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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020069
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】扉体の転倒防止装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 11/02 20060101AFI20240206BHJP
   E05C 19/06 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
E06B11/02 D
E05C19/06 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122956
(22)【出願日】2022-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横山 信二
【テーマコード(参考)】
2E038
【Fターム(参考)】
2E038CA02
(57)【要約】
【課題】ガタ付くことなく扉体の転倒を防止すること。
【解決手段】屋外の設置面Gに開閉可能に支持された扉体3と設置面Gとの間に設けられ、扉体3に設けられた係合シャフト20のガイドローラ21を設置面Gに設けられた受部材40に係合させることにより、扉体3の転倒を防止する扉体3の転倒防止装置であって、係合シャフト20は、扉体3に対して上下方向に移動可能に支持され、係合シャフト20のガイドローラ21には、上方に向いた係合面が設けられ、受部材40には、下方に向いた被係合面43aが設けられ、係合シャフト20と扉体3との間には扉体3に対して係合シャフト20を上方に向けて付勢することによりガイドローラ21の係合面を受部材40の被係合面43aに当接させる係合用バネ13が設けられている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外の設置面に開閉可能に支持された扉体と前記設置面との間に設けられ、前記扉体に設けられた係合部材の係合部を前記設置面に設けられた受部材に係合させることにより、前記扉体の転倒を防止する扉体の転倒防止装置であって、
前記係合部材は、前記扉体に対して上下方向に移動可能に支持され、
前記係合部材の係合部には、上方に向いた係合面が設けられ、
前記受部材には、下方に向いた被係合面が設けられ、
前記係合部材と前記扉体との間には前記扉体に対して前記係合部材を上方に向けて付勢することにより前記係合部の係合面を前記受部材の被係合面に当接させる係合用付勢部材が設けられていることを特徴とする扉体の転倒防止装置。
【請求項2】
前記扉体には、係止位置と非係止位置とに移動可能に配設され、前記非係止位置に配置された場合に前記扉体に対する前記係合部材の移動を許容する一方、前記係止位置に配置された場合に前記扉体に対する前記係合部材の上方への移動を制限する鉤部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の扉体の転倒防止装置。
【請求項3】
前記鉤部材と前記扉体との間には、前記鉤部材を前記係止位置に向けて付勢する鉤用付勢部材が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の扉体の転倒防止装置。
【請求項4】
前記扉体は、縦桟を備えるとともに前記縦桟の下端部において前記扉体の一方の表面側及び他方の表面側となる部分にそれぞれ走行用転動体を備え、前記設置面において前記走行用転動体を転動させることによって開閉移動するものであり、
前記縦桟の下端部において前記走行用転動体の相互間となる部分に前記係合部材が配設されていることを特徴とする請求項1に記載の扉体の転倒防止装置。
【請求項5】
前記扉体は、互いに並設された複数の縦桟と、相互間隔が可変する状態で前記複数の縦桟の間を連結するパンタグラフ式のリンク機構とを備え、前記複数の縦桟の相互間隔を拡大する方向に移動させることにより閉じ位置に配置されるものであり、
