(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020065
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】配管、配管構造、及び配管の製造方法
(51)【国際特許分類】
F16L 21/00 20060101AFI20240206BHJP
F16L 11/10 20060101ALI20240206BHJP
F16L 21/08 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
F16L21/00 F
F16L11/10 B
F16L21/08 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122949
(22)【出願日】2022-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】井関 知美
【テーマコード(参考)】
3H015
3H111
【Fターム(参考)】
3H015AA01
3H015AA05
3H015AC02
3H015BA01
3H015BB05
3H015FA04
3H111AA02
3H111BA01
3H111BA15
3H111CB14
3H111CB27
3H111CC06
3H111DB03
3H111EA02
3H111EA12
(57)【要約】
【課題】施工時に樹脂管に金属継手部を取付け忘れるのを防止した配管を提供する。
【解決手段】配管10Aは、樹脂管11Aと、樹脂管11Aの第1端部12Aに、少なくとも外周面の一部が覆われた状態で取付けられた金属継手部16Aと、を備え、樹脂管11A及び金属継手部16Aの一方における外部に露出した外周面には、凹部12bAが形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂管と、
前記樹脂管の第1端部に、少なくとも外周面の一部が覆われた状態で取付けられた金属継手部と、
を備え、
前記樹脂管及び前記金属継手部の一方における外部に露出した外周面には、凹部が形成されている、配管。
【請求項2】
前記金属継手部の外周面全体は、前記樹脂管に覆われ、
前記凹部は、前記樹脂管の外周面に形成され、
前記金属継手部は、前記樹脂管の軸線方向において、前記凹部が形成された範囲にわたって配置されている、請求項1に記載の配管。
【請求項3】
前記樹脂管は、前記金属継手部よりも、前記樹脂管の第2端部に対する前記第1端部側、及び、前記樹脂管の前記第1端部に対する前記第2端部側に向かって、それぞれ突出している、請求項2に記載の配管。
【請求項4】
前記金属継手部における前記樹脂管の第2端部側の外周面は、前記樹脂管に覆われ、
前記金属継手部における、前記樹脂管の前記第2端部に対する前記第1端部側の端部は、前記樹脂管よりも前記樹脂管の軸線方向に突出し、
前記凹部は、前記金属継手部における前記樹脂管よりも突出した部分の外周面に形成されている、請求項1に記載の配管。
【請求項5】
前記樹脂管における前記金属継手部が取付けられていない部分の内周面、及び前記金属継手部の内周面は、互いに面一である、請求項1に記載の配管。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の一対の配管であって、前記一対の配管における、前記樹脂管の第2端部に対する前記第1端部側の端部同士を対向させた状態に配置された前記一対の配管と、
前記一対の配管の前記端部の外周面をそれぞれ水密に覆う封止部材と、
前記一対の配管の前記凹部にそれぞれ嵌め合う連結部材と、
を備える、配管構造。
【請求項7】
樹脂管と、前記樹脂管の第1端部に、少なくとも外周面の一部が覆われた状態で取付けられた金属継手部と、を備え、前記樹脂管における外部に露出した外周面には、凹部が形成されている配管を製造する配管の製造方法であって、
金型本体と、前記金型本体の径方向に開閉自在であって前記凹部を形成する凸部を有する複数の外形型と、を備える金型における前記金型本体と前記複数の外形型との間に前記金属継手部を配置する継手配置工程と、
前記金型及び前記樹脂管の少なくとも一方を予熱した状態で、前記樹脂管の前記第1端部を前記複数の外形型内に挿入するとともに前記金属継手部に向かって加圧し、前記金型及び前記樹脂管を冷却することで、前記樹脂管の前記第1端部に前記金属継手部を取付ける接続工程と、
前記金型本体に対して前記複数の外形型を前記径方向外側に移動させて、前記金型から前記配管を取出す取出し工程と、
を行い、
前記接続工程では、前記複数の外形型の前記凸部により、前記樹脂管における外部に露出した外周面に、前記凹部を形成する、配管の製造方法。
【請求項8】
樹脂管と、前記樹脂管の第1端部に、外周面の一部が覆われた状態で取付けられた金属継手部と、を備え、前記金属継手部における外部に露出した外周面には、凹部が形成されている配管を製造する配管の製造方法であって、
金型本体と、前記金型本体の径方向に開閉自在であって前記凹部に嵌め合う凸部を有する複数の外形型と、を備える金型における前記金型本体と前記複数の外形型との間に前記金属継手部を配置する継手配置工程と、
前記金型及び前記樹脂管の少なくとも一方を予熱した状態で、前記樹脂管の前記第1端部を前記複数の外形型内に挿入するとともに前記金属継手部に向かって加圧し、前記金型及び前記樹脂管を冷却することで、前記樹脂管の前記第1端部に前記金属継手部を取付ける接続工程と、
前記金型本体に対して前記複数の外形型を前記径方向外側に移動させて、前記金型から前記配管を取出す取出し工程と、
を行い、
