(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020078
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】便座シート
(51)【国際特許分類】
A47K 13/16 20060101AFI20240206BHJP
【FI】
A47K13/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122972
(22)【出願日】2022-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】515120143
【氏名又は名称】井澤 佑斗
(71)【出願人】
【識別番号】522307306
【氏名又は名称】小島 一徳
(72)【発明者】
【氏名】井澤 佑斗
(72)【発明者】
【氏名】小島一徳
【テーマコード(参考)】
2D037
【Fターム(参考)】
2D037AE02
2D037AE03
2D037AE07
2D037AE29
2D037AE35
2D037AE38
(57)【要約】
【課題】従来技術として、シートの略中央部にシートに引っ付いた状態として、便座の開口部の形状に応じた略楕円形状の切り目を設けたものとしたことを特徴とする請求項1記載の便座シートが公開されている。しかしながら、切り目から切り離しているが便座シートとつながっているシート部分は便座の中に落とし込まれるので、このシート部分の重みによって、シート全体の重心は便座Sの開口部S1の鉛直下方向に下がってしまい、シート全体が便器の中に落ちてしまう。
【解決手段】本開示は、切れ込みによって生じる2以上の立ち上がり構造を有して、立ち上がり構造の全長が便座の幅の長さよりも長いことを特徴とする、便座シートを提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切れ込みによって生じる2以上の立ち上がり構造を有して、
立ち上がり構造の全長が便座の幅の長さよりも長いことを特徴とする、便座シート。
【請求項2】
全長が便座の幅の長さよりも長い立ち上がり構造を2以上作成する切れ込みを入れるステップを有する、便座シートの作成方法。
【請求項3】
切れ込み(以下「立ち上がり切れ込み」という)によって生じる立ち上がり構造を有して、
立ち上がり構造を二分する分割切れ込みを更に有して、
分割切れ込みは、立ち上がり切れ込みの2つの終点を結んだ線を超えるように切れ込みがあることを特徴とする、便座シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便座シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
便座シートの一例が、特開2003-319891号公報(特許文献1)に開示されている。特許文献1には、水溶性もしくは水分散性の紙または不織布からなるシートの裏面に水溶性もしくは水分散性のホットメルト接着剤を塗布したものとしたことを特徴とする便座シートを略四角形状とし、そのシートの略中央部にシートに引っ付いた状態として、便座の開口部の形状に応じた略楕円形状の切り目を設けたものとしたことを特徴とする請求項1記載の便座シートが公開されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、シート1の便座Sの開口部S1に位置する部分を手で押さえ、切り目2と補助用切り目3を繋いで、この部分を便器の中に落とし込む(特許文献1の
図8)。ところが、切り目から切り離しているが便座シートとつながっているシート部分は便座の中に落とし込まれるので、このシート部分の重みによって、シート全体の重心は便座Sの開口部S1の鉛直下方向に下がってしまい、シート全体が便器の中に落ちてしまう。便座シート全体が便器の中に落ちにくい物理構造のシートを開発する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、切れ込みによって生じる2以上の立ち上がり構造を有して、立ち上がり構造の全長が便座の幅の長さよりも長いことを特徴とする、便座シートを提供する。
【発明の効果】
【0006】
本構成では、切れ込みによって生じる2以上の立ち上がり構造を、便座の開口部の中に落とすのではなく、便座の外に垂らすことができる。したがって、便座シートは便座の外方向に張力が生まれるので、便座シート全体が便器の中に落ちにくい物理構造になる。
【0007】
便座シートのさらなる特徴と利点は、実施形態についての以下の記載から明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の便座シートの形態を示す平面図である。