少なくとも前記複数の縦桟の相互間隔が拡大した場合に互いに係合されるように前記係合部材及び前記受部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の扉体の転倒防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、門扉等の屋外構造物に適用され、扉体に設けられたシャフトの係合部を設置面に設けられた受部材に係合させることにより、扉体の転倒を防止する扉体の転倒防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
門扉等の扉体の転倒防止装置としては、例えば扉体から下方に向けて転倒防止金具を設ける一方、屋外の設置面に受部材を設け、扉体を閉じ位置に配置した際に転倒防止金具を受部材に挿入させるものが提供されている。転倒防止金具には、下端部から側方に向けて係合片が設けられ、受部材には、開口幅よりも内部幅の大きなアリ溝が設けられている。従って、転倒防止金具を受部材のアリ溝に挿入すれば、係合片の上方域にアリ溝の天面が対向した状態となる。これにより、例えば扉体が傾いた場合には、係合片及びアリ溝の天面が互いに当接することになるため、扉体が転倒する事態を防止することができるようになる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-207761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のものでは、転倒防止金具を受部材に係合させるには、係合片とアリ溝との間の隙間を確保する必要がある。このため、転倒防止金具を受部材に挿入した場合にも、係合片とアリ溝の天面との間に隙間が生じることになり、ガタ付いて異音を発生する等の問題を来す懸念がある。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、ガタ付くことなく扉体の転倒を防止することのできる転倒防止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る扉体の転倒防止装置は、屋外の設置面に開閉可能に支持された扉体と前記設置面との間に設けられ、前記扉体に設けられた係合部材の係合部を前記設置面に設けられた受部材に係合させることにより、前記扉体の転倒を防止する扉体の転倒防止装置であって、前記係合部材は、前記扉体に対して上下方向に移動可能に支持され、前記係合部材の係合部には、上方に向いた係合面が設けられ、前記受部材には、下方に向いた被係合面が設けられ、前記係合部材と前記扉体との間には前記扉体に対して前記係合部材を上方に向けて付勢することにより前記係合部の係合面を前記受部材の被係合面に当接させる係合用付勢部材が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、係合用付勢部材によって係合部の係合面が受部材の被係合面に常時当接された状態となるため、ガタ付いて異音を発生する等の問題を招来するおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態である転倒防止装置を適用した扉体を備える門扉を示すもので、(a)は扉体を閉じ位置に配置した状態の姿図、(b)は扉体を開き位置に配置した状態の姿図である。
図2図1に示した扉体の要部を示すもので、(a)は係合部材と受部材とが係合する以前の状態を扉体の端面側から見た図、(b)はその縦断面側面図である。
図3図1に示した扉体の要部を示すもので、(a)は係合部材と受部材とが係合した状態を扉体の端面側から見た図、(b)はその縦断面側面図である。
図4図1に示した転倒防止装置を一部破断して概念的に示す斜視図である。
図5図1に示した門扉の要部を示すもので、(a)は鉤部材が非係止位置に配置された状態で係合部材と受部材とが係合する以前の状態を示す縦断面側面図、(b)は鉤部材が非係止位置に配置された状態で係合部材と受部材とが係合した状態を示す縦断面側面図である。
図6図1に示した転倒防止装置の係合部材及びこれを支持する収容ホルダを示すもので、(a)は扉体の端面側から見た正面図、(b)は平面図、(c)は鉤部材が係止位置に配置された状態の側面図、(d)は鉤部材が非係止位置に配置された状態の側面図である。
図7図6に示した転倒防止装置に適用する取付基板を示すもので、(a)は扉体の端面側から見た正面図、(b)は平面図、(c)は側面図である。