前記継手配置工程では、前記複数の外形型の前記凸部が、前記金属継手部の前記凹部に嵌め合う、配管の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管、配管構造、及び配管の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、互いに対向するように配置した一対の管材(樹脂管)を、管継手で接続することにより、一対の管材を接続することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
管材の外周面には、溝部(凹部)が形成されている。管継手は、継手本体部と、一対のロックリング(金属継手部)と、を有する。
一対の管材の端部同士を対向させた状態で一対の管材を互いに接続するには、以下の工程を行う。すなわち、各管材の溝部に、ロックリングを装着する。各ロックリングのおねじ部を、継手本体部の各端部のめねじ部にそれぞれ締め込む。
以上の工程により、一対の管材が互いに接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一対の管材を管継手で接続する際に、管材にロックリングを装着し忘れる虞がある。この場合、管材と管継手との接続が不確実になる。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、施工時に樹脂管に金属継手部を取付け忘れるのを防止した配管、この配管を備える接続構造、及び配管の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
(1)本発明の態様1は、樹脂管と、前記樹脂管の第1端部に、少なくとも外周面の一部が覆われた状態で取付けられた金属継手部と、を備え、前記樹脂管及び前記金属継手部の一方における外部に露出した外周面には、凹部が形成されている、配管である。
【0007】
この発明では、金属継手部は、樹脂管の第1端部に、少なくとも外周面の一部が覆われた状態で取付けられている。このため、予め、樹脂管及び金属継手部が一体となっている。従って、配管の施工時に、樹脂管に金属継手部を取付け忘れるのを防止することができる。
また、樹脂管及び金属継手部の一方の外周面には、凹部が形成されている。例えば、配管を一対用い、これら一対の配管における、樹脂管の第2端部に対する第1端部側の端部同士を対向させた状態に配置する。一対の配管の凹部に連結部材をそれぞれ嵌め合わせることで、連結部材により一対の配管を接続することができる。
【0008】
(2)本発明の態様2は、前記金属継手部の外周面全体は、前記樹脂管に覆われ、前記凹部は、前記樹脂管の外周面に形成され、前記金属継手部は、前記樹脂管の軸線方向において、前記凹部が形成された範囲にわたって配置されている、(1)に記載の配管であってもよい。
この発明では、金属継手部の外周面全体が樹脂管に覆われているため、配管の外部から金属継手部を視認し難くなり、配管の製造者、施工者等が樹脂管の材質を確実に認識することができる。さらに、金属継手部は、樹脂管の軸線方向において凹部が形成された範囲にわたって配置されているため、樹脂管において凹部が形成されて強度が弱くなる部分を、金属継手部により補強することができる。
【0009】
(3)本発明の態様3は、前記樹脂管は、前記金属継手部よりも、前記樹脂管の第2端部に対する前記第1端部側、及び、前記樹脂管の前記第1端部に対する前記第2端部側に向かって、それぞれ突出している、(2)に記載の配管であってもよい。
この発明では、金属継手部に対して樹脂管が突出していない場合に比べて、樹脂管に対して金属継手部が軸線方向に移動する際の樹脂管と金属継手部との摩擦が大きくなる。従って、樹脂管から金属継手部が軸線方向の両側にそれぞれ離脱し難くすることができる。
【0010】
(4)本発明の態様4は、前記金属継手部における前記樹脂管の第2端部側の外周面は、前記樹脂管に覆われ、前記金属継手部における、前記樹脂管の前記第2端部に対する前記第1端部側の端部は、前記樹脂管よりも前記樹脂管の軸線方向に突出し、前記凹部は、前記金属継手部における前記樹脂管よりも突出した部分の外周面に形成されている、(1)に記載の配管であってもよい。
この発明では、金属継手部における第2端部側の部分の外周面を、樹脂管により覆うことができる。
そして、例えば、配管を一対用い、これら一対の配管における、樹脂管の第2端部に対する第1端部側の端部同士を対向させた状態に配置する。一対の配管の凹部に連結部材をそれぞれ嵌め合わせることで、連結部材により一対の配管を接続することができる。この際に、凹部は金属継手部に形成されているため、凹部が樹脂管に形成されている場合に比べて凹部周辺の強度が向上し、連結部材により一対の配管を確実に接続することができる。
【0011】
(5)本発明の態様5は、前記樹脂管における前記金属継手部が取付けられていない部分の内周面、及び前記金属継手部の内周面は、互いに面一である、(1)から(4)のいずれかに記載の配管であってもよい。
この発明では、配管の内周面における樹脂管と金属継手部との接続部分が、段差無く滑らである。従って、例えば、配管内を流体が流れたときに、この流体が接続部分を、圧力損失を抑えて流れることができる。
【0012】
(6)本発明の態様6は、(1)から(5)のいずれかに記載の一対の配管であって、前記一対の配管における、前記樹脂管の第2端部に対する前記第1端部側の端部同士を対向させた状態に配置された前記一対の配管と、前記一対の配管の前記端部の外周面をそれぞれ水密に覆う封止部材と、前記一対の配管の前記凹部にそれぞれ嵌め合う連結部材と、を備える、配管構造である。
【0013】
この発明では、一対の配管の端部同士を対向させて、一対の配管を配置する。この状態で、一対の配管の端部同士を、封止部材により封止するとともに、連結部材により接続して、配管構造を構成することができる。
【0014】
