上板22における孔11bの下方に位置する箇所にはロック孔22aが開口される。さらに、扉体20におけるロック孔22aよりも閉塞側(
図14及び
図15における左側)には、傾斜部材23が設けられる。傾斜部材23の上面は、後方に向かって低くなるように傾斜する傾斜面が形成される。
【0089】
図12及び
図14に示す如く、ドアパネルDが移動可能な状態においては、上枠シール部材15cが下方に位置するため、昇降部材63が圧縮ばね65の付勢力により上方に付勢され、追従部材67が上枠シール部材15cに当接する。換言すれば、ドアパネルDが移動可能な状態においては、上枠シール部材15cは圧縮ばね65の付勢力に抗して昇降部材63を下方に押し下げる。
【0090】
昇降部材63が押し下げられることによって、ロックピン66は下方に位置する。これにより、ロックピン66の下端部は孔11bから下方に延出され、ロック孔22aに挿入される。ロックピン66が扉体20に形成されたロック孔22aに挿入されるため、扉体20の回動変位がロック機構17により規制される。
図12及び
図14に示す如く、ロックピン66が下方に位置する姿勢をロック機構17の「規制姿勢」と記載する。
【0091】
ドアパネルDが左側のパネル部材Pに当接した際には、
図13に示す如く上枠シール部材15cが上方に変位する。これにより、昇降部材63及びロックピン66が圧縮ばね65の付勢力により上方に変位する。これにより、ロックピン66の下端部はロック孔22aから抜き出され、孔11bよりも上方に退避する。ロックピン66が扉体20に形成されたロック孔22aから離脱するため、ロック機構17による扉体20の回動変位規制は解除される。
図13及び
図15に示す如く、ロックピン66が上方に位置する姿勢をロック機構17の「開放姿勢」と記載する。
【0092】
上記の如く、本実施形態に係るドアパネルDにおいて、ロック機構17は、ロックピン66が上方に位置することで閉状態の扉体20の回動変位を許容する開放姿勢と、ロックピン66が下方に位置することで閉状態の扉体20の回動変位を規制する規制姿勢と、の間で可変とされている。
【0093】
本実施形態において、規制姿勢のロック機構17は、開状態の扉体20の閉塞を許容する。具体的には
図16(a)に示す如く、例えば扉体20が開状態の際に、ドアパネルDが左側のパネル部材Pから離間した場合、ロックピン66が下方に位置する規制姿勢となる。この際、扉体20が閉じようとすると、
図16(b)に示す如く扉体20の上板22がロックピン66のテーパ部66aに当接し、ロックピン66を上方に退避させる。
【0094】
さらに、ロックピン66は傾斜部材23の傾斜面によって上方に押し上げられ、扉体20が閉状態になると
図16(c)に示す如くロックピン66はロック孔22aに挿入される。これにより、扉体20の回動変位がロック機構17により規制される。
【0095】
このように、本実施形態においては、ロックピン66の下端部にテーパ部66aを形成するとともに、ロック孔22aよりも閉塞側に傾斜面を有する傾斜部材23を設けることにより、規制姿勢のロック機構17が開状態の扉体20の閉塞を許容する構成としている。これにより、扉体20が開状態でドアパネルDがパネル部材Pから離間して移動可能となり、ロック機構17が開放姿勢から規制姿勢へと変わった場合でも、扉体20を閉じることが可能となる。
【0096】
また、本実施形態に係るドアパネルDにおいて、ロック機構17のロックピン66は、上枠シール部材15cの上下動に伴って、扉体20に対して進退可能とされている。これにより、上枠シール部材15cによるドアパネルDの上側の隙間の閉塞と連動してロック機構17を開放姿勢とすることができる。
【0097】
[変形例]
上記の実施形態は、以下に示す変形例に示すように適宜変形が可能である。なお、本明細書に記載する各変形例は、矛盾が生じない範囲で他の変形例と組み合わせて適用されてもよい。
【0098】
本発明に係るドアパネルが備える角筒部材については、側面が全て閉塞された筒形状以に、一方の側面が開口するC型チャンネル形状等を採用することも可能である。この場合、角筒部材の側面の開口を通じて規制機構を着脱することができる。また、側面が閉塞された角筒部材を採用する場合に、角筒部材の上端部又は下端部から規制機構を出し入れする構成とすることも可能である。
【0099】
また、本発明に係るドアパネルにおいて、角筒部材の内部に収容される規制機構は、床面に対する側枠の下端部の相対変位を規制するものであれば良く、本実施形態に限定されるものではない。例えば、規制機構が側枠シール部材と挿入ピンとの何れか一方のみを備える構成でも差し支えない。