図8図6に示した転倒防止装置に適用するカバー部材を示すもので、(a)は扉体の端面側から見た正面図、(b)は左側面図、(c)は右側面図、(d)は平面図である。
図9図6に示した転倒防止装置に適用する鉤部材を示すもので、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
図10図1に示した転倒防止装置を適用する門扉の変形例を示す姿図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る扉体の転倒防止装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態である扉体の転倒防止装置を適用した屋外構造物を示すものである。ここで例示する屋外構造物は、間隔を確保して屋外の設置面(地面)Gに立設した2つの支柱1,2の間に扉体3を開閉可能に配設した片開きの門扉である。扉体3は、複数の縦桟4を並設するとともに、並設した縦桟4の相互間をパンタグラフ式のリンク機構5によって連結したものである。すなわち、実施の形態の門扉では、図1(a)に示すように、リンク機構5を介して縦桟4の相互間隔を拡大して伸長させた場合には、一方の支柱1と他方の支柱2との間を閉じた状態に維持することが可能となる。これに対して、リンク機構5を介して縦桟4の相互間隔を縮小した場合には、図1(b)に示すように、扉体3が一方の支柱1に集約された状態となり、一方の支柱1と他方の支柱2との間を開放した状態に維持することが可能となる。
【0010】
図1からも明らかなように、扉体3の先端に配置された縦桟4及びほぼ中間となる位置に配置された縦桟4には、それぞれキャスター(走行用転動体)6が配設してある。キャスター6は、縦桟4の下端部において扉体3の一方の表面側となる部分及び他方の表面側となる部分にそれぞれ旋回可能に設けたもので、設置面Gを転動することにより扉体3の面方向に沿って移動させること、換言すれば扉体3によって支柱1,2の相互間を開閉させることが可能である。
【0011】
ほぼ中間となる縦桟4の下端部においてキャスター6の相互間となる部分には、図2及び図3に示すように、収容ホルダ10を介して係合シャフト(係合部材)20が配設してある。係合シャフト20は、図2図6に示すように、下端部にガイドローラ(係合部)21及び解除用踏板22を備えるとともに、中間部にピン挿通孔23を有した円柱状を成すものである。ガイドローラ21は、係合シャフト20よりも外径の大きな円形状を成すもので、互いに軸心を合致させた状態で係合シャフト20の下端部に固定してある。ガイドローラ21の上面には、その全面を覆うように緩衝用のクッションゴム24が設けてある。解除用踏板22は、収容ホルダ10の外形寸法及びガイドローラ21の外径寸法よりも大きな外径の円板状を成すもので、ガイドローラ21よりも上方、かつクッションゴム24との間に間隔を確保した位置に嵌合固定してある。この係合シャフト20は、上下に沿って移動可能となる状態で上半部が収容ホルダ10に収容してある。
【0012】
収容ホルダ10は、取付基板11とカバー部材12とによって構成し、断面が長方形の中空状に構成したもので、内部に係合用バネ(係合用付勢部材)13を備えている。取付基板11は、図7に示すように、長方形の平板状を成す鉛直板部11aと、鉛直板部11aの上縁部からほぼ直角方向に向けて延在した幅広の取付板部11bとを有したものである。取付板部11bには、長手の中心となる部分に挿通孔11cが設けてあり、挿通孔11cの両側となる部分に取付孔11dが設けてある。挿通孔11cは、断面が円形の切欠であり、係合シャフト20の外径よりも大きな内径を有している。取付孔11dは、取付板部11bの長手に沿って長孔状となるものである。この取付基板11は、鉛直板部11aが下方に向けてほぼ鉛直に突出する状態で取付板部11bの取付孔11dを介して縦桟4に取付ネジ14を螺合することによって縦桟4の下端部に取り付けてある。カバー部材12は、図8に示すように、一側面が開口した直方体状を成すカバー本体部12aと、カバー本体部12aの開口両側に設けたフランジ部12bとを有したものである。このカバー部材12は、開口を鉛直板部11aに対向させた状態でフランジ部12bを介して鉛直板部11aとの間に連結ネジ15を螺合することにより、取付基板11との間に収容ホルダ10を構成している。カバー部材12には、上方板部12c及び下方板部12dに貫通孔12eが設けてあるとともに、両側となる側方板部12fにスライド孔12gが設けてある。貫通孔12eは、取付板部11bの挿通孔11cとほぼ同じ内径を有した断面が円形の切欠であり、挿通孔11cと同一の軸心上に形成してある。スライド孔12gは、上下に沿って長孔状となるものである。係合用バネ13は、係合シャフト20よりも太径の内径を有したコイル状を成すものである。コイルの軸心が上下に沿う状態で収容ホルダ10の内部に収容してある。