(7)本発明の態様7は、樹脂管と、前記樹脂管の第1端部に、少なくとも外周面の一部が覆われた状態で取付けられた金属継手部と、を備え、前記樹脂管における外部に露出した外周面には、凹部が形成されている配管を製造する配管の製造方法であって、金型本体と、前記金型本体の径方向に開閉自在であって前記凹部を形成する凸部を有する複数の外形型と、を備える金型における前記金型本体と前記複数の外形型との間に前記金属継手部を配置する継手配置工程と、前記金型及び前記樹脂管の少なくとも一方を予熱した状態で、前記樹脂管の前記第1端部を前記複数の外形型内に挿入するとともに前記金属継手部に向かって加圧し、前記金型及び前記樹脂管を冷却することで、前記樹脂管の前記第1端部に前記金属継手部を取付ける接続工程と、前記金型本体に対して前記複数の外形型を前記径方向外側に移動させて、前記金型から前記配管を取出す取出し工程と、を行い、前記接続工程では、前記複数の外形型の前記凸部により、前記樹脂管における外部に露出した外周面に、前記凹部を形成する、配管の製造方法である。
【0015】
この発明では、継手配置工程において、金型本体と複数の外形型との間に金属継手部を配置する。接続工程において、金型及び樹脂管の少なくとも一方を予熱した状態で、樹脂管の第1端部を複数の外形型内に挿入するとともに金属継手部に向かって加圧する。金型及び樹脂管を冷却することで、樹脂管の第1端部に金属継手部を取付ける。接続工程では、複数の外形型の凸部により、樹脂管における外部に露出した外周面に、凹部を形成する。そして、取出し工程において、金型本体に対して複数の外形型を径方向外側に移動させて、金型から配管を取出す。
以上の工程により製造された配管では、金属継手部は、樹脂管の第1端部に、少なくとも外周面の一部が覆われた状態で取付けられている。このため、予め、樹脂管及び金属継手部が一体となっている。従って、配管の施工時に樹脂管に金属継手部を取付け忘れるのを防止することができる。
また、樹脂管の外周面には、凹部が形成されている。例えば、配管を一対用い、これら一対の配管における、樹脂管の第2端部に対する第1端部側の端部同士を対向させた状態に配置する。一対の配管の凹部に連結部材をそれぞれ嵌め合わせることで、連結部材により一対の配管を接続することができる。
【0016】
(8)本発明の態様8は、樹脂管と、前記樹脂管の第1端部に、外周面の一部が覆われた状態で取付けられた金属継手部と、を備え、前記金属継手部における外部に露出した外周面には、凹部が形成されている配管を製造する配管の製造方法であって、金型本体と、前記金型本体の径方向に開閉自在であって前記凹部に嵌め合う凸部を有する複数の外形型と、を備える金型における前記金型本体と前記複数の外形型との間に前記金属継手部を配置する継手配置工程と、前記金型及び前記樹脂管の少なくとも一方を予熱した状態で、前記樹脂管の前記第1端部を前記複数の外形型内に挿入するとともに前記金属継手部に向かって加圧し、前記金型及び前記樹脂管を冷却することで、前記樹脂管の前記第1端部に前記金属継手部を取付ける接続工程と、前記金型本体に対して前記複数の外形型を前記径方向外側に移動させて、前記金型から前記配管を取出す取出し工程と、を行い、前記継手配置工程では、前記複数の外形型の前記凸部が、前記金属継手部の前記凹部に嵌め合う、配管の製造方法である。
【0017】
この発明では、継手配置工程において、金型本体と複数の外形型との間に金属継手部を配置する。継手配置工程では、複数の外形型の凸部が、金属継手部の凹部に嵌め合う。接続工程において、金型及び樹脂管の少なくとも一方を予熱した状態で、樹脂管の第1端部を複数の外形型内に挿入するとともに金属継手部に向かって加圧する。金型及び樹脂管を冷却することで、樹脂管の第1端部に金属継手部を取付ける。そして、取出し工程において、金型本体に対して複数の外形型を径方向外側に移動させて、金型から配管を取出す。
以上の工程により製造された配管では、金属継手部は、樹脂管の第1端部に、外周面の一部が覆われた状態で取付けられている。このため、予め、樹脂管及び金属継手部が一体となっている。従って、配管の施工時に樹脂管に金属継手部を取付け忘れるのを防止することができる。
また、金属継手部の外周面には、凹部が形成されている。例えば、配管を一対用い、これら一対の配管における、樹脂管の第2端部に対する第1端部側の端部同士を対向させた状態に配置する。一対の配管の凹部に連結部材をそれぞれ嵌め合わせることで、連結部材により一対の配管を接続することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の配管、配管構造、及び配管の製造方法では、施工時に樹脂管に金属継手部を取付け忘れるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1実施形態の配管構造を側面視した要部の断面図である。
【
図2】本発明の第1実施形態の配管の製造方法を示すフローチャートである。
【
図3】同配管の製造方法に用いられる金型が閉じた状態を、側面視した断面図である。
【
図4】同金型が開いた状態を、側面視した断面図である。
【
図5】同配管の製造方法における接続工程を説明する断面図である。
【
図6】本発明の第1実施形態の第1変形例における配管構造を側面視した要部の断面図である。
【
図7】同配管構造における配管の製造方法における継手配置工程を説明する断面図である。
【
図8】本発明の第1実施形態の第2変形例における配管構造を側面視した要部の断面図である。
【
図9】本発明の第2実施形態の配管構造を側面視した要部の断面図である。
【
図10】本発明の第2実施形態の配管の製造方法に用いられる金型が閉じた状態を側面視した断面図である。
【
図11】同配管の製造方法における接続工程を説明する断面図である。
【
図12】同配管の製造方法における取出し工程を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る配管、配管構造、及び配管の製造方法の第1実施形態を、