【0100】
また、床面に対する側枠の下端部の相対変位を規制するために、角筒部材に収容される規制機構と連動しない挿入ピンを設けることも可能である。この場合、側枠の面外方向から挿入ピンを操作する構成、側枠の外側面から挿入ピンを操作する構成、又は、扉体を開放した状態で、側枠の内側面から挿入ピンを操作する構成を採用することができる。何れの場合でも、挿入ピンを固定孔に挿入した後で側枠を床面に圧接させることが可能である。
【0101】
また、本発明に係るドアパネルにおいて、規制機構の状態(昇降ロッドの位置)に関わらず扉シール部材が動作する構成とすることも可能である。また、ドアパネルに上枠シール部材を設けない構成とすることも可能である。また、他のパネル部材を用いずに、本発明に係るドアパネルと端部パネルとのみで間仕切構造を構成することも可能である。
【0102】
本発明に係るドアパネルにおいて、上枠における戸先側、又は、戸先側の側枠にロック機構を設けることが好ましい。また、ロック機構はドアパネルの枠体のうち、上枠と側枠との何れに設ける構成としても良い。また、規制姿勢のロック機構が、開状態の扉体の閉塞を許容する構成であれば、傾斜面はロックピンと扉体との何れか一方又は双方に形成することが可能である。
【0103】
また、上記の実施形態においては、ロック機構17を規制機構14とは独立した機構として構成しているが、ロック機構と規制機構とを連動させる構成とすることも可能である。即ち、操作部30とロック機構17とを枠体10の内部で連結し、操作部30の動作に伴ってロック機構が規制姿勢/開放姿勢に変位する構成とすることも可能である。この場合でも、開状態の扉体の閉塞を許容するようにロックピンを退避可能とすることにより、規制姿勢のロック機構が開状態の扉体の閉塞を許容することができる。
【0104】
また、ロックピンの断面形状は円形状に限定されず、楕円形状、多角形状等、他の形状とすることが可能である。また、金属板等の板状部材を折り曲げて筒形状としたものや、複数の板状部材を組み合わせて筒形状としたものをロックピンとして採用することも可能である。この場合、ロックピンの側面が全て閉じられた筒形状であっても、ロックピンの一方の側面が開放された筒形状であっても差し支えない。
【0105】
なお、扉体のみに傾斜面を形成し、ロックピンに傾斜面を形成しない構成とした場合、ロックピンが軸回りに回転する構成でも差し支えない。この場合、ロックピンの先端形状は円錐形のテーパ形状、半球形状等の形状とすることが可能である。また、ドアパネルの上側の隙間を閉塞するためのシール部材とロック機構とが連動しない構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0106】
1 間仕切構造 2 レール
3 パネル本体部 4 端部パネル
4a 押圧部 5 上側閉塞部
6 下側閉塞部 7 吊支部材
10 枠体 11 上枠
12 側枠 12a ハンドル挿入孔
13S 角筒部材 13U 角筒部材
13a 挿入孔 14 規制機構
15 上枠閉塞部 15a 支持フレーム
15b 付勢リンク 15c 上枠シール部材
15d 押圧部 16 支持部材
17 ロック機構 18a 第一支持枠体
18b 第二支持枠体 18h 角孔
19a 第一外枠体 19b 第二外枠体
19h 開口溝
20 扉体 21 ドアノブ
22 上板 22a ロック孔
23 傾斜部材 26 扉シール部
30 操作部 31 ブラケット
31a 固定板 31b 支持板
31c ねじ挿入孔 31d 挿通孔
31e 貫通孔 32 ガイド部材
32a 弧状ガイド溝 32b 上下ガイド溝
33 回動部材 33a 軸部
33b 角孔 34 リンク部材
35 第一ピン 36 第二ピン
40 昇降ロッド 40a 溝部
41 抜け止めねじ 42 連結部材
43 昇降部材 44 側枠シール部材
44a 当接部材 45 挿入ピン
46 ガイド部 46a ローラ
46b 挿入溝 47 受圧部材
51 押圧ロッド(押圧部材)
52 シール支持部材 53 スライド部材
54 第一リンク部材 55 第二リンク部材
56 扉シール部材 56a 当接部材
61 ブラケット 61a 第一長孔
62 固定ピン 63 昇降部材
63a 第二長孔 64 可動ピン
65 圧縮ばね 66 ロックピン
66a テーパ部 67 追従部材
68 ガイド部材
C 天井 F 床面
Fh 固定孔 P パネル部材
D ドアパネル W1 第一壁体
W2 第二壁体 S1 第一ばね
S2 第二ばね S3 第三ばね
S シール部材