【0013】
この収容ホルダ10に対して係合シャフト20は、図6に示すように、カバー部材12の下方板部12dに設けた貫通孔12eから係合用バネ13の内部、カバー部材12の上方板部12cに設けた貫通孔12e及び取付基板11の挿通孔11cを貫通した状態で、スライド孔12gを介してピン挿通孔23にピン部材25を貫通させることにより、上下に移動可能となる状態で収容ホルダ10に支持してある。すなわち、係合シャフト20は、カバー部材12の下方板部12dとピン部材25との間に介在する係合用バネ13の付勢力によって上方に付勢された状態にあり、下方に脱落することなく収容ホルダ10から下方に延在した状態に支持してある。
【0014】
また、係合シャフト20には、取付基板11の取付板部11bとカバー部材12の上方板部12cとの間に鉤プレート(鉤部材)30及び鉤用バネ(鉤用付勢部材)31が設けてある。鉤プレート30は、図9に示すように、断面が円形の係止孔30aを有した板状部材である。係止孔30aの内径は、係合シャフト20の外径よりもわずかに大きく構成してある。この鉤プレート30は、係止孔30aに係合シャフト20を貫通させた状態で一側縁部を介して鉛直板部11aに傾動可能に支持させてある。鉤プレート30の他側縁部は、取付基板11の取付板部11bよりも突出した状態となっている。鉤用バネ31は、カバー部材12の上方板部12cと鉤プレート30との間に介在し、カバー部材12に対して鉤プレート30を常時上方に付勢している。鉤用バネ31によって上方に付勢された鉤プレート30は、図6(c)に示すように、一側縁部に対して他側縁部が上方となるように傾斜することにより、自在鉤のように、係止孔30aの内周面が係合シャフト20の外周面に押圧された状態となる(係止位置)。これにより、係合用バネ13の付勢力に抗して収容ホルダ10に対する係合シャフト20の上下に沿った移動が阻止されることになる。これに対し、図6(d)に示すように、鉤用バネ31の付勢力に抗して鉤プレート30を下方に向けて傾動させると、係止孔30aの内周面が係合シャフト20の外周面から離隔した状態となる(非係止位置)。従って、この状態においては、収容ホルダ10に対して係合シャフト20を軸心方向に沿って上下に移動させることが可能となる。
【0015】
上述の鉤プレート30が設けられた係合シャフト20は、解除用踏板22を足踏みする等して下方へ移動させる操作力を与えると、鉤用バネ31の付勢力に抗して鉤プレート30が下方に傾動して非係止位置となるため、そのまま収容ホルダ10に対して下方に移動させることができる。この状態から解除用踏板22を介した操作力を除去すると、鉤用バネ31の付勢力によって鉤プレート30が係止位置に復帰するため、収容ホルダ10に対する移動が阻止され、係合シャフト20がその位置を維持することになる。
【0016】
一方、門扉の設置面Gには、受部材40が取り付けてある。受部材40は、ベース41の両側にそれぞれガイドレール部42及びフック部43を備えたもので、ベース41を介して設置面Gにネジ44で固定してある。ガイドレール部42は、ベース41から上方に向けて突出したものである。フック部43は、ガイドレール部42の上縁部から互いに近接する方向に向けて突出することにより下方に向いた被係合面43aを構成したものである。ガイドレール部42の相互間隔は、係合シャフト20に設けたガイドローラ21の外径よりも大きく構成してある。フック部43の相互間隔は、係合シャフト20の外径よりも大きく、かつガイドローラ21の外径よりも小さく構成してある。ベース41と、フック部43の被係合面43aとの間には、ガイドローラ21及びクッションゴム24の合計板厚寸法よりも大きな隙間が確保してある。フック部43の被係合面43aは、鉤プレート30を非係止位置に配置し、係合用バネ13によって係合シャフト20がもっとも上方に配置された際のクッションゴム24の上面よりも下方の位置となるように設定してある。この受部材40は、扉体3によって一方の支柱1と他方の支柱2との間を閉じた際に、キャスター6を設けた中間の縦桟4の配置位置に対応する位置に固定してある。