図1から
図8を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態の配管構造1は、一対の配管10A,10Bと、封止部材25と、ハウジング(連結部材)30と、を備える。
本実施形態では、配管10Aの構成と配管10Bの構成とは、互いに同一である。このため、配管10Aの構成を、符号の数字、又は数字及び英小文字に英大文字「A」を付加することで示す。配管10Bのうち配管10Aに対応する構成を、配管10Aの符号と同一の数字、又は数字及び英小文字に英大文字「B」を付加することで示す。これにより、重複する説明を省略する。例えば、配管10Aの後述する樹脂管11Aと配管10Bの後述する樹脂管11Bとは、互いに同一の構成である。
【0021】
配管10Aは、樹脂管11Aと、インコア(金属継手部)16Aと、を有する。
ここで、樹脂管11A及びインコア16Aは、それぞれ管状に形成されている。樹脂管11A及びインコア16Aそれぞれの中心軸(軸線)は、共通軸と同軸に配置されている。以下では、共通軸を軸線O1と言い、軸線O1に沿う方向を軸線O1方向と言う。配管10Aを軸線O1方向から見て、軸線O1に直交する方向を径方向と言い、軸線O1回りに周回する方向を周方向と言う。
樹脂管11Aにおいて、軸線O1方向の第1端部12Aを規定する。樹脂管11Aにおいて、軸線O1方向の第1端部12Aとは反対側の端部を、第2端部13Aと規定する。樹脂管11Aの第2端部13Aに対する第1端部12A側を、先端側と言い、第1端部12Aに対する第2端部13A側を、基端側と言う。
図1は、軸線O1を含む基準面による配管構造1の断面図である。
【0022】
樹脂管11Aの外周面は、配管10Aの外部に露出している。
樹脂管11Aにおける軸線O1方向の第1端部12Aの内周面には、内側凹部12aAが形成されている。内側凹部12aAは、軸線O1回りの全周にわたって形成されるとともに、先端側に開口している。
樹脂管11Aの第1端部12Aの外周面には、外側凹部(凹部)12bAが形成されている。外側凹部12bAは、軸線O1回りの全周にわたって形成されている。前記基準面による外側凹部12bAの断面形状は、矩形である。
この例では、外側凹部12bAは、軸線O1方向において、内側凹部12aAの基端側の部分と対応する部分に形成されている。
例えば、樹脂管11Aは、ポリエチレン樹脂、ポリブデン樹脂等のポリオレフィン系樹脂製である。なお、ポリオレフィン系樹脂には、モノマー等の添加物が含まれてもよい。
【0023】
インコア16Aは、コア本体17Aと、係止部18Aと、を有する。
コア本体17Aは、管状に形成されている。
係止部18Aは、環状に形成されている。係止部18Aは、コア本体17Aにおける軸線O1方向の中間部から、径方向外側に向かって突出している。この例では、前記基準面による係止部18Aの断面形状は、矩形である。なお、前記基準面による係止部18Aの断面形状は、矩形に限定されず、三角形、半円形等でもよい。
インコア16Aを構成するコア本体17A及び係止部18Aは、ステンレス鋼等の金属により一体に形成されている。
【0024】
インコア16Aは、樹脂管11Aの内側凹部12aA内に配置された状態で、樹脂管11Aの第1端部12Aに取付けられている。この例では、インコア16Aの外周面全体は、樹脂管11Aにより径方向外側から覆われている。インコア16Aは、樹脂管11Aの第1端部12Aに外周面全体(少なくとも一部)が覆われることで、第1端部12Aに取付けられている。
インコア16Aのコア本体17Aの先端面、及び樹脂管11Aの先端面は、互いに面一である(互いの間に段差が無い)。すなわち、インコア16Aの先端面は、配管10Aの外部に露出している。樹脂管11Aは、インコア16Aよりも基端側に向かって突出している。
樹脂管11Aにおけるインコア16Aが取付けられていない部分(インコア16Aよりも基端側の部分)の内周面、及びインコア16Aの内周面は、互いに面一である。
係止部18Aよりも先端側、基端側、及び径方向外側には、樹脂管11Aがそれぞれ配置されている。係止部18Aは、樹脂管11Aの外側凹部12bAよりも先端側に配置されている。
インコア16Aは、軸線O1方向において、外側凹部12bAが形成された範囲にわたって配置されている。
ここで、配管10Aにおける先端側の端部を、配管端部10aAと規定する。
【0025】
配管10Bは、配管10Aの樹脂管11A、インコア16Aと同様に構成された樹脂管11B、インコア16Bを有する。樹脂管11Bの第1端部12Bの外周面には、外側凹部12bBが形成されている。配管10Bは、配管10Aと同軸に、互いに対向するように配置されている。
配管10Bに対しても、配管10Aと同様に、軸線O1方向の第1端部12Bとは反対側の端部を、第2端部13Bと規定する。樹脂管11Bの第2端部13Bに対する第1端部12B側を、先端側と言い、第1端部12Bに対する第2端部13B側を、基端側と言う。配管10Bにおける先端側の端部を、配管端部10aBと規定する。
【0026】
配管10A,10Bは、配管10A,10Bにおける配管端部10aA,10aB同士を対向させた状態に配置されている。なお、本明細書で言う対向するは、互いに隙間を空けて向き合うだけでなく、互いに接触する意味も含む。
【0027】
封止部材25は、合成樹脂等により筒状に形成されている。封止部材25は、配管10A,10Bの配管端部10aA,10aBとそれぞれ同軸に配置されている。封止部材25は、配管10A,10Bの配管端部10aA,10aBの外周面をそれぞれ水密に覆う。
【0028】
ハウジング30は、本体31と、フランジ32、33と、を有する。