【
図2】
図1の便座シートの使用時の形態を示す平面図である。
【
図3】
図1の便座シートにおける便座の外縁部分を示す平面図である。
【
図4】
図2の便座シートにおける便座の外縁部分を示す平面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
便座シートについて説明する。従来、家庭用の洋式便器においては、家族等の限られた者が使用するため便座に直接、肌が触れても、衛生面等においてそれほど気にならないが、駅構内や飲食店等のトイレの洋式便器においては、不特定多数の者が使用するため便座に直接、肌が触れるのは、衛生面等においては勿論であるが、他人が使用したというだけで気になり気持ちの悪いものであった。従来から水溶性の薄紙等からなる使い捨ての便座シートが、数々考え出されている(特許文献1より引用)。便座シートの素材は、本開示においては特に限定されない。便座シートの素材は、水溶性の素材であると、そのまま便座の中に捨てて流すことができるので好適である。便座シートは一枚の構造物として連続しており、一部に切れ込みを有すると好適である。たとえば、切れ込みは型抜きや、刃物やレーザーなどによる切断によって作成することができる。
【0010】
便座シートの外縁の形状は、本開示においては特に限定されない。便座シートの外縁の形状は、便座の外縁の構造に対応していると好適である。すなわち、楕円状の外縁の形状であると好適である。便座シートの中央部分は、便器の開口部分(人が排泄をする便座の開口部分)と平面座標上は一致している。本開示においては、便器の開口部分と平面座標上は一致する便座シートの部分を中央部分、便器の便座部分と平面座標上は一致する便座シートの部分を外縁部分と呼称する。
【0011】
切れ込みによって生じる2以上の立ち上がり構造について説明する。便座シートは、切れ込みを有する。切れ込みは、便座シートの中央部分にあると好適である。一例として、切れ込みはアルファベットのE文字の形状をしている。この形状においては、切れ込みによって二つの立ち上がり構造を生ずる。一例として、切れ込みはアルファベットのS文字の形状をしている。この形状においては、切れ込みによって二つの立ち上がり構造を生ずる。一例として、切れ込みはアルファベットのM文字の形状をしている。この形状においては、切れ込みによって三つの立ち上がり構造を生ずる。本開示においては、2以上の立ち上がり構造を生ずる切れ込みであれば良い。4つの切れ込みを作るためには、長軸方向に5つの切れ込みと、短軸方向に4つの切れ込みがあれば作ることができる。5つ以上の切れ込みにおいても、同様の原理で切れ込みを作ることができる。
【0012】
立ち上がり構造の全長が便座の幅の長さよりも長い構造について説明する。便座の幅とは、便座の開口部である内縁から、便座の外縁までの最短の長さを意味する。一般的に、便座の開口部は、人が便座に座った際に人が正面を向いた状態を矢状軸として、矢状軸を長軸とする楕円構造となっている。そこで、本開示においてもこの一般的な便座構造を例にとって説明をする。一例として、立ち上がり構造は、便座の開口部の楕円の長軸方向に2つの切れ込みを有して、短軸方向に1つの切れ込みを有しており、それぞれの切れ込みは結合している。この構造によって、立ち上がり構造は、便座の開口部の楕円の長軸方向に立ち上がる特徴を有する。この構造によって、立ち上がり構造は、便座の開口部の楕円の短軸方向に立ち上がる構造に比べると、立ち上がる全長が長くなることができる。
【0013】
この立ち上がり構造を2以上作るためには、例えば、アルファベットのE文字やS文字のような切れ込みであって、なおかつ、立ち上がり構造が、便座の開口部の楕円の長軸方向に立ち上がるように切れ込みを入れると好適である。立ち上がり構造が、便座の開口部の楕円の長軸方向に立ち上がるように切れ込みを入れることで、立ち上がり構造の全長は、便座の幅の長さよりも長くなる。なぜなら、一般的に、便座の開口部の楕円の長軸の全長は、便座の幅の長さよりも十分に長い特徴を備えるからである。
【0014】
立ち上がり構造の全長が便座の幅の長さよりも短くなってしまう構造について説明する。仮に、便座の開口部の楕円の短軸方向に2つの切れ込みを有して、長軸方向に1つの切れ込みを有している場合、立ち上がり構造の全長は、本開示の0011段落で記載した立ち上がり構造の全長よりも短くなることが多い。したがって、この場合には、立ち上がり構造の全長は、便座の幅の長さよりも長くすることは困難であることが多い。
【0015】