【0017】
以下、係合シャフト20及び受部材40を備えて構成した転倒防止装置を機能させる操作について説明する。いま、上述の扉体3が開いた状態にあるとする。この状態から解除用踏板22を介して係合シャフト20を図2に示す位置まで下方に移動させ、そのまま扉体3を閉じ位置まで移動させると、その間に係合シャフト20のガイドローラ21が受部材40に設けたガイドレール部42の間に挿入された状態となる。この状態から図5(a)に示すように、鉤プレート30を足踏みする等によって操作し、非係止位置まで下方に傾動させると、係合用バネ13の付勢力により係合シャフト20が収容ホルダ10に対して上方に移動する。この結果、図5(b)に示すように、ガイドローラ21の上面がクッションゴム24を介して受部材40の被係合面43aに押圧された状態となる。その後、鉤プレート30の操作力を除去すると、図3に示すように、鉤プレート30が係止位置に移動し、収容ホルダ10に対する係合シャフト20の上下に沿った移動が阻止される。このため、ガイドローラ21の上面がクッションゴム24を介して受部材40の被係合面43aに押圧された状態が維持される。この状態においては、係合シャフト20と、設置面Gに設けた受部材40とが係合することにより、扉体3の中間となる縦桟4の上方への移動が阻止されるばかりでなく、係合シャフト20の両側に設けたキャスター6が設置面Gに押圧された状態となる。従って、例えば扉体3の中間部に衝撃が加えられた場合にも、キャスター6が設置面Gから離隔する挙動が招来されるおそれがなく、扉体3が転倒する事態を防止することが可能となる。しかも、ガイドローラ21の上面がクッションゴム24を介して受部材40の被係合面43aに当接した状態が維持されるため、強風等の影響によって扉体3を面外方向へ移動させる力が加えられたとしても、ガタ付いて異音が発生する等の問題を招来する懸念もない。
【0018】
因に、閉じ位置に配置された状態から扉体3を開き方向に移動させる場合には、解除用踏板22を足踏みする等して係合シャフト20に下方に移動する操作力を加えれば容易に実施可能である。すなわち、係合シャフト20に下方への操作力を加えれば、上述したように、鉤プレート30を操作することなく収容ホルダ10に対して係合シャフト20が下方に移動することになる。しかも、その後に解除用踏板22に対する操作力を除去しても係合シャフト20の位置が維持される。従って、上述の操作を行えば、クッションゴム24を介したガイドローラ21と被係合面43aとの当接状態が解除された状態となるため、大きな操作力を要することなく扉体3を開くことが可能である。
【0019】
なお、上述した実施の形態では、転倒防止装置を適用する扉体として面方向に伸縮することによって開閉するものを例示しているが、本発明はこれに限定されず、例えば面方向に沿ってスライドすることにより開閉するものやヒンジを中心として回転することにより開閉するものにも適用することが可能である。この場合、扉体は必ずしも旋回可能なキャスター6を介して開閉されるものに限らず、転動体であれば良い。また、扉体が閉じ位置に配置された際に係合シャフトが係合可能となるように受部材を設けているが、扉体の移動の軌跡に沿った全長に受部材を設けても良い。さらに、扉体を1つ備えた門扉を例示しているが、本発明はこれに限定されず、図10に示す変形例のように、2つの支柱1,2の間に対称形状となる2つの扉体3A,3Bを備えた門扉にも適用することが可能である。この場合、係合シャフト20はそれぞれの扉体3A,3Bの中間となる縦桟4に設けるとともに、一方の扉体3Bの先端に配置される縦桟4に設ければ良く、これに対応した設置面Gにそれぞれ受部材40を設ければ良い。
【0020】
また、上述した実施の形態では、係合部材として円柱状を成す係合シャフト20を例示しているが、受部材40に係合可能となる部材であれば、必ずしもシャフトを適用する必要はない。なお、係合部となるガイドローラ21の上面にクッションゴム24を設けるようにしているため、受部材40の被係合面43aに当接する際に衝撃音が発生する事態を抑制することが可能である等の利点があるが、クッションゴム24は必ずしも必要ではない。さらに、係合部材の移動を制限する鉤部材として鉤プレート30を設けるようにしているため、扉体3を開閉する際の操作を容易に実施することが可能となるが、必ずしも鉤部材を設ける必要はない。なお、鉤部材を設ける場合に上述した実施の形態ではプレート状を成すものを例示しているが、本発明はこれに限定されない。