本体31は、筒状に形成されている。本体31は、封止部材25と同軸に配置され、封止部材25を径方向外側から覆う。
フランジ32、33は、それぞれ円環状である。フランジ32は、本体31における軸線O1方向の第1端部に設けられている。フランジ32は、本体31から径方向内側に向かって突出している。フランジ32は、配管10Aの外側凹部12bAに嵌め合っている。フランジ33は、本体31における軸線O1方向における第1端部とは反対側の第2端部に設けられている。フランジ33は、本体31から径方向内側に向かって突出している。フランジ33は、配管10Bの外側凹部12bBに嵌め合っている。
例えば、ハウジング30は、ステンレス鋼等の金属で一体に形成されている。
【0029】
例えば、ハウジング30は、軸線O1を含む面で、第1部分30aと、図示しない第2部分とに分割されている。第1部分30a及び第2部分は、図示しないヒンジにより開閉可能である。第1部分30a及び第2部分は、フランジ32,33を配管10A,10Bの外側凹部12bA,12bBに嵌め合わせた状態で、図示しない固定部材により互いに固定されている。この固定部材は、第1部分30a及び第2部分に着脱可能である。
以上のように、ハウジング30は、配管10A,10Bの外側凹部12bA,12bBにそれぞれ嵌め合っている。
【0030】
次に、以上のように構成された配管10Aを製造する配管の製造方法(以下では、製造方法と略して言う)について説明する。
図2は、製造方法S1を示すフローチャートである。
まず、
図3を用いて、製造方法S1で用いられる金型100について説明する。金型100は、金型本体101と、一対の外形型102と、を備える。
前記軸線O1方向、径方向、及び周方向は、金型100についても適用される。例えば、配管10Aの前記径方向は、金型100の金型本体101の径方向である。
なお、金型100が備える外形型102の数は一対に限定されず、3以上の複数でもよい。金型本体101は、環状のベース型と、ベース型に対して軸線O1方向に移動可能な中子型と、を有してもよい。
【0031】
金型本体101は、基部105と、突出部106と、を有する。基部105は円板状に形成され、突出部106は円柱状に形成されている。突出部106の外径は、基部105の外径よりも小さい。突出部106の外径は、樹脂管11Aにおけるインコア16Aが取付けられていない部分の内径、及びインコア16Aの内径とそれぞれ同程度である。突出部106の軸線O1方向の長さは、インコア16Aの軸線O1方向の長さよりも長い。突出部106には、公知の拡縮コアを用いることが好ましい。
基部105及び突出部106は、同軸に配置されている。突出部106は、基部105の第1主面上に配置されている。
【0032】
各外形型102は、型本体108と、凸部109と、を有する。
型本体108は、半円筒状である。すなわち、型本体108は、軸線O1方向に見たときに半円弧状である。型本体108の内径は、樹脂管11Aの外径と同程度である。型本体108の軸線O1方向の長さは、突出部106の軸線O1方向の長さよりも長い。
凸部109は、半円環状である。凸部109は、型本体108の軸線O1方向の中間部における内周面に配置されている。凸部109は、型本体108から径方向内側に向かって突出している。凸部109は、樹脂管11Aの外側凹部12bAを形成するための型である。
各外形型102は、金型本体101の基部105よりも突出部106側に、突出部106に対向するように配置されている。
【0033】
図3は、一対の外形型102が、金型本体101に対して径方向内側に移動し、一対の外形型102が互いに接触して金型100が閉じた状態を示している。このとき、一対の外形型102は、円筒状である。一対の外形型102における金型本体101の基部105とは反対側の端部には、後述する樹脂管11aAが挿入される開口102aが形成される。閉じた状態の金型100において、金型本体101と一対の外形型102との間には、キャビティC1が形成される。
一方で、金型100が閉じた状態から、
図4に示すように、一対の外形型102が、金型本体101に対して径方向外側に移動すると、一対の外形型102が金型本体101から離間し、金型100が開いた状態になる。
以上のように、一対の外形型102は、金型本体101に対して径方向に開閉自在である。
【0034】
次に、製造方法S1について、詳細に説明する。
製造方法S1では、
図3に示す樹脂管11aAが用いられる。樹脂管11aAは、樹脂管11Aに対して、内側凹部12aA及び外側凹部12bAが形成されていない管である。例えば、樹脂管11aAは、押出し成形により製造される。例えば、インコア16Aは、ステンレス鋼製のブロックから削り出し加工で製造される。
まず継手配置工程(
図2に示すステップS10)において、
図3に示すように、閉じた状態の金型100のキャビティC1にインコア16Aを配置する。このようにインコア16Aを配置するには、例えば、開いた状態の金型100において、金型本体101の突出部106にインコア16Aを取付ける。このとき、金型本体101の基部105にインコア16Aを突き当てる。突出部106は、インコア16Aよりも、基部105に対する突出部106側に向かって突出する。
そして、金型100を閉じた状態にする。
継手配置工程S10が終了すると、ステップS12に移行する。
【0035】
次に、接続工程S12において、金型100及び樹脂管11aAの少なくとも一方を、図示しない加熱ヒータ等により予熱(加熱)する。この予熱した状態で、
図5に示すように樹脂管11aAの第1端部12Aを、開口102aを通して一対の外形型102内に挿入するとともに、インコア16Aに向かって加圧する。樹脂管11aAの第1端部12Aは、予熱されて溶融することで変形しやすくなる。
【0036】