本開示の便座シートの使用方法について説明する。使用者は、切れ込み構造によって2以上の立ち上がり構造を作る。使用者は、それぞれの立ち上がり構造を便座の外に倒すと好適である。この場合、立ち上がり構造を便座の外に垂れる。なぜなら、立ち上がり構造の全長が便座の幅の長さよりも長いからである。
【0016】
以下に、本開示の便座シートの2つ目の実施形態について、
図1および
図2を用いて説明する。便座シート1の立ち上がり構造は、便座の開口部の楕円の長軸方向に2つの曲線の切れ込み2を有して、短軸方向に1つの切れ込み3を有しており、それぞれの切れ込みは人の手で破ることで容易に結合する(
図1)。便器の便座部分と平面座標上は一致する便座シートの部分を、便宜上、ドットの領域で外縁部分4として示している(
図3)。外縁部分4に摩擦係数を上げるコーティングをするなど、適宜外縁部分4に工夫を加えることができる。本開示は、2つの切れ込み2の間に一つの分割切れ込み5が存在する。更に、分割切れ込み5は、2つの切れ込み2の終点を結んだ線よりも、切れ込みが超えると好適である。言い換えると、分割切れ込み5は、2つの切れ込み2の終点を結んだ線よりも、切れ込みが深くなると好適である。すなわち、切れ込み(以下「立ち上がり切れ込み」という)によって生じる立ち上がり構造を有して、立ち上がり構造を二分する分割切れ込み5を更に有して、分割切れ込み5は、立ち上がり切れ込みの2つの終点を結んだ線を超えるように切れ込みがあることを特徴とする、便座シートであると好適である。本開示において、それぞれの切れ込みは結合していなくとも、人の手で力を加えると容易に結合できる程度に近接した、それぞれに独立した切れ込みとして構成しても良い。若しくは、本開示において、それぞれの切れ込みが結合した状態として構成して量産しても良い。
【0017】
当該便座シートの使用方法について説明する。使用者は、手で力を加えてシートの一部を破って、切れ込み構造2、3、5を結合させる。そして、2つの立ち上がり構造を作る。使用者は、それぞれの立ち上がり構造を便座の外に倒すと好適である(
図2若しくは
図4)。
【0018】
なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用すること(その他の実施形態として説明した実施形態同士の組み合わせを含む)も可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0019】
以下、上記において説明した寝具ポケットの概要について説明する。
【0020】
切れ込みによって生じる2以上の立ち上がり構造を有して、立ち上がり構造の全長が便座の幅の長さよりも長いことを特徴とする、便座シート。
【0021】
本構成では、立ち上がり構造が便座の外に垂れる。立ち上がり構造の自重によって、便座シート全体が便座の外側に向けて張力を有する効果を奏する。あるいは、立ち上がり構造が便座の外に垂れるので、便座シートの摩擦によって、少なくとも便座シート全体が便座の中に落ちる物理特性を軽減することができる。あるいは、立ち上がり構造が便座の中に垂れる構成においてはその構造が濡れることによって便座シートが便器の中に落ちてしまうが、本構成においては少なくとも便座シートが濡れる恐れが無く、全体が便座の中に落ちる物理特性を軽減することができる。
【0022】
切れ込み(立ち上がり切れ込みと称する)によって生じる立ち上がり構造を有して、立ち上がり構造を二分する分割切れ込みを更に有して、分割切れ込みは、立ち上がり切れ込みの2つの終点を結んだ線を超えるように切れ込みがあることを特徴とする、便座シート。
【0023】
本構成では、分割切れ込み5は、立ち上がり切れ込みの2つの終点を結んだ線を超えるように切れ込まれているので、2つの立ち上がり構造が左右に開くように折り曲げやすくなる効果がある。その結果、立ち上がり構造が便座の外側に向けて垂れる構造となる効果がある。その結果、便座シート全体が便座の中に落ちにくい物理特性を獲得することができる。他の効果として、分割切れ込みの垂れによって、左右方向、前後方向にも重心が安定する。
【0024】
全長が便座の幅の長さよりも長い立ち上がり構造を2以上作成する切れ込みを入れるステップを有する、便座シートの作成方法。
【0025】
本開示では、上述の通り、便座シートの作成方法としても実施可能である。
【0026】
本開示に係る寝具ポケットは、上述した各効果のうち、少なくとも1つを奏することができればよい。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本開示に係る技術は、便座シートに利用することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 :便座シート
2 :立ち上がり切れ込み
3 :切れ込み
4 :外縁部分
5 :分割切れ込み