【0021】
以上のように、本発明に係る扉体の転倒防止装置は、屋外の設置面に開閉可能に支持された扉体と前記設置面との間に設けられ、前記扉体に設けられた係合部材の係合部を前記設置面に設けられた受部材に係合させることにより、前記扉体の転倒を防止する扉体の転倒防止装置であって、前記係合部材は、前記扉体に対して上下方向に移動可能に支持され、前記係合部材の係合部には、上方に向いた係合面が設けられ、前記受部材には、下方に向いた被係合面が設けられ、前記係合部材と前記扉体との間には前記扉体に対して前記係合部材を上方に向けて付勢することにより前記係合部の係合面を前記受部材の被係合面に当接させる係合用付勢部材が設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、係合用付勢部材によって係合部の係合面が受部材の被係合面に常時当接された状態となるため、ガタ付いて異音を発生する等の問題を招来するおそれがない。
【0022】
また本発明は、上述した扉体の転倒防止装置において、前記扉体には、係止位置と非係止位置とに移動可能に配設され、前記非係止位置に配置された場合に前記扉体に対する前記係合部材の移動を許容する一方、前記係止位置に配置された場合に前記扉体に対する前記係合部材の上方への移動を制限する鉤部材が設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、鉤部材を係止位置に配置させることにより、扉体に対する係合部材の上方への移動が制限される。従って、扉体を移動させる際に係合用付勢部材の付勢力に抗して係合部材を下方に押し下げておく必要がなくなり、扉体を開閉させる際の操作が容易となる。
【0023】
また本発明は、上述した扉体の転倒防止装置において、前記鉤部材と前記扉体との間には、前記鉤部材を前記係止位置に向けて付勢する鉤用付勢部材が設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、鉤部材の操作力を除去した状態においては、鉤用付勢部材によって鉤部材が係止位置に配置されることになり、鉤部材を操作する作業を容易化することができる。
【0024】
また本発明は、上述した扉体の転倒防止装置において、前記扉体は、縦桟を備えるとともに前記縦桟の下端部において前記扉体の一方の表面側及び他方の表面側となる部分にそれぞれ走行用転動体を備え、前記設置面において前記走行用転動体を転動させることによって開閉移動するものであり、前記縦桟の下端部において前記走行用転動体の相互間となる部分に前記係合部材が配設されていることを特徴としている。
この発明によれば、走行用転動体の相互間において係合部材と受部材とが係合された状態となるため、それぞれの走行用転動体が設置面から離隔する方向の移動が制限されることになり、扉体の転倒をより確実に防止することが可能となる。
【0025】
また本発明は、上述した扉体の転倒防止装置において、前記扉体は、互いに並設された複数の縦桟と、相互間隔が可変する状態で前記複数の縦桟の間を連結するパンタグラフ式のリンク機構とを備え、前記複数の縦桟の相互間隔を拡大する方向に移動させることにより閉じ位置に配置されるものであり、少なくとも前記複数の縦桟の相互間隔が拡大した場合に互いに係合されるように前記係合部材及び前記受部材が設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、複数の縦桟の間がリンク機構によって連結された伸縮する扉体に対しても転倒を防止することができる。
【符号の説明】
【0026】
3,3A,3B 扉体、4 縦桟、5 リンク機構、6 キャスター、13 係合用バネ、20 係合シャフト、21 ガイドローラ、22 解除用踏板、24 クッションゴム、30 鉤プレート、31 鉤用バネ、40 受部材、43 フック部、43a 被係合面、G 設置面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10