樹脂管11aAの第1端部12Aが溶融して、金型100のキャビティC1及びインコア16Aの形状に対応して変形する。一対の外形型102の凸部109、インコア16Aにより、樹脂管11aAの外周面に外側凹部12bAを形成するとともに、樹脂管11aAの内周面に内側凹部12aAを形成する。これにより、樹脂管11aAが樹脂管11Aとなる。樹脂管11A及びインコア16Aを有して、配管10Aが構成される。インコア16Aは、樹脂管11Aの内側凹部12aA内に配置される。樹脂管11Aの外周面は、配管10Aの外部に露出した面である。
そして、金型100及び樹脂管11Aを空冷等により冷却することで、樹脂管11Aの第1端部12Aにインコア16Aを取付ける。
接続工程S12が終了すると、ステップS14に移行する。
【0037】
次に、取出し工程S14において、
図4に示すように金型本体101に対して一対の外形型102を径方向外側に移動させる。このとき、突出部106が収縮することが好ましい。
金型本体101に対して配管10Aを基端側に移動させて、金型100から配管10Aを取出す。
取出し工程S14が終了すると、製造方法S1の全工程が終了し、配管10Aが製造される。
【0038】
以上のように構成された配管構造1は、内部に上水(流体)等を流して、上水の搬送用に用いられる。
【0039】
以上説明したように、本実施形態の配管10Aでは、インコア16Aは、樹脂管11Aの第1端部12Aに、外周面が覆われた状態で取付けられている。このため、予め、樹脂管11A及びインコア16Aが一体となっている。従って、配管10Aの施工時に、樹脂管11Aにインコア16Aを取付け忘れるのを防止することができる。
また、樹脂管11Aの外周面には、外側凹部12bAが形成されている。例えば、配管10A,10Bを用い、配管10A,10Bの配管端部10aA,10aB同士を対向させた状態に配置する。配管10A,10Bの外側凹部12bA,12bBにハウジング30をそれぞれ嵌め合わせることで、ハウジング30により配管10A,10Bを接続することができる。
【0040】
インコア16Aの外周面全体は、樹脂管11Aにより覆われ、樹脂管11Aの第1端部12Aの外周面には外側凹部12bAが形成されている。そして、インコア16Aは、軸線O1方向において外側凹部12bAが形成された範囲にわたって配置されている。インコア16Aの外周面全体が樹脂管11Aに覆われているため、配管10Aの外部からインコア16Aを視認し難くなり、配管10Aの製造者、施工者等が樹脂管11Aの材質を確実に認識することができる。さらに、インコア16Aは、軸線O1方向において外側凹部12bAが形成された範囲にわたって配置されているため、樹脂管11Aにおいて外側凹部12bAが形成されて強度が弱くなる部分を、インコア16Aにより補強することができる。
樹脂管11Aにおけるインコア16Aが取付けられていない部分の内周面、及びインコア16Aの内周面は、互いに面一である。このため、配管10Aの内周面における樹脂管11Aとインコア16Aとの接続部分が、径方向に段差無く滑らである。従って、例えば、配管10A内を上水が流れたときに、この上水が接続部分を、圧力損失を抑えて流れることができる。
【0041】
また、本実施形態の配管構造1では、配管10A,10Bの配管端部10aA,10aB同士を対向させて、配管10A,10Bを配置する。この状態で、配管10A,10Bの配管端部10aA,10aB同士を、封止部材25により封止するとともに、ハウジング30により接続して、配管構造1を構成することができる。
【0042】
また、本実施形態の製造方法S1では、継手配置工程S10において、金型本体101と一対の外形型102との間にインコア16Aを配置する。接続工程S12において、金型100及び樹脂管11aAの少なくとも一方を予熱した状態で、樹脂管11aAの第1端部12Aを一対の外形型102内に挿入するとともにインコア16Aに向かって加圧する。金型100及び樹脂管11Aを冷却することで、樹脂管11Aの第1端部12Aにインコア16Aを取付ける。接続工程S12では、一対の外形型102の凸部109により、樹脂管11Aにおける外部に露出した外周面に、外側凹部12bAを形成する。そして、取出し工程S14において、金型本体101に対して一対の外形型102を径方向外側に移動させて、金型100から配管10Aを取出す。
【0043】
以上の工程により製造された配管10Aでは、インコア16Aは、樹脂管11Aの第1端部12Aに、外周面が覆われた状態で取付けられている。このため、予め、樹脂管11A及びインコア16Aが一体となっている。従って、配管10Aの施工時に樹脂管11Aにインコア16Aを取付け忘れるのを防止することができる。
また、樹脂管11Aの外周面には、外側凹部12bAが形成されている。例えば、配管10A,10Bを用い、配管10A,10Bび配管端部10aA,10aB同士を対向させた状態に配置する。配管10A,10Bの外側凹部12bA,12bBにハウジング30をそれぞれ嵌め合わせることで、ハウジング30により配管10A,10Bを接続することができる。
【0044】
本実施形態の配管10Aは、以下に説明するようにその構成を様々に変形させることができる。
図6に示す第1変形例の配管構造2の配管40Aのように、本実施形態の配管10Aにおいて、樹脂管11Aは、インコア16Aよりも先端側に向かって突出していてもよい。この例では、樹脂管11Aにおけるインコア16Aよりも先端側の部分の内周面、及びインコア16Aの内周面は、互いに面一である。
【0045】
図2に示す第1変形例の配管40Aの製造方法S2では、本実施形態の製造方法S1における継手配置工程S10に代えて、継手配置工程S20を行う。
継手配置工程S20では、
図7に示すように、金型本体101の突出部106にインコア16Aを取付ける際に、基部105からインコア16Aを基端側に離間させる。この場合においても、突出部106を、インコア16Aよりも基端側に向かって突出させることが好ましい。
【0046】
樹脂管11Aは、インコア16Aよりも軸線O1方向の両側にそれぞれ突出している。このため、インコア16Aに対して樹脂管11Aが突出していない場合に比べて、樹脂管11Aに対してインコア16Aが軸線O1方向に移動する際の樹脂管11Aとインコア16Aとの摩擦が大きくなる。従って、樹脂管11Aからインコア16Aが軸線O1方向の両側にそれぞれ離脱し(抜け)難くすることができる。
樹脂管11Aとインコア16Aとの境界から上水が漏れるのを、抑制することができる。
【0047】
図8に示す第2変形例の配管構造3の配管45Aのように、本実施形態の配管10Aにおいて、インコア16Aに代えてインコア46Aを有してもよい。インコア46Aは、
インコア46Aは、前記コア本体17Aと、複数の外側係止部47Aと、複数の内側係止部48Aと、を有する。なお、
図8では、複数の外側係止部47A及び複数の内側係止部48Aのうち、1つずつを示している。
複数の外側係止部47Aは、コア本体17Aにおける軸線O1方向の中間部から径方向外側に向かって突出している。複数の外側係止部47Aは、周方向に互いに間隔を空けて配置されている。複数の内側係止部48Aは、コア本体17Aにおける軸線O1方向の中間部から径方向内側に向かって突出している。複数の内側係止部48Aは、周方向に互いに間隔を空けて配置されている。
【0048】
インコア46Aをこのように構成することにより、インコア46Aのコア本体17Aを、樹脂管11Aの外周面及び内周面から見えないように構成することができる。樹脂管11Aとインコア46Aとの境界から上水が漏れるのを、抑制することができる。樹脂管11Aからインコア46Aが離脱するのを防止することができる。
【0049】
本実施形態の配管構造1では、樹脂管11A,11Bの外側凹部12bA,12bBに、ステンレス鋼等の金属製の受け具を配置し、この受け具にハウジング30を嵌め合わせてもよい。このように構成することにより、ハウジング30により外側凹部12bA,12bBが摩耗するのを抑制することができる。
インコア16Aは、軸線O1方向において外側凹部12bAが形成された範囲にわたって配置されなくてもよい。
配管構造1では、樹脂管11Aよりもインコア16Aが先端側に突出していてもよい。この場合、インコア16Aにおける樹脂管11Aよりも先端側の部分の外周面は、樹脂管11Aに覆われない。
【0050】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について
図9から
図12を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図9に示すように、本実施形態の配管構造5は、第1実施形態の配管構造1の配管10A,10Bに代えて、配管55A,55B及び押え部材65A,65Bを備える。
配管55Aは、配管10Aのインコア16Aに代えて、インコア56Aを有する。インコア56Aは、いわゆるグルービングコアである。インコア56Aは、前記コア本体17Aと、第1係止部57Aと、第2係止部58Aと、を有する。
【0051】
本実施形態では、コア本体17Aにおける基端側(樹脂管11Aの第2端部13A側)の部分が内側凹部12aA内に配置された状態で、コア本体17Aが樹脂管11Aの第1端部12Aに取付けられている。コア本体17Aにおける基端側の部分の外周面は、樹脂管11Aに覆われている。
コア本体17Aにおける先端側の端部は、樹脂管11Aよりも軸線O1方向の先端側に突出している。コア本体17Aにおける樹脂管11Aよりも先端側に突出した部分の外周面には、外側凹部(凹部)17aAが形成されている。外側凹部17aAは、軸線O1回りの全周にわたって形成されている。
【0052】
係止部57A,58Aは、それぞれに環状に形成されている。
第1係止部57Aは、コア本体17Aの外周面における外側凹部17aAよりも基端側の部分に形成されている。第1係止部57Aは、樹脂管11Aの先端面に、この先端面よりも先端側から接触している。
第2係止部58Aは、コア本体17Aの外周面における第1係止部57Aよりも基端側の部分に形成されている。第2係止部58Aは、樹脂管11Aの内側凹部12aA内に配置されている。
本実施形態では、樹脂管11Aにおけるインコア56Aが取付けられていない部分(インコア56Aよりも基端側の部分)の内周面、及びインコア56Aの内周面は、互いに面一である。
【0053】
なお、インコア56Aは、第1係止部57A及び第2係止部58Aを有さなくてもよい。
ここで、配管55Aにおける先端側の端部を、配管端部55aAと規定する。この例では、封止部材25は、配管55A,55Bの配管端部55aA,55aBの外周面をそれぞれ水密に覆う。
ハウジング30は、配管55A,55Bの外側凹部17aA,17aBにそれぞれ嵌め合っている。
【0054】
押え部材65A,65Bは、合成ゴム等により筒状に形成されている。押え部材65Aは、樹脂管11Aにおける、軸線O1方向において内側凹部12aAが形成された部分の外周面に取付けられている。押え部材65Aは、この部分を径方向内側に向かって付勢する。押え部材65Aにより、樹脂管11Aからインコア56Aが離脱し難くなる。
【0055】
次に、以上のように構成された配管55Aを製造する配管の製造方法(以下では、製造方法と略して言う)について説明する。
図2は、製造方法S4を示すフローチャートである。
まず、
図10を用いて、製造方法S4で用いられる金型120について説明する。金型120は、前記金型本体101と、一対の外形型121と、を備える。
各外形型121は、前記型本体108と、凸部122と、を有する。
凸部122は、半円環状である。凸部122は、型本体108の軸線O1方向の中間部における内周面に配置されている。凸部122は、型本体108から径方向内側に向かって突出している。凸部122は、インコア56Aの外側凹部17bAに嵌め合う型である。
【0056】
次に、製造方法S4について、詳細に説明する。
まず継手配置工程(
図2に示すステップS30)において、
図10に示すように、閉じた状態の金型120のキャビティC3にインコア56Aを配置する。継手配置工程S30では、一対の外形型121の凸部122が、インコア56Aの外側凹部17aAに嵌め合う。
継手配置工程S30が終了すると、ステップS32に移行する。
次に、接続工程S32において、金型120及び樹脂管11aAの少なくとも一方を、予熱する。この予熱した状態で、
図11に示すように樹脂管11aAの第1端部12Aを一対の外形型121内に挿入するとともにインコア56Aに向かって加圧する。
【0057】
樹脂管11aAの第1端部12Aが溶融して、金型120のキャビティC3及びインコア56Aの形状に対応して変形する。インコア56Aにより、樹脂管11aAの内周面に内側凹部12aAを形成する。これにより、樹脂管11aAが樹脂管11Aとなる。樹脂管11A及びインコア56Aを有して、配管55Aが構成される。
そして、金型120及び樹脂管11Aを空冷等により冷却することで、樹脂管11Aの第1端部12Aにインコア56Aを取付ける。
接続工程S32が終了すると、ステップS34に移行する。
【0058】
次に、取出し工程S34において、
図12に示すように金型本体101に対して一対の外形型121を径方向外側に移動させて、金型120から配管55Aを取出す。
取出し工程S34が終了すると、製造方法S4の全工程が終了し、配管55Aが製造される。
【0059】
以上説明したように、本実施形態の配管55Aでは、インコア56Aは、樹脂管11Aの第1端部12Aに、基端側の外周面が覆われた状態で取付けられている。このため、予め、樹脂管11A及びインコア56Aが一体となっている。従って、配管55Aの施工時に、樹脂管11Aにインコア56Aを取付け忘れるのを防止することができる。
【0060】
コア本体17Aにおける基端側の部分の外周面は、樹脂管11Aに覆われ、コア本体17Aにおける樹脂管11Aよりも先端側に突出した部分の外周面には、外側凹部17aAが形成されている。このため、インコア56Aにおける基端側の部分の外周面を、樹脂管11Aにより覆うことができる。
そして、例えば、配管55A,55Bを用い、配管55A,55Bにおける配管端部55aA,55aB同士を対向させた状態に配置する。配管55A,55Bの外側凹部17aA,17aBにハウジング30をそれぞれ嵌め合わせることで、ハウジング30により配管55A,55Bを接続することができる。この際に、外側凹部17aA,17aBはインコア56A,56Bに形成されているため、外側凹部が樹脂管11A,11Bに形成されている場合に比べて外側凹部17aA,17aB周辺の強度が向上し、ハウジング30により配管55A,55Bを確実に接続することができる。
【0061】
また、本実施形態の製造方法S4では、継手配置工程S30において、金型本体101と一対の外形型121との間にインコア56Aを配置する。継手配置工程S30では、一対の外形型121の凸部122が、インコア56Aの外側凹部17aAに嵌め合う。接続工程S32において、金型120及び樹脂管11aAの少なくとも一方を予熱した状態で、樹脂管11aAの第1端部12Aを一対の外形型121内に挿入するとともにインコア56Aに向かって加圧する。金型120及び樹脂管11Aを冷却することで、樹脂管11Aの第1端部12Aにインコア56Aを取付ける。そして、取出し工程S34において、金型本体101に対して一対の外形型121を径方向外側に移動させて、金型120から配管55Aを取出す。
以上の工程により製造された配管55Aでは、インコア56Aは、樹脂管11Aの第1端部12Aに、外周面の一部が覆われた状態で取付けられている。このため、予め、樹脂管11A及びインコア56Aが一体となっている。従って、配管55Aの施工時に樹脂管11Aにインコア56Aを取付け忘れるのを防止することができる。
【0062】
また、インコア56Aの外周面には、外側凹部17aAが形成されている。例えば、配管55A,55Bを用い、配管55A,55Bにおける配管端部55aA,55aB同士を対向させた状態に配置する。配管55A,55Bの外側凹部17aA,17aBにハウジング30をそれぞれ嵌め合わせることで、ハウジング30により配管55A,55Bを接続することができる。
【0063】
なお、配管構造5は、押え部材65A,65Bを備えなくてもよい。
【0064】
以上、本発明の第1実施形態及び第2実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。さらに、各実施形態で示した構成のそれぞれを適宜組み合わせて利用できることは、言うまでもない。
例えば、前記第1実施形態及び第2実施形態では、樹脂管11Aにおけるインコア16A,56Aが取付けられていない部分の内周面と、インコアの内周面との間に、径方向に段差があってもよい。
【符号の説明】
【0065】
1,2,3,5 配管構造
10aA,10aB,55aA,55aB 配管端部(端部)
10A,10B,40A,40B,45A,45B,55A,55B 配管
11aA,11A,11B 樹脂管
12A,12B 第1端部
12bA,12bB,17aA,17aB 外側凹部(凹部)
13A,13B 第2端部
16A,16B,46A,46B インコア(金属継手部)
100,120 金型
101 金型本体
102,121 外形型
109,122 凸部
O1 軸線
S1,S2,S4 製造方法(配管の製造方法)
S10,S20,S30 継手配置工程
S12,S32 接続工程
S14,S34 取出